JPH10298391A - プラスチゾル組成物、成形材料及び成形物 - Google Patents

プラスチゾル組成物、成形材料及び成形物

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JPH10298391A
JPH10298391A JP11090297A JP11090297A JPH10298391A JP H10298391 A JPH10298391 A JP H10298391A JP 11090297 A JP11090297 A JP 11090297A JP 11090297 A JP11090297 A JP 11090297A JP H10298391 A JPH10298391 A JP H10298391A
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resin
acrylic resin
molding
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plasticizer
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JP11090297A
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Masashi Kinoshita
正史 木之下
Keiichiro Hirata
敬一郎 平田
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Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、可塑剤とアクリル樹脂の相
溶性が優れ、且つプラスチゾルの粘度安定性が優れ、成
形加工性に優れたなアクリル樹脂系プラスチゾル組成
物、成形材料及び成形物を提供することにある。 【解決手段】 本発明は、粉粒状アクリル系樹脂(A)
と可塑剤(B)とからなるアクリル樹脂系プラスチゾル
組成物であって、粉粒状アクリル系樹脂(A)が、その
粒径分布曲線に2個以上のピークを持つ樹脂であること
を特徴とするプラスチゾル組成物、成形材料及び成形物
に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粘度安定性、成形
加工性、相溶性に優れたアクリル樹脂系プラスチゾル組
成物、詳しくはスプレッドコーティング、ディップ成
形、スラッシュ成形、スプレー塗装等の成形加工法で、
壁装材、床材、人形、玩具、自動車アンダーコーティン
グ等の分野で利用されるアクリル樹脂系プラスチゾル組
成物、成形材料及び成形物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、プラスチゾル組成物は、塩化ビニ
ル樹脂系のものが知られており、壁装材、床材、人形、
玩具、自動車アンダーコーティング、塩ビ塗装鋼板等の
分野で広く使用されているが、近年、環境問題から他の
樹脂への転換が求められてきている。
【0003】このため、アクリル系樹脂粉粒体に可塑剤
を配合し、さらに必要に応じて、充填剤やその他の添加
剤を配合してアクリル樹脂系プラスチゾルとして成形、
加工する方法が提案されてきた。ところが塩化ビニル樹
脂の場合と異なり、アクリル樹脂はジオクチルフタレー
トのような汎用可塑剤を用いた場合、前記樹脂粉粒体へ
の相溶性が劣るため、硬化後の塗膜表面に可塑剤がブリ
ードアウトしやすいという問題点を有しており、実用上
使用することができない。そのため、可塑剤との相溶性
を向上する手段として、メタクリル酸メチルポリマーに
長鎖のアルキルエステルモノマーやブタジエン成分等を
共重合させたものが提案されている(特公昭55−16
177号公報、特公昭58−22043号公報、特公昭
63−66861号公報、特公平4−24378号公
報)。
【0004】ところが、樹脂と可塑剤との相溶性が改善
されるのと反比例してプラスチゾルが増粘して粘度安定
性が低下したり、更にメタクリル酸メチルのホモポリマ
ーに上記のようなコモノマーを共重合するとポリマーが
軟質化して機械的強度が低下する等という新たな問題が
あった。
【0005】一方、アクリル樹脂系プラスチゾルに配合
する可塑剤としては、フタル酸エステル、燐酸エステ
ル、セバシン酸エステル、エポキシ化エステル、ポリエ
ステルなど(特公昭58−22043号公報、特公昭6
3−66861号公報)、ベンジルオクチルフタレート
(特公平4−24378号公報)、フタル酸混基エステ
ル(特開平7−207100号公報)などが提案されて
きた。
【0006】しかしながら、上記提案のフタル酸エステ
ルでは、結合アルキル基の炭素数が6以下のもの(例え
ば、フタル酸ジブチル(DBP))では、初期粘度が低
く、アクリル樹脂との相溶性は良いが、粘度安定性が極
めて悪く、プラスチゾル調製後1〜2日後には固化して
しまい、プラスチゾルとして成形、加工ができなくな
り、また、結合アルキル基の炭素数が7以上のフタル酸
ジエステルは、粘度安定性は、比較的良いがアクリル樹
脂との相溶性が極めて悪く、必要性能を得るのに十分の
量を配合できない。
【0007】また、燐酸エステルでは、トリアルキルエ
ステルは、結合アルキル基の炭素数が小さいトリアルキ
ルエステルは初期粘度低く、アクリル樹脂との相溶性は
良いが、粘度安定性が極めて悪く、結合アルキル基の炭
素数が大きくなると、粘度安定性は、比較的良いがアク
リル樹脂との相溶性が極めて悪く、必要性能を得るのに
十分の量を配合できないことが分かった。又燐酸エステ
ルが配合されたプラスチゾルは炭酸カルシウムなどの充
填剤で経時増粘する傾向が指摘されている。
【0008】その他の有機、無機の多塩基酸エステルに
おいても、結合アルキル基の炭素数の大きさとプラスチ
ゾル粘度、粘度安定性、アクリル樹脂との相溶性などと
の関係は、前記フタル酸エステル、燐酸エステルの場合
と同様であった。
【0009】本発明者らは、先に、可塑剤として安息香
酸エステルを用いたアクリルゾル組成物が相溶性が良
く、しかもプラスチゾルの粘度安定性がよいことを見い
だしている(特願平9−34120号公報)が、充填剤
が配合されたカーペットバッキング材等、プラスチゾル
を製造する工場とそれを使用する工場が異なり、日にち
が長く経過する等の場合、プラスチゾル粘度が増加して
塗布加工性が安定せずに問題となる場合があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
の点に鑑み、可塑剤とアクリル樹脂の相溶性が優れ、且
つプラスチゾルの粘度安定性が優れて、成形加工が安定
的に容易なアクリル樹脂系プラスチゾル組成物、成形材
料及び成形物を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、各種粒径
のアクリル樹脂と可塑剤との相溶性及びゾルの粘度安定
性を詳細に研究した結果、少量の粒径の大きい樹脂を混
合したアクリル樹脂を用いたプラスチゾルは粘度の安定
性が大きく向上することを見いだし本発明を完成するに
至った。
【0012】即ち、本発明は、粉粒状アクリル系樹脂
(A)と可塑剤(B)とからなるアクリル樹脂系プラス
チゾル組成物であって、粉粒状アクリル系樹脂(A)
が、その粒径分布曲線に2個以上のピークを持つ樹脂で
あることを特徴とするプラスチゾル組成物、好ましくは
粉粒状アクリル系樹脂(A)が、平均粒径10μ未満の
樹脂(A−1)と平均粒径10〜500μの樹脂(A−
2)との異なる2種類以上の樹脂から成ること、更に好
ましくは、可塑剤が安息香酸エステルであること、そし
て更には、これらのプラスチゾル組成物を用いたことを
特徴とする成形材料、及び成形物を提供するものであ
る。以下に、本発明を詳しく説明する。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明に用いる粉粒状アクリル系
樹脂(A)は、好ましくはメチルメタアクリレートのホ
モポリマーまたはコポリマーであり、即ち、メタクリル
酸メチルを主成分としたポリマーであって、メタクリル
酸メチル単量体単独、又は、メタクリル酸メチル単量体
に酢酸ビニル等のビニルエステル、スチレン等の芳香酸
ビニル、アクリロニトリル等のシアン化ビニル、メチル
アクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタアク
リレート、シクロヘキシルメタアクリレート、ヒドロキ
シルエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート
等のアクリル酸やメタクリル酸及びそのアルキルエステ
ルなどの不飽和化合物を混合したメタクリル酸メチルを
主成分とする共重合体が挙げられる。
【0014】プラスチゾルとするためには、粉粒状樹脂
は常温での粘度が数十センチポイズである可塑剤中に分
散して自由にブラウン運動を行い沈降しないことが必要
である。そのためプラスチゾル用樹脂の製造は一般には
乳化重合法で合成されており、樹脂微粒子の平均粒径が
好ましくは10μ以下であり、より好ましくは0.2〜
2μである。樹脂微粒子の粒径は、小さいとプラスチゾ
ル化するのに多量の可塑剤が必要になり、又、ゾルの粘
度が高くて加工性が悪くなる。一方、樹脂粒子径が大き
いと可塑剤に均一に分散せず沈降したり、高温に加熱し
てもゾルの固化均一化に時間がかかったり、強度が充分
出なかったりする。ここで粉粒状アクリル樹脂の粒径は
各種の方法で測定しうるが、本発明でいう粒径はレーザ
ー粒度分布測定装置(堀場製作所(株)製:HORIB
A LA−910)で測定した体積平均値から求められ
る数値とする。本発明の粉粒状アクリル系樹脂(A)
は、この測定装置での粒径分布曲線に2個以上のピーク
を持つ樹脂である。
【0015】本発明の粉粒状アクリル系樹脂(A)は、
前記の粒度分布測定装置での粒径分布曲線に10μ未満
の粒径ピークと10〜500μにある粒径ピークを持つ
樹脂である。さらに、好ましくは平均粒径10μ未満の
樹脂(A−1)と平均粒径10〜500μの樹脂(A−
2)との異なる2種類以上の樹脂からなるものである。
アクリル樹脂(A−1)樹脂の製造は、乳化重合法でも
懸濁重合法でも、又、ホモジナイザーみたいな強力な分
散力を併用して合成されたものでも良いが、樹脂微粒子
の平均粒径が10μ未満であり、特に好ましくは0.2
〜5μである。本発明の粉粒状アクリル系樹脂(A)
は、好ましくは平均粒径10μ未満の樹脂(A−1)9
0〜60重量%と平均粒径10〜500μの樹脂(A−
2)10〜40重量%とから成るものである。
【0016】アクリル樹脂(A−1)の分子量は、相溶
性に影響を持つので、好ましくはその重量平均分子量1
0万以上、特に好ましくは20〜200万のものであ
る。重量平均分子量が10万未満の場合には、室温で配
合時に可塑剤等に溶解して高粘度となり、混合や成形が
困難になる。また重量平均分子量が、200万を超える
と高温にしても可塑剤との融解速度が遅くなり生産性が
低下する傾向となる。
【0017】粉粒状アクリル系樹脂(A−2)は、(A
−1)と一緒に可塑剤と混合した際に沈降分離せずに、
しかもプラスチゾルの粘度安定性を向上するためには樹
脂微粒子の平均粒径が好ましくは10〜500μであ
り、特に好ましくは10〜100μである。(A−2)
樹脂粒子の粒径は、好ましくは(A−1)樹脂粒子の3
倍以上無いと効果が出ないが、大きすぎると可塑剤に均
一に分散せず沈降したり、又、高温にしても可塑剤の融
解速度が遅くなり生産性が低下する傾向となる。
【0018】アクリル樹脂(A−2)は、(A−1)よ
り粒径が大きいため、可塑剤との融解速度が遅くなる可
能性があるので、(A−2)の分子量は、(A−1)の
分子量より小さいことが好ましい、その重量平均分子量
は、特に好ましくは1〜80万のものである。重量平均
分子量が1万未満の場合には、室温で配合時に可塑剤な
どに溶解して高粘度となり、混合や成形が困難になる。
また重量平均分子量が、80万を超えると高温にしても
可塑剤との融解速度が遅くなり生産性が低下する傾向と
なる。 粉粒状アクリル系樹脂(A−2)の製造は、乳
化重合法でも懸濁重合法でも、又、ホモジナイザーみた
いな強力な分散力を併用して合成されたものでも良い
が、樹脂微粒子の平均粒径が10μ以上であり、樹脂粒
子の表面が滑らかな球状であるのが好ましいので懸濁重
合が好ましい。
【0019】本発明の可塑剤(B)とは、本発明の効果
を損なわないものであれば可塑剤として使用されるが、
好ましくは安息香酸エステルである。この安息香酸エス
テルとは、安息香酸とジオールとのエステル化合物であ
る。該エステルの合成に用いられる安息香酸には、トル
イル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、クミン
酸、テトラメチル安息香酸等の安息香酸誘導体も含まれ
る。又 該エステル化合物の合成に用いられるジオール
のアルキル基の炭素数は、プラスチゾル組成物の初期粘
度と粘度安定性から好ましくは3〜12である。
【0020】このジオールとしては、例えば、1,3ブ
タンジオール、3,5メチルペンタンジオール、2メチ
ル1、8オクタンジオール、1,9ノナンジオール、
1,10デカンジオール、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリ
エチレングリコール(分子量200〜600)、プロピ
レングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピ
レングリコール、テトラプロピレングリコール、ポリプ
ロピレングリコール(分子量300〜800)等が挙げ
られ、これらを混合して用いても良い。該安息香酸エス
テルと粉粒状アクリル樹脂(A)との相溶性を維持しな
がら、プラスチゾル組成物の粘度安定性を向上するため
には該エステルのジオール成分はアルキレンエーテルグ
リコールが特に好ましい。
【0021】この安息香酸エステルの製造法は、安息香
酸とジオールとエステル化反応触媒とを投入し、通常の
エステル化反応によって容易に合成できる。安息香酸と
ジオールとのエステル化は、少なくとも安息香酸が、ジ
オールの片方にエステル結合する必要があるので、安息
香酸とジオールとの仕込み比率は、好ましくはジオール
1モルに対して安息香酸を1〜2.5モルである。従っ
て、本発明の安息香酸エステルは、ジオールの両末端及
び/又はジオールの片末端に安息香酸のエステル結合し
た混合、単独化合物を言う。更にエステル化反応を容易
にするために少量の溶剤を添加しても良い。
【0022】本発明の可塑剤(B)は、好ましくは粉粒
状アクリル系樹脂(A)100重量部に対して50〜1
50重量部配合され、特に好ましくは、80〜120重
量部配合される。
【0023】本発明のプラスチゾル組成物には、好まし
くは安息香酸エステルが可塑剤として適しているが、安
息香酸エステル以外の可塑剤を併用しても良い。併用す
る可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル、燐酸エ
ステル、セバシン酸エステル、エポキシ化エステル、ポ
リエステルなどの可塑剤が挙げられる。これらは本発明
の効果を損なわない範囲で併用できる。また必要に応じ
て、充填剤、顔料、発泡剤、接着剤、その他の添加剤お
よび成形、加工上必要あれば、粘度調整剤としてアクリ
ル樹脂を溶解しない有機溶剤、界面活性剤等を配合する
ことができる。
【0024】本発明のアクリル樹脂系プラスチゾル組成
物の調製は、好ましくは二種類以上の粒径の異なる粉粒
状アクリル系樹脂混合物に可塑剤(B)、好ましくは安
息香酸エステルを配合した後、擂潰機などの混合機を用
いて均一に混合することにより製造される。
【0025】本発明の組成物を成形材料とするには、ス
プレッドコーティング、スプレー塗装方法、スクリーン
法、ディッピング法等の成形方法で基体の表裏面に付着
させて加熱雰囲気下(好ましくは150〜200℃)
で、溶融・乾燥することで使用される。この基体とは、
好ましくは金属材料で、紙・木質材料、繊維・プラスチ
ック材料、FRP材料、ゴム材料、無機質材料等の高温
に耐えうる材料ならば使用できる。用途としては壁装
材、床材、レザー、鋼板アンダーコート材、缶コート、
フィルムなどがある。
【0026】本発明の成形物とは、加熱可能な型(好ま
しくは金属製型)にディップ成形、注型、回転成形、ス
ラッシュ成形方法等の成形方法により、本発明のアクリ
ル樹脂系プラスチゾル組成物を成形・溶融して製造され
る。用途としては、工業部品、電気絶縁部品、玩具・雑
貨、自動車内装材などがある。
【0027】本発明は、プラスチゾルの粘度安定性が優
れ、成形加工が容易にでき、可塑剤とアクリル樹脂の相
溶性が優れ、加熱溶融した後でも可塑剤のブリード等の
ないアクリル樹脂系プラスチゾル組成物を得ることがで
きる。
【0028】
【実施例】次に、本発明を、実施例、比較例により詳細
に説明するが本発明はこれら実施例に限定されるもので
はない。以下において部および%は特に断わりのないか
ぎりすべて重量基準であるものとする。
【0029】[参考例1]還流冷却器を備えた3L容量
の重合容器内に脱イオン水を420部、ポリオキシエチ
レンノニルフェニルエーテル(花王(株)製、;商品
名:エマルゲン910)6.9部及びメタクリル酸メチ
ル300部を仕込んで、窒素雰囲気中、150rpmで
撹拌しながら70℃に昇温した。しかる後、過硫酸アン
モニウムの0.6部とイオン交換水90部とから成る触
媒液を、窒素雰囲気下で4時間にわたって滴下し、反応
を行った。更に、80℃に昇温して1時間保持後、反応
を終了した。引き続いて、かくして得られた反応液を、
アトマイザー式噴霧乾燥機にて乾燥せしめて粉粒状アク
リル樹脂(a)を得た。得られたアクリル樹脂は分子量
が90万で、レーザー式粒度分布測定装置(堀場製作所
製(株)製:HORIBA LA−910)で測定した
平均粒径は0.89μであった。
【0030】[参考例2]還流冷却器を備えた3L容量
の重合容器内に脱イオン水480部、ポリオキシエチレ
ンノニルフェニルエーテル(花王(株)製、;商品名:
エマルゲン910)2.9部、過硫酸カリウム0.75
部、を投入し、窒素雰囲気中、150rpmで撹拌しな
がら70℃に昇温した。次に、モノマー混合物としてメ
チルメタクリレート300部、n−ドデシルメルカプタ
ン0.18部及びポリオキシエチレンノニルフェニルエ
ーテル(花王(株)製;商品名:エマルゲン905)6
部を混合してモノマー混合物306部を調製した。この
調製したモノマー混合物の1/2量を、前記フラスコ中
に30分間かけて滴下し、30分間保持し、第一段目の
乳化重合を行った。次に、第一段目に重合した粒子をシ
ード粒子として、モノマー混合物の1/8量ずつを第2
段目〜第5段目まで30分滴下、30分保持を繰り返し
て乳化重合を行い、1時間保持した。さらに、80℃に
昇温して1時間保持後、反応を終了した。引き続いて、
かくして得られた反応液を、アトマイザー式噴霧乾燥機
にて乾燥せしめて粉粒状アクリル樹脂(b)を得た。得
られたアクリル樹脂は分子量が60万で、レーザー式粒
度分布測定装置(堀場製作所製(株)製:HORIBA
LA−910)で測定した平均粒径は2.05μであ
った。
【0031】[参考例3]還流冷却器を備えた3L容量
の重合容器内に脱イオン水900部、リン酸カルシウム
12部、ラウリル硫酸ナトリウム塩0.09部、を投入
し、窒素雰囲気中、150rpmで撹拌しながらメタク
リル酸メチル300部、n−ドデシルメルカプタン0.
8部及びパーブチルパーオクテート(日本油脂(株)
製、;商品名:パーブチルO)3部を仕込んで70℃に
昇温した。しかる後、窒素雰囲気下で4時間にわたって
重合反応を行い、更に80℃に昇温して1時間反応し
た。冷却して常温になってから20%塩酸を15部添加
し、更に5%苛性ソーダでPH7に中和してから生成粒
子を水洗して取り出し乾燥した。かくして得られたアク
リル樹脂粒子を200メッシュのスクリーンでふるって
通過分のみを供試樹脂(c)とした。得られたアクリル
樹脂のポリマー分の分子量は8万で、レーザー式粒度分
布測定装置(堀場製作所製(株)製:HORIBA L
A−910)で測定した平均粒径は21.5μであっ
た。
【0032】[実施例1]参考例1の樹脂(a)80部
と参考例3の樹脂(c)20部との混合物に対して、ト
リプロピレングリコールジベンゾエート80量部、炭酸
カルシウム(白石工業(株)製、;商品名:ホワイトン
H)100部、ミネラルターペン(エクソン(株)
製、;商品名:ナフサNo6)15部を添加し、室温で
擂潰機で10分間混練した後、1000mlビーカーに
移し替え、減圧下で混入している空気を脱泡除去してア
クリル樹脂系プラスチゾル組成物を調製した。
【0033】得られたアクリル樹脂系プラスチゾル組成
物について、性能評価を行うために初期粘度測定、粘度
安定性試験、シート化試験および相溶性試験を行い、結
果を表1に示した。試験方法は以下の通りである。ま
ず、得られたプラスチゾル組成物の一部を200mlビ
ーカーに移し、初期粘度測定および粘度安定試験に使用
し、残りをシート化試験、相溶性試験に使用した。
【0034】粘度測定 (イ)初期粘度:プラスチゾル組成物調製後、2時間、
25℃恒温室に放置後、BM型粘度計で測定した。単位
はポイズで表した。プラスチゾルの粘度が500ポイズ
以上のものは成形加工が困難である。
【0035】(ロ)粘度安定性試験:初期粘度を測定し
たプラスチゾル組成物を20℃恒温室に放置し、10日
放置後の粘度を上記(イ)と同様にして測定し、初期粘
度に対する10日放置後の粘度の粘度上昇倍率(AIと
記す)を求めた。なお、AIが1に近いほどプラスチゾ
ルは、粘度安定性が優れていることを示し、AIが2.
5以上のものは安定的な成形加工上問題がある。
【0036】シート化試験:プラスチゾル組成物をガラ
ス板上に1mmの厚さに流延し、150℃×10分の条
件で溶融ゲル化してシートを生成させ、次いで冷却後、
得られたシートをガラス板よりとりはずし、その強伸度
を測定した。別に、上記試験の溶融ゲル化の条件を18
0℃×10分に変え、同様にして試験した。
【0037】(シート化試験の評価基準) ○:充分な強度と、伸びを有するシートが得られた。 △:シートは得られたが、強度、伸び共に不充分であっ
た。
【0038】 ×:シートが得られなかった。
【0039】(相溶性)シート化試験で作成したシート
の一部を20℃、65%RHの恒温、恒湿室に放置し、
15日後に、シート表面への可塑剤のブリードの程度を
官能判定によって評価した。
【0040】(相溶性の評価基準) ○:ブリードしていなかった。 △:かすかにブリードしていた。
【0041】 ×:激しくブリードしていた。
【0042】[比較例1]実施例1における、参考例1
の樹脂(a)80部と参考例3の樹脂(c)20部との
混合物を参考例1の樹脂(a)100部に代えたことの
他は、実施例1と同様にしてアクリル樹脂系プラスチゾ
ル組成物を調製した。得られたアクリル樹脂系プラスチ
ゾル組成物について、実施例1と同様に性能評価を行
い、結果を表1に示した。
【0043】[比較例2]実施例1における、参考例1
の樹脂(a)80部と参考例3の樹脂(c)20部との
混合物を参考例2の樹脂(b)100部に代えたことの
他は、実施例1と同様にしてアクリル樹脂系プラスチゾ
ル組成物を調製した。得られたアクリル樹脂系プラスチ
ゾル組成物について、実施例1と同様に性能評価を行
い、結果を表1に示した。
【0044】[比較例3]実施例1における、参考例1
の樹脂(a)80部と参考例3の樹脂(c)20部との
混合物を参考例3の樹脂(c)100部に代えたことの
他は、実施例1と同様にしてアクリル樹脂系プラスチゾ
ル組成物を調製した。しかしアクリル樹脂粒子が沈降し
て配合物の粘度及び粘度安定性は評価できなかった。得
られたアクリル樹脂系プラスチゾル組成物について、シ
ート化試験を実施例1と同様に行い、結果を表1に示し
た。
【0045】[実施例2]実施例1における、参考例1
の樹脂(a)80部と参考例3の樹脂(c)20部との
混合物をそれぞれ70部と30部に代えたことの他は、
実施例1と同様にしてアクリル樹脂系プラスチゾル組成
物を調製した。得られたアクリル樹脂系プラスチゾル組
成物について、実施例1と同様に性能評価を行い、結果
を表1に示した。
【0046】
【表1】
【0047】
【発明の効果】本発明のアクリル樹脂系プラスチゾル
は、粉粒状アクリル系樹脂に少量の粒径の大きい樹脂を
混合する事等によって得られる、その粒径分布曲線にお
いて2個以上のピークを持つ樹脂を用いる事によって、
そのプラスチゾルの粘度安定性が大きく向上し、成形加
工が安定して容易にでき、可塑剤とアクリル樹脂の相溶
性が優れ、加熱溶融した後でも可塑剤のブリード等のな
いアクリル樹脂系プラスチゾル組成物が得られる。該プ
ラスチゾル組成物は、塩化ビニル樹脂製プラスチゾルと
同様に成形加工、製品化することが可能となる。また、
アクリル樹脂系プラスチゾルの焼き付け温度は、塩化ビ
ニル樹脂プラスチゾルより、低いので、エネルギーコス
トの低減につながる。また、塩化ビニル樹脂を使用しな
いので、近年、問題となってきている環境問題にも適応
するものである。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粉粒状アクリル系樹脂(A)と可塑剤
    (B)とからなるアクリル樹脂系プラスチゾル組成物で
    あって、粉粒状アクリル系樹脂(A)が、その粒径分布
    曲線に2個以上のピークを持つ樹脂であることを特徴と
    するプラスチゾル組成物。
  2. 【請求項2】 粉粒状アクリル系樹脂(A)が、その粒
    径分布曲線に10μ未満の粒径ピークと10〜500μ
    にある粒径ピークを持つ樹脂であることを特徴とする請
    求項1記載のプラスチゾル組成物。
  3. 【請求項3】 粉粒状アクリル系樹脂(A)が、平均粒
    径10μ未満の樹脂(A−1)と平均粒径10〜500
    μの樹脂(A−2)との異なる2種類以上の樹脂から成
    ることを特徴とする請求項1〜2いずれか記載のプラス
    チゾル組成物。
  4. 【請求項4】 粉粒状アクリル系樹脂(A)が、平均粒
    径10μ未満の樹脂(A−1)90〜60重量%と平均
    粒径10〜500μの樹脂(A−2)10〜40重量%
    とから成ることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載
    のプラスチゾル組成物。
  5. 【請求項5】 可塑剤(B)が、安息香酸エステルであ
    ることを特徴とする請求項1〜4いづれか記載のプラス
    チゾル組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかのプラスチゾル
    組成物を用いたことを特徴とする成形材料。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5のいずれかのプラスチゾル
    組成物を用いたことを特徴とする成形物。
JP11090297A 1997-04-28 1997-04-28 プラスチゾル組成物、成形材料及び成形物 Pending JPH10298391A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000281858A (ja) * 1999-03-30 2000-10-10 Kobayashi Kk 射出成形用アクリル樹脂プラスチゾル組成物及びそれを用いた射出成形方法
US6566441B1 (en) 1999-06-21 2003-05-20 Roehm Gmbh & Co Kg Poly(meth)acrylate plastisols and process for the production thereof

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