JP2004285156A - 透明物品用組成物、物品、及び積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】塩化ビニルの代替材料として有用な、透明性、取り扱い性及び加工性に優れる物品やその物品を有する積層体を得ることができる組成物を提供する。また、塩化ビニル系プラスチゾルを用いて得られる物品やそれを有する積層体を塩化ビニルの代替材料で提供する。
【解決手段】アクリル系重合体(A)と、脂環式エステル系可塑剤(b1)、ポリエステル系可塑剤(b2)、ポリエーテルエステル系可塑剤(b3)、及び安息香酸エステル系可塑剤(b4)から選ばれる少なくとも1種の可塑剤(B)とを含む透明物品用組成物、それを加熱して得られる物品、及びその物品を有する積層体。
【選択図】 なし
【解決手段】アクリル系重合体(A)と、脂環式エステル系可塑剤(b1)、ポリエステル系可塑剤(b2)、ポリエーテルエステル系可塑剤(b3)、及び安息香酸エステル系可塑剤(b4)から選ばれる少なくとも1種の可塑剤(B)とを含む透明物品用組成物、それを加熱して得られる物品、及びその物品を有する積層体。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非塩化ビニル系の透明物品用組成物、それを加熱して得られる物品、及びその物品を有する積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
塩化ビニル(以下、塩ビと略記)、特に軟質塩ビは、透明性や取り扱い性等各種物性が良好であること、安価であること等の理由から、農業用、建材用、文具・雑貨用、包装用等の材料として広範な分野で利用されている。その製造方法は多種あるが、その中でも、塩化ビニル系重合体を可塑剤に分散させてなる塩化ビニル系プラスチゾル(以下塩ビゾルと略記)は、低粘度で加工しやすく、かつ加熱により強靭なゲル化膜が得られることから、広く用いられている。
しかしながら、近年は、塩ビを焼却する際に発生する塩化水素ガスが、焼却炉を著しく損傷させたり、酸性雨やダイオキシンの発生原因となることが指摘されるようになり、塩ビの代替材料が所望されている。
【0003】
その代替材料としては、例えば軟質塩ビの代替材料としてオレフィン系樹脂が挙げられるが、カレンダー加工等の成形・加工法に適用するには、設備を改良又は新規に導入しなければならないといった課題がある。
また、ポリブチレンテルフタレート等の軟質ポリエステル樹脂も挙げられる。しかしながら、この樹脂はハードセグメントとして結晶相を用い、ソフトセグメントとしてポリエーテルを用いるため、得られる物品は不透明であるといった課題がある。
一方で、従来から塩ビゾルの代替材料として、粉末状のアクリル系樹脂と可塑剤からなるアクリル系プラスチゾルも検討されている(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)。
しかしながら、これらもまた、透明な物品を得ることができないのが現状である。
【0004】
【特許文献1】
特公昭55−16177号公報
【特許文献2】
特開2000−281857号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、取り扱い性や加工性に優れる塩ビの代替材料を目的とするものであり、より詳細には透明性に優れる物品が得られる非塩ビ系の透明物品用組成物、それを加熱して得られる物品、及びその物品を有する積層体を得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、アクリル系重合体(A)と、脂環式エステル系可塑剤(b1)、ポリエステル系可塑剤(b2)、ポリエーテルエステル系可塑剤(b3)、及び安息香酸エステル系可塑剤(b4)から選ばれる少なくとも1種の可塑剤(B)とを含む透明物品用組成物、それを加熱して得られる物品、及びその物品を有する積層体にある。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の透明物品用組成物は、アクリル系重合体(A)(以下、重合体(A)と略記)と、脂環式エステル系可塑剤(b1)、ポリエステル系可塑剤(b2)、ポリエーテルエステル系可塑剤(b3)、及び安息香酸エステル系可塑剤(b4)から選ばれる少なくとも1種の可塑剤(B)とを含むものであり、加熱することによりゲル化して透明な物品が得られるものである。
【0008】
本発明に用いる重合体(A)は、加熱時にゲル化して得られる物品を形成する成分である。
ここでいうゲル化とは、透明物品用組成物を加熱したときに可塑剤(B)が重合体(A)に吸収されて流動性の無いゲル状態の物質となり、さらに重合体(A)の溶融が進み、重合体(A)の界面が消失してゲル化膜となるまでの全ての状態を指すものである。
また、本発明でいう透明物品とは、透明な前記ゲル化膜のことを意味する。
本発明に用いる重合体(A)は、アクリル系各種モノマーの単独重合体及び/又は共重合体から構成されるものであり、特に限定されない。
【0009】
その中でも、非加熱時における透明物品用組成物の貯蔵安定性が向上する傾向にあることから、用いる可塑剤と非相溶性である重合体又は共重合体であることが好ましい。
また、得られる物品の透明性が向上する傾向にあることから、加熱時には可塑剤と相溶性である重合体又は共重合体であることが好ましい。
【0010】
重合体(A)の具体例としては、例えば、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、及びi−ブチルメタクリレートから選ばれるモノマーの単独重合体;メチルメタクリレートと、n−ブチルメタクリレート及び/又はi−ブチルメタクリレートとを含むモノマー混合物(以下、「モノマー混合物(a1)」と略記)を重合して得られるアクリル系共重合体;メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート及び/又はi−ブチルメタクリレート、及びそれ以外の共重合可能なその他のモノマー(以下、他のモノマー類(a2)と略記)との混合物を重合して得られる共重合体であってもよい。
【0011】
本発明の組成物に各種諸物性を付与する場合には、他のモノマー類(a2)を含むモノマー混合物を共重合して得られる重合体を用いればよい。
【0012】
他のモノマー類(a2)の具体例としては、例えば、直鎖アルキルアルコールの(メタ)アクリレート類;シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の環式アルキルアルコールの(メタ)アクリレート類;カルボキシル基含有モノマー類、ヒドロキシル基含有モノマー類、カルボニル基含有モノマー類、アミノ基含有モノマー類、アリルスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー類、2−(メタ)アクリロイキシエチルアシッドフォスフェート等のリン酸基含有(メタ)アクリレート類等の官能基を有するモノマー類;官能基を2個以上有する多官能モノマー類;アクリルアミド及びその誘導体;スチレン及びその誘導体、酢酸ビニル、ウレタン変性アクリレート類、エポキシ変性アクリレート類、シリコーン変性アクリレート類等の特殊なモノマー類等が挙げられる。
【0013】
具体的には、直鎖アルキルアルコールの(メタ)アクリレート類としては、例えばメチルアクリレート、エチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0014】
カルボキシル基含有モノマーとしては、例えばメタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、メタクリル酸2−サクシノロイルオキシエチル−2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、メタクリル酸2−マレイノロイルオキシエチル−2−メタクリロイルオキシエチルマレイン酸、メタクリル酸2−フタロイルオキシエチル−2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸、メタクリル酸2−ヘキサヒドロフタロイルオキシエチル−2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸等が挙げられる。
【0015】
ヒドロキシル基を有するモノマー類の具体例としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
カルボニル基を有するモノマー類の具体例としては、アセトアセトキエチル(メタ)アクリレート等のカルボニル基含有(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
アミノ基を有するモノマー類の具体例としては、N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
【0016】
多官能モノマー類の具体例としては、例えば(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類、等が挙げられる。
【0017】
アクリルアミド及びその誘導体の具体例としては、例えばジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド等が挙げられる。
これらは、一種又は二種以上を併用して用いることができる。
【0018】
これらのモノマーは用途により要求される密着性、光沢、表面硬度、耐水性、耐久性等を満足する目的で添加すればよく、他のモノマーとの共重合性が良好であれば特に制限されるものではない。
【0019】
また必要に応じて重合体(A)を架橋させる場合には、前記モノマーのうち多官能モノマー類を用いればよい。但し、その場合の架橋度は、組成物の加熱時に重合体(A)が可塑剤によって十分に溶融されてゲル化膜を形成できる範囲で適宜選択すればよい。
【0020】
本発明において、モノマー混合物(a1)中のモノマー混合比は特に限定されない。その中でも、モノマー混合物(a1)100質量%中に、メチルメタクリレートと、n−ブチルメタクリレート及び/又はi−ブチルメタクリレートとが、50〜90/10〜50(質量%)の混合比で含まれることが好ましい。
メチルメタクリレートが50質量%より少ない、あるいはn−ブチルメタクリレート及び/又はi−ブチルメタクリレートが10質量%より少ないモノマー混合物を共重合してなる重合体は、可塑剤との相溶性が低下する傾向にあるため、ゲル化膜の膜形成性が不良となる傾向にある。
【0021】
また、モノマー混合物(a1)と他のモノマー類(a2)との配合比率は特に限定されないが、それらの合計量中に他のモノマー類(a2)が0.001〜40質量%の範囲であることが好ましい。
他のモノマー類(a2)の配合量が前記範囲内であれば、得られるゲル化膜に密着性、光沢、表面硬度、耐水性、耐久性等を付与することができる。
より好ましくは、0.1〜10質量%の範囲であり、特に好ましくは、1〜5質量%の範囲である。
【0022】
重合体(A)の溶解度パラメータ(以下、SP値と略記)は、8.3〜8.8(cal/cm3)1 / 2であることが好ましい。
そのSP値が8.3より低い場合には組成物の貯蔵安定性が低下する傾向にあり、またSP値が8.8を超える場合には得られるゲル化膜の膜形成性が低下する傾向にある。
【0023】
なお、本発明に用いる重合体(A)のSP値は、下記式(I)で求められる単量体のSP値δ(20℃)を用いて、組成比(重量分率)から公知の算出方法にて求めることができる。
【0024】
【数1】
【0025】
但し、式中の記号は、下記の通りである。
δ=単量体のSP値(cal/cm3)1/2
ΔHv=温度T(K)における発熱潜熱(cal)
d=密度(g/cm3)
M=分子量(g/mol)
T=絶対温度(K)
R=分子気体定数(1.986cal/mol/k)
【0026】
そこで、例えば、モノマー単独のSP値をもとに、前記一般式(I)を用いて予めSP値(計算値)を求めることにより、重合体(A)のSP値を調整することができる。
ここで、モノマー混合物(a1)に含まれるモノマーや前記他のモノマー(a2)に示すモノマーのうち、一例として以下具体的にSP値を示す。なお、下記括弧内の値が、括弧の前に記載するモノマーのSP値を意味する。
【0027】
メチルメタクリレート(8.67)、エチルエタクリレート(8.40)、n−ブチルメタクリレート(8.19)、i−ブチルメタクリレート(8.00)、t−ブチルメタクリレート(7.89)、2−エチルヘキシルメタクリレート(7.74)、ラウリルメタクリレート(7.56)、メチルアクリレート(9.02)、エチルアクリレート(8.62)、n−ブチルアクリレート(8.35)、i−ブチルアクリレート(8.17)、2−エチルヘキシルアクリレート(7.81)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(11.10)、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(10.34)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(11.30)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート(11.00)、メタクリル酸(11.14)、アクリル酸(11.90)、スチレン(9.29)、等。
【0028】
重合体(A)の可塑剤との相溶性や、組成物の貯蔵安定性、加熱時の成形性及びゲル化膜の膜形成性を兼ね備えた透明物品用材料を得るには、重合体(A)として、メチルメタクリレートを50質量%以上と、n−ブチルメタクリレート及び/又はi−ブチルメタクリレートを10質量%以上とを含むモノマー混合物を重合させて得られる重合体を用いることが好ましい。さらにその中でも、得られる重合体の溶解度パラメータが8.3〜8.8(cal/cm3)1 / 2の範囲であることが特に好ましい。
【0029】
また、重合体(A)の製造方法としては、例えば乳化重合法、ソープフリー重合法、縣濁重合法、微細縣濁重合法、分散重合法等が挙げられる。
その中でも、乳化重合法あるいはソープフリー重合法は、コア・シェル構造等、粒子の構造を制御することが容易であることから好ましい。
【0030】
本発明に用いる重合体(A)は、室温下で乾燥粉体であればよく、その性状や構造は特に限定されない。
【0031】
重合体(A)の構造は可塑剤に対する分散安定性や得られるゲル化膜の膜形成性に応じて適宜選択すればよい。その中でも、重合体(A)の構造は、一次粒子単独であってもよいし、その一次粒子が多数凝集してなる二次粒子や、それ以上に凝集してなる高次構造の粒子であってもよい。
【0032】
但し重合体(A)が凝集構造の粒子である場合には、可塑剤中において一次粒子が微細で均一に分散するように、一次粒子同士の結合が緩く、可塑剤中での解砕性に優れる凝集構造の粒子であることが好ましい。
【0033】
本発明に用いる重合体(A)が粒子構造である場合、その構造は、粒子全体が均一の重合体からなる単層構造、異なる複数の重合体層を有するコア・シェル構造又は多段構造、あるいは重合体を構成する成分が連続的に変化するグラディエント型構造でもよい。
【0034】
その中でも、透明物品用組成物の貯蔵安定性や得られる物品の可塑剤の非ブリードアウト性を向上させるという観点から、異なる複数の重合体層を有するコア・シェル構造又は多段構造、あるいは重合体を構成する成分が連続的に変化するグラディエント型構造が好ましい。
例えば、コア・シェル構造の重合体とする場合には、コア部とシェル部の重合体比率が、コア/シェル=25/75〜70/30(質量%)であることがより好ましい。
【0035】
その場合、重合体(A)のコア部を構成する重合体としては、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートから選ばれる、少なくとも1種のメタクリレートを50質量%以上含有するモノマー混合物の共重合体であることが好ましい。
【0036】
重合体(A)のシェル部を構成する重合体としては、メチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、及びスチレンから選ばれる少なくとも1種のモノマーを50質量%以上含有するモノマー混合物を重合して得られる共重合体であることが好ましい。
【0037】
本発明では、脂環式エステル系可塑剤(b1)、ポリエステル系可塑剤(b2)、ポリエーテルエステル系可塑剤(b3)、及び安息香酸エステル系可塑剤(b4)から選ばれる少なくとも1種の可塑剤(B)を用いる。
【0038】
脂環式エステル系可塑剤(b1)としては、例えばシクロヘキサンジカルボン酸エステル類、エポキシ基を有するシクロヘキサンジカルボン酸エステル類等や、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物等のシクロヘキサンカルボン酸無水物類等が挙げられる。
【0039】
シクロヘキサンジカルボン酸エステル類の具体例としては、例えば1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジエチル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジブチル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(2−エチルヘキシル)、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジオクチル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソデシル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸エチル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ブチル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(2−エチルヘキシル)、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジオクチル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソデシル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸エチル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ブチル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(2−エチルヘキシル)、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジオクチル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソデシル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニル等が挙げられる。
【0040】
エポキシ基を有するシクロヘキサンジカルボン酸エステル類の具体例としては、例えば3,4−エポキシ−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル、3,4−エポキシ−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジエチル、3,4−エポキシ−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジブチル、3,4−エポキシ−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(2−エチルヘキシル)、4,5−エポキシ−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル、4,5−エポキシ−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジエチル、4,5−エポキシ−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジブチル、4,5−エポキシ−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(2−エチルヘキシル)等が挙げられる。
【0041】
ポリエステル系可塑剤(b2)とは、多塩基酸と多価アルコールの縮合体を基本構造とし、その両末端を一価アルコール成分及び/又は一塩基酸で停止したものを意味する。
【0042】
前記多塩基酸の具体例としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、フマール酸、グルタール酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸又はテレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;及びそれらの無水物等が挙げられる。
これらは、一種単独で、又は二種以上を併用して用いることができる。
【0043】
前記多価アルコ−ルとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロ−ルペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール、(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル− 1,5−ペンタンジオール1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオール、2−エチル1,3−ヘキサンジオール、2−メチル1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール等の炭素数2〜18の脂肪族グリコール及びジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のポリアルレングリコールが挙げられる。
これらは、一種単独で、又は二種以上を併用して用いることができる。
【0044】
それらの中でも、透明性が良好となる傾向にあることから、エチレングリコール、及び/又は2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)等を用いることが好ましい。
【0045】
前記一価アルコールの具体例としては、例えば、オクタノール、イソオクタノール、2−エチルヘキサノール、ノナノール、イソノナノール、2−メチルオクタノール、デカノール、イソデカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール等の炭素数8〜18脂肪族アルコールや、シクロヘキサノール等の脂環式アルコール、ベンジルアルコール、2−フェニルエタノール、1−フェニルエタノール、2−フェノキシエタノール、3−フェニル−1−プロパノール、2−ヒドロキシエチルベンジルエーテル等の芳香族アルコール等が挙げられる。
これらは、一種単独で、又は二種以上を併用して用いることができる。
【0046】
それらの中でも透明性が良好となる傾向にあることから、一価アルコールとしては、炭素数8〜18脂肪族アルコールが好ましく、2−エチルヘキサノールがより好ましい。
【0047】
前記一塩基酸の具体例としては、例えばカプリル酸、ノナン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリル酸、等のモノカルボン酸類、ジカルボン酸のモノエステル類、トリカルボン酸のジエステル類等が挙げられ、それらは一種単独で、又は二種以上を併用して用いることができる。
それらの中でも、透明性が良好となる傾向にあることから、ジカルボン酸のモノエステル類が好ましく、アジピン酸及び/又はフタル酸のモノエステル類がより好ましい。
【0048】
なお、ポリエステル系可塑剤(b2)は、成型加工性が良好となる傾向にあることから、重量平均分子量が500〜10000であることが好ましい。
【0049】
ポリエーテルエステル系可塑剤(b3)の具体例としては、例えばポリエチレングリコールブタン酸エステル、ポリエチレングリコールイソブタン酸エステル、ポリエチレングリコールジ(2−エチルブチル酸)エステル、ポリエチレングリコール(2−エチルヘキシル酸)エステル、ポリエチレングリコールデカン酸エステル、アジピン酸ジブトキシエタノール、アジピン酸ジ(ブチルジグリコール)、アジピン酸ジ(ブチルポリグリコール)、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシロキシエタノール)、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシルジグリコール)、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシルポリグリコール)、アジピン酸ジオクトキシエタノール、アジピン酸ジ(オクチルジグリコール)、アジピン酸ジ(オクチルポリグリコール)等が挙げられる。
【0050】
安息香酸エステル系可塑剤(b4)の具体例としては、例えばエチレングリコール安息香酸エステル、ジエチレングリコールジ安息香酸エステル、トリエチレングリコールジ安息香酸エステル、ポリエチレングリコールジ安息香酸エステル、プロピレングリコールジ安息香酸エステル、ジプロピレングリコールジ安息香酸エステル、トリプロピレングリコールジ安息香酸エステル、1,3−ブタンジオールジ安息香酸エステル、1,4−ブタンジオールジ安息香酸エステル、1,6−ヘキサンジオールジ安息香酸エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ安息香酸エステル、1,8−オクタンジオールジ安息香酸エステル等が挙げられる。
それらは、一種単独で、又は二種以上を併用して用いることができる。
【0051】
可塑剤(B)を一種単独で用いる場合には、ポリエステル系可塑剤(b1)又は安息香酸エステル系可塑剤(b4)が好ましい。
【0052】
可塑剤(B)を二種以上併用する場合においては、所望する特性が損なわれない範囲で適宜選択すればよい。その中でも、以下に示す可塑剤の組み合わせ及びその混合比の場合には、透明性に優れる傾向があることから好ましい。
【0053】
具体的には、例えば脂環式エステル系可塑剤(b1)とポリエステル系可塑剤(b2)とを併用する場合には、ポリエステル系可塑剤(b1)の含有量の上限値は、可塑剤(B)全量中90質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であることがより好ましい。また、その下限値は、可塑剤(B)全量中5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。
【0054】
脂環式エステル系可塑剤(b1)とポリエーテルエステル系可塑剤(b3)とを併用する場合には、ポリエーテルエステル系可塑剤(b3)の下限値は5質量%以上であることが好ましく、その上限値は90質量%以下であることが好ましい。
またその下限値は可塑剤(B)全量中10質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましい。
【0055】
本発明において、可塑剤(B)の含有量は、重合体(A)100質量部に対して、20〜200質量部、好ましくは30〜180質量部、より好ましくは50〜160質量部である。
【0056】
本発明の組成物は、重合体(A)と可塑剤(B)の含有比率を調整することにより、得られる物品の硬度を適宜変更することができるという、非常に取り扱い性に優れるものである。そのため、本発明の組成物を用いれば、塩ビの代替材料として多種・多様の特性を有する物品を得ることができる。
具体的には、例えば軟質塩ビの代替材料を得るには、重合体(A)100質量部に対して可塑剤(B)を60〜200質量部の範囲で含有する透明物品用組成物とすればよい。
また、硬質塩ビの代替材料を得るには、重合体(A)100質量部に対して可塑剤(B)を20〜40質量部の範囲で含有する透明物品用材料とすればよい。
【0057】
以上が本発明の組成物の構成成分であるが、本発明の特性を損なわない範囲であれば、各種添加剤を適宜添加してもよい。
【0058】
例えば、可塑剤(B)以外の可塑剤も、本発明の特性を損なわない範囲であれば配合してもよい。
【0059】
可塑剤(B)以外の可塑剤の具体例としては、例えば、エチルベンジルフタレート、ブチルベンジルフタレート、イソブチルベンジルフタレート、ヘプチルベンジルフタレート、(2−エチルヘキシル)ベンジルフタレート、n−オクチルベンジルフタレート、ノニルベンジルフタレート、イソノニルベンジルフタレート、イソデシルベンジルフタレート、ウンデシルベンジルフタレート、トリデシルベンジルフタレート、シクロヘキシルベンジルフタレート、ベンジル−3−(イソブチリルオキシ)−1−イソプロピル−2,2−ジメチルプロピルフタレート、ミリスチルベンジルフタレート、ジブチルフタレート、イソブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジノニルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジフェニルフタレート等のフタル酸エステル系可塑剤;ジ−(2−エチルヘキシル)イソフタレート、ジイソオクチルイソフタレート等のイソフタル酸エステル類;ジ−2−エチルヘキシルテトラヒドロフタレート等のテトラヒドロフタル酸エステル類;ジ−(2−エチルヘキシル)アジペート、ジブトキシエチルアジペート、ジイソノニルアジペート等のアジピン酸エステル類;ジ−n−ヘキシルアゼレート、ジ−(2−エチルヘキシル)アゼレート等のアゼライン酸エステル類;ジ−n−ブチルセバケート等のセバシン酸エステル類;ジ−n−ブチルマレエート、ジ−(2−エチルヘキシル)マレエート等のマレイン酸エステル類;ジ−n−ブチルフマレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フマレート等のフマル酸エステル類;トリー(2−エチルヘキシル)トリメリテート、トリ−n−オクチルトリメリテート、トリイソオクチルトリメリテート等のトリメリット酸エステル類;テトラ−(2−エチルヘキシル)ピロメリテート、テトラ−n−オクチルピロメリテート等のピロメリット酸エステル類;トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート等のクエン酸エステル類;ジメチルイタコネート、ジエチルイタコネート、ジブチルイタコネート、ジ−(2−エチルヘキシル)イタコネート等のイタコン酸エステル類;グリセリルモノオレート、ジエチレングリコールモノオレート等のオレイン酸エステル類;グリセリルモノリシノレート、ジエチレングリコールモノリシノレート等のリシノール酸誘導体;グリセリンモノステアレート、ジエチレングリコールジステアレート等のステアリン酸エステル類、ジエチレングリコールジペラルゴネート、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル等その他の脂肪酸エステル類;トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ジフェニルデシルホスフェート、ジフェニルオクチルホスフェート等のリン酸エステル類等が挙げられる。
それらは、一種単独で、又は二種以上を併用して用いることができる。
【0060】
また、本発明の組成物にミネラルターペン、ミネラルスピリット等、本発明に用いる重合体(A)が溶解しない有機溶剤を配合して、オルガノゾルとしてもよい。
【0061】
更に、消泡剤、防黴剤、防臭剤、抗菌剤、界面活性剤、滑剤、紫外線吸収剤、香料、発泡剤、レベリング剤、接着剤、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、パーライト、クレー、コロイダルシリカ、マイカ粉、珪砂、珪藻土、カオリン、タルク、ベントナイト、ガラス粉末、酸化アルミニウム、フライアッシュ、シラスバルーン等の充填材;酸化チタン、カーボンブラック等の顔料等を配合してもよい。
発泡剤を添加する場合、発泡剤の熱分解温度を下げる作用のある物質(以下、キッカーと略記)を配合しても良い。キッカーとしては特に限定されるものではなく、具体例として、例えば二塩基性硫酸鉛、ステアリン酸鉛、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、クロムイエロー等が挙げられる。
【0062】
このような本発明の組成物は、各成分の含有比率を適宜選択することにより、塩ビゾルの代替材料として多種多様の用途に好適に用いることができる。その好適な具体例としては、例えば、インキ;鋼板用、スクリーン印刷用等の塗料;一般用、建材用等の接着剤;粘着剤;自動車アンダーコート材;自動車ボディーシーラー用、自動車マスチックシーラー用等のシーリング材;タイルカーペット等のバッキング材;等の各種コーティング材料等が挙げられる。
【0063】
次に本発明の物品及び積層体について説明する。
本発明の物品は、前記透明物品用材料を加熱して得られるゲル化膜全般をいう。
その具体例としては、例えば雑貨、玩具、工業部品、電気部品等が挙げられる。より具体的には、例えば食品サンプル、靴、ガスケット、防水シート、自動車内層表皮材、帆布、テーブルクロス、合成皮革、消しゴム、床材等の成形品が挙げられる。
【0064】
また、本発明の積層体とは、基材上に本発明の物品を有する物品をいう。
その具体例としては、例えば紙や布等の基材上に本発明の物品が積層してなる人造皮革、敷物、壁紙、衣料、防水シート等;木材、プラスチック、金属等の基材上に積層してなる床材、防蝕材等が挙げられる。
【0065】
本発明の物品は、ディップコーティング法、スプレーコーティング法、ナイフコーティング法、ロールコーティング法、カーテンフローコーティング法、刷毛塗り法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法等のコーティング法;圧縮成形法、トランスファ成形法、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、熱成形法、積層成形法、スラッシュ成形法、回転成形法、注型法、ディップ成形法等の成形法の他、静電塗装法等の各種の適用方法を用いて得ることができる。
【0066】
【実施例】
以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれにより制限を受けるものではない。また実施例中の部は質量部を意味する。
なお、本実施例における評価は、下記評価方法及び評価基準に基づき行う。
【0067】
〔評価方法〕
(全光線透過率)
得られたゲル化膜について、カラス板から剥離して、JIS K 7105記載の「プラスチックの光学的特性試験方法」に従って全光線透過率Tt(%)を測定する。
◎:90%以上のもの
○:80%以上で90%未満のもの
×:80%未満のもの
【0068】
(透明性)
得られたゲル化膜について、JIS K 7105(「プラスチックの光学的特性試験方法」)に従ってヘイズ値(ヘイズ値(曇価)=散乱光透過率/全光線透過率)を測定する。このヘイズ値は、値が大きいほど得られたゲル化膜の外観が白く曇化していることを意味することから、その値をもとにゲル化膜の透明性について評価する。
◎:ヘイズ値が10未満
○:ヘイズ値が10以上で40未満
×:ヘイズ値が40以上
【0069】
[合成例1:重合体(A1)の調製]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌棒、滴下漏斗、冷却管を装備した500mlの4つ口フラスコに純水100gを入れ、30分間十分に窒素ガスを通気し、純水中の溶存酸素を置換した。窒素ガス通気を停止した後、メチルメタクリレート2.0g、n−ブチルアクリレート1.0gを入れ、200rpmで攪拌しながら80℃に昇温した。内温が80℃に達した時点で、5.0gの純水に溶解した過硫酸カリウム0.05gを一度に添加し、そのまま80℃にて攪拌下で60分間ソープフリー重合を行った。
次いで、第1滴下としてモノマー(メチルメタクリレート28g、n−ブチルメタクリレート19g)と乳化剤(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムをモノマー100gあたり1.0g)を均一に溶解した混合液を、1時間かけて20g/hrの速度で滴下した。
さらに、第2滴下としてモノマー(メチルメタクリレート40g、n−ブチルメタクレート10g)と乳化剤(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムをモノマー100gあたり1.0g)を均一に溶解した混合液を、1時間かけて20g/hrの速度で滴下して重合体ラテックスを得た。
【0070】
得られた重合体ラテックスを室温まで冷却した後、スプレードライヤー(大河原化工機(株)製、商品名:L8型)を用いて、入口温度170℃、出口温度75℃、アトマイザ回転数25000rpmにて噴霧乾燥し、SP値が8.6(cal/cm3)1 / 2の重合体(A1)を得た。
【0071】
[合成例2:重合体(A2)の調製]
表1に示すモノマー組成に変更する以外は、前記重合体(A1)の調製と同様の方法で、SP値が8.7(cal/cm3)1 / 2の重合体(A2)を調製した。
【0072】
【表1】
【0073】
なお、表中の略号は、下記の通りである。
MMA:メチルメタクリレート
nBMA:n−ブチルメタクリレート
MAA:メタクリル酸
A1:合成例1で得られた重合体
A2:合成例2で得られた重合体
【0074】
<組成物の調製、及び物品の製造>
[実施例1]
重合体100質量部に対して可塑剤130質量部を投入し、真空ミキサー((株)シンキー製、商品名:ARV−200)にて、大気圧下で10秒間脱泡攪拌混合した後、20mmHgの減圧下で50秒間脱泡攪拌混合を行い、重合体が均一に分散した組成物を得た。得られた組成物をガラス板上に2mm厚の塗膜をキャスト法にて形成し、これを130℃のギヤーオーブンで20分間加熱してゲル化膜を得た。
得られたゲル化膜について、前記評価方法にて評価を行い、表2にその評価結果を示す。
【0075】
[実施例2〜12、比較例1〜5]
表1に示す組成及び組成比とする以外は、実施例1と同様にしてゲル化膜を得た。
得られたゲル化膜については、実施例1と同様に評価を行い、表2にその評価結果を示す。
【0076】
[比較例の考察]
<比較例1>
比較例1は、可塑剤としてセバシン酸ジ−2−エチルヘキシルを用いた例である。そのため、得られた物品は、全光線透過率が低くヘイズが高いために不透明なものであった。
<比較例2>
比較例2は可塑剤としてアジピン酸ジ−2−エチルヘキシルを用いた例である。そのため、得られた物品は、全光線透過率が低くヘイズが高いために不透明なものであった。
<比較例3>
比較例3は可塑剤としてグリセリン脂肪族エステル系可塑剤を用いた例である。この場合には、得られた物品は、全光線透過率が低くヘイズが高いために不透明なものであった。
【0077】
【表2】
【0078】
なお、表中の略号は、下記の通りである。
CE:脂環式エステル系可塑剤(大日本インキ化学工業(株)製:商品名「E−145」)
PE:ポリエステル系可塑剤(大日本インキ化学工業(株)製:商品名「W−22S」)
PEE1:ポリエーテルエステル系可塑剤(大日本インキ化学工業(株)製:商品名「W−262」)
PEE2:ポリエーテルエステル系可塑剤(大日本インキ化学工業(株)製:商品名「W−260」)
BAE1:安息香酸系エステル系可塑剤(大日本インキ化学工業(株)製、商品名「PB−2」)
BAE2:安息香酸系エステル系可塑剤(大日本インキ化学工業(株)製:商品名「PB−3A」)
DOS:セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル
DOA:アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル
G−038:グリセリン脂肪族エステル系可塑剤(理研ビタミン(株)製、商品名:「ポエムG−038」)
【0079】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の組成物は、透明性、取り扱い性及び加工性に優れるゲル化膜を形成することが可能であることから、塩ビの代替材料として非常に有用なものである。
また本発明の物品や積層体は、非塩ビ系の組成物を用いて得られるものであることから、塩ビ系の物品や積層体と比べると、環境に優しい材料である。
そこで、本発明の組成物、物品、及び積層体は、産業上の利用度が大である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、非塩化ビニル系の透明物品用組成物、それを加熱して得られる物品、及びその物品を有する積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
塩化ビニル(以下、塩ビと略記)、特に軟質塩ビは、透明性や取り扱い性等各種物性が良好であること、安価であること等の理由から、農業用、建材用、文具・雑貨用、包装用等の材料として広範な分野で利用されている。その製造方法は多種あるが、その中でも、塩化ビニル系重合体を可塑剤に分散させてなる塩化ビニル系プラスチゾル(以下塩ビゾルと略記)は、低粘度で加工しやすく、かつ加熱により強靭なゲル化膜が得られることから、広く用いられている。
しかしながら、近年は、塩ビを焼却する際に発生する塩化水素ガスが、焼却炉を著しく損傷させたり、酸性雨やダイオキシンの発生原因となることが指摘されるようになり、塩ビの代替材料が所望されている。
【0003】
その代替材料としては、例えば軟質塩ビの代替材料としてオレフィン系樹脂が挙げられるが、カレンダー加工等の成形・加工法に適用するには、設備を改良又は新規に導入しなければならないといった課題がある。
また、ポリブチレンテルフタレート等の軟質ポリエステル樹脂も挙げられる。しかしながら、この樹脂はハードセグメントとして結晶相を用い、ソフトセグメントとしてポリエーテルを用いるため、得られる物品は不透明であるといった課題がある。
一方で、従来から塩ビゾルの代替材料として、粉末状のアクリル系樹脂と可塑剤からなるアクリル系プラスチゾルも検討されている(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)。
しかしながら、これらもまた、透明な物品を得ることができないのが現状である。
【0004】
【特許文献1】
特公昭55−16177号公報
【特許文献2】
特開2000−281857号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、取り扱い性や加工性に優れる塩ビの代替材料を目的とするものであり、より詳細には透明性に優れる物品が得られる非塩ビ系の透明物品用組成物、それを加熱して得られる物品、及びその物品を有する積層体を得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、アクリル系重合体(A)と、脂環式エステル系可塑剤(b1)、ポリエステル系可塑剤(b2)、ポリエーテルエステル系可塑剤(b3)、及び安息香酸エステル系可塑剤(b4)から選ばれる少なくとも1種の可塑剤(B)とを含む透明物品用組成物、それを加熱して得られる物品、及びその物品を有する積層体にある。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の透明物品用組成物は、アクリル系重合体(A)(以下、重合体(A)と略記)と、脂環式エステル系可塑剤(b1)、ポリエステル系可塑剤(b2)、ポリエーテルエステル系可塑剤(b3)、及び安息香酸エステル系可塑剤(b4)から選ばれる少なくとも1種の可塑剤(B)とを含むものであり、加熱することによりゲル化して透明な物品が得られるものである。
【0008】
本発明に用いる重合体(A)は、加熱時にゲル化して得られる物品を形成する成分である。
ここでいうゲル化とは、透明物品用組成物を加熱したときに可塑剤(B)が重合体(A)に吸収されて流動性の無いゲル状態の物質となり、さらに重合体(A)の溶融が進み、重合体(A)の界面が消失してゲル化膜となるまでの全ての状態を指すものである。
また、本発明でいう透明物品とは、透明な前記ゲル化膜のことを意味する。
本発明に用いる重合体(A)は、アクリル系各種モノマーの単独重合体及び/又は共重合体から構成されるものであり、特に限定されない。
【0009】
その中でも、非加熱時における透明物品用組成物の貯蔵安定性が向上する傾向にあることから、用いる可塑剤と非相溶性である重合体又は共重合体であることが好ましい。
また、得られる物品の透明性が向上する傾向にあることから、加熱時には可塑剤と相溶性である重合体又は共重合体であることが好ましい。
【0010】
重合体(A)の具体例としては、例えば、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、及びi−ブチルメタクリレートから選ばれるモノマーの単独重合体;メチルメタクリレートと、n−ブチルメタクリレート及び/又はi−ブチルメタクリレートとを含むモノマー混合物(以下、「モノマー混合物(a1)」と略記)を重合して得られるアクリル系共重合体;メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート及び/又はi−ブチルメタクリレート、及びそれ以外の共重合可能なその他のモノマー(以下、他のモノマー類(a2)と略記)との混合物を重合して得られる共重合体であってもよい。
【0011】
本発明の組成物に各種諸物性を付与する場合には、他のモノマー類(a2)を含むモノマー混合物を共重合して得られる重合体を用いればよい。
【0012】
他のモノマー類(a2)の具体例としては、例えば、直鎖アルキルアルコールの(メタ)アクリレート類;シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の環式アルキルアルコールの(メタ)アクリレート類;カルボキシル基含有モノマー類、ヒドロキシル基含有モノマー類、カルボニル基含有モノマー類、アミノ基含有モノマー類、アリルスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー類、2−(メタ)アクリロイキシエチルアシッドフォスフェート等のリン酸基含有(メタ)アクリレート類等の官能基を有するモノマー類;官能基を2個以上有する多官能モノマー類;アクリルアミド及びその誘導体;スチレン及びその誘導体、酢酸ビニル、ウレタン変性アクリレート類、エポキシ変性アクリレート類、シリコーン変性アクリレート類等の特殊なモノマー類等が挙げられる。
【0013】
具体的には、直鎖アルキルアルコールの(メタ)アクリレート類としては、例えばメチルアクリレート、エチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0014】
カルボキシル基含有モノマーとしては、例えばメタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、メタクリル酸2−サクシノロイルオキシエチル−2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、メタクリル酸2−マレイノロイルオキシエチル−2−メタクリロイルオキシエチルマレイン酸、メタクリル酸2−フタロイルオキシエチル−2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸、メタクリル酸2−ヘキサヒドロフタロイルオキシエチル−2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸等が挙げられる。
【0015】
ヒドロキシル基を有するモノマー類の具体例としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
カルボニル基を有するモノマー類の具体例としては、アセトアセトキエチル(メタ)アクリレート等のカルボニル基含有(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
アミノ基を有するモノマー類の具体例としては、N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
【0016】
多官能モノマー類の具体例としては、例えば(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類、等が挙げられる。
【0017】
アクリルアミド及びその誘導体の具体例としては、例えばジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド等が挙げられる。
これらは、一種又は二種以上を併用して用いることができる。
【0018】
これらのモノマーは用途により要求される密着性、光沢、表面硬度、耐水性、耐久性等を満足する目的で添加すればよく、他のモノマーとの共重合性が良好であれば特に制限されるものではない。
【0019】
また必要に応じて重合体(A)を架橋させる場合には、前記モノマーのうち多官能モノマー類を用いればよい。但し、その場合の架橋度は、組成物の加熱時に重合体(A)が可塑剤によって十分に溶融されてゲル化膜を形成できる範囲で適宜選択すればよい。
【0020】
本発明において、モノマー混合物(a1)中のモノマー混合比は特に限定されない。その中でも、モノマー混合物(a1)100質量%中に、メチルメタクリレートと、n−ブチルメタクリレート及び/又はi−ブチルメタクリレートとが、50〜90/10〜50(質量%)の混合比で含まれることが好ましい。
メチルメタクリレートが50質量%より少ない、あるいはn−ブチルメタクリレート及び/又はi−ブチルメタクリレートが10質量%より少ないモノマー混合物を共重合してなる重合体は、可塑剤との相溶性が低下する傾向にあるため、ゲル化膜の膜形成性が不良となる傾向にある。
【0021】
また、モノマー混合物(a1)と他のモノマー類(a2)との配合比率は特に限定されないが、それらの合計量中に他のモノマー類(a2)が0.001〜40質量%の範囲であることが好ましい。
他のモノマー類(a2)の配合量が前記範囲内であれば、得られるゲル化膜に密着性、光沢、表面硬度、耐水性、耐久性等を付与することができる。
より好ましくは、0.1〜10質量%の範囲であり、特に好ましくは、1〜5質量%の範囲である。
【0022】
重合体(A)の溶解度パラメータ(以下、SP値と略記)は、8.3〜8.8(cal/cm3)1 / 2であることが好ましい。
そのSP値が8.3より低い場合には組成物の貯蔵安定性が低下する傾向にあり、またSP値が8.8を超える場合には得られるゲル化膜の膜形成性が低下する傾向にある。
【0023】
なお、本発明に用いる重合体(A)のSP値は、下記式(I)で求められる単量体のSP値δ(20℃)を用いて、組成比(重量分率)から公知の算出方法にて求めることができる。
【0024】
【数1】
【0025】
但し、式中の記号は、下記の通りである。
δ=単量体のSP値(cal/cm3)1/2
ΔHv=温度T(K)における発熱潜熱(cal)
d=密度(g/cm3)
M=分子量(g/mol)
T=絶対温度(K)
R=分子気体定数(1.986cal/mol/k)
【0026】
そこで、例えば、モノマー単独のSP値をもとに、前記一般式(I)を用いて予めSP値(計算値)を求めることにより、重合体(A)のSP値を調整することができる。
ここで、モノマー混合物(a1)に含まれるモノマーや前記他のモノマー(a2)に示すモノマーのうち、一例として以下具体的にSP値を示す。なお、下記括弧内の値が、括弧の前に記載するモノマーのSP値を意味する。
【0027】
メチルメタクリレート(8.67)、エチルエタクリレート(8.40)、n−ブチルメタクリレート(8.19)、i−ブチルメタクリレート(8.00)、t−ブチルメタクリレート(7.89)、2−エチルヘキシルメタクリレート(7.74)、ラウリルメタクリレート(7.56)、メチルアクリレート(9.02)、エチルアクリレート(8.62)、n−ブチルアクリレート(8.35)、i−ブチルアクリレート(8.17)、2−エチルヘキシルアクリレート(7.81)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(11.10)、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(10.34)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(11.30)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート(11.00)、メタクリル酸(11.14)、アクリル酸(11.90)、スチレン(9.29)、等。
【0028】
重合体(A)の可塑剤との相溶性や、組成物の貯蔵安定性、加熱時の成形性及びゲル化膜の膜形成性を兼ね備えた透明物品用材料を得るには、重合体(A)として、メチルメタクリレートを50質量%以上と、n−ブチルメタクリレート及び/又はi−ブチルメタクリレートを10質量%以上とを含むモノマー混合物を重合させて得られる重合体を用いることが好ましい。さらにその中でも、得られる重合体の溶解度パラメータが8.3〜8.8(cal/cm3)1 / 2の範囲であることが特に好ましい。
【0029】
また、重合体(A)の製造方法としては、例えば乳化重合法、ソープフリー重合法、縣濁重合法、微細縣濁重合法、分散重合法等が挙げられる。
その中でも、乳化重合法あるいはソープフリー重合法は、コア・シェル構造等、粒子の構造を制御することが容易であることから好ましい。
【0030】
本発明に用いる重合体(A)は、室温下で乾燥粉体であればよく、その性状や構造は特に限定されない。
【0031】
重合体(A)の構造は可塑剤に対する分散安定性や得られるゲル化膜の膜形成性に応じて適宜選択すればよい。その中でも、重合体(A)の構造は、一次粒子単独であってもよいし、その一次粒子が多数凝集してなる二次粒子や、それ以上に凝集してなる高次構造の粒子であってもよい。
【0032】
但し重合体(A)が凝集構造の粒子である場合には、可塑剤中において一次粒子が微細で均一に分散するように、一次粒子同士の結合が緩く、可塑剤中での解砕性に優れる凝集構造の粒子であることが好ましい。
【0033】
本発明に用いる重合体(A)が粒子構造である場合、その構造は、粒子全体が均一の重合体からなる単層構造、異なる複数の重合体層を有するコア・シェル構造又は多段構造、あるいは重合体を構成する成分が連続的に変化するグラディエント型構造でもよい。
【0034】
その中でも、透明物品用組成物の貯蔵安定性や得られる物品の可塑剤の非ブリードアウト性を向上させるという観点から、異なる複数の重合体層を有するコア・シェル構造又は多段構造、あるいは重合体を構成する成分が連続的に変化するグラディエント型構造が好ましい。
例えば、コア・シェル構造の重合体とする場合には、コア部とシェル部の重合体比率が、コア/シェル=25/75〜70/30(質量%)であることがより好ましい。
【0035】
その場合、重合体(A)のコア部を構成する重合体としては、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートから選ばれる、少なくとも1種のメタクリレートを50質量%以上含有するモノマー混合物の共重合体であることが好ましい。
【0036】
重合体(A)のシェル部を構成する重合体としては、メチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、及びスチレンから選ばれる少なくとも1種のモノマーを50質量%以上含有するモノマー混合物を重合して得られる共重合体であることが好ましい。
【0037】
本発明では、脂環式エステル系可塑剤(b1)、ポリエステル系可塑剤(b2)、ポリエーテルエステル系可塑剤(b3)、及び安息香酸エステル系可塑剤(b4)から選ばれる少なくとも1種の可塑剤(B)を用いる。
【0038】
脂環式エステル系可塑剤(b1)としては、例えばシクロヘキサンジカルボン酸エステル類、エポキシ基を有するシクロヘキサンジカルボン酸エステル類等や、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物等のシクロヘキサンカルボン酸無水物類等が挙げられる。
【0039】
シクロヘキサンジカルボン酸エステル類の具体例としては、例えば1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジエチル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジブチル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(2−エチルヘキシル)、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジオクチル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソデシル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸エチル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ブチル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(2−エチルヘキシル)、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジオクチル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソデシル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸エチル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ブチル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(2−エチルヘキシル)、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジオクチル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソデシル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニル等が挙げられる。
【0040】
エポキシ基を有するシクロヘキサンジカルボン酸エステル類の具体例としては、例えば3,4−エポキシ−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル、3,4−エポキシ−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジエチル、3,4−エポキシ−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジブチル、3,4−エポキシ−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(2−エチルヘキシル)、4,5−エポキシ−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル、4,5−エポキシ−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジエチル、4,5−エポキシ−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジブチル、4,5−エポキシ−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(2−エチルヘキシル)等が挙げられる。
【0041】
ポリエステル系可塑剤(b2)とは、多塩基酸と多価アルコールの縮合体を基本構造とし、その両末端を一価アルコール成分及び/又は一塩基酸で停止したものを意味する。
【0042】
前記多塩基酸の具体例としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、フマール酸、グルタール酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸又はテレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;及びそれらの無水物等が挙げられる。
これらは、一種単独で、又は二種以上を併用して用いることができる。
【0043】
前記多価アルコ−ルとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロ−ルペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール、(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル− 1,5−ペンタンジオール1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオール、2−エチル1,3−ヘキサンジオール、2−メチル1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール等の炭素数2〜18の脂肪族グリコール及びジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のポリアルレングリコールが挙げられる。
これらは、一種単独で、又は二種以上を併用して用いることができる。
【0044】
それらの中でも、透明性が良好となる傾向にあることから、エチレングリコール、及び/又は2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)等を用いることが好ましい。
【0045】
前記一価アルコールの具体例としては、例えば、オクタノール、イソオクタノール、2−エチルヘキサノール、ノナノール、イソノナノール、2−メチルオクタノール、デカノール、イソデカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール等の炭素数8〜18脂肪族アルコールや、シクロヘキサノール等の脂環式アルコール、ベンジルアルコール、2−フェニルエタノール、1−フェニルエタノール、2−フェノキシエタノール、3−フェニル−1−プロパノール、2−ヒドロキシエチルベンジルエーテル等の芳香族アルコール等が挙げられる。
これらは、一種単独で、又は二種以上を併用して用いることができる。
【0046】
それらの中でも透明性が良好となる傾向にあることから、一価アルコールとしては、炭素数8〜18脂肪族アルコールが好ましく、2−エチルヘキサノールがより好ましい。
【0047】
前記一塩基酸の具体例としては、例えばカプリル酸、ノナン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリル酸、等のモノカルボン酸類、ジカルボン酸のモノエステル類、トリカルボン酸のジエステル類等が挙げられ、それらは一種単独で、又は二種以上を併用して用いることができる。
それらの中でも、透明性が良好となる傾向にあることから、ジカルボン酸のモノエステル類が好ましく、アジピン酸及び/又はフタル酸のモノエステル類がより好ましい。
【0048】
なお、ポリエステル系可塑剤(b2)は、成型加工性が良好となる傾向にあることから、重量平均分子量が500〜10000であることが好ましい。
【0049】
ポリエーテルエステル系可塑剤(b3)の具体例としては、例えばポリエチレングリコールブタン酸エステル、ポリエチレングリコールイソブタン酸エステル、ポリエチレングリコールジ(2−エチルブチル酸)エステル、ポリエチレングリコール(2−エチルヘキシル酸)エステル、ポリエチレングリコールデカン酸エステル、アジピン酸ジブトキシエタノール、アジピン酸ジ(ブチルジグリコール)、アジピン酸ジ(ブチルポリグリコール)、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシロキシエタノール)、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシルジグリコール)、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシルポリグリコール)、アジピン酸ジオクトキシエタノール、アジピン酸ジ(オクチルジグリコール)、アジピン酸ジ(オクチルポリグリコール)等が挙げられる。
【0050】
安息香酸エステル系可塑剤(b4)の具体例としては、例えばエチレングリコール安息香酸エステル、ジエチレングリコールジ安息香酸エステル、トリエチレングリコールジ安息香酸エステル、ポリエチレングリコールジ安息香酸エステル、プロピレングリコールジ安息香酸エステル、ジプロピレングリコールジ安息香酸エステル、トリプロピレングリコールジ安息香酸エステル、1,3−ブタンジオールジ安息香酸エステル、1,4−ブタンジオールジ安息香酸エステル、1,6−ヘキサンジオールジ安息香酸エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ安息香酸エステル、1,8−オクタンジオールジ安息香酸エステル等が挙げられる。
それらは、一種単独で、又は二種以上を併用して用いることができる。
【0051】
可塑剤(B)を一種単独で用いる場合には、ポリエステル系可塑剤(b1)又は安息香酸エステル系可塑剤(b4)が好ましい。
【0052】
可塑剤(B)を二種以上併用する場合においては、所望する特性が損なわれない範囲で適宜選択すればよい。その中でも、以下に示す可塑剤の組み合わせ及びその混合比の場合には、透明性に優れる傾向があることから好ましい。
【0053】
具体的には、例えば脂環式エステル系可塑剤(b1)とポリエステル系可塑剤(b2)とを併用する場合には、ポリエステル系可塑剤(b1)の含有量の上限値は、可塑剤(B)全量中90質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であることがより好ましい。また、その下限値は、可塑剤(B)全量中5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。
【0054】
脂環式エステル系可塑剤(b1)とポリエーテルエステル系可塑剤(b3)とを併用する場合には、ポリエーテルエステル系可塑剤(b3)の下限値は5質量%以上であることが好ましく、その上限値は90質量%以下であることが好ましい。
またその下限値は可塑剤(B)全量中10質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましい。
【0055】
本発明において、可塑剤(B)の含有量は、重合体(A)100質量部に対して、20〜200質量部、好ましくは30〜180質量部、より好ましくは50〜160質量部である。
【0056】
本発明の組成物は、重合体(A)と可塑剤(B)の含有比率を調整することにより、得られる物品の硬度を適宜変更することができるという、非常に取り扱い性に優れるものである。そのため、本発明の組成物を用いれば、塩ビの代替材料として多種・多様の特性を有する物品を得ることができる。
具体的には、例えば軟質塩ビの代替材料を得るには、重合体(A)100質量部に対して可塑剤(B)を60〜200質量部の範囲で含有する透明物品用組成物とすればよい。
また、硬質塩ビの代替材料を得るには、重合体(A)100質量部に対して可塑剤(B)を20〜40質量部の範囲で含有する透明物品用材料とすればよい。
【0057】
以上が本発明の組成物の構成成分であるが、本発明の特性を損なわない範囲であれば、各種添加剤を適宜添加してもよい。
【0058】
例えば、可塑剤(B)以外の可塑剤も、本発明の特性を損なわない範囲であれば配合してもよい。
【0059】
可塑剤(B)以外の可塑剤の具体例としては、例えば、エチルベンジルフタレート、ブチルベンジルフタレート、イソブチルベンジルフタレート、ヘプチルベンジルフタレート、(2−エチルヘキシル)ベンジルフタレート、n−オクチルベンジルフタレート、ノニルベンジルフタレート、イソノニルベンジルフタレート、イソデシルベンジルフタレート、ウンデシルベンジルフタレート、トリデシルベンジルフタレート、シクロヘキシルベンジルフタレート、ベンジル−3−(イソブチリルオキシ)−1−イソプロピル−2,2−ジメチルプロピルフタレート、ミリスチルベンジルフタレート、ジブチルフタレート、イソブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジノニルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジフェニルフタレート等のフタル酸エステル系可塑剤;ジ−(2−エチルヘキシル)イソフタレート、ジイソオクチルイソフタレート等のイソフタル酸エステル類;ジ−2−エチルヘキシルテトラヒドロフタレート等のテトラヒドロフタル酸エステル類;ジ−(2−エチルヘキシル)アジペート、ジブトキシエチルアジペート、ジイソノニルアジペート等のアジピン酸エステル類;ジ−n−ヘキシルアゼレート、ジ−(2−エチルヘキシル)アゼレート等のアゼライン酸エステル類;ジ−n−ブチルセバケート等のセバシン酸エステル類;ジ−n−ブチルマレエート、ジ−(2−エチルヘキシル)マレエート等のマレイン酸エステル類;ジ−n−ブチルフマレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フマレート等のフマル酸エステル類;トリー(2−エチルヘキシル)トリメリテート、トリ−n−オクチルトリメリテート、トリイソオクチルトリメリテート等のトリメリット酸エステル類;テトラ−(2−エチルヘキシル)ピロメリテート、テトラ−n−オクチルピロメリテート等のピロメリット酸エステル類;トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート等のクエン酸エステル類;ジメチルイタコネート、ジエチルイタコネート、ジブチルイタコネート、ジ−(2−エチルヘキシル)イタコネート等のイタコン酸エステル類;グリセリルモノオレート、ジエチレングリコールモノオレート等のオレイン酸エステル類;グリセリルモノリシノレート、ジエチレングリコールモノリシノレート等のリシノール酸誘導体;グリセリンモノステアレート、ジエチレングリコールジステアレート等のステアリン酸エステル類、ジエチレングリコールジペラルゴネート、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル等その他の脂肪酸エステル類;トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ジフェニルデシルホスフェート、ジフェニルオクチルホスフェート等のリン酸エステル類等が挙げられる。
それらは、一種単独で、又は二種以上を併用して用いることができる。
【0060】
また、本発明の組成物にミネラルターペン、ミネラルスピリット等、本発明に用いる重合体(A)が溶解しない有機溶剤を配合して、オルガノゾルとしてもよい。
【0061】
更に、消泡剤、防黴剤、防臭剤、抗菌剤、界面活性剤、滑剤、紫外線吸収剤、香料、発泡剤、レベリング剤、接着剤、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、パーライト、クレー、コロイダルシリカ、マイカ粉、珪砂、珪藻土、カオリン、タルク、ベントナイト、ガラス粉末、酸化アルミニウム、フライアッシュ、シラスバルーン等の充填材;酸化チタン、カーボンブラック等の顔料等を配合してもよい。
発泡剤を添加する場合、発泡剤の熱分解温度を下げる作用のある物質(以下、キッカーと略記)を配合しても良い。キッカーとしては特に限定されるものではなく、具体例として、例えば二塩基性硫酸鉛、ステアリン酸鉛、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、クロムイエロー等が挙げられる。
【0062】
このような本発明の組成物は、各成分の含有比率を適宜選択することにより、塩ビゾルの代替材料として多種多様の用途に好適に用いることができる。その好適な具体例としては、例えば、インキ;鋼板用、スクリーン印刷用等の塗料;一般用、建材用等の接着剤;粘着剤;自動車アンダーコート材;自動車ボディーシーラー用、自動車マスチックシーラー用等のシーリング材;タイルカーペット等のバッキング材;等の各種コーティング材料等が挙げられる。
【0063】
次に本発明の物品及び積層体について説明する。
本発明の物品は、前記透明物品用材料を加熱して得られるゲル化膜全般をいう。
その具体例としては、例えば雑貨、玩具、工業部品、電気部品等が挙げられる。より具体的には、例えば食品サンプル、靴、ガスケット、防水シート、自動車内層表皮材、帆布、テーブルクロス、合成皮革、消しゴム、床材等の成形品が挙げられる。
【0064】
また、本発明の積層体とは、基材上に本発明の物品を有する物品をいう。
その具体例としては、例えば紙や布等の基材上に本発明の物品が積層してなる人造皮革、敷物、壁紙、衣料、防水シート等;木材、プラスチック、金属等の基材上に積層してなる床材、防蝕材等が挙げられる。
【0065】
本発明の物品は、ディップコーティング法、スプレーコーティング法、ナイフコーティング法、ロールコーティング法、カーテンフローコーティング法、刷毛塗り法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法等のコーティング法;圧縮成形法、トランスファ成形法、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、熱成形法、積層成形法、スラッシュ成形法、回転成形法、注型法、ディップ成形法等の成形法の他、静電塗装法等の各種の適用方法を用いて得ることができる。
【0066】
【実施例】
以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれにより制限を受けるものではない。また実施例中の部は質量部を意味する。
なお、本実施例における評価は、下記評価方法及び評価基準に基づき行う。
【0067】
〔評価方法〕
(全光線透過率)
得られたゲル化膜について、カラス板から剥離して、JIS K 7105記載の「プラスチックの光学的特性試験方法」に従って全光線透過率Tt(%)を測定する。
◎:90%以上のもの
○:80%以上で90%未満のもの
×:80%未満のもの
【0068】
(透明性)
得られたゲル化膜について、JIS K 7105(「プラスチックの光学的特性試験方法」)に従ってヘイズ値(ヘイズ値(曇価)=散乱光透過率/全光線透過率)を測定する。このヘイズ値は、値が大きいほど得られたゲル化膜の外観が白く曇化していることを意味することから、その値をもとにゲル化膜の透明性について評価する。
◎:ヘイズ値が10未満
○:ヘイズ値が10以上で40未満
×:ヘイズ値が40以上
【0069】
[合成例1:重合体(A1)の調製]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌棒、滴下漏斗、冷却管を装備した500mlの4つ口フラスコに純水100gを入れ、30分間十分に窒素ガスを通気し、純水中の溶存酸素を置換した。窒素ガス通気を停止した後、メチルメタクリレート2.0g、n−ブチルアクリレート1.0gを入れ、200rpmで攪拌しながら80℃に昇温した。内温が80℃に達した時点で、5.0gの純水に溶解した過硫酸カリウム0.05gを一度に添加し、そのまま80℃にて攪拌下で60分間ソープフリー重合を行った。
次いで、第1滴下としてモノマー(メチルメタクリレート28g、n−ブチルメタクリレート19g)と乳化剤(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムをモノマー100gあたり1.0g)を均一に溶解した混合液を、1時間かけて20g/hrの速度で滴下した。
さらに、第2滴下としてモノマー(メチルメタクリレート40g、n−ブチルメタクレート10g)と乳化剤(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムをモノマー100gあたり1.0g)を均一に溶解した混合液を、1時間かけて20g/hrの速度で滴下して重合体ラテックスを得た。
【0070】
得られた重合体ラテックスを室温まで冷却した後、スプレードライヤー(大河原化工機(株)製、商品名:L8型)を用いて、入口温度170℃、出口温度75℃、アトマイザ回転数25000rpmにて噴霧乾燥し、SP値が8.6(cal/cm3)1 / 2の重合体(A1)を得た。
【0071】
[合成例2:重合体(A2)の調製]
表1に示すモノマー組成に変更する以外は、前記重合体(A1)の調製と同様の方法で、SP値が8.7(cal/cm3)1 / 2の重合体(A2)を調製した。
【0072】
【表1】
【0073】
なお、表中の略号は、下記の通りである。
MMA:メチルメタクリレート
nBMA:n−ブチルメタクリレート
MAA:メタクリル酸
A1:合成例1で得られた重合体
A2:合成例2で得られた重合体
【0074】
<組成物の調製、及び物品の製造>
[実施例1]
重合体100質量部に対して可塑剤130質量部を投入し、真空ミキサー((株)シンキー製、商品名:ARV−200)にて、大気圧下で10秒間脱泡攪拌混合した後、20mmHgの減圧下で50秒間脱泡攪拌混合を行い、重合体が均一に分散した組成物を得た。得られた組成物をガラス板上に2mm厚の塗膜をキャスト法にて形成し、これを130℃のギヤーオーブンで20分間加熱してゲル化膜を得た。
得られたゲル化膜について、前記評価方法にて評価を行い、表2にその評価結果を示す。
【0075】
[実施例2〜12、比較例1〜5]
表1に示す組成及び組成比とする以外は、実施例1と同様にしてゲル化膜を得た。
得られたゲル化膜については、実施例1と同様に評価を行い、表2にその評価結果を示す。
【0076】
[比較例の考察]
<比較例1>
比較例1は、可塑剤としてセバシン酸ジ−2−エチルヘキシルを用いた例である。そのため、得られた物品は、全光線透過率が低くヘイズが高いために不透明なものであった。
<比較例2>
比較例2は可塑剤としてアジピン酸ジ−2−エチルヘキシルを用いた例である。そのため、得られた物品は、全光線透過率が低くヘイズが高いために不透明なものであった。
<比較例3>
比較例3は可塑剤としてグリセリン脂肪族エステル系可塑剤を用いた例である。この場合には、得られた物品は、全光線透過率が低くヘイズが高いために不透明なものであった。
【0077】
【表2】
【0078】
なお、表中の略号は、下記の通りである。
CE:脂環式エステル系可塑剤(大日本インキ化学工業(株)製:商品名「E−145」)
PE:ポリエステル系可塑剤(大日本インキ化学工業(株)製:商品名「W−22S」)
PEE1:ポリエーテルエステル系可塑剤(大日本インキ化学工業(株)製:商品名「W−262」)
PEE2:ポリエーテルエステル系可塑剤(大日本インキ化学工業(株)製:商品名「W−260」)
BAE1:安息香酸系エステル系可塑剤(大日本インキ化学工業(株)製、商品名「PB−2」)
BAE2:安息香酸系エステル系可塑剤(大日本インキ化学工業(株)製:商品名「PB−3A」)
DOS:セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル
DOA:アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル
G−038:グリセリン脂肪族エステル系可塑剤(理研ビタミン(株)製、商品名:「ポエムG−038」)
【0079】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の組成物は、透明性、取り扱い性及び加工性に優れるゲル化膜を形成することが可能であることから、塩ビの代替材料として非常に有用なものである。
また本発明の物品や積層体は、非塩ビ系の組成物を用いて得られるものであることから、塩ビ系の物品や積層体と比べると、環境に優しい材料である。
そこで、本発明の組成物、物品、及び積層体は、産業上の利用度が大である。
Claims (6)
- アクリル系重合体(A)と、脂環式エステル系可塑剤(b1)、ポリエステル系可塑剤(b2)、ポリエーテルエステル系可塑剤(b3)、及び安息香酸エステル系可塑剤(b4)から選ばれる少なくとも1種の可塑剤(B)とを含む透明物品用組成物。
- アクリル系重合体(A)が、メチルメタクリレートと、n−ブチルメタクリレート及び/又はi−ブチルメタクリレートとを含むモノマー混合物を重合して得られる共重合体を含む、請求項1記載の透明物品用組成物。
- メチルメタクリレートと、n−ブチルメタクリレート及び/又はi−ブチルメタクリレートとを、それらの合計量100質量%中に50〜90/10〜50(質量%)の混合比で含むモノマー混合物である、請求項2記載の透明物品用組成物。
- アクリル系重合体(A)の溶解度パラメータが8.3〜8.8(cal/cm3)1 / 2である請求項1〜3のいずれか一項に記載の透明物品用組成物。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の透明物品用組成物を加熱して得られる物品。
- 請求項5記載の物品を有する積層体。
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