JP3034879B2 - 磁気ディスクの製造方法 - Google Patents

磁気ディスクの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は磁気ディスクの記録膜にトラッキング用ガイ
ドパターンを形成した高密度記録が実現できる磁気ディ
スクの製造方法に関する。
〔従来の技術〕
従来の磁気ディスクの構造は、厚さが約2mmのアルミ
ニウム基板の上に、磁気記録膜をスピン塗布、あるいは
スパッタリングなどの方法で形成していた。そのため
に、磁気ディスクの表面は平坦になっていて、個々の磁
気ディスクには、磁気ヘッドを案内するためのガイドグ
ルーブ(案内溝)は特に無く、複数枚の磁気ディスクを
並列に並べ、その中の一枚のディスクに磁気的なガイド
グルーブをあらかじめ記録させておき、これに沿って全
ての磁気ヘッドを移動させることで、従来は対処してい
た(特公昭47−32012号公報)。
しかし、上記従来の磁気ディスク装置において、一枚
の磁気ディスクに記録されたガイドグルーブを基準にし
て位置決めを行うために、並列に設置した各磁気ディス
クに対し、例えば熱的な歪みなどによって生じる誤差の
ために正確な位置付けができず、そのため各磁気ディス
クにおけるトラック密度を上げることができなかった。
〔発明が解決しようとする課題〕
上述したごとく、従来技術においては、磁気ディスク
の記録密度の観点からみると、最良の磁気記録方式とは
いえない。すなわち、使用する磁気ディスクの個々にガ
イドグルーブがないために、トラック密度を上げること
ができず、一枚の磁気ディスクに記録できる情報量には
おのずと限界があった。
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解消するた
めに、磁気ディスクの記録膜の表面部に凹凸形状の溝か
らなるガイドグルーブもしくは磁気記録領域の磁気特性
とは異なる性質を持つ材料からなるトラッキング用ガイ
ドパターンを設けることによって、情報の記録トラック
ピッチを一段と小さくして、一枚の磁気ディスクに多量
の情報が記録できる磁気ディスクの製造方法を提供する
ことにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記本発明の目的を達成するために、磁気ディスク表
面部の情報記録膜に、磁気ヘッドあるいは光ヘッドとの
複合ヘッドを案内するトラッキング用ガイドパターン
を、磁気情報の形態で同心円状または螺旋状に設定され
た任意のピッチで形成させる。また他の形態として、ト
ラッキング用ガイドパターンの部分の磁気特性を情報記
録領域とは異なる別の性質をもつものとしても良い。例
えば、情報の記録領域とトラッキング用ガイドパターン
の部分との飽和磁化または保磁力を変えたり、あるいは
情報記録領域を面内磁化容易膜となし、トラッキング用
ガイドパターンの領域を垂直磁化膜としても良い。ま
た、ホトリソグラフィー技術を応用して、磁気記録膜の
表面部に凹凸の形状のトラッキング用ガイドパターンを
形成することでEヘッドの案内溝を構成することができ
る。すなわち、ホトリソグラフィー技術を応用して、磁
気記録膜を螺旋状あるいは同心円状に形成したり、同一
のディスク上に、磁性領域と非磁性領域とを交互に形成
させても良い。さらに、イオン打ち込み法により、例え
ばリン(P)やボロン(B)あるいは窒素(N)などを
磁気記録膜に打ち込んで、螺旋形状あるいは同心円形状
に非磁性部分を形成させても良い。さらに、収束したイ
オンビームを用い、外部から電界や磁界を印加して偏向
させてイオン打ち込みを行うと、ホトレジスト工程を用
いる必要がなく、直接的にトラッキング用ガイドパター
ンを形成させることも可能である。
〔作用〕
磁気ディスクの表面に形成されたトラッキング用ガイ
ドパターンに沿って、情報の記録再生を行う磁気ヘッド
を精密に移動させることができるので、トラックピッチ
を小さくすることが可能となり、そのため一枚の磁気デ
ィスクに記録できる情報量が増加し、大容量記憶装置を
実現することができる。
〔実施例〕
以下に本発明の一実施例を挙げ、図面に基づいて、さ
らに詳細に説明する。
<実施例1> 第1図は、本実施例における磁気ディスクの作製工程
を示す工程図である。
図において、右側に示す(B)工程は、左側の(A)
工程に示す本実施例における磁気ディスクの作製工程に
おいて使用するマスクの製造方法を示す工程図である。
まず始めに、本実施例で用いるマスクの製造方法につい
て説明する。透明なガラスなどからなるマスク基板1の
上に、真空蒸着法により光不透過性の金属、ここではク
ロム層2を300Åの膜厚に付着させた。その上に、ネガ
タイプのレジスト膜3(シップレー社 AZ−1350)を0.
1μmの厚さに回転塗布した。次に、波長4880Åのアル
ゴンレーザ光を、レンズ(NA:0.9)で1μm以下の小さ
なスポットに絞り込み、900r/minで回転している基板に
照射しながら、レーザ光をマスク基板1の半径方向に移
動させながら、同心円状あるいは螺旋状のガイドグルー
ブ(案内溝)4を形成した。このパターンに従って、そ
の下部にあるクロム層2をエッチングにより除去した
後、レジスト膜3を除去し、所望のパターンを有するマ
スク5を作製した。
次に、ガイドグルーブ4を記録膜12に設けたガイドグ
ルーブ付き磁気ディスク13の作製方法について説明す
る。ディスク基板11の上に、Fe−Co合金からなる記録膜
12を300Åの膜厚に、スパッタリング法により付着さ
せ、その上にマスク作製時のレジスト膜3を回転塗布法
により形成した。ここで、先のマスク5を用いて露光
し、現像するとレジスト膜3上にガイドグルーブ4のパ
ターンを形成することができる。その後、20%程度の硝
酸溶液で記録膜12をエッチングして、ガイドグルーブ4
を形成し、硝酸を完全に洗浄した後、レジスト膜3を除
去するとガイドグルーブ付き磁気ディスク13が得られ
る。ここで、硝酸溶液によるウエットエッチングの代わ
りに、ドライエッチング工程を採用すると、エッチング
工程がより簡素化されるので好ましい。このようにして
作製した磁気ディスクを用いて、磁気的に情報を記録し
た結果、トラック間の干渉による再生信号の劣化がほと
んどなく、トラックピッチを従来の17μmから10μmに
小さくしたところ、S/Nが3以上得られ、従来の磁気デ
ィスクに比較して約2倍の高密度記録、再生を実現する
ことができた。
<実施例2> 第2図は、イオン打ち込み法を用いて本発明の磁気デ
ィスクを作製する場合の工程図を示す。ディスク基板11
の上にFe−Co合金からなる記録膜13を300Åの膜厚にス
パッタリング法によって付着させ、その上にマスク作製
時に用いたレジスト膜3を回転塗布した。ここで、先の
マスク5を用いて露光し、現像してレジスト膜3上にガ
イドグルーブ4のパターンを形成した。次に、窒素イオ
ンの打ち込み21を行い、その部分を非磁性領域とした
後、レジスト膜3を除去すると、トラッキング用ガイド
パターン付き磁気ディスク13aが得られる。ここで、打
ち込むイオンとして窒素(N)の他に、ボロン(B)や
リン(P)などを使用しても上記と同様の効果が得られ
た。また、記録悪の磁気的特性を変え、情報記録が困難
な特性のものに変質させたトラッキング用ガイドパター
ンを形成した場合においても、上記と同様の効果が得ら
れた。このようにして作製した磁気ディスクの表面は平
坦であり、磁気ヘッドを浮上させて記録再生を行う場合
には極めて好都合であった。この磁気ディスクを用いて
磁気的に情報を記録した結果、トラック間の干渉による
再生信号の劣化がほとんどなく、トラックピッチを従来
の17μmから10μmに小さくしたところS/Nが3以上が
得られ、従来の磁気ディスクに比較して約2倍の高密度
記録、再生を実現することができた。
さらに、収束させたイオンビームを、磁界や電界を印
加して偏向させてイオン打ち込みを行い、トラッキング
用ガイドパターンを形成させる場合には、ホトレジスト
工程を省略することができ、製造プロセスをいっそう簡
素化することができる。そして、得られた効果は、上記
のイオン打ち込みをして形成した磁気ディスクと何ら相
違は見られなかった。
<実施例3> 第3図に、本実施例において作製した磁気ディスクの
作製工程を示す。
図において、ディスク基板11の上にCo−Ni−Pt合金か
らなる記録膜12を500Åの膜厚にスパッタリング法によ
り成膜し、その上にマスク作製時に用いたレジストを回
転塗布してレジスト膜3を形成した。ここで、先のマス
ク5(第1図)を用いて露光し、現像するとレジスト膜
3上にガイドグルーブのパターンが得られる。その後、
20%程度の硝酸溶液で記録膜12をエッチングして、ガイ
ドグルーブ4を形成し、硝酸を完全に洗浄するとガイド
グルーブ付きの磁気記録膜が形成できる。ここで、硝酸
でのウエットエッチングの代わりにドライエッチングを
採用するとエッチング工程を簡素化することができるの
で好ましい。次に、磁気記録膜に設けたガイドグルーブ
領域にSiNなどの非磁性材料からなる異種膜31をスパッ
タリングした後、余分な異種膜31とレジスト膜3を同時
に除去するリフトオフを行うことにより、トラッキング
用ガイドパターン付き磁気ディスク13aが得られる。こ
のようにして作製した磁気ディスクの表面は平坦であ
り、磁気ヘッドを浮上させて磁気記録再生を行う場合に
は極めて好適であった。この磁気ディスクを用いて磁気
的に情報を記録した結果、トラック間の干渉による再生
信号の劣化がほとんどなく、トラックピッチを従来の17
μmから10μmに小さくしたところS/Nが3以上得ら
れ、従来の約2倍の高密度記録、再生を達成することが
できた。
〔発明の効果〕
以上詳細に説明したごとく、本発明の記録膜にトラッ
キング用ガイドパターンを設けた磁気ディスクは、トラ
ック間の干渉による再生信号の劣化をほとんどなくする
ことができるため、トラックピッチを著しく小さくする
ことができるので、磁気ディスクにおける記録密度を一
段と向上させることが可能となり、1枚の磁気ディスク
に記憶できる情報量、すなわち記憶容量を大幅に増加さ
せることができ、高密度記録が実現できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例1において例示した磁気ディス
クの作製工程図、第2図は本発明の実施例2において例
示した磁気ディスクの作製工程図、第3図は本発明の実
施例3において例示した磁気ディスクの作製工程図であ
る。 1……マスク基板、2……クロム層 3……レジスト膜、4……ガイドグルーブ 5……マスク、11……ディスク基板 12……記録膜 13……ガイドグルーブ付き磁気ディスク 13a……トラッキング用ガイドパターン付き磁気ディス
ク 21……イオン打ち込み、22……変質記録膜 31……異種膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高野 公史 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 松田 好文 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 釘屋 文雄 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 赤城 協 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 鈴木 幹夫 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 仲尾 武司 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (56)参考文献 特開 昭62−232720(JP,A) 特開 昭60−95729(JP,A) 特開 昭62−192919(JP,A) 特開 昭62−192920(JP,A) 特開 昭59−112434(JP,A) 特開 昭59−142747(JP,A) 特開 昭62−120619(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/82 G11B 5/84

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】磁気記録膜の表面部に、トラッキング用ガ
    イドパターンを設けた磁気ディスクの製造方法であっ
    て、上記トラッキング用ガイドパターン領域の磁気記録
    膜中に窒素、リン、ボロンのうちから選ばれる少なくと
    も1種類の元素をイオン打ち込み法により注入し、上記
    トラッキング用ガイドパターン領域の磁気記録膜の飽和
    磁化または保磁力を変えることにより、上記トラッキン
    グ用ガイドパターンを形成することを特徴とする磁気デ
    ィスクの製造方法。
  2. 【請求項2】磁気ディスク基板上に磁気記録膜を形成
    し、該磁気記録膜上にホトレジスト膜を塗布法により形
    成した後、設定のトラッキング用ガイドパターンを有す
    るマスクを用い、ホトリソグラフィー法によって、上記
    ホトレジスト膜上に、同心円状もしくは螺旋状の凹凸形
    状の溝からなるトラッキング用ガイドパターンを転写し
    た後、エッチング処理を行い、上記磁気記録膜上に、同
    心円状もしくは螺旋状の凹凸形状の溝からなるトラッキ
    ング用ガイドパターンを形成する工程と、上記溝部にイ
    オン打ち込み法により上記磁気記録膜にイオン種を打ち
    込み、上記トラッキング用ガイドパターン領域の磁気記
    録膜の飽和磁化または保磁力を変える工程とを含むこと
    を特徴とする磁気ディスクの製造方法。
  3. 【請求項3】磁気ディスク基板上に磁気記録膜を形成
    し、該磁気記録膜上にホトレジスト膜を塗布法により形
    成した後、設定のトラッキング用ガイドパターンを有す
    るマスクを用い、ホトリソグラフィー法によって、上記
    ホトレジスト膜上に、同心円状もしくは螺旋状の凹凸形
    状の溝からなるトラッキング用ガイドパターンを転写し
    て、上記トラッキング用ガイドパターンを形成させる領
    域の磁気記録膜の表面部を露出させた後、該露出部の磁
    気記録膜にイオン種を打ち込み、上記磁気記録膜とは飽
    和磁化または保磁力の異なる材料に変質させることによ
    り、上記磁気記録膜上に、表面が平坦な同心円状もしく
    は螺旋状のトラッキング用ガイドパターンを形成する工
    程を含むことを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
  4. 【請求項4】請求の範囲第3項記載の磁気ディスクの製
    造方法において、磁気ディスク基板上に磁気記録膜を形
    成した後、磁気記録膜の磁気的特性とは異なる性質を持
    つ材料に変質させるイオン種を含む収束させたイオンビ
    ームを用い、該イオンビームに磁界もしくは電界を印加
    して偏向させ、トラッキング用ガイドパターン領域に上
    記イオン種の打ち込みを行い、上記磁気記録膜上に直接
    的に、同心円状もしくは螺旋状のトラッキング用ガイド
    パターンを形成する工程を含むことを特徴とする磁気デ
    ィスクの製造方法。
  5. 【請求項5】磁気ディスク基板上に面内磁化容易膜であ
    る磁気記録膜を形成し、該磁気記録膜上にホトレジスト
    膜を塗布法により形成した後、設定のトラッキング用ガ
    イドパターンを有するマスクを用い、ホトリソグラフィ
    ー法によって、上記ホトレジスト膜上に、同心円状もし
    くは螺旋状の凹凸形状の溝からなるトラッキング用ガイ
    ドパターンを転写して、上記トラッキング用ガイドパタ
    ーンを形成させる領域の磁気記録膜の表面部を露出させ
    た後、エッチング処理によって、上記露出部の磁気記録
    膜を所定の厚さエッチングして凹部を形成し、該凹部
    に、垂直磁化膜からなる磁気記録膜を、上記磁気記録膜
    の膜面レベルとほぼ等しくなる厚さに形成して、上記磁
    気記録膜上に、表面がほぼ平坦な同心円状もしくは螺旋
    状のトラッキング用ガイドパターンを形成する工程を含
    むことを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
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