JP4630850B2 - パターンド磁気記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、パターンド磁気記録媒体およびその製造方法に関する。
磁気記録媒体の面記録密度を向上させて、HDD(hard disk drive)の記録容量を増大させる研究が進んでいる。その結果、磁気記録媒体上の各記録ビットサイズは数10nm程度の極めて微細なものになってきている。このような微細な記録ビットから再生出力を得るには、各ビットに対して可能な限り大きい飽和磁化と膜厚を確保することが必要となる。しかし、記録ビットの微細化に伴い、1ビットあたりの磁化量は小さくなる。1ビットあたりの磁化量が小さくなるに従って「熱揺らぎ」による磁化反転が起きやすくなり、磁化情報が消失してしまうという問題がある。すなわち、磁性粒子の磁化の向きを一方向に保つのに必要な磁気異方性エネルギーが室温の熱揺らぎエネルギー程度になり、時間とともに磁化が揺らぎ、それにより記録した情報が消失するという現象が起きる。一般に、Ku・V/kT(ここで、Kuは異方性定数、Vは磁化最小単位体積、kはボルツマン定数、Tは絶対温度である)の値が小さい程、この熱揺らぎの影響が大きくなり、経験的には、Ku・V/kTが100未満になると、「熱揺らぎ」による磁化の反転が起きると言われている。
この熱揺らぎによる磁化反転の問題を解決する媒体として、「パターンド媒体」と呼ばれる磁気記録媒体が注目されている(例えば、特許文献1参照)。パターンド媒体は、一般には、非磁性体層中に記録ビット単位となる複数の磁性体領域をそれぞれ独立に形成した磁気記録媒体であるが、磁気的に連続した磁性薄膜を記録磁区の大きさに分断した媒体と言うこともできる。パターンド媒体は磁性薄膜を記録磁区の大きさに分断したものであるから、磁化最小単位体積Vを大きくでき、熱揺らぎの問題を回避することができる。
一方、近年のHDDのトラック密度の向上においては、隣接トラックとの干渉という問題が顕在化している。特に記録ヘッド磁界フリンジ効果による書きにじみの低減は重要な技術課題である。例えば特許文献2に記載されている、記録トラック間を物理的に分離するディスクリートトラック型パターンド磁気記録媒体(DTR媒体)は、記録時におけるサイドイレース現象、再生時におけるサイドリード現象などを低減できるため、クロストラック方向の密度を高めることが可能となり、高密度な磁気記録媒体を提供できる。なお、DTR媒体はパターンド媒体の一つの形態である。
垂直磁気記録膜(現行の厚さ:20nm)をパターンド媒体に加工するためには、記録膜を20nmの深さにエッチングして凹凸パターンを形成する必要がある。しかし、このパターンド媒体に対して現行の浮上式記録再生ヘッドで読み書きを行おうとすると、記録再生ヘッドの浮上量は10nm程度であるため、記録再生ヘッドとパターンド媒体が接触してしまう恐れがある。従って、パターンド媒体に対して現行の浮上式記録再生ヘッドで記録の読み書きを行うためには、磁性層の凹凸を埋め込み、媒体の表面を平坦化する必要がある。
磁気記録媒体の磁性層の凹凸を埋め込んで媒体の平坦化を行う手法としては、特許文献3に記載されているような、バイアススパッタ法を用い、非磁性膜、例えばSiO膜を埋め込む方法が挙げられる。この方法は平坦性が良好なパターンド媒体が作製できることが期待されたが、プロセスダストが多く発生してしまうという問題がある。プロセスダストの発生はバイアススパッタ法(基板バイアスをかけながら、RFスパッタ法で成膜する方法)を用いる限り避けて通れない問題である。
そこで、基板バイアスなしのDCスパッタ法を用い、C(炭素)を凹凸埋め込み剤として成膜することにより、パターンド媒体の作製を行っている。この方法はプロセスダストの発生は殆ど無いが、凹凸の埋め込み形状があまり良くないという問題がある。
妥協策として、基板バイアスをかけずにRFスパッタ法を用い、SiOを凹凸埋め込み剤として成膜する方法がある。この場合、局所的な凹凸の埋め込み形状は良好だが、プロセスダストの発生に加え、成膜したSiOに応力がかかり、膜剥がれが生じてしまう。さらに、SiO成膜レートが遅いという問題もある。一般的にパターンド媒体の凹凸を平坦にするためには100nm程度埋め込む必要があるが、SiOの場合、大きなターゲットを用いてスパッタ圧を最適化しても330秒以上かかってしまう。これは量産を考えた場合にコスト増大に繋がる。
特許文献4には、保護層としてSiOC膜をスパッタリングにより成膜した相変化光記録媒体が記載されている。特許文献4記載のSiOC膜は平坦な層の上に積層された保護層であり、凹凸を埋め込んで媒体を平坦にするための埋め込み材料としては記載されていない。パターンド媒体の埋め込み材料として必要な効果は、表面粗さRaが小さく、成膜時に発生するプロセスダストが少なく、埋め込み形状が良好であるということであり、これらの効果は特許文献4に記載されていない。
特開2001−17604号公報 特開7−85406号公報 特許第3686067号公報 特開2005−25851号公報
本発明の目的は、表面粗さRaが小さく、成膜時に発生するプロセスダストが少なく、埋め込み形状が良好な非磁性埋め込み層により磁性層の凹凸が埋め込まれた、パターンド媒体を提供することである。
また、本発明の他の目的は、非磁性埋め込み層の成膜工程において、表面粗さRaが小さく、埋め込み形状が良好な非磁性埋め込み層を、高い成膜速度で、かつ発生するプロセスダストを少量に抑えて成膜することができる、パターンド媒体の製造方法を提供することである。
本発明の一態様に係るパターンド磁気記録媒体は、基板と、前記基板上に形成された、凸パターンをなす強磁性記録層と、前記凸パターンをなす強磁性記録層の間の凹部に埋め込まれた、Si、O、およびCを含有し、Cの含有量が0.05at%以上且つ30at%以下であるSiOC膜で形成された非磁性埋め込み層とを具備したことを特徴とする。
本発明の他の態様に係るパターンド磁気記録媒体の製造方法は、基板上に、強磁性記録層を成膜する工程と、前記強磁性記録層を加工して、凸パターンをなす強磁性記録層を形成する工程と、スパッタリングターゲットとしてSiCターゲットを用い、プロセスガスとして酸素含有量が5vol%以上且つ55vol%以下であるAr−O混合ガスを用いてDCスパッタリングを行うことにより、前記凸パターンをなす強磁性記録層の間の凹部に、Si、O、およびCを含有し、Cの含有量が0.05at%以上且つ30at%以下であるSiOC膜で形成された非磁性埋め込み層を埋め込む工程とを含むことを特徴とする。
本発明によると、表面粗さRaが小さく、成膜時に発生するプロセスダストが少なく、埋め込み形状が良好な非磁性埋め込み層により磁性層の凹凸が埋め込まれた、パターンド媒体を提供することができる。
また、本発明によると、非磁性埋め込み工程において、表面粗さRaが小さく、埋め込み形状が良好な非磁性埋め込み層を、高い成膜速度で、かつ発生するプロセスダストを少量に抑えて成膜することができる、パターンド媒体の製造方法を提供することができる。
本発明者らは、SiCターゲットをスパッタリングターゲットとし、かつAr−O混合ガスをプロセスガスとしてDCスパッタリングを行うことにより、SiOと同様の埋め込み性能を有するSiOC膜を、SiOの成膜と比べて高い成膜速度で、かつ発生するプロセスダストを少量に抑えながら成膜できることを見出した。
図1に、本発明のパターンド媒体の一実施形態の概略断面図を示す。図1のパターンド媒体において、基板1上に下地層2および凸パターンをなす強磁性記録層3が形成されている。凸パターンをなす強磁性記録層3の間の凹部には、非磁性体の埋め込み層7が埋め込まれており、強磁性記録層3は埋め込み層7を介して互いに分離されている。さらに、図1の媒体は、強磁性記録層3および非磁性埋め込み層7を覆うように保護膜8が形成されている。保護膜8上には潤滑剤(図示せず)が塗布される。
強磁性記録層3のパターンを概略的に図2(A)に示す。図2(A)は、ディスクリートトラック11、プリアンブル部12、アドレス部13、サーボ部14が強磁性記録層のパターンとして形成されている、ディスクリートトラック型パターンド磁気記録媒体(DTR媒体)の表面パターンである。図2(B)に概略的に示されるような、記録トラック部がディスクリートビット15となっているディスクリートビット型パターンド磁気記録媒体(狭義のパターンド媒体)であってもよい。
本発明のパターンド媒体は、凸パターンをなす強磁性記録層3の間の凹部に埋め込まれている非磁性埋め込み層7が、Si、OおよびCを含有し、Cの含有量が0.05at%〜30at%であるSiOC膜であることを特徴とする。
炭素の含有量が上述の範囲にあるSiOC膜は、埋め込み性能はSiOと同様である一方、プロセスダストが不可避的に発生するバイアスRFスパッタ法を使用する必要がないため、成膜速度の高いDCスパッタ法で成膜することができ、プロセスダスト発生も抑えることができる。上述のSiOC膜により磁性パターン間の凹部が埋め込まれているパターンド媒体は、埋め込み形状が良好なため、表面粗さRaが小さく、それにより記録再生ヘッドの安定浮上を実現できる。また、記録再生ヘッドの安定浮上により、良好なビットエラーレート(BER)の値を示す。
また、炭素の含有量が上述の範囲にあるSiOC膜により磁性パターン間の凹部が埋め込まれているパターンド媒体は、SiOを用いて埋め込みを行った従来の媒体と比較すると、埋め込み層の酸素欠陥の効果により埋め込み層成膜の際の記録層の酸化が抑えられ、より良好なBERの値を示す。
一方、炭素含有量が0.05at%より少ないSiOC膜により磁性パターン間の凹部が埋め込まれているパターンド媒体には、SiOC膜の酸素欠陥率が低いために、埋め込み層成膜の際に記録層上に生成した酸化膜が存在する。従ってこの媒体は、この酸化膜の存在により信号強度が低下するために、BERが劣る。また、炭素含有量が30at%よりも大きいSiOC膜により磁性パターン間の凹部が埋め込まれているパターンド媒体は、埋め込み性能が劣るため、記録再生ヘッドの安定浮上が望めない。
以下、図面を参照しながら本発明のパターンド媒体の製造方法を説明する。なお、パターンド媒体の各構成の材料は後述する。
まず図3(A)に示すように、基板1上に下地層2(軟磁性下地層や配向制御用下地層を含む)、強磁性記録層3および保護層4を順次成膜する。例えば、ガラス基板1上に、軟磁性層としてCoZrNb層を120nm、配向制御用下地層としてRuを20nm、強磁性記録層としてCoCrPt−SiO層を20nm順次成膜し、その上に保護層としてC保護層を4nm成膜する。
図3(B)に示すように、保護層4上に、スピンコート法によって、インプリントレジスト層5を成膜する。インプリントレジストとしては例えば、一般的なノボラック系のフォトレジスト、スピンオングラス(SOG)を用いることができる。
図3(C)に示すように、インプリントレジスト層5にスタンパ6をプレスすることによってパターンを転写する(インプリント法)。スタンパ6は、転写しようとするトラック部、プリアンブル部、アドレス部、およびバースト部のそれぞれのパターンに対応する凹凸パターンを有する。スタンパの表面に予めフッ素系の剥離剤を塗布することで、スタンパ6とインプリントレジスト層5との良好な剥離ができる。
ここでインプリント法によるパターンの転写を説明する。インプリントはダイセットを用いて行う。ダイセットの下板上に、スタンパ6、基板1、バッファ層を順に積層させ、その上に、これらをダイセットの下板との間に挟み込むようにダイセットの上板を設置する。このとき、スタンパ6の凹凸と基板1上に成膜したインプリントレジスト層5とを対向させて積層させる。プレスは例えば、2000barで60秒間行う。60秒はレジストの移動時間である。
インプリント工程後にスタンパ6を取り除くことにより、図3(D)に示すように、凹凸パターンが転写されたインプリントレジスト層5を有する基板1を得る。
図3(E)に示すように、反応性イオンエッチング(RIE)を行い、インプリントレジスト層5に転写されたパターン凹部に残留するレジスト残渣を除去する。RIEに用いるガスは、インプリントレジスト層5の材料に応じて適時選択する。インプリントレジストとしてSOGを用いた場合は、フッ素系ガス、例えばCFやSFが好適だが、大気中の水と反応してHF、HSOなどの酸が生じることがあるため、水洗を行う必要がある。インプリントレジストとしてノボラック系フォトレジストを用いた場合には、酸素ガスを用いるRIEが好適である。プラズマソースは、低圧で高密度プラズマが生成可能な誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma;ICP)が好適だが、電子サイクロトン共鳴(Electron Cyclotron Resonance;ECR)プラズマ、一般的な並行平板型RIE装置を用いることもできる。
図3(F)に示すように、残渣を除去したインプリントレジスト層5をエッチングマスクとして用い、磁性体加工を行う。磁性体加工にはArイオンビームを用いたエッチング(Arイオンミリング)が好適だが、Clガス、もしくはCOとNHとの混合ガスを用いたRIEでも良い。COとNHとの混合ガスを用いたRIEの場合、エッチングマスクにはTi、Ta、Wなどのハードマスクを用いなくてはならない。これら磁性体RIEを用いた場合、磁性体凹凸にテーパは付かない。如何なる材料でもエッチング可能なArイオンミリングで磁性体加工を行う場合は、例えば加速電圧400V、イオン入射角度は30°から70°まで変化させてエッチングを行う。ECRイオンガンを用いたミリングは、静止対向型(イオン入射角90°)でエッチングすることで、殆ど磁性体凹凸にテーパが付かない加工が可能である。この結果、強磁性記録層3の凹凸パターンが形成される。
図3(G)に示すように、強磁性記録層3の凸部上に残留するインプリントレジスト層5を除去する。レジスト除去には、レジスト残渣除去と同様の方法を使用することができる。
図3(H)に示すように、記録再生ヘッドの安定浮上を実現するために、非磁性埋め込み層7による強磁性記録層3の凹凸パターンの埋め込みを行う。
本発明の方法では、非磁性埋め込み工程において、スパッタリングターゲットとしてSiCターゲットを用い、かつプロセスガスとしてAr−O混合ガスを用いて、DCスパッタリングを行うことにより、SiOC埋め込み層7を成膜することを特徴とする。
本発明の方法では、酸素を5vol%〜55vol%含有するArガスをプロセスガスとして用いる。酸素含有量が5vol%より少ないと、SiCが十分にSiOC化できず、良好な埋め込み性能が得られない。また、酸素含有量が55vol%を超えると、SiCをSiOC化する際に余剰となる酸素が記録層を酸化して媒体表面に酸化膜が形成されてしまう。その結果、完成後のパターンド媒体のBERが劣化する。
パターンド媒体の凹凸を平坦にするためには非磁性埋め込み層を100nm程度成膜する必要がある。従来のRFバイアススパッタリングによるSiOの成膜は成膜速度が低く、成膜に著しく時間がかかってしまいコスト増大に繋がる。しかし、本発明は成膜速度の高いDCスパッタリングを用いるため、従来のSiOの成膜に比べてコストを抑えることができる。また、DCスパッタ法で埋め込み層を成膜できるので、プロセスダストを抑えることができる。
本発明に従ってSi、OおよびCを含有するSiOC膜を非磁性埋め込み層として成膜することにより、SiOを成膜した場合と同様の表面平坦性が得られ、さらに酸素欠陥の効果により記録層の酸化が抑えられる。
図3(I)に示すように、強磁性記録層3が露出するまでエッチバックを行う。エッチバック工程では、Arイオンミリングを用いることが好ましい。本発明の方法ではシリコン系埋め込み層を使用しているので、フッ素系ガスを用いたRIEを行うこともできる。ECRを用いたエッチングでも良い。
図3(J)に示すように、C保護層4の形成を行う。C保護層4は、凹凸へのカバレッジを良くするためにCVD法で成膜することが望ましいが、スパッタ法、真空蒸着法でも構わない。CVD法でC保護層4を形成した場合、sp結合炭素を多く含むDLC膜が形成される。膜厚は2nm以下であるとカバレッジが悪くなり、10nm以上だと、記録再生ヘッドと媒体との磁気スペーシングが大きくなってSNRが低下するので好ましくない。また、保護層3上には、潤滑剤(図示せず)を塗布する。
(実施例)
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
(実施例1)
本実施例では図3に示した方法に従い、パターンド媒体を製造した。
まず、ガラス基板上に軟磁性層として120nmのCoZrNb層、配向制御用下地層として20nmのRu層、強磁性記録層として20nmのCoCrPt−SiO層、保護層として4nmの炭素を順次成膜した。
その後、保護膜上にスピンコート法で、インプリントレジスト層としてSOGを厚さ100nmになるように塗布した。次に、図2(A)に示したようなパターンに対応する凹凸パターンが形成されたインプリントスタンパをSOG層にプレスしてインプリントを行い、SOG層に凹凸パターンを転写した。
パターン転写後、ICPエッチング装置においてRIEを行い、転写された凹凸パターンの凹部にあるインプリント残渣を除去した。RIEは以下の条件で30秒間行った:プロセスガス;CF、チャンバー圧;2mTorr、Coil RF;100W、Platen RF;100W。
レジスト残渣除去後、インプリントレジストをエッチングマスクとして用い、強磁性記録層に対してイオンミリングによる加工を行った。イオンミリングはエッチング装置において以下の条件で3分間行った:プロセスガス;Ar、プラズマソース;ECRイオンガン、マイクロ波パワー;800W、加速電圧;500V。イオンミリングによるエッチング後、凹部において保護層および強磁性記録層が完全に除去され、凸部上面から凹部上面までの高さの差が24nmである凹凸パターンが形成された。
磁性体加工後、凸パターンをなす強磁性記録層上に残るSOGをRIEによって除去した。RIEは以下の条件で1分間行った:プロセスガス;CF、チャンバー圧;2mTorr、Coil RF;100W、Platen RF;100W。
レジスト除去後、スパッタ装置において、記録再生ヘッドの安定浮上を目的として、磁性層のパターンの凹部に非磁性層による埋め込みを行った。以下の条件で140秒間成膜を行い、非磁性埋め込み層を100nm成膜した:成膜方法;DCスパッタ法、スパッタリングターゲット;SiCターゲット、プロセスガス;Ar−O混合ガス(流量:Ar;80sccm、O;20sccm(酸素含有量:20vol%))。
非磁性埋め込み層を成膜した状態で、非磁性埋め込み層の組成をSIMS(二次イオン質量分析法)で分析した。分析により得られた組成は、Si;42.0at%、O;57.5at%、C;0.5at%であった。この方法で得られた非磁性埋め込み層を以下、SiOC膜と称する。
次に、非磁性埋め込み層をエッチバックした。エッチバックは以下の条件で約5分間ECRイオンガンを用いてイオンミリングすることによって行った:プロセスガス;Ar、マイクロ波パワー;800W、加速電圧;700V。エッチバックの終点検出は、四重極式質量分析計(Q−mass)を用いて、磁性層表面のCoが検出されたところとした。
エッチバック後、CVD(化学気相堆積法)で表面にDLC保護層を形成し、その上に潤滑剤を塗布することで本実施例のパターンド媒体を得た。
完成した媒体に対して、グライドヘッドを用いてAE(Acoustic emission)測定を行ったところ、AE信号は観測されなかった。媒体をドライブに組み込み、BER(ビットエラー率)を測定したところ、1.0×10−6という良好な値を得た。
(比較例1)
非磁性埋め込み工程において、以下の条件で非磁性埋め込み層を成膜した以外、実施例1と同じ方法でパターンド媒体を作製した:成膜方法;バイアススパッタ法、スパッタリングターゲット;SiOターゲット、プロセスガス;純Arガス。
本例では、SiO埋め込み層を100nm成膜するために500秒間必要であった。
完成した媒体に対して、グライドヘッドを用いてAE測定を行ったところ、ダスト起因と思われるスパイク状のAE信号が観測された。AE信号が観測されたため、ドライブ評価が不可能であり、BER評価は行わなかった。
(比較例2)
非磁性埋め込み工程において、以下の条件で非磁性埋め込み層を成膜した以外、実施例1と同じ方法でパターンド媒体を作製した:成膜方法;DCスパッタリング、スパッタリングターゲット;C、プロセスガス;純Arガス。
完成した媒体に対して、グライドヘッドを用いてAE測定を行ったところ、AE信号は観測されなかった。媒体をドライブに組み込み、BER(ビットエラー率)を測定したところ、3.0×10−6という値を得た。
実施例1と比較例1との結果を比較すると、本発明の方法を用いてパターンド媒体を作製することにより、SiOバイアススパッタよりも約3.6倍高い成膜速度で埋め込み層を成膜できることがわかる。さらに、比較例1(従来例)のSiOによる埋め込みを行ったパターンド媒体はダスト起因によるAE信号が観察されるが、実施例1のパターンド媒体は、非磁性埋め込み層成膜の際にDCスパッタリングを用いることによりプロセスダストを抑えることができるので、表面性がよく、AE信号が観察されない。
実施例1の結果と比較例2の結果とを比較すると、比較例2のBERは実施例1のBERの3倍であり、BERが劣化していることがわかる。この理由としては、比較例2の媒体はCを用いて埋め込みを行っているために埋め込み形状が悪く、それにより記録再生ヘッドの浮上が安定しないことが考えられる。それに対し、実施例1のパターンド媒体は、良好なBERの値を示したことからも、埋め込み形状が良好で表面粗さRaが小さいため、記録再生ヘッドの浮上が安定することがわかる。
(実施例2)
非磁性埋め込み工程において、炭素含有量を様々に変化させたスパッタリングターゲットを用いてを行ったこと以外は、実施例1と同じ方法でパターンド媒体を作製した。
スパッタリングターゲットの炭素含有量は、用いるターゲットを、SiCターゲット、Si−SiCコンポジットターゲット、またはSiC−Cコンポジットターゲットに変えることで変化させた。
実施例1と同様に、非磁性埋め込み層を成膜した状態で、非磁性埋め込み層の組成をSIMSで分析した。分析結果から、スパッタリングターゲットの炭素含有量を変化させることで、非磁性埋め込み層の炭素含有量を変化させることができることがわかった。
次に、記録層酸化防止効果の、非磁性埋め込み層の炭素含有量依存性を調べるために、作製したパターンド媒体に対してオージェ電子分光法(AES)で深さ方向の組成分析を行い、分析結果から酸化膜の膜厚を測定した。図4は、酸化膜厚を非磁性埋め込み層の炭素含有量に対してプロットしたものである。図4から明らかなように、非磁性埋め込み層の炭素含有量が0.05at%以上の媒体では、酸化膜は検出されなかった。
(実施例3)
非磁性埋め込み工程において、プロセスガスを、流量がAr;180sccm、O;20sccm(酸素含有量10vol%)のAr−O混合ガスとした以外、実施例1と同じ方法でパターンド媒体を作製した。
実施例1と同様に、非磁性埋め込み層を成膜した状態で、非磁性埋め込み層の組成をSIMSで分析した結果、本実施例の非磁性埋め込み層はSi;42.52at%、O;57.4at%、C;0.08at%の組成を有するSiOC膜であることがわかった。
媒体完成後グラインドヘッドを用いてAE測定を行ったところ、AE信号は検出されなかった。媒体をドライブに組み込み、BERを測定した結果、1.0×10−6という良好な値を得た。
(比較例3)
非磁性埋め込み工程において、プロセスガスを、流量がAr:20sccm、O:80sccm(酸素含有量80vol%)の、Ar−O混合ガスとした以外、実施例1と同じ方法でパターンド媒体を作製した。
実施例1と同様に、非磁性埋め込み層を成膜した状態で、非磁性埋め込み層の組成をSIMSで分析した結果、非磁性埋め込み層はSi:34.98at%、O:65.0at%、C:0.02at%の組成を有するSiOC膜であることがわかった。
媒体完成後グラインドヘッドを用いてAE測定を行ったところ、AE信号は検出されなかった。媒体をドライブに組み込み、BERを測定した結果、1.0×10−5という値を得た。BERが悪い原因としては、非磁性埋め込み層の酸素欠陥効果が十分に発揮されず、非磁性埋め込み工程の際に記録層が酸化されてしまい、信号強度が低下したと考えられる。
実施例2の結果から、非磁性埋め込み層であるSiOC膜の炭素含有量が0.05at%以上の記録媒体であれば、埋め込み層の酸素欠陥効果により記録層に酸化膜が存在しないことがわかる。さらに、実施例1、実施例3の結果から、SiOC膜の炭素含有量が0.05at%以上の記録媒体であれば、記録層に酸化膜が存在せず、良好なBERの値を示すことがわかった。
一方で、比較例3の結果から、非磁性埋め込み層の炭素含有量が0.05at%未満のパターンド媒体は、非磁性埋め込み層の酸素欠陥効果が十分に発揮されないために記録層に酸化膜が存在し、その結果良好なBERを得ることができないことがわかった。
(実施例4)
非磁性埋め込み工程において、使用するAr−O混合プロセスガスの酸素含有量を様々に変化させてたこと以外、実施例1と同じ方法でパターンド媒体を作製した。
本例では、Ar−O混合プロセスガスの酸素含有量を、Oの流量を20sccmに固定し、Arの流量を変化させることによって変化させた。
非磁性埋め込み工程で用いるプロセスガスの酸素含有量と記録層の酸化膜生成との関係を調べるために、実施例2と同様にAESによる深さ方向の組成分析結果を用いて、製造したそれぞれの媒体の記録層の酸化膜厚を調べた。図5は酸化膜厚をプロセスガスの酸素含有量に対してプロットした図である。
図5から明らかなように、プロセスガスの酸素含有量が50vol%以下では、酸化膜厚がゼロであり、非磁性埋め込み工程中に記録層が酸化してしまうことがなかった。酸素含有量が55vol%では、酸化膜厚が1nm以下であるが、自然酸化膜が1nm程度であることを考えるとプロセス上は問題ない。
一方で、酸素含有量が55vol%を超えると、SiCをSiO化する際に余剰となった酸素が記録層を酸化してしまうことがわかった。
(実施例5)
非磁性埋め込み工程において、プロセスガスを、流量がAr;20sccm、O;20sccm(酸素含有量50vol%)のAr−O混合ガスとした以外、実施例1と同じ方法でパターンド媒体を作製した。
実施例1と同様に、非磁性埋め込み層を成膜した状態で、非磁性埋め込み層の組成をSIMSで分析した結果、非磁性埋め込み層はSi;42.2at%、O;56.1at%、C;1.7at%の組成を有するSiOC膜であることがわかった。
媒体完成後、実施例2と同様にAESによる深さ方向の組成分析結果を用いて、記録層に酸化膜が存在するかどうかを調べたところ、本実施例で作製した媒体の記録層からは酸化膜が観察されなかった。
媒体完成後、グラインドヘッドを用いてAE測定を行ったところ、AE信号は検出されなかった。媒体をドライブに組み込み、BERを測定した結果、1.0×10−6という良好な値を得た。
(比較例4)
非磁性埋め込み工程において、プロセスガスを、流量がAr;2sccm、O;20sccm(酸素含有量90vol%)のAr−O混合ガスとした以外、実施例1と同じ方法でパターンド媒体を作製した。
媒体完成後、実施例2と同様にAESによる深さ方向の組成分析結果を用いて、記録層に酸化膜が存在しているかどうかを調べたところ、酸化膜が6.5nm観測された。
媒体完成後、グラインドヘッドを用いてAE測定を行ったところ、AE信号は検出されなかった。媒体をドライブに組み込み、BERを測定した結果、1.0×10−4という値を得た。BERが悪くなった原因としては、磁性体膜厚が20nmであるのに対し、酸化膜がその1/3程度を占めるため、信号強度が1/3以下まで低下したためであると考えられる。
実施例4の結果から、埋め込み工程において、スパッタリングターゲットをSiCとし、酸素含有量が55vol%以下のAr−O混合ガスをプロセスガスとして用いることで、記録層の酸化を抑えることができることがわかる。また、実施例5の結果から、上記の範囲の酸素含有量のAr−O混合ガスをプロセスガスとして用いることで、記録層の酸化を抑え、良好なBER値を示すパターンド媒体を作製できることがわかった。一方で、比較例4の結果から、酸素含有量が55vol%を超えるAr−O混合ガスをプロセスガスとして用いると、埋め込み工程において記録層を酸化してしまい、信号強度を低下させ、結果完成した媒体のBERの値を劣化させてしまうことがわかった。
(実施例6)
3インチのSi基板上に以下の条件でSiOC膜を100nm成膜した:成膜方法;DCスパッタ法、スパッタリングターゲット;SiCターゲット、プロセスガス;Ar−O混合ガス(Ar;80sccm、O;20sccm(酸素含有量:20vol%))。図6(A)に実施例6で成膜したSiOC膜のパーティクルマップを示す。
成膜したSiOC膜上のプロセスダストのパーティクル数をパーティクルカウンタ(KLA-Tencor製TeraStar)で数えたところ、200個であった。
(比較例5)
3インチのSi基板上に以下の条件でバイアススパッタ法でSiO膜を100nm成膜した:成膜方法;バイアススパッタ法、スパッタリングターゲット;SiOターゲット、プロセスガス;純Arガス。図6(B)に実施例6で成膜したSiO膜のパーティクルマップを示す。
成膜したSiO膜上のプロセスダストのパーティクル数を実施例6と同じ方法で数えたところ、2150個であった。
実施例6および比較例5の結果を比較すると、本発明の方法では、DCスパッタ法で非磁性埋め込み層を成膜することにより、従来のSiOのバイアススパッタによる非磁性凹凸埋め込み方法と比較して、10倍もプロセスダストが少ないことがわかる。従って本発明の方法を用いることにより、プロセスダストを抑え、表面粗さRaが小さい非磁性埋め込み層を成膜でき、それによりAE信号が観察されず、かつヘッドの安定浮上を達成できることによる良好なBERを示すパターンド媒体が製造できることがわかる。
(実施例7)
インプリント工程において、図2(B)に示したようなパターンに対応する凹凸パターンが形成されたインプリントスタンパをプレスしてインプリントを行ッたこと以外、実施例1と同じ方法でパターンド媒体を作製した。
完成した媒体は、クロストラック方向120nm、ダウントラック方向25nmの長方形の記録ビットを有し、130Gbpsi相当の記録密度を有する、ディスクリートビットパターンド媒体であった。
媒体完成後、グラインドヘッドを用いてAE測定を行ったところ、AE信号は検出されなかった。また、実施例2と同様に記録層に対してAESによる深さ方向の組成分析を行ったところ、記録層に酸化膜は存在しないことがわかった。
実施例7の結果から、実施例7のようなディスクリートビットパターンド媒体であっても、本発明を用いることにより、実施例1から6までのディスクリートトラック型パターンド磁気記録媒体と同様な効果が期待できることがわかる。
以下、本発明の実施形態に係るパターンド媒体の各層に用いられる材料や、各層の積層構造について説明する。
<基板>
基板としては、例えばガラス基板、Al系合金基板、セラミック、カーボンや、酸化表面を有するSi単結晶基板、およびこれらの基板にNiP等のメッキが施されたもの等を用いることができる。ガラス基板としては、アモルファスガラス、結晶化ガラスがあり、アモルファスガラスとしては汎用のソーダライムガラス、アルミノシリケートガラスを使用できる。また、結晶化ガラスとしては、リチウム系結晶化ガラスを用いることができる。セラミック基板としては、汎用の酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素などを主成分とする焼結体や、これらの繊維強化物などが使用可能である。基板としては、上記金属基板、非金属基板の表面にメッキ法やスパッタ法を用いてNiP層が形成されたものを用いることもできる。また,基板上への薄膜の形成方法として以下ではスパッタリング法のみを取り上げたが,真空蒸着法や電解メッキ法などでも同様の効果を得ることができる。
<軟磁性下地層>
軟磁性下地層(SUL)は、垂直磁磁気記録層を磁化するための磁気ヘッド例えば単磁極ヘッドからの記録磁界を、水平方向に通して、磁気ヘッド側へ還流させるという磁気ヘッドの機能の一部を担っており、磁界の記録層に急峻で充分な垂直磁界を印加させ、記録再生効率を向上させる役目を果たし得る。
軟磁性下地層には、Fe、Ni、Coを含む材料を用いることができる。このような材料として、FeCo系合金例えばFeCo、FeCoVなど、FeNi系合金例えばFeNi、FeNiMo、FeNiCr、FeNiSiなど、FeAl系合金、FeSi系合金例えばFeAl、FeAlSi、FeAlSiCr、FeAlSiTiRu、FeAlOなど、FeTa系合金例えばFeTa、FeTaC、FeTaNなど、FeZr系合金例えばFeZrNなどを挙げることができる。また、Feを60at%以上含有するFeAlO、FeMgO、FeTaN、FeZrN等の微結晶構造、あるいは微細な結晶粒子がマトリクス中に分散されたグラニュラー構造を有する材料を用いることができる。
また、軟磁性下地層の他の材料として、Coと、Zr、Hf、Nb、Ta、Ti、及びYのうち少なくとも1種とを含有するCo合金を用いることができる。Coは、好ましくは80at%以上含まれる。このようなCo合金は、スパッタ法により製膜した場合にアモルファス層が形成されやすく、アモルファス軟磁性材料は、結晶磁気異方性、結晶欠陥および粒界がないため、非常に優れた軟磁性を示す。また、このアモルファス軟磁性材料を用いることにより、媒体の低ノイズ化を図ることができる。好適なアモルファス軟磁性材料としては、例えばCoZr、CoZrNb、及びCoZrTa系合金などを挙げることができる。
軟磁性下地層の下には、軟磁性下地層の結晶性の向上あるいは基板との密着性の向上のためにさらに下地層を設けることができる。下地層材料としては、Ti、Ta、W、Cr、Pt、あるいはこれらを含む合金、あるいはこれらの酸化物、窒化物を用いることができる。
軟磁性下地層と記録層との間には、非磁性体からなる中間層を設けることができる。中間層の役割は、軟磁性下地層と記録層との交換結合相互作用を遮断することと、記録層の結晶性を制御することとの二つがある。中間層材料としては、Ru、Pt、Pd、W、Ti、Ta、Cr、Si、あるいはこれらを含む合金、あるいはこれらの酸化物、窒化物を用いることができる。
スパイクノイズ防止のために軟磁性下地層を複数の層に分け0.5〜1.5nmのRuを挿入することで反強磁性結合させても良い。また、CoCrPtやSmCo、FePtなどの面内異方性を持った硬磁性膜、あるいはIrMn、PtMn等の反強磁性体からなるピン層と軟磁性層とを交換結合させても良い。その際に、交換結合力を制御するために、Ru層の前後に磁性(たとえばCo)あるいは非磁性の膜(たとえばPt)を積層させても良い。
<強磁性記録層(一般的な構造)>
垂直磁気記録層は、Coを主成分とし、Ptを含む合金からなると、高異方性が達成できるので好ましい。記録層はさらに、酸化物を含んだ材料からなっていても良い。この酸化物としては、特に酸化シリコン、酸化チタンまたは磁気記録層を構成する金属の酸化物が好適である。
垂直磁気記録層は、層中に磁性粒子(磁性を有した結晶粒子)が分散していることが好ましい。この磁性粒子は、垂直磁気記録層を上下に貫いた柱状構造であることが好ましい。このような構造を形成することにより、垂直磁気記録層の磁性粒子の配向および結晶性を良好なものとし、結果として高密度記録に適した信号/ノイズ比(S/N比)が得ることができる。このような構造を得るためには、含有させる酸化物の量が重要となる。酸化物の含有量は、Co、Cr、Ptの総量に対して、3mol%以上12mol%以下であることが好ましい。さらに好ましくは5mol%以上10mol%以下である。垂直磁気記録層中の酸化物の含有量として上記範囲が好ましいのは、層を形成した際、磁性粒子の周りに酸化物が析出し、磁性粒子の孤立化、微細化をすることができるためである。酸化物の含有量が上記範囲を超えた場合、酸化物が磁性粒子中に残留し、磁性粒子の配向性、結晶性を損ね、さらには、磁性粒子の上下に酸化物が析出し、結果として磁性粒子が垂直磁気記録層を上下に貫いた柱状構造が形成されなくなるため好ましくない。また、酸化物の含有量が上記範囲未満である場合、磁性粒子の分離、微細化が不十分となり、結果として記録再生時におけるノイズが増大し、高密度記録に適した信号/ノイズ比(S/N比)が得られなくなるため好ましくない。垂直磁気記録層のCrの含有量は、0at%以上16at%以下であることが好ましい。さらに好ましくは10at%以上14at%以下である。Cr含有量が上記範囲であるのは、磁性粒子の一軸結晶磁気異方性定数Kuを下げすぎず、また、高い磁化を維持し、結果として高密度記録に適した記録再生特性と十分な熱揺らぎ耐性が得られるために好適だからである。Cr含有量が上記範囲を超えた場合、磁性粒子のKuが小さくなるため熱揺らぎ耐性が悪化し、また、磁性粒子の結晶性、配向性が悪化することで、結果として記録再生特性が悪くなるため好ましくない。垂直磁気記録層のPtの含有量は、10at%以上25at%以下であることが好ましい。Pt含有量が上記範囲であるのは、垂直磁性層に必要なKuを得、さらに磁性粒子の結晶性、配向性が良好であり、結果として高密度記録に適した熱揺らぎ耐性、記録再生特性が得られるために好適であることによる。Pt含有量が上記範囲を超えた場合、磁性粒子中にfcc構造の層が形成され、結晶性、配向性が損なわれるおそれがあるため好ましくない。また、Pt含有量が上記範囲未満である場合、高密度記録に適した熱揺らぎ耐性を得るためのKuが得られないため好ましくない。
垂直磁気記録層は、Co、Cr、Pt、酸化物のほかに、B、Ta、Mo、Cu、Nd、W、Nb、Sm、Tb、Ru、Reから選ばれる1種類以上の元素を含むことができる。上記元素を含む事により、磁性粒子の微細化を促進、あるいは結晶性や配向性を向上させることができ、より高密度記録に適した記録再生特性、熱揺らぎ耐性を得ることができる。上記元素の合計の含有量は、8at%以下であることが好ましい。8at%を超えた場合、磁性粒子中にhcp相以外の相が形成されるため、磁性粒子の結晶性、配向性が乱れ、結果として高密度記録に適した記録再生特性、熱揺らぎ耐性が得られないため好ましくない。
また、垂直磁気記録層としては、上記の他、CoPt系合金、CoCr系合金、CoPtCr系合金、CoPtO、CoPtCrO、CoPtSi、CoPtCrSi,およびPt、Pd、Rh、およびRuからなる群より選択された少なくとも一種を主成分とする合金とCoとの多層構造、さらに、これらにCr、BおよびOを添加したCoCr/PtCr、CoB/PdB、CoO/RhOなどを使用することができる。
垂直磁気記録層の厚さは、好ましくは5ないし60nm、より好ましくは10ないし40nmである。この範囲であると、より高記録密度に適した磁気記録再生装置として動作し得る。垂直磁気記録層の厚さが5nm未満であると、再生出力が低過ぎてノイズ成分の方が高くなる傾向があり、垂直磁気記録層の厚さが40nmを超えると、再生出力が高過ぎて波形を歪ませる傾向がある。垂直磁気記録層の保磁力は、237000A/m(3000Oe)以上とすることが好ましい。保磁力が237000A/m(3000Oe)未満であると、熱揺らぎ耐性が劣る傾向がある。垂直磁気記録層の垂直角型比は、0.8以上であることが好ましい。垂直角型比が0.8未満であると、熱揺らぎ耐性に劣る傾向がある。
<保護層>
保護層としては、垂直磁気記録層の腐食を防ぐとともに、磁気ヘッドが媒体に接触したときに媒体表面の損傷を防ぐ目的設けられる。その材料としては、例えばC、SiO、ZrOを含むものがあげられる。保護層の厚さは、1ないし10nmとすることが好ましい。これにより、ヘッドと媒体の距離を小さくできるので、高密度記録に好適である。
カーボンは、sp結合炭素(グラファイト)とsp結合炭素(ダイヤモンド)に分類できる。耐久性、耐食性はsp結合炭素のほうが優れるが、結晶質であることから表面平滑性はグラファイトに劣る。通常、カーボンの成膜はグラファイトターゲットを用いたスパッタリング法で形成される。この方法では、sp結合炭素とsp結合炭素が混在したアモルファスカーボンが形成される。sp結合炭素の割合が大きいものはダイヤモンドライクカーボン(DLC)と呼ばれる。耐久性、耐食性に優れ、アモルファスであることから表面平滑性にも優れるため、磁気記録媒体の表面保護膜として利用されている。CVD(Chemical vapor Deposition)法によるDLCの成膜は、原料ガスをプラズマ中で励起、分解し、化学反応によってDLCを生成させるため、条件を合わせることで、よりsp結合炭素に富んだDLCを形成することができる。
<潤滑層>
潤滑層に使用する潤滑剤としては、従来公知の材料、例えばパーフルオロポリエーテル、フッ化アルコール、フッ素化カルボン酸などが挙げられる。
本発明のパターンド媒体の一例を示す断面図。 本発明のパターンド媒体の磁性パターンの例を示す平面図。 本発明のパターンド媒体の製造方法の一例を示す断面図。 本発明の実施例におけるパターンド媒体のSiOC埋め込み膜中のC含有量と、記録層中の酸化膜の膜厚との関係を示す図。 本発明の実施例における非磁性埋め込み工程で使用したAr−O混合プロセスガス中の酸素含有量と、記録層中の酸化膜の膜厚との関係を示す図。 本発明の方法を用いて成膜したSiOC膜および従来の方法を用いて成膜したSiO膜のパーティクルマップ。
符号の説明
1…基板、2…下地層、3…強磁性記録層、4…保護層、5…インプリントレジスト層、6…インプリントスタンパ、7…SiOC埋め込み層、8…保護層。

Claims (6)

  1. 基板と、
    前記基板上に形成された、凸パターンをなす強磁性記録層と、
    前記凸パターンをなす強磁性記録層の間の凹部に埋め込まれた、Si、O、およびCを含有し、Cの含有量が0.05at%以上且つ30at%以下であるSiOC膜で形成された非磁性埋め込み層と
    を具備したことを特徴とするパターンド磁気記録媒体。
  2. 前記凸パターンをなす強磁性記録層はディスクリートトラックを含むことを特徴とする請求項1記載のパターンド磁気記録媒体。
  3. 前記凸パターンをなす強磁性記録層はディスクリートビットを含むことを特徴とする請求項1記載のパターンド磁気記録媒体。
  4. 基板上に、強磁性記録層を成膜する工程と、
    前記強磁性記録層を加工して、凸パターンをなす強磁性記録層を形成する工程と、
    スパッタリングターゲットとしてSiCターゲットを用い、プロセスガスとして酸素含有量が5vol%以上且つ55vol%以下であるAr−O混合ガスを用いてDCスパッタリングを行うことにより、前記凸パターンをなす強磁性記録層の間の凹部に、Si、O、およびCを含有し、Cの含有量が0.05at%以上且つ30at%以下であるSiOC膜で形成された非磁性埋め込み層を埋め込む工程と
    を含むことを特徴とするパターンド磁気記録媒体の製造方法。
  5. 前記凸パターンをなす強磁性記録層はディスクリートトラックを含むことを特徴とする請求項4記載のパターンド磁気記録媒体の製造方法。
  6. 前記凸パターンをなす強磁性記録層はディスクリートビットを含むことを特徴とする請求項4記載のパターンド磁気記録媒体の製造方法。
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