JPWO2013099877A1 - 赤外遮蔽フィルム、赤外遮蔽フィルムの製造方法、および赤外遮蔽体 - Google Patents

赤外遮蔽フィルム、赤外遮蔽フィルムの製造方法、および赤外遮蔽体 Download PDF

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Abstract

本発明は、基材上に、高屈折率層と低屈折率層とを積層したユニットを少なくとも1つ含む赤外遮蔽フィルムであって、高屈折率層および低屈折率層のうち、少なくとも1層は、厚みが不均一に形成され、厚みが不均一に形成された層において、厚みの標準偏差をσ、厚みの平均値をμとしたとき、下記の式1で表される厚みの変動率(V)が、1%以上50%以下である、赤外遮蔽フィルムに関する。本発明によると、低コストで大面積化することができると共に、目視される角度が変化しても色調の変化が少なく、色ムラが少ない赤外遮蔽フィルムを提供しうる。

Description

本発明は、低コストで大面積化することができ、特に色ムラが少なく光学特性に優れた赤外遮蔽フィルム、赤外遮蔽フィルムの製造方法、および赤外遮蔽体に関する。
近年、省エネルギー対策への関心が高まり、建物や車両の窓ガラスから、太陽光の中、熱線の透過を遮断する近赤外光反射フィルム(赤外遮蔽フィルム)の開発が盛んに行われる様になってきている。これにより冷房設備にかかる負荷を減らすことが出来、省エネルギー対策として有効だからである。
従来、赤外遮蔽フィルムとして、高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層させた積層膜を蒸着法、スパッタ、などのドライ製膜法で作製する方法が提案されている。また、交互に積層させた積層膜の光学膜厚を調整することで、近赤外光に替えて可視光を反射するように設計できることも知られている。しかし、ドライ製膜法は製造コストが高く、大面積化が困難であり、さらに、使用可能な材料が耐熱性素材に限定される等の課題がある。
そこで塗布法でフィルムを作製する方法として、熱硬化樹脂を用いる方法(特開平8−110401号公報)やUV硬化樹脂を用いる方法(特開2004−123766号公報)が開示されている。
しかしながら、これらの方法(すなわち、熱硬化樹脂を用いる方法やUV硬化樹脂を用いてフィルムを作製する方法)を用いて交互に積層された高屈折率層と低屈折率層の界面が平坦で明確に分かれている場合には、反射させる波長として設定した波長以外でも不要な反射が起こりやすい。特に赤外遮蔽フィルムにおいては、可視光域で不要な反射が起きるとフィルムが着色して見える現象が発生する。この着色は、見る角度に依存して色調が変化することが知られており、例えば建物の窓など、大面積にフィルムを形成する場合には色ムラとして認識されるという不都合があった。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、低コストで大面積化することができると共に、目視される角度が変化しても色調の変化が少なく、色ムラが少ない赤外遮蔽フィルム、赤外遮蔽フィルムの製造方法、および赤外遮蔽体を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、下記構成を採ることにより本発明の目的が達成されることを見出した。
すなわち、本発明の赤外遮蔽フィルムは、基材上に、高屈折率層と低屈折率層とを積層したユニットを少なくとも1つ含む赤外遮蔽フィルムであって、前記高屈折率層および前記低屈折率層のうち、少なくとも1層は、厚みが不均一に形成され、前記厚みが不均一に形成された層において、厚みの標準偏差をσ、厚みの平均値をμとしたとき、下記の式1で表される厚みの変動率(V)が、1%以上50%以下である。
Figure 2013099877
また、本発明の赤外遮蔽フィルムの製造方法は、基材上に、高屈折率層用塗布液と、低屈折率層用塗布液と、を塗布する塗布工程を含み、該塗布工程において、少なくとも一つの前記高屈折率層用塗布液または前記低屈折率層用塗布液の厚みを変動させながら塗布する、方法である。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下に記載の「膜厚」とは、特許請求の範囲に記載された「厚み」を指すものである。
本発明の一実施形態によれば、基材上に、高屈折率層と低屈折率層とを積層したユニットを少なくとも1つ含む赤外遮蔽フィルムであって、前記高屈折率層および前記低屈折率層のうち、少なくとも1層は、厚みが不均一に形成され、前記厚みが不均一に形成された層において、厚みの標準偏差をσ、厚みの平均値をμとしたとき、下記の式1で表される厚みの変動率(V)が、1%以上50%以下である、赤外遮蔽フィルムが提供される。
Figure 2013099877
前述した通り、本発明の発明者は上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、少なくとも1層について、不均一な厚み分布を有するように形成し、当該層における膜厚の平均値に対する膜厚の標準偏差の割合が、1%以上50%以下である、赤外遮蔽フィルムによって、目視される角度が異なっても色調の変化が少なく、色ムラが少ない赤外遮蔽フィルムを実現することができることを見出し、本発明に至った次第である。
前述した本発明の構成による作用効果の発揮のメカニズムは以下のように推測される。
すなわち、本発明が対象とする赤外遮蔽フィルムは、典型的には、高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層させた積層膜からなり、可視光領域(波長380〜780nm)で透過率が高く、近赤外光領域(780〜2500nm)で反射率が高い光学特性をもっている。このような積層膜からなる赤外遮蔽フィルムは、目視される角度がフィルムに対して斜め方向である場合には、目視される角度が鉛直方向である場合と比較して、反射する光の波長が短波長にシフトすることが知られている。この波長シフトは、以下に説明するように、各層の界面において反射した光の干渉に起因するものである。つまり、光が斜めから入射した場合、ある界面で反射した光と別の界面で反射した光の光路長差がcosθ倍(θは入射角)になるため、これらの光の干渉により、垂直入射の場合と比較して、斜めから入射した場合(即ち入射角が大きい場合)には、強めあう波長が短くなるためである。
フィルムに対して入射する光が370nm〜900nmの波長範囲に反射ピークを持たない場合、目視される角度によって色調が変化するということはほとんどない。しかし、高屈折率層と低屈折率層の屈折率差が比較的大きく、高屈折率層と低屈折率層が界面混合なく層分離しており、界面が平坦な場合には、370nm〜900nmの波長範囲に不要な反射ピークを持ってフィルムが着色して見える場合がある。このような場合には、フィルムが目視される角度に依存して反射ピークの波長がシフトするため、色ムラとして認識されてしまうことになる。
これに対し、本発明に係る赤外遮蔽フィルムにおいては、高屈折率層と低屈折率層のうち少なくとも1層の膜厚を面内で変動させて、界面の角度をばらつかせることにより、膜厚変動部が形成される。この膜厚変動部において、入射する光の角度が屈折や散乱・回折の効果でばらつくことにより、より幅広い波長の光を反射する。その結果、目視される角度が変化した場合においても反射する光の波長が変化しにくいものであると考えられる。したがって、入射する光の角度をより幅広くするために、膜厚を変動させる部分は、フィルム面に対して垂直な角度を持たせる(すなわち、フィルム面に対して垂直方向に沿って平面を有する凹凸状に形成する)よりも、滑らかに膜厚を変化させるが好ましい。ただし、上記メカニズムは推定であり、本発明の範囲をなんら制限するものではない。
このように、本発明により、低コストで大面積化することができると共に、目視される角度が変化しても色調の変化が少なく、色ムラが少ない赤外遮蔽フィルム、赤外遮蔽フィルムの製造方法、および赤外遮蔽体を提供することができる。
膜厚の変動率(V)は、1%以上50%以下であると好ましい。さらに、膜厚の変動率(V)は2%以上10%以下とするとより好ましい。膜厚の変動率(V)が1%未満の場合、本発明の効果(すなわち、色ムラの防止効果)を得ることが困難となる。一方、膜厚の変動率(V)が50%よりも大きい場合、赤外遮蔽フィルムのヘイズが高くなり透明性が低下し、実用には不適当となる。また、膜厚の変動率(V)が2%以上10%以下であると、ヘイズ及び色差が小さくなるため、特に色ムラ防止効果が高い赤外遮蔽フィルムとすることができる。
なお、膜厚の変動率(V)は以下の式1によって定義されるものであり、このとき、σは膜厚の標準偏差、μは膜厚の平均値である。
Figure 2013099877
膜厚の平均値(μ)および膜厚の標準偏差(σ)は、膜厚が不均一となるように形成された層の断面画像において複数箇所(統計学的信頼性を確保しうる測定点数、例えば1000箇所)の膜厚を測定することにより算出された値である。なお、このとき、膜厚の測定は局所的に行うのではなく、測定対象となる膜の全面に亘って行い、測定点が略均一な間隔となるように分散させて測定を行う。また、この膜厚の平均値(μ)および膜厚の標準偏差(σ)の測定は、測定対象となる膜(すなわち、膜厚が不均一な層)の面内において、複数方向に沿って行ってもよい。この場合、本発明において評価対象となる上記膜厚の変動率(V)は、最も凹凸の程度が大きい方向、すなわち、最も標準偏差(σ)が大きい方向に沿う断面画像について得られた値とする。具体的には、膜厚が不均一な層の面内において、複数の方向について断面画像を撮影し、それぞれ膜厚の平均値(μ)と膜厚の標準偏差(σ)を算出し、標準偏差(σ)が最も大きい方向の膜厚の変動率(V)を算出する。このようにして得られた膜厚の変動率(V)について、1%以上50%以下であることが必須であり、2%以上10%以下とするとさらに好ましい。
このとき、膜厚の平均値(μ)および標準偏差(σ)を、膜厚が不均一な層の面内において、標準偏差(σ)が最も大きい方向における膜厚の変動率(V)を採用するのは、当該層の面内の少なくとも一方向において膜厚が不均一に形成されていれば、十分に本発明の効果(色ムラの防止効果)が得られるためである。なお、複数の方向においていずれも膜厚の変動率が上記範囲内であれば、より高い色ムラ防止効果を得ることができる。
膜厚を変動させる層(すなわち、膜厚変動部を備えた層、膜厚変動層)としては、最表層(すなわち、基材から最も遠い層)、または最下層(すなわち、基材の最も近くに位置する層;最下層は基材に接する層であると好ましい)にすると好ましい。換言すると、前記高屈折率層および前記低屈折率層のうち、少なくとも前記基材から最も遠くに位置する最表層の厚みが不均一に形成されていると好ましい。また、前記高屈折率層および前記低屈折率層のうち、少なくとも前記基材の最も近くに位置する最下層の厚みが不均一に形成されていると好ましい。
膜厚が変動した層を最表層とする場合、最表層の表面がさまざまな方向を向くため、入射する光が屈折によりさまざまな角度をとることができ、広い角度に対して色調が変化しにくくなる(つまり、色ムラが防止される)。一方、膜厚が変動した層を最下層とする場合、その上部に形成される積層膜全体が平坦にならず、さまざまな方向を向くため、広い角度に対して色調が変化しにくくなる。なお、最表層および最下層について、いずれも膜厚が不均一となるように形成されているとより好ましい。
この効果は可視光領域の光に対して得られるものではなく、近赤外光領域の光に対しても同様である。したがって、上記構成を備えた赤外遮蔽フィルムを窓に設置した場合、季節や時間によって太陽光の入射角度が変化した場合においても、赤外光(近赤外光)の遮蔽効果の変化度合が小さく、優れた赤外遮蔽フィルムとすることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
[赤外遮蔽フィルム]
本形態の赤外遮蔽フィルムは、基材と、高屈折率層と低屈折率層とから構成されるユニットの少なくとも1つとを含む。
なお、本明細書において、「高屈折率層」および「低屈折率層」なる用語は、隣接した2層の屈折率差を比較した場合に、屈折率が高い方の屈折率層を高屈折率層とし、低い方の屈折率層を低屈折率層とすることを意味する。したがって、本形態の赤外遮蔽フィルムは、当該フィルムを構成する各屈折率層において、隣接する2つの屈折率層に着目した場合に、各屈折率層が同じ屈折率を有する形態以外のあらゆる形態を含むものである。
一般に、赤外遮蔽フィルムにおいては、高屈折率層と低屈折率層との屈折率の差を大きく設計することが、少ない層数で赤外反射率を高くすることができるという観点から好ましい。本形態では、高屈折率層および低屈折率層から構成されるユニットの少なくとも1つにおいて、隣接する高屈折率層と低屈折率層との屈折率差は、0.1以上であることが好ましく、より好ましくは0.3以上であり、さらに好ましくは0.35以上であり、特に好ましくは0.4以上である。また、上限は特に制限はないが通常1.4以下である。赤外遮蔽フィルムが高屈折率層および低屈折率層のユニットを複数有する場合には、全てのユニットにおける高屈折率層と低屈折率層との屈折率差が上記好適な範囲内にあることが好ましい。ただし、最表層や最下層に関しては、上記好適な範囲外の構成であってもよい。また、本形態の赤外遮蔽フィルムにおいては、高屈折率層の好ましい屈折率は1.80〜2.50であり、より好ましくは1.90〜2.20である。また、低屈折率層の好ましい屈折率は1.10〜1.60であり、より好ましくは1.30〜1.50である。
特定波長領域の反射率は、隣接する2層の屈折率差と積層数で決まり、屈折率の差が大きいほど、少ない層数で同じ反射率を得られる。この屈折率差と必要な層数については、市販の光学設計ソフトを用いて計算することができる。例えば、近赤外反射率90%以上を得るためには、屈折率差が0.1より小さいと、200層以上の積層が必要になり、生産性が低下するだけでなく、積層界面での散乱が大きくなり、透明性が低下し、また故障なく製造することも非常に困難になる。反射率の向上と層数を少なくするという観点からは、屈折率差に上限はないが、実質的には1.4程度が限界である。
さらには、本形態の赤外遮蔽フィルムの光学特性として、JIS R3106−1998で示される可視光領域の透過率が50%以上、好ましくは75%以上、より好ましくは85%以上であることが好ましく、また、波長900nm〜1400nmの領域に反射率50%を超える領域を有することが好ましい。
次いで、本発明の赤外遮蔽フィルムにおける高屈折率層および低屈折率層の基本的な構成概要について説明する。
本形態の赤外遮蔽フィルムは、基材上に、高屈折率層と低屈折率層とから構成されるユニットを少なくとも1つ含む構成を有するものであればよい。好ましい高屈折率層および低屈折率層の層数としては、上記の観点から、総層数の範囲としては、100層以下、すなわち50ユニット以下であり、より好ましくは40層(20ユニット)以下であり、さらに好ましくは20層(10ユニット)以下である。
本形態の赤外遮蔽フィルムの全体の厚みは、好ましくは12μm〜315μm、より好ましくは15μm〜200μm、さらに好ましくは20μm〜100μmである。また、低屈折率層の1層あたりの厚みは、20〜800nmであることが好ましく、50〜350nmであることがより好ましい。一方、高屈折率層の1層あたりの厚みは、20〜800nmであることが好ましく、50〜350nmであることがより好ましい。
本発明においてはこのような基本構成を採りつつも、高屈折率層と低屈折率層のうち少なくとも1層の膜厚が面内で変動していることを特徴としている。これにより、目視される角度が変化しても、赤外遮蔽フィルムにおける色調の変化を軽減することができる。
〔樹脂バインダー(ポリビニルアルコール)〕
本発明において、低屈折率層および高屈折率層で用いられる樹脂バインダーとしては、特に制限されないが、ポリビニルアルコールが挙げられる。
ポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、カチオン変性したポリビニルアルコール、カルボキシル基のようなアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール、ノニオン性基を有するノニオン変性ポリビニルアルコール、シリル基を有するシリル変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、平均重合度が1,000以上のものが好ましく用いられ、特に平均重合度が1,500〜5,000のものが好ましく、2,000〜5,000のものが更に好ましく用いられる。ポリビニルアルコールの重合度が1,000以上であると塗布膜のひび割れがなく、5,000以下であると塗布液が安定するからである。なお、塗布液が安定するとは塗布液が経時的に安定することを意味する。以下、同様である。
また、鹸化度は、70〜100%のものが好ましく、80〜99.5%のものが水への溶解性の点でより好ましい。
本発明では前記平均重合度が1,000以上のポリビニルアルコールに加えて、重合度が100〜500で鹸化度が95mol%以上である低重合度高鹸化ポリビニルアルコールを各屈折率層の少なくとも一方が含むことが好ましい。このような低重合度高鹸化ポリビニルアルコールを含有すると塗布液の安定性が向上する。
さらに本発明の効果を損なわない限りにおいて、各屈折率層は、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、一部が変性された変性ポリビニルアルコールを含んでもよい。このような変性ポリビニルアルコールとしては、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、ノニオン変性ポリビニルアルコール、ビニルアルコール系ポリマーが挙げられる。
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号公報に記載されているような、第一〜三級アミノ基や第四級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体を鹸化することにより得られる。
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(2−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
アニオン変性ポリビニルアルコールは、例えば、特開平1−206088号公報に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号公報および同63−307979号公報に記載されているような、ビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体および特開平7−285265号公報に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号公報に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号公報に記載されている疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体、シラノール基を有するシラノール変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基やカルボニル基、カルボキシル基などの反応性基を有する反応性基変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。
またビニルアルコール系ポリマーとして、エクセバール(商品名:(株)クラレ製)やニチゴーGポリマー(商品名:日本合成化学工業(株)製)などが挙げられる。
変性ポリビニルアルコールは、重合度や変性の種類違いなど二種類以上を併用することもできる。
〔硬化剤〕
本発明においては、硬化剤を用いることが好ましい。ポリビニルアルコールと共に用いることのできる硬化剤としては、ポリビニルアルコールと硬化反応を起こすものであれば特に制限はないが、ホウ酸およびその塩が好ましい。ホウ酸およびその塩以外にも公知のものが使用でき、一般的にはポリビニルアルコールと反応し得る基を有する化合物あるいはポリビニルアルコールが有する異なる基同士の反応を促進するような化合物であり、適宜選択して用いられる。硬化剤の具体例としては、例えば、エポキシ系硬化剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬化剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬化剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5,−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、アルミニウム明礬等が挙げられる。
ホウ酸またはその塩とは、硼素原子を中心原子とする酸素酸およびその塩のことをいい、具体的には、オルトホウ酸、二ホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸および八ホウ酸およびそれらの塩が挙げられる。
硬化剤としてのホウ素原子を有するホウ酸およびその塩は、単独の水溶液でも、また、2種以上を混合して使用しても良い。特に好ましいのはホウ酸とホウ砂の混合水溶液である。
ホウ酸とホウ砂の水溶液は、それぞれ比較的希薄水溶液でしか添加することが出来ないが両者を混合することで濃厚な水溶液にすることが出来、塗布液を濃縮化する事が出来る。また、添加する水溶液のpHを比較的自由にコントロールすることが出来る利点がある。
本発明では、ホウ酸およびその塩並びに/またはホウ砂を用いることが層間混合をより抑制するという観点から好ましい。ホウ酸およりその塩並びに/またはホウ砂を用いた場合には、金属酸化物粒子と水溶性バインダー樹脂であるポリビニルアルコールのOH基とが水素結合ネットワークを形成し、その結果として高屈折率層と低屈折率層との層間混合が抑制され、好ましい近赤外遮蔽特性が達成されると考えられる。特に、高屈折率層と低屈折率層の多層重層をコーターで塗布後、一旦塗膜の膜面温度を15℃程度に冷やした後、膜面を乾燥させるセット系塗布プロセスを用いた場合には、より好ましく効果を発現することができる。
上記硬化剤の総使用量は、ポリビニルアルコール1g当たり1〜600mgが好ましく、ポリビニルアルコール1g当たり100〜600mgが好ましい。
〔樹脂バインダー(その他の水溶性高分子)〕
本発明においては、その効果を損なわない限りにおいて、上記ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコール以外に、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコール以外の水溶性高分子をバインダー樹脂として用いてもよい。本発明の水溶性高分子とは、該水溶性高分子が最も溶解する温度で、0.5質量%の濃度に水に溶解させた際、G2グラスフィルタ(最大細孔40〜50μm)で濾過した場合に濾別される不溶物の質量が、加えた該水溶性高分子の50質量%以内であるものを言う。本発明ではその効果を損なわない限りにおいて、ポリビニルアルコール以外の水溶性高分子を含有することができる。そのような水溶性高分子としては特にゼラチン、セルロース類、増粘多糖類、反応性官能基を有するポリマーが好ましい。これらの水溶性高分子は単独で用いても構わないし、2種類以上を混合して用いても構わない。
以下にこれらの水溶性高分子について説明する。
(ゼラチン)
本発明に適用可能なゼラチンとしては、従来、ハロゲン化銀写真感光材料分野で広く用いられてきた各種ゼラチンを適用することができ、例えば、酸処理ゼラチン、アルカリ処理ゼラチンの他に、ゼラチンの製造過程で酵素処理をする酵素処理ゼラチンおよびゼラチン誘導体、すなわち分子中に官能基としてのアミノ基、イミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基を持ち、それと反応して得る基を持った試薬で処理し改質したものでもよい。ゼラチンの一般的製造法に関しては良く知られており、例えばT.H.James:The Theory of Photographic Process 4th. ed. 1977(Macmillan)55項、科学写真便覧(上)72〜75項(丸善)、写真工学の基礎−銀塩写真編119〜124(コロナ社)等の記載を参考にすることができる。また、リサーチ・ディスクロージャー誌第176巻、No.17643(1978年12月)のIX項に記載されているゼラチンを挙げることができる。
(ゼラチンの硬膜剤)
ゼラチンを用いる場合、必要に応じてゼラチンの硬化剤を添加することもできる。
用いることのできる硬膜剤としては、通常の写真乳剤層の硬膜剤として使用されている公知の化合物を使用でき、例えば、ビニルスルホン化合物、尿素−ホルマリン縮合物、メラニン−ホルマリン縮合物、エポキシ系化合物、アジリジン系化合物、活性オレフィン類、イソシアネート系化合物などの有機硬膜剤、クロム、アルミニウム、ジルコニウムなどの無機多価金属塩類などを挙げることができる。
(セルロース類)
本発明で用いることのできるセルロース類としては、水溶性のセルロース誘導体が好ましく用いることができ、例えば、カルボキシメチルセルロース(セルロースカルボキシメチルエーテル)、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の水溶性セルロース誘導体や、カルボン酸基含有セルロース類であるカルボキシメチルセルロース(セルロースカルボキシメチルエーテル)、カルボキシエチルセルロース等を挙げることができる。
(増粘多糖類)
本発明で用いることのできる増粘多糖類としては、特に制限はなく、例えば、一般に知られている天然単純多糖類、天然複合多糖類、合成単純多糖類および合成複合多糖類に挙げることができ、これら多糖類の詳細については、「生化学事典(第2版),東京化学同人出版」、「食品工業」第31巻(1988)21頁等を参照することができる。
本発明でいう増粘多糖類とは、糖類の重合体であり分子内に水素結合基を多数有するもので、温度により分子間の水素結合力の違いにより、低温時の粘度と高温時の粘度差が大きな特性を備えた多糖類である。さらに好適には金属酸化物微粒子を添加すると、低温時にその金属酸化物微粒子との水素結合によると思われる粘度上昇を起こすものであり、その粘度上昇幅は、添加することにより15℃における粘度が1.0mPa・s以上の上昇を生じる多糖類が好ましく、より好ましくは5.0mPa・s以上であり、更に好ましくは10.0mPa・s以上の粘度上昇能を備えた多糖類である。
本発明に適用可能な増粘多糖類としては、例えば、ガラクタン(例えば、アガロース、アガロペクチン等)、ガラクトマンノグリカン(例えば、ローカストビーンガム、グアラン等)、キシログルカン(例えば、タマリンドガム等)、グルコマンノグリカン(例えば、蒟蒻マンナン、木材由来グルコマンナン、キサンタンガム等)、ガラクトグルコマンノグリカン(例えば、針葉樹材由来グリカン)、アラビノガラクトグリカン(例えば、大豆由来グリカン、微生物由来グリカン等)、グルコラムノグリカン(例えば、ジェランガム等)、グリコサミノグリカン(例えば、ヒアルロン酸、ケラタン硫酸等)、アルギン酸およびアルギン酸塩、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン、ファーセレラン等の紅藻類に由来する天然高分子多糖類等が挙げられ、塗布液中に共存する金属酸化微粒子の分散安定性を低下させない観点から、好ましくは、その構成単位がカルボン酸基やスルホン酸基を有しないものが好ましい。その様な多糖類としては、例えば、L−アラビトース、D−リボース、2−デオキシリボース、D−キシロースなどのペントース、D−グルコース、D−フルクトース、D−マンノース、D−ガラクトースなどのヘキソースのみからなる多糖類であることが好ましい。具体的には、主鎖がグルコースであり、側鎖もグルコースであるキシログルカンとして知られるタマリンドシードガムや、主鎖がマンノースで側鎖がグルコースであるガラクトマンナンとして知られるグアーガム、カチオン化グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、ローカストビーンガム、タラガムや、主鎖がガラクトースで側鎖がアラビノースであるアラビノガラクタンを好ましく使用することができる。本発明においては、特には、タマリンド、グアーガム、カチオン化グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガムが好ましい。
本発明においては、更には、二種類以上の増粘多糖類を併用することが好ましい。
(反応性官能基を有するポリマー類)
本発明に適用可能な水溶性高分子としては、反応性官能基を有するポリマー類が挙げられ、例えば、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、若しくはアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、若しくはスチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのスチレンアクリル酸樹脂、スチレン−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート−スチレンスルホン酸カリウム共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体およびそれらの塩が挙げられる。
〔金属酸化物〕
本発明に係る高屈折率層および/または低屈折率層においては、金属酸化物粒子を含有することが望ましい。
(低屈折率層中の金属酸化物)
低屈折率層には金属酸化物として二酸化ケイ素を用いることが好ましく、コロイダルシリカを用いることが特に好ましい。
本発明に係る低屈折率層中の金属酸化物の平均粒径は、粒子そのものあるいは屈折率層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1,000個の任意の粒子の粒径を測定し、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定したときの直径で表したものである。低屈折率層に含まれる金属酸化物粒子(好ましくは二酸化ケイ素)は、その平均粒径が3〜100nmであることが好ましい。一次粒子の状態で分散された二酸化ケイ素の一次粒子の平均粒径(塗布前の分散液状態での粒径)は、3〜50nmであるのがより好ましく、3〜40nmであるのがさらに好ましく、3〜20nmであるのが特に好ましく、4〜10nmであるのがもっとも好ましい。また、二次粒子の平均粒径としては、30nm以下であることが、ヘイズが少なく可視光透過性に優れる観点で好ましい。
本発明で用いられるコロイダルシリカは、珪酸ナトリウムの酸等による複分解やイオン交換樹脂層を通過させて得られるシリカゾルを加熱熟成して得られるものであり、たとえば、特開昭57−14091号公報、特開昭60−219083号公報、特開昭60−219084号公報、特開昭61−20792号公報、特開昭61−188183号公報、特開昭63−17807号公報、特開平4−93284号公報、特開平5−278324号公報、特開平6−92011号公報、特開平6−183134号公報、特開平6−297830号公報、特開平7−81214号公報、特開平7−101142号公報、特開平7−179029号公報、特開平7−137431号公報、および国際公開第94/26530号パンフレットなどに記載されているものである。
この様なコロイダルシリカは合成品を用いてもよいし、市販品を用いてもよい。
コロイダルシリカは、その表面をカチオン変性されたものであってもよく、また、Al、Ca、MgまたはBa等で処理された物であってもよい。
低屈折率層における金属酸化物粒子の含有量は、低屈折率層の固形分100質量%に対して、20〜70質量%であることが好ましく、30〜70質量%であることがより好ましく、40〜60質量%であることがさらに好ましい。20質量%以上であると、所望の屈折率が得られ70質量%以下であると塗布性が良好となり好ましい。
(高屈折率層中の金属酸化物)
本発明に係る高屈折率層の金属酸化物粒子としては、例えば、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、アルミナ、コロイダルアルミナ、チタン酸鉛、鉛丹、黄鉛、亜鉛黄、酸化クロム、酸化第二鉄、鉄黒、酸化銅、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化イットリウム、酸化ニオブ、酸化ユーロピウム、酸化ランタン、ジルコン、酸化スズなどが挙げられる。
本発明では透明でより屈折率の高い高屈折率層を形成するために、高屈折率層は、チタン、ジルコニア等の高屈折率金属酸化物微粒子、すなわち、酸化チタン微粒子、酸化ジルコニア微粒子を含有することが好ましい。その場合には、体積平均粒径が100nm以下のルチル型(正方晶形)酸化チタン粒子を含有することが好ましい。
本発明の酸化チタン粒子としては、水系の酸化チタンゾルの表面を変性して有機溶剤等に分散可能な状態にしたものを用いることが好ましい。
水系の酸化チタンゾルの調製方法としては、従来公知のいずれの方法も用いることができ、たとえば、特開昭63−17221号公報、特開平7−819号公報、特開平9−165218号公報、特開平11−43327号公報、特開昭63−17221号公報、特開平7−819号公報、特開平9−165218号公報、特開平11−43327号公報等に記載された事項を参照にすることができる。
また、酸化チタン粒子のその他の製造方法については、たとえば、「酸化チタン−物性と応用技術」清野学 p255〜258(2000年)技報堂出版株式会社、またはWO2007/039953号明細書の段落番号0011〜0023に記載の工程(2)の方法を参考にすることができる。
上記工程(2)による製造方法とは、二酸化チタン水和物をアルカリ金属の水酸物またはアルカリ土類金属の水酸化物からなる群から選択される、少なくとも1種の塩基性化合物で処理する工程(1)の後に、得られた二酸化チタン分散物を、カルボン酸基含有化合物および無機酸で処理する工程(2)からなる。
さらに、酸化チタン粒子を含めた金属酸化物粒子のその他の製造方法としては、特開2000−053421号公報(分散安定化剤としてアルキルシリケートを配合してなり、該アルキルシリケート中のケイ素をSiOに換算した量と酸化チタン中のチタンをTiOに換算した量との重量比(SiO/TiO)が0.7〜10である酸化チタンゾル)、特開2000−063119号公報(TiO−ZrO−SnOの複合体コロイド粒子を核としてその表面を、WO−SnO−SiOの複合酸化物コロイド粒子で被覆したゾル)等に記載された事項を参照することができる。
さらに、酸化チタン粒子を含ケイ素の水和酸化物で被覆してもよい。含ケイ素の水和化合物の被覆量は、3〜30質量%、好ましくは3〜10質量%、より好ましくは3〜8質量%である。被覆量が30質量%以下であると、高屈折率層の所望の屈折率化が得られ、被覆量が3%以上であると粒子を安定に形成することができるからである。
酸化チタン粒子を含ケイ素の水和酸化物で被覆する方法としては、従来公知の方法により製造することができ、例えば、特開平10−158015号公報(ルチル型酸化チタンへのSi/Al水和酸化物処理;チタン酸ケーキのアルカリ領域での解膠後酸化チタンの表面にケイ素および/又はアルミニウムの含水酸化物を析出させて表面処理する酸化チタンゾルの製造方法)、特開2000−204301号公報(ルチル型酸化チタンにSiとZrおよび/またはAlの酸化物との複合酸化物を被覆したゾル。水熱処理。)、特開2007−246351号公報(含水酸化チタンを解膠して得られる酸化チタンのヒドロゾルへ、安定剤として式R SiX4−n(式中RはC−Cアルキル基、グリシジルオキシ置換C−Cアルキル基またはC−Cアルケニル基、Xはアルコキシ基、nは1または2である。)のオルガノアルコキシシランまたは酸化チタンに対して錯化作用を有する化合物を添加、アルカリ領域でケイ酸ナトリウムまたはシリカゾルの溶液へ添加・pH調整・熟成することにより、ケイ素の含水酸化物で被覆された酸化チタンヒドロゾルを製造する方法)等に記載された事項を参照にすることができる。
本発明で用いられる金属酸化物粒子の体積平均粒径は、30nm以下であることが好ましく、1〜30nmであることがより好ましく、5〜15nmであるのがさらに好ましい。体積平均粒径が30nm以下であれば、ヘイズが少なく可視光透過性に優れる観点で好ましい。
ここでいう体積平均粒径とは、媒体中に分散された一次粒子または二次粒子の体積平均粒径であり、レーザー回折/散乱法、動的光散乱法等により測定できる。
具体的には、粒子そのものあるいは屈折率層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1,000個の任意の粒子の粒径を測定し、それぞれd1、d2・・・di・・・dkの粒径を持つ粒子がそれぞれn1、n2・・・ni・・・nk個存在する金属酸化物粒子の集団において、粒子1個当りの体積をviとした場合に、体積平均粒径mv={Σ(vi・di)}/{Σ(vi)}で表される体積で重み付けされた平均粒径を算出する。
さらに、本発明で用いられる金属酸化物粒子は、単分散であることが好ましい。ここでいう単分散とは、下記式2で求められる単分散度が40%以下であることをいう。この単分散度は、さらに好ましくは30%以下であり、特に好ましくは0.1〜20%である。
Figure 2013099877
高屈折率層における金属酸化物粒子の含有量としては、高屈折率層の固形分100質量%に対して、15〜70質量%であることが好ましく、20〜65質量%であることがより好ましく、30〜60質量%であることが近赤外遮蔽の観点から、さらに好ましい。
(エマルジョン樹脂)
高屈折率層または低屈折率層は、エマルジョン樹脂をさらに含有していてもよい。エマルジョン樹脂を含むことにより、膜の柔軟性が高くなりガラスへの貼りつけ等の加工性がよくなる。
エマルジョン樹脂とは、水系媒体中に微細な、例えば、平均粒径が0.01〜2.0μm程度の樹脂粒子がエマルジョン状態で分散されている樹脂で、油溶性のモノマーを、水酸基を有する高分子分散剤を用いてエマルジョン重合して得られる。用いる分散剤の種類によって、得られるエマルジョン樹脂のポリマー成分に基本的な違いは見られない。エマルジョンの重合時に使用される分散剤としては、例えば、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジエチルアミン、エチレンジアミン、4級アンモニウム塩のような低分子の分散剤の他に、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエキシエチレンラウリル酸エーテル、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドンのような高分子分散剤が挙げられる。水酸基を有する高分子分散剤を用いてエマルジョン重合すると、微細な微粒子の少なくとも表面に水酸基の存在が推定され、他の分散剤を用いて重合したエマルジョン樹脂とはエマルジョンの化学的、物理的性質が異なる。
水酸基を含む高分子分散剤とは、重量平均分子量が10000以上の高分子の分散剤で、側鎖または末端に水酸基が置換されたものであり、例えばポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミドのようなアクリル系の高分子で2−エチルヘキシルアクリレートが共重合されたもの、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールのようなポリエーテル、ポリビニルアルコールなどが挙げられ、特にポリビニルアルコールが好ましい。
高分子分散剤として使用されるポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、カチオン変性したポリビニルアルコールやカルボキシル基のようなアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール、シリル基を有するシリル変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。ポリビニルアルコールは、平均重合度は高い方がインク吸収層を形成する際のクラックの発生を抑制する効果が大きいが、平均重合度が5000以内であると、エマルジョン樹脂の粘度が高くなく、製造時に取り扱いやすい。したがって、平均重合度は300〜5000のものが好ましく、1500〜5000のものがより好ましく、3000〜4500のものが特に好ましい。ポリビニルアルコールのケン化度は70〜100モル%のものが好ましく、80〜99.5モル%のものがより好ましい。
上記の高分子分散剤で乳化重合される樹脂としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニル系化合物、スチレン系化合物といったエチレン系単量体、ブタジエン、イソプレンといったジエン系化合物の単独重合体または共重合体が挙げられ、例えばアクリル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂等が挙げられる。
〔屈折率層のその他の添加剤〕
本発明に係る高屈折率層と低屈折率層には、必要に応じて各種の添加剤を含有させることが出来る。
例えば、特開昭57−74193号公報、同57−87988号公報および同62−261476号公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号公報、同57−87989号公報、同60−72785号公報、同61−146591号公報、特開平1−95091号公報および同3−13376号公報等に記載されている退色防止剤、アニオン、カチオンまたはノニオンの各種界面活性剤、特開昭59−42993号公報、同59−52689号公報、同62−280069号公報、同61−242871号公報および特開平4−219266号公報等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有していてもよい。
赤外遮蔽フィルムは、基材の下または基材と反対側の最表面層の上に、さらなる機能の付加を目的として、導電性層、帯電防止層、ガスバリア層、易接着層(接着層)、防汚層、消臭層、流滴層、易滑層、ハードコート層、耐摩耗性層、反射防止層、電磁波シールド層、紫外線吸収層、赤外線吸収層、印刷層、蛍光発光層、ホログラム層、剥離層、粘着層、接着層、本発明の高屈折率層および低屈折率層以外の赤外線カット層(金属層、液晶層)、着色層(可視光線吸収層)、合わせガラスに利用される中間膜層などの機能層の1つ以上を有していてもよい。
〔基材〕
赤外遮蔽フィルムの基材としては、種々の樹脂フィルムを用いることができ、ポリオレフィンフィルム(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリ塩化ビニル、3酢酸セルロース等を用いることができ、好ましくはポリエステルフィルムである。ポリエステルフィルム(以降ポリエステルと称す)としては、特に限定されるものではないが、ジカルボン酸成分とジオール成分を主要な構成成分とするフィルム形成性を有するポリエステルであることが好ましい。
主要な構成成分のジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸などを挙げることができる。また、ジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビスフェノールフルオレンジヒドロキシエチルエーテル、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ハイドロキノン、シクロヘキサンジオールなどを挙げることができる。これらを主要な構成成分とするポリエステルの中でも透明性、機械的強度、寸法安定性などの点から、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸や2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジオール成分として、エチレングリコールや1,4−シクロヘキサンジメタノールを主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。中でも、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートを主要な構成成分とするポリエステルや、テレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールからなる共重合ポリエステル、およびこれらのポリエステルの二種以上の混合物を主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。
本発明に用いられるフィルム基材の厚みは、10〜300μm、特に20〜150μmであることが好ましい。また、本発明のフィルム基材は、2枚重ねたものであっても良く、この場合、その種類が同じでも異なってもよい。
[赤外遮蔽フィルムの製造方法]
本発明の赤外遮蔽フィルムの製造方法について特に制限はなく、基材上に、高屈折率層と低屈折率層とから構成されるユニットを少なくとも1つ形成することができるのであれば、いかなる方法でも用いられうる。
本発明の赤外遮蔽フィルムの製造方法では、基材上に高屈折率層と低屈折率層とから構成されるユニットを積層して形成されるが、具体的には高屈折率層用塗布液と低屈折率層用塗布液とを交互に塗布、乾燥して積層体を形成することが好ましい。塗布法を用いることにより、ドライ製膜法と比較して、製造コストを削減可能であり、さらに大面積の赤外遮蔽フィルムを提供することができる。具体的には以下の形態が挙げられる;(1)基材上に、高屈折率層塗布液を塗布し乾燥して高屈折率層を形成した後、低屈折率層塗布液を塗布し乾燥して低屈折率層を形成し、赤外遮蔽フィルムを形成する方法;(2)基材上に、低屈折率層塗布液を塗布し乾燥して低屈折率層を形成した後、高屈折率層塗布液を塗布し乾燥して高屈折率層を形成し、赤外遮蔽フィルムを形成する方法;(3)基材上に、高屈折率層塗布液と、低屈折率層塗布液とを交互に逐次重層塗布した後乾燥して、高屈折率層、および低屈折率層を含む赤外遮蔽フィルムを形成する方法;(4)基材上に、高屈折率層塗布液と、低屈折率層塗布液とを同時重層塗布し、乾燥して、高屈折率層、および低屈折率層を含む赤外遮蔽フィルムを形成する方法;などが挙げられる。なかでも、より簡便な製造プロセスとなる上、各層の界面が明確に分かれにくい上記(4)の方法が好ましい。すなわち、前記塗布工程を、前記高屈折率層用塗布液および前記低屈折率層用塗布液を同時重層塗布することにより行なうと好ましい。
塗布方式としては、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法、あるいは米国特許第2,761,419号、同第2,761,791号公報に記載のホッパーを使用するスライドビード塗布方法、エクストルージョンコート法等が好ましく用いられる。
同時重層塗布を行う際の高屈折率層塗布液と低屈折率層塗布液の粘度としては、スライドビード塗布方式を用いる場合には、5〜100mPa・sの範囲が好ましく、さらに好ましくは10〜50mPa・sの範囲である。また、カーテン塗布方式を用いる場合には、5〜1200mPa・sの範囲が好ましく、さらに好ましくは25〜500mPa・sの範囲である。
また、塗布液の15℃における粘度としては、100mPa・s以上が好ましく、100〜30,000mPa・sがより好ましく、さらに好ましくは3,000〜30,000mPa・sであり、最も好ましいのは10,000〜30,000mPa・sである。
塗布および乾燥方法としては、高屈折率層塗布液および低屈折率層塗布液を30℃以上に加温して、塗布を行った後、形成した塗膜の温度を1〜15℃に一旦冷却し、10℃以上で乾燥することが好ましく、より好ましくは、乾燥条件として、湿球温度5〜50℃、膜面温度10〜50℃の範囲の条件で行うことである。また、塗布直後の冷却方式としては、形成された膜厚の制御が容易となり、且つ緻密に膜厚を制御することができるため、水平セット方式で行うことが好ましい。
本発明においては、高屈折率層と低屈折率層のうち少なくとも1層の膜厚が面内で変動している(すなわち、膜厚が不均一に形成されている)ことを特徴としている。このように、膜厚を変動させる手段としては、凹凸が形成された基材上に塗布液を塗布する方法や、フィルムを作成後に金型を押しつけて成形する方法などがあるが、これらの中でも、塗布時に膜厚を変動させることが簡便であり、望ましい。同時重層塗布で塗布時に膜厚を変動させる方法としては、コーターに供給する塗布液の流量を変化させる方法や、フィルム搬送速度を変化させる方法、乾燥前の塗布膜に振動を与えたり空気を吹き付けたりする方法が挙げられるが、塗布液の流量を変化させる方法が膜厚の変動量を制御しやすいため、好ましい。
すなわち、基材上に、高屈折率層用塗布液と、低屈折率層用塗布液と、を塗布する塗布工程を含み、該塗布工程において、少なくとも一つの前記高屈折率層用塗布液または前記低屈折率層用塗布液の厚みを変動させながら塗布する方法であると好ましい。
塗布液の流量を変化させる方法について、以下、詳細に説明する。本発明において、塗布液を基材上に塗布する際、材料供給装置(すなわち、ギアポンプやチューブポンプ等)によりコーターまで塗布液が送液され、連続搬送された基材上に塗布液が塗布される。このとき、ポンプにおいて発生する連続した微弱な振動(脈動)や、塗布液の流動部分のシールの程度、基材の搬送速度(塗布速度)などを制御することにより、塗工量のばらつきを発生させることが可能となる。このとき、コーターの近傍(たとえば、送液タンクとコーターの間等)に圧力計を配設することにより、ポンプの脈動に起因する塗布液の吐出時と非吐出時の圧力を測定することができる。したがって、適当なポンプを選択すると共に、基材の搬送速度や塗布液の吐出時の圧力を適当な範囲で制御することにより、基材に対する塗布液の平均流量に対して周期的に流量変動を起こす(すなわち、コーターにおいて塗布液の吐出量を調節する)ことができ、その結果、塗膜の厚みの変動量を制御することができる。なお、膜厚の変動率(V)を適当な範囲とするために、ポンプの脈動による流量変化については、平均流量に対して±2%〜±50%(すなわち、絶対値で2%以上50%以下)の周期的な流量変動が起こるように調整すると好ましい。すなわち、前記塗布工程において、少なくとも一つの前記高屈折率層用塗布液または前記低屈折率層用塗布液の流量を、平均流量に対して±2%〜±50%の範囲で周期的に変動させることにより層の厚みを変動させると好ましい。より好ましくは、±4%〜±15%(すなわち、絶対値で4%以上15%以下)の範囲である。
また、塗布液の流量を変化させる方法としては、上記のようにポンプの脈動を用いる以外にも、コータースリットに溝を設け、塗布液の吐出部分を不均一とする手法を採用してもよい。
高屈折率層塗布液および低屈折率層塗布液を調製するための溶媒は、特に制限されないが、水、有機溶媒、またはその混合溶媒が好ましい。
前記有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノールなどのアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのエステル類、ジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類、アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノンなどのケトン類などが挙げられる。これら有機溶媒は、単独でもまたは2種以上混合して用いてもよい。環境面、操作の簡便性などから、塗布液の溶媒としては、特に水、または水とメタノール、エタノール、もしくは酢酸エチルとの混合溶媒が好ましく、水がより好ましい。
高屈折率層塗布液中の樹脂バインダーの濃度は、0.5〜10質量%であることが好ましい。また、高屈折率層塗布液中の金属酸化物粒子の濃度は、1〜50質量%であることが好ましい。
低屈折率層塗布液中の水溶性高分子の濃度は、1〜10質量%であることが好ましい。また、低屈折率層塗布液中の金属酸化物粒子の濃度は、1〜50質量%であることが好ましい。
高屈折率層塗布液および低屈折率層塗布液の調製方法は、特に制限されず、例えば、金属酸化物粒子、樹脂バインダー、および必要に応じて添加されるその他の添加剤を添加し、攪拌混合する方法が挙げられる。この際、各成分の添加順も特に制限されず、攪拌しながら各成分を順次添加し混合してもよいし、攪拌しながら一度に添加し混合してもよい。必要に応じて、さらに溶媒を用いて、適当な粘度に調製される。
本発明においては、体積平均粒径が100nm以下のルチル型の酸化チタンを添加、分散して調製した水系の高屈折率層塗布液を用いて、高屈折率層を形成することが好ましい。
〔赤外遮蔽フィルムの応用:赤外遮蔽体〕
本発明の赤外遮蔽フィルムは、幅広い分野に応用することができる。したがって、本発明は、上記の赤外遮蔽フィルム、または上記の製造方法により得られる赤外遮蔽フィルムが、基材の少なくとも一方の面に設けられている、赤外遮蔽体にも関する。例えば、建物の屋外の窓や自動車窓等長期間太陽光に晒らされる設備(基体)に貼り合せ、熱線反射効果を付与する熱線反射フィルム等の窓貼用フィルム、農業用ビニールハウス用フィルム等として、主として耐候性を高める目的で用いられる。特に、本発明に係る赤外光遮蔽フィルムが直接もしくは接着剤を介してガラスもしくはガラス代替樹脂等の基体に貼合されている部材には好適である。
接着剤は、窓ガラスなどに貼り合わせたとき、赤外遮蔽フィルムが日光(熱線)入射面側にあるように設置する。また赤外遮蔽フィルムを窓ガラスと基材との間に挟持すると、水分等や周囲ガスから封止することができ、耐久性の観点から好ましい。本発明の赤外遮蔽フィルムを屋外や車の外側(外貼り用)に設置しても環境耐久性があって好ましい。
本発明に適用可能な接着剤としては、光硬化性もしくは熱硬化性の樹脂を主成分とする接着剤を用いることができる。
接着剤は紫外線に対して耐久性を有するものが好ましく、アクリル系粘着剤またはシリコーン系粘着剤が好ましい。更に粘着特性やコストの観点から、アクリル系粘着剤が好ましい。特に剥離強さの制御が容易なことから、アクリル系粘着剤において、溶剤系およびエマルジョン系の中で溶剤系が好ましい。アクリル溶剤系粘着剤として溶液重合ポリマーを使用する場合、そのモノマーとしては公知のものを使用できる。
また、合わせガラスの中間層として用いられるポリビニルブチラール系樹脂、あるいはエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂を用いてもよい。具体的には可塑性ポリビニルブチラール〔積水化学工業社製、三菱モンサント社製等〕、エチレン−酢酸ビニル共重合体〔デュポン社製、武田薬品工業社製、デュラミン〕、変性エチレン−酢酸ビニル共重合体〔東ソー社製、メルセンG〕等である。なお、接着層には紫外線吸収剤、抗酸化剤、帯電防止剤、熱安定剤、滑剤、充填剤、着色、接着調整剤等を適宜添加配合してもよい。
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
《赤外遮蔽フィルムの作製》
[塗布液の調製]
(低屈折率層用塗布液L1の調製)
コロイダルシリカ(スノーテックスOXS、日産化学工業社製、固形分10質量%)12質量部に、ポリビニルアルコール(PVA―103、重合度300、鹸化度98.5mol%、クラレ社製)の5質量%水溶液2質量部、3質量%ホウ酸水溶液10質量部をそれぞれ添加した後、45℃に加熱し、撹拌しながら、ポリビニルアルコール(PVA―117、重合度1700、鹸化度98.5mol%、クラレ社製)の5質量%水溶液20質量部、界面活性剤(ラピゾールA30、日油製)の1質量%水溶液1質量部を添加し、純水55質量部を加えて低屈折率層用塗布液L1を調製した。
(シリカ付着二酸化チタンゾルの調製)
15.0質量%酸化チタンゾル(SRD−W、体積平均粒径5nm、ルチル型二酸化チタン粒子、堺化学社製)0.5質量部に純水2質量部を加えた後、90℃に加熱した。次いで、ケイ酸水溶液(ケイ酸ソーダ4号(日本化学社製)をSiO濃度が2.0質量%となるように純水で希釈したもの)1.3質量部を徐々に添加し、ついでオートクレーブ中、175℃で18時間加熱処理を行い、冷却後、限外濾過膜にて濃縮することにより、固形分濃度が、20質量%のSiOを表面に付着させた二酸化チタンゾル(以下シリカ付着二酸化チタンゾル)を得た。
(高屈折率層用塗布液H1の調製)
前記シリカ付着二酸化チタンゾル(固形分20.0質量%)30質量部に、ポリビニルアルコール(PVA―103、重合度300、鹸化度98.5mol%、クラレ社製)の5質量%水溶液2質量部、3質量%ホウ酸水溶液10質量部、2質量%クエン酸水溶液10質量部をそれぞれ添加した後、45℃に加熱し、撹拌しながら、ポリビニルアルコール(PVA―617、重合度1700、鹸化度95.0mol%、クラレ社製)の5質量%水溶液20質量部、界面活性剤(ラピゾールA30、日油社製)の1質量%水溶液1質量部を添加し、純水27質量部を加えて高屈折率層用塗布液H1を調製した。
[赤外遮蔽フィルムの作製]
(実施例:試料1の作製)
9層重層塗布可能なスライドホッパー塗布装置を用い、低屈折率層用塗布液L1および高屈折率層用塗布液H1を45℃に保温しながら、45℃に加温した厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製A4300:両面易接着層)上に、それぞれ交互に、乾燥時の平均膜厚が低屈折率層は各層150nm、高屈折率層は各層150nmになるように計9層の同時重層塗布を行なった。このとき、基材側から第1層(最下層)、第2層、第3層、第4層、第5層、第6層、第7層、第8層、第9層となるように、塗布液をスライドホッパー塗布装置に送液したが、第1層〜第9層は送液タンクを加圧することにより送液を行なった。送液タンクとスライドホッパー塗布装置の間に設けた流量計(FD−SS2A,キーエンス社製)により、流量を確認したところ、第1層〜第9層への送液流路では流量変動はほとんどない(平均流量に対して±1%未満)ことを確認した。またスライドホッパー塗布装置は、第9層において膜厚を不均一に形成するため、第9層のコータースリットに幅方向0.3mmピッチで0.1mm幅0.1mm深さの溝を形成したものを用いた。上記9層重層塗布品の上に、さらに9層重層塗布を2回行なった。このときは前記コータースリットの溝がないものを用い、すべての層を送液タンクの加圧により送液を行なった。このようにして計27層からなる試料1を作製した。なお、膜厚の評価については後で詳述するが、試料1において、膜厚を不均一に形成した第9層の膜厚の変動率(V)は33%であった。
(実施例:試料2の作製)
9層重層塗布可能なスライドホッパー塗布装置を用い、低屈折率層用塗布液L1および高屈折率層用塗布液H1を45℃に保温しながら、45℃に加温した厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製A4300:両面易接着層)上に、それぞれ交互に、乾燥時の平均膜厚が低屈折率層は各層150nm、高屈折率層は各層150nmになるように計9層の同時重層塗布を塗布速度30m/minの条件で行った。このとき、基材側から第1層(最下層)、第2層、第3層、第4層、第5層、第6層、第7層、第8層、第9層となるように、塗布液をスライドホッパー塗布装置に送液したが、第9層はギヤポンプ(GX−12、イワキ社製)により、第1層〜第8層は送液タンクを加圧することにより送液を行なった。送液タンクとスライドホッパー塗布装置の間に設けた流量計(FD−SS2A,キーエンス社製)により、流量を確認したところ、第9層への送液流路では平均流量に対して±4%程度の周期的な流量変動があり、第1層〜第8層への送液流路では流量変動はほとんどない(平均流量に対して±1%未満)ことを確認した。上記9層重層塗布品の上に、さらに9層重層塗布を2回行なった。このときはすべての層を送液タンクの加圧により送液を行なった。このようにして計27層からなる試料2を作製した。なお、膜厚の評価については後で詳述するが、試料2において、膜厚を不均一に形成した第9層の膜厚の変動率(V)は2%であった。
(実施例:試料3の作製)
9層重層塗布可能なスライドホッパー塗布装置を用い、低屈折率層用塗布液L1および高屈折率層用塗布液H1を45℃に保温しながら、45℃に加温した厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製A4300:両面易接着層)上に、それぞれ交互に、乾燥時の平均膜厚が低屈折率層は各層150nm、高屈折率層は各層150nmになるように計9層の同時重層塗布を塗布速度30m/minの条件で行った。このとき、基材側から第1層(最下層)、第2層、第3層、第4層、第5層、第6層、第7層、第8層、第9層となるように、塗布液をスライドホッパー塗布装置に送液したが、第9層は、送液タンクを2つ用意して一方はギヤポンプ(GX−12、イワキ社製)で、もう一方は送液タンクを加圧することにより送液を行ない、流量計の前で合流させて送液した。送液タンクとスライドホッパー塗布装置の間に設けた流量計(FD−SS2A,キーエンス社製)により、流量を確認しながらギヤポンプ送液と加圧送液の混合量を調節し、第9層への送液流路で平均流量に対して±2%程度の周期的な流量変動が起こるように調整した。第1層〜第8層は送液タンクを加圧することにより送液を行ない、第1層〜第8層への送液流路では流量変動はほとんどない(平均流量に対して±1%未満)ことを確認した。上記9層重層塗布品の上に、さらに9層重層塗布を2回行なった。このときはすべての層を送液タンクの加圧により送液を行なった。このようにして計27層からなる試料3を作製した。なお、膜厚の評価については後で詳述するが、試料3において、膜厚を不均一に形成した第9層の膜厚の変動率(V)は1%であった。
(実施例:試料4の作製)
9層重層塗布可能なスライドホッパー塗布装置を用い、低屈折率層用塗布液L1および高屈折率層用塗布液H1を45℃に保温しながら、45℃に加温した厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製A4300:両面易接着層)上に、それぞれ交互に、乾燥時の平均膜厚が低屈折率層は各層150nm、高屈折率層は各層150nmになるように計9層の同時重層塗布を塗布速度30m/minの条件で行った。このとき、基材側から第1層(最下層)、第2層、第3層、第4層、第5層、第6層、第7層、第8層、第9層となるように、塗布液をスライドホッパー塗布装置に送液したが、第9層は、送液タンクを2つ用意して一方はチューブポンプ(WM−520、イワキ社製)で、もう一方は送液タンクを加圧することにより送液を行ない、流量計の前で合流させて送液した。送液タンクとスライドホッパー塗布装置の間に設けた流量計(FD−SS2A,キーエンス社製)により、流量を確認しながらギヤポンプ送液と加圧送液の混合量を調節し、第9層への送液流路で平均流量に対して±15%程度の周期的な流量変動が起こるように調整した。第1層〜第8層は送液タンクを加圧することにより送液を行ない、第1層〜第8層への送液流路では流量変動はほとんどない(平均流量に対して±1%未満)ことを確認した。上記9層重層塗布品の上に、さらに9層重層塗布を2回行なった。このときはすべての層を送液タンクの加圧により送液を行なった。このようにして計27層からなる試料4を作製した。なお、膜厚の評価については後で詳述するが、試料4において、膜厚を不均一に形成した第9層の膜厚の変動率(V)は8%であった。
(実施例:試料5の作製)
9層重層塗布可能なスライドホッパー塗布装置を用い、低屈折率層用塗布液L1および高屈折率層用塗布液H1を45℃に保温しながら、45℃に加温した厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製A4300:両面易接着層)上に、それぞれ交互に、乾燥時の平均膜厚が低屈折率層は各層150nm、高屈折率層は各層150nmになるように計9層の同時重層塗布を塗布速度30m/minの条件で行った。このとき、基材側から第1層(最下層)、第2層、第3層、第4層、第5層、第6層、第7層、第8層、第9層となるように、塗布液をスライドホッパー塗布装置に送液したが、第9層は、送液タンクを2つ用意して一方はチューブポンプ(WM−520、イワキ社製)で、もう一方は送液タンクを加圧することにより送液を行ない、流量計の前で合流させて送液した。送液タンクとスライドホッパー塗布装置の間に設けた流量計(FD−SS2A,キーエンス社製)により、流量を確認しながらギヤポンプ送液と加圧送液の混合量を調節し、第9層への送液流路で平均流量に対して±30%程度の周期的な流量変動が起こるように調整した。第1層〜第8層は送液タンクを加圧することにより送液を行ない、第1層〜第8層への送液流路では流量変動はほとんどない(平均流量に対して±1%未満)ことを確認した。上記9層重層塗布品の上に、さらに9層重層塗布を2回行なった。このときはすべての層を送液タンクの加圧により送液を行なった。このようにして計27層からなる試料5を作製した。なお、膜厚の評価については後で詳述するが、試料5において、膜厚を不均一に形成した第9層の膜厚の変動率(V)は20%であった。
(実施例:試料6の作製)
9層重層塗布可能なスライドホッパー塗布装置を用い、低屈折率層用塗布液L1および高屈折率層用塗布液H1を45℃に保温しながら、45℃に加温した厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製A4300:両面易接着層)上に、それぞれ交互に、乾燥時の平均膜厚が低屈折率層は各層150nm、高屈折率層は各層150nmになるように計9層の同時重層塗布を塗布速度30m/minの条件で行った。このとき、基材側から第1層(最下層)、第2層、第3層、第4層、第5層、第6層、第7層、第8層、第9層となるように、塗布液をスライドホッパー塗布装置に送液したが、第9層は、送液タンクを2つ用意して一方はチューブポンプ(WM−520、イワキ社製)で、もう一方は送液タンクを加圧することにより送液を行ない、流量計の前で合流させて送液した。送液タンクとスライドホッパー塗布装置の間に設けた流量計(FD−SS2A,キーエンス社製)により、流量を確認しながらギヤポンプ送液と加圧送液の混合量を調節し、第9層への送液流路で平均流量に対して±50%程度の周期的な流量変動が起こるように調整した。第1層〜第8層は送液タンクを加圧することにより送液を行ない、第1層〜第8層への送液流路では流量変動はほとんどない(平均流量に対して±1%未満)ことを確認した。上記9層重層塗布品の上に、さらに9層重層塗布を2回行なった。このときはすべての層を送液タンクの加圧により送液を行なった。このようにして計27層からなる試料6を作製した。なお、膜厚の評価については後で詳述するが、試料6において、膜厚を不均一に形成した第9層の膜厚の変動率(V)は41%であった。
(実施例:試料7の作製)
9層重層塗布可能なスライドホッパー塗布装置を用い、低屈折率層用塗布液L1および高屈折率層用塗布液H1を45℃に保温しながら、45℃に加温した厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製A4300:両面易接着層)上に、それぞれ交互に、乾燥時の平均膜厚が低屈折率層は各層150nm、高屈折率層は各層150nmになるように計9層の同時重層塗布を塗布速度30m/minの条件で行った。このとき、基材側から第1層(最下層)、第2層、第3層、第4層、第5層、第6層、第7層、第8層、第9層となるように、塗布液をスライドホッパー塗布装置に送液したが、第1層〜第9層は送液タンクを加圧することにより送液を行なった。第1層〜第9層への送液流路では流量変動はほとんどない(±1%未満)ことを確認した。上記9層重層塗布品の上に、同様にしてさらに9層重層塗布を行ない第10層〜第18層を形成した。上記18層重層塗布品の上に、さらに9層重層塗布を行ない第19層〜第27層を形成したが、このとき第27層はギヤポンプ(GX−12、イワキ社製)により、第19層〜第26層は送液タンクを加圧することにより送液を行なった。送液タンクとスライドホッパー塗布装置の間に設けた流量計(FD−SS2A,キーエンス社製)により、流量を確認したところ、第27層への送液流路では平均流量に対して±4%程度の周期的な流量変動があり、第19層〜第26層への送液流路では流量変動はほとんどない(平均流量に対して±1%未満)ことを確認した。このようにして計27層からなる試料7を作製した。なお、膜厚の評価については後で詳述するが、試料7において、膜厚を不均一に形成した第27層の膜厚の変動率(V)は2%であった。
(実施例:試料8の作製)
9層重層塗布可能なスライドホッパー塗布装置を用い、低屈折率層用塗布液L1および高屈折率層用塗布液H1を45℃に保温しながら、45℃に加温した厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製A4300:両面易接着層)上に、それぞれ交互に、乾燥時の平均膜厚が低屈折率層は各層150nm、高屈折率層は各層150nmになるように計9層の同時重層塗布を塗布速度30m/minの条件で行った。このとき、基材側から第1層(最下層)、第2層、第3層、第4層、第5層、第6層、第7層、第8層、第9層となるように、塗布液をスライドホッパー塗布装置に送液したが、第1層はギヤポンプ(GX−12、イワキ社製)により、第2層〜第9層は送液タンクを加圧することにより送液を行なった。送液タンクとスライドホッパー塗布装置の間に設けた流量計(FD−SS2A,キーエンス社製)により、流量を確認したところ、第1層への送液流路では平均流量に対して±4%程度の周期的な流量変動があり、第2層〜第9層への送液流路では流量変動はほとんどない(平均流量に対して±1%未満)ことを確認した。上記9層重層塗布品の上に、さらに9層重層塗布を2回行なった。このときはすべての層を送液タンクの加圧により送液を行なった。このようにして計27層からなる試料8を作製した。なお、膜厚の評価については後で詳述するが、試料8において、膜厚を不均一に形成した第1層の膜厚の変動率(V)は2%であった。
(比較例:試料9の作製)
9層重層塗布可能なスライドホッパー塗布装置を用い、低屈折率層用塗布液L1および高屈折率層用塗布液H1を45℃に保温しながら、45℃に加温した厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製A4300:両面易接着層)上に、それぞれ交互に、乾燥時の平均膜厚が低屈折率層は各層150nm、高屈折率層は各層150nmになるように計9層の同時重層塗布を塗布速度30m/minの条件で行った。このとき、基材側から第1層(最下層)、第2層、第3層、第4層、第5層、第6層、第7層、第8層、第9層となるように、塗布液をスライドホッパー塗布装置に送液したが、第1層〜第9層は送液タンクを加圧することにより送液を行なった。送液タンクとスライドホッパー塗布装置の間に設けた流量計(FD−SS2A,キーエンス社製)により、流量を確認したところ、第1層〜第9層への送液流路では流量変動はほとんどない(平均流量に対して±1%未満)ことを確認した。上記9層重層塗布品の上に、さらに9層重層塗布を2回行なった。このときはすべての層を送液タンクの加圧により送液を行なった。このようにして計27層からなる試料9を作製した。なお、膜厚の評価については後で詳述するが、試料9において、いずれの層も膜厚はほぼ均一であり、膜厚の変動率(V)は1%未満であった。
(比較例:試料10の作製)
9層重層塗布可能なスライドホッパー塗布装置を用い、低屈折率層用塗布液L1および高屈折率層用塗布液H1を45℃に保温しながら、45℃に加温した厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製A4300:両面易接着層)上に、それぞれ交互に、乾燥時の平均膜厚が低屈折率層は各層150nm、高屈折率層は各層150nmになるように計9層の同時重層塗布を塗布速度30m/minの条件で行った。このとき、基材側から第1層(最下層)、第2層、第3層、第4層、第5層、第6層、第7層、第8層、第9層となるように、塗布液をスライドホッパー塗布装置に送液したが、第9層はチューブポンプ(WM−520、イワキ社製) により、第1層〜第8層は送液タンクを加圧することにより送液を行なった。送液タンクとスライドホッパー塗布装置の間に設けた流量計(FD−SS2A,キーエンス社製)により、流量を確認したところ、第9層への送液流路では平均流量に対して±90%程度の周期的な流量変動があり、第1層〜第8層への送液流路では流量変動はほとんどない(平均流量に対して±1%未満)ことを確認した。上記9層重層塗布品の上に、さらに9層重層塗布を2回行なった。このときはすべての層を送液タンクの加圧により送液を行なった。このようにして計27層からなる試料10を作製した。なお、膜厚の評価については後で詳述するが、試料10において、膜厚を不均一に形成した第9層の膜厚の変動率(V)は78%であった。
《赤外遮蔽フィルムの評価》
上記で作製した各赤外遮蔽フィルム(試料1〜10)について、下記の性能評価を行った。
(膜厚変動率の測定)
上記作製した各赤外遮蔽フィルムの断面を、電子顕微鏡(FE−SEM、S−5000H型、日立製作所製)を用いて、加速電圧2.0kVの条件で1cm長さが観察できるように視野数を選び観察した。画像は、デジタル化し接続されたファイリング装置(VIDEOBANK)に転送しMOディスク中に保存した。続いて、画像処理装置にてコントラストを調整し、各層の膜厚を1000点測定して膜厚の平均値(μ)と膜厚の標準偏差(σ)を算出した。膜厚の測定は複数の方向(少なくとも、互いに直交した2方向)に沿った断面についてそれぞれおこない、膜厚の標準偏差(σ)が最も大きい方向の測定値を採用した。膜厚の標準偏差(σ)を膜厚変動幅として、膜厚の平均値に対する膜厚変動率(V)を下記の式1により求めた。
Figure 2013099877
試料1〜10について、それぞれの膜厚変動率(V)を以下の表1に示す。
(各層の単膜屈折率の測定)
基材上に屈折率を測定する対象層(高屈折率層、低屈折率層)をそれぞれ単層で塗設したサンプルを作製し、下記の方法に従って、高屈折率層および低屈折率層の屈折率を求めた。
分光光度計として、U−4000型(日立製作所社製)を用いて、各サンプルの測定側の裏面を粗面化処理した後、黒色のスプレーで光吸収処理を行って裏面での光の反射を防止して、5度正反射の条件にて可視光領域(400nm〜700nm)の反射率の測定結果より、屈折率を求めた。
上記方法に従って各層の屈折率を測定した結果、高屈折率層と低屈折率層とで積層された積層構造であっても、各層の屈折率は材料に依存するものであってほぼ固有の値であるため、高屈折率層、低屈折率層の屈折率差は、いずれも0.1以上であることを確認した。
(可視光透過率および近赤外透過率の測定)
上記分光光度計(積分球使用、日立製作所社製、U−4000型)を用い、赤外遮蔽フィルム試料の300nm〜2000nmの領域における透過率を測定した。可視光透過率は550nmにおける透過率の値を、近赤外透過率は1200nmにおける透過率の値を用いることにより、それぞれの透過率を評価した。以下の表1に結果を示す。
(L値の測定)
上記分光光度計(積分球使用、日立製作所社製、U−4000型)を用い、各サンプルの測定側の裏面を粗面化処理した後、黒色のスプレーで光吸収処理を行って裏面での光の反射を防止して、5度正反射の条件と45度正反射の条件にて可視光領域(360nm〜740nm)の反射率の測定結果より、L値を求め、5度正反射の条件と45度正反射の条件の色差ΔEをΔE=[(Δa+(Δb+(ΔL]1/2より算出した。
(表面均一性(ヘイズ値)の測定)
ヘイズ値は、ヘイズメーター(日本電色工業社製、NDH2000)により測定した。
1.5%以下 ○
1.5%超〜2%以下 △
2%超 ×
評価結果を表1に示す。
Figure 2013099877
表1に示されるように、本発明の実施例に相当する試料1〜8は、色差、ヘイズ共にバランスよく良好な結果が得られた。すなわち、膜厚の変動率(V)が1%以上50%以下であるとき、色差、ヘイズ共に実用に適する値が得られた。また、特に試料2,4,7,8は、色差およびヘイズが小さく、色ムラがより認識されにくい赤外遮蔽フィルムが得られたことを示している。換言すると、膜厚の変動率(V)が2%以上10%以下であるとき、色差が10よりも小さくなると共に、ヘイズも1.5%以下となり、より色ムラの認識されにくい赤外遮蔽フィルムを得ることができる。さらに、膜厚変動層を最表層(第27層)または最下層(第1層)としたとき、色差がきわめて小さく、且つヘイズも小さいこともまた示されている。したがって、膜厚変動層を最表層または最下層とすると、極めて色ムラの小さい良好な赤外遮蔽フィルムが得られることが示された。
一方、比較例に相当する試料9および10は、色差、またはヘイズのいずれか一方において実用には適さない値となった。すなわち、膜厚の変動幅(V)が1%未満、または50%よりも大きいときは色差、ヘイズの両方について良好な値を得ることができないことが示された。
〔赤外遮蔽体の作製〕
前記作製した赤外遮蔽フィルム1〜8の赤外遮蔽フィルムを用いて赤外遮蔽体1〜8を作製した。厚さ5mm、20cm×20cmの透明アクリル樹脂板上に、赤外遮蔽フィルム1〜8をアクリル接着剤で接着して、それぞれ赤外遮蔽体1〜8を作製した。
〔評価〕
上記作製した赤外遮蔽体1〜8は、サイズが大きいにもかかわらず、容易に利用可能であり、また、本発明の赤外遮蔽フィルムを利用することで、優れた光反射性(色ムラの軽減)を確認することができた。
なお、本出願は、2011年12月28日に出願された日本特許出願番号2011−289198号に基づいており、その開示内容は、参照され、全体として、組み入れられている。

Claims (9)

  1. 基材上に、高屈折率層と低屈折率層とを積層したユニットを少なくとも1つ含む赤外遮蔽フィルムであって、
    前記高屈折率層および前記低屈折率層のうち、少なくとも1層は、厚みが不均一に形成され、
    前記厚みが不均一に形成された層において、厚みの標準偏差をσ、厚みの平均値をμとしたとき、下記の式1で表される厚みの変動率(V)が、1%以上50%以下である、赤外遮蔽フィルム。
    Figure 2013099877
  2. 前記厚みの変動率(V)が2%以上10%以下である、請求項1に記載の赤外遮蔽フィルム。
  3. 前記高屈折率層および前記低屈折率層のうち、少なくとも前記基材から最も遠くに位置する最表層の厚みが不均一に形成されている、請求項1または2に記載の赤外遮蔽フィルム。
  4. 前記高屈折率層および前記低屈折率層のうち、少なくとも前記基材の最も近くに位置する最下層の厚みが不均一に形成されている、請求項1〜3のいずれかに記載の赤外遮蔽フィルム。
  5. 前記高屈折率層と前記低屈折率層との屈折率差は、0.1以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の赤外遮蔽フィルム。
  6. 基材上に、高屈折率層用塗布液と、低屈折率層用塗布液と、を塗布する塗布工程を含み、
    該塗布工程において、少なくとも一つの前記高屈折率層用塗布液または前記低屈折率層用塗布液の厚みを変動させながら塗布する、赤外遮蔽フィルムの製造方法。
  7. 前記塗布工程において、少なくとも一つの前記高屈折率層用塗布液または前記低屈折率層用塗布液の流量を、平均流量に対して±2%〜±50%の範囲で周期的に変動させることにより層の厚みを変動させる、請求項6に記載の赤外遮蔽フィルムの製造方法。
  8. 前記塗布工程を、前記高屈折率層用塗布液および前記低屈折率層用塗布液を同時重層塗布することにより行なう、請求項6または7に記載の赤外遮蔽フィルムの製造方法。
  9. 請求項1〜5のいずれかに記載の赤外遮蔽フィルム、または請求項6〜8のいずれかに記載の製造方法により得られる赤外遮蔽フィルムが、基材の少なくとも一方の面に設けられている、赤外遮蔽体。
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