JP3774257B2 - 窒化物半導体単結晶薄膜の成長方法及び同装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は III族窒化物半導体単結晶薄膜の新規な成長方法及び同薄膜の成長装置に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
窒化物系半導体、主に窒化アルミ(AlN)、窒化ガリュウム(GaN)、窒化インジュウム(InN)及びこれらの混晶の単結晶薄膜の化学気層成長法(以下MOCVD法と言う)による成長方法の従来の典型例は熱分解によるものである。 III族『元素』原材料ガスの典型例としては例えばトリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルガリウム(TMG)、トリメチルインジュウム(TMI)等が用いられ、V族元素原材料ガスとしては例えばアンモニアガス(NH3 )が主に用いられ、これらの原材料ガスのキャリアガスとしては水素(H2 )、窒素(N2 )ガスが主に用いられている。
【0003】
この方法で発光ダイオードやレーザダイオード等を作成する為の良質なデバイスグレードのGaN、AlNまたはそれらの混晶の単結晶薄膜を実用的な成長速度(数μm/時) で成長させるためには1000℃またはそれ以上の高い加熱温度を必要とする。
【0004】
またこの方法では、原材料ガスの供給比率(V族元素原料ガス供給量/ III族元素原料ガス供給量:以下V/ III比と言う)は通常数千倍から数万倍に達し、極めて多量のV族元素原材料ガスであるアンモニア(NH3 )を消費する。
【0005】
他方、InNはGaN、AlNに比べ、図4(出典:T.Matsuoka J. of Crystal Growth, Vol.124, p433(1992)) に示すように、非常に高い窒素 (N2 ) の解離平衡蒸気圧をもつ。この図4から、InNは500℃では、約0.4Torr、600℃では約70Torr、700℃では3000Torr(約4気圧)もの高い解離平衡蒸気圧をもつことが解る。
【0006】
InNがこのように高温で極めて高い解離平衡蒸気圧を有するため、良質なGaInN混晶薄膜形成のためには、基板温度を800℃程度に保ち、GaN成長時より更に高いV/III 比とより高い窒素背圧 (大気圧下) の下で、結晶の蒸発分を僅かに勝る程度の成長を行う。実質僅か数nm/分と極めて低い成長速度の条件が選ばれている。また、GaInN混晶成長時には前記したように、III 族元素原料ガスとしてトリメチルインジウム(TMI)とトリメチルガリウム(TMG)を用いるが、この両ガスの供給比に比べ結晶に取り込まれるInの割合は非常に小さくなっているのが現状である。
【0007】
これらの半導体単結晶薄膜を用いて緑色・青色・紫外の発光ダイオード、レーザ等のデバイスを形成するには、上記のような高温且つ極めて還元性の強い雰囲気で単結晶薄膜を成長させている。この為、基板材料の選択幅が大きく制限される。良好なエピタキシーの為には格子定数や熱膨張係数の一致が基板材料の第1の選択条件であり、レーザへの応用を考えるなら結晶の劈開面をその共振反射面として利用できることが次の選択条件である。しかしながら、現状では1000℃以上の温度に耐える高耐熱性や、高温で且つ多量のNH3 を含有する厳しい還元性雰囲気に耐える耐化学反応特性等の副次的条件で基板材料を選択せざるを得ない。この為、例えば格子定数の一致がよいとされるNdGaO3 等は上記のような高温且つ還元性の強い雰囲気では、この材料の耐化学反応特性が不十分なため使用困難となっている。以上のことから、単結晶サファイアが最も通常に基板として用いられている。格子定数がほぼ一致し、上記のような高温且つ強い還元性の雰囲気にも耐える材料としてSiCが好ましいとされているが、この材料を大型基板結晶として産業界に供給するだけの量産技術が未だ確立されていないため、極めて高価であり且つ供給量が制限されている
即ち、高温・強い還元性の成長条件が基板の選択幅を厳しく制限しているのが現状である。このため、この III族窒化物半導体による最近のレーザの試作に於いても光の共振反射面として基板材料の劈開面を使用したいところであるが、良好な劈開面の無いサファイア基板を用いる現状では研磨面等を使用せざるを得ない。このような状況の下では、例え特性的に十分必要仕様を満足するレーザが実現されたとしても、その製造コストは極めて高価なものとなり、使用範囲が制限されざるを得ない。
【0008】
成長温度が高いことによる第2の困難点は、ヒータや基板ホルダ等の部品材料の損耗が激しく、頻繁な保守を必要とすることである。このことは保守費用が嵩むことと同時に、結晶成長装置の実稼働時間を制限する。他方これらの部品材料の損耗が激しいことはこれら部品材料の構成元素が一旦気化する事を意味している。気層成長法による結晶成長の最中に結晶構成元素以外の材料の元素が気化することは、即ちこれら気化した元素が結晶中に取り込まれる可能性を示している。言い替えればこれら損耗した部品材料の構成元素が結晶中にオートドーピングされ、結晶の品質を低下させている可能性が高いことを意味している。
【0009】
他方、結晶成長温度の低下を図るものとして基板上の熱分解機構に加え、原料ガスの補助的解離手段を併用する方法が提案されている。その第1はプラズマによる原料ガスの励起法である。しかしながら、すでに提案されているものはほぼ10Torr程度以下の真空圧力下、いわゆるグロー放電領域の圧力範囲のみである。第2の方法として紫外線を基板面に照射する方法がある。この方法でも数mTorr以下で作動する減圧CVD、または分子線エピタキシ(MBE)法に適用された例があるのみである。
【0010】
これら補助的励起手段を用いた成長法の共通の短所として、成長中の結晶の分解解離圧以上の平衡蒸気圧としての背圧を高く保持し得ないことにある。これら III族窒化物半導体、なかでもInNは上記のような高い成長温度においては高い解離圧を有するため、これを補償する活性な窒素雰囲気の高い背圧を必要とする。現状ではこの高い窒素背圧下で原料ガスの補助解離手段を有効に利用することができていない。
【0011】
本発明は上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものである。その目的とするところは、結晶成長温度を低下させ、併せて結晶成長速度を増加させること。V族元素原材料ガスであるアンモニアの必要供給量を減少させること。基板の選択幅を拡大することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る窒化物半導体単結晶薄膜の成長方法では、III族元素原料ガスと窒素元素を含有するV族元素原料ガスを供給して、結晶成長室内の加熱された基板上に窒化物半導体単結晶薄膜を成長させる窒化物半導体単結晶薄膜の成長方法において、前記基板表面上の雰囲気圧力を10Torrから4気圧の範囲に制御し、この雰囲気圧力以上の圧力にある窒素を主成分とするガスを放電領域を通過させて前記基板上に供給しながら前記窒化物半導体単結晶薄膜を成長させることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る窒化物半導体結晶薄膜の成長装置では、III族元素原料ガスの供給手段、窒素元素を含有するV族元素原料ガスの供給手段、結晶成長室内の基板を加熱する基板加熱手段を有し、該基板上に窒化物半導体単結晶薄膜を成長させる窒化物半導体単結晶薄膜の成長装置において、前記基板表面上の雰囲気圧力を10Torrから4気圧の範囲に制御する手段を有し、この雰囲気圧力以上の圧力にある窒素を主成分とするガスが通過して前記基板上に供給される放電領域を有することを特徴とする。
【0014】
グロー放電の真空領域より高い圧力の状態、即ち数10Torrから大気圧と同等または数気圧の範囲内で放電により励起された窒素の励起原子または分子(以下窒素ラジカルと言う)を基板表面に供給する。また紫外光により基板表面を照射する。このような高い圧力での放電は、通常アーク放電、及びコロナ放電と呼ばれている異なった放電形態がある。
【0015】
結晶成長室外に設けた窒素供給配管の途中にこのアーク放電領域を形成し、該放電により励起された窒素ラジカルを結晶成長面に供給する。また、結晶成長室そのものを放電容器としてその内部に直接アーク放電手段を設け、放電により形成された窒素ラジカルのみでなく、該放電により発光する紫外光により基板表面を照射し該表面を活性化する。さらに、前記のような高い圧力の状態にある結晶成長室内に紫外線ランプを設け、該紫外線により結晶成長面を照射する。
【0016】
【作用】
前記した手段を講じることにより、高度に励起された窒素ラジカルが高い雰囲気背圧として結晶成長面を覆うことになる。この圧力は成長中の単結晶薄膜が成長温度で有する解離圧を補償する。また、窒素ラジカル及び紫外線は III族元素原料ガスの分解促進効果をも有する。以上により前記した本発明の目的を達することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。
【0018】
−実施形態1−
図1に本発明の第1の実施形態の要部断面図を示す。1は結晶成長室であり、外壁1aによって結晶成長室1内の圧力と雰囲気を所定の条件に保つ。2は円形の基板ホルダでその上面に複数の基板20が設置される。基板ホルダ2は回転軸3により保持され、高速に回転できる。4はヒータであり、基板ホルダ2を必要な結晶成長温度に加熱する。5はIII 族元素原料ガス及びドーピングガスの導入管であり、この管5は回転する基板ホルダ2に近い上部で横行し、この管5に設けられた多数の細口(図示せず)より基板2a面に向かってIII 族元素原料ガス及びドーピングガスを放出する。6は窒素元素を含有するNH3 などのV族元素原料ガスの導入管で、この管6も基板ホルダ2に近い上部で横行し、その管6に設けられた多数の細口から基板2a面に向かい窒素元素を含有するNH3 などのV族元素原料ガスを放出する。7は第1のバリアガスの導入管であり、結晶成長室1の上部外壁1aに近い(基板ホルダ2から最も離れた)位置で横行し、同様に管7に設けられた細口からH2 ガス及び/又はN2 ガスを第1のバリアガスとして放出する。8はN2 ガス導入管で前記第1のバリアガスの導入管7に比べ基板ホルダ2に近い位置で横行し、管8に設けられた細口から基板ホルダ2に向かいN2 ガスを放出する。9はアーク放電励起部であり、放電を励起しない場合は通常のN2 ガスが結晶成長室1に導かれる。アーク放電励起部9にアーク放電を励起すると、該放電により生成された窒素ラジカルが導入管8を通じて結晶成長室1に導かれる。10は結晶成長室1の外壁1aに反応生成物が付着することを防止するための第2のバリアガスの導入管であり、結晶成長室1の外壁1aの上部近くよりH2 ガス、N2 ガスまたはそれらの混合ガスを外壁1aに沿った層流として導入ガスを放出する。なお、ガス導入管5、6、7、8、10より導かれたガスはそれぞれ結晶成長室1内では層流となるような流出条件で制御されている。11は排気管で可変コンダクタンスバルブ(図示せず)を介して排気ポンプ(図示せず)につながり、結晶成長室1に導入されたガスを加減して排気する。12は圧力計で結晶成長室1内の圧力を計測し、前記可変コンダクタンスバルブを制御する。
【0019】
図2は図1中のアーク放電励起部9の詳細図である。26は石英製の放電管外壁であり、N2 ガスは導入口21より放電領域27を経由して出口22より図1の導入管8に導かれる。23は放電のための第1の電極、24は第2の電極である。第1の電極23と第2の電極24間は電流制限回路(図示せず)を介して高圧発生電源(図示せず)に接続されている。25は放電をトリガーするための第3の電極であり、高圧を発生するテスラーコイル(図示せず)に接続されている。この放電領域27は典型的には1kV・1A、即ち1kW程度で安定に放電する。結晶成長室1内の雰囲気圧力以上にある窒素を主成分とするガスをこの放電領域27を通過させると、窒素ガスはこの放電領域27で励起され、系の圧力差により、約10Torrから数気圧の範囲に保持された結晶成長室1内の結晶成長面に自然供給される。
【0020】
以上の構成によるガスの流れを図1に基づいて説明すると、結晶成長室1の最も上流より第1のバリアガス15、放電により励起された窒素ラジカル16、最も基板近傍で III族元素原料ガス17及びV族元素原料ガス18がそれぞれ層流に近い状態で基板20面に向かって流れる。なお、第2のバリアガス19は結晶成長室1の外壁1aに沿って同様に層流状態で流れている。第1のバリアガス15、第2のバリアガス19は反応生成物が外壁1aに付着するのを防止する。
【0021】
第1のバリアガス15、窒素ラジカル16、III 族元素原料ガス、V族元素原料ガス18は上記のように基板ホルダ2面に向かい層流状態で流れる。基板ホルダ2が高速回転すると層流状態で流れてきた粘性流の圧力範囲にある各ガスは、ガスの粘性により基板ホルダ2面に吸引され、基板ホルダ2の中心より外周に向かい基板表面に密着した流れ(図中矢印100)となる。この際、管8より導かれ、III 族元素原料ガスと混合された長寿命の窒素ラジカル16が III族元素原料ガス17の分解を促進すると共に III族元素と反応するV族窒素の有効な背圧として作用する。
【0022】
−実施形態2−
次に、第2の実施形態として、窒素ガスを励起させるための放電領域40を結晶成長室1内に直接設置した例を図3に示す。第1の電極23、第2の電極24、第3の電極25は結晶成長室1内の層流条件を可能な限り乱さぬ為、セルフサポートができることを考慮し、1mmφの裸線により形成した。この放電領域40を原料ガスの横行放出管5、6より上流で、窒素ガス16の横行放出管8より下流側の領域に設けた。尚、図3に示す結晶成長装置でも、管7からH2 ガス及び/又はN2 ガスが供給され、管10から第2のバリアガスが供給される。本構成では、放電により励起された窒素ガス、水素ガス、その混合ガスのラジカルのみならず、放電部40の放電により放出される紫外光による基板20面の活性化をも利用できる。
【0023】
本実施形態では、圧力と放電条件によりアーク放電またはコロナ放電の両放電形態のうち、より効率よく安定に放電し、高効率でラジカルおよび放電による紫外線を生成できる放電形態を選択して利用できる。
【0024】
−実施形態3−
第2の実施形態の放電領域40の下流側で、原料ガスの横行放出管5、6より上流に微細な金属線により形成された網目状のイオン捕集電極50を設けた。放電領域40の放電により発生したイオンが基板20面を照射して悪影響を及ぼすような場合、この悪影響を取り去ることが可能となる。
【0025】
【実施例】
−実施例1−
図2のアーク放電励起領域27を1kWで放電できるように設定した状態では、導入管6からのNH3 の供給を停止しても、GaN、AlN単結晶薄膜の成長が可能であった。また同様にNH3 供給を停止した状態でもGaInN混晶の成長が認められた。即ち、アーク放電励起領域27で活性化された窒素ラジカル16はV族元素原料ガスとして有効に作用し、NH3 に代替して使用できる。
【0026】
また、500℃でAlNのバッファー層を20nm形成後、900℃でGaNの成長を試みた。V属元素原料ガスとNH3 も同時に供給したが、窒素ラジカル16を供給すると、4μm/時でGaN結晶が安定に成長した。平滑な表面形状を有しており、室温でのそのフォトルミネッセンス(PL)は強く、GaNのバンドギャップに相当するλ=365nmの鋭く細いピークを示した。このような良質結晶を通常より低い900℃の基板温度で成長できた。
【0027】
上記で作成したGaN上に、基板温度800℃でInGaNの成長を試みた。V族元素原料ガスとしてNH3 を供給し、窒素ラジカルを励起した場合とそうでない場合を比較した。窒素ラジカルの励起を行い、20nm/minの成長速度で形成させた結晶のPLはバンドギャップに相当すると思われる細く鋭いピークのみを示した。一方、窒素ラジカルの励起を行わないで成長させた場合、バンドギャップ遷移に相当する細く鋭いピークのみを示すには5nm/min以下の低い成長速度のもののみであった。即ち、窒素ラジカルの励起により通常より格段に早い成長速度で良質のGaInN混晶を成長できた。
【0028】
また、窒素ラジカル16を供給しながら成長させたInGaNのPLピークと窒素ラジカル16を供給せずに成長させたInGaNのPLピーク波長を比較した。窒素ラジカル16の励起下で成長させた結晶では、窒素ラジカル16の励起無しで成長したものに比べPLピークは長波長に位置した。このことは解離蒸気圧の高いInNを含むGaInN混晶成長に於いて窒素ラジカル16を用いると、相対的にInが多量に混晶中に取り込まれることを示している。
【0029】
上記のように通常の従来例より低温で良質結晶の成長が可能となることは、基板加熱ヒータ4や基板ホルダ2等の材料の損耗を減少させることが可能となることを示している。
【0030】
−実施例2−
図3の放電領域40を設置した位置に、放電電極23、24に替えて小型重水素放電管を複数設置し、網目状電極50は撤去して紫外光により基板20面を照射した。
【0031】
500℃でAlNバッファー層を20nm形成後、900℃でGaNを2μm成長させ放電管点灯による紫外光照射の有無による成長膜質を比較した。紫外線照射下で成長させたGaNは室温でのバンドギャップエネルギーに相当する鋭いPLピーク(λ=365nm)を示した。一方比較として紫外線を照射せずに成長させた試料では、365nmの発光を示さず長波長の幅の広い発光のみを示した。
【0032】
なお、図3に示すように放電管設置位置周辺のガス雰囲気は、下方に層流として流れるN2 、H2 のみであり、 III族元素原料ガス、V族元素原料ガスはほとんど存在しない。この為、約1ヶ月間連続的に製膜を実施したが、放電管(不図示)壁面にはほとんど付着膜は認められなかった。即ち本発明によれば放電管壁面に III−V族化合物による膜付着がほとんどなく、安定に放電発光により基板20表面を照射できることを確認した。
【0033】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、基板表面上の雰囲気圧力を10Torrから4気圧の範囲に制御し、この雰囲気圧力以上の圧力にある窒素を主成分とするガスを放電領域を通過させて前記基板上に供給しながら前記窒化物半導体単結晶薄膜を成長させることから、単結晶薄膜の成長温度の低下、成長の促進、更にはInGaN混晶等の高解離圧を有する材料に対する解離抑制平衡蒸気圧を増加させ、成長促進等の著しい効果を有する。この結果として、基板選択の幅が増加する。従って、加工が極めて困難であり、極めて高価で且つ供給が制限されているSiCのような材料を基板として用いなくてもよく、より結晶成長に適合し安価な基板選択の自由度を大きく増加させる。従って格子定数の一致、熱膨張係数の一致、更には劈開面を有効利用できる基板選択の可能性を大きく増加させることができる。
【0034】
また、NH3 ガスの供給量を減少(V/ III比の減少)させても良質の単結晶薄膜を形成でき、材料ガスコストを大きく減少させるばかりでなく、環境に好ましくないNH3 の大量廃棄とその処理コストを減少させ得る。
【0035】
更には、高温加熱されるヒータ、基板ホルダ等の材料の損耗を著しく減少させ、これらの部品費、同交換保守費、保守時間の低減、機器稼働時間率の向上を図れる。
【0036】
また、上記した部品損耗の減少は、即ちこれら部品構成元素の単結晶薄膜中へのオートドーピングが減少することを意味する。従って、従来より更に良質な単結晶薄膜を成長させる潜在能力を有しているといえる。
【0037】
上記より、InGaNを用いたデバイスである緑色・青色・紫外の発光ダイオードやレーザダイオードを安価に供給する為に極めて有効な発明である。
【0038】
一方、本発明の装置では、基板表面上の雰囲気圧力を10Torrから4気圧の範囲に制御する手段を有し、この雰囲気圧力以上の圧力にある窒素を主成分とするガスが通過して前記基板上に供給される放電領域を有することから、上述のような本発明の方法を実施できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す図である。
【図2】図1のアーク放電励起部の詳細を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施形態、第3の実施形態の機能要素部品の配置を示す図である。
【図4】結晶の解離平行蒸気圧を示す図である。
【符号の説明】
1:結晶成長室、2:基板ホルダ、3:基板ホルダ回転軸、4:基板ヒータ、5: III族元素原料ガス及びドーピングガス導入管、6:V族元素原料ガス導入管、7:第1のバリアガス導入管、8:窒素ガス導入管、9:アーク放電励起部、10:第2のバリアガス導入管、11:排気管、12:圧力計、20:基板、23:第1の放電電極、24:第2の放電電極、25:放電を開始する第3のトリガー電極、27:アーク放電部、50:網目状電極

Claims (7)

  1. III族元素原料ガスと窒素元素を含有するV族元素原料ガスを供給して、結晶成長室内の加熱された基板上に窒化物半導体単結晶薄膜を成長させる窒化物半導体単結晶薄膜の成長方法において、前記基板表面上の雰囲気圧力を10Torrから4気圧の範囲に制御し、この雰囲気圧力以上の圧力にある窒素を主成分とするガスを放電領域を通過させて前記基板上に供給しながら前記窒化物半導体単結晶薄膜を成長させることを特徴とする窒化物半導体単結晶薄膜の成長方法。
  2. 請求項1に記載した窒化物半導体単結晶薄膜の成長方法において、前記窒素を主成分とするガスを前記結晶成長室の外に設けられた放電領域を通過させて前記結晶成長室内に導入することを特徴とする窒化物半導体単結晶薄膜の成長方法。
  3. 請求項1に記載した窒化物半導体単結晶薄膜の成長方法において、前記放電領域が前記結晶成長室内に設けられていることを特徴とする窒化物半導体単結晶薄膜の成長方法。
  4. 請求項3に記載した窒化物半導体単結晶薄膜の成長方法において、前記放電が励起される領域と基板との間に網目状電極が設置され、該網目状電極で放電により発生したイオンが捕集されることを特徴とする窒化物半導体単結晶薄膜の成長方法。
  5. 請求項1に記載した窒化物半導体単結晶薄膜の製造方法において、前記結晶成長室内に設けた紫外線ランプを照射しながら前記窒化物半導体単結晶膜を成長させることを特徴とする窒化物半導体単結晶薄膜の成長方法。
  6. III族元素原料ガスの供給手段、窒素元素を含有するV族元素原料ガスの供給手段、結晶成長室内の基板を加熱する基板加熱手段を有し、該基板上に窒化物半導体単結晶薄膜を成長させる窒化物半導体単結晶薄膜の成長装置において、前記基板表面上の雰囲気圧力を10Torrから4気圧の範囲に制御する手段を有し、この雰囲気圧力以上の圧力にある窒素を主成分とするガスが通過して前記基板上に供給される放電領域を有することを特徴とする窒化物半導体単結晶薄膜の成長装置。
  7. 請求項6に記載した窒化物半導体単結晶薄膜の成長装置において、前記放電領域にガスの放電を励起する手段を有し、このガスの放電を励起する手段が主放電電極以外に放電開始を誘発する第3の電極を有することを特徴とする窒化物半導体単結晶薄膜の成長装置。
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