JP2002226596A - アクリル系重合体微粒子の製造方法 - Google Patents

アクリル系重合体微粒子の製造方法

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JP2002226596A JP2001400639A JP2001400639A JP2002226596A JP 2002226596 A JP2002226596 A JP 2002226596A JP 2001400639 A JP2001400639 A JP 2001400639A JP 2001400639 A JP2001400639 A JP 2001400639A JP 2002226596 A JP2002226596 A JP 2002226596A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アクリル系重合体微粒子の製造方法を提供す
ること。 【解決手段】 (1)イ)水を主成分とする媒体中で、
20℃において該媒体に対して0.02質量%以上の溶
解度を有し、かつその重合体は該媒体に溶解しない単量
体を用いて重合せしめ、重合体分散液を得る工程、ロ)
上記の重合体分散液に対して単量体混合物を滴下して被
覆された重合体分散液を得る工程、(2)上記の重合体
分散液を噴霧乾燥することによって重合体微粒子を回収
する工程、を含むアクリル系重合体微粒子の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アクリル系重合体
微粒子に関する。さらに、本発明はアクリル系重合体微
粒子を可塑剤に分散させてなるプラスチゾルに関する。
さらに詳しくは、本発明は貯蔵安定性に優れ、かつ加熱
成膜後の可塑剤保持性に優れたプラスチゾルに関する。
【0002】
【従来の技術】背景技術 可塑剤を媒体とし重合体微粒子を分散させてなるプラス
チゾルは、多岐にわたる工業分野において利用されてお
り、その工業的価値は著大である。とくに塩化ビニル系
重合体微粒子を用いたプラスチゾルは塩化ビニルゾル
(以下、塩ビゾルと略す)として知られ、その優れた物
性により、壁紙、自動車用アンダーコート、自動車用ボ
ディーシーラー、カーペットバッキング材、床材、塗料
などの広い分野で使用されている。塩ビゾルは、塩化ビ
ニル重合体微粒子が有する特異な性質により、プラスチ
ゾルに要求される基本的な性質、すなわち (i) プラスチゾルを貯蔵中に重合体微粒子が可塑剤に
より膨潤あるいは溶解しないこと(以下、この性質を貯
蔵安定性と略す); (ii) プラスチゾルを塗布し加熱処理によりゲル化物を
形成し乾燥塗膜を得た後でも、該乾燥塗膜中に可塑剤が
良好に保持され、経時的にブリードアウトしないこと
(以下、この性質を可塑剤保持性と略す)において非常
に優れており、現在のように広く工業的に利用されるに
至った。
【0003】しかしながら塩ビゾルを用いた製品につい
ては、焼却した時に塩化水素ガスが発生し、これが焼却
炉を著しく損傷させてしまうという問題がかねてから指
摘されていた。また近年では、塩化水素ガスによる酸性
雨の問題、さらには焼却時に発生する、毒性が極めて高
いダイオキシンによる人体や地球環境への悪影響などが
問題視されるようになり、塩ビゾルと同等の物性を有し
ながら環境問題の少ない代替材料の登場が期待されてい
た。そこで、塩ビゾルを代替する材料の候補として、一
液ウレタン系材料、エポキシ系材料、水系エマルジョン
材料、シリコーン系材料などが提案されている。しかし
ながらこれらの材料の生産においては、いずれも既存の
塩ビゾルの生産設備を利用することが不可能であり、工
業的利用にあたっては膨大な設備投資を必要とする。さ
らに、一液ウレタン系材料は、増粘による貯蔵安定性の
不良や、毒性の問題、高コストであることなど多くの問
題点を有している。エポキシ系材料は、高コストであ
り、物性的にも塩ビゾルにはるかに及ばない等、多くの
問題点を有している。水系エマルジョンの場合には、厚
塗りが不可能であること、媒体である水の蒸発に伴って
塗膜にふくれが発生すること、塗膜の耐水性が不良であ
ること、などが問題として挙げられる。シリコーン系材
料も、コストが高く、また物性の点からも、代替材料と
なることはできない。したがって、これらの材料では塩
ビゾルを代替することが極めて困難であった。
【0004】このような問題を解決するための代替材料
として、近年アクリル系重合体微粒子からなるプラスチ
ゾル、すなわちアクリルゾルが提案されている。たとえ
ば特開昭60−258241号公報、特開昭61−18
5518号公報、特開昭61−207418号公報に
は、塩化ビニル重合体とアクリル重合体を複合化するこ
とにより得られる新規なプラスチゾルが提案されてい
る。しかしながらこのプラスチゾルは本質的に塩化ビニ
ル重合体を含有するものであり、焼却時に有害なガスを
発生することに関しては従来の塩ビゾルと何ら変わらな
いものであり、上記環境問題の解決には至っていない。
そこで塩化ビニル重合体及び他のハロゲン系重合体をま
ったく含有しないプラスチゾルとして、特開平5−25
5563号公報にアクリル系重合体からなるプラスチゾ
ルが提案されている。上記公報で用いられている重合体
は均一構造粒子であるが、アクリル系重合体の場合、プ
ラスチゾルの貯蔵安定性と塗膜の可塑剤保持性を均一構
造粒子で実現することは不可能であり、上記公報による
プラスチゾルは実用レベルにおいては貯蔵安定性がきわ
めて悪いか、あるいは塗膜物性がきわめて悪くなる傾向
にある。これは、アクリル系重合体は、塩化ビニル重合
体と異なり、分子間に働くファンデルワールス凝集力が
弱いため、可塑剤に対して相溶性の高い組成を用いる
と、可塑剤が容易に分子間に侵入して、可塑化すなわち
ゲル化を引き起こしてしまい、貯蔵安定性が不良となる
ことに起因する。そのため、貯蔵安定性を良好にするた
めには、可塑剤との相溶性を低くする必要がある。しか
しながら、可塑剤との相溶性が低い重合体は、貯蔵安定
性は良好なものの、ゾルを塗布し加熱成膜した後に得ら
れる塗膜(以下、ゲル化膜と略す)の可塑剤保持性が極
めて低く、経時的に可塑剤がゲル化膜からブリードアウ
トしてきてしまう。このように、アクリル系重合体微粒
子を用いたアクリルゾルの場合、貯蔵安定性と成膜後の
可塑剤保持性の関係は相反するものであり、均一構造の
重合体微粒子ではこれを満足することは不可能であっ
た。
【0005】そこでコアシェル構造粒子を用いたアクリ
ル系プラスチゾルとして、特開平5−279539号公
報が提案されている。ここではアクリル系重合体に酸又
は酸無水物を含有させた重合体を用いている。しかしな
がら上記公報で提案されている重合体は、可塑剤に対す
る相溶性が低く、特にシェル部のメチルメタクリレート
の共重合比率が高いために、フタル酸エステル系可塑剤
のように極性の低い可塑剤を用いた場合には可塑化状態
が不良となり、良好な塗膜を得ることができない。他に
特開平6−322225号公報においては、同じくコア
シェル構造粒子を用いたプラスチゾルが提案されてい
る。ここではコアシェル構造粒子といっても、均一構造
粒子を製造し、これを後にアルカリ加水分解処理を行う
ことによって、粒子のごく表層部のエステル基をカルボ
キシル基に変換するというものである。したがって、シ
ェル部の厚みはきわめて薄く、実質的に粒子の体積の1
%前後かそれ以下にすぎない。したがってシェル部の役
割として期待される貯蔵安定性の改良効果はきわめて低
い。またアルカリ加水分解により導入されたシェル部は
酸価が非常に高くなっており、可塑剤に対する相溶性が
非常に低く、成膜性を著しく低下させる。またこのよう
な高酸価のシェル部は、プラスチゾル中で重合体粒子が
構造粘性を作ることに寄与するため、プラスチゾルの粘
度が高くなる等、作業性が低下するという弊害がある。
【0006】またコアシェル構造粒子を用いたプラスチ
ゾルの他の例が特開昭53−144950号公報に提案
されている。ここでは組成の異なるモノマーを段階的に
重合することによりコアシェル構造を得るという手法を
用いている。ここではプラスチゾルの貯蔵安定性を発現
するために可塑剤に対して非相溶性のシェルを用いてお
り、多くの可塑剤に対して低い相溶性を示すメチルメタ
クリレートを80重量%以上共重合したシェルを用いて
いる。しかしながら相溶性がきわめて低いシェルは、貯
蔵安定性においては有利であるが、ゾルの成膜性、得ら
れる塗膜の強度、伸度、透明性、基材に対する密着性、
防音性、制振性など各種性能において劣るという傾向を
有し、特に可塑剤の保持性において劣るため、ブリード
アウトを発生しやすく、実用的ではない。コアシェル構
造粒子を用いたプラスチゾルのさらなる例が特開平7−
233299号公報及び特開平8−295850号公報
に提案されている。ここでは基本的に可塑剤に対する相
溶性を示すコア部と、可塑剤に対して非相溶性を示すシ
ェル部とからなるコアシェル重合体を用いることによ
り、ごく基本的な性能を実現している。しかしながら、
工業的に実用化するためにはきわめて高い物性が要求さ
れることになり、その点においては上記公報により提案
された重合体は、可塑剤との相溶性のバランスが最適化
されておらず、貯蔵安定性及び塗膜の可塑剤保持性のい
ずれも低いレベルであり、工業的な実用化には不適当で
ある。このように、プラスチゾルの最も基本的な性質で
ある貯蔵安定性と可塑剤保持性を両立させるためにアク
リルゾルについて種々の検討がなされているものの、塩
ビゾル代替材料としてはいずれも低レベルで工業的な実
用レベルに達していないのが現状であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、塩化ビニル
重合体を含有せず、貯蔵安定性が良好であり、可塑剤保
持性が良好である新規なプラスチゾルを工業的に利用可
能なレベルで提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討を行った結果、アクリル系重合体
微粒子の粒子径を大きくすることにより、貯蔵安定性及
び可塑剤保持性の両方に優れたアクリルゾルが得られ、
また250nm以上の一次粒子径を有するコアシェル構
造を有するアクリル系重合体を用い、シェル部のモノマ
ー組成を特定し、重合体と可塑剤の相溶性をコントロー
ルすることにより貯蔵安定性と可塑剤保持性のバランス
を工業的に利用可能なレベルにまで改良できることを見
出し、本発明を完成した。すなわち本発明の主旨とする
ところは、以下のとおりである; (i) コア重合体Cとシェル重合体Sからなるコアシェ
ル構造を有する一次粒子Pからなるアクリル系重合体微
粒子であり、該一次粒子Pの平均粒子径が250nm以
上であり、コア重合体C及びシェル重合体Sはそれぞれ
以下に示すモノマー混合物Mc及びMsの共重合体であ
り、かつMcとMsの重量比が10/90〜90/10
である上記アクリル系重合体微粒子: Mc:合計を100mol%とし、 メチルメタクリレート 20〜85mol% C2〜C8脂肪族アルコール及び/又は芳香族アルコールの(メタ)ア クリル酸エステル 15〜80mol%、及び その他の共重合可能なモノマー 30mol%以下 Ms:合計を100mol%とし、 メチルメタクリレート 20〜79.5mol% C2〜C8脂肪族アルコール及び/又は芳香族アルコールの(メタ)ア クリル酸エステル 5〜40mol% カルボキシル基又はスルホン酸基含有モノマー 0.5〜10mol%、及び その他の共重合可能なモノマー 30mol%以下 (ii) (1)イ)水を主成分とする媒体中で、20℃にお
いて該媒体に対して0.02質量%以上の溶解度を有
し、かつその重合体は該媒体に溶解しない単量体を、媒
体中に乳化剤ミセルが存在しない状態において、水溶性
ラジカル重合開始剤を用いて重合せしめ、重合体分散液
を得る工程、ロ)上記の重合体分散液に対して単量体混
合物を滴下して被覆された重合体分散液を得る工程、
(2)上記の重合体分散液を噴霧乾燥することによって
重合体微粒子を回収する工程、を含む請求項1〜3のい
ずれか一項記載のアクリル系重合体微粒子の製造方法。
【0009】
【発明の実施の形態】本明細書において、(メタ)アク
リル酸はアクリル酸及び/又はメタクリル酸を、(メ
タ)アクリレートはアクリレート及び/又はメタクリレ
ートを表す。本明細書において、また、「一次粒子」と
は重合体微粒子を構成する最小単位の粒子を指す。本発
明のアクリル系重合体微粒子はコアシェル構造を有する
一次粒子Pからなる。コアシェル構造を用いる理由は、
アクリル系重合体の場合、均一構造では貯蔵安定性と可
塑剤保持性が両立できないためである。これを詳しく説
明すると、アクリル系重合体は塩化ビニル重合体と異な
り、分子間に働くファンデルワールス凝集力が弱いた
め、可塑剤に対して相溶性の高い組成を用いると可塑剤
が容易に分子間に侵入して可塑化すなわちゲル化を引き
起こし、貯蔵安定性が不良となるからである。したがっ
て貯蔵安定性を良好にするためには可塑剤との相溶性を
低くする必要がある。しかしながら可塑剤に対する相溶
性が低い重合体は、貯蔵安定性は良好なものの、加熱後
のゲル化物の可塑剤保持性が極めて低く、経時的に可塑
剤がブリードアウトしてきてしまう。つまりアクリル系
重合体の場合、貯蔵安定性と可塑剤保持性の関係は相反
するものであり、均一構造の重合体ではこれを満足する
ことは不可能である。これに対して、コアシェル構造を
有する重合体において、コア重合体Cを可塑剤に対して
相溶性の高い組成とし、シェル重合体Sを可塑剤に対し
て相溶性の低い組成とすれば、上記の相反する課題はあ
る程度解決される。つまり、貯蔵時には重合体の周囲を
完全に取り囲んでいるシェル重合体が可塑剤による膨潤
・溶解を防ぐために貯蔵安定性が良好となり、逆に加熱
後は活発な分子運動によりコアシェル構造が壊れている
ため、コアが持つ高い相溶性により可塑剤保持性が良好
となる。
【0010】本発明で言うコアシェル構造とは、異なる
組成のモノマー混合物を数段階にわけてシード重合する
ことによって得られるものを言う。なお、「シード重
合」とは、あらかじめ調製された重合体粒子をシード
(種)とし、これに単量体を吸収・重合させて粒子を成
長させる重合方法を指す。したがって、乳化重合や微細
懸濁重合などによってあらかじめ均一構造の粒子を製造
し、これをアルカリ加水分解などの後処理によって表面
修飾した重合体粒子とは明らかに技術的に区別されなけ
ればならない。その第一の理由は、アルカリ加水分解な
どの後処理によって表面修飾する方法では、粒子のごく
表層部のみに薄い修飾層が導入されるだけであり、その
物理的な厚みにおいて本発明が意図する十分な厚みを有
したシェルとは本質的に異なるからである。具体的に
は、本発明の場合、シェル部の厚みは、特に限定はされ
ないが、一次粒子径の約10%以上であることが好まし
い。たとえば粒子径が600nmでコア/シェル重量比
が50/50の場合、理論的にはそのシェルの物理的な
厚みは約62nmとなり、この値はポリメチルメタクリ
レート分子の大きさを0.5nmとした場合に120分
子以上にも及ぶ厚みであり、この厚いシェルがプラスチ
ゾルとした場合に重合体微粒子中に可塑剤が侵入するの
を防ぎ、良好な貯蔵安定性を発現するのに寄与してい
る。これに対して、均一構造粒子をアルカリ加水分解処
理して表面修飾層を導入する場合、粒子径が600nm
の場合には10nm前後か、せいぜい20nm程度であ
る。これはメチルメタクリレート分子の大きさにして数
十分子程度の厚みしかなく、この程度の薄い表面修飾層
によってプラスチゾルの貯蔵安定性を付与することは事
実上不可能である。また、さらにアルカリ加水分解を行
おうとしても、加水分解により生じた表面修飾層は極度
に高酸価であり、水溶性を示し、重合体微粒子は粒子と
して固定されずに水相に溶解していくため、結局十分に
厚みのあるシェルと言えるほどの表面修飾層を導入する
ことができない。
【0011】第二の理由は、アルカリ加水分解などによ
って導入される表面修飾層は、その組成、特に酸価を自
由にコントロールすることがきわめて困難であり、可塑
剤との相溶性を重視される本用途には不適当だからであ
る。本発明においては、特に好ましくはシード重合によ
って表面修飾層を導入する場合、そのシェルの組成を任
意にコントロールすることができるので、プラスチゾル
で重要な、可塑剤との相溶性やガラス転移温度を最適化
することが可能である。これに対して、均一構造粒子を
アルカリ加水分解などの後処理することによって表面修
飾層を導入する場合、その組成は重合体粒子の表層部の
みが非常に高酸価になるだけで、ある程度の厚みをもっ
て組成をコントロールすることができない。コアシェル
構造を有する一次粒子Pの平均粒子径は250nm以上
であることが必要である。前述したように、コアシェル
構造を利用することによりある程度はプラスチゾルの貯
蔵安定性と塗膜の可塑剤保持性のバランスを調整できる
ものの、これをさらに工業的に利用できるレベルにまで
高めるためには、一次粒子の総表面積をより小さくする
こと、及びシェルが一定以上の厚みを有することが必要
である。すなわち、コアシェル構造を有する一次粒子の
粒子径を大きくすることが必要であり、その範囲は平均
粒子径で250nm以上である。平均粒子径がこれより
小さい場合には、均一構造の重合体に比べれば貯蔵安定
性と可塑剤保持性のバランスに優れるものの、例えば3
5℃×2週間といった工業的に要求される厳しい貯蔵安
定性の要求基準を満足することができず、増粘により作
業性が低下してしまう。
【0012】コア重合体Cを与えるモノマー混合物Mc
は、モノマーの合計を100mol%とした場合、メチ
ルメタクリレートが20〜85mol%、C2〜C8の
脂肪族アルコール及び/又は芳香族アルコールの(メ
タ)アクリル酸エステルが15〜80mol%、及びそ
の他の共重合可能なモノマーが30mol%以下から構
成されることが必要である。メチルメタクリレートが2
0mol%より少ない場合、あるいはC2〜C8の脂肪
族アルコール及び/又は芳香族アルコールの(メタ)ア
クリル酸エステルが80mol%より多い場合には、コ
ア重合体(C)自体のTgが低くなることと、コア重合
体(C)の可塑剤に対する相溶性が高くなりすぎること
により、加熱により得られるゲル化物が非常に低いTg
を有して粘着性などの弊害を生ずる。またこの場合コア
シェル比や一次粒子径を変更しても、プラスチゾルの貯
蔵安定性が不良となってしまい、実用的には不適当であ
る。メチルメタクリレートが85mol%より多い場
合、あるいはC2〜C8の脂肪族アルコール及び/又は
芳香族アルコールの(メタ)アクリル酸エステルが15
mol%より少ない場合には、コア重合体の可塑剤に対
する相溶性が低くなり、コア重合体の本来の目的である
可塑剤保持性が低下してしまい、加熱後のゲル化物が経
時的に可塑剤をブリードアウトするという問題を生ずる
ため不適当である。コア重合体には、その他の共重合可
能なモノマーを10mol%以下の範囲で任意に使用す
ることができる。このような共重合可能なモノマーとし
ては、プラスチゾルの要求性能、例えば基材への密着
性、反応性等の点で付加する性能を有するモノマーを適
宜用いることが可能である。
【0013】モノマー混合物Mcの好ましい組成は、モ
ノマーの合計を100mol%とした場合、メチルメタ
クリレートが20〜70mol%、 n−ブチル(メ
タ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート及
びt−ブチル(メタ)アクリレートからなる群から選ば
れる1種以上の(メタ)アクリル酸エステルが30〜8
0mol%、及びその他の共重合可能なモノマーが20
mol%以下である。さらに好ましい組成は、モノマー
の合計を100mol%とした場合、メチルメタクリレ
ートが20〜70mol%、n−ブチル(メタ)アクリ
レート、i−ブチル(メタ)アクリレート及びt−ブチ
ル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種以
上の(メタ)アクリル酸エステルが30〜80mol%
及びその他の共重合可能なモノマーが10mol%以下
である。これらの好ましい組成の場合、貯蔵安定性と可
塑剤保持性のバランスがさらに改良され、40℃×2週
間といった非常に厳しい貯蔵安定性の要求をも満足する
プラスチゾルが得られ、かつこれを成膜して得た塗膜の
強度及び伸度が非常に優れている。
【0014】さらにまた、工業的に入手しやすいC4ア
ルコールの(メタ)アクリル酸エステルを利用すること
によるコストの低減も可能であり、工業的に有利であ
る。アクリルゾルに用いられるアクリル重合体微粒子
は、一次粒子径が大きいので、同重量で粒子径の小さい
粒子と比較した場合、可塑剤に対する接触面積が少ない
ため、その分シェル部のMMA量を減らしても貯蔵安定
性を保持することができ、かつその減らした分だけMM
A以外の成膜成分を補うことができ、成膜時の可塑剤保
持性とゾル中でのアクリル重合体微粒子の貯蔵安定性の
双方が向上する。シェル重合体Sを与えるモノマー混合
物Msは、モノマーの合計を100mol%とした場
合、メチルメタクリレートが20〜79.5mol%、
C2〜C8の脂肪族アルコール及び/又は芳香族アルコ
ールの(メタ)アクリル酸エステルが5〜40mol
%、カルボキシル基又はスルホン酸基含有モノマーが
0.5〜10mol%、及びその他の共重合可能なモノ
マーが30mol%以下から構成されることが必要であ
る。
【0015】メチルメタクリレートが20mol%より
少ない場合、あるいはC2〜C8の脂肪族アルコール及
び/又は芳香族アルコールの(メタ)アクリル酸エステ
ルが40mol%より多い場合には、シェル重合体
(S)の可塑剤に対する相溶性が高くなり、シェル重合
体の本来の目的である貯蔵安定性の付与が不良となるた
め、プラスチゾルの製造作業中にゲル化してしまうなど
のアクリルゾルの基本性能が不良となる傾向にある。メ
チルメタクリレートが79.5mol%より多い場合、
あるいはC2〜C8の脂肪族アルコール及び/又は芳香
族アルコールの(メタ)アクリル酸エステルが5mol
%より少ない場合には、シェル重合体の相溶性が低下し
すぎるため、貯蔵安定性こそ良好であるものの、加熱に
よりゲル化した後の塗膜の可塑剤保持性が不足し、可塑
剤が経時的にブリードアウトしてくるという欠点を生じ
る傾向にある。
【0016】本発明においては、カルボキシル基又はス
ルホン酸基含有モノマーを、本発明のプラスチゾルの貯
蔵安定性及びゾル中の重合体微粒子の分散性向上のため
に用いる。カルボキシル基及び/又はスルホン酸基含有
モノマーが0.5mol%より少ない場合、可塑剤に対
するシェル重合体の相溶性が上がるため、貯蔵安定性が
不良になる傾向にある。また可塑剤中での重合体微粒子
の分散状態が変化し、プラスチゾルの粘度が上がってし
まい、作業性が不良となる傾向にあり好ましくない。ま
たカルボキシル基及び/又はスルホン酸基含有モノマー
が10mol%より多い場合、可塑剤に対するシェル重
合体の相溶性が下がりすぎるため、このようなゾルを用
いて塗膜を形成するとゲル化物の可塑剤保持性が不良と
なり、ゲル化物より可塑剤が経時的にブリードアウトし
てくるため不適当である。さらにゲル化物が脆くなる傾
向にあり、塗膜の強度が低下する傾向にある。さらにゲ
ル化物の耐水性も低下する傾向にあるので好ましくな
い。なお、シェル重合体には、その他の共重合可能なモ
ノマーを30mol%以下の範囲で任意に使用すること
ができる。このような共重合可能なモノマーとしては、
プラスチゾルの要求性能、例えば基材への密着性、反応
性等の点で付加する性能を有するモノマーを適宜用いる
ことが可能である。
【0017】モノマー混合物Msの好ましい組成として
は、モノマーの合計を100mol%とした場合、メチ
ルメタクリレートが30〜79.5mol%、n−ブチ
ル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレ
ート及びt−ブチル(メタ)アクリレートからなる群か
ら選ばれる1種以上の(メタ)アクリル酸エステルが5
〜40mol%、カルボキシル基含有アクリル系モノマ
ーが0.5〜10mol%、及びその他の共重合可能な
モノマーが20mol%以下である。さらに好ましい組
成は、モノマーの合計を100mol%とした場合、メ
チルメタクリレートが55〜79.5mol%、n−ブ
チル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリ
レート及びt−ブチル(メタ)アクリレートからなる群
から選ばれる1種以上の(メタ)アクリル酸エステルが
20〜40mol%、カルボキシル基含有アクリル系モ
ノマーが0.5〜10mol%、及びその他の共重合可
能なモノマーが10mol%以下である。これらの好ま
しい組成の場合、プラスチゾルの貯蔵安定性と塗膜の可
塑剤保持性のバランスがより改良され、40℃×2週間
といった更に厳しい貯蔵安定性の要求をも満足するプラ
スチゾルが得られ、またこれを成膜して得た塗膜の強伸
度が非常に優れている。
【0018】さらにまた、工業的に入手しやすいC4ア
ルコールの(メタ)アクリル酸エステルや、カルボキシ
ル基含有アクリル系モノマーを利用することによるコス
トの低減も可能であり、工業的に有利である。コア重合
体Cを与えるモノマー混合物Mcとシェル重合体Sを与
えるモノマー混合物Msの重量比は10/90〜90/
10であることが必要である。
【0019】コア重合体の比率が10重量%より低い場
合、あるいはシェル重合体の比率が90重量%より高い
場合には、可塑剤を保持する成分であるコア重合体が少
なすぎるため、加熱してゲル化物を得た場合に可塑剤保
持性が不足し、可塑剤が経時的にブリードアウトすると
いう弊害を生じる。あるいはひどい場合には可塑剤に対
する相溶性が低下しすぎるために、加熱してもゲル化す
ること自体が不可能となる。コア重合体の比率が90重
量%より多い場合、あるいはシェル重合体の比率が10
重量%より少ない場合には、貯蔵安定性を付与する成分
であるシェル重合体が少なすぎるため、室温においても
重合体が可塑剤によって膨潤又は溶解され、プラスチゾ
ルが増粘又はゲル化してしまうという深刻な弊害を生じ
る。モノマー混合物Mcとモノマー混合物Msの重量比
の好ましい範囲は30/70〜70/30である。この
範囲内であれば、貯蔵安定性と可塑剤保持性のバランス
が更に好適であり、40℃×2週間といった更に厳しい
貯蔵安定性の要求を満足できるプラスチゾルが得られ
る。
【0020】本発明で用いるC2〜C8の脂肪族アルコ
ール及び/又は芳香族アルコールの(メタ)アクリル酸
エステルは特に限定しないが、例えばエチル(メタ)ア
クリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブ
チル(メタ)アクリレート、tーブチル(メタ)アクリ
レート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘ
キシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリ
レート等の直鎖脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸
エステル類、又はシクロヘキシル(メタ)アクリレート
等の環式脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸エステ
ル類、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メ
タ)アクリレート等の芳香族アルコールの(メタ)アク
リル酸エスエル類等が利用できる。中でも好ましくは、
n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)
アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレートが利用
できる。これらのモノマーは容易に入手することがで
き、工業的な実用化の点で有意義である。本発明で用い
るカルボキシル基又はスルホン酸基含有モノマーとして
は特に限定せず、例えばメタクリル酸、アクリル酸、イ
タコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、メタク
リル酸 2−サクシノロイルオキシエチル−2−メタク
リロイルオキシエチルコハク酸、メタクリル酸 2−マ
レイノロイルオキシエチル−2−メタクリロイルオキシ
エチルマレイン酸、メタクリル酸 2−フタロイルオキ
シエチル−2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸、
メタクリル酸 2−ヘキサヒドロフタロイルオキシエチ
ル−2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタ
ル酸等のカルボキシル基含有モノマー、アリルスルホン
酸等のスルホン酸基含有モノマー等が利用できる。好ま
しくはメタクリル酸、アクリル酸でありこれらは工業的
に安価で容易に入手することができ、他のアクリル系モ
ノマー成分との共重合性も良く生産性の点でも好まし
い。
【0021】またこれらの酸基含有モノマーはアルカリ
金属などの塩になっていることも可能であり、例えばカ
リウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、アル
ミニウム塩等が挙げられる。これらは水媒体中で重合す
る際に塩の形になることも可能であり、また重合後に塩
の形になることも可能である。本発明のコア重合体及び
シェル重合体で用いる、その他の共重合可能なモノマー
としては、例えばラウリル(メタ)アクリレート、ステ
アリル(メタ)アクリレート等のC9以上のアルコール
の(メタ)アクリレート類;アセトアセトキエチル(メ
タ)アクリレート等のカルボニル基含有(メタ)アクリ
レート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、2ーヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の
ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート類;グリシジ
ル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)ア
クリレート類;N−ジメチルアミノエチル(メタ)アク
リレート、N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレ
ート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート類;(ポ
リ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロ
ピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘ
キサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロー
ルプロパントリ(メタ)アクリレート等の多官能(メ
タ)アクリレート類;ジアセトンアクリルアミド、N−
メチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリ
ルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N−ブ
トキシメチルアクリルアミド等のアクリルアミド及びそ
の誘導体;スチレン及びその誘導体;酢酸ビニル;ウレ
タン変性アクリレート類;エポキシ変性アクリレート
類;シリコーン変性アクリレート類等が広く利用可能で
あり、用途に応じて使い分けることができる。
【0022】本発明で用いる可塑剤として、フタル酸ジ
ブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、フ
タル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル等のフタル
酸ジアルキル系、フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸
アルキルベンジル系、フタル酸アルキルアリール系、フ
タル酸ジベンジル系、フタル酸ジアリール系、リン酸ト
リクレシル等のリン酸トリアリール系、リン酸トリアル
キル系、リン酸アルキルアリール系、アジピン酸エステ
ル系、エーテル系、ポリエステル系、エポキシ化大豆油
等の大豆油系等が利用可能である。これらは、それぞれ
の可塑剤に応じた特色、すなわち耐寒性、難燃性、耐油
性、低粘度、低チキソトロピー等の、プラスチゾルに要
求される物性に応じて配合することができる。このう
ち、工業的に安価で入手しやすいこと、また作業性、低
毒性などの点から、フタル酸エステル系可塑剤が好まし
い。またこれらの可塑剤は1種を単独で用いるだけでな
く、目的に応じて2種以上の可塑剤を混合して用いるこ
とも可能である。
【0023】本発明のアクリル系重合体微粒子の製造方
法は、上述した組成と構造が得られる限り特に限定せ
ず、たとえばシード重合によりコアシェル型粒子を調製
し、これをスプレードライ法(噴霧乾燥法)又は凝固法
により固形分を回収する方法などが挙げられる。250
nm以上のコアシェル粒子を得るためには、シード重合
を何回も繰り返すことにより粒子を成長させる方法、ソ
ープフリー重合によって得る方法、乳化剤の量を制限す
る方法、乳化力の弱い乳化剤又は保護コロイド等を用い
る方法などが広く利用可能である。このうち、好ましく
は、ソープフリー重合により比較的大きな粒子径を有す
るシード粒子を調製しておき、これに対して任意の組成
のモノマー混合物を逐次滴下していくシード重合を用い
ることが、工業的に簡便な方法である。さらに好ましく
は、水を主成分とする媒体中で、20℃において該媒体
に対して0.02質量%以上の溶解度を有し、かつその
重合体は該媒体に溶解しない単量体を、媒体中に乳化剤
ミセルが存在しない状態において水溶性ラジカル重合開
始剤を用いて重合せしめ、重合体分散液を調製し、さら
に上記の重合体分散液に対して単量体混合物を滴下して
被覆された重合体分散液を得る方法が好適である。
【0024】この理由は、媒体に対して0.02質量%
未満の溶解度しか有さない単量体の場合はソープフリー
重合自体がきわめて進行しにくいからである。また単量
体から得られる重合体が該媒体に溶解してしまう場合、
粒子の形成が行われないことになるから、そもそも重合
体粒子を得ることができない。また媒体中に乳化剤ミセ
ルが存在する場合、当然のことながらソープフリー重合
の定義から外れるため、不適当であることは言うまでも
ない。この手法を用いることにより、工業的に簡便で、
かつスケールの発生や新粒子の発生などが抑制され、安
定に目的とする粒子を得ることができるため有利であ
る。本発明のアクリル系重合体微粒子は、コアシェル構
造を有した一次粒子Pからなっていれば二次以上の高次
構造は特に限定されず、例えば一次粒子が弱い凝集力で
凝集した粒子、強い凝集力で凝集した粒子、熱により相
互に融着した粒子といった二次構造をとることが可能で
あり、さらにはこれらの二次粒子を顆粒化などの処理に
よってより高次の構造を持たせることも可能である。こ
れらの高次構造は、たとえば微粒子の粉立ちを抑制した
り流動性を高める等、作業性を改善する目的で行うこと
もできるし、微粒子の可塑剤に対する分散状態を改質す
る等、物性の改善のために行うこともでき、用途と要求
に応じて設計することが可能である。
【0025】本発明で用いるコアシェル構造を有する一
次粒子Pにおいて、コア重合体Cとシェル重合体Sがグ
ラフト交叉剤によってグラフト結合させることも可能で
ある。この場合のグラフト交叉剤としてはアリルメタク
リレート等が利用できる。本発明で用いるコアシェル構
造を有する一次粒子Pにおいて、コア重合体C及び/又
はシェル重合体Sが架橋されていることも可能である。
この場合の架橋性モノマーとしては、前述した多官能モ
ノマーを利用することができる。また多官能モノマー以
外にも、二価以上のアルカリ金属又は多官能アミン類な
どを添加することによりカルボキシル基又はスルホン酸
基とのイオン架橋を用いることも可能である。本発明の
プラスチゾルには、用途に応じて各種の添加剤(材)を
配合することが可能である。例えば炭酸カルシウム、水
酸化アルミニウム、パライタ、クレー、コロイダルシリ
カ、マイカ粉、珪砂、珪藻土、カオリン、タルク、ペン
ナイト、ガラス粉末、酸化アルミニウム等の充填材、酸
化チタン、カーボンブラック等の顔料、ミネラルターペ
ン、ミネラルスピリット等の希釈剤、消泡剤、防黴剤、
防臭剤、抗菌剤、界面活性剤、滑剤、紫外線吸収剤、香
料、発泡剤、レベリング剤、接着剤等を自由に配合する
ことが可能である。
【0026】本発明のプラスチゾルは、浸漬、噴射、刷
毛塗り、又はドクター塗り等の公知の方法で金属又は被
金属基体上に5μm〜5mm厚で塗布し、温度90℃〜
200℃でゲル化することができる。また、適当な型中
でゲル化することによって、成形体を製造することもで
きる。
【0027】
【実施例】以下に、本発明を実施例を用いて説明する。
実施例中の評価方法は以下のとおりである。なお、以下
「部」は「重量部」を表す。 プラスチゾル粘度 得られたプラスチゾルを恒温水槽にて25℃に保温した
後、E型粘度計を用いて、回転数5rpmにおいて1分
後の粘度(単位:Pa・S)を測定し、以下のように評
価した。 ○:30未満 △:30以上50未満 ×:50以上 貯蔵安定性 プラスチゾルを40℃の恒温槽にて保温し、1週間後に
取り出して再び粘度を測定した。プラスチゾルの増粘率
は以下のようにして計算し(単位:%)、評価した。 (貯蔵後の粘度/初期の粘度)×100(%) ◎:20未満 ○:20以上40未満 △:40以上100未満 ×:100以上
【0028】ゲル化塗膜の作成及び強伸度の測定 プラスチゾルを剥離紙を敷いたガラス板の上に2mm厚
に塗布し、140℃×20分加熱してゲル化させ、均一
な塗膜を得た。これをガラス板から剥離した後、15m
m幅×80mm長に切り出し、両端から15mmずつを
つかみ部分とし、テンシロン測定器により強伸度の測定
を行った。試験速度は200mm/分であった(単位:
強度MPa、伸度%)。評価は以下のように行った。 可塑剤保持性 アクリル重合体微粒子2部、フタル酸ジオクチル(DO
P)4部を均一に混合し、アルミ皿に流し込んで140
℃×20分の加熱によりゲル化させた。これをいったん
室温まで放冷した後、40℃の恒温槽にて2週間保存
し、ゲル化物からの可塑剤のブリードアウトの有無を目
視及び触覚にて判断した。 ○:ブリードアウトなし ×:ブリードアウトあり
【0029】実施例1〜13 重合体微粒子A1〜A12の製造 温度計、窒素ガス導入管、攪拌棒、滴下漏斗、冷却管を
装備した5リットルの4つ口フラスコに、純水1414
gを入れ、30分間十分に窒素ガスを通気し、純水中の
溶存酸素を置換した。窒素ガス通気を停止した後、メチ
ルメタクリレート45.6g、n−ブチルメタクリレー
ト34.9gを入れ、150rpmで攪拌しながら80
℃に昇温した。内温が80℃に達した時点で、28gの
純水に溶解した過硫酸カリウム0.70gを一度に添加
し、ソープフリー重合を開始した。そのまま80℃にて
攪拌を60分継続し、シード粒子分散液を得た。引き続
きこのシード粒子分散液に対して、モノマー乳化液(メ
チルメタクリレート420.8g、n−ブチルメタクリ
レート348.16g、ジアルキルスルホコハク酸ナト
リウム(花王(株)製、商品名:ペレックスO−TP)
7.00g、純水350.0gを混合攪拌して乳化した
もの)を2.5時間かけて滴下し、引き続き80℃にて
1時間攪拌を継続して、重合体分散液を得た。引き続き
この重合体分散液に対して、モノマー乳化液(メチルメ
タクリレート533.1g、n−ブチルメタクリレート
199.1g、メタクリル酸24.08g、ジアルキル
スルホコハク酸ナトリウム(花王(株)製、商品名:ペレ
ックスO−TP)7.00g、純水350.0gを混合
攪拌して乳化したもの)を2.5時間かけて滴下し、引
き続き80℃にて1時間攪拌を継続して、重合体分散液
を得た。得られた重合体分散液を室温まで冷却した後、
スプレードライヤー(大川原化工機(株)製、L−8型)
を用いて、入口温度170℃、出口温度75℃、アトマ
イザ回転数25000rpmにて噴霧乾燥し、重合体微
粒子A1を得た。同様にして、表1に示した組成のアク
リル系重合体粒子A2〜A12を製造した。
【0030】プラスチゾルの調製 得られたアクリル系重合体微粒子A1−A12の各々1
00部に対し、フタル酸ジオクチル(DOP)140
部、炭酸カルシウム100部を計量し、ディスパーミキ
サーにて攪拌(約2000rpm×2分)し、さらに減
圧脱泡して均一な各プラスチゾルを得た。これらのアク
リル系重合体粒子A1〜A12を表2の配合処方にした
がって配合してプラスチゾルを得た。得られたプラスチ
ゾルの評価を行った。その結果を表2に併記する。
【0031】実施例1〜13はC4脂肪族アルコールの
メタクリル酸エステルとしてn−ブチルメタクリレート
又はi−ブチルメタクリレートを用いた例である。いず
れの場合もフタル酸ジアルキルエステル系可塑剤とし
て、ジ−2−エチルヘキシルフタレート又はジ−i−ノ
ニルフタレートを用いている。いずれの場合も、最も好
ましい範囲で各モノマーの組成を変更した場合である。
実施例5はシェル重合体にその他のモノマーとして2ー
ヒドロキシエチルメタクリレートを用いた場合である。
実施例6〜8は粒子径が1000nmを上回るコアシェ
ル構造粒子を用いた例である。実施例9はその他のモノ
マーとしてスチレンを用いた場合である。実施例10は
その他のモノマーとして二官能モノマーであるエチレン
グリコールジメタクリレートを用いた場合である。実施
例11はその他のモノマーとして反応性モノマーである
N−ブトキシメチルアクリルアミドを用いた場合であ
る。実施例12はその他のモノマーとしてアリルメタク
リレートを用いた場合である。実施例13は実施例1と
同じ重合体A1を用いて、添加剤としてブロックイソシ
アネートを配合した場合である。いずれの場合も物性は
良好であり、とくにプラスチゾルの貯蔵安定性、塗膜の
強度及び伸度がたいへん優れていた。
【0032】比較例1〜9 実施例1と同様の手法により表1に示した組成の重合体
微粒子A'1〜A'9を製造し、同様に表2に示した配合
にしたがってプラスチゾルを調製した。当該プラスチゾ
ルの評価結果を表2に併記する。比較例1はシェル重合
体の比率を95%にまで上げた例(A'1)であるが、
この場合には可塑剤に対して良好な相溶性を有するコア
重合体が少なすぎるため、可塑剤が経時的にブリードア
ウトし、可塑剤保持性は不良であった。比較例2はコア
重合体の比率を95%にまで上げた例(A'2)である
が、この場合には可塑剤に配合した途端にゲル化が進行
し、貯蔵安定性はきわめて不良であり、ゲル化塗膜とし
て評価するに至らなかった。比較例3はコア重合体のC
4脂肪族アルコールのメタクリル酸エステルであるnB
MAを10mol%に低減した例(A'3)であるが、
この場合はコア重合体の可塑剤に対する相溶性が著しく
低下するため、ゲル化物から可塑剤が経時的にブリード
アウトし、可塑剤保持性は不良であった。比較例4はシ
ェル重合体のC4脂肪族アルコールのメタクリル酸エス
テルであるnBMAを2mol%にまで低減した場合
(A'4)であるが、この場合にも可塑剤のブリードア
ウトが生じ、可塑剤保持性は不良であった。比較例5は
コア重合体のC4脂肪族アルコールのメタクリル酸エス
テルであるnBMAを85mol%に増加した例(A'
5)であるが、この場合はコア重合体の可塑剤に対する
相溶性が著しく上昇し、好適な範囲を超えてしまうた
め、貯蔵安定性は極めて不良であった。比較例6はシェ
ル重合体のC4脂肪族アルコールのメタクリル酸エステ
ルであるnBMAを45mol%にまで増加した場合
(A'6)であるが、この場合には本来可塑剤に対して
低相溶性であるべきシェルが高相溶性となるため、可塑
剤を配合した直後からゲル化が進行し、貯蔵安定性は極
めて不良であり、ゲル化塗膜として評価するに至らなか
った。比較例7はシェル重合体のカルボキシル基含有モ
ノマーであるメタクリル酸を0.2mol%にまで低減
した例(A'7)であるが、この場合には可塑剤中にお
ける重合体微粒子の分散状態が変化し、プラスチゾルの
粘度が高く、不良となった。比較例8はシェル重合体の
カルボキシル基含有モノマーであるメタクリル酸を12
mol%にまで増加した例(A'8)であるが、この場
合には可塑剤に対する相溶性が著しく低下し、ゲル化状
態が不良となり、強度が低下した。またブリードアウト
を発生し、可塑剤保持性が不良であった。比較例9はコ
アシェル構造を有する一次粒子の粒子径を80nmにし
た場合(A'9)である(この場合には乳化剤としてフ
レークマルセルではなく花王(株)製 商品名:ペレック
スSS−Hを用いた)。この場合には一次粒子の総表面
積が非常に増加することと、コア重合体を可塑剤による
溶解から保護しているシェル重合体の厚みが不足するた
め、貯蔵安定性は低下し、実用に耐えられなかった。
【0033】比較例10〜12 特開平7−233299号公報に示された実施例に従
い、表1に示す組成の重合体粒子A'10〜A'12を製
造し、実施例1と同様に表2に示した配合にしたがって
プラスチゾルを調製した。当該プラスチゾルの評価結果
を表2に併記する。比較例10〜12は特開平7−23
3299号公報により提案された重合体(A'10〜A'
12)を用いた場合である。比較例10及び11は初期
状態としては良好なプラスチゾルを与えたが、メチルメ
タクリレートの比率が高すぎるため、フタル酸ジアルキ
ルエステル系可塑剤を用いた場合には塗膜と可塑剤の相
溶性が低すぎ、伸度及び可塑剤保持性が十分ではなかっ
た。比較例12ではコア重合体のメチルメタクリレート
比率が高すぎることと、シェル重合体にカルボン酸又は
スルホン酸基含有モノマーが用いられていないため、プ
ラスチゾルの貯蔵安定性が低く、塗膜物性の評価には至
らなかった。 比較例13〜14 特開平8−295850号公報に示された実施例に従
い、表1に示す組成の重合体粒子A'13〜A'14を製
造し、実施例1と同様に表2に示した配合にしたがって
プラスチゾルを調製した。当該プラスチゾルの評価結果
を表2に併記する。比較例13〜14は特開平8−29
5850号公報により提案された重合体を用いた場合
(A'13〜A'14)である。比較例13ではシェル重
合体のメチルメタクリレート比率が高すぎるため、貯蔵
安定性は良好なものの、塗膜の伸度と可塑剤保持性が不
良であった。比較例14ではコアのメチルメタクリレー
ト比率が低すぎるため、貯蔵安定性が不良であり、塗膜
物性の評価には至らなかった。 比較例15〜16 特開平5−279539号公報に示された実施例に従
い、表1に示す組成の重合体粒子A'15〜A'16を製
造し、実施例1と同様に表2に示した配合にしたがって
プラスチゾルを調製した。当該プラスチゾルの評価結果
を表2に併記する。比較例15〜16は特開平5−27
9539号公報により提案された重合体を用いた場合
(A'15〜A'16)である。いずれもシェル重合体の
メチルメタクリレート比率が高すぎるため、ジ−2−エ
チルヘキシルフタレートでは可塑化できず、ここではジ
オクチルフタレートを用いて配合している。いずれも初
期粘度は良好であるが、貯蔵安定性が不良であった。ま
た塗膜の強度がやや低く不良であった。
【0034】比較例17〜20 特開平5−255563号公報に示された実施例に従
い、表1に示す組成の重合体粒子A'17〜A'20を製
造し、実施例1と同様に表2に示した配合にしたがって
プラスチゾルを調製した。当該プラスチゾルの評価結果
を表2に併記する。比較例17〜20は特開平5−25
5563号公報により提案された重合体を用いた場合
(A'17〜A'20)である。この公報で提案されてい
る重合体はコアシェル構造粒子ではなく均一構造粒子で
あり、本発明が目的とするものとは粒子構造において異
なる。プラスチゾルを配合する時の可塑剤は、上記公報
により示されたものを用いた。比較例17では貯蔵安定
性が不良であり、塗膜強度もやや不良であった。比較例
18では貯蔵安定性が不良であった。比較例19では重
合体と可塑剤の相溶性が高すぎて、貯蔵安定性が不良で
あり、塗膜の強度も低いものとなった。
【0035】比較例21〜24 特開平6−322225号公報に示された実施例に従
い、表1に示す組成の重合体粒子A'21〜A'24を製
造し、実施例1と同様に表2に示した配合にしたがって
プラスチゾルを調製した。当該プラスチゾルの評価結果
を表2に併記する。比較例21〜24は特開平6−32
2225号公報により提案された重合体を用いた場合
(A'21〜A'24)である。本公報ではコアシェル構
造粒子を用いると書いてあるが、ここで言うコアシェル
構造粒子とははじめにアクリル樹脂からなる均一構造粒
子を製造し、この粒子の表面のエステル結合を加水分解
することにより粒子表面にのみカルボキシル基を導入す
るというものである。上記公報の条件で重合体粒子をア
ルカリ処理した場合、加水分解されるエステル結合は粒
子表面から数nm程度の範囲である。したがって本発明
で言うコアシェル構造粒子と較べるとシェル重合体の比
率が大きく異なり、本発明の場合、重合体粒子の30〜
70mol%であるが、上記公報の場合には多く見積も
っても5mol%以下である。とくに上記公報で用いて
いる重合体粒子の平均粒子径が2ミクロン程度であるこ
とを考慮すると、粒子体積に対する粒子表面積は非常に
わずかであり、したがって実際にはシェル重合体の比率
は1mol%以下であると計算される。したがって表1
ではコアシェル比を99/1と記載してある。比較例2
1〜22の場合、メチルメタクリレート主体の組成であ
るため、これを良好に可塑化するためには極性の高い可
塑剤を用いる必要があり、アルキル鎖の短いフタル酸ジ
アルキルエステル系可塑剤を用いている。したがってプ
ラスチゾルの貯蔵安定性が不良であり、塗膜もやや低強
度である。比較例23では貯蔵安定性及び塗膜強度がや
や不足している。比較例24では貯蔵安定性がやや不足
し、塗膜強度が大幅に低下した。
【0036】比較例25〜26 特開昭53−144950号公報に示された実施例に従
い、表1に示す組成の重合体粒子A'25〜A'26を製
造し、実施例1と同様に表2に示した配合にしたがって
プラスチゾルを調製した。当該プラスチゾルの評価結果
を表2に併記する。比較例25〜26は特開昭53−1
44950号公報により提案された重合体を用いた場合
(A'25〜A'26)である。比較例25の場合、重合
体の可塑剤に対する相溶性が低いため、貯蔵安定性とし
ては十分であるが、可塑剤保持性が低く、ブリードアウ
トが発生し、伸度が低い。比較例26の場合、コア部の
相溶性が改良されたが、シェル部のメチルメタクリレー
ト共重合比率が高すぎ、全体としては相溶性が低すぎる
ため可塑剤保持性が低くブリードアウトが発生する。以
上詳述したように、本発明のアクリル系重合体微粒子を
用いたプラスチゾルは、塩化ビニル重合体を用いた塩ビ
ゾルと同等の優れた貯蔵安定性と優れた可塑剤保持性を
有しながら、かつ塩ビゾルの有する環境への悪影響の無
いプラスチゾルを提供することができ、その工業的意義
及び地球環境保全にもたらす効果は著大である。
【0037】表1中の略号は以下の通りである。 MMA:メチルメタクリレート nBMA:n−ブチルメタクリレート iBMA:i−ブチルメタクリレート MAA:メタクリル酸 2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート St:スチレン EDMA:エチレングリコールジメタクリレート NBMA:N−ブトキシメチルアクリルアミド AMA:アリルメタクリレート BzMA:ベンジルメタクリレート CHMA:シクロヘキシルメタクリレート EMA:エチルメタクリレート AA:アクリル酸 nBA:nブチルアクリレート 表2中の略号は以下の通りである。 DOP:ジ−2−エチルヘキシルフタレート DINP:ジイソノニルフタレート DOPh:ジオクチルフォスフェート DBP:ブチルベンジルフタレート DEP:ジエチルフタレート CaCO3:炭酸カルシウム 表中の単位は以下の通りである。 配合:重量部 粘度:Pa・S 貯蔵安定性:% 強度:MPa 伸度:%
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】
【発明の効果】本発明のプラスチゾルは、優れた貯蔵安
定性を有し、かつゲル化性能にも優れており、さらに得
られる塗膜の強度、伸度ともに優れていることから、塩
ビゾルが従来広く使用されている各種用途、例えばパッ
キング、ガスケット、壁紙等の内装品、玩具、日用品、
雑貨、鋼(スチロール)製基材の摩耗及び腐食防止塗
料、例えば自動車、トラック、及びバスの底部の抗チッ
プ塗膜用などの各種コーティング、フィルム、シート等
の成形やコーティングに広く使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08F 220/14 C08F 220/14 220/18 220/18 265/06 265/06 C08L 33/06 C08L 33/06 Fターム(参考) 4F070 AA32 DA34 DC02 DC05 DC07 DC13 4J002 BG04W BG04X BG05W BG05X BG06W BG06X GC00 GH00 GH01 GL00 GM00 HA06 HA09 4J011 BA04 BA08 BB01 BB07 BB09 BB12 JB08 JB09 JB13 JB14 JB16 JB26 PA69 PC02 PC07 PC11 4J026 AA38 AA45 AA47 AA50 AA55 AA60 AA62 BA20 BA25 BA27 BA29 BA30 BA32 BA34 BA36 BA39 BA50 BB04 DA03 DA07 DB03 DB08 DB24 EA03 FA03 FA04 FA07 GA06 4J100 AB02R AG04R AJ01S AJ02S AJ08S AJ09S AK07S AK08S AK12S AK13S AK20S AK21S AK25S AK26S AK29S AL03P AL03Q AL04Q AL05R AL08Q AL08R AL08S AL09R AL10R AL11Q AL62R AL63R AL66R AL91S AM21R AP01S BA03R BA04R BA05R BA06R BA08R BA10R BA14R BA15S BA16S BA31R BA56S BC04Q BC43Q CA05 CA06 EA06 EA09 EA11 FA21 FA37 GC26 JA01 JA28 JA57 JA67

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)イ)水を主成分とする媒体中で、
    20℃において該媒体に対して0.02質量%以上の溶
    解度を有し、かつその重合体は該媒体に溶解しない単量
    体を用いて重合せしめ、重合体分散液を得る工程、ロ)
    上記の重合体分散液に対して単量体混合物を滴下して被
    覆された重合体分散液を得る工程、(2)上記の重合体
    分散液を噴霧乾燥することによって重合体微粒子を回収
    する工程、を含むアクリル系重合体微粒子の製造方法。
  2. 【請求項2】 アクリル系重合体微粒子が、 コア重合体Cとシェル重合体Sからなるコアシェル構造
    を有する一次粒子Pからなるアクリル系重合体微粒子で
    あり、該一次粒子Pの平均粒子径が250nm以上であ
    り、コア重合体C及びシェル重合体Sはそれぞれ以下に
    示すモノマー混合物Mc及びMsの共重合体であり、か
    つMcとMsの重量比が10/90〜90/10であ
    る、請求項1に記載のアクリル系重合体微粒子の製造方
    法; Mc:合計を100mol%とし、 メチルメタクリレート 20〜85mol% C2〜C8脂肪族アルコール及び/又は芳香族アルコールの(メタ)ア クリル酸エステル 15〜80mol%、及び その他の共重合可能なモノマー 30mol%以下 Ms:合計を100mol%とし、 メチルメタクリレート 20〜79.5mol% C2〜C8脂肪族アルコール及び/又は芳香族アルコールの(メタ)ア クリル酸エステル 5〜40mol% カルボキシル基又はスルホン酸基含有モノマー 0.5〜10mol%、及び その他の共重合可能なモノマー 30mol%以下。
  3. 【請求項3】コア重合体C及びシェル重合体Sがそれぞ
    れ以下に示すモノマー混合物Mc及びMsの共重合体で
    あり、かつMcとMsの重量比が30/70〜70/3
    0である、請求項2に記載のアクリル系重合体微粒子の
    製造方法; Mc:合計を100mol%とし、 メチルメタクリレート 20〜70mol% n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート及 びt−ブチル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種以上の (メタ)アクリル酸エステル 30〜80mol%、及び その他の共重合可能なモノマー 20mol%以下 Ms:合計を100mol%とし、 メチルメタクリレート 30〜79.5mol% n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート及 びt−ブチル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種以上の (メタ)アクリル酸エステル 5〜40mol% カルボキシル基含有アクリル系モノマー 0.5〜10mol%、及び その他の共重合可能なモノマー 20mol%以下。
  4. 【請求項4】コア重合体C及びシェル重合体Sがそれぞ
    れ以下に示すモノマー混合物Mc及びMsの共重合体で
    あり、かつMcとMsの重量比が30/70〜70/3
    0である、請求項2に記載のアクリル系重合体微粒子の
    製造方法; Mc:合計を100mol%とし、 メチルメタクリレート 20〜70mol% n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート及 びt−ブチル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種以上の (メタ)アクリル酸エステル 30〜80mol%、及び その他の共重合可能なモノマー 10mol%以下 Ms:合計を100mol%とし、 メチルメタクリレート 55〜79.5mol% n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート及 びt−ブチル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種以上の (メタ)アクリル酸エステル 20〜40mol% カルボキシル基含有アクリル系モノマー 0.5〜5mol%、及び その他の共重合可能なモノマー 10mol%以下。
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