JP2008159146A - 磁気記録媒体及び磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 磁気記録媒体は基板上に、凸状の磁性パターンと磁性パターン間の凹部を充填する非磁性体とを含む磁気記録層を有する磁気記録媒体であって、前記磁性パターン間の凹部を充填するとともに凸部にも非磁性体が成膜され、保護膜で被覆された後の媒体断面形状は、トラック中央部から分離領域中央部にかけて高さが減少し、隣接トラック中央部に向かって再び高さが増加するという楕円弧状で、トラックと分離領域の高さの差は4nm以下であることを特徴とする。
【選択図】 図3
Description
図1に、本発明の実施形態に係るDTR媒体の周方向に沿う平面図を示す。図1に示すように、DTR媒体1の周方向に沿って、サーボ領域2と、データ領域3が交互に形成されている。サーボ領域2には、プリアンブル部21、アドレス部22、バースト部23が含まれる。データ領域3にはディスクリートトラック31が含まれる。
ガラス基板51上に、厚さ120nmのCoZrNbからなる軟磁性下地層、厚さ20nmのRuからなる配向制御層、厚さ20nmのCoCrPt−SiO2からなる強磁性記録層52、厚さ4nmのカーボン(C)からなる保護層53を順次成膜する。ここでは、簡略化のために、軟磁性下地層および配向制御層は図示していない。保護層53上に、レジスト54として厚さ100nmのスピンオングラス(SOG)をスピンコーティングする。このレジスト54に対向するようにスタンパ71を配置する。このスタンパ71には図1に示した磁性パターンと逆転した凹凸を有するパターンが形成されている(図2a)。
ICP(誘導結合プラズマ)エッチング装置でエッチングを行い、パターン化されたレジスト54の凹部の底に残っているレジスト残渣を除去する。このときの条件は、たとえば、プロセスガスとしてCF4を用い、チャンバー圧を2mTorr、コイルのRFパワーとプラテンのRFパワーをそれぞれ100W、エッチング時間を30秒とする(図2c)。
条件は、たとえば、プロセスガスとしてCF4ガスを用い、チャンバー圧を100mTo
rr、パワーを100Wとする。
次に、基板バイアスを印加せずに、RFスパッタ法により、記録再生ヘッドの安定浮上を実現するために、磁性パターン間の凹部を充填するようまた凸部に被さるよう非磁性体55として炭化けい素(SiC)を成膜する(図3f)。このときの条件は、HDD用スパッタリング装置を用い、Ar 75sccm、O2 5sccm(酸素混合比6.3%)で180秒成膜する。
形成する(図3h)。さらに、保護層57上に潤滑剤を塗布してDTR媒体を得る。
次に、本発明の実施形態において用いられる好適な材料について説明する。
<基板>
基板としては、例えばガラス基板、Al系合金基板、セラミック、カーボンや、酸化表面を有するSi単結晶基板、及びこれらの基板にNiP等のメッキが施されたもの等を用いることができる。ガラス基板としては、アモルファスガラス、結晶化ガラスがあり、アモルファスガラスとしては汎用のソーダライムガラス、アルミノシリケートガラスを使用できる。また、結晶化ガラスとしては、リチウム系結晶化ガラスを用いることができる。セラミック基板としては、汎用の酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素などを主成分とする焼結体や、これらの繊維強化物などが使用可能である。基板としては、上記金属基板、非金属基板の表面にメッキ法やスパッタ法を用いてNiP層が形成されたものを用いることもできる。また,基板上への薄膜の形成方法として以下ではスパッタリング法のみを取り上げたが,真空蒸着法や電解メッキ法などでも同様の効果を得ることができる。
軟磁性(裏打ち)層(SUL)としては、垂直磁磁気記録層を磁化するための磁気ヘッド例えば単磁極ヘッドからの記録磁界を、水平方向に通して、磁気ヘッド側へ還流させるという磁気ヘッドの機能の一部を担っており、磁界の記録層に急峻で充分な垂直磁界を印加させ、記録再生効率を向上させる役目を果たし得る。軟磁性(裏打ち)層には、Fe、Ni、Coを含む材料を用いることができる。このような材料として、FeCo系合金例えばFeCo、FeCoVなど、FeNi系合金例えばFeNi、FeNiMo、FeNiCr、FeNiSiなど、FeAl系合金、FeSi系合金例えばFeAl、FeAlSi、FeAlSiCr、FeAlSiTiRu、FeAlOなど、FeTa系合金例えばFeTa、FeTaC、FeTaNなど、FeZr系合金例えばFeZrNなどを挙げることができる。また、Feを60at%以上含有するFeAlO、FeMgO、FeTaN、FeZrN等の微結晶構造、あるいは微細な結晶粒子がマトリクス中に分散されたグラニュラー構造を有する材料を用いることができる。また、軟磁性(裏打ち)層の他の材料として、Coと、Zr、Hf、Nb、Ta、Ti、及びYのうち少なくとも1種とを含有するCo合金を用いることができる。Coは、好ましくは80at%以上含まれる。このようなCo合金は、スパッタ法により製膜した場合にアモルファス層が形成されやすく、アモルファス軟磁性材料は、結晶磁気異方性、結晶欠陥および粒界がないため、非常に優れた軟磁性を示す。また、このアモルファス軟磁性材料を用いることにより、媒体の低ノイズ化を図ることができる。好適なアモルファス軟磁性材料としては、例えばCoZr、CoZrNb、及びCoZrTa系合金などを挙げることができる。SULの下には、SULの結晶性の向上あるいは基板との密着性の向上のためにさらに下地層を設けることができる。下地層材料としては、Ti、Ta、W、Cr、Pt、あるいはこれらを含む合金、あるいはこれらの酸化物、窒化物を用いることができる。SULと記録層との間には、非磁性体からなる中間層を設けることができる。中間層の役割は、SULと記録層との交換結合相互作用を遮断することと、記録層の結晶性を制御することの二つがある。中間層材料としては、Ru、Pt、Pd、W、Ti、Ta、Cr、Si、あるいはこれらを含む合金、あるいはこれらの酸化物、窒化物を用いることができる。スパイクノイズ防止のためにSUL層を複数の層に分け0.5〜1.5nmのRuを挿入することで反強磁性結合させても良い。また、CoCrPtやSmCo、FePt等の面内異方性を持った硬磁性膜、あるいはIrMn、PtMn等の反強磁性体からなるピン層と軟磁性層とを交換結合させても良い。その際に、交換結合力を制御するために、Ru層の前後に磁性(たとえばCo)あるいは非磁性の膜(たとえばPt)を積層させても良い。
垂直磁気記録層としては、Coを主成分とするとともに少なくともPtを含み、さらに酸化物を含んだ材料からなり、この酸化物としては、特に酸化シリコン,酸化チタンが好適である。垂直磁気記録層は、層中に磁性粒子(磁性を有した結晶粒子)が分散していることが好ましい。この磁性粒子は、垂直磁気記録層を上下に貫いた柱状構造であることが好ましい。このような構造を形成することにより、垂直磁気記録層の磁性粒子の配向および結晶性を良好なものとし、結果として高密度記録に適した信号/ノイズ比(S/N比)が得ることができる。このような構造を得るためには、含有させる酸化物の量が重要となる。酸化物の含有量は、Co、Cr、Ptの総量に対して、3mol%以上12mol%以下であることが好ましい。さらに好ましくは5mol%以上10mol%以下である。垂直磁気記録層中の酸化物の含有量として上記範囲が好ましいのは、層を形成した際、磁性粒子の周りに酸化物が析出し、磁性粒子の孤立化、微細化をすることができるためである。酸化物の含有量が上記範囲を超えた場合、酸化物が磁性粒子中に残留し、磁性粒子の配向性、結晶性を損ね、さらには、磁性粒子の上下に酸化物が析出し、結果として磁性粒子が垂直磁気記録層を上下に貫いた柱状構造が形成されなくなるため好ましくない。また、酸化物の含有量が上記範囲未満である場合、磁性粒子の分離、微細化が不十分となり、結果として記録再生時におけるノイズが増大し、高密度記録に適した信号/ノイズ比(S/N比)が得られなくなるため好ましくない。垂直磁気記録層のCrの含有量は、0at%以上16at%以下であることが好ましい。さらに好ましくは10at%以上14at%以下である。Cr含有量が上記範囲であるのは、磁性粒子の一軸結晶磁気異方性定数Kuを下げすぎず、また、高い磁化を維持し、結果として高密度記録に適した記録再生特性と十分な熱揺らぎ特性が得られるために好適だからである。Cr含有量が上記範囲を超えた場合、磁性粒子のKuが小さくなるため熱揺らぎ特性が悪化し、また、磁性粒子の結晶性、配向性が悪化することで、結果として記録再生特性が悪くなるため好ましくない。垂直磁気記録層のPtの含有量は、10at%以上25at%以下であることが好ましい。Pt含有量が上記範囲であるのは、垂直磁性層に必要なKuを得、さらに磁性粒子の結晶性、配向性が良好であり、結果として高密度記録に適した熱揺らぎ特性、記録再生特性が得られるため、好適だからである。Pt含有量が上記範囲を超えた場合、磁性粒子中にfcc構造の層が形成され、結晶性、配向性が損なわれるおそれがあるため好ましくない。また、Pt含有量が上記範囲未満である場合、高密度記録に適した熱揺らぎ特性を得るためのKuが得られないため好ましくない。垂直磁気記録層は、Co、Cr、Pt、酸化物のほかに、B、Ta、Mo、Cu、Nd、W、Nb、Sm、Tb、Ru、Reから選ばれる1種類以上の元素を含むことができる。上記元素を含む事により、磁性粒子の微細化を促進、あるいは結晶性や配向性を向上させることができ、より高密度記録に適した記録再生特性、熱揺らぎ特性を得ることができる。上記元素の合計の含有量は、8at%以下であることが好ましい。8at%を超えた場合、磁性粒子中にhcp相以外の相が形成されるため、磁性粒子の結晶性、配向性が乱れ、結果として高密度記録に適した記録再生特性、熱揺らぎ特性が得られないため好ましくない。また、垂直磁気記録層としては、上記の他、CoPt系合金、CoCr系合金、CoPtCr系合金、CoPtO、CoPtCrO、CoPtSi、CoPtCrSi,およびPt、Pd、Rh、およびRuからなる群より選択された少なくとも一種を主成分とする合金とCoとの多層構造、さらに、これらにCr、BおよびOを添加したCoCr/PtCr、CoB/PdB、CoO/RhOなどを使用することができる。垂直磁気記録層の厚さは、好ましくは5ないし60nm、より好ましくは10ないし40nmである。この範囲であると、より高記録密度に適した磁気記録再生装置として動作し得る。垂直磁気記録層の厚さが5nm未満であると、再生出力が低過ぎてノイズ成分の方が高くなる傾向があり、垂直磁気記録層の厚さが40nmを超えると、再生出力が高過ぎて波形を歪ませる傾向がある。垂直磁気記録層の保磁力は、237000A/m(3000Oe)以上とすることが好ましい。保磁力が237000A/m(3000Oe)未満であると、熱揺らぎ耐性が劣る傾向がある。垂直磁気記録層の垂直角型比は、0.8以上であることが好ましい。垂直角型比が0.8未満であると、熱揺らぎ耐性に劣る傾向がある。
保護層としては、垂直磁気記録層の腐食を防ぐとともに、磁気ヘッドが媒体に接触したときに媒体表面の損傷を防ぐ目的設けられる。その材料としては、例えばC、SiO2、ZrO2を含むものがあげられる。保護層の厚さは、1ないし10nmとすることが好ましい。これにより、ヘッドと媒体の距離を小さくできるので、高密度記録に好適である。カーボンは、sp2結合炭素(グラファイト)とsp3結合炭素(ダイヤモンド)に分類できる。耐久性、耐食性はsp3結合炭素のほうが優れるが、結晶質であることから表面平滑性はグラファイトに劣る。通常、カーボンの成膜はグラファイトターゲットを用いたスパッタリング法で形成される。この方法では、sp2結合炭素とsp3結合炭素が混在したアモルファスカーボンが形成される。sp3結合炭素の割合が大きいものはダイヤモンドライクカーボン(DLC)と呼ばれる。耐久性、耐食性に優れ、アモルファスであることから表面平滑性にも優れるため、磁気記録媒体の表面保護膜として利用されている。CVD(Chemical vapor Deposition)法によるDLCの成膜は、原料ガスをプラズマ中で励起、分解し、化学反応によってDLCを生成させるため、条件を合わせることで、よりsp3結合炭素に富んだDLCを形成することができる。
媒体の表面に、レジストをスピンコート法で塗布する。レジストには一般的なノボラック系のフォトレジストを用いることが出来る。レジストにはSOGを用いても良いが、残渣除去工程でフッ素系ガスを用いたRIEを行う必要がある。例えば、記録トラックとサーボ情報のパターンが埋め込まれたスタンパを2000barで60秒間プレスすることによって、レジストにそのパターンを転写する。プレスは、ダイセットの下板に、スタンパ、基板、バッファ層を積層し、ダイセットの上板で挟まれている。スタンパ及び基板は、スタンパの凹凸面と基板のレジスト膜側を対向させる。インプリントによって作製されたパターンの凹凸高さは60 〜 70 nmであるため、その残さは70 nm程度となる。また、60秒間の保持時間はレジストの移動時間である。スタンパにフッ素系の剥離材が塗布することで、スタンパとレジストの良好な剥離ができる。
酸素ガスRIE(反応性イオンエッチング)でレジストの残差除去を行う。プラズマソースは、低圧で高密度プラズマが生成可能なICP(Inductively Coupled Plasma)が好適だが、ECR(Electron Cyclotron Resonance)プラズマ、一般的な並行平板型RIE装置でも構わない。
インプリント工程で生じた残渣を除去したエッチングマスクを用いて、磁性体加工を行う。磁性体加工にはArイオンビームを用いたエッチング(Arイオンミリング)が好適だが、Clガス、もしくはCOとNH3の混合ガスを用いたRIEでも良い。COとNH3の混合ガスを用いたRIEの場合、エッチングマスクにはTi、Ta、W等のハードマスクを用いなくてはならない。これら磁性体RIEを用いた場合、磁性体凹凸にテーパは付かない。如何なる材料でもエッチング可能なArイオンミリングで磁性体加工を行う場合は、例えば加速電圧400V、イオン入射角度は30°から70°まで変化させてエッチングを行う。ECRイオンガンを用いたミリングは、静止対向型(イオン入射角90°)でエッチングすることで、殆ど磁性体凹凸にテーパが付かない加工が可能である。
ミリング後、レジストの剥離を行う。一般的なフォトレジストを用いた場合は、酸素プラズマ処理を行うことで容易に剥離することが可能である。この時、垂直記録媒体の表面にあるカーボン保護層も剥離される。一方、SOGをエッチングマスクとした場合、この工程はフッ素系ガスを用いたRIEで行う必要がある。フッ素系ガスはCF4やSF6が好適だが、大気中の水と反応してHF、H2SO4等の酸が生じることがあるため、水洗を行う必要がある。
レジスト剥離後、非磁性体で凹凸の埋め込みを行う。埋め込みには、非磁性材料をバイアススパッタ法、または通常のスパッタ法で成膜する。非磁性材料は、SiO2、TiOx、SiO2、Al2O3などの酸化物やSi3N4、AlN、TiNなどの窒化物、TiCなどの炭化物、BN等の硼化物、C、Si、などの単体などから幅広く選択できる。バイアススパッタ法は、基板にバイアスをかけながらスパッタ成膜する方法で、容易に凹凸を埋め込みながら成膜できる。しかし、基板バイアスによる基板の溶解、スパッタダストが生じやすいので、通常のスパッタ法を用いるのが好適である。
磁性膜上にあるカーボン保護膜が露出するまでエッチバックを行う。このエッチバックプロセスは、Arイオンミリングを用いる事が望ましいが、SiO2等のシリコン系埋め込み剤を用いた場合はフッ素系ガスを用いたRIEを用いて行うことも可能である。ECRイオンガンを用いたエッチングでも良い。
エッチバック後、C保護膜の形成を行う。C保護膜は、凹凸へのカバレッジを良くするためにCVD法で成膜することが望ましいが、スパッタ法、真空蒸着法でも構わない。CVD法でC保護膜を形成した場合、sp3結合炭素を多く含むDLC膜が形成される。膜厚は2nm以下だとカバレッジが悪くなり、10nm以上だと、記録再生ヘッドと媒体との磁気スペーシングが大きくなってSNRが低下するので好ましくない。また、保護層上には、潤滑層を設けることができる。潤滑層に使用される潤滑剤としては、従来公知の材料、例えばパーフルオロポリエーテル、フッ化アルコール、フッ素化カルボン酸などを用いることができる。
図1に示したようなサーボパタン(プリアンブル、アドレス、バースト、トラック)が凹凸パタンで描画されたスタンパを用いて図2、3に示した方法でパターンド媒体を作成した。凹凸埋め込み工程では、SiCターゲットを用いたRFスパッタ法で、Ar 75sccm、O2 5sccm(酸素混合比6.3%)で100nm成膜した。スパッタ時間は180秒であった。この状態で、SIMS(2次イオン質量分析法)で得られた非磁性埋め込み剤を解析した所、Si(42.0 at.%)、O(53.0 at.%)、C(5.0at.%)であった。(よって、この方法で成膜した非磁性埋め込み剤は以下SiOCと称する)。その後、ECRイオンガンを用いて非磁性埋め込み剤をエッチバックした。プロセスガスAr、マイクロ波パワー800W、加速電圧700Vで約6分間エッチングした。
実施例1と同一なスタンパを用いて、一般的なパターンド媒体を作成した。凹凸埋め込み工程は、先行技術文献1を参照して、バイアススパッタ法でSiO2を成膜した。スパッタ時間は500秒であった。SIMS解析ではCは検出されなかった。タッチダウン/テイクオフ評価を行ったところ、圧力差は0.34atmであった。
実施例1と同一なスタンパを用いて、一般的なパターンド媒体を作成した。凹凸埋め込み工程は、DCスパッタ法でSiCを20nm成膜した。グライドヘッドを用いてAEを測定した所、AEシグナルは観測されなかった。タッチダウン/テイクオフ評価を行ったところ、圧力差は0.24atmであった。
実施例1と同一なスタンパを用いて、図2,3に示した方法でパターンド媒体を作成した。さらに、SiCターゲットを用いたRFスパッタ法で、Ar 75sccm、O2 5sccm(酸素混合比6.3%)で100nm成膜した。その後、ECRイオンガンを用いて非磁性埋め込み剤をエッチバックした。プロセスガスAr、マイクロ波パワー800W、加速電圧700Vで約6分間エッチングした。断面TEMから測定した凸部中央のSiOC厚さは9nmであった。スピンスタンドにより信号形状を測定し、加工なしの垂直記録媒体の90%であることがわかった。
実施例1と同一なスタンパを用いて、パターンド媒体を作成した。さらに、SiCターゲットを用いたRFスパッタ法で、Ar 75sccm、O2 5sccm(酸素混合比6.3%)で100nm成膜した。その後、ECRイオンガンを用いて非磁性埋め込み剤をエッチバックした。プロセスガスAr、マイクロ波パワー800W、加速電圧700Vで約5分間エッチングした。断面TEMから測定した凸部中央のSiOC厚さは20nmであった。スピンスタンド評価を行うと、信号強度は実施例2の媒体の1/3だった。
実施例1と同一なスタンパを用いて、パターンド媒体を作成した。さらに、SiCターゲットを用いたRFスパッタ法で、Ar 75sccm、O2 5sccm(酸素混合比6.3%)で100nm成膜した。その後、ECRイオンガンを用いて非磁性埋め込み剤をエッチバックした。プロセスガスAr、マイクロ波パワー800W、加速電圧700Vで約5分間エッチングした。断面TEMから測定した凸部のエッジ部分の非磁性体層厚さは1nmであった。
実施例1と同一なスタンパを用いて、パターンド媒体を作成した。さらに、SiCターゲットを用いたRFスパッタ法で、Ar 75sccm、O2 5sccm(酸素混合比6.3%)で100nm成膜した。その後、ECRイオンガンを用いて非磁性埋め込み剤をエッチバックした。プロセスガスAr、マイクロ波パワー800W、加速電圧700Vで約5分30秒間エッチングした。断面TEMから測定した凸部のエッジ部分の非磁性体層厚さは0nmで、磁性体が露出していた。
実施例4
埋め込みには、非磁性材料をバイアススパッタ法、または通常のRFあるいはDCスパッタ法で成膜した。非磁性材料は、C、SiC、SiOC、SiO2、TiOx、Al2O3、Ru、Taを試し、全てにおいてAEシグナルがないことを確認した。Cuなどの熱に弱い金属で同様のスパッタ→エッチバックプロセスをためすと、表面の形状が悪化しAEシグナルが観測された。
実施例1と同一なスタンパを用いて、パターンド媒体を作成した。さらに、SiCターゲットを用いたRFスパッタ法で、Ar 75sccm、O2 5sccm(酸素混合比6.3%)で100nm成膜した。その後、ECRイオンガンを用いて非磁性埋め込み剤をエッチバックした。プロセスガスAr、マイクロ波パワー800W、加速電圧700Vで約5分間エッチングした。表面の凹凸の最大値は11nmであった。Arイオンミリング装置で40°の角度をつけて100nmのエッチバックを行うと、表面の凹凸が最大で15nmとなった。以上より、対向入射のイオンガンでのエッチバックが表面平坦化に有効であることがわかった。
図5に示したようなパタン(プリアンブル、アドレス、バースト、記録ビット)が凹凸パタンで描画されたスタンパを用いて図2,3に示した方法でパターンド媒体を作成した。記録ビットはクロストラック方向120nm、ダウントラック方向25nmの長方形であり、130 Gbpsi相当の記録密度である。埋め込みはSiCターゲットを用いたRFスパッタ法で、Ar 75sccm、O2 5sccm(酸素混合比6.3%)で100nm成膜した。その後、ECRイオンガンを用いて非磁性埋め込み剤をエッチバックした。プロセスガスAr、マイクロ波パワー800W、加速電圧700Vで約5分30秒間エッチングした。グライドヘッドを用いてAEを測定した所、AEシグナルは観測されなかった。AESデプスプロファイルを測定したところ、酸化層は検出されなかった。
また図4(b)はその類似例で、図4(a)の媒体上に保護膜57が残ったものに対し、保護膜57が一部削られているものである。保護膜57のあるなしに関わらず、磁性体上の保護膜と埋め込み材充填部の高さの差は4nm以下とする。
また、上記した実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜に組み合わせることにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良いものである。さらに、異なる実施の形態に係る構成要素を適宜組み合わせても良いものである。
Claims (5)
- 基板上に、凸状の磁性パターンと磁性パターン間の凹部を充填する非磁性体とを含む磁気記録層を有する磁気記録媒体であって、
前記磁性パターン間の凹部を充填するとともに凸部にも非磁性体が成膜され、
保護膜で被覆された後の媒体断面形状は、トラック中央部から分離領域中央部にかけて高さが減少し、隣接トラック中央部に向かって再び高さが増加するという楕円弧状で、トラックと分離領域の高さの差は4nm以下であることを特徴とした磁気記録媒体。 - 前記非磁性体の材料がC、SiO2、SiC、SiOC、Si、SixNy、SiON、Al、Ti、CrおよびCr合金、NiTa、TiOx、Al2O3、Ru、Taのいずれかあるいはその混合物で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
- 基板上に、磁性パターンと磁性パターン間を充填する非磁性体とを含む磁気記録層を有する磁気記録媒体を製造する方法であって、
前記磁性パターン間を充填するとともに他部分にも非磁性体を成膜し、
垂直入射のイオンビームによるエッチバックを行うことで、保護膜で被覆された後の媒体断面形状は、トラック中央部から分離領域中央部にかけて高さが減少し、隣接トラック中央部に向かって再び高さが増加するという楕円弧状で、トラックと分離領域の高さの差を4nm以下とすることを特徴とした磁気記録媒体の製造方法。 - 前記充填工程はバイアスをかけないRFスパッタによって行うことを特徴とした請求項3に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記充填工程とエッチバック工程を複数回繰り返すことを特徴とした請求項3に記載の磁気記録媒体の製造方法。
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