JP2010192069A - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】磁気記録層52上に、第1のハードマスク53、第2のハードマスク54およびパターン化されたレジスト55を形成し、パターン化されたレジスト55をマスクとして、前記第2のハードマスク54をエッチングして凹凸パターンを転写し、前記第2のハードマスク54をマスクとして前記第1のハードマスク53をエッチングして凹凸パターンを転写し、パターン凹部の磁気記録層52のエッチングレートを変化させる改質処理を施し、パターン凹部の磁気記録層52の磁性を失活させることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【選択図】 図3
Description
図1に、本発明の方法を用いて製造されるパターンド媒体の一例であるディスクリートトラック媒体(DTR媒体)の周方向に沿う平面図を示す。図1に示すように、パターンド媒体1の周方向に沿って、サーボ領域2と、データ領域3が交互に形成されている。サーボ領域2には、プリアンブル部21、アドレス部22、バースト部23が含まれる。データ領域3には隣接するトラック同士が互いに分離されたディスクリートトラック31が含まれる。
基板としては、たとえばガラス基板、Al系合金基板、セラミック基板、カーボン基板、酸化表面を有するSi単結晶基板などを用いることができる。ガラス基板としては、アモルファスガラスおよび結晶化ガラスが用いられる。アモルファスガラスとしては、汎用のソーダライムガラス、アルミノシリケートガラスが挙げられる。結晶化ガラスとしては、リチウム系結晶化ガラスが挙げられる。セラミック基板としては、汎用の酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素などを主成分とする焼結体や、これらの繊維強化物などが挙げられる。基板としては、上述した金属基板や非金属基板の表面にメッキ法やスパッタ法を用いてNiP層が形成されたものを用いることもできる。
軟磁性裏打ち層(SUL)は、垂直磁気記録層を磁化するための単磁極ヘッドからの記録磁界を水平方向に通して、磁気ヘッド側へ還流させるという磁気ヘッドの機能の一部を担っており、記録層に急峻で充分な垂直磁界を印加させ、記録再生効率を向上させる作用を有する。軟磁性裏打ち層には、Fe、NiまたはCoを含む材料を用いることができる。このような材料として、FeCo系合金たとえばFeCo、FeCoVなど、FeNi系合金たとえばFeNi、FeNiMo、FeNiCr、FeNiSiなど、FeAl系合金、FeSi系合金たとえばFeAl、FeAlSi、FeAlSiCr、FeAlSiTiRu、FeAlOなど、FeTa系合金たとえばFeTa、FeTaC、FeTaNなど、FeZr系合金たとえばFeZrNなどを挙げることができる。Feを60at%以上含有するFeAlO、FeMgO、FeTaN、FeZrNなどの微結晶構造または微細な結晶粒子がマトリクス中に分散されたグラニュラー構造を有する材料を用いることもできる。軟磁性裏打ち層の他の材料として、Coと、Zr、Hf、Nb、Ta、TiおよびYのうち少なくとも1種とを含有するCo合金を用いることもできる。Co合金には80at%以上のCoが含まれることが好ましい。このようなCo合金は、スパッタ法により製膜した場合にアモルファス層が形成されやすい。アモルファス軟磁性材料は、結晶磁気異方性、結晶欠陥および粒界がないため、非常に優れた軟磁性を示すとともに、媒体の低ノイズ化を図ることができる。好適なアモルファス軟磁性材料としては、たとえばCoZr、CoZrNbおよびCoZrTa系合金などを挙げることができる。
垂直磁気記録層としては、Coを主成分とし、少なくともPtを含み、さらに酸化物を含む材料を用いることが好ましい。垂直磁気記録層は、必要に応じて、Crを含んでいてもよい。酸化物としては、特に酸化シリコン、酸化チタンが好適である。垂直磁気記録層は、層中に磁性粒子(磁性を有した結晶粒子)が分散していることが好ましい。この磁性粒子は、垂直磁気記録層を上下に貫いた柱状構造であることが好ましい。このような構造を形成することにより、垂直磁気記録層の磁性粒子の配向および結晶性を良好なものとし、結果として高密度記録に適した信号ノイズ比(SN比)を得ることができる。このような構造を得るためには、含有させる酸化物の量が重要となる。
第1のハードマスクの組成は、カーボンを主原料とする。原子数比で、カーボンの割合が75%を超えることが望ましい。カーボンの割合が75%以下であると、エッチング選択比が低下し、形状よく磁性層を加工できなくなる傾向がある。第1のハードマスクは、スパッタあるいはCVDで堆積させた膜によって形成することができる。第1のハードマスクの膜厚は4〜50nmが好ましい。膜厚が厚すぎると剥離の際にエッチング時間がかかり、パターン化された磁性層の側壁がダメージを受ける原因となる。薄すぎるとエッチングの際のハードマスクとしての機能が果たせない。また、必要に応じて、第1のハードマスクと磁気記録層との間に酸化防止層を成膜することができる。
本発明の方法における第2のハードマスク54は、O2あるいはO3ガスに耐性があって、Al、Ag、Au、Co、Cr、Cu、Ni、Pd、Pt、Si、Ta、Tiなどを主成分とするものが望ましい。例えば、これらの単体、窒化物、酸化物、合金、混合物が使用できる。また、第2のハードマスク54の膜厚は1〜15nmであることが好ましく、特に2〜10nmであることが好ましい。この膜厚が厚すぎる場合、第2のハードマスク54の除去の際に磁気記録層に対するダメージの原因となる。逆に、薄すぎる場合、一様な膜として成膜できず、第1のハードマスク53にパターンが形成できない。
保護膜は、垂直磁気記録層の腐食を防ぐとともに、磁気ヘッドが媒体に接触したときに媒体表面の損傷を防ぐ目的で設けられる。保護膜の材料としては、たとえばC、SiO2、ZrO2を含むものが挙げられる。保護膜の厚さは1から10nmとすることが好ましい。これにより、ヘッドと媒体の距離を小さくできるので、高密度記録に好適である。カーボンは、sp2結合炭素(グラファイト)とsp3結合炭素(ダイヤモンド)に分類できる。耐久性、耐食性はsp3結合炭素のほうが優れるが、結晶質であることから表面平滑性はグラファイトに劣る。通常、カーボンの成膜はグラファイトターゲットを用いたスパッタリング法で形成される。この方法では、sp2結合炭素とsp3結合炭素が混在したアモルファスカーボンが形成される。sp3結合炭素の割合が大きいものはダイヤモンドライクカーボン(DLC)と呼ばれ、耐久性、耐食性に優れ、アモルファスであることから表面平滑性にも優れるため、磁気記録媒体の表面保護膜として利用されている。CVD(chemical vapor deposition)法によるDLCの成膜は、原料ガスをプラズマ中で励起、分解し、化学反応によってDLCを生成させるため、条件を合わせることで、よりsp3結合炭素に富んだDLCを形成することができる。
記録トラックとサーボ情報のパターンが形成されたスタンパを、レジストが塗布された基板に圧着しながらレジストを硬化させることで、レジストにその凹凸パターンを転写する。
O2ガスRIE(反応性イオンエッチング)でインプリント後のレジスト残差除去を行う。プラズマソースは、低圧で高密度プラズマが生成可能なICP(inductively coupled plasma)が好適であるが、ECR(electron cyclotron resonance)プラズマや、一般的な並行平板型RIE装置を用いてもよい。
磁性失活は、パターン化された磁気記録媒体において、凹部の磁気記録層の磁性を凸部と比較して弱めることを指す。磁性を弱めるとは、軟磁性化させることや、非磁性化あるいは反磁性化するものである。このような磁性の変化は、VSM(試料振動型磁力計)やKerr(磁気光学カー効果)測定装置によりHn、Hs、Hcなどの値を測定することで観測することができる。
カーボン保護膜は、凹凸へのカバレッジをよくするためにCVD法で成膜することが望ましいが、スパッタ法または真空蒸着法により成膜してもよい。CVD法によれば、sp3結合炭素を多く含むDLC膜が形成される。保護膜上に潤滑剤を塗布する。潤滑剤としては、たとえばパーフルオロポリエーテル、フッ化アルコール、フッ素化カルボン酸などを用いることができる。
図1に示すDTR媒体に対応する凹凸パターンを有するスタンパを用い、図3(a)〜(i)に示した方法でDTR媒体を作製した。各工程の条件は以下の通りであった。
図2(f)のエッチングレートを変化させる改質処理を省略したこと以外は、実施例1と同様の方法によってDTR媒体を作製した。
図2(f)のエッチングレートを変化させる改質処理を省略し、図2(g)の磁性失活工程のエッチング時間を24秒としたこと以外は、実施例1と同様の方法によってDTR媒体を作製した。
図2(f)のエッチングレートを変化させる改質処理を省略し、図2(g)の磁性失活工程のエッチング時間を42秒としたこと以外は、実施例1と同様の方法によってDTR媒体を作製した。
改質処理工程(f)において使用するガスを変更した以外は、実施例1と同様にDTR媒体を作製した。本実施例では、改質処理工程において、CF4、SF6、CHF3またはArを使用し、4種の媒体を製作して評価した。
磁性失活工程(g)において処理条件を変更した以外は、実施例1と同様にDTR媒体を作製した。本実施例では、磁性失活工程の失活ガスとして、He、O2、N2、He−N2、He−O2、He−N2−O2またはArの7種をそれぞれ使用した。加工後のパターン凹凸が実施例1と同等の8nmとなるように、エッチング時間をガスごとに適宜調節した。ガス及び時間以外の処理条件は実施例1と同様に行った。
Claims (4)
- 磁気記録層上に、第1のハードマスク、第2のハードマスクおよびレジストを形成し、
前記レジストに対してスタンパをインプリントして凹凸パターンを転写し、
パターン化されたレジストの凹部に残存している残渣を除去し、
パターン化されたレジストをマスクとして、前記第2のハードマスクをエッチングして凹凸パターンを転写し、
前記第2のハードマスクをマスクとして前記第1のハードマスクをエッチングして凹凸パターンを転写し、
パターン凹部の磁気記録層のエッチングレートを変化させる改質処理を施し、
パターン凹部の磁気記録層の磁性を失活させる
ことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。 - 前記磁気記録層のエッチングレートを変化させる改質処理が、CF4、SF6またはCHF3を用いた反応性イオンエッチングであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- 前記磁気記録層の磁性の失活が、He、O2、N2、He−N2混合ガス、He−O2混合ガスまたはHe−N2−O2混合ガスを用いて行われることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- 請求項1に記載の製造方法によって製造された磁気記録媒体を搭載した磁気記録装置。
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