JP3524805B2 - アクリル系プラスチゾル組成物 - Google Patents

アクリル系プラスチゾル組成物

Info

Publication number
JP3524805B2
JP3524805B2 JP07685599A JP7685599A JP3524805B2 JP 3524805 B2 JP3524805 B2 JP 3524805B2 JP 07685599 A JP07685599 A JP 07685599A JP 7685599 A JP7685599 A JP 7685599A JP 3524805 B2 JP3524805 B2 JP 3524805B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
mol
reactive functional
functional group
plasticizer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP07685599A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000273262A (ja
Inventor
俊宏 笠井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp, Mitsubishi Rayon Co Ltd filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP07685599A priority Critical patent/JP3524805B2/ja
Publication of JP2000273262A publication Critical patent/JP2000273262A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3524805B2 publication Critical patent/JP3524805B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可塑剤に熱可塑性
重合体粒子を分散させたプラスチゾルに関する。詳しく
は、燃焼時に有毒なガス等を発生せない非塩素系プラス
チゾルに関する。さらに詳しくは、貯蔵安定性や塗膜強
度など優れた物性を実現するアクリル系プラスチゾルに
関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性重合体粒子を可塑剤に分散させ
て成るプラスチゾルは、優れた加工性と塗膜物性を活か
して多岐にわたる産業分野において利用されてきた。特
に塩化ビニル系重合体を用いたプラスチゾルは塩化ビニ
ル系ゾル(以下塩ビゾルと略)として知られ、プラスチ
ゾルと言えば塩ビゾルのことを指すほど広く普及し、壁
紙、自動車、床材、塗料、玩具、雑貨など幅広い産業分
野において多量に使用されている。ところが近年、塩化
ビニル系重合体を焼却する際に発生する塩化水素ガスや
ダイオキシン等が環境に及ぼす悪影響が社会的に問題視
されるに至り、塩ビゾルの代替材料に対する要求が高ま
ってきた。そこでアクリル系重合体粒子を可塑剤に分散
させたアクリル系プラスチゾル(以下アクリルゾルと
略)が開発されるようになり注目を集めている。アクリ
ルゾルは塩ビゾルと同等の形態、作業性、加工性を有す
るという点で、塩ビゾルの代替材料として有力視されて
いる。しかし、従来のアクリルゾルを加熱して得られる
塗膜は、強度や耐久性、ゴム弾性等の点で塩ビゾルに劣
っており、工業的に実用化するためにはこれらの塗膜物
性をさらに改良する必要があった。
【0003】塗膜物性を改良するために、アクリルゾル
を成膜させる時の熱を利用して架橋反応を形成させる方
法が幾つか提案されている。例えば特開平6−3222
18号公報では、カルボキシル基、エポキシ基、メチロ
ール基、エーテル化メチロール基などの反応性官能基を
含有するアクリル重合体粒子と、これと反応することの
できる化合物、例えば、液状エポキシ化合物、ポリアミ
ン化合物、ポリアミドアミン化合物などを架橋剤として
可塑剤とともに配合することにより、耐クリープ性など
塗膜物性の改良効果が得られると提案されている。この
公報記載の発明では、上記の反応性官能基をアクリル重
合体粒子のシェル部に存在させることを特徴としてい
る。また特開平7−157622号公報では、カルボキ
シル基やアミド基、水酸基、アミノ基、エポキシ基、メ
チロール基、エーテル化メチロール基などの反応性の官
能基を有するアクリル重合体粒子と、これと反応するこ
とのできる重合体を架橋剤として可塑剤とともに配合す
ることにより、耐クリープ性など塗膜物性の改良効果が
得られると提案されている。特表平8−510277号
公報及び特開平7−25953号公報では、ゲル化温度
において重合体と架橋反応に加わることのできる化合物
を配合したプラスチゾルが提案されている。しかし、こ
こでは具体的にどのような化合物あるいは官能基をどの
ような形態で用いることが効果的なのか明確にされてい
ない。また実際には、単にゲル化温度において反応する
官能基を含有した重合体と化合物を配合しただけでは、
効果的な架橋結合の形成は進行せず、より厳密な条件設
定をしなければ塗膜物性の改良効果は得られないのが実
状である。
【0004】これらの公報により提案された方法におけ
る共通点は、重合体粒子の全体もしくは表層部(シェル
部)に反応性官能基を含有させ、可塑剤中に存在する反
応性化合物と架橋させようとするものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の公報により提案された方法には幾つかの重大な問題点
が含まれている。問題点の第1は、反応性官能基が重合
体粒子の表層部に存在していることである。このため、
可塑剤中に溶解もしくは分散された形態で配合されてい
る硬化剤化合物に対して直接に露出された状態で存在し
ており、プラスチゾルの貯蔵中に徐々に反応が進行して
経時的に増粘もしくは著しい場合にはゲル化してしま
う。即ち、プラスチゾルとしての貯蔵安定性にきわめて
劣るということである。このような経時的増粘はプラス
チゾルを配合した後にすぐに加熱成膜まで完了してしま
うというごく特殊な場合を除いては使用できず、きわめ
て実用性に乏しい。一般的にプラスチゾルに要求される
貯蔵安定性のレベルは、35℃あるいは40℃、ときに
は、それ以上に及ぶ温度環境において、1週間から10
日、もしくは1ヶ月に及ぶ長期間にわたって増粘の程度
が初期粘度に比べて数十%以内という極めて厳しいもの
である。プラスチゾルの貯蔵安定性が不足する場合、プ
ラスチゾルを製造および供給する配管などの内部でゲル
化してしまい、製造ラインを停止させる等の異常事態に
つながる。また経時的な増粘が大きい場合、当然のこと
ながら塗工などの作業に安定性や再現性が得られず、安
定した工程管理を行うことが不可能になる。このよう
に、貯蔵安定性に劣るプラスチゾルは塩ビゾルの代替材
料にはなり得ず、産業上の利用価値は低い。逆に、貯蔵
安定性を重視して反応性官能基の反応性を抑制した場
合、加熱したときの架橋結合の形成が不十分になり、本
来期待されるべき架橋導入の効果が稀薄になってしま
う。結局のところ、上記公報により提案された方法で
は、プラスチゾルの貯蔵安定性と加熱時の高い反応性を
両立することは困難である。
【0006】問題点の第2は、架橋速度が速すぎるため
にプラスチゾルの本質である熱可塑性重合体粒子の熱溶
融という過程が十分に行われないということである。実
際に上記公報に従って反応性官能基を含有する重合体粒
子を製造し、これにより得られるプラスチゾルを加熱し
て塗膜を形成してその物性を測定すると、反応性官能基
を含有させない場合に比べて強度や伸度などはむしろ低
下する。特に注目すべきは、プラスチゾルに充填剤を配
合した場合において塗膜物性が著しく低下することであ
り、甚だしい場合には成膜自体が進行しない場合すらあ
ることが判明した。反応性官能基を導入したにもかかわ
らず塗膜物性が低下する理由として、重合体粒子の熱溶
融の速度と、反応性官能基の反応速度とのバランスが適
切に制御されていないことが指摘される。プラスチゾル
の成膜とは、加熱により熱可塑性重合体粒子が可塑剤を
吸収する速度が飛躍的に加速され、最終的には可塑剤に
溶融し、均一となることにより高分子鎖の物理的な絡み
合いが発生し、強靭な連続塗膜を形成するというもので
ある。ここで理想的に架橋反応を進行させようとすれ
ば、当然のことながら重合体粒子の溶融が完全に進行し
た後に架橋結合を形成せしめるべきである。
【0007】しかるに上記公報により提案された方法で
は、反応性官能基が重合体粒子の表層部に存在している
ため、重合体粒子が溶融するまでもなく直ちに可塑剤中
の架橋剤と反応し、架橋結合を形成してしまう。或い
は、個々の重合体粒子の中に互いに反応し得る反応性官
能基が共存しているため、重合体粒子が膨潤を開始した
時点で直ちに粒子内部で架橋結合が形成されてしまう。
特にこの挙動が顕著なのは上記公報において提案されて
いる自己架橋性の官能基、即ち、メチロール基、エーテ
ル化メチロール基などを用いた場合である。この場合に
は重合体粒子が溶融してから官能基が架橋することはま
ったく期待できず、殆ど定量的に粒子内部で架橋反応が
進行してしまう。このように、重合体粒子がまだその形
態をとどめているうちに架橋結合が形成された重合体粒
子は、それ以上どんなに加熱を加えても可塑剤を吸収し
て膨潤したり、さらには熱溶融したりすることができ
ず、高分子鎖が均一に絡み合った良質な連続塗膜を形成
することができない。こうした成膜不良はプラスチゾル
の基本的な挙動から期待される塗膜物性を著しく損なう
ことは明らかである。
【0008】上記公報で提案された方法において観察さ
れる、充填剤を多く配合するほど成膜状態が不良となる
という挙動も、上述したような機構から容易に説明され
る。即ち、充填剤含有量が多いほど、重合体に期待され
るバインダーとしての性能は重要であり、高分子鎖の絡
み合いの度合いが高いことが必要である。つまり溶融状
態が十分に長い時間保持されることにより、溶融した重
合体分子が充填剤の空隙を十分に埋めることができ、バ
インダーとしての性能向上につながる。しかるに上記公
報により提案された方法では、加熱すると重合体粒子の
溶融を待たずにただちに架橋反応が進行し、重合体粒子
の熱溶融を抑制し、充填剤の空隙を十分に埋めるほどの
重合体分子の分子運動ができないため、著しい成膜不良
を起こすと考えられる。現在の塩ビゾルの用途を見る
に、殆どの用途においてコスト低減や硬度の向上、ある
いは用途によっては重量化等の多種多様な目的のため
に、炭酸カルシウムなどの充填剤を多量に配合するのが
一般的である。したがって充填剤を配合した場合に塗膜
強度が著しく低下することは甚だ不都合であり、産業的
な利用価値はきわめて低い。
【0009】以上のように、反応性官能基の導入は、適
切に利用されれば塗膜物性の改良に効果的であると予測
されるにもかかわらず、これまでに提案されてきた方法
では、プラスチゾルの貯蔵安定性の低下、重合体粒
子の熱溶融不足による塗膜物性の低下、という大きな弊
害を有しており、改良効果が得られないものであった。
【0010】他にも反応性の化合物をプラスチゾルに配
合する例として、例えば、特表平6−506710号公
報や特開平5−279539号公報等により接着付与剤
を配合することが提案されている。しかし、これらの公
報により提案されている技術の主旨は、接着性の化合物
を配合することにより基材との反応性を付与する点にあ
り、重合体との反応性に対する考慮はなされていない。
したがって加熱後の塗膜における架橋結合形成を意図す
るものではなく、塗膜の強伸度やゴム弾性等の物性にお
いて改良効果を得られるものではない。
【0011】本発明は前記課題を解決するためになされ
たもので、プラスチゾルにおいて反応性官能基を導入し
て塗膜に架橋を形成させようとする際に発生していた上
記の弊害を解決し、改良された貯蔵安定性と塗膜物
性を実現するアクリル系プラスチゾルを提案するもので
ある。とりわけ充填剤を配合した場合においても十分な
塗膜物性が得られ、工業的な実用化において利用価値の
高いアクリル系プラスチゾルを提案するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
について鋭意検討した結果、プラスチゾルにおいて互い
に反応し得る官能基が存在する場合、その反応速度は官
能基どうしの化学的な反応速度よりも官能基の存在場所
によって大きく支配されることを見出した。その結果、
互いに反応し得る異なる反応性官能基(F1)および
(F2)について、一方の反応性官能基(F1)を重合体
粒子の中心部即ち、コア部に存在させ、かつ他方の反応
性官能基(F2)を可塑剤中に溶解または分散させた状
態で存在させることにより、重合体粒子の熱溶融の速度
と架橋反応の形成速度とのバランスを最適化することに
成功した。さらに反応性官能基の組合せを詳細に検討
し、反応速度や安定性などの観点から、エポキシ基、β
−ケトエステル基、水酸基を重合体粒子のコア部に存在
させ、同時にアミノ基、ブロックイソシアネート基を分
子内に2個以上含有する化合物を可塑剤中に溶解または
分散させた状態で存在させることが特に好ましく、塗膜
の強伸度、ゴム弾性などにおいて明らかな改良効果があ
ることを見出し、本発明に至った。
【0013】即ち、本発明のアクリル系プラスチゾル組
成物は、(A)コア部に反応性官能基(F1)を含有
し、かつ200℃以下においてこれと反応し得る反応性
官能基(F1)とは異なる反応性官能基を含有しないコ
アシェル構造を有するアクリル系重合体粒子;(B)可
塑剤;(C)200℃以下で前記反応性官能基(F1)
と反応し得る反応性官能基(F2)を分子内に2個以上
含有し、かつ前記可塑剤(B)に溶解または分散し得る
有機化合物;を必須成分とすることを特徴とするもので
ある。ここで、(A)コアシェル構造を有するアクリル
系重合体粒子は、その平均一次粒子径が400nm以上
であり、かつコア部とシェル部の比率がこれらを形成す
るモノマーのモル比率に換算してコア部/シェル部=3
0/70〜70/30であることが望ましい。反応性官
能基(F1)と反応性官能基(F2)の組合せとしては、
(F1)+(F2)がこの順番で{エポキシ基+アミノ
基、エポキシ基+カルボキシル基、β−ケトエステル基
+ブロックイソシアネート基、β−ケトエステル基+エ
ポキシ基、カルボキシル基+エポキシ基、水酸基+ブロ
ックイソシアネート基、水酸基+エポキシ基}のいずれ
かであることが望ましく、なかでも、エポキシ基+アミ
ノ基、β−ケトエステル基+ブロックイソシアネート
基、水酸基+ブロックイソシアネート基のいずれかが望
ましい。
【0014】(A)コアシェル構造を有するアクリル系
重合体粒子のコア部を形成するモノマー組成は、反応性
官能基(F1)を含有するモノマーの量が、コア部を形
成するモノマーの総量に対して0.1〜10.0mol%
であることが望ましい。特に、(A)アクリル系重合体
粒子のコア部およびシェル部を形成するモノマーがそれ
ぞれ下記のモノマー混合物(Mc)および(Ms)であ
り、かつ、(Mc)と(Ms)のモル比が(Mc)/
(Ms)=30/70〜70/30であり、(B)可塑
剤の主成分がC6〜C10の脂肪族アルコールのフタル
酸ジエステルであることが望ましい。(Mc)合計を1
00mol%とし、 メチルメタクリレート:20〜84.9mol% C2〜C8脂肪族及び/又は芳香族アルコールの(メ
タ)アクリル酸エステル:15〜79.9mol% 反応性官能基(F1)を含有するモノマー:0.1〜1
0.0mol% その他の共重合可能なモノマー:20mol%以下 (Ms)合計を100mol%とし、 メチルメタクリレート:50〜95mol% C2〜C8脂肪族及び/又は芳香族アルコールの(メ
タ)アクリル酸エステル:5〜50mol% その他の共重合可能なモノマー:20mol%以下
【0015】中でも、(B)可塑剤の主成分がC8〜C
9の脂肪族アルコールのフタル酸ジエステルであり、下
記のモノマー混合物(Mc)および(Ms)であること
が望ましい。(Mc)合計を100mol%とし、 メチルメタクリレート:20〜69.9mol% n−ブチル(メタ)アクリレート及び/又はi−ブチル
(メタ)アクリレート:30〜79.9mol% エポキシ基または水酸基またはβ−ケトエステル基含有
モノマー:0.1〜10.0mol% その他の共重合可能なモノマー:20mol%以下 (Ms)合計を100mol%とし、 メチルメタクリレート:60〜95mol% n−ブチル(メタ)アクリレート及び/又はi−ブチル
(メタ)アクリレート:5〜40mol% その他の共重合可能なモノマー:20mol%以下
【0016】
【発明の実施の形態】本発明者らの研究によれば、プラ
スチゾルにおいて、互いに反応し合う官能基が存在する
場合、これらの反応速度は官能基が存在する場所によっ
て大きく支配される。詳細には、[1]互いに反応し合
う官能基がともにコア部もしくはシェル部に共存する場
合、最も速く反応する。[2]互いに反応し合う官能基
がコア部とシェル部とに別個に局在する場合、反応速度
は[1]よりもやや低下する。[3]互いに反応し合う
官能基が粒子中と粒子外に別個に存在する場合、即ち、
官能基の一種は粒子中に存在し、これと反応する別種の
官能基は粒子とは独立して可塑剤中に溶解または分散さ
れた状態で存在している場合、反応速度は[2]よりも
さらに低下する。[3]の中でもさらに、粒子中に存在
する官能基がシェル部に局在する場合([3a])とコ
ア部に局在する場合([3b])とを比較すると、[3
b]の方が[3a]よりも遥かに反応速度が低下する。
まとめると反応速度は[1]>[2]>>[3a]>>
[3b]という順序になることが観察された。即ち、プ
ラスチゾルの架橋反応では、化学的な反応性が同等であ
っても官能基どうしの隔離状態という物理的な要因が反
応速度を大きく支配していることが確認された。この要
因は、場合によっては化学的な反応性を上回る効果があ
ることも確認された。
【0017】このように官能基の存在場所によって反応
速度に大きな差が現れる理由は、プラスチゾルを加熱し
て粒子が膨潤を開始し、最終的には溶融してコアシェル
構造のモルフォロジーが破壊されていく過程を考えるこ
とで理解されうる。すなわち、プラスチゾルの粒子が十
分に熱溶融するためには、官能基どうしの化学的な反応
速度に較べたら遥かに長い時間を必要とするということ
である。こうした反応速度の比較は、それぞれのプラス
チゾルを加熱したときのレオロジー挙動を測定すること
で確認される。
【0018】プラスチゾルにおいて架橋形成の反応速度
が速すぎることは、重合体粒子の熱溶融が不十分なうち
に架橋が形成されてしまうことである。こうした架橋反
応は、架橋を導入した本来の目的に合致しないものであ
る。というのは本来、架橋は塗膜全体を結合させ、一体
化された強靭な塗膜にすることが目的であり、そのため
にはもともとは異なる粒子に存在していた高分子鎖どう
しを均一に結合させることが必要である。しかるに、架
橋形成が速すぎるタイミングで進行した場合、粒子の溶
融が完全でないために粒子はその形状をまだ維持してお
り、官能基は最も近接した官能基と、即ち、同一の粒子
内部で架橋結合を形成してしまうことになる。その結
果、加熱過程は重合体粒子の熱溶融を目的としていなが
ら、むしろ重合体粒子そのものを熱溶融しない架橋粒子
に変換させる操作になってしまっている。いったん粒子
内部で架橋してしまった架橋粒子はそれ以上どんなに加
熱を加えても熱溶融はできず、したがってどんなに加熱
を加えても成膜状態は進行しない。
【0019】こうした観察結果より、プラスチゾル用の
重合体粒子の設計において、互いに反応し合う官能基を
熱溶融が十分に行われるまでは反応できない場所に隔離
しておくことが理想的であることが結論される。即ち、
一方の官能基を粒子の中心部即ち、コア部に配置し、も
う一方の官能基を可塑剤中に存在させることである。し
たがって本発明では、プラスチゾルの一般的な成膜条件
である200℃以下の温度範囲において反応し得る反応
性官能基(F1)および(F2)の組合せを選択し、この
うち一種の反応性官能基(F1)を重合体粒子(A)の
コア部に存在させ、かつ反応性官能基(F2)を重合体
粒子(A)に存在させないことが重要であり、かつ反応
性官能基を可塑剤に溶解あるいは分散された化合物
(C)の1分子中に2個以上存在させることが必要であ
る。化合物(C)の1分子中に反応性官能基(F2)が
2個以上必要な理由は、架橋結合の形成のためである。
【0020】本発明において、反応性官能基(F1)を
重合体粒子(A)のシェル部に存在させない別の理由
は、プラスチゾルの貯蔵安定性を維持するためにある。
すなわち、反応性官能基(F1)がシェル部に存在する
場合、即ち、粒子表面に反応性官能基が露出されている
場合、反応性官能基(F1)と可塑剤中に溶解あるいは
分散されている化合物(C)に存在する反応性官能基
(F2)とがプラスチゾル貯蔵中に徐々に反応して結合
を生成し、プラスチゾル全体を架橋により高分子量化し
て増粘させ、最終的にはゲル化してしまうためである。
したがってプラスチゾルの貯蔵安定性を良好に維持する
ためには、反応性官能基どうしを貯蔵中において接触さ
せないことが必要であり、そのためには反応性官能基
(F1)を重合体粒子表面に存在させず、コア部に存在
させることが必要である。
【0021】本発明で用いるコアシェル構造を有するア
クリル系重合体粒子(A)は、その平均一次粒子径が4
00nm以上であり、かつコア部とシェル部の比率がこ
れらを形成するモノマーのモル比率に換算してコア部
(Mc)/シェル部(Ms)=30/70〜70/30
であることが好ましい。この意図するところは、コア部
に含有された反応性官能基(F1)が十分な厚みを有す
るシェル部により完全に被覆されてプラスチゾルとして
の貯蔵安定性を維持でき、かつ加熱時の溶融速度が過度
に低下しないためにある。コア部の比率が30%未満で
ある場合、反応性官能基(F1)の絶対量が不足するた
め塗膜における架橋密度が低下して改良効果が期待でき
ないこと、および相対的にシェル部の比率が高くなりす
ぎるため、加熱成膜過程において重合体粒子が溶融して
反応性官能基(F1)を露出するのに要する時間が長く
なりすぎて、定められた加熱条件内で架橋結合を形成す
ることができなくなる等の弊害が発生するため好ましく
ない。逆にコア部の比率が70%より高い場合、実質的
なシェル部の厚みが不足し、コア部を完全に被覆するこ
とが難しくなるため、反応性官能基(F1)が粒子表面
に露出される確率が高くなりプラスチゾルの貯蔵安定性
を低下させる。また加熱成膜過程において反応性官能基
(F1)を露出するタイミングが速くなりすぎるため、
重合体粒子の十分な熱溶融が実現できない等の弊害が発
生しやすいため好ましくない。
【0022】一方、重合体粒子(A)の平均一次粒子径
が400nm未満の場合、実質的なシェル部の厚みが不
足し、加熱成膜過程において反応性官能基(F1)を露
出するタイミングが速くなりすぎるため、重合体粒子の
十分な熱溶融が実現できないという弊害が発生しやす
い。また、重合体粒子(A)の平均一次粒子径が400
nm未満の場合、一定の質量を与える重合体の比表面積
が、粒子径がこれより大きい場合に較べて大幅に大きい
ため、プラスチゾルの粘度が増加して作業性が低下する
という弊害があるため好ましくない。
【0023】本発明における反応性官能基(F1)と反
応性官能基(F2)の好ましい組合せは、(F1)+(F
2)の順序で、エポキシ基+アミノ基、エポキシ基+カ
ルボキシル基、β−ケトエステル基+ブロックイソシア
ネート基、β−ケトエステル基+エポキシ基、カルボキ
シル基+エポキシ基、水酸基+ブロックイソシアネート
基、水酸基+エポキシ基である。さらに好ましくは(F
1)+(F2)の順序でエポキシ基+アミノ基、β−ケト
エステル基+ブロックイソシアネート基、水酸基+ブロ
ックイソシアネート基である。これらの官能基の組合せ
は反応性が十分に高く、200℃以下のプラスチゾル成
膜温度において架橋結合を速やかに形成する能力を有し
ている。同時にこれらの反応性官能基(F1)は実質的
に自己架橋性を有さないため、重合体粒子が溶融する前
に粒子内で架橋結合を形成することを防ぐことも可能で
ある。これらの点で、上記の官能基群は本発明の主旨に
おいて好適である。反応性官能基(F1)として不適当
なものは自己架橋性の官能基、例えば、メチロール基、
エーテル化メチロール基などである。これらの官能基は
上述した[1]のケースに相当し、重合体粒子中のどの
ような場所に存在させようとも互いに反応し得るため重
合体粒子の溶融を阻害する。また本発明で用いられるよ
うなコアシェル構造の重合体粒子を製造する方法が一般
的に水系媒体の乳化重合であることを考慮すると、水と
反応して分解したり失活する官能基は反応性官能基(F
1)として不適当である。反応性官能基(F1)としてこ
こに挙げた官能基は、乳化重合中に比較的安定に重合体
粒子中に含有させることができ、また該官能基を与える
モノマー群の種類も豊富で工業的に容易に入手できる。
また反応性官能基(F2)としてここに挙げた官能基
も、可塑剤に溶解もしくは分散できる化合物として多く
の種類が工業的に用意されている。したがって目的とす
るプラスチゾルの用途や要求性能に応じて幅広く選択す
ることができ、物性の最適化において好適である。
【0024】本発明において、コアシェル構造を有する
アクリル系重合体粒子(A)のコア部を形成するモノマ
ーのうち反応性官能基(F1)を含有するモノマーの量
は、コア部を形成するモノマーの総量に対して0.1〜
10.0mol%であることが好ましい。反応性官能基
(F1)の量が0.1mol%よりも少ない場合には十分
な架橋密度が得られないため、塗膜物性の改良効果が殆
ど認められず不適当である。逆に反応性官能基(F1)
の量が10.0mol%よりも多い場合には架橋密度が
高くなりすぎ、塗膜は良好に可塑化されず柔軟性を失っ
て硬く脆いものとなる。したがってプラスチゾル塗膜の
特徴である柔軟性やゴム弾性等の物性を得ることができ
ないため好ましくない。同時に、架橋密度が高すぎる塗
膜は可塑剤保持性が低位であるため、可塑剤が経時的に
ブリードアウトしてくる現象が見られる。これは塗膜の
物性を損なうだけでなく、可塑剤による汚染などを引き
起こすため好ましくない。
【0025】コア部を形成するモノマー組成の好ましい
範囲は、コア部を形成するモノマーの合計を100mo
l%としたときに、メチルメタアクリレートが20〜8
4.9mol%、C2〜C8脂肪族及び/又は芳香族ア
ルコールの(メタ)アクリル酸エステルが15〜79.
9mol%、反応性官能基(F1)を含有するモノマー
が0.1〜10.0mol%、その他の共重合可能なモノ
マーが20mol%である。メチルメタクリレートの比
率が20mol%より低い場合、もしくは、C2〜C8
脂肪族及び/又は芳香族アルコールの(メタ)アクリル
酸エステルの比率が79.9mol%より高い場合に
は、コア部の可塑剤に対する相溶性が高すぎてしまい、
ゾル貯蔵中にコア部が可塑剤を吸収して膨潤し、ゾル粘
度の上昇の原因となりやすい。逆に、メチルメタクリレ
ートの比率が84.9mol%より高い場合、もしくは
C2〜C8脂肪族及び/又は芳香族アルコールの(メ
タ)アクリル酸エステルの比率が15mol%より低い
場合には、コア部の可塑剤に対する相溶性が低すぎるた
め、塗膜の可塑剤保持性が不十分となり、可塑剤がブリ
ードアウトする原因となりやすい。その他の共重合可能
なモノマーは、用途によって異なる要求性能に応じて選
択されるが、その共重合比率は最大でも20mol%で
あり、これ以上比率を上げるとコア部の可塑剤に対する
相溶性が最適範囲から外れる可能性が高い。さらに好ま
しいモノマー組成の範囲は、コア部を形成するモノマー
の合計を100mol%としたときに、メチルメタクリ
レートが20〜69.9mol%、n−ブチル(メタ)
アクリレート及び/又はi−ブチル(メタ)アクリレー
トが30〜79.9mol%、エポキシ基または水酸基
またはβ−ケトエステル基含有モノマーが0.1〜10.
0mol%、その他の共重合可能なモノマーが20mo
l%以下であり、この場合にはプラスチゾルの貯蔵安定
性が40℃で10日以上という厳しい要求でも満足する
ことができ、しかも可塑剤保持性に優れた塗膜を形成す
る。
【0026】シェル部を形成するモノマー組成の好まし
い範囲は、シェルモノマーの合計を100mol%とし
たときに、メチルメタクリレートが50〜95mol
%、C2〜C8脂肪族及び/又は芳香族アルコールの
(メタ)アクリル酸エステルが5〜50mol%、その
他の共重合可能なモノマーが20mol%以下である。
メチルメタクリレートの比率が50mol%より低い場
合、もしくはC2〜C8脂肪族及び/又は芳香族アルコ
ールの(メタ)アクリル酸エステルが50mol%より
高い場合には、シェル部の可塑剤に対する相溶性が高す
ぎるため、ゾル貯蔵中にシェル部が可塑剤を吸収して膨
潤し、ゾル粘度の上昇の原因となったり、あるいは樹脂
粒子が完全に可塑剤に溶解してゲル化してしまいやす
い。逆にメチルメタクリレートの比率が95mol%よ
り高い場合、もしくはC2〜C8脂肪族及び/又は芳香
族アルコールの(メタ)アクリル酸エステルが5mol
%より低い場合には、シェル部の可塑剤に対する相溶性
が低すぎるため、塗膜の可塑剤保持性が不十分となり、
可塑剤がブリードアウトする原因となりやすい。その他
の共重合可能なモノマーは、用途によって異なる要求性
能に応じて選択されるが、その共重合比率は最大でも2
0mol%であり、これ以上比率を上げるとシェル部の
可塑剤に対する相溶性が最適範囲から外れる可能性が高
い。より好ましいモノマー組成の範囲は、シェルモノマ
ーの合計を100mol%としたときに、メチルメタク
リレートが60〜95mol%、n−ブチル(メタ)ア
クリレート及び/又はi−ブチル(メタ)アクリレート
が5〜40mol%、その他の共重合可能なモノマーが
20mol%以下であり、この場合にはプラスチゾルの
貯蔵安定性が40℃で10日以上という厳しい要求でも
満足することができ、しかも可塑剤保持性に優れた塗膜
を形成する。
【0027】本発明で用いるコアシェル構造を有するア
クリル系重合体粒子(A)の製造方法は特に限定せず、
乳化重合、分散重合、微細縣濁重合、縣濁重合など広く
利用することができるが、特に水系媒体中での重合によ
り水系エマルションを製造し、これを乾燥して重合体固
形分を回収する方法が一般的である。水系媒体中での重
合方法としては乳化重合、特にシード粒子に対して段階
的に重合を行うシード重合が一般的である。重合体固形
分を回収する方法としては、噴霧乾燥法、凝固法、凍結
乾燥法などが知られており、中でも噴霧乾燥法が一般的
である。
【0028】本発明で用いる可塑剤(B)は特に限定せ
ず、塩ビゾルで用いられている可塑剤等を広く利用する
ことが可能である。具体的には、ジメチルフタレート、
ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−n−ヘ
キシルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジ−
2−エチルヘキシルフタレート、ジ−i−ノニルフタレ
ート、ジ−i−デシルフタレート等のジアルキルフタレ
ート系可塑剤、ブチルベンジルフタレート等のアルキル
ベンジルフタレート系可塑剤、その他のフタレート系可
塑剤、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート、ジメチルア
ジペート、ジブチルアジペート、ジ−2−エチルヘキシ
ルアジペート、ジ−i−デシルアジペート、ジブチルセ
バケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート等の脂肪
族二塩基酸エステル系可塑剤、ジブチルグリコールアジ
ペート等のエーテル含有系可塑剤、トリメチルホスフェ
ート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェー
ト、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート、トリフェ
ニルホスフェート、トリクレシルホスフェート、ジフェ
ニル−2−エチルヘキシルホスフェート等のホスフェー
ト系可塑剤、さらに安息香酸エステル系可塑剤、フタル
酸系エステルやアジピン酸系エステルなどのポリエステ
ル系可塑剤、エポキシ系可塑剤などが利用できる。また
これらの可塑剤の複数を組合せて用いることも可能であ
る。特に、C6〜C10の脂肪族アルコールのフタル酸
ジエステルを主成分(50重量%以上)とすることが望
ましい。また、C8〜C9の脂肪族アルコールのフタル
酸ジエステルを主成分(50重量%以上)とすることが
さらに望ましい。
【0029】本発明で用いる反応性官能基(F1)を含
有するモノマーは特に限定しないが、例えば、反応性官
能基(F1)がエポキシ基の場合、グリシジルメタクリ
レート、グリシジルアクリレート、アリルグリシジルエ
ーテル等が利用できる。また反応性官能基(F1)がβ
−ケトエステル基の場合、アセトアセトキシエチルメタ
クリレート、アセトアセトキシエチルアクリレート等が
利用できる。また反応性官能基(F1)が水酸基の場
合、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2ーヒドロ
キシエチルアクリレート、2ーヒドロキシプロピルメタ
クリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4
ーヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシブ
チルアクリレート等が利用できる。また反応性官能基
(F1)がカルボキシル基の場合、メタクリル酸、アク
リル酸、イタコン酸、クロトン酸等が利用できる。
【0030】本発明で用いるC2〜C8脂肪族及び/又
は芳香族アルコールの(メタ)アクリル酸エステルの例
としては、エチル(メタ)クリレート、n−ブチル(メ
タ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、
s−ブチル(メタ)アクリレート、tーブチル(メタ)
アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、
2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル
(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート
等が挙げられる。本発明で用いられるその他の共重合可
能なモノマーの例としては、スチレン、α−メチルスチ
レン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アクリルアミド
等が挙げられる。これらは、その用途によって異なる要
求性能に応じて選択される。例えば、硬度を重視する場
合にはスチレンが、柔軟性を重視する場合は酢酸ビニル
が好適である。
【0031】本発明で用いる反応性官能基(F2)を分
子内に2個以上含有し、かつ可塑剤(B)に溶解または
分散し得る有機化合物(C)としては、上述した要件を
満たすものであれば特に限定されない。例えば反応性官
能基(F2)がアミノ基の場合、エチレンジアミン、ヘ
キサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエ
チレンテトラミン等の脂肪族ポリアミン類、脂肪酸ダイ
マーにエチレンジアミン等のポリアミン類をアミド化し
た脂肪酸変性ポリアミドアミン類、他には一般的にエポ
キシ樹脂の硬化剤として用いられている化合物のうち上
記条件を満足するもの等を任意に用いることができる。
反応性官能基(F2)がブロックイソシアネート基の場
合、トリレンジイソシアネート等の芳香族系あるいはア
ルキレンジイソシアネート等の脂肪族系のイソシアネー
トに対してブロック成分としてアルキル置換フェノール
等を反応させた化合物等が挙げられる。反応性官能基
(F2)がエポキシ基の場合、ビスフェノールA型エポ
キシ樹脂等が挙げられる。反応性官能基(F2)がカル
ボキシル基の場合、カルボキシル基含有モノマーを他の
モノマーと共重合させて得られるカルボキシル基含有ポ
リマー等が挙げられる。
【0032】本発明のプラスチゾル組成物は用途に応じ
て各種の充填剤などを配合することが可能である。充填
剤の例としては、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウ
ム、パライタ、クレー、コロイダルシリカ、マイカ粉、
珪砂、珪藻土、カオリン、タルク、ガラス粉末、酸化ア
ルミニウムなどが挙げられる。また上記以外の添加剤の
例としては、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料、
ミネラルターペン、ミネラルスピリット等の希釈剤、さ
らに消泡剤、防黴剤、抗菌剤、消臭剤、界面活性剤、滑
剤、紫外線吸収剤、香料、発泡剤、レベリング剤、接着
剤などを配合することが可能である。
【0033】本発明のプラスチゾル組成物は塩ビゾルと
同様の多くの用途に用いることが可能である。用途の例
としては、自動車用ボディーシーラー、自動車用アンダ
ーコート、壁紙、クッションフロアー、化粧材、タイル
カーペットバッキング材などの床材、玩具、食品見本、
雑貨、接着剤、鋼板塗料、ディップコート用塗料などが
挙げられる。また本発明のプラスチゾル組成物を加工す
る方法としては、例えばカレンダー加工、スラッシュ加
工、ディップ加工、スプレー加工、ロール加工などが挙
げられる。
【0034】
【実施例】以下に本発明を実施例を用いて説明する。実
施例中の評価方法は特に言及しない限り以下の通りであ
る。
【0035】[粘度]調製されたプラスチゾルを25℃
に調温した後、BH型粘度計を用いて粘度(Pa・s)
を測定した(7号ロータ、20rpm)。粘度計の目盛
の読みは回転を開始してから1分後の値を用いた。評価
基準は以下の通りである。 充填剤を配合した場合 ◎:20未満 ○:20以上30未満 △:30以上50未満 ×:50以上 充填剤を配合しない場合 ◎:15未満 ○:15以上25未満 △:25以上40未満 ×:40以上
【0036】[貯蔵安定性]調製されたプラスチゾルの
粘度を測定した後、密閉して40℃の恒温槽へ10日間
保管した。その後、恒温槽から取り出して25℃に調温
した後、粘度を測定し、初期の粘度に対する増粘率
(%)を次式により求めた。 増粘率=([貯蔵後の粘度]−[初期粘度])/[初期
粘度]×100評価基準は以下の通りである。 充填剤を配合した場合 ◎:30%未満 ○:30%以上60%未満 △:60%以上100%未満 ×:100%以上 充填剤を配合しない場合 ◎:50%未満 ○:50%以上100未満 △:100%以上150%未満 ×:150%以上
【0037】[塗膜作成、強度及び伸度の測定]調製さ
れたプラスチゾルを剥離剤を塗布したガラス板(厚み2
mm)の上に塗布厚2mmになるよう均一に塗布した。
これを140℃のオーブンにて20分間加熱して塗膜を
得た。これをダンベル3号の形状に切り出し、テンシロ
ン測定機により引張試験(引張速度200mm/分)を
行い、強度(MPa)と伸度(%)を測定した。評価基
準は以下の通りである。 強度 充填剤を配合した場合 ◎:2.0以上 ○:1.5以上2.0未満 △:1.0以上1.5未満 ×:1.0未満 充填剤を配合しない場合 ◎:3.5以上 ○:2.5以上3.5未満 △:1.5以上2.5未満 ×:1.5未満 伸度 充填剤を配合した場合 ◎:200以上 ○:150以上200未満 △:100以上150未満 ×:100未満 充填剤を配合しない場合 ◎:200以上 ○:150以上200未満 △:100以上150未満 ×:100未満
【0038】[可塑剤保持性]上記手法により得られた
塗膜を25℃にて1週間保管した後、塗膜表面からの可
塑剤のブリードアウトを目視にて評価した。評価基準は
充填剤を配合した場合も配合しない場合もともに以下の
通りである。 ○:ブリードアウト無 ×:ブリードアウト有
【0039】[実施例1] <アクリル系重合体粒子(A1)の調製>5リットルの
4つ口フラスコに撹拌翼、温度計、冷却管、窒素通気管
を装着し、そこに純水(1200g)を投入し、150
rpmで撹拌しながら窒素ガス通気を十分に行った。そ
の後、メチルメタクリレート(24.0g)、n−ブチ
ルメタクリレート(24.0g)を投入し、内温が80
℃になるよう昇温した。内温が80℃に達したところ
で、過硫酸カリウム(0.60g)を純水(24.0g)
に溶解した開始剤水溶液を投入し、重合を開始した。内
溶液は数分で白濁し、単分散性に優れたシード粒子を与
えた。開始剤水溶液を投入してから30分後に、メチル
メタクリレート(336.7g)、n−ブチルメタクリ
レート(341.3g)、グリシジルメタクリレート
(34.1g)、ジアルキルスルホコハウク酸ナトリウ
ム(商品名:ペレックスO−TP(花王(株))、6.
00g)、純水(300.0g)を混合した乳化液を内
温を80℃に保持したまま2時間かけて滴下し、その後
1時間保持してコア部の重合を完了した。引き続き、メ
チルメタクリレート(499.0g)、n−ブチルメタ
クリレート(145.1g)、ジアルキルスルホコハク
酸ナトリウム(商品名:ペレックスO−TP(花王
(株))、6.00g)、純水(300.0g)を混合し
た乳化液を、内温を80℃に保持したまま2時間かけて
滴下し、その後1時間保持してシェル部の重合を完了し
た。得られたアクリル系重合体エマルションは、固形分
44%、体積平均粒子径660nm、個数平均粒子径6
40nmであり、体積平均粒子径/個数平均粒子径=
1.03であり高い単分散性を示した。次に、このアク
リル系重合体エマルションをスプレードライヤーを用い
て粉体化し、残存水分率が1.0重量%未満の乾燥され
たアクリル系重合体粒子(A1)を得た。
【0040】<プラスチゾルの評価および塗膜の評価>
得られたアクリル系重合体粒子(A1)100重量部に
対し、ジイソノニルフタレート140重量部、炭酸カル
シウム100重量部、脂肪酸ダイマー変性ポリアミドア
ミン5.0重量部を配合し、ディスパーミキサーにて熱
がかからないように注意しながら撹拌し、さらに減圧脱
泡を行うことにより、重合体粒子(A1)が可塑剤中に
良好に分散されたプラスチゾルを得た。得られたプラス
チゾルの粘度は16.2Pa・s、貯蔵安定性は17%
と良好であった。このプラスチゾルから得られた塗膜の
強度は2.5MPa、伸度は380%であり、可塑剤保
持性は良好であった。
【0041】[実施例2〜25] <重合体粒子(A2)〜(A21)の製造>上記アクリ
ル系重合体粒子(A1)の場合と同様にして、表1に記
載されたモノマー組成により重合体粒子(A2)〜(A
21)を得た。これらの重合体粒子の一次粒子の平均粒
子径を、表1に併せて記載する。これらの重合体粒子を
用いて、表2〜4に示した配合処方に従ってプラスチゾ
ルを調製し、評価を行った。その結果を表5に示した。
但し、実施例25は充填剤を配合しないでプラスチゾル
を作成して評価を行い、その結果を表6に示した。
【0042】[比較例1〜11]比較例1〜11で用い
た重合体粒子(A22)〜(A26)は以下のようにし
て調製した。 <重合体粒子(A22)〜(A23)の調製>特開平6
−322218号公報に記載された手法におおよそ従
い、以下のようにして重合体粒子(A22)を調製し
た。すなわち、実施例1と同様の手法によりシード粒子
を調製した後、メチルメタクリレート(475.0
g)、グリシジルメタクリレート(25.0g)の混合
物を該シード粒子分散液に滴下し、重合を行った。得ら
れた重合体エマルションの固形分あたり4重量%の水酸
化ナトリウムを添加し、95℃で5時間加水分解を行
い、粒子表面にカルボキシル基が分布する重合体粒子の
分散液を得た。このpHを希塩酸にて酸性に調整し、凝
固法により固形分を回収し、重合体粒子(A22)を得
た。同様の手法により、モノマー組成をメチルメタクリ
レート(400.0g)、n−ブチルアクリレート(6
0.0g)、N−メチロールアクリルアミド(50.0
g)に変更し、重合体粒子(A23)を得た。
【0043】<重合体粒子(A24)〜(A25)の調
製>特開平7−157622号公報に記載された手法に
おおよそ従い、以下のようにして重合体粒子(A24)
を調製した。すなわち、メチルメタクリレート(36
0.0g)、スチレン(50.0g)、アクリル酸(1
5.0g)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2
5.0g)の混合物を分散剤の存在下で微細縣濁重合を
行い、重合体分散液を得た。これを実施例1と同様の手
法によりスプレードライを行って重合体粒子(A24)
を得た。同様の手法により、モノマー組成をメチルメタ
クリレート(350.0g)、スチレン(50.0g)、
n−ブチルアクリレート(35.0g)、アクリル酸
(15.0g)、N−ブトキシメチルアクリルアミド
(25.0g)に変更し、重合体粒子(A25)を得
た。
【0044】<重合体粒子(A26)の調製>特開平7
−25953号公報に記載された手法におおよそ従い、
重合体粒子(A26)を調製した。すなわち、実施例1
と同様の手法により調製されたシード粒子に対して、コ
ア部を形成するモノマーとしてスチレン(150.0
g)を、さらにシェル部を形成するモノマーとしてスチ
レン(70.0g)、メチルメタクリレート(15.0
g)、メタクリル酸(15.0g)の混合物を滴下し、
重合を行った。得られた重合体エマルションを実施例1
と同様の手法によりスプレードライし、重合体粒子(A
26)を得た。 <プラスチゾルの評価および塗膜の評価>比較例1、
4、6、8、10は充填剤を配合しないでプラスチゾル
を作成し、評価を行った。比較例2、3、5、7、9、
11は充填剤を配合してプラスチゾルを作成し、評価を
行った。また比較例1〜11については重合体(A2
2)〜(A26)を調製するときに参考にした公開特許
公報に記載された可塑剤と同じものを使用した。プラス
チゾルの配合処方は表4に示した。また得られたプラス
チゾルおよび塗膜の物性は表6に示した。
【0045】
【表1】
【0046】表1中の略号は以下の通りである。 MMA:メチルメタクリレート nBMA:n−ブチルメタクリレート GMA:グリシジルメタクリレート AAEM:アセトアセトキシエチルメタクリレート 4HBA:4−ヒドロキシブチルアクリレート MAA:メタクリル酸
【0047】
【表2】
【0048】表2中の略号は以下の通りである。 DINP:ジイソノニルフタレート DOP:ジ−2−エチルヘキシルフタレート CaCO3:炭酸カルシウム
【0049】
【表3】
【0050】表3中の略号は以下の通りである。 DINP:ジイソノニルフタレート CaCO3:炭酸カルシウム
【0051】
【表4】
【0052】表4中の略号は以下の通りである。 DINP:ジイソノニルフタレート BPBG:ブチルフタリルブチルグリコレート BBP:ブチルベンジルフタレート ATBC:アセチルトリブチルシトレート CaCO3:炭酸カルシウム
【0053】
【表5】
【0054】
【表6】
【0055】[各実施例、比較例の考察] <実施例1、2、3>実施例1はコア部の反応性官能基
としてエポキシ基を用い、これと反応する化合物として
脂肪酸ダイマー変性ポリアミドアミンを用いたものであ
る。プラスチゾルの粘度は16.2Pa・s、貯蔵安定
性は17%と良好であった。このプラスチゾルから得ら
れた塗膜の強度は2.5MPaときわめて良好であり、
伸度および可塑剤保持性は良好であった。実施例2はコ
ア部の反応性官能基としてβ−ケトエステル基を用い、
これと反応する化合物としてブロックイソシアネートを
用いたものである。これ以外のポリマー組成は実施例1
と同じである。この場合にもプラスチゾルの粘度および
貯蔵安定性ともに良好であり、塗膜の強度はきわめて良
好であった。伸度および可塑剤保持性は良好であった。
実施例3はコア部の反応性官能基として水酸基を用い、
これと反応する化合物としてブロックイソシアネートを
用いたものである。これ以外のポリマー組成は実施例1
と同じである。この場合にもプラスチゾルの粘度および
貯蔵安定性ともに良好であり、塗膜の強度はきわめて良
好であった。伸度および可塑剤保持性は良好であった。
【0056】<実施例4>実施例4は実施例1と同じ重
合体(A1)を用い、可塑剤をジイソノニルフタレート
からジ−2−エチルヘキシルフタレートに変更した場合
である。この場合にもプラスチゾルの粘度および貯蔵安
定性はともにきわめて良好で、塗膜の強伸度および可塑
剤保持性ともにきわめて良好であった。
【0057】<実施例5、6>実施例5および6は重合
体の組成を変更した例である。実施例5ではコア部のn
−ブチルメタクリレート比率を高くし、シェル部のn−
ブチルメタクリレート比率を低くした。実施例6では逆
にコア部のn−ブチルメタクリレート比率を低くし、シ
ェル部のn−ブチルメタクリレート比率を高くした。い
ずれの場合もプラスチゾルの粘度、貯蔵安定性、および
塗膜の強度、伸度、可塑剤保持性はきわめて良好であ
り、この組成範囲内であれば物性がきわめて良好である
ことがわかる。
【0058】<実施例7、8>実施例7および8は重合
体の組成を変更し、n−ブチルメタクリレートの替わり
にi−ブチルメタクリレートを用いた例である。実施例
7ではコア部のi−ブチルメタクリレート比率が高く、
シェル部のi−ブチルメタクリレート比率が低い。逆に
実施例8ではコア部のi−ブチルメタクリレート比率が
低く、シェル部のi−ブチルメタクリレート比率が高
い。いずれの場合もラスチゾルの粘度、貯蔵安定性、お
よび塗膜の強度、伸度、可塑剤保持性はきわめて良好で
あり、この組成範囲内であれば物性がきわめて良好であ
ることがわかる。
【0059】<実施例9、10>実施例9および10は
重合体のコア部とシェル部の比率を変更した例である。
実施例9はコア部の比率が70mol%であり、実施例
10はコア部の比率が30mol%である。いずれの場
合もラスチゾルの粘度、貯蔵安定性、および塗膜の強
度、伸度、可塑剤保持性はきわめて良好であり、この組
成範囲内であれば物性がきわめて良好であることがわか
る。
【0060】<実施例11、12>実施例11および1
2は重合体の組成を変更した例である。実施例11はコ
ア部のn−ブチルメタクリレート比率を実施例5の場合
よりもさらに低くしてある。この場合にはプラスチゾル
の粘度、貯蔵安定性、および塗膜の強度、可塑剤保持性
はきわめて良好であった。塗膜の伸度は実施例5に較べ
るとやや低下したが、良好であった。実施例12はシェ
ル部のn−ブチルメタクリレート比率を実施例6の場合
よりもさらに高くした例である。この場合には塗膜の伸
度はきわめて良好であった。プラスチゾルの粘度、貯蔵
安定性、および塗膜の強度は実施例6に較べるとやや低
下したが、良好であった。
【0061】<実施例13、14、15、16>実施例
13〜16も重合体の組成を変更した例である。実施例
13はコア部のn−ブチルメタクリレート比率を実施例
11の場合よりもさらに低くしてある。この場合にはプ
ラスチゾルの粘度、貯蔵安定性、および塗膜の強度、可
塑剤保持性はきわめて良好であった。塗膜の伸度はやや
低下したが、良好であった。実施例14はコア部のn−
ブチルメタクリレート比率を実施例5の場合よりもさら
に高くしてある。この場合にはプラスチゾルの粘度、お
よび塗膜の伸度はきわめて良好であった。プラスチゾル
の貯蔵安定性、および塗膜の強度はやや低下したが、良
好であった。実施例15はシェル部のn−ブチルメタク
リレートを削除した場合である。この場合にはプラスチ
ゾルの粘度、貯蔵安定性、および塗膜の強度はきわめて
良好であった。塗膜の伸度はやや低下したが、良好であ
った。実施例16はシェル部のn−ブチルメタクリレー
ト比率を実施例12よりもさらに高くした場合である。
この場合には塗膜の伸度はきわめて良好であった。プラ
スチゾルの粘度、貯蔵安定性、および塗膜の強度はやや
低下したが良好であった。
【0062】<実施例17>実施例17は重合体粒子の
平均粒子径を低下した例である。重合体の組成は実施例
1と同じである。この場合には塗膜の強度、伸度、可塑
剤保持性はきわめて良好であった。プラスチゾルの粘
度、貯蔵安定性はやや低下したが良好であった。
【0063】<実施例18、19>実施例18および1
9はコア部とシェル部の比率を変更した例である。実施
例18は実施例10の場合よりもさらにコア部の比率を
低くして20mol%にした。この場合にはプラスチゾ
ルの粘度、貯蔵安定性、および塗膜の強度はきわめて良
好であった。塗膜の伸度はやや低下したが良好であっ
た。実施例19は実施例9の場合よりもさらにコア部の
比率を高くして80mol%にした。この場合には塗膜
の伸度はきわめて良好であった。プラスチゾルの粘度、
貯蔵安定性、および塗膜の強度はやや低下したが良好で
あった。
【0064】<実施例20、21>実施例20および2
1はコア部の反応性官能基の量を変更した例である。実
施例20および21とも反応性官能基としてエポキシ基
を用いている。エポキシ基を与えるモノマーであるグリ
シジルメタクリレートの量をコア部を形成するモノマー
総量に対して、実施例20では0.05mol%に、実
施例21では15.0mol%にした。実施例20では
プラスチゾルの粘度、貯蔵安定性、および塗膜の伸度は
きわめて良好であった。塗膜の強度は実施例1の場合に
比べてやや低下したが良好であった。実施例21ではプ
ラスチゾルの粘度、貯蔵安定性、および塗膜の強度はき
わめて良好であった。塗膜の伸度は実施例1に比べて低
下したが良好であった。
【0065】<実施例22>実施例22は反応性官能基
(F1)と(F2)の組合せを変更した例である。実施例
1ではより好ましい組合せ例としてエポキシ基とアミノ
基を用いたが、実施例22ではカルボキシル基とエポキ
シ基を用いている。カルボキシル基を与えるモノマーと
してメタクリル酸を用い、エポキシ基を有する化合物と
してビスフェノール型エポキシ樹脂を用いた。この場
合、プラスチゾルの粘度、貯蔵安定性、塗膜の伸度はき
わめて良好であった。塗膜の強度は実施例1に比べると
やや低下したが良好であった。
【0066】<実施例23、24>実施例23および2
4は、実施例1と同じ重合体(A1)を用いて、これと
反応させる化合物を変更した例である。実施例23では
脂肪酸変性ポリアミドアミンの替わりにエチレンジアミ
ンを用い、実施例24では脂肪酸変性ポリアミドアミン
の替わりにヘキサメチレンジアミンを用いた。いずれの
場合も、プラスチゾルの粘度、貯蔵安定性、塗膜の強
度、伸度はきわめて良好であった。
【0067】<実施例25>実施例25は実施例1と同
じ重合体(A1)を充填剤を配合せずに評価した例であ
る。この場合には実施例1よりもさらに優れた塗膜の強
度を示した。
【0068】<比較例1、2、3、4、5>比較例1〜
5は特開平6−322218号公報に記載された手法に
従って調製された重合体粒子(A22)および(A2
3)を用い、それぞれ充填剤を配合した場合と配合しな
い場合に分けて評価した例である。ただし可塑剤は重合
体の組成に適したものを選択する必要があるため、上記
公報で指示された可塑剤を用いた。比較例1は重合体粒
子(A22)を用いて充填剤を配合しないで評価した例
であるが、この場合にはプラスチゾルの貯蔵安定性が不
良で、また塗膜の強度がやや不足した。プラスチゾルの
貯蔵安定性が不良になった理由は、重合体粒子の表面に
カルボキシル基が存在しており、これがプラスチゾルに
配合されたエポキシ樹脂と反応したためと考えられる。
比較例2は同じ重合体(A22)を用いて充填剤を配合
した例である。この場合には塗膜強度が著しく低下し
た。またプラスチゾルの貯蔵安定性も不良であった。こ
れは配合する反応性化合物をエポキシ樹脂から脂肪酸変
性ポリアミドアミンに変更した場合(比較例3)でも同
様で、塗膜の強度が著しく低下した。このように充填剤
を配合した場合に塗膜強度が著しく低下する理由は重合
体粒子のシェル部に反応性官能基が存在しているために
重合体粒子の溶融が低下し、充填剤の間隙に重合体分子
が浸透することを妨げているためと考えられる。比較例
4は重合体粒子(A23)を用いて充填剤を配合しない
で評価した例である。この場合にはプラスチゾルの貯蔵
安定性は不良であり、塗膜強度もやや不足した。比較例
5は同じ重合体粒子(A23)を用いて充填剤を配合し
て評価した例である。この場合にも比較例4に比べて塗
膜強度の低下が著しかった。
【0069】<比較例6、7、8、9>比較例6〜9は
特開平7−157622号公報に記載された手法に従っ
て調製された重合体粒子(A24)および(A25)を
用いた例である。ただし可塑剤は重合体の組成に適した
ものを選択する必要があるため、上記公報で指示された
可塑剤を用いた。比較例6および7は重合体粒子(A2
4)を用いた例である。反応性官能基としてカルボキシ
ル基および水酸基を用い、反応性の化合物としてビスフ
ェノールA型エポキシ樹脂を配合している。比較例6は
充填剤を配合しないで評価した例であるが、この場合に
はプラスチゾルの貯蔵安定性が不良で、また塗膜強度も
やや低下した。比較例7は同じ重合体粒子(A24)を
用いて充填剤を配合した例である。この場合には比較例
6に比べて塗膜の強度が著しく低下した。比較例8およ
び9は重合体粒子(A25)を用いた例である。反応性
官能基としてカルボキシル基およびエーテル化メチロー
ル基を用い、反応性の化合物としてビスフェノールA型
エポキシ樹脂を配合している。比較例8は充填剤を配合
しないで評価した例であるが、この場合にはプラスチゾ
ルの貯蔵安定性が不良で、また塗膜強度が低下した。比
較例9は同じ重合体粒子(A25)を用いて充填剤を配
合した例であるが、この場合には比較例8に比べて塗膜
の強度が著しく低下した。
【0070】<比較例10、11>比較例10および1
1は特開平7−25953号公報に記載された手法に従
って調製された重合体粒子(A26)を用いた例であ
る。反応性官能基としてカルボキシル基を用い、反応性
の化合物としてビスフェノールA型エポキシ樹脂を用い
ている。ただし可塑剤は重合体の組成に適したものを選
択する必要があるため、上記公報で指示された可塑剤を
用いた。比較例10は充填剤を配合しないで評価した例
であり、プラスチゾルの貯蔵安定性が不良で、塗膜強度
がやや不足した。比較例11は充填剤を配合して評価し
た例であり、この場合には比較例10に比べて塗膜の強
度が著しく低下した。
【0071】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明のアクリル
系プラスチゾルは、反応性官能基による架橋系を導入す
る際に問題となっていた貯蔵安定性および塗膜強度を改
良することができる。特に充填剤を多く配合した場合に
もその効果は著しく、その工業的意義および効果は著大
である。
【0072】特に、アクリル系重合体粒子(A)とし
て、その平均一次粒子径が400nm以上、かつコア部
とシェル部の比率を特定割合とすることにより、コア部
に含有された反応性官能基(F1)が十分な厚みを有す
るシェル部により完全に被覆されてプラスチゾルとして
の貯蔵安定性をより高く維持でき、かつ加熱時の溶融速
度の過度の低下を防止できる。また、反応性官能基(F
1)と反応性官能基(F2)の組合せを特定のものとする
ことにより、反応性がより高くなり、200℃以下のプ
ラスチゾル成膜温度において架橋結合を速やかに形成で
きる。かつ、重合体粒子が溶融する前に粒子内での架橋
結合の形成を防ぐこともできる。さらに、アクリル系重
合体粒子(A)のコア部を形成するモノマーのうち反応
性官能基(F1)を含有するモノマーの量を0.1〜1
0.0mol%とすることにより、架橋密度を十分なも
のとして塗膜物性の改良効果が大きくなり、かつ、塗膜
を良好に可塑化して柔軟性を有するものとすることがで
きる。したがってプラスチゾル塗膜の特徴である柔軟性
やゴム弾性等の物性を得ることができる。また、可塑剤
の経時的なブリードアウトも防止できる。
【0073】特に、(A)アクリル系重合体粒子のコア
部を形成するモノマーとして、請求項6記載のものとす
ることにより、ゾル貯蔵中におけるコア部の可塑剤の吸
収による膨潤、ゾル粘度の上昇を防止できる。かつ、塗
膜の可塑剤保持性が良好で、可塑剤のブリードアウトを
防止できる。また、コア部の可塑剤に対する相溶性が好
適である。また、(A)アクリル系重合体粒子のシェル
部を形成するモノマーとして、請求項6記載のものとす
ることにより、シェル部の可塑剤に対する相溶性が適当
で、ゾル貯蔵中のシェル部の可塑剤の吸収による膨潤、
ゾル粘度の上昇、あるいはゲル化を防止できる。かつ、
塗膜の可塑剤保持性が十分となり、可塑剤のブリードア
ウトを防止できる。また、シェル部の可塑剤に対する相
溶性が適当になる。特に、請求項7記載の条件を満足す
ることにより、プラスチゾルの貯蔵安定性が40℃で1
0日以上という厳しい要求でも満足することができ、し
かも可塑剤保持性に優れた塗膜を得ることができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C09D 151/06 C09D 151/06 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 51/06 C08F 265/06 C08G 18/62 C08G 59/40

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)コア部に反応性官能基(F1)を
    含有し、かつ200℃以下においてこれと反応し得る反
    応性官能基(F1)とは異なる反応性官能基を含有しな
    いコアシェル構造を有するアクリル系重合体粒子;
    (B)可塑剤;(C)200℃以下で前記反応性官能基
    (F1)と反応し得る反応性官能基(F2)を分子内に2
    個以上含有し、かつ前記可塑剤(B)に溶解または分散
    し得る有機化合物;を必須成分とすることを特徴とする
    アクリル系プラスチゾル組成物。
  2. 【請求項2】 前記(A)コアシェル構造を有するアク
    リル系重合体粒子は、その平均一次粒子径が400nm
    以上であり、かつコア部とシェル部の比率がこれらを形
    成するモノマーのモル比率に換算してコア部/シェル部
    =30/70〜70/30であることを特徴とする請求
    項1記載のアクリル系プラスチゾル組成物。
  3. 【請求項3】 前記反応性官能基(F1)と前記反応性
    官能基(F2)の組合せが、(F1)+(F2)がこの順
    番で{エポキシ基+アミノ基、エポキシ基+カルボキシ
    ル基、β−ケトエステル基+ブロックイソシアネート
    基、β−ケトエステル基+エポキシ基、カルボキシル基
    +エポキシ基、水酸基+ブロックイソシアネート基、水
    酸基+エポキシ基}のいずれかであることを特徴とする
    請求項1または2記載のアクリル系プラスチゾル組成
    物。
  4. 【請求項4】 反応性官能基(F1)と反応性官能基
    (F2)の組合せが、(F1)+(F2)がこの順番で
    {エポキシ基+アミノ基、β−ケトエステル基+ブロッ
    クイソシアネート基、水酸基+ブロックイソシアネート
    基}のいずれかであることを特徴とする請求項3記載の
    アクリル系プラスチゾル組成物。
  5. 【請求項5】 前記(A)コアシェル構造を有するアク
    リル系重合体粒子のコア部を形成するモノマー組成につ
    いて、反応性官能基(F1)を含有するモノマーの量
    が、コア部を形成するモノマーの総量に対して0.1〜
    10.0mol%であることを特徴とする請求項1〜4
    のいずれかに記載のアクリル系プラスチゾル組成物。
  6. 【請求項6】 前記(A)アクリル系重合体粒子のコア
    部およびシェル部を形成するモノマーがそれぞれ下記の
    モノマー混合物(Mc)および(Ms)であり、かつ、
    (Mc)と(Ms)のモル比が(Mc)/(Ms)=3
    0/70〜70/30であり、 前記(B)可塑剤の主成分がC6〜C10の脂肪族アル
    コールのフタル酸ジエステルであることを特徴とする請
    求項1〜5のいずれかに記載のアクリル系プラスチゾル
    組成物。(Mc)合計を100mol%とし、 メチルメタクリレート:20〜84.9mol% C2〜C8脂肪族及び/又は芳香族アルコールの(メ
    タ)アクリル酸エステル:15〜79.9mol% 反応性官能基(F1)を含有するモノマー:0.1〜1
    0.0mol% その他の共重合可能なモノマー:20mol%以下 (Ms)合計を100mol%とし、 メチルメタクリレート:50〜95mol% C2〜C8脂肪族及び/又は芳香族アルコールの(メ
    タ)アクリル酸エステル:5〜50mol% その他の共重合可能なモノマー:20mol%以下
  7. 【請求項7】 前記(A)アクリル系重合体粒子のコア
    部およびシェル部を形成するモノマーがそれぞれ下記の
    モノマー混合物(Mc)および(Ms)であり、かつ、
    (Mc)と(Ms)のモル比が(Mc)/(Ms)=3
    0/70〜70/30であり、前記可塑剤(B)の主成
    分がC8〜C9の脂肪族アルコールのフタル酸ジエステ
    ルであることを特徴とする請求項4記載のアクリル系プ
    ラスチゾル組成物。(Mc)合計を100mol%と
    し、 メチルメタクリレート:20〜69.9mol% n−ブチル(メタ)アクリレート及び/又はi−ブチル
    (メタ)アクリレート:30〜79.9mol% エポキシ基または水酸基またはβ−ケトエステル基含有
    モノマー:0.1〜10.0mol% その他の共重合可能なモノマー:20mol%以下 (Ms)合計を100mol%とし、 メチルメタクリレート:60〜95mol% n−ブチル(メタ)アクリレート及び/又はi−ブチル
    (メタ)アクリレート:5〜40mol% その他の共重合可能なモノマー:20mol%以下
JP07685599A 1999-03-19 1999-03-19 アクリル系プラスチゾル組成物 Expired - Lifetime JP3524805B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP07685599A JP3524805B2 (ja) 1999-03-19 1999-03-19 アクリル系プラスチゾル組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP07685599A JP3524805B2 (ja) 1999-03-19 1999-03-19 アクリル系プラスチゾル組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000273262A JP2000273262A (ja) 2000-10-03
JP3524805B2 true JP3524805B2 (ja) 2004-05-10

Family

ID=13617277

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP07685599A Expired - Lifetime JP3524805B2 (ja) 1999-03-19 1999-03-19 アクリル系プラスチゾル組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3524805B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103450390A (zh) * 2013-08-15 2013-12-18 江苏华夏制漆科技有限公司 一种水性中空纳米隔热保温树脂的制备方法

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE10029735B4 (de) * 2000-06-23 2006-09-21 Röhm GmbH & Co. KG Schäumbare Poly(meth)acrylatplastisole sowie ihre Verwendung
JP4607341B2 (ja) * 2001-01-17 2011-01-05 アキレス株式会社 アクリル系樹脂プラスチゾル組成物
JP2005060574A (ja) * 2003-08-15 2005-03-10 Mitsubishi Rayon Co Ltd アクリル系プラスチゾル組成物
JP4480374B2 (ja) * 2003-09-10 2010-06-16 株式会社Adeka アクリルゾル組成物
DE102004035937A1 (de) 2004-07-23 2006-02-16 Röhm GmbH & Co. KG Plastisole mit verringerter Wasseraufnahme
WO2008034816A1 (de) * 2006-09-20 2008-03-27 Basf Se Verwendung von polymerdispersionen in beschichtungsmassen
JP5680338B2 (ja) * 2010-05-28 2015-03-04 株式会社日本触媒 接着剤およびその製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103450390A (zh) * 2013-08-15 2013-12-18 江苏华夏制漆科技有限公司 一种水性中空纳米隔热保温树脂的制备方法
CN103450390B (zh) * 2013-08-15 2016-03-30 江苏华夏制漆科技有限公司 一种水性中空纳米隔热保温树脂的制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000273262A (ja) 2000-10-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3621885B2 (ja) アクリル系重合体微粒子及びそれを用いたプラスチゾル
TWI332966B (en) Acrylic polymer beads and acrylic sol composition containing the same
JP5597923B2 (ja) プラスチゾル組成物及びこれを用いた物品
JP3524805B2 (ja) アクリル系プラスチゾル組成物
EP1217037B1 (en) Fine polymer particles for plastisol, process for producing the same, and halogen-free plastisol composition and article made with the same
JP3621918B2 (ja) アクリル系重合体微粒子の製造方法
WO2005012425A1 (ja) 成形材料用樹脂組成物およびそれを用いた成形品
JPH11199847A (ja) 接着剤組成物
JP2006219559A (ja) アクリル系重合体微粒子及びそれを用いたプラスチゾル組成物
JP3946215B2 (ja) アクリル系重合体微粒子
JP3839880B2 (ja) アクリルゾル
JP3380059B2 (ja) アルコキシシリル基含有アクリル系エマルジョン
JP2003165915A (ja) 水性樹脂組成物
JP5097383B2 (ja) プラスチゾル用アクリル系重合体微粒子の製造方法及びアクリル系ブラスチゾル組成物
JP3934796B2 (ja) 床材
JP4028725B2 (ja) アクリル系樹脂プラスチゾル積層シート
JP2005263846A (ja) アクリル系プラスチゾル組成物
JP2005232297A (ja) アクリル系重合体微粒子及びプラスチゾル組成物
JP4607341B2 (ja) アクリル系樹脂プラスチゾル組成物
JP4076216B2 (ja) アクリル系プラスチゾル組成物からなる自動車シール材の塗布方法
JP4013113B2 (ja) (メタ)アクリル系樹脂組成物、及びそれを用いてなる成形品
JP2008063369A (ja) アクリル系重合体微粒子、その製法及びプラスチゾル組成物
JPH10298391A (ja) プラスチゾル組成物、成形材料及び成形物
JP2003155339A (ja) 軟化剤及びそれを含有してなる樹脂組成物
JP2003155333A (ja) 樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040203

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040213

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080220

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090220

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100220

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100220

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110220

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110220

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120220

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120220

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120220

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120220

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130220

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130220

Year of fee payment: 9

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130220

Year of fee payment: 9

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130220

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140220

Year of fee payment: 10

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term