JP4319059B2 - 磁性膜の形成方法、磁性パターンの形成方法及び磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

磁性膜の形成方法、磁性パターンの形成方法及び磁気記録媒体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、磁性膜の形成方法、磁性パターンの形成方法及び磁気記録媒体の製造方法に関し、さらに詳しくは、記録部と非記録部とからなる磁性膜を記録パターンに従って加工することができる磁性膜の形成方法等に関するものである。
ハードディスクドライブ(HDD)は、データの高速アクセス及び高速転送が可能な大容量の記憶装置として、コンピュータの発展と共に著しい性能向上を続けている。特にこの10年間では年率60%〜100%で面記録密度が向上しており、記録密度のさらなる向上が求められている。
ハードディスクドライブ(HDD)の記録密度を向上させるためには、トラック幅の縮小又は記録ビット長の短縮が必要である。しかし、トラック幅を縮小させると、隣接するトラック同士が干渉し易くなるという問題がある。すなわち、トラック幅の縮小は、記録時においては磁気記録情報が隣接するトラックに重ね書きされ易いという問題や、再生時においては隣接するトラックからの漏洩磁界によるクロストークの問題が起き易いという問題を生じさせる。これらの問題は、いずれも再生信号のS/N比の低下を招き、エラーレートが劣化するという問題を引き起こす要因となる。
こうした問題に対し、隣接するトラック間の影響を低減し、かつ、高いトラック密度を実現する方法として、ディスクリートトラック型の磁気記録媒体(以下、ディスクリートトラック媒体ともいう。)が提案されている。現在提案されているディスクリートトラック媒体は、記録部である磁性膜のトラックの間(ガードバンド)に溝を設けることにより各トラックを隣接するトラックから磁気的に分離したものである。しかし、この方法では、トラック間に物理的な溝が存在するために、磁気記録媒体上での磁気ヘッドの安定な浮上を実現することが困難である。
一方、トラック間の溝に非磁性物質を充填した後に平坦化加工することにより、磁気記録媒体上での磁気ヘッドの浮上特性を安定なものとすることができるが、製造プロセスが複雑になり、製造コストが増大するという問題が生じる。
これらの問題を回避するための方法として、イオンを磁性膜に照射して局所的に磁気特性を改質する加工方法が検討されている(例えば、特許文献1,2を参照)。特許文献1に記載の方法は、軽イオンを積層膜に照射し、その衝撃により積層膜界面の原子をミキシングすることにより、照射部の磁気特性を改質する方法である。また、特許文献2に記載の方法は、イオンビームを照射することによる局所的な発熱を利用して照射部の磁気特性を改質する方法である。
特表2002−501300号公報 特開2003−22525号公報
本発明は、上述した従来の問題を回避するための新たな手段を提供するものであって、その第1の目的は、保磁力が異なる部分を有する磁性膜を形成することができる磁性膜の形成方法を提供することにある。また、本発明の第2の目的は、そうした方法を利用した磁性パターンの形成方法を提供することにあり、本発明の第3の目的は、そうした方法を利用した磁気記録媒体の製造方法を提供することにある。
前記第1の目的を達成する本発明の磁性膜の形成方法は、Fe及びCoの少なくとも一方と、Pd及びPtの少なくとも一方とを主成分とする薄膜を熱処理した後に、Nb及びGaから選ばれる少なくとも1種のイオンを局所的に注入することを特徴とする。
この発明によれば、Fe及びCoの少なくとも一方とPd及びPtの少なくとも一方とを主成分とする膜を熱処理するので、熱処理後の膜はCuAuI型規則構造となり極めて高い磁気異方性を有することになる。この熱処理後の膜にNb及びGaから選ばれる少なくとも1種のイオンを局所的に注入することにより、Nb及びGaから選ばれる少なくとも1種のイオンが注入された部分は保磁力が低くなる。その結果、Nb及びGaから選ばれる少なくとも1種のイオンが局所的に注入されていない部分は高い保磁力を示し、Nb及びGaから選ばれる少なくとも1種のイオンが注入された部分は低い保磁力を示した磁性膜が形成されることになる。
したがって、本発明の磁性膜の形成方法によれば、Nb及びGaから選ばれる少なくとも1種のイオンが注入された部分とNb及びGaから選ばれる少なくとも1種のイオンが注入されていない部分との間で保磁力が異なる磁性膜を形成することができる。このため、従来のような溝等を形成することなくディスクリートトラック媒体等を形成することができるので、実質的に表面凹凸のない磁性パターンを形成することができる。
本発明の磁性膜の形成方法において、前記熱処理後のNb及びGaから選ばれる少なくとも1種のイオンが注入されていない部分がCuAuI型規則構造であることを特徴とする。この発明によれば、熱処理後のNb及びGaから選ばれる少なくとも1種のイオンが注入されていない部分がCuAuI型規則構造であるので、極めて高い磁気異方性を示している。その結果、こうした高い磁気異方性を有する磁性膜は、記録磁化の熱安定性を向上させるという効果を奏する。
本発明の磁性膜の形成方法において、前記薄膜が、前記Fe及びCoの少なくとも一方を主成分とする膜と、前記Pd及びPtの少なくとも一方を主成分とする膜とを積層した薄膜であることが好ましい。
本発明の磁性膜の形成方法において、前記薄膜が、前記Fe及びCoの少なくとも一方と前記Pd及びPtの少なくとも一方とが膜厚方向において組成が変調した組成変調膜であることが好ましい。この発明によれば、薄膜が組成変調膜であると、熱処理時に界面拡散が起こることで拡散の活性化エネルギーが低下すると考えられるので、低い熱処理温度であっても薄膜をCuAuI型規則構造に変化させることができる。
前記第2の目的を達成する本発明の磁性パターンの形成方法は、Fe及びCoの少なくとも一方と、Pd及びPtの少なくとも一方とを主成分とする薄膜を熱処理した後に、この熱処理後の膜の所定の箇所にマスクを用いてNb及びGaから選ばれる少なくとも1種のイオンを注入することを特徴とする。
この発明によれば、前記の磁性膜の形成方法の場合と同様に、Nb及びGaから選ばれる少なくとも1種のイオンが局所的に注入されていない部分は、CuAuI型規則構造に十分に変化して高い保磁力を示し、Nb及びGaから選ばれる少なくとも1種のイオンが注入された部分は、保磁力が低くなる。したがって、本発明の磁性パターンの形成方法によれば、磁性パターンを備えたディスクリートトラック媒体等を、従来のような溝等を形成することなく形成することができるので、実質的に表面凹凸のない磁性パターンを形成することができる。
前記第3の目的を達成する本発明の磁気記録媒体の製造方法は、非磁性基板と、その非磁性基板上に設けられる磁性膜とを少なくとも有する磁気記録媒体の製造方法であって、前記磁性膜が、Fe及びCoの少なくとも一方と、Pd及びPtの少なくとも一方とを主成分とする薄膜を熱処理した後に、Nb及びGaから選ばれる少なくとも1種のイオンを局所的に注入してなることを特徴とする。
この発明によれば、所定の磁性パターンを備えたディスクリートトラック媒体等の磁気記録媒体を、従来のような溝等を形成することなく製造することができるので、実質的に表面凹凸のない磁気記録媒体を製造することができる。
本発明の磁気記録媒体の製造方法において、前記Nb及びGaから選ばれる少なくとも1種のイオンの局所的な注入がマスクを用いて行われることを特徴とする。
以上のように、本発明の磁性膜の形成方法、磁性パターンの形成方法及び磁気記録媒体の製造方法によれば、Nb及びGaから選ばれる少なくとも1種のイオンが注入された部分の保磁力を低下させることができる。その結果、Nb及びGaから選ばれる少なくとも1種のイオンが注入されていない部分とNb及びGaから選ばれる少なくとも1種のイオンが注入された部分との間で保磁力が異なる磁性膜を形成することができるので、例えばマスクを用いてNb及びGaから選ばれる少なくとも1種のイオンを所定の箇所に注入することにより、実質的に表面凹凸のない所望の磁性パターンを形成することができる。
特に、Nb及びGaから選ばれる少なくとも1種のイオンが注入されていない箇所を同心円状のトラックパターンとしてディスク状の非磁性基板上に形成することにより、Nb及びGaから選ばれる少なくとも1種のイオンが注入されていない部分である所定の磁性パターンを備えたディスクリートトラック媒体等の磁気記録媒体を、従来のような溝等を形成することなく製造することができる。こうして製造された磁気記録媒体は、実質的に表面凹凸がなく、製造コストも抑えることができる。
以下、本発明の磁性膜の形成方法、磁性パターンの形成方法及び磁気記録媒体の製造方法について、図面を参照しつつ順次説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明の範囲は制限されない。
(磁性膜の形成方法)
図1は、本発明の磁性膜の形成方法の一例を示す工程図である。図1(a)は積層された薄膜の断面形態を示しており、図1(b)は薄膜を熱処理した工程の断面形態を示しており、図1(c)は熱処理後の膜にB、Cr、Nb及びGaから選ばれる少なくとも1種のイオンを注入する工程の断面形態を示しており、図1(d)はB、Cr、Nb及びGaから選ばれる少なくとも1種のイオンが注入された結果として形成された本発明の磁性膜の断面形態を示している。図2は、図1(d)に示す磁性膜において、基板と磁性膜との間に下地膜及び中間膜を設けた態様の一例を示す積層方向の断面図である。図3は、本発明の組成変調膜の成膜方法の一例を示す工程図である。
本発明の磁性膜の形成方法は、図1に示すように、基板1上に形成されたFe及びCoの少なくとも一方と、Pd及びPtの少なくとも一方とを主成分とする薄膜4を熱処理した後に、この熱処理後の膜5にB、Cr、Nb及びGaから選ばれる少なくとも1種のイオン6を局所的に注入して磁性膜11を形成することに特徴がある。
基板1としては、非磁性基板が使用され、例えば、一般に磁性膜の基板として使用されるアルミニウム合金基板、ガラス基板、シリコン基板等が挙げられる。
基板1上に形成される薄膜4は、Pd及びPtの少なくとも一方を主成分とする第1膜2と、Fe及びCoの少なくとも一方を主成分とする第2膜3とを交互に積層した積層薄膜でもよいし、Pd及びPtの少なくとも一方(図3ではPt原子41)とFe及びCoの少なくとも一方(図3ではFe原子42)とを交互に堆積して成膜した組成変調膜でもよい。
薄膜4が積層薄膜である場合には、第1膜2は、Pd及びPtの少なくとも一方を主成分とする膜であれば特に限定されない。Pd及びPtの少なくとも一方としては、例えば、Pd、Pt、Pd−Pt等を好ましく挙げられ、特にPtが好ましい。また、第2膜3は、Fe及びCoの少なくとも一方を主成分とする膜であれば特に限定されない。Fe及びCoの少なくとも一方としては、例えば、Fe、Co、Fe−Co等を好ましく挙げられ、特にFeが好ましい。
積層薄膜は、基板1上に設けられた後に熱処理されて磁気異方性の高いPt−Fe、Pt−Co、Pt−Co−Fe等の磁性膜になることができる元素で第1膜2と第2膜3とが構成されていることが望ましく、特に第1膜2としてのPt膜と、第2膜3としてのFe膜とが積層された積層薄膜であることが望ましい。
積層薄膜の形成は、スパッタリング法等の各種の成膜手段により行うことができる。第1膜2と第2膜3との積層は、それぞれの成膜元素を有する各ターゲットを用い、各ターゲットを所定時間、所定電力でスパッタすることにより所望の組成からなる第1膜2と第2膜3とを成膜することができる。
薄膜4が組成変調膜である場合には、Fe及びCoの少なくとも一方とPd及びPtの少なくとも一方との組成が変調している組成変調膜であれば特に限定されないが、例えば、図3に示すように、膜厚方向においてFe及びCoの少なくとも一方とPd及びPtの少なくとも一方との組成が変調している組成変調膜であることが望ましい。組成変調膜は、例えば、Fe及びCoの少なくとも一方とPd及びPtの少なくとも一方との原子をそれぞれの厚さがその単原子層の厚さ以下となるように成膜レートを調整して堆積させた結果、成膜されたものである。なお、ここでいう「変調」とは、従来の単原子層を交互に積層した積層膜のように膜厚方向の各層の組成が単一の原子のみからなるのではなく、Fe及びCoの少なくとも一方とPd及びPtの少なくとも一方とが、膜厚方向に異なる組成で連続的に変化している状態を表している。
組成変調膜は、例えば、PtとFeとを交互に堆積させてPtの割合が多い部分とFeの割合が多い部分とが周期的に配置されている組成変調膜等を例示できる。
この例示された組成変調膜において、Ptの割合が多い部分は、PtとFeとの合計に対するPtの割合が50原子%を超え、90原子%以下であることが好ましく、60原子%以上、90原子%以下であることがより好ましい。Ptの割合が多い部分をこうした割合の範囲となるように堆積させることにより、後述するようにその後の熱処理により磁気異方性の高いCuAuI型規則構造の膜を形成することができる。Ptの割合が90原子%を超える場合は、その後に熱処理しても磁気異方性の高いCuAuI型規則構造の膜を形成することができないことがある。なお、Ptの割合が50原子%を超え、90原子%以下である場合におけるFeの割合は、PtとFeとの合計に対して50原子%未満、10原子%以上となる。
こうした組成変調膜としては、具体的には例えば、Pt原子とFe原子との比率がそれぞれ3:1、1:1、1:3の3つの部分を1周期とした組成変調膜等が挙げられる。
この組成変調膜の成膜方法は、特に限定されず、例えば、図3に示すように、Pt原子とFe原子とを用いた以下の方法等が挙げられる。
(1)非磁性基板1上にPt単原子層を形成するために必要な量の75%に相当するPt原子41をスパッタリング法などにより堆積させる。Pt原子41は完全な単原子層を形成することができない75%の量であるので、形成された第1部分は、図3(a)に示すように、25%の欠陥を有したものとなる。
(2)次に、この第1部分の上にFe単原子層を形成するために必要な量の75%に相当するFe原子42をスパッタリング法などにより堆積させる。Fe原子42は表面拡散の効果により、Fe原子42の25%が第1部分の欠陥を埋めながら、Fe原子42の残りの50%が第2部分を形成する。その結果、第1部分は、図3(b)に示すように、PtとFeとの比率が3:1となり、第2部分は、50%の欠陥を有したものとなる。
(3)次に、第2部分の上にPt単原子層を形成するために必要な量の75%に相当するPt原子41をスパッタリング法などにより堆積させる。Pt原子41は表面拡散の効果により、Pt原子41の50%が第2部分の欠陥を埋めながら、Pt原子41の残りの25%が第3部分を形成する。その結果、第2部分は、図3(c)に示すように、PtとFeとの比率が1:1となり、第3部分は、75%の欠陥を有したものとなる。
(4)次に、第3部分の上にFe単原子層を形成するために必要な量の75%に相当するFe原子42をスパッタリング法などにより堆積させる。Fe原子42は表面拡散の効果により、第3部分の欠陥を全て埋めるように堆積され、第3部分は、図3(d)に示すように、PtとFeとの比率が1:3となる。
このような(1)〜(4)のステップにより形成された膜は、3つの部分(第1部分、第2部分、第3部分)を1周期とし、Pt原子とFe原子との比率がそれぞれ3:1、1:1、1:3と各部分で異なる組成変調構造の膜となる。このような組成変調膜は、単原子層を交互に積層した積層膜に比べ、組成比の周期的なずれによる歪を有しているため、Pt原子41とFe原子42との相互拡散が起こり易く、より低いエネルギーでCuAuI型規則構造が得られると考えられる。
薄膜4は、例えば、厚さ(総厚のことをいう。)が3nm〜30nmとなるまで成膜される。薄膜4の厚さが3nm未満では、その後の熱処理により磁気異方性の高いCuAuI型規則構造の膜を形成することができないことがあり、薄膜4の厚さが30nmを超えると、その後の熱処理時に粒成長が著しくなり、その結果、例えば得られた膜を磁気記録媒体に適用した場合には媒体ノイズが増大するという悪影響が生じることがある。薄膜4が積層薄膜である場合には、第1膜2の厚さと第2膜3の厚さとが、同じでも異なってもどちらでもよいし、また、各第1膜2の厚さ及び各第2膜3の厚さもそれぞれ同じでも異なってもどちらでもよい。また、薄膜4の厚さが3nm〜30nmであればその積層数は特に限定されない。
薄膜4は、熱処理前においては面心立方構造(fcc)の不規則相で磁気異方性及び保磁力が低い膜となり、かつ、熱処理後は高い磁気異方性を示すCuAuI型規則構造となるように、膜組成等が調整されて成膜される。なお、面心立方構造(fcc)の不規則相は、例えば、Fe原子とPt原子とがランダムに配列された不規則相であり、低い磁気異方性及び保磁力を示す。また、CuAuI型規則構造とは、面心正方構造(fct)のことであり、c軸方向に例えばFe原子とPt原子とが交互に積層された原子配列をとる。
熱処理後に高い磁気異方性を示すCuAuI型規則構造となる薄膜の組成としては、F1−x(FはFe及びCoの少なくとも一方であり、MはPd及びPtの少なくとも一方であり、xは原子比で0.3以上、0.65以下である。)の組成とすることが望ましく、こうした組成になるように、薄膜4の組成が調整される。本発明においては、熱処理後の膜5がF1−x(FはFe及びCoの少なくとも一方であり、MはPd及びPtの少なくとも一方であり、xは原子比で0.3以上、0.65以下である。)の組成からなるCuAuI型規則構造を有するので、熱処理後の膜5は極めて高い磁気異方性を有している。熱処理により、薄膜の結晶構造が面心立方構造(fcc)の不規則相から、格子定数がa軸方向に伸び、c軸方向に縮んだ面心正方構造(fct)の規則相に変化すると、縮小したc軸方向には、一原子層毎に、例えば、Fe原子とPt原子とが交互に積層されたいわゆる原子レベルでの超格子が形成されるので、原子配列の異方性は、c軸方向に極めて高い一軸性の磁気異方性を生み出す。その結果、こうした高い磁気異方性をもつ熱処理後の膜5は、記録磁化の熱安定性を向上させるという効果を奏する。なお、上述のような不規則相から規則相への変化は、一般に、規則−不規則変態(order-disorder transformation)といわれている。
薄膜4は、Fe及びCoの少なくとも一方とPd及びPtの少なくとも一方とを主成分とするものであり、孤立粒子系の磁気記録媒体にするための他の成分が通常含まれている。他の成分としては、例えば酸化物、フルオロカーボン等が挙げられる。
熱処理は、薄膜4をCuAuI型規則構造に変化させることができるようにその条件が設定される。そうした熱処理条件は、薄膜4の組成等に応じて一概には決められないが、例えば、熱処理雰囲気の圧力は、好ましくは5×10−6Torr以下である。熱処理雰囲気の圧力が5×10−6Torrを超えると、磁性膜11の酸化による劣化が生じることがある。また、熱処理温度は、好ましくは300℃〜750℃の範囲内である。熱処理温度が300℃未満であると、薄膜4のCuAuI型規則構造への変化が十分に行われないことがあり、熱処理温度が750℃を超えると、熱処理後の膜5の表面形状の変化が生じることがある。また、熱処理時間は、好ましくは5秒〜10000秒である。熱処理時間が5秒未満であると、薄膜4のCuAuI型規則構造への変化が十分に行われないことがあり、熱処理時間が10000秒を超えると、用いた基板1の材質にもよるが基板1の変形が生じることがある。
このような熱処理条件でFe及びCoの少なくとも一方と、Pd及びPtの少なくとも一方とを主成分とする薄膜4を熱処理することにより、薄膜4は高い磁気異方性を示すCuAuI型規則構造に変化する。その結果、熱処理後の膜5は高い保磁力を示す。例えば、Pt原子とFe原子とを交互に堆積させた薄膜4を熱処理することにより、保磁力Hcが約5000Oe以上、後述する実施例においては6800Oeである高い保磁力の膜5が得られる。
B、Cr、Nb及びGaから選ばれる少なくとも1種は、イオン注入法により熱処理後の膜5に注入される。注入されるイオンは、B、Cr、Nb及びGaから選ばれる1種でも、2種以上でもよい。B、Cr、Nb及びGaから選ばれる少なくとも1種は、熱処理後の膜5の保磁力を低減させる効果(以下、「保磁力低減効果」ともいうこともある。)を有する。なお、以下においては、B、Cr、Nb及びGaから選ばれる1種を「B等」ということもある。本発明においては、B等のイオン6を熱処理後の膜5の所定の部位に局所的に注入することにより、B等のイオン6が注入された部位7は保磁力が低くなる。その結果、B等のイオン6が注入された部位7は低い保磁力を示す部位9となり、B等のイオン6が注入されていない部位8は高い保磁力を示す部位10となる。
本発明において、B等のイオン6の注入量は、注入された部位7の保磁力ができるだけ低くなる範囲から設定される。例えば、B(ホウ素)の注入量は、熱処理後の膜5の組成で1原子%〜10原子%の範囲内であることが好ましい。Crの注入量は、熱処理後の膜5の組成で0.05原子%〜10原子%の範囲内であることが好ましく、1原子%〜10原子%の範囲内であることがより好ましい。Nbの注入量は、熱処理後の膜5の組成で0.05原子%〜10原子%の範囲内であることが好ましい。Gaの注入量は、熱処理後の膜5の組成で0.05原子%〜10原子%の範囲内であることが好ましく、0.05原子%〜5原子%の範囲内であることがより好ましい。これらの範囲内のB等のイオン6を注入することにより、B等のイオン6が注入された部位7は、低い保磁力を示す部位9となる。B等のイオン6の注入量が1原子%又は0.05原子%未満では、注入された部位7の保磁力低減効果を十分に発揮することができないことがある。一方、B等のイオン6の注入量が10原子%を超えると、注入された部位7の表面粗さが大きくなることがある。
なお、例えば、ディスクリートトラック型の磁気記録媒体やディスクリートビット型の磁気記録媒体等のパターンド磁気記録媒体においては、磁性パターン以外の部位(すなわち、B等のイオン6が注入された部位)の保磁力がより低いことが望ましい。磁性パターン以外の部位の保磁力が低いパターンド磁気記録媒体は、S/N比の低下やエラーレートの劣化を生じさせることなくトラック幅の縮小又は記録ビット長の短縮を可能にすることができる。
B等のイオン6の注入は、イオン注入法により行われる。イオン注入法は、イオン注入装置を用いるが、B等のイオン6を注入する場合において、薄膜4の厚さが3nm〜30nmのときには、注入されるイオンに応じて一概には決められないが、その注入電圧が5keV〜35keVの範囲内であることが望ましい。この範囲内の注入電圧でB等のイオン6を注入することにより、例えば熱処理後の膜5の厚さ方向の各部にB等のイオン6を注入することができる。なお、注入電圧は熱処理後の膜5の厚さが薄い場合には前記範囲内の小さめの値に設定することが望ましく、熱処理後の膜5の厚さが厚い場合には前記範囲内の大きめの値に設定することが望ましい。注入電圧が5keV未満では、熱処理後の膜5の厚さが3nm〜30nmのとき、熱処理後の膜5の深部にB等のイオン6が十分に注入されず、保磁力低減効果を十分に発揮することができないことがある。一方、注入電圧が35keVを超えると、熱処理後の膜5の厚さが3nm〜30nmのとき、例えば熱処理後の膜5の下に軟磁性裏打ち層の目的で下地膜を設けた場合には下地膜にまでB等のイオン6が注入されて軟磁気特性が劣化してしまうことがある。
以上説明した本発明の磁性膜の形成方法において、基板1と磁性膜11の間には、図2に示すように、下地膜31や中間膜32を下地として設けることができる。こうした下地膜31や中間膜32を備えた磁性膜11は、それらが設けられていない磁性膜に比べて、磁性膜の結晶配向性や記録特性に優れるという効果がある。
下地膜31は、非磁性材料からなる基板1上に軟磁性裏打ち層の目的で設けられるものであり、例えば、NiFe、NiFeNb、FeCo等の材料で厚さ5nm〜200nmの範囲で形成される。この下地膜31の成膜は、例えばスパッタリング法等で行うことができる。
中間膜32は、下地膜31上に磁性膜の結晶配向性を制御する目的で設けられるものであり、例えば、MgO等の材料で厚さ0.5nm〜5nmの範囲で形成される。この中間膜32の成膜も、例えばスパッタリング法等で行うことができる。
(磁性パターンの形成方法)
次に、本発明の磁性パターンの形成方法について説明する。
本発明の磁性パターンの形成方法は、上述した磁性膜の形成方法において、B等のイオンの局所的な注入をマスクを用いて行うことに特徴がある。すなわちFe及びCoの少なくとも一方と、Pd及びPtの少なくとも一方とを主成分とする薄膜を熱処理した後に、この熱処理後の膜の所定の箇所にマスクを用いてB等のイオンを注入することに特徴を有している。この場合の薄膜は、例えば、図1に示したように、Pd及びPtの少なくとも一方を主成分とする第1膜2と、Fe及びCoの少なくとも一方を主成分とする第2膜3とを積層した薄膜4や、例えば、図3に示したようにPd及びPtの少なくとも一方とFe及びCoの少なくとも一方とを交互に堆積させた組成変調膜のいずれであってもよい。
マスク20の材質については、特に限定されるものではなく、フォトリソグラフィで形成したレジスト、シリコンステンシル等に代表される各種のものを任意に使用することができる。特に本発明においては、マスク20の開口部を、例えばディスクリートトラック媒体を形成するための同心円状のトラックパターン以外の部分とすることにより、保磁力低減効果のあるB等のイオンをそのトラックパターン以外の部分に注入してB等のイオンが注入されていない部分をトラックパターンとすることができる。また、マスク20の開口部を、例えばディスクリートビット媒体を形成するためのドット状のパターン以外の部分とすることにより、保磁力低減効果のあるB等のイオンをそのドットパターン以外の部分に注入してB等のイオンが注入されていない部分をドットパターンとすることができる。
こうした方法で熱処理後の膜にB等のイオンを注入することにより、B等のイオンが注入されていない部分は高い保磁力を示す同心円状のトラックパターンとすることができ、B等のイオンが注入された部分は低い保磁力を示すパターンとすることができる。
したがって、本発明の磁性パターンの形成方法によれば、保磁力の低い部位をパターン状に形成することにより実質的に表面凹凸のない磁性パターンを極めて単純なプロセスで形成することができる。
なお、ディスクリートトラック媒体に設けられる同心円状のトラックパターンを形成するためのマスクとしては、例えばマスクの幅が30nm〜250nm程度でマスクのトラックピッチが50nm〜300nm程度のマスクパターンをもつマスクを使用できる。また、ディスクリートビット媒体に設けられるドット状のビットパターンを形成するためのマスクとしては、例えばマスクの径が10nm〜100nm程度でマスクのドットピッチが20nm〜200nm程度のマスクパターンをもつマスクを使用できる。
(磁気記録媒体の製造方法)
次に、本発明の磁気記録媒体の製造方法について説明する。
本発明の磁気記録媒体の製造方法は、上述した磁性パターンの形成方法を利用したものであり、非磁性基板と、その非磁性基板上に設けられる磁性膜とを少なくとも有する磁気記録媒体の製造方法であって、磁性膜が、Fe及びCoの少なくとも一方と、Pd及びPtの少なくとも一方とを主成分とする薄膜を熱処理した後に、B等のイオンを局所的に注入してなることを特徴とする。なお、製造される磁気記録媒体は、図2で示した形態と同じ形態で形成されるので、以下においては、図1又は図2で使用した符号を用いて各膜を説明する。
製造される磁気記録媒体は、非磁性基板30(図1においては符号1に該当する)と磁性膜11との間に、図2に示すような下地膜31や中間膜32が下地として設けられる。こうした構成からなる磁気記録媒体は、垂直記録方式における記録磁界を磁性膜の記録部位によく集中させること(記録効率に優れること)ができるという効果がある。
本発明の磁気記録媒体の製造方法によれば、所定の磁性パターンを備えたパターンド媒体であるディスクリートトラック媒体やディスクリートビット媒体等の磁気記録媒体を、従来のような溝等を形成することなく製造することができるので、実質的に表面凹凸のない磁気記録媒体を製造することができる。
以下、磁気記録媒体の製造方法についての実施例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明する。
(実施例1)
非磁性基板30として厚さ0.635mmのガラス基板を用い、その上に下地膜31として厚さ150nmとなるようにスパッタリング法でNiFeNbを成膜し、さらにその上に中間膜32として厚さ3nmとなるようにスパッタリング法でMgOを成膜した。成膜された中間膜32上に、Pt単原子層を形成するために必要な量の75%に相当するPt原子41をスパッタリング法により堆積させ、引き続いて、Fe単原子層を形成するために必要な量の75%に相当するFe原子42をスパッタリング法により堆積させる。そして、こうしたPt原子41の堆積とFe原子42の堆積とを交互に繰り返し、その繰り返し数が63回になるまで交互に堆積を行って薄膜を成膜した。得られた薄膜は、Pt原子41とFe原子42との比率がそれぞれ3:1、1:1、1:3を1周期とする組成変調膜であり、この組成変調膜の原子組成比はエネルギー分散型X線分析装置(EDS(energy dispersive spectrumeter))による組成分析の結果ではPt45Fe55であり、その薄膜の総厚さは20nmであった。薄膜の成膜は、PtターゲットとFeターゲットとを回転可能なターゲットプレート上に配置し、そのターゲットプレートを回転させて所定位置で停止させ、それぞれのターゲットをスパッタすることにより行った。
次に、得られた薄膜を熱処理した。熱処理は、5×10−7Torr以下の真空雰囲気中で600℃・3600秒の条件で行った。熱処理後の膜にB(ホウ素)イオンを注入して4種の磁性膜(試料2〜5)を作製した。Bイオンの注入は、イオン注入装置(日新電機株式会社製;型番NH20SR)を用いて行った。磁性膜中のBイオンの注入量は、注入された各薄膜をラザフォード後方散乱法(RBS)で測定した値で表した。試料2〜5では、表1に示すように、熱処理後の膜に注入電圧5keVで0.05原子%〜10原子%の注入量のBイオンを注入した。磁性膜中のBイオンの注入量は、イオン注入された各膜をラザフォード後方散乱法(RBS)で測定した値で表した。作製した磁性膜の磁気特性について調べ、その結果を表1に示した。磁性膜の結晶構造は、X線回折から決定した。磁気特性については、振動試料型磁力計(VSM)により面内方向の保磁力Hcを測定した。なお、試料1はBイオンが注入されていない場合である。
Figure 0004319059
表1の結果から明らかなように、本発明に係る試料3〜5の場合は、そのいずれにおいても低い保磁力を示した。なお、磁気記録媒体の非記録部として好ましい範囲は、保磁力Hcが2000Oe未満であり、本発明に係る試料3〜5の場合はいずれも好ましい範囲内となった。これに対して、Bの注入量が0.05原子%の試料2の場合は、保磁力を十分に低下させることができなかった。よって、Bイオンの注入量は、熱処理後の膜の組成で1原子%〜10原子%の範囲内であることが好ましく、特に5原子%〜10原子%の範囲内であることが好ましいことが分った。
また、試料1〜5について、イオン注入後における磁性膜の表面粗さRa(算術平均粗さ(JIS B0601−2001))を、原子間力顕微鏡(AFM)から得られたデータを換算して算出し、その結果を表2に示した。
Figure 0004319059
表2の結果から明らかなように、5keVの注入電圧でBイオンを厚さ20nmの膜に注入した場合の試料2〜5(すなわちBイオンの注入量を0.05原子%〜10原子%とした場合)は、磁性膜の表面粗さ(Ra)が小さかった。なお、磁気記録媒体の非記録部としては、表面粗さ(Ra)が1.0nm未満であることが好ましく、試料3〜5はいずれもこの範囲内となった。
(実施例2)
実施例1のBイオンの代わりにCrイオンを18keVの注入電圧で熱処理後の膜に注入した以外は前記の実施例1と同様にして4種の磁性膜(試料6〜9)を作製した。試料6〜9では、熱処理後の膜に注入電圧18keVで0.05原子%〜10原子%の注入量のCrイオンを注入した。作製した磁性膜の磁気特性について、前記の実施例1と同様に振動試料型磁力計(VSM)により面内方向の保磁力Hcを測定した。その結果を表3に示した。
Figure 0004319059
表3の結果から明らかなように、本発明に係る試料6〜9の場合は、そのいずれにおいても低い保磁力を示した。よって、Crイオンの注入量は、熱処理後の膜の組成で0.05原子%〜10原子%の範囲内であることが好ましく、特に1原子%〜10原子%の範囲内であることが好ましいことが分った。
また、試料6〜9について、イオン注入後における磁性膜の表面粗さRa(算術平均粗さ(JIS B0601−2001))を、前記の実施例1と同様に原子間力顕微鏡(AFM)から得られたデータを換算して算出し、その結果を表4に示した。
Figure 0004319059
表4の結果から明らかなように、18keVの注入電圧でCrイオンを厚さ20nmの膜に注入した場合の試料6〜9(すなわちCrイオンの注入量を0.05原子%〜10原子%とした場合)は磁性膜の表面粗さ(Ra)が小さかった。
(実施例3)
実施例1のBイオンの代わりにNbイオンを35keVの注入電圧で熱処理後の膜に注入した以外は前記の実施例1と同様にして4種の磁性膜(試料10〜13)を作製した。試料10〜13では、熱処理後の膜に注入電圧35keVで0.05原子%〜10原子%の注入量のNbイオンを注入した。作製した磁性膜の磁気特性について、前記の実施例1と同様に振動試料型磁力計(VSM)により面内方向の保磁力Hcを測定した。その結果を表5に示した。
Figure 0004319059
表5の結果から明らかなように、本発明に係る試料10〜13の場合は、そのいずれにおいても低い保磁力を示した。よって、Nbイオンの注入量は、熱処理後の膜の組成で0.05原子%〜10原子%の範囲内であることが好ましく、特に1原子%〜10原子%の範囲内であることが好ましいことが分った。
また、試料10〜13について、イオン注入後における磁性膜の表面粗さRa(算術平均粗さ(JIS B0601−2001))を、前記の実施例1と同様に原子間力顕微鏡(AFM)から得られたデータを換算して算出し、その結果を表6に示した。
Figure 0004319059
表6の結果から明らかなように、35keVの注入電圧でNbイオンを厚さ20nmの膜に注入した場合の試料10〜13のうち試料10〜12(すなわちNbイオンの注入量を0.05原子%〜5原子%とした場合)は、磁性膜の表面粗さ(Ra)が小さかった。なお、試料13は、試料10〜12に比べて磁性膜の表面粗さ(Ra)が大きいが、磁性膜の表面を研磨等して平坦化加工することによりその表面粗さ(Ra)を1.0nm以下にすることが可能である。
(実施例4)
実施例1のBイオンの代わりにGaイオンを30keVの注入電圧で熱処理後の膜に注入した以外は前記の実施例1と同様にして4種の磁性膜(試料14〜17)を作製した。試料14〜17では、熱処理後の膜に注入電圧30keVで0.05原子%〜10原子%の注入量のGaイオンを注入した。作製した磁性膜の磁気特性について、前記の実施例1と同様に振動試料型磁力計(VSM)により面内方向の保磁力Hcを測定した。その結果を表7に示した。
Figure 0004319059
表7の結果から明らかなように、本発明に係る試料14〜17の場合は、そのいずれにおいても低い保磁力を示した。よって、Gaイオンの注入量は、熱処理後の膜の組成で0.05原子%〜10原子%の範囲内であることが好ましいことが分った。
また、試料14〜17について、イオン注入後における磁性膜の表面粗さRa(算術平均粗さ(JIS B0601−2001))を、前記の実施例1と同様に原子間力顕微鏡(AFM)から得られたデータを換算して算出し、その結果を表8に示した。
Figure 0004319059
表8の結果から明らかなように、30keVの注入電圧でGaイオンを厚さ20nmの熱処理後の膜に注入した場合の試料14〜17のうち試料14、15(すなわちGaイオンの注入量を0.05原子%〜1原子%とした場合)は、磁性膜の表面粗さ(Ra)が小さかった。なお、試料16は、試料14、15に比べて磁性膜の表面粗さ(Ra)が大きいが、得られた磁性膜の表面を研磨等して平坦化加工することによりその表面粗さ(Ra)を1.0nm以下にすることが可能である。
従って、保磁力を低減させる効果を有するB等の所定量を熱処理後の膜中に局所的にイオン注入することにより、B等のイオンが注入された部分は低い保磁力を示し、B等のイオンが注入されていない部分は高い保磁力を示す磁性膜が得られることになる。
本発明の磁性膜の形成方法の一例を示す工程図であり、図1(a)は積層された薄膜の断面形態であり、図1(b)は薄膜を熱処理した工程の断面形態であり、図1(c)は熱処理後の膜にB、Cr、Nb及びGaから選ばれる少なくとも1種のイオンを注入する工程の断面形態であり、図1(d)はB、Cr、Nb及びGaから選ばれる少なくとも1種のイオンが注入された結果として形成された本発明の磁性膜の断面形態である。 図1(d)に示す磁性膜において、基板と磁性膜との間に下地膜及び中間膜を設けた態様の一例を示す積層方向の断面図である。 本発明の組成変調膜の成膜方法の一例を示す工程図である。
符号の説明
1 基板
2 第1膜
3 第2膜
4 薄膜
5 熱処理後の膜
6 B、Cr、Nb及びGaから選ばれる少なくとも1種のイオン(B等のイオン)
7 B、Cr、Nb及びGaから選ばれる少なくとも1種のイオン(B等のイオン)が注入された部位
8 B、Cr、Nb及びGaから選ばれる少なくとも1種のイオン(B等のイオン)が注入されていない部位
9 低い保磁力を示す部位
10 高い保磁力を示す部位
11 磁性膜
20 マスク
30 非磁性基板
31 下地膜
32 中間膜
41 Pt原子
42 Fe原子

Claims (7)

  1. Fe及びCoの少なくとも一方と、Pd及びPtの少なくとも一方とを主成分とする薄膜を熱処理した後に、Nb及びGaから選ばれる少なくとも1種のイオンを局所的に注入することを特徴とする磁性膜の形成方法。
  2. 前記熱処理後のNb及びGaから選ばれる少なくとも1種のイオンが注入されていない部分が、CuAuI型規則構造であることを特徴とする請求項1に記載の磁性膜の形成方法。
  3. 前記薄膜が、前記Fe及びCoの少なくとも一方を主成分とする膜と、前記Pd及びPtの少なくとも一方を主成分とする膜とを積層した薄膜であることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁性膜の形成方法。
  4. 前記薄膜が、前記Fe及びCoの少なくとも一方と前記Pd及びPtの少なくとも一方とが膜厚方向において組成が変調した組成変調膜であることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁性膜の形成方法。
  5. Fe及びCoの少なくとも一方と、Pd及びPtの少なくとも一方とを主成分とする薄膜を熱処理した後に、この熱処理後の膜の所定の箇所にマスクを用いてNb及びGaから選ばれる少なくとも1種のイオンを注入することを特徴とする磁性パターンの形成方法。
  6. 非磁性基板と、当該非磁性基板上に設けられる磁性膜とを少なくとも有する磁気記録媒体の製造方法であって、
    前記磁性膜が、Fe及びCoの少なくとも一方と、Pd及びPtの少なくとも一方とを主成分とする薄膜を熱処理した後に、Nb及びGaから選ばれる少なくとも1種のイオンを局所的に注入してなることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  7. 記Nb及びGaから選ばれる少なくとも1種のイオンの局所的な注入がマスクを用いて行われることを特徴とする請求項6に記載の磁気記録媒体の製造方法。
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