JP2003246908A - アクリル系プラスチゾル組成物 - Google Patents

アクリル系プラスチゾル組成物

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JP2003246908A
JP2003246908A JP2002049786A JP2002049786A JP2003246908A JP 2003246908 A JP2003246908 A JP 2003246908A JP 2002049786 A JP2002049786 A JP 2002049786A JP 2002049786 A JP2002049786 A JP 2002049786A JP 2003246908 A JP2003246908 A JP 2003246908A
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polymer
acrylic
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plastisol composition
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JP2002049786A
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Toshihiro Kasai
俊宏 笠井
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フタル酸エステル系可塑剤を使用すること
なく、耐熱性に優れ低粘度のアクリル系プラスチゾル組
成物の提供。 【解決手段】 アクリル系重合体微粒子を、アルキル
スルホン酸フェニルエステルを含む可塑剤に分散してな
るアクリル系プラスチゾル組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アクリル系重合体
微粒子を可塑剤に分散してなるアクリル系プラスチゾル
組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル系重合体を可塑剤に分散して
なる塩化ビニル系プラスチゾル(以下、塩ビゾルと略)
は低粘度で加工しやすく、かつ加熱により強靭なゲル化
物を与えるため、様々な産業分野で広く使用されてい
る。しかし、近年になり塩素に由来する問題点がクロー
ズアップされ、塩ビゾルの使用そのものが問題視されて
いる。例えば塩ビゾル製品を焼却する際に発生する塩化
水素ガスは、焼却炉を損傷しやすく、また酸性雨をもた
らし環境破壊の原因となる。さらに毒性の高いダイオキ
シンの発生原因としても懸念されている。
【0003】また近年では、可塑剤として用いられてい
るフタル酸エステル系化合物についても、一部の分野で
はその使用を中止し、非フタル酸エステル系可塑剤を利
用する動きがある。非フタル酸エステル系可塑剤として
は、様々な種類のものが実用化され、また提案されてお
り、例えば安息香酸エステル系化合物、クエン酸エステ
ル系化合物、ポリエステル系化合物等がある。しかし、
これらの可塑剤は耐熱性や粘度などの物性面およびコス
ト面などでフタル酸エステル系可塑剤と比較して劣って
いる点が多く、用途によっては利用可能であるものの、
汎用的にフタル酸エステル系可塑剤を代替するには至っ
ていない。とりわけアクリル系プラスチゾルに関して
は、アクリル系重合体との相溶性や濡れ性などの最適化
ができておらず、ゲル化性能や貯蔵安定性、粘度などに
おいて実用上満足できるものが得られていないのが現状
であった。
【0004】そこで、アクリル系重合体と安息香酸エス
テル系可塑剤を組み合わせてなるアクリル系プラスチゾ
ルが提案されている(特開平11−124483号公
報、特開平11−217479号公報、特開2000−
103930号公報等)。しかしながら、安息香酸エス
テル系可塑剤のうち、アルキレンエーテルグリコールか
ら誘導されるものはポリエーテル骨格を有するため耐熱
性が極めて低位であり、得られるプラスチゾルの耐熱性
も不十分である。耐熱性が不十分な場合、プラスチゾル
を加工する際に揮発性有機化合物(VOC)を発生した
り、製品に臭気が残存する等、様々な点で問題がある。
【0005】また、非フタル酸エステル系可塑剤とし
て、例えば液状のポリエステル系化合物やアクリル系化
合物を可塑剤として使用することも提案されている(特
開2001−247739号公報など)。これらの可塑
剤は、市販されているものでは質量平均分子量1000
以上であり可塑剤としては非常に高粘度である。したが
って、得られるプラスチゾルも高粘度になり、工業的に
容易に利用することができないという問題がある。ま
た、粘度を低下するために希釈剤を多量に併用すると、
揮発性有機化合物(VOC)の発生の原因となり問題で
ある。
【0006】以上のように、アクリル系プラスチゾル
は、フタル酸エステル系可塑剤を用いた場合には良好な
物性が得られるものの、フタル酸エステル系以外の可塑
剤を用いた場合には耐熱性が悪かったり、あるいは高粘
度であったり、その他の諸物性を含めて実用性能を満足
できるものが提案されていないのが現状であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、アクリル系重合体を用いて、フタル酸
エステル系可塑剤を用いることなく、耐熱性に優れ低
粘度である、アクリル系プラスチゾル組成物を提供する
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意検討を行った結果、可塑剤としてア
ルキルスルホン酸フェニルエステルを用い、また好まし
くはアクリル系重合体微粒子として特定組成のものを用
いることで解決できることを見出した。
【0009】すなわち本発明は、アクリル系重合体微粒
子を、アルキルスルホン酸フェニルエステルを含む可塑
剤に分散してなるアクリル系プラスチゾル組成物であ
る。
【0010】アクリル系重合体微粒子としては、多層構
造からなる微粒子であって、炭素数が4以上のアルコー
ルの(メタ)アクリレート単量体単位を20質量%以上
含む重合体成分を、微粒子の任意の内層に微粒子全体の
50質量%以上含有するものを用いることが好ましく、
また多層構造からなる微粒子であって、メチルメタクリ
レート単量体単位を80質量%以上含む重合体成分を、
微粒子の最外層に微粒子全体の20質量%以上含有する
ものを用いることが好ましい。
【0011】また、アクリル系重合体微粒子は、その最
外層に5mgKOH/g以上の酸価に相当する酸基を含
有するものであることが好ましく、その酸基はアルカリ
金属の塩となっていることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明のアクリル系プラスチゾル
組成物に用いる可塑剤は、アルキルスルホン酸フェニル
エステルを含むものである。本発明に用いるのが好まし
いアルキルスルホン酸フェニルエステルとしては、下記
一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
【0013】
【化1】
【0014】(式中、R1は炭素数が4〜16のアルキ
ル基、R2およびR3はそれぞれ独立して水素または炭素
数が1〜8のアルキル基を表す。) 一般式(1)におけるR1の炭素数が16を超えるもの
の場合、あるいはR2およびR3の炭素数が8を超えるも
のの場合には、アクリル系重合体微粒子との相溶性が低
下しやすく、可塑剤が成形品よりブリードアウトしやす
い傾向がある。また、R1の炭素数が4未満のものの場
合には、プラスチゾルのポットライフが短くなる傾向が
ある。なお、R1、R2およびR3は、直鎖状、分岐鎖状
のいずれでもよい。
【0015】本発明で使用する可塑剤は、アルキルスル
ホン酸フェニルを主成分として含むものであれば、本発
明の目的を損なわない限度において他の可塑剤成分を二
次的な可塑剤として併用することができる。なお、ここ
でいう主成分とは、可塑剤における質量比で50%以上
含有することをいう 可塑剤の配合比率は特に限定されないが、アクリル系重
合体微粒子100質量部に対して50質量部〜300質
量部が好ましい。50質量部よりも少ない場合にはアク
リルゾルが得られなかったり、あるいはアクリルゾルの
粘度が極端に高くなり、成形することが困難になること
がある。一方、300質量部より多い場合にはアクリル
ゾルの粘度が低くなり、加工性が低下する傾向にある。
また成形部材の強度や剛軟性、耐久性などが低下する傾
向にある。
【0016】本発明にいうアクリル系重合体微粒子と
は、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの少
なくとも一種を主成分(50モル%以上含有)とするモ
ノマーを重合して得られる重合体の微粒子をいい、これ
と共重合可能なモノマーが共重合されていてもよい。こ
のアクリル系重合体微粒子は、その粒子構造については
特に限定されず、粒子構造を持たない均一の粒子であっ
ても構わないが、好ましい粒子構造の例としては、組成
が異なる複数の重合体層からなるコアシェル構造または
多段構造、あるいは重合体組成が連続的に変化するグラ
ディエント型構造が挙げられる。これらの多層構造のア
クリル系重合体微粒子を用いることにより、必要に応じ
て低温伸度や貯蔵安定性を大幅に向上させることができ
る。
【0017】本発明に用いるアクリル系重合体微粒子
は、多層構造からなる微粒子であって、炭素数が4以上
のアルコールの(メタ)アクリレート単量体単位を20
質量%以上含む重合体成分を、微粒子の任意の内層に微
粒子全体の50質量%以上含有する重合体微粒子である
ことが好ましい。炭素数4以上のアルコールの(メタ)
アクリレート単量体単位は、重合体のガラス転移温度及
び溶解度パラメーターを低下させる。したがってこれを
20質量%以上共重合してなる重合体成分は、可塑剤で
あるアルキルスルホン酸エステルによる可塑化効率が高
く、これより得られる成型品の低温伸度などを向上する
上で有利である。また、この重合体成分が微粒子全体の
50質量%以上の場合にこの効果が顕著であり、これよ
り少ない場合には低温伸度は大幅に向上しないことが多
い。また炭素数が4未満のアルコールの(メタ)アクリ
レート単量体単位を用いた場合にはこの効果が少ない。
なお「粒子の任意の内層に」という意味は、粒子がコア
/シェル構造や多段構造などの多層構造をとる場合、最
外層を除く任意の内層部を指している。具体的には、最
も代表的な例であるコア/シェル構造の場合はコア部の
ことを指す。また、3層構造の場合には、最外層である
3層目を除いた1層目及び2層目のいずれかまたは両方
のことを指す。この重合体成分が粒子の内層に存在する
ことが好ましい理由は、プラスチゾル組成物の貯蔵安定
性が向上するためである。
【0018】また、本発明で用いるアクリル系重合体微
粒子は、多層構造からなる微粒子であって、メチルメタ
クリレート単量体単位を80質量%以上含む重合体成分
を、微粒子の最外層に微粒子全体の20質量%以上含有
するものであることが好ましい。メチルメタクリレート
単量体単位は、重合体のガラス転移温度及び溶解度パラ
メーターを上昇させる。したがってこれを80質量%以
上共重合してなる重合体成分は、可塑剤であるアルキル
スルホン酸エステル系化合物による可塑化効率が低く、
これより得られるプラスチゾル組成物の貯蔵安定性を向
上する上で有利である。またこの重合体成分が微粒子全
体の20質量%以上の場合にこの効果が顕著であり、こ
れより少ない場合には貯蔵安定性は大幅に向上しないこ
とが多い。
【0019】更に、本発明で用いるアクリル系重合体微
粒子は、多層構造からなる微粒子であって、最外層に5
mgKOH/g以上の酸価に相当する酸基を含有するこ
とが好ましい。酸基の種類としてはカルボキシル基、ス
ルホキシル基、リン酸基、等が挙げられ、中でも特にカ
ルボキシル基が重合の容易さなどの点から好ましいが、
特に限定されるものではない。酸価が5mgKOH/g
以上ある場合、プラスチゾルの貯蔵安定性が改良され
る。また、この効果は酸基が粒子の表面近傍にあるほど
顕著であるため粒子の最外層に含有されることが好まし
い。また、この酸基がアルカリ金属の塩となっているこ
とが好ましい。これによりプラスチゾルの貯蔵安定性が
大幅に改良されるためである。アルカリ金属の種類とし
ては1価のカリウム、ナトリウム、2価のカルシウム、
マグネシウム、3価のアルミニウム等が挙げられ、中で
も特に1価のカルシウム、ナトリウムが中和操作の容易
さの点で好ましいが、特に限定されない。
【0020】酸基をアルカリ金属塩とするの中和操作に
おいては、これらのアルカリ金属の水酸化物(水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化
マグネシウム、水酸化アルミニウム、等)をそのまま、
もしくは水溶液にして投入したり、アルカリ金属酸化物
(酸化マグネシウム、酸化カルシウム、等)の状態で投
入するなどの方法が採用できるが、水酸化物を水溶液に
して投入する方法が安全性および溶解性の点で特に好ま
しいが、これに限定されるものではない。なお、本発明
では酸基がアルカリ金属塩の状態になっていることが好
ましいものであり、イオン架橋(金属架橋)された状態
になっていることは必ずしも必要としない。
【0021】本発明で用いるアクリル系重合体微粒子を
得るために使用可能なモノマーの例としては、メチル
(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、
n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)
アクリレート、tーブチル(メタ)アクリレート、ヘキ
シル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メ
タ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート等の
直鎖アルキルアルコールの(メタ)アクリレート類、あ
るいはシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の環式ア
ルキルアルコールの(メタ)アクリレート類などが挙げ
られる。
【0022】また、酸価を導入するための酸基含有モノ
マーとしては、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン
酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、メタクリル酸
2−サクシノロイルオキシエチル−2−メタクリロイ
ルオキシエチルコハク酸、メタクリル酸 2−マレイノ
ロイルオキシエチル−2−メタクリロイルオキシエチル
マレイン酸、メタクリル酸 2−フタロイルオキシエチ
ル−2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸、メタク
リル酸 2−ヘキサヒドロフタロイルオキシエチル−2
−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸等
のカルボキシル基含有モノマー、アリルスルホン酸等の
スルホン酸基含有モノマー、2−(メタ)アクリロイキ
シエチルアシッドフォスフェート等のリン酸基含有(メ
タ)アクリレート類が挙げられる。
【0023】また、必要に応じて各種の官能基を有する
モノマーを共重合して機能化することも可能である。こ
うしたモノマーの例としては、2−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート、2ーヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート等のヒドロキシル基含有(メタ)アク
リレート類、アセトアセトキエチル(メタ)アクリレー
ト等のカルボニル基含有(メタ)アクリレート類、N−
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−ジエ
チルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含
有(メタ)アクリレート類などが挙げられる。
【0024】また、必要に応じて重合体を架橋すること
も可能であり、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレ
ート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
ト等の多官能(メタ)アクリレート類などの多官能モノ
マーを利用することができる。ただし架橋の程度として
は、加熱時に重合体が可塑剤によって十分に溶融されて
ゲル化成膜できる範囲にとどめる必要がある。
【0025】さらに補助的に、アクリルアミド及びその
誘導体として例えばジアセトンアクリルアミド、N−メ
チロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリル
アミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N−ブト
キシメチルアクリルアミド等、さらにはスチレン及びそ
の誘導体、酢酸ビニル、ウレタン変性アクリレート類、
エポキシ変性アクリレート類、シリコーン変性アクリレ
ート類などの特殊なモノマーも利用することが可能であ
る。なお、利用可能なモノマーは以上の例に限定される
ものではない。
【0026】アクリル系重合体微粒子を製造する方法は
特に限定されず、乳化重合法、ソープフリー重合法、縣
濁重合法、微細縣濁重合法、分散重合法、等が挙げら
れ、中でも好ましいのは乳化重合法あるいはソープフリ
ー重合法であり、これらの方法によればコアシェル構造
など粒子の構造を制御することが容易である。
【0027】本発明に用いるアクリル系重合体は、乾燥
粉体としての性状や構造は問わない。例えば重合で得ら
れた一次粒子が多数集合して凝集粒子(二次粒子)を形
成していても構わないし、またそれ以上の高次構造も可
能である。ただしこのような凝集構造の場合、一次粒子
同士が強固に結合せず、緩く凝集している状態が好まし
い。これにより可塑剤中での一次粒子の微細で均一な分
散が達成されるためである。
【0028】本発明のアクリル系プラスチゾル組成物に
は、必要に応じてさらに炭酸カルシウム、水酸化アルミ
ニウム、パーライト、クレー、コロイダルシリカ、マイ
カ粉、珪砂、珪藻土、カオリン、タルク、ベントナイ
ト、ガラス粉末、酸化アルミニウム、フライアッシュ、
シラスバルーンなどの充填材が配合されてもよい。充填
材を配合する目的や種類、量などは任意である。
【0029】本発明では更に必要に応じて、酸化チタ
ン、カーボンブラック等の顔料、さらにミネラルターペ
ン、ミネラルスピリット等の希釈剤、さらに消泡剤、防
黴剤、防臭剤、抗菌剤、界面活性剤、滑剤、紫外線吸収
剤、香料、発泡剤、レベリング剤、接着剤、等を自由に
配合することが可能である。
【0030】本発明のアクリル系プラスチゾル組成物
は、従来塩ビゾルが用いられていた用途分野をはじめ、
ひろく利用可能である。具体的には、自動車アンダーコ
ート、自動車ボディーシーラ、自動車マスチック接着
剤、タイルカーペットバッキング材、クッションフロ
ア、壁紙、鋼板塗料、玩具、手袋、食品サンプル、靴、
建材用など各種接着材、各種シーラ、ガスケット、防水
シート、自動車内層表皮材、帆布、テーブルクロス、合
成皮革、消しゴム、スクリーン印刷用塗料、等が挙げら
れるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
【実施例】以下に、本発明を実施例にしたがい具体的に
説明する。 [重合体(A1)の調製]温度計、窒素ガス導入管、攪
拌棒、滴下漏斗、冷却管を装備した500mlの4つ口
フラスコに純水100gを入れ、30分間十分に窒素ガ
スを通気し、純水中の溶存酸素を置換した。窒素ガス通
気を停止した後、メチルメタクリレート2.0g、n−
ブチルアクリレート1.0gを入れ、200rpmで攪
拌しながら80℃に昇温した。内温が80℃に達した時
点で、5.0gの純水に溶解した過硫酸カリウム0.0
5gを一度に添加し、ソープフリー重合を開始した。そ
のまま80℃にて攪拌を60分継続した。引き続き、第
1滴下としてモノマー(メチルメタクリレート90g、
n−ブチルメタクリレート10g)と乳化剤(ジオクチ
ルスルホコハク酸ナトリウムをモノマー100gあたり
1.0g)を均一に溶解した混合液を、20g/hrの
速度で滴下し、引き続き80℃にて1時間攪拌を継続し
て、重合体ラテックスを得た。
【0032】得られた重合体ラテックスを室温まで冷却
した後、スプレードライヤー(大河原化工機(株)製L
8型)を用いて、入口温度170℃、出口温度75℃、
アトマイザ回転数25000rpmにて噴霧乾燥し、ア
クリル系重合体微粒子〔重合体(A1)〕を得た。 [重合体(A2)の調製]第1滴下モノマーを表1に記
載のモノマー組成に変更したことを除き、重合体(A
1)の場合と全く同様にして重合体(A2)を調製し
た。 [重合体(A3)の調製]第1滴下モノマーとして、モ
ノマー(メチルメタクリレート60g、n−ブチルメタ
クリレート40g)と乳化剤(ジオクチルスルホコハク
酸ナトリウムをモノマー100gあたり1.0g)を均
一に溶解した混合液を用いたこと、および第1滴下モノ
マーの滴下完了1時間後に、第2滴下としてモノマー
(メチルメタクリレート100g)と乳化剤(ジオクチ
ルスルホコハク酸ナトリウムをモノマー100gあたり
1.0g)を均一に溶解した混合液を、20g/hrの
速度で滴下し、引き続き80℃にて1時間攪拌を継続し
たことを除き、重合体(A1)の場合と全く同様にして
重合体(A3)を調製した。 [重合体(A4〜A9)の調製]モノマーを表1に記載
のモノマー組成に変更したことを除き、重合体(A3)
の場合と全く同様にして重合体(A4)〜(A9)を調
製した。 [重合体(A10)の調製]重合体(A7)と同じ手順
で重合体ラテックスを調製した後、得られたラテックス
に対して10質量%の水酸化カリウム水溶液をメタクリ
ル酸に対して中和度が50%となるよう、室温で添加し
てそのまま1時間攪拌を継続した。得られた中和ラテッ
クスを重合体(A7)と同じ条件で噴霧乾燥し、重合体
(A10)を得た。 [重合体(A11)の調製]メタクリル酸に対して中和
度が8%となるように水酸化カリウム水溶液を添加した
ことを除き、重合体(A10)の場合と全く同様にし
て、重合体(A11)を得た。 [重合体(A12)の調製]メタクリル酸に対して中和
度が100%となるように水酸化カリウム水溶液を添加
したことを除き、重合体(A10)の場合と全く同様に
して、重合体(A12)を得た。 [プラスチゾルの調製]表2に示した各重合体(アクリ
ル系重合体微粒子)100質量部あたり可塑剤を100
質量部投入し、真空ミキサー((株)シンキー製ARV
−200)にて脱泡攪拌(10秒間大気圧で混合した
後、20mmHgに減圧して50秒間混合)を行い、均
一なプラスチゾル組成物を得た。用いた可塑剤の種類
は、実施例1〜12ではアルキルスルホン酸フェニルエ
ステル系可塑剤(バイエル社製:商品名「Mesamo
ll」、別名「ASEP」)、比較例1〜3ではフタル
酸エステル系可塑剤(ジ2−エチルヘキシルフタレー
ト)、比較例4では安息香酸エステル系可塑剤(エチレ
ングリコールジベンゾエート)、比較例5ではポリエス
テル系可塑剤(旭電化工業(株)製:商品名「PN−2
30」)をそれぞれ用いた。
【0033】得られたアクリル系プラスチゾル組成物に
つき、以下に示す項目について評価を行い、その結果を
表3に示した。 [耐熱性]プラスチゾル組成物を約10g程度正確に秤
量し、180℃のギヤーオーブンで20分間加熱した。
これをデシケーター内で25℃にまで冷却した後、質量
を正確に計測し、加熱前の質量に対する減少率を求め
た。 ○ 2%未満 △ 5%以上10%未満 × 10%以上 [粘度]プラスチゾル組成物を調製してから1時間以内
に、Brookfield型粘度計(東機産業(株)
製、BH型粘度計、7号ロータ)を用いて、測定温度2
5℃、回転数2rpmにおいて粘度を測定した。 ○ 5000mPa・s未満 × 5000mPa・s以上 [低温伸度]プラスチゾル組成物を離型紙が貼付された
ガラス板上にウェット厚2mmになるようにキャスト
し、これを130℃のギヤーオーブンで20分間加熱し
てゲル化させた。得られた塗膜を剥離した後、JIS
K−7113記載の手法に従いダンベル形状2号型に裁
断して試験片とし、テンシロン測定器により引張破断強
度の測定を行った。なお、試験速度は50mm/分、ロ
ードセル定格980N、測定した時の環境温度は−30
℃であった。 ◎:100%以上 ○:50%以上 △:20%以上 ×:20%未満 [貯蔵安定性]プラスチゾル組成物を25℃の恒温室に
て保温し、5日後に取り出して再び粘度を測定した。プ
ラスチゾルの増粘率を以下のようにして計算し貯蔵安定
性を評価した。 {(貯蔵後の粘度/初期の粘度)−1}×100(%) ◎:20%未満 ○:20%以上50%未満 △:50%以上 ×:粘度測定不能(ゲル化)
【0034】
【表1】
【0035】表中の略号は以下の通り。 MMA メチルメタクリレート nBMA n−ブチルメタクリレート MAA メタクリル酸
【0036】
【表2】
【0037】アルキルスルホン酸フェニルエステル系:
バイエル社製「メザモール」(別名「ASEP」) フタル酸エステル系:ジ2−エチルヘキシルフタレート 安息香酸エステル系:エチレングリコールジベンゾエー
ト ポリエステル系:旭電化工業(株)製:商品名「PN−
230」
【0038】
【表3】
【0039】[各例の考察]以下に各実施例および比較例
について考察する。 <実施例1〜2>実施例1及び2はいずれも均一構造の
アクリル系重合体微粒子を用いた例である。組成はMM
A/nBMAが質量比でそれぞれ90/10及び60/
40である。いずれも可塑剤として非フタル酸エステル
系であるアルキルスルホン酸フェニルエステルを用いて
おり、耐熱性、粘度の点で良好である。なお実施例1で
は炭素数が4以上のアルコールの(メタ)アクリレートで
あるnBMAが10質量%と好ましい範囲から外れてお
り、低温伸度がやや下がるものの、全般的に物性は良好
であり使用可能である。また実施例2ではnBMAが4
0%と好ましい範囲であるため、低温伸度が極めて良好
である。 <実施例3〜6>実施例3〜6は、いずれもコア/シェ
ル構造の重合体を用いた例である。ここではコア重合体
は第1滴下モノマーにより形成され、シェル重合体は第
2滴下モノマーにより形成される。コア重合体における
炭素数が4以上のアルコールの(メタ)アクリレートの比
率は20質量%以上であり、コア重合体が重合体全体に
占める比率は50〜80質量%である。またシェル重合
体におけるMMAの比率は80質量%以上であり、シェ
ル重合体が重合体全体に占める比率は20〜50質量%
である。
【0040】いずれの場合も物性は良好であり、特にコ
ア重合体の比率が高い実施例3及び5において低温伸度
が優れている。またシェル重合体を用いることにより貯
蔵安定性が向上する例が多い。 <実施例7〜9>実施例7〜9は、いずれも酸基として
カルボキシル基を有するモノマーであるメタクリル酸
(MAA)を酸価にして5mgKOH/g以上になるよ
うに共重合した例である。実際の酸価は、重合体(A
7)から(A9)の順に、16.3、13.0、13.
0である(単位:mgKOH/g)。いずれの場合も物
性は良好であり、特に貯蔵安定性が良好であり、低温伸
度との両立がしやすい例が多い。 <実施例10〜12>実施例10〜12は、いずれも酸
基であるカルボキシル基をアルカリ金属で中和するため
に水酸化カリウムを添加した例である。これによりカル
ボキシル基はカリウム塩の状態になっていると考えられ
る。いずれの場合も、極めて良好な貯蔵安定性が得られ
ており、また低温伸度をはじめとする他物性とのバラン
スもきわめて良好である。 <比較例1〜3>比較例1〜3は、いずれも可塑剤とし
てジ2−エチルヘキシルフタレート(DOP)を用いた
例である。この可塑剤は代表的なフタル酸エステル系化
合物であり、本発明が目的とする非フタル酸エステル系
可塑剤によるアクリル系プラスチゾルの主旨に合致しな
い。 <比較例4>比較例4は、非フタル酸エステル系可塑剤
として安息香酸エステル系化合物であるエチレングリコ
ールジベンゾエート(EGDB)を用いた例である。こ
の場合、可塑剤の熱分解が速いため、得られるプラスチ
ゾル組成物の耐熱性も極めて低位であった。 <比較例5>比較例5は、非フタル酸エステル系可塑剤
としてポリエステル系化合物を用いた例である。ポリエ
ステル系可塑剤は一般に高分子量であるため粘度が高
く、得られるプラスチゾル組成物の粘度も極めて高くな
り作業性が低位である。
【0041】
【発明の効果】本発明のアクリル系プラスチゾル組成物
は、非フタル酸エステル系可塑剤(安息香酸エステル系
化合物、ポリエステル系化合物等)を用いた従来のアク
リル系プラスチゾルと比較すると耐熱性および粘度にお
いて優れている。より具体的には、加熱時の揮発減量が
少ないため加工時のVOC発生が少なく、製品の臭気が
低減される。更に低粘度で流動性に優れるため種々の加
工方法が利用できる。またアクリル系重合体微粒子とし
て特定の組成のものを使用することにより、低温での伸
度に優れ、貯蔵安定性にも優れたプラスチゾルを得るこ
とが可能である。
【0042】更に、脱ハロゲン化および脱フタル酸エス
テル系可塑剤化が同時に実現でき、低環境負荷で地球環
境保全にもたらす効果も大きい。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリル系重合体微粒子を、アルキルス
    ルホン酸フェニルエステルを含む可塑剤に分散してなる
    アクリル系プラスチゾル組成物。
  2. 【請求項2】 多層構造からなる微粒子であって、炭素
    数が4以上のアルコールの(メタ)アクリレート単量体
    単位を20質量%以上含む重合体成分を、微粒子の任意
    の内層に微粒子全体の50質量%以上含有するアクリル
    系重合体微粒子を用いる請求項1記載のアクリル系プラ
    スチゾル組成物。
  3. 【請求項3】 多層構造からなる微粒子であって、メチ
    ルメタクリレート単量体単位を80質量%以上含む重合
    体成分を、微粒子の最外層に微粒子全体の20質量%以
    上含有するアクリル系重合体微粒子を用いる請求項2記
    載のアクリル系プラスチゾル組成物。
  4. 【請求項4】 アクリル系重合体微粒子が、その最外層
    に5mgKOH/g以上の酸価に相当する酸基を含有す
    る請求項1、2または3記載のアクリル系プラスチゾル
    組成物。
  5. 【請求項5】 アクリル系重合体微粒子に含有される酸
    基が、アルカリ金属の塩となっている請求項4記載のア
    クリル系プラスチゾル組成物。
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