JP2008091031A - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】面記録密度が高く、且つ、記録・読取精度が良い磁気記録媒体の製造方法及び磁気記録媒体を提供する。
【解決手段】分割記録要素20間の隙間部26を非磁性体28で充填してから第1のマスク層34を除去するようにした。
【選択図】図7

Description

本発明は、磁気記録媒体の製造方法に関する。
従来、ハードディスク等の磁気記録媒体は、記録層を構成する磁性粒子の微細化、材料の変更、ヘッド加工の微細化等の改良により著しい面記録密度の向上が図られており、今後も面記録密度の一層の向上が期待されている。
しかしながら、磁性粒子の微細化等、従来の改良手法による面記録密度の向上は限界にきており、面記録密度の一層の向上を実現可能である磁気記録媒体の候補として、連続記録層を多数の分割記録要素に分割し、分割記録要素の間の隙間部に非磁性体を充填してなるディスクリートタイプの磁気記録媒体が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
連続記録層の微細な分割を実現する加工技術としては、例えばNH(アンモニア)等の含窒素ガスが添加されたCO(一酸化炭素)ガスを反応ガスとする反応性イオンエッチング等のドライエッチングの手法(例えば、特許文献2参照)を利用しうる。具体的には、まず連続記録層の表面に所定のパターンのマスク層を形成し、連続記録層におけるマスク層から露出した部分を前述のCOガス等を反応ガスとするドライエッチングで除去して多数の分割記録要素に分割する。
分割記録要素上に残存するマスク層は、半導体製造の分野で一般的に用いられる、フッ素系のSF(6フッ化硫黄)、CF(4フッ化炭素)、NF3(3フッ化窒素)、CHF3(フルオロホルム)、塩素系のCl2(塩素)、BCl3(3塩化ホウ素)、CHCl3(クロロホルム)等の化学的に活性なガスを反応ガスとする反応性イオンエッチング等を用いて除去することができる。
尚、ヘッド浮上の安定化を図るためには、非磁性体及び分割記録要素の表面を加工して平坦化し、表面粗さを一定に制限することが好ましい。この平坦化加工についても半導体製造の分野で用いられるウェットプロセスによるCMP(Chemical Mechanical Polishing)法等の加工技術を利用しうる。
特開平9−97419号公報 特開平12―322710号公報
しかしながら、SF、CF等の化学的活性が強い反応ガスを用いて分割記録要素上のマスク層を除去すると、分割記録要素の側面近傍等に酸化、腐食等の劣化が生じやすいという問題がある。
又、CMP法等で分割記録要素及び非磁性体の表面を加工する際にも、分割記録要素の側面近傍がスラリー等による化学的、物理的な作用を受けて腐食等の劣化が生じやすいという問題がある。
尚、分割記録要素の劣化は加工後、経時的に生じることもある。
このような分割記録要素の劣化のために磁気記録媒体の磁気特性が低下し、記録・読取精度が低下することがある。
即ち、磁気記録媒体は磁性材が酸化しやすい等の特有の問題を有するため、半導体製造等の分野では有効な加工技術であっても、これらの加工技術をそのまま用いて、分割記録要素の劣化等を確実に防止しつつ記録・読取精度が良いディスクリートタイプの磁気記録媒体を製造することは困難であった。
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであって、面記録密度が高く、且つ、記録・読取精度が良い磁気記録媒体の製造方法を提供することをその課題とする。
本発明は、分割記録要素間の隙間部を非磁性体で充填してからマスク層を除去することにより、非磁性体で分割記録要素の側面近傍を反応ガス等から隔離し、分割記録要素の側面近傍の劣化を防止するようにしたものである。
即ち、次のような本発明により、上記課題の解決を図ったものである。
(1)基板表面上に連続記録層を形成する連続記録層形成工程と、前記連続記録層上にマスク層を形成するマスク層形成工程と、前記マスク層を所定のパターンで部分的に除去するマスク層加工工程と、前記連続記録層における前記マスク層から露出する部分を除去し、該連続記録層を前記所定のパターンで多数の分割記録要素に分割する連続記録層加工工程と、前記分割記録要素間の隙間部に非磁性体を充填する非磁性体充填工程と、前記分割記録要素上に残存するマスク層を除去するマスク層除去工程と、を含み、且つ、前記連続記録層加工工程と、前記非磁性体充填工程と、前記マスク層除去工程と、をこの順で実行するようにしたことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
(2)前記非磁性体充填工程は、バイアス印加を有するプラズマCVD法及びバイアススパッタリング法のいずれかを用いて前記分割記録要素間の隙間部に前記非磁性体を充填するように構成されたことを特徴とする前記(1)の磁気記録媒体の製造方法。
(3)前記非磁性体充填工程は、前記非磁性体として酸化物材料、窒化物材料、及び非磁性のアモルファス材料のいずれかを含む材料を用いるようにしたことを特徴とする前記(2)の磁気記録媒体の製造方法。
(4)前記非磁性体充填工程は、前記非磁性体として二酸化珪素を用いるようにしたことを特徴とする前記(3)の磁気記録媒体の製造方法。
(5)前記マスク層除去工程は、前記分割記録要素上に残存するマスク層と共に前記隙間部上の余剰の非磁性体を除去して表面を平坦化することを特徴とする前記(1)乃至(4)のいずれかの磁気記録媒体の製造方法。
(6)前記マスク層除去工程は、前記分割記録要素上に残存するマスク層と共に前記隙間部上の余剰の非磁性体を除去し、前記非磁性体と前記分割記録要素とが、前記磁気記録媒体の厚さ方向に微少量の段差を形成するように表面を加工することを特徴とする前記(5)の磁気記録媒体の製造方法。
(7)前記マスク層除去工程は、前記分割記録要素上に残存するマスク層と共に前記隙間部上の余剰の非磁性体を除去し、且つ、前記非磁性体と前記分割記録要素とが、−15〜+10nmの段差を形成するように表面を加工することを特徴とする前記(5)の磁気記録媒体の製造方法。
(8)前記マスク層除去工程は、CMP法を用いた研磨工程であることを特徴とする前記(5)乃至(7)のいずれかの磁気記録媒体の製造方法。
(9)前記マスク層除去工程は、前記マスク層の表面に対し、入射角を−10〜15°及び60〜90°のいずれかの範囲に制限してイオンを衝突させるように構成されたプラズマを用いたドライエッチング工程であることを特徴とする前記(5)乃至(7)のいずれかの磁気記録媒体の製造方法。
(10)前記プラズマを用いたドライエッチング工程は、イオンビームエッチング法を用いることを特徴とする前記(9)の磁気記録媒体の製造方法。
(11)前記マスク層除去工程の後に、表面保護層を形成する表面保護層形成工程が設けられたことを特徴とする前記(1)乃至(10)のいずれかの磁気記録媒体の製造方法。
尚、本明細書において「ダイヤモンドライクカーボン(以下、「DLC」という)」という用語は、炭素を主成分とし、アモルファス構造であって、ビッカース硬度測定で200〜8000(kgf/mm)程度の硬さを示す材料という意義で用いることとする。
又、本明細書においてプラズマを用いたドライエッチング工程におけるイオンの「入射角」とは磁気記録媒体の表面に対する入射角度であって、媒体表面と入射イオンビームの中心軸とが形成する角度という意義で用いることとする。例えば、イオンビームの中心軸が媒体表面と平行である場合、入射角は0°である。
又、本明細書において、非磁性体と分割記録要素とが形成する「段差」は、非磁性体が凸となる場合を正の値で、非磁性体が凹となる場合を負の値で、それぞれ表すこととする。例えば、−15nmの段差とは、非磁性体の表面が、分割記録要素の記録面表面よりも基板方向へ15nm低く形成されている段差をいう。
本発明によれば、分割記録要素の劣化を確実に防止し、面記録密度が高く、且つ、記録・読取精度が良い磁気記録媒体を確実に製造することが可能となるという優れた効果がもたらされる。
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る磁気記録媒体の構造を模式的に示す側断面図である。
磁気記録媒体10は垂直記録型のディスクリートタイプの磁気ディスクで、基板12上に下地層14、軟磁性層16、配向層18、多数の微細な分割記録要素20に分割された分割記録層22、保護層24、がこの順で形成されている。分割記録要素22間の隙間部26には非磁性体28が充填されている。
基板12の材質はガラス、下地層14の材質はCr(クロム)又はCr合金、軟磁性層16の材質はFe(鉄)合金又はCo(コバルト)合金、配向層18の材質は、CoO、MgO、NiO等とされている。
分割記録層22を構成する各分割記録要素20の材質はCo(コバルト)及びCoCrPt(コバルト−クロム−プラチナ)を含むCo合金とされている。分割記録要素20は、上面20Aが保護層24で被覆され、側面20Bが非磁性体28で被覆されている。
保護層24は、分割記録要素20の上面20A上に形成された中間保護層24Aと該中間保護層24A上及び非磁性体28上に形成された表面保護層24Bと、から構成され、これら中間保護層24A及び表面保護層24Bはいずれも材質が共通のDLCとされて一体化されている。
非磁性体28は、材質がSiO(二酸化珪素)とされ、表面28Aが分割記録要素20の表面20Aよりも厚さ方向に突出又は凹むように隙間部26内に充填されている。
次に、磁気記録媒体10の作用について説明する。
磁気記録媒体10は、分割記録層22が多数の微細な分割記録要素20に分割された垂直記録型のディスクリートタイプであるので各記録要素20間の記録ミス、読取ミスが発生しにくく、高い面記録密度を実現することができる。
又、非磁性体28の表面28Aが分割記録要素20の表面20Aよりも各層の厚さ方向に凹んでいる場合、それだけヘッド(図示省略)と磁気記録媒体10との間の磁気が分割記録要素20に選択的に指向することとなり、それだけ記録・読取精度が向上する。
一方、分割記録要素20の表面20Aが非磁性体28の表面28Aよりも各層の厚さ方向に凹んでいる場合、ヘッド(図示省略)と磁気記録媒体10の表面とが接触してしまっても、ヘッドと分割記録要素20の表面20Aとが接触することはないため、データの破損を防止する効果が得られる。
尚、中間保護層24A上及び非磁性体28上に更に表面保護層24Bを形成することにより、表面保護層24Bの表面の段差の絶対値が分割記録要素20及び非磁性体28の段差の絶対値よりも小さく緩和されており、ヘッド(図示省略)浮上の安定化が図られている。
又、各分割記録要素20は、上面20Aが中間保護層24Aで被覆され、側面20Bが非磁性体28で被覆されているので、大気等から隔離されて変質しにくく磁気特性が安定しており、磁気記録媒体10は信頼性が高い。
次に、磁気記録媒体10の製造方法について説明する。
図2は、磁性記録媒体10の製造工程の概要を示すフローチャートである。
まず、図3に示されるような、製造工程における中間体30を用意する。まず基板12上に、下地層14を300〜2000Åの厚さで、軟磁性層16を500〜3000Åの厚さで、配向層18を30〜300Åの厚さで、連続記録層32を100〜300Åの厚さで(S101)、この順でスパッタリング法により形成し、更に中間保護層24Aを10〜50Åの厚さでCVD法により形成する(S102)。更に、中間保護層24A上に第1のマスク層34を100〜500Åの厚さでスパッタリング法により形成し(S103)、更に第2のマスク層36を300〜3000Åの厚さで、スピンコート又はディッピングにより形成し(S104)、ベーキングすることにより中間体30が得られる。
尚、第1のマスク層34の材質はTiN(窒化チタン)、第2のマスク層36の材質はネガ型レジスト(NEB22A 住友化学工業株式会社製)とされている。
この中間体30の第2のマスク層36に転写手段(図示省略)を用いて、分割記録層22の分割パターンに相当する凹部をナノ・インプリント法により転写し(S105)、更に、酸素ガス又はオゾンガスを用いたプラズマにより、第2のマスク層36の全面を均一にドライエッチング加工すると、図4に示されるように凹部底面の第2のマスク層36が除去され(S106)、凹部底面に第1のマスク層34が露出する。尚、第2のマスク層36はドライエッチングにより凹部以外の領域も除去されるが、凹部底面との段差の分だけ残存する。
次に、図5に示されるように、CFガス又はSFガスを反応ガスとする反応性イオンエッチングにより、凹部底面の第1のマスク層34を除去する(S107)。尚、この際、凹部底面の中間保護層24Aも除去され、連続記録層32も微少量除去される。又、凹部以外の領域の第2のマスク層36も大部分が除去されるが微小量が残存する。
次に、NHガスが添加されたCOガスを反応ガスとする反応性イオンエッチングにより凹部底面の連続記録層32を除去して多数の微細な分割記録要素20に分割し、これにより、図6に示されるように、前記分割記録層22が形成される(S108)。尚、この際、凹部底面の配向層18も微少量除去される。又、凹部以外の領域の第2のマスク層36は完全に除去されるが、凹部以外の領域の第1のマスク層34は各分割記録要素20上に若干量残存する。
次に、図7に示されるように、バイアススパッタリング法により、分割記録要素20間の隙間部26に非磁性体28を充填する(S109)。ここで、非磁性体28は、分割記録要素20及び隙間部26を完全に被覆するように形成する。
次に、CMP法により、分割記録要素20上に残存する第1のマスク層34と共に隙間部26上の余剰の非磁性体28を除去し、図8に示されるように平坦化する(S110)。この際、材質がDLCの中間保護層24Aがいわばマスクのような役割を果たし、中間保護層24Aよりも材質がSiOの非磁性体28が若干速く除去されるので、非磁性体28が分割記録要素20よりも厚さ方向に微少量凹むように形成される。
又、この際、分割記録要素20は上面20Aが中間保護層24Aで被覆され、側面20Bが非磁性体28で被覆されているので、CMP法に用いるスラリー等から完全に隔離され、酸化、腐食等の変質が生じることがない。
次に、CVD法により、各分割記録要素20上及び非磁性体28上に表面保護層24Bを形成する(S111)。表面保護層24Bは表面が各分割記録要素20及び非磁性体28の段差よりも均されて形成される。
これにより、前記図1に示されるような磁気記録媒体10が得られる。
尚、保護層24の表面には必要に応じて、ディッピング法により、例えば材質がPFPE(パーフロロポリエーテル)の潤滑層を10〜20Åの厚さで塗布する。
このように、連続記録層32と第1のマスク層34との間に中間保護層24Aを形成したので、中間保護層24Aが連続記録層32の上面を常に大気、反応ガス等から隔離し、上面20A近傍の変質を防止することができる。更に、連続記録層32の分割した後も、中間保護層24Aが分割記録要素20の上面20Aをスラリー等から隔離し、上面20A近傍の変質を確実に防止することができる。
又、分割記録要素20間の隙間部26に非磁性体28を充填してから、第1のマスク層34を除去するので、第1のマスク層34を除去する際、非磁性体28が分割記録要素20の側面20Bをスラリー等から隔離し、側面20B近傍の変質も防止することができる。
又、加工効率が良いCMP法を用いて第1のマスク層34を除去しているので上記製造工程は生産効率が良い。
更に、第1のマスク層34を除去する工程が表面の平坦化工程を兼ねているので、この点でも上記製造工程は生産効率が良い。
又、分割記録要素20の上面20A上に中間保護層24Aを形成することにより、CMP法を利用して中間保護層24Aよりも非磁性体28を若干速く除去し、分割記録要素20よりも厚さ方向に微少量凹むように、非磁性体28を効率よく加工することができる。
尚、本実施形態において、分割記録層22(及び連続記録層32)の材質はCo及びCoCrPtを含むCo合金とされているが、本発明はこれに限定されるものではなく、分割記録層22(及び連続記録層32)の材質は例えば、上記Co合金の積層体、Fe(鉄)、Fe合金、Fe合金の積層体等の他の材質としてもよい。
又、本実施形態において、第1のマスク層34の材質はTiNとされているが、第1のマスク層34の材質はCOガス等を反応ガスとする反応性イオンエッチングで除去されにくい材質であれば、第1のマスク層34の材質は特に限定されず、例えば、Ti(チタン)、Ta(タンタル)、Mg(マグネシウム)、Al(アルミニウム)、Si(珪素)、Ge(ゲルマニウム)、Pb(鉛)の他、これらを主成分として含む合金、化合物等を用いることができる。
又、本実施形態において、第1のマスク層34をドライエッチングで所定のパターンに加工するために第1のマスク層34上に、更にネガ型レジストの第2のマスク層36が形成され、2段階のドライエッチングで第1のマスク層34が所定のパターンに加工されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1のマスク層34を所定のパターンで加工することができれば、第1のマスク層34上に形成する他のマスク層の材質、積層数等は特に限定されず、例えば3段階以上のドライエッチングで第1のマスク層34を所定のパターンに加工してもよい。
又、本実施形態において、第1のマスク層34を加工するためにCF、SFを反応ガスとする反応性イオンエッチングを用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、上記のような第1のマスク層34の材質と反応し、エッチングを促進するような反応ガスであれば反応ガスの種類は特に限定されず、例えばNF3、CHF3等の他のフッ素系ガス、Cl、BCl、CHCl等の塩素系ガス等を用いてもよい。マスク層除去工程についても同様である。
又、本実施形態において、バイアススパッタリング法を用いて分割記録要素20間の隙間部26に非磁性体28を充填しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、バイアス印加を有するプラズマCVD法を用いて非磁性体を充填してもよい。
又、本実施形態において、第1のマスク層34及び余剰の非磁性体28を除去して平坦化するためにCMP法を用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばイオンビームエッチング、イオンミリング、反応性イオンエッチング等のプラズマを用いたドライエッチング工程で第1のマスク層34及び余剰の非磁性体28を除去して平坦化してもよい。
又、本実施形態において、中間保護層24Aがいわばマスクのような役割を果たすことで、非磁性体28を選択的に除去し、分割記録要素20よりも厚さ方向に凹むように非磁性体28を加工しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1のマスク層の除去速度よりも非磁性体の除去速度が若干速くなるように第1のマスク層、非磁性体、スラリーの材質を適宜選択し、第1のマスク層がマスクのような役割を果たすことで、非磁性体を選択的に除去し、分割記録要素よりも厚さ方向に凹むように非磁性体を加工してもよい。
一方、第1のマスク層の除去速度よりも非磁性体の除去速度が若干遅くなるように第1のマスク層、非磁性体、スラリーの材質を適宜選択し、分割記録要素よりも厚さ方向に突出するように非磁性体を加工することもできる。
又、充分に良好な磁気特性が得られる場合には、分割記録要素20及び非磁性体28の段差が生じないように平坦に加工してもよい。
又、本実施形態において、中間保護層24A上及び非磁性体28上に更に表面保護層24Bを形成しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、ヘッドが安定して浮上することができる程度に中間保護層24A及び非磁性体28の段差が充分小さければ、表面保護層24Bは省略してもよい。この場合も、分割記録要素20は中間保護層24A及び非磁性体28で大気等から隔離されるので分割記録要素20の変質を防止することができる。
又、本実施形態において、連続記録層32と第1のマスク層34との間に中間保護膜24Aを形成し、且つ、連続記録層32の分割後、分割記録要素20間の隙間部26内に非磁性体28を充填してから第1のマスク層34を除去しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1のマスク層34を除去してから分割記録要素20間の隙間部26内に非磁性体28を充填した場合も、連続記録層32と第1のマスク層34との間に中間保護膜24Aを形成すれば分割記録要素20の上面20A(及び連続記録層32の上面)は大気、反応ガス、スラリー等から隔離されるので分割記録要素20の変質を防止する一定の効果が得られる。
一方、中間保護層24Aを省略し、連続記録層32に第1のマスク層34を直接形成する場合も、分割記録要素20間の隙間部26内に非磁性体28を充填してから第1のマスク層34を除去すれば分割記録要素20の側面20Bは大気、反応ガス、スラリー等から隔離されるので分割記録要素20の変質を防止する一定の効果が得られる。
又、本実施形態において、磁気記録媒体10は分割記録要素20がトラックの径方向に微細な間隔で並設された垂直記録型のディスクリートタイプの磁気ディスクであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、分割記録要素がトラックの周方向(セクタの方向)に微細な間隔で並設された磁気ディスク、トラックの径方向及び周方向の両方向に微細な間隔で並設された磁気ディスク、分割記録要素が螺旋形状をなす磁気ディスクの製造についても本発明は当然適用可能である。又、MO等の光磁気ディスク、更に、磁気テープ等ディスク形状以外の他のディスクリートタイプの磁気記録媒体の製造に対しても本発明は適用可能である。
上記実施形態により、磁気記録媒体10を作製し、温度80℃、湿度80%の高温、高湿環境下に48時間放置した。
図9は、高湿環境下に48時間放置した後の磁気記録媒体10の表面状態を拡大して示す光学顕微鏡写真である。作製直後、及び高湿環境下に48時間放置した後のいずれにおいても磁気記録媒体10の表面に、腐食等の異状は観察されなかった。
図10は、作製直後の磁気記録媒体10の表面状態を更に拡大して示す原子間力顕微鏡写真である。磁気記録媒体10の表面粗さ、最大リセスを測定したところ、
表面粗さRa=0.715nm
最大リセス =2.82nm
であった。
又、磁気記録媒体10の電磁変換特性を測定したところ、図11に示されるように波形が安定しており、電磁変換特性が良好であることが確認された。
[比較例]
上記実施形態に対し、中間保護層24Aを省略し、連続記録層32に第1のマスク層34を直接形成した。又、連続記録層32を分割した後、分割記録要素20間の隙間部26内に非磁性体28を充填しない状態で、SFガスを反応ガスとする反応性イオンエッチングにより、分割記録要素20上に残存する第1のマスク層34を除去した。他の条件は総て上記実施例と同様として比較試料を作製し、上記実施例と同様に高湿環境下に48時間放置した。
図12は、高湿環境下に48時間放置した後の比較試料の表面状態を拡大して示す光学顕微鏡写真である。作製直後は、比較試料の表面に、腐食等の異状は観察されなかったが、高湿環境下に48時間放置した後は、比較試料における分割記録要素間の隙間部近傍に多数の腐食が観察された。
図13は、作製直後の比較試料の表面状態を更に拡大して示す原子間力顕微鏡写真である。比較試料の表面粗さ、最大リセスを測定したところ、
表面粗さRa=0.724nm
最大リセス =2.86nm
であった。
又、比較試料の電磁変換特性を測定したところ、図14に示されるように波形の上端付近にノイズが発生しており、電磁変換特性が好ましくない状態であることが確認された。
即ち、実施例では分割記録要素の腐食が防止されており、更に電磁変換特性も比較例に対して良好であることが確認された。又、表面粗さ、最大リセスについては両者に差異がないことが確認された。
本発明は、磁気記録媒体に利用することができる。
本発明の実施形態に係る磁気記録媒体の構造を模式的に示す側断面図 同製造装置による磁気記録媒体の製造工程を示すフローチャート 同磁気記録媒体の中間体の構造を模式的に示す側断面図 第2のマスク層が分割された前記中間体の形状を模式的に示す側断面図 第1のマスク層及び中間保護層が分割された前記中間体の形状を模式的に示す側断面図 連続記録層が分割された前記中間体の形状を模式的に示す側断面図 非磁性体が充填された前記中間体の形状を模式的に示す側断面図 表面が平坦化された前記中間体の形状を模式的に示す側断面図 本発明の実施例に係る磁気記録媒体の表面状態を拡大して示す光学顕微鏡写真 同磁気記録媒体の表面状態を更に拡大して示す原子間力顕微鏡写真 同磁気記録媒体の電磁変換特性を示すグラフ 比較試料の表面状態を拡大して示す光学顕微鏡写真 同比較試料の表面状態を更に拡大して示す原子間力顕微鏡写真 同比較試料の電磁変換特性を示すグラフ
符号の説明
10…磁気記録媒体
12…基板
14…下地層
16…軟磁性層
18…配向層
20…分割記録要素
20A…上面
20B…側面
22…分割記録層
24…保護層
24A…中間保護層
24B…表面保護層
26…隙間部
28…非磁性体
30…中間体
32…連続記録層
34…第1のマスク層
36…第2のマスク層
S101…連続記録層形成工程
S102…中間保護層形成工程
S103…第1のマスク層形成工程
S107…第1のマスク層加工工程
S108…連続記録層加工工程
S109…非磁性体充填工程
S110…平坦化工程(マスク層除去工程)
S111…表面保護層形成工程

Claims (2)

  1. 基板表面上に連続記録層を形成する連続記録層形成工程と、前記連続記録層上にマスク層を形成するマスク層形成工程と、前記マスク層を所定のパターンで部分的に除去するマスク層加工工程と、前記連続記録層における前記マスク層から露出する部分を除去し、該連続記録層を前記所定のパターンで多数の分割記録要素に分割する連続記録層加工工程と、前記分割記録要素間の隙間部に非磁性体を充填する非磁性体充填工程と、前記分割記録要素上に残存するマスク層を除去するマスク層除去工程と、を含み、且つ、前記連続記録層加工工程と、前記非磁性体充填工程と、前記マスク層除去工程と、をこの順で実行するようにしたことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  2. 請求項1において、
    前記マスク層除去工程は、前記分割記録要素上に残存するマスク層と共に前記隙間部上の余剰の非磁性体を除去して表面を平坦化することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
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