JP2008063368A - アクリル系重合体微粒子、その製造方法、プラスチゾル組成物及びその応用 - Google Patents

アクリル系重合体微粒子、その製造方法、プラスチゾル組成物及びその応用 Download PDF

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Abstract

【課題】可塑剤中での分散性に優れたプラスチゾル用のアクリル系重合体微粒子の製造法を提供する。また、その重合体微粒子を用いた貯蔵安定性に優れたプラスチゾル組成物及びその被覆物品並びに成形品を提供する。
【解決手段】カルボキシル基、燐酸基、スルホン酸基、水酸基、カルボニル基、エポキシ基より選ばれる少なくとも1種の官能基を有するアクリル系不飽和単量体を0.1質量%以上含有する単量体の水系乳化重合によるアクリル系重合体のエマルションを乾燥処理して得られる、一次粒子同士が40%以上の解砕度で凝集したプラスチゾル用のアクリル系重合体微粒子及びその製造方法。上記重合体微粒子及び可塑剤を含むプラスチゾル組成物。プラスチゾル組成物を塗布した後に、硬化させて得られた被覆層を有する物品及び成形して得られた成形品。
【選択図】なし

Description

本発明はプラスチゾル用のアクリル系重合体微粒子に関する。また、本発明はアクリル系重合体微粒子を可塑剤に分散させたプラスチゾル組成物に関する。更に本発明はプラスチゾル組成物を用いて得られた被覆層を有する物品又は成形品に関する。
重合体微粒子を可塑剤に分散させたプラスチゾル組成物は一般にペーストレジンと称され、現在工業的に広く用いられている。具体的には、自動車、床材、壁紙、鋼板等の各種用途に使用する被覆材、又はスラッシュ成形、ディップ成形、ローテーション成形等の各種成形用の材料として用いられている。特に、重合体微粒子として塩化ビニル系重合体微粒子を用いた塩化ビニル系プラスチゾル組成物が広く使用されている。
しかしながら、塩化ビニル系重合体は、例えば、低温で焼却すると猛毒物質であるダイオキシンが発生する問題を有している。この問題を解消するものとして、特許文献1には重合体微粒子としてアクリル系重合体のエマルションを噴霧乾燥して得られる微粒子を用いたアクリル系プラスチゾル組成物が提案されている。
アクリル系プラスチゾル組成物は、近年、ゾルインキ、マーキングフィルム、自動車や鋼板用被覆材、各種成形品等の分野において使用されており、要求される性能は高くなっている。
印刷用又は被覆用のゾルインキはスクリーンメッシュを通して使用される。ゾルインキを製造する場合、重合体の分散液を乾燥して得られる重合体粒子の凝集物の解砕性が不足すると、未解砕粒子がメッシュに詰まり、これによって生産性の低下及び成形品の外観低下が生じる。
また、ナイフコーターで基材フィルム上にゾル組成物を薄く塗工してマーキングフィルムを製造する場合、ゾルインキと同様、未解砕粒子がナイフコーター部に詰まり、これによって生産性の低下及び成形品の外観低下が生じる。
更に、自動車、鋼板等の用途に使用する被覆材においては金属基材との接着性が要求される。この場合、接着成分である重合体粒子の凝集物の解砕性が不足すると、基材と接着成分との接触面積が低下し、接着力が低下する傾向にある。
また、重合体粒子の凝集物の解砕性が不足すると、可塑剤が凝集物内部まで十分に浸透せず、また、ゾル組成物を加熱する際の熱が凝集物内部まで十分に伝熱されず、成膜性が不良となり、成形品の機械的物性が低下する原因になる。
これら問題点を解決するために、重合体粒子の凝集物の解砕性の向上が求められている。
WO2000/01748号公報
本発明の目的は、可塑剤中での重合体微粒子の分散性及びプラスチゾル組成物の貯蔵安定性に優れ、且つプラスチゾル組成物の硬化被覆層を有する物品並びに成形品に優れた物性を発現させることができるプラスチゾル用のアクリル系重合体微粒子及びその製造法を提供することにある。また、本発明の目的はプラスチゾル用のアクリル系重合体微粒子を用いたプラスチゾル組成物及びその硬化被覆層を有する物品並びに成形品を提供することにある。
前記課題を解決するための第1の発明は、カルボキシル基、燐酸基、スルホン酸基、水酸基、カルボニル基、エポキシ基より選ばれる少なくとも1種の官能基を有するアクリル系不飽和単量体(以下、「単量体X」という)を0.1質量%以上含有する単量体の水系乳化重合によるアクリル系重合体のエマルションを乾燥処理して得られる、一次粒子同士が40%以上の解砕度で凝集したプラスチゾル用のアクリル系重合体微粒子である。
また、第2の発明は、水溶性無機塩(A)及び有機金属塩(B)より選ばれる少なくとも1種の塩化合物の存在下で単量体Xを0.1質量%以上含有する単量体を水系乳化重合し、次いで、得られたアクリル系重合体のエマルションを乾燥処理する、一次粒子同士が40%以上の解砕度で凝集したプラスチゾル用のアクリル系重合体微粒子の製造方法である。
更に、第3の発明はアクリル系重合体微粒子及び可塑剤を含むプラスチゾル組成物である。
また、第4の発明はプラスチゾル組成物を塗布した後に硬化させて得られた被覆層を有する物品であり、第5の発明はプラスチゾル組成物を成形して得られた成形品である。
本発明により、可塑剤中での分散性に優れたアクリル系重合体微粒子及び貯蔵安定性に優れたプラスチゾル組成物が得られる。また、本発明のプラスチゾル組成物を使用することによりスクリーン印刷法、ナイフコーター等を使用するコーティング法等の加工方法を利用する場合に目詰まりの発生が抑えられ、生産性の向上が計れ、且つ、平滑性に優れた被覆層を有する物品が得られる。また、金属基材との接着性及び機械的物性に優れた成形品が得られ、自動車、鋼板等の各種用途に好適である。
本発明のアクリル系重合体微粒子は、アクリル系重合体のエマルションを乾燥処理することによりアクリル系重合体の一次粒子同士が凝集した、粒子凝集物である。
アクリル系重合体は単量体を水分散媒中で水系乳化重合して得られる。
アクリル系重合体の質量平均分子量は得られる成形品の強度及び成形性の点から5万以上が好ましく、10万以上がより好ましく、20万以上が特に好ましい。
本発明において、原料である単量体は単量体Xを含有し、目的に応じてその他のアクリル系不飽和単量体やその他の不飽和単量体を含有することができる。
単量体Xは単量体中に0.1質量%以上含有されることにより、解砕性に優れたアクリル系重合体微粒子及び貯蔵安定性に優れたプラスチゾル組成物が得られ、金属基材への接着性に優れたプラスチゾル組成物の硬化物が得られる。
単量体Xの含有量の下限値は単量体中に0.2質量%以上が好ましく、0.4質量%以上がより好ましい。また、上限値は25質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下が特に好ましい。
単量体Xの具体例としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸等のカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート等の燐酸基含有エチレン性不飽和単量体類;アリルスルホン酸等のスルホン酸基含有エチレン性不飽和単量体;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等のヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸アセトアセトキエチル等のカルボニル基含有(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、アクリル酸4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類等が挙げられる。これらは1種で又は2種以上を併用して使用してもよい。中でも、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸アセトアセトキエチル、(メタ)アクリル酸グリシジルは接着性を向上させる点で好ましい。また、これら単量体は容易に入手することができ、工業生産の点で好ましい。尚、(メタ)アクリル酸エステルとはアクリル酸エステルとメタクリル酸エステルの総称である。
その他のアクリル系不飽和単量体の具体例としては(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル等の直鎖アルキルアルコールの(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の環式アルキルアルコールの(メタ)アクリル酸エステル類等が挙げられる。中でも、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルは容易に入手することができ、工業生産の点で好ましい。
その他の不飽和単量体の具体例としては(メタ)アクリル酸N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N−ジエチルアミノエチル等のアミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド;ウレタン変性(メタ)アクリル酸エステル類;シリコーン変性(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。
アクリル系重合体のエマルションの製造方法としては公知の水系乳化重合方法が挙げられる。
水系乳化重合においては、水溶性無機塩(A)及び有機金属塩(B)より選ばれる少なくとも1種の塩化合物の存在下で重合することが好ましい。塩化合物の存在により、単量体を重合する際に単量体の水への溶解性を低下させる効果と電荷中和による水溶性重合体の生成を抑制する効果が得られると考えられる。
本発明で使用される塩化合物は容易に入手可能であり、また、水又は単量体への溶解性に優れている傾向にあり、好ましい。更に、塩化合物を使用することでアクリル系重合体微粒子同士の静電気を抑制できることから、粉体としての取り扱い性が向上し易い。
水溶性無機塩(A)の具体例としては、塩化カリウム、硫酸カリウム、炭酸カリウム等のカリウム塩類;塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム等のナトリウム塩類;硫酸マグネシウム等のマグネシウム塩類;硫酸カルシウム等のカルシウム塩類;塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等のアルミニウム塩類;硫酸亜鉛等の亜鉛塩類;硫酸マンガン等のマンガン塩類が挙げられる。この中で、得られるアクリル系重合体の分子量を低下させる効果が小さく重合中の一次粒子同士の凝集が少ないことから、塩化カリウム、硫酸カリウム及び硫酸ナトリウムが好ましい。
有機金属塩(B)の具体例としては、オクチル酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛等の亜鉛塩類;オクチル酸カルシウム、ナフテン酸カルシウム等のカルシウム塩類;オクチル酸マンガン等のマンガン塩類;オクチル酸アルミニウム等のアルミニウム塩類が挙げられる。中でも、単量体への溶解性に優れており、また、重合時の一次粒子同士の凝集が少ないことからオクチル酸亜鉛が好ましい。
塩化合物の添加量は、単量体の組成、量及び重合に使用する水の量によって適正な量を選択できる。例えば、水溶性の高い単量体の水中への溶解性を低下させてアクリル系重合体微粒子の解砕性を向上させる点から、塩化合物の添加量の下限値は重合に用いる水100質量部に対して0.005質量部以上が好ましく、0.01質量部以上が更に好ましく、0.02質量部以上が特に好ましい。また、塩化合物の添加量の上限値は、重合時の粒子同士の凝集が少なくなることから、水100質量部に対して3質量部以下が好ましく、2質量部以下が更に好ましく、1質量部以下が特に好ましい。
乳化剤としては、公知の各種アニオン性、カチオン性及びノニオン性の乳化剤、更には高分子乳化剤等が挙げられる。また、乳化剤成分中にエチレン性不飽和結合を持つ、いわゆる反応性乳化剤も使用できる。
乳化剤を使用してミセルの存在下で通常の乳化重合すると粒子径が小さくなるため、シード粒子の重合法としてはソープフリー乳化重合法が好ましい。
また、シード粒子に単量体を吸収させて塩化合物の存在下で重合させる工程を少なくとも1回行うことにより、一次粒子の粒子径を大きくすることができ、また、水溶性重合体の副生を抑制できるので好ましい。
塩化合物の添加方法としては、例えば、単量体と水と乳化剤の乳化液中に塩化合物を予め溶解させ、この乳化液を滴下する方法、単量体と水と乳化剤の乳化液及び塩化合物の水溶液若しくは水分散液を別々に滴下法等により添加する方法が挙げられる。
重合開始剤としては水分散媒に可溶な重合開始剤が挙げられる。例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩が挙げられ、一次粒子の凝集を抑制する点で過硫酸カリウムを使用することが好ましい。
重合開始剤の使用量は任意に設定することができる。例えば、アクリル系重合体の分子量を高くすると被覆層を有する物品又は成形品の強度が向上することから、重合開始剤の使用量の上限値は単量体100質量部に対して3質量部以下が好ましく、1質量部以下が更に好ましく、0.5質量部以下が特に好ましい。また、下限値は重合安定性の点から、単量体100質量部に対して0.001質量部以上が好ましく、0.005質量部以上が更に好ましく、0.01質量部以上が特に好ましい。
一次粒子の体積平均粒子径(体積平均一次粒子径)は可塑剤中での分散性の点で300nm以上が好ましい。プラスチゾル組成物の粘度及び貯蔵安定性の点で、体積平均一次粒子径は350nm以上がより好ましく、400nm以上が特に好ましい。また、一次粒子が沈殿せずに安定に分散する点から、体積平均一次粒子径は3μm以下が好ましい。
一次粒子の粒子構造としては、単一構造、多段重合で得られる2層以上のコア/シェル構造等の公知の構造が挙げられる。
その中でも、種々の必要物性を満足させる上で2層以上のコア/シェル構造が好ましい。例えば、可塑剤との相溶性が高い重合体組成のコア層と、可塑剤との相溶性が低い重合体組成のシェル層からなるコア/シェル構造の一次粒子が凝集したアクリル系重合体微粒子を用いたプラスチゾル組成物は貯蔵時に粘度の経時変化が低くなる傾向にある。また、このプラスチゾル組成物を用いた成形品は可塑剤のブリードアウトが小さく、且つ高強度のものが得られる傾向にある。
ここで、可塑剤との相溶性が高い重合体組成とは、可塑剤と重合体を1対1の質量比で混練したものを130〜200℃の成形温度で成形した時に、60分経過後においても成形品から可塑剤のブリードアウトが認められない重合体組成をいう。
また、可塑剤との相溶性が低い重合体組成とは、可塑剤と重合体を前記と同様の質量比で混練したものを成形して得られた成形品から60分経過後に可塑剤のブリードアウトが多く認められる重合体組成をいう。
一次粒子のシェル層を可塑剤との相溶性が低い重合体組成にするためには、シェル層の原料となる単量体中に単量体Xを含有させることが好ましい。また、コア層及び/又はシェル層の原料となる単量体中に単量体Xを含有させることにより、プラスチゾル組成物を塗布した後に、硬化させて得られた被覆層は金属板等の基材に対して良好な接着性を有する。
シェル層を可塑剤との相溶性が低い重合体組成にすること及び金属板等の基材に対して良好な接着性を有するプラスチゾル組成物の硬化物を得る点で、単量体Xとしてはカルボキシル基、水酸基、カルボニル基、エポキシ基より選ばれる官能基を有する単量体の組み合わせが好ましい。
単量体Xは水に対する溶解性が高いので、重合時に単量体の一部が粒子内に吸収されないで水中で重合される。その結果、水溶性重合体が副生される。水溶性重合体を含有するエマルションを乾燥して重合体微粒子の粉体を得る場合、水溶性重合体が一次粒子同士を結合させるバインダーとなり、粒子凝集物の解砕性が悪くなる。従って、粒子凝集物の解砕性を向上させるためには、水溶性重合体の副生を抑制することが重要となる。
また、体積平均一次粒子径が300nm以上になると粒子の表面積が低下するため、重合の際に単量体が粒子に吸収される速度が遅くなり、水溶性重合体が副生し易くなる。更に、20℃における水系分散媒に対する溶解度が3%を超える単量体を使用する場合、水溶性重合体が副生し易くなる。具体的には、メタクリル酸(20℃における水に対する溶解度∞)、アクリル酸(20℃における水に対する溶解度∞)、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(20℃における水に対する溶解度∞)、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル(20℃における水に対する溶解度∞)等が挙げられる。
水系乳化重合で製造されたアクリル系重合体の一次粒子は乾燥処理により凝集し、アクリル系重合体微粒子が得られる。後述するプラスチゾル組成物の硬化後の被覆層及び成形品表面の平滑性を考慮すると、アクリル系重合体微粒子の体積平均粒子径は100μm以下が好ましい。
乾燥処理の方法としては、例えば凝固法、スプレードライ法等の公知の方法を適宜選択できる。
スプレードライ法は、アクリル系重合体のエマルションを乾燥用加熱ガスによって乾燥器中で噴霧乾燥して粉体とする方法であるが、解砕性に優れた粒子凝集物を得る上で、乾燥用加熱ガスの乾燥室出口での温度が一次粒子の外層部を形成する重合体のガラス転移温度(以下、「Tg」という)より低いことが好ましい。
アクリル系重合体微粒子は、一次粒子同士が解砕度として40%以上、好ましくは50%以上、更に好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上で凝集している。解砕度が40%以上であるとアクリル系重合体微粒子は可塑剤に対して優れた分散性を示す。
また、三本ロールミル、ボールミル等のせん断力の強い混練機を使用せずに、せん断力の低いディゾルバに代表されるブレード型ミキサー、真空ミキサー等を使用してアクリル系重合体微粒子を解砕できる。その結果、プラスチゾル組成物の生産性が向上する。また、プラスチゾル組成物を用いて得られる被覆層の表面の平滑性に優れる。更に、プラスチゾル組成物を成形して得られた成形品の接着性及び機械的物性に優れる。
本発明において解砕度は下記式(1)で得られる値をいう。
解砕度(%)=WRD/W×100 (1)
ここで、Wは、アクリル系重合体のエマルションに出力4.3W、周波数22.5kHzの超音波を1分間照射したときの最小粒子径(dmin)から最大粒子径(dmax)までの範囲の全ての粒子の質量をいう。また、WRDは、前記のエマルションを乾燥処理して得られるアクリル系重合体微粒子を水に分散させた分散液に前記条件で超音波を照射したときの、前記範囲の粒子径を有する粒子の質量をいう。
本発明のプラスチゾル組成物はアクリル系重合体微粒子を可塑剤に分散させたものである。
可塑剤は公知のものを適宜選択して使用することができる。具体例としては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジイソノニル(以下、「DINP」という)、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸エステル系可塑剤;アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジー2−エチルヘキシル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジブチルジグリコール等のアジピン酸エステル系可塑剤;リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリブトキシエチル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリキシレニル、リン酸クレジルフェニル等のリン酸エステル系可塑剤;トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル等のトリメリット酸エステル系可塑剤;セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル等のセバシン酸エステル系可塑剤;アジピン酸ポリ−1,3−ブタンジオール等の脂肪族系ポリエステル可塑剤;エポキシ化大豆油等のエポキシ化エステル系可塑剤;アルキルスルホン酸フェニルエステル等のアルキルスルホン酸フェニルエステル系可塑剤;脂環式二塩基酸エステル系可塑剤;ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテル系可塑剤;クエン酸アセチルトリブチルが挙げられる。
可塑剤は必要に応じて1種で又は2種以上を併用して用いることができ、またその配合量は目的に応じて適宜変更することができる。
可塑剤の配合量はアクリル系重合体微粒子100質量部に対して35〜350質量部が好ましく、40〜300質量部がより好ましく、45〜250質量部が特に好ましい。
本発明のプラスチゾル組成物には用途に応じて各種の添加剤を配合できる。具体例としては、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、バライタ、クレー、コロイダルシリカ、マイカ粉、珪砂、珪藻土、カオリン、タルク、ベントナイト、ガラス粉末、酸化アルミニウム等の無機フィラー類、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料、ミネラルターペン、ミネラルスピリット等の希釈剤、オクチル酸亜鉛等の減粘剤、消泡剤、防黴剤、防臭剤、抗菌剤、界面活性剤、滑剤、紫外線吸収剤、香料、発泡剤、レベリング剤、接着剤が挙げられる。
プラスチゾル組成物は公知の方法で調製できる。例えば、アクリル系重合体微粒子及び可塑剤、必要に応じて更に添加剤を混練釜に一括で仕込んで混練する。また、より強く混練するために、まず、アクリル系重合体微粒子及び可塑剤の一部、必要に応じて更に添加剤を仕込んで混練する。次いで、これに残りの可塑剤を追加し再混練する。尚、混練中にアクリル系重合体の温度が上がるのを防ぐ目的で、予め可塑剤及び添加剤を混練しておき、これにアクリル系重合体微粒子を追加して混練してもよい。
プラスチゾル組成物を調製する機器としては公知のものが使用できる。例えば、ポニーミキサー、チェンジキャンミキサー、ホバートミキサー、プラネタリーミキサー、バタフライミキサー、らいかい機、ニーダー、三本ロールミル、ボールミル、真空ミキサーが挙げられる。
本発明の被覆層を有する物品は、プラスチゾル組成物を被覆材として基材上に塗布した後に硬化させたものである。
物品としては、例えば、壁紙、鋼板、自動車用部材が挙げられる。
プラスチゾル組成物を基材上に塗布する方法としては、例えば、ディップコーティング法、スプレーコーティング法、ナイフコーティング法、ロールコーティング法、カーテンフローコーティング法、刷毛塗り塗装法、静電塗装法が挙げられる。
プラスチゾル組成物を塗布した後に加熱して硬化させて成膜することにより、目的とする被覆層を有する物品を得ることができる。
本発明の成形品はプラスチゾル組成物を成形して得られるものである。
成形品としては、例えば、ビニルレザー、人形、玩具、手袋、床材、スポンジ物品、自動車部品、産業機械部品が挙げられる。
成形方法としては、ディップモールディング法、キャストモールディング法、スプラッシュモールディング法、ローテーショナルモールディング法等の成形法が挙げられる。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。実施例中、「部」は「質量部」を意味する。また、各評価は以下の方法により実施した。
(1)一次粒子の体積平均粒子径及び粒子径分布
エマルション中の粒子の粒子径及び粒子径分布をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製LA−920)を用いて測定した。測定条件としては、まず、槽内循環レベルを2、相対屈折率を1.12に設定した。次いで、エマルションに出力4.3W、周波数22.5kHzの超音波を1分照射した。更に、蒸留水を追加してエマルションの透過率が75〜95%になるように調整した後、体積基準から算出したメジアン径を測定し、一次粒子の体積平均粒子径とした。また、粒子径と同様にして体積基準による粒子径分布を測定した。
(2)アクリル系重合体微粒子の体積平均粒子径及び解砕度
アクリル系重合体微粒子を蒸留水中に分散したときの粒子について、超音波を照射しない状態と超音波を照射した後の2条件で夫々体積平均粒子径及び粒子径分布を測定した。尚、測定に際しては前記(1)と同様の測定装置を用い、エマルションの透過率を前記(1)と同様とし、超音波を照射する場合は前記(1)と同様の条件で超音波を照射した。
また、この結果と(1)の方法で得られた一次粒子の粒子径分布の結果から解砕度を算出し、以下の基準で評価した。
◎:解砕度が50%以上。
○:解砕度が40%以上、50%未満。
×:解砕度が40%未満。
(3)アクリル系重合体のTgの計算方法
アクリル系重合体のTgは下記Foxの式(2)から計算した。
Figure 2008063368
:単量体iの質量分率
Tg:単量体iのホモポリマーのTg(℃)
単量体iのホモポリマーのTgは高分子データ・ハンドブック基礎編(高分子学会編初版)記載のデータを用いた。また、記載されていない重合体のTgは公知の手法であるDSC測定から求めた。
(4)プラスチゾル組成物の経時安定性
プラスチゾル組成物を25℃の恒温槽で2時間保温した。次いで、B8H型粘度計((株)東京計器製、ローター:No.7)を用いて回転数5rpmで1分後のプラスチゾル組成物の粘度を測定し、これを初期粘度ηとした。更に、これを40℃の恒温水槽に10日間貯蔵し、次いで25℃の恒温槽で2時間保温した。この後、初期粘度(η)と同様にしてプラスチゾル組成物の粘度を測定し、これを経時後粘度(η)とした。ゾルの経時安定性は下記式(3)にて算出した増粘率で評価した。
増粘率(%)=η×100−100 (3)
◎:増粘率100%未満。
○:増粘率100%以上、350%未満。
×:増粘率350%以上。
(5)塗膜表面の平滑性
プラスチゾル組成物をテフロン(登録商標)コートされた鉄板(厚さ1mm)の上に膜厚2mmにキャストした。次いで、これを130℃のギヤーオーブンに入れて20分間加熱して塗膜を得た。これを金属板から剥離した後、金属面に接していなかった側の塗膜表面の平滑性を目視にて観察した。
◎:粒子凝集物の未解砕物による凹凸がなく、平滑性が非常に良好。
○:粒子凝集物の未解砕物による凹凸が僅かに認められるが、平滑性は実用上問題ないレベル。
×:粒子凝集物の未解砕物による凹凸が有り、平滑性が不十分。
(6)成形品の接着性
電着加工したダル鋼板(日本ルートサービス(株)製、幅25mm×長さ150mm×厚み0.8mm)を使用した。このダル鋼板の端部分にプラスチゾル組成物を幅25mm×長さ25mmの形状に塗布した。この塗布部に、同サイズの別のダル鋼板の端部分を、端部分のみが重なる状態でプラスチゾル組成物の厚さが3mmとなるように圧接した。次いで、これを130℃の熱風オーブンに入れて20分間加熱し、試験片を得た。これを室温で24時間放置した後、試験片の両端をチャックにて挟み、25℃環境下でせん断接着強度を測定した。測定には(株)エー・アンド・デイ製の引張測定装置(商品名「RTA―250」)を用い、試験速度50mm/分で測定した。せん断接着強度と破断した試験片の断面形状について以下の基準で評価した。
<せん断接着強度>
◎:0.80MPa以上。
○:0.60MPa以上、0.80MPa未満。
×:0.60MPa未満。
<破断した試験片の断面形状>
◎:ゾル硬化物が破壊して、大部分が鋼板上に残る凝集破壊。
○:ゾル硬化物が破壊して、一部が鋼板上に残る凝集破壊。
×:ゾル硬化物が破壊することなく、硬化物と鋼板の界面で剥離する界面剥離。
(7)成形品の引張強度及び引張伸度
プラスチゾル組成物をテフロン(登録商標)コートされた鉄板(厚さ1mm)の上にウェット膜厚2mmでキャストした。これを130℃のギヤーオーブンに入れて20分間加熱し、成形品を得た。これを金属板から剥離した後にダンベル2号試験片を切り出し、JIS K−7113に基づいて25℃環境下で引張強度及び引張伸度を測定した。測定には(株)エー・アンド・デイ製の引張測定装置(商品名「RTA―250」)を用い、試験速度200mm/分で測定した。
<引張強度>
◎:1.4MPa以上。
○:1.1MPa以上、1.4MPa未満。
×:1.1MPa未満。
<引張伸度>
○:200%以上
×:200%未満
(8)アクリル系重合体の質量平均分子量
GPC(ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィ)法により以下の条件で測定したポリスチレン換算値をアクリル系重合体の質量平均分子量とした。
・装置:東ソー(株)製、高速GPC装置HLC−8020
・カラム:東ソー(株)製、TSKgelGMHXLを3本直列に連結
・オーブン温度:38℃
・溶離液:テトラヒドロフラン
・試料濃度:0.4質量%
・流速:1mL/分
・注入量:0.1mL
・検出器:RI(示差屈折計)
[実施例1]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌棒、滴下漏斗及び冷却管を備えた2リットルの4つ口フラスコに純水476部を入れ、30分間窒素ガスをバブリングさせて、純水中の溶存酸素を除去した。次に、窒素ガスをフローに変えた後、フラスコにメタクリル酸メチル22.8部及びメタクリル酸n−ブチル17.4部を入れ、不飽和単量体混合物(m)を得た。次いで、不飽和単量体混合物(m)を200rpmで攪拌しながら80℃に昇温した。フラスコ内温が80℃に達した時点で、純水35部に過硫酸カリウム0.35部を溶解した溶液をフラスコに一括で添加して重合を開始した。その後、フラスコ内の分散液を80℃で60分攪拌して重合を完了させてシード粒子の分散液を得た。
このシード粒子の分散液に、表1に示すように、塩化合物として塩化カリウムを加えた不飽和単量体混合物(M1)の乳化液を、シード粒子に吸収させることを意図して2.5時間かけて滴下しながら重合した。滴下終了後、80℃で1時間攪拌して重合を完了させてコア粒子の分散液を得た。
このコア粒子の分散液に、表1に示すように、塩化合物として塩化カリウムを加えた不飽和単量体混合物(M2)の乳化液を2.5時間かけて滴下した。フラスコ内の分散液を更に80℃で1時間攪拌してシェル部の重合を完了させてコア/シェル型の重合体のエマルションを得た。
このエマルションを室温まで冷却した後、ナイロン製メッシュ(NBC製、商品名「N−No110S 115」)を用いて濾過した。得られた一次粒子の体積平均粒子径は590nmであった。
次いで、スプレードライヤー(大河原化工機(株)CL−8型)を用いて、入口温度150℃、出口温度65℃及びアトマイザ回転数20000rpmでエマルションを噴霧乾燥した。乾燥した微粒子を目開き250μmの篩で篩分し、質量平均分子量81万のアクリル系重合体微粒子(P1)を得た。アクリル系重合体微粒子(P1)の物性を表2に示す。
[実施例2〜6]
塩化合物の種類若しくは量又は不飽和単量体混合物(M1)の組成を表1に示すものとした。その他の条件は実施例1と同様にしてアクリル系重合体微粒子(P2)〜(P6)を得た。アクリル系重合体微粒子(P2)〜(P6)の物性を表2に示す。
[比較例1]
塩化合物を添加せず、その他の条件は実施例1と同様にしてアクリル系重合体微粒子(P7)を得た。
[比較例2]
塩化合物を添加せず、不飽和単量体混合物(M1)及び(M2)の組成を表1に示すものとした。その他の条件は実施例1と同様にしてアクリル系重合体微粒子(P8)を得た。
Figure 2008063368
表中の略号:
「−」:未添加
「MMA」:メタクリル酸メチル(三菱レイヨン(株)製、商品名「アクリエステルM」)
「n−BMA」:メタクリル酸n−ブチル(三菱レイヨン(株)製、商品名「アクリエステルB」)
「AAEM」:メタクリル酸アセトアセトキエチル(イーストマンケミカル社製、商品名「AAEM」)
「2−HEMA」:メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(三菱レイヨン(株)製、商品名「アクリエステルHO」)
「i−BMA」:メタクリル酸i−ブチル(三菱レイヨン(株)製、商品名「アクリエステルIB」)
「MAA」:メタクリル酸(三菱レイヨン(株)製、商品名「メタクリル酸」)
「GMA」:メタクリル酸グリシジル(三菱レイヨン(株)製、商品名「アクリエステルG」)
「OTP」:ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(花王(株)製、商品名「ペレックスOTP」)
「オクチル酸亜鉛」:ホープ製薬(株)製、商品名「18%オクトープZn」)
Figure 2008063368
[実施例7]
アクリル系重合体微粒子(P1)100部及び可塑剤としてDINP((株)ジェイ・プラス製、商品名「DINP」)100部を、真空ミキサー((株)シンキー製、商品名「ARV−200」)を用いて、大気圧中、回転数2000rpmで10秒間混練した。次いで、真空ミキサーの内圧を2.7kPaに減圧した後、回転数2000rpmで110秒間混練し、均一なプラスチゾル組成物(1)を得た。プラスチゾル組成物(1)の経時安定性を評価した。評価結果を表3に示す。
また、DINP120部、炭酸カルシウム(備北粉化工業(株)製、商品名「ライトン26A」)50部及び炭酸カルシウム(備北粉化工業(株)製、商品名「ソフトン1000」)50部を計量した。これらを前記と同様の真空ミキサーを用いて、大気圧下で、回転数2000rpmで180秒間混練した。次いで、この真空ミキサーにアクリル系重合体微粒子(P1)を100部加え、更に大気圧下で、回転数2000rpmで10秒間混練した。この後、真空ミキサーの内圧を2.7kPaに減圧し、回転数2000rpmで110秒間混練した。続いて、この真空ミキサーにDINP20部を加えた後、大気圧下で、回転数2000rpmで10秒間混練した。次いで、この真空ミキサーを2.7kPaに減圧した後、回転数2000rpmで50秒間混練し、均一なプラスチゾル組成物(2)を得た。プラスチゾル組成物(2)を用いて塗膜表面の平滑性を評価した。評価結果を表3に示す。
更に、DINP180部、アルキルスルホン酸フェニルエステル系可塑剤(バイエル社製、商品名「メザモール」)20部、炭酸カルシウム(白石工業(株)製、商品名「白艶華CCR」)150部、炭酸カルシウム(日東粉化工業(株)製、商品名「NS#200」)100部及びアジピン酸ジヒドラジド(ADH)1.76部を計量した。これらを前記と同様の真空ミキサーを用いて、大気圧下で、回転数2000rpmで180秒間混練した。次いで、この真空ミキサーにアクリル系重合体微粒子(P1)100部及びウレタンプレポリマー(三井武田ケミカル(株)製、商品名「B7040」)を40部加えた後、大気圧下で、回転数2000rpmで10秒間混練した。続いて、真空ミキサーの内圧を2.7kPaに減圧した後、回転数2000rpmで110秒間混練し、均一なプラスチゾル組成物(3)を得た。プラスチゾル組成物(3)を用いて評価用の試験片を製造し、成形品の接着性並びに引張強度及び引張伸度を評価した。評価結果を表3に示す。
表3の結果から明らかなように、プラスチゾル組成物の経時安定性に優れていた。また、塗膜表面の平滑性が良好であり、且つ、鋼板接着部のせん断強度が高く、ゾル硬化物が破壊する凝集破壊であり、接着性に優れていた。更に、成形品の引張強度及び引張伸度が高く、強靭性に優れていた。
[実施例8〜12及び比較例3、4]
表3に記載したアクリル系重合体微粒子に変更し、その他の条件は実施例7と同様にして各評価を実施した。評価結果を表3に示す。
表3の結果から明らかなように、各実施例は実施例7の場合と同様に良好な結果を示した。
これに対し、比較例3では塗膜表面の平滑性が不十分であった。また、鋼板接着部のせん断強度が低く、界面剥離が生じ、接着性が不十分であった。更に、成形品の引張強度及び引張伸度が低く、機械的強度に劣っていた。
また、比較例4はプラスチゾル組成物の経時安定性が不十分であり、また、プラスチゾル組成物の硬化物の鋼板に対するせん断接着強度が低く、ゾル硬化物が破壊することなく、鋼板と硬化物との界面から剥離する界面剥離を生じ、接着性が不十分である。
Figure 2008063368

Claims (6)

  1. カルボキシル基、燐酸基、スルホン酸基、水酸基、カルボニル基、エポキシ基より選ばれる少なくとも1種の官能基を有するアクリル系不飽和単量体を0.1質量%以上含有する単量体の水系乳化重合によるアクリル系重合体のエマルションを乾燥処理して得られる、一次粒子同士が40%以上の解砕度で凝集したプラスチゾル用のアクリル系重合体微粒子。
  2. 単量体の水系乳化重合が水溶性無機塩(A)及び有機金属塩(B)より選ばれる少なくとも1種の塩化合物の存在下で実施された請求項1に記載のアクリル系重合体微粒子。
  3. 水溶性無機塩(A)及び有機金属塩(B)より選ばれる少なくとも1種の塩化合物の存在下でカルボキシル基、燐酸基、スルホン酸基、水酸基、カルボニル基、エポキシ基より選ばれる少なくとも1種の官能基を有するアクリル系不飽和単量体を0.1質量%以上含有する単量体を水系乳化重合し、次いで、得られたアクリル系重合体のエマルションを乾燥処理する、一次粒子同士が40%以上の解砕度で凝集したプラスチゾル用のアクリル系重合体微粒子の製造方法。
  4. 請求項1又は2に記載のアクリル系重合体微粒子及び可塑剤を含むプラスチゾル組成物。
  5. 請求項4に記載のプラスチゾル組成物を塗布した後に硬化させて得られた被覆層を有する物品。
  6. 請求項4に記載のプラスチゾル組成物を成形して得られた成形品。
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