JP2004315708A - プラスチゾル用アクリル重合体粒子、その製造方法及びプラスチゾル - Google Patents
プラスチゾル用アクリル重合体粒子、その製造方法及びプラスチゾル Download PDFInfo
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Abstract
【課題】ゾル粘度の貯蔵安定性に優れ、可塑剤のブリードがなく機械的特性に優れた成形体を与えるプラスチゾル並びに可塑剤への分散性に優れたアクリル重合体粒子及びその製造方法を提供する。
【解決手段】コア/シェル構造アクリル重合体粒子であって、全重合体粒子中のメタクリル酸メチル単位が40〜80重量%、酸基を有する単量体単位が0.1〜5重量%、これらの単量体と共重合可能な単量体単位が15〜59.9重量%であり、酸基が重合体粒子を水中に再分散させたときのpHが6.0〜7.5になるように中和されており、シェル重合体におけるメタクリル酸メチル単位が30〜99.5重量%、酸基を有する単量体単位が0.5〜6重量%、これらの単量体と共重合可能な単量体単位が69.5重量%以下であり、シェル重合体がコア重合体及び連鎖移動剤の存在下にシェル重合体を重合して得られる重合体粒子。
【選択図】 なし
【解決手段】コア/シェル構造アクリル重合体粒子であって、全重合体粒子中のメタクリル酸メチル単位が40〜80重量%、酸基を有する単量体単位が0.1〜5重量%、これらの単量体と共重合可能な単量体単位が15〜59.9重量%であり、酸基が重合体粒子を水中に再分散させたときのpHが6.0〜7.5になるように中和されており、シェル重合体におけるメタクリル酸メチル単位が30〜99.5重量%、酸基を有する単量体単位が0.5〜6重量%、これらの単量体と共重合可能な単量体単位が69.5重量%以下であり、シェル重合体がコア重合体及び連鎖移動剤の存在下にシェル重合体を重合して得られる重合体粒子。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アクリル重合体粒子、その製造方法及びこのアクリル重合体粒子を含有してなるプラスチゾルに関する。さらに詳しくは、ゾル粘度の貯蔵安定性に優れ、可塑剤のブリードがなく機械的特性に優れた成形体を与えるプラスチゾル並びにこれを得るために適した、可塑剤への分散性に優れたアクリル重合体粒子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチゾルは、熱可塑性樹脂の微粉末を可塑剤中に分散させて得られる、流動性のペースト状ゾルであり、加熱により樹脂粉末が膨潤・融合して均質な合成樹脂となるため、壁装材、床材、ビニル手袋、人形、玩具、自動車アンダーコーティング、塩ビ塗装鋼板等の分野で広く使用されている。
熱可塑性樹脂としては、これまで、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂等の塩化ビニル系樹脂が広く用いられてきた。
しかし、近年、環境問題から塩化ビニルを主体とする塩化ビニル系樹脂を他の樹脂へ転換することが求められ、熱可塑性樹脂としてアクリル重合体を使用するアクリルゾルが検討されている。例えば、特許文献1〜3では、コア/シェル構造のアクリル重合体が検討されている。また、特許文献4〜5では、アクリル重合体粒子におけるモノマーの構成比率を粒子中心部から最外部に向けて変化させていく「グラジエント」構造が検討されている。
しかしながら、これらの努力にも拘らず、これまでのところ、種々のゾル物性、例えばアクリル重合体粒子の分散性が良好でゾル粘度の貯蔵安定性に優れ、かつ可塑剤のブリードがなく機械的特性の優れた成形体を与えるようなプラスチゾルは得られていない。
また、本出願人は、外殻層が不飽和カルボン酸単量体単位を有する共重合体で構成されている重合体微粒子の該カルボン酸基を1価又は2価のカチオンによりイオン架橋することによって、この重合体微粒子を用いたプラスチゾルの貯蔵安定性を向上させ得ることを見出した(特許文献6)。しかしながら、このプラスチゾルから得られる成形物の機械的特性は、必ずしも十分なものではなかった。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−226596
【特許文献2】
WO00/01748
【特許文献3】
特開2000−273262
【特許文献4】
特開平09−77950
【特許文献5】
特開平08−295850
【特許文献6】
特開平05−271333
【0004】
【本発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、ゾル粘度の貯蔵安定性に優れ、可塑剤のブリードがなく機械的特性に優れた成形体を与えるプラスチゾル並びにこれを得るのに適した、可塑剤への分散性に優れたアクリル重合体粒子及びその製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的の達成のために鋭意研究を重ねた結果、コア/シェル構造のアクリル重合体粒子を得るに当たり、特定のモノマーについてそのコア部分及びシェル部分における使用比率を特定すると共に、シェル部分の合成に際して連鎖移動剤の存在下に重合を行うことにより、上記目的を達成できることを見出し、この知見に基づいて本願発明を完成するに至った。
【0006】
かくして、本発明によれば、コア重合体とシェル重合体との重量比率(コア重合体/シェル重合体)が10/90〜90/10の範囲にあるコア/シェル構造のアクリル重合体粒子であって、全アクリル重合体粒子における、メタクリル酸メチル単量体単位の比率が40重量%以上、80重量%以下、有機酸基を有する単量体単位の比率が0.1重量%以上、5重量%以下、且つ、これらの単量体と共重合可能な単量体由来の単量体単位の比率が15重量%以上、59.9重量%以下であり、アクリル重合体粒子をpH7.0の水中に30重量%濃度で再分散させたときのpHが6.0〜7.5の範囲内になるように、上記有機酸基が中和されており、シェル重合体におけるメタクリル酸メチル単量体単位の量が30〜99.5重量%、有機酸基を有する単量体単位の量が0.5〜6重量%、且つ、これらの単量体と共重合可能な単量体由来の単量体単位の量が0重量%以上、69.5重量%以下であり、シェル重合体が、コア重合体及び連鎖移動剤の存在下に、シェル重合体用の単量体を重合して得られるものである、ことを特徴とする、アクリル重合体粒子が提供される。
本発明のアクリル重合体粒子においては、コア重合体が架橋性単量体由来の単量体単位を有するものであることが好ましい。
【0007】
本発明のアクリル重合体粒子は、プラスチゾルに好適に用いることができる。
また、本発明によれば、メタクリル酸メチル単量体単位0〜70重量%、有機酸基を有する単量体単位0〜5重量%及びこれらの単量体と共重合可能な単量体由来の単量体単位25〜100重量%からなるコア重合体10〜90重量部及び連鎖移動剤0.01〜3重量部の存在下に、メタクリル酸メチル単量体30〜99.5重量%、有機酸基を有する単量体0.5〜6重量%及びこれらの単量体と共重合可能な単量体0〜69.5重量%からなるシェル重合体用の単量体90〜10重量部(但し、コア重合体とシェル重合体用の単量体との合計は100重量部である。また、コア重合体におけるメタクリル酸メチル単量体単位の含有率は、シェル重合体用の単量体におけるメタクリル酸メチル単量体の比率より小さい。)を重合させて得られる重合体分散液をpH6.0〜7.5に中和することを特徴とする前記アクリル重合体粒子の製造方法が提供される。
更に、本発明によれば、本発明のプラスチゾル用アクリル重合体粒子及び可塑剤を含有してなるプラスチゾルが提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のコア/シェル構造のアクリル重合体粒子は、互いに単量体組成の異なるコア重合体とシェル重合体とがコア/シェル構造を形成しているアクリル重合体粒子である。即ち、重合体粒子の芯部(コア部)を構成する重合体(コア重合体)を重合体粒子の外殻部(シェル部)を構成する重合体(シェル重合体)が被覆している構造を有する。ここで、被覆とは、コア重合体がシェル重合体によって完全に覆われていることを必要としない。
コア重合体とシェル重合体との比率(コア重合体/シェル重合体粒子)は、重量比で10/90〜90/10の範囲であり、好ましくは30/70〜70/30の範囲である。コア重合体/シェル重合体の比率が10/90より小さいと、このコア/シェル重合体粒子を用いて得られるアクリルゾル成形体の抗張力と伸張率とを同時に満足し得るレベルとすることが難しくなり、逆に90/10より大きいと、ゾル粘度の貯蔵安定性が悪くなる。
コア重合体及びシェル重合体は、いずれも、それ自体が多層構造を有していてもよい。従って、本発明のアクリル重合体粒子は、3層構造以上の多層構造であり得る。例えば、内層/中間層/外層からなる3層構造の重合体粒子の場合、内層がコア重合体であり、他の2層がシェル重合体を形成していると解してもよく、また、内層と中間層とからコア重合体が形成されており、外層がシェル重合体であると解してもよい。
【0009】
本発明のアクリル重合体粒子において、全粒子中のメタクリル酸メチル単量体単位の比率は、40重量%以上、80重量%以下であることが必要である。この比率が40重量%未満では、アクリル重合体粒子を用いて得られるプラスチゾル(以下、「アクリルゾル」ということがある。)から作製した成形物(以下、「アクリルゾル成形体」ということがある。)の抗張力が低下し、80重量%を超えると、成形物の伸張率が低下する。全アクリル重合体粒子中のメタクリル酸メチル単量体単位の比率は、好ましくは45〜75重量%、より好ましくは50〜65重量%である。
【0010】
本発明のアクリル重合体粒子において、全粒子における、有機酸基を有する単量体単位の比率は、0.1重量%以上、5重量%以下であることが必要である。この比率が0.1重量%未満では、ゾル粘度の貯蔵安定性が低下し、5重量%を超えると、アクリルゾル成形体から可塑剤がブリードする。全アクリル重合体粒子における、有機酸基を有する単量体単位の比率の好ましい範囲は、0.5〜3重量%である。
本発明において、重合体粒子への、有機酸基を有する単量体単位の導入は、有機酸基を有する単量体の共重合によってもよく、重合後に、公知の高分子反応等により、有機酸基を有しない単量体単位に有機酸基を導入する方法によってもよい。
【0011】
本発明において使用可能な有機酸基は、特に限定されず、その具体例としては、カルボキシル基、スルホン酸基、スルフェン酸基、スルフィン酸基、燐酸基、亜燐酸基、次亜燐酸基等を挙げることができる。
カルボキシル基を有する単量体の具体例としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のα,β―エチレン性不飽和モノカルボン酸;イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等のα,β―エチレン性不飽和多価カルボン酸;イタコン酸メチル、マレイン酸ブチル、フマル酸プロピル等のα,β―エチレン性不飽和多価カルボン酸部分エステル;等を挙げることができる。また,無水マレイン酸等の、加水分解等によりカルボキシル基に誘導することができる酸無水物基等を有するものも同様に使用することができる。
スルホン酸基を有する単量体の具体例としては、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のα,β−不飽和スルホン酸及びこれらの塩を挙げることができる。
これらの有機酸基を有する単量体のうち、カルボキシル基を有する単量体が好ましく、中でも、アクリル酸及びメタクリル酸が好ましい。これらは、工業的に安価で容易に入手することができ、他の単量体成分との共重合性も良く生産性の点でも好ましい。
【0012】
本発明のコア/シェル構造のアクリル重合体粒子は、重合体中に存在する有機酸基が、アクリル重合体粒子をpH7.0の水中に30重量%濃度で分散したときに、分散液のpHが6.0〜7.5の範囲内になるように中和されていることが必要である。分散液のpHが6.0未満では、アクリルゾルのゾル粘度の貯蔵安定性が低下する。pHが7.5を超えるとゾル分散性が低下する。
【0013】
本発明のアクリル重合体粒子は、メタクリル酸メチル単量体単位及び有機酸基を有する単量体単位の他に、これらの単量体と共重合可能な第三の単量体に由来する単量体単位を有する。
第三の単量体は、メタクリル酸メチル単量体及び有機酸基を有する単量体と共重合可能なものであれば、特に限定されない。第三の単量体は、一種類を単独で使用してもよく、二種類以上を併用してもよい。
本発明の全アクリル重合体粒子における第三の単量体に由来する単量体単位の量は、15重量%以上、59.9重量%以下、好ましくは22重量%以上、54.5重量%以下、より好ましくは、32重量%以上、49.5重量%以下である。
【0014】
第三の単量体の具体例としては、メタクリル酸メチル以外の(メタ)アクリル酸エステル及びその誘導体、芳香族ビニル単量体、エチレン性不飽和ニトリル単量体、カルボン酸ビニル単量体、ビニルエーテル単量体、ビニルケトン単量体、α−オレフィン単量体,ジエン単量体等を挙げることができる。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味する。
(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等の(メタ)アクリル酸脂肪族アルコールエステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸芳香族アルコールエステル;等を挙げることができる。
これらのうち、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜15のアルカノール及び炭素数3〜15のシクロアルカノールから誘導される構造のものが好ましい。より好ましくは、炭素数1〜8のアルカノールから誘導される構造のものである。
【0015】
(メタ)アクリル酸エステルの誘導体としては、上記(メタ)アクリル酸エステルのエステル部分の水素を水酸基、アミノ基、エポキシ基等で置換した、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル等を挙げることができる。
また、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミドや、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,6−ヘキサンジオール等も、(メタ)アクリル酸エステルの誘導体の例である。
【0016】
芳香族ビニル単量体の具体例としては、スチレン、α−スチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン等を挙げることができる。
エチレン性不飽和ニトリル単量体の具体例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−エチル(メタ)アクリロニトリル等を挙げることができる。
カルボン酸ビニル単量体の具体例としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル等を挙げることができる。
ビニルエーテル単量体の具体例としては、アリルグリシジルエーテル、メチルビニルエーテル等を挙げることができる。
ビニルケトン単量体の具体例としては、メチルビニルケトン等を挙げることができる。
α−オレフィン系単量体の具体例としては、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン等を挙げることができる。
ジエン系単量体の具体例としては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、シクロペンタジエン等の共役ジエン系単量体;1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン等の非共役ジエン系単量体を挙げることができる。
【0017】
本発明のアクリル重合体粒子において、シェル重合体中のメタクリル酸メチル単量体単位の比率は、全アクリル重合体粒子の重量を基準にして、30重量%以上、99.5重量%以下であることが必要である。この比率が30重量%未満では、このアクリル重合体粒子を用いて得られるアクリルゾル成形体の抗張力が十分でなく、99.5重量%を超えると、アクリルゾル成形体の伸張率が十分でない。シェル重合体中のメタクリル酸メチル単量体単位の比率は、好ましくは40重量%以上、99重量%以下、より好ましくは50重量%以上、99重量%以下である。
【0018】
本発明のアクリル重合体粒子において、シェル重合体における、有機酸基を有する単量体単位の比率は、0.5重量%以上、6重量%以下であることが必要である。この比率が0.5重量%未満では、ゾル粘度の貯蔵安定性が低下し、6重量%を超えると、アクリルゾル成形体から可塑剤がブリードする。シェル重合体中における、有機酸基を有する単量体単位の比率の好ましい範囲は、1〜3重量%である。
【0019】
本発明のアクリル重合体粒子において、シェル重合体における、メタクリル酸メチル及び有機酸基を有する単量体と共重合可能な単量体単位の比率は、69.5重量%以下であることが必要である。この比率が69.5重量%を超えると、このアクリルゾル成形体の抗張力が十分でなくなる。上記比率の好ましい範囲は、59重量%以下、より好ましくは49重量%以下である。
【0020】
本発明のアクリル重合体粒子において、コア重合体粒子の組成は、アクリル重合体粒子全体における単量体単位組成とシェル重合体における単量体単位組成が、それぞれ、上述の範囲にある限り、特に限定されないが、以下の範囲にあることが好ましい。即ち、コア重合体粒子におけるメタクリル酸メチル単量体単位の量が、70重量%以下、より好ましくは65重量%以下であると、アクリルゾル成形体の伸張率が向上し、アクリルゾル成形体からの可塑剤のブリードが抑制されるので好ましい。コア重合体粒子中に、有機酸基を有する単量体単位があることは必須ではないが、これが存在すると、アクリルゾル成形体の抗張力が向上するという利点がある。
更に、コア重合体粒子中に架橋性単量体(架橋性基を有する単量体)由来の単量体単位が存在すると、アクリルゾル成形体の強度が向上する。このような架橋性単量体としては、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジビニルベンゼン等を挙げることができる。
【0021】
本発明のコア/シェル構造のアクリル重合体粒子を得るに当たっては、コア重合体粒子の存在下に、シェル重合体を構成する単量体をグラフト重合する。
典型的には、コア重合体粒子を構成する単量体の重合を行い、それに引き続いて、シェル重合体を構成する単量体の重合を行う。この場合に、コア重合体粒子を構成する単量体の重合転化率が90重量%以上になった時点でシェル重合体用の単量体の重合を開始するのが好ましく、上記重合転化率は95重量%以上であるのがより好ましい。
また、コア重合体粒子として、別途合成したものを使用してもよい。
なお、コア重合体粒子の重合に当たって、シード粒子を用いてもよい。
更に、シェル重合体用単量体の重合転化率は、90重量%以上とするのが好ましく、更に好ましくは95重量%以上である。
【0022】
本発明のコア/シェル構造のアクリル重合体粒子の製造に当たって、重合法に特に制限はなく、乳化重合法、懸濁重合法、微細懸濁重合法等、任意の方法を採用することができる。
また、重合に使用する重合開始剤、乳化剤、分散剤、架橋剤、キレート剤等の種類や量にも、制限はない。勿論、乳化剤を用いずにいわゆるソープフリー重合で合成することもできる。
更に、単量体濃度、重合温度、重合時の圧力・雰囲気、撹拌方法等にも、格別の制限はない。
【0023】
本発明においては、シェル重合体の形成に当たり、連鎖移動剤を存在させることが必須である。連鎖移動剤の不存在下でシェル重合体を形成すると、得られるアクリルゾル成形体の強度が低下する。
連鎖移動剤の種類には、特に限定はなく、その具体例としては、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ステアリルメルカプタン等のアルキルメルカプタン;チオグリコール酸、チオリンゴ酸、2−エチルヘキシルチオグリコレート等のアルキルメルカプタン以外のチオール化合物;2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、2,4−ジフェニル−4−メチル−2−ペンテンおよび1,1,3−トリメチル−3−フェニルインダン等のα−メチルスチレンダイマー;ジメチルキサントゲンジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルファイド等のキサントゲン化合物;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のチウラム系化合物;2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール等のフェノール系化合物;アリルアルコール等のアリル化合物;α−ベンジルオキシスチレン、α−ベンジルオキシアクリロニトリル、α−ベンジルオキシアクリルアミド等のビニルエーテル;アクロレイン、メタアクロレイン;ターピノーレン、トリフェニルエタン、ペンタフェニルエタン等が挙げられる。
【0024】
これらの連鎖移動剤は、一種類を単独で使用してもよく、二種類以上を併用してもよい。
連鎖移動剤は、コア重合体とシェル重合体を構成する単量体との合計100重量部に対して0.01〜3.0重量部、好ましくは0.03〜1.0重量部の範囲で使用される。
【0025】
本発明のコア/シェル構造のアクリル重合体粒子を得るに当たっては、コア重合体粒子及びシェル重合体をそれぞれ構成する単量体の組成を適宜設定すればよいが、好適には、メタクリル酸メチル単量体単位0〜70重量%、有機酸基を有する単量体単位0〜5重量%及びこれらの単量体と共重合可能な単量体由来の単量体単位25〜100重量%からなるコア重合体10〜90重量部及び連鎖移動剤0.01〜3重量部の存在下に、メタクリル酸メチル単量体30〜99.5重量%、有機酸基を有する単量体0.5〜6重量%及びこれらの単量体と共重合可能な単量体0〜69.5重量%からなるシェル重合体用の単量体90〜10重量部(但し、コア重合体とシェル重合体用の単量体との合計は100重量部である。また、コア重合体におけるメタクリル酸メチル単量体単位の含有率は、シェル重合体用の単量体におけるメタクリル酸メチル単量体の比率より小さい。)を重合させる。
【0026】
本発明のコア/シェル構造のアクリル重合体粒子は、コア重合体粒子及び連鎖移動剤の存在下に、シェル重合体を形成する単量体の重合を行った後、得られる重合体粒子分散液をpHが6.0〜7.5の範囲になるように中和することによって得られる。
中和に用いる塩基には、特に制限はなく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ;アンモニア;メチルアミン、エチルアミン、トリエチルアミン等のアミン;炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸塩;重炭酸アンモニウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム等の重炭酸塩;を例示することができる。
【0027】
このようにして得られるコア/シェル構造のアクリル重合体粒子は、重合体粒子分散液として使用することもできるし、スプレー乾燥等の任意の方法で分散媒を除去して、重合体粒子として取り出して使用することもできる。本発明のコア/シェル構造のアクリル重合体粒子は、通常、0.3〜5μmの単一平均粒子径を有している。
【0028】
本発明のコア/シェル構造のアクリル重合体粒子は、プラスチゾルに好適に用いられる。
本発明のプラスチゾルは、本発明のコア/シェル構造のアクリル重合体粒子及び可塑剤を含有してなる。
可塑剤の種類は、特に限定されないが、フタル酸エステル系可塑剤;アルキルフェノール硫酸エステル系可塑剤;燐酸エステル系可塑剤;アジピン酸エステル可塑剤;セバシン酸エステル系可塑剤;ジ安息香酸ジエチレングリコール、ジ安息香酸ジプロピレングリコール等のグリコール誘導体系可塑剤;グリセロールトリアセテート、グリセロールトリブチレート等のグリセリン誘導体系可塑剤;エポキシ化大豆油等のエポキシ誘導体系可塑剤;等を例示することができる。
【0029】
フタル酸エステル系可塑剤の具体例としては、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジ2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル等のフタル酸ジアルキル可塑剤;フタル酸オクチルベンジル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ミリスチルベンジル等のフタル酸アルキルベンジル可塑剤;フタル酸アルキルアリール可塑剤;フタル酸ジベンジル可塑剤;フタル酸ジアリール可塑剤を挙げることができる。
燐酸エステル系可塑剤の具体例としては、燐酸トリクレジル等のリン酸トリアリール可塑剤;燐酸トリオクチル等の燐酸トリアルキル可塑剤;燐酸アルキルアリール可塑剤を挙げることができる。
これらは、目的とするプラスチゾルの要求特性に合わせて選定すればよい。
これらの可塑剤うち、工業的に安価で入手しやすいこと、また作業性、低毒性等の点から、フタル酸エステル系可塑剤が好ましい。環境に対する影響の観点からは、中でも、フタル酸ジイソノニルが好ましい。
これらの可塑剤は、一種類を単独で用いても、二種類以上を併用してもよい。
可塑剤の含有量は、コア/シェル構造のアクリル重合体粒子100重量部に対し、50〜180重量部の範囲で選ばれる。この量が180重量部を超えると、成形体からブリードしやすくなる。プラスチゾルの成膜性、成形体の強度や柔軟性等の面から、この可塑剤の好ましい含有量は、コア/シェル構造のアクリル重合体粒子100重量部に対し、70〜150重量部の範囲である。
【0030】
本発明のプラスチゾルは、本発明のコア/シェル構造のアクリル重合体粒子と可塑剤とを混合することにより得ることができる。
混合の方法は、特に限定されず、混合機としては、真空脱泡式プラネタリーミキサー、ディスパー等を用いることができる。
本発明のプラスチゾルには、用途に応じて各種の添加剤を配合することができる。これらの添加剤の具体例としては、例えば炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、バライタ、クレー、コロイダルシリカ、マイカ粉、珪砂、珪藻土、カオリン、タルク、ベントナイト、ガラス粉末、酸化アルミニウム等の充填材;酸化チタン、カーボンブラック等の顔料;ミネラルターペン、ミネラルスピリット等の希釈剤;消泡剤;防黴剤;防臭剤;抗菌剤;界面活性剤;滑剤;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤あるいはサリチル酸エステル系紫外線吸収剤等の紫外線吸収剤;香料;発泡剤;レベリング剤;接着剤;等を示すことができる。
【0031】
本発明のプラスチゾルは、浸漬、噴射、刷毛塗り又はドクター塗り等の公知の方法で、樹脂フィルムや金属等の基材上に5μm〜5mm厚で塗布し、120℃〜200℃でゲル化して成形体を得ることができる。また、適当な型中でゲル化することによって、種々の構造の成形体を得ることもできる。
【0032】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。実施例における部及び%は、特に言及がない限り、重量基準である。
なお、コア/シェル重合体粒子、アクリルゾル及びアクリルゾル成形体の各特性の評価法は、下記のとおりである。
(1) 一次粒子平均粒子径
レーザー回折散乱法粒度分布測定装置LS−230(ベックマンコールター社製)を用いて測定する。
(2) プラスチゾルの粘度及びゾル粘度の貯蔵安定性
ブルックフィールド(BM)型回転粘度計[東京計器(株)製]を用いて25℃、相対湿度60%の条件でローターNO.4を用いて60rpmで測定する。
ゾル粘度の貯蔵安定性は、以下のようにして評価する。即ち、プラスチゾル調製後、上記条件で粘度を測定する。その後、直ちに、プラスチゾルを40℃の恒温槽に入れ、7日後に取り出して、25℃、湿度60%の雰囲気下に1時間放置後粘度を測定し、この粘度をプラスチゾル調製直後の粘度で除した指数で示す。この値が小さい方がゾル粘度の貯蔵安定性に優れている。
【0033】
(3) プラスチゾルの機械的特性
ガラス板上に、等量のアクリル重合体粒子と可塑剤とを混合して得た固形分濃度50%のプラスチゾルを0.3mm厚に塗布したのち、熱風循環炉内で140℃に20分間加熱して、物性測定用シートを作成し、これからJIS ダンベル3号でサンプルを作成し、テンシロン引張試験機(オリエンテック社製、TYPE RTC−1325A)を用いて、300mm/分の引張速度で引張試験を6回行って、抗張力及び破断時伸張率を測定する。
(4) 可塑剤の耐ブリード性
機械的特性測定用と同様にして作成したシートを温度25℃、湿度60%の雰囲気下に30日間放置したのち、目視観察し、次の判定基準に従って評価する。
○:全くブリードが見られない。
△:ごく僅かにブリードが見られる。
×:ブリードが見られる。
(5) ゾル分散性
石川式擂潰機18号にアクリル重合体粒子200gとフタル酸ジイソノニル200gを一括投入し、ゾル化を行い、ゾル化に要する時間を測定して、下記の基準で判定する。
○:60秒以内にゾル化する。
△:120秒未満でゾル化する。
×:ゾル化に120秒以上を要するか、又はゾル化しない。
【0034】
実施例1
二段翼を有する10リットルのステンレス製予備混合容器に、蒸留水200部とメタクリル酸n−ブチル40部、炭素数18の直鎖高級アルコール1.0部、ラウリル硫酸ナトリウム0.5部及び過酸化ベンゾイル0.3部を仕込み、30℃で1時間混合を行った後、撹拌によって形成された懸濁液をホモジナイザーに通してから、二段翼を有する別の10リットルのステンレス製耐圧容器中に移送して、60℃で微細懸濁重合を行い、コア重合体粒子を製造した。重合転化率が95%以上になったのを確認してから、メタクリル酸メチル98%とメタクリル酸2%とから成る単量体混合物60部とt−ドデシルメルカプタン0.2部の混合物を添加して重合を更に3時間継続した後、重合転化率が95%以上になったのを確認してから、反応系を冷却し、得られたラテックスに水酸化カリウムの3%水溶液を添加し、23℃で10分間混合して、ラテックスのpHを7.0とした。得られたラテックスを、150℃の窒素ガス気流中で噴霧乾燥処理し、プラスチゾル用のコア/シェル構造のアクリル重合体粒子を得た。得られた重合体粒子の一次平均粒子径は2.1μmであった。この重合体粒子をpH7.0の水中に30%濃度で再分散したときのpHは、7.0であった。
得られたコア/シェル構造のアクリル重合体粒子100部とフタル酸ジイソノニル100部とを、真空脱泡式プラネタリーミキサーに一括投入し、10分間混合し、同時に脱泡してプラスチゾルを調製した。このとき、混合初期のゾル化は30秒で完了した。このプラスチゾルの粘度は3.2Pa・sであった。ゾル粘度の貯蔵安定性は、1.1であった。プラスチゾルから作成したフィルムの抗張力は4.6MPa、破断時伸張率は280%であった。また、フタル酸ジイソノニルのブリードは全く観察されなかった。
【0035】
実施例2〜3
単量体組成を表に示すように変えたほかは、実施例1と同様にしてコア/シェル構造のアクリル重合体粒子及びプラスチゾルを調製し、各種評価を行った。結果を表1に示す。なお、EGDMAは、エチレングリコールジメタクリレートである。
【0036】
実施例4
二段翼を有する10リットルのステンレス製耐圧容器中に、重炭酸アンモニウム0.1部と過硫酸カリウム0.2部とを溶解した蒸留水30部を投入した。これを80℃に昇温した後、メタクリル酸n−ブチル97.5%とメタクリル酸2.5%とから成る単量体混合物40部、重炭酸アンモニウム0.1部、ラウリル硫酸ナトリウム0.3部及び蒸留水20部から調製したモノマーエマルジョンを120分かけて連続添加した。モノマーエマルジョン添加終了後も更に30分間、80℃に維持してコア重合体粒子を得た。重合転化率が95%以上になったのを確認した後、蒸留水100部を一括添加した。次いで、温度を80℃に保ちながら、メタクリル酸メチル98%とメタクリル酸2%とから成る単量体混合物60部とt−ドデシルメルカプタン0.2部との混合物を60分かけて連続添加し、更に80℃で30分間維持した後、過硫酸カリウム1.0部を蒸留水30部に溶解した溶液を一括添加して、その後、60分以上加熱を継続し、重合転化率が95%以上になったのを確認してから重合を終了させた。得られたラテックスに3%水酸化カリウム水溶液を添加し、23℃で10分間混合して、ラテックスのpHを7.0とした。得られたラテックスを、150℃の窒素ガス気流中で噴霧乾燥処理し、コア/シェル構造のアクリル重合体粒子を得た。得られた重合体粒子の一次平均粒子径は1.3μmであった。得られたアクリル重合体粒子を用いて、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0037】
実施例5
二段翼を有する10リットルのステンレス製耐圧容器中に、炭酸水素ナトリウム0.3部と過硫酸カリウム1.0部とを溶解した蒸留水80部を投入した。これを80℃に昇温した後、メタクリル酸メチル24%、メタクリル酸n−ブチル75%及びメタクリル酸1%からなる単量体混合物40部を120分かけて連続添加した。混合物添加終了後も更に90分間、80℃に維持してコア重合体粒子を得た。重合転化率が95%以上になったのを確認した後、メタクリル酸メチル82%、メタクリル酸n−ブチル16%及びメタクリル酸2%からなる単量体混合物60部及びt−ドデシルメルカプタン0.2部の混合物を120分かけて連続添加し、更に80℃に維持し、重合転化率が95%以上の時点で重合を終了させた。得られたラテックスに3%水酸化カリウム水溶液を添加し、23℃で10分間混合して、ラテックスのpHを7.0とした。得られたラテックスを、150℃の窒素ガス気流中で噴霧乾燥処理し、コア/シェル構造のアクリル重合体粒子を得た。得られた重合体粒子の一次平均粒子径は0.9μmであった。得られたアクリル重合体粒子を用いて、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0038】
比較例1〜3
シェル重合体の重合時に連鎖移動剤を存在させない(比較例1)、重合終了後に得られたラテックスの中和を行わない(比較例2)又はシェル重合体の合成にメタクリル酸を使用せず、且つ、重合終了後に得られたラテックスの中和を行わない(比較例3)こと以外は、それぞれ、実施例1と同様にしてコア/シェル構造のアクリル重合体粒子及びプラスチゾルを調製し、各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0039】
表1の結果から、以下のことが分る。シェル重合体調製時に連鎖移動剤を使用しなかった場合(比較例1)は、得られるプラスチゾル皮膜の抗張力が低く、伸張率も低い。また、重合後にラテックスの中和を行わなかった場合は、ゾル分散性が悪く、ゾル粘度が高く、ゾル粘度の貯蔵安定性も悪い(比較例2)。更に、シェル重合体の調製にメタクリル酸を使用しなかった場合は、ゾル分散性、ゾル粘度及びゾル粘度の貯蔵安定性のいずれも、比較例2の場合よりも悪い(比較例3)。
これに対して、本発明のコア/シェル構造のアクリル重合体を用いたプラスチゾルは、ゾル分散性、ゾル粘度、ゾル粘度の貯蔵安定性のいずれもが良好であり、これを用いて、高い抗張力及び伸張率を有するプラスチゾル成形体を得ることができる。
【0040】
【表1】
【0041】
【発明の効果】
本発明のコア/シェル構造のアクリル重合体粒子は、ゾル分散性に優れ、これを用いたプラスチゾルは、ゾル粘度の貯蔵安定性に優れており、このプラスチゾルは、可塑剤のブリードがなく機械的特性に優れた成形体を与える。
従って、本発明のプラスチゾルは、例えば壁装材、床材、ビニル手袋、人形、玩具、自動車アンダーコーティング、塩ビ塗装鋼板等の分野で有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、アクリル重合体粒子、その製造方法及びこのアクリル重合体粒子を含有してなるプラスチゾルに関する。さらに詳しくは、ゾル粘度の貯蔵安定性に優れ、可塑剤のブリードがなく機械的特性に優れた成形体を与えるプラスチゾル並びにこれを得るために適した、可塑剤への分散性に優れたアクリル重合体粒子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチゾルは、熱可塑性樹脂の微粉末を可塑剤中に分散させて得られる、流動性のペースト状ゾルであり、加熱により樹脂粉末が膨潤・融合して均質な合成樹脂となるため、壁装材、床材、ビニル手袋、人形、玩具、自動車アンダーコーティング、塩ビ塗装鋼板等の分野で広く使用されている。
熱可塑性樹脂としては、これまで、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂等の塩化ビニル系樹脂が広く用いられてきた。
しかし、近年、環境問題から塩化ビニルを主体とする塩化ビニル系樹脂を他の樹脂へ転換することが求められ、熱可塑性樹脂としてアクリル重合体を使用するアクリルゾルが検討されている。例えば、特許文献1〜3では、コア/シェル構造のアクリル重合体が検討されている。また、特許文献4〜5では、アクリル重合体粒子におけるモノマーの構成比率を粒子中心部から最外部に向けて変化させていく「グラジエント」構造が検討されている。
しかしながら、これらの努力にも拘らず、これまでのところ、種々のゾル物性、例えばアクリル重合体粒子の分散性が良好でゾル粘度の貯蔵安定性に優れ、かつ可塑剤のブリードがなく機械的特性の優れた成形体を与えるようなプラスチゾルは得られていない。
また、本出願人は、外殻層が不飽和カルボン酸単量体単位を有する共重合体で構成されている重合体微粒子の該カルボン酸基を1価又は2価のカチオンによりイオン架橋することによって、この重合体微粒子を用いたプラスチゾルの貯蔵安定性を向上させ得ることを見出した(特許文献6)。しかしながら、このプラスチゾルから得られる成形物の機械的特性は、必ずしも十分なものではなかった。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−226596
【特許文献2】
WO00/01748
【特許文献3】
特開2000−273262
【特許文献4】
特開平09−77950
【特許文献5】
特開平08−295850
【特許文献6】
特開平05−271333
【0004】
【本発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、ゾル粘度の貯蔵安定性に優れ、可塑剤のブリードがなく機械的特性に優れた成形体を与えるプラスチゾル並びにこれを得るのに適した、可塑剤への分散性に優れたアクリル重合体粒子及びその製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的の達成のために鋭意研究を重ねた結果、コア/シェル構造のアクリル重合体粒子を得るに当たり、特定のモノマーについてそのコア部分及びシェル部分における使用比率を特定すると共に、シェル部分の合成に際して連鎖移動剤の存在下に重合を行うことにより、上記目的を達成できることを見出し、この知見に基づいて本願発明を完成するに至った。
【0006】
かくして、本発明によれば、コア重合体とシェル重合体との重量比率(コア重合体/シェル重合体)が10/90〜90/10の範囲にあるコア/シェル構造のアクリル重合体粒子であって、全アクリル重合体粒子における、メタクリル酸メチル単量体単位の比率が40重量%以上、80重量%以下、有機酸基を有する単量体単位の比率が0.1重量%以上、5重量%以下、且つ、これらの単量体と共重合可能な単量体由来の単量体単位の比率が15重量%以上、59.9重量%以下であり、アクリル重合体粒子をpH7.0の水中に30重量%濃度で再分散させたときのpHが6.0〜7.5の範囲内になるように、上記有機酸基が中和されており、シェル重合体におけるメタクリル酸メチル単量体単位の量が30〜99.5重量%、有機酸基を有する単量体単位の量が0.5〜6重量%、且つ、これらの単量体と共重合可能な単量体由来の単量体単位の量が0重量%以上、69.5重量%以下であり、シェル重合体が、コア重合体及び連鎖移動剤の存在下に、シェル重合体用の単量体を重合して得られるものである、ことを特徴とする、アクリル重合体粒子が提供される。
本発明のアクリル重合体粒子においては、コア重合体が架橋性単量体由来の単量体単位を有するものであることが好ましい。
【0007】
本発明のアクリル重合体粒子は、プラスチゾルに好適に用いることができる。
また、本発明によれば、メタクリル酸メチル単量体単位0〜70重量%、有機酸基を有する単量体単位0〜5重量%及びこれらの単量体と共重合可能な単量体由来の単量体単位25〜100重量%からなるコア重合体10〜90重量部及び連鎖移動剤0.01〜3重量部の存在下に、メタクリル酸メチル単量体30〜99.5重量%、有機酸基を有する単量体0.5〜6重量%及びこれらの単量体と共重合可能な単量体0〜69.5重量%からなるシェル重合体用の単量体90〜10重量部(但し、コア重合体とシェル重合体用の単量体との合計は100重量部である。また、コア重合体におけるメタクリル酸メチル単量体単位の含有率は、シェル重合体用の単量体におけるメタクリル酸メチル単量体の比率より小さい。)を重合させて得られる重合体分散液をpH6.0〜7.5に中和することを特徴とする前記アクリル重合体粒子の製造方法が提供される。
更に、本発明によれば、本発明のプラスチゾル用アクリル重合体粒子及び可塑剤を含有してなるプラスチゾルが提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のコア/シェル構造のアクリル重合体粒子は、互いに単量体組成の異なるコア重合体とシェル重合体とがコア/シェル構造を形成しているアクリル重合体粒子である。即ち、重合体粒子の芯部(コア部)を構成する重合体(コア重合体)を重合体粒子の外殻部(シェル部)を構成する重合体(シェル重合体)が被覆している構造を有する。ここで、被覆とは、コア重合体がシェル重合体によって完全に覆われていることを必要としない。
コア重合体とシェル重合体との比率(コア重合体/シェル重合体粒子)は、重量比で10/90〜90/10の範囲であり、好ましくは30/70〜70/30の範囲である。コア重合体/シェル重合体の比率が10/90より小さいと、このコア/シェル重合体粒子を用いて得られるアクリルゾル成形体の抗張力と伸張率とを同時に満足し得るレベルとすることが難しくなり、逆に90/10より大きいと、ゾル粘度の貯蔵安定性が悪くなる。
コア重合体及びシェル重合体は、いずれも、それ自体が多層構造を有していてもよい。従って、本発明のアクリル重合体粒子は、3層構造以上の多層構造であり得る。例えば、内層/中間層/外層からなる3層構造の重合体粒子の場合、内層がコア重合体であり、他の2層がシェル重合体を形成していると解してもよく、また、内層と中間層とからコア重合体が形成されており、外層がシェル重合体であると解してもよい。
【0009】
本発明のアクリル重合体粒子において、全粒子中のメタクリル酸メチル単量体単位の比率は、40重量%以上、80重量%以下であることが必要である。この比率が40重量%未満では、アクリル重合体粒子を用いて得られるプラスチゾル(以下、「アクリルゾル」ということがある。)から作製した成形物(以下、「アクリルゾル成形体」ということがある。)の抗張力が低下し、80重量%を超えると、成形物の伸張率が低下する。全アクリル重合体粒子中のメタクリル酸メチル単量体単位の比率は、好ましくは45〜75重量%、より好ましくは50〜65重量%である。
【0010】
本発明のアクリル重合体粒子において、全粒子における、有機酸基を有する単量体単位の比率は、0.1重量%以上、5重量%以下であることが必要である。この比率が0.1重量%未満では、ゾル粘度の貯蔵安定性が低下し、5重量%を超えると、アクリルゾル成形体から可塑剤がブリードする。全アクリル重合体粒子における、有機酸基を有する単量体単位の比率の好ましい範囲は、0.5〜3重量%である。
本発明において、重合体粒子への、有機酸基を有する単量体単位の導入は、有機酸基を有する単量体の共重合によってもよく、重合後に、公知の高分子反応等により、有機酸基を有しない単量体単位に有機酸基を導入する方法によってもよい。
【0011】
本発明において使用可能な有機酸基は、特に限定されず、その具体例としては、カルボキシル基、スルホン酸基、スルフェン酸基、スルフィン酸基、燐酸基、亜燐酸基、次亜燐酸基等を挙げることができる。
カルボキシル基を有する単量体の具体例としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のα,β―エチレン性不飽和モノカルボン酸;イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等のα,β―エチレン性不飽和多価カルボン酸;イタコン酸メチル、マレイン酸ブチル、フマル酸プロピル等のα,β―エチレン性不飽和多価カルボン酸部分エステル;等を挙げることができる。また,無水マレイン酸等の、加水分解等によりカルボキシル基に誘導することができる酸無水物基等を有するものも同様に使用することができる。
スルホン酸基を有する単量体の具体例としては、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のα,β−不飽和スルホン酸及びこれらの塩を挙げることができる。
これらの有機酸基を有する単量体のうち、カルボキシル基を有する単量体が好ましく、中でも、アクリル酸及びメタクリル酸が好ましい。これらは、工業的に安価で容易に入手することができ、他の単量体成分との共重合性も良く生産性の点でも好ましい。
【0012】
本発明のコア/シェル構造のアクリル重合体粒子は、重合体中に存在する有機酸基が、アクリル重合体粒子をpH7.0の水中に30重量%濃度で分散したときに、分散液のpHが6.0〜7.5の範囲内になるように中和されていることが必要である。分散液のpHが6.0未満では、アクリルゾルのゾル粘度の貯蔵安定性が低下する。pHが7.5を超えるとゾル分散性が低下する。
【0013】
本発明のアクリル重合体粒子は、メタクリル酸メチル単量体単位及び有機酸基を有する単量体単位の他に、これらの単量体と共重合可能な第三の単量体に由来する単量体単位を有する。
第三の単量体は、メタクリル酸メチル単量体及び有機酸基を有する単量体と共重合可能なものであれば、特に限定されない。第三の単量体は、一種類を単独で使用してもよく、二種類以上を併用してもよい。
本発明の全アクリル重合体粒子における第三の単量体に由来する単量体単位の量は、15重量%以上、59.9重量%以下、好ましくは22重量%以上、54.5重量%以下、より好ましくは、32重量%以上、49.5重量%以下である。
【0014】
第三の単量体の具体例としては、メタクリル酸メチル以外の(メタ)アクリル酸エステル及びその誘導体、芳香族ビニル単量体、エチレン性不飽和ニトリル単量体、カルボン酸ビニル単量体、ビニルエーテル単量体、ビニルケトン単量体、α−オレフィン単量体,ジエン単量体等を挙げることができる。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味する。
(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等の(メタ)アクリル酸脂肪族アルコールエステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸芳香族アルコールエステル;等を挙げることができる。
これらのうち、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜15のアルカノール及び炭素数3〜15のシクロアルカノールから誘導される構造のものが好ましい。より好ましくは、炭素数1〜8のアルカノールから誘導される構造のものである。
【0015】
(メタ)アクリル酸エステルの誘導体としては、上記(メタ)アクリル酸エステルのエステル部分の水素を水酸基、アミノ基、エポキシ基等で置換した、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル等を挙げることができる。
また、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミドや、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,6−ヘキサンジオール等も、(メタ)アクリル酸エステルの誘導体の例である。
【0016】
芳香族ビニル単量体の具体例としては、スチレン、α−スチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン等を挙げることができる。
エチレン性不飽和ニトリル単量体の具体例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−エチル(メタ)アクリロニトリル等を挙げることができる。
カルボン酸ビニル単量体の具体例としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル等を挙げることができる。
ビニルエーテル単量体の具体例としては、アリルグリシジルエーテル、メチルビニルエーテル等を挙げることができる。
ビニルケトン単量体の具体例としては、メチルビニルケトン等を挙げることができる。
α−オレフィン系単量体の具体例としては、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン等を挙げることができる。
ジエン系単量体の具体例としては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、シクロペンタジエン等の共役ジエン系単量体;1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン等の非共役ジエン系単量体を挙げることができる。
【0017】
本発明のアクリル重合体粒子において、シェル重合体中のメタクリル酸メチル単量体単位の比率は、全アクリル重合体粒子の重量を基準にして、30重量%以上、99.5重量%以下であることが必要である。この比率が30重量%未満では、このアクリル重合体粒子を用いて得られるアクリルゾル成形体の抗張力が十分でなく、99.5重量%を超えると、アクリルゾル成形体の伸張率が十分でない。シェル重合体中のメタクリル酸メチル単量体単位の比率は、好ましくは40重量%以上、99重量%以下、より好ましくは50重量%以上、99重量%以下である。
【0018】
本発明のアクリル重合体粒子において、シェル重合体における、有機酸基を有する単量体単位の比率は、0.5重量%以上、6重量%以下であることが必要である。この比率が0.5重量%未満では、ゾル粘度の貯蔵安定性が低下し、6重量%を超えると、アクリルゾル成形体から可塑剤がブリードする。シェル重合体中における、有機酸基を有する単量体単位の比率の好ましい範囲は、1〜3重量%である。
【0019】
本発明のアクリル重合体粒子において、シェル重合体における、メタクリル酸メチル及び有機酸基を有する単量体と共重合可能な単量体単位の比率は、69.5重量%以下であることが必要である。この比率が69.5重量%を超えると、このアクリルゾル成形体の抗張力が十分でなくなる。上記比率の好ましい範囲は、59重量%以下、より好ましくは49重量%以下である。
【0020】
本発明のアクリル重合体粒子において、コア重合体粒子の組成は、アクリル重合体粒子全体における単量体単位組成とシェル重合体における単量体単位組成が、それぞれ、上述の範囲にある限り、特に限定されないが、以下の範囲にあることが好ましい。即ち、コア重合体粒子におけるメタクリル酸メチル単量体単位の量が、70重量%以下、より好ましくは65重量%以下であると、アクリルゾル成形体の伸張率が向上し、アクリルゾル成形体からの可塑剤のブリードが抑制されるので好ましい。コア重合体粒子中に、有機酸基を有する単量体単位があることは必須ではないが、これが存在すると、アクリルゾル成形体の抗張力が向上するという利点がある。
更に、コア重合体粒子中に架橋性単量体(架橋性基を有する単量体)由来の単量体単位が存在すると、アクリルゾル成形体の強度が向上する。このような架橋性単量体としては、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジビニルベンゼン等を挙げることができる。
【0021】
本発明のコア/シェル構造のアクリル重合体粒子を得るに当たっては、コア重合体粒子の存在下に、シェル重合体を構成する単量体をグラフト重合する。
典型的には、コア重合体粒子を構成する単量体の重合を行い、それに引き続いて、シェル重合体を構成する単量体の重合を行う。この場合に、コア重合体粒子を構成する単量体の重合転化率が90重量%以上になった時点でシェル重合体用の単量体の重合を開始するのが好ましく、上記重合転化率は95重量%以上であるのがより好ましい。
また、コア重合体粒子として、別途合成したものを使用してもよい。
なお、コア重合体粒子の重合に当たって、シード粒子を用いてもよい。
更に、シェル重合体用単量体の重合転化率は、90重量%以上とするのが好ましく、更に好ましくは95重量%以上である。
【0022】
本発明のコア/シェル構造のアクリル重合体粒子の製造に当たって、重合法に特に制限はなく、乳化重合法、懸濁重合法、微細懸濁重合法等、任意の方法を採用することができる。
また、重合に使用する重合開始剤、乳化剤、分散剤、架橋剤、キレート剤等の種類や量にも、制限はない。勿論、乳化剤を用いずにいわゆるソープフリー重合で合成することもできる。
更に、単量体濃度、重合温度、重合時の圧力・雰囲気、撹拌方法等にも、格別の制限はない。
【0023】
本発明においては、シェル重合体の形成に当たり、連鎖移動剤を存在させることが必須である。連鎖移動剤の不存在下でシェル重合体を形成すると、得られるアクリルゾル成形体の強度が低下する。
連鎖移動剤の種類には、特に限定はなく、その具体例としては、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ステアリルメルカプタン等のアルキルメルカプタン;チオグリコール酸、チオリンゴ酸、2−エチルヘキシルチオグリコレート等のアルキルメルカプタン以外のチオール化合物;2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、2,4−ジフェニル−4−メチル−2−ペンテンおよび1,1,3−トリメチル−3−フェニルインダン等のα−メチルスチレンダイマー;ジメチルキサントゲンジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルファイド等のキサントゲン化合物;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のチウラム系化合物;2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール等のフェノール系化合物;アリルアルコール等のアリル化合物;α−ベンジルオキシスチレン、α−ベンジルオキシアクリロニトリル、α−ベンジルオキシアクリルアミド等のビニルエーテル;アクロレイン、メタアクロレイン;ターピノーレン、トリフェニルエタン、ペンタフェニルエタン等が挙げられる。
【0024】
これらの連鎖移動剤は、一種類を単独で使用してもよく、二種類以上を併用してもよい。
連鎖移動剤は、コア重合体とシェル重合体を構成する単量体との合計100重量部に対して0.01〜3.0重量部、好ましくは0.03〜1.0重量部の範囲で使用される。
【0025】
本発明のコア/シェル構造のアクリル重合体粒子を得るに当たっては、コア重合体粒子及びシェル重合体をそれぞれ構成する単量体の組成を適宜設定すればよいが、好適には、メタクリル酸メチル単量体単位0〜70重量%、有機酸基を有する単量体単位0〜5重量%及びこれらの単量体と共重合可能な単量体由来の単量体単位25〜100重量%からなるコア重合体10〜90重量部及び連鎖移動剤0.01〜3重量部の存在下に、メタクリル酸メチル単量体30〜99.5重量%、有機酸基を有する単量体0.5〜6重量%及びこれらの単量体と共重合可能な単量体0〜69.5重量%からなるシェル重合体用の単量体90〜10重量部(但し、コア重合体とシェル重合体用の単量体との合計は100重量部である。また、コア重合体におけるメタクリル酸メチル単量体単位の含有率は、シェル重合体用の単量体におけるメタクリル酸メチル単量体の比率より小さい。)を重合させる。
【0026】
本発明のコア/シェル構造のアクリル重合体粒子は、コア重合体粒子及び連鎖移動剤の存在下に、シェル重合体を形成する単量体の重合を行った後、得られる重合体粒子分散液をpHが6.0〜7.5の範囲になるように中和することによって得られる。
中和に用いる塩基には、特に制限はなく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ;アンモニア;メチルアミン、エチルアミン、トリエチルアミン等のアミン;炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸塩;重炭酸アンモニウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム等の重炭酸塩;を例示することができる。
【0027】
このようにして得られるコア/シェル構造のアクリル重合体粒子は、重合体粒子分散液として使用することもできるし、スプレー乾燥等の任意の方法で分散媒を除去して、重合体粒子として取り出して使用することもできる。本発明のコア/シェル構造のアクリル重合体粒子は、通常、0.3〜5μmの単一平均粒子径を有している。
【0028】
本発明のコア/シェル構造のアクリル重合体粒子は、プラスチゾルに好適に用いられる。
本発明のプラスチゾルは、本発明のコア/シェル構造のアクリル重合体粒子及び可塑剤を含有してなる。
可塑剤の種類は、特に限定されないが、フタル酸エステル系可塑剤;アルキルフェノール硫酸エステル系可塑剤;燐酸エステル系可塑剤;アジピン酸エステル可塑剤;セバシン酸エステル系可塑剤;ジ安息香酸ジエチレングリコール、ジ安息香酸ジプロピレングリコール等のグリコール誘導体系可塑剤;グリセロールトリアセテート、グリセロールトリブチレート等のグリセリン誘導体系可塑剤;エポキシ化大豆油等のエポキシ誘導体系可塑剤;等を例示することができる。
【0029】
フタル酸エステル系可塑剤の具体例としては、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジ2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル等のフタル酸ジアルキル可塑剤;フタル酸オクチルベンジル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ミリスチルベンジル等のフタル酸アルキルベンジル可塑剤;フタル酸アルキルアリール可塑剤;フタル酸ジベンジル可塑剤;フタル酸ジアリール可塑剤を挙げることができる。
燐酸エステル系可塑剤の具体例としては、燐酸トリクレジル等のリン酸トリアリール可塑剤;燐酸トリオクチル等の燐酸トリアルキル可塑剤;燐酸アルキルアリール可塑剤を挙げることができる。
これらは、目的とするプラスチゾルの要求特性に合わせて選定すればよい。
これらの可塑剤うち、工業的に安価で入手しやすいこと、また作業性、低毒性等の点から、フタル酸エステル系可塑剤が好ましい。環境に対する影響の観点からは、中でも、フタル酸ジイソノニルが好ましい。
これらの可塑剤は、一種類を単独で用いても、二種類以上を併用してもよい。
可塑剤の含有量は、コア/シェル構造のアクリル重合体粒子100重量部に対し、50〜180重量部の範囲で選ばれる。この量が180重量部を超えると、成形体からブリードしやすくなる。プラスチゾルの成膜性、成形体の強度や柔軟性等の面から、この可塑剤の好ましい含有量は、コア/シェル構造のアクリル重合体粒子100重量部に対し、70〜150重量部の範囲である。
【0030】
本発明のプラスチゾルは、本発明のコア/シェル構造のアクリル重合体粒子と可塑剤とを混合することにより得ることができる。
混合の方法は、特に限定されず、混合機としては、真空脱泡式プラネタリーミキサー、ディスパー等を用いることができる。
本発明のプラスチゾルには、用途に応じて各種の添加剤を配合することができる。これらの添加剤の具体例としては、例えば炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、バライタ、クレー、コロイダルシリカ、マイカ粉、珪砂、珪藻土、カオリン、タルク、ベントナイト、ガラス粉末、酸化アルミニウム等の充填材;酸化チタン、カーボンブラック等の顔料;ミネラルターペン、ミネラルスピリット等の希釈剤;消泡剤;防黴剤;防臭剤;抗菌剤;界面活性剤;滑剤;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤あるいはサリチル酸エステル系紫外線吸収剤等の紫外線吸収剤;香料;発泡剤;レベリング剤;接着剤;等を示すことができる。
【0031】
本発明のプラスチゾルは、浸漬、噴射、刷毛塗り又はドクター塗り等の公知の方法で、樹脂フィルムや金属等の基材上に5μm〜5mm厚で塗布し、120℃〜200℃でゲル化して成形体を得ることができる。また、適当な型中でゲル化することによって、種々の構造の成形体を得ることもできる。
【0032】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。実施例における部及び%は、特に言及がない限り、重量基準である。
なお、コア/シェル重合体粒子、アクリルゾル及びアクリルゾル成形体の各特性の評価法は、下記のとおりである。
(1) 一次粒子平均粒子径
レーザー回折散乱法粒度分布測定装置LS−230(ベックマンコールター社製)を用いて測定する。
(2) プラスチゾルの粘度及びゾル粘度の貯蔵安定性
ブルックフィールド(BM)型回転粘度計[東京計器(株)製]を用いて25℃、相対湿度60%の条件でローターNO.4を用いて60rpmで測定する。
ゾル粘度の貯蔵安定性は、以下のようにして評価する。即ち、プラスチゾル調製後、上記条件で粘度を測定する。その後、直ちに、プラスチゾルを40℃の恒温槽に入れ、7日後に取り出して、25℃、湿度60%の雰囲気下に1時間放置後粘度を測定し、この粘度をプラスチゾル調製直後の粘度で除した指数で示す。この値が小さい方がゾル粘度の貯蔵安定性に優れている。
【0033】
(3) プラスチゾルの機械的特性
ガラス板上に、等量のアクリル重合体粒子と可塑剤とを混合して得た固形分濃度50%のプラスチゾルを0.3mm厚に塗布したのち、熱風循環炉内で140℃に20分間加熱して、物性測定用シートを作成し、これからJIS ダンベル3号でサンプルを作成し、テンシロン引張試験機(オリエンテック社製、TYPE RTC−1325A)を用いて、300mm/分の引張速度で引張試験を6回行って、抗張力及び破断時伸張率を測定する。
(4) 可塑剤の耐ブリード性
機械的特性測定用と同様にして作成したシートを温度25℃、湿度60%の雰囲気下に30日間放置したのち、目視観察し、次の判定基準に従って評価する。
○:全くブリードが見られない。
△:ごく僅かにブリードが見られる。
×:ブリードが見られる。
(5) ゾル分散性
石川式擂潰機18号にアクリル重合体粒子200gとフタル酸ジイソノニル200gを一括投入し、ゾル化を行い、ゾル化に要する時間を測定して、下記の基準で判定する。
○:60秒以内にゾル化する。
△:120秒未満でゾル化する。
×:ゾル化に120秒以上を要するか、又はゾル化しない。
【0034】
実施例1
二段翼を有する10リットルのステンレス製予備混合容器に、蒸留水200部とメタクリル酸n−ブチル40部、炭素数18の直鎖高級アルコール1.0部、ラウリル硫酸ナトリウム0.5部及び過酸化ベンゾイル0.3部を仕込み、30℃で1時間混合を行った後、撹拌によって形成された懸濁液をホモジナイザーに通してから、二段翼を有する別の10リットルのステンレス製耐圧容器中に移送して、60℃で微細懸濁重合を行い、コア重合体粒子を製造した。重合転化率が95%以上になったのを確認してから、メタクリル酸メチル98%とメタクリル酸2%とから成る単量体混合物60部とt−ドデシルメルカプタン0.2部の混合物を添加して重合を更に3時間継続した後、重合転化率が95%以上になったのを確認してから、反応系を冷却し、得られたラテックスに水酸化カリウムの3%水溶液を添加し、23℃で10分間混合して、ラテックスのpHを7.0とした。得られたラテックスを、150℃の窒素ガス気流中で噴霧乾燥処理し、プラスチゾル用のコア/シェル構造のアクリル重合体粒子を得た。得られた重合体粒子の一次平均粒子径は2.1μmであった。この重合体粒子をpH7.0の水中に30%濃度で再分散したときのpHは、7.0であった。
得られたコア/シェル構造のアクリル重合体粒子100部とフタル酸ジイソノニル100部とを、真空脱泡式プラネタリーミキサーに一括投入し、10分間混合し、同時に脱泡してプラスチゾルを調製した。このとき、混合初期のゾル化は30秒で完了した。このプラスチゾルの粘度は3.2Pa・sであった。ゾル粘度の貯蔵安定性は、1.1であった。プラスチゾルから作成したフィルムの抗張力は4.6MPa、破断時伸張率は280%であった。また、フタル酸ジイソノニルのブリードは全く観察されなかった。
【0035】
実施例2〜3
単量体組成を表に示すように変えたほかは、実施例1と同様にしてコア/シェル構造のアクリル重合体粒子及びプラスチゾルを調製し、各種評価を行った。結果を表1に示す。なお、EGDMAは、エチレングリコールジメタクリレートである。
【0036】
実施例4
二段翼を有する10リットルのステンレス製耐圧容器中に、重炭酸アンモニウム0.1部と過硫酸カリウム0.2部とを溶解した蒸留水30部を投入した。これを80℃に昇温した後、メタクリル酸n−ブチル97.5%とメタクリル酸2.5%とから成る単量体混合物40部、重炭酸アンモニウム0.1部、ラウリル硫酸ナトリウム0.3部及び蒸留水20部から調製したモノマーエマルジョンを120分かけて連続添加した。モノマーエマルジョン添加終了後も更に30分間、80℃に維持してコア重合体粒子を得た。重合転化率が95%以上になったのを確認した後、蒸留水100部を一括添加した。次いで、温度を80℃に保ちながら、メタクリル酸メチル98%とメタクリル酸2%とから成る単量体混合物60部とt−ドデシルメルカプタン0.2部との混合物を60分かけて連続添加し、更に80℃で30分間維持した後、過硫酸カリウム1.0部を蒸留水30部に溶解した溶液を一括添加して、その後、60分以上加熱を継続し、重合転化率が95%以上になったのを確認してから重合を終了させた。得られたラテックスに3%水酸化カリウム水溶液を添加し、23℃で10分間混合して、ラテックスのpHを7.0とした。得られたラテックスを、150℃の窒素ガス気流中で噴霧乾燥処理し、コア/シェル構造のアクリル重合体粒子を得た。得られた重合体粒子の一次平均粒子径は1.3μmであった。得られたアクリル重合体粒子を用いて、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0037】
実施例5
二段翼を有する10リットルのステンレス製耐圧容器中に、炭酸水素ナトリウム0.3部と過硫酸カリウム1.0部とを溶解した蒸留水80部を投入した。これを80℃に昇温した後、メタクリル酸メチル24%、メタクリル酸n−ブチル75%及びメタクリル酸1%からなる単量体混合物40部を120分かけて連続添加した。混合物添加終了後も更に90分間、80℃に維持してコア重合体粒子を得た。重合転化率が95%以上になったのを確認した後、メタクリル酸メチル82%、メタクリル酸n−ブチル16%及びメタクリル酸2%からなる単量体混合物60部及びt−ドデシルメルカプタン0.2部の混合物を120分かけて連続添加し、更に80℃に維持し、重合転化率が95%以上の時点で重合を終了させた。得られたラテックスに3%水酸化カリウム水溶液を添加し、23℃で10分間混合して、ラテックスのpHを7.0とした。得られたラテックスを、150℃の窒素ガス気流中で噴霧乾燥処理し、コア/シェル構造のアクリル重合体粒子を得た。得られた重合体粒子の一次平均粒子径は0.9μmであった。得られたアクリル重合体粒子を用いて、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0038】
比較例1〜3
シェル重合体の重合時に連鎖移動剤を存在させない(比較例1)、重合終了後に得られたラテックスの中和を行わない(比較例2)又はシェル重合体の合成にメタクリル酸を使用せず、且つ、重合終了後に得られたラテックスの中和を行わない(比較例3)こと以外は、それぞれ、実施例1と同様にしてコア/シェル構造のアクリル重合体粒子及びプラスチゾルを調製し、各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0039】
表1の結果から、以下のことが分る。シェル重合体調製時に連鎖移動剤を使用しなかった場合(比較例1)は、得られるプラスチゾル皮膜の抗張力が低く、伸張率も低い。また、重合後にラテックスの中和を行わなかった場合は、ゾル分散性が悪く、ゾル粘度が高く、ゾル粘度の貯蔵安定性も悪い(比較例2)。更に、シェル重合体の調製にメタクリル酸を使用しなかった場合は、ゾル分散性、ゾル粘度及びゾル粘度の貯蔵安定性のいずれも、比較例2の場合よりも悪い(比較例3)。
これに対して、本発明のコア/シェル構造のアクリル重合体を用いたプラスチゾルは、ゾル分散性、ゾル粘度、ゾル粘度の貯蔵安定性のいずれもが良好であり、これを用いて、高い抗張力及び伸張率を有するプラスチゾル成形体を得ることができる。
【0040】
【表1】
【0041】
【発明の効果】
本発明のコア/シェル構造のアクリル重合体粒子は、ゾル分散性に優れ、これを用いたプラスチゾルは、ゾル粘度の貯蔵安定性に優れており、このプラスチゾルは、可塑剤のブリードがなく機械的特性に優れた成形体を与える。
従って、本発明のプラスチゾルは、例えば壁装材、床材、ビニル手袋、人形、玩具、自動車アンダーコーティング、塩ビ塗装鋼板等の分野で有用である。
Claims (5)
- コア重合体とシェル重合体との重量比率(コア重合体/シェル重合体)が10/90〜90/10の範囲にあるコア/シェル構造のアクリル重合体粒子であって、
全アクリル重合体粒子における、メタクリル酸メチル単量体単位の比率が40重量%以上、80重量%以下、有機酸基を有する単量体単位の比率が0.1重量%以上、5重量%以下、且つ、これらの単量体と共重合可能な単量体由来の単量体単位の比率が15重量%以上、59.9重量%以下であり、
上記有機酸基が、アクリル重合体粒子をpH7.0の水中に30重量%濃度で再分散させたときのpHが6.0〜7.5の範囲内になるように、中和されており、
シェル重合体におけるメタクリル酸メチル単量体単位の量が30〜99.5重量%、有機酸基を有する単量体単位の量が0.5〜6重量%、且つ、これらの単量体と共重合可能な単量体由来の単量体単位の量が0重量%以上、69.5重量%以下であり、
シェル重合体が、コア重合体及び連鎖移動剤の存在下に、シェル重合体用の単量体を重合して得られるものである、
ことを特徴とする、アクリル重合体粒子。 - コア重合体が架橋性単量体由来の単量体単位を有するものである請求項1のアクリル重合体粒子。
- プラスチゾル用である請求項1〜2のいずれかに記載のアクリル重合体粒子。
- メタクリル酸メチル単量体単位0〜70重量%、有機酸基を有する単量体単位0〜5重量%及びこれらの単量体と共重合可能な単量体由来の単量体単位25〜100重量%からなるコア重合体10〜90重量部及び連鎖移動剤0.01〜3重量部の存在下に、メタクリル酸メチル単量体30〜99.5重量%、有機酸基を有する単量体0.5〜6重量%及びこれらの単量体と共重合可能な単量体0〜69.5重量%からなるシェル重合体用の単量体90〜10重量部(但し、コア重合体とシェル重合体用の単量体との合計は100重量部である。また、コア重合体におけるメタクリル酸メチル単量体単位の含有率は、シェル重合体用の単量体におけるメタクリル酸メチル単量体の比率より小さい。)を重合させて得られる重合体分散液をpH6.0〜7.5に中和することを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のアクリル重合体粒子の製造方法。
- 請求項3に記載のプラスチゾル用アクリル重合体粒子及び可塑剤を含有してなるプラスチゾル。
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JP2003113622A JP2004315708A (ja) | 2003-04-18 | 2003-04-18 | プラスチゾル用アクリル重合体粒子、その製造方法及びプラスチゾル |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007119651A (ja) * | 2005-10-31 | 2007-05-17 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | 重合体微粒子及びその製造方法並びに重合体粒子を用いたプラスチゾル |
CN110325598A (zh) * | 2017-03-03 | 2019-10-11 | 赢创罗姆有限公司 | 具有改进的机械性能的可固化热固性树脂组合物 |
CN111032699A (zh) * | 2017-07-21 | 2020-04-17 | 罗门哈斯公司 | 聚(甲基丙烯酸甲酯)树脂组合物 |
-
2003
- 2003-04-18 JP JP2003113622A patent/JP2004315708A/ja active Pending
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