JP2009116979A - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高記録密度に適したディスクリートトラックメディアやビットパターンドメディアに代表されるパタードメディアを構成する磁気ディスクのトラックガイド分離域を、磁気ディスク全面において均一に、マスク通り正確に形成することが可能となる製造方法を提供すること。
【解決手段】基板11の上に軟磁性膜12、下地膜13、磁性膜14を形成する。磁性膜14中にトラックガイド分離域を形成するために設けられた任意のパターン形状をしたマスク18を磁性膜14上に形成し、イオン15と電子16を磁性膜表面に対して照射し、かつ、基板11に対して間欠的な電圧を印加することによって、照射された領域を非磁性化することでトラックガイド分離域19を形成する。
【選択図】図1
【解決手段】基板11の上に軟磁性膜12、下地膜13、磁性膜14を形成する。磁性膜14中にトラックガイド分離域を形成するために設けられた任意のパターン形状をしたマスク18を磁性膜14上に形成し、イオン15と電子16を磁性膜表面に対して照射し、かつ、基板11に対して間欠的な電圧を印加することによって、照射された領域を非磁性化することでトラックガイド分離域19を形成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、高記録密度に適したディスクリートトラックメディアやビットパターンドメディアに代表されるパターンドメディアの製造方法に係り、特にトラックガイド分離域の形成方法に関する。
近年、パーソナルコンピュータで利用される情報量の増大や、映像記録機器、カーナビゲーションシステム等への用途拡大により、磁気記録再生装置は、大容量化・高性能化が急激に加速されている。その背景には、高記録密度領域での熱揺らぎがなく再生出力が安定である垂直磁気記録方式及び、トンネル磁気抵抗効果型素子の採用が大きく貢献している。ここで、垂直磁気記録方式では、磁気記録媒体面に垂直に並べた小さな単位磁石は、予め磁性膜中に含まれる非磁性材料によって分離される構造をとっている。
現在、より積極的にこの分離域を制御し磁気記録密度を向上する案として、特許文献1に記載されているように、ディスクトラック間に分離加工を施したディスクリートトラックメディア、さらには、記録ビット方向にも分離加工を施したビットパターンドメディアが研究開発されており、いずれの場合も分離域形成加工技術が高記録密度化の重要なポイントとなっている。例えば、ディスクリートトラックメディアにおいては、分離域形成加工技術として基板に予め同心円状に凹凸形状を形成しておき、その上に磁性膜を形成することで、凹凸形状の磁性膜を形成する基板加工型や、磁性膜にマスクを施し凹部とすべき部分をエッチングすることによって凹凸形状を施す磁性膜加工型が提案されている。しかしながら、これらの技術において、凹部には非磁性材料を埋め戻し、さらにその表面を凸部となる磁性膜の高さにあわせて平坦化し、さらに平坦化した面に保護膜を形成するといった複数のプロセス工程を有することで、磁性膜や保護膜の表面に発生する異物の増加、表面粗さの増加という新たな問題が発生し、高記録密度化のためのもう一つのポイントとなる磁気ヘッドと磁気ディスクの隙間狭小化(ナノスペーシング化)を妨げてしまう。
これらを解決する手段として、形状的に凹凸を形成するのではなく、磁気的に凹凸形状と同じ効果が得られる方法が試みられている。これは、特許文献2に記載されているように、従来通り形成された磁性膜にマスクを施し凹部とすべき部分にイオンビームを用いてイオン注入を行うことで、非磁性化領域を形成するイオンビーム加工型である。この手法を用いれば、凹部に後から非磁性材料を埋め戻す必要もなく、その表面の平坦化も不要であり磁気ディスク装置として良好な浮上特性及び磁気特性が得られるとされている。
本発明が解決しようとする課題は、従来技術のひとつであるイオンビーム加工型に関する。即ち、発明者等の実験によって明らかにされたが、イオンビームを用いたイオンの注入のみを行った場合は、被処理基板となる磁気ディスク全面にわたる均一な非磁性領域の作製、マスク寸法通りの正確な非磁性領域の作製が不完全であり、ワーストケースとしては磁性膜の局部的破壊を招くことが明らかにされた。
例えば、一般的な正電荷をもつイオンビームが基板表面に照射された場合、基板が電気的に浮遊している場合は、基板そのものが簡単にチャージアップしてしまう。この場合、イオンの加速電圧と同等の電圧をチャージアップすることになり、イオン注入そのものが難しくなってしまう。また、基板が電気的に接地されている場合でも、基板最表面では局部的なチャージアップ領域が発生し、同様にイオン注入が難しくなる部分が発生することで、基板全面において不均一なイオン注入となってしまう。特に、非磁性化を目的として、マスクされていないイオン打ち込み領域内において局所的なチャージアップが発生すると、イオン注入方向が変化し、必要とする非磁性化領域以外へのイオン注入が発生してしまい、マスクパターンの正確な転写ができなくなってしまう。
また通常、ディスク基板は成膜装置において数点の点接触によって保持されている場合がほとんどであり、形状的に鋭角なこの点接触部分には、入射するイオンが容易に集中し、磁性媒体を含めた基板が電界の集中によって破壊されることがあった。この現象は、例えばガラス等の非導電材料のベース基板を用いた場合にはより顕著に発生する。ガラス基板上には通常、磁性材料等の導電性材料が形成されてはいるが、その膜厚は数十nmから百nm前後であり、膜厚方向に十分な電流経路断面積が確保できないためと考えられている。
本発明の目的は、磁気記録媒体全面にわたり、磁性膜中に均一な非磁性領域の作製、マスク寸法通りの正確な非磁性領域の作製を可能にすることである。
上記目的を達成するために、本発明の磁気記録媒体の製造方法においては、基板の上部に少なくとも磁性膜を形成する工程と、磁性膜中に非磁性化領域を形成するためのパターンを有するマスクを磁性膜上に形成する工程と、マスクが形成された磁性膜にイオンと電子を照射し、かつ基板に間欠的な電圧を印加することにより、磁性膜のイオンと電子が照射された領域を非磁性化する工程と、マスクを除去する工程とを含む。
前記磁性膜にイオンと電子を照射するために、プラズマビームを利用する。
また、前記磁性膜にイオンと電子を照射するために、金属を主成分とする陰極のアーク放電によりプラズマを生成し、生成したプラズマを湾曲した磁場ダクトにより輸送して、前記基板に供給する。
あるいは、前記磁性膜にイオンと電子を照射するために、イオンビーム源と電子供給源を同時に利用しても良い。
前記基板に間欠的な電圧を印加するために、高電圧パルス電源を用いるのが望ましい。
前記高電圧パルス電源の出力電圧を−5kV〜−50kVに調整することによって磁性膜中に形成する非磁性化領域の深さを調整することができる。
前記イオンは、クロムイオン、マンガンイオン又はバナジウムイオンであることが望ましい。
前記マスクは、金属薄膜であることが望ましい。
前記基板と磁性膜の間に、軟磁性膜と下地膜を形成することが望ましい。
前記磁性膜中に非磁性化領域を形成する工程を、前記磁性膜の上に保護膜を形成し、保護膜の上にマスクを形成した後に実行し、マスクが形成された保護膜の上部からイオンと電子を照射して、磁性膜中に非磁性化領域を形成することができる。
前記磁性膜にイオンと電子を照射するために、プラズマビームを利用する。
また、前記磁性膜にイオンと電子を照射するために、金属を主成分とする陰極のアーク放電によりプラズマを生成し、生成したプラズマを湾曲した磁場ダクトにより輸送して、前記基板に供給する。
あるいは、前記磁性膜にイオンと電子を照射するために、イオンビーム源と電子供給源を同時に利用しても良い。
前記基板に間欠的な電圧を印加するために、高電圧パルス電源を用いるのが望ましい。
前記高電圧パルス電源の出力電圧を−5kV〜−50kVに調整することによって磁性膜中に形成する非磁性化領域の深さを調整することができる。
前記イオンは、クロムイオン、マンガンイオン又はバナジウムイオンであることが望ましい。
前記マスクは、金属薄膜であることが望ましい。
前記基板と磁性膜の間に、軟磁性膜と下地膜を形成することが望ましい。
前記磁性膜中に非磁性化領域を形成する工程を、前記磁性膜の上に保護膜を形成し、保護膜の上にマスクを形成した後に実行し、マスクが形成された保護膜の上部からイオンと電子を照射して、磁性膜中に非磁性化領域を形成することができる。
本発明によれば、磁気記録媒体全面にわたり均一な非磁性領域の作製、マスク寸法通りの正確な非磁性化領域の作製が可能となり、高記録密度に適したパターンドメディアを効率よく形成することができる。
まず、図9を参照して、イオンビームを用いた非磁性化領域(非磁性部)の形成における問題点について説明する。磁気ディスク基板は、ガラス基板11に、軟磁性膜12、下地膜13、磁性膜14が積層されて構成される。磁性膜14に非磁性部を形成するために、磁性膜14上にマスク18を形成し、イオンビーム15を照射した場合には、局部的なチャージアップが発生してしまう。図9(a)は、処理箇所により発生した異なるチャージアップ領域(領域91及び領域92)が影響して、イオン打ち込み深さ領域(領域93及び領域94)が異なる場合の概念図を示している。図9(b)は、同じく局部的に発生したチャージアップ領域95により打ち込まれるイオンの侵入方向が変化し、ずれた非磁性化領域96が発生する場合の概念図を示している。図9(c)は、磁性膜14自体が局部的にチャージアップされ(領域97)、アーキングを発生して破壊されてしまう概念図を示している。
本発明の特徴は、上記のような問題点を解決するために、磁性膜にプラズマビームを照射して、磁性膜中に非磁性部を形成することである。以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1はガラス基板/軟磁性膜/下地膜/磁性膜からなる磁気ディスク基板を、プラズマビームを用いてトラックガイド分離域(非磁性領域)をもつ磁気ディスクとするための実施例1の作製工程図である。図2はアーク放電を用いて生成したプラズマビームを磁気ディスク基板の両面へ同時に照射し、かつ、磁気ディスク基板には高電圧パルスが印加できる実施例1の作製工程を実現する真空処理装置の概略図である。図3は、ガラス基板/軟磁性膜/下地膜/磁性膜からなる磁気ディスク基板に対して、実施例1の作製工程によって非磁性化領域を形成し、その部分をマイクロオージェ電子分光分析法による深さ分析を行った結果を示す図である。図4はガラス基板/軟磁性膜/下地膜/磁性膜/保護膜からなる磁気ディスク基板を、プラズマビームを用いてトラックガイド分離域(非磁性領域)をもつ磁気ディスクとするための実施例2の作製工程図である。図5は、ガラス基板/軟磁性膜/下地膜/磁性膜/保護膜からなる磁気ディスク基板に対して、実施例2の作製工程によって非磁性化領域を形成し、その部分をマイクロオージェ電子分光分析法による深さ分析を行った結果を示す図である。図6はイオンビーム源と電子供給源両方を用いて擬似的にプラズマビームを生成し、これを磁気ディスク基板の両面へ同時に照射し、かつ、磁気ディスク基板には高電圧パルスが印加できる実施例3の作製工程を実現する真空処理装置の概略図である。図7は従来手法であるイオンビームにより形成したイオン打ち込みから得られるディスクリートトラックメディアと、本発明であるプラズマビームにより形成したイオン打ち込みから得られるディスクリートトラックメディアの平均トラック密度の比較評価結果を示す図である。図8は、ガラス基板/軟磁性膜/下地膜/磁性膜からなる磁気ディスク基板に対して、本発明におけるプラズマビームを用いて非磁性化しトラックガイド分離域を形成する場合の概念図である。図10は、ガラス基板/軟磁性膜/下地膜/磁性膜/保護膜からなる磁気ディスク基板に対して、本発明のプラズマビームを用いて非磁性化する場合の処理時間に対する非磁性化領域のクロム原子百分率を示す図である。図11は、ガラス基板/軟磁性膜/下地膜/磁性膜/保護膜からなる磁気ディスク基板に対して、本発明のプラズマビームを用いて非磁性化する処理時間に対する非磁性化領域の磁化の強さの関係を示す図である。図12は、ディスクリートトラックメディアの模式図と金属薄膜マスクの断面概念図である。
<実施例1>
図1は実施例1による磁気ディスクの作製工程図である。図1(a)では、ガラス基板11上に磁気ヘッドからの磁界をアシストパスするための鉄系材料からなる軟磁性膜12を約30nm、磁性膜14の結晶配向性を向上するためのニッケル系合金からなる下地膜13を約30nm、記録層となるコバルト系合金からなる磁性膜14を約20nmまで形成した表面に、必要とするパターン形状のマスク18を形成する。マスク材料には、一般的なレジストに用いられているオーガニックポリマー系材料を用いることができるが、ここでは金属薄膜マスク18を使用した。理由としてはマスク表面における電荷のチャージ防止及び、有機物系異物の低減を目的としている。金属薄膜マスク18は、図12(a)に示すような例えば直径2.5インチのディスクリートトラックメディア121を形成するために同心円状のパターニングを施す。パターンは、図12(b),(c),(d),(e)に示すように、磁性部(磁性膜加工型でいう凸部に相当)を形成するトラック幅40nmのマスキング部分123と、非磁性部(磁性膜加工型でいう凹部に相当)となるべき非マスキング部分122の幅を20nm、40nm、60nm、80nmとしたものを用意し、いずれも膜厚を約50nmとした。ここで金属薄膜マスク18の膜厚は、入射イオンのイオン種とエネルギー及び、金属薄膜マスク18の種類によって決定する。つまり、金属薄膜マスク18は、入射イオンが被処理基板表面に到達することを防ぐ膜厚は最小限必要であり、一方で、薄ければ薄いほど、マスクパターン転写には有利であることは言うまでもない。
図1は実施例1による磁気ディスクの作製工程図である。図1(a)では、ガラス基板11上に磁気ヘッドからの磁界をアシストパスするための鉄系材料からなる軟磁性膜12を約30nm、磁性膜14の結晶配向性を向上するためのニッケル系合金からなる下地膜13を約30nm、記録層となるコバルト系合金からなる磁性膜14を約20nmまで形成した表面に、必要とするパターン形状のマスク18を形成する。マスク材料には、一般的なレジストに用いられているオーガニックポリマー系材料を用いることができるが、ここでは金属薄膜マスク18を使用した。理由としてはマスク表面における電荷のチャージ防止及び、有機物系異物の低減を目的としている。金属薄膜マスク18は、図12(a)に示すような例えば直径2.5インチのディスクリートトラックメディア121を形成するために同心円状のパターニングを施す。パターンは、図12(b),(c),(d),(e)に示すように、磁性部(磁性膜加工型でいう凸部に相当)を形成するトラック幅40nmのマスキング部分123と、非磁性部(磁性膜加工型でいう凹部に相当)となるべき非マスキング部分122の幅を20nm、40nm、60nm、80nmとしたものを用意し、いずれも膜厚を約50nmとした。ここで金属薄膜マスク18の膜厚は、入射イオンのイオン種とエネルギー及び、金属薄膜マスク18の種類によって決定する。つまり、金属薄膜マスク18は、入射イオンが被処理基板表面に到達することを防ぐ膜厚は最小限必要であり、一方で、薄ければ薄いほど、マスクパターン転写には有利であることは言うまでもない。
そして、図1(a)に示すように、このマスク18の上部よりプラズマビームを照射して非磁性化処理を行う。非磁性化処理に用いる金属イオンとして、本実施例では磁性膜となるコバルト系合金の磁化を低下させる効果が最も強いクロムイオンを用いることにした。これは、コバルトとdバンドのエネルギー順位が近いため、電子遷移が起こりやすく、コバルトのアップスピンバンド(空いている方のバンド)が効率的に埋まるからである。なお、クロムイオン以外にバナジウムイオン、マンガンイオンでも同様の効果が得られる。図1(a)において、プラズマビームは、全体として中性であるため、主に3価と6価のクロムイオン15と電子16が、マスクされていない磁性膜表面17に照射される。従って磁性膜表面17は、電気的に中性を保たれた状態にあり電荷が局部的に蓄積されることはない。磁性膜表面に照射されたクロムイオン15は基板11に印加されている高電圧パルスによって間欠的にエネルギーを得て、磁性膜14内部へと打ち込まれる。打ち込まれるイオンの侵入深さは印加された電圧によって自由に制御できる。また、間欠的にイオンと逆位相となって電子16も磁性膜14に照射、付与されることで、やはり、局部的な電荷蓄積は発生しない。このようにして、図1(b)では、磁性膜14の中に非磁性化領域19を生成する。
次に図1(c)では、プラズマビームを照射後、金属薄膜マスク18を除去するとともに、表面に発生した酸化膜を除去し、図1(d)では最表面にカーボン系材料からなる保護膜110を約3nm形成した。
次に、上記プロセスにおけるプラズマビーム処理の詳細について説明する。プラズマビームは、図2に示すように磁気ディスク基板24を両面同時に処理できるように配置されたアーク放電ユニット29から生成される。具体的には、クロムからなるカソード21とアノード28間に電圧を印加して、高真空の雰囲気下でアーク放電22を生じさせる。カソード21は、アーク溶接と同様に非常に高温の状態となり、カソード表面よりプラズマを生成する。ここでいうプラズマとは、ガス圧が10-4 Pa以下の真空中で、Cr3+とCr6+を主成分とするイオン15及び電子16を生成させた状態をいう。また、カソード21にはアーク電流を100A程度流入させアーク電圧約20Vのアーク放電を発生させた。発生したイオン15及び電子16は、アーク放電時に発生するドロップレットを除去してプラズマを輸送するための湾曲させた磁場ダクト23を介して磁気ディスク基板24を保持する処理室25に導入され、走査用電磁石27によって磁気ディスク基板24に均一に照射される。プラズマビームは、全体として中性であるため主に3価と6価のクロムイオン15と電子16が照射されることになり、基板最表面においても電気的な中性は保たれた状態にあり電荷が局部的に蓄積されることはない。
磁性膜14表面に照射されたイオン15は、高電圧パルス電源26によって磁気ディスク基板24に印加されている電圧−28kV、繰り返し周波数5000ppsにて間欠的にエネルギーを得て、磁性膜内部へと打ち込まれる。ここで、打ち込まれるイオンの侵入深さは、打ち込まれるイオンの種類とエネルギー、打ち込まれる目標物(ここでは磁性膜)との関係、即ち、核阻止能によって決定され、イオンの印加エネルギーによって自由に制御することができる。また、間欠的にイオンと逆位相となって電子16も磁気ディスク基板24に照射、付与、注入されることで、やはり、局部的な電荷蓄積は発生しない。
次に、本実施例1で得られたディスクリートトラックメディアにフッ素系潤滑剤を1nm形成し、電磁変換特性評価設備にてリードライト特性を測定した。測定条件としては、ディスクリートトラックメディア121をテストスタンドにて回転速度を5400rpmとし、トンネル磁気抵抗効果型磁気ヘッドを一度磁気ディスク表面に接触させた高さから2nmプルバックさせて評価を行った。測定に使用したトンネル磁気抵抗効果型磁気ヘッドは、ライトヘッド幅を40nm、リードヘッド幅を35nmとした。測定点は、半径方向に内周から外周まで10点をピックアップした。その結果、平均トラック密度約400KTPIを得ることができた。これは、磁性部幅40nmと、非磁性部幅20nmの実質のトラックピッチ60nmに相当し、設計値423.3KTPIとほぼ一致する結果となった。 次に、非磁性化された領域に関してマイクロオージェ電子分光分析法による深さ分析を行うため、測定エリア(10ミクロンメートル×10ミクロンメートル)の都合より、図1におけるプロセスにおいてマスク18のみを形成しないで、全ての面を非磁性化処理を行ったサンプルを作製し評価を行った。図3にその結果を示す。本結果によれば膜厚約10nm付近にピークをもってクロムイオンが打ち込まれていることがわかる。また、磁性膜約20nmにおける平均のクロムの原子百分率は約28atm%であることがわかり、後述するとおり、この原子百分率でほぼ完全に非磁性化されていた。
上記のとおり、実施例1の製造方法によれば、プラズマビームが照射される磁性膜表面は、電気的に中性を保たれた状態にあり電荷が局部的に蓄積されることはないので、磁気ディスク基板全面にわたり均一な非磁性領域を形成することができる。また、マスク寸法通りの正確な非磁性領域を形成することができる。したがって、高記録密度に適したパターンドメディアを効率よく作製することができる。
<実施例2>
上記実施例1では、磁性膜表面に直接マスクを施して非磁性化処理を行ったが、磁性膜上に保護膜を形成している状態でも可能である。なぜならば、打ち込まれるイオンの大きさとエネルギーの関係から保護膜にイオンが留まる絶対量は小さく、そのほとんどが保護膜を通り抜けるからである。図4に、実施例2として、その磁気ディスクの作製工程図を示す。図4(a)では、ガラス基板11上に鉄系材料からなる軟磁性膜12を約30nm、ニッケル系合金からなる下地膜13を約30nm、コバルト系合金からなる磁性膜14を約20nm、カーボン系材料からなる保護膜41を約3nmまで形成した表面に、必要とするパターン形状の金属薄膜マスク18を形成する。金属薄膜マスク18は、図12に示すような直径2.5インチのディスクリートトラックメディア121を形成するために同心円状のパターニングを施す。パターンは磁性部(磁性膜加工型でいう凸部に相当)を形成するトラック幅40nmのマスキング部分123と、非磁性部(磁性膜加工型でいう凹部に相当)となるべき非マスキング部分122の幅を20nm、40nm、60nm、80nmとしたものを用意し、いずれも膜厚を約50nmとした。
上記実施例1では、磁性膜表面に直接マスクを施して非磁性化処理を行ったが、磁性膜上に保護膜を形成している状態でも可能である。なぜならば、打ち込まれるイオンの大きさとエネルギーの関係から保護膜にイオンが留まる絶対量は小さく、そのほとんどが保護膜を通り抜けるからである。図4に、実施例2として、その磁気ディスクの作製工程図を示す。図4(a)では、ガラス基板11上に鉄系材料からなる軟磁性膜12を約30nm、ニッケル系合金からなる下地膜13を約30nm、コバルト系合金からなる磁性膜14を約20nm、カーボン系材料からなる保護膜41を約3nmまで形成した表面に、必要とするパターン形状の金属薄膜マスク18を形成する。金属薄膜マスク18は、図12に示すような直径2.5インチのディスクリートトラックメディア121を形成するために同心円状のパターニングを施す。パターンは磁性部(磁性膜加工型でいう凸部に相当)を形成するトラック幅40nmのマスキング部分123と、非磁性部(磁性膜加工型でいう凹部に相当)となるべき非マスキング部分122の幅を20nm、40nm、60nm、80nmとしたものを用意し、いずれも膜厚を約50nmとした。
非磁性化処理装置は実施例1と同様の図2に示す装置であり、非磁性化処理に用いる金属イオンとしてクロムイオン15を用いることにした。図4(a)においてプラズマビームは、全体として中性であるため主に3価と6価のクロムイオン15と電子16が、マスクされていない保護膜表面42に照射される。従って抵抗率が10e+8Ωcm以上ある絶縁性の高い保護膜41であっても、電気的に中性を保たれた状態にあり電荷が局部的に蓄積されることはない。保護膜表面42に照射されたクロムイオン15は基板に印加されている電圧−28kV、繰り返し周波数5000ppsの高電圧パルスにて間欠的にエネルギーを得て、保護膜41を介して磁性膜14内部へと打ち込まれる。打ち込まれるイオンの侵入深さは印加された電圧によって自由に制御できる。また、間欠的にイオンと逆位相となって電子16も照射、付与、注入されることで、やはり、局部的な電荷蓄積は発生しない。このようにして、図4(b)では、磁性膜14の中に非磁性化領域43を生成する。但し、保護膜41内においてもクロムイオン15が通過する際に絶対量は少ないが残存する領域44が発生する。次に図4(c)では、プラズマビームを照射後、金属薄膜マスク18を除去した。
次に、本実施例2で得られたディスクリートトラックメディアのリードライト特性を実施例1と同様の方法で測定した。半径方向に内周から外周までの10点をピックアップして測定した結果、平均トラック密度約400KTPIを得ることができた。
本実施例2では、カーボン系保護膜41がクロムイオン15によってミキシングされている領域44が存在するが、浮上特性においては悪影響を及ぼす結果は得られなかった。これは、カーボン系保護膜41中に残存するクロムの絶対量が少ないためと考えている。
次に、非磁性化された領域(領域43及び領域44)に関してマイクロオージェ電子分光分析法による深さ分析を行うため、測定エリアの都合より上述したプロセスにおいてマスクのみを形成しないで、全ての面を非磁性化処理を行ったサンプルを作製し評価を行った。図5にその結果を示す。本結果によれば最表面となる保護膜41の約3nmの領域51にはクロムの存在確率が非常に少ないことが確認できた。そして、実施例1と同様、膜厚約10nm付近にピークをもってクロムイオンが打ち込まれていることがわかる。また、磁性膜約20nm中における平均のクロム原子百分率は約28atm%であり、後述するとおり、この原子百分率でほぼ完全に非磁性化されていた。
上記実施例2による製造方法においても、プラズマビームが照射される保護膜表面は、電気的に中性を保たれた状態にあり電荷が局部的に蓄積されることはないので、磁性膜全面にわたり均一な非磁性化領域を形成することができる。また、マスク寸法通りの正確な非磁性化領域を形成することができる。したがって、高記録密度に適したパターンドメディアを効率よく作製することができる。
<実施例3>
実施例1及び2においては、アーク放電法を用いて生成したプラズマビームを用いたが、実施例3では、従来のイオンビーム法に電子を供給することにより、擬似的にプラズマビームを生成して用いる製造方法である。
使用したディスク基板は、実施例2と同じであり、プロセスも図4に示す実施例2の作製工程を踏襲する。即ち、ガラス基板11上に鉄系材料からなる軟磁性膜12を約30nm、ニッケル系合金からなる下地膜13を約30nm、コバルト系合金からなる磁性膜14を約20nm、カーボン系材料からなる保護膜41を約3nmまで形成した表面に、必要とするパターン形状の金属薄膜マスク18を形成した。マスクパターンも実施例2と同様とした。
実施例1及び2においては、アーク放電法を用いて生成したプラズマビームを用いたが、実施例3では、従来のイオンビーム法に電子を供給することにより、擬似的にプラズマビームを生成して用いる製造方法である。
使用したディスク基板は、実施例2と同じであり、プロセスも図4に示す実施例2の作製工程を踏襲する。即ち、ガラス基板11上に鉄系材料からなる軟磁性膜12を約30nm、ニッケル系合金からなる下地膜13を約30nm、コバルト系合金からなる磁性膜14を約20nm、カーボン系材料からなる保護膜41を約3nmまで形成した表面に、必要とするパターン形状の金属薄膜マスク18を形成した。マスクパターンも実施例2と同様とした。
図6にその真空処理装置概略図を示す。即ちイオンビーム源61から発生したクロムイオン15を流入させ、発生したイオンフラックスをちょうど中和させる量の電子16を電子源62から供給する。これらのイオンと電子は導入室63において収束用磁場64を用いてプラズマビーム化され、ディスク基板24を保持するステージを有する処理室25に導入され、走査用電磁石27によってディスク基板24に均一に照射する。プラズマビームは全体として中性であるため、主に3価と6価のクロムイオン15と電子16が照射される。従って図4のディスク基板工程図に示されるように、抵抗率が10e+8Ωcm以上ある絶縁性の高いカーボン系の保護膜41であっても、電気的に中性を保たれた状態にあり電荷が局部的に蓄積されることはない。保護膜表面42に照射されたクロムイオン15はディスク基板に印加されている電圧−28kV、繰り返し周波数5000ppsの高電圧パルスにて間欠的にエネルギーを得て、保護膜41を介して磁性膜14内部へと打ち込まれる。打ち込まれるイオンの侵入深さは印加された電圧によって自由に制御できる。また、間欠的にイオンと逆位相となって電子16も照射、付与、注入されることで、やはり、局部的な電荷蓄積は発生しない。このようにして、図4(b)に示したように、磁性膜14の中に非磁性膜領域43が形成される。但し、保護膜41内においてもクロムイオン15が通過する際に絶対量は少ないが残存する領域44が形成される。次に図4(c)に示したように、プラズマビームを照射後、金属薄膜マスク18を除去する。
本実施例3で得られたディスクリートトラックメディアのリードライト特性を測定した結果、実施例2と同様の結果が得られた。
次に、従来の手法であるイオンビームのみによるイオン打ち込みから得られるディスクリートトラックメディアと、実施例2で形成したプラズマビームを用いたディスクリートトラックメディアのトラック密度に関して比較評価を行った。
使用したディスク基板は、全く同様なガラス基板上に鉄系材料からなる軟磁性膜を約30nm、ニッケル系合金からなる下地膜を約30nm、コバルト系合金からなる磁性膜を約20nm、カーボン系材料からなる保護膜を約3nmまで形成した表面に、金属薄膜マスク18を形成して、それぞれ非磁性化処理を行った後、フッ素系潤滑剤を1nm形成し電磁変換特性評価設備にてリードライト特性を測定した。測定条件としては、ディスクリートトラックメディアをテストスタンドにて回転速度を5400rpmとし、トンネル磁気抵抗効果型磁気ヘッドを一度磁気ディスク表面に接触させた高さから2nmプルバックさせて評価を行った。測定に使用したトンネル磁気抵抗効果型磁気ヘッドはライトヘッド幅を40nm、リードヘッド幅を35nmとした。測定は半径方向に内周から外周まで10点をピックアップして測定した平均トラック密度を比較する。
図7に結果を示すが、プラズマビームを用いた場合は、平均トラック密度約400KTPIを得ることができたのに対して、従来のイオンビームを用いた場合は平均トラック密度約250KTPI(磁性部幅40nm、非磁性部幅60nm、トラックピッチ100nm相当)が最大であり、プラズマビームを用いた場合のほうが約1.6倍高い平均トラック密度を得ることができた。これは、本発明の特徴となるイオンと電子を同時に照射するプラズマビームを用いることで、照射された領域が電気的に中性を保たれた状態にあり電荷が局部的に蓄積されることがなく、局部的なチャージアップが発生していないことによる。即ち、プラズマビームを用いれば図8の概念図に示すように、媒体全面において均一な非磁性化処理が行われ、かつ、マスク形状を正確に転写された形で非磁性化処理が行われている。
一方、従来のイオンビームを用いた場合は、図9に示したように局部的なチャージアップが発生してしまい、これらの局部的なチャージングの影響により図7に示すようなトラック密度の差が発生したものと予想される。即ち、従来のイオンビームを用いた場合は、非磁性化領域幅が狭くなると、チャージアップが顕著となり、磁気ディスク全トラックに対して、同様な深さ、同様な幅の非磁性化領域を形成することは難しい。
次に、上記各実施例におけるクロムイオンの打ち込み量に対する磁性膜中のクロム原子百分率の相関について実験を行った。クロム原子百分率はマイクロオージェ電子分光分析法による深さ分析により求めるため、測定エリアの都合より、実施例2の製造工程においてマスクのみを作製しないで、全ての面に非磁性化処理を行ったサンプルを作製し実験を行った。ここで、ディスク基板は、ガラス基板上に軟磁性膜を約30nm、下地膜を約30nm、コバルト系合金からなる磁性膜を約20nm、保護膜を約3nmまで形成したものを用いた。そして、この基板に図2に示した実験装置を用いてクロムイオン15の打ち込み時間及び、高電圧パルス電源26の電圧値を−5〜−50kV程度まで変化させてクロムイオン15の打ち込み量を変更した。ここで、電圧値0〜−5kVでは、イオンの打ち込み効果よりも最表面への膜堆積効果が顕著になり、一方、−50kVを超えて負に印加するとイオンの打ち込み深さが磁性膜約20nmの膜厚領域を超え、下地膜、軟磁性膜まで到達して、磁気ディスクそのものの磁気特性が劣化してしまうため、上記範囲内での電圧値を選択した。また、繰り返し周波数に関しては、高圧パルス電源の仕様に依存するが、より高いほうが、磁性膜へのダメージが少ない。本実験においては、他の実施例と同様に5000ppsを用いた。
図10に、本実験結果の一例として高圧パルス電源の電圧値を−28kVとして、プラズマビーム照射時間と試料中のクロム原子百分率の関係を示している。本結果によれば、打ち込み時間に対して磁性膜中のクロム原子百分率が増加していることが確認できる。
次に、クロムイオンの打ち込み量に対する磁化の大きさの相関について調べた。磁化の大きさは、振動試料型磁力計(VSM)によって測定するため、測定エリアの都合より上記サンプルと同様のマスク行っていないディスク基板を用いた。図11にその結果を示すが、高圧パルス電源の電圧値を−28kVとしてプラズマビームの照射時間を変更して得られた試料の磁化の大きさは、照射時間の増加に伴い急激に減少し、照射時間111の時点で、ほぼゼロとなることがわかった。この点111は図10の結果に照らし合わせてみると磁性膜中のクロム原子百分率が約28atm%に相当することがわかった。
以上の各実施例では、図12(a)に示したディスクトラック間にトラックガイド分離域(非磁性化領域)を有するディスクリートトラックメディアについて説明したが、これに限られるものではなく、さらに記録ビット方向にも分離域(非磁性化領域)を有するビットパターンドメディアにも上記各実施例による製造方法は適用可能である。
以上、実施例について説明したが、本発明によれば、高記録密度に適したディスクリートトラックメディアやビットパターンドメディアに代表されるパターンドメディアのトラックガイド分離域及びビット分離域(非磁性化領域)を、磁気ディスク全面において均一に、マスク通り正確に形成することが可能となり、より高記録密度なパターンドメディアを効率よく形成することが可能である。
11…ガラス基板、12…軟磁性膜、13…下地膜、14…磁性膜14、15…クロムイオン、16…電子、17…磁性膜表面、18…金属薄膜マスク、19…トラックガイド分離域(非磁性化領域)、21…カソード、22…アーク放電、23…磁場ダクト、24…磁気ディスク基板、25…処理室、26…高電圧パルス電源、27…走査用電磁石、28…アノード、29…アーク放電ユニット、41…保護膜、42…保護膜表面、43…非磁性化領域、44…クロム残存保護膜、61…イオンビーム源、62…電子源、63…導入室、110…保護膜、121…ディスクリートトラックメディア、122…非マスキング部分、123…マスキング部分。
Claims (10)
- 基板の上部に少なくとも磁性膜を形成する工程と、
前記磁性膜中に非磁性化領域を形成するためのパターンを有するマスクを前記磁性膜上に形成する工程と、
前記マスクが形成された磁性膜にイオンと電子を照射し、かつ前記基板に間欠的な電圧を印加することにより、前記磁性膜のイオンと電子が照射された領域を非磁性化する工程と、
前記マスクを除去する工程と、を含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。 - 基板の上部に少なくとも磁性膜と保護膜を形成する工程と、
前記磁性膜に非磁性化領域を形成するためのパターンを有するマスクを前記保護膜上に形成する工程と、
前記マスクが形成された保護膜にイオンと電子を照射し、かつ前記基板に間欠的な電圧を印加することにより、前記保護膜を介してイオンと電子が照射された前記磁性膜の領域を非磁性化する工程と、
前記マスクを除去する工程と、を含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。 - 前記磁性膜にイオンと電子を照射するために、プラズマビームを利用することを特徴とする請求項1又は2記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記磁性膜にイオンと電子を照射するために、金属を主成分とする陰極のアーク放電によりプラズマを生成し、生成したプラズマを湾曲した磁場ダクトにより輸送して、前記基板に供給することを特徴とする請求項1又は2記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記磁性膜にイオンと電子を照射するために、イオンビーム源と電子供給源を同時に利用することを特徴とする請求項1又は2記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記基板に間欠的な電圧を印加するために、高電圧パルス電源を用いることを特徴とする請求項1又は2記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記高電圧パルス電源の出力電圧を−5kV〜−50kVに調整することによって前記磁性膜中に形成する非磁性化領域の深さを調整することを特徴とする請求項6記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記イオンがクロムイオン、マンガンイオン又はバナジウムイオンであることを特徴とする請求項1又は2記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記マスクが、金属薄膜であることを特徴とする請求項1又は2記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記基板と前記磁性膜の間に、軟磁性膜と下地膜を形成する工程を、さらに含むことを特徴とする請求項1又は2記載の磁気記録媒体の製造方法。
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