JP4922441B2 - 磁気記録媒体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
<磁気記録媒体>
図1に、実施形態に係る磁気記録媒体100の一例であるBPMの周方向に沿う平面図を示す。図1に示すように、媒体の周方向に沿って、サーボ領域110と、データ領域120が交互に形成されている。サーボ領域10には、プリアンブル部111、アドレス部112、バースト部113が含まれる。データ領域120には磁性ドット121が形成されている。
図4は、第1の実施形態に係る磁気記録媒体の製造方法を示す。以下に当該製造方法を説明する。
図5は、第2の実施形態に係る磁気記録媒体の製造方法を示す。図5に示す方法において図5(a)から(h)の工程は、図4(a)から(h)の工程と同様に行うことができる。以下に、図5(i)以降の工程について説明する。
以下に、磁性失活層9について、より詳細に説明する。
磁性失活層9を磁気記録層3内に拡散させることで、効率的に且つ十分に非記録部32の磁性を失活することができる。すなわち、バナジウムは、磁気記録層3を構成するCo、CrおよびPtのいずれとも固溶する(部分的に固溶領域を持つ)ため、磁気記録層3内に比較的拡散しやすい。一方、ジルコニウムは、磁気記録層3の磁性を担うCoとの生成エンタルピー(ΔH)が負の方向に大きいため、Coとの合金を形成し易い。そのため、ジルコニウムは、Co系の磁気記録層3に拡散し易い。また、窒素、炭素、ホウ素および酸素は、それ自身でCoの磁性を失活する効果を有し、同時にバナジウムまたはジルコニウムとの間で、さらにはクロムとの間で化合物を形成する。その結果、バナジウムまたはジルコニウムの拡散が促進され、磁気記録層3を十分に非磁性化することができる。
窒素、炭素、ホウ素および酸素から成る群から選択される少なくとも1つの元素を含むガスを用いて、バナジウムまたはジルコニウムを含む磁性失活層9の拡散を行うことにより、これらのガスによる磁性失活効果と、バナジウムまたはジルコニウムとガスとの間の化合物形成に起因した結晶破壊による拡散性増大効果を得ることができる。
以下に、実施形態に係る磁気記録媒体に含まれる各構成要素について説明する。
垂直磁気記録層は、例えば、Co、CrおよびPtを含む。BPMの場合、垂直磁気記録層は、なるべく粒界が少ないことが望ましい。これにより、加工により記録ビットを形成した際に、記録ビットをほぼ一粒子として反転させることができる。DPMの場合、Co、CrおよびPtに加え、さらに酸化物を含んでもよい。酸化物としては、特に酸化シリコン、酸化チタン、酸化クロムが好適である。垂直磁気記録層は、層中に磁性粒子(磁性を有した結晶粒子)が分散していることが好ましい。この磁性粒子は、垂直磁気記録層を上下に貫いた柱状構造であることが好ましい。このような構造を形成することにより、垂直磁気記録層の磁性粒子の配向および結晶性を良好なものとし、結果として高密度記録に適した信号ノイズ比(SN比)を得ることができる。このような構造を得るためには、含有させる酸化物の量が重要となる。
基板としては、例えばガラス基板、Al系合金基板、セラミック基板、カーボン基板、酸化表面を有するSi単結晶基板などを用いることができる。ガラス基板としては、アモルファスガラスおよび結晶化ガラスが用いられる。アモルファスガラスとしては、汎用のソーダライムガラス、アルミノシリケートガラスが挙げられる。結晶化ガラスとしては、リチウム系結晶化ガラスが挙げられる。セラミック基板としては、汎用の酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素などを主成分とする焼結体や、これらの繊維強化物などが挙げられる。基板としては、上述した金属基板や非金属基板の表面にメッキ法やスパッタ法を用いてNiP層が形成されたものを用いることもできる。
軟磁性裏打ち層(SUL)は、垂直磁気記録層を磁化するための単磁極ヘッドからの記録磁界を水平方向に通して、磁気ヘッド側へ還流させるという磁気ヘッドの機能の一部を担っており、記録層に急峻で充分な垂直磁界を印加させ、記録再生効率を向上させる作用を有する。軟磁性裏打ち層には、Fe、NiまたはCoを含む材料を用いることができる。このような材料として、FeCo系合金例えばFeCo、FeCoVなど、FeNi系合金例えばFeNi、FeNiMo、FeNiCr、FeNiSiなど、FeAl系合金、FeSi系合金例えばFeAl、FeAlSi、FeAlSiCr、FeAlSiTiRu、FeAlOなど、FeTa系合金例えばFeTa、FeTaC、FeTaNなど、FeZr系合金例えばFeZrNなどを挙げることができる。Feを60at%以上含有するFeAlO、FeMgO、FeTaN、FeZrNなどの微結晶構造または微細な結晶粒子がマトリクス中に分散されたグラニュラー構造を有する材料を用いることもできる。軟磁性裏打ち層の他の材料として、Coと、Zr、Hf、Nb、Ta、TiおよびYのうち少なくとも1種とを含有するCo合金を用いることもできる。Co合金には80at%以上のCoが含まれることが好ましい。このようなCo合金は、スパッタ法により製膜した場合にアモルファス層が形成されやすい。アモルファス軟磁性材料は、結晶磁気異方性、結晶欠陥および粒界がないため、非常に優れた軟磁性を示すとともに、媒体の低ノイズ化を図ることができる。好適なアモルファス軟磁性材料としては、例えばCoZr、CoZrNbおよびCoZrTa系合金などを挙げることができる。
実施形態において、軟磁性裏打ち層と磁気記録層との間に、非磁性体からなる中間層を設けてもよい。中間層は、軟磁性裏打ち層と記録層との交換結合相互作用を遮断し、記録層の結晶性を制御する、という2つの作用を有する。中間層は、Ru、Re、Pt、Pd、Ti及びそれらのいずれかを含む結晶質の合金膜であることが好ましい。垂直磁気記録層の結晶配向性を良くするために、中間層の膜厚は1nm以上30nm以下であることが好ましい。また、結晶配向面はRu、Re、Tiは(0002)、Pt、Pdは(111)であることが好ましい。高いKu値を得ることができるとともに、高い熱安定性を得ることができる。
保護膜は、垂直磁気記録層の腐食を防ぐとともに、磁気ヘッドが媒体に接触したときに媒体表面の損傷を防ぐ目的で設けられる。保護膜の材料としては、例えばC、Si、B,SiO2、ZrO2を含むものが挙げられる。保護膜の厚さは1から10nmとすることが好ましい。これにより、ヘッドと媒体の距離を小さくできるので、高密度記録に好適である。カーボンは、sp2結合炭素(グラファイト)とsp3結合炭素(ダイヤモンド)に分類できる。耐久性、耐食性はsp3結合炭素のほうが優れるが、結晶質であることから表面平滑性はグラファイトに劣る。通常、カーボンの製膜はグラファイトターゲットを用いたスパッタリング法で形成される。この方法では、sp2結合炭素とsp3結合炭素が混在したアモルファスカーボンが形成される。sp3結合炭素の割合が大きいものはダイヤモンドライクカーボン(DLC)と呼ばれ、耐久性、耐食性に優れ、アモルファスであることから表面平滑性にも優れるため、磁気記録媒体の表面保護膜として利用されている。CVD(chemical vapor deposition)法によるDLCの製膜は、原料ガスをプラズマ中で励起、分解し、化学反応によってDLCを生成させるため、条件を合わせることで、よりsp3結合炭素に富んだDLCを形成することができる。
DLC層4上に、第1のハードマスク、第2のハードマスクおよび第3のハードマスクを順に製膜する。
記録トラックとサーボ情報のパターンが埋め込まれたスタンパを、レジストが塗布された基板に圧着しながらレジストを硬化させることで、レジストにその凹凸パターンを転写する。
O2ガスRIE(反応性イオンエッチング)でインプリント後のレジスト残差除去を行う。プラズマソースは、低圧で高密度プラズマが生成可能なICP(inductively coupled plasma)が好適であるが、ECR(electron cyclotron resonance)プラズマや、一般的な並行平板型RIE装置を用いてもよい。
カーボン保護膜は、凹凸へのカバレッジをよくするためにCVD法で製膜することが望ましいが、スパッタ法または真空蒸着法により製膜してもよい。CVD法によれば、sp3結合炭素を多く含むDLC膜が形成される。保護膜上に潤滑剤を塗布する。潤滑剤としては、例えばパーフルオロポリエーテル、フッ化アルコール、フッ素化カルボン酸などを用いることができる。
磁気記録層のパターニングの後、第1のハードマスクの剥離を行う。第1のハードマスクの剥離とは、第1のハードマスク下の層の表面を露出させることを意味する。第1のハードマスクの上に残る第2のハードマスク、第3のハードマスク等は、第1のハードマスクと共に剥離される。第1のハードマスクの剥離はウェットプロセスによって行う。ウェットプロセスのための剥離液としては例えば過酸化水素水、塩酸、硫酸または硝酸等を用いることができる。磁気記録層へのダメージを与えないためにpH4以上の希酸が、さらに好ましい。この剥離液中に媒体を1分程度浸漬させることで、マスクを剥離することができる。このような剥離方法によれば、磁気記録層へダメージを与えずにマスクの剥離を行うことができる。剥離後、剥離液が残らないように、磁気記録媒体を水あるいは溶媒にて洗浄することが好ましい。
次に、実施形態に係る磁気記録装置を搭載する磁気記録再生装置(HDD)について説明する。図6は、実施形態に係る磁気記録媒体を搭載した磁気記録再生装置を示す斜視図である。
実施例1−10および比較例1−9のビットパターンド媒体を作製し、各種特性について調べた。
ガラス基板(コニカミノルタ社製アモルファス基板MEL5、直径2.5インチ)を、DCマグネトロンスパッタ装置(アネルバ社製C−3010)の製膜チャンバー内に収容して、真空度が1×10−5Paとなるまで製膜チャンバー内を排気した。この基板上に、軟磁性層としてCo−7at%Ta−5at%Zrを40nm製膜して軟磁性裏打ち層を形成した。次いで、中間層としてRuを20nm、垂直磁気記録層としてCo−20at%Pt−10at%Crを20nm形成した。次いで、CVD法により、4nmのDLC保護層を形成した。次に、厚さ5nmのMoからなる第1のハードマスク、厚さ25nmのCからなる第2のハードマスク、および厚さ3nmのSiからなる第3のハードマスクを、この順に製膜した。さらに、第3のハードマスク(Si)上に、厚さ50nmになるようにレジストをスピンコートした。
実施例11−20および比較例10のビットパターンド媒体を作製し、各種特性について調べた。
実施例21−29および比較例11のビットパターンド媒体を作製し、各種特性について調べた。
実施例30−38および比較例12のビットパターンド媒体を作製し、各種特性について調べた。
実施例39−54のビットパターンド媒体を作製し、各種特性について調べた。
実施例55−62および比較例13および14のビットパターンド媒体を作製し、各種特性について調べた。
Claims (10)
- 基板と、前記基板上に形成された軟磁性層と、前記軟磁性層上に形成された下地層と、前記下地層上に形成された磁気記録層と、前記磁気記録層上に形成された保護層とを含む磁気記録媒体において、
前記磁気記録層は、記録部と非記録部とから成るパターンを有し、
前記非記録部は、前記記録部が非磁性化した構造を有し、
前記非記録部は、バナジウムおよびジルコニウムから成る群から選択される少なくとも1つの金属元素と、窒素、炭素、ホウ素および酸素から成る群から選択される少なくとも1つの元素とを含み、
前記非記録部に含まれる窒素、炭素、ホウ素および酸素から成る群から選択される少なくとも1つの元素の含有量は、前記記録部に含まれる窒素、炭素、ホウ素および酸素から成る群から選択される少なくとも1つの元素の含有量よりも多い
磁気記録媒体。 - 前記非記録部に含まれる窒素、炭素、ホウ素および酸素から成る群から選択される少なくとも1つの元素の含有量は、前記記録部に含まれる窒素、炭素、ホウ素および酸素から成る群から選択される少なくとも1つの元素の含有量と比較して、2原子%以上多い請求項1に記載の磁気記録媒体。
- 前記非記録部に含まれる窒素、炭素、ホウ素および酸素から成る群から選択される少なくとも1つの元素の含有量は、前記記録部に含まれる窒素、炭素、ホウ素および酸素から成る群から選択される少なくとも1つの元素の含有量と比較して、5原子%以上多い請求項1に記載の磁気記録媒体。
- 前記非記録部に含まれるバナジウムおよびジルコニウムから成る群から選択される少なくとも1つの金属元素の含有量が10原子%以上である請求項1に記載の磁気記録媒体。
- 前記非記録部に含まれるバナジウムおよびジルコニウムから成る群から選択される少なくとも1つの金属元素の含有量が20原子%以上である請求項1に記載の磁気記録媒体。
- 磁気記録層上に、パターン化されたマスク層並びにバナジウムおよびジルコニウムから成る群から選択される少なくとも1つの金属元素を含む磁性失活層を形成し、
窒素、炭素、ホウ素および酸素から成る群から選択される少なくとも1つの元素を含むガスを用いたイオンビーム照射によって、前記マスク層のパターン凹部に存在する前記磁性失活層から前記磁気記録層に対して、前記金属元素を拡散させる
ことを含む磁気記録媒体の製造方法。 - 前記ガスが、N2、CH4、B2H6、O2およびO3から成る群から選択される少なくとも1つのガスを含む請求項6に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記ガスが、さらにHeを含む請求項7に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記磁性失活層は、バナジウムおよびジルコニウムから成る群から選択される少なくとも1つの金属元素の単体、窒化物、炭化物、酸化物、硼化物またはそれらの混合物を主成分とする請求項6に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 請求項1に記載の磁気記録媒体を搭載した磁気記録装置。
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