JP2008075005A - アクリル系重合体微粒子の製造方法、重合体微粒子、プラスチゾル組成物及び成形品 - Google Patents

アクリル系重合体微粒子の製造方法、重合体微粒子、プラスチゾル組成物及び成形品 Download PDF

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克美 米倉
Shinji Saeki
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Abstract

【課題】 例えばディップ成形法等の成形法において、優れた成形性を示し、且つ優れた艶消し性を有する成形品を与えることができるアクリル系重合体微粒子を製造する方法を提供すること。
【解決手段】 20℃の水に対する溶解度が2.0〜30質量%の不飽和単量体(m)を乳化剤ミセルが存在しない状態において重合させて得られたシード粒子(A)に、アクリル系不飽和単量体(M)を添加し、これを重合させる操作を少なくとも1回有する重合体微粒子の製造方法。
また、前記重合方微粒子の製造方法により得られるアクリル重合体微粒子。
【選択図】 なし

Description

本発明はアクリル系重合体微粒子及びその製造方法に関する。更に、本発明はアクリル系重合体微粒子を可塑剤に分散させてなるアクリル系プラスチゾル組成物に関する。更に詳しくは、貯蔵安定性が優れ、且つ、成形品が優れた艶消し性を有する為の成形材料として有用なアクリル系プラスチゾル組成物、及びそのアクリル系プラスチゾル組成物を用いて得られる成形品に関する。
重合体微粒子を可塑剤に分散してなるプラスチゾル組成物は一般にペーストレジンと称され、現在工業的に広く用いられている。具体的には、例えば、自動車用、床材用、壁紙用、鋼板用等の用途に使用するコーティング剤として、あるいはスラッシュ成形用、ディップ成形用、ローテーション成形用等の成形材料として用いられている。特に、重合体微粒子として塩化ビニル重合体微粒子を用いた塩化ビニル系プラスチゾル組成物が広く使用されている。
しかしながら、塩化ビニル樹脂は、低温で焼却すると猛毒物質であるダイオキシンが発生する等の問題を有している。ダイオキシンの発生量を減らすためには、塩化ビニル系樹脂の使用量を削減することが有効とされている。そこで、重合体微粒子としてアクリル系樹脂微粒子を用いたアクリル系プラスチゾル組成物が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2等)。
WO2000/01748号公報 特開2002−226596号公報
近年、アクリル系プラスチゾル組成物への要求性能は更に高くなって来ている。特にディップ成形法によって保護キャップ等の滑り止め表装材等の成形品を製造する場合は、成形品が優れた艶消し性を有することが要求される。
即ち、本発明の目的は、例えばディップ成形法等の成形法において、優れた成形性を示し、且つ優れた艶消し性を有する成形品を与えることができるアクリル系重合体微粒子、その製造方法、その重合体微粒子を用いたアクリル系プラスチゾル組成物、及びその成形品を提供することにある。
即ち本発明の要旨は、20℃の水に対する溶解度が2.0〜30質量%の不飽和単量体(m)を乳化剤ミセルが存在しない状態において重合させて得られたシード粒子(A)に、アクリル系不飽和単量体(M)を添加し、これを重合させる操作を少なくとも1回有する重合体微粒子の製造方法にある。
また、本発明の要旨は、前記重合方微粒子の製造方法により得られる重合体微粒子にある。
また、本発明の要旨は、前記アクリル系重合体微粒子と可塑剤とを含むプラスチゾル組成物にある。
更に本発明の要旨は、前記アクリル系プラスチゾル組成物をディップ成形法することにより得られる成形品にある。
本発明のアクリル系重合体微粒子の製造方法によれば、優れた成形性を示し、且つ優れた艶消し性を有する成形品を与えることができるアクリル系重合体微粒子を製造することができる。
アクリル系重合体微粒子
本発明のアクリル系重合体微粒子の製造方法は、20℃の水に対する溶解度が2.0〜30質量%の不飽和単量体(m)を乳化剤ミセルが存在しない状態において重合させて得られたシード粒子(A)に、アクリル系不飽和単量体(M)を添加し、これを重合させる操作を少なくとも1回有する。シード粒子(A)に、20℃の水に対する溶解度が2.0〜30質量%範囲の親水性の大きい不飽和単量体(m)を用いることで、シード粒子(A)の重合時に、大粒子径のシード粒子の形成と並行して、粒子同士の凝集を高める水溶性が高い樹脂が併発することとなり、粒子同士の架橋凝集を進行させ、その結果、最終の重合体微粒子の粒子径が大きくなる。従って、該製造方法からなる大粒子径の重合体微粒子では、優れた艶消し性を有する成形品を得ることが可能となる。
アクリル系重合体微粒子の体積平均一次粒子径は特に限定されるものではないが、成形品に優れた艶消し性を付与する点で、700nm以上が好ましく、900nmがより好ましく、1000nm以上が特に好ましい。また、上限値は10μm以下が好ましく、8μm以下がより好ましく、5μm以下が特に好ましい。本発明のアクリル系重合体微粒子の粒子径分布は特に限定されるものではないが、DvP/DnPが1.0〜3.0好ましい。粒子径分布をシャープとすることで、さらなる大粒子径化が可能となり、また、後述するコア/シェル型構造のシェルの厚みを厚くすることが図れ、重合体微粒子の可塑剤による可塑化が抑制され、貯蔵安定性の向上を図ることが可能となる点から、上限値は、2.5以下が好ましく、2.0以下がより好ましく、1.5以下が特に好ましい。また、粒子径分布の下限値は1.0以上が好ましい。
20℃の水に対する溶解度が2.0〜30質量%の不飽和単量体(m)を乳化剤ミセルが存在しない状態において重合させてシード粒子(A)分散液を製造し、次いで該シード粒子に、アクリル系不飽和単量体(M)を添加し、これを重合させる操作を少なくとも1回行ってコア粒子とし、このコア粒子にアクリル系不飽和単量体(M)を重合させてコア/シェル型重合体微粒子を得ることができる。
シード粒子(A)
本発明においては、シード粒子(A)は乳化剤ミセル不存在化で行うものであり、ソープフリー乳化重合法により行うことが好ましい。ソープフリー乳化重合によりシード粒子を作製する場合に使用される重合開始剤としては、水に可溶な重合開始剤であれば特に限定されないが、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩等が好ましく、重合体微粒子の凝集が少なくなりやすい点で、過硫酸カリウムを使用することがより好ましい。また、この重合開始剤の使用量は特に限定されないが、シード粒子の凝集を防ぎ、安定に重合が可能となる点で、シード粒子(A)を構成する不飽和単量体(m)100質量部に対して、1.8質量部以下が好ましく、0.9質量部以下がより好ましく、0.5質量部以下が特に好ましい。
不飽和単量体(m)
本発明におけるシード粒子(A)を構成する不飽和単量体(m)は、20℃の水に対する溶解度が2.0〜30質量%の範囲内にあるものを使用する。シード粒子(A)を大粒子化とする場合には、下限値は2.5質量%以上がより好ましく、3.0質量%以上が特に好ましい。また、得られる重合体微粒子が凝集しにくい点で、上限値は30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下が特に好ましい。
不飽和単量体(m)の具体例としては、例えば、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヘキサヒドロフタル酸−2−メタクリロイルオキシエチル、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート等が挙げられる。これらは単独又は2種以上を混合して使用してもよい。更に、シード粒子(A)の体積平均一次粒子径を低下させない範囲で、上記以外の不飽和単量体を、不飽和単量体(m)と併用することもできる。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
本発明においては、重合媒体として水を使用するが、脱イオン処理された純水を用いることが好ましい。
本発明においては、シード粒子(A)にアクリル系不飽和単量体(M)を添加し、これを重合させる操作を少なくとも1回実施する。このようにして得られた粒子をコア粒子とし、次いで、該コア粒子にアクリル系不飽和単量体(M)を添加、重合させてコアシェル型重合体微粒子とすることが好ましい。
本発明においては、シード粒子(A)の体積平均一次粒子径は特に限定されないが、アクリル系重合体微粒子の大粒子化を図る上では280nm以上が好ましく、300nmがより好ましく、350nm以上が特に好ましい。また、シード粒子を大粒子化することで、シード粒子(A)に不飽和単量体(M)を添加、重合させる操作を実施することによる大粒子化工程の回数を少なくすることが可能となり、得られるアクリル系重合体微粒子の粒子径分布のコントロールが容易となる。シード粒子(A)の体積平均一次粒子径の上限値は5μm以下が好ましく、3μm以下がより好ましく、1μm以下が特に好ましい。
また、シード粒子(A)の体積平均一次粒子径(DvA)と個数平均一次粒子径(DnA)の比(DvA/DnA)で表される粒子径分布は、アクリル系重合体微粒子の大粒子化を図るため、1.3以下が好ましく、1.25以下がより好ましく、1.2以下が特に好ましい。また、粒子径分布の下限値は1.0以上が好ましい。
本発明のアクリル系重合体微粒子中のシード粒子(A)の割合は、アクリル系重合体微粒子100質量部中1質量部以上が好ましく、1.5質量部以上がより好ましく、2質量部以上が特に好ましい。上限値は10質量部以下が好ましく、9質量部以下がより好ましく、8質量部以下が特に好ましい。
シード粒子(A)の重量平均分子量は特に制限されないが、下限値は0.5万以上が好ましく、1万以上がより好ましい。
本発明のアクリル系重合体微粒子の重量平均分子量は特に制限されないが、プラスチゾル組成物の貯蔵安定性及び成形品の機械的物性の点からは、10万以上が好ましく、20万以上がより好ましく、30万以上が特に好ましい。
不飽和単量体(M)
本発明のアクリル系重合体微粒子を構成する不飽和単量体(M)は(メタ)アクリレート等のアクリル系単量体を主成分とするものである。具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート等の直鎖アルキルアルコールの(メタ)アクリレート類;シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の環式アルキルアルコールの(メタ)アクリレート類等が挙げられる。中でも、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートは、容易に入手することができ、工業的な実用化の点で好ましい。但し、これら不飽和単量体に限定されるものではない。尚、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートとメタクリレートの総称である。
更に、上記以外の不飽和単量体を上記不飽和単量体と併用することもできる。その不飽和単量体の例としては、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、2−サクシノロイルオキシエチルメタクリレート、2−マレイノイルオキシエチルメタクリレート、2−フタロイルオキシエチルメタクリレート、2−ヘキサヒドロフタロイルオキシエチルメタクリレート等のカルボキシル基含有不飽和単量体;アリルスルホン酸等のスルホン酸基含有不飽和単量体;アセトアセトキエチル(メタ)アクリレート等のカルボニル基含有(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート類;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレート類;N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート類;アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド等のアクリルアミド及びその誘導体;ウレタン変性アクリレート類;エポキシ変性アクリレート類;シリコーン変性アクリレート類等が挙げられる。これら不飽和単量体は用途に応じて使い分けることが可能である。
アクリル系重合体微粒子は、乾燥粉体としての性状や構造は問わない。例えば重合で得られた一次粒子が多数集合して凝集粒子(二次粒子)を形成していても構わないし、またそれ以上の高次構造も可能である。ただし、このような凝集構造の場合、一次粒子同士が強固に結合せず、緩く凝集している状態が好ましく、これにより可塑剤中で一次粒子が均一に分散可能となる。
アクリル系重合体微粒子の粒子構造は、公知の構造から適宜選ぶことができ、例えば、単一構造、多段重合で得られる2層以上のコア/シェル型構造等の構造とすることができる。
その中でも、必要に応じてプラスチゾルに更なる付加的な物性を導入することができることから、コア/シェル型構造が好ましい。
例えば、可塑剤に相溶性の重合体組成のコア層と、可塑剤に非相溶性の重合体組成のシェル層からなるコア/シェル型構造の粒子形状としたアクリル系重合体微粒子を用いたプラスチゾル組成物は、貯蔵時において粘度の経時変化が低くなる傾向にあり、このプラスチゾル組成物を用いて得た成形品は可塑剤のブリードアウトが小さく、且つ高強度の成形品が得られる傾向にある。ここでいう、可塑剤に相溶性の重合体組成とは、可塑剤と重合体組成を1対1の質量比で混合した後、130〜200℃の成形温度にて成形し、得られた成形品から可塑剤のブリードアウトが認められない重合体組成のことを指す。また、可塑剤に非相溶性の重合体組成とは、前記と同様に混合した後、可塑剤と重合体組成を成形温度にて成形し、得られた成形品から可塑剤のブリードアウトが短時間にて多く認められる重合体組成のことを指す。
可塑剤
本発明のプラスチゾル組成物に用いる可塑剤は特に限定されず、公知の可塑剤から適宜選択して使用すれば良い。具体例としては、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート等のフタル酸エステル系可塑剤;ジメチルアジペート、ジブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジヘキシルアジペート、ジー2−エチルヘキシルアジペート、ジイソノニルアジペート、ジブチルジグリコールアジペート等のアジピン酸エステル系可塑剤;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート等のリン酸エステル系可塑剤;トリ−2−エチルヘキシルトリメリテート等のトリメリット酸エステル系可塑剤;ジメチルセバケート、ジブチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート等のセバチン酸エステル系可塑剤;ポリ−1,3−ブタンジオールアジペート等の脂肪族系ポリエステル可塑剤;エポキシ化大豆油等のエポキシ化エステル系可塑剤;アルキルスルホン酸フェニルエステル等のアルキルスルホン酸フェニルエステル系可塑剤;脂環式二塩基酸エステル系可塑剤;ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテル系可塑剤;クエン酸アセチルトリブチル等が挙げられる。
可塑剤は、必要に応じて1種で又は2種以上を混合して用いることができ、またその配合量も所望に応じて適宜変更することができる。
可塑剤の配合量は、アクリル系重合体微粒子100質量部に対して35〜250質量部が好ましく、40〜200質量部がより好ましく、45〜150質量部が特に好ましい。
本発明のプラスチゾル組成物には用途に応じて各種の添加剤又は充填剤を配合できる。添加剤、充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、バライタ、クレー、コロイダルシリカ、マイカ粉、珪砂、珪藻土、カオリン、タルク、ベントナイト、ガラス粉末、酸化アルミニウム等の無機フィラー類、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料、ミネラルターペン、ミネラルスピリット等の希釈剤、オクチル酸亜鉛等の減粘剤、更に消泡剤、防黴剤、防臭剤、抗菌剤、界面活性剤、滑剤、紫外線吸収剤、香料、発泡剤、レベリング剤、接着剤等を必要に応じて配合できる。
本発明のプラスチゾル組成物は、従来より知られている各種の成形法に用いることが可能であるが、特にバッテリー及びハンドル等の保護キャップ等の滑り止め表装材等の成形物に好適なディップ成形法に好適である。例えば、予め加熱した金型をプラスチゾル組成物中に投入し、引き上げ、その後、加熱炉に入れてゲル化させ、脱型することで本発明の成形品を好適に得ることができる。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。各例中、「部」は「質量部」を意味する。また、各評価は以下の方法により実施した。
(1)不飽和単量体の20℃の水に対する溶解度
200mlの分液ロートに不飽和単量体(m)20ml、水100mlを加え、室温で30分攪拌した後、20℃のインキュベータに一夜放置する。水系分散媒層及び不飽和単量体層が透明になったら分離する。透明にならず液が懸濁状の場合は目開き0.45μmのろ紙で濾別する。水系分散媒層を水素炎ガスクロマトグラフィーにて不飽和単量体含有量を測定し、不飽和単量体含有率を溶解度とした。
(2)微粒子の体積平均一次粒子径及び個数平均一次粒子径
レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製LA−920)を用いて、水を分散媒として超音波を2分照射し、透過率が75〜95%の範囲内になるように調製した後、重合体微粒子の体積平均一次粒子径及び個数平均一次粒子径を測定した。
(3)成形品の作製及び艶消し性
プラスチゾル組成物を、テトラフルオロエチレンコートされた鉄板(厚さ1mm)の上に膜厚2mmにキャストし、これを160℃のギヤーオーブンに入れて10分間加熱し、成形品を得た。これを金属板から剥離した後、金属面に接していない空気面側の成形品表面の艶消し性を目視にて観察した。
「○」:艶消し性が良好
「×」:艶消し性が不十分
[実施例1]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌棒、滴下漏斗及び冷却管を備えた2リットルの4つ口フラスコに、純水364部を入れ、30分間窒素ガスをバブリングさせ、純水中の溶存酸素を置換した。次に、窒素ガスをフローに変えた後、20℃の水に対する溶解度が13.4質量%の2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(三菱レイヨン製、商品名「アクリエステルHP」)40.3部を入れ、200rpmで攪拌しながら80℃に昇温した。内温が80℃に達した時点で、純水35部に過硫酸カリウム0.35部を溶解して得た溶液をフラスコ内に一度に添加し、重合を開始させた。その後、80℃にて60分攪拌し、シード粒子(A1)分散液を得た。
次いで、このシード粒子(A1)分散液に、表1に示す不飽和単量体(M1)乳化液を3時間かけて滴下してシード粒子(A1)に吸収、重合させ、滴下終了後、80℃にて1時間攪拌し、コア粒子の分散液を得た。
次いで、このコア粒子の重合体分散液に、表1に示す不飽和単量体(M2)乳化液を1.0時間かけて滴下し、引き続き80℃にて1時間攪拌してシェル重合を実施し、コア/シェル型重合体分散液を得た。
このコアシェル型重合体分散液を室温まで冷却し、スプレードライヤを用いて、入口温度150℃、出口温度65℃で噴霧乾燥して、体積平均一次粒子径が1674nmのアクリル系重合体微粒子(P1)を得た。組成及び物性を表1及び表2に示す。
[実施例2]
シード粒子を構成する不飽和単量体として、20℃の水に対する溶解度が13.4質量%の2−ヒドロキシプロピルメタクリレートと1.7質量%のメチルメタクリレートと0.04質量%のn−ブチルメタクリレート(三菱レイヨン製、商品名「アクリエステルB」)を用いた以外は重合体微粒子(P1)と同様にして重合体微粒子(P2)を調製した。尚、不飽和単量体に対する乳化剤の添加量、不飽和単量体の滴下速度、噴霧乾燥の条件等は重合体微粒子(P1)の場合と同一である。組成及び物性を表1及び表2に示す。
[実施例3]
コア粒子を構成する不飽和単量体を表1に示すものに変更した以外は重合体微粒子(P1)と同様にして重合体微粒子(P3)を調製した。尚、不飽和単量体に対する乳化剤の添加量、不飽和単量体の滴下速度、噴霧乾燥の条件等は重合体微粒子(P1)の場合と同一である。組成及び物性を表1及び表2に示す。
[比較例1]
シード粒子を構成する不飽和単量体として、20℃の水に対する溶解度が1.7質量%のメチルメタクリレートを用いた以外は重合体微粒子(P1)と同様にして重合体微粒子(P4)を調製した。尚、不飽和単量体に対する乳化剤の添加量、不飽和単量体の滴下速度、噴霧乾燥の条件等は重合体微粒子(P1)の場合と同一である。組成及び物性を表1及び表2に示す。
[比較例2]
シード粒子を構成する不飽和単量体として、20℃の水に対する溶解度が100質量%を超える2−ヒドロキシエチルメタクリレート(三菱レイヨン製、商品名「アクリエステルHO」)を用いた以外は重合体微粒子(P1)と同様にしてシード粒子(A5)の合成を実施した。重合中に凝集し、シード粒子を得ることができなかった。
Figure 2008075005
表1中の略号:
「−」は、未添加又は未測定であることを示す。
「2−HPMA」:2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(三菱レイヨン製、商品名「アクリエステルHP」)
「2−HEMA」:2−ヒドロキシエチルメタクリレート(三菱レイヨン製、商品名「アクリエステルHO」)
「MMA」:メチルメタクリレート(三菱レイヨン製、商品名「アクリエステルM」)
「n−BMA」:n−ブチルメタクリレート(三菱レイヨン製、商品名「アクリエステルB」)
「n−BA」:n−ブチルアクリレート(三菱化学製)
「EDMA」:エチレングリコールジメタクリレート(三菱レイヨン製、商品名「アクリエステルED」)
「MAA」:メタクリル酸(三菱レイヨン製、商品名「メタクリル酸」)
「OTG」:チオグリコール酸2−エチルヘキシル(淀化学製)
セチルアルコール:セチルアルコール(日本油脂製、商品名「NAA―44」)
「OTP」:ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(花王製、商品名「ペレックスOTP」)
Figure 2008075005
vA:シード粒子(A)体積平均一次粒子径
vP:アクリル系重合体微粒子体積平均一次粒子径
nA:シード粒子(A)個数平均一次粒子径
nP:アクリル系重合体微粒子個数平均一次粒子径
[実施例4]
アクリル系重合体微粒子(P1)100部、可塑剤として、フタル酸ジイソノニル80部と、オクチル酸亜鉛(ホープ製薬(株)製、商品名「18%オクトープZn」)0.5部を計量し、真空ミキサー((株)シンキー製、商品名「ARV−200」)に投入した。これを大気圧(760mmHg)で回転数2000rpmにて15秒間混合し、さらに20mmHgに減圧して回転数2000rpmにて180秒間混合した後、ディスパー(特殊機化工業(株)製、商品名「T.K.HOMO DISPER」)にて、回転数8000rpmにて120秒混合した。さらに、このプラスチゾル組成物を再度、真空ミキサー((株)シンキー製、商品名「ARV−200」)に投入し、20mmHgに減圧して回転数2000rpmにて120秒間混合し、均一なアクリル系プラスチゾル組成物を得た。
得られたプラスチゾル組成物をテトラフルオロエチレンコートされた鉄板(厚さ1mm)の上に、縦100mm、横100mm、膜厚2mmにキャストし、これを160℃のギヤーオーブンに入れて10分間加熱し、成形品を得た。その際の成形品の艶消し性について評価した。組成及び評価結果を表3に示す。
[実施例5、6、比較例3]
表3記載の配合に変更したこと以外は実施例4と同様にして、均一なプラスチゾル組成物を製造し、成形し、評価した。組成及び評価結果を表3に示す。
実施例4、5、6の結果から明らかなように、成形品の艶消し性が優れており、良好である。これに対し、比較例3では成形品の艶消し性が不十分である。
Figure 2008075005
表3中の略号
「−」は、未添加又は未測定であることを示す。
「DINP」:フタル酸ジイソノニル
「オクチル酸亜鉛」:オクチル酸亜鉛(ホープ製薬(株)製、商品名「18%オクトープZn」)

Claims (4)

  1. 20℃の水に対する溶解度が2.0〜30質量%の不飽和単量体(m)を乳化剤ミセルが存在しない状態において重合させて得られたシード粒子(A)に、アクリル系不飽和単量体(M)を添加し、これを重合させる操作を少なくとも1回有する重合体微粒子の製造方法。
  2. 請求項1記載の重合方微粒子の製造方法により得られる重合体微粒子。
  3. 請求項2記載のアクリル系重合体微粒子と可塑剤とを含むプラスチゾル組成物。
  4. 請求項3記載のアクリル系プラスチゾル組成物をディップ成形法することにより得られる成形品。
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