JP5398228B2 - 膜製造方法 - Google Patents

膜製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5398228B2
JP5398228B2 JP2008279930A JP2008279930A JP5398228B2 JP 5398228 B2 JP5398228 B2 JP 5398228B2 JP 2008279930 A JP2008279930 A JP 2008279930A JP 2008279930 A JP2008279930 A JP 2008279930A JP 5398228 B2 JP5398228 B2 JP 5398228B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic
film
mask
resist
ion implantation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2008279930A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010108551A (ja
Inventor
賢治 佐藤
努 田中
拓也 渦巻
勉 西橋
正 森田
一弘 渡辺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ulvac Inc
Original Assignee
Ulvac Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ulvac Inc filed Critical Ulvac Inc
Priority to JP2008279930A priority Critical patent/JP5398228B2/ja
Priority to PCT/JP2009/068186 priority patent/WO2010050399A1/ja
Publication of JP2010108551A publication Critical patent/JP2010108551A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5398228B2 publication Critical patent/JP5398228B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G11INFORMATION STORAGE
    • G11BINFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
    • G11B5/00Recording by magnetisation or demagnetisation of a record carrier; Reproducing by magnetic means; Record carriers therefor
    • G11B5/84Processes or apparatus specially adapted for manufacturing record carriers
    • G11B5/855Coating only part of a support with a magnetic layer

Landscapes

  • Magnetic Record Carriers (AREA)
  • Manufacturing Of Magnetic Record Carriers (AREA)

Description

本件は、所定材料の膜を製造する膜製造方法と、その膜製造方法を利用して磁性材料の膜が形成された磁気記憶媒体と、そのような磁気記憶媒体が搭載された情報記憶装置に関する。
ハードディスクドライブ(HDD)は、データの高速アクセス及び高速転送が可能な大容量記憶装置として、情報記憶装置の主流になっている。このHDDについては、これまでも高い年率で面記録密度が高まっており、現在でもさらなる記録密度向上が求められている。
HDDの記録密度を向上させるためには、トラック幅の縮小や記録ビット長の短縮が必要であるが、トラック幅を縮小させると、隣接するトラック同士で、いわゆる干渉が生じ易くなる。この干渉とは、即ち、記録時において磁気記録情報が、目的のトラックに隣接する隣のトラックに重ね書きされてしまう現象や、再生時において、目的のトラックに隣接するトラックからの漏洩磁界によるクロストークが起きてしまう現象を総称したものである。これらの現象は、いずれも再生信号のS/N比の低下を招き、エラーレートの劣化を引き起こす要因となる。
一方、記録ビット長の短縮を進めると、記録ビットを長期間保存する性能が低下する熱揺らぎ現象が発生する。
これらの干渉や熱揺らぎ現象を回避して短いビット長や高いトラック密度を実現する方法として、ビットパターンド型の磁気記憶媒体が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。このビットパターンド型の磁気記憶媒体では、記録ビットの位置が予め決められており、その決められた記録ビットの位置に磁性材料のドットが形成されドットの相互間は非磁性材料で構成される。このように磁性材料のドットが互いに分離されているとドットどうしの磁気的相互作用が小さく、上述した干渉や熱揺らぎ現象が回避される。
ここで、ビットパターンド型の磁気記憶媒体の製造方法として上記特許文献1などに提案されている従来の製造方法は次のようなものである。
この従来の製造方法では、まず、基板上に磁性膜が形成され、その磁性膜においてドットとなる複数箇所を覆うマスクが形成される。そして、エッチングが行われて、マスク下の磁性膜を残して他の部分の磁性膜が除去されることでドットが形成される。その後、ドットの相互間が非磁性材料で埋められ、研磨処理を経て表面が平坦化されることでビットパターンド型の磁気記憶媒体が完成する。
このような従来の製造方法によると、磁気記憶媒体上での磁気ヘッドの浮上特性を安定なものとするために研磨処理では精度の高い平坦化が必要となる。そのため、非常に複雑な製造プロセスを行う必要があるという課題や、製造コストが増大するという課題が生じる。
これらの課題を回避するための方法として、イオンを磁性膜に注入して局所的に磁化状態を変化させることでドットの分離状態を形成する加工方法(イオンドーピング方式)が提案されている。このイオンドーピング方式によれば、イオンを注入して磁気特性を変えるため、エッチングや充填、平坦化などの複雑な製造プロセスが必要なくなり、製造コストの増加を大幅に抑えることが可能となる。
特開平3−022211号公報
ここで、上記のイオンドーピング方式では、局所的に磁化状態を変化させてドットの分離状態を形成するために、イオンの注入が、磁性膜においてドットとなる複数箇所へのイオンの注入を阻害するマスクの上から行われる。
図1は、イオンドーピング方式において行なわれるイオンの注入を模式的に示す図である。
この図1には、非磁性材料の基板81上に、磁性膜を結晶配向させるための下地層82と、磁性膜83と、ダイヤモンドライクカーボンからなる保護層84とが形成された積層物が示されている。そして、磁性膜83においてドットとなる複数箇所83aを覆い、それら複数箇所83aへのイオンの注入を阻害するマスク85が、保護層84上に形成されている。また、下地層82は磁気ヘッドの記録磁界を垂直方向へ急峻に引き込む役割を果たす軟磁性下地層を指すこともある。
ここで、従来、イオンドーピング方式では、多くの場合、上記のようなマスクは、未硬化状態のレジストに所望の形状の型を押し付けて硬化させるといった手順で形成される。この手順ではドットとなる箇所以外の部分にもレジストの残渣が残るが、図1には、このような残渣86も示されている。
図1に示すように、イオンドーピング方式では、このようなマスク85および残渣86の上からイオン87が注入される。ドットとなる複数箇所83aでは、イオン87はマスク85に留まり、ドットとなる箇所83a以外の箇所83bには、上記の残渣86を透過したイオン87が注入される。その結果、そのドットとなる箇所83a以外の箇所83bの磁化状態が変化してドットの分離状態が形成されることとなる。
ところで、一般に、上記の磁性膜等の固体に注入されたイオンは、たとえ垂直に注入されたとしても必ずしも直進するわけではなく横方向に拡散する。そのため、上記のようなマスクの下部にもイオンが注入されてしまうことがある。
図2は、拡散によるマスクの下部へのイオンの注入を模式的に示す図である。
尚、この図2では、図1の保護層84の図示が省略されている。
この図2に示すように、ドットとなる箇所83aの直上からのイオン87は、マスク85に留まるが、残渣86を透過したイオン87の一部が、拡散によって、そのドットとなる箇所83aに進入して注入されることとなる。
ここで、上記のドットとなる箇所83aではなるべく隅々までイオン注入が阻害されていることが望ましく、他方、ドットとなる箇所83a以外の箇所83bにはイオンが満遍なく注入されていることが望ましい。つまり、上記のマスク85で覆われている箇所と他の箇所との境界では、イオンの注入量がなるべく急峻に変化していることが望ましい。しかし、現状では、この境界において上記のようなイオン87の拡散によって、その境界でのイオン注入量の分布における急峻さが損なわれてしまっている。そして、このように急峻さが損なわれれた結果、ドットサイズの縮小化等といった記録密度の低下に結びつく問題が生じてしまっている。
尚、ここまで、ビットパターンド型の磁気記憶媒体の製造方法を例に挙げて、イオン注入を阻害するマスクで覆われている箇所と他の箇所との境界でイオン注入量の分布における急峻さが損なわれるという問題について説明したが、このような問題は、例えば、半導体部品の製造において半導体膜にイオンを注入して所望のデバイス構造を得る場合等にも同様に生じ得る問題である。
本件は、上記事情に鑑み、イオン注入を阻害するマスクで覆われている箇所と他の箇所との境界でのイオン注入量の分布において高い急峻さが得られる膜製造方法と、その膜製造方法を利用して磁性材料の膜が形成された磁気記憶媒体と、そのような磁気記憶媒体が搭載された情報記憶装置とを提供することを目的とする。
上記目的を達成する膜製造方法の基本形態は、
基板上に所定材料の膜を形成する膜形成過程と、
上記膜上に、その膜の一部の箇所を覆いその箇所へのイオンの注入をその箇所以外の箇所に比べて阻害する、厚みが縁で逓減しているマスクを形成するマスク形成過程と、
上記マスクが形成された膜に対してそのマスク上からイオンを注入するイオン注入過程とを有することを特徴とする。
ここで、上記にいう「膜の一部の箇所を覆いその箇所へのイオンの注入をその箇所以外の箇所に比べて阻害する」とは、上記一部の箇所以外の箇所が、上記マスク以外の、例えばマスク形成時に形成される残渣等で覆われている状態を排除するものではなく、あくまでも、上記マスクで覆われている上記一部の箇所へのイオンの注入が、そのマスクによって、そのマスクで覆われていない箇所(残渣等で覆われていても可)に比べて阻害されることを意味している。
この膜製造方法の基本形態によれば、上記一部の箇所へのイオンの注入を阻害するマスクが、厚みが縁で逓減するように形成される。これにより、その一部の箇所の周辺部分についても、ある程度までイオンの注入が阻害されることとなり、その周辺部分からのイオンの拡散量が抑制されることとなる。その結果、この膜製造方法の基本形態によれば、イオン注入を阻害するマスクで覆われている箇所と他の箇所との境界でのイオン注入量の分布において高い急峻さを得ることができる。
また、上記目的を達成する磁気記憶媒体の基本形態は、
基板と、
上記基板上に磁性材料からなる磁性膜を形成して、その磁性膜の複数箇所を覆いその複数箇所それぞれへのイオンの注入をその複数箇所以外の箇所に比べて阻害する、厚みが縁で逓減しているマスクを形成し、さらに、そのマスクが形成された磁性膜に対してそのマスク上からイオンを注入して飽和磁化を低下させることでその複数箇所に得られた、各々に情報が磁気的に記録される複数の磁性ドットと、
上記イオンの注入によって上記複数箇所以外の箇所に得られた、上記磁性ドットの相互間にあって、その磁性ドットの飽和磁化よりも小さい飽和磁化を有するドット間分断帯とを備えたことを特徴とする。
この磁気記憶媒体の基本形態では、上記磁性ドットと上記ドット間分断帯とが、イオン注入を阻害するマスクで覆われている箇所と他の箇所との境界でのイオン注入量の分布において高い急峻さが得られる上記の膜製造方法によって形成される。このため、この磁気記憶媒体の基本形態によれば、上記磁性ドットと上記ドット間分断帯とが高精度のサイズで製造された磁気記憶媒体を得ることができる。
また、上記目的を達成する情報記憶装置の基本形態は、
基板と、
上記基板上に磁性材料からなる磁性膜を形成して、その磁性膜の複数箇所を覆いその複数箇所それぞれへのイオンの注入をその複数箇所以外の箇所に比べて阻害する、厚みが縁で逓減しているマスクを形成し、さらに、そのマスクが形成された磁性膜に対してそのマスク上からイオンを注入して飽和磁化を低下させることでその複数箇所に得られた、各々に情報が磁気的に記録される複数の磁性ドットと、
上記イオンの注入によって上記複数箇所以外の箇所に得られた、上記磁性ドットの相互間にあって、その磁性ドットの飽和磁化よりも小さい飽和磁化を有するドット間分断帯とを備えた磁気記憶媒体と、
上記磁気記憶媒体に近接あるいは接触して上記磁性ドットに磁気的に情報の記録及び/又は再生を行う磁気ヘッドと
上記磁気ヘッドを上記磁気記憶媒体表面に対して相対的に移動させて、その磁気ヘッドによる情報の記録及び/又は再生となる磁性ドット上にその磁気ヘッドを位置決めするヘッド位置制御機構と、
を備えたことを特徴とする。
この情報記録装置の基本形態によれば、上記磁性ドットと上記ドット間分断帯とが高精度のサイズで製造された上記の磁気記憶媒体が搭載されていることから、高精度での情報記録等が可能となる。
以上、説明したように、本件によれば、イオン注入を阻害するマスクで覆われている箇所と他の箇所との境界でのイオン注入量の分布において高い急峻さが得られる膜製造方法と、その膜製造方法を利用して磁性材料の膜が形成された磁気記憶媒体と、そのような磁気記憶媒体が搭載された情報記憶装置とを得ることができる。
以下、上記に基本形態について説明した膜製造方法、磁気記憶媒体、および情報記憶装置の具体的な実施形態について、図面を参照して説明する。
図3は、情報記憶装置の具体的な一実施形態であるハードディスク装置(HDD)の内部構造を示す図である。
この図に示すハードディスク装置(HDD)100は、パーソナルコンピュータなどといった上位装置に組み込まれ、その上位装置における情報記憶手段として利用されるものである。
このハードディスク装置100には、表裏面に対して垂直な方向の磁化による磁気パターンで情報が記録されるいわゆる垂直磁気記憶媒体である円盤状の磁気ディスク10が、図の奥行き方向に重なって複数枚ハウジングH内に納められている。また、これらの磁気ディスク10は、ビット情報が記録されるドットが予め表裏面の各箇所に形成されているいわゆるビットパターンド型の磁気記憶媒体でもある。これらの磁気ディスク10はディスク軸11を中心に回転する。これらの磁気ディスク10は、上記で基本形態について説明した磁気記憶媒体の具体的な一実施形態に相当する。
また、ハードディスク装置100のハウジングH内には、磁気ディスク10の表裏面に沿って移動するスイングアーム20、スイングアーム20の駆動に用いられるアクチュエータ30、および制御回路50も納められている。
スイングアーム20は、磁気ディスク10の表裏面に対して情報の書き込みと読み出しとを行う磁気ヘッド21を先端に保持しており、ベアリング24によってハウジングHに回動自在に支持されており、ベアリング24を中心として所定角度の範囲内で回動することによって、磁気ヘッド21を磁気ディスク10の表裏面に沿って移動させる。この磁気ヘッド21が、上述した情報記憶装置の基本形態における磁気ヘッドの一例に相当する。
磁気ヘッド21による情報の読み書きやスイングアーム20の移動は制御回路50によって制御されており、上位装置との情報の遣り取りもこの制御回路50を介して行われる。
上記のスイングアーム20とベアリング24とアクチュエータ30と制御回路50とを合わせたものが、上述した情報記憶装置の基本形態におけるヘッド位置制御機構の一例に相当する。
図4は、ビットパターンド型の磁気ディスクの構造を模式的に示す斜視図である。
この図4には、円板状の磁気ディスクから切り出された一部が示されている。
図4に示す磁気ディスク10は、基板S上に複数の磁性ドットQが規則的な配列で並べられた構造を有しており、磁性ドットQのそれぞれには1ビット相当の情報が磁気的に記録される。磁性ドットQは磁気ディスク10の中心の周りに周回状に並んでおり、磁性ドットの列はトラックTを形成する。
磁性ドットQの相互間は、磁気異方性および飽和磁化が磁性ドットQの磁気異方性および飽和磁化よりも低いドット間分断帯となっており、このドット間分断帯によって磁性ドットQどうしの磁気的相互作用が小さくなっている。
このように磁性ドットQどうしの磁気的相互作用が小さいと、磁性ドットQに対する情報の記録再生に際してもトラックT相互間での磁気的相互作用が小さいため、トラック相互間でのいわゆる干渉が少ない。また、記録される情報ビットの境界が熱で揺らぐことがなく、いわゆる熱揺らぎ現象も回避される。従って、この図4に示すようなビットパターンド型の磁気ディスク10によれば、トラック幅の縮小や記録ビット長の短縮が可能で、高記録密度の磁気記憶媒体が実現可能である。
この磁気ディスク10の製造方法について以下説明する。本実施形態では、この磁気ディスク10の製造方法に、基本形態について上記説明した膜製造方法が適用されている。
尚、基本形態について上記説明した膜製造方法の適用は、このような磁気ディスクの製造方法に限られず、この膜製造方法は、例えば、半導体膜にイオンを注入して所望のデバイス構造を得る半導体部品の製造方法等にも適用することができる。
図5は、基本形態について上記説明した膜製造方法が適用された磁気ディスク製造方法を示す図である。
ここで、上述した膜製造方法の基本形態に対し、
「上記膜形成過程が、上記基板上に磁性材料からなる磁性膜を形成する過程であり、
上記マスク形成過程が、各々に情報が磁気的に記録される磁性ドットとなる複数箇所それぞれを覆ったマスクを形成する過程であり、
上記イオン注入過程が、上記マスクが形成された磁性膜に対してそのマスク上からイオンを注入して飽和磁化を低下させることで、上記磁性ドットの相互間に、その磁性ドットの飽和磁化よりも小さい飽和磁化を有するドット間分断帯を形成する過程である」という応用形態が考えられる。
この応用形態によれば、上記磁性ドットと上記ドット間分断帯とを確実に所望のサイズで形成することでがきる。
以下に説明する膜製造方法は、このような応用形態に対する具体的な一実施形態でもある。
この図5に示す磁気ディスク製造方法では、まず、製膜工程(A)で、ガラス基板61上に磁性層62が形成される。この製膜工程(A)は、上述した膜製造方法の基本形態における膜形成過程の一例に相当し、この磁性層62は、Coの原子層62aとPdの原子層62bとが交互に積層されてなる人工格子構造を有している。Coの原子層62aとPdの原子層62bとの膜厚構成については、Pdの原子層62bの厚さがCoの原子層62aの厚さよりも厚いことが、磁性層62を構成するためには必要である。また、Coの原子層62aは2nmが膜厚の上限となっており、この膜厚は約7原子分の厚みに相当する。この上限を超えた膜厚をCoの原子層62aが有する場合には、人工格子と言えるような物理的性質も失われていると考えられる。
また、この上記人工格子構造は、Co原子層と白金属の原子層を交互に積層された構造であることや、Co原子層とPd原子層を交互に積層された構造であることが好ましい。Co原子層と白金属の原子層を交互に積層してなる人工格子構造の磁性膜は磁気的特性に優れていると共に、後述するようにイオン注入によってその磁気的特性が容易に劣化するからであり、Co原子層とPd原子層を交互に積層してなる人工格子構造の磁性膜であると、より磁気的特性に優れているからである。この図5に示す製膜工程(A)で形成される人工格子構造は、これらの好ましい人工格子構造の一例に相当する。
なお、上述した応用形態における磁性膜は、人工格子構造を有するものに限定されず、単層の磁性膜であっても良い。例えば、Co-Cr-Pt合金からなる磁性膜や、Co-Cr-Pt-SiO合金からなる磁性膜が例として挙げられる。
また、人工格子構造の磁性膜を構成するための材料は、ここに示された好適な材料には限定されず、人工格子構造で磁性膜を構成可能なことが知られている任意の材料を用いることが出来る。但し、以下の説明ではCoとPdで磁性膜が構成されているものとして説明を続ける。
この図5に示す製膜工程(A)では、より具体的には、よく洗浄されたガラス基板61がマグネトロンスパッタ装置にセットされ、5×10−5Pa以下まで真空排気された後、ガラス基板61を加熱せず0.67PaのArガス圧にて、(111)結晶配向したfcc−Pdが、磁性層を結晶配向させるための下地層として5nmの膜厚で成膜される。
続いて、大気圧に戻すことなく連続して、Co/Pd人工格子からなる磁性層62が、0.67PaのArガス圧にて、0.3/0.35nmの膜厚構成で8層繰り返し積層される。この膜厚構成は、Coの単原子層とPdの単原子層とが繰り返す人工格子を意味している。磁性層62が成膜された後には、ダイヤモンドライクカーボンが保護層として1nmの膜厚で成膜される。
尚、図5では、上記の下地層と保護層とについては図示が省略されている。
次に、ナノインプリント工程(B)では、磁性層62上に、紫外線硬化樹脂からなるレジスト63が塗布され、そのレジスト63に、ナノサイズの穴64aが空いたモールド64が載せられることによってレジスト63がそのナノサイズの穴64aに入ってレジスト63のドット(レジストドット)63aとなり、そのモールド64越しにレジスト63に紫外線が照射されることでレジスト63が硬化してレジストドット63aが磁性層62上にプリントされる。また、レジストドット63a間には、レジストの残渣63bが残される。レジスト63が硬化した後モールド64は除去される。この図5に示すナノインプリント工程(B)は、上述の膜製造方法の基本形態におけるマスク形成過程の一例に相当し、上記のレジストドット63aが、上述の基本形態におけるマスクの一例に相当する。
ここで、上述した膜製造方法の基本形態に対し、上記マスク形成過程が、上記マスクをレジストで形成する過程であるという応用形態は好適であり、上記マスク形成過程が、上記マスクを、レジストと型とを用いてその型をそのレジストに押し付ける型押しによって形成する過程であるという応用形態も好適である。レジストによるマスク形成は技術的に安定していて精度の良いマスク形成が期待でき、例えばナノインプリントプロセス等といった型押しによるマスク形成は、ナノレベルでのマスクパターンを容易に作成することが出来て好ましい。この図5に示すナノインプリント工程(B)は、これらの好適な応用形態におけるマスク形成過程の一例にも相当している。
ここで、本実施形態では、上記のレジストドット63aの形状として、厚みが縁でステップ状に減少する形状が採用されている。本実施形態では、レジストドット63aにおけるこのような形状により、後述のイオンの注入時に、磁性層62において磁性ドットとなる箇所とドット間分断帯となる他の箇所との境界での、イオン注入量の分布における高い急峻さが実現され、その結果、磁性ドットやドット間分断帯が確実に所望のサイズで形成されることとなっている。
このことは、上述した膜製造方法の基本形態に対し、上記マスク形成過程が、厚みが縁でステップ状に減少するマスクを形成する過程であるという応用形態が好適であることを意味している。この図5に示すナノインプリント工程(B)は、この好適な応用形態におけるマスク形成過程の一例にも相当している。
図6は、図5に示すレジストドットのステップ状に厚みが減少する縁の拡大断面を、磁性膜における、磁性ドットとなる箇所と他の箇所との境界でのイオン注入量の分布と共に示す図である。
この図6のパート(a)には、図5に示すレジストドット63aの縁の拡大断面が示され、パート(b)には、磁性ドットとなる箇所と他の箇所との境界でのイオン注入量の分布を示すグラフが示されている。
図6のパート(a)に示すように、レジストドット63aは、磁性ドットとなる箇所を覆う主要部分63a_1と、その主要部分63a_1を囲む、その主要部分63a_1よりも低いステップ部分63a_2とで構成されている。
ここで、従来、磁性ドットとなる箇所へのイオンの注入を阻害するために設けられるレジストドットとしては、図6のパート(a)に示す主要部分63a_1のみからなるレジストドットが採用されていることが多い。その場合、磁性ドットとなる箇所以外の箇所に注入されたイオンの一部が拡散して、磁性ドットとなる箇所と他の箇所との境界でのイオン注入量の分布における急峻さが損なわれてしまう。
図6のパート(b)のグラフには、本実施形態のレジストドット63aを採用した場合の、上記の境界でのイオン注入量の分布が実線で示され、従来のレジストドットを採用した場合のイオン注入量の分布が点線で示されている。両者を比較すると分かるように、本実施形態のレジストドット63aを採用した場合の方が、この境界でのイオン注入量の分布における急峻さが高い。これは、磁性ドットとなる箇所以外の箇所に向かうイオンの一部が、上記のステップ部分63a_2によって遮断され、その結果、磁性ドットとなる箇所へと拡散するイオンの量が低減されることによる。
また、本実施形態では、この図6のパート(a)に示すレジストドット63aにおける主要部分63a_1の高さH1、ステップ部分63a_2の高さH2、およびステップ部分63a_2の幅Wは、各々以下に説明するように決定される。
まず、主要部分63a_1の高さH1の決定について説明する。
本実施形態では、この主要部分63a_1の高さH1が、レジスト表面の一ヶ所から注入されたイオンのレジスト内部での拡散についてのモンテカルロシミュレーションによるシミュレーション結果に基づいて決定される。
図7は、レジスト表面の一ヶ所から注入された5000個のNイオンのレジスト内部での拡散についてのモンテカルロシミュレーションによるシミュレーション結果を示す図であり、図8は、図7のシミュレーション結果における深さ方向のNイオンの分布を示す図である。
この図7に示すように、ある加速電圧で注入されたイオンは、その加速電圧に応じた深さを中心に広く分布する。
そして、図8から、上記の主要部分63a_1が、イオンを下部へ通過させないためには、最大の注入深さMax以上の高さが必要であることが分かる。ここで、この図8に示す分布はほぼ正規分布となっており、最大の注入深さMaxは、平均注入深さを「Ave.」とし、この分布における標準偏差を「sd」としすると、以下の式で表わされる。
Max=Ave.+3sd……(1)
ここで、この最大の注入深さMaxは、注入されるイオンのエネルギー(加速電圧)に依存する。
図9は、窒素(N)、酸素(O)、およびフッ素の3種類のイオンについて、最大注入深さの加速電圧に対する依存性を示すグラフである。
この図9では、窒素イオンについての依存性が菱形印でプロットされ、酸素イオンについての依存性が丸印でプロットされ、フッ素イオンについての依存性が三角印でプロットされている。
一般に、数100Gb/in以上の高密度記録に対応したハードディスク媒体への適用の場合、媒体表面の平坦さを損なわないため等といった理由から、イオンの加速電圧は2〜10keVの範囲に抑える必要がある。
ここで、窒素や酸素については、実用上使用されるイオンが、N やO となっている。これらのイオンでは、レジストに注入される瞬間に、それぞれ二つのNやOに分かれ、持っているエネルギーも1/2ずつに分割される。このため、レジスト中では、イオンは、1〜5keVの範囲の加速電圧に相当するエネルギーを持つこととなる。図9のグラフから、この範囲に相当するイオンの最大注入深さは、5〜40nmとなることが読み取れる。
また、イオンの注入中には、レジストが10〜15nm程度エッチングされる(5keV,2E+16/cmでのN の注入時)。本実施形態では、イオンの加速電圧として5keVを想定し、このエッチングによる減少分を考慮して、上記の主要部分63a_1の高さH1が約60nmに決定されている。
次に、図6に示すステップ部分63a_2の高さH2の決定について説明する。
本実施形態では、このステップ部分63a_2の高さH2についても、上記のモンテカルロシミュレーションによるシミュレーション結果に基づいて決定される。
本実施形態では、上記の主要部分63a_1の下部が、この主要部分63a_1によってイオンから保護されて磁性ドットとなり、他の箇所がイオン注入による磁気特性の変化によってドット間分断帯となる。このとき、磁性ドットとドット間分断帯とが確実に所望のサイズで形成されるためには、主要部分63a_1の下部と他の箇所との境界でのイオン注入量の分布において高い急峻さが得られる必要がある。
本実施形態では、この境界でのイオン注入量の分布における高い急峻さを実現するために、主要部分63a_1の下部と他の箇所との境界がステップ部分63a_2で覆われることとなっている。即ち、このステップ部分63a_2によって、上記の境界におけるイオン注入量の調整が図られている。そして、この境界でのイオン注入量の分布において高い急峻さを実現するためには、このステップ部分63a_2において、磁性層62へと到達するイオンの数を、全注入量のおよそ1/2〜1/3に制限することが有効である。
このことから、ステップ部分63a_2の高さH2については、レジスト中でのイオンの数が全注入量のおよそ1/2に減少する上記の平均注入深さ「Ave.」とほぼ同じ高さか、少し高めの高さに設定するのが良いことが分かる。
上記の図8に示すように注入されたイオンの分布は、深さ方向にほぼ正規分布となるため、ステップ部分63a_2の高さH2を、平均注入深さ「Ave.」よりも標準偏差「sd」だけ高くすれば、磁性膜への到達量をほぼ1/3(正確には31.7%)に減らすことができる。つまり、ステップ部分63a_2の高さH2は、平均注入深さ「Ave.」〜平均注入深さ「Ave.」+標準偏差「sd」の範囲に設定するのが良い。
図10は、窒素(N)、酸素(O)、およびフッ素の3種類のイオンについて、加速電圧に対する平均注入深さの依存性を示すグラフであり、図11は、窒素(N)、酸素(O)、およびフッ素の3種類のイオンについて、加速電圧に対する標準偏差の依存性を示すグラフである。
これら図10および図11でも、窒素イオンについての依存性が菱形印でプロットされ、酸素イオンについての依存性が丸印でプロットされ、フッ素イオンについての依存性が三角印でプロットされている。尚、これらの図では、上記の依存性は0keVまではプロットされていないが、加速電圧が0keVに近くなると、平均注入深さは急激に減少する。
まず、図10から、1〜5keVの範囲の加速電圧に対しては、平均注入深さ「Ave.」が、およそ2.5〜20nmとなり、図11から、標準偏差「sd」が、およそ2〜7nmとなる。
そして、本実施形態では、イオンの加速電圧として5kevが想定され、ステップ部分63a_2の高さH2についての上記の望ましい範囲として、約20〜27nmが得られている。
次に、図6に示すステップ部分63a_2の幅Wの決定について説明する。
本実施形態では、このステップ部分63a_2の幅Wについては、イオンの、磁性膜内部での拡散についてのモンテカルロシミュレーションによるシミュレーション結果(図示については省略する)に基づいて決定される。
ここで、本実施形態では、このステップ部分63a_2の幅Wが、上記のシミュレーション結果における、イオンの、磁性膜の深さ方向と交わる面内方向の分布についての標準偏差「sp」を使って求められる。
図12は、ステップ部分の幅を、磁性膜の深さ方向と交わる面内方向の分布についての標準偏差を単位として9段階に変化させたときの、各段階における、磁性ドットとなる箇所と他の箇所との境界におけるイオン注入量の分布を示すグラフである。
この図12のパート(a)には、ステップ部分63a_2の幅が「0」であるときの分布を示す図が示され、パート(b)には、ステップ部分63a_2の幅が「0.1sp」であるときの分布を示す図が示され、パート(c)には、ステップ部分63a_2の幅が「0.5sp」であるときの分布を示す図が示され、パート(d)には、ステップ部分63a_2の幅が「1.0sp」であるときの分布を示す図が示され、パート(e)には、ステップ部分63a_2の幅が「1.5sp」であるときの分布を示す図が示され、パート(f)には、ステップ部分63a_2の幅が「1.8sp」であるときの分布を示す図が示され、パート(g)には、ステップ部分63a_2の幅が「1.9sp」であるときの分布を示す図が示され、パート(h)には、ステップ部分63a_2の幅が「2.0sp」であるときの分布を示す図が示され、パート(i)には、ステップ部分63a_2の幅が「3.0sp」であるときの分布を示す図が示されている。
また、パート(b)からパート(i)までの各図では、各ステップ部分63a_2についての分布が実線で示され、さらに、ステップ部分63a_2の幅が「0」であるときの分布、即ちステップ部分63a_2が存在しないときの分布が比較のために点線で示されている。
ここで、この図12に示す各グラフでは、縦軸にイオン注入量がとられ、横軸に上記の境界における位置がとられている。
また、上記の横軸では、境界における位置が、磁性ドットとなる箇所に近付くにつれてイオン注入量が減少を始める位置を原点とし、面内方向の分布についての標準偏差「sp」を単位として表示されている。ここで、パート(b)からパート(i)までの各グラフにおいて実線で示されている分布の横軸における原点は、図6に示すステップ部分63a_2の、主要部分63a_1とは反対側の縁に対応する位置である。一方で、パート(b)からパート(i)までの各グラフにおいて点線で示されている分布の横軸における原点は、図6に示す主要部分63a_1のステップ部分63a_2側の縁に対応する位置である。このように、パート(b)からパート(i)までの各グラフにおいて、実線の分布と点線の分布とでは原点が異なっているが、これらのグラフでは、上記の境界におけるイオン注入量の分布の急峻さを比較するために、これら2種類の分布が、原点を合わせて表記されている。
これら図12の各グラフから、上記の境界におけるイオン注入量の分布において高い急峻さを得るためには、ステップ部分63a_2の幅Wについて適当な範囲があることがわかる。具体的には、上記の面内方向の分布についての標準偏差「sp」を単位としたときに、ステップ部分63a_2の幅Wが、「0.1sp」〜「2sp」の範囲となったときに、イオン注入量の分布において高い急峻さが得られている。これに対し、ステップ部分63a_2の幅Wが「2sp」を越えると、イオン注入量の分布が広がってしまい、逆効果である。以上から、ステップ部分63a_2の幅Wとしては、「0.1sp」〜「2sp」の範囲が良いと言える。
このことは、上述の基本形態に対し、
「上記マスク形成過程が、上記所定箇所の縁からその所定箇所以外の箇所に向かって厚みがステップ状に変化する、ステップの幅が、その所定箇所以外の箇所に注入されたイオンのその所定箇所に向けての拡散分布における標準偏差の2倍以下の幅となるマスクを形成する過程である」という応用形態が好適であることを意味している。
上述の図5に示すナノインプリント工程(B)は、この好適な応用形態の一例にも相当している。
ここで、上述したように、このナノインプリント工程(B)では各レジストドット63aの間にレジストの残渣63bが残される。このとき、上記の主要部分63a_1の端部からのイオンの拡散の程度、即ち、上記の面内方向の分布についての標準偏差「sp」は、このレジストの残渣63bの厚みに依存する。
図13は、主要部分の端部からのイオンの拡散における面内方向の分布についての標準偏差の、レジストの残渣に対する依存性を示すグラフである。
このグラフでは、図5に示す本実施形態の制膜工程(A)における諸条件に応じて、磁性層62の厚みが5.2nmに設定され、保護層の厚みが1nmに設定され、イオン注入における加速電圧が5keVに設定されている。また、レジストの残渣63bの厚みが、現実的な値として1〜10nmに設定されている。その結果、この図13のグラフからわかるように、面内方向の分布についての標準偏差「sp」は1.6〜2.7nmの範囲となる。
この結果を受けて、本実施形態では、図6のステップ部分63a_2の幅Wとして標準偏差「sp」の2倍の値が採用され、このステップ部分63a_2の幅Wについての望ましい範囲として、3.2〜5.4nmが得られている。
以上で、図5に示すナノインプリント工程(B)で形成されるレジスト63におけるレジストドット63aの形状についての説明を終了し、再び、この図5に戻って、磁気ディスク製造方法の続きについて説明する。
ナノインプリント工程(B)の後はイオン注入工程(C)に進み、レジストドット63aがプリントされている磁性膜62の上部から酸素イオンまたは窒素イオンを照射して、レジスト63のレジストドット63aで保護された磁性ドット62cを残して磁性膜62にイオンを注入することで飽和磁化を減少させる。このイオン注入工程(C)が、上述した膜製造方法の基本形態におけるイオン注入過程の一例に相当する。
このようにイオンが注入された箇所の磁性膜62は、人工格子構造内にイオンが留まって人工格子構造が歪み保磁力および飽和磁化が低下する。イオン注入の後はレジストのレジストドット63aは化学的処理で除去される。
このようなイオン注入工程(C)を経ることにより、磁性ドット62cの相互間に、磁性ドット62cどうしの磁気的な相互作用を分断するドット間分断帯62dが形成されてビットパターンド型の磁気記録媒体10の完成(D)となる。ドット間分断帯62dでは飽和磁化が磁性ドット62cの飽和磁化よりも十分に低いため、情報は磁性ドット62cのみに記録され、ドット間分断帯62dには情報は記録されない。
この図4に示す製造方法で製造される磁気記録媒体10では、表面を構成している磁性ドット62cとドット間分断帯62dとの平滑性は、製膜工程(A)で形成された磁性膜62における平滑性がそのまま維持されたものとなっているため、図1に示す従来技術のような平坦化工程は不要となり、この図4に示す製造方法は簡素な方法となっている。
また、この図4に示す製造方法では磁性膜62上にプリントされたレジストのレジストドット63aで磁性ドット62cを保護しており、磁気記録媒体10全面に同時にイオンを照射することができ、必要な箇所へのイオン注入を数秒間のイオン照射によって十分に実現できるので量産性を損なわない。
そして、上述したように、本実施形態では、上記のレジストドット63aにおける主要部分63a_1とステップ部分63a_2との2段構造により、イオン注入の際に、磁性ドット62cとなる箇所と他の箇所との境界でのイオン注入量の分布における高い急峻さが得られることとなっている。その結果、磁性ドット62cとドット間ドット間分断帯62dとについて高精度のサイズで製造することが可能となっている。
尚、本実施形態では、上述の膜製造方法の基本形態におけるマスク形成過程の一例として、主要部分とステップ部分との2段構造を有し、厚みがステップ状に変化する図6等に示すレジストドット63aを形成するナノインプリント工程を例示したが、上記のマスク形成過程はこれに限るものではなく、例えば、以下に説明するように、厚みが縁で連続的に減少するレジストドットを形成する工程等であっても良い。
図14は、厚みが連続的に変化するレジストドットを示す図である。
この図14のパート(a)には、厚みが連続的に変化するレジストドットの一例として、主要部分71aと、その主要部分71aの側面の上端から厚みが連続的に減少する第1の斜面部分71bとで構成された第1のレジストドット71が示されている。また、図14のパート(b)には、主要部分72aと、その主要部分72aの側面の途中から厚みが連続的に減少する第2の斜面部分72bとで構成された第2のレジストドット72が示されている。
この図14に示されている2種類のレジストドット71,72では、いずれも各斜面部分71b,72bの下端の幅についての望ましい範囲が、上述の図6に示すステップ部分63a_2の幅Wと同等の3.2〜5.4nmとなっている。
この図14に示す2種類のレジストドット71,72でも、各レジストドットが備える斜面部分によって、イオン注入の際に、磁性ドット62cとなる箇所と他の箇所との境界でのイオン注入量の分布における高い急峻さが得られることとなっている。
尚、上記では、上記のレジストドットにおける各部の寸法について、イオン注入における加速度電圧等の具体的な想定に基づいて具体的な数値を示したが、この各部の寸法は、それら具体的な数値に限るものではなく他の値であっても良い。
以下、上述した基本形態および応用形態を含む種々の形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
基板上に所定材料の膜を形成する膜形成過程と、
前記膜上に、該膜の一部の箇所を覆い該箇所へのイオンの注入を該箇所以外の箇所に比べて阻害する、厚みが縁で逓減しているマスクを形成するマスク形成過程と、
前記マスクが形成された膜に対して該マスク上からイオンを注入するイオン注入過程とを有することを特徴とする膜製造方法。
(付記2)
前記マスク形成過程が、厚みが縁でステップ状に減少するマスクを形成する過程であることを特徴とする付記1記載の膜製造方法。
(付記3)
前記マスク形成過程が、厚みが縁でステップ状に減少する、ステップの幅が、前記膜に注入されたイオンの拡散分布における標準偏差の2倍以下の幅となっているマスクを形成する過程であることを特徴とする付記1又は2記載の膜製造方法。
(付記4)
前記マスク形成過程が、厚みが縁で連続的に減少するマスクを形成する過程であることを特徴とする付記1記載の膜製造方法。
(付記5)
前記マスク形成過程が、前記マスクをレジストで形成する過程であることを特徴とする付記1から4のうちいずれか1項記載の膜製造方法。
(付記6)
前記マスク形成過程が、前記マスクを、レジストと型とを用いて該型を該レジストに押し付ける型押しによって形成する過程であることを特徴とする付記1から5のうちいずれか1項記載の膜製造方法。
(付記7)
前記膜形成過程が、前記基板上に磁性材料からなる磁性膜を形成する過程であり、
前記マスク形成過程が、各々に情報が磁気的に記録される磁性ドットとなる複数箇所それぞれを覆ったマスクを形成する過程であり、
前記イオン注入過程が、前記マスクが形成された磁性膜に対して該マスク上からイオンを注入して飽和磁化を低下させることで、前記磁性ドットの相互間に、該磁性ドットの飽和磁化よりも小さい飽和磁化を有するドット間分断帯を形成する過程であることを特徴とする付記1から6のうちいずれか1項記載の膜製造方法。
(付記8)
基板と、
前記基板上に磁性材料からなる磁性膜を形成して、該磁性膜の複数箇所を覆い該複数箇所それぞれへのイオンの注入を該複数箇所以外の箇所に比べて阻害する、厚みが縁で逓減しているマスクを形成し、さらに、該マスクが形成された磁性膜に対して該マスク上からイオンを注入して飽和磁化を低下させることで該複数箇所に得られた、各々に情報が磁気的に記録される複数の磁性ドットと、
前記イオンの注入によって前記複数箇所以外の箇所に得られた、前記磁性ドットの相互間にあって、該磁性ドットの飽和磁化よりも小さい飽和磁化を有するドット間分断帯とを備えたことを特徴とする磁気記憶媒体。
(付記9)
基板と、
前記基板上に磁性材料からなる磁性膜を形成して、該磁性膜の複数箇所を覆い該複数箇所それぞれへのイオンの注入を該複数箇所以外の箇所に比べて阻害する、厚みが縁で逓減しているマスクを形成し、さらに、該マスクが形成された磁性膜に対して該マスク上からイオンを注入して飽和磁化を低下させることで該複数箇所に得られた、各々に情報が磁気的に記録される複数の磁性ドットと、
前記イオンの注入によって前記複数箇所以外の箇所に得られた、前記磁性ドットの相互間にあって、該磁性ドットの飽和磁化よりも小さい飽和磁化を有するドット間分断帯とを備えた磁気記憶媒体と、
前記磁気記憶媒体に近接あるいは接触して前記磁性ドットに磁気的に情報の記録及び/又は再生を行う磁気ヘッドと
前記磁気ヘッドを前記磁気記憶媒体表面に対して相対的に移動させて、該磁気ヘッドによる情報の記録及び/又は再生となる磁性ドット上に該磁気ヘッドを位置決めするヘッド位置制御機構と、
を備えたことを特徴とする情報記憶装置。
イオンドーピング方式において行なわれるイオンの注入を模式的に示す図である。 拡散によるマスクの下部へのイオンの注入を模式的に示す図である。 情報記憶装置の具体的な一実施形態であるハードディスク装置(HDD)の内部構造を示す図である。 ビットパターンド型の磁気ディスクの構造を模式的に示す斜視図である。 基本形態について上記説明した膜製造方法が適用された磁気ディスク製造方法を示す図である。 図5に示すレジストドットのステップ状に厚みが減少する縁の拡大断面を、磁性膜における、磁性ドットとなる箇所と他の箇所との境界でのイオン注入量の分布と共に示す図である。 レジスト表面の一ヶ所から注入された5000個のNイオンのレジスト内部での拡散についてのモンテカルロシミュレーションによるシミュレーション結果を示す図である。 図7のシミュレーション結果における深さ方向のNイオンの分布を示す図である。 窒素(N)、酸素(O)、およびフッ素の3種類のイオンについて、最大注入深さの加速電圧に対する依存性を示すグラフである。 窒素(N)、酸素(O)、およびフッ素の3種類のイオンについて、加速電圧に対する平均注入深さの依存性を示すグラフである。 窒素(N)、酸素(O)、およびフッ素の3種類のイオンについて、加速電圧に対する標準偏差の依存性を示すグラフである。 ステップ部分の幅を、磁性膜の深さ方向と交わる面内方向の分布についての標準偏差を単位として9段階に変化させたときの、各段階における、磁性ドットとなる箇所と他の箇所との境界におけるイオン注入量の分布を示すグラフである。 主要部分の端部からのイオンの拡散における面内方向の分布についての標準偏差の、レジストの残渣に対する依存性を示すグラフである。 厚みが連続的に変化するレジストドットを示す図である。
符号の説明
100 ハードディスク装置
10 磁気ディスク
11 ディスク軸
20 スイングアーム
21 磁気ヘッド
24 ベアリング
30 アクチュエータ
50 制御回路
61 ガラス基板
62 磁性層
62a Coの原子層
62b Pdの原子層
62c 磁性ドット
62d ドット間分断帯
63 レジスト
63a レジストドット
63a_1,71a,72a 主要部分
63a_2 ステップ部分
63b 残渣
64 モールド
64a 穴
71 第1のレジストドット
71b 第1の斜面部分
72 第2のレジストドット
72b 第2の斜面部分
81 基板
82 下地層
83 磁性膜
83a,83b 箇所
84 保護層
85 マスク
86 残渣
87 イオン

Claims (2)

  1. 基板上に所定材料の膜を形成する膜形成過程と、
    前記膜上に、該膜の一部の箇所を覆い該箇所へのイオンの注入を該箇所以外の箇所に比べて阻害する、厚みが縁で逓減しているマスクを形成するマスク形成過程と、
    前記マスクが形成された膜に対して該マスク上からイオンを注入するイオン注入過程とを有し、
    前記マスク形成過程が、厚みが縁でステップ状に減少する、ステップの幅が、前記膜に注入されたイオンの拡散分布における標準偏差の2倍以下の幅となっているマスクを形成する過程であることを特徴とする膜製造方法。
  2. 前記マスク形成過程が、前記マスクをレジストで形成する過程であることを特徴とする請求項1記載の膜製造方法。
JP2008279930A 2008-10-30 2008-10-30 膜製造方法 Active JP5398228B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008279930A JP5398228B2 (ja) 2008-10-30 2008-10-30 膜製造方法
PCT/JP2009/068186 WO2010050399A1 (ja) 2008-10-30 2009-10-22 膜製造方法、磁気記憶媒体、および情報記憶装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008279930A JP5398228B2 (ja) 2008-10-30 2008-10-30 膜製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010108551A JP2010108551A (ja) 2010-05-13
JP5398228B2 true JP5398228B2 (ja) 2014-01-29

Family

ID=42128762

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008279930A Active JP5398228B2 (ja) 2008-10-30 2008-10-30 膜製造方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP5398228B2 (ja)
WO (1) WO2010050399A1 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5002692B2 (ja) 2010-09-01 2012-08-15 株式会社東芝 磁気記録媒体の製造方法
CN104485278A (zh) * 2014-12-12 2015-04-01 深圳市华星光电技术有限公司 一种阵列基板的掺杂方法和掺杂设备

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3034879B2 (ja) * 1989-07-06 2000-04-17 株式会社日立製作所 磁気ディスクの製造方法
JPH05205257A (ja) * 1992-01-28 1993-08-13 Toshiba Corp 磁気記録媒体
JP2008135092A (ja) * 2006-11-27 2008-06-12 Showa Denko Kk 磁気記録媒体の製造方法、及び磁気記録再生装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010108551A (ja) 2010-05-13
WO2010050399A1 (ja) 2010-05-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5264209B2 (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法
JP5422912B2 (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法及び磁気記録再生装置
JP2009199691A (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法
WO2010058793A1 (ja) 磁気記憶媒体製造方法、磁気記憶媒体、および情報記憶装置
JP5398228B2 (ja) 膜製造方法
JP5186345B2 (ja) 磁気記録媒体の製造方法
US8277874B2 (en) Manufacturing method of magnetic recording medium, the magnetic recording medium, and magnetic recording and reproducing apparatus
JP5415745B2 (ja) 磁気記憶媒体製造方法、磁気記憶媒体、および情報記憶装置
JP4319060B2 (ja) 磁性膜の形成方法、磁性パターンの形成方法及び磁気記録媒体の製造方法
JP5394729B2 (ja) 磁気記憶媒体製造方法、磁気記憶媒体、および情報記憶装置
JP4319059B2 (ja) 磁性膜の形成方法、磁性パターンの形成方法及び磁気記録媒体の製造方法
JP2009238273A (ja) 磁気記録媒体の製造方法及び磁気記録媒体及び磁気記録再生装置
JP5030935B2 (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法並びに記憶装置
JP4319057B2 (ja) 磁性膜の形成方法、磁性パターンの形成方法及び磁気記録媒体の製造方法
WO2010058792A1 (ja) 磁気記憶媒体製造方法、磁気記憶媒体、および情報記憶装置
WO2010010843A1 (ja) 磁気記録媒体製造方法、磁気記録媒体、および情報記憶装置
JP5394688B2 (ja) 磁気記憶媒体製造方法、磁気記憶媒体、および情報記憶装置
JP2010134975A (ja) 磁気記憶媒体製造方法、磁気記憶媒体、および情報記憶装置
JP5329212B2 (ja) 磁気記憶媒体製造方法
JP2006147046A (ja) 磁気記録媒体、磁気記録媒体の製造方法、および磁気記録装置
JP2010097634A (ja) 磁気記録媒体および情報記憶装置
JP2010277648A (ja) 磁気記録媒体の製造方法、磁気記録媒体および情報記憶装置
JP2010123170A (ja) 磁気記憶媒体、磁気記録装置及び磁気記憶媒体の製造方法
JP2010140558A (ja) 磁気記憶媒体、情報記憶装置、および磁気記憶媒体製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110523

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130725

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130924

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131015

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131022

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5398228

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250