JP2010202879A - プラスチゾル組成物用粘度調整剤、プラスチゾル組成物並びにこれを用いた製品および成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)カルボキシル基もしくはその塩、アルコキシ基およびグリシジル基のうちの少なくとも1つを有する化合物;(B)アミン系化合物;及び(C)金属キレート化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有するプラスチゾル組成物用粘度調整剤。この粘度調整剤と重合体を含有するプラスチゾル組成物。この組成物から得られる被覆層を有する製品。この組成物を用いて成形された成形品。
【選択図】なし
Description
(A)下記(A1)〜(A3)に示される基からなる群から選ばれる少なくとも1つを有する化合物:
(A1)カルボキシル基又はその塩、
(A2)アルコキシ基、
(A3)グリシジル基;
(B)アミン系化合物;
(C)金属キレート化合物。
前記アルキルアミン化合物(B1)が、式(3)で示されるアルキルアミン化合物であることが好ましい。
前記化合物(B)が、式(4)で示されるイミダゾリン化合物(B2)であることが好ましい。
前記金属キレート化合物(C)が、アルミニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物およびジルコニウムキレート化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属キレート化合物であることが好ましい。
(A1)カルボキシル基又はその塩
(A2)アルコキシ基
(A3)グリシジル基
(A1)の内、カルボキシル基を有する化合物としては、オクチル酸、ステアリン酸、ミリスチン酸、ノニル酸、オレイン酸、ラウリン酸等のカルボン酸類が挙げられる。
ここで、式(1)〜(3)で示される化合物のうちの複数種を使用する場合、それぞれの式におけるYは同一であっても異なってもよい。
その中でも、特にRのアルキル基又はアルキレン基の炭素数の上限は26が好ましく、下限は6が好ましい。Rの炭素数が26以下であるイミダゾリン化合物を用いた粘度調整剤は、常温で液体となる傾向にあり、プラスチゾル配合時の取り扱いが容易となる傾向にある。またRの炭素数が6以上であるイミダゾリン化合物を用いた粘度調整剤は、粘度低下効果が高い傾向にある。
単量体の具体例としては、アクリロニトリル;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、tーブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート等の直鎖アルキルアルコールの(メタ)アクリレート類;あるいはシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の環式アルキルアルコールの(メタ)アクリレート類;メタクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸2−サクシノロイルオキシエチル−2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、メタクリル酸2−マレイノロイルオキシエチル−2−メタクリロイルオキシエチルマレイン酸、メタクリル酸2−フタロイルオキシエチル−2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸、メタクリル酸2−ヘキサヒドロフタロイルオキシエチル−2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸等のカルボキシル基含有単量体;アリルスルホン酸等のスルホン酸基含有(メタ)アクリレート類、2−(メタ)アクリロイキシエチルアシッドフォスフェート等のリン酸基含有(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2ーヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート類;アセトアセトキエチル(メタ)アクリレート等のカルボニル基含有(メタ)アクリレート類、N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート類;アクリルアミドジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド等のアクリルアミド誘導体;(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
粘度低下率(%)={(μ'−μ)/μ'}×100
μ:粘度調整剤を含むプラスチゾル組成物の粘度、
μ':上記プラスチゾル組成物から粘度調整剤のみ除いた組成のプラスチゾル組成物の粘度。
温度計、窒素ガス導入管、攪拌棒、滴下漏斗、冷却管を装備した2リットルの4つ口フラスコに純水500部を入れ、30分間窒素ガスを通気し、純水中の溶存酸素を置換した。窒素ガス通気を停止した後、メチルメタクリレート25.0部、n−ブチルアクリレート20.0部を入れ、200rpmで攪拌しながら80℃に昇温した。内温が80℃に達した時点で、10.0部の純水に溶解した過硫酸カリウム0.25部を一度に添加し、引き続きここに、表1に示すモノマー乳化液(M1)を滴下し、引き続き80℃にて1時間攪拌を継続して、樹脂分散液を得た。
温度計、窒素ガス導入管、攪拌棒、滴下漏斗、冷却管を装備した2リットルの4つ口フラスコに純水500部を入れ、30分間窒素ガスを通気し、純水中の溶存酸素を置換した。窒素ガス通気を停止した後、200rpmで攪拌しながら80℃に昇温した。内温が80℃に達した時点で、10.0部の純水に溶解した過硫酸カリウム0.25部を一度に添加し、引き続き表1の配合表に示すモノマー乳化液(M3)を滴下し、滴下終了後80℃にて1時間攪拌を継続して、目的とする樹脂分散液を得た。
温度計、窒素ガス導入管、攪拌棒、滴下漏斗、冷却管を装備した2リットルの4つ口フラスコに純水500部を入れ、30分間窒素ガスを通気し、純水中の溶存酸素を置換した。窒素ガス通気を停止した後、メチルメタクリレート25.0部、n−ブチルアクリレート20.0部を入れ、200rpmで攪拌しながら80℃に昇温した。内温が80℃に達した時点で、10.0部の純水に溶解した過硫酸カリウム0.25部を一度に添加し、引き続きここに、表2に示すモノマー乳化液(Mc6)を滴下した。つづいて、滴下終了後80℃にて1時間攪拌を継続して、表2の配合表に示すモノマー乳化液(Ms6)を滴下した。滴下終了後、80℃にて1時間攪拌を継続して目的とする樹脂分散液を得た。
温度計、窒素ガス導入管、攪拌棒、滴下漏斗、冷却管を装備した2リットルの4つ口フラスコに純水500部を入れ、30分間窒素ガスを通気し、純水中の溶存酸素を置換した。窒素ガス通気を停止した後、200rpmで攪拌しながら80℃に昇温した。内温が80℃に達した時点で、10.0部の純水に溶解した過硫酸カリウム0.25部を一度に添加し、引き続き表2の配合表に示すモノマー乳化液(Mc8)を滴下した。つづいて、滴下終了後80℃にて1時間攪拌を継続して、表2の配合表に示すモノマー乳化液(Ms8)を滴下した。滴下終了後、80℃にて1時間攪拌を継続して目的とする樹脂分散液を得た。
重合体粒子(P1)を得るときと同じ方法・組成で得られた樹脂分散液を室温まで冷却した後、粘度調整剤(ライオン(株)製 商品名:アーミン8D。式(1)においてアルキル基Yの平均炭素数8、VおよびXはいずれも水素原子の構造を有する。)を表3に示すように8.1部混合し、スプレードライヤーを用いて、入口温度170℃、出口温度75℃、アトマイザ回転数25000rpmにて噴霧乾燥して、粉末状の重合体粒子(P11)を得た。なお、粘度調整剤は表4に示す比率に従い、あらかじめ粘度調整剤をミネラルスピリットA(商品名、日本石油(株)製ミネラルターペン)に溶解させておき、それを水に分散した乳化液として樹脂分散液に混合した。さらに、アーミン8Dを8.1部ではなく16.1部混合した以外は重合体粒子(P11)と同様の方法で粉末状重合体粒子(P12)を得た。
プラスチゾル組成物を25℃の恒温槽で3時間保温した後、EHD型粘度計((株)東京計器製、製品名:EHD型粘度計、ローター:特殊コーン(円錐角度3度))を用いて、回転数1rpmにおいて1分後の粘度(単位:mPa・s)を測定した。測定した粘度を下記の通り分類し、表中に示した。
◎:5000mPa・s未満
○:5000mPa・s以上8000mPa・s未満
△:8000mPa・s以上10000mPa・s未満
×:10000mPa・s以上。
ナイフコーターを用いて、成膜後の膜厚0.5mmとなるようにガラス板(厚さ2mm)上にプラスチゾル組成物を塗布し、130℃で10分間ギヤーオーブンで加熱し成膜した。
上記のようにして成膜して得た皮膜を室温で1週間放置後の皮膜外観を目視と触感にて評価した。
○:ブリード無し
×:ブリード有り。
上記のようにして成膜して得た皮膜の着色の有無を目視で評価した。
表5に示すとおり、重合体として重合体粒子(P1)を100部、化合物(B)として第1級アミン(ライオン(株)、商品名:アーミン8D)を2部、可塑剤としてジイソノニルフタレート(DINP)80部を計量し、真空ミキサー((株)シンキー製、製品名:ARV−200)にて10秒間大気圧(0.1MPa)で混合した後、引き続き2.7kPaに減圧して50秒間混合し、プラスチゾル組成物を得た。得られたプラスチゾル組成物の粘度は4800mPa・sであった。
それぞれ表5〜表17記載の組成及び配合とする以外は、実施例1と同様にしてプラスチゾル組成物を得た。得られたプラスチゾル組成物の粘度は、表5〜表17に示す。
表5に示す実施例1〜3は直鎖でアルキル基長の異なる第1級アミンを配合した例で、実施例4、5はそれぞれ直鎖の第3級アミンとアルキルジアミンを配合した例で、実施例6は複素6員環構造をもつアミン化合物を配合した例である。
表6に示す実施例7〜10は、アミン化合物の添加量を変更させた場合のプラスチゾル組成物の粘度変化を示す例である。これらの実施例を比較例1と比較したところ、いずれの実施例においても優れた粘度低下効果を確認することができた。
表7に示す実施例11〜12は可塑剤の種類を変更した例である。
表8に示す実施例13、14はコアシェル構造をもつ重合体を用いた例である。実施例13は高いガラス転移温度である重合体粒子を用いた例で、実施例14は低いガラス転移温度である重合体粒子を用いた例である。いずれの実施例においても粘度低下効果が発現することを確認した。
表9に示す実施例は乾燥前の樹脂分散液に粘度調整剤を配合して水分及び粘度調整剤と同時に添加したミネラルスピリットを揮発させることによって、あらかじめ樹脂に粘度調整剤を含有させた例である。粘度調整剤の添加方法によらず、粘度低下効果が発現することを確認した。
表10に示す実施例17、18はポリエーテル可塑剤と、アミンとしてポリオキシエチレンアルキルアミン又はイミダゾリン誘導体を用いた例である。
表11に示す実施例19〜21はアルミニウムキレート化合物を配合した例で、実施例22、23はそれぞれチタンキレート化合物を配合した例で、実施例24はジルコニウムキレート化合物を配合した例である。
表12に示す実施例25〜28は、金属キレート化合物の添加量を変更させた場合のプラスチゾル組成物の粘度変化を示す例である。これらの実施例を比較例8と比較したところ、いずれの実施例においても優れた粘度低下効果を確認することができた。
表13に示す実施例29〜30は可塑剤の種類を変更した例である。
表14に示す実施例31〜32は重合体粒子組成及び可塑剤の種類を変更した例である。
表15に示す実施例33〜35はコアシェル構造をもつ重合体を用いた例である。実施例33はアクリル系重合体のシェルがメチルメタクリレートのみで構成されている重合体粒子を用いた例で、実施例34、35はアクリル系重合体のシェルがメチルメタクリレートとメタクリル酸で構成されている重合体粒子を用いた例である。実施例33は比較例14と、実施例34は比較例15と、実施例35は比較例16とそれぞれ比較したところ、いずれの実施例においても重合体の構造及び組成及び可塑剤の種類に左右されず、粘度低下効果が発現することを確認した。
表16に示す比較例17〜18は粘度調整剤としてヒドロキシ脂肪酸多価アルコールエステルを用いた例である。添加剤の量を増加して5部としても、本発明の粘度調整剤と比較して粘度低下効果が低くなる結果となった。また、皮膜には黄色く着色がみられた。
表17に示す実施例36〜39は粘度調整剤としてカルボン酸及びカルボン酸塩を使用した例である。本願発明は可塑剤の種類に左右されず、粘度低下効果が発現することを確認した。
乳化剤:ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム
MMA:メチルメタクリレート
EMA:エチルメタクリレート
i−BMA:イソブチルメタクリレート
n−BMA:ノルマルブチルメタクリレート
MAA:メタクリル酸
ミネラルスピリットA:商品名。ミネラルターペン(日本石油(株)製)。
アーミン12D:商品名。直鎖の第1級アミン(式(1)の構造:アルキル基Yの平均炭素数12、VおよびXはいずれも水素原子。ライオン(株)製)
アーミン18D:直鎖の第1級アミン(式(1)の構造:アルキル基Yの平均炭素数18、VおよびXはいずれも水素原子。ライオン(株)製)
アーミンM2O:商品名。直鎖の第3級アミン(式(1)の構造:アルキル基の炭素数が14〜18、ライオン(株)製)。
アミート:ポリオキシエチレンアルキルアミン(式(3)の構造:アルキル基Yの平均炭素数13、m+nの平均数2、花王(株)製、商品名:アミート105)
ホモゲノール:イミダゾリン誘導体(式(4)の構造:Rは炭素数16のパルミトレイル基、Pは2−ヒドロキシエチル基、AはCl-。花王(株)製、商品名:ホモゲノールL−95)
DINP:ジイソノニルフタレート
DOP:ジ−2−エチルヘキシルフタレート
メザモール:商品名。アルキルスルホン酸フェニルエステル(バイエル(株)製)
P−700:ポリプロピレングリコール、平均分子量700(旭電化工業(株)製、商品名:アデカポリエーテルP−700)。
アルミキレートA(W):トリス(アセチルアセトネート)アルミニウム(川研ファインケミカル(株)、商品名:アルミキレートA(W))
アルミキレートD:モノアセチルアセトネート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム(川研ファインケミカル(株)、商品名:アルミキレートD)
TC−100:ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトネート)チタニウム(松本製薬工業(株)、商品名:TC−100)
TC−750:ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム(松本製薬工業(株)、商品名:TC−750)
ZC−540:トリ−n−ブトキシ・アセチルアセトネートジルコニウム(松本製薬工業(株)、商品名:ZC−540)
ATBC:クエン酸アセチルトリブチル(大日本インキ化学工業(株)製)
DBP:フタル酸ジイソブチル。
CR−500:商品名。縮合リシノレイン酸ポリグリセリンエステル(阪本薬品工業(株)製)。
実施例33で得られたプラスチゾル組成物を用いて、人形型の金型でスラッシュ成形を行った。スラッシュ成形の方法としては、金型にプラスチゾル組成物を充填した後、160℃オイルバスに金型を5秒間浸漬しゲル化層を形成し、金型から余剰のプラスチゾル組成物を排出した。さらに金型に付着したゲル化層を160℃×5分で溶融し、50℃まで冷却したあと成形品を金型から取り出した。
Claims (10)
- 化合物(A)〜(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有するプラスチゾル組成物用粘度調整剤:
(A)下記(A1)〜(A3)に示される基からなる群から選ばれる少なくとも1つを有する化合物
(A1)カルボキシル基又はその塩、
(A2)アルコキシ基、
(A3)グリシジル基;
(B)アミン系化合物;
(C)金属キレート化合物。 - 前記化合物(B)が、アルキルアミン化合物(B1)である請求項1記載のプラスチゾル組成物用粘度調整剤。
- 前記金属キレート化合物(C)が、アルミニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物およびジルコニウムキレート化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属キレート化合物である請求項1記載のプラスチゾル組成物用粘度調整剤。
- 請求項1〜6記載の何れか1項記載の粘度調整剤を含有するプラスチゾル組成物。
- アクリル系重合体を含む請求項7記載のプラスチゾル組成物。
- 請求項7記載のプラスチゾル組成物を用いて得られた被覆層を有する製品。
- 請求項7記載のプラスチゾル組成物を用いて成形された成形品。
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