本発明は、少なくとも1つの歪誘発複屈折材料から成る複数の層を含む二次成形多層光学フィルムを備える物品、多層光学フィルムを二次成形してこうした物品を製造する方法、および二次成形作業に特に良く適する多層光学フィルムを目的としている。多層光学フィルムの二次成形は、すべてではないとしても殆どの二次成形工程がフィルムの製造状態からフィルムの変形を生じるため、問題を呈する。こうした変形は、多層光学フィルムの光学的および機械的特性に悪影響を及ぼす可能性がある。
本明細書では、スペクトルの可視領域に関して本発明を説明することが多いが、本発明の様々な実施態様は、電磁放射線の異なる波長(したがって周波数)で動作するように使用することができる。分かりやすくするため、「光」という用語は、本明細書では、電磁放射線の波長/周波数に関係なく、本発明の多層光学フィルムが反射できる何らかの電磁放射線を指すために使用する。たとえば、多層光学フィルムは、高周波、極超短波、マイクロ波およびミリ波周波数の電磁放射線を反射することができる。さらに好ましくは、「光」という用語は、紫外スペクトルから赤外スペクトル(可視スペクトルを含む)までを含む電磁放射線を指す。さらになお好ましくは、本発明に関連して使用する「光」は、可視スペクトルの電磁放射線として定義することができる。
さらに、本発明による多層光学フィルム、および多層光学フィルムを二次成形する工程は、フィルム内の層間の歪誘発屈折率差を利用する。一般に、こうした差は、本明細書では数値で表さない。しかし、特定の屈折率に関して歪誘発屈折率差を説明する場合、使用する値は、632.8nmの波長を有する光を使用して決定すると考えるべきである。
本明細書で使用する場合、「反射」および「反射率」という用語、並びにこれらの変形は、ある表面からの光線の反射率を指す。同様に、「透過」および「透過率」という用語、並びにこれらの変形は、本明細書ではある表面、光学積層体、フィルムなどを貫通する光の透過に関して使用する。染料または着色剤を意図的に添加する場合を除いて、本発明の光学積層体は、低いかまたは最小限の吸収損失を示すことが好ましく(一般に、入射光の1%未満)、光学積層体の表面から反射されない実質的にすべての入射光は光学積層体から透過される。
本明細書で使用する場合、「消光比」という用語は、直交偏光で透過される光に対するある偏光で透過される光全体の比率を意味すると定義する。
多層光学フィルム
本発明に関連して使用する多くの多層光学フィルムおよびこれら多層光学フィルムを製造する方法は、米国特許第5882774号、米国特許出願第08/479,319号、および第09/006,085号、第09/006,118号、第09/006,288号、第09/006,455号、第09/006,591号、並びに本明細書で引用するその他の様々な特許および特許出願に記載されている。しかし、簡潔に説明すると、本明細書で使用する多層光学フィルムは、少なくとも1つのその他の材料と隣接する層として提供される少なくとも1つの複屈折材料を含み、フィルムを構成する層間に所望の歪誘発屈折率差が生じる光学フィルムを指す。多層光学フィルムは、入射光の比較的低い吸収率、並びに軸外光線および垂直光線に対する高度の反射率を示すことが好ましい。
フィルムを光の純粋な反射に使用するかまたは反射偏光に使用するかどうかに関わらず、反射特性はほぼ維持される。多層光学フィルムの独特な特性および利点は、低い吸収損失を示す高度に反射性の二次成形物品を設計する機会を提供する。本発明の方法および物品に使用する1つの多層光学フィルムは、図1に示されており、少なくとも2つの材料12および14が交互の層を有する多層積層体10を備える。
本発明による多層光学フィルムはすべて、本明細書で「光学積層体」と呼ぶ光学的に活性の部分を含み、光学積層体内の屈折率差によって多層光学フィルムの所望の反射特性を提供する層である。その他の層および/または材料は、光学積層体に追加して提供することができる。たとえば、表皮層を光学積層体の外側に形成すると、フィルムの機械的特性を改善するか、または遅延もしくは偏光転換などのような二次的な工学的影響を含む所望のその他の1つもしくは複数の特性を提供することができるが、フィルムの反射光学的特性の多くは、光学積層体の特性によって決まる。
2つの層12および14のみを示すが、多層光学フィルム10は、少なくとも1つの材料が複屈折であれば、何十、何百または何千もの層を含むことができ、各々の層を多くの異なるどの材料からも製造できることが分かるであろう。特定の光学積層体の材料の選択を決定する特性は、フィルムの所望の光学的性能によって決まる。光学積層体は、積層体内の層の数と同じだけの多くの材料を含むことができる。しかし、製造しやすくするため、好ましい薄い光学フィルム積層体は、数種類の材料のみを含むことが好ましい。本発明による多層光学フィルムの光学積層体の材料を選択する際に考慮すべきいくつか事項は、以下の「材料の選択」という項で説明する。
積層体内の材料、つまり化学的に同じで物理的特性が異なる材料間の境界は、急激であっても緩やかであっても良い。分析上の解法によるいくつの単純な事例を除いて、屈折率が連続的に変化する後者のタイプの層状媒体を分析する場合、急激な境界を有するが、隣接層間の特性がわずかしか変化しない非常に多数の比較的薄い均一な層として一般に処理される。
光学フィルムの材料の選択および製造に関するその他の考慮事項は、米国特許第5882774号、並びに米国特許出願第09/006,085号、第09/006,118号、第09/006,288号、第09/006,455号および第09/006,591号に記載されている。
好ましい光学積層体は、屈折率が低いフィルム層と屈折率が高いフィルム層の対から構成され、屈折率が低い層と屈折率が高い層の各々の対は、垂直入射で反射するように考えられる帯域の中心波長の1/2の結合光学的厚さを有する。光学的厚さは、特定の波長および偏光平面の断面の場合、物理的な層の厚さに層内の材料の屈折率を乗じた値である。こうしたフィルムの積層体は、一般に四分の一波長積層体と呼ばれる。
上記のとおり、少なくとも1つの材料は複屈折であり、ある方向に沿った材料の屈折率(n)は、この方向に沿って材料を伸張することにより影響を受ける。各層の屈折率は、層12についてはn1x、n1yおよびn1zであり、層14についてはn2x、n2yおよびn2zである。本発明の目的上、x軸およびy軸は、概して、フィルム平面内にあり、互いに垂直であると考える。z軸は、x軸およびy軸に垂直であり、概してフィルム平面に垂直である。
積層体10は、一般に2つの垂直平面内方向に伸張されて、層14内の複屈折材料を2軸延伸することができるか、または1つの平面内方向にのみ延伸される(1軸延伸)。1軸延伸から2軸延伸の範囲で多層積層体を伸張することにより、フィルムには、方位が異なる入射光が反射する範囲が形成される。こうして、多層積層体は反射偏光子または鏡として有用になる。
積層体10をx方向およびy方向に伸張する場合、層12および14の隣接する各々の対は、2つの相互に垂直な平面内方向(xおよびy)の各々の層間で屈折率差を示す。屈折率差の値は、Δx((n1x−n2x)に等しく、ここでn1xはn2xより大きい)およびΔy(ここで、Δy=n1y−n2y)で表すことができる。反射偏光子は、積層体10内のΔxが所望の反射率を達成するのに十分に高いことが好ましく、さらに積層体10は、同時偏光を含む実質的割合の光が透過されるように十分に低いΔyを示すことが分かるであろう。
斜角入射での多層光学フィルムの反射率を改善するのに重要なパラメーターは、その他の屈折率に関連してn1zおよびn2zを調節することである。先ず、n1xはn1xおよびn2xの大きい方であり、Δxは正であり、|Δx|>|Δy|であると仮定する。垂直入射に比べて斜角入射での多層光学フィルムの反射率を高めるには、Δz<Δxであることが好ましい。さらに好ましくは、
であり、さらになお好ましくはΔz<0である。
反射ミラーフィルムの場合、各々の偏光および入射平面の光に関する所望の平均透過率は、概して反射フィルムに意図する用途によって決まる。より狭い帯域幅の反射フィルム、たとえば可視スペクトル内の100nmの帯域幅では、任意の偏光方向の垂直入射での平均透過率は、望ましくは30%未満、好ましくは20%未満、さらに好ましくは10%未満である。部分的反射フィルムの場合、垂直入射での各々の偏光方向に沿った望ましい平均透過率は、たとえば10%〜50%であり、特定の用途に応じてたとえば100nm〜450nmの帯域幅に適用することができる。
高性能の反射ミラーフィルムの場合、可視スペクトル(400〜700nm)上の任意の偏光方向に関する垂直入射での平均透過率は、望ましくは10%未満、好ましくは5%未満、さらに好ましくは2%未満、さらになお好ましくは1%未満である。400〜700nmの高性能の反射フィルムの場合、任意の入射平面および偏光方向での縦軸から60°における平均透過率は、望ましくは10%未満、好ましくは5%未満、さらに好ましくは2%未満、さらになお好ましくは1%未満である。
さらに、非対称反射フィルムは、特定の用途に望ましい場合がある。この場合、たとえば可視スペクトル(400〜700nm)の帯域幅、つまり可視スペクトルから近赤外線(400〜850nm)で、ある偏光方向での平均透過率は、たとえば50%未満であることが望ましいが、別の偏光方向に沿った平均透過率は、たとえば20%未満であることが望ましい。
要約すると、本発明の方法および物品に使用する多層光学フィルムは、少なくとも2種類のポリマー材料12および14が交互の層を有する多層積層体10を備え、これらポリマー材料の少なくとも一方は複屈折を示し、複屈折材料の屈折率が伸張によって影響されることが好ましい。1つ置きの層の隣接する対は、以下で簡潔に説明するように、2つの垂直平面内軸線の少なくとも一方に沿って少なくとも1つの歪誘発屈折率差(Δx、Δy)を示すことが好ましい。材料および/または延伸工程条件を選択して、ΔxおよびΔyの値に関連してΔzの値を調節することができる。
1軸延伸から2軸延伸の範囲で多層積層体を伸張することにより、多層光学フィルムには、方位が異なる平面偏光が反射する範囲、およびΔx、ΔyおよびΔzに基づく様々なフィルム軸線(一般に伸張方向に対応する)に平行な入射平面または偏光平面が形成される。屈折率差はフィルム全体で概して均一であり、フィルム全体に均一な光学的特性を提供することが好ましい。所望の光学的特性の所望の最小値未満である屈折率差の変動によって、フィルムの光学的特性に望ましくない変動が生じる場合がある。
二次成形多層光学フィルムを備える物品、これら物品を製造する方法、および二次成形性多層光学フィルムについて、可視スペクトルで広帯域反射率を示すように設計された多層光学フィルムに関して以下で記述または説明することが多いが、同じ概念は、所望の1つまたは複数の波長範囲、および所望の偏光品質を有する光の反射を示す物品、製法およびフィルムに適用されることが分かるであろう。つまり、本発明は、ある偏光方位の光を優先的に反射し、直交する偏光方位の光を透過する偏光多層光学フィルム、および任意の偏光方位を有する光に均一な特性を与える多層光学フィルムに有用である。
本発明の二次成形工程に使用するのに適するその他の光学フィルムとしては、屈折率が異なる不混和性材料のブレンドから成るたとえば多層フィルムおよびフィルムがある。適切な多層フィルムの例としては、偏光子、可視および赤外鏡並びにカラーフィルムがあり、たとえば特許公開第WO95/17303号、第WO96/19347号および第WO97/01440号、米国特許出願第09/006086号および第09/006591号、米国特許第5,103,337号(Schrenk)、第5,122,905号(Wheatley等)、第5,122,906号(Wheatley)、第5,126,880号(Wheatley)、第5,217,794号(Schrenk)、第5,233,465号(Schrenk)、第5,262,894号(Wheatley)、第5,278,694号(Wheatley)、第5,339,198号(Wheatley)、第5,360,659号(Arends)、第5,448,404号(Schrenk)、第5,486,949号(Schrenk)、第4,162,343号(Wilcox)、第5,089,318号(Shetty)、第5,154,765号(Armanini)、第3,711,176号(Alfrey,Jr.等)、並びに再発行米国特許第RE31,780号(Cooper)および第RE34,605号(Schrenk)に記載されているものが挙げられる。2つ以上のポリマー材料の不混和性ブレンドから成る光学フィルムの例としては、反射および透過特性が、特許公開第WO97/32224号に記載されているブレンドミラーおよび偏光子などのような不連続ポリマー領域の存在から得られる。好ましいフィルムは、複屈折材料および異なる材料の層が交互になっており、1つ置きの層間に屈折率差がある多層フィルムである。特に好ましい多層フィルムは、複屈折材料が歪誘発複屈折が可能であり、フィルムの圧伸によって少なくとも部分的に1つ置きの層間の屈折率差が生じる多層フィルムである。圧伸または類似の成形工程は、複屈折材料の屈折率の変化を生じ、それにより層間屈折率差の変化を生じる。こうした歪誘発屈折率差は、多くの望ましい光学的特性、たとえば広範な角度からフィルム上に入射する光を反射する能力、広範な波長での高度の反射率、反射および透過波長を調節する能力などを与える。
光学フィルムの二次成形
本発明に関連して使用する場合、二次成形は、製造された多層光学フィルムの滑らかな平面状表面を有するフィルム形状と異なる様々な形状を有する物品を製造するように設計された様々な工程を含むことができる。好ましい製造工程は、流延またはその他の方法でフィルムを成形し、1軸延伸フィルムの場合は1方向にフィルムを伸張することを含む。フィルムは、2軸延伸する場合、長手(つまり縦)方向およびウェブ横方向に一般に伸張されるが、任意の2方向を使用して良い(好ましくは、ほぼ垂直な2方向)。1軸および2軸伸張多層光学フィルムはどちらも、製造時のキャリパまたは厚さの変化が約±5%以下の状態の概して滑らかな平面状フィルムとして製造される。
本発明に関して説明する二次成形は、多層光学フィルム内の光学積層体をさらに処理して、光学積層体内にある程度の永久的変形を生じることを含む。この変形は、光学積層体を薄膜化することを含むことが好ましく、製造時の均一に滑らかな平面状表面を有するフィルム形状からフィルムの少なくとも一方の表面を変形させることを含む場合もある。
変形は光学積層体の平面性を崩壊させるので、平面内方向について記載されている場合、平面内方向は、光学積層体の局所的領域または光学積層体上の1点に関連すると考えられると理解すべきである。曲線状の光学積層体の場合、平面内軸線は、光学積層体上の特定の1点に形成される接線によって画定される平面内にあると考えることができる。z軸は、この平面に垂直であると考えられる。
二次成形は、多層光学フィルムの光学層、つまり多層光学フィルムの反射特性を生じる層を変形させて、フィルムの光学的特性を変化させるエンボス加工を含んでも良い。多層光学フィルム内の光学層の光学的特性に著しい影響を及ぼさずに表皮層にテクスチャー加工表面を与えるエンボス加工は、本明細書で使用する二次成形という用語が意味する範囲内の二次成形であるとは考えない。多層着色ミラーフィルムのエンボス加工は、たとえば米国特許出願第08/999,624号および第09/006,086号に記載されている。
以下に記載する実施態様で分かるとおり、二次成形物品は、ほぼ滑らかな平面状表面を有するフィルムまたはシート材料を3次元特性を有する物品に変形させて製造される。二次成形多層光学フィルムを備える物品は、多層光学フィルムの光学層をエンボス加工した結果生じる変形などのような比較的小さい変形から、高度のアスペクト比(つまり深さ対幅比)を有する深いランプキャビティなどに使用される熱成形多層光学フィルムなどのようなより大規模な変形までを有する二次成形多層光学フィルムを備えることができる。
二次成形作業は、多層光学フィルムの加工品質を改善するために熱を一般に使用するが、必ずしも使用するわけではない。二次成形工程は、圧力、真空、成形型などを使用して、多層光学フィルムの加工品質をさらに改善し、工程の処理能力を高める。たとえば、1つの代表的な二次成形方法は、様々な形態の真空もしくは圧力成形/二次成形、またはプラグ成形などを含む熱成形である。二次成形は、フィルムまたはフィルムの部分/領域を平面状の方向に再圧伸または伸張させるか、またはフィルムを非平面状または曲線状の形状に伸張させることをさらに含む場合がある。
光学積層体内に含まれる圧伸の量に関して二次成形をさらに説明すると役立つ。一般に、二次成形は、光学積層体のテクスチャー加工、光学積層体の浅絞り成形、光学積層体の深絞り成形を含むことができる。二次成形がテクスチャー加工および/または浅絞り成形を含む場合、生じる圧伸比が比較的小さいため、以下に説明するとおり完全圧伸多層光学フィルムおよび低圧伸多層光学フィルムの両方を使用して、この方法を行うことができる。しかし、深絞り成形を行う場合、完全圧伸多層光学フィルムに比べて伸張性が高いという点で、低圧伸光学積層体を使用すると有利である。模範的な二次成形工程およびこうした工程により製造される物品を以下に記載する。
本発明による二次成形多層光学フィルム内の光学積層体を特徴的に変形させる1つ方法を図2および図2A〜図2Cに示す。光学積層体20は、第1主面24および第2主面26を備える(図2A参照)。光学積層体20が変形した選択領域22をさらに示す。選択領域22は、実質的に均一な大きさとして描かれており、規則的な反復パターンで配置されている。しかし、選択領域22は不均一であるか、および/または不規則もしくは反復しないパターンで形成しても良いことが分かるであろう。
選択領域22の1つおよび周囲の光学積層体20を図2Aの拡大部分断面図に示す。二次成形の結果は、光学積層体20の厚さが変化することである。変形を生じさせることができる方法の1つは、光学積層体20のさもなければほぼ滑らかな平面状第1主面24に凹部を形成することである。この二次成形は、テクスチャー加工の一例として考えられ、つまり光学積層体20の一方の表面24に変形が生じても、光学積層体20の対向表面上に対応する変形は必ずしも生じない。しかし、テクスチャー加工は、光学積層体20自体が変形する表皮層のエンボス加工とは異なる。
光学積層体120の厚さが変化しているもう1つの徴候を図2Bに示すが、第1主面および第2主面124および126が選択領域122および128で変形している。第1主面124の選択領域122と同様、第2主面126の選択領域128も、さもなければほぼ滑らかな平面状第2主面126の凹部として形成される。これは、圧力または歪によって生じる浅絞り成形の一例である。
光学積層体220の厚さが変化しているもう1つの徴候を図2Cに示すが、第1および第2主面224および226は選択領域222および228内で変形している。選択領域222は、第1主面224上の凹部として形成されているが、第2主面226上の選択領域227は、さもなければほぼ滑らかな平面状第2主面226から外側に延在する隆起領域として形成されている。図示のとおり、第2主面226上の隆起領域228は、第1主面224上の凹部領域222の反対側に位置する。
図2Cに示す二次成形の結果は、浅絞り成形、つまり光学的本体220の対向面224および226内の光学積層体220の変形と考えられるもう1つの例である。
図3および断面図3A〜3Cは、本発明による二次成形多層光学フィルムの代替実施態様を示す。光学積層体20’は、第1主面24’および第2主面26’を備える(図3A参照)。光学積層体20’が変形している選択領域22’も示されている。選択領域22’は、実質的に均一なサイズとして示されている。しかし、選択領域22’は不均一でも良いことが分かるであろう。
再び図2を参照すると、光学積層体20の選択領域22は、両方の平面内軸線(xおよびy)に沿って変形している。対照的に、光学積層体20’の選択領域22’は、好ましくは1つの平面内軸線(図3ではx軸)のみに沿って変形している。光学積層体20’を変形領域22’内の反射偏光子として作用するように設計する場合、これら領域を最大屈折率の方向に変形させることが望ましい。これで、屈折率が一致する方向に二次成形が拡張するのが減少する。したがって、偏光光学積層体20’の反射性能がより良く維持され、場合によっては、適切な方向に沿って伸張が増加することにより、光学積層体20’の所望の反射率が増加する。
選択領域22’の1つおよび周囲の光学積層体20’を図3Aの拡大部分断面図に示す。二次成形の結果は、光学積層体20’の厚さが変化することである。こうした変化を生じさせる方法の1つは、各々の選択領域22’が、光学積層体20’のさもなければほぼ滑らかな平面状第1主面24’内に凹部を形成できることである。
光学積層体120’内の厚さが変化していることを示すもう1つの徴候を図3Bに示すが、第1および第2主面124’および126’は選択領域122’および128’で変形している。第1主面124’上の選択領域122’と同様、第2主面126’上の選択領域128’も、さもなければほぼ滑らかな平面状第2主面126’内の凹部として形成される。
光学積層体220’の厚さが変化しているさらにもう1つの徴候を図3Cに示すが、第1および第2主面224’および226’は選択領域222’および228’で変形している。選択領域222’は、第1主面224’上の凹部として形成され、第2主面226’上の選択領域227’は、さもなければほぼ滑らかな平面状第2主面226’から外側に延在する隆起領域として形成されている。図示のとおり、第2主面226’上の隆起領域227’は、第1主面224’上の凹部領域222’の反対側に位置する。
図2A〜図2Cおよび図3A〜図3Cに示す変形は、光学積層体の未変形部分の厚さt0対光学積層体の変形部分の厚さtfの比率で特徴付けることができる。これら厚さは、光学積層体の主面間で測定することが好ましく、つまり表皮層の厚さは考慮に入れない。一般に、比率t0:tfは、少なくとも約1.1:1であることが望ましい。場合によっては、比率t0:tfは、少なくとも約1.5:1以上であることが望ましく、さらに好ましくは少なくとも約1.75:1以上、さらになお好ましくは少なくとも約2:1以上である。
図4および図5は、図2Cに示す二次成形光学積層体220のより極端な例である。図4および図5に示す二次成形光学積層体30は、深絞り成形二次成形工程の一例と考えられる。図4の光学積層体30は、第1主面34(図5参照)および第2主面36、並びに光学積層体30が二次成形されて、光学積層体の第1主面34上に形成された凹部領域32および光学積層体30の第2主面36上に形成された隆起領域37を提供する複数の選択領域32を備える。
深絞り成形光学積層体の変形領域は、凹部領域32の開口部33を横断して測定した凹部領域32の幅(w)対光学積層体30の第1主面34から測定した凹部領域32の深さ(d)のアスペクト比で特徴付けることができる。凹部領域32の幅は、最も狭い寸法を横断して測定することが好ましい。凹部領域32は約10:1以下のアスペクト比を有することが望ましく、2:1以下であればさらに望ましく、約1:1以下であればさらになお望ましく、約0.5:1以下であればさらになお望ましい。
あるいは、光学積層体30の変形は絶対条件で測定することができる。たとえば、深さdは少なくとも約0.1mm以上であれば好ましく、少なくとも約1mm以上であればさらに好ましく、少なくとも約10mm以上であればさらになお好ましい。凹部領域32の深さdが光学積層体30の厚さにほぼ等しいかまたはこの厚さを超える場合、隆起領域37は光学積層体の第2主面36上に形成されると考えられる。
光学積層体30の第1主面34上に形成された凹部領域32の深さdの測定は、第1主面が平面状である場合に限らない。次に図6を参照すると、多層光学フィルムの光学積層体130は曲線状構成で示されている。光学積層体130は、光学積層体130の第1主面134上に形成された凹部領域132、および光学積層体130の第2主面136上の対応する隆起領域137を備える。凹部領域132の深さdは、光学積層体130の第1主面134によって画定される幾何学的表面から測定することが好ましく、一般に、この幾何学的表面から最大の深さである。
図7〜図9は、二次成形多層光学フィルムを備えるもう1つの具体的な物品を示す。図7は、たとえば自動車またはトラック用のヘッドライト組立体40の断面図である。ヘッドライト組立体40は、レンズ42と、反射内面46を有するランプキャビティ44と、ランプキャビティ44内に取り付けられた光源48とを備える。
ランプキャビティ44の反射内面46は、本発明の原理により製造された二次成形多層光学ミラーフィルムを備える。この実施態様では、使用する多層光学フィルムは可視光線を高度に反射することが好ましく、多層光学フィルムは、赤外スペクトルの光も反射すると、反射内面46が配置されている基板が赤外エネルギーを吸収して生じるランプキャビティ44の熱の蓄積を制限するのに役立つ。あるいは、多層光学フィルムが十分な構造強度を有し、ランプキャビティ44全体が多層光学フィルムから構成されると、多層光学フィルムは赤外エネルギーを透過し、ヘッドライト組立体40内の熱の蓄積を制限する上で好ましい。
図8は、図7の線8−8に沿って切ったランプキャビティ44の拡大断面図であり、図9は、図7の線9−9に沿って切ったランプキャビティ40の拡大断面図である。どちらの図面も、ランプキャビティ44の内面46上にある二次成形多層光学フィルム50の層を示す。多層光学フィルム50は、一般に、単独では十分な構造剛性に欠けるので、多層光学フィルム50を適切な技術により基板52またはその他の形態の構造支持体、たとえば枠などに取り付けることが好ましい場合がある。あるいは、多層光学フィルムは、二次成形作業の前かまたは後に構造剛性を提供するより厚い層に積層するか、またはこうした層と同時押出しすることができる。
二次成形工程は、一般に多層光学フィルムを均一に変形させないので、本発明による二次成形多層光学フィルム内の光学積層体の厚さは変化する。二次成形多層光学フィルムの厚さの変化は、製造された多層光学フィルムの制御された均一な厚さと対照的である。こうした均一な厚さは、多層光学フィルム内の光学層の厚さは部分的に光学層の光学的特性を画定する点で望ましい。したがって、製造された多層光学フィルムの変化は、フィルムの均一な光学的特性に悪影響を及ぼす可能性があるため望ましくない。たとえば、製造された多層光学フィルムの光学積層体内の不均一さによって、真珠光またはその他の光学的産物が生じる可能性がある。
二次成形多層光学フィルムの光学積層体内の厚さの変化は、大部分は、二次成形時の多層光学フィルムの異なる領域内に生じる歪の変動によって生じる。つまり、二次成形時に、二次成形多層光学フィルムのある領域には著しい変形(歪)が生じ、他の領域には変形が殆どまたはまったく生じない場合がある。
したがって、物品の二次成形多層光学フィルムの光学積層体は、図3A〜図3C、図8および図9に示すように厚さの変化を含むことが多い。たとえば、多層光学フィルム50の厚さは、ランプキャビティ44内の2点間で変化する。図8に示す二次成形多層光学フィルムの光学積層体の厚さt1は、図9に示す二次成形多層光学フィルムの光学積層体の厚さt2より厚い。しかし、どちらの領域でも、所望の波長範囲に対する多層光学フィルム50の反射率は、垂直光に対しても軸外光に対しても高く保たれることが好ましい。軸外反射率の重要性は、光源48からの光が垂直から高度の角度でライトキャビティ44の部分に接近する図7で分かる。
光学積層体内の厚さの変化は、一般に帯域変位と呼ばれる状態を生じる可能性がある。つまり、多層光学フィルムが反射する波長範囲は、一部には、多層光学フィルム内の層の物理的厚さの関数である。層の物理的厚さが変化すると、フィルムが反射する波長範囲が変化する可能性がある。厚さの変化によって、一般に、多層光学フィルムは製造時の厚さから薄膜化するので、帯域変位は一般に下向きである。たとえば、400〜900nmの波長範囲を超える光の広帯域反射を示し、二次成形時に2倍薄膜化する多層光学フィルムは、薄膜化した後、200〜450nmの波長範囲の光に対する広帯域反射を一般に示す。
多層光学フィルム、または屈折率差の結果として反射する何らかの多層物品が薄膜化する影響を補償する1つの方法は、米国特許第5,448,404号(Schrenk等)に記載されている。特に、薄くなる影響および対応する帯域変位は、製造時の多層光学フィルムの帯域幅を調節し、二次成形後、多層光学フィルムが適切な光学的厚さの層を有し、所望の波長の光を反射するようにして補償することができる。
帯域の上端および下端は、広帯域ミラーの場合、薄膜化を補償するように調節できるが、多層光学フィルムが二次成形時に薄膜化すると予想される最大率と少なくとも同じ大きさの率だけ反射波長範囲の上端のみを上向きに調節することが好ましい。多層光学フィルムが、二次成形または圧伸前に光を反射する波長範囲の上限を増加することにより、二次成形時に薄膜化した二次成形多層光学フィルムの部分は、所望の波長範囲で多層光学フィルムの反射率を維持する(多層光学フィルムが二次成形時に薄膜化する最大率が、二次成形時の薄膜化を考慮して波長範囲の上限を調節した率を超えないと仮定する)。
広帯域ミラーの場合、反射波長範囲の下限を調節することは一般に好ましくない。なぜなら、多層光学フィルムの領域によっては、二次成形時に変形または薄膜化を殆どもしくはまったく生じないからである。二次成形前に、所望波長範囲の下端で既に光を反射する多層光学フィルムを供給することにより、所望波長範囲の下端における二次成形多層光学フィルム全体の反射率を二次成形後に維持することができる。
たとえば、物品内の二次成形多層光学フィルムが、実質的にすべての可視光(つまり400〜700nmの光)を反射すると考えると、二次成形前、多層光学フィルムは、少なくとも約400nm〜約900nmの波長範囲に予想薄膜化率を乗じた値の垂直入射光を反射するはずである(上端の帯域幅を700nmから900nmに増加することは、縦軸から外れた角度で接近する光を補償するために行われる)。二次成形多層光学フィルムが二次成形時に薄膜化すると考えられる最大率が2である場合、多層光学フィルムは、好ましくは少なくとも約400nm〜約1800nmの波長範囲の垂直入射光を反射する。二次成形多層光学フィルムが二次成形時に薄膜化すると考えられる最大率が3である場合、多層光学フィルムは、好ましくは少なくとも約400nm〜約2700nmの波長範囲の垂直入射光を反射する。
多層光学フィルムの光学積層体が薄膜化を補償するように設計される場合、二次成形多層光学フィルムの厚さが変化しても、所望波長での光学積層体の反射率に著しい影響はない。たとえば、図7〜図9に示す二次成形多層光学フィルム物品50の比率t1:t2が少なくとも2:1以上であっても、多層光学フィルムの反射特性に著しい影響はない。場合によっては、所望波長で二次成形多層光学フィルムの光学的特性を著しく劣化させずに、3:1以上の厚さ比を支持できる多層光学フィルムを提供することが可能である。
図10および図11は、本発明によるもう1つの二次成形物品を示す。物品70は、光を1つの光源72から複数の分配点74a、74bおよび74c(分配点74と総称する)に分配できる導光器である。導光器70は、たとえば自動車などの計器パネルを照明するのに使用される。
図11の断面図で最も良く分かるとおり、導光器70は、所望の形状に二次成形されたフィルム76から成形することができる。二次成形フィルム76上には、図示の実施態様では、フィルム78の実質的に平面状シートであるカバーフィルム78である。しかし、必要ならカバーフィルム78を二次成形しても良いことが分かるであろう。二次成形フィルム76および/またはカバーフィルム78の異なる領域は、異なる厚さに二次成形して、異なる波長の光(たとえば色が異なる可視光)を透過するようにできる。2つの多層光学フィルム76および78は、様々な技術を用いて接合することができる。図示の実施態様では、フィルム76および78は、接着剤77を使用して接着されている。接合のその他の技術としては、機械的な固締具またはクランプ、溶接などがある。
二次成形多層光学フィルムを備える物品のいくつかの特定の例を上記で説明してきたが、二次成形多層光学フィルムは、多層光学フィルムの特有の光学的特性を利用することが望ましいどの物品にも含むことができることが分かるであろう。たとえば、二次成形多層光学フィルムを備える物品は、ヘッドライトやテールライトなどの自動車の分野、および本発明による二次成形物品の反射特性が有利なその他の分野に用途がある。さらに、二次成形物品は、ヘッドランプ用トリムピース、ベゼル、ノブ、自動車トリムなどとして自動車業界で使用することもできる。この物品は、冷蔵庫、皿洗い機、洗濯機、乾燥機、ラジオなどの消費財の照明具などのようなトリム物品にも用途がある。また、この物品は玩具または装飾品としても用途がある。本発明による二次成形物品のその他の用途としては、導光器および/またはパイプ、外部照明用の賦形反射器、たとえばバックライトコンピュータディスプレー、本明細書に記載する以外の医療用/歯科用機器(たとえば使い捨て式腹腔鏡)などに使用される電球状反射器が挙げられる。さらに他の用途では、二次成形物品は、たとえば中心に高く取り付けられるストップランプ、デカール、フード装飾品などに使用される着色ミラーまたはフィルタを提供する。その他の用途としては、宝石類、季節向けの装飾品(たとえばクリスマスツリーの装飾品)、グラフィックス、テクスチャー加工コーティングなどが挙げられる。
本発明の二次成形物品は、装飾用品としても使用することができる。波形成形フィルムから成形される装飾用品としては、リボン、蝶形リボン、包装紙、ギフト用袋、ガーランド、吹流し、中央部装飾および装飾品がある。二次成形物品は、ギフトボックスまたはその他の装飾パッケージ(たとえば化粧品または食品のパッケージ)、糸にも使用することができるか、またはギフト用袋内の窓として配置することもできる。装飾品のこうした例は、具体的に示すためにのみ記載するのであって、本発明の二次成形物品を使用できる装飾品の種類を制限するものと解釈するべきではない。
さらに、本発明による物品は、完全に二次成形多層光学フィルムから構成するか、または物品の構造内に多層光学フィルムを含むだけでも良い。二次成形多層光学フィルムが物品の一部のみを構成する場合、二次成形多層光学フィルムは、挿入射出成形、超音波溶接、接着およびその他の技術などの適切な技術により、比較的大きい組立体内に組み込むことができる。
低圧伸多層光学フィルム
米国特許第5882774号に記載されている多層光学フィルムのうち、こうしたフィルムの鏡構成は、一般に、高度の屈折率差を考慮して最適化される。こうしたフィルムは、低度の伸張限界(つまりフィルムが、変形時に破壊または引裂せずに一般的に変形する限界)を有する。なぜなら、こうしたフィルムは、製造時に、所望の高度の屈折率差を生じるレベルまで伸張されるからである。さらに、多層光学フィルムによっては、製造時に熱硬化する場合がある。熱硬化は、フィルム内の結晶化の促進を含み、結晶化の増加は、フィルムの伸張限界をさらに低下させる。
フィルムの比較的低い伸張限界の結果として、米国特許第5882774号に記載されているような公知の多層光学フィルムは、結果として得られる二次成形多層光学フィルムの光学的特性に著しく否定的な影響を及ぼさずに二次成形することは難しい。上記の方法は、二次成形多層多層光学フィルムを備える物品、およびこうした物品を成形する方法を提供するのに役立つが、二次成形多層光学フィルムを備える物品を提供するもう1つの方法を行うことができる。
他の方法は、製造時にフィルムを意図的に低圧伸し、本発明に関して「低圧伸多層光学フィルム」または「低圧伸フィルム」と記載される物品を製造することにより、二次成形のためにフィルムの伸張限界が高められた多層光学フィルムを使用することを含む。こうした低圧伸多層光学フィルムは、その後の二次成形工程で使用するためにロールまたはシートとして提供するか、またはインライン二次成形工程に送ることができる。
他の材料と交互に配置された1つまたは複数の複屈折材料の層を備える多層光学フィルムは、フィルム内の複屈折材料の歪誘発延伸および/または結晶化度により特徴付けることができる。完全圧伸フィルム、または本発明の目的上完全圧伸と少なくとも考えられるフィルムの場合、複屈折材料は、低圧伸の同じ材料から成る対応する多層光学フィルムよりも、高度の延伸および/または結晶化度を一般に示す。
完全圧伸フィルムのより高レベルの結晶化度は、大部分、製造時に多層光学フィルムに加わる増加した有効歪の結果である。上記のとおり、完全圧伸フィルムは、フィルムの反射特性を改善するためにより高レベルまで一般に延伸される。こうした反射特性は、複屈折材料の屈折率と相互に関連があるフィルム内の複屈折材料の延伸および/または結晶化度に主に基づく。したがって、延伸および/または結晶化度は、どの多層光学フィルムの場合も屈折率差(Δx、Δy)にも関連する。
低圧伸多層光学フィルムには、同じ構成の完全圧伸多層光学フィルムと同レベルの有効歪が加わらないので、低圧伸多層光学フィルム内の複屈折材料は、同じ材料、層厚さ、層の数などで製造された完全圧伸多層光学フィルムに比べて、減少した結晶化度または少なくとも1つの減少した平面内屈折率差(ΔxもしくはΔy)を一般に示す。
延伸および/または結晶化度の減少は、完全圧伸状態の同じ構成に比べて、一般に、低圧伸多層光学フィルムの屈折率差の減少を生じる場合もある。したがって、一般に、特定反射率の特定波長範囲に適用する必要がある層の数を増やすと役立つ。より広帯域のより厚い層からの二次的な頂点は、層の数を増やすという実際的な必要性を減少させる場合がある。しかし、こうした問題は、米国特許第5882774号の説明に基づいて決定することができる。
低圧伸多層光学フィルムの場合、結晶化度の上限のほかに、下限もあると好ましい点に注目することは重要である。つまり、複屈折材料を層内に含む低圧伸多層光学フィルムは、少なくともある程度の歪誘発結晶化度を含む。低圧伸多層光学フィルムに少なくともある程度の歪誘発結晶化度を提供することにより、低圧伸多層光学フィルムの二次成形は、複屈折材料に歪誘発結晶化度がまったく見られないフィルムに比べて、一般に予測しやすい。
少なくともある程度の歪誘発結晶化度を有する低圧伸多層光学フィルムを提供することの重要性を図12に示すが、この図は、別の材料と交互に配置された少なくとも1つの複屈折材料の層を備える多層光学フィルムに関する圧伸比(横軸)対結晶化度(縦軸)を表す理想化されたグラフである。図12に示す挙動は複屈折を示し、ダイから流延して急冷し、結晶化度が非常に小さい初期流延ウェブまたはフィルムを効果的に生じることができるPENもしくはPET、またはこれらを含むコポリマーなどのようなポリエステルに典型的である。図12は、歪誘発結晶化度の影響を受けやすいその他の急冷可能な複屈折ポリマー材料の特徴をさらに示す。やはり、こうした急冷フィルムは、厚伸前の急冷時の結晶化によって生じる低レベルの結晶化度のみを示すことが好ましい。フィルムの圧伸が開始すると、多層光学フィルム内の複屈折材料の結晶化度は増加し始めるが、増加は比較的低い初期速度である。歪誘発結晶化度が比較的低い初期速度で増加する圧伸比は、本発明の目的上、領域Iとして画定される部分に含まれる。圧伸比が領域Iを超えて領域IIと記載されている部分まで増加すると、圧伸比の関数である多層光学フィルム内の複屈折材料の結晶化度は、領域Iよりも著しく速い速度で増加する。
図12の領域Iでは、圧伸の影響は、圧伸の停止と同じ程度でほぼ逆であり、継続する加熱によって、最小結晶化度で延伸の緩和(つまり材料の3つの基本的な方向における屈折率差の減少)が可能になる。領域Iは一般に過冷却が大きい温度領域に一般に現れるので、この可逆性は必ずしも完全ではない。したがって、結晶化は熱力学的には有利だが、動力学的には妨げられる。この温度で(たとえば循環を介して)圧伸および緩和が行われる時の累積時間により、材料は、結晶化度の比較的遅い累積により最終的に領域IIに導かれる。にも関わらず、領域Iと領域IIとを区別するのは、このおおよその可逆性である。一般に、この領域で許容可能な結晶化度(以下に記載する全分極率)の程度は、特定のポリマー、その急冷条件および予備圧伸後処理条件によって決まる。
多層光学フィルムの複屈折材料の結晶化速度が著しく増加し始め、領域IIに移動する圧伸比は、圧伸率、温度などを含む多くの要素によって影響を受ける可能性がある。しかし、複屈折材料は、十分な歪誘発結晶化が生じて領域IIに入った後、初期圧伸によって画定される結晶化曲線を一般にたどる。つまり、フィルムは、図12のグラフの領域IIに関連する増加した速度で、複屈折材料の結晶化を含まずに圧伸され続けることはできない。したがって、フィルムの特性は、二次成形工程でさらに延伸される時にあまり変化しない。なぜなら、複屈折材料の結晶化速度は、大部分、フィルムを領域IIにするのに必要な予備伸張によって決まるからである。
領域IIに入るのに十分な歪誘発結晶化を生じない複屈折材料を含む多層光学フィルムの場合、二次成形時のその後の伸張または圧伸はあまり予測可能ではない。なぜなら、結晶化速度が著しく増加し始める時点は、温度および圧伸率などのような上記の要素によって影響を受けるからである。したがって、フィルムは、圧伸比がわずかに増加すると、複屈折材料の結晶化速度が著しく増加するか、または複屈折材料の結晶化速度の増加が比較的小さい状態で圧伸比が大きくなる。何れの場合も、予測可能性のレベルは、十分な歪誘発結晶化を含み、結晶化速度が非常に速い、つまり多層光学フィルム内の複屈折材料が領域IIに入ったフィルムに比べて減少する。
多くのポリマー、特に、PEN、PET並びにPENおよび/またはPETを含むコポリマーを含むポリエステルの場合、圧伸比に関連してはるかに遅い速度で屈折率が増加する第3領域が現れる。多くの場合、全分極率も、はるかに遅い速度で変化する。図12Aは、直交平面内軸線の寸法が概して一定に保たれる1軸圧伸PENフィルムに関する測定圧伸比(横軸)の関数としての延伸方向における屈折率(縦軸)を示す。この具体的な事例に使用するPENは、固有粘度0.48を有し、130℃における第2初期延伸率当たり直線圧伸プロファイル20%に従って延伸した。
図示の事例では、領域IIは約2の圧伸比で開始し、領域IIIは約3の圧伸比で開始する。これら領域の開始は、工程および材料条件、たとえば歪率の上昇、固有粘度の上昇、温度の低下、および/またはガラス転移温度の低下(たとえば、湿度の低下および/または可塑剤成分による)などによって決まり、これら条件はすべて、領域IIおよびIIIの開始時の圧伸比を図12Aに示す圧伸比よりも低下させる。固有粘度だけではなく分子量分布も領域の開始を変える。2軸圧伸フィルムの場合、類似の結果を生じることができる。
上記の点から、完全圧伸多層光学フィルムと同じ構成の低圧伸多層光学フィルムとの1つの相違は、完全圧伸多層光学フィルムは、結晶化度が、低圧伸多層光学フィルムの複屈折材料の結晶化度よりも高い複屈折材料を含むことである。多層光学フィルムの複屈折材料がポリエステルである場合、複屈折ポリマーの結晶化度は約18%以下であることが好ましく、約15%以下であればさらに好ましい。対照的に、完全圧伸多層光学フィルムの同じ複屈折ポリエステルの結晶化度は少なくとも約20%以上であり、より一般的には約25%以上である。
結晶化度の上限のほかに、低圧伸フィルムは、低圧伸多層光学フィルムの複屈折材料の結晶化度の下限によっても特徴付けることができる。なぜなら、フィルムの複屈折材料は、好ましくはある程度の歪誘発結晶化度を示すからである。つまり、多層光学フィルムの複屈折材料は、上記のとおり領域IIに入っていることが好ましい。複屈折材料としてポリエステルを含む多層光学フィルムの場合、多層光学フィルムの複屈折材料の結晶化度の下限は、少なくとも約3%以上であることが好ましく、場合によっては少なくとも約5%以上であることが好ましく、また他の場合には、少なくとも約10%以上であることが好ましい。より高レベルの結晶化度は、低度の延伸状態でより高レベルの複屈折を一般に提供し、低圧伸の程度を反映する。より高度の複屈折は、最終的な二次成形物品における初期の低圧伸状態の性能を改善することができる。
特定の理論によって制限されることは望まないが、最低レベルの結晶化度は、たとえばタイチェーンを介して微細結晶領域間に最低レベルの結合性を提供し、発展中の形態が大規模に緩和する傾向を実質的に減少させると考えられる。多くの場合、こうしたレベルの結晶化は、多層光学フィルムの複屈折材料を領域IIに移行させる。より低い結晶化度の正確な閾値は、組成および分子量を含む材料の化学的性質、並びに圧伸および加熱の温度、率および持続時間によって決まる。
結晶化度は、低圧伸多層光学フィルムの特徴を示すために使用されるが、あるいは低圧伸多層光学フィルムは、複屈折材料を含む層の「全分極率」と本明細書で呼ぶものを使用して特徴付けることもできる。全分極率の決定は、多層光学フィルム内の複屈折材料を含む1つまたは複数の層の屈折率に基づく。
「全分極率差」は、圧伸材料の全分極率と同じ材料の急冷非晶質状態の全分極率との差と定義される。ある特定の材料は、一定の完全圧伸状態で最大全分極率差を有すると考えられる。多層光学フィルムが複屈折材料の組成が異なる2つ以上の異なる層を含む場合、全分極率差は、以下に記載する方法で決定される最大全分極率差に関連する最大全分極率差を有する複屈折材料を含む層について測定することが好ましい。
屈折率は、たとえばAbbe屈折計またはプリズム結合装置(たとえばニュージャージー州、ピスカタウェイのMetriconから市販されている)を使用して標準的な様々な方法で測定される。多層光学フィルムに含まれる光学積層体の個々の層の材料の屈折率を直接測定することは難しいが、光学積層体全体としての屈折率は確実に測定することができる。さらに、光学積層体全体の屈折率は、光学積層体を構成する個々の層各々の材料の屈折率の加重平均である。
たとえば、光学積層体が2つ以上の材料から構成される場合、層間の相互拡散効果は小さく、1つの材料のみの屈折率が圧伸に対応して著しく変化するので、光学積層体全体の屈折率に基づいて個々の層の屈折率を概算することができる。こうした概算は、光学積層体全体の屈折率は光学積層体の様々な層内の材料の屈折率の光学的厚さ加重平均であるという一般的に認められている仮定に基づく。
もう1つの変形例では、光学積層体の層を構成する1つまたは複数の材料が、より厚い表皮層および/または内部保護境界層にも存在するフィルムの場合、屈折率は、材料が光学積層体の層にあるか、または多層光学フィルムの他の場所にあるかに関わらず、材料が同じであれば同じであると一般に仮定することができる。したがって、光学積層体を構成する材料の1つのみの屈折率が未知であり、光学積層体内の他の材料の屈折率が既知である場合、光学積層体の屈折率の測定によって、未知の材料の屈折率を計算することができる。場合によっては、屈折率の測定には、多層光学フィルムの様々な層の破壊剥離、またはこれら層を隔離するためのその他の公知の技術が必要になる場合がある。
一般に、圧伸または変形に対応して変化するのは、複屈折材料の屈折率であるから、多層光学フィルム内の複屈折材料の屈折率は、上記の技術に基づいて決定される。光学積層体の複屈折材料内の分子分極率保存を仮定すると(好ましい低圧伸多層光学フィルムに使用されるポリエステル、たとえばPEN、PET並びにPETおよびPENのコポリマーを含む多くの半結晶質ポリマーの場合、合理的な概算であると一般に考えられている仮定)、ローレンツ−ローレンスの局所電場を使用するクラウジウス−モソッティの式の異方性類似物は、複屈折材料の全分極率と上記で記載した数が得られる以下の式が与えられる。
(n1 2-1)/(n1 2+2)+(n2 2-1)/(n2 2+2)+(n3 2-1)/(n3 2+2)=ρK=全分極率
ここで、n1、n2およびn3は、多層光学フィルム内の特定層の主要方向における屈折率、ρはこの層の材料の密度、Kはこの層の材料の単位質量当たりの体積分極率である。全分極率は、屈折率の波長依存による波長の関数である。したがって、本明細書で数値を記載する場合、全分極率は632.8nmの波長を有する光(たとえば、ヘリウムネオンレーザ光源により提供される)に関して決定される。
全分極率方程式に代わる方法も使用できることに注目すべきである。この代わりの方法では、方程式の3つの主要屈折率は、測定した3つの主要屈折率の単純な平均に等しく定められる。これで全分極率は屈折率と呼ばれ、類似の屈折率差が定義される。同様に、密度および結晶化度を計算する。これらは、全分極率を使用して計算する密度および結晶化度とは異なる。説明上、全分極率の計算を以下の実施例に使用する。
多くの半結晶質ポリマー、たとえばアイソタクチックポリプロピレンおよびポリブチレンテレフタレートは、非晶質状態で急冷することは難しいか、または急冷されると、圧伸前の著しい静止結晶化を防ぐのに十分に迅速に再加熱するか、または十分に低温で処理することは難しい。こうしたポリマーは、一般的な処理条件では領域Iを示さない。むしろ、この形態の結合度は、後続のすべての圧伸が少なくとも部分的に有効であり、材料は、流延および急冷後に本質的に領域IIで開始することを意味する。領域Iの挙動を示す材料と同様、これら材料は、さらに圧伸および延伸することができる。さらに、低圧伸の程度が高くなればなるほど(つまり、圧伸の程度が低ければ低いほど)、二次成形(たとえば熱成形)時に利用可能な残留伸張性が高くなる。
機能上の見地から、領域IIの開始は、最終的な伸張性に関連する一定レベルの伸張性を定める。最終的な伸張性は、圧伸条件によって多少異なる。低圧伸の量は、この最終的な伸張性に関連する。完全圧伸フィルムは、この限度付近まで圧伸される。低圧伸フィルムは、この量未満まで圧伸されるが、領域IIの開始を過ぎて圧伸されていることが好ましい。望ましい低圧伸のレベルは、後続の二次成形工程に望ましい伸張性のレベルの関数である。
低圧伸のレベルは、方向の関数でもある。領域IIが開始すると、一定レベルの圧伸が停止する。この量は、開始時の処理条件に応じた方向で変化する場合がある。たとえば、1軸圧伸フィルムは、領域IIの開始時点で非圧伸方向に低圧伸の程度が比較的高い。ミラーフィルムの場合、両方向に等しい低圧伸が好ましい。これは、平面内複屈折を最小限にすることにより行われる。本明細書で使用する場合、平面内複屈折は、単に、フィルム上の平面の最大屈折率値と最小屈折率値との差の絶対値または大きさと定義される。1軸圧伸フィルムの場合、これは一般に、圧伸方向の屈折率と非圧伸方向の屈折率との差である。偏光フィルムの場合、二次成形で所望レベルの伸張性を得るのに必要な低圧伸の制約内で、大きい平面内複屈折が望ましい。
低圧伸の方向性質から分かるとおり、結晶化度または全分極率だけでは、低圧伸のレベルの特徴は完全には示されないが、領域IとIIとの間、および低圧伸フィルムと完全圧伸フィルムとの間の遷移に関する有用な限度が定められる。一定レベルの伸張性は、低圧伸の対応するレベルを反映することを理解すべきである。たとえば、領域IIで急速に圧伸されるフィルムは、徐々に圧伸されるフィルム、またはフィルムを熱硬化させるために圧伸後に圧伸温度で加熱され続けるフィルムと同じレベルの結晶化度を達成しない。後者は、前者よりも伸張性が低いが、わずかに多く圧伸されるが熱硬化されないその他のフィルムよりも伸張性が高い。こうした最大および最低レベルの結晶化度および/または全分極率差は、低圧伸フィルムと呼ばれるものの限界を表す上で最も利用され、必ずしもこのクラスのフィルム間の相対的性能を単独で示す指標ではない。
PEN(および材料の選択に関する項で以下に記載する定義上、主としてPENコポリマー)を含む低圧伸多層光学フィルムの複屈折材料の全分極率差は、複屈折層で測定して約0.002〜約0.018の範囲であることが好ましく、約0.002〜約0.016の範囲であればさらに好ましい。どちらの範囲内でも、反射偏光多層光学フィルムの最大平面内複屈折は約0.22未満であることが好ましく、約0.17未満であればさらに好ましく、場合によっては約0.15未満であればさらになお好ましい。低圧伸ミラーフィルムの場合、最大平面内複屈折率差は、複屈折材料の全分極率差のどちらかの範囲と組み合わせて約0.14未満であることが好ましい。
PET(および材料の選択に関連する項で以下に記載する定義上、主としてPETコポリマー)を含む低圧伸多層光学フィルムの複屈折材料の全分極率差は、複屈折層で測定して約0.002〜約0.030の範囲であることが好ましく、約0.002〜約0.0024の範囲であればさらに好ましい。ミラーフィルムの場合、これら範囲は、約0.11未満、さらに好ましくは約0.04未満の最大平面内複屈折と組み合わせることが好ましい。
様々なポリマーの好ましいレベルの全分極率および複屈折は、異なる材料の非晶質および結晶質密度の差を反映する。この差は、異なるポリマーの固有最大複屈折、および上記の領域IIが開始した後の伸張性の限界をさらに反映する。
全分極率および最大平面内複屈折のほかに、低圧伸多層光学フィルムは、反射率によって特徴を示すこともできる。たとえば、測定複屈折材料の全分極率差が上記の様々な範囲内である場合、多層光学フィルムは、少なくとも1つの平面内軸線に沿って偏光する所望波長の垂直入射光の少なくとも約85%を反映することが好ましく、少なくとも1つの平面内軸線に沿って偏光する所望波長の垂直入射光の少なくとも約90%を反映するとさらに好ましい。多層光学フィルムがミラーフィルムとして意図されている場合、つまり反射偏光子ではない場合、反射率パーセントに関するフィルムの反射性能は、少なくとも1つ、より好ましくは2つのほぼ垂直な平面内軸線について維持されることが好ましい。
上記の方程式に示されているように、多層光学フィルムに含まれる光学積層体の特定層の材料の全分極率は、この層の材料の単位質量当たりの密度と体積分極率との積を表す。単位質量(K)当たりの体積分極率は、上記の分子分極率保存の仮定に従って、圧伸時の不変の材料特性であると一般に考えられる。複屈折材料を圧伸すると、上記の歪誘発結晶化が生じ、殆どの複屈折材料の場合、材料の密度は、材料が結晶質であるかまたは非晶質であるかに基づいて変化する。
したがって、多層光学フィルムの複屈折材料の密度は、複屈折材料内の歪誘発結晶化の量に基づいて変化する。密度のこうした変化は、本発明による低圧伸多層光学フィルム内の歪誘発結晶化のレベルを概算するために使用することができる。しかし、歪誘発結晶化のレベルを決定するこの方法には、制約がなくはない。
本発明による多層光学フィルムに使用される好ましい複屈折材料の1つのクラスまたはタイプは、半結晶質である。半結晶質複屈折材料内の結晶が比較的小さい場合、半結晶質凝集体の有効屈折率を測定する。これは、比較的非晶質状態から半結晶質の状態に圧伸されたポリエステル(たとえばPENおよびPET)の場合に良くあることである。こうした場合、複屈折材料の密度(屈折率に基づく)は、全分極率から概算され、結晶化度と密度との間の標準的な相互関係を使用して、複屈折材料内の結晶化度のレベルを決定するために使用される。
何れの場合も、上記の説明は、本発明による低圧伸フィルムを特徴付ける別の方法を表す。第1に、複屈折材料の歪誘発結晶化度を測定し、低圧伸多層光学フィルムを画定するために使用する。第2に、複屈折材料の屈折率を使用すると、複屈折材料の全分極率を決定することができ、この全分極率は、低圧伸多層光学フィルムを画定するためにも使用できる。さらに他の方法では、歪誘発結晶化度は、少なくとも部分的に、全分極率を決定するために使用される屈折率に基づいて決定することができる。
たとえば、PETおよびPENの非晶質流延ウェブの全分極率は、それぞれ約0.989および1.083であることが分かり、非晶質材料の密度は、それぞれ1cm3当たり約1.336および1.329で標準密度勾配コラムを使用して測定される。結果として生じる体積分極率は、PETおよびPENの場合、それぞれ1g当たり約0.740および0.815cm3で計算することができる。次に、PETおよびPENの圧伸フィルムの密度は、全分極率を個々の体積分極率で除算して計算する。さらに、結晶化度は、純粋結晶相の密度を仮定して概算し、PENの代表的な結晶相では1cm3当たり1.407g、および結晶質PETでは1cm3当たり1.455gと概算される。
結晶化度は、非晶質密度(ゼロ結晶化度)と純粋結晶質密度との間に実際の密度を線形補間して概算することができる。こうした結晶質の概算は、不完全部および欠点による結晶質相の延伸および希薄化による非結晶質相の緻密化を無視するため、他の測定方法とは異なる。結晶化度を決定するその他の方法としては、示差走査熱量計およびX線散乱がある。これらの方法により得られた測定値は、適切な圧伸フィルム基準を使用することにより、本明細書に記載する密度または全分極率法と相互に関連がある。コポリマーは、コポリマーの成分の重量平均である体積分極率を有するので、結晶のタイプが分かっている場合、コポリマーについて類似の計算を行うことができる。一般に、これは、結晶化するモノマーまたはサブユニットに対応する結晶である。全分極率を使用すると、多くの系の低圧伸状態を特徴付けることができる。しかし、決定的な全分極率の測定値が欠けていることは、決して本発明の有用性を制限しない。場合によっては、非複屈折層の伸張性が制限されることがある。たとえば、非複屈折半結晶質の第2材料層は、フィルム処理時にさらに圧伸される。この層に適する低圧伸が望ましい。材料が、ポリメチルメタクリレートなどのようないくつかのポリマーのように、非常に低い固有複屈折を有するか、または固有複屈折をまったく有さない場合、延伸に関する情報は殆ど、またはまったく導くことはできない。にも関わらず、こうした非複屈折非結晶質の第2材料の伸張性も限られている。非晶質材料の場合、圧伸前に予熱することにより延伸が緩和され、伸張性が回復する。こうした予熱の条件を最適化して、複屈折半結晶質第1材料によって失われる伸張性に対して非晶質材料の伸張性の回復を平衡させなければならない。以下に記載する実施例では、複屈折歪硬化層(たとえば、PENまたは90/10coPEN層)は、伸張性を制限する層であり、第2材料層(たとえば、PMMA、PETGまたは70/0/30coPEN)は、光学積層体の製造に使用する条件に関してほぼ等方性であると考えられる。最後に、半結晶質材料の場合、結晶が比較的大きいと、曇りおよび散乱によって屈折率測定値が分かりにくくなる場合がある。
二次成形多層光学フィルムの処理条件
本発明に関連して使用する二次成形多層光学フィルムは、歪誘発屈折率差を提供する複屈折材料を利用して所望の光学的特性を得るので、二次成形時の多層光学フィルムの変形は特に問題である。
上記のとおり、製造時の多層光学フィルムの屈折率差(Δx、Δy)は、大部分、製造時に多層光学フィルムが圧伸されて複屈折材料の屈折率が変化する結果である。こうした変化によって、屈折率差は、所望の反射特性を提供するのに十分に大きくなる。製造時の多層光学フィルムの歪は非常に均一なので、歪誘発屈折率差も、フィルム全体で非常に均一であり、結果として得られる反射特性も非常に均一である。
二次成形工程では、多層光学フィルム内の複屈折層には追加の歪が加わる。しかし、多層光学フィルムの製造との相違は、二次成形時に誘発される歪がフィルム全体で均一ではない点である。上記のとおり、二次成形多層光学フィルムに含まれる光学積層体の厚さの変化は、部分的に、二次成形多層光学フィルム全体の歪の変動を示す。
したがって、多層光学フィルム内の複屈折材料が、歪誘発屈折率をさらに変化させることが可能な場合、多層光学フィルムの屈折率差は、二次成形の結果として変化する。さらに、二次成形時に誘発される歪が均一ではない場合、二次成形多層光学フィルムの屈折率の変化も不均一になり、二次成形多層光学フィルムの光学的特性も不均一になる。
不均一な二次成形歪誘発変化のほかに、複屈折材料に関連する歪誘発屈折率差を含む二次成形多層光学フィルムに関連するもう1つの問題は、多くの二次成形工程が熱を利用して、変形時の多層光学フィルムの加工性を改善することである。多層光学フィルムの複屈折材料の屈折率歪誘発変化は、一般に複屈折材料の歪誘発結晶化の結果である。しかし、歪誘発結晶化および対応する屈折率は、二次成形時に複屈折材料に熱が加わる場合に変化する可能性がある。
たとえば、加熱は、二次成形時の熱により結晶化が増加するか、または二次成形時の融解または緩和の結果として結晶化が減少する。何れの場合も、複屈折材料の結晶化レベルの変化は、フィルムの屈折率差の変化を生じる可能性がある。複屈折材料に潜在的な結晶化の変化は、フィルムの同時二次成形変形および加熱によってさらに激化する場合があり、フィルムの同時二次成形変形および加熱が共同すると、何れかの作用単独の場合よりも複屈折材料の再結晶化/屈折率が大きく変化する場合がある。
しかし、本発明は、二次成形多層光学フィルムを含む物品およびこれら物品を製造する方法を提供する上でのこうした問題を克服する。こうした結果は、本発明に関連して記載するすべての多層光学フィルムが複屈折材料を含み、歪誘発屈折率差を利用して所望の光学的特性を得る場合にも得られる。
二次成形は、上記の「低圧伸」多層光学フィルムを使用して最も有利に行うことができるが、複屈折材料、および低圧伸多層光学フィルムの定義に適合しないその他の材料を含む多層光学フィルムを使用して、望ましい二次成形の結果を得ることもできる。
本発明の二次成形方法では、複屈折材料の最高結晶融解温度付近だが、この温度未満の成形温度まで多層光学フィルムを加熱することが望ましい。こうした加熱は、二次成形工程時の多層光学フィルムの伸張性を改善することができる。多層光学フィルムをこのレベルまで加熱することにより、多層光学フィルムは、二次成形時の特定の圧伸比で破壊または引裂する傾向が減少する。さらに、フィルムを二次成形するのに必要な力は、成形温度が上昇することにより減少する。
低圧伸多層光学フィルムは、これら処理条件で伸張性も増加する。これら条件での処理は融解領域なので、確実に均一に圧伸し、物品の二次成形多層光学フィルムの破損を減少させるか、または防止するために、正確に温度調節することが望ましい。こうした破損は完全な融解の形態を取り、付随して複屈折の損失および/または多層光学フィルム内の穴の形成を生じる場合がある。
二次成形時の特定量の変形に必要な応力が減少すると、フィルムの材料が破損する傾向が減少し、伸張性が高まる。多層光学フィルムをフィルムの複屈折材料の最高結晶融解温度付近まで加熱すると、融解する完全な結晶が少数になり、複屈折材料層内の形態的な微細構造が緩むことにより、やはり伸張性が高まる。
たとえば、本発明によるいくつかの好ましい多層光学フィルムに使用する1つの材料は、標準の示差走査熱量計(DSC)を使用して約270℃(520°F)の最高融解点を有するポリエチレンナフタレート(PEN)である。しかし、融解の開始は多くの場合、255℃(490°F)以下に見られる。こうした融解の開始は、最高融解温度が、材料中のすべてまたはほぼすべての結晶が融解する最高融解温度を有するPEN内の十分に発展した少数の結晶を融解させるのに役立つ。多層光学フィルム中の複屈折材料を加熱すると、微細構造内の移動性が高まり、多層光学フィルムの伸張性を強化する結晶のスリップおよびその他の変形機構を活発にする。
加熱が本発明による多層光学フィルムの伸張性を改善する程度は、少なくとも部分的に、フィルムに使用する材料に基づいて変化する。材料によっては、加熱した場合、他の材料よりも伸張性の増加が大きい。さらに、本発明による各多層光学フィルム内の材料の組合せも、フィルム全体の伸張性の改善に影響する可能性がある。
たとえば、多層光学フィルムの伸張性を改善するには、二次成形時に、複屈折材料の最高結晶融解温度より約30℃(約55°F)低い温度から複屈折材料の最高結晶融解温度までの範囲の成形温度まで多層光学フィルムを加熱することが好ましい。フィルムは、二次成形時に、複屈折材料の最高結晶融解温度より約15℃(約30°F)低い温度から複屈折材料のほぼ最高結晶融解温度までの範囲の成形温度まで加熱すると、さらに好ましい。これら成形温度は伸張性を高め、二次成形工程で多層光学フィルムが破壊する可能性を減少させる。
二次成形時の多層光学フィルムの均一性を改善する1つの方法は、変形時に歪硬化を生じる材料を多層光学フィルムに含むことである。歪硬化は、材料に歪を加えた時に(つまり、材料を伸張させた時に)、特定レベルの歪を得るのに必要な応力が増加する材料特性である。本質的に、歪硬化材料は、二次成形による薄膜化工程の自己制御を提供する。
成形に関しては、多層光学フィルムが二次成形時に伸張すると、まだ成形型表面に接触していないフィルムの非急冷部分は、歪硬化の開始後に、より均一に圧伸する傾向がある。したがって、歪硬化が生じる点まで伸張したフィルム部分は徐々に伸張しなくなるが、歪硬化が生じていないフィルム部分は、より速い速度で伸張し続ける。最終的な結果は、フィルムのより薄い部分(つまり、歪硬化した部分)は、フィルムのより厚い部分が伸張し続けてより薄くなる一定点まで薄膜化し、事実上、二次成形時に多層光学フィルム中の層の伸張または薄膜化が均等になることである。歪硬化のこうした強化作用は、二次成形時にフィルムを急冷するための成形型が存在しない二次成形工程でも効力がある。多層光学フィルム中に歪硬化特性を提供する1つの材料は、PENである。一般に、歪硬化は、十分に高レベルの歪で多くの半結晶質ポリマーに見られる。
歪硬化は、圧伸工程の均一性を調節するのに役立つので、二次成形時にフィルムに加わる変形量の変動を減少させる可能性がある。製造する多層光学フィルムの帯域幅を、上記の引裂または破壊時の圧伸比ではなく、二次成形工程の最終2軸圧伸比に従って特に設計する場合、歪硬化は、二次成形工程に使用されるより狭く、より反射する帯域を有する多層光学フィルムを設計することを可能にする。
歪硬化の効果は、1つの二次成形工程としての真空成形によって、適切であるかまたは望ましい成形型を複製できる程度に影響を及ぼすことである。加圧またはプラグアシスト成形技術は、歪硬化によって、成形工程でフィルムの伸長抵抗が増加する可能性がある材料の適切な二次成形処理に必要である。歪硬化の効果は、二次成形が開始される前の二次成形圧伸条件および圧伸(歪硬化)の程度による影響を受ける。
上記のほかに、適切な二次成形工程を行う上でのもう1つの問題としては、温度の関数としての特定材料の結晶化率を分析することがある。次に、温度(横軸)の関数としての結晶化率(縦軸)を理想化したグラフである図13を参照すると、結晶化率は、最高結晶化率温度Tmaxと呼ばれるある一定の点まで温度とともに増加し、その後、温度が材料の最高結晶化融解温度Tmに向かって移動するにつれて、再び低下する傾向があることが分かる。Tmaxの概算には、示差走査熱量計を使用する。PENの場合、Tmaxは、毎分20℃で加熱して示差走査熱量計を使用して約220℃(約430°F)と概算され、毎分5℃で冷却して示差走査熱量計を使用して約208℃(約406°F)と概算された。ある理論に固執することは望まないが、二次成形時の多層光学フィルムの伸張性は、使用する成形温度がフィルム中の複屈折材料または材料の最高結晶化率温度と同じではなければ、多くの場合改善することができると考えられる。これは、まだ熱硬化していない、特に低圧伸フィルムであるフィルムに特に当てはまる。にも関わらず、フィルムが十分に低圧伸されている場合、伸張性、ひいては二次成形性は、これら温度で加熱した後になお許容可能である。以下の説明は、場合によっては、たとえば、特定のポリエステルを含む特定の低圧伸非熱硬化フィルムの場合、Tmax付近で二次成形する効果を明らかにする。ポリエステル以外の材料を含む多層光学フィルムは、最高結晶化温度と最適成形温度との間の関係で異なる挙動を示すことが分かった。
二次成形前の予熱時におけるその後の結晶化および形態的な変化によって、伸張性および二次成形性が低下する場合がある。一実施態様では、二次成形時のフィルムの成形温度は、フィルムの最高結晶化率温度が最低である複屈折材料の最高結晶化率温度より低いことが好ましいが、フィルムの最高結晶化率温度が最低の複屈折材料の最高結晶化率温度より約10℃低ければさらに好ましく、フィルムの最高結晶化率温度が最低の複屈折材料の最高結晶化率温度より約20℃低ければさらになお好ましい。さらに、この成形温度は、フィルムの最高結晶化率温度が最高の複屈折材料の最高結晶化率温度より高いことが好ましいが、フィルムの最高結晶化率温度が最高の複屈折材料の最高結晶化率温度より約10℃高ければさらに好ましく、フィルムの最高結晶化率温度が最高の複屈折材料の最高結晶化率温度より約20℃高ければさらに好ましい。
これら成形温度の制約は、必要に応じて組み合わせることができる。たとえば、成形温度は、フィルムの最高結晶化率温度が最低の複屈折材料の最高結晶化率温度より約10℃を超えて低いか、またはフィルムの最高結晶化率温度が最高の複屈折材料の最高結晶化率温度より約20℃を超えて高いことが好ましい。もう1つの代替方法では、成形温度は、フィルムの最高結晶化率温度が最低の複屈折材料の最高結晶化率温度より約20℃を超えて低いか、またはフィルムの最高結晶化率温度が最高の複屈折材料の最高結晶化率温度より高いことが望ましい。さらに分析すると、これらの異なる制約のその他の組合せも明白である。
多層光学フィルム内に複屈折材料が1つしか存在しない場合、成形温度の制約は、さらに単純に説明することができる。フィルムの成形温度は、フィルム内の複屈折材料の最高結晶化率温度とは異なることが好ましい。あるいは、成形温度は、範囲の点で定義することが好ましい。たとえば、フィルムの成形温度は、複屈折材料の最高結晶化率温度より約10℃を超えて低いことが好ましいが、フィルムの複屈折材料の最高結晶化率温度より約20℃を超えて低ければさらに好ましい。また、この成形温度は、フィルムの複屈折材料の最高結晶化率温度より約10℃を超えて高ければ好ましいが、フィルムの複屈折材料の最高結晶化率温度より約20℃を超えて高ければさらに好ましい。
二次成形圧伸二次成形物品を意図的に熱硬化させて、成形物品の反射率を改善することが望ましい。この熱硬化は、最後の二次成形ステップの後に行うことが好ましく、たとえば、付随して屈折率差が増加すれば、最終的な二次成形圧伸ステップ後にそれ以上の伸張性を考慮しなくても、結晶化をさらに促進することができる。
多層光学フィルムを二次成形する方法について上記で一般的に説明したが、低圧伸多層光学フィルムの二次成形は異なっても、望ましい二次成形の結果を提供することができる。1つの著しい違いは、低圧伸多層光学フィルムの成形温度は、フィルムの複屈折材料の最高結晶化率温度より非常に低いことである。最終的な二次成形圧伸ステップ後に熱硬化を行うことは、低圧伸多層光学フィルムから製造する物品の場合も望ましい。たとえば、二次成形時に圧伸されなかった低圧伸フィルムの部分の結晶化度(したがって、反射率)は、最終的な二次成形圧伸ステップの後に熱硬化することにより増加することができる。さらに、二次成形時に圧伸された低圧伸フィルムの部分も、結晶化度および付随する反射率が増加する。
低圧伸多層光学フィルムは、一般的に多層光学フィルムに関して説明した上記のすべての変形に従って提供し、二次成形することができる。つまり、低圧伸多層光学フィルムは、二次成形後に反射率を維持する高度に反射性のフィルムとして提供することができる。さらに、薄膜化作用について上記で説明した変形は、低圧伸多層光学フィルムを製造および加工する場合にも考えられる。
多層光学フィルムの選択領域の二次成形
二次成形多層光学フィルムを備える物品、およびこれまでに説明してきた多層光学フィルムを二次成形する方法は、二次成形多層光学フィルムが均一な光学的特性を示す物品および方法に集中していた。しかし、二次成形多層光学フィルムに不均一な外観を与えることが望ましい、本発明によるその他の物品および方法もある。たとえば、多層光学フィルムの選択領域が所望波長の光を反射し、二次成形多層光学フィルムの他の選択領域が同じかまたはその他の所望波長の光を透過する二次成形多層光学フィルムを提供することが望ましい場合がある。
二次成形多層光学フィルムの選択領域が可視波長を透過し、二次成形多層光学フィルムの他の領域が可視波長を反射する二次成形多層光学フィルムを備える物品を提供することも望ましい。こうした結果を得るには、製造時に可視光を反射する多層光学フィルムを使用して、選択領域の多層光学フィルムを二次成形工程時に伸張するかまたは薄膜化し、選択した透過領域の多層光学フィルム積層体に含まれる層の同調帯域すべてが二次成形後に400nm未満になるようにする。こうした処理の結果は、反射帯域が可視スペクトルにある領域で高度に反射し、二次成形多層光学フィルムが薄膜化して可視スペクトルを透過できる二次成形多層光学フィルムを備える物品である。
上記で説明した工程の代わりとして、多層光学フィルムは、同じ物品の二次成形多層光学フィルム内に選択した透過領域および反射領域を形成するが、薄膜化しない層が透過性を維持し、二次成形時に薄膜化する選択領域が反射性になる方法で提供して二次成形することができる。たとえば、製造時の多層光学フィルムは、約900〜約2025nm、つまり可視スペクトルを超える波長を反射するように同調させることができる。スペクトルの可視領域で知覚可能な色を与えるより高位の高調波を減少させるように設計されたフィルムが好ましい。適切なフィルムのいくつかは、米国特許第34,605号および第5,360,659号、並びに米国特許出願第09/006,118号に記載されている。
こうした多層光学フィルムを二次成形する場合、多層光学フィルムの選択した反射領域を適切な係数、たとえば2.25だけ二次成形時に意図的に薄膜化し、この選択領域の多層光学フィルムを再調和させて、可視波長、つまり約400〜約900nmを実質的に反射するようにする。可視スペクトルの光を反射するように十分に薄膜化されない多層光学フィルムおよび物品の他の部分または領域は、可視光を反射する状態を保つ。
こうした概念の多くの変形例が考えられる。たとえば、選択領域を鋭利に画定して、反射領域と透過領域との間に短い遷移領域を形成するか、または二次成形多層光学フィルムが、様々な波長の光を反射または透過する時に真珠光を示す短い遷移領域を有するように選択領域を意図的に設計する方法で二次成形することができる。もう1つの変形例では、異なる選択領域を薄膜化して、異なる選択波長を反射させることができる。この方法では、選択領域は、たとえば異なる色を示すようにすることができる。本発明による多層光学フィルムの原理および多層光学フィルムを二次成形する方法を適用する最終的な結果は、所望の光学的および二次成形特性を有するフィルムを選択し、所望の光学的特性を有する二次成形物品が得られるようにフィルムを加工することにより、所望の組合せの光学的効果を得ることができることである。
選択領域で変形する二次成形多層光学フィルムを備える物品の一例を図14に示す。物品90は、表示の形態の選択領域94、この場合は英数字を含むカバー92を備えるライトボックスである。一実施態様では、カバー92の二次成形多層光学フィルムは、製造時に可視スペクトル上で実質的に反射する多層光学フィルムから成形することができる。この多層光学フィルムは、選択領域94を囲む背景領域96の多層光学フィルムを二次成形時に薄膜化して、背景領域96の多層光学フィルムが可視スペクトルの少なくとも一部分を透過し、選択領域94が実質的に変化しないように、上記などの方法で二次成形することができる。
もう1つの実施態様では、背景領域96は、可視スペクトルを反射するように維持し、選択領域94は、背景領域96とは異なる光学的効果を提供するように変形または薄膜化する。たとえば、選択領域94は、エンボス加工、ブロー成形またはその他の方法で二次成形して、可視スペクトルの少なくとも一部分を透過するのに十分に選択領域94のフィルムを薄膜化する。選択領域が二次成形される二次成形多層光学フィルムを備える物品の構成および製造に関するその他の変形例も、上記の実施例に基づいて考えることができる。
基板を含む多層光学フィルムの二次成形
図15は、本発明による二次成形多層光学フィルムを備える多層光学フィルムおよび物品のもう1つの特徴を示す。場合によっては、二次成形多層光学フィルム単独では、所望の機械的特性を提供するのに十分な剛さまたは剛性に欠ける場合がある。たとえば、多層光学フィルムは、所望の形状を維持するのに十分な構造強度および/または剛性に欠ける場合がある。図15は、多層光学フィルム102を基板104に積層するか、さもなければ取り付けて、複合体100に所望の機械的特性を与える問題の1つの解決策を示す。場合によっては、基板104は、多層光学フィルム102と一体製造し、他の場合には、多層光学フィルム102を別個に製造して、後で基板104に取り付けて、複合体100を形成することができる。基板104を多層光学フィルム102と一体製造する場合、基板104は、多層光学フィルム102に提供される1つの材料の厚いほうの層であるか、または多層光学フィルム102とともに同時押出し、流延、さもなければ成形できるもう1つの材料から形成することができる。
さらに、基板104は、多層光学フィルム102の一方の側にのみ示されているが、多層光学フィルム102の両側に基板104を設けても良いことが分かるであろう。さらに、基板104は単一の層として示されているが、基板104の所望の特性に基づく同じかまたは異なる材料の異なる層の複合体でも良いことが分かるであろう。
場合によっては、基板104に選択した材料が多層光学フィルム102の光学的特性に対して及ぼす影響は、あるとしてもごくわずかだが、こうした材料は、さもなければ多層光学フィルム102と相溶性の二次成形層を提供する。一実施態様では、基板104は、二次成形物品に所望の構造強度/剛性を単に提供し、二次成形多層光学フィルムを別の構造に積層する必要性を減少させる。基板104に適する材料の例としては、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、PETG、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ナイロン、ポリオレフィン、ポリプロピレンなどがあるが、これらだけに限らない。
基板104が提供するもう1つの機械的特性は、多層光学フィルムに関して上記で説明したように、変形時の歪硬化である。この歪硬化特性を利用すると、取り付けられた多層光学フィルム102に加わる応力を制限し、多層光学フィルム102上で応力を分散させて、多層光学フィルム102単独の二次成形性に比べて複合体100の二次成形性が改善されるように作用させることができる。
基板104に選択する材料は、所望の機械的特性の代わりに、または所望の機械的特性のほかに、所望の光学的特性を提供することができる。たとえば、基板104は、赤外線などの光の選択した波長に対して鏡として機能するか、着色剤を含むか、さもなければ色を複合体100に導入するか、透過率または反射率のどちらかまたは両方に拡散特性を与えて、たとえば真珠光を減少させることができる。
多層光学フィルムの二次成形に関連して特に有用なフィルムの1つのクラスは、米国特許出願第09/127,314号に記載されている。
多くの場合、基板104は、多層光学フィルム102と同時押出しされるが、基板114が多層光学フィルム112上の選択領域に設けられている図16に示すとおり、多層光学フィルムの選択領域にのみ基板を取り付けることも考えられる。基板114は、グリッドもしくはメッシュの形態、またはその他の不連続形態で多層光学フィルム112上に設けて、多層光学フィルムの二次成形性を改善できることも分かるであろう。たとえば、図14に関して上記で説明したように、二次成形多層光学フィルムの選択領域を画定するのを促進するように、不連続的に基板114を提供すると好都合である。こうした用途では、基板114は、二次成形技術だけを利用した場合は行うことが難しいかまたは不可能な方法で、二次成形時の多層光学フィルム112の圧伸を防ぐかまたは減少させることができる。
本発明に関連して使用する多層光学フィルムが基板を備えるかどうか、低圧伸かまたは完全圧伸であるかなどに関わらず、フィルムの材料の選択について以下で説明する。
材料の選択
本発明に使用するのに適する各種のポリマー材料については、同時押出し多層光学フィルムを製造する際に使用すると教示されてきた。たとえば、Schrenk等に付与された米国特許第4,937,134号、第5,103,337号、第5,1225,448,404号、第5,540,978号および第5,568,316号、並びにWheatleyおよびSchrenkに付与された第5,122,905号、第5,122,906号および第5,126,880号に記載および説明されているポリマー材料は、本発明による多層光学フィルムの製造に有用である。Schrenk等に付与された米国特許第5,486,949号および第5,612,820号、Jonza等に付与された第5882774号、並びに米国特許出願第09/006,601号に記載されているような複屈折ポリマーは、特に有用である。フィルムを製造するのに好ましい材料に関しては、本発明の多層光学フィルムを製造する時に満たすべきいくつかの条件がある。第1に、これらのフィルムは、少なくとも2つの区別できるポリマーから構成すべきだが、数に限りはなく、特定のフィルムには、3つ以上のポリマーを使用すると好都合である。第2に、2つの所定のポリマーのうち少なくとも1つは、以下で第1ポリマーと記載するが、絶対値が大きい応力光学係数を有することが好ましい。つまり、第1ポリマーは、伸張した場合に大きい複屈折を示すことができることが好ましい。用途に応じて、複屈折は、フィルム平面の2つの直交方向の間、1つまたは複数の平面内方向とフィルム平面に垂直な方向との間、またはこれらを組み合わせた方向に生じる。等方性指標が広く分離している特別な場合、第1ポリマーの大きい複屈折の優先は緩和されるが、少なくともいくつかの複屈折は望ましい。こうした特別な場合は、フィルムを2つの直交する平面内方向に圧伸するミラーフィルムおよび偏光子フィルムのポリマーを選択する時に生じる。第3に、第1ポリマーは、圧伸後に複屈折を維持することができ、所望の光学的特性が最終的なフィルムに与えられるべきである。第4に、「第2ポリマー」と呼ばれるその他の所定のポリマーは、最終的なフィルムで、少なくとも1方向におけるポリマーの屈折率が、同じ方向における第1ポリマーの屈折率と著しく異なるように選択すべきである。ポリマー材料は一般に分散的、つまり屈折率は波長とともに変化するので、これらの条件は、関連する特定のスペクトル帯域に関して考慮しなければならない。
ポリマーの選択のその他の側面は、特定の用途によって決まる。偏光フィルムの場合、1つの平面内方向における第1および第2ポリマーの屈折率の差が最終的なフィルムで著しく異なり、直交フィルム平面屈折率の差が最小限であることは有利であることが多い。第1ポリマーが、等方性である場合に大きい屈折率を有し、正複屈折である(つまり、屈折率が伸張方向に増加する)場合、第2ポリマーは、処理後、伸張方向に直行する平面方向に一致する屈折率を有し、伸張方向の屈折率ができるだけ小さくなるように一般に選択する。逆に、第1ポリマーが、等方性の場合に小さい屈折率を有し、負複屈折である場合、第2ポリマーが、処理後、伸張方向に直交する平面方向に一致する屈折率を有し、伸張方向の屈折率ができるだけ高くなるように一般に選択する。
あるいは、等方性の場合に正複屈折であり、中間または低い屈折率を有する第1ポリマーを選択するか、または等方性の場合に負複屈折であり、中間かまたは低い屈折率を有する第1ポリマーを選択することができる。これらの場合、第2ポリマーは、処理後、第2ポリマーの屈折率が、伸張方向、または伸張方向に直行する平面方向に第1ポリマーの屈折率と一致するように一般に選択する。さらに、第2ポリマーは、他の平面方向における屈折率の差が最小限になるように一般に選択するが、この方向に非常に低いかまたは非常に高い屈折率によって最も最小限になるかどうかは関係ない。
1方向に一致し、直交方向に不一致である平面屈折率のこの組合せを得る1つの手段は、伸張した時に著しい複屈折を生じる第1ポリマー、および伸張した時に複屈折を殆どまたはまったく生じない第2ポリマーを選択し、結果として得られるフィルムを1つの平面方向にのみ伸張することである。あるいは、第2ポリマーは、第1ポリマーとは反対の方向に複屈折を生じるポリマーから選択する(負−正−または正−負)。もう1つの代替方法は、伸張した時に複屈折を生じることができる第1ポリマーと第2ポリマーを選択して、2つの直交平面方向に伸張し、第1ポリマーおよび/または第2ポリマーの2つの伸張方向で等しくないレベルの延伸を生じる温度、伸張率、伸張後の緩和などの処理条件を選択し、1つの平面内屈折率が第1ポリマーの平面内屈折率にほぼ一致し、直交する平面内屈折率が第1ポリマーの平面内屈折率に著しく一致しないようにすることである。たとえば、条件は、第1ポリマーが、最終的なフィルムに2軸延伸特性を有し、第2ポリマーが、最終的なフィルムに主に1軸延伸特性を有するように選択する。
上記は、具体的に示すためであり、これらおよびその他の技術の組合せを使用して、ある平面内方向における屈折率が不一致であり、直交平面方向における屈折率が一致するという偏光フィルムの目標を達成することができる。
反射フィルムまたはミラーフィルムには、別の問題がある。フィルムがいくつかの偏向特性を有するように考えられていない場合、屈折率は、フィルム平面のどの方向にも等しく適用され、平面内方向で直交するある特定層の屈折率が等しいかまたはほぼ等しいことは一般的である。しかし、第1ポリマーのフィルム平面屈折率が、第2ポリマーのフィルム平面屈折率とできるだけ大きく異なることは好都合である。したがって、第1ポリマーが、等方性の時に高い屈折率を有する場合、正複屈折でもあると有利である。同様に、第1ポリマーが、等方性の時に低い屈折率を有する場合、負複屈折でもあると有利である。第2ポリマーは、好都合なことに、伸張した時に複屈折を殆どまたはまったく示さないか、または反対方向の複屈折を生じ(正−負または負−正)、第2ポリマーのフィルム平面屈折率は、最終的なフィルムの第1ポリマーの平面屈折率とできるだけ異なる。これらの基準は、ミラーフィルムが、ある程度の偏向特性を有するように意図されている場合、偏向フィルムに関して上記に列挙した基準と適切に組み合わせることができる。
着色フィルムは、ミラーおよび偏向フィルムの特例として考えられる。したがって、上記に概略を記載した同じ基準が適用される。知覚される色は、1つまたは複数の特定の帯域幅のスペクトル上で反射または偏向する結果である。本発明の多層フィルムが有効な帯域幅は、1つまたは複数の光学積層体に使用される層厚さの分布によって主に決まるが、第1および第2ポリマーの屈折率の波長依存または分散も考慮しなければならない。可視スペクトルに適用される同じ規則は、赤外および紫外波長、並びにフィルムが設計されるその他の電磁線にも一般に適用されると考えられる。
吸光度は、もう1つの問題である。殆どの用途では、第1ポリマーも第2ポリマーも、当該フィルムに関連する帯域幅内に吸光度帯域がないと有利である。したがって、この帯域幅内のすべての入射光は反射または透過される。しかし、用途によっては、第1ポリマーまたは第2ポリマーの一方または両方が、全体的にまたは部分的に特定の波長を吸収すると有用である。
多くのポリマーは第1ポリマーとして選択されるが、一定のポリエステルは、特に大きい複屈折の可能性を有する。これらの中では、本発明のフィルムの第1ポリマーとして、ポリエチレン2,6−ナフタレート(PEN)が選択されることが多い。PENは、非常に大きい正の応力光学係数を有し、伸張後に事実上複屈折を維持し、可視範囲内に吸光度が殆どまたはまったくない。また、PENは、等方性状態で大きい屈折率を有する。550nmの偏光入射光に対するPENの屈折率は、偏光平面が伸張方向に平行な場合に約1.64から約1.9にも増加する。PENの複屈折は、PENの分子配向を増加して増加することができ、結局、他の伸張条件を一定に保った状態で、より大きい伸張比まで伸張して増加することができる。
その他の半結晶質ナフタレンジカルボン酸ポリエステルも、第1ポリマーとして適している。ポリブチレン2,6−ナフタレート(PBN)は一例である。これらのポリマーは、コモノマーの使用によって、伸張後の応力光学係数または複屈折の維持が損なわれない限り、ホモポリマーまたはコポリマーで良い。本明細書の「PEN」という用語は、これらの制約に適合するPENのコポリマーを含むと考える。実際、これらの制約はコモノマー成分に上限を与え、上限の正確な値は、使用するコポリマーの選択によって変化する。しかし、これらの特性のある程度の妥協は、コモノマーを含むことによってその他の特性が改善されれば認められる。こうした特性としては、層間の付着、より低い融点(押出し温度がより低くなる)、フィルム中の他のポリマーに対する流動学的一致の改善、ガラス転移温度の変化による伸張可能な範囲の有利な変位があるが、これらだけに限らない。
PENまたはPBNなどに使用するのに適するコモノマーは、ジオールまたはジカルボン酸またはエステルタイプで良い。ジカルボン酸コモノマーとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、すべての異性ナフタレンジカルボン酸(2,6−、1,2−、1,3−、1,4−、1,5−、1,6−、1,7−、1,8−、2,3−、2,4−、2,5−、2,7−および2,8−)、二安息香酸、たとえば4,4’−ビフェニルジカルボン酸およびその異性体、トランス−4,4’−スチルベンジカルボン酸およびその異性体、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸およびその異性体、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸およびその異性体、4,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸およびその異性体、ハロゲン化芳香族ジカルボン酸、たとえば2−クロロテレフタル酸および2,5−ジクロロテレフタル酸、その他の置換芳香族ジカルボン酸、たとえば第三ブチルイソフタル酸およびナトリウムスルホン化イソフタル酸、シクロアルカンジカルボン酸、たとえば1,4−シクロヘキサンジカルボン酸およびその異性体並びに2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸およびその異性体、二環式または多環式ジカルボン酸(たとえば、各種の異性ノルボルナンおよびノルボルネンジカルボン酸、アダマンタンジカルボン酸、およびビシクロ−オクタンジカルボン酸)、アルカンジカルボン酸(たとえば、セバシン酸、アジピン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アゼライン酸およびドデカンジカルボン酸)、縮合環芳香族炭化水素の何れかの異性ジカルボン酸(たとえば、インデン、アントラセン、フェナントレン、ベンゾナフテン、フルオレンなど)があるが、これらだけに限らない。あるいは、これらモノマーのアルキルエステル、たとえばジメチルテレフタレートを使用しても良い。
適切なジオールコモノマーとしては、直鎖または分枝アルカンジオールまたはグリコール(たとえば、エチレングリコール、トリメチレングリコールなどのようなプロパンジオール、テトラメチレングリコールなどのようなブタンジオール、ネオペンチルグリコールなどのようなペンタンジオール、ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールおよびより上位のジオール)、エーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびポリエチレングリコール)、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロパノエートなどのような連鎖エステルジオール、シクロアルカングリコール、たとえば1,4シクロヘキサンジメタノールおよびその異性体並びに1,4−シクロヘキサンジオールおよびその異性体、二環式または多環式ジオール(各種の異性トリシクロデカンジメタノール、ノルボルネンジメタノール、ノルボルネンジメタノールおよびビシクロ−オクタンジメタノール)、芳香族グリコール(たとえば、1,4−ベンゼンジメタノールおよびその異性体、1,4−ベンゼンジオールおよびその異性体、ビスフェノールAなどのようなビスフェノール、2,2’−ジヒドロキシビフェニルおよびその異性体、4,4’−ジヒドロキシメチルビフェニルおよびその異性体、並びに1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンおよびその異性体)、これらジオールの下位アルキルエーテルまたはジエーテル、たとえばジメチルまたはジエチルジオールがあるが、これらだけに限らない。
三官能価または多官能価コモノマーは、ポリエステル分子に分枝構造を与えるのに役立ち、こうしたコモノマーを使用することもできる。これらコモノマーは、カルボン酸、エステル、ヒドロキシまたはエーテルタイプのどれでも良い。これらコモノマーの例としては、トリメリット酸およびそのエステル、トリメチロールプロパン、およびペンタエリトリトールがあるが、これらだけに限らない。
混合官能価のモノマーもコモノマーとして適しており、ヒドロキシカルボン酸、たとえばパラヒドロキシ安臭香酸および6−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸、およびこれらの異性体、並びに混合官能価の三官能価または多官能価コモノマー、たとえば5−ヒドロキシイソフタル酸などがある。
ポリエチレンテレフタレート(PET)は、著しい正応力光係数を示し、伸張後に事実上複屈折を維持し、可視範囲に吸光度が殆どまたはまったくないもう1つの材料である。したがって、PET、および上記のコモノマーを使用する高PET分のコポリマーも、本発明の用途によっては第1ポリマーとして使用することができる。本明細書で使用する「PET」という用語は、PET、およびPET単独に類似する機能を果たす高PET分のコポリマーを含むと考えられる。
PENまたはPBNなどのようなナフタレンジカルボン酸ポリエステルを第1ポリマーとして選択する場合、第2ポリマーの選択にはいくつかの方法がある。いくつかの用途に好ましい1つの方法は、伸張時に著しく低い複屈折を生じるか、複屈折をまったく生じないように処方したナフタレンジカルボン酸コポリエステル(coPEN)を選択することである。これは、coPENの結晶化度がなくなるか、または著しく減少するように、コモノマー、およびコポリマー中のコモノマーの濃度を選択して行うことができる。1つの代表的な処方は、ジカルボン酸またはエステル成分として、約20モル%〜約80モル%のジメチルナフタレート、および約20モル%〜約80モル%のジメチルテレフタレートまたはジメチルイソフタレートを使用し、エチレングリコールをジオール成分として使用する。当然、エステルの代わりに、対応するジカルボン酸を使用しても良い。coPEN第2ポリマーに使用できるコモノマーの数に限りはない。coPEN第2ポリマーの処方として適するコモノマーとしては、適切なPENとして上記に列挙したすべてのコモノマー、たとえば酸、エステル、ヒドロキシ、エーテル、三官能価または多官能価、および混合官能価タイプが挙げられるが、これらだけに限らない。
多くの場合、coPEN第ポリマーの等方性屈折率を予測すると有用である。使用するモノマーの屈折率の容積平均は、適切な指針であることが分かった。先行技術で公知の類似の技術を使用すると、使用するモノマーのホモポリマーのガラス転移温度からcoPEN第2ポリマーのガラス転移温度を概算することができる。
さらに、PENのガラス転移温度に匹敵するガラス転移温度を有し、PENの等方性屈折率に類似する屈折率を有するポリカーボネートも、第2ポリマーとして有用である。ポリエステル、コポリエステル、ポリカーボネートおよびコポリカーボネートも、一緒に押出機に供給して、新しい適切なコポリマー第2ポリマーにエステル交換することができる。
第2ポリマーがコポリエステルまたはコポリカーボネートである必要はない。モノマーから製造されるビニルポリマーおよびコポリマー、たとえばビニルナフタレン、スチレン、エチレン、無水マレイン酸、アクリレート、アセテートおよびメタクリレートを使用しても良い。ポリエステルおよびポリカーボネート以外の縮合ポリマーを使用しても良い。縮合ポリマーの例としては、ポリスルホン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアミド酸およびポリイミドがある。ナフタレン基およびハロゲン、たとえば塩素、臭素およびヨウ素も、第2ポリマーの屈折率を所望のレベルまで増加するのに有用である。アクリレート基およびフッ素は、必要に応じて屈折率を低下させるのに特に有用である。
上記の説明から、第2ポリマーの選択は、当該多層光学フィルムに意図する用途のみならず、第1ポリマーの選択、および伸張に使用する処理条件によって決まることが分かる。適切な第2ポリマー材料としては、ポリエチレンナフタレート(PEN)およびその異性体(たとえば、2,6−、1,4−、1,5−、2,7−および2,3−PEN)、ポリアルキレンテレフタレート(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)、その他のポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリアミド(たとえば、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン4/6、ナイロン6/6、ナイロン6/9、ナイロン6/10、ナイロン6/12およびナイロン6/T)、ポリイミド(たとえば、熱可塑性ポリイミドおよびポリアクリルイミド)、ポリアミド−イミド、ポリエーテル−アミド、ポリエーテルイミド、ポリアリルエーテル(たとえば、ポリフェニレンエーテルおよび環置換ポリフェニレンオキシド)、ポリエーテルエーテルケトン(「PEEK」)などのようなポリアリルエーテルケトン、脂肪族ポリケトン(たとえば、エチレンおよび/またはプロピレンと二酸化炭素とのコポリマーおよびターポリマー)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン(たとえば、ポリエーテルスルホンおよびポリアリルスルホン)、アタクチックポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン(「sPS」)およびその誘導体(たとえば、シンジオタクチックポリ−α−メチルスチレンおよびシンジオタクチックポリジクロロスチレン)、これらポリスチレンの何れかのブレンド(互いのポリスチレン、またはポリフェニレンオキシドなどのようなその他のポリマーとのブレンド)、これらポリスチレンの何れかのコポリマー(たとえば、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−アクリロニトリルコポリマーおよびアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンターポリマー)、ポリアクリレート(たとえば、ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレートおよびポリブチルアクリレート)、ポリメタクリレート(たとえば、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレートおよびポリイソブチルメタクリレート)、セルロース誘導体(たとえば、エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピネート、セルロースアセテートブチレートおよびセルロースニトレート)、ポリアルキレンポリマー(たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレンおよびポリ(4−メチル)ペンテン)、フッ素化ポリマーおよびコポリマー(たとえば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、フッ素化エチレン−プロピレンコポリマー、ペルフルオロアルコキル樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリエチレン−co−トリフロエチレン、ポリエチレン−co−クロロトリフロエチレン)、塩素化ポリマー(たとえば、ポリ塩化ビニリデンおよびポリ塩化ビニル)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリエーテル(たとえば、ポリオキシメチレンおよびポリエチレンオキシド)、イオノマー樹脂、エラストマー(たとえば、ポリブタジエン、ポリイソプレンおよびネオプレン)、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタンがあるが、これらだけに限らない。
上記のPENのコポリマーなどのようなコポリマー、並びにその他の非ナフタレン基含有コポリエステルも適しており、PENに適するポリエステルコモノマーの上記リストから処方することができる。用途によっては、特にPETが第1ポリマーとしての機能を果たす場合、PETに基づくコポリエステルおよび上記リスト(coPET)からのコモノマーは特に適している。さらに、第1または第2ポリマーは、上記ポリマーまたはコポリマーの2つ以上の相溶性または不相溶性のブレンド(sPSとアタクチックポリスチレンとのブレンド、またはPENとsPSとのブレンドなど)から構成することができる。上記のcoPENおよびcoPETは、直接合成するか、または少なくとも1つの成分がナフタレンジカルボン酸またはテレフタル酸に基づくポリマーであり、他の成分がポリカーボネートまたはその他のポリエステル、たとえばPET、PEN、coPETまたはcoPENであるペレットのブレンドとして処方することができる。
用途によっては、第2ポリマーの材料として好ましいもう1つの族は、シンジオタクチックビニル芳香族ポリマー、たとえばシンジオタクチックポリスチレンである。本発明に有用なシンジオクタクチックビニル芳香族ポリマーとしては、ポリ(スチレン)、ポリ(アルキルスチレン)、ポリ(アリルスチレン)、ポリ(ハロゲン化スチレン)、ポリ(アルコキシスチレン)、ポリ(ビニルエステルベンゾエート)、ポリ(ビニルナフタレン)、ポリ(ビニルスチレン)およびポリ(アセナフタレン)、並びにこれら構造単位を含む水素化ポリマーおよび混合物またはコポリマーがある。ポリ(アルキルスチレン)の例としては、ポリ(メチルスチレン)、ポリ(エチルスチレン)、ポリ(プロピルスチレン)およびポリ(ブチルスチレン)の異性体がある。ポリ(アリルスチレン)の例としては、ポリ(フェニルスチレン)の異性体がある。ポリ(ハロゲン化スチレンの例としては、ポリ(クロロスチレン)、ポリ(ブロモスチレン)およびポリ(フルオロスチレン)がある。ポリ(アルコキシスチレン)の例としては、ポリ(メトキシスチレン)およびポリ(エトキシスチレン)の異性体がある。これらの例の中で、特に好ましいスチレン基ポリマーは、ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(m−メチルスチレン)、ポリ(p−第三ブチルスチレン)、ポリ(p−クロロスチレン)、ポリ(m−クロロスチレン)、ポリ(p−フルオロスチレン)、およびスチレンとp−メチルスチレンとのコポリマーがある。
さらに、コモノマーを使用して、シンジオタクチックビニル芳香族基コポリマーを生成しても良い。シンジオタクチックビニル芳香族ポリマー基の定義で上記に挙げたホモポリマーに対するモノマーのほかに、適切なコモノマーとしては、オレフィンモノマー(たとえば、スチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテンまたはデセン)、ジエンモノマー(たとえば、ブタジエンおよびイソプレン)、並びに極性ビニルモノマー(たとえば、環状ジエンモノマー、メチルメタクリレート、無水マレイン酸、またはアクリロニトリル)がある。
本発明のシンジオタクチックビニル芳香族コポリマーは、ブロックコポリマー、ランダムコポリマーまたは交互コポリマーで良い。
本明細書に記載するシンジオタクチックビニル芳香族ポリマーおよびコポリマーは、炭素−13核磁気共鳴で決定して75%以上高いシンジオタクチック性を一般に有する。好ましくは、シンジオタクチック性の程度は、ラセミ2連子(diad)が85%を超え、ラセミ5連子(pentad)が30%を超えるか、またはさらに好ましくは50%を超える。
さらに、これらシンジオタクチックビニル芳香族ポリマーおよびコポリマーの分子量に関する制約は特にないが、好ましくは、重量平均分子量は10,000を超えて1,000,000未満、さらに好ましくは50,000を超えて800,000未満である。
シンジオタクチックビニル芳香族ポリマーおよびコポリマーは、たとえば、アタクチック構造を有するビニル芳香族基ポリマー、アイソタクチック構造を有するビニル芳香族基ポリマー、およびビニル芳香族ポリマーと相溶性のその他のポリマーとのポリマーブレンドの形態で使用しても良い。たとえば、ポリフェニレンエーテルは、上記の多くのビニル芳香族基ポリマーと良好な相溶性を示す。
主に1軸伸張工程を使用して偏光フィルムを製造する場合、光学層に特に好ましいポリマーの組合せとしては、PEN/coPEN、PET/coPET、PEN/sPS、PET/sPS、PEN/EastarおよびPET/Eastarがあり、ここで「coPEN」は、上記のナフタレンジカルボン酸をベースとするコポリマーまたはブレンドを意味し、Eastarは、米国、テネシー州、キングスポイントのEastman Chemical Co.が市販しているポリエステルまたはコポリエステルである(シクロヘキサンジメチレンジオール単位およびテレフタレート単位を含むと考えられる)。2軸伸張工程の処理条件を操作して偏光フィルムを製造する場合、光学層のポリマーに特に好ましい組合せとしては、PEN/coPEN、PEN/PET、PEN/PBT、PEN/PETGおよびPEN/PETcoPBTがあり、ここで、「PBT」はポリブチレンテレフタレートを意味し、「PETG」は第2グリコール(通常はシクロヘキサンジメタノール)を使用するPETのコポリマーを意味し、「PETcoPBT」は、テレフタル酸のコポリエステルまたはそのエステルを意味し、エチレングリコールと1,4−ブタンジオールとの混合物を含む。
ミラーまたは着色フィルムの光学層のポリマーに特に好ましい組合せとしては、PEN/PMMA、PET/PMMA、PEN/Ecdel、PET/Ecdel、PEN/sPS、PEN/coPET、PEN/PETGおよびPEN/THVがあり、ここで「PMMA」は、ポリメチルメタクリレートを意味し、Ecdelは、米国、テネシー州、キングスポイントのEastman Chemical Co.が市販している熱可塑性ポリエステルまたはコポリエステルである(シクロヘキサンジカルボキシレート単位、ポリテトラメチレンエーテルグリコール単位およびシクロヘキサンジメタノール単位を含むと考えられる)。「coPET」は、上記のテレフタル酸ベースのコポリマーまたはブレンドを意味し、「PETG」は、第2グリコール(通常はシクロヘキサンジメタノール)を使用するPETのコポリマーを意味し、THVは、3M Co.が市販しているフルオロポリマーである。
ミラーフィルムの場合、第1ポリマーと第2ポリマーの屈折率は、入射光の角度に対する反射率が一定になる(つまり、ブルースター角がない)ため、フィルム平面に垂直な方向に一致することは場合により好ましい。たとえば、特定波長では、平面内屈折率は、2軸延伸PENの場合は1.76だが、フィルム平面に垂直な屈折率は1.49まで低下する。多層構造の第2ポリマーとしてPMMAを使用する場合、同じ波長におけるPMMAの屈折率は、3つの方向すべてにおいて1.495である。もう1つの実施例は、PETの類似の屈折率が1.66および1.51であり、Ecdelの等方性屈折率が1.52であるPET/Ecdelである。
場合によっては、本発明の多層光学フィルムは、2つ以上の区別できるポリマーから成ることが好ましい。第3または後続のポリマーは、光学積層体内の第1ポリマーと第2ポリマーとの間の付着促進層として、光学的目的の積層体内の追加の成分として、光学積層体間の保護境界層として、表皮層として、機能的なコーティングとして、またはその他の何らかの目的で有意義に使用することができる。したがって、第3または後続のポリマーがある場合、そのポリマーの組成に制限はない。いくつの好ましい多成分構成は、米国特許出願第09/006,118号に記載されている。
光学積層体層の材料を選択する基準も、厚い内部または外部表皮保護層に適する材料を選択する時に役立つ。第2ポリマーの基準は、第1ポリマーの基準より望ましい場合がある。しかし、場合によっては、複屈折第1材料の機械的特性、たとえば、ローラに固着するのを減少させる高いガラス転移温度、熱膨張の低い係数、機械的剛性などが望ましい。二次成形のために設計されたフィルムの場合、付与される特定の応力、たとえば真空圧力における成形性を改善するため、さもなければ伸張性を改善するため、圧伸剛性がより低い材料を使用することが望ましい。
本発明の利点を以下の実施例で示す。しかし、これら実施例に記載する特定の材料および量、並びにその他の条件および詳細は、先行技術で広く適用されていると考えられ、本発明を不当に制限するものと解釈しないものとする。
実施例1.完全圧伸ミラーフィルム
ポリエチレン2,6−ナフタレート(PEN)およびポリメチルメタクリレート(PMMA)の多層フィルムを同時押出しし、流延および圧伸して、完全圧伸PEN:PMMA多層ミラーフィルムを作製した。0.48IVの PEN(ミネソタ州、セントポールの3M Co.が製造)を135℃で24時間乾燥させてから、出口温度が約285℃の1軸スクリュー押出機に直接供給した。PMMA(Ashland Chemicalが市販しているCP−82グレード)は、真空を装備され、出口温度が約260℃の2軸スクリュー押出機に供給して乾燥させた。樹脂流は、275℃に設定するとともに、内部保護境界層(PBL)を装備した224多層フィードブロックに同時押出しした。揚送速度を一定に保ち、各々のPEN:PMMA層の対のおおよその光学的厚さが、光学積層体内でほぼ等しくなるように、つまり「f比」が0.5になるようにした。PBLには、光学積層体内のPEN層すべての合計まで供給される量の約1/2の量でPENを供給した。光学積層体内の層の対は、ほぼ直線状の勾配の光学的厚さを有していた。PBLを含む多層積層体を非対称倍率器で分割し、1.55:1の幅比の2つの流れを形成して等しい幅に展開し、再度積層して、内部保護層で分割された448の層を含む2つのパケット多層積層体を形成した。追加のPEN(IV 0.48)表皮層を多層積層体の各々の側に追加したが、各々の表皮層は合計容積流量の約10%を含んでいた。合計流量は、約285Cのダイから、65℃に設定した急冷ホイール上に硫延した。PEN表皮層の屈折率は、流延後本質的に等方性であり、ニュージャージー州、ピスキャタウェイのMetriconから市販されているMetriconプリズムカップラーで測定して632.8nmで1.64だった。流延厚さは約0.07cmだった。
第1圧伸工程は、従来の長さ延伸機(LO)を使用した。フィルムは、125Cに設定した高温ローラで予熱し、低速ロールおよび高速ロールと、80%の電力に設定した赤外線加熱器とから成る圧伸隙間内に供給した。この赤外線加熱器は、各々の長さが約65cmの赤外線加熱要素(1個の要素当たり約5000ワット)の組立体から構成した。これら要素は、フィルムから約10cm上に配置した。圧伸隙間内の滞留時間は約4秒だった。高速ロールは、3.3倍圧伸するように設定し、圧伸されたフィルムを急冷した。平均的なPENの屈折率は、Metriconプリズムカップラーで平面内圧伸方向のy軸(MD)、平面内ウェブ横方向のx軸(TD)および厚さ(z)(ND)方向に測定してそれぞれ約1.79、1.59および1.55だった。フィルムは、次に、第2圧伸ステップで従来のテンターを使用して、最終的な横方向の圧伸比約4.0まで横方向に圧伸した。テンターは、予熱で132℃、圧伸領域で135℃、熱硬化領域で249℃、急冷領域で49℃に設定した。予熱、圧伸および熱硬化は、約25秒間、5秒間および40秒間行った。最終的なPENの屈折率は1.7284、1.7585および1.5016だったが、PMMAの屈折率は、Metriconプリズムカップラーで測定してすべて632.8nmにおいて1.49でほぼ等方性だった。測定反射率帯域は、95%の平均反射力で400nmから950nmまでのスペクトルにわたった。したがって、複屈折PEN層の場合、全分極率は1.1043と計算され、全分極率差は0.0215だった。密度は、上記のとおり1.3549g/ccと概算され、部分的結晶化度は0.33と計算された。
実施例2.低圧伸ミラーフィルム
PENおよびPETG(重合時のエチレングリコールと1,4シクロヘキサンジオールとのある種の置換反応から成るPETのコポリマー)の多層フィルムを同時押出しし、流延および圧伸して、低圧伸PEN:PETG多層ミラーフィルムを作製した。0.48IVの PEN(ミネソタ州、セントポールの3M Co.が製造)を135℃で24時間乾燥させてから、出口温度が約285℃の1軸スクリュー押出機に直接供給した。PETG(テネシー州のEastman Chemicalが市販)は、真空を装備するとともに、出口温度が約285℃の2軸スクリュー押出機に供給して乾燥させた。これら樹脂流は、285℃に設定した209多層フィードブロックに同時押出しした。揚送速度は、各々のPEN:PETG層の対のおおよその光学的厚さが光学積層体内でほぼ等しくなるように、つまり「f比」が0.5になるように維持した。光学積層体内の層の対は、ほぼ直線状の勾配の光学的厚さを有していた。次に、最終的な容積流量の約20%の量のPENをPBLに供給した。PBLを含む多層積層体を非対称倍率器で分割し、1.55:1の幅比の2つの流れを形成して等しい幅に展開し、再度積層して、内部保護層で分割された418個の光学層を含む2つのパケット多層積層体を形成した。追加のPEN(IV 0.48)表皮層を多層積層体の各々の側に追加したが、各々の表皮層は合計容積流量の約12.5%を含んでいた。合計流量は、約285Cのダイから、65℃に設定した急冷ホイール上に硫延した。PEN表皮層の屈折率は、流延後本質的に等方性であり、Metriconプリズムカップラーで測定して632.8nmで1.64だった。流延厚さは約0.07cmだった。
第1圧伸工程は、従来の長さ延伸機(LO)を使用した。フィルムは、120℃に設定した高温ローラで予熱し、低速ロールおよび高速ロールと、60%の電力に設定した赤外線加熱器とから成る圧伸隙間内に供給した。この赤外線加熱器は、各々の長さが約65cmの赤外線加熱要素(1個の要素当たり約5000ワット)の組立体から構成した。これら要素は、フィルムから約10cm上に配置した。圧伸隙間内の滞留時間は約4秒だった。高速ロールは、2.7倍圧伸するように設定し、圧伸されたフィルムを急冷した。フィルムは、次に、第2圧伸ステップで従来のテンターを使用して、最終的な横方向の圧伸比約3.3まで横方向に圧伸した。テンターは、予熱領域で132℃、圧伸領域で135℃、熱硬化領域で135vC、急冷領域で49Cに設定した。予熱、圧伸および熱硬化は、約25秒間、5秒間および40秒間行った。最終的なPENの屈折率は1.69、1.72および1.53だったが、PETGの屈折率は、Metriconプリズムカップラーで測定してすべて632.8nmにおいて1.56でほぼ等方性だった。PMMAは、この実施例では、光学的性能が改善されたPETGに置き換えられることに注意すること。
上記のように作製したフィルムは、低圧伸ミラーフィルムである。このフィルムは、135℃で1秒間、さらに測定真圧伸比1.27×1.22まで、熱成形工程で生じると思われる約1.55の2軸圧伸比で再度圧伸した。次に、同じフィルムを175℃で4分間熱硬化させて、完全圧伸フィルムを形成した。より高温、たとえば220℃でより短時間、たとえば数秒間熱硬化させると、類似の熱硬化結果が得られた。低圧伸フィルムは、伸張性が高かった。別の例では、低圧伸フィルムを135℃で2.4秒間同時に、測定真圧伸比1.63×1.58まで再圧伸した。つまり、再圧伸時の2軸圧伸比は2.6だった。632.8nm、並びに計算上の全分極率(TP)、全分極率差(TPD)、概算密度(g/cc)および部分的結晶化度(X)(密度から計算)におけるMD、TDおよびND方向(x、y、z方向)の屈折率(n)の進展状況を以下の表に示す。
この一連の実施例では、より高度の2軸圧伸比まで再圧伸しても、結晶化度または全分極率は著しく変化しない。
図17および図18は、Perkin−Elmerλ−19を使用してMDおよびTD方向に偏光した光の測定透過率を示す。多層反射帯域外では、透過率は、表面反射により100%ではなく約85%だった。以下の表では、スペクトルのおおよその特徴をいくつか確認する。
この帯域は主に1次反射帯域だが、いくつかの2次反射もこの帯域に寄与する。1390nmの反射ピーク(つまり、透過谷)の場合の約450nmにある3次ピークなど、より上位のピークも明らかである。この帯域は、低圧伸の場合と再圧伸の場合の間に予想される2軸圧伸比に比例して変位する。帯域透過は、複屈折PEN層とほぼ等方性のPETG層との間の屈折率差が増加した結果として熱硬化した後に減少する、つまり帯域反射が増加する。
実施例3.完全圧伸、低圧伸および流延ウェブフィルムの比較
実施例1に従って作製した完全圧伸フィルム、実施例2に従って作製した低圧伸フィルム、およびPENのコポリマーをPEN層に置き換え、より薄い表皮層およびPBL層を使用して実施例1に類似する方法で作製した低圧伸流延ウェブは、以下の工程を使用してほぼ球状のキャップに熱成形した。完全圧伸フィルムは、より厚いPEN表皮層と厚い内部PEN層とを含むPENとPMMAとが交互に配置された約400個の光学層を含む多層光学ミラーフィルムであり、最初に3.3×4.0で圧伸した。低圧伸フィルムは、より厚いPEN表皮層と厚い内部PEN層とを含むPENとPETG(PETのコポリマー)とが交互に配置された約400個の光学層であり、同じ工程ライン上で類似の工程条件の加熱およびライン速度(たとえば、歪率)で、完全圧伸フィルムの約80%まで、つまり2.7×3.3で最初に圧伸した。流延ウェブは、90%のPENおよび10%のPETサブユニットから成るcoPEN(つまり、90/10coPEN)とPMMAとが交互に配置されている約400の層であって、より厚い90/10coPEN表皮層と厚い内部90/10coPEN層とを含む層から構成した。このフィルムは、直径約3.3cmの円形開口部上に配置した。約1気圧の真空を加え、ヒートガンを使ってフィルムを数秒間加熱した。温度は、フィルムと等距離および同じ滞留時間でヒートガンの空気流中に配置した熱電対を使って約200℃で概算した。
流延ウェブは最も圧伸したが、最も不均一に圧伸し、長形のほぼ半球状のキャップを形成した。キャップの基部は、外径3.2cmだった。キャップの高さは約1.75cmだった。流延ウェブは、最初約675μm厚だった。キャップの上部付近では、この厚さは140μmから225μmの間で変化した。したがって、2軸圧伸比は大きく変化し、最大値は約4.8だった。90/10coPEN表皮層の初期屈折率はほぼ等方性であり、値は1.6355nmおよび632.8nmだった。最も薄い部分では、フィルムキャップ内の3つの主要方向における屈折率は、632.8nmで約1.6685、1.6766および1.5784だった。
完全圧伸ミラーフィルムおよび低圧伸ミラーフィルムは、より均一に圧伸し、厚さの広がりは、歪硬化フィルムの場合に予想されるように、ほぼ球状のキャップの殆どで約10%以下だった。完全圧伸フィルムは最初68μmであり、キャップ全体で約58μmまで薄膜化して、2軸圧伸比を約1.17にした。キャップの基部は、外径3.25cmだった。キャップの高さは約0.55cmだった。複屈折PEN表皮層の屈折率は、最初1.7276、1.7693および1.5014だったが、熱成形後にほぼ同じ値を保った。フィルムは、高度に反射性を維持した。低圧伸フィルムは最初105μmだったが、キャップ全体で約78μmまで薄膜化して、2軸圧伸比を約1.35にした。キャップの基部は、外径3.25cmだった。キャップの高さは約0.65cmだった。複屈折PEN表皮層の屈折率は最初1.6939、1.7367および1.5265だったが、熱成形後、最初の平面内方向でわずかに1.7120および1.7467まで増加し、厚さ方向の屈折率は1.5081まで減少した。この特定の事例では、初期低圧伸フィルムは、完全圧伸フィルムに比べて、フィルムの厚さが増加したために、可視波長の比較的低いスペクトル端部で透過性だった。可視スペクトル全体の反射率は、帯域の変位により球状キャップ内で増加し、こうした比較的低い波長を含むとともに、複屈折PENとほぼ等方性のPETG層との間の屈折率が増加した。
比較実施例1.熱成形流延ウェブ
流延ウェブは約34.5mil厚であり、上記の実施例1に従って作製した。実施例3に記載の流延ウェブを加熱して、深い円筒状成形型を真空成形した。結果として得られた成形部品は、円筒状シャフトと、球状端部キャップとを有した。円筒の内径は約2.1cmだった。円筒および球状キャップの深さは約1.9cmだった。キャップに至る円筒の直線側面からの偏差は約1cmで生じるため、キャップはほぼ半球状である。グリッドは、成形前にこの部分で圧伸し、各々の線は約0.6cm分離していた。
は、グリッドセグメントを約2.8cmまで伸張させたが、約4.7×4.7の半球上で公称圧伸を示し、22の2軸圧伸比が得られた。基部上の賦形部分全体を均一に圧伸するには、約4の2軸圧伸比が必要だった。流延ウェブには、著しい剥離破壊の徴候があった。これは、この部品をさらに分析するには利点になり、部品内部の表皮層は、完全な状態を保っている他の部分とともに剥離した。以下に示すように、5個のサンプルを表皮層から切り取った。
厚さは、mil(0.001インチ)で測定する。すべての光学的測定は、Metriconプリズムカップラーを使用して632.8nmで行った。
サンプル1番は、低圧伸表皮層が流延ウェブ全体の厚さの約11%であることを示す。剥離しているため、基部は、剥離していない場所でのみ測定した。次に、この平均基部厚さ対最終サンプル厚さの比率を使用して、2軸圧伸比を計算した。
サンプル2番および3番は、本質的に、球状キャップの上部だった。真の2軸圧伸比は、不均一に圧伸した部品(キャップは、上部が最も薄い)について予想されるグリッドラインの拡張によって考えられるよりもわずかに高い。厚さは、キャリパーゲージを使用するとともに、Metriconで得られる薄いフィルム厚さの計算値を使用して決定した。後者は、キャリパーゲージと一致する3.5μmつまり約0.14の値を生じた。「平面内」屈折率は、その他の完全圧伸ミラーフィルムよりも低く、高いz屈折率から高度の全分極率が生じる点に注意を要する。
サンプル3番は、基部の約0.2〜0.7cm上の円筒底部から取った。長さ方向は、円筒の円周周囲で切った。この円周方向は、上記の表の目的上x方向と考える。サンプル4番は、基部の約0.7〜1.0cm上から直接切った。明らかに、圧伸は、屈折率が示すように、キャップ方向ではなく円筒のフープ周囲に方向付けられる。低2軸圧伸比によって、このサンプルの場合等方性からの偏差が非常に低い。
延伸工程の効果は、全分極率の概念を使用して結晶化度を概算しても知ることができる。実験上の誤差によって、概算は、全分極率の概念を使用して本明細書で定義するとおり、約±0.02の部分的結晶化度の程度でのみ良好である。表に記載した値から、基部および円筒壁部はなお本質的に非晶質であり、高度に圧伸された球状キャップのみが著しい結晶化度を有した。屈折率による反射率に対する付随的な影響は別として、この不均一性によって、成形部品の機械的特性も不均一になる。
実施例4.完全圧伸および低圧伸フィルムの相対的伸張性
実施例1に従って作製した完全圧伸フィルムの相対的伸張性は、実施例WM2に従って作製した低圧伸フィルムの相対的伸張性に匹敵した。完全圧伸フィルムの初期2軸圧伸比は13.2(3.3×4.0)であり、低圧伸フィルムの初期2軸圧伸比は8.9(2.7×3.3)だった。やはり、これらフィルムを製造するために使用する圧伸条件は、各方向の最終的な圧伸比を除いて類似している。いくつかのサンプル各々は、130℃および160℃で毎秒10%(たとえば、5秒間で1.5×1.5)の初期率で破損するまで同時に2軸圧伸した。フィルムを圧力作動クリップで把持する2軸実験用フィルム伸張器を使用した。応力はクリップ部に集中する傾向があるので、フィルムは先ずクリップ付近で破損する傾向があり、報告された破断点伸びは、より均一な応力範囲で得られる破断点伸びよりわずかに低くなる傾向がある。完全圧伸サンプルは、1.3×1.3以下の圧伸比、つまり約1.7の2軸圧伸比で破断する傾向がある。低圧伸サンプルは、約1.5×1.5の圧伸比で歪硬化する傾向があり、約1.7×1.7、つまり2軸圧伸完全圧伸フィルム比2.9で破断する傾向があった。各々のフィルムが破断する時の合計2軸圧伸比は、初期2軸圧伸比を乗じて構成し、破断時の2軸圧伸比でフィルムを成形することができる。したがって、完全圧伸フィルムが破断する時の合計2軸圧伸比は約22.4であり、低圧伸フィルムの場合は約25.9である。工程条件が類似していれば、類似性が予想される。たとえば、第1圧伸ステップ、たとえばLOステップでより高温かまたはより低い歪率で作製した完全圧伸フィルムは、同じMD屈折率レベルを得るには、より高い圧伸比が必要であることが多い。こうした変化した状況では、初期および合計2軸圧伸比は、完全圧伸フィルムの場合、この実施例に記載する特定の完全圧伸フィルムの場合よりも高くなると思われる。この実施例の完全圧伸フィルムの場合、合計2軸圧伸比は、この実施例の低圧伸フィルムの合計2軸圧伸比よりわずかに低い。つまり、完全圧伸フィルムは熱硬化も行われるからである。
実施例5.様々な温度における完全圧伸フィルムの1軸伸張性
実施例1に従って作製した完全圧伸フィルムの伸張性は、マサチューセッツ州、キャントンのInstron Corp.が市販している標準モデルの1122番Instron引張試験機を使って様々な温度において1軸モードで測定した。2.5cm幅のストリップを切断して、5cmの初期圧伸隙間で取り付けた。5個のサンプルについて平均値を求め、サンプルの中の最大伸びも記録した。挟持速度は、毎秒30cmに設定した。結果を以下の表に示す。
破断時圧伸比は、破断時伸びに1を加えた値、つまり135℃で1.82である。破断時伸び率は、実施例4のように130℃および160℃で類似している。ピーク応力は、一般に、破断応力と一致した。この実施例は、二次成形温度を上昇させると、公称圧伸応力を低下させる、たとえば特定の成形応力、たとえば真空圧力に対する成形可能性を大きくするのに役立つことを示す。したがって、この実施例の条件下でより高い成形温度で、最終2軸圧伸と同じ程度まで、より低い圧力で熱成形することができる。この実施例は、二次成形温度がピーク結晶化率温度に近づくにつれて、伸張性が低下することも示す。破断時圧伸比は、ピーク結晶化の温度(220℃)に近づくまで、約1.85で適度に一定である。
上記の表の圧伸比は、2軸圧伸比ではない。つまり、幅に限りはなく、伸張時に減径するからである。圧伸比1.85までの真の1軸圧伸で純粋に弾性の非圧縮性減径によって、サンプル幅全体で約0.74の最終減径圧伸比が生じ、最終2軸圧伸比は1.36である。サンプル幅全体の実際の最終圧伸比は、1.0〜0.74の中間であり、2軸圧伸比は、実施例4の2軸圧伸モードの完全圧伸フィルムについて報告された伸張性と都合よく一致する。比較することができるその他の要素としては、2軸圧伸比を増加させると思われるクリップ部における比較的低い集中応力、および2軸圧伸比を減少させると思われる伸張の一方向性が挙げられる。
実施例6.低圧伸反射偏光子フィルムの二次成形
PENおよびcoPENの多層フィルムを同時押出しし、流延および圧伸して、各種のPEN:coPEN多層反射偏光子フィルムを作製した。0.48IVのPEN(ミネソタ州、セントポールの3M Co.が製造)を135℃で24時間乾燥させてから、出口温度が約285℃の1軸スクリュー押出機に直接供給した。0.54IVの70/0/30coPEN(つまり、70重量%のナフタレンジカルボン酸と、30重量%のジメチルイソフタレートと、エチレングリコールとから生成したコポリマーであって、やはりセントポールの3M Co.が製造している)は、真空を装備されるとともに、出口温度が約285℃のの2軸スクリュー押出機に供給して乾燥させた。固有粘度(IV)は、30℃の60/40重量%のフェノール/o−ジクロロベンゼン溶剤を使用して、樹脂ペレットについて測定した。これら樹脂流は、285℃に設定され、内部保護層(PBL)を装備された224多層フィードブロックに同時押出しした。揚送速度を一定に保ち、各々のPEN:coPEN層の対のおおよその光学的厚さが、光学積層体内でほぼ等しくなるように、つまり「f比」が0.5になるようにした。PBLには、光学積層体内のPEN層すべての合計まで供給される量の約1/2の量でcoPENを供給した。光学積層体内の層の対は、ほぼ直線状の勾配の光学的厚さを有していた。PBLを含む多層積層体を非対称倍率器で分割し、1.55:1の幅比の2つの流れを形成して等しい幅に展開し、再度積層して、内部保護層で分割された448の層を含む2つのパケット多層積層体を形成した。PBLを含む多層積層体を非対称倍率器で分割し、1.25:1の幅比の2つの流れを形成して等しい幅に展開し、内部保護相で分割された896の層を含む4つのパケット多層積層体を形成した。追加のcoPEN(IV0.54)表皮層を多層積層体の各々の側に追加したが、各々の表皮層は合計容積流量の約10%を含んでいた。合計流量は、約285Cのダイから、65℃に設定した急冷ホイール上に硫延した。coPEN表皮層の屈折率は、流延後本質的に等方性であり、Metriconプリズムカップラーで測定して632.8nmで1.6225だった。流延厚さは約0.066cmだった。
フィルムは、実施例2の実験用2軸伸張機を使って横方向に圧伸した。どの場合も、第2平面内方向の圧伸比は約1だった。事例1は、130℃および毎秒20%の初期率で20秒間にわたって、1軸圧伸ステップの最終測定圧伸比4.8まで圧伸した。事例2および事例3は、非常に低圧伸の中間物を使用して製造した。事例2および事例3は、130℃および毎秒20%の初期率で合計10秒間にわたって圧伸した。次に、事例2および事例3を44秒間にわたって、第2圧伸ステップの処理温度、つまり二次成形ステップの温度で再加熱し、10秒間にわたって第1ステップと同じ方向に、約4.5の最終圧伸比まで圧伸して二次成形した。事例2は、130℃および最終測定圧伸比4.6で再加熱および二次成形した。事例3は、175℃および最終測定圧伸比4.4で再加熱および二次成形した。事例4は、事例2および3の第1圧伸ステップに類似する工程で作製、つまり130℃で13秒間にわたって、最終測定圧伸比3.8まで圧伸した。次に、事例4を65秒間にわたって130℃で加熱し、再圧伸はしなかった。したがって、事例4は、二次成形温度は加わったが、追加の圧伸つまり二次成形熱硬化が行われなかった最終物品の低圧伸部分を示す。事例5は、130℃および20%の初期率で25秒間にわたって、1軸圧伸ステップの最終測定圧伸比5.4まで圧伸した。事例6は、事例2および3の第1圧伸ステップに類似する工程で製造、つまり130℃で13秒間にわたって、最終測定圧伸比3.8まで圧伸した。事例6は、次に、65秒間にわたって175℃で加熱し、再圧伸は行わなかった。以下の表は、632.8nmでMetriconプリズムカップラーを使用して測定した二次成形フィルムの最終屈折率値を示す。圧伸方向はx、非圧伸平面内方向はy、厚さ方向はzである。計算上の全分極率(TP)を複屈折層について概算し、全分極率差(TPD)、概算密度(g/cc)、および概算密度に基づいて計算する部分的結晶化度(X)も概算した。
したがって、事例1は、低圧伸フィルムを製造する1ステップの工程の一例である。事例2および3は、低圧伸の中間物で開始し、完全圧伸で終了する。事例4は、ほぼ低圧伸の中間物である。事例4は、低レベルの効果的な圧伸(たとえば領域II)を示す。事例5は、1ステップの完全圧伸反射偏光子である。事例6は、二次成形ステップの場合のように再加熱されているが、事例4に匹敵する効果的な圧伸を著しく強化したレベル(たとえば領域III)でさらに圧伸されていない低圧伸中間物である。
以下の表は、様々な事例の光学的性能をまとめたものである。
青色端部は、部分的透過が0.5である反射帯域の下端として定義する。赤色端部は、部分的透過が0.5である反射帯域の上端として定義する。平均透過は、20nmを加えた青色端部から20nmを差し引いた赤色端部までの反射帯域全体の単純平均である。最小透過は、透過測定値が3nm上で平滑化される最小測定値であり、最小透過の位置は、最小透過が生じる波長である。この帯域の位置は、異なる2軸圧伸比から部分的に生じ、流延ウェブの異なる所期積層体厚さから部分的に生じる。パスの部分的透過は、どの事例の場合も反射帯域全体で均一に高く、帯域平均は0.86を超えた。この結果と1との間の差は、主として表面反射が原因である。
事例1、2および3はすべて、最終的に同じ量まで低圧伸されたフィルムである。これらの事例は、延伸度および結晶化度(たとえば、全分極率)が低い低圧伸フィルム、たとえば事例4を製造し、その後、たとえば賦形物品に二次成形することが有用であることを示す。事例4の低圧伸フィルムは、実施例7に記載したようにさらに二次成形ことができる。
事例6は、たとえば、圧伸および/または成形により物品を賦形した後に、二次成形熱硬化ステップを行うことが有用であることを示す。事例6は、再圧伸低圧伸事例と少なくとも同じ光学的性能を示す。したがって、最初に低圧伸されたフィルムから成形される1つの物品は、光学的性能が類似する再圧伸領域と非圧伸領域とを有することができる。この性能は、完全圧伸フィルムと適度に一致する。
図19は、反射偏光子のブロック状態、つまり垂直入射で圧伸方向に偏光される光の部分的透過について、事例2、5および6のスペクトルを比較するものである。代表的なパス状態、つまり、垂直入射で非圧伸平面内方向に偏光される光の部分的透過も示す。
PENの均質な非圧伸流延ウェブは、事例1および5の条件に従って、175℃で圧伸したことに注意すべきである。流延フィルムは不均一に圧伸し、本質的に等方性を維持した。これは、約3.5まで130Cで圧伸されてから、175Cで再圧伸され、事例2の低圧伸フィルムおよび事例1の単一ステップ低圧伸フィルムとほぼ同じ光学的効果を有する事例3と対照的である。屈折率の測定によると、事例3の比較的高い二次成形温度は光学的性能を改善すると思われる。これらの事例の実際の性能は帯域幅によっても影響され、より広い帯域は、同じ層勾配を使用するより狭い帯域よりも漏洩しやすい。分散、つまり波長に伴う屈折率の変化はもう1つの要素である。この実施例のPEN層とcoPEN層との間の屈折率差は、波長が減少するにつれて増加する傾向がある。したがって、同じ積層体構造は、赤色端部がより低い波長に変位するにつれて光学的性能が改善される。
実施例7.複数ステップにおける低圧伸フィルムの二次成形
低圧伸反射偏光子フィルムは、複数のステップで二次成形しても良い。この実施例では、PENおよびcoPENの低圧伸多層流延ウェブは、実施例6に従って同時押出しして流延した。フィルムは、実施例2の実験用2軸伸張機を使って横方向に圧伸した。どの場合も、第2平面内方向の圧伸比はほぼ1だった。事例Aでは、流延ウェブは、先ず135℃および毎秒20%の初期率で10秒間にわたって、1回の圧伸ステップで3.2の測定圧伸比まで圧伸した。事例Aのフィルムは、代表的な方法を使用して剥離することはできなかった。透過スペクトルは、Perkin−Elmeλ−19分光光度計を使用して測定し、サンプルは、25秒間にわたって135℃で予熱し、さらに25秒間にわたって160℃で予熱し、さらに10秒間にわたって、約4.8の最終測定圧伸比まで再圧伸した。次に事例Bである。フィルムの一部分を破壊的に剥離し、632.8nmで屈折率を測定した。Perkin−Elmeλ−19分光光度計を使用して、透過スペクトルを測定した。最後に、サンプルを再び25秒間にわたって135℃で予熱し、さらに25秒間にわたって160℃で予熱し、さらに4秒間、約6.0の最終測定圧伸比まで再圧伸した。次に事例Cである。フィルムの一部分を破壊的に剥離し、632.8nmで屈折率を測定した。Perkin−Elmeλ−19分光光度計を使用して、透過スペクトルを測定した。以下の表は、Perkin−Elmeλ−19分光光度計を使用して測定した二次成形フィルムの最終屈折率値を示す。圧伸方向はx、非圧伸平面内方向はy、厚さ方向はzである。計算上の全分極率(TP)を複屈折層について概算し、全分極率差(TPD)、概算密度(g/cc)、および部分的結晶化度(X)も概算する。
これらの事例では、第2再圧伸ステップの影響は、全分極率および有効圧伸の量を増加することであり、屈折率差には適度な影響しかなかった。
図20は、3つの事例に関するブロック部分的透過を示す。ブロック反射帯域の強度は、事例BおよびCの場合と類似している。この帯域は、部分的には事例BからCへの薄膜化による層密度の増加により、事例Cでわずかに改善される。
実施例8.熱成形ミラーフィルムヘッドランプ
実施例1に従って作製したポリマー多層ミラーフィルムの35.6cm×35.6cm(14インチ×14インチ)のサンプルは、ロンドン、ケンサルロードの6 McKay Trading Estateから調達したFormech450真空成形機を使用して、矩形のヘッドランプの形状に熱成形した。先ず、真空成形機の加熱領域1、2および3のつまみをレベル3に設定し、少なくとも30分間装置を平衡させて、加熱プレートを正確な温度にした。矩形のヘッドランプ(WagnerのハロゲンヘッドランプH4701高ビーム)の形状の室温のシリコーンゴム成形型は、最長寸法を操作者に対して左右に向けて、真空成形機上の可動プラットフォームの中心に配置した。真空成形機の枠を開錠して持ち上げ、成形型および可動プラットフォームの真上の開口キャビティ上に、多層ミラーフィルムをテープで固定した。フィルムの全周は、ミネソタ州、セントポールの3M CompanyがScotch471の商標で市販している5.08cm(2インチ)の広いテープを使用して固定し、後続のステップで真空を維持するのに必要な封止を行った。テープに皺があると、真空が漏れる恐れがある溝が形成されるので、皺がないことを確認することは重要である。次に、真空成形機の枠を下げて施錠して確実に封止する。
1.27cm(1/2インチ)の金属ブロックスペーサは、操作者に最も近い真空成形機の枠の隅に配置し、成形型に空間が生じるのに十分に加熱プレートを上昇させる。次に、加熱プレートを金属ブロック上に滑らせて、加熱プレートのレールがこれらブロックの縁部に位置し、加熱プレートが30秒間所定の位置に保持されて、フィルムを軟化するようにした。次に、シリコーンゴム成形型を含む可動プラットフォームが十分に上に上昇し、成形型が多層ミラーフィルムを変形させた。直ちに真空のスイッチを入れて真空を加え、成形型の周囲でフィルムを伸張させた。
10秒後、加熱プレートを数インチ持ち上げて元の位置に滑らせて、加熱プレートをサンプルから取り外した。加熱プレートを持ち上げることは、フィルムの燃焼を避ける上で重要である。次に、加熱プレートを約10秒間冷却させて、真空のスイッチを切った。約15秒後、可動プラットフォームおよび成形型がフィルムから落下して離れ、金属のスペーサブロックを真空成形機から取り外した。次に、真空成形機の枠を開錠して持ち上げて、テープとフィルムを剥離した。この手順により、フィルムに垂直な方向に見て、著しい皺または色合いの違いがない熱成形物品が得られた。
実施例9.エンボス加工色ずれ安全保護フィルム
色ずれ安全保護フィルムは、米国特許出願第09/006,086号に記載されている実施例1および4に従って作成し、エンボス加工した。約418の層を含む多層フィルムは、同時押出し工程により連続フラットフィルム製造ラインで作製した。この多層ポリマーフィルムは、PETおよびECDEL9967から構成したが、PETを外側層つまり「表皮」層にした。米国特許出願第3,801,429号に記載されているフィードブロック法を使用して、層から層までの層厚さ勾配がほぼ線形の約209の層を形成した。
固有粘度(IV)が0.60dl/gのPETを毎時約34.0Kgの速度で、ECDELを毎時約32.8Kgの速度でフィードブロックに揚送した。フィードブロックの次に、同じPET押出機は、全体の流量を毎時約8Kgにして、押出物の両側に保護境界層としてPETを供給した。材料の流れは、次に、米国特許第5,094,788号および第5,094,793号に記載されている非対称二重倍率器を約1.40の倍率比で通過した。この倍率比は、主導管内で製造される層の平均層厚さを副導管内の層の平均層厚さで除算した値として定義される。209の層の各集合は、フィードブロックにより形成されるおおよその層厚さ輪郭を有し、全体の層の倍率は、倍率器およびフィルム押出率によって決まる。
ECDEL溶融加工機器を約250℃に維持し、PET(光学層)溶融加工機器を約265℃に維持して、倍率器、表皮層溶融流およびダイを約274℃に維持した。この実施例のフィルムを作製するために使用したフィードブロックは、等温状態で最も厚い層対最も薄い層の比率が1.3:1の状態で、線形層厚さ分布が得られるように設計した。この実施例のためにより小さい比率にするため、フィードブロックに熱プロファイルを適用した。最も厚い層を製造するフィードブロックの部分は285℃に加熱し、最も薄い層を製造する部分は268℃に加熱した。この方法では、最も薄い層は、等温フィードブロックを稼動した場合よりも厚く製造され、最も厚い層は、等温フィードブロックを稼動した場合よりも薄く製造される。中間部分は、これら2つの極限間の線形温度プロファイルをたどるように設定した。全体的な効果は、より狭い反射スペクトルを生じるより狭い層厚さ分布である。倍率器によって、層厚さの多少の誤差が生じ、各反射帯域のスペクトルの特徴にわずかな差が生じる原因になる。流延ホイールの速度は、毎分6.5m(毎分21.2ft)に設定した。
倍率器の次に、第3押出機から毎時約35.0Kgで厚い対称表皮層を供給して追加した。材料の流れは、次にフィルムダイを通過し、水冷流延ホイール上に達した。流延ホイール上の入口の水温は、約7℃だった。高電圧ピンニングシステムを使用して、押出物を流延ホイールにピンニングした。ピンニングワイヤーは太さ約0.17mmであり、約5.5kVの電圧を印加した。ピンニングワイヤーは、操作者が、流延ホイールに接触する位置でウェブから約3〜5mmの場所に手で配置し、流延ウェブに滑らかな外観を与えるようにした。流延ウェブは、従来の連続長さ延伸機(LO)およびテンター機器を使用して連続的に延伸した。ウェブは、約100℃で約2.5の圧伸比まで長さ方向に延伸した。フィルムは、約100℃まで約22秒間テンター内で予熱し、毎秒約20%の割合で約3.3の圧伸比まで横方向に圧伸した。フィルムは、226℃に設定したオーブン領域内で約20秒間熱硬化させた。
最終的なフィルムの最終的な厚さは、約0.08mmだった。垂直入射における帯域端部は、可視端部700nmをわずかに超える720nmであり、フィルムは透明を呈した。45°では、帯域端部は640nm上に変位し、フィルムはシアンを呈した。60°では、透過赤色光が全体に欠如し、この入射角でも多層積層体の反射率が高いため、フィルムは明るいシアンを呈した。このフィルムを1個の光源しかない場所で観察すると、背景が白色の紙の場合にも、鏡面反射が明白である(赤色)。黒色の背景に重ねると(透過光はない)、赤色は容易に見える。このフィルムは所望の色の変化を示したが、層の数がより少なく、帯域幅がより狭いフィルムが望ましい。
次に、149℃(300°F)のロールと予熱プレートとの間で、フィルムをエンボス加工した。フィルムは、エンボス加工領域で3.4milから約3.0milに薄膜化した。このエンボス加工の意外な結果は、金色の反射がいかに明白になったかである。エンボス加工領域で明るい金色が観察され、観察角が浅くなると、シアンまたは濃い青色に変化した。外観は金色の葉に類似していたが、(少なくともこの実施例では)あまり均一ではなかった。明るい赤色および緑色も明白だった。金色から青色への著しい変化、および未エンボス加工領域の透明からシアンへの変化は、透明ホログラムの場合よりも著しい明白な立証上の特色になった。
実施例10.三叉導光器の真空成形
三叉導光器は、米国特許出願第08/494366の実施例2に記載されているように製造した高度に反射性のPEN/PMMA多層ミラーから真空成形した。601の層を含む同時押出しフィルムは、同時押出し工程により連続フラットフィルム製造ライン上で製造した。固有粘度が0.57dl/gのポリエチレンナフタレート(PEN)(60重量%のフェノール/40重量%のジクロロベンゼン)は、押出機Aから毎時114ポンドの速度で供給し、毎時64ポンドがフィードブロックに送られ、残りは以下に記載する表皮層に送られた。PMMA(ICI of Americasが市販しているCP−82)は、押出機Bから毎時61ポンドの速度で供給し、そのすべてがフィードブロックに送られた。PENは、フィードブロックの表皮層上に供給された。フィードブロック法を使用して151の層を形成したが、米国特許第3,801,429号に記載されているようなフィードブロックを使用し、フィードブロックの次に、押出機Cを使用し、押出機Aが供給するPENと同じタイプを毎時約30ポンド計量して、2つの対称表皮層を同時押出しした。この押出物は2つの倍率器を通過して、約601の層の押出物を形成した。米国特許第3,565,985号には、類似の同時押出し倍率器が記載されている。押出物はもう1つの装置を通過し、この装置は、押出機Aから供給されるPENの表皮層を全体の速度毎時50ポンドで同時押出しした。このウェブは、ウェブ温度約280°Fで約3.2の圧伸比まで長さ方向に延伸した。次に、このフィルムは、約310°Fまで約38秒間にわたって予熱し、毎秒約11%の率で約4.5の圧伸比まで横方向に圧伸した。次に、このフィルムは、緩和が生じないように440°Fで熱硬化させた。最終的なフィルムの厚さは約3milだった。垂直入射の帯域幅は約350nmであり、平均帯域内消光度は99%を超えた。吸光量は、値が低く1%未満だったので、測定することが難しかった。
17.8cm(7インチ)×25.4cm(10インチ)×2.5cm(1インチ)の木材ブロックを使用して、真空成形用の成形型を作製した。図10に示すように、木材内を通る溝の最下部に穴あけした。アクリルフォーム両面テープの一方の側から剥離ライナーを取り外した後、木材ブロックの溝が形成されていない側の外周部に接着剤を塗布し、成形型の下に室を形成し、第2剥離ライナーは、接着テープの他方の側から剥離しなかった。次に、成形型を真空成形装置の真空テーブル上に配置した。多層フィルムは加熱枠内に取り付けて、電気加熱要素の下で4分間にわたって177℃(350°F)まで加熱した。次に、フィルムを真空にした成形型上に迅速に降ろし、ポリマーフィルムを圧伸して溝付きキャビティを形成した。フィルムは、真空成形作業後、フィルムの高度な反射率を維持した。
成形フィルムがまだ成形型内にある時に、成形型内で圧伸されなかったフィルムの部分に両面接着テープを貼付した。次に、ミラーフィルムの第2シートを成形後のミラーフィルムに接着する。4つの終点の先端を切断して、図10に示すように3つ出口を有する入口を形成した。光ファイバー照明具を導光器の入口に挿入し、光を導光器の入口に方向付けると、各々の出口から発光した。
実施例11.構造化表面を有する多層光学フィルム
PEN/coPENの601の層を含む同時押出しフィルムは、米国特許第5882774号の実施例10に記載されている同時押出し工程により、連続フラットフィルム製造ラインで製造した。固有粘度が0.54dl/gのポリエチレンナフタレート(PEN)(60重量%のフェノールおよび40重量%のジクロロベンゼン)は、毎時75ポンドの速度で押出機から供給し、coPENは、毎時65ポンドでもう1つの押出機から供給した。coPENは、70モル%の2,6ナフタレンジカルボキシレートメチルエステル、15%のジメチルイソフタレートおよび15%のジメチルテレフタレートとエチレングリコールとのコポリマーだった。フィードブロック法を使用して、151の層を形成した。フィードブロックは、光学層の厚さの量がPENについて1.22、coPENについて1.22になるように層の勾配分布を生じるように設計した。PEN表皮層は、同時押出し層の合計厚さを8%にして、光学積層体の外側に同時押出しした。光学積層体は、2つの連続倍率器で増加させた。倍率器の公称倍率比は、それぞれ1.2および1.27だった。次に、フィルムを310°Fまで約40秒間にわたって予熱し、毎秒6%の率で約5.0の圧伸比まで横方向に圧伸した。最終的なフィルム厚さは約2milだった。フィルムのサンプルは、4つの異なるニッケル電鋳ツール、並びに7.6cm(3インチ)のピストンおよび191℃(375°F)に加熱したプラテンを装備した大型油圧Wabashプレスを使ってエンボス加工した。
X切断固締具(負)ツールは、アルミニウムの2.54mm(0.1インチ)厚のシート上に配置した。ミラーフィルムをツール上に配置して、3milのポリエステルテレフタレートの2枚のシート、および0.1インチのアルミニウムのもう1枚のシートで被覆した。このサンドウィッチ状構造は、最小圧力で加熱プラテンの間に密接に配置し、60秒間加熱した。サンドウィッチ状構造には、6000ポンドの力を60秒間加えた。この力を取り除いた後、エンボス加工されたフィルムをツールから取り外した。二次成形後のフィルムは、方形のエンボス加工領域において、多層光学積層体の薄膜化により透過光と反射光の両方で色の変化を示した。
X切断固締具ツールの線形部分は、2.54mm(0.1インチ)厚のアルミニウムシート上に配置した。ミラーフィルムをツール上に配置し、3milのポリエステルテレフタレートの2枚のシート、および0.1インチのアルミニウムのもう1枚のシートで被覆した。このサンドウィッチ状構造は、最小圧力で加熱プラテンの間に密接に配置し、60秒間加熱した。サンドウィッチ状構造には、6000ポンドの力を60秒間加えた。この力を取り除いた後、エンボス加工されたフィルムをツールから取り外した。二次成形後のフィルムは、線形のエンボス加工領域において、多層光学積層体の薄膜化により透過光と反射光の両方で色の変化を示した。
X切断フラットトップ(正)ツールは、ツールの裏面が粗いため、ノートブック用紙16枚から成る積層体上に配置した。ツールおよび用紙は、2.54mm(0.1インチ)厚のアルミニウムシート上に配置した。ミラーフィルムをツール上に配置して、3milのポリエステルテレフタレート2枚および0.1インチのアルミニウム1枚で被覆した。このサンドウィッチ状構造は、最小圧力で加熱プラテンの間に密接に配置し、90秒間加熱した。サンドウィッチ状構造には、6000ポンドの力を60秒間加えた。この力を取り除いた後、エンボス加工されたフィルムをツールから取り外した。二次成形後のフィルムは、角錐のエンボス加工領域において、多層光学積層体の薄膜化により透過光と反射光の両方で色の変化を示した。
21milのキューブコーナーツールを2.54mm(0.1インチ)厚のアルミニウムシート上に配置した。ミラーフィルムをツール上に配置し、1/4インチのシリコーンゴムのシートで被覆した。このサンドウィッチ状構造は、最小圧力で加熱プラテンの間に密接に配置し、30秒間加熱した。サンドウィッチ状構造には、2000ポンドの力を60秒間加えた。この力を取り除いた後、穿孔フィルムをツールから取り外した。二次成形後のフィルムは、六角形のエンボス加工領域において、多層光学積層体の薄膜化により透過光と反射光の両方で色の変化を示した。
同じ21milのキューブコーナーツールをさらに使用して、多層光学フィルムを常温エンボス加工した。キューブコーナーツールは、0.25インチのポリメチルメタクリレートのシートに接着した。ミラーフィルムをツール上に配置し、1/4インチのシリコーンゴムのシートで被覆した。このサンドウィッチ状構造をプレス内に配置し、2000ポンドの力を10秒間加えた。この力を取り除いた後、エンボス加工したフィルムをツールから取り外した。二次成形後のフィルムは、三角錐のエンボス加工領域において、多層光学積層体の薄膜化により透過光と反射光の両方で色の変化を示した。
この実施例の構造化表面を有する多層フィルムは、光学フィルタ、制御透過反射器、光ダイオード、拡散偏光/減偏光反射器、焦点調節反射器、装飾用フィルムおよび導光器として有用である。薄い可撓性フィルムは、高度に反射性の蒸着フィルムと同じ方法で使用することができ、重度/過度に変形、エンボス加工もしくは穿孔する時の金属の薄いフィルムの腐食および亀裂、または金属フィルムの導電性に関連する危険を心配する必要がない。
実施例12.波形成形リボン
上記の装飾用品などのような装飾用品の製造に使用する二次成形工程は、波形成形工程である。図21は、第1および第2のほぼ円筒状の波形成形部材つまりローラ220および221を備えるフィルム波形成形装置を示し、各々のローラは軸線と、波波成形部材220および221の外周部を画定する複数の離間配置隆起部219とを有する。各々の波形成形部材220および221は、これら部材自体の駆動機構により駆動される。隆起部219間の空間は、波形成形部材間に挿入される多層光学フィルム212と係合する他方の波形成形部材の隆起部219を収容するように構成されている。この装置は、少なくとも一方の波形成形部材220または221を回転させて、フィルム212が隆起部の係合部分間に供給される時に、フィルム212を第1波形成形部材220の外周部にほぼ適合させる手段をさらに備える。
結果として得られる波形成形後のフィルムの装飾的な概観に影響を及ぼす工程パラメーターとしては、波形成形ローラの温度、波形成形ローラ間のニップ圧力、波形成形ローラの直径、ライン速度、隆起部219の形状、製造のためにローラが設計されている1インチ当たりの波形の数が挙げられる。1インチあたりの波形の数は、隆起部219の間の間隔によって決まる。特に、係合する一対の隆起部は1つの波形を形成する。以下に記載する実施例は具体的に示すことを意図するものであり、これらパラメーターを調節して、異なる装飾効果を得ることができる。
上記の波形成形工程から得られる構造210を図22に示す。波形は、弧状部分213、谷部分114、弧状部分を谷部分に接続する中間部分215および216により特徴付けられる。図22に示す波形は正弦波形状だが、波形成形工程は、たとえば図23に示すようなその他の波形を形成することもできると考えるべきである。さらに、波形は、フィルムの幅に沿って延在する必要はない。波形はむしろ、フィルム平面内のどの方向に延在しても良い。
本発明の一実施態様では、波形成形工程で成形される波形のほかに、波形成形工程により、フィルム層の厚さが変化する。特に、波形成形部材の隆起部219は、波形成形後のフィルム210の中間部分215および216を伸張させるので、これら部分は弧状部分および谷部分213および214より薄くなる。フィルムの厚さが変化するため、フィルムの異なる部分は異なる波長の光を反射し、弧状部分および谷部分213および214に比べて、中間部分の色は著しく変位する。この現象は、色または帯域変位と呼ばれ、一部には、多層光学フィルムが反射する波長範囲が多層光学フィルム内の層の物理的厚さの関数であるために生じる。
波形成形フィルムの光学的特性
予備波形成形フィルムは、指定の公差(一般に約±5%)の範囲内の均一な厚さを有するように作製した。予備波形成形フィルムは、緊張させて保持して、蛍光室内灯の下で垂直入射で観察した場合、主に1つの色、たとえばシアンを呈した。フィルムの湾曲部はフィルムの色の実質的な変化を生じ、フィルムに沿って連続する色が見られた。つまり、予備波形成形フィルムは、角度に敏感な反射色の濾過を示した。この効果が生じるのは、フィルムが、ある波長範囲の入射光を反射し、別の波長範囲の光を透過し、反射および透過の波長範囲は、光の入射角の変化に応じて変化するためである。したがって、フィルムの特定部分で観察される特定の色は、フィルムの別の部分で観察される色とは異なる場合がある。なぜなら、フィルムの湾曲部によって、光は、様々な入射角でフィルムの様々な部分に衝突するためである。つまり、観察される色の数は、フィルムの様々な部分が占める様々な平面の数が増加するにつれて増加する。
図24は、本発明の方法に従ってフィルムに波形成形処理を施して、フィルムに厚さが変化する波形を形成した後に、垂直透過で観察された典型的なパターンを示す。フィルムの外観は、予備波形成形フィルムに比べて実質的に変化した。予備波形成形フィルムの主にシアン色の外観と対照的に(湾曲部が生じないように緊張させて配置し、光を反射する様々な平面の数を最小限にした場合)、波形成形後のフィルムは、ウェブ横方向に延在する色が異なる帯域を示す。特に、色が交互になっている帯域320および322が形成され、帯域20はある色(たとえば黄色)を呈し、帯域322は別の色(たとえばシアン)を呈する。帯域320は、図22に示し、波形成形工程の結果として層の厚さが減少した中間部分215および216に対応し、帯域322は、弧状部分および谷部分213および214に対応する。つまり、波形成形後のフィルムは、厚さの変化によって色が変位するため、長さに沿って色が異なる帯域つまり筋を有する。
波形成形フィルムから反射する光を観察すると、波形成形フィルムは、予備波形成形フィルムに比べて輝度が大きいように見える。これは、波形成形工程によって生じるフィルムの角のある輪郭が増加して生じる。角のある輪郭が増加すると、光が観察者の方に方向付けられる光源の位置の数が増加する。さらに、フィルムの様々な部分が様々な平面に延在し、光は、より大きい範囲の入射角で反射し、前記のとおり、様々な色の光が観察される結果になる。
次に、本発明に使用する波形成形工程について、以下の特定の実施例によりさらに説明する。
実施例12(a)
本発明の波形成形工程を使用して、装飾的に着色したミラーフィルムを作製した。予備クレープ成形フィルムは、同時押出し工程により連続フラットフィルム製造ラインで製造した224の層を含む同時押出しフィルムから作製した。多層ポリマーフィルムは、Eastman Chemical Companyが市販している固有粘度0.48dl/gのポリエチレンナフタレート(PEN)(60重量%のフェノール/40重量%のジクロロベンゼン)およびICI AcrylicsがCP82の商標で市販しているポリメチルメタクリレート(PMMA)から作製した。PETG6763は、外側つまり「表皮」層を形成した。PETG6763は、テレフタレートをジカルボキシレートとして用い、1,4−クロロヘキサンジメタノールおよびエチレングリコールをジオールとして用いたコポリエステルであると考えられ、ニューヨーク州、ロチェスターのEastman Chemical Co.が市販している。米国特許第3,801,429号に記載されているようなフィードブロック法を使用し、水冷流延ホイール上に同時押出しして、従来の連続長さ延伸機(LO)およびテンター機器で連続的に延伸した約224の層を形成した。PENは、毎時24.2Kgの速度で一方の押出機からフィードブロックに供給し、PMMAは、毎時19.3Kgの速度でもう一方の押出機から供給した。これら溶融流をフィードブロックに送って、PENおよびPMMAの光学層を形成した。フィードブロックは、PENとPMMAとが交互になっている224の層を形成し、PENの2つの外側層は、フィードブロック全体で保護境界層(PBL)として機能した。PMMA溶融液処理機器は約274℃に保ち、PEN溶融液処理機器、フィードブロック、表皮層のモジュールは約274℃に保ち、ダイは約285℃に保った。層厚さ勾配は、各材料のフィードブロックについて、最も薄い層に対する最も厚い層の比率が約1.25になるように設計した。
フィードブロックの次に、第3押出機は、毎時約25.8KgでPETGを表皮層として供給した(光学層の流れの両側で同じ厚さ)。次に、材料流はフィルムダイを通過して、入口の水温が約24℃の水冷流延ホイール上に達した。高電圧ピンニングシステムを使用して、毎分3.1mで押出物を流延ホイールにピンニングした。ピンニングワイヤーは太さ約0.17mmであり、約4.9kVの電圧を印加した。ピンニングワイヤーは、操作者が、流延ホイールに接触する位置でウェブから3〜5mmの場所に手で配置し、流延ウェブに滑らかな外観を与えるようにした。
流延ウェブは、約130℃で約3.1:1の圧伸比で長さ方向に延伸した。テンターでは、フィルムを予熱してから、約135℃まで約30.9秒で圧伸し、次に、毎秒約20%の割合で約140℃にて約4.5:1の圧伸比まで横方向に圧伸した。最終的な予備波形成形フィルムは、約0.05mmの最終的な厚さを有した。
予備波形成形多層フィルムは、図21に示すように、波形成形ローラ220および221の間のニップ内に供給した。波形成形部材の直径は約9.01〜9.02インチであり、隆起部は、結果として得られる波形成形フィルムの長さに沿って1インチ当たり約7.5個の波形を形成するように賦形した。両方の波形成形部材は250°Fまで加熱した。波形成形部材間に加わるニップ圧力は、直線インチ当たり(pli)50ポンドの力であり、ライン速度は毎分5ft(fpm)だった。
予備波形成形多層着色ミラーフィルムは、蛍光室内灯の下で垂直透過で観察すると、ウェブ横方向に延在する透明、シアンおよび青色が不規則に分布する領域を示した。結果として得られた波形成形着色ミラーフィルムは、その視覚的な外観が著しく変化した。蛍光室内灯の下で垂直透過で観察すると、波形成形着色ミラーフィルムの頂点および谷部分または領域はシアン色を呈した。頂点および谷の間に位置する中間部分または領域は、蛍光室内灯の下で観察して垂直透過で黄色に変化した。頂点と谷との間の接続領域で観察されたこうした色の変化は、波形成形工程時のフィルムの薄膜化によると考えられる。中間領域における波形成形着色ミラーフィルムのキャリパを測定すると、頂点および谷領域で測定したキャリパより薄いことが分かった。中間領域のキャリパも、予備波形成形多層ミラーフィルムのキャリパより薄かった。
予備波形成形ミラーフィルムのキャリパ、および波形成形着色ミラーフィルムの頂点と谷との間の中間領域のキャリパは、手動キャリパ計測器(日本国108東京都港区芝5丁目31−19に所在のMitutoyo Corporationが製造しているモデル番号293−761)を使用して従来の方法で測定した。キャリパのデータは、各フィルムサンプル内から無作為に選択した10回の測定値を平均して求めた。このフィルムのキャリパデータを以下に示す。
波形成形着色ミラーフィルムの厚さ:1.54mil(標準偏差0.11)
波形成形フィルムの頂点と谷との間の中間領域の厚さ:1.17mil(標準偏差0.33)
実施例12(b)
装飾用着色ミラーフィルムは、上記の実施例12(a)に記載の方法に類似する方法で作製した。予備成形多層着色ミラーフィルム12は、同時押出し工程により連続フラットフィルム製造ライン上で製造された224の層を含む同時押出しフィルムから成形した。この多層ポリマーフィルムは、Eastman Chemical Companyが市販している固有粘度0.48dl/gのポリエチレンナフタレート(PEN)(60重量%のフェノール/40重量%のジクロロベンゼン)およびICI AcrylicsがCP82の商標で市販しているポリメチルメタクリレート(PMMA)から作製し、PENは外側つまり「表皮」層を形成した。米国特許第3,801,429号に記載されているようなフィードブロック法を使用し、水冷流延ホイール上に同時押出しして、従来の連続長さ延伸機(LO)およびテンター機器で連続的に延伸した約224の層を形成した。PENは、毎時38.8Kgの速度で一方の押出機からフィードブロックに供給し、PMMAは、毎時30.1Kgの速度でもう一方の押出機から供給した。これら溶融流をフィードブロックに送って、PENおよびPMMAの光学層を形成した。フィードブロックは、PENとPMMAとが交互になっている224の層を形成し、PENの2つの外側層は、フィードブロック全体で保護境界層(PBL)として機能した。PMMA溶融液処理機器は約274℃に保ち、PEN溶融液処理機器、フィードブロック、表皮層のモジュールは約274℃に保ち、ダイは約285℃に保った。層厚さ勾配は、各材料のフィードブロックについて、最も薄い層に対する最も厚い層の比率が約1.31になるように設計した。
フィードブロックの次に、第3押出機は、毎時約23.9Kgで0.48IVのPENを表皮層として供給した(光学層の流れの両側で同じ厚さ)。次に、材料流はフィルムダイを通過して、入口の水温が約29℃の水冷流延ホイール上に達した。高電圧ピンニングシステムを使用して、毎分5.2mで押出物を流延ホイールにピンニングした。ピンニングワイヤーは太さ約0.17mmであり、約6.2kVの電圧を印加した。ピンニングワイヤーは、操作者が、流延ホイールに接触する位置でウェブから3〜5mmの場所に手で配置し、流延ウェブに滑らかな外観を与えるようにした。
流延ウェブは、約130℃で約3.1:1の圧伸比で長さ方向に延伸した。テンターでは、フィルムを予熱してから、約140℃まで18秒で圧伸し、次に、毎秒約15%の割合にて約140℃で約4.6:1の圧伸比まで横方向に圧伸した。最終的な予備波形成形フィルムは、約0.05mmの最終的な厚さを有した。
波形成形装置の波形成形部材は、波形成形フィルムの長さに沿って1インチ当たり約13個の波形を成形するように賦形した。両方の波形成形部材を250°Fに加熱し、波形成形ロール間のニップ圧力は50pli、ライン速度は15fpmだった。
予備波形成形フィルムは、蛍光室内灯の下で垂直透過で観察すると、シアン色を呈した。結果として得られた波型成形フィルムは、視覚的な外観が変化した。蛍光室内灯の下で垂直透過で観察した場合、頂点および谷領域、並びに頂点と谷との間の中間領域はすべてシアン色を維持したが、中間領域はより濃い色調のシアンを呈した。さらに、フィルムから反射する光を観察すると、フィルムは、実施例1に記載したフィルムよりはるかに明るく見え、実施例1のフィルムとは目立って異なる視覚的概観をフィルムに与えた。この輝度の増加は、おそらく、頂点と谷の形成からフィルムの角のある輪郭が増加して生じたものである。
実施例12(c)
実施例12(a)で作製した波形成形着色ミラーフィルムは、従来の剃刀の刃を使って切断し、幅が1/2インチのフィルムのロールにした。次に、このフィルムのロールから、31個のループを有する直径4 7/8インチのキャンディのリボンを形成した。リボンは、ミズーリ州、レバノンのCambarloc Engineering,Co.が市販しているCambarlocリボン機を使用して作成した。
実施例12(d)
実施例12(b)で作製した波形成形着色ミラーフィルムを切断して、1/2インチ幅のロールを形成し、実施例3に記載されているように、キャンディのリボンを作製した。
実施例12(e)
装飾用着色ミラーフィルムは、実施例12(a)に記載されている方法に類似する方法で作製した。予備波形成形多色ミラーフィルムは、同時押出し工程により連続フラットフィルム製造ライン上で製造した224の層を含む同時押出しフィルムから成形した。多層ポリマーフィルムは、90モル%のナフタレートおよび10モル%のテレフタレートをジカルボキシレートとして、100%のエチレングリコールを固有粘度0.48dl/gのジオールとして、並びにICI AcrylicsがCP71の商標で市販しているポリメチルメタクリレート(PMMA)を含むコポリエチレンナフタレート(LMPP)から製造し、LMPPは外側つまり表皮層を形成した。米国特許出願第3,801,429号に記載されているようなフィードブロック法を使用して約224の層を形成し、これら層を水冷流延ホイール上に同時押出しして、従来の長さ延伸機(LO)およびテンター機器で連続的に延伸した。LMPPは、毎時46.0Kgの速度で一方の押出機から供給し、PMMAは、毎時35.9Kgの速度でもう一方の押出機から供給した。これらの溶融流をフィードブロックに送り、LMPPおよびPMMAの光学層を形成した。
フィードブロックは、LMPPとPMMAとが交互になっている224の層を形成し、LMPPの2つの外側層はフィードブロック全体で保護境界層として機能した。PMMA溶融液処理機器は、約265℃に保ち、PEN溶融液処理機器、フィードブロック、表皮層のモジュールは約265℃に保ち、ダイは約285℃に保った。層厚さ勾配は、各材料のフィードブロックについて、最も薄い層に対する最も厚い層の比率が約1.2になるように設計した。米国特許出願第09/006,288号に記載されている軸ロッドを使用して、帯域幅を狭くした。
フィードブロックの次に、第3押出機は、毎時約93.2Kgで0.48IVのLMPPを表皮層として供給した(光学層の流れの両側で同じ厚さ)。次に、材料流はフィルムダイを通過して、入口の水温が約18Cの水冷流延ホイール上に達した。高電圧ピンニングシステムを使用して、毎分6.6mで押出物を流延ホイールにピンニングした。ピンニングワイヤーは太さ約0.17mmであり、約5.6kVの電圧を印加した。ピンニングワイヤーは、操作者が、流延ホイールに接触する位置でウェブから3〜5mmの場所に手で配置し、流延ウェブに滑らかな外観を与えるようにした。
流延ウェブは、約120Cで約3:3:1の圧伸比で長さ方向に延伸した。テンターでは、フィルムを予熱してから、約125Cまで14秒で圧伸し、次に、毎秒約20%の割合で約125Cにて約4:3:1の圧伸比まで横方向に圧伸した。最終的な予備波形成形フィルムは、約0.05mmの最終的な厚さを有した。
予備波形成形フィルムは、蛍光室内灯の下で垂直透過で観察してシアン色を呈した。結果として得られた波形成形フィルムは、蛍光室内灯の下で垂直透過で観察した場合、頂点および谷の外側縁部でマゼンタ色を呈したが、フィルムの他の領域はシアン色を維持した。
実施例13.ポイントエンボス加工着色ミラーフィルム
装飾用着色ミラーフィルムは、従来のエンボス加工機器を使用して、多層着色ミラーフィルムをポイントエンボス加工して作製した。このエンボス加工に使用する投入フィルムは、同時押出し工程で連続フラットフィルム製造ライン上で製造された224の層を含む同時押出しフィルムだった。この多層ポリマーフィルムは、Eastman Chemical Companyが市販している固有粘度0.48dl/gのポリエチレンナフタレート(PEN)(60重量%のフェノール/40重量%のジクロロベンゼン)およびICI AcrylicsがCP82の商標で市販しているポリメチルメタクリレート(PMMA)から作製した。PETG6763は、外側つまり「表皮」層を形成した。PETG6763は、テレフタレートをジカルボキシレートとして、並びに1,4−クロロヘキサンジメタノールおよびエチレングリコールをジオールとして使用するコポリエステルであると考えられ、ニューヨーク州、ロチェスターのEastman Chemical Co.が市販している。米国特許第3,801,429号に記載されているようなフィードブロック法を使用し、水冷流延ホイール上に同時押出しして、従来の連続長さ延伸機(LO)およびテンター機器で連続的に延伸した約224の層を形成した。PENは、毎時24.2Kgの速度で一方の押出機からフィードブロックに供給し、PMMAは、毎時19.3Kgの速度でもう一方の押出機から供給した。これら溶融流をフィードブロックに送って、PENおよびPMMAの光学層を形成した。フィードブロックは、PENとPMMAとが交互になっている224の層を形成し、PENの2つの外側層は、フィードブロック全体で保護境界層(PBL)として機能した。PMMA溶融液処理機器は約274℃に保ち、PEN溶融液処理機器、フィードブロック、表皮層のモジュールは約274℃に保ち、ダイは約285℃に保った。層厚さ勾配は、各材料のフィードブロックについて、最も薄い層に対する最も厚い層の比率が約1.25になるように設計した。
フィードブロックの次に、第3押出機は、毎時約25.8KgでPETGを表皮層として供給した(光学層の流れの両側で同じ厚さ)。次に、材料流はフィルムダイを通過して、入口の水温が約24℃の水冷流延ホイール上に達した。高電圧ピンニングシステムを使用して、毎分3.1mで押出物を流延ホイールにピンニングした。ピンニングワイヤーは太さ約0.17mmであり、約4.9kVの電圧を印加した。ピンニングワイヤーは、操作者が、流延ホイールに接触する位置でウェブから3〜5mmの場所に手で配置し、流延ウェブに滑らかな外観を与えるようにした。
流延ウェブは、約130℃で約3.1:1の圧伸比で長さ方向に延伸した。テンターでは、フィルムを予熱してから、約135℃まで約30.9秒で圧伸し、次に、毎秒約20%の割合で約140℃にて約4.5:1の圧伸比まで横方向に圧伸した。最終的な予備波形成形フィルムは、約0.05mmの最終的な厚さを有した。
フィルムは、2つのニップ付き加熱エンボス加工ローラの間を通過させた。上部エンボス加工ローラは250°Fまで加熱し、隆起した菱形のエンボス加工パターンがローラの表面に彫刻されていた。このエンボス加工パターンは、フィルム表面積の5%に菱形パターンがエンボス加工されるように設計した。下部積層ローラは滑らかな表面を有しており、250°Fまで加熱した。ニップ圧力は、1線形インチ(pli)当たり100ポンドの力であり、ライン速度は毎分5ft(fpm)だった。
エンボス加工の前、多層着色ミラーフィルムは、蛍光室内灯の下で垂直透過で観察して、ウェブ横方向に延在する透明、シアンおよび青色が不規則に分布する領域を示した。結果として得られたエンボス加工着色ミラーフィルムは、フィルムの視覚的な外観が変化した。蛍光室内灯の下で垂直透過で観察すると、フィルムのエンボス加工領域はマゼンタ色だったが、エンボス加工した領域間の領域のフィルムは、エンボス加工する以前のフィルムに類似する外観を示し、つまりウェブ横方向に延在する透明、シアンおよび青色が不規則に分布した領域を示した。フィルムの非エンボス加工領域と比較して、エンボス加工した領域で観察された色の変化は、エンボス加工工程の結果として生じたフィルムの薄膜化によると考えられる。結果として得られたエンボス加工着色ミラーフィルムについて撮影された断面走査電子顕微鏡写真(SEM)は、フィルムのエンボス加工領域の厚さがフィルムの非エンボス加工領域の厚さの約63%であることを示した。
次に、エンボス加工着色ミラーフィルムは、従来の剃刀の刃による細断方法を用いて、1/2インチ幅のロールに裁断した。次に、このフィルムのロールから、31個のループを有する直径4.875インチのキャンディのリボンを形成した。リボンは、ミズーリ州、レバノンのCambarloc Engineering, Co.が市販しているCambarlocリボン機(米国特許第3,464,601号)を使用して作成した。
本発明の様々な変形および変更は、当業者にとって、本発明の範囲を逸脱せずに明白であり、本発明は、本明細書に記載する具体的な実施態様に不当に限定されるべきではない。