JP2001187835A - アクリル樹脂プラスチゾル組成物 - Google Patents

アクリル樹脂プラスチゾル組成物

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JP2001187835A
JP2001187835A JP37480699A JP37480699A JP2001187835A JP 2001187835 A JP2001187835 A JP 2001187835A JP 37480699 A JP37480699 A JP 37480699A JP 37480699 A JP37480699 A JP 37480699A JP 2001187835 A JP2001187835 A JP 2001187835A
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methyl methacrylate
polymer
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Toshio Nagase
敏夫 永瀬
Hirotaka Tsubaki
裕尊 椿
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Zeon Kasei Co Ltd
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Zeon Kasei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形品の品質を損なわずに、適度な粘度と良
好な粘度経時安定性を持つ、降伏値の高いアクリル樹脂
プラスチゾル組成物を提供すること。 【解決手段】 (A)メチルメタクリレート系重合体、
(B)アルキルベンジルフタレート、ポリアルキレング
リコールジベンゾエート、アルキルジアリールフォスフ
ェートおよびアルキルカルボニルトリアルキルシトレー
トからなる群より選択される1種以上の可塑剤および
(C)ポリベンジリデンソルビトールまたはその核置換
体を配合してなるアクリル樹脂プラスチゾル組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アクリル樹脂プラ
スチゾル組成物に関し、詳しくは、ディップ加工でタレ
にくく、布地に塗布して浸透しにくく、充填剤を配合し
て沈降しにくい、降伏値の大きなアクリル樹脂プラスチ
ゾル組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、塩化ビニル樹脂プラスチゾル
は成形性が良好であり、床材、壁材、鋼板コート材、自
動車アンダーコート材、車両外板シール材、コンベアベ
ルト、防水布などに広く用いられている。しかし、近年
に至って、廃棄品を焼却しても塩酸を出さないプラスチ
ゾルも求められるようになり、メチルメタクリレート系
重合体を用いるアクリル樹脂プラスチゾルが、その高価
格である障害を越えて使用されるようになってきた。プ
ラスチゾルを用いるペースト加工では、一般に、プラス
チゾルが適度に粘度であることが第一に要求される。そ
の粘度は用途により異なるが、実使用状況下粘度で2〜
30Pa・s程度である。粘度が低すぎると所望の塗布
厚みが出ないという不便もあり必ずしも良いとは限ら
ず、一方、粘度が高すぎると流延しなくて塗布できな
い。適度な粘度であると、塗布に際して適度の厚みで流
延することができ、型への注入や型からの流出が的確に
行え、また、可塑剤使用量が過多にならないので成形品
が過度に柔らかくならない。上述の適度な粘度について
は、実際に使用する際の剪断力下での粘度が重要で、例
えば、ゾルを塗布する際に高剪断力がかかる状況で2〜
30Pa・s程度の低粘度で、塗布した後の低剪断力下
または剪断力がかからない状況ではタレや浸透の防止の
ために高粘度である、いわゆるチキソトロピーな粘性が
必要となることが多い。このような場合には一般に後述
のようにチキソトロープ剤を添加してゾルの降伏値を上
げる手法が取られている。プラスチゾルに要求される第
二の性質は、プラスチゾルが貯蔵されるとき、時間の経
過につれて樹脂粒子が可塑剤により膨潤してゾル粘度が
増加する度合いが少ないこと、すなわち粘度の経時安定
性が良いことである。粘度の経時増加が大きいと、配合
調整や成形速度の変更などで成形工程が安定せず、成形
品の品質も安定しないという問題となる。プラスチゾル
の粘度および粘度経時安定性を決定する支配的な要因
は、適切な可塑剤の選定である。適切な可塑剤は樹脂に
よって異なり、塩化ビニル樹脂に良い可塑剤がアクリル
樹脂にも適用できるとは限らないので、アクリル樹脂に
好適適な可塑剤を選定することが大事になる。
【0003】適度な粘度で粘度経時安定性の良いプラス
チゾルであっても、ディップ成形におけるゾルのタレの
防止、布地への塗布における布地へのゾルの浸透の防
止、充填剤配合ゾルを静置する際の充填剤粒子の沈降の
防止などは、配合上の工夫を要する技術となっている。
これらの現象を抑えるためには、プラスチゾルの粘度が
単に高いだけでなく、降伏値が高い必要がある。アクリ
ル樹脂プラスチゾルの粘度を増加させ、降伏値を高める
のに好適なチキソトロープ剤は殆ど知られていないた
め、実用上必要な場合は、やむなく塩化ビニル樹脂プラ
スチゾルで使用されている微細炭酸カルシウム、微細シ
リカ、ステアリン酸アルミニウムなどを流用してきた。
しかし、これらの無機系のチキソトロープ剤は多量用い
なければ効果が出ないため、透明性を低下させるなどの
ように成形品の品質に悪影響を及ぼすばかりでなく、微
粉末に起因する取り扱いの悪さや環境衛生上の問題がク
ローズアップされている。そのため、アクリル樹脂プラ
スチゾルに大きな降伏値を与えることのできる可塑剤と
チクソトロープ剤の系の開発が望まれていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、メチルメタ
クリレート系重合体粒子を用いて、適度な粘度と良好な
粘度経時安定性を有し、高い降伏値を与えることがで
き、かつ、成形品の機械的強度を損なわないアクリル樹
脂プラスチゾル組成物を提供することを目的としてなさ
れたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、メチルメタクリ
レート系重合体に対して、特定の可塑剤と特定のチクソ
トロープ剤との組み合わせ系を配合することにより、目
的とするプラスチゾル組成物が得られることをことを見
出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、(A)メチルメタクリレート系重合
体、(B)アルキルベンジルフタレート、ポリアルキレ
ングリコールジベンゾエート、アルキルジアリールフォ
スフェートおよびアルキルカルボニルトリアルキルシト
レートからなる群より選択される1種以上の可塑剤およ
び(C)ポリベンジリデンソルビトールまたはその核置
換体を配合してなるアクリル樹脂プラスチゾル組成物を
提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明組成物の(A)成分である
メチルメタクリレート系重合体は、メチルメタクリレー
ト単独重合体、またはメチルメタクリレート50重量%
以上と共重合可能な単量体との共重合体である。(A)
成分のメチルメタクリレート系重合体は、ガラス転移温
度が60℃以上であることが好ましく、70℃以上であ
ることがより好ましく、80℃以上であることが更に好
ましい。ガラス転移温度が60℃未満であると、同重合
体の製造工程で噴霧乾燥が困難となるおそれがある。共
重合体粒子がコア−シェル構造を有する場合は、シェル
を構成する重合体のガラス転移温度が60℃以上という
条件を満たせば、コアを構成する重合体のガラス転移温
度は、例えば、−20℃のように低くても差し支えな
い。上記共重合可能な単量体としては、スチレン、ビニ
ルトルエン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル系
化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、シア
ン化ビニリデンなどのシアン化ビニル化合物;酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル化合物;
エチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、ヒドロ
キシブチルビニルエーテルなどのビニルエーテル化合
物;α−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−
ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチ
ル(メタ)アクリレートなどの水酸基又はアルコキシ基
含有不飽和カルボン酸エステル化合物などの塩素化合物
などを挙げることができる。
【0007】また、(A)成分のメチルメタクリレート
系重合体は、プラスチゾルの粘度経時安定性を高めるた
めに、多官能性単量体0.5〜15重量%を共単量体と
して架橋重合体を含有することにより、可塑剤による膨
潤を起しにくくした重合体であることが好ましい。かか
る多官能性単量体としては、グリシジル(メタ)アクリ
レート、グリシジル−p−ビニルベンゾエート、メチル
グリシジルイタコネート、アリルグリシジルエーテル、
メタリルグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンモ
ノオキシドなどのエポキシ基またはエポキシ基前駆体含
有単量体;ジアリルフタレート、ジアリルマレエート、
ジアリルアジペート、トリアリルシアヌレートなどのア
リル化合物;エチレングリコールジビニルエーテル、ジ
ビニルベンゼンなどのジビニル化合物;エチレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)
アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)ア
クリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレー
ト、オリゴエチレンジ(メタ)アクリレートなどの多官
能アクリレートなどを挙げることができる。メチルメタ
クリレート系重合体中の架橋重合体量は、テトラヒドロ
フラン(以後THFと記すことがある)不溶解分として
測定することができる。THF不溶解分は10〜90重
量%であることが好ましく、30〜70重量%であると
なお好ましい。
【0008】また、(A)成分のメチルメタクリレート
系重合体は、プラスチゾルの粘度経時安定性を高めるた
めの別の態様として、カルボキシル基含有単量体を、重
合反応後の共重合体のカルボキシル基含有量が約0.2
〜5重量%となる程度構成単量体単位として含有する重
合体であることも好ましい。かかるカルボキシル基含有
単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、
エチルアクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸などの不飽和
モノカルボン酸;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、
シトラコン酸、クロロマレイン酸などの不飽和ジカルボ
ン酸やその無水物;マレイン酸モノメチル、マレイン酸
モノエチル、マレイン酸モノブチル、フマル酸モノメチ
ル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノブチル、フマル
酸モノ−2−ヒドロキシエチル、イタコン酸モノメチ
ル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノブチルなど
の不飽和ジカルボン酸のモノエステルやその誘導体など
を挙げることができる。
【0009】(A)成分のメチルメタクリレート系重合
体の製造方法に特に制限はなく、例えば、乳化重合、播
種乳化重合、微細懸濁重合、播種微細懸濁重合などによ
り製造することができる。重合温度に特に制限はない
が、30〜80℃であることが好ましい。乳化重合は、
水を分散媒、アニオン性又はノニオン性界面活性剤を乳
化剤、水溶性の過酸化物を重合開始剤として用い、単量
体を含む界面活性剤ミセル層内で重合を進め、平均粒径
0.05〜0.5μm程度の尖鋭な粒径分布の重合体ラ
テックスを得る方法である。播種乳化重合法は、乳化重
合法よりもさらに大きい粒径を有する粒子のラテックス
を得る方法である。予め乳化重合して得たラテックス中
の重合体粒子を種子として用い、これに単量体を被覆す
る重合反応の際に、乳化剤量を重合体粒子の全表面積を
カバーするのに必要な理論量の20〜60%に留まるよ
うに供給しつつ重合することにより、極力新たな微小粒
子の生成を防いで被覆重合を行い、平均粒径0.3〜2
μm程度の1つまたは2つの尖鋭なモードを持つ粒径分
布の重合体ラテックスを得る方法である。
【0010】微細懸濁重合法は、水を分散媒とし、単量
体、乳化剤、油溶性の重合開始剤などの混合物を、ホモ
ジナイザなどを用いて微細な液滴に分散させたのち重合
して平均粒径約1μmの広い粒径分布の重合体ラテック
スを得る方法である。播種微細懸濁重合法は、微細懸濁
重合法による重合体の懸濁液を種子粒子としてさらに単
量体を被覆重合するものである。乳化重合及び微細懸濁
重合に用いる乳化剤としては、例えば、ドデシルベンゼ
ンスルホン酸ナトリウム、ドデシルナフタレンスルホン
酸カリウムなどのアルキルアリールスルホン酸塩;ラウ
リル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウムなど
のアルキル硫酸塩;ジオクチルスルホコハク酸ナトリウ
ム、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウムなどのスルホ
コハク酸塩;ラウリン酸ナトリウム、半硬化牛脂脂肪酸
カリウムなどの脂肪酸塩;ポリオキシエチレンラウリル
エーテルサルフェートナトリウム塩、ポリオキシエチレ
ンノニルフェニルエーテルサルフェートナトリウム塩な
どのエトキシサルフェート塩;アルカンスルホン酸塩;
アルキルエーテル燐酸エステルナトリウム塩などを挙げ
ることができる。乳化剤の使用量は、単量体100重量
部に対して0.05〜5重量部であることが好ましく、
0.1〜3重量部であることがより好ましい。
【0011】乳化重合に用いる水溶性重合開始剤として
は、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過
酸化水素などの水溶性過酸化物、これらの開始剤又はク
メンヒドロパーオキシド、t−ブチルヒドロパーオキシ
ドなどのヒドロパーオキシドに、亜硫酸水素ナトリウ
ム、亜硫酸アンモニウム、アスコルビン酸などの還元剤
を組み合わせたレドックス系開始剤、2,2−アゾビス
(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩などの水溶
性アゾ化合物などを挙げることができる。微細懸濁重合
に用いる油溶性重合開始剤としては、例えば、3,5,
5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド、ラウロイル
パーオキシド、ベンゾイルパーオキシドなどのジアシル
パーオキシド;メチルエチルケトンパーオキシドなどの
ケトンパーオキシド;ベンゾイルヒドロパーオキシド、
クメンヒドロパーオキシド、p−サイメンヒドロパーオ
キシドなどのヒドロパーオキシド;t−ブチルパーオキ
シピバレートなどのパーオキシエステル;ジイソプロピ
ルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシル
パーオキシジカーボネートなどのパーオキシジカーボネ
ート;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド
などのスルホニルパーオキシドなどの有機過酸化物;こ
れらの有機過酸化物とロンガリットなどの還元剤を組み
合わせたレドックス系開始剤;2,2−アゾビスイソブ
チロニトリル、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニ
トリル)、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロ
ニトリル)、2,2−アゾビス(4−メトキシ−2,4
−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ化合物などを挙
げることができる。
【0012】乳化重合、微細懸濁重合などによって製造
されたメチルメタクリレート系重合体粒子を含有するラ
テックスを、窒素などの不活性気体を用いる噴霧乾燥な
どによって乾燥し、必要に応じて粉砕して共重合体粒子
を得ることができる。本発明において、(A)成分のメ
チルメタクリレート系重合体の重量平均分子量は、重合
体0.50gを100mlのTHFに溶解して(不溶解
分が2重量%以下であれば除去し、無視して測定する)
ミックスゲルカラムを用いて、THFを溶離液としてゲ
ルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)にか
け、標準ポリスチレンの保持時間を参照することにより
測定する。
【0013】本発明において、(A)成分のメチルメタ
クリレート系重合体は、平均単一粒子径が0.05〜
5.0μmであることが好ましく、0.3〜3.0μm
であることがより好ましい。0.05μmより小さいと
プラスチゾルの粘度が高くなるおそれがあり、5.0μ
mより大きいとプラスチゾルの貯蔵中に重合体粒子が沈
降する可能性がある。平均単一粒子径が0.05〜5.
0μmであると、可塑剤中で懸濁して低粘度のプラスチ
ゾルを形成することができ、実用配合での自由度が広が
るので好ましい。
【0014】本発明において(B)成分として、次の4
種類の可塑剤からなる群から選ばれる1種以上の可塑剤
が用いられる。すなわち、(B)成分は、ブチルベンジ
ルフタレート、オクチルベンジルフタレート、デシルベ
ンジルフタレートなどのアルキルベンジルフタレート;
ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレン
グリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジ
ベンゾエート、トリプロピレングリコールジベンゾエー
トなどのジアルキレングリコールジベンゾエートおよび
トリアルキレングリコールジベンゾエート(併せてポリ
アルキレングリコールジベンゾエートと記す。); オ
クチルジフェニルホスフェート、デシルジフェニルホス
フェート、ドデシルジフェニルホスフェート、メチルジ
ナフチルフォスフェートなどのアルキルジアリールフォ
スフェート; アセチルトリエチルシトレート、アセチ
ルトリブチルシトレート、アセチルトリ−(2−エチル
ヘキシル)シトレート、プロペニルトリブチルシトレー
トなどのアルキルカルボニルトリアルキルシトレートで
ある。本発明の(B)成分としてのこれら4種類の可塑
剤はいずれもメチル基、エチル基、プロピル基などの炭
素数1〜8のアルキル基およびメトキシ基、エトキシ
基、プロポキシ基などの炭素数1〜8のアルコキシ基な
どのベンゼン核、ナフタレン核などへの核置換体も包含
される。本発明において、可塑剤として上記(B)成分
の可塑剤を50重量%以上含有する限り他の可塑剤を併
用しても良い。上記4種の可塑剤は、メチルメタクリレ
ート系重合体を用いるアクリル樹脂プラスチゾルを適度
な粘度にし、かつ、粘度の経時安定性を極めて良好にす
るものであって、かつ、次ぎに記すジベンジリデンソル
ビトールまたはその置換体を添加して粘度が顕著に上昇
する特異的な性質を有する可塑剤である。また、これら
4種の可塑剤は、メチルメタクリレート系重合体に適度
に相溶性があり、成形品はブリードを起しにくい特長も
有するものである。(B)成分である可塑剤の配合量
は、(A)成分メチルメタクリレート系重合体100重
量部あたり60〜150重量部が好ましく、より好まし
くは70〜120重量部である。可塑剤の配合量がメチ
ルメタクリレート系重合体100重量部に対して60重
量部未満であると、プラスチゾルの流動性が不足するお
それがある。可塑剤の配合量がメチルメタクリレート系
重合体100重量部に対して150重量部を超えると、
成形品がブリードを起こしやすくなり、また、機械的特
性が低下する可能性がある。
【0015】本発明組成物においては、(C)成分とし
てポリベンジリデンソルビトールまたはその核置換体が
用いられる。このものは上記(B)成分の可塑剤を用い
るアクリル樹脂プラスチゾルにおいて、ごく少量の添加
で大きく粘度を上昇させて、降伏値を高めるチクソトロ
ープ剤の作用を有している。しかも、同チキソトロープ
剤は、プラスチゾル成形品の機械的物性や発泡体特性を
阻害せず、また、透明性、熱安定性、耐候性などはむし
ろ改善する傾向を示す。ポリベンジリデンソルビトール
は、ソルビトールの誘導体であって、ジベンジリデンソ
ルビトールおよびトリベンジリデンソルビトールがあ
り、ジベンジリデンソルビトールを例に採れば、式
【0016】
【化1】
【0017】で表わされ、その代表的なものとして、式
【0018】
【化2】
【0019】の構造のものを挙げることができる。上記
の2つの式において、Rは、水素または炭素数1〜8の
アルキル基、アルコキシ基などを表す。また、ポリベン
ジリデンソルビトールの核置換体としては、例えばメチ
ル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル
基、イソブチル基、オクチル基などのアルキル基;メト
キシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ
基、ブトキシ基、イソブトキシ基、オクトキシ基などの
アルコキシ基などで置換した置換体を挙げることができ
る。本発明組成物におけるポリベンジリデンソルビトー
ルまたはその核置換体の配合量は、(A)成分メチルメ
タクリレート系重合体100重量部あたり0.001〜
1.0重量部が好ましく、より好ましくは0.05〜
0.5重量部である。この配合量が0.001重量部未
満では所望の粘度や降伏値が得られないおそれがあり、
1.0重量部を超えるとゾルを塗布する際に展延しにく
かったり、ディップのゾル付着量が多すぎたりする可能
性がある。本発明において、チキソトロープ剤として、
(C)成分を50重量%以上含有する限り、他のチキソ
トロープ剤を併用することができる。この(C)成分の
使用に当たっては、予め(B)成分の可塑剤の全量また
は一定量に150〜220℃に加熱して溶解してマスタ
ーバッチにしておくことが好ましい。
【0020】本発明に係るプラスチゾル組成物には、必
要に応じて、顔料、充填剤、発泡剤、帯電防止剤、希釈
剤などを添加することができる。本発明のアクリル樹脂
プラスチゾル組成物の調製方法は、特に制限はなく、例
えば、擂潰機、ニーダー、プラネタリーミキサー、横型
パドルミキサー、バタフライミキサー、ディゾルバー、
インテンシブミキサーなどを用いて、(A)成分、(B)
成分および(C)成分などを十分に混合撹拌することに
より、調製することができる。本発明のアクリル樹脂プ
ラスチゾル組成物は、ゾル粘度が適度に高くて降伏値が
大きいので、ディップ成形におけるゾルのタレの防止、
布地へのゾルの塗布における布地への浸透の防止、充填
剤配合ゾルを静置する際の充填剤粒子の沈降の防止など
が可能である。
【0021】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限
定されるものではない。 (i)実施例及び比較例に用いたメチルメタクリレート
系重合体は次の方法で製造した。 「メチルメタクリレート系重合体(樹脂a)製造例」ス
テンレス製容器にメチルメタクリレート95重量部とグ
リシジルメタクリレート5重量部、乳化剤としてドデシ
ルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.0重量部、分散剤
として炭素数18の高級アルコール1.5重量部および
重合開始剤としてベンゾイルパーオキシド0.3重量部
と脱イオン水150重量部を添加し、室温下で30分間
撹拌混合した後、ホモミキサーの高剪断下での均質処理
を通し、ステンレス製重合容器に移送して油相の粒子径
が0.1〜4μmの微細懸濁液として調整した。続いて
重合温度65℃で5時間撹拌下にて重合を行い、少量サ
ンプリングした反応液の固形分濃度により重合率95%
以上を確認してから反応を終了させ、ラテックスを得
た。同ラテックスを170℃の窒素気流の噴霧乾燥機に
て乾燥し、更に窒素シールした粉砕機を通して微粉末と
した。このようにして得られた重合体樹脂粒子の単一平
均粒子径は1.5μmであった。THF不溶解分は5
3.5%であった。
【0022】「メチルメタクリレート系重合体(樹脂
b)製造例」単量体成分としてメチルメタクリレート9
7重量部とメタクリル酸3重量部とを用いた他はメチル
ルメタクリレート系重合体(樹脂a)製造例と同様に行
った後、水酸化カリウム水溶液を添加して中和処理した
ラテックスを得た。同ラテックスを170℃の窒素気流
の噴霧乾燥機にて乾燥し、更に窒素シールした粉砕機を
通して微粉末とした。このようにして得られた重合体樹
脂粒子の単一平均粒子径は1.4μmであった。カルボ
キシル基含有量は1.2%で、メチルメタクリレート単
量体単位は97.7%、重量平均分子量は1,820,
000、THF不溶解分は1.3%であった。
【0023】(ii)メチルメタクリレート系重合体の
特性は次の方法で測定した。 (1)重量平均分子量 40℃、真空度665Paで3時間の真空乾燥処理を行
った樹脂サンプル500mgを試薬のテトラヒドロフラ
ン100mlに添加し、室温で24時間溶解(不溶解分
が2重量%以下存在する場合はこれを無視して除去)し
た後、THFを溶離液としてミックスゲルカラムを用い
るGPCにかけ、標準ポリスチレンの保持時間を参照す
ることによって測定する。尚、THF不溶解分は除去し
て測定する。 (2)THF不溶解分 40℃、真空度665Paで3時間の真空乾燥処理を行
った樹脂サンプル500mgを試薬のテトラヒドロフラ
ン50mlに添加し、室温で24時間溶解した後、80
00rpmの遠心分離機に10分間かけ、次いでろ別し
た後、60℃で24時間乾燥した後に重量を測定する。
【0024】(3)カルボキシル基含有量 重合後のラテックスを用い、水酸化カリウムと塩酸の標
準滴定液を用いた伝導度滴定にて酸モノマー成分の含有
量を測定する。アクリル酸モノマーは(イ)粒子層と、
(ロ)セラム(液漿)層に存在する。先ず、セラム層に
存在するカルボキシル基モル数を伝導度滴定で求め、次
いで反応に使用した全酸モノマー量からセラム層存在分
を差し引いて粒子層存在分とし、カルボキシル基量の重
量%に換算する。 (4)平均粒径 重合後のラテックスを用い、レーザー回折の散乱式粒子
径分布測定装置(堀場製作所製LA−300型)を用い
て測定した単一粒子径分布のメジアン径を平均径とす
る。
【0025】(iii)実施例及び比較例で得られるプ
ラスチゾルの各種物性の測定は次の方法で行った。 (1)ゾル初期粘度 実施例の表中の各配合成分(単位g)を一括して擂潰機
にて室温で10分間混合し、続いてて真空度665Pa
の真空撹拌脱泡機にて15分間脱泡処理して粘度測定用
のプラスチゾルを調製する。脱泡処理後に密閉容器に採
取し、23℃で1時間放置した後、23℃で湿度60%
の環境下にて測定した値をゾル初期粘度とする。粘度測
定機はBROOKFIELD粘度計のM型を使用し、ロ
ーターNo.4を用いて6rpmにて測定した。 (2)降伏値(YIELD VALUE) BROOKFIELD粘度計のM型を使用し、同一ロー
ターを用いて12rpmと6rpmでの粘度を連続して
測定し、下記の式で換算した値をいう。値が大きいとチ
キソトロピーの度合が大きく、値が負の場合はダイラタ
ンシーであることを示す。 Y=12( V’6−V’12)/10 (単位:Pa) V’6 : 6rpmの粘度 (Pa・s) V’12 : 12rpmの粘度 (Pa・s) この式から、降伏値が大きいということは、ローター6
rpmでの粘度より12rpmでの粘度が著しく低いこ
とを意味する。 (3)7日経時変化指数(AI) 初期粘度を測定したプラスチゾルを2分してガラス容器
に入れ密栓し、25℃および40℃で7日間保存した
後、23℃で湿度60%の室内にて初期粘度と同様に粘
度測定を行う。7日後の粘度測定値の初期の測定値に対
する比の値(Aging Index)をゾル粘度の7
日経時変化指数とする。25℃はゾルの室温下での貯蔵
安定性の指標に、40℃は、夏期の空調不良環境下での
貯蔵安定性の指標になる。実用上は3.0以下が必要で
1.5以下が特に望ましい。
【0026】(4)引張強度 上記(1)で調製した同一のプラスチゾルを厚さ2mm
のガラス板上にドクターナイフを用いて0.5mm厚に
塗布し、180℃の熱風循環式オーブン中で10分間熱
処理してシートを作製する。同シートを用いて、JIS
K 6723に準じた方法で23℃での引張強度を測
定する。 (5)伸張率 上記(4)で作製した同一のシートを用いて、JIS
K 6723に準じた方法で抗張力の測定と同時に破断
時の伸張率を測定する。 (6)ブリード 上記(1)で調製したプラスチゾルを厚さ2mmのガラ
ス板上にドクターナイフを用いて1.0mm厚に塗布
し、180℃の熱風循環式オーブン中で15分間熱処理
してシートを作製する。このシートを23℃、湿度60
%の室内に2週間放置した後、シート表面ににじみ出た
可塑剤を目視で調べてシートのブリード性を評価する。
【0027】実施例1〜5、比較例1〜14 表1および表2の配合の欄に記す物質を表記の比率にて
擂潰機で混合してプラスチゾルを調製し、前記のプラス
チゾルおよびキュアシートの性能を試験した。なお、ジ
ベンジリデンソルビトールはいずれも温度200℃に加
熱した50重量部の可塑剤に分散させて溶解した後室温
に冷却して用いた。プラスチゾルおよびキュアシートの
性能の評価結果を表1および表2に記す。
【0028】
【表1】
【0029】注 *1 :2−エチルヘキシルベンジルフタレート *2 :アセチルトリブチルシトレート *3 :ジプロピレングリコールジベンゾエート *4 :ドデシルジフェニルフォスフェート *5 :ジ−2−エチルヘキシルフタレート *6 :トリブチルシトレート *7 :ブチルベンジルフタレート *8 :トリクレジルフォスフェート *9 :ジベンジリデンソルビトール *10:エロジル200(AEROSIL200)、ド
イツDEGU SSA社製、平均粒径約20mμ
【0030】
【表2】
【0031】注は表1と同じ。
【0032】本発明の要件を満たす実施例1〜5は、い
ずれも適度な初期粘度と大きな降伏値とを有し、粘度の
経時指標AIが25℃では1に近く、40℃では2未満
で、ともに極めて良好である。また、成形品は抗張力、
伸びともに十分の大きさがあり、ブリードも見られなか
った。実施例1〜5の配合からジベンジリデンソルビト
ール0.2重量部を除いた配合の比較例1〜5と対比す
ると、初期粘度は略15〜20倍増加し、降伏値は可塑
剤の種類によって150〜2000倍に増加度が異なる
ことが判る。ドデシルジフェニルフォスフェートを可塑
剤とする対比では、降伏値−2のダイラタンシーのゾル
(比較例4)が約100の大きな降伏値(実施例4)の
チキソトロピーのゾルに変貌している。一方、本願発明
の(B)成分とは異なる種々の可塑剤を用いてジベンジ
リデンソルビトールの添加の有無で比較試験した比較例
6〜9と比較例10〜13では、初期粘度は増加し得て
も降伏値の増加が小さいことが判る。また、40℃での
経時で粘度が著しく増加するものが多い。可塑剤として
ジ−2−エチルヘキシルフタレートを用いると成形品は
ブリードし(比較例6、10)、トリブチルシトレート
を用いると抗張力の小さな成形品が得られる(比較例
7,11)。また、チキソトロープ剤として典型的なエ
ロジルを、ジベンジリデンソルビトールで有効な0.2
重量部を添加しても少量すぎて降伏値はあまり増加しな
い(比較例14)。
【0033】
【発明の効果】本発明により、適度な粘度と良好な粘度
経時安定性を持ち、降伏値の高いアクリル樹脂プラスチ
ゾル組成物が提供される。また、これにより得られる成
形品はブリードがなく、十分な機械的強度を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 BG061 BG071 EC057 ED027 EH046 EH096 EH126 EH146 EW046 FD026 FD207 GJ00 GL00

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)メチルメタクリレート系重合体、
    (B)アルキルベンジルフタレート、ポリアルキレング
    リコールジベンゾエート、アルキルジアリールフォスフ
    ェート、アルキルカルボニルトリアルキルシトレートか
    らなる群より選択される1種以上の可塑剤および(C)
    ポリベンジリデンソルビトールまたはその核置換体を配
    合してなるアクリル樹脂プラスチゾル組成物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7741395B2 (en) 2007-08-21 2010-06-22 Eastman Chemical Company Low volatile organic content viscosity reducer
JP2010215897A (ja) * 2009-02-18 2010-09-30 Tosoh Corp 水性ポリウレタン樹脂組成物およびこれを用いたフィルム成型体

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7741395B2 (en) 2007-08-21 2010-06-22 Eastman Chemical Company Low volatile organic content viscosity reducer
JP2010215897A (ja) * 2009-02-18 2010-09-30 Tosoh Corp 水性ポリウレタン樹脂組成物およびこれを用いたフィルム成型体

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