JP5394729B2 - 磁気記憶媒体製造方法、磁気記憶媒体、および情報記憶装置 - Google Patents

磁気記憶媒体製造方法、磁気記憶媒体、および情報記憶装置 Download PDF

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Description

本件は、磁気記憶媒体を製造する製造方法、磁気記憶媒体、および磁気記憶媒体を備えた情報記憶装置に関する。
ハードディスク装置(HDD)は、データの高速アクセス及び高速転送が可能な大容量記憶装置として、情報記憶装置の主流になっている。このHDDについては、これまでも高い年率で面記録密度が高まっており、現在でもさらなる記録密度向上が求められている。
HDDの記録密度を向上させるためには、トラック幅の縮小や記録ビット長の短縮が必要であるが、トラック幅を縮小させると、隣接するトラック同士で、いわゆる磁気的な干渉が生じ易くなる。この干渉とは、即ち、記録時において磁気記録情報が目的外の隣接トラックに重ね書きされてしまう現象や、再生時において目的外の隣接トラックからの漏洩磁界によるクロストークが起きてしまう現象を総称したものである。これらの現象は、いずれも再生信号のS/N比の低下を招き、エラーレートの劣化を引き起こす要因となる。
一方、記録ビット長の短縮を進めると、磁気的な干渉の影響により記録ビットを長期間保存する性能が低下する熱揺らぎ現象が発生する。
これらの磁気的な干渉や熱揺らぎ現象を回避して短いビット長や高いトラック密度を実現する磁気記憶媒体として、ディスクリート・トラック型の磁気記憶媒体が提案されている。また、このディスクリート・トラック型の磁気記憶媒体の他に、ビットパターンド型の磁気記憶媒体も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特に、ビットパターンド型の磁気記憶媒体では、記録ビットの位置が予め決められており、その決められた記録ビットの位置に磁性材料のドット(磁性ドット)が形成され磁性ドットの相互間は非磁性材料で構成される。このように磁性ドットが互いに分離されていると磁性ドットどうしの磁気的相互作用が小さく、上述した干渉や熱揺らぎ現象が回避される。
ここで、従来、ビットパターンド型の磁気記憶媒体の多くは、次のような製造方法により製造されている。この製造方法では、まず、基板上に一様な磁性膜が形成される。その後、その磁性膜から、ビットとして利用する領域を除いた他の領域が、エッチング等の手法により除去されることで磁性ドットが形成される。そして、その除去された領域に非磁性材料が充填されることで、磁性ドットどうしを磁気的に分断するドット間分断帯が形成される。このような一連の処理によりビットパターンド型の磁気記憶媒体が得られることとなる。
ここで、このような従来の製造方法では、磁性ドットとドット間分断帯とで厚みに差が生じやすい。そのため、このような従来の製造方法では、磁気記憶媒体上での磁気ヘッドの浮上特性を安定なものとするために、磁気記憶媒体の表面について精度の高い平坦化が必要となる。そのため、非常に複雑な製造プロセスを行う必要があるという課題や、製造コストが増大するという課題が生じる。
そこで、イオンを磁性膜に注入して局所的に磁気特性を変化させることで磁性ドットの分離状態を形成する加工方法(イオンドーピング方式)が提案されている(例えば、特許文献2〜4参照。)。
このイオンドーピング方式によれば、イオンを注入して磁気特性を変えるため、エッチングや充填、平坦化等の複雑な製造プロセスが必要なくなり、製造コストの増加を大幅に抑えることが可能となる。
特許第1888363号明細書 特許第4006400号明細書 特開2002−288813号公報 特表2003−536199号公報
しかしながら、単純にイオンドーピング方式を適用するだけでは、磁気異方性のみが低下し、飽和磁化がほとんど変化しないため、上述した磁気的相互作用による干渉や熱揺らぎ現象が解決できておらず、実用化には至っていない。
尚、ここまで、ビットパターンド型の磁気記憶媒体を例に挙げて、上述のような簡易な製造方法が実用化に至っていないという課題について説明した。しかしながら、このような課題は、ビットパターンド型の磁気記憶媒体に限るものではなく、例えばディスクリート・トラック型の磁気記憶媒体にも当てはまる課題である。即ち、このような課題は、情報が磁気的に記録される磁性部と、磁性部の飽和磁化よりも小さい飽和磁化を有する低磁性部とを備えたタイプの磁気記憶媒体に共通して当てはまる課題である。
本件では上記事情に鑑み、上記タイプの磁気記憶媒体を製造可能な簡易で現実的な製造方法、そのような簡易で現実的な製造方法で製造された上記タイプの磁気記憶媒体および情報記憶装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成する磁気記憶媒体製造方法の基本形態は、磁性膜形成過程と、イオン注入過程とを有している。
磁性膜形成過程は、基板上に、キュリー温度が600K以下となるように磁性膜を形成する過程である。
イオン注入過程は、上記磁性膜に対し、所定の保護領域を除いた他の領域に対して局所的にイオンを注入する過程である。
また、上記目的を達成する磁気記憶媒体の基本形態は、基板と、磁性部と、低磁性部とを備えたものである。
磁性部は、上記基板上に、キュリー温度が600K以下となるように形成された磁性膜を有し情報が磁気的に記録されるものである。
低磁性部は、上記磁性部の磁性膜と連続した磁性膜にイオンが注入されてなる被注入膜を有しその磁性部の飽和磁化よりも小さい飽和磁化を有するものである。
また、上記目的を達成する情報記憶装置の基本形態は、上記磁気記憶媒体と、磁気ヘッドと、ヘッド位置制御機構とを備えたものである。
磁気ヘッドは、上記磁気記憶媒体に近接あるいは接触して磁性部に磁気的に情報の記録及び/又は再生を行うものである。
ヘッド位置制御機構は、上記磁気ヘッドを上記磁気記憶媒体表面に対して相対的に移動させて、その磁気ヘッドによる情報の記録及び/又は再生となる磁性部上にその磁気ヘッドを位置決めするものである。
本件によれば、ビットパターンド型等といったタイプの磁気記憶媒体を製造可能な簡易で現実的な製造方法、そのような簡易で現実的な製造方法で製造された上記タイプの磁気記憶媒体および情報記憶装置を得ることができる。
以下、基本形態について上述した磁気記憶媒体製造方法、磁気記憶媒体、および情報記憶装置に対する具体的な実施形態を以下図面を参照して説明する。
図1は、情報記憶装置の具体的な実施形態であるハードディスク装置(HDD)の内部構造を示す図である。
この図1に示すハードディスク装置(HDD)100は、パーソナルコンピュータ等といった上位装置に組み込まれ、その上位装置における情報記憶手段として利用されるものである。
このハードディスク装置100では、円盤状の磁気ディスク10が、図の奥行き方向に重なって複数枚ハウジングH内に納められている。この磁気ディスク10は、上記で基本形態について説明した磁気記憶媒体の具体的な実施形態に相当する。
ここで、上述の基本形態に対し、次の応用形態は好適である。この応用形態では、上記磁性部が、上記基板上に規則的に複数配列された、各々に情報が磁気的に記録される磁性ドットである。また、この応用形態では、上記低磁性部が、上記磁性ドットの相互間に設けられた、その磁性ドット相互の磁気的結合を阻害するドット間分断帯となっている。
この応用形態は、ビット情報が記録される磁性ドットが予め基板上の各箇所に設けられているビットパターンド型の磁気記憶媒体に対応する。ビットパターンド型の磁気記憶媒体は、上述したように干渉や熱揺らぎ現象が効果的に回避されることから、そのようなビットパターンド型の磁気記憶媒体に相当する上記の応用形態は好適である。
図1の磁気ディスク10は、ビットパターンド型の磁気記憶媒体であり、この応用形態の具体的な一実施形態にも相当している。また、この磁気ディスク10は、各磁性ドットにおいて、表裏面に対して垂直な方向の磁化による磁気パターンで情報が記録されるいわゆる垂直磁気記憶媒体でもある。
この磁気ディスク10は、ハウジングH内においてディスク軸11を中心に回転する。
また、ハードディスク装置100のハウジングH内には、スイングアーム20、アクチュエータ30、および制御回路50も納められている。
スイングアーム20は、磁気ディスク10の表面に沿って移動するものである。そして、このスイングアーム20は、磁気ディスク10に対して情報の書き込みと読み出しとを行う磁気ヘッド21を先端に保持している。また、スイングアーム20は、ベアリング24によってハウジングHに回動自在に支持されている。そして、このスイングアーム20は、ベアリング24を中心として所定角度の範囲内で回動することによって、磁気ヘッド21を磁気ディスク10の表面に沿って移動させる。この磁気ヘッドが、上述の基本形態における磁気ヘッドの一例に相当する。
アクチュエータ30は、上記のスイングアーム20を駆動するものである。
制御回路50は、アクチュエータ30によるスイングアーム20の駆動、磁気ヘッド21による情報の読み書き、このHDD100と上位装置との情報の遣り取り等を制御するものである。
上記のスイングアーム20とベアリング24とアクチュエータ30と制御回路50とを合わせたものが、上述の基本形態におけるヘッド位置制御機構の一例に相当する。
図2は、図1に示す磁気ディスクの構造を模式的に示す斜視図である。
この図2には、円盤状の磁気ディスク10から切り出された一部が示されている。
図2に示す磁気ディスク10は、ガラス基板61上に複数の磁性ドットQが規則的な配列で並べられた構造を有している。磁性ドットQのそれぞれには1ビット相当の情報が磁気的に記録される。磁性ドットQは磁気ディスク10の中心の周りに周回状に並んでおり、磁性ドットの列はトラックTを形成する。ガラス基板61は、上述の基本形態における基板の一例に相当する。また、磁性ドットQは、上述の基本形態における磁性部の一例に相当し、ビットパターンド型の磁気記憶媒体に対応した上述の応用形態における磁性ドットの一例にも相当している。
また、磁性ドットQの相互間は、磁気異方性および飽和磁化が磁性ドットQの磁気異方性および飽和磁化よりも低く、磁性ドットQの相互間を磁気的に分断するドット間分断帯Uとなっている。このドット間分断帯Uによって磁性ドットQどうしの磁気的相互作用が小さくなっている。このドット間分断帯Uは、上述の基本形態における低磁性部の一例に相当し、ビットパターンド型の磁気記憶媒体に対応した上述の応用形態におけるドット間分断帯の一例にも相当している。
このように磁性ドットQどうしの磁気的相互作用が小さいと、磁性ドットQに対する情報の記録再生に際してもトラックT相互間での磁気的相互作用が小さいため、トラック相互間での磁気的な干渉が少ない。また、各磁性ドットQでは、記録される情報ビットの境界が熱で揺らぐことがなく、いわゆる熱揺らぎ現象も回避される。従って、この図2に示すようなビットパターンド型の磁気ディスク10によれば、トラック幅の縮小や記録ビット長の短縮が可能で、高記録密度の磁気記憶媒体が実現可能である。
この磁気ディスク10の製造方法について以下説明する。
ここで、本実施形態の磁気ディスク製造方法は、図1や図2に示す磁気ディスク10を、イオンドーピング方式を使って製造する製造方法である。
以下、この本実施形態の磁気ディスク製造方法の説明に先立って、まず、この製造方法で使われるイオンドーピング方式と対比するための比較例について説明する。この比較例は、ビットパターンド型の磁気記憶媒体を、エッチングと非磁性材料の充填とによって製造するタイプの製造方法である。
図3は、ビットパターンド型の磁気記憶媒体を、エッチングと非磁性材料の充填とによって製造するタイプの製造方法を示す図である。
このタイプの製造方法では、まず、製膜工程(A)で、基板1上に磁性膜2が形成される。
次に、ナノインプリント工程(B)では、磁性膜2上に、紫外線硬化樹脂からなるレジスト3が塗布され、そのレジスト3に、ナノサイズの穴4aが空いたモールド4が載せられる。これによってレジスト3がそのナノサイズの穴4aに入ってレジスト3のドット3aが形成される。そして、そのモールド4越しにレジスト3に紫外線が照射されることでレジスト3が硬化してドット3aが磁性膜2上にプリントされる。また、レジスト3が硬化した後、モールド4は除去される。
その後、エッチング工程(C)でエッチングが行われることで、レジスト3のドット3aで保護された磁性ドット2aを残して磁性膜が除去される。エッチング後はレジスト3のドット3aは化学的処理で除去され、基板1上に磁性ドット2aのみが残る。
そして、充填工程(D)では、磁性ドット2aの相互間が非磁性材料で埋められる。その後、平坦化工程(E)を経て表面が平坦化されることでビットパターンド型の磁気記憶媒体6の完成(F)となる。
このようなタイプの製造方法によると、磁気記憶媒体6上での磁気ヘッドの浮上特性を安定なものとするために平坦化工程(E)では精度の高い平坦化が必要となる。そのため、非常に複雑な製造プロセスを行う必要があるという課題や、製造コストが増大するという課題が生じる。
一方、本実施形態では、上述したようにイオンドーピング方式が採用されている。
このイオンドーピング方式を使って磁気ディスク10を製造する本実施形態の製造方法が、基本形態について上述した磁気記憶媒体製造方法の具体的な一実施形態に相当する。
ここで、上述の基本形態に対し、次の応用形態は好適である。即ち、上記イオン注入過程が、上記保護領域として、上記磁性膜が広がる方向に規則的に配列した複数箇所を用いて、その複数箇所の相互間に対して局所的にイオンを注入する過程であるという応用形態である。
この応用形態は、ビットパターンド型の磁気記憶媒体を製造する磁気記憶媒体製造方法に対応する。ビットパターンド型の磁気記憶媒体は、上述したように干渉や熱揺らぎ現象が効果的に回避されることから、そのようなタイプの磁気記憶媒体を製造する上記の応用形態は好適である。以下に説明する磁気ディスク10の製造方法は、この応用形態の具体的な一実施形態にも相当している。
図4は、図1や図2に示す磁気ディスクを、イオンドーピング方式を使って製造する製造方法を示す図である。
この図4に示す製造方法では、まず、製膜工程(A)で、ガラス基板61上に、後述の磁性膜62を結晶配向させるための不図示の下地層が形成され、その下地層の上に磁性膜62が形成される。さらに、この磁性膜62に、ダイヤモンドライクカーボン製の不図示の保護層が形成される。
本実施形態では、この製膜工程(A)で形成される磁性膜62は、Coの原子層62aとPdの原子層62bとが交互に積層されてなる人工格子構造を有する磁性膜となっている。そして、本実施形態では、この磁性膜62は、その磁性膜62のキュリー温度が600K以下となるように形成される。
製膜工程(A)において、このようにキュリー温度に注目した磁性膜62の形成が行なわれるのは次のような理由による。
本実施形態では、後述するように、製膜工程(A)で形成された磁性膜62にイオン注入を行なうことで、図2のドット間分断帯Uが形成される。ここで、このドット間分断帯Uによって、磁性ドットQどうしが効果的に分離されるためには、ドット間分断帯Uの飽和磁化が、磁性ドットQの飽和磁化の20パーセント以下となっていることが望ましい。即ち、上記の効果的な分離の実現のためには、磁性膜62について、イオン注入後の飽和磁化が、イオン注入前の飽和磁化の20パーセント以下となっていることが望ましい。以下、イオン注入後の飽和磁化のイオン注入前の飽和磁化に対するパーセンテージをイオン注入による飽和磁化消失度と呼ぶ。
ここで、イオン注入前後それぞれの磁性膜のキュリー温度と、イオン注入による飽和磁化消失度との間には、計算上で、次のような関係があることを、本件の開発者は見出した。
図5は、イオン注入前のキュリー温度が500Kの磁性膜における、イオン注入による飽和磁化消失度とイオン注入後のキュリー温度との計算上の対応関係を示すグラフである。また、図6は、イオン注入前のキュリー温度が600Kの磁性膜における、上記の対応関係を示すグラフである。また、図7は、イオン注入前のキュリー温度が650Kの磁性膜における、上記の対応関係を示すグラフである。さらに、図8は、イオン注入前のキュリー温度が800Kの磁性膜における、上記の対応関係を示すグラフである。
各グラフG1〜G4では、縦軸にイオン注入による飽和磁化消失度がとられ、横軸にイオン注入後のキュリー温度がとられている。そして、各グラフG1〜G4には、イオン注入による飽和磁化消失度とイオン注入後のキュリー温度との計算上の対応関係が、丸印を結ぶラインL1〜L4で表わされている。
尚、各グラフG1〜G4では、イオン注入による飽和磁化消失度として、磁気ディスク製造時や、製造された磁気ディスクの使用時の温度環境に即して、室温(300K)でのイオン注入による飽和磁化消失度が計算によって求められている。
また、ここでの計算は、イオン注入前の室温(300K)での飽和磁化が500emu/cmであるという条件下で行われている。この条件は、上記の図4の製膜工程(A)で形成される磁性膜62と同様の人工格子構造を有し膜厚が5nmの磁性膜について、室温(300K)での飽和磁化を計測したところ500emu/cmであったことに基づいた条件である。
これらの各グラフG1〜G4から、イオン注入による飽和磁化消失度が上記の望ましい値(20%以下)となるときの、そのイオン注入後のキュリー温度は、イオン注入前のキュリー温度に依らず400K〜420K以下であることが分かる。一方、磁性膜のキュリー温度はイオン注入によって低下する。そして、その低下量は、イオン注入量が多いほど大きい。そのため、磁性膜のキュリー温度を上記のような望ましい温度以下まで下げるのに要するイオン注入量は、イオン注入前のキュリー温度が高いほど多くなる。ところが、このイオン注入量があまり多くなり過ぎると、イオン注入を受ける磁性膜の表面状態が劣化する等といった問題が生じてしまう。一般に、磁性膜の表面状態の劣化が抑制される現実的なイオン注入量は、1×1017atoms/cm以下が好ましい。
ここで、このような現実的なイオン注入量で、磁性膜のキュリー温度を上記のような望ましい温度以下まで下げるためには、イオン注入前のキュリー温度が600K以下であれば良いことを、以下のような実験により本件の開発者は見出した。
この実験では、図4の製膜工程(A)と同様に、ガラス基板上に下地層と人工格子構造の磁性膜と保護層が次の手順で形成された。
尚、以下に示す様々な製膜条件は、図4の製膜工程(A)における製膜条件と同等な条件である。
まず、よく洗浄されたガラス基板をマグネトロンスパッタ装置にセットし、5×10−5Pa以下まで真空排気した。その後、ガラス基板を加熱せず0.67PaのArガス圧にて、(111)結晶配向したfcc−Pdを、磁性層を結晶配向させるための下地層として5nm厚製膜した。
続いて、大気圧に戻すことなく連続して、Co/Pd人工格子構造を有する磁性膜を0.67PaのArガス圧にて、0.3/0.35nmの膜厚構成で8回繰り返し積層した。この膜厚構成は、Coの単原子層とPdの単原子層とが繰り返す人工格子を意味しており、磁性膜の合計の膜厚は約5nmである。
磁性膜を製膜した後には、ダイヤモンドライクカーボンを保護層として4nm製膜した。
このようにガラス基板、下地層、磁性膜、保護層が積層された積層物が形成されると、この段階、つまりイオン注入前の磁性膜のキュリー温度を次のように測定した。
このキュリー温度の測定は、上記の積層物を段階的に加熱しながら、各段階の温度での磁性膜の飽和磁化を測定して、磁性膜の飽和磁化の温度依存性を得ることで行われる。飽和磁化の測定には、SQUID(Superconducting QUantum Interference Device)が用いられる。そして、この飽和磁化の温度依存性において、飽和磁化がゼロとなる温度が磁性膜のキュリー温度となる。
図9は、実験で製膜された、Co/Pd人工格子構造を有する、膜厚が約5nmの磁性膜における、イオン注入前の飽和磁化の温度依存性を示すグラフである。
この図9のグラフG5では、縦軸に飽和磁化がとられ、横軸に温度がとられている。そして、このグラフG5には、イオン注入前の磁性膜における飽和磁化の温度依存性が、丸印を結ぶラインL5で表わされている。このグラフG5の例では、イオン注入前の磁性膜において、飽和磁化がゼロとなる温度であるキュリー温度が500Kであることが分かる。
このようにイオン注入前の磁性膜のキュリー温度が得られると、上記の積層物に、N イオンとNイオンとの混合イオンを照射して磁性膜にイオン注入を行なった。このイオン注入におけるイオンの加速電圧は、磁性膜の中心部へイオンが注入される6keVに設定した。また、イオン注入量は、1×1017atoms/cm以下という現実的な注入量である1×1016〜4×1016atoms/cmに設定した。
ここでの実験のイオン注入におけるイオン種、加速電圧、およびイオン注入量等の様々な注入条件は、図4おける後述のイオン注入工程(C)における注入条件と同等な条件である。
そして、このイオン注入の後に、イオン注入後の磁性膜における飽和磁化の温度依存性を上記の手順と同じ手順で測定することで、イオン注入後の磁性膜のキュリー温度を得た。
図10は、図9の温度依存性を有する磁性膜に対するイオン注入後の磁性膜における飽和磁化の温度依存性を示すグラフである。
この図10のグラフG6では、縦軸に飽和磁化がとられ、横軸に温度がとられている。そして、このグラフG6には、上記のイオン注入後の磁性膜における飽和磁化の温度依存性が、丸印を結ぶラインL6で表わされている。このグラフG6の例では、イオン注入後の磁性膜において、飽和磁化がゼロとなる温度であるキュリー温度が400Kであることが分かる。
この実験では、以上に説明したように、Co/Pd人工格子構造を有し膜厚が5nmの磁性膜について、イオン注入前後のキュリー温度を得た。
さらに、この実験では、Co/Pd人工格子構造を有し膜厚が10nmの磁性膜、Co−Cr−Pt合金製で膜厚が5nmの磁性膜、Co−Cr−Pt合金製で膜厚が10nmの磁性膜についても、同様の手順で、イオン注入前後のキュリー温度を得た。
そして、このように得た4種類のイオン注入前後のキュリー温度の組を、以下のようにグラフ上にプロットし、イオン注入前のキュリー温度と、イオン注入後のキュリー温度との間の相関関係を得た。
図11は、イオン注入前のキュリー温度と、イオン注入後のキュリー温度との間の相関関係を示すグラフである。
この図11に示すグラフG7では、縦軸にイオン注入後のキュリー温度がとられ、横軸にイオン注入前のキュリー温度がとられている。そして、このグラフG7には、イオン注入前のキュリー温度と、イオン注入後のキュリー温度との間の相関関係が、丸印を結ぶラインL7で表わされている。
この図11のグラフG7から、まず、イオン注入前のキュリー温度が高いほどイオン注入後のキュリー温度が高いことが分かる。また、このグラフG7におけるラインL7の形状から、イオン注入前のキュリー温度が600Kを超えると、イオン注入後のキュリー温度が急激に上昇していることが分かる。
上述したように、イオン注入による飽和磁化消失度が望ましい値(20%以下)となるときの、イオン注入後のキュリー温度は400K〜420K以下である。そして、このような条件を満足するイオン注入前のキュリー温度は、イオン注入後のキュリー温度が急激な上昇を始める前の600K以下であることが、この図11のグラフG7から読み取れる。
以上に説明した実験に基づき、図4の製膜工程(A)では、後述のイオン注入工程(C)で望ましい飽和磁化消失度を得るべく、磁性膜62が、キュリー温度が600K以下となるように形成される。この製膜工程(A)が、上述の基本形態における磁性膜形成過程の一例に相当する。
尚、磁性膜62のキュリー温度が低過ぎて室温(300K)に近くなると、今度は、磁性膜62の磁性自体が弱まってしまい、磁気ディスクの製造に適さなくなってしまう。室温(300K)で、磁性膜62に十分な磁性を持たせるためには、キュリー温度は、およそ500K以上であることが望ましい。
本実施形態の製膜工程(A)では、磁性膜62が、キュリー温度が600K以下となるように形成されると共に、キュリー温度が500K以上となるようにも形成される。
ここで、上記の図4に示すグラフG7から、磁性膜の形成材料が同じであれば、磁性膜の膜厚が薄いほど、キュリー温度が低くなることが分かる。
そこで、図4の製膜工程(A)では、磁性膜62が、上記のような温度範囲を満足するキュリー温度に対応する膜厚で形成されることとなっている。
このことは、上述の基本形態に対し、上記磁性膜形成過程が、上記磁性膜を、その磁性膜のキュリー温度が600K以下となる膜厚で形成する過程であるという応用形態が好適であることを意味している。
製膜工程(A)は、この応用形態の一例にも相当している。
この製膜工程(A)では、磁性膜62は、キュリー温度が600K以下で500K以上となる膜厚(例えば、上記の実験における5nmの膜厚)で形成されることとなる。
次に、ナノインプリント工程(B)では、磁性膜62上に、紫外線硬化樹脂からなるレジスト63が塗布され、そのレジスト63に、ナノサイズの穴64aが空いたモールド64が載せられることによってレジスト63がそのナノサイズの穴64aに入ってレジスト63のドット63aとなり、そのモールド64越しにレジスト63に紫外線が照射されることでレジスト63が硬化してドット63aが磁性膜62上にプリントされる。レジスト63が硬化した後モールド64は除去される。
ナノインプリント工程(B)の後はイオン注入工程(C)に進み、ドット63aがプリントされている磁性膜62の上部からイオンが照射される。本実施形態では、このイオン注入工程(C)では、上述の実験におけるイオン注入と同様に、N イオンとNイオンとの混合イオンが照射される。ここで、N イオンは、磁性膜62の表面に衝突したときに2つのNイオンに分かれる。このため、このイオン注入工程(C)では、磁性膜62には、Nイオンが注入されることとなる。そして、その注入箇所における飽和磁化が減少する。
ここで、イオン注入により、Nイオン等といった大型のイオンが磁性膜に注入されると、この磁性膜を構成する結晶における格子定数が大きくなる。即ち、この結晶の格子間隔が拡張する。飽和磁化の減少は、この拡張により発生すると考えられる。
本件の開発者は、現実的なイオン注入量による格子間隔の拡張により、望ましい飽和磁化低減効果が確かに得られることを以下の実験によって確認している。
この実験では、イオン注入を受ける磁性膜として、Co/Pd人工格子構造を有した、膜厚が5nmの磁性膜が使われた。この磁性膜は、上述したように、イオン注入前のキュリー温度が600K以下(500K)となる磁性膜である。
この磁性膜に対し、上記の混合イオンを、イオン注入量をゼロから2×1016atoms/cmまで段階的に増やしながら照射した。そして、各段階で、磁性膜の格子定数と飽和磁化とを測定した。格子定数の測定は、X線回折法によって測定される磁性膜のCoの(111)面の回折角度から、その磁性膜の格子定数を算出することで行った。また、飽和磁化は、上記のSQUIDを用いて測定した。
図12は、格子定数のイオン注入量依存性を示すグラフであり、図13は、飽和磁化の格子定数依存性を示すグラフである。
図12のグラフG8では、縦軸に格子定数がとられ、横軸にイオン注入量がとられている。そして、このグラフG8には、格子定数のイオン注入量依存性が、丸印を結ぶラインL8で表わされている。
また、図13のグラフG9では、縦軸に飽和磁化がとられ、横軸に格子定数がとられている。そして、このグラフG9には、飽和磁化の格子定数依存性が、丸印を結ぶラインL9で表わされている。
これらのグラフG8,G9から、上記の現実的な注入量よりも更に少量の1×1016〜2×1016atoms/cmというイオン注入でも、格子間隔が十分に拡張し、飽和磁化を、イオン注入前の20%以下まで下げることができることが分かる。つまり、この実験から、上記の現実的なイオン注入量による格子間隔の拡張により、望ましい飽和磁化低減効果が確かに得られることが確認できる。
以上に説明した実験からも分かるように、図4のイオン注入工程(C)では、イオン注入箇所において、上記の現実的なイオン注入量で、イオン注入箇所の飽和磁化を十分に下げて、良好なドット間分断帯Uを形成できることとなる。
ここで、上述の基本形態に対し、上記イオン注入過程が、上記イオンとして、酸素イオン及び窒素イオンのうちいずれか一方のイオンを用いる過程であるという応用形態は好適である。
本件の開発者は、酸素イオンや窒素イオンによれば、上記の人工格子構造の磁性膜や、あるいはCo−Cr−Pt基合金製の磁性膜の飽和磁化を効果的に低減させることができることを発見した。この応用形態は、この発見に基づく形態であり好適であると言える。
図4のイオン注入工程(C)は、この応用形態におけるイオン注入過程の一例にも相当している。
また、上述の基本形態に対し、次の応用形態も好適である。この応用形態の磁気記憶媒体製造方法は、マスク形成過程を有している。マスク形成過程は、上記磁性膜上に、上記保護領域へのイオンの注入を阻害するマスクを形成する過程である。そして、この応用形態では、上記イオン注入過程が、上記マスクが形成された磁性膜の上からイオンを当てることで、そのマスクで保護された保護領域を除いた他の領域に対して局所的にそのイオンを注入する過程となっている。
この応用形態によれば、イオン注入が不要な箇所はマスクで確実に保護されることとなり、磁性ドットの形成精度が高い。図4のナノインプリント工程(B)は、この応用形態におけるマスク形成過程の一例に相当し、イオン注入工程(C)は、この応用形態におけるイオン注入過程の一例にも相当する。
また、マスク形成過程を有したこの好適な応用形態に対し、上記マスク形成過程が、上記マスクをレジストで形成する過程であるという応用形態はさらに好適である。また。マスク形成過程を有した上記の好適な応用形態に対し、上記マスク形成過程が、上記マスクをレジストで、ナノインプリントプロセスによって形成する過程であるという応用形態もさらに好適である。
レジストによるマスク形成は技術的に安定していて精度の良いマスク形成が期待でき、ナノインプリントプロセスによるマスク形成は、ナノレベルでのマスクパターンを容易に作成することが出来て好ましい。この図4に示すナノインプリント工程(B)は、これらさらに好適な応用形態におけるマスク形成過程の一例にも相当している。
尚、上述したナノインプリントでは、イオンを注入するべき箇所でも完全にはレジストが除去されない。しかし、レジストが薄い場所ではイオンがレジストを透過して磁性膜62に注入され、レジストが厚い場所(即ちドット63aとなっている場所)では、イオンがレジストで止まって磁性膜には到達しない。このため、所望のビットパターンの形成が可能である。
また、図4に示すイオン注入工程(C)では、イオンの加速電圧が、磁性膜62の中心部へイオンが注入されるように設定される。この加速電圧は、イオン種によって異なり、磁性膜中心部までの深さや材料によっても異なる。
このイオン注入工程(C)によってイオンが注入された後はレジストのドット63aは化学的処理で除去される。
このようなイオン注入工程(C)を経ることにより、飽和磁化が磁性ドットQの20%以下となったドット間分断帯Uが形成されてビットパターンド型の磁気記憶媒体10の完成(D)となる。
この図4に示す製造方法で製造される磁気記憶媒体10では、表面を構成している磁性ドットQとドット間分断帯Uとの平滑性は、製膜工程(A)で形成された磁性膜62における平滑性がそのまま維持されたものとなっている。このため、図1に示す従来技術のような平坦化工程は不要となり、この図4に示す製造方法は簡易な方法となっている。
また、この図4に示す製造方法では磁性膜62上にプリントされたレジストのドット63aで磁性ドットQを保護している。従って、磁気記憶媒体10全面に同時にイオンを照射することができ、必要な箇所へのイオン注入を数秒間のイオン照射によって十分に実現できるので量産性を損なわない。
以上、説明したように、本実施形態の磁気ディスク製造方法によれば、キュリー温度が600K以下となるように磁性膜を形成することで、イオン注入による飽和磁化の十分な低減効果を得ることができる。その結果、この本実施形態の磁気ディスク製造方法によれば、ビットパターンド型等といったタイプの磁気ディスクを簡単かつ現実的に製造することができる。
尚、上述した説明では、磁気記憶媒体の一例として、ビットパターンド型の磁気記憶媒体を例示したが、磁気記憶媒体はビットパターンド型に限るものではなく、例えばディスクリート・トラック型であっても良い。
また、上述した説明では、マグネトロンスパッタ装置での製膜条件等について具体的な数値を示したが、これらの条件は上記の数値に限られるものではなく他の数値であっても良い。
また、上述した説明では、磁性ドット形成のための好ましいマスクとしてレジストパターンを用いることが例示されている。これに対し、上述した基本形態におけるイオン注入では、媒体面に接触しないようにステンシルマスクを媒体面に近付けて配してイオン注入するプロセスを用いても良い。このプロセスによれば、レジスト塗布とレジスト除去の工程を省略することができる。
また、上述した説明では、レジストのパターニングの最良な例としてナノインプリントプロセスを利用することが示されているが、パターニングには電子線露光を用いても良い。
以下、上述した基本形態を含む種々の形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
基板上に、キュリー温度が600K以下となるように磁性膜を形成する磁性膜形成過程と、
前記磁性膜に対し、所定の保護領域を除いた他の領域に対して局所的にイオンを注入するイオン注入過程とを有することを特徴とする磁気記憶媒体製造方法。
(付記2)
前記磁性膜形成過程が、前記磁性膜を、該磁性膜のキュリー温度が600K以下となる膜厚で形成する過程であることを特徴とする付記1記載の磁気記憶媒体製造方法。
(付記3)
前記イオン注入過程が、前記保護領域として、前記磁性膜が広がる方向に規則的に配列した複数箇所を用いて、該複数箇所の相互間に対して局所的にイオンを注入する過程であることを特徴とする付記1又は2記載の磁気記憶媒体製造方法。
(付記4)
前記イオン注入過程が、前記イオンとして、酸素イオン及び窒素イオンのうちいずれか一方のイオンを用いる過程であることを特徴とする付記1から3のうちいずれか1項記載の磁気記憶媒体製造方法。
(付記5)
前記磁性膜上に、前記保護領域へのイオンの注入を阻害するマスクを形成するマスク形成過程を有し、
前記イオン注入過程が、前記マスクが形成された磁性膜の上からイオンを当てることで、該マスクで保護された保護領域を除いた他の領域に対して局所的に該イオンを注入する過程であることを特徴とする付記1から4のうちいずれか1項記載の磁気記憶媒体製造方法。
(付記6)
前記マスク形成過程が、前記マスクをレジストで形成する過程であることを特徴とする付記5記載の磁気記憶媒体製造方法。
(付記7)
前記マスク形成過程が、前記マスクをレジストで、ナノインプリントプロセスによって形成する過程であることを特徴とする付記5又は6記載の磁気記憶媒体製造方法。
(付記8)
基板と、
前記基板上に、キュリー温度が600K以下となるように形成された磁性膜を有し情報が磁気的に記録される磁性部と、
前記磁性部の磁性膜と連続した磁性膜にイオンが注入されてなる被注入膜を有し該磁性部の飽和磁化よりも小さい飽和磁化を有する低磁性部とを備えたことを特徴とする磁気記憶媒体。
(付記9)
前記磁性部が、前記基板上に規則的に複数配列された、各々に情報が磁気的に記録される磁性ドットであり、
前記低磁性部が、前記磁性ドットの相互間に設けられた、該磁性ドット相互の磁気的結合を阻害するドット間分断帯であることを特徴とする付記8記載の磁気記憶媒体。
(付記10)
基板と、該基板上に、キュリー温度が600K以下となるように形成された磁性膜を有し情報が磁気的に記録される磁性部と、該磁性部の磁性膜と連続した磁性膜にイオンが注入されてなる被注入膜を有し該磁性部の飽和磁化よりも小さい飽和磁化を有する低磁性部とを備えた磁気記憶媒体と、
前記磁気記憶媒体に近接あるいは接触して磁性部に磁気的に情報の記録及び/又は再生を行う磁気ヘッドと、
前記磁気ヘッドを前記磁気記憶媒体表面に対して相対的に移動させて、該磁気ヘッドによる情報の記録及び/又は再生となる磁性部上に該磁気ヘッドを位置決めするヘッド位置制御機構とを備えたことを特徴とする情報記憶装置。
(付記11)
前記磁気記憶媒体の磁性部が、前記基板上に規則的に複数配列された、各々に情報が磁気的に記録される磁性ドットであり、
前記低磁性部が、前記磁性ドットの相互間に設けられた、該磁性ドット相互の磁気的結合を阻害するドット間分断帯であることを特徴とする付記10記載の情報記憶装置。
情報記憶装置の具体的な実施形態であるハードディスク装置(HDD)の内部構造を示す図である。 図1に示す磁気ディスクの構造を模式的に示す斜視図である。 ビットパターンド型の磁気記憶媒体を、エッチングと非磁性材料の充填とによって製造するタイプの製造方法を示す図である。 図1や図2に示す磁気ディスクを、イオンドーピング方式を使って製造する製造方法を示す図である。 イオン注入前のキュリー温度が500Kの磁性膜における、イオン注入による飽和磁化消失度とイオン注入後のキュリー温度との計算上の対応関係を示すグラフである。 イオン注入前のキュリー温度が600Kの磁性膜における、イオン注入による飽和磁化消失度とイオン注入後のキュリー温度との計算上の対応関係を示すグラフである。 イオン注入前のキュリー温度が650Kの磁性膜における、イオン注入による飽和磁化消失度とイオン注入後のキュリー温度との計算上の対応関係を示すグラフである。 イオン注入前のキュリー温度が800Kの磁性膜における、イオン注入による飽和磁化消失度とイオン注入後のキュリー温度との計算上の対応関係を示すグラフである。 実験で製膜された、Co/Pd人工格子構造を有する、膜厚が約5nmの磁性膜における、イオン注入前の飽和磁化の温度依存性を示すグラフである。 図9の温度依存性を有する磁性膜に対するイオン注入後の磁性膜における飽和磁化の温度依存性を示すグラフである。 イオン注入前のキュリー温度と、イオン注入後のキュリー温度との間の相関関係を示すグラフである。 格子定数のイオン注入量依存性を示すグラフである。 飽和磁化の格子定数依存性を示すグラフである。
符号の説明
100 ハードディスク装置
10 磁気ディスク
61 ガラス基板
62 磁性膜
62a Coの原子層
62b Pdの原子層

Claims (9)

  1. 基板上に、キュリー温度が600K以下となるように、Co/Pd人工格子構造の磁性膜およびCo−Cr−Pt合金製の磁性膜のうち少なくとも一方を形成する磁性膜形成過程と、
    前記磁性膜に対し、所定の保護領域を除いた他の領域に対して局所的にイオンを注入するイオン注入過程とを有することを特徴とする磁気記憶媒体製造方法。
  2. 前記磁性膜形成過程が、前記磁性膜を、該磁性膜のキュリー温度が600K以下となる膜厚で形成する過程であることを特徴とする請求項1記載の磁気記憶媒体製造方法。
  3. 前記イオン注入過程が、前記保護領域として、前記磁性膜が広がる方向に規則的に配列した複数箇所を用いて、該複数箇所の相互間に対して局所的にイオンを注入する過程であることを特徴とする請求項1又は2記載の磁気記憶媒体製造方法。
  4. 前記イオン注入過程が、前記イオンとして、酸素イオン及び窒素イオンのうちいずれか一方のイオンを用いる過程であることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項記載の磁気記憶媒体製造方法。
  5. 前記磁性膜上に、前記保護領域へのイオンの注入を阻害するマスクを形成するマスク形成過程を有し、
    前記イオン注入過程が、前記マスクが形成された磁性膜の上からイオンを当てることで、該マスクで保護された保護領域を除いた他の領域に対して局所的に該イオンを注入する過程であることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1項記載の磁気記憶媒体製造方法。
  6. 前記マスク形成過程が、前記マスクをレジストで形成する過程であることを特徴とする請求項5記載の磁気記憶媒体製造方法。
  7. 前記マスク形成過程が、前記マスクをレジストで、ナノインプリントプロセスによって形成する過程であることを特徴とする請求項5又は6記載の磁気記憶媒体製造方法。
  8. 基板と、
    前記基板上に、キュリー温度が600K以下となるように形成された、Co/Pd人工格子構造の磁性膜およびCo−Cr−Pt合金製の磁性膜のうち少なくとも一方を有し情報が磁気的に記録される磁性部と、
    前記磁性部の磁性膜と連続した磁性膜にイオンが注入されてなる被注入膜を有し該磁性部の飽和磁化よりも小さい飽和磁化を有する低磁性部とを備え
    前記低磁性部には1×10 16 atoms/cm 以上1×10 17 atoms/cm 以下の酸素イオンおよび窒素イオンのいずれかが注入され、該低磁性部のキュリー温度は400K以上420K以下である
    ことを特徴とする磁気記憶媒体。
  9. 基板と、該基板上に、キュリー温度が600K以下となるように形成された、Co/Pd人工格子構造の磁性膜およびCo−Cr−Pt合金製の磁性膜のうち少なくとも一方を有し情報が磁気的に記録される磁性部と、該磁性部の磁性膜と連続した磁性膜にイオンが注入されてなる被注入膜を有し該磁性部の飽和磁化よりも小さい飽和磁化を有する低磁性部とを備え、該低磁性部には1×10 16 atoms/cm 以上1×10 17 atoms/cm 以下の酸素イオンおよび窒素イオンのいずれかが注入され、該低磁性部のキュリー温度は400K以上420K以下である磁気記憶媒体と、
    前記磁気記憶媒体に近接あるいは接触して磁性部に磁気的に情報の記録及び/又は再生を行う磁気ヘッドと、
    前記磁気ヘッドを前記磁気記憶媒体表面に対して相対的に移動させて、該磁気ヘッドによる情報の記録及び/又は再生となる磁性部上に該磁気ヘッドを位置決めするヘッド位置制御機構とを備えたことを特徴とする情報記憶装置。
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