JP2007004921A - 磁気記録媒体、磁気記録再生装置及び磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体、磁気記録再生装置及び磁気記録媒体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】記録層が所定の凹凸パターンで形成され、記録要素が凹凸パターンの凸部として形成されて面記録密度が高く、且つ、磁気ヘッドのクラッシュが生じにくく信頼性が高い磁気記録媒体及びこのような磁気記録媒体を備える磁気記録再生装置を提供する。
【解決手段】磁気記録媒体12は、基板の上に所定の凹凸パターンで形成された記録層24の凸部として形成された記録要素25と、記録要素25の間の凹部26に充填された充填材28と、を含み、表面32における充填材28の上の部分の表面粗さが記録要素25の上の部分の表面粗さよりも大きい。
【選択図】図3

Description

本発明は、記録層が所定の凹凸パターンで形成され、記録要素が凹凸パターンの凸部として形成された磁気記録媒体、これを備えた磁気記録再生装置及び磁気記録媒体の製造方法に関する。
従来、ハードディスク等の磁気記録媒体は、記録層を構成する磁性粒子の微細化、材料の変更、ヘッド加工の微細化等の改良により著しい面記録密度の向上が図られており、今後も一層の面記録密度の向上が期待されているが、磁気ヘッドの加工限界、磁気ヘッドの記録磁界の広がりに起因する記録対象のトラックに隣り合う他のトラックへの誤った情報の記録や、再生時のクロストークなどの問題が顕在化し、従来の改良手法による面記録密度の向上は限界にきている。
これに対し、一層の面記録密度の向上を実現可能である磁気記録媒体の候補として、記録層が凹凸パターンで形成され、記録要素が凹凸パターンの凸部として形成されたディスクリートトラック媒体や、パターンド媒体が提案されている(例えば、特許文献1参照)。尚、面記録密度が高い程、磁気ヘッドと磁気記録媒体との磁気的スペースが小さく、ディスクリートトラック媒体やパターンド媒体のような200Gbpsi以上の面記録密度が想定される磁気記録媒体の場合、磁気ヘッドとの磁気的スペースを15nm以下とする指針が示されている。
又、ハードディスク等の磁気記録媒体では磁気ヘッドとのクラッシュを抑制するために表面の平坦性が重視されるが、面記録密度が高く、磁気的スペースが小さいディスクリートトラック媒体やパターンド媒体の場合、特に表面の平坦性が重要である。このため、凹凸パターンの記録層の上に充填材を成膜して記録要素の間の凹部を非磁性の充填材で充填し、余剰の充填材を除去して記録要素及び充填材の上面を平坦化することが好ましい。凹部を充填材で充填する手法としては、スパッタリング法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、IBD(Ion Beam Deposition)法等の成膜手法を利用できる。又、平坦化の手法としては、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法やドライエッチング等の加工手法を利用しうる(例えば、特許文献2、3参照)。
一方、表面が過度に平坦であると、磁気記録媒体の表面に磁気ヘッドが吸着しやすくなり、却って磁気ヘッドとのクラッシュが発生しやすくなる。これに対し従来、基板の表面にテクスチャ処理を施し、この上に記録層等を順次成膜していくことで、基板のテクスチャ処理のパターンに倣う微細な凹凸を表面に形成し、吸着による磁気ヘッドのクラッシュを防止していた。尚、ディスクリートトラック媒体やパターンド媒体の場合、表面における記録要素の上の部分と充填材の上の部分とに段差を設けるようにした構成も知られており(例えば、特許文献4参照)、この段差によりテクスチャ効果を付与するという手法も考えられる。
特開平9−97419号公報 特開平12−195042号公報 特表平14−515647号公報 特開平1−279421号公報
しかしながら、基板にテクスチャ処理を施す手法で表面に凹凸を形成すると、表面は100nm〜2μm程度の周期のうねり状の歪んだ形状となる。磁気ヘッドが100nm〜2μm程度の周期のうねり状の歪みに追従して飛行することは困難であり、このうねり状の歪みがそのまま磁気的スペースの変動となる。磁気的スペースが25nm以上であった世代では、このような磁気的スペースの変動は実用上問題とならなかったが、磁気的スペースが15nm以下となると、このような磁気的スペースの変動が実用上許容できない影響を及ぼすという問題がある。
更に、基板の表面にテクスチャ処理を施しても、凹凸パターンの記録層の上に充填材を成膜して記録要素の間の凹部を充填材で充填し、余剰の充填材を除去して記録要素及び充填材の上面を平坦化する場合には、基板のテクスチャ処理に倣った微細な凹凸が除去されてしまうため、この手法を用いて表面に所望の微細な凹凸を形成すること自体が困難であるという問題がある。
又、表面における記録要素の上の部分と充填材の上の部分とに段差を設ける手法の場合、磁気ヘッドと磁気記録媒体の表面との間の空気膜剛性が過度に小さくなり、磁気ヘッドの浮上が不安定となるため、外乱により磁気ヘッドの浮上高さが大きく変動しやすくなり、充分な信頼性が得られないという問題がある。
本発明は、以上の問題に鑑みてなされたものであって、記録層が所定の凹凸パターンで形成され、記録要素が凹凸パターンの凸部として形成されて面記録密度が高く、且つ、磁気ヘッドのクラッシュが生じにくく信頼性が高い磁気記録媒体及びこのような磁気記録媒体を備える磁気記録再生装置を提供することを目的とする。
本発明は、表面における充填材の上の部分の表面粗さが記録要素の上の部分の表面粗さよりも大きい磁気記録媒体により上記目的を達成するものである。
表面における充填材の上の部分の表面粗さを大きくすることで、吸着による磁気ヘッドのクラッシュの発生を抑制できる。
尚、表面における充填材の上の部分の表面粗さを大きくすることでテクスチャ効果を付与しているので、表面における記録要素の上の部分と充填材の上の部分との段差によりテクスチャ効果を付与する構成よりも磁気記録媒体と磁気ヘッドとの間の空気膜剛性が高く、磁気ヘッドの浮上高さの変動が抑制される。又、表面における記録要素の上の部分の表面粗さを小さくすることでも、磁気ヘッドの浮上高さの変動が抑制され、良好な磁気特性が得られる。
又、記録要素の上面の表面粗さを小さくすることで、記録要素と磁気ヘッドとの間の磁気的スペースの変動が抑制されるので、この点でも良好な磁気特性が得られる。
即ち、次のような本発明により、上記目的を達成することができる。
(1)基板の上に所定の凹凸パターンで形成された記録層の凸部として形成された記録要素と、該記録要素の間の凹部に充填された充填材と、を含み、表面における前記充填材の上の部分の表面粗さが前記記録要素の上の部分の表面粗さよりも大きいことを特徴とする磁気記録媒体。
(2) (1)において、前記表面における前記充填材の上の部分の算術平均粗さが前記記録要素の上の部分の算術平均粗さよりも大きいことを特徴とする磁気記録媒体。
(3) (1)又は(2)において、前記記録要素の上面の表面粗さが、前記表面における前記充填材の上の部分の表面粗さよりも小さいことを特徴とする磁気記録媒体。
(4) (1)乃至(3)のいずれかにおいて、前記充填材の上に該充填材の上面を部分的に被覆する被覆材が設けられたことを特徴とする磁気記録媒体。
(5) (1)乃至(3)のいずれかにおいて、前記充填材の上に該充填材の上面を被覆する被覆材が設けられ、該被覆材及び前記記録要素の上に保護層が形成されたことを特徴とする磁気記録媒体。
(6) (4)又は(5)において、前記充填材は、アモルファス構造を有する材料及び微結晶状態の材料のいずれかであることを特徴とする磁気記録媒体。
(7) (1)乃至(6)のいずれかに記載の磁気記録媒体と、該磁気記録媒体に対してデータの記録/再生を行うために該磁気記録媒体の表面に近接して浮上可能であるように設置された磁気ヘッドと、を備えることを特徴とする磁気記録再生装置。
(8)基板の上に所定の凹凸パターンで形成され、該凹凸パターンの凸部として記録要素が形成された記録層の上に充填材を成膜して前記記録要素の間の凹部を前記充填材で充填する充填材成膜工程と、前記充填材の上に該充填材と材料が異なる被覆材を成膜する被覆材成膜工程と、前記充填材及び前記被覆材における前記記録要素の上面よりも上の余剰の部分をエッチングにより除去し、且つ、表面における前記凹部の上の部分の表面粗さが前記記録要素の上の部分の表面粗さよりも大きくなるように前記表面を平坦化する平坦化工程と、を含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
(9) (8)において、前記平坦化工程において前記充填材のエッチングレートが前記被覆材のエッチングレートよりも高いエッチング法を用いることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
(10) (8)又は(9)において、前記平坦化工程において前記記録層のエッチングレートが前記充填材のエッチングレートよりも低いエッチング法を用いることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
(11) (8)又は(9)において、前記充填材成膜工程の前に、前記記録層の上にストップ膜を成膜するストップ膜成膜工程が設けられ、前記平坦化工程において前記ストップ膜のエッチングレートが前記充填材のエッチングレートよりも低いエッチング法を用いることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
(12) (8)乃至(11)のいずれかにおいて、前記平坦化工程において前記凹部を充填する前記充填材の上に前記被覆材が部分的に残存するように前記充填材及び前記被覆材の余剰の部分を除去することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
尚、本出願において、「基板の上に所定の凹凸パターンで形成された記録層」とは、連続記録層が所定のパターンで多数の記録要素に分割された記録層の他、連続記録層が所定のパターンで部分的に分割され、一部が連続する記録要素で構成される記録層、又、例えば螺旋状の渦巻き形状の記録層のように、基板上の一部に連続して形成される記録層、凸部及び凹部双方が形成された連続した記録層、凸部の上部及び凹部の底部に分割されて形成された記録層も含む意義で用いることとする。
又、本出願において「表面における記録要素の上の部分」とは、図22に示されるように記録要素102における基板104と反対側の上面が他の層で完全に被覆されている場合には、記録要素102の上の最表面の層106の上面、記録要素の上面の一部が露出し、他の部分は他の層で被覆されている場合には、露出した記録要素の上面及び最表面の層の上面、記録要素の上面が完全に露出している場合には記録要素の上面という意義で用いることとする。「表面における充填材の上の部分」についても同様である。尚、図22において符号108が充填材を示す。又、図22に示されるように、記録要素102の上にストップ膜110が形成され、更に、ストップ膜110が記録要素102の側面にも形成されている場合、記録要素102の側面と充填材108の側面との間のストップ膜110の上の部分は、本出願では「表面における記録要素の上の部分」に含めるものとする。
又、本出願において「磁気記録媒体」という用語は、情報の記録、読み取りに磁気のみを用いるハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気テープ等に限定されず、磁気と光を併用するMO(Magneto Optical)等の光磁気記録媒体、磁気と熱を併用する熱アシスト型の記録媒体も含む意義で用いることとする。
又、本出願において「算術平均粗さ」という用語は、JIS−B0601−2001で定義される算術平均粗さという意義で用いることとする。
又、本出願において「エッチングレート」という用語は、単位時間当たりの厚さ方向の加工量という意義で用いることとする。
本発明によれば、記録層が凹凸パターンで形成され、記録要素が凹凸パターンの凸部として形成されて面記録密度が高く、且つ、磁気ヘッドのクラッシュが生じにくく信頼性が高い磁気記録媒体及びこのような磁気記録媒体を備える磁気記録再生装置を実現することができる。
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1に示されるように、本発明の第1実施形態に係る磁気記録再生装置10は、磁気記録媒体12と、磁気記録媒体12に対してデータの記録/再生を行うために磁気記録媒体12の表面に近接して浮上可能であるように設置された磁気ヘッド14と、を備え、磁気記録媒体12の構成に特徴を有している。他の構成については、本第1実施形態の理解のために特に必要とは思われないため、説明を適宜省略することとする。
尚、磁気記録媒体12はチャック16に固定され、該チャック16と共に回転自在とされている。又、磁気ヘッド14は、アーム18の先端近傍に装着され、アーム18はベース20に回動自在に取付けられている。これにより、磁気ヘッド14は磁気記録媒体12の径方向に沿う円弧軌道で磁気記録媒体12の表面上で浮上して可動とされている。
磁気記録媒体12は、円板形状の垂直記録型のディスクリートトラック媒体で、図2に示されるように、基板22の上に所定の凹凸パターンで形成された記録層24の凸部として形成された記録要素25と、記録要素25の間の凹部26に充填された非磁性の充填材28と、を含み、図3及び図4に拡大して示されるように、表面32における充填材28の上の部分の表面粗さが記録要素25の上の部分の表面粗さよりも大きい(表面がより粗い)ことを特徴としている。尚、図2〜図4では、理解を容易にするため、記録層24を他の層と比較して実際よりも厚く描いている。前述の図22、後述する図6〜図17についても同様である。
基板22は、記録層24側の面が鏡面研磨されている。基板22の材料としては、ガラス、NiPで被覆したAl合金、Si、Al等の非磁性材料を用いることができる。
記録層24は、厚さが5〜30nmである。記録層24の材料としては、CoCrPt合金等のCoCr系合金、FePt系合金、これらの積層体、SiO等の酸化物系材料の中にCoPt等の強磁性粒子をマトリックス状に含ませた材料等を用いることができる。
記録要素25は、データ領域において径方向に微細な間隔の同心円状のトラックの形状で形成されており、図2〜図4はこれを図示したものである。又、記録要素25は、サーボ領域において所定のサーボ情報のパターンで形成されている(図示省略)。記録要素25の上面25Aの表面粗さは、表面32における充填材28の上の部分の表面粗さよりも小さい。
記録要素25の上には、ストップ膜34が形成されている。ストップ膜34は、記録要素25の側面及び凹部26の底面にも形成されている。ストップ膜34の材料としては、Ta、Mo、W、Zr、Nb、Ti、TaSiやこれらの酸化物、窒化物等を用いることができる。
充填材28の材料としては、SiO、Al、TiO、フェライト等の酸化物、AlN等の窒化物、SiC等の炭化物、CuやCrのような非磁性の金属等を用いることができる。
充填材28の上には充填材28の上面28Aを部分的に被覆する被覆材35が設けられている。被覆材35及び充填材28における被覆材35で被覆されていない部分の上面の表面粗さは記録要素25の上のストップ膜34の上面の表面粗さよりも大きい。被覆材35の具体的な材料としては、Mo、Cr、Zr等を挙げることができる。
(記録要素25の上の)ストップ膜34、充填材28及び被覆材35の上には保護層36、潤滑層38がこの順で形成されている。前記表面32は潤滑層38の上面である。これら保護層36、潤滑層38は、ストップ膜34の上面、充填材28の上面28Aにおける被覆材35に被覆されていない部分及び被覆材35の上面の形状に倣って形成されている。これにより、表面32における充填材28の上の部分の表面粗さが記録要素25の上の部分の表面粗さよりも大きくなっている。
保護層36は、厚さが1〜5nmである。保護層36の材料としては、例えば、ダイヤモンドライクカーボンと呼称される硬質炭素膜等を用いることができる。尚、本出願において「ダイヤモンドライクカーボン(以下、「DLC」という)」という用語は、炭素を主成分とし、アモルファス構造であって、ビッカース硬度測定で2×10〜8×1010Pa程度の硬さを示す材料という意義で用いることとする。又、潤滑層38は、厚さが1〜2nmである。潤滑層38の材料としては、PFPE(パーフロロポリエーテル)等を用いることができる。
又、基板22及び記録層24の間には、下地層40、反強磁性層42、軟磁性層44、記録層24に厚さ方向(表面に垂直な方向)の磁気異方性を付与するための配向層46が形成されている。下地層40は、厚さが2〜40nmである。下地層40の材料としてはTa等を用いることができる。反強磁性層42は、厚さが5〜50nmである。反強磁性層42の材料としてはPtMn合金、RuMn合金等を用いることができる。軟磁性層44は、厚さが50〜300nmである。軟磁性層44の材料としては、Fe(鉄)合金、Co(コバルト)アモルファス合金、フェライト等を用いることができる。尚、軟磁性層44は、軟磁性を有する層と、非磁性層と、の積層構造であってもよい。配向層46は、厚さが2〜40nmである。配向層46の具体的な材料としては、非磁性のCoCr合金、Ti、Ru、RuとTaの積層体、MgO等を用いることができる。
次に、磁気記録再生装置10の作用について説明する。
磁気記録再生装置10は、磁気記録媒体12の表面32における充填材28の上の部分の表面粗さが大きいので、吸着による磁気ヘッド14のクラッシュが発生しにくい。
又、表面32における充填材28の上の部分の表面粗さを大きくすることでテクスチャ効果を付与しているので、表面における記録要素の上の部分と充填材の上の部分との段差によりテクスチャ効果を付与する構成よりも磁気記録媒体12と磁気ヘッド14との間の空気膜剛性が高く、磁気ヘッド14の浮上高さの変動が抑制される。又、表面32における記録要素25の上の部分の表面粗さは小さいので、この点でも磁気ヘッド14の浮上高さの変動が抑制され、良好な磁気特性が得られる。
又、記録要素25の上面25Aの表面粗さが小さいので、記録要素25と磁気ヘッド14との間の磁気的スペースの変動が抑制され、この点でも良好な磁気特性が得られる。
又、磁気記録媒体12は、記録要素25が、データ領域においてトラック形状で形成されているので面記録密度が高くても記録対象のトラックに隣り合う他のトラックへの誤った記録や再生時のクロストーク等の問題が生じにくい。
更に、磁気記録媒体12は、記録要素25同士が分割され、記録要素25間の凹部26には記録層24が存在しないので凹部26からノイズが発生することがなく、この点でも良好な記録/再生特性が得られる。
次に、図5に示されるフローチャートに沿って磁気記録媒体12の製造方法について説明する。
まず、基板22の上に、下地層40、反強磁性層42、軟磁性層44、配向層46、連続記録層(未加工の記録層24)、第1のマスク層、第2のマスク層をこの順でスパッタリング法等により形成し、更にレジスト層をスピンコート法で塗布してなる被加工体の加工出発体を用意する。尚、第1のマスク層の材料としては例えばTaSiを用いることができる。又、第2のマスク層の材料としては例えばNiを用いることができる。又、レジスト層の材料としては、例えばNEB22A(住友化学工業株式会社製)を用いることができる。
このレジスト層に転写装置(図示省略)を用いて、サーボ領域のサーボパターン及びデータ領域のトラックパターンに相当する凹凸パターンをナノ・インプリント法により転写し、Oガスを用いた反応性イオンビームエッチングにより、凹部の底部のレジスト層を除去する(S102)。次に、Arガスを用いたイオンビームエッチングにより、凹部の底部の第2のマスク層を除去し(S104)、更に、SFガスを反応ガスとする反応性イオンエッチングにより、凹部の底部の第1のマスク層を除去(S106)してから、COガス及びNHガスを反応ガスとする反応性イオンエッチングにより、凹部の底部の連続記録層を除去し、連続記録層を多数の記録要素25に分割し、凹凸パターンの記録層24を形成する(S108)。尚、SFガスを反応ガスとする反応性イオンエッチングにより、記録要素25上に残存する第1のマスク層を完全に除去する。
次に、スパッタリング法により、記録要素25の上にストップ膜34を成膜する(S110)。ストップ膜34は、記録要素25の側面及び凹部26の底面にも成膜される。
次に、図6に示されるように、被加工体50のストップ膜34の上に、バイアススパッタリング法により充填材28を成膜し、記録要素25の間の凹部26を充填材28で充填する。(S112)。充填材28の材料としては、凹部26の側面や底面に隙間が形成されにくくなり、ストップ膜34への密着性が良好となるという点でアモルファス構造を有する材料及び微結晶状態の材料のいずれかを用いることが好ましい。尚、本出願において、「微結晶状態の材料」とは、X線回折において結晶性ピークを有していない材料という意義で用いることとする。SiOは、粒成長が抑制された微結晶であり、又、成膜条件を選択することでアモルファス構造にもなりうるので充填材28としてSiOを用いることが好ましい。充填材28は、表面の凹凸がある程度抑制された形状で記録要素25を覆うように被加工体50上に成膜される。凹部26において充填材28が記録要素25の上のストップ膜34の上面近傍の位置まで充填されたところで充填材28の成膜を停止する。尚、図6は本第1実施形態の理解のため、充填材28の上面の凹凸形状を実際よりも強調して描いている。
次に、図7に示されるように、スパッタリング法により、充填材28上に被覆材35を成膜する(S114)。
次に、被加工体50を回転させながらArガスを用いたイオンビームエッチングにより図8に示されるように被加工体50の表面の被覆材35及び充填材28を除去し、平坦化する(S116)。イオンビームエッチングでは図8中に矢印で示されるように加工用ガス(Arガス)の入射角を被加工体50の表面に対して垂直な方向から傾斜させることにより、凹部におけるエッチングレートよりも凸部におけるエッチングレートが高い傾向が顕著となる。特に加工用ガスとしてAr等の不活性ガスを用いると、異方性エッチング効果が高くなるため、凹部におけるエッチングレートよりも凸部におけるエッチングレートが高い傾向が顕著となる。記録要素25の上の被覆材35は凸部を形成しているので、凹部26の上の被覆材35よりも速く除去され、記録要素25の上の充填材28が被覆材35から露出する。更にエッチングが進行すると、記録要素25の上の充填材28が除去される。記録要素25の上の充填材28も凸部を形成しているので、凹部26を充填する充填材28やその上の被覆材35よりも速く除去される。充填材28における凹部26を充填する部分は被覆材35で被覆されているので、充填材28における記録要素25の上の部分を選択的に速く除去するためには、充填材28のエッチングレートが被覆材35のエッチングレートよりも高いエッチング法を用いることが好ましい。Arガスを用いたイオンビームエッチングでは、SiOのエッチングレートがMoのエッチングレートよりも高いので、充填材28としてSiOを用い、被覆材35としてMoを用いればこの条件が満たされる。
図9に示されるように、記録要素25の上において被覆材35及び充填材28が完全に除去されてストップ膜34が露出し、且つ、凹部26を充填する充填材28の上の被覆材35が部分的に除去されて凹部26を充填する充填材28及び残存する被覆材35の上面の高さと記録要素25の上のストップ膜34の上面の高さとがほぼ等しくなったところで、平坦化を停止する。このように凹部26を充填する充填材28の上に被覆材35を部分的に残存させることで、被覆材35及び充填材28における被覆材35で被覆されていない部分の上面の表面粗さを記録要素25の上のストップ膜34の上面の表面粗さよりも大きくすることができる。尚、この工程では一時的に被覆材35から部分的に露出した充填材28が被覆材35をマスクとしてエッチングされることになるので、充填材28のエッチングレートが被覆材35のエッチングレートよりも高いエッチング法を用いることで、被覆材35及び充填材28における被覆材35で被覆されていない部分の上面の表面粗さを大きくする効果を高めることができ、好ましい。前述のようにArガスを用いたイオンビームエッチングは、SiOのエッチングレートがMoのエッチングレートよりも高いので、充填材28としてSiOを用い、被覆材35としてMoを用いればこの条件が満たされる。尚、ストップ膜34が露出する直前においてストップ膜34の上の充填材28の上面に一定の凹凸があっても、ストップ膜34のエッチングレートが充填材28のエッチングレートよりも低いエッチング法を用いることで、充填材28の上面の凹凸に基づいてストップ膜34の上面に形成される凹凸をエッチングレートの差だけ小さく抑制できる。Arガスを用いたイオンビームエッチングでは、TaのエッチングレートがSiOのエッチングレートよりも低いので、ストップ膜34の材料としてTaを用い、充填材28としてSiOを用いればこの条件が満たされる。
次に、CVD法により(記録要素25の上の)ストップ膜34及び充填材28の上面に約2nmの厚さでDLCの保護層36を形成し(S118)、更に、ディッピング法により保護層36の上に1〜2nmの厚さでPFPEの潤滑層38を塗布する(S120)。保護層36、潤滑層38は、(記録要素25の上の)ストップ膜34、被覆材35及び充填材28における被覆材35に被覆されていない部分の上面の形状に倣って成膜され、前記図3及び図4に示されるように、潤滑層38の上面である表面32は、記録要素25の上の部分の表面粗さが充填材28の上の部分の表面粗さよりも大きくなる。
このように、記録層24の上に充填材28を成膜して凹部26を充填し、平坦化する工程を利用して表面32における充填材28の上の部分の表面粗さを記録要素25の上の部分の表面粗さよりも大きくできるので、基板にテクスチャ加工を施して表面にテクスチャパターンを形成する手法よりも生産性が良い。又、基板の上面よりも表面32に近い被覆材35及び充填材28における被覆材35に被覆されていない部分の上面を表面粗さが大きい形状に加工し、これに倣って保護層36、潤滑層38を形成することで、表面32における充填材28の上の部分をそれだけ所望の形状に近い凹凸形状に成形できる。
尚、本第1実施形態において、磁気記録媒体12は、充填材28の上に充填材28の上面28Aを部分的に被覆する被覆材35が設けられ、これにより、表面32における充填材28の上の部分の表面粗さが記録要素25の上の部分の表面粗さよりも大きくなっているが、図10に示される本発明の第2実施形態のように、上面の表面粗さが記録要素25の上のストップ膜34の上面の表面粗さよりも大きい被覆材35が充填材28の上面28Aを完全に被覆し、これにより、表面32における充填材28の上の部分の表面粗さが記録要素25の上の部分の表面粗さよりも大きくなる構成としてもよい。このように被覆材35が充填材28の上面28Aを完全に被覆する場合、充填材28の上面28Aの表面粗さが小さくても、被覆材35の上面の表面粗さを充填材28の上面28Aの表面粗さよりも大きくすることで、表面32における充填材28の上の部分の表面粗さを記録要素25の上の部分の表面粗さよりも大きくすることが可能である。
尚、このような構成の磁気記録媒体を製造する場合、平坦化工程(S116)において、凹部26を充填する充填材28の上面28Aが露出する前にエッチングを停止すればよい。この場合も、ストップ膜34のエッチングレートが充填材28のエッチングレートよりも低いエッチング法を用いることで、ストップ膜34が露出する直前においてストップ膜34の上の充填材28の上面に一定の凹凸があっても、充填材28の上面の凹凸に基づいてストップ膜34の上面に形成される凹凸をエッチングレートの差だけ小さく抑制できるので、被覆材35の上面の表面粗さを記録要素25の上のストップ膜34の上面の表面粗さよりも大きくすることができる。前述のようにArガスを用いたイオンビームエッチングでは、TaのエッチングレートがSiOのエッチングレートよりも低いので、ストップ膜34の材料としてTaを用い、充填材28としてSiOを用いればこの条件が満たされる。又、被覆材35の上面の表面粗さを大きくするためには、被覆材35の材料としてCu、Crのようにエッチングにより結晶粒界に沿って表面が粗くなりやすい材料を用いることが好ましい。
又、上記第1及び第2実施形態において、凹部26を充填する充填材28の上に被覆材35を残存させ、これにより表面32における充填材28の上の部分の表面粗さを記録要素25の上の部分の表面粗さよりも大きくしているが、図11に示される本発明の第3実施形態のように、凹部26を充填する充填材28の上の被覆材35を完全に除去し、凹部26を充填する充填材28の上面28Aの表面粗さを記録要素25の上のストップ膜34の上面の表面粗さよりも大きくすることにより表面32における充填材28の上の部分の表面粗さを記録要素25の上の部分の表面粗さよりも大きくしてもよい。
この場合、平坦化工程(S116)において、一時的に被覆材35から部分的に露出した充填材28が被覆材35をマスクとしてエッチングされることになるので、充填材28のエッチングレートが被覆材35のエッチングレートよりも高いエッチング法を用いることで、充填材28の上の被覆材35を完全に除去しても、凹部26を充填する充填材28の上面28Aの表面粗さを記録要素25の上のストップ膜34の上面の表面粗さよりも大きくすることができる。。前述のようにArガスを用いたイオンビームエッチングは、SiOのエッチングレートがMoのエッチングレートよりも高いので、充填材28としてSiOを用い、被覆材35としてMoを用いればこの条件が満たされる。又、この場合も、平坦化工程(S116)において、ストップ膜34のエッチングレートが充填材28のエッチングレートよりも低いエッチング法を用いることで、ストップ膜34が露出する直前においてストップ膜34の上の充填材28の上面に一定の凹凸があっても、充填材28の上面の凹凸に基づいてストップ膜34の上面に形成される凹凸をエッチングレートの差だけ小さく抑制できる。
又、被覆材成膜工程(S114)を省略し、充填材28の材料としてCu、Crのようにエッチングにより結晶粒界に沿って表面が粗くなりやすい材料を用いることで、凹部26を充填する充填材28の上面28Aの表面粗さを記録要素25の上のストップ膜34の上面の表面粗さよりも大きくし、これにより表面32における充填材28の上の部分の表面粗さを記録要素25の上の部分の表面粗さよりも大きくしてもよい。
又、上記第1〜第3実施形態において、磁気記録媒体12は、記録要素25の上のストップ膜34が記録要素25の上だけでなく、記録要素25の側面及び凹部26の底面にも形成されているが、図12に示される本発明の第4実施形態、図13に示される本発明の第5実施形態及び図14に示される本発明の第6実施形態のように、記録要素25の上だけにストップ膜34を形成してもよい。
尚、記録要素25の上だけにストップ膜34を形成するには、予め連続記録層と第1のマスク層との間にストップ膜を形成しておいて、連続記録層と共にストップ膜34を加工して分割すればよい。この場合も、凹部26の側面や底面に隙間が形成されにくくなり、記録要素25の側面への密着性が良好となるという点で、充填材28として、アモルファス構造を有する材料及び微結晶状態の材料のいずれかを用いることが好ましい。このように、充填材28として、アモルファス構造を有する材料及び微結晶状態の材料のいずれかを用いる場合、表面における充填材28の上の部分の表面粗さを大きくする効果を高めるためには、上記第4及び第5実施形態のように充填材28の上面28Aを被覆材35が部分的に又は完全に被覆する構成とすることが好ましい。
又、上記第1〜第6実施形態において、磁気記録媒体12は、記録要素25の上にストップ膜34が形成されているが、平坦化工程(S116)のエッチングによる記録要素25のダメージが問題とされない場合には、図15に示される本発明の第7実施形態、図16に示される本発明の第8実施形態及び図17に示される本発明の第9実施形態のように、ストップ膜34を省略してもよい。この場合も、凹部26の側面や底面に隙間が形成されにくくなり、記録要素25の側面への密着性が良好となるという点で、充填材28の材料として、アモルファス構造を有する材料及び微結晶状態の材料のいずれかを用いることが好ましい。又、この場合も表面における充填材28の上の部分の表面粗さを大きくする効果を高めるためには、上記第7及び第8実施形態のように充填材28の上面28Aを被覆材35が部分的に又は完全に被覆する構成とすることが好ましい。
尚、この場合、平坦化工程(S116)において記録要素25が露出する直前において記録要素25の上の充填材28の上面に一定の凹凸があっても、記録要素25のエッチングレートが充填材28のエッチングレートよりも低いエッチング法を用いることで、充填材28の上面の凹凸に基づいて記録要素25の上面に形成される凹凸をエッチングレートの差だけ小さく抑制できる。Arガスを用いたイオンビームエッチングは、CoCr系合金やFePt系合金のエッチングレートがSiOのエッチングレートよりも低いので、記録層24の材料としてCoCr系合金やFePt系合金を用い、充填材28としてSiOを用いればこの条件が満たされる。
又、上記第1〜第9実施形態において、表面32における記録要素25の上の部分の高さと充填材28の上の部分の(最も高い部位の)高さとがほぼ等しいが、磁気ヘッド14との間に充分な空気膜剛性を保持できれば、表面32における記録要素25の上の部分と充填材28の上の部分との間に例えば2.5nm以下の微小な段差がある構成としてもよい。尚、この場合、磁気ヘッド14の吸着を防止する効果を高めることができ、更に、磁気ヘッド14との接触から記録要素25を保護できるという点で、表面32における記録要素25の上の部分よりも充填材28の上の部分が高い構成とすることが好ましい。一方、磁気ヘッド14と記録要素25との間の磁気的スペースを小さく保持するという点では、記録要素25の上の部分が、充填要素28の上の部分よりも高い構成とすることが好ましい。この場合も、表面32における充填材28の上の部分の表面粗さを記録要素25の上の部分の表面粗さよりも大きくすることで、吸着による磁気ヘッドのクラッシュの発生を抑制する一定の効果が得られる。
又、上記第1〜第6実施形態において、(記録要素25)の上のストップ膜34及び充填材28の上に保護層36、潤滑層38が形成されているが、ストップ膜34及び充填材28の上面が露出する構成としてもよい。同様に、上記第7〜第9実施形態において、記録要素25及び充填材28の上に保護層36、潤滑層38が形成されているが、記録要素25及び充填材28の上面が露出する構成としてもよい。
又、上記第1〜第9実施形態において、基板22と、記録層24と、の間に下地層40、反強磁性層42、軟磁性層44、配向層46が形成されているが、基板22と、記録層24と、の間の層の構成は、磁気記録媒体の種類やニーズに応じて適宜変更すればよい。又、下地層40、反強磁性層42、軟磁性層44、配向層46を省略し、基板22上に記録層24を直接形成してもよい。
又、上記第1実施形態において、連続記録層の上に第1のマスク層、第2のマスク層、レジスト層を形成し、3段階のドライエッチングで連続記録層を分割しているが、連続記録層を高精度で分割できれば、レジスト層、マスク層の材料、積層数、厚さ、ドライエッチングの種類等は特に限定されない。
又、上記第1〜第9実施形態において、平坦化工程(S116)のエッチング法としてArガスを用いたイオンビームエッチングが例示されているが、表面における(凹部26を充填する)充填材28の上の部分の表面粗さが記録要素25の上の部分の表面粗さよりも大きくなるように表面を平坦化できれば、平坦化工程(S116)のエッチング法は特に限定されない。平坦化工程のエッチング法、充填材、被覆材の材料の好ましい組合わせを表1に示す。
又、上記第1〜第9実施形態において、磁気記録媒体12は、垂直記録型の磁気ディスクであるが、面内記録型の磁気ディスクについても本発明は適用可能である。
又、上記第1〜第9実施形態において、磁気記録媒体12は、基板22の片面に記録層24等が形成されているが、基板の両面に記録層等が形成された両面記録式の磁気記録媒体についても本発明は適用可能である。
又、上記第1〜第9実施形態において、磁気記録媒体12はディスクリートトラック媒体であるが、例えば、パターンド媒体や、トラックが螺旋形状をなす磁気ディスクについても本発明は当然適用可能である。又、MO等の光磁気ディスク、磁気と熱を併用する熱アシスト型の磁気ディスク、更に、磁気テープ等ディスク形状以外の凹凸パターンの記録層を有する他の磁気記録媒体に対しても本発明は適用可能である。
上記第1実施形態(図2〜図4参照)と同様の構成を有する10枚の磁気記録媒体12を作製した。作製した磁気記録媒体12の主な構成を以下に示す。
基板22は直径が約65mmで材料はガラスである。記録層24は、厚さが約20nmで、材料はCoCrPt合金である。充填材28の材料はSiOである。ストップ膜34は、厚さが約3nmで、材料はTaである。保護層36は、厚さが約2nmで、材料はDLCである。潤滑層38は、厚さが約1nmで、材料はPFPEである。又、データ領域におけるトラックピッチ(記録要素25同士のトラック幅方向のピッチ)は約200nm、記録要素25の上面の幅(トラック幅)が約100nmである。
尚、ストップ膜成膜工程(S110)においてスパッタリングの条件として、成膜パワー(ターゲットに印加するパワー)を500W、真空チャンバ内圧力を0.3Paに設定した。
又、充填材成膜工程(S112)においてバイアススパッタリングの条件として、成膜パワーを500W、被加工体50に印加するバイアスパワーを290W、真空チャンバ内圧力を0.3Paに設定した。又、充填材28の成膜厚さは、凹部26の深さ20nmよりも1nm薄い19nmとし、凹部26内の充填材28の上面が記録要素25の上のストップ膜34の上面よりも1nm低くなるように充填材28を成膜した。
又、被覆材成膜工程(S114)においてスパッタリングの条件として、成膜パワーを500W、真空チャンバ内圧力を0.3Paに設定し、被覆材35としてMoを3nm成膜した。
又、平坦化工程(S116)においてイオンビームエッチングの条件として、ビーム電圧を700V、ビーム電流を1100mA、真空チャンバ内圧力を0.04Pa、Arガスの照射角を被加工体50の表面に対して約2°に設定し、凹部26を充填する充填材28の上の被覆材35が部分的に除去され、該被覆材35の上面及び該被覆材35に被覆されていない充填材28の上面と記録要素25の上のストップ膜34の上面とがほぼ一致したところでエッチングを停止した。次に、CVD法により保護層36を形成し、更に、ディッピング法により保護層36の上に潤滑層38を形成した。
このようにして得られた磁気記録媒体12の表面32における充填材28の上の部分の算術平均粗さ(表面粗さ)、表面32における記録要素25の上の部分の算術平均粗さ、表面32全体の算術平均粗さをAFM(Atomic Force Microscope)を用いて測定したところ表2に示されるような結果であった。尚、表2に記載された算術平均粗さの値はいずれも10枚の磁気記録媒体12の平均値である。
図18は、これらの磁気記録媒体12のうちの1枚の磁気記録媒体12のAFM像であり、色の濃淡が表面の凹凸の程度を示す。具体的には、色が淡い程厚さ方向に突出し、色が濃い程凹んでいることを示す。図18において、濃淡が異なる部分が混在し表面粗さが大きい直線状の領域と、濃淡がほぼ一定で表面粗さが小さい直線状の領域と、が交互に並んでいるが、前者は凹部26を充填する充填材26の上の部分であり、後者は記録要素25の上の部分である。
又、これら10枚の磁気記録媒体12に対し、中心から半径方向に18〜20mmの2mmの幅の領域において、10万回の磁気ヘッド14のシーク試験を行った。この際、磁気ヘッド14は、浮上高さが10nmとなるようにサスペンション荷重を調節した。又、平均シーク時間は12msとした。シーク試験後、磁気ヘッド14のクラッシュ痕を調べた。クラッシュ痕の測定結果を、磁気ヘッド14にクラッシュ痕を生じさせた磁気記録媒体12の枚数として表2に示す。
更に、磁気記録媒体12の中心から半径方向に20mmの位置に磁気ヘッド14のスライダの浮上位置を保持し、LDV(Laser Doppler Vibrometer)を用いて磁気ヘッド14の浮上高さの変動量を測定した。図19は、これらの磁気記録媒体12のうちの1枚の磁気記録媒体12の磁気ヘッド14の浮上高さの変動を示すグラフである。尚、図19中の縦軸の1目盛りは2.5nmである。又、図19において磁気ヘッド14の浮上高さの変動を示す曲線の上方の2本の縦線は、これらの間の範囲のデータが磁気記録媒体12の1周分のデータであることを示す。
上記第3実施形態(図11参照)と同様の構成を有する10枚の磁気記録媒体12を作製した。具体的には、上記実施例1に対し、充填材成膜工程(S112)において充填材28を、凹部26の深さ20nmよりも1nm厚い21nmの厚さで成膜した。即ち、凹部26内の充填材28の上面が記録要素25の上のストップ膜34の上面よりも1nm高くなるように充填材28を成膜した。
又、被覆材成膜工程(S114)において、実施例1と同様に被覆材35としてMoを3nm成膜した。
又、平坦化工程(S116)において被覆材35を完全に除去した。他の条件は総て上記実施例1と等しくした。
これらの磁気記録媒体12について、実施例1と同様に表面32における充填材28の上の部分の算術平均粗さ、表面32における記録要素25の上の部分の算術平均粗さ、表面32全体の算術平均粗さをAFMを用いて測定したところ表2に示されるような結果であった。
又、これらの磁気記録媒体12について、実施例1と同様に磁気ヘッド14のシーク試験を行い、シーク試験後、磁気ヘッド14のクラッシュ痕を調べた。クラッシュ痕の測定結果を、磁気ヘッド14にクラッシュ痕を生じさせた磁気記録媒体12の枚数として表2に示す。
上記実施例1に対し、表面32における充填材28の上の部分と記録要素25の上の部分とに約2.5nmの段差を設けた。具体的には、充填材成膜工程(S112)において充填材28を、凹部26の深さ20nmよりも3nm薄い17nmの厚さで成膜した。即ち、凹部26内の充填材28の上面が記録要素25の上のストップ膜34の上面よりも3nm低くなるように充填材28を成膜した。
又、平坦化工程(S116)において、被覆材35が部分的に除去され、該被覆材35の上面及び該被覆材35に被覆されていない充填材28の上面と記録要素25の上のストップ膜34の上面との段差が約2.5nmとなったところでエッチングを停止した。他の条件は総て上記実施例1と等しくして、上記第1実施形態と同様の構成を有する10枚の磁気記録媒体12を作製した。
これらの磁気記録媒体12について、実施例1と同様に表面32における充填材28の上の部分の算術平均粗さ、表面32における記録要素25の上の部分の算術平均粗さ、表面32全体の算術平均粗さをAFMを用いて測定したところ表2に示されるような結果であった。
又、これらの磁気記録媒体12について、実施例1と同様に磁気ヘッド14のシーク試験を行い、シーク試験後、磁気ヘッド14のクラッシュ痕を調べた。クラッシュ痕の測定結果を、磁気ヘッド14にクラッシュ痕を生じさせた磁気記録媒体12の枚数として表2に示す。
更に、これらの磁気記録媒体12について、実施例1と同様に磁気ヘッド14の浮上高さの変動量を測定した。図20は、これらの磁気記録媒体12のうちの1枚の磁気記録媒体12における磁気ヘッド14の浮上高さの変動を示すグラフである。
[比較例]
上記実施例1に対し、鏡面研磨された10枚の基板を用意し、これらの基板の上に保護層36、潤滑層38を形成した。尚、保護層36、潤滑層38の材料、厚さは実施例1と同じである。これらの基板について、表面全体の算術平均粗さをAFMを用いて測定したところ表2に示されるような結果であった。又、これらの基板について、実施例1と同様に磁気ヘッド14のシーク試験を行い、シーク試験後、磁気ヘッド14のクラッシュ痕を調べた。クラッシュ痕の測定結果を、磁気ヘッド14にクラッシュ痕を生じさせた基板の枚数として示す。
更に、これらの基板について、実施例1と同様に磁気ヘッド14の浮上高さの変動量を測定した。図21は、これらの基板のうちの1枚の基板における磁気ヘッド14の浮上高さの変動を示すグラフである。
表2に示されるように、比較例では10枚の基板のうち、6枚の基板でクラッシュが発生していたのに対し、実施例1、実施例2及び実施例3では、いずれも10枚の総ての磁気記録媒体12においてクラッシュは全く発生していなかった。即ち、実施例1、実施例2及び実施例3は比較例に対しクラッシュの発生を抑制する効果が著しく高いことが確認された。比較例は、鏡面研磨された基板の上に保護層36、潤滑層38が形成されているために、磁気ヘッドが吸着されることによるクラッシュが生じやすくなっているのに対し、実施例1、実施例2及び実施例3は、表面32における充填材28の上の部分の表面粗さが大きいため、磁気ヘッド14の吸着によるクラッシュが抑制されたものと考えられる。
一方、図19〜図21に示されるように、実施例1及び実施例3は鏡面研磨された基板の上に保護層36、潤滑層38が形成された比較例と磁気ヘッド14の浮上高さの変動がほぼ同等であった。実施例1及び実施例3は磁気記録媒体12の表面32における記録要素25の上の部分の表面粗さが小さいため、磁気ヘッド14の浮上高さの変動が比較例とほぼ同等に抑制されたと考えられる。又、実施例3は表面32における充填材28の上の部分と記録要素25の上の部分とに約2.5nmの段差が設けられているにも拘わらず、鏡面研磨された基板の上に保護層36、潤滑層38が形成された比較例と磁気ヘッド14の浮上高さの変動がほぼ同等であることから、表面32における充填材28の上の部分と記録要素25の上の部分とに段差があっても、段差の大きさが2.5nm以下であれば、磁気ヘッド14の良好な浮上特性が得られることがわかる。尚、図19〜図21において磁気ヘッド14の浮上高さが突発的に著しく大きくなっている部位があるが、これは塵芥等の異物によるものであり、磁気記録媒体12の表面32の形状によるものではない。
以上の実施例1、実施例2、実施例3及び比較例は、磁気記録媒体の表面における充填材の上の部分の算術平均粗さが記録要素の上の部分の算術平均粗さよりも大きい場合に、磁気ヘッドの吸着によるクラッシュを抑制する効果が得られることを示しているが、例えば、平均高さRc、最大山高さRp、二乗平均平方根高さRq、最大谷深さRv、最大高さRy、十点平均粗さRz等の他の表面粗さの値が表面における充填材の上の部分において記録要素の上の部分よりも大きい場合も、磁気ヘッドの吸着によるクラッシュを抑制する効果が得られると考えられる。
本発明は、例えば、ディスクリートトラック媒体、パターンド媒体等の、記録層が所定の凹凸パターンで形成された磁気記録媒体に利用することができる。
本発明の第1実施形態に係る磁気記録再生装置の要部の概略構造を模式的に示す斜視図 同磁気記録再生装置の磁気記録媒体の構造を模式的に示す側断面図 同磁気記録媒体の表面近傍の構造を拡大して模式的に示す側断面図 同磁気記録媒体の表面近傍の構造を更に拡大して模式的に示す側断面図 同磁気記録媒体の製造工程の概要を示すフローチャート 同磁気記録媒体の製造工程において凹凸パターンの記録層の上に充填材が成膜された被加工体を示す側断面図 同充填材の上に被覆材が成膜された同被加工体を示す側断面図 平坦化工程において同被覆材における記録要素の上の部分が除去された同被加工体を示す側断面図 同平坦化工程において前記充填材における記録要素の上の部分が除去された同被加工体を示す側断面図 本発明の第2実施形態に係る磁気記録媒体の表面近傍の構造を拡大して模式的に示す側断面図 本発明の第3実施形態に係る磁気記録媒体の表面近傍の構造を拡大して模式的に示す側断面図 本発明の第4実施形態に係る磁気記録媒体の表面近傍の構造を拡大して模式的に示す側断面図 本発明の第5実施形態に係る磁気記録媒体の表面近傍の構造を拡大して模式的に示す側断面図 本発明の第6実施形態に係る磁気記録媒体の表面近傍の構造を拡大して模式的に示す側断面図 本発明の第7実施形態に係る磁気記録媒体の表面近傍の構造を拡大して模式的に示す側断面図 本発明の第8実施形態に係る磁気記録媒体の表面近傍の形状を拡大して模式的に示す平面図 本発明の第9実施形態に係る磁気記録媒体の表面近傍の形状を拡大して模式的に示す平面図 本発明の実施例1に係る磁気記録媒体の表面の凹凸を示すAFM像 同実施例1に係る磁気記録媒体における磁気ヘッドの浮上高さの変動を示すグラフ 本発明の実施例3に係る磁気記録媒体における磁気ヘッドの浮上高さの変動を示すグラフ 比較例に係る磁気記録媒体における磁気ヘッドの浮上高さの変動を示すグラフ 本出願における記録要素の上の表面及び充填材の上の表面を模式的に示す側断面図
符号の説明
10…磁気記録再生装置
12…磁気記録媒体
14…磁気ヘッド
16…チャック
18…アーム
20…ベース
22、104…基板
24…記録層
25、102…記録要素
25A、28A…上面
26…凹部
28、108…充填材
32…表面
34、110…ストップ膜
35…被覆材
36…保護層
38…潤滑層
40…下地層
42…反強磁性層
44…軟磁性層
46…配向層
50…被加工体
S102…レジスト層加工工程
S104…第2のマスク層加工工程
S106…第1のマスク層加工工程
S108…記録層加工工程
S110…ストップ膜成膜工程
S112…充填材成膜工程
S114…被覆材成膜工程
S116…平坦化工程
S118…保護層成膜工程
S120…潤滑層成膜工程

Claims (12)

  1. 基板の上に所定の凹凸パターンで形成された記録層の凸部として形成された記録要素と、該記録要素の間の凹部に充填された充填材と、を含み、表面における前記充填材の上の部分の表面粗さが前記記録要素の上の部分の表面粗さよりも大きいことを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 請求項1において、
    前記表面における前記充填材の上の部分の算術平均粗さが前記記録要素の上の部分の算術平均粗さよりも大きいことを特徴とする磁気記録媒体。
  3. 請求項1又は2において、
    前記記録要素の上面の表面粗さが、前記表面における前記充填材の上の部分の表面粗さよりも小さいことを特徴とする磁気記録媒体。
  4. 請求項1乃至3のいずれかにおいて、
    前記充填材の上に該充填材の上面を部分的に被覆する被覆材が設けられたことを特徴とする磁気記録媒体。
  5. 請求項1乃至3のいずれかにおいて、
    前記充填材の上に該充填材の上面を被覆する被覆材が設けられ、該被覆材及び前記記録要素の上に保護層が形成されたことを特徴とする磁気記録媒体。
  6. 請求項4又は5において、
    前記充填材は、アモルファス構造を有する材料及び微結晶状態の材料のいずれかであることを特徴とする磁気記録媒体。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の磁気記録媒体と、該磁気記録媒体に対してデータの記録/再生を行うために該磁気記録媒体の表面に近接して浮上可能であるように設置された磁気ヘッドと、を備えることを特徴とする磁気記録再生装置。
  8. 基板の上に所定の凹凸パターンで形成され、該凹凸パターンの凸部として記録要素が形成された記録層の上に充填材を成膜して前記記録要素の間の凹部を前記充填材で充填する充填材成膜工程と、前記充填材の上に該充填材と材料が異なる被覆材を成膜する被覆材成膜工程と、前記充填材及び前記被覆材における前記記録要素の上面よりも上の余剰の部分をエッチングにより除去し、且つ、表面における前記凹部の上の部分の表面粗さが前記記録要素の上の部分の表面粗さよりも大きくなるように前記表面を平坦化する平坦化工程と、を含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  9. 請求項8において、
    前記平坦化工程において前記充填材のエッチングレートが前記被覆材のエッチングレートよりも高いエッチング法を用いることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  10. 請求項8又は9において、
    前記平坦化工程において前記記録層のエッチングレートが前記充填材のエッチングレートよりも低いエッチング法を用いることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  11. 請求項8又は9において、
    前記充填材成膜工程の前に、前記記録層の上にストップ膜を成膜するストップ膜成膜工程が設けられ、前記平坦化工程において前記ストップ膜のエッチングレートが前記充填材のエッチングレートよりも低いエッチング法を用いることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  12. 請求項8乃至11のいずれかにおいて、
    前記平坦化工程において前記凹部を充填する前記充填材の上に前記被覆材が部分的に残存するように前記充填材及び前記被覆材の余剰の部分を除去することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
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