JP2008231377A - アクリル系重合体微粒子及びアクリル系プラスチゾル組成物 - Google Patents

アクリル系重合体微粒子及びアクリル系プラスチゾル組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】貯蔵時においてゲル化を抑制しゾル状を維持することができる貯蔵安定性に優れ、環境負荷を低減し、優れたチッピング性や強度を有する皮膜や成形体を与えることができるアクリル系重合体粒子や、アクリル系プラスチゾル組成物を提供する。
【解決手段】t−ブチルメタクリレート単位0.1〜49質量%と、炭素数2〜8アルコールの(メタ)アクリレート単位15〜73.9質量%と、その他の単量体単位36〜84.9質量%とを含む系重合体であって、一次粒子径が10μm以下であるアクリル系重合体微粒子、及びそれを含むプラスチゾル組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は可塑剤と混合してプラスチゾルを形成するアクリル系重合体微粒子及びアクリル系プラスチゾル組成物に関する。詳しくは、貯蔵安定性に優れ、環境負荷が低くチッピング性が良好な皮膜を形成し得るアクリル系重合体微粒子及びアクリル系プラスチゾル組成物に関する。
熱可塑性樹脂の微粒子(パウダー)を可塑剤に分散したゾル状の材料はプラスチゾルと呼ばれ、常温で高い流動性を有し加熱すると短時間でゲル化する。プラスチゾルは、塗布や注型等の作業を常温で行い加熱して塗膜や成形体を容易に成形することができ、成形体に要請される柔軟性やゴム弾性等の諸物性を配合する可塑剤やその量等により任意に調整可能であることから、種々の産業分野において用いられている。
この種のプラスチゾルとして、塩化ビニル系重合体粒子を使用した塩化ビニル系プラスチゾル(塩ビゾル)は、強靭、且つ柔軟性を有する塗膜や成形体を与えることから、自動車アンダーコート、自動車ボディーシーラー等の用途では優位的に使用されている。しかしながら、塩ビゾルは、近年になり塩素原子に由来する地球環境への負荷が問題となり、塩ビ製品を焼却する際の焼却炉の損傷や、酸性雨の要因となることから、その使用が問題視されている。これに対し(メタ)アクリル系重合体粒子を用いたアクリル系プラスチゾル(アクリルゾル)は塩素原子を含有せず、環境負荷を著しく低減することが可能であり、塩ビゾルに替わる材料として注目を集めている。
しかしアクリルゾルの場合、塩ビゾルでは実現できていた諸性能が満足に実現できないという欠点が指摘されていた。特に近年、自動車分野におけるアンダーコート材においては、より薄膜タイプのものが求められるようになった結果、薄膜タイプであっても十分な物性を維持できるよう、更にチッピング性が向上した皮膜が得られるアクリルゾルの要請が高い。
この種のアクリルゾルとしては、コア・シェル構造にすることで貯蔵安定性と可塑剤保持性に優れたゲル化塗膜を与えるアクリルゾル(特許文献1)が報告されている。しかしこのアクリルゾルによっては、自動車アンダーコート材の薄膜タイプのようなより厳しい条件下での使用に対し十分な物性を維持する皮膜を与えることは難しい。
また、特定のアクリル共重合体を用いることにより、貯蔵安定性と製膜性を両立させたアクリルゾル組成物(特許文献2)が報告されている。しかしこのアクリルゾル組成物では、アクリル共重合体の平均粒子径は40μm程度と大きく、塗膜を形成した場合に表面の平滑性が失われるという弊害がある。さらに自動車アンダーコート材等の塗布工程においてはスプレッドコーティング法と呼ばれる非常に高い剪断がかかる方法が使用されるため、プラスチゾルには高いチキソ性が要求される。この場合、平均粒子径が40μmでは粒子径が大きすぎるため十分なチキソ性が発現しないという弊害がある。
また、ある限定された可塑剤を用いることにより、アクリル系重合体微粒子であっても良好な物品を提供できるプラスチゾル組成物(特許文献3)が報告されている。このプラスチゾル組成物を用いて得られる塗膜は物性良好であるものの、使用できる可塑剤が限定され、例えばDINP(ジイソノニルフタレート)といった安価で汎用の可塑剤が使用できないといった弊害がある。
WO00/01748 特開平7−102147号公報 WO03/004568
本発明の課題は、貯蔵時においてゲル化を抑制しゾル状を維持することができる貯蔵安定性に優れ、環境負荷を低減し、優れたチッピング性や強度を有する皮膜や成形体を与えることができるアクリル系重合体粒子や、アクリル系プラスチゾル組成物を提供することにある。ここでチッピング性とは、自動車走行時に小石等の跳ねにより生じるひび割れ、削れ等の発生を抑制することができる性質である。
本発明者らは鋭意研究を行った結果、チッピング性能は塗膜の可塑化状態及び溶融性に大きく依存し、さらに溶融性と貯蔵安定性を両立させるためには特定のモノマーを所定量含み、かつ粒子径をある範囲内に限定することで上記の課題が解決されることを見い出した。
即ち、本発明は、t−ブチルメタクリレート単位0.1〜49.0質量%と、t−ブチルメタクリレート単位を除く炭素数2〜8アルコールの(メタ)アクリレート単位15.0〜73.9質量%と、その他の単量体単位36.0〜84.9質量%とを含むアクリル系重合体の微粒子であって、一次粒子径が10μm以下であるアクリル系重合体微粒子に関する。
また、本発明は、上記プラスチゾル用アクリル系重合体微粒子を含むアクリル系プラスチゾル組成物に関する。
本発明のアクリル系重合体粒子や、これを用いたアクリル系プラスチゾル組成物は、貯蔵時においてゲル化を抑制しゾル状を維持することができる貯蔵安定性に優れ、環境負荷を低減し、優れたチッピング性や強度を有する皮膜や成形体を与えることができる。
本発明のアクリル系重合体粒子に用いるアクリル系重合体は、t−ブチルメタクリレート単位0.1〜49.0質量%を含むものである。t−ブチルメタクリレートはn−ブチルメタクリレートやi−ブチルメタクリレート等と比較して高いガラス転移温度を有しており、t−ブチルメタクリレート単位を含有するアクリル系重合体微粒子において可塑剤の浸入を抑制することができ、貯蔵安定性が向上する。一方で、t−ブチルメタクリレートは高いガラス転移温度を有していながら、溶解度パラメーターが小さいため、t−ブチルメタクリレート単位を有するアクリル系重合体微粒子はDINP等の汎用可塑剤によっても十分に可塑化され、チッピング性が向上する。
アクリル系重合体中のt−ブチルメタクリレート単位の含有量は、好ましくは1〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%である。アクリル系重合体中のt−ブチルアクリレートの含有量が49質量%以下であれば、塗膜を作成する際の熱履歴による分解が抑制され、塗膜中に気泡が生じるのを抑制し、チッピング性を向上させ得る。
本発明のアクリル系重合体粒子に用いるアクリル系重合体は、炭素数2〜8アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルの(メタ)アクリレート単位(但しt−ブチルメタアクリレートを除く)を含有する。炭素数2〜8アルコールの(メタ)アクリレート単位を含むアクリル系重合体微粒子は、DINP等の汎用の可塑剤により可塑化され、このため、これを用いて得られる皮膜や成形体において十分なチッピング性が発現される。アクリル系重合体微粒子中の炭素数が2〜8のアルコールの(メタ)アクリレート単位の含有量は15.0〜73.9質量%であることが必要であり、好ましくは20〜60質量%であり、さらに好ましくは30〜50質量%である。
上記炭素数2〜8のアルコールの(メタ)アクリレート単位としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、tーブチルアクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート等の直鎖アルキルアルコールの(メタ)アクリレート類、あるいはシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の環式アルキルアルコールの(メタ)アクリレート類等の単位を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
更に、上記アクリル系重合体には、上記以外のモノマー単位を36.0〜84.9質量%含有する。かかるモノマー単位としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート等の炭素数2〜8以外のアルコールの(メタ)アクリレート単位や、必要に応じて各種の官能基を有するモノマー単位が含有されていてもよい。具体的には、例えば酸基含有モノマー単位としては、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、メタクリル酸−2−サクシノロイルオキシエチル、メタクリル酸−2−ヘキサヒドロフタロイルオキシエチル等のカルボキシル基含有モノマー単位、アリルスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー単位、2−(メタ)アクリロイキシエチルアシッドフォスフェート等のリン酸基含有(メタ)アクリレート単位等を挙げることができる。
さらに、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2ーヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート単位、アセトアセトキエチル(メタ)アクリレート等のカルボニル基含有(メタ)アクリレート単位、N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート単位等を挙げることができる。
また、必要に応じてアクリル系重合体中に架橋を形成するモノマー単位を含有していてもよく、具体的には、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート単位等の多官能モノマー単位を挙げることができる。架橋の程度としては、加熱時に重合体が可塑剤によって十分に溶融されてゲル化成膜ができる範囲にとどめる必要があり、架橋量は0.1質量%以下であることが好ましい。
さらに、アクリル系重合体中には、補助的な単位として、アクリルアミド及びその誘導体として例えばジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド等、(メタ)アクリロニトリル、さらにはスチレン及びその誘導体、酢酸ビニル、ウレタン変性アクリレート、エポキシ変性アクリレート、シリコーン変性アクリレート等の特殊なモノマー単位を含有していてもよい。
その他の単量体の含有量は、40〜79質量%が好ましく、更に好ましくは40〜60質量%である。
上記アクリル系重合体の分子量としては、重量平均分子量が5万〜400万であることが好ましく、10万〜300万であることがより好ましく、30万〜200万の範囲であることが特に好ましい。その理由は、分子量が高すぎると可塑化されにくくなるため、通常の熱履歴では十分な物性が発現しないからである。一方で分子量が低すぎると、貯蔵安定性が顕著に低下するからである。
上記アクリル系重合体微粒子は、その一次粒子構造がコア/シェル構造であることが好ましい。アクリル系重合体微粒子がコア/シェル構造を有し、シェル部が可塑剤に対して非相溶の成分で構成され、コア部が可塑剤に対して相溶性のある成分で構成されることにより、貯蔵安定性が向上したアクリル系プラスチゾルを与え、これを加熱、成膜させた後の可塑剤のブリードアウトを抑制することができる。このようなコア/シェル構造のアクリル系重合体微粒子においては、コア、シェルのそれぞれが、t−ブチルメタクリレート単位0.1〜49.0質量%と、炭素数2〜8アルコールの(メタ)アクリレート単位15.0〜73.9質量%と、その他の単量体単位36.0〜84.9質量%とを含む必要はなく、アクリル系重合体微粒子の一次粒子全体において、これらの成分を含有していればよい。
また、コア/シェル構造を有する場合、コアとシェルのそれぞれで分子量を変えることも可能である。この場合も、分子量は前述の範囲内であることが好ましく、さらに可塑化効率の点から、シェルの分子量をコアの分子量より低くする方が望ましい。
上記アクリル系重合体微粒子の一次粒子径は、10μm以下であり、好ましくは8μm以下であり、より好ましくは5μm以下である。一次粒子径が10μm以下であれば、得られる塗膜において平滑性を有し、外観不良となるのを抑制することができ、溶融過程において容易に可塑化することができ、チッピング性の低下を抑制することができる。
ここで一次粒子径は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920(HORIBA製)を用いて測定した測定値を採用することができる。
上記アクリル系重合体微粒子は、乾燥粉体としての性状や構造は問わない。例えば、一次粒子が凝集して二次粒子を形成していてもよく、それ以上の高次構造を有していてもよいが、凝集粒子の場合、可塑剤中で一次粒子が容易に均一な分散状態を形成するよう、一次粒子同士が強固に結合していないことが好ましい。
また、本発明のアクリル系重合体微粒子の製造方法としては、t−ブチルメタクリレートと、炭素数2〜8アルコールの(メタ)アクリレートとをこれらの単位の含有量が上記範囲となるように使用し、必要に応じてこれらと共重合可能な接着剤成分等の単量体、各種添加物等を用い、乳化重合法、ソープフリー重合法、縣濁重合法、微細縣濁重合法、分散重合法等により重合してアクリル系重合体を得る。これらの重合法のうち、乳化重合法あるいはソープフリー重合法が、コア/シェル構造など粒子の構造を容易に制御することができるため、好ましい。得られるアクリル系重合体を、噴霧乾燥法、酸凝固や塩凝固とそれに続く乾燥プロセス、凍結乾燥法、遠心分離法を用いて粉体化し、メタアクリル系重合体微粒子を得ることができる。
上記コア/シェル構造のアクリル系重合体微粒子を得るためには、コアを形成する単量体を乳化重合法等により重合して得た重合体を含有するラテックス中に、シェルを形成する単量体を添加して重合する方法等を挙げることができる。
本発明のアクリル系プラスチゾル組成物は、上記アクリル系重合体微粒子を可塑剤と共に含有するものである。本発明のアクリル系プラスチゾル組成物中には上記アクリル系重合体微粒子を1種又は2種以上含有していてもよい。
上記可塑剤としては、具体的には、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート等のフタル酸エステル系可塑剤;ジメチルアジペート、ジブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジヘキシルアジペート、ジー2−エチルヘキシルアジペート、ジイソノニルアジペート、ジブチルジグリコールアジペート等のアジピン酸エステル系可塑剤;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート等のリン酸エステル系可塑剤;トリ−2−エチルヘキシルトリメリテート等のトリメリット酸エステル系可塑剤;ジメチルセバケート、ジブチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート等のセバチン酸エステル系可塑剤;ポリ−1,3−ブタンジオールアジペート等の脂肪族系ポリエステル可塑剤;ジエチレングリコールジベンゾエート、ジブチレングリコールジベンゾエート等の安息香酸系可塑剤;エポキシ化大豆油等のエポキシ化エステル系可塑剤;アルキルスルホン酸フェニルエステル等のアルキルスルホン酸フェニルエステル系可塑剤;脂環式二塩基酸エステル系可塑剤;ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテル系可塑剤;クエン酸アセチルトリブチル等のクエン酸系可塑剤等を挙げることができる。これらは上記のように1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これらのうち、溶解度パラメーター、経済性、安全性、入手のし易さの観点から、ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、メザモール、クエン酸アセチルトリブチルを主成分として用いることが好ましい。これらの可塑剤は、そのいずれか1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のアクリル系プラスチゾル組成物中の上記アクリル系重合体微粒子と、可塑剤の含有比は、アクリル系重合体微粒子100質量部に対し、30〜500質量部、好ましくは50〜300質量部、さらには60〜150質量部であることが特に好ましい。使用する可塑剤量が500質量部以下であると、最終製品からの可塑剤のブリードアウトの発生を抑制することができ、30質量部以上であれば、可塑化が十分に進行し、目的とする物性を備えた成形体を得ることができる。
更に、本発明のアクリル系プラスチゾル組成物は、上記成分の機能を阻害しない範囲において、必要に応じて充填剤、接着剤等を含有していてもよい。充填剤としては、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、パーライト、クレー、コロイダルシリカ、マイカ粉、珪砂、珪藻土、カオリン、タルク、ベントナイト、ガラス粉末、酸化アルミニウム、フライアッシュ、シラスバルーン等を挙げることができ、その含有量は目的によって適宜選択することができる。
接着剤としては、プラスチゾル組成物により皮膜を形成する基材によって、適宜選択することができ、基材が電着板や鋼板の場合、エポキシ樹脂、ブロックウレタン樹脂、ポリアミン等の接着剤を用いることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。接着剤の含有量はアクリル系重合体微粒子100質量部に対して0.1〜100質量部が好ましく、0.5〜50質量部がより好ましい。更にこれらの接着剤の硬化剤として、エポキシ樹脂の場合、酸無水物、イミダゾール化合物等、ブロックウレタン樹脂の場合は、ジヒドラジド化合物等を含有していてもよい。
その他、本発明のアクリル系プラスチゾル組成物には、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料、さらにミネラルターペン、ミネラルスピリット等の希釈剤、さらに消泡剤、防黴剤、防臭剤、抗菌剤、界面活性剤、滑剤、紫外線吸収剤、香料、レベリング剤等を上記成分の機能を阻害したい範囲で含有させることができる。
また、本発明のアクリル系プラスチゾル組成物は、貯蔵時においては安定してゾル状を維持し、加熱時に高速でゲル化する優れたゲル化性を有し、しかも可塑剤中に容易に均一に分散し、優れたチッピング性や強度を有する皮膜や成形体を与えることができ、従来塩ビゾルが用いられていた用途分野をはじめ、ひろく利用可能である。具体的には、自動車アンダーコート、自動車ボディーシーラ、自動車マスチック接着剤、タイルカーペットバッキング材、クッションフロア、壁紙、鋼板塗料、玩具、手袋、食品サンプル、靴、建材用等各種接着材、各種シーラ、ガスケット、防水シート、自動車内層表皮材、帆布、テーブルクロス、合成皮革、消しゴム、スクリーン印刷用塗料等を挙げることができる。
以下に、本発明を実施例により詳述する。本発明の技術的範囲はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
アクリル系重合体微粒子(A)の調製
温度計、窒素ガス導入管、攪拌棒、滴下漏斗、冷却管を装備した2Lの4つ口フラスコに純水560.0gを入れ、30分間十分に窒素ガスを通気し、純水中の溶存酸素を置換した。窒素ガス通気を停止した後、メチルメタクリレート37.1g、tert−ブチルメタリレート2.8gを入れ、200rpmで攪拌しながら80℃に昇温した。内温が80℃に達した時点で、10.0gの純水に溶解した過硫酸カリウム0.35gを一度に添加し、ソープフリー重合を開始した。そのまま80℃にて攪拌を60分継続した。
引き続き、第1滴下としてモノマー(メチルメタクリレート277.8g、i−ブチルメタクリレート212.2g、)と乳化剤(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム2.4g)及び純水245.0gを混合攪拌して乳化させたものを、2時間半かけて滴下し、引き続き80℃にて1時間攪拌を継続して、重合体ラテックスを得た。次いで第2滴下として、モノマー(メチルメタクリレート130.6g、t−ブチルメタクリレート79.5g)と乳化剤(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム1.0g)及び純水105.0gを混合攪拌して乳化させたものを1時間半かけて滴下し、引き続き80℃にて1時間攪拌を継続して、重合体ラテックスを得た。得られた重合体ラテックスを室温まで冷却した後、300メッシュで濾過し、スプレードライヤー(大川原化工機(株)製、CL−8型)を用いて、入口温度150℃、出口温度65℃、アトマイザ回転数20000rpmで噴霧乾燥し、アクリル系重合体微粒子(A)を得た。
[重合体粒子の粒子径]
レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920(HORIBA製)を用いて得られた重合体粒子の粒子径を測定した。粒子径は、メジアン径(体積基準)を用いた。ポリマーと分散媒の相対屈折率はすべて1.12とした。分散媒にはイオン交換水を用いた。結果を表1に示す。
[実施例2]
表1に記載のモノマー組成に変更し、コア/シェル比が異なるため、第1滴下、第2滴下ともそれぞれ2時間半かけて滴下した他は、モノマーに対する乳化剤の添加量比等は実施例1と同様にして重合体ラテックスを得て、噴霧乾燥の条件等実施例1と同様にしてアクリル系重合体微粒子(B)を得て、粒子径を測定した。結果を表1に示す。
[実施例3]
表1に記載のモノマー組成に変更し、3段滴下目を表1に記載のモノマー組成にて30分かけて滴下した他は、モノマーに対する乳化剤の添加量比等は実施例1と同様にして重合体ラテックスを得て、噴霧乾燥の条件等実施例1と同様にしてアクリル系重合体微粒子(C)を得て、粒子径を測定した。結果を表1に示す。
[比較例1、2]
表1に記載のモノマー組成に変更し、比較例1は1段滴下であり、モノマーを5時間かけて滴下し、比較例2は、第1滴下、第2滴下ともそれぞれ2時間半かけて滴下した他は、モノマーに対する乳化剤の添加量比等は実施例1と同様にして重合体ラテックスを得て、噴霧乾燥の条件等実施例1と同様にして、それぞれアクリル系重合体微粒子(D)、(E)を得て、粒子径を測定した。結果を表1に示す。
[比較例3]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌棒、滴下漏斗、冷却管を装備した2Lの4つ口フラスコに純水1200.0gを入れ、30分間十分に窒素ガスを通気し、純水中の溶存酸素を置換した。窒素ガス通気を停止した後、メチルメタクリレート80.0g、tert−ブチルメタクリレート100.0g、メタクリル酸20.0gアゾビスイソブチロニトリル0.4g、n−ドデシルメルカプタン0.1g、硫酸ナトリウム2.05g、及び分散剤6.7gを仕込み、450rpmで攪拌しながら75℃で2.5時間懸濁重合を行ったのち、90℃に昇温し1時間保持した。得られた懸濁液をろ過、水洗、乾燥して平均粒径41μmのアクリル系重合体微粒子を得て、粒子径を測定した。結果を表1に示す。
[プラスチゾルの調製]
可塑剤1(ジ2−エチルヘキシルフタレート)180g、可塑剤2(アルキルスルフォン酸フェニル系可塑剤(バイエル社製、商品名「Mesamoll」
)20g、炭酸カルシウム日東粉化工業(株)製、商品名「NS#200」)100g、表面処理炭酸カルシウム(白石工業(株)製、商品名「白艶華CCR」)150g、及びアジピン酸ジヒドラジド(大塚化学(株)製、商品名「アジピン酸ジヒドラジド」)2.0g、ブロックウレタン(三井化学ポリウレタン(株)製、商品名「タケネートB−7040」)40gを計量し、真空ミキサー((株)シンキー製ARV−200)にて脱泡攪拌(10秒間大気圧で混合した後、20mmHgに減圧して110秒間混合)を行った。炭酸カルシウムが十分に均一に分散したことを確認した後、続いて上記実施例1〜3、比較例1〜3によりえられたアクリル系重合体微粒子100質量部を量りいれ、再び真空ミキサーにて脱法攪拌(10秒間大気圧で混合した後、20mmHgに減圧して50秒間混合)を行い、均一なプラスチゾル組成物を得た。得られたプラスチゾル組成物について、以下の方法により貯蔵安定性を評価した。結果を表1に示す。
[貯蔵安定性]
得られたプラスチゾル組成物を25℃の恒温槽で2時間保温した後、B8H型粘度計((株)東京計器製、ローターNo.7)にて粘度測定を行い、これを初期の粘度とした。その後、40℃の恒温室にて5日間保温した後、再び取り出し25℃の恒温槽で2時間保温した後、粘度を測定した。プラスチゾルの増粘率を以下のようにして計算し貯蔵安定性を評価した。結果を表1に示す。
{(5日後の粘度/初期の粘度)−1}×100(%)
尚、「−(マイナス)」は初期粘度より低下したことを意味する。
◎:−10%未満
○:−10以上0%未満
△:0%以上50%未満
×:50%以上〜粘度測定不能(ゲル化)。
[強度]
得られたプラスチゾル組成物を、テフロンコーティングした鉄板上に2mm厚で塗布し、130℃のオーブン中2時間で加熱ゲル化させ塗膜を成形した。この塗膜をダンベル2号形状に打ち抜き、試験片を得た。これを23℃環境下で引張試験を行い、塗膜の強度を測定した。測定には(株)島津製作所製の引張測定装置(商品名「AG−IS 5KN」)を用い、試験速度を200mm/分とした。得られた結果を基に、強度について以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
◎:2.3MPa以上
○:2.0MPa以上2.3MPa未満
△:1.0MPa以上2.0MPa未満
×:1.0MPa以下。
[チッピング性]
電着塗装された自動車用鋼板(日本ルートサービス(株)製、商品名:「電着板P
N−310」)に、得られたプラスチゾル組成物をウェット厚1mmになるようにキャストし、これを130℃のギヤーオーブンで20分間加熱してゲル化させた。室温にて一日放置後、塗膜に縦1mm間隔×横2mm間隔でカッターナイフにより碁盤目状に切り込みを入れ、試験板とした。試験板を斜め60°で設置し、真鍮製のナットM−4を管径20mmの筒を通じて垂直方向高さ2mより落下させ、その素地が現れるまでの総重量(kg)を計測した。結果を表1に示す。
◎:50kg以上
○:40kg以上
△:30kg以上40kg未満
×:30kg以下。
[ブリード]
得られた塗膜を室温下1週間放置し、その後目視によりブリードが発生しているか否かを確認した。結果を表1に示す。
Figure 2008231377
MMA:メチルメタクリレート
iBMA:iso−ブチルメタクリレート
tBMA:tert−ブチルメタクリレート
MAA:メタクリル酸

結果から、重合体(A)を用いた実施例1の結果は、チッピング性能:62kg、貯蔵安定性:−15%、塗膜の強度:2.5MPaであり、大変良好であった。塗膜の外観も良好であり、ブリードも観測されなかった。
実施例2、3も同様、チッピング性能、貯蔵安定性など、物性全ての項目において良好であった。
比較例1は均一系であり(コア/シェル構造ではない)、炭素数が2〜8のアルコールの(メタ)アクリレート単位の含有量は13.8wt%であり、汎用可塑剤DINPにおいては可塑剤保持性が十分でなく、貯蔵安定性は良好であったが、十分に可塑化が進行せず、チッピング性能は非常に低位であった。さらに塗膜表面にはブリードが発生していた。
比較例2は、アクリル系重合体微粒子にt−ブチルメタクリレート単位を含有しないものであり、塗膜の外観は良好であり、ブリードは観測されなかったが、チッピング性能は13kgと非常に低位であった。
比較例3は、均一系でt−ブチルメタクリレート単位を50%以上含み、かつ粒子径が41umであり、貯蔵安定性は低位であった。t−ブチルメタクリレート単位を50質量%以上含んでいるため、熱履歴によってt−ブチルメタクリレートの分解によると考えられる異常発泡が生じた。その結果チッピング性能の低下、塗膜強度の低下も併発していた。

Claims (2)

  1. t−ブチルメタクリレート単位0.1〜49.0質量%と、t−ブチルメタクリレート単位を除く炭素数2〜8アルコールの(メタ)アクリレート単位15.0〜73.9質量%と、その他の単量体単位36.0〜84.9質量%とを含むアクリル系重合体の微粒子であって、一次粒子径が10μm以下であるアクリル系重合体微粒子。
  2. 請求項1に記載のプラスチゾル用アクリル系重合体微粒子を含むアクリル系プラスチゾル組成物。
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