JP2004217822A - プラスチゾル、ゲル化物、及び成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】発泡性やケミカルエンボス加工性に優れる、安価な非塩ビ系プラスチゾルを得る。
【解決手段】アクリル系重合体粒子(A)100質量部に対して、ベンジル基を有するフタル酸エステル系可塑剤(b1)及び/又は脂環式エステル系可塑剤(b2)を含む可塑剤(B)10〜160質量部、及びアゾ化合物(c1)、ニトロソ化合物(c2)、及びヒドラジン誘導体(c3)から選ばれる発泡剤(C)0.1〜5質量部を含むプラスチゾル、及びそれを加熱して得られるゲル化物。
【選択図】なし
【解決手段】アクリル系重合体粒子(A)100質量部に対して、ベンジル基を有するフタル酸エステル系可塑剤(b1)及び/又は脂環式エステル系可塑剤(b2)を含む可塑剤(B)10〜160質量部、及びアゾ化合物(c1)、ニトロソ化合物(c2)、及びヒドラジン誘導体(c3)から選ばれる発泡剤(C)0.1〜5質量部を含むプラスチゾル、及びそれを加熱して得られるゲル化物。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発泡性が良好なアクリル系プラスチゾル、それを加熱して得られるゲル化物、及び基材上にゲル化物を有する物品に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、工業的に広く用いられているプラスチゾルとして、塩化ビニル系重合体を可塑剤に分散してなる塩化ビニル系プラスチゾル(以下、「塩ビゾル」と略記)が挙げられる。その塩ビゾルは、低粘度で加工しやすく、かつ加熱により強靭なゲル化物を与えるため、農業用、建材用、文具・雑貨用、包装用などの様々な産業分野において広く利用されている。
特に、プラスチゾルは発泡剤を添加すると、高い発泡倍率で均一に発泡することから、意匠性に優れた壁紙、クッションフロアや人造皮革等、様々な成成形品やゲル化物を有する物品を得ることができる。
【0003】
しかしながら、塩ビゾルは焼却すると塩化水素ガス発生し、それが、焼却炉を著しく損傷させたり、酸性雨をもたらす、毒性の強いダイオキシンの発生原因として懸念される等の環境に負荷を与えてしまう。
近年環境にやさしい材料が注目されており、前記塩ビゾルの代替材料としてアクリル系のプラスチゾルが注目されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
その中でも、意匠性に優れることから、発泡性のアクリル系プラスチゾルの実用化が所望されている。そのようなプラスチゾルとして、例えば、マイクロカプセル型発泡剤を含むアクリル系プラスチゾルが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開昭51−71344号公報
【特許文献2】特開平8−60600号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
マイクロカプセル型発泡剤を含むプラスチゾルを用いれば、発泡したゲル化物を得ることができる。しかしながら、そのようなプラスチゾルでは、得られるゲル化物にケミカルエンボス加工を施すことができないため、意匠性に優れるゲル化物を得ることは困難であった。
ここでいうケミカルエンボス加工とは、発泡前のゲル化物表面に、発泡抑制剤を添加したインクで所望の絵柄を印刷し、その後さらにゲル化物を発泡させることにより、印刷柄と同調した凹凸模様を付与する手法である。
また、そのマイクロカプセル型発泡剤は高価であり、そのようなプラスチゾルは、特に廉価品の工業的生産には不向きであり、実用化できないのが現状である。
そこで、本発明は、優れた発泡性を有し、しかもケミカルエンボス加工が可能で安価な非塩ビゾルを得ることを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、アクリル系重合体粒子(A)100質量部に対して、ベンジル基を有するフタル酸エステル系可塑剤及び/又は脂環式エステル系可塑剤を含む可塑剤(B)10〜160質量部、及びアゾ化合物(c1)、ニトロソ化合物(c2)、及びヒドラジン誘導体(c3)から選ばれる発泡剤(C)0.1〜5質量部を含むプラスチゾル、及びそのプラスチゾルを加熱して得られるゲル化物にある。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に用いるアクリル系重合体粒子(A)は、加熱するとゲル化物を形成する成分であり、アクリル系の重合体粒子であれば特に限定されない。ここでゲル化物とは、プラスチゾルを加熱したときに可塑剤(B)がアクリル系重合体粒子(A)に吸収されてできる流動性の無いゲル状態の物質から、さらに成分(A)の溶融が進み、成分(A)の粒子界面が消失したゲル化物となるまでの全ての状態を指すものである。
【0008】
また本発明のゲル化物の態様は、前記加熱温度によって未発泡の場合と発泡の場合があるため、本明細書においては未発泡のゲル化物を「発泡前のゲル化物」とし、発泡後のゲル化物を「発泡後のゲル化物」として以下略記する。
【0009】
成分(A)は、非加熱時にはプラスチゾルの貯蔵安定性を向上させるため、可塑剤と非相溶性であることが好ましい。また、成分(A)は、加熱時には塗膜の発泡性、及びゲル化物の外観を向上させるため、可塑剤と相溶性であることが好ましい。
【0010】
そのような特性を有する成分(A)の具体例としては、例えば、メチルメタクリレートと、n−ブチルメタクリレート及び/又はi−ブチルメタクリレートとを含むモノマー混合物(以下、「モノマー混合物(a1)」と略記)を共重合してなるアクリル系重合体粒子が挙げられる。
【0011】
本発明に用いる成分(A)は、前記モノマー混合物(a1)を単独で共重合させた重合体粒子であってもよいし、前記モノマー混合物(a1)中に、それ以外の共重合可能なモノマー(以下、「他のモノマー(a2)」と略記)を添加した混合物を共重合させた重合体粒子であってもよい。
【0012】
他のモノマー(a2)の具体例としては、例えばエチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート等の直鎖アルキルアルコールの(メタ)アクリレート類;シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の環式アルキルアルコールの(メタ)アクリレート類等のアルキル(メタ)アクリレート類;
【0013】
2−(メタ)アクリロイキシエチルアシッドフォスフェート等のリン酸基含有(メタ)アクリレート類;メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、メタクリル酸2−サクシノロイルオキシエチル−2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、メタクリル酸2−マレイノロイルオキシエチル−2−メタクリロイルオキシエチルマレイン酸、メタクリル酸2−フタロイルオキシエチル−2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸、メタクリル酸2−ヘキサヒドロフタロイルオキシエチル−2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸等のカルボキシル基含有モノマー;アリルスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート類;アセトアセトキエチル(メタ)アクリレート等のカルボニル基含有(メタ)アクリレート類;N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート類等の官能基を有するモノマー;アクリルアミド及びその誘導体として、例えばジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド等のアクリルアミド、及びそれらの誘導体;スチレン及びその誘導体;酢酸ビニル、ウレタン変性アクリレート類、エポキシ変性アクリレート類、シリコーン変性アクリレート類等の特殊なモノマー等のビニル系モノマー類が挙げられる。
それらは、一種単独で用いてもよいし、二種以上を併用して用いてもよい。
【0014】
これらのモノマーは用途により要求される密着性、光沢、表面硬度、耐水性、耐久性などを満足する目的で添加すればよく、モノマー混合物(a1)との共重合性が良好であれば特に制限されるものではない。
【0015】
また、本発明が目的とする特性を損なわない範囲であれば、多官能モノマーを用いて一部又は全部を架橋させた重合体粒子としてもよい。
【0016】
多官能モノマーの具体例としては、例えば(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
【0017】
多官能モノマーを用いて一部又は全部を架橋させた重合体粒子の架橋度は、加熱時に可塑剤(B)と十分に相溶してゲル化物が得られる範囲であれば特に限定されない。
【0018】
本発明に用いる成分(A)を構成するモノマー比率は特に限定されないが、他のモノマー(a2)は、モノマー混合物(a1)中に0を超えて50質量%以下の範囲で配合してもよい。
【0019】
さらに、本発明に用いる成分(A)は、20℃における溶解度パラメータ(以下、「SP値」と略記)が8.3〜8.8(cal/cm3)1 / 2の範囲であることが好ましい。成分(A)のSP値がそのような範囲である場合には、プラスチゾルの貯蔵安定性及び加熱時のゲル化物の成形性や膜形成性が良好となる傾向にある。
【0020】
なお、本発明でいう成分(A)のSP値とは、下記式(I)で求められる単量体のSP値δ(20℃)を用いて、組成比(重量分率)より公知の手法にて計算で求めることができる。
【0021】
【数1】
【0022】
但し、式中の記号は、下記の通りである。
δ=単量体のSP値(cal/cm3)1/2
ΔHv=温度T(K)における発熱潜熱(cal)
d=密度(g/cm3)
M=分子量(g/mol)
T=絶対温度(K)
R=分子気体定数(1.986cal/mol/k)
【0023】
本発明において、成分(A)のSP値を調整する方法としては、例えば、モノマー単独のSP値をもとに、前記一般式(I)を用いて予めSP値(計算値)を求める方法があるが、これに限定されるものではない。
【0024】
モノマー混合物(a1)に含まれるモノマーと、前記他のモノマー(a2)に示すモノマーのうち、一例として以下具体的にSP値を示す。なお、下記括弧内の値が、括弧の前に記載するモノマーのSP値を意味する。
【0025】
メチルメタクリレート(8.67)、エチルエタクリレート(8.40)、n−ブチルメタクリレート(8.19)、i−ブチルメタクリレート(8.00)、t−ブチルメタクリレート(7.89)、2−エチルヘキシルメタクリレート(7.74)、ラウリルメタクリレート(7.56)、メチルアクリレート(9.02)、エチルアクリレート(8.62)、n−ブチルアクリレート(8.35)、i−ブチルアクリレート(8.17)、2−エチルヘキシルアクリレート(7.81)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(11.10)、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(10.34)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(11.30)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート(11.00)、メタクリル酸(11.14)、アクリル酸(11.90)、スチレン(9.29)等。
【0026】
成分(A)の可塑剤との相溶性、プラスチゾルの貯蔵安定性、加熱時の成形性及び膜形成性を兼ね備えたプラスチゾルを得るには、成分(A)が、メチルメタクリレートを50質量%以上と、n−ブチルメタクリレート及び/又はi−ブチルメタクリレートを10質量%以上とを含むモノマー混合物を重合してなり、溶解度パラメータが8.3〜8.8(cal/cm3)1 / 2の範囲であることが特に好ましい。
【0027】
本発明に用いる成分(A)は、その粒子構造については特に限定されず、組成が均一である単層構造、組成が異なる複数の重合体層からなるコア・シェル構造又は多段構造、あるいは重合体組成が連続的に変化するグラディエント型構造でもよい。
【0028】
その中でも、プラスチゾルの貯蔵安定性やゲル化物からの可塑剤の非ブリードアウト性を向上させるという観点から、組成が異なる複数の重合体層からなるコア・シェル構造又は多段構造、あるいは重合体組成が連続的に変化するグラディエント型構造が好ましく、コア部とシェル部のポリマー比率が、コア/シェル=25/75〜70/30(質量%)であることがより好ましい。
【0029】
成分(A)のコア部は、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートから選ばれる、少なくとも1種のメタクリレートを50質量%以上含有するモノマー混合物の共重合体にて構成されるのが好ましい。
【0030】
成分(A)のシェル部は、メチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、スチレンから選ばれる、少なくとも1種のモノマーを50質量%以上含有するモノマー混合物の共重合体にて構成されるのが好ましい。
【0031】
また、成分(A)の製造方法としては、乳化重合法、ソープフリー重合法、縣濁重合法、微細縣濁重合法、分散重合法等が挙げられるが、特に限定されず公知の方法を用いればよい。
その中でも、乳化重合法あるいはソープフリー重合法は、コア・シェル構造等、粒子の構造を制御することが容易であることから好ましい。
【0032】
本発明に用いる成分(A)は、乾燥粉体としての性状や構造は特に限定されない。例えば重合で得られた一次粒子単独であってもよいし、その一次粒子が多数凝集してなる二次粒子であってもよいし、またそれ以上の高次構造の粒子であってもよい。
但しこのような凝集構造の場合には、可塑剤中において一次粒子が微細で均一に分散するように、一次粒子同士の結合が緩く凝集する、可塑剤中での解砕性に優れた凝集構造の粒子であることが好ましい。
【0033】
本発明に用いるベンジル基を有するフタル酸エステル系可塑剤(b1)及び/又は脂環式エステル系可塑剤(b2)を含む可塑剤(B)は、可塑剤として作用する成分である。その中でも特に、成分(b1)と成分(b2)は、得られるゲル化物の発泡性を向上させる成分でもある。
【0034】
成分(b1)の具体例としては、例えばエチルベンジルフタレート、ブチルベンジルフタレート、イソブチルベンジルフタレート、ヘプチルベンジルフタレート、(2−エチルヘキシル)ベンジルフタレート、n−オクチルベンジルフタレート、ノニルベンジルフタレート、イソノニルベンジルフタレート、イソデシルベンジルフタレート、ウンデシルベンジルフタレート、トリデシルベンジルフタレート、シクロヘキシルベンジルフタレート、ベンジル−3−(イソブチリルオキシ)−1−イソプロピル−2,2−ジメチルプロピルフタレート、ミリスチルベンジルフタレート等のフタル酸エステル系可塑剤が挙げられる。
【0035】
成分(b2)の具体例としては、例えば1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジエチル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジブチル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(2−エチルヘキシル)、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジオクチル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソデシル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸エチル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ブチル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(2−エチルヘキシル)、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジオクチル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソデシル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸エチル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ブチル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(2−エチルヘキシル)、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジオクチル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソデシル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルのようなシクロヘキサンジカルボン酸エステル類;1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物のようなシクロヘキサンカルボン酸無水物類;3,4−エポキシ−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル、3,4−エポキシ−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジエチル、3,4−エポキシ−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジブチル、3,4−エポキシ−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(2−エチルヘキシル)、4,5−エポキシ−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル、4,5−エポキシ−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジエチル、4,5−エポキシ−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジブチル、4,5−エポキシ−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(2−エチルヘキシル)等のエポキシ基を有するシクロヘキサンジカルボン酸エステル類等が挙げられる。
【0036】
また、得られるゲル化物の発泡性、及びその他本発明のプラスチゾルの特性に影響を与えない範囲で、成分(b1)と成分(b2)以外のその他の可塑剤を併用してもよい。
【0037】
その他の可塑剤の具体例としては、例えば、ジブチルフタレート、イソブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジノニルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジフェニルフタレート、などのフタル酸エステル類;ジ−(2−エチルヘキシル)イソフタレート、ジイソオクチルイソフタレートなどのイソフタル酸エステル類;ジ−2−エチルヘキシルテトラヒドロフタレートなどのテトラヒドロフタル酸エステル類;ジ−(2−エチルヘキシル)アジペート、ジブトキシエチルアジペート、ジイソノニルアジペートなどのアジピン酸エステル類;ジ−n−ヘキシルアゼレート、ジ−(2−エチルヘキシル)アゼレートなどのアゼライン酸エステル類;ジ−n−ブチルセバケートなどのセバシン酸エステル類;ジ−n−ブチルマレエート、ジ−(2−エチルヘキシル)マレエートなどのマレイン酸エステル類;ジ−n−ブチルフマレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フマレートなどのフマル酸エステル類;トリー(2−エチルヘキシル)トリメリテート、トリ−n−オクチルトリメリテート、トリイソオクチルトリメリテートなどのトリメリット酸エステル類;テトラ−(2−エチルヘキシル)ピロメリテート、テトラ−n−オクチルピロメリテートなどのピロメリット酸エステル類;トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリブチルシトレートなどのクエン酸エステル類;ジメチルイタコネート、ジエチルイタコネート、ジブチルイタコネート、ジ−(2−エチルヘキシル)イタコネートなどのイタコン酸エステル類;グリセリルモノオレート、ジエチレングリコールモノオレートなどのオレイン酸エステル類;グリセリルモノリシノレート、ジエチレングリコールモノリシノレートなどのリシノール酸誘導体;グリセリンンモノステアレート、ジエチレングリコールジステアレートなどのステアリン酸エステル類、ジエチレングリコールジペラルゴネート、ペンタエリスリトール脂肪酸エステルなどその他の脂肪酸エステル類;トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ジフェニルデシルホスフェート、ジフェニルオクチルホスフェートなどのリン酸エステル類等が挙げられる。
それらは、一種単独で、又は二種以上を併用して用いることができる。
【0038】
本発明のプラスチゾルにおいて、成分(B)の含有量は、アクリル系重合体粒子(A)100質量部に対して10〜160質量部の範囲である。
【0039】
成分(B)の含有量は、10質量部より少ないとゲル化物を形成することができない、もしくはゲル化物の外観が不良となる傾向にある。またそれが160質量部を超えると、ゲル化物の機械的強度が低下する傾向にある。
成分(B)の含有量の下限値は、70質量部が好ましい。また成分(B)の含有量の上限値は、130質量部が好ましい。
【0040】
それらの中でも、得られるゲル化物の発泡性の向上効果を考慮すると、成分(B)は、成分(b1)及び/又は成分(b2)を、成分(B)中に50質量%以上含むことが好ましく、100質量%含むことがより好ましい。
【0041】
成分(B)中における成分(b1)と成分(b2)との含有比率は、(b1):(b2)=5〜90/10〜95(質量%)の範囲がより好ましく、(b1):(b2)=10〜80/20〜90(質量%)の範囲がさらに好ましく、(b1):(b2)=10〜80/20〜90(質量%)の範囲が特に好ましい。
【0042】
本発明において用いる、アゾ化合物(c1)、ニトロソ化合物(c2)、及びヒドラジン誘導体(c3)から選ばれる発泡剤(C)は、発泡むらがなく、発泡倍率が均一で、表面平滑性に優れるゲル化物を得るために必要な成分である。
【0043】
なお、ここでいう発泡倍率とは、発泡前のゲル化物の厚みを基準とし、それに対する発泡後のゲル化物の厚みを示すために用いる指標である。
【0044】
また成分(C)が加熱により発泡し、ゲル化物の厚みが塗膜厚より増して、ゲル化物中に形成された空洞を、以下発泡セルという。
【0045】
アゾ化合物(c1)の具体例としては、例えばアゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。このアゾ化合物(c1)の具体的な商品としては、例えば永和化成工業(株)のビニホールが挙げられる。
【0046】
ニトロソ化合物(c2)の具体例としては、例えばN,N′−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N′−ジメチル−N,N′−ジニトロソテレフタルアミド等が挙げられる。このニトロソ化合物(c2)の具体的な商品としては、永和化成工業(株)のセルラーが挙げられる。
【0047】
ヒドラジン誘導体(c3)の具体例としては、例えば、ベンゼンスルホニルヒドラジド、p,p′−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、トルエンスルホニルヒドラジドなどのスルホニルヒドラジド類等が挙げられる。このヒドラジン誘導体(c3)の具体的な商品としては、永和化成工業(株)のネオセルボンが挙げられる。
【0048】
それら成分(c1)〜(c3)は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0049】
また、成分(C)の発泡性、及び本発明のプラスチゾルの特性に影響を与えない範囲で、成分(c1)〜(c3)以外のその他の発泡剤を併用してもよい。
【0050】
本発明において、成分(C)の含有量は、アクリル系重合体粒子(A)100質量部に対して、0.1〜5質量部の範囲である。
【0051】
成分(C)の含有量が前記範囲内の場合には、発泡倍率が均一でかつ3〜5倍程度となる傾向にある。
また、成分(C)の含有量が0.1質量部より少ないとゲル化物の発泡倍率が低くなる傾向にあり、発泡剤の含有量が5質量部を超えると発泡セルの大きさが不均一になる傾向にある。
【0052】
ゲル化物の発泡倍率が低いと、得られるゲル化物にエンボス加工を行う場合、凸部と凹部の差を十分に発現させることができず意匠性に優れるゲル化物が得られにくい、あるいはゲル化物を指で押したときに生ずる凹みが指を離した後に速やかに復元しないといった変形に対する復元性が低下する等の傾向にある。
【0053】
また発泡セルの大きさが不均一であると、得られるゲル化物は、その表面が平滑にならないために外観が不良となり、均等な厚みのゲル化物が得られない傾向にある。
本発明において、発泡倍率が4倍以上でかつ均等に発泡する平滑なゲル化物を得るには、成分(C)の含有量を1〜3質量部の範囲とすることがより好ましい。
【0054】
以上が本発明のプラスチゾルの構成成分であるが、本発明のプラスチゾルには、所望される物性を損なわない範囲で、各種添加剤を添加してもよい。
【0055】
例えば、成分(C)の熱分解温度を下げる作用のある物質(以下、キッカーと略記)を配合しても良い。本発明で用いるキッカーとしては特に限定されるものではなく、具体例として、例えば二塩基性硫酸鉛、ステアリン酸鉛、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、クロムイエロー等が挙げられる。
【0056】
また、本発明のプラスチゾルにミネラルターペン、ミネラルスピリット等、本発明に用いる成分(A)が溶解しない有機溶剤を配合して、オルガノゾルとしてもよい。
【0057】
更に、消泡剤、防黴剤、防臭剤、抗菌剤、界面活性剤、滑剤、紫外線吸収剤、香料、発泡剤、レベリング剤、接着剤、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、パーライト、クレー、コロイダルシリカ、マイカ粉、珪砂、珪藻土、カオリン、タルク、ベントナイト、ガラス粉末、酸化アルミニウム、フライアッシュ、シラスバルーン等の充填材;酸化チタン、カーボンブラック等の顔料等を配合してもよい。
【0058】
本発明のプラスチゾルは、塗料、インキ、接着剤、粘着剤、シーリング剤等として好適に用いることができる。
また、本発明のプラスチゾルを加熱して得られるゲル化物は、雑貨、玩具、工業部品、電気部品等の成形品;紙や布等の基材に適用してなる人造皮革、敷物、壁紙、衣料、防水シート;木材、プラスチック、金属等に適用してなる床材、防蝕性金属板等の防蝕性材等、多種の用途において好適に用いることができる。
【0059】
より具体的には、例えば、自動車アンダーコート、自動車ボディーシーラーや自動車マスチックシーラー等の各種シーラー;タイルカーペットバッキング材、クッションフロア、壁紙、鋼板塗料、玩具、手袋、食品サンプル、靴、建材用等の各種接着剤;スクリーン印刷用塗料;ガスケット、防水シート、自動車内層表皮材、帆布、テーブルクロス、合成皮革、消しゴム等の成形品、床材等、多種の用途に好適なゲル化物が挙げられるが特に限定されるものではない。
【0060】
本発明のプラスチゾルを適用するには、ディップコーティング法、スプレーコーティング法、ナイフコーティング法、ロールコーティング法、カーテンフローコーティング法、刷毛塗り法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法等のコーティング法;圧縮成形法、トランスファ成形法、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、熱成形法、積層成形法、スラッシュ成形法、回転成形法、注型法、ディップ成形法等の成形法の他、静電塗装法等の各種の適用方法が使用できる。
【0061】
本発明のゲル化物は、前記したプラスチゾルを加熱することにより得ることができる。
ゲル化物を形成するための加熱温度は、プラスチゾルの組成や組成比、塗膜厚と加熱時間等により異なるため特定されないが、通常100〜260℃の温度範囲で、10秒〜60分程度加熱すればよい。
【0062】
具体的には、例えば、2mm以上の厚みのゲル化物を形成する場合には、プラスチゾルの塗膜厚を0.4〜0.7mmとし、160〜260℃で、1〜10分程度加熱すればよい。
【0063】
また、0.5mm程度の厚みが薄いゲル化物を形成する場合には、プラスチゾルの塗膜厚を0.1〜0.2mmとし、130〜230℃で、10秒〜5分程度加熱すればよい。
【0064】
本発明のゲル化物は、必要に応じて、発泡したゲル化物に印刷加工や、発泡したゲル化物に対して、凹凸を有するロールを発泡したゲル化物に押し付けて凹凸模様を形成するメカニカルエンボス加工、発泡抑制剤を含むインクを用いて発泡前のゲル化物に絵柄を印刷した後、ゲル化物を発泡させて印刷柄と同調した凹凸模様を発現させるケミカルエンボス加工等のエンボス加工等の各種加工を施すことができる。
【0065】
その中でも、本発明のゲル化物は、ケミカルエンボス加工に好適である。
ケミカルエンボス加工を本発明のゲル化物に施す場合、具体的には、まずゲル化物中に含有される発泡剤が熱分解しない温度範囲内で加熱して未発泡のゲル化物を得、次いでそのゲル化物表面に、発泡抑制剤を含有するエンボス加工液を所望の絵柄に塗布した後に、前記発泡剤が熱分解する温度で再度加熱すればよい。その結果、所望の絵柄の凹凸模様を有するゲル化物が得ることができる。
【0066】
なお、ここでいう発泡剤が熱分解しない温度範囲とは、発泡剤の種類、その他のアクリルゾルの組成や塗膜厚等により異なるため限定されるものではないが、通常80〜170℃の温度条件下で、10秒〜30分間加熱すればよい。
【0067】
【実施例】
以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれにより制限を受けるものではない。また実施例中の部は質量部を示す。
なお、本実施例におけるゲル化物の評価は、下記評価方法及び評価基準に基づき行う。
【0068】
〔評価方法〕
〔発泡性〕
プラスチゾルの塗膜の発泡性は、(発泡処理後の膜厚)/(発泡処理前の膜厚)の値により以下の基準で評価する。
◎:4.0を超える
○:2.0を超え4.0以下
△:1.5を超え2.0以下
×:1.5以下
【0069】
〔発泡セルの均一性〕
発泡後のゲル化物をガラス基材に達するまでカミソリで切り、厚み方向の断面を目視にて観察し、ゲル化物中の発泡セルの状態を下記基準に基づき評価する。
◎:緻密で大きさが均一の発泡セルで構成。隣り合った発泡セルが結合してなる大きな発泡セルや、へたったり縦長な発泡セルが存在しない。
○:大きさはほぼ均一だが、へたったり縦長な発泡セルで構成。隣り合った発泡セルが結合してなる大きな発泡セルは存在しない。
△ :大きさは不均一であり、発泡不良の発泡セル又は一部隣り合った発泡セルが結合してなる大きな発泡セルで構成。
×:大きさが不均一で、発泡不良の発泡セル又は隣り合った発泡セルが結合してなる大きな発泡セルや、大きな膨らみ等が混在して構成。
【0070】
〔表面平滑性〕
発泡後のゲル化物の表面外観を目視にて観察し、その結果を下記基準に基づき評価する。
◎:非常に滑らか
○:滑らか
△:一部に浅い凹凸あり
×:多数の凹凸あり、又は深い凹凸あり
【0071】
<重合体粒子(I)の調製>
温度計、窒素ガス導入管、攪拌棒、滴下漏斗、冷却管を装備した500mlの4つ口フラスコに純水100gを入れ、30分間十分に窒素ガスを通気し、純水中の溶存酸素を置換した。窒素ガス通気を停止した後、メチルメタクリレート2.0g、n−ブチルアクリレート1.0gを入れ、200rpmで攪拌しながら80℃に昇温した。内温が80℃に達した時点で、5.0gの純水に溶解した過硫酸カリウム0.05gを一度に添加し、ソープフリー重合を開始した。そのまま80℃にて攪拌を60分継続した。
【0072】
引き続き、第1滴下としてモノマー(メチルメタクリレート28g、n−ブチルメタクリレート19g)と乳化剤(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムをモノマー100gあたり1.0g)を均一に溶解した混合液を、20g/hrの速度で滴下し、引き続き80℃にて1時間攪拌を継続した。
次いで、第2滴下としてモノマー(メチルメタクリレート40g、n−ブチルメタクレート10g)と乳化剤(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムをモノマー100gあたり1.0g)を均一に溶解した混合液を、20g/hrの速度で滴下し、引き続き80℃にて1時間攪拌を継続して、重合体ラテックスを得た。得られた重合体ラテックスを室温まで冷却した後、スプレードライヤー(大河原化工機(株)L8型)を用いて、入口温度170℃、出口温度75℃、アトマイザ回転数25000rpmにて噴霧乾燥し、SP値が8.6(cal/cm3)1 / 2の重合体粒子(I)を得た。
【0073】
[プラスチゾルの調製]
250mlのプラスチック製容器に、得られた重合体粒子(I)100部、可塑剤として3,4−エポキシ−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(2−エチルヘキシル)50部と(2−エチルヘキシル)ベンジルフタレート50部、及び発泡剤としてアゾジカルボンアミド(永和化成工業(株)製、商品名:アゾ系発泡剤「ビニホールAC#3C」)2.5部を投入し、真空ミキサー((株)シンキー製、商品名:ARV−200)を用いて、大気圧で10秒間混合した後、20mmHgに減圧して50秒間混合し脱泡攪拌した。
その結果、可塑剤中に重合体粒子(I)が均一分散したプラスチゾルを得た。
【0074】
[ゲル化物の作成]
得られたプラスチゾルを、150mm×150mm×2mmのガラス板上に、ナイフコーターを用いて塗布して0.5mm厚の塗膜を形成し、160℃のオーブンで1分間加熱して、未発泡のゲル化物(0.5mm厚)を得た。さらに、このゲル化物を220℃で3分間加熱すると、ゲル化物中の発泡剤が熱分解され、発泡したゲル化物を得た。
その発泡したゲル化物について前記基準に基づき評価したところ、ゲル化物の厚みは約2.2mmであり、発泡前のゲル化物の厚みに対して4倍以上の発泡倍率であった。また、発泡したゲル化物の表面平滑性は良好であり、ゲル化物は、緻密で大きさが均一な発泡セルで構成され、隣り合った発泡セルが結合してなる大きな発泡セルや、へたったり縦長な発泡セルが存在しなかった。
【0075】
[実施例2〜10]、[比較例1〜3]
表1に示す組成で重合体粒子を得る以外は、実施例1と同様にしてプラスチゾルの調製、及びゲル化物を得て、それぞれについて評価した。その評価結果も、表1に示す。
【0076】
【表1】
【0077】
なお、表中に記載する略号は、下記の通りである。
EHBP:(2−エチルヘキシル)ベンジルフタレート
NBP:イソノニルベンジルフタレート
DMPP:ベンジル−3−(イソブチリルオキシ)−1−イソプロピル−2,2−ジメチルプロピルフタレート
ECHCA:3,4−エポキシ−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(2−エチルヘキシル)
DINP:ジイソノニルフタレート
ADCA:アゾジカルボンアミド(永和化成工業(株)、商品名:「ビニホールAC#3C」)
DNPMT:N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(永和化成工業(株)、商品名:「セルラーD」)
OBSH:4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(永和化成工業(株)、商品名:「ネオセルボンN#5000」)
【0078】
比較例の考察:
比較例1、比較例2、比較例3は可塑剤としてジイソノニルフタレートを用いた例である。発泡剤としてアゾ化合物、ニトロソ化合物、又はヒドラジン誘導体を用いた場合、得られたゲル化物はいずれも発泡倍率が低く、しかも発泡セルは不均一で、ゲル化物の表面平滑性は不良であった。
【0079】
【発明の効果】
このように、本発明のプラスチゾルを用いれば、優れた発泡性を有し、しかも発泡セルが均一でかつ密であり、非常に優れた外観を有するゲル化物を形成することが可能である。
また、本発明のプラスチゾルは、エンボス加工、特にケミカルエンボス加工を施すことが可能なゲル化物を形成することができるものであり、安価で加工性に優れることから汎用性が高く、産業上の利用度は大である。
【0080】
そこで、本発明のプラスチゾルは、塗料、インキ、接着剤、粘着剤、シーリング剤等として、また本発明のプラスチゾルを加熱して得られるゲル化物は、雑貨、玩具、工業部品、電気部品等の成形品;紙や布等の基材に適用してなる人造皮革、敷物、壁紙、衣料、防水シート;木材、プラスチック、金属等に適用してなる床材や防蝕性金属板等の防蝕性材等、多種の用途において好適に用いることができる。
【0081】
さらに、本発明のゲル化物は、従来の塩ビゾルを用いて得られるゲル化物とは異なり、廃棄焼却する際に塩素ガスが発生しないという環境問題も解決するものである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、発泡性が良好なアクリル系プラスチゾル、それを加熱して得られるゲル化物、及び基材上にゲル化物を有する物品に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、工業的に広く用いられているプラスチゾルとして、塩化ビニル系重合体を可塑剤に分散してなる塩化ビニル系プラスチゾル(以下、「塩ビゾル」と略記)が挙げられる。その塩ビゾルは、低粘度で加工しやすく、かつ加熱により強靭なゲル化物を与えるため、農業用、建材用、文具・雑貨用、包装用などの様々な産業分野において広く利用されている。
特に、プラスチゾルは発泡剤を添加すると、高い発泡倍率で均一に発泡することから、意匠性に優れた壁紙、クッションフロアや人造皮革等、様々な成成形品やゲル化物を有する物品を得ることができる。
【0003】
しかしながら、塩ビゾルは焼却すると塩化水素ガス発生し、それが、焼却炉を著しく損傷させたり、酸性雨をもたらす、毒性の強いダイオキシンの発生原因として懸念される等の環境に負荷を与えてしまう。
近年環境にやさしい材料が注目されており、前記塩ビゾルの代替材料としてアクリル系のプラスチゾルが注目されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
その中でも、意匠性に優れることから、発泡性のアクリル系プラスチゾルの実用化が所望されている。そのようなプラスチゾルとして、例えば、マイクロカプセル型発泡剤を含むアクリル系プラスチゾルが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開昭51−71344号公報
【特許文献2】特開平8−60600号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
マイクロカプセル型発泡剤を含むプラスチゾルを用いれば、発泡したゲル化物を得ることができる。しかしながら、そのようなプラスチゾルでは、得られるゲル化物にケミカルエンボス加工を施すことができないため、意匠性に優れるゲル化物を得ることは困難であった。
ここでいうケミカルエンボス加工とは、発泡前のゲル化物表面に、発泡抑制剤を添加したインクで所望の絵柄を印刷し、その後さらにゲル化物を発泡させることにより、印刷柄と同調した凹凸模様を付与する手法である。
また、そのマイクロカプセル型発泡剤は高価であり、そのようなプラスチゾルは、特に廉価品の工業的生産には不向きであり、実用化できないのが現状である。
そこで、本発明は、優れた発泡性を有し、しかもケミカルエンボス加工が可能で安価な非塩ビゾルを得ることを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、アクリル系重合体粒子(A)100質量部に対して、ベンジル基を有するフタル酸エステル系可塑剤及び/又は脂環式エステル系可塑剤を含む可塑剤(B)10〜160質量部、及びアゾ化合物(c1)、ニトロソ化合物(c2)、及びヒドラジン誘導体(c3)から選ばれる発泡剤(C)0.1〜5質量部を含むプラスチゾル、及びそのプラスチゾルを加熱して得られるゲル化物にある。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に用いるアクリル系重合体粒子(A)は、加熱するとゲル化物を形成する成分であり、アクリル系の重合体粒子であれば特に限定されない。ここでゲル化物とは、プラスチゾルを加熱したときに可塑剤(B)がアクリル系重合体粒子(A)に吸収されてできる流動性の無いゲル状態の物質から、さらに成分(A)の溶融が進み、成分(A)の粒子界面が消失したゲル化物となるまでの全ての状態を指すものである。
【0008】
また本発明のゲル化物の態様は、前記加熱温度によって未発泡の場合と発泡の場合があるため、本明細書においては未発泡のゲル化物を「発泡前のゲル化物」とし、発泡後のゲル化物を「発泡後のゲル化物」として以下略記する。
【0009】
成分(A)は、非加熱時にはプラスチゾルの貯蔵安定性を向上させるため、可塑剤と非相溶性であることが好ましい。また、成分(A)は、加熱時には塗膜の発泡性、及びゲル化物の外観を向上させるため、可塑剤と相溶性であることが好ましい。
【0010】
そのような特性を有する成分(A)の具体例としては、例えば、メチルメタクリレートと、n−ブチルメタクリレート及び/又はi−ブチルメタクリレートとを含むモノマー混合物(以下、「モノマー混合物(a1)」と略記)を共重合してなるアクリル系重合体粒子が挙げられる。
【0011】
本発明に用いる成分(A)は、前記モノマー混合物(a1)を単独で共重合させた重合体粒子であってもよいし、前記モノマー混合物(a1)中に、それ以外の共重合可能なモノマー(以下、「他のモノマー(a2)」と略記)を添加した混合物を共重合させた重合体粒子であってもよい。
【0012】
他のモノマー(a2)の具体例としては、例えばエチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート等の直鎖アルキルアルコールの(メタ)アクリレート類;シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の環式アルキルアルコールの(メタ)アクリレート類等のアルキル(メタ)アクリレート類;
【0013】
2−(メタ)アクリロイキシエチルアシッドフォスフェート等のリン酸基含有(メタ)アクリレート類;メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、メタクリル酸2−サクシノロイルオキシエチル−2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、メタクリル酸2−マレイノロイルオキシエチル−2−メタクリロイルオキシエチルマレイン酸、メタクリル酸2−フタロイルオキシエチル−2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸、メタクリル酸2−ヘキサヒドロフタロイルオキシエチル−2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸等のカルボキシル基含有モノマー;アリルスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート類;アセトアセトキエチル(メタ)アクリレート等のカルボニル基含有(メタ)アクリレート類;N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート類等の官能基を有するモノマー;アクリルアミド及びその誘導体として、例えばジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド等のアクリルアミド、及びそれらの誘導体;スチレン及びその誘導体;酢酸ビニル、ウレタン変性アクリレート類、エポキシ変性アクリレート類、シリコーン変性アクリレート類等の特殊なモノマー等のビニル系モノマー類が挙げられる。
それらは、一種単独で用いてもよいし、二種以上を併用して用いてもよい。
【0014】
これらのモノマーは用途により要求される密着性、光沢、表面硬度、耐水性、耐久性などを満足する目的で添加すればよく、モノマー混合物(a1)との共重合性が良好であれば特に制限されるものではない。
【0015】
また、本発明が目的とする特性を損なわない範囲であれば、多官能モノマーを用いて一部又は全部を架橋させた重合体粒子としてもよい。
【0016】
多官能モノマーの具体例としては、例えば(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
【0017】
多官能モノマーを用いて一部又は全部を架橋させた重合体粒子の架橋度は、加熱時に可塑剤(B)と十分に相溶してゲル化物が得られる範囲であれば特に限定されない。
【0018】
本発明に用いる成分(A)を構成するモノマー比率は特に限定されないが、他のモノマー(a2)は、モノマー混合物(a1)中に0を超えて50質量%以下の範囲で配合してもよい。
【0019】
さらに、本発明に用いる成分(A)は、20℃における溶解度パラメータ(以下、「SP値」と略記)が8.3〜8.8(cal/cm3)1 / 2の範囲であることが好ましい。成分(A)のSP値がそのような範囲である場合には、プラスチゾルの貯蔵安定性及び加熱時のゲル化物の成形性や膜形成性が良好となる傾向にある。
【0020】
なお、本発明でいう成分(A)のSP値とは、下記式(I)で求められる単量体のSP値δ(20℃)を用いて、組成比(重量分率)より公知の手法にて計算で求めることができる。
【0021】
【数1】
【0022】
但し、式中の記号は、下記の通りである。
δ=単量体のSP値(cal/cm3)1/2
ΔHv=温度T(K)における発熱潜熱(cal)
d=密度(g/cm3)
M=分子量(g/mol)
T=絶対温度(K)
R=分子気体定数(1.986cal/mol/k)
【0023】
本発明において、成分(A)のSP値を調整する方法としては、例えば、モノマー単独のSP値をもとに、前記一般式(I)を用いて予めSP値(計算値)を求める方法があるが、これに限定されるものではない。
【0024】
モノマー混合物(a1)に含まれるモノマーと、前記他のモノマー(a2)に示すモノマーのうち、一例として以下具体的にSP値を示す。なお、下記括弧内の値が、括弧の前に記載するモノマーのSP値を意味する。
【0025】
メチルメタクリレート(8.67)、エチルエタクリレート(8.40)、n−ブチルメタクリレート(8.19)、i−ブチルメタクリレート(8.00)、t−ブチルメタクリレート(7.89)、2−エチルヘキシルメタクリレート(7.74)、ラウリルメタクリレート(7.56)、メチルアクリレート(9.02)、エチルアクリレート(8.62)、n−ブチルアクリレート(8.35)、i−ブチルアクリレート(8.17)、2−エチルヘキシルアクリレート(7.81)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(11.10)、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(10.34)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(11.30)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート(11.00)、メタクリル酸(11.14)、アクリル酸(11.90)、スチレン(9.29)等。
【0026】
成分(A)の可塑剤との相溶性、プラスチゾルの貯蔵安定性、加熱時の成形性及び膜形成性を兼ね備えたプラスチゾルを得るには、成分(A)が、メチルメタクリレートを50質量%以上と、n−ブチルメタクリレート及び/又はi−ブチルメタクリレートを10質量%以上とを含むモノマー混合物を重合してなり、溶解度パラメータが8.3〜8.8(cal/cm3)1 / 2の範囲であることが特に好ましい。
【0027】
本発明に用いる成分(A)は、その粒子構造については特に限定されず、組成が均一である単層構造、組成が異なる複数の重合体層からなるコア・シェル構造又は多段構造、あるいは重合体組成が連続的に変化するグラディエント型構造でもよい。
【0028】
その中でも、プラスチゾルの貯蔵安定性やゲル化物からの可塑剤の非ブリードアウト性を向上させるという観点から、組成が異なる複数の重合体層からなるコア・シェル構造又は多段構造、あるいは重合体組成が連続的に変化するグラディエント型構造が好ましく、コア部とシェル部のポリマー比率が、コア/シェル=25/75〜70/30(質量%)であることがより好ましい。
【0029】
成分(A)のコア部は、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートから選ばれる、少なくとも1種のメタクリレートを50質量%以上含有するモノマー混合物の共重合体にて構成されるのが好ましい。
【0030】
成分(A)のシェル部は、メチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、スチレンから選ばれる、少なくとも1種のモノマーを50質量%以上含有するモノマー混合物の共重合体にて構成されるのが好ましい。
【0031】
また、成分(A)の製造方法としては、乳化重合法、ソープフリー重合法、縣濁重合法、微細縣濁重合法、分散重合法等が挙げられるが、特に限定されず公知の方法を用いればよい。
その中でも、乳化重合法あるいはソープフリー重合法は、コア・シェル構造等、粒子の構造を制御することが容易であることから好ましい。
【0032】
本発明に用いる成分(A)は、乾燥粉体としての性状や構造は特に限定されない。例えば重合で得られた一次粒子単独であってもよいし、その一次粒子が多数凝集してなる二次粒子であってもよいし、またそれ以上の高次構造の粒子であってもよい。
但しこのような凝集構造の場合には、可塑剤中において一次粒子が微細で均一に分散するように、一次粒子同士の結合が緩く凝集する、可塑剤中での解砕性に優れた凝集構造の粒子であることが好ましい。
【0033】
本発明に用いるベンジル基を有するフタル酸エステル系可塑剤(b1)及び/又は脂環式エステル系可塑剤(b2)を含む可塑剤(B)は、可塑剤として作用する成分である。その中でも特に、成分(b1)と成分(b2)は、得られるゲル化物の発泡性を向上させる成分でもある。
【0034】
成分(b1)の具体例としては、例えばエチルベンジルフタレート、ブチルベンジルフタレート、イソブチルベンジルフタレート、ヘプチルベンジルフタレート、(2−エチルヘキシル)ベンジルフタレート、n−オクチルベンジルフタレート、ノニルベンジルフタレート、イソノニルベンジルフタレート、イソデシルベンジルフタレート、ウンデシルベンジルフタレート、トリデシルベンジルフタレート、シクロヘキシルベンジルフタレート、ベンジル−3−(イソブチリルオキシ)−1−イソプロピル−2,2−ジメチルプロピルフタレート、ミリスチルベンジルフタレート等のフタル酸エステル系可塑剤が挙げられる。
【0035】
成分(b2)の具体例としては、例えば1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジエチル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジブチル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(2−エチルヘキシル)、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジオクチル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソデシル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸エチル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ブチル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(2−エチルヘキシル)、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジオクチル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソデシル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸エチル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ブチル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(2−エチルヘキシル)、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジオクチル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソデシル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルのようなシクロヘキサンジカルボン酸エステル類;1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物のようなシクロヘキサンカルボン酸無水物類;3,4−エポキシ−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル、3,4−エポキシ−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジエチル、3,4−エポキシ−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジブチル、3,4−エポキシ−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(2−エチルヘキシル)、4,5−エポキシ−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル、4,5−エポキシ−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジエチル、4,5−エポキシ−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジブチル、4,5−エポキシ−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(2−エチルヘキシル)等のエポキシ基を有するシクロヘキサンジカルボン酸エステル類等が挙げられる。
【0036】
また、得られるゲル化物の発泡性、及びその他本発明のプラスチゾルの特性に影響を与えない範囲で、成分(b1)と成分(b2)以外のその他の可塑剤を併用してもよい。
【0037】
その他の可塑剤の具体例としては、例えば、ジブチルフタレート、イソブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジノニルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジフェニルフタレート、などのフタル酸エステル類;ジ−(2−エチルヘキシル)イソフタレート、ジイソオクチルイソフタレートなどのイソフタル酸エステル類;ジ−2−エチルヘキシルテトラヒドロフタレートなどのテトラヒドロフタル酸エステル類;ジ−(2−エチルヘキシル)アジペート、ジブトキシエチルアジペート、ジイソノニルアジペートなどのアジピン酸エステル類;ジ−n−ヘキシルアゼレート、ジ−(2−エチルヘキシル)アゼレートなどのアゼライン酸エステル類;ジ−n−ブチルセバケートなどのセバシン酸エステル類;ジ−n−ブチルマレエート、ジ−(2−エチルヘキシル)マレエートなどのマレイン酸エステル類;ジ−n−ブチルフマレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フマレートなどのフマル酸エステル類;トリー(2−エチルヘキシル)トリメリテート、トリ−n−オクチルトリメリテート、トリイソオクチルトリメリテートなどのトリメリット酸エステル類;テトラ−(2−エチルヘキシル)ピロメリテート、テトラ−n−オクチルピロメリテートなどのピロメリット酸エステル類;トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリブチルシトレートなどのクエン酸エステル類;ジメチルイタコネート、ジエチルイタコネート、ジブチルイタコネート、ジ−(2−エチルヘキシル)イタコネートなどのイタコン酸エステル類;グリセリルモノオレート、ジエチレングリコールモノオレートなどのオレイン酸エステル類;グリセリルモノリシノレート、ジエチレングリコールモノリシノレートなどのリシノール酸誘導体;グリセリンンモノステアレート、ジエチレングリコールジステアレートなどのステアリン酸エステル類、ジエチレングリコールジペラルゴネート、ペンタエリスリトール脂肪酸エステルなどその他の脂肪酸エステル類;トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ジフェニルデシルホスフェート、ジフェニルオクチルホスフェートなどのリン酸エステル類等が挙げられる。
それらは、一種単独で、又は二種以上を併用して用いることができる。
【0038】
本発明のプラスチゾルにおいて、成分(B)の含有量は、アクリル系重合体粒子(A)100質量部に対して10〜160質量部の範囲である。
【0039】
成分(B)の含有量は、10質量部より少ないとゲル化物を形成することができない、もしくはゲル化物の外観が不良となる傾向にある。またそれが160質量部を超えると、ゲル化物の機械的強度が低下する傾向にある。
成分(B)の含有量の下限値は、70質量部が好ましい。また成分(B)の含有量の上限値は、130質量部が好ましい。
【0040】
それらの中でも、得られるゲル化物の発泡性の向上効果を考慮すると、成分(B)は、成分(b1)及び/又は成分(b2)を、成分(B)中に50質量%以上含むことが好ましく、100質量%含むことがより好ましい。
【0041】
成分(B)中における成分(b1)と成分(b2)との含有比率は、(b1):(b2)=5〜90/10〜95(質量%)の範囲がより好ましく、(b1):(b2)=10〜80/20〜90(質量%)の範囲がさらに好ましく、(b1):(b2)=10〜80/20〜90(質量%)の範囲が特に好ましい。
【0042】
本発明において用いる、アゾ化合物(c1)、ニトロソ化合物(c2)、及びヒドラジン誘導体(c3)から選ばれる発泡剤(C)は、発泡むらがなく、発泡倍率が均一で、表面平滑性に優れるゲル化物を得るために必要な成分である。
【0043】
なお、ここでいう発泡倍率とは、発泡前のゲル化物の厚みを基準とし、それに対する発泡後のゲル化物の厚みを示すために用いる指標である。
【0044】
また成分(C)が加熱により発泡し、ゲル化物の厚みが塗膜厚より増して、ゲル化物中に形成された空洞を、以下発泡セルという。
【0045】
アゾ化合物(c1)の具体例としては、例えばアゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。このアゾ化合物(c1)の具体的な商品としては、例えば永和化成工業(株)のビニホールが挙げられる。
【0046】
ニトロソ化合物(c2)の具体例としては、例えばN,N′−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N′−ジメチル−N,N′−ジニトロソテレフタルアミド等が挙げられる。このニトロソ化合物(c2)の具体的な商品としては、永和化成工業(株)のセルラーが挙げられる。
【0047】
ヒドラジン誘導体(c3)の具体例としては、例えば、ベンゼンスルホニルヒドラジド、p,p′−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、トルエンスルホニルヒドラジドなどのスルホニルヒドラジド類等が挙げられる。このヒドラジン誘導体(c3)の具体的な商品としては、永和化成工業(株)のネオセルボンが挙げられる。
【0048】
それら成分(c1)〜(c3)は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0049】
また、成分(C)の発泡性、及び本発明のプラスチゾルの特性に影響を与えない範囲で、成分(c1)〜(c3)以外のその他の発泡剤を併用してもよい。
【0050】
本発明において、成分(C)の含有量は、アクリル系重合体粒子(A)100質量部に対して、0.1〜5質量部の範囲である。
【0051】
成分(C)の含有量が前記範囲内の場合には、発泡倍率が均一でかつ3〜5倍程度となる傾向にある。
また、成分(C)の含有量が0.1質量部より少ないとゲル化物の発泡倍率が低くなる傾向にあり、発泡剤の含有量が5質量部を超えると発泡セルの大きさが不均一になる傾向にある。
【0052】
ゲル化物の発泡倍率が低いと、得られるゲル化物にエンボス加工を行う場合、凸部と凹部の差を十分に発現させることができず意匠性に優れるゲル化物が得られにくい、あるいはゲル化物を指で押したときに生ずる凹みが指を離した後に速やかに復元しないといった変形に対する復元性が低下する等の傾向にある。
【0053】
また発泡セルの大きさが不均一であると、得られるゲル化物は、その表面が平滑にならないために外観が不良となり、均等な厚みのゲル化物が得られない傾向にある。
本発明において、発泡倍率が4倍以上でかつ均等に発泡する平滑なゲル化物を得るには、成分(C)の含有量を1〜3質量部の範囲とすることがより好ましい。
【0054】
以上が本発明のプラスチゾルの構成成分であるが、本発明のプラスチゾルには、所望される物性を損なわない範囲で、各種添加剤を添加してもよい。
【0055】
例えば、成分(C)の熱分解温度を下げる作用のある物質(以下、キッカーと略記)を配合しても良い。本発明で用いるキッカーとしては特に限定されるものではなく、具体例として、例えば二塩基性硫酸鉛、ステアリン酸鉛、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、クロムイエロー等が挙げられる。
【0056】
また、本発明のプラスチゾルにミネラルターペン、ミネラルスピリット等、本発明に用いる成分(A)が溶解しない有機溶剤を配合して、オルガノゾルとしてもよい。
【0057】
更に、消泡剤、防黴剤、防臭剤、抗菌剤、界面活性剤、滑剤、紫外線吸収剤、香料、発泡剤、レベリング剤、接着剤、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、パーライト、クレー、コロイダルシリカ、マイカ粉、珪砂、珪藻土、カオリン、タルク、ベントナイト、ガラス粉末、酸化アルミニウム、フライアッシュ、シラスバルーン等の充填材;酸化チタン、カーボンブラック等の顔料等を配合してもよい。
【0058】
本発明のプラスチゾルは、塗料、インキ、接着剤、粘着剤、シーリング剤等として好適に用いることができる。
また、本発明のプラスチゾルを加熱して得られるゲル化物は、雑貨、玩具、工業部品、電気部品等の成形品;紙や布等の基材に適用してなる人造皮革、敷物、壁紙、衣料、防水シート;木材、プラスチック、金属等に適用してなる床材、防蝕性金属板等の防蝕性材等、多種の用途において好適に用いることができる。
【0059】
より具体的には、例えば、自動車アンダーコート、自動車ボディーシーラーや自動車マスチックシーラー等の各種シーラー;タイルカーペットバッキング材、クッションフロア、壁紙、鋼板塗料、玩具、手袋、食品サンプル、靴、建材用等の各種接着剤;スクリーン印刷用塗料;ガスケット、防水シート、自動車内層表皮材、帆布、テーブルクロス、合成皮革、消しゴム等の成形品、床材等、多種の用途に好適なゲル化物が挙げられるが特に限定されるものではない。
【0060】
本発明のプラスチゾルを適用するには、ディップコーティング法、スプレーコーティング法、ナイフコーティング法、ロールコーティング法、カーテンフローコーティング法、刷毛塗り法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法等のコーティング法;圧縮成形法、トランスファ成形法、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、熱成形法、積層成形法、スラッシュ成形法、回転成形法、注型法、ディップ成形法等の成形法の他、静電塗装法等の各種の適用方法が使用できる。
【0061】
本発明のゲル化物は、前記したプラスチゾルを加熱することにより得ることができる。
ゲル化物を形成するための加熱温度は、プラスチゾルの組成や組成比、塗膜厚と加熱時間等により異なるため特定されないが、通常100〜260℃の温度範囲で、10秒〜60分程度加熱すればよい。
【0062】
具体的には、例えば、2mm以上の厚みのゲル化物を形成する場合には、プラスチゾルの塗膜厚を0.4〜0.7mmとし、160〜260℃で、1〜10分程度加熱すればよい。
【0063】
また、0.5mm程度の厚みが薄いゲル化物を形成する場合には、プラスチゾルの塗膜厚を0.1〜0.2mmとし、130〜230℃で、10秒〜5分程度加熱すればよい。
【0064】
本発明のゲル化物は、必要に応じて、発泡したゲル化物に印刷加工や、発泡したゲル化物に対して、凹凸を有するロールを発泡したゲル化物に押し付けて凹凸模様を形成するメカニカルエンボス加工、発泡抑制剤を含むインクを用いて発泡前のゲル化物に絵柄を印刷した後、ゲル化物を発泡させて印刷柄と同調した凹凸模様を発現させるケミカルエンボス加工等のエンボス加工等の各種加工を施すことができる。
【0065】
その中でも、本発明のゲル化物は、ケミカルエンボス加工に好適である。
ケミカルエンボス加工を本発明のゲル化物に施す場合、具体的には、まずゲル化物中に含有される発泡剤が熱分解しない温度範囲内で加熱して未発泡のゲル化物を得、次いでそのゲル化物表面に、発泡抑制剤を含有するエンボス加工液を所望の絵柄に塗布した後に、前記発泡剤が熱分解する温度で再度加熱すればよい。その結果、所望の絵柄の凹凸模様を有するゲル化物が得ることができる。
【0066】
なお、ここでいう発泡剤が熱分解しない温度範囲とは、発泡剤の種類、その他のアクリルゾルの組成や塗膜厚等により異なるため限定されるものではないが、通常80〜170℃の温度条件下で、10秒〜30分間加熱すればよい。
【0067】
【実施例】
以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれにより制限を受けるものではない。また実施例中の部は質量部を示す。
なお、本実施例におけるゲル化物の評価は、下記評価方法及び評価基準に基づき行う。
【0068】
〔評価方法〕
〔発泡性〕
プラスチゾルの塗膜の発泡性は、(発泡処理後の膜厚)/(発泡処理前の膜厚)の値により以下の基準で評価する。
◎:4.0を超える
○:2.0を超え4.0以下
△:1.5を超え2.0以下
×:1.5以下
【0069】
〔発泡セルの均一性〕
発泡後のゲル化物をガラス基材に達するまでカミソリで切り、厚み方向の断面を目視にて観察し、ゲル化物中の発泡セルの状態を下記基準に基づき評価する。
◎:緻密で大きさが均一の発泡セルで構成。隣り合った発泡セルが結合してなる大きな発泡セルや、へたったり縦長な発泡セルが存在しない。
○:大きさはほぼ均一だが、へたったり縦長な発泡セルで構成。隣り合った発泡セルが結合してなる大きな発泡セルは存在しない。
△ :大きさは不均一であり、発泡不良の発泡セル又は一部隣り合った発泡セルが結合してなる大きな発泡セルで構成。
×:大きさが不均一で、発泡不良の発泡セル又は隣り合った発泡セルが結合してなる大きな発泡セルや、大きな膨らみ等が混在して構成。
【0070】
〔表面平滑性〕
発泡後のゲル化物の表面外観を目視にて観察し、その結果を下記基準に基づき評価する。
◎:非常に滑らか
○:滑らか
△:一部に浅い凹凸あり
×:多数の凹凸あり、又は深い凹凸あり
【0071】
<重合体粒子(I)の調製>
温度計、窒素ガス導入管、攪拌棒、滴下漏斗、冷却管を装備した500mlの4つ口フラスコに純水100gを入れ、30分間十分に窒素ガスを通気し、純水中の溶存酸素を置換した。窒素ガス通気を停止した後、メチルメタクリレート2.0g、n−ブチルアクリレート1.0gを入れ、200rpmで攪拌しながら80℃に昇温した。内温が80℃に達した時点で、5.0gの純水に溶解した過硫酸カリウム0.05gを一度に添加し、ソープフリー重合を開始した。そのまま80℃にて攪拌を60分継続した。
【0072】
引き続き、第1滴下としてモノマー(メチルメタクリレート28g、n−ブチルメタクリレート19g)と乳化剤(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムをモノマー100gあたり1.0g)を均一に溶解した混合液を、20g/hrの速度で滴下し、引き続き80℃にて1時間攪拌を継続した。
次いで、第2滴下としてモノマー(メチルメタクリレート40g、n−ブチルメタクレート10g)と乳化剤(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムをモノマー100gあたり1.0g)を均一に溶解した混合液を、20g/hrの速度で滴下し、引き続き80℃にて1時間攪拌を継続して、重合体ラテックスを得た。得られた重合体ラテックスを室温まで冷却した後、スプレードライヤー(大河原化工機(株)L8型)を用いて、入口温度170℃、出口温度75℃、アトマイザ回転数25000rpmにて噴霧乾燥し、SP値が8.6(cal/cm3)1 / 2の重合体粒子(I)を得た。
【0073】
[プラスチゾルの調製]
250mlのプラスチック製容器に、得られた重合体粒子(I)100部、可塑剤として3,4−エポキシ−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(2−エチルヘキシル)50部と(2−エチルヘキシル)ベンジルフタレート50部、及び発泡剤としてアゾジカルボンアミド(永和化成工業(株)製、商品名:アゾ系発泡剤「ビニホールAC#3C」)2.5部を投入し、真空ミキサー((株)シンキー製、商品名:ARV−200)を用いて、大気圧で10秒間混合した後、20mmHgに減圧して50秒間混合し脱泡攪拌した。
その結果、可塑剤中に重合体粒子(I)が均一分散したプラスチゾルを得た。
【0074】
[ゲル化物の作成]
得られたプラスチゾルを、150mm×150mm×2mmのガラス板上に、ナイフコーターを用いて塗布して0.5mm厚の塗膜を形成し、160℃のオーブンで1分間加熱して、未発泡のゲル化物(0.5mm厚)を得た。さらに、このゲル化物を220℃で3分間加熱すると、ゲル化物中の発泡剤が熱分解され、発泡したゲル化物を得た。
その発泡したゲル化物について前記基準に基づき評価したところ、ゲル化物の厚みは約2.2mmであり、発泡前のゲル化物の厚みに対して4倍以上の発泡倍率であった。また、発泡したゲル化物の表面平滑性は良好であり、ゲル化物は、緻密で大きさが均一な発泡セルで構成され、隣り合った発泡セルが結合してなる大きな発泡セルや、へたったり縦長な発泡セルが存在しなかった。
【0075】
[実施例2〜10]、[比較例1〜3]
表1に示す組成で重合体粒子を得る以外は、実施例1と同様にしてプラスチゾルの調製、及びゲル化物を得て、それぞれについて評価した。その評価結果も、表1に示す。
【0076】
【表1】
【0077】
なお、表中に記載する略号は、下記の通りである。
EHBP:(2−エチルヘキシル)ベンジルフタレート
NBP:イソノニルベンジルフタレート
DMPP:ベンジル−3−(イソブチリルオキシ)−1−イソプロピル−2,2−ジメチルプロピルフタレート
ECHCA:3,4−エポキシ−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(2−エチルヘキシル)
DINP:ジイソノニルフタレート
ADCA:アゾジカルボンアミド(永和化成工業(株)、商品名:「ビニホールAC#3C」)
DNPMT:N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(永和化成工業(株)、商品名:「セルラーD」)
OBSH:4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(永和化成工業(株)、商品名:「ネオセルボンN#5000」)
【0078】
比較例の考察:
比較例1、比較例2、比較例3は可塑剤としてジイソノニルフタレートを用いた例である。発泡剤としてアゾ化合物、ニトロソ化合物、又はヒドラジン誘導体を用いた場合、得られたゲル化物はいずれも発泡倍率が低く、しかも発泡セルは不均一で、ゲル化物の表面平滑性は不良であった。
【0079】
【発明の効果】
このように、本発明のプラスチゾルを用いれば、優れた発泡性を有し、しかも発泡セルが均一でかつ密であり、非常に優れた外観を有するゲル化物を形成することが可能である。
また、本発明のプラスチゾルは、エンボス加工、特にケミカルエンボス加工を施すことが可能なゲル化物を形成することができるものであり、安価で加工性に優れることから汎用性が高く、産業上の利用度は大である。
【0080】
そこで、本発明のプラスチゾルは、塗料、インキ、接着剤、粘着剤、シーリング剤等として、また本発明のプラスチゾルを加熱して得られるゲル化物は、雑貨、玩具、工業部品、電気部品等の成形品;紙や布等の基材に適用してなる人造皮革、敷物、壁紙、衣料、防水シート;木材、プラスチック、金属等に適用してなる床材や防蝕性金属板等の防蝕性材等、多種の用途において好適に用いることができる。
【0081】
さらに、本発明のゲル化物は、従来の塩ビゾルを用いて得られるゲル化物とは異なり、廃棄焼却する際に塩素ガスが発生しないという環境問題も解決するものである。
Claims (7)
- アクリル系重合体粒子(A)100質量部に対して、ベンジル基を有するフタル酸エステル系可塑剤(b1)及び/又は脂環式エステル系可塑剤(b2)を含む可塑剤(B)10〜160質量部、及びアゾ化合物(c1)、ニトロソ化合物(c2)、及びヒドラジン誘導体(c3)から選ばれる発泡剤(C)0.1〜5質量部を含むプラスチゾル。
- アクリル系重合体粒子(A)が、メチルメタクリレートを50質量%以上と、n−ブチルメタクリレート及び/又はi−ブチルメタクリレートを10質量%以上とを含むモノマー混合物を重合してなる重合体粒子である、請求項1記載のプラスチゾル。
- アクリル系重合体粒子(A)が、20℃における溶解度パラメータが8.3〜8.8(cal/cm3)1 / 2の範囲である請求項1又は2記載のプラスチゾル。
- 成分(B)が、ベンジル基を有するフタル酸エステル系可塑剤(b1)及び/又は脂環式エステル系可塑剤(b2)を50質量%以上含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプラスチゾル。
- 成分(C)の含有量が、成分(A)100質量部に対して、1〜3質量部である請求項1〜4のいずれか一項に記載のプラスチゾル。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載のプラスチゾルを加熱して得られるゲル化物。
- 基材上に、請求項6記載のゲル化物を有する物品。
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