JP2015152631A - 光学フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】高い紫外線遮蔽性および赤外線遮蔽性を有し、機械的強度が高く、長期使用においても、透明性に優れ反りや膜剥がれの発生が抑制される、光学フィルムを提供する。
【解決手段】第1の水溶性バインダー樹脂と第1の金属酸化物粒子とを含む高屈折率層(H1)および第2の水溶性バインダー樹脂と第2の金属酸化物粒子とを含む低屈折率層(L1)を交互に積層してなる紫外線遮蔽層、第1の基材、第3の水溶性バインダー樹脂と第3の金属酸化物粒子とを含む高屈折率層(H2)および第4の水溶性バインダー樹脂と第4の金属酸化物粒子とを含む低屈折率層(L2)を交互に積層してなる赤外線遮蔽層、ならびに第2の基材、を、光入射側からこの順に含む、光学フィルム。
【選択図】図1
【解決手段】第1の水溶性バインダー樹脂と第1の金属酸化物粒子とを含む高屈折率層(H1)および第2の水溶性バインダー樹脂と第2の金属酸化物粒子とを含む低屈折率層(L1)を交互に積層してなる紫外線遮蔽層、第1の基材、第3の水溶性バインダー樹脂と第3の金属酸化物粒子とを含む高屈折率層(H2)および第4の水溶性バインダー樹脂と第4の金属酸化物粒子とを含む低屈折率層(L2)を交互に積層してなる赤外線遮蔽層、ならびに第2の基材、を、光入射側からこの順に含む、光学フィルム。
【選択図】図1
Description
本発明は、光学フィルムに関する。
窓ガラスや車窓から入り込む太陽光は、可視光線の他に紫外線や赤外線も含まれている。紫外線は、日焼けの原因ともなり、人体に対する悪影響も懸念され、またプラスチックを変質させる。一方、赤外線は、建物の室内や車内の温度上昇を引き起こし、夏場の冷房効果を低下させる。
このような、多くの波長を有する太陽光から、特定の波長の光、すなわち紫外線および赤外線を選択的に反射させ、可視光の透過性を維持する技術が求められている。
このような要求に対し、種々の提案がなされている。例えば、特許文献1には、透明基板の両面に、蒸着法により形成されるSiO2層およびTiO2層を、交互に同一の膜厚で、基板に対して上下対称となるように積層した光学フィルムが開示されている。
また、特許文献2には、可撓性ポリマーシートと、無機誘電体材料を含みかつ蒸着法により形成される高屈折率層および低屈折率層が2層以上交互に積層された交互層と、を含む熱制御フィルムを有する合わせガラスが開示されている。
さらに、特許文献3には、少なくとも1種の金属平板粒子を含有する金属粒子含有層と、少なくとも1種の紫外線吸収剤を含有する紫外線吸収層と、を有する熱線遮蔽材であって、上記金属平板粒子の主平面が、上記金属粒子含有層の一方の表面に対して特定の角度で面配向している熱線遮蔽材が開示されている。
しかしながら、上記特許文献1〜3に記載の光学フィルム、熱制御フィルムまたは熱線遮蔽材では、機械的強度が十分ではなく、また、長期使用において透明性が低下し、反りや膜剥がれが生じるという問題があった。さらに特許文献3に記載の熱線遮蔽材では、長期使用した際着色が進行し、透明性が低下するという問題もあった。
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、高い紫外線遮蔽性および赤外線遮蔽性を有し、機械的強度が高く、長期使用においても、透明性に優れ反りや膜剥がれの発生が抑制される、光学フィルムを提供することにある。
本発明者は鋭意研究を積み重ねた。その結果、光入射側から順に、水溶性バインダー樹脂と金属酸化物粒子とを含む高屈折率層および低屈折率層を交互に積層してなる紫外線遮蔽層と、第1の基材と、水溶性バインダー樹脂を含む高屈折率層および低屈折率層を交互に積層してなる赤外線遮蔽層と、第2の基材とを、含む光学フィルムにより上記課題が解決することを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.第1の水溶性バインダー樹脂と第1の金属酸化物粒子とを含む高屈折率層(H1)および第2の水溶性バインダー樹脂と第2の金属酸化物粒子とを含む低屈折率層(L1)を交互に積層してなる紫外線遮蔽層、第1の基材、第3の水溶性バインダー樹脂と第3の金属酸化物粒子とを含む高屈折率層(H2)および第4の水溶性バインダー樹脂と第4の金属酸化物粒子とを含む低屈折率層(L1)を交互に積層してなる赤外線遮蔽層、ならびに第2の基材、を、光入射側からこの順に含む、光学フィルム。
2.前記赤外線遮蔽層の膜厚に対する前記紫外線遮蔽層の膜厚の比(紫外線遮蔽層の膜厚/赤外線遮蔽層の膜厚)が、1/10〜1/2である、1.に記載の光学フィルム。
3.膜厚が100〜175μmである、1.または2.に記載の光学フィルム。
4.前記第1の基材の膜厚が前記第2の基材の膜厚よりも厚い、1.〜3.のいずれか1つに記載の光学フィルム。
5.セキュリティフィルムである、1.〜4.のいずれか1つに記載の光学フィルム。
6.少なくとも2枚のガラスが中間層を介して積層され、前記中間層は、2枚の熱可塑性樹脂を含む中間膜が1.〜5.のいずれか1つに記載の光学フィルムを挟持してなる、合わせガラス。
本発明によれば、高い紫外線遮蔽性および赤外線遮蔽性を有し、機械的強度が高く、長期使用においても、透明性に優れ反りや膜剥がれの発生が抑制される、光学フィルムが提供される。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
本発明は、第1の水溶性バインダー樹脂と第1の金属酸化物粒子とを含む高屈折率層(H1)および第2の水溶性バインダー樹脂と第2の金属酸化物粒子とを含む低屈折率層(L1)を交互に積層してなる紫外線遮蔽層、第1の基材、第3の水溶性バインダー樹脂と第3の金属酸化物粒子とを含む高屈折率層(H2)および第4の水溶性バインダー樹脂と第4の金属酸化物粒子とを含む低屈折率層(L1)を交互に積層してなる赤外線遮蔽層、ならびに第2の基材、を、光入射側からこの順に含む、光学フィルムである。
本発明に係る紫外線遮蔽層および赤外線遮蔽層は、高屈折率層および低屈折率層のそれぞれの層に水溶性バインダー樹脂および金属酸化物粒子が含まれる。これにより、それぞれの層が望ましい屈折率になるように容易に制御されると共に、紫外線遮蔽層および赤外線遮蔽層に望ましい柔軟性を付与することができる。このように本発明に係る紫外線遮蔽層および赤外線遮蔽層は、従来の蒸着法により製造された金属膜または金属酸化物膜よりも柔軟性に優れるため、長期使用においても反りや膜剥がれの発生が低減され、かつ高い紫外線遮蔽性および赤外線遮蔽性を有する光学フィルムとなる。
また、本発明の光学フィルムは、2つの基材を有しており破断しにくく、機械的強度に優れることから、セキュリティフィルムや合わせガラス用フィルムとして好適に用いることができる。
さらに、本発明の光学フィルムは、水溶性バインダー樹脂を含む紫外線遮蔽層および赤外線遮蔽層を有することから、室内や車内の湿気を除去することができ、窓ガラス、車のフロントガラス等における曇りの発生を抑制することができる。
以下、本発明の光学フィルムの構成要素、および本発明を実施するための形態等について詳細な説明をする。以下では、説明の便宜上、紫外線遮蔽層および第1の基材をまとめて「紫外線遮蔽積層部」とも称する。同様に、赤外線遮蔽層および第2の基材をまとめて「赤外線遮蔽積層部」とも称する。
[光学フィルム]
図1は、本発明の一実施形態による光学フィルムを表す断面概略図である。図1に示す光学フィルム10は、光入射側から順に、紫外線遮蔽層11、第1の基材12、粘着層13、赤外線遮蔽層14、第2の基材15を有している。
図1は、本発明の一実施形態による光学フィルムを表す断面概略図である。図1に示す光学フィルム10は、光入射側から順に、紫外線遮蔽層11、第1の基材12、粘着層13、赤外線遮蔽層14、第2の基材15を有している。
本発明の光学フィルムの全体の膜厚は、10μm〜300μmが好ましく、20μm〜250μmがより好ましく、100μm〜175μmがさらに好ましい。この範囲であれば、長期使用においても透明性に優れた光学フィルムとなる。
本発明の光学フィルムの光学特性として、JIS R3106:1998で測定される可視光透過率は好ましくは60%以上であり、より好ましくは70%以上であり、さらに好ましくは80%以上である。また、波長900nm〜1400nmの領域に反射率50%を超える領域を有することが好ましい。
≪紫外線遮蔽積層部≫
[紫外線遮蔽層]
本発明に係る紫外線遮蔽層は、第1の水溶性バインダー樹脂と第1の金属酸化物粒子とを含む高屈折率層(H1)(以下、単に高屈折率層H1とも称する)、および第2の水溶性バインダー樹脂と第2の金属酸化物粒子とを含む低屈折率層(L1)(以下、単に低屈折率層L1とも称する)とを交互に積層してなる。本発明の好適な紫外線遮蔽層は、各屈折率層の屈折率差を利用した紫外線反射層ともいえる。なお、屈折率差を利用した紫外線反射層であっても、金属酸化物の選択によって、紫外線吸収能を有していてもよいことは言うまでもない。
[紫外線遮蔽層]
本発明に係る紫外線遮蔽層は、第1の水溶性バインダー樹脂と第1の金属酸化物粒子とを含む高屈折率層(H1)(以下、単に高屈折率層H1とも称する)、および第2の水溶性バインダー樹脂と第2の金属酸化物粒子とを含む低屈折率層(L1)(以下、単に低屈折率層L1とも称する)とを交互に積層してなる。本発明の好適な紫外線遮蔽層は、各屈折率層の屈折率差を利用した紫外線反射層ともいえる。なお、屈折率差を利用した紫外線反射層であっても、金属酸化物の選択によって、紫外線吸収能を有していてもよいことは言うまでもない。
本明細書において、「高屈折率層」および「低屈折率層」なる用語は、隣接した2層の屈折率差を比較した場合に、屈折率が高い方の屈折率層を高屈折率層とし、低い方の屈折率層を低屈折率層とすることを意味する。したがって、「高屈折率層」および「低屈折率層」なる用語は、紫外線遮蔽層を構成する各屈折率層において、隣接する2つの屈折率層に着目した場合に、各屈折率層が同じ屈折率を有する形態以外のあらゆる形態を含むものである。
紫外線遮蔽層の膜厚の上限は、屈曲性の観点から、10μm以下であることが好ましく、9μm以下であることがより好ましい。かようなフィルムの薄膜化は、各屈折率層が水溶性バインダー樹脂および金属酸化物粒子を含有する場合に各屈折率層間の屈折率差を大きくすることができるため、各屈折率層が水溶性バインダー樹脂および金属酸化物粒子を含有する形態において実現しやすい。また、紫外線遮蔽層の膜厚の下限は特に限定されるものではないが、反射特性を確保する観点から0.3μm以上が好ましい。紫外線遮蔽層の膜厚は、さらに好ましくは1〜6μm、特に好ましくは1〜3μmである。
(第1および第2の水溶性バインダー樹脂)
本発明においては、高屈折率層H1および低屈折率層L1が第1および第2の水溶性バインダー樹脂を含む。第1の水溶性バインダー樹脂および第2の水溶性バインダー樹脂は同じ種類でもよいし、異なる種類であってもよい、
水溶性バインダー樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、若しくはアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、もしくはスチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのスチレンアクリル酸樹脂、スチレン−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート−スチレンスルホン酸カリウム共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体およびそれらの塩などの合成水溶性樹脂;ゼラチン、増粘多糖類などの天然水溶性樹脂などが挙げられる。これらの中で、特に好ましい例としては、製造時のハンドリングと膜の柔軟性の点から、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン類およびそれを含有する共重合体、ゼラチン、増粘多糖類(特にセルロース類)が挙げられ、中でも、光学特性の観点から、第1および第2の水溶性バインダー樹脂がともにポリビニルアルコールであることがより好ましい。これらの水溶性バインダー樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用して用いてもよい。
本発明においては、高屈折率層H1および低屈折率層L1が第1および第2の水溶性バインダー樹脂を含む。第1の水溶性バインダー樹脂および第2の水溶性バインダー樹脂は同じ種類でもよいし、異なる種類であってもよい、
水溶性バインダー樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、若しくはアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、もしくはスチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのスチレンアクリル酸樹脂、スチレン−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート−スチレンスルホン酸カリウム共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体およびそれらの塩などの合成水溶性樹脂;ゼラチン、増粘多糖類などの天然水溶性樹脂などが挙げられる。これらの中で、特に好ましい例としては、製造時のハンドリングと膜の柔軟性の点から、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン類およびそれを含有する共重合体、ゼラチン、増粘多糖類(特にセルロース類)が挙げられ、中でも、光学特性の観点から、第1および第2の水溶性バインダー樹脂がともにポリビニルアルコールであることがより好ましい。これらの水溶性バインダー樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用して用いてもよい。
本発明で用いられるポリビニルアルコールは、合成品を用いてもよいし市販品を用いてもよい。ポリビニルアルコールとして用いられる市販品の例としては、例えば、PVA−102、PVA−103、PVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−120、PVA−124、PVA−203、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−235(以上、株式会社クラレ製)、JC−25、JC−33、JF−03、JF−04、JF−05、JP−03、JP−04JP−05、JP−45(以上、日本酢ビ・ポバール株式会社製)等が挙げられる。
本発明で好ましく用いられるポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、変性ポリビニルアルコールも含まれる。変性ポリビニルアルコールとしては、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、ノニオン変性ポリビニルアルコール、ビニルアルコール系ポリマーが挙げられる。
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、平均重合度が1,000以上のものが好ましく用いられ、特に平均重合度が1,500〜5,000のものが好ましく用いられる。また、ケン化度は、70〜100モル%のものが好ましく、80〜99.5モル%のものが特に好ましい。
ここで、重合度とは粘度平均重合度を指し、JIS K6726:1994に準じて測定され、PVAを完全に再ケン化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度[η](dl/g)から次式により求められるものである。
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号公報に記載されているような、第一〜三級アミノ基や第四級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
アニオン変性ポリビニルアルコールは、例えば、特開平1−206088号公報に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号公報および同63−307979号公報に記載されているような、ビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体および特開平7−285265号公報に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号公報に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号公報に記載されている疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体、シラノール基を有するシラノール変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基やカルボニル基、カルボキシル基などの反応性基を有する反応性基変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。またビニルアルコール系ポリマーとして、エクセバール(商品名:株式会社クラレ製)やニチゴーGポリマー(商品名:日本合成化学工業株式会社製)などが挙げられる。ポリビニルアルコールは、重合度や変性の種類違いなど2種類以上を併用することもできる。
本発明に適用可能なゼラチンとしては、石灰処理ゼラチンのほか、酸処理ゼラチンを使用してもよく、さらにゼラチンの加水分解物、ゼラチンの酵素分解物を用いることもできる。
本発明で用いることのできる増粘多糖類としては、例えば、一般に知られている天然単純多糖類、天然複合多糖類、合成単純多糖類及び合成複合多糖類に挙げることができ、これら多糖類の詳細については、「生化学事典(第2版),東京化学同人出版」、「食品工業」第31巻(1988)21頁等を参照することができる。
第1および第2の水溶性バインダー樹脂の重量平均分子量は、1,000以上200,000以下が好ましい。さらには、3,000以上40,000以下がより好ましい。本明細書において、重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて下記測定条件下で測定することができる。
溶媒:0.2M NaNOH3、NaH2PO4、pH7
カラム:Shodex Column Ohpak SB−802.5 HQ、 8×300 mmとShodex Column Ohpak SB−805 HQ、 8×300 mmの組み合わせ
カラム温度:45℃
試料濃度:0.1質量%
検出器:RID−10A(株式会社島津製作所製)
ポンプ:LC−20AD(株式会社島津製作所製)
流量:1ml/min
校正曲線: Shodex スタンダード GFC(水系 GPC)カラム用 Standard P−82 標準物質プルランによる校正曲線を使用
本発明においては、水溶性バインダー樹脂を硬化させるため、硬化剤を使用してもよい。
カラム:Shodex Column Ohpak SB−802.5 HQ、 8×300 mmとShodex Column Ohpak SB−805 HQ、 8×300 mmの組み合わせ
カラム温度:45℃
試料濃度:0.1質量%
検出器:RID−10A(株式会社島津製作所製)
ポンプ:LC−20AD(株式会社島津製作所製)
流量:1ml/min
校正曲線: Shodex スタンダード GFC(水系 GPC)カラム用 Standard P−82 標準物質プルランによる校正曲線を使用
本発明においては、水溶性バインダー樹脂を硬化させるため、硬化剤を使用してもよい。
本発明に適用可能な硬化剤としては、水溶性バインダー樹脂と硬化反応を起こすものであれば特に制限はない。
水溶性樹脂がポリビニルアルコールの場合には、用いることのできる硬化剤としては、ポリビニルアルコールと硬化反応を起こすものであれば特に制限はないが、ホウ酸、ホウ酸塩、およびホウ砂からなる群から選択されることが好ましい。ホウ酸、ホウ酸塩、およびホウ砂以外にも公知のものが使用でき、一般的にはポリビニルアルコールと反応し得る基を有する化合物あるいはポリビニルアルコールが有する異なる基同士の反応を促進するような化合物であり、適宜選択して用いられる。硬化剤の具体例としては、例えば、エポキシ系硬化剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬化剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬化剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5,−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、アルミニウム明礬等が挙げられる。
ホウ酸またはホウ酸塩とは、硼素原子を中心原子とする酸素酸およびその塩のことをいい、具体的には、オルトホウ酸、二ホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸および八ホウ酸およびそれらの塩が挙げられる。
ホウ砂とは、Na2B4O5(OH)4・8H2O(四ホウ酸ナトリウム Na2B4O7の十水和物)で表される鉱物である。
硬化剤としてのホウ素原子を有するホウ酸、ホウ酸塩、およびホウ砂は、単独の水溶液でも、また、2種以上を混合して使用しても良い。ホウ酸の水溶液またはホウ酸とホウ砂の混合水溶液が好ましい。ホウ酸とホウ砂の水溶液は、それぞれ比較的希薄水溶液でしか添加することができないが、両者を混合することで濃厚な水溶液にすることができ、塗布液を濃縮化することができる。また、添加する水溶液のpHを比較的自由にコントロールすることができる。
本発明では、ホウ酸およびその塩ならびに/またはホウ砂を用いることが本発明の効果を得るためには好ましい。ホウ酸およびその塩ならびに/またはホウ砂を用いた場合には、好ましい紫外線遮蔽特性がより達成されうる。特に、高屈折率層と低屈折率層の多層重層をコーターで塗布後、一旦塗膜の膜面温度を15℃程度に冷やした後、膜面を乾燥させるセット系塗布プロセスを用いた場合には、より好ましく効果を発現することができる。
上記硬化剤の総使用量は、ポリビニルアルコール系樹脂1gあたり1〜600mgが好ましく、100〜500mgがより好ましい。
第1および第2の水溶性バインダー樹脂として、ポリビニルアルコールを用いる場合、高屈折率層に含まれるポリビニルアルコールの平均ケン化度と、低屈折率層に含まれるポリビニルアルコールの平均ケン化度とが、異なっていてもよい。
ポリビニルアルコールなどの水溶性バインダー樹脂では、水系塗布が可能となる。水系塗布の場合、通常、高屈折率層および低屈折率層を形成し得るそれぞれの塗布液を用い、前記各塗布液を逐次塗布または同時重層塗布によって高屈折率層と低屈折率層とを積層することによって製造される。しかしながら、重層塗布で得られる塗膜は、隣接する層間での混合や界面の乱れ(凹凸)が発生しがちである。逐次重層塗布の場合は、上層の塗布液を塗布した際に、形成された下層が再溶解し、上層および下層の液同士が混合し、隣接する層間での混合や界面の乱れ(凹凸)が発生する場合がある。また、同時重層塗布で得られる塗膜は、未乾燥の液状態で重ねられるために、隣接する層間での混合や界面の乱れ(凹凸)がより発生してしまう。
紫外線遮蔽層の各屈折率層は、紫外線領域を反射するために、近赤外領域等の長波長域を反射する場合と比較して屈折率層の膜厚が薄くなる。したがって、上記隣接する層間の混合は、より光学特性に影響を与えうる。
高屈折率層に含まれるポリビニルアルコールの平均ケン化度と、低屈折率層に含まれるポリビニルアルコールの平均ケン化度とを異なる構成とすることにより、反射特性がさらに向上する。このような効果は、層間混合が抑制された結果であると考えられる。ケン化度の異なるポリビニルアルコール樹脂を用いることによって、高屈折率層と低屈折率層とが未乾燥の液状態で重ねられた際に各層が多少混合したとしても、乾燥過程で溶媒である水が揮発して濃縮されるとケン化度の異なるポリビニルアルコール樹脂同士が相分離を起こし、各層の界面の面積を最小にしようとする力が働くようになるため、層間混合が抑制され界面の乱れも小さくなると推定される。層間混合が抑制されれば、所望の波長の光反射性に優れたものとなり、また、フィルムのヘイズも低下すると考えられる。
ただし、上記メカニズムは推定であり、本発明は上記メカニズムに何ら制限されるものではない。
各屈折率層中のポリビニルアルコールの平均ケン化度は、屈折率層中の含有質量比を考慮して求められる。すなわち、平均ケン化度=Σ(各ポリビニルアルコールのケン化度(mol%)×各ポリビニルアルコールの各屈折率層中の含有質量(%)/100質量(%))となる。例えば、屈折率層がポリビニルアルコールA(屈折率層中の含有質量比(各ポリビニルアルコールの各屈折率層中の含有質量(%)/100質量(%)):Wa、ケン化度:Sa(mol%))、ポリビニルアルコールB(屈折率層中の含有質量比:Wb、ケン化度:Sb(mol%))、ポリビニルアルコールC(屈折率層中の含有質量比:Wc、ケン化度:Sc(mol%))を含む場合、平均ケン化度=(Wa×Sa+Wb×Sb+Wc×Sc/(Wa+Wb+Wc)となる。
高屈折率層H1および低屈折率層L1中の水溶性バインダー樹脂の含有量は、特に限定されるものではないが、各屈折率層の全質量(固形分)に対し、好ましくは1〜50質量%であり、より好ましくは5〜30質量%である。
低屈折率層L1には、屈折率差を調整するために、含フッ素ポリマーを用いてもよい。含フッ素ポリマーとしては、フッ素含有不飽和エチレン性単量体成分を主として含有する重合物を挙げることが出来る。
フッ素含有不飽和エチレン性単量体としては、含フッ素アルケン、含フッ素アクリル酸エステル、含フッ素メタクリル酸エステル、含フッ素ビニルエステル、含フッ素ビニルエーテル等を挙げることができ、例えば、特開2013−057969号公報の段落「0181」に記載のフッ素含有不飽和エチレン性単量体を挙げることができる。フッ素含有単量体と共重合し得る単量体としては、例えば、特開2013−057969号公報の段落「0182」に記載の単量体を挙げることができる。
(第1および第2の金属酸化物粒子)
第1および第2の金属酸化物粒子は平均粒径が100nm以下であることが好ましい。用いる金属酸化物粒子の平均粒径が100nm以下であることで、光散乱を抑制し、また紫外線遮蔽層における各屈折率層の膜厚制御の際の精度を向上させることができる。ここで、本明細書において平均粒径は、一次平均粒径を指す。本明細書でいう一次平均粒径とは、粒子そのものをレーザー回折散乱法、動的光散乱法、あるいは電子顕微鏡を用いて観察する方法や、屈折率層の断面や表面に現れた粒子像を電子顕微鏡で観察する方法により、1,000個の任意の粒子の粒径を測定し、その平均を求めた値である。金属酸化物粒子の平均粒径は、金属酸化物粒子が被覆処理されている場合(例えば、シリカ付着酸化チタン等)、金属酸化物粒子の平均粒径とは母体(シリカ付着酸化チタンの場合は、処理前の酸化チタン)の平均粒径を指すものとする。
第1および第2の金属酸化物粒子は平均粒径が100nm以下であることが好ましい。用いる金属酸化物粒子の平均粒径が100nm以下であることで、光散乱を抑制し、また紫外線遮蔽層における各屈折率層の膜厚制御の際の精度を向上させることができる。ここで、本明細書において平均粒径は、一次平均粒径を指す。本明細書でいう一次平均粒径とは、粒子そのものをレーザー回折散乱法、動的光散乱法、あるいは電子顕微鏡を用いて観察する方法や、屈折率層の断面や表面に現れた粒子像を電子顕微鏡で観察する方法により、1,000個の任意の粒子の粒径を測定し、その平均を求めた値である。金属酸化物粒子の平均粒径は、金属酸化物粒子が被覆処理されている場合(例えば、シリカ付着酸化チタン等)、金属酸化物粒子の平均粒径とは母体(シリカ付着酸化チタンの場合は、処理前の酸化チタン)の平均粒径を指すものとする。
(第1の金属酸化物粒子)
本発明に係る高屈折率層H1に含まれる第1の金属酸化物粒子としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、アルミナ、コロイダルアルミナ、チタン酸鉛、鉛丹、黄鉛、亜鉛黄、酸化クロム、酸化第二鉄、鉄黒、酸化銅、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化イットリウム、酸化ニオブ、酸化ユーロピウム、酸化ランタン、ジルコン、酸化スズなどが挙げられる。中でも、紫外線領域の光を吸収することができるという利点も有することから、酸化チタン、酸化ジルコニウム等の金属酸化物粒子が好ましい。
本発明に係る高屈折率層H1に含まれる第1の金属酸化物粒子としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、アルミナ、コロイダルアルミナ、チタン酸鉛、鉛丹、黄鉛、亜鉛黄、酸化クロム、酸化第二鉄、鉄黒、酸化銅、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化イットリウム、酸化ニオブ、酸化ユーロピウム、酸化ランタン、ジルコン、酸化スズなどが挙げられる。中でも、紫外線領域の光を吸収することができるという利点も有することから、酸化チタン、酸化ジルコニウム等の金属酸化物粒子が好ましい。
本発明では、透明でより屈折率の高い高屈折率層H1を形成するために、高屈折率層H1は、酸化チタン、酸化ジルコニウム等の高屈折率金属酸化物微粒子、すなわち、酸化チタン微粒子、酸化ジルコニウム微粒子を含有することが好ましい。その場合には、ルチル型(正方晶形)酸化チタン微粒子を含有することがより好ましい。
第1の金属酸化物粒子の一次平均粒径は30nm以下であることが好ましく、1〜30nmであることがより好ましく、5〜15nmであることがさらに好ましい。一次平均粒径が30nm以下であれば、ヘイズが少なく可視光透過性に優れる観点で好ましい。
本発明に係る酸化チタン粒子としては、水系の酸化チタンゾルの表面を変性して分散状態を安定にしたものを用いることが好ましい。
水系の酸化チタンゾルの調製方法としては、従来公知のいずれの方法も用いることができ、例えば、特開昭63−17221号公報、特開平7−819号公報、特開平9−165218号公報、特開平11−43327号公報、特開昭63−17221号公報、特開平7−819号公報、特開平9−165218号公報、特開平11−43327号公報等に記載された事項を参照にすることができる。
また、酸化チタン粒子のその他の製造方法については、例えば、「酸化チタン−物性と応用技術」清野学 p255〜258(2000年)技報堂出版株式会社、または国際公開2007/039953号の段落番号「0011」〜「0023」に記載の工程(2)の方法を参考にすることができる。
さらに、酸化チタン粒子を含めた金属酸化物粒子のその他の製造方法としては、特開2000−053421号公報、特開2000−063119号公報等に記載された事項を参照にすることができる。
さらに、酸化チタン粒子を含ケイ素の水和酸化物で被覆してもよい。ここで、「被覆」とは、酸化チタン粒子の表面の少なくとも一部に、含ケイ素の水和酸化物が付着されている状態を意味する。すなわち、第1の金属酸化物粒子として用いられる酸化チタン粒子の表面が、完全に含ケイ素の水和酸化物で被覆されていてもよく、酸化チタン粒子の表面の一部が含ケイ素の水和酸化物で被覆されていてもよい。被覆された酸化チタン粒子の屈折率が含ケイ素の水和酸化物の被覆量により制御される観点から、酸化チタン粒子の表面の一部が含ケイ素の水和酸化物で被覆されることが好ましい。
含ケイ素の水和酸化物で被覆された酸化チタン粒子の酸化チタンはルチル型であってもアナターゼ型であってもよい。含ケイ素の水和酸化物で被覆された酸化チタン粒子は、含ケイ素の水和酸化物で被覆されたルチル型の酸化チタン粒子がより好ましい。これは、ルチル型の酸化チタン粒子が、アナターゼ型の酸化チタン粒子より光触媒活性が低いため、高屈折率層や隣接した低屈折率層の耐候性が高くなり、さらに屈折率が高くなるという理由からである。
本明細書における「含ケイ素の水和酸化物」とは、無機ケイ素化合物の水和物、有機ケイ素化合物の加水分解物および/または縮合物のいずれでもよいが、本発明の効果を得るためにはシラノール基を有することがより好ましい。
含ケイ素の水和酸化物の被覆量は、好ましくは3〜30質量%、より好ましくは3〜10質量%、さらに好ましくは3〜8質量%である。被覆量が30質量%以下であると、高屈折率層の所望の屈折率が得られ、被覆量が3質量%以上であると粒子を安定に形成することができるからである。
酸化チタン粒子を含ケイ素の水和酸化物で被覆する方法としては、従来公知の方法により製造することができ、例えば、特開平10−158015号公報、特開2000−204301号公報、特開2007−246351号公報等に記載された事項を参照することができる。
また、高屈折率層H1に含まれる第1の金属酸化物粒子としては、公知の方法で製造されたコアシェル粒子を用いることもできる。例えば、以下の(i)〜(iv);(i)酸化チタン粒子を含有する水溶液を加熱加水分解し、または酸化チタン粒子を含有する水溶液にアルカリを添加し中和して、平均粒径が1〜30nmの酸化チタンを得た後、モル比で表して酸化チタン粒子/鉱酸が1/0.5〜1/2の範囲になるように、前記酸化チタン粒子と鉱酸とを混合したスラリーを、50℃以上該スラリーの沸点以下の温度で加熱処理し、その後得られた酸化チタン粒子を含むスラリーに、ケイ素の化合物(例えば、ケイ酸ナトリウム水溶液)を添加し、酸化チタン粒子の表面にケイ素の含水酸化物を析出させて表面処理し、次いで、得られた表面処理された酸化チタン粒子のスラリーから不純物を除去する方法(特開平10−158015号公報);(ii)含水酸化チタンなどの酸化チタンを一塩基酸またはその塩で解膠処理して得られる酸性域のpHで安定した酸化チタンゾルと、分散安定化剤としてのアルキルシリケートを常法により混合し、中性化する方法(特開2000−053421号公報);(iii)過酸化水素および金属スズを、2〜3のH2O2/Snモル比に保持しつつ同時にまたは交互にチタン塩(例えば、四塩化チタン)等の混合物水溶液に添加し、チタンを含む塩基性塩水溶液を生成し、該塩基性塩水溶液を0.1〜100時間かけて50〜100℃の温度で保持して酸化チタンを含む複合体コロイドの凝集体を生成させ、次いで、該凝集体スラリー中の電解質を除去し、酸化チタンを含む複合体コロイド粒子の安定な水性ゾルを製造する;ケイ酸塩(例えば、ケイ酸ナトリウム水溶液)等を含有する水溶液を調製し、水溶液中に存在する陽イオンを除去することで、二酸化ケイ素を含む複合体コロイド粒子の安定な水性ゾルが製造する;得られた酸化チタンを含む複合体水性ゾルを金属酸化物TiO2に換算して100質量部と、得られた二酸化ケイ素を含む複合体水性ゾルを金属酸化物SiO2に換算して2〜100質量部とを混合し、陰イオンを除去後、80℃で1時間加熱熟成する方法(特開2000−063119号公報);(iv)含水チタン酸のゲルまたはゾルに過酸化水素を加えて含水チタン酸を溶解し、得られたペルオキソチタン酸水溶液に、ケイ素化合物等を添加し加熱し、ルチル型構造をとる複合固溶体酸化物からなるコア粒子の分散液が得られ、次いで、該コア粒子の分散液にケイ素化合物等を添加した後、加熱しコア粒子表面に被覆層を形成し、複合酸化物粒子が分散されたゾルを得て、さらに、加熱する方法(特開2000−204301号公報);(v)含水酸化チタンを解膠して得られた酸化チタンのヒドロゾルに、安定剤としてのオルガノアルコキシシラン(R1 nSiX4−n)または過酸化水素および脂肪族もしくは芳香族ヒドロキシカルボン酸から選ばれた化合物を添加し、溶液のpHを3以上9未満へ調節し熟成させた後に脱塩処理を行う方法(特許第4550753号公報);で製造されたコアシェル粒子が挙げられる。
上記コアシェル粒子は、コアである酸化チタン粒子の表面全体を含ケイ素の水和酸化物で被覆したものでもよく、また、コアである酸化チタン粒子の表面の一部を含ケイ素の水和酸化物で被覆したものでもよい。
さらに、本発明で用いられる第1の金属酸化物粒子は、単分散であることが好ましい。ここでいう単分散とは、下記式で求められる単分散度が40%以下であることをいう。この単分散度は、さらに好ましくは30%以下であり、特に好ましくは0.1〜20%である。
高屈折率層H1における第1の金属酸化物粒子の含有量としては、高屈折率層H1の固形分100質量%に対して、15〜90質量%であることが好ましく、20〜85質量%であることがより好ましく、30〜85質量%であることが反射率向上の観点から、さらに好ましい。
(第2の金属酸化物粒子)
低屈折率層L1に含まれる第2の金属酸化物粒子としてシリカ(二酸化ケイ素)を用いることが好ましく、具体的な例として合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ等が挙げられる。これらのうち、酸性のコロイダルシリカゾルを用いることがより好ましく、有機溶媒に分散させたコロイダルシリカを用いることが特に好ましい。また、屈折率をより低減させるために、第2の金属酸化物粒子として、粒子の内部に空孔を有する中空微粒子を用いてもよく、特にシリカ(二酸化ケイ素)の中空微粒子が好ましい。また、シリカ以外の公知の金属酸化物粒子も使用することができる。
低屈折率層L1に含まれる第2の金属酸化物粒子としてシリカ(二酸化ケイ素)を用いることが好ましく、具体的な例として合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ等が挙げられる。これらのうち、酸性のコロイダルシリカゾルを用いることがより好ましく、有機溶媒に分散させたコロイダルシリカを用いることが特に好ましい。また、屈折率をより低減させるために、第2の金属酸化物粒子として、粒子の内部に空孔を有する中空微粒子を用いてもよく、特にシリカ(二酸化ケイ素)の中空微粒子が好ましい。また、シリカ以外の公知の金属酸化物粒子も使用することができる。
第2の金属酸化物粒子(好ましくは二酸化ケイ素)は、その平均粒径が3〜100nmであることが好ましい。一次粒子の状態で分散された二酸化ケイ素の一次粒子の平均粒径(塗布前の分散液状態での粒径)は、3〜50nmであるのがより好ましく、3〜40nmであるのがさらに好ましく、3〜20nmであるのが特に好ましく、4〜10nmであるのがもっとも好ましい。また、二次粒子の平均粒径としては、30nm以下であることが、ヘイズが少なく可視光透過性に優れる観点で好ましい。
また、第2の金属酸化物粒子の粒径は、体積平均粒径によって求めることもできる。
本発明で用いられるコロイダルシリカは、珪酸ナトリウムの酸等による複分解やイオン交換樹脂層を通過させて得られるシリカゾルを加熱熟成して得られるものであり、例えば、特開昭57−14091号公報、特開昭60−219083号公報、特開昭60−219084号公報、特開昭61−20792号公報、特開昭61−188183号公報、特開昭63−17807号公報、特開平4−93284号公報、特開平5−278324号公報、特開平6−92011号公報、特開平6−183134号公報、特開平6−297830号公報、特開平7−81214号公報、特開平7−101142号公報、特開平7−179029号公報、特開平7−137431号公報、および国際公開第94/26530号などに記載されているものである。
このようなコロイダルシリカは合成品を用いてもよいし、市販品を用いてもよい。市販品としては、日産化学工業株式会社から販売されているスノーテックス(登録商標)シリーズ(スノーテックス(登録商標)OS、OXS、S、OS、20、30、40、O、N、C等)が挙げられる。
コロイダルシリカは、その表面をカチオン変性されたものであってもよく、また、Al、Ca、MgまたはBa等で処理された物であってもよい。
また、第2の金属酸化物粒子として、中空粒子を用いることもできる。中空微粒子を用いる場合には、平均粒子空孔径が、3〜70nmであるのが好ましく、5〜50nmがより好ましく、5〜45nmがさらに好ましい。なお、中空粒子の平均粒子空孔径とは、中空粒子の内径の平均値である。中空粒子の平均粒子空孔径は、上記範囲であれば、十分に低屈折率層の屈折率が低屈折率化される。平均粒子空孔径は、電子顕微鏡観察で、円形、楕円形または実質的に円形は楕円形として観察できる空孔径を、ランダムに50個以上観察し、各粒子の空孔径を求め、その数平均値を求めることにより得られる。なお、平均粒子空孔径は、円形、楕円形または実質的に円形もしくは楕円形として観察できる空孔径の外縁を、2本の平行線で挟んだ距離のうち、最小の距離を意味する。
低屈折率層における第2の金属酸化物粒子の含有量は、低屈折率層の固形分100質量%に対して、20〜90質量%であることが好ましく、30〜85質量%であることがより好ましく、40〜70質量%であることがさらに好ましい。20質量%以上であると、所望の屈折率が得られ90質量%以下であると塗布性が良好となり好ましい。
〔高分子分散剤〕
高屈折率層H1および低屈折率層L1は、塗布液の分散安定性の観点から高分子分散剤を含有してもよい。高分子分散剤とは、重量平均分子量が10,000以上の高分子の分散剤を指す。好適には、側鎖または末端に水酸基が置換された高分子であり、例えばポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミドのようなアクリル系の高分子で2−エチルヘキシルアクリレートが共重合されたもの、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールのようなポリエーテル、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。高分子分散剤は市販品を用いてもよく、かような高分子分散剤としては、マリアリム(登録商標)AKM−0531(日油株式会社製)などが挙げられる。高分子分散剤の含有量は、屈折率層に対して固形分換算で0.1〜10質量%であることが好ましい。
高屈折率層H1および低屈折率層L1は、塗布液の分散安定性の観点から高分子分散剤を含有してもよい。高分子分散剤とは、重量平均分子量が10,000以上の高分子の分散剤を指す。好適には、側鎖または末端に水酸基が置換された高分子であり、例えばポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミドのようなアクリル系の高分子で2−エチルヘキシルアクリレートが共重合されたもの、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールのようなポリエーテル、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。高分子分散剤は市販品を用いてもよく、かような高分子分散剤としては、マリアリム(登録商標)AKM−0531(日油株式会社製)などが挙げられる。高分子分散剤の含有量は、屈折率層に対して固形分換算で0.1〜10質量%であることが好ましい。
〔エマルジョン樹脂〕
高屈折率層H1および低屈折率層L1は、エマルジョン樹脂をさらに含有していてもよい。エマルジョン樹脂を含むことにより、膜の柔軟性がより高くなりガラスへの貼りつけ等の加工性がよくなる。
高屈折率層H1および低屈折率層L1は、エマルジョン樹脂をさらに含有していてもよい。エマルジョン樹脂を含むことにより、膜の柔軟性がより高くなりガラスへの貼りつけ等の加工性がよくなる。
具体的には、エマルジョン樹脂としては、特開2013−148849号公報の段落「0121」〜「0124」に記載の材料を用いることができる。
〔屈折率層のその他の添加剤〕
本発明に係る高屈折率層H1および低屈折率層L1は、必要に応じて各種の添加剤を含有させることが出来る。例えば、特開昭57−74193号公報、同57−87988号公報、および同62−261476号公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号公報、同57−87989号公報、同60−72785号公報、同61−146591号公報、特開平1−95091号公報および同3−13376号公報等に記載されている退色防止剤、アニオン、カチオンまたはノニオンの各種界面活性剤、特開昭59−42993号公報、同59−52689号公報、同62−280069号公報、同61−242871号公報および特開平4−219266号公報等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有していてもよい。
本発明に係る高屈折率層H1および低屈折率層L1は、必要に応じて各種の添加剤を含有させることが出来る。例えば、特開昭57−74193号公報、同57−87988号公報、および同62−261476号公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号公報、同57−87989号公報、同60−72785号公報、同61−146591号公報、特開平1−95091号公報および同3−13376号公報等に記載されている退色防止剤、アニオン、カチオンまたはノニオンの各種界面活性剤、特開昭59−42993号公報、同59−52689号公報、同62−280069号公報、同61−242871号公報および特開平4−219266号公報等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有していてもよい。
〔膜設計〕
本発明に係る紫外線遮蔽層は、高屈折率層H1と低屈折率層L1とを交互に積層してなる。好適には第1の基材の片面上または両面上に、高屈折率層H1と低屈折率L1が交互に積層して形成された多層の光学干渉膜を有する。
本発明に係る紫外線遮蔽層は、高屈折率層H1と低屈折率層L1とを交互に積層してなる。好適には第1の基材の片面上または両面上に、高屈折率層H1と低屈折率L1が交互に積層して形成された多層の光学干渉膜を有する。
生産性の観点から、第1の基材の片面あたりの高屈折率層H1および低屈折率層L1の総層数の範囲は好ましくは100層以下、より好ましくは45層以下である。第1の基材片面あたりの好ましい高屈折率層H1および低屈折率層L1の総層数の範囲の下限は特に限定されるものではないが、5層以上であることが好ましい。光散乱および反射強度を考慮すると、片面あたりの高屈折率層H1および低屈折率層L1の総層数の範囲は、7〜28層であることがさらに好ましい。
なお、上記の好ましい高屈折率層H1および低屈折率層L1の片面あたりの総層数の範囲は、第1の基材の両面に同時に高屈折率層H1および低屈折率層L1が積層される場合においても適応可能である。第1の基材の両面に積層される場合において、第1の基材の一の面と他の面との高屈折率層および低屈折率層の総層数は、同じであってもよく、異なっていてもよい。また、本発明に係る紫外線遮蔽層において、最下層および最表層は、高屈折率層H1および低屈折率層L1のいずれであってもよい。しかしながら、低屈折率層L1が最下層および最表層に位置する層構成とすることにより、最下層の第1の基材への密着性、最表層の吹かれ耐性、さらには最表層へのハードコート層等の塗布性や密着性に優れるという観点から、本発明に係る紫外線遮蔽層としては、最下層および最表層が低屈折率層L1である層構成が好ましい。ここでいう最下層とは紫外線遮蔽層を塗布にて形成する際の最下層を指し、最表層とは紫外線遮蔽層L1を塗布にて形成する際の最表層を指す。
一般に、紫外線遮蔽層においては、高屈折率層H1と低屈折率層L1との屈折率の差を大きく設計することが、少ない層数で紫外線に対する反射率を高くすることができるという観点から好ましい。本発明においては、少なくとも隣接した2層(高屈折率層H1および低屈折率層L1)の屈折率差が好ましくは0.1以上であり、より好ましくは0.25以上であり、さらに好ましくは0.3以上であり、特に好ましくは0.35以上であり、最も好ましくは0.4以上である。また、上限には特に制限はないが通常1.4以下である。
紫外線遮蔽層における各屈折率層間の屈折率差と、必要な層数とについては、市販の光学設計ソフトを用いて計算することができる。
紫外線遮蔽層において高屈折率層H1および低屈折率層L1を交互に積層する場合には、高屈折率層H1と低屈折率層L1との屈折率差が、上記好適な屈折率差の範囲内にあることが好ましい。ただし、例えば、最表層はフィルムを保護するための層として形成される場合または最下層が基板との接着性改良層として形成される場合などにおいて、最表層や最下層に関しては、上記好適な屈折率差の範囲外の構成であってもよい。
本発明に係る紫外線遮蔽層のスペクトルにおいて最大反射率となる波長は、紫外線遮蔽波長域であれば特に限定されるものではないが、350〜380nmになるように設計することが好ましい。これは、樹脂基材にとって有害な紫外線となる280nm〜380nmのうち、340nmよりも短波長の光は、高屈折率層H1に含まれる酸化チタンや酸化ジルコニウムといった高屈折率の金属酸化物の光吸収、または紫外線吸収剤によって遮蔽することができるため、金属酸化物や紫外線吸収剤によってカットすることが難しい350〜380nmの領域を反射できるように膜設計を行うことが好ましい。
高屈折率層H1は、屈折率が1.80〜2.50であることが好ましく、1.80〜2.20であることがより好ましい。低屈折率層L1は、屈折率が1.10〜1.60であることが好ましく、1.30〜1.55であることがより好ましい。
高屈折率層H1の1層あたりの膜厚(乾燥後の膜厚)は、40〜100nmであることが好ましく、50〜90nmであることがより好ましく、60〜80nmであることがより好ましい。低屈折率層L1の1層あたりの膜厚(乾燥後の膜厚)は、20〜80nmであることが好ましく、30〜70nmであることがより好ましく、40〜60nmであることがより好ましい。
[第1の基材]
本発明に係る第1の基材としては、上述の紫外線遮蔽層を保持することができる有機材料で形成されたものであれば、特に限定されるものではない。
本発明に係る第1の基材としては、上述の紫外線遮蔽層を保持することができる有機材料で形成されたものであれば、特に限定されるものではない。
例えば、メタクリル酸エステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート、ポリスチレン(PS)、芳香族ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、およびポリエーテルイミド等の各樹脂フィルム、さらには上記樹脂を2層以上積層してなる樹脂フィルム等を挙げることができる。コストや入手の容易性の点では、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、およびポリカーボネート(PC)などが好ましく用いられる。
本発明に係る樹脂基材は透明であることが好ましい。また、第1の基材は、未延伸フィルムでもよく、延伸フィルムでもよい。強度向上、熱膨張抑制の点から延伸フィルムが好ましい。また延伸により位相差等を調整することもできる。
本発明に用いられる第1の基材は、従来公知の一般的な方法により製造することが可能である。例えば、材料となる樹脂を押し出し機により溶融し、環状ダイやTダイにより押し出して急冷することにより、実質的に無定形で配向していない未延伸の樹脂基材を製造することができる。また、材料となる樹脂を溶媒に溶解し、無端の金属支持体上に流延(キャスト)して乾燥、剥離することにより、実質的に無定形で配向していない未延伸の樹脂基材を製造することもができる。
また本発明に用いられる第1の基材は、寸法安定性の点で弛緩処理、オフライン熱処理を行ってもよい。弛緩処理は前記ポリエステルフィルムの延伸製膜工程中の熱固定した後、横延伸のテンター内、またはテンターを出た後の巻取りまでの工程で行われるのが好ましい。弛緩処理は処理温度が80〜200℃の範囲で行われることが好ましく、より好ましくは処理温度が100〜180℃の範囲である。オフライン熱処理の方法としては、特に限定されないが、例えば、複数のローラー群によるローラー搬送方法、空気をフィルムに吹き付けて浮揚させるエアー搬送などにより搬送させる方法(複数のスリットから加熱空気をフィルム面の片面あるいは両面に吹き付ける方法)、赤外線ヒーターなどによる輻射熱を利用する方法、フィルムを自重で垂れ下がらせ、下方で巻き等搬送方法等を挙げることができる。熱処理の搬送張力は、できるだけ低くして熱収縮を促進することで、良好な寸法安定性の樹脂基材となる。処理温度としてはTg+50〜Tg+150℃の温度範囲が好ましい。Tgとは樹脂のガラス転移温度(℃)をいう。
さらに、第1の基材として、位相差フィルムを使用してもよい。用いられる位相差フィルムは、測定波長550nmにおける面内方向のリターデーションRe550が、110nm以上150nm以下であるものが好ましい。
上記位相差フィルムを構成する材料としては、特に限定されないが、スチレン系樹脂、脂環式オレフィンポリマー、メタクリル樹脂、セルロースアシレート、セルロースアセテート、ポリカーボネート樹脂等からなる層を有するものを用いることができる。これらの材料は、単独でもまたは2種以上を用いてもよい。
第1の基材の膜厚は、5〜500μmが好ましく、25〜250μmがより好ましい。
また、第1の基材の膜厚は、後述の第2の基材の膜厚よりも厚いことが好ましい。第2の基材よりも光入射側にある第1の基材の膜厚を厚くすることで、外部からの衝撃に強く破断しにくいというような、機械的強度がより向上した光学フィルムとすることができる。
≪赤外線遮蔽積層部≫
[赤外線遮蔽層]
本発明に係る赤外線遮蔽層は、第3の水溶性バインダー樹脂と第3の金属酸化物粒子とを含む高屈折率層(H2)(以下、単に高屈折率層H2とも称する)、および第4の水溶性バインダー樹脂と第4の金属酸化物粒子とを含む低屈折率層(L2)(以下、単に低屈折率層L2とも称する)とを交互に積層してなる。この高屈折率層H2および低屈折率層L2の構成要素は、高屈折率層H1および低屈折率層H1の1層あたりの膜厚以外、上記の紫外線遮蔽層の項で説明した高屈折率層H1および低屈折率層H1の各構成要素の内容がそのまま適用されうる。言い換えれば、高屈折率層H1および低屈折率層L1の1層あたりの膜厚のみを変化させることにより、本発明に係る赤外線遮蔽層とすることができ、より簡便な方法かつ低コストで本発明の光学フィルムを製造することができると言える。
[赤外線遮蔽層]
本発明に係る赤外線遮蔽層は、第3の水溶性バインダー樹脂と第3の金属酸化物粒子とを含む高屈折率層(H2)(以下、単に高屈折率層H2とも称する)、および第4の水溶性バインダー樹脂と第4の金属酸化物粒子とを含む低屈折率層(L2)(以下、単に低屈折率層L2とも称する)とを交互に積層してなる。この高屈折率層H2および低屈折率層L2の構成要素は、高屈折率層H1および低屈折率層H1の1層あたりの膜厚以外、上記の紫外線遮蔽層の項で説明した高屈折率層H1および低屈折率層H1の各構成要素の内容がそのまま適用されうる。言い換えれば、高屈折率層H1および低屈折率層L1の1層あたりの膜厚のみを変化させることにより、本発明に係る赤外線遮蔽層とすることができ、より簡便な方法かつ低コストで本発明の光学フィルムを製造することができると言える。
したがって、1層あたりの膜厚以外の高屈折率層H2の構成要素の詳細(第3の水溶性バインダー樹脂の種類や含有量、第3の金属酸化物粒子の種類や含有量、積層数、他の添加剤等)は、上記した高屈折率層H1の構成要素の詳細(第1の水溶性バインダー樹脂の種類や含有量、第1の金属酸化物粒子の種類や含有量、積層数、他の添加剤等)と同様であるため、ここでは説明を省略する。同じように、1層あたりの膜厚以外の低屈折率層L2の構成要素の詳細(第4の水溶性バインダー樹脂の種類や含有量、第4の金属酸化物粒子の種類や含有量、積層数、他の添加剤等)は、上記した低屈折率層L1の構成要素の詳細(第2の水溶性バインダー樹脂の種類や含有量、第2の金属酸化物粒子の種類や含有量、積層数、他)と同様であるため、ここでは説明を省略する。
1層あたりの膜厚以外の高屈折率層H1の構成要素と高屈折率層H2の構成要素とは、同じでもよいし、異なっていてもよい。同様に、1層あたりの膜厚以外の低屈折率層L1の構成要素と低屈折率層L2の構成要素とは、同じでもよいし、異なっていてもよい。
高屈折率層H2の1層あたりの膜厚(乾燥後の膜厚)は、50〜300nmであることが好ましく、100〜200nmであることがより好ましい。また、低屈折率層L2の1層あたりの膜厚(乾燥後の膜厚)は、50〜300nmであることが好ましく、100〜200nmであることがより好ましい。
本発明に係る赤外線遮蔽層の膜厚は、0.5〜10μmであることが好ましく、1〜8μmであることがより好ましい。
さらに、赤外線遮蔽層の膜厚に対する紫外線遮蔽層の膜厚の比(紫外線遮蔽層の膜厚/赤外線遮蔽層の膜厚)は、1/10〜1/2であることが好ましい。このような膜厚比とすることにより、本発明の光学フィルムの紫外線遮蔽能をより高くすることができる。
[第2の基材]
本発明に係る第2の基材としては、上述の赤外線遮蔽層を保持することができる有機材料で形成されたものであれば、特に限定されるものではない。用いられる具体的な材料としては、上記第1の基材の項で説明した材料と同様であるため、ここでは説明を省略する。第1の基材の材料と第2の基材の材料とは、同じでもよいし、異なっていてもよい。
本発明に係る第2の基材としては、上述の赤外線遮蔽層を保持することができる有機材料で形成されたものであれば、特に限定されるものではない。用いられる具体的な材料としては、上記第1の基材の項で説明した材料と同様であるため、ここでは説明を省略する。第1の基材の材料と第2の基材の材料とは、同じでもよいし、異なっていてもよい。
第2の基材の膜厚は、10〜200μmが好ましく、20〜150μmがより好ましい。
本発明に係る光学フィルムは、さらなる機能の付加を目的として、導電性層、帯電防止層、ガスバリア層、易接着層(接着層)、粘着層、防汚層、消臭層、流滴層、易滑層、ハードコート層、耐摩耗性層、反射防止層、電磁波シールド層、紫外線吸収層、赤外吸収層、印刷層、蛍光発光層、ホログラム層、剥離層、本発明の高屈折率層および低屈折率層以外の赤外線カット層(金属層、液晶層)、着色層(可視光線吸収層)などの機能層の1つ以上を有していてもよい。以下、好ましい機能層である粘着層について説明する。
[粘着層]
本発明に係る光学フィルムは、紫外線遮蔽積層部と赤外線遮蔽積層部との間に粘着剤を含む粘着層をさらに有することができる。
本発明に係る光学フィルムは、紫外線遮蔽積層部と赤外線遮蔽積層部との間に粘着剤を含む粘着層をさらに有することができる。
粘着剤としては、特に制限されず、例えばドライラミネート剤、ウエットラミネート剤、ヒートシール剤、ホットメルト剤などのいずれもが用いられる。さらに具体的には、例えばポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、ニトリルゴムなどの1種または2種以上が用いられる。
粘着層の膜厚は、粘着効果、乾燥速度等の観点から、通常1〜50μm程度の範囲であることが好ましい。
この粘着層には、添加剤として、例えば安定剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、難燃剤、帯電防止剤、抗酸化剤、熱安定剤、滑剤、充填剤、着色、接着調整剤等を含有させることもできる。
該粘着層の形成方法は特に制限されず、例えば、上記粘着剤を含む粘着剤塗布液を調製した後ワイヤーバーコーティング、コンマコーティング、ダイコーティング、ナイフコーティング、スピンコーティング、スプレーコーティング、ブレードコーティング、ディップコーティング、グラビア印刷法等のウエットコーティング法を用いて、第1の基材、赤外線遮蔽層の最表層、または第1の基材の両面に紫外線遮蔽層が形成されている場合は、光入射側と反対側の紫外線遮蔽層の最表層等の上部に塗布し、乾燥して粘着層を形成する。その後、該粘着層を介して、紫外線遮蔽積層部と赤外線遮蔽積層部とを貼合機等を用いて貼合することにより、本発明の光学フィルムが製造されうる。
[光学フィルムの製造方法]
本発明の光学フィルムの製造方法は、特に制限されないが、(1)第1の基材上に、第1の水溶性バインダー樹脂および第1の金属酸化物粒子を含む高屈折率層H1用塗布液と、第2の水溶性バインダー樹脂および第2の金属酸化物粒子を含む低屈折率層L1用塗布液と、を塗布し乾燥して紫外線遮蔽積層部を形成する工程;(2)第2の基材上に、第3の水溶性バインダー樹脂および第3の金属酸化物粒子を含む高屈折率層H2用塗布液と、第4の水溶性バインダー樹脂および第4の金属酸化物粒子を含む低屈折率層L2用塗布液と、を塗布し乾燥して赤外線遮蔽積層部を形成する工程;(3)上記紫外線遮蔽積層部と上記赤外線遮蔽積層部とを、粘着剤を含む粘着層により貼り合わせる工程;を含む製造方法が好ましい。
本発明の光学フィルムの製造方法は、特に制限されないが、(1)第1の基材上に、第1の水溶性バインダー樹脂および第1の金属酸化物粒子を含む高屈折率層H1用塗布液と、第2の水溶性バインダー樹脂および第2の金属酸化物粒子を含む低屈折率層L1用塗布液と、を塗布し乾燥して紫外線遮蔽積層部を形成する工程;(2)第2の基材上に、第3の水溶性バインダー樹脂および第3の金属酸化物粒子を含む高屈折率層H2用塗布液と、第4の水溶性バインダー樹脂および第4の金属酸化物粒子を含む低屈折率層L2用塗布液と、を塗布し乾燥して赤外線遮蔽積層部を形成する工程;(3)上記紫外線遮蔽積層部と上記赤外線遮蔽積層部とを、粘着剤を含む粘着層により貼り合わせる工程;を含む製造方法が好ましい。
上記(1)および(2)の工程における塗布液の塗布方法は、特に制限されず、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、スライド型カーテン塗布法、または米国特許第2,761,419号明細書、米国特許第2,761,791号明細書などに記載のスライドホッパー塗布法、エクストルージョンコート法などが挙げられる。また、複数の層を重層塗布する方式としては、逐次重層塗布でもよいし同時重層塗布でもよいが、生産性が向上することから、同時重層塗布であることが好ましい。
以下、本発明の好ましい製造方法(塗布方法)であるスライドホッパー塗布法による同時重層塗布について詳細に説明する。
〔溶媒〕
高屈折率層(H1、H2)用塗布液および低屈折率層(L1、L2)用塗布液を調製するための溶媒は、特に制限されないが、水、有機溶媒、またはその混合溶媒が好ましい。
高屈折率層(H1、H2)用塗布液および低屈折率層(L1、L2)用塗布液を調製するための溶媒は、特に制限されないが、水、有機溶媒、またはその混合溶媒が好ましい。
前記有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノールなどのアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのエステル類、ジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類、アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノンなどのケトン類などが挙げられる。これら有機溶媒は、単独でもまたは2種以上混合して用いてもよい。
環境面、操作の簡便性などから、塗布液の溶媒としては、特に水、または水とメタノール、エタノール、もしくは酢酸エチルとの混合溶媒が好ましい。
〔塗布液の濃度〕
高屈折率層H1用塗布液中の第1の水溶性バインダー樹脂の濃度、および高屈折率層H2用塗布液中の第3の水溶性バインダー樹脂の濃度は、1〜10質量%であることが好ましい。また、高屈折率層H1用塗布液中の第1の金属酸化物粒子の濃度、および高屈折率層H2用塗布液中の第3の金属酸化物粒子の濃度は、1〜50質量%であることが好ましい。
高屈折率層H1用塗布液中の第1の水溶性バインダー樹脂の濃度、および高屈折率層H2用塗布液中の第3の水溶性バインダー樹脂の濃度は、1〜10質量%であることが好ましい。また、高屈折率層H1用塗布液中の第1の金属酸化物粒子の濃度、および高屈折率層H2用塗布液中の第3の金属酸化物粒子の濃度は、1〜50質量%であることが好ましい。
低屈折率層L1用塗布液中の第2の水溶性バインダー樹脂の濃度、および低屈折率層L2用塗布液中の第4の水溶性バインダー樹脂の濃度は、1〜10質量%であることが好ましい。また、低屈折率層L1用塗布液中の第2の金属酸化物粒子の濃度、および低屈折率層L2用塗布液中の第4の金属酸化物粒子の濃度は、1〜50質量%であることが好ましい。
〔塗布液の調製方法〕
高屈折率層(H1、H2)用塗布液および低屈折率層(L1、L2)用塗布液の調製方法は、特に制限されず、例えば、水溶性バインダー樹脂、金属酸化物粒子、および必要に応じて添加されるその他の添加剤を添加し、攪拌混合する方法が挙げられる。この際、水溶性バインダー樹脂、金属酸化物粒子、および必要に応じて用いられるその他の添加剤の添加順も特に制限されず、攪拌しながら各成分を順次添加し混合してもよいし、攪拌しながら一度に添加し混合してもよい。必要に応じて、さらに溶媒を用いて、適当な粘度に調製される。
高屈折率層(H1、H2)用塗布液および低屈折率層(L1、L2)用塗布液の調製方法は、特に制限されず、例えば、水溶性バインダー樹脂、金属酸化物粒子、および必要に応じて添加されるその他の添加剤を添加し、攪拌混合する方法が挙げられる。この際、水溶性バインダー樹脂、金属酸化物粒子、および必要に応じて用いられるその他の添加剤の添加順も特に制限されず、攪拌しながら各成分を順次添加し混合してもよいし、攪拌しながら一度に添加し混合してもよい。必要に応じて、さらに溶媒を用いて、適当な粘度に調製される。
〔塗布液の粘度〕
スライドホッパー塗布法により同時重層塗布を行う際の高屈折率層(H1、H2)用塗布液および低屈折率層(L1、L2)用塗布液の40〜45℃における粘度は、5〜150mPa・sの範囲が好ましく、10〜100mPa・sの範囲がより好ましい。また、スライド型カーテン塗布法により同時重層塗布を行う際の高屈折率層(H1、H2)用塗布液および低屈折率層(L1、L2)用塗布液の40〜45℃における粘度は、5〜1200mPa・sの範囲が好ましく、25〜500mPa・sの範囲がより好ましい。
スライドホッパー塗布法により同時重層塗布を行う際の高屈折率層(H1、H2)用塗布液および低屈折率層(L1、L2)用塗布液の40〜45℃における粘度は、5〜150mPa・sの範囲が好ましく、10〜100mPa・sの範囲がより好ましい。また、スライド型カーテン塗布法により同時重層塗布を行う際の高屈折率層(H1、H2)用塗布液および低屈折率層(L1、L2)用塗布液の40〜45℃における粘度は、5〜1200mPa・sの範囲が好ましく、25〜500mPa・sの範囲がより好ましい。
また、高屈折率層(H1、H2)用塗布液および低屈折率層(L1、L2)用塗布液の15℃における粘度は、100mPa・s以上が好ましく、100〜30,000mPa・sがより好ましく、3,000〜30,000mPa・sがさらに好ましく、10,000〜30,000mPa・sが特に好ましい。
〔塗布および乾燥方法〕
塗布および乾燥方法は、特に制限されないが、高屈折率層(H1、H2)用塗布液および低屈折率層(L1、L2)用塗布液を30℃以上に加温して、基材(第1の基材、第2の基材)上に高屈折率層(H1、H2)用塗布液および低屈折率層(L1、L2)用塗布液の同時重層塗布を行った後、形成した塗膜の温度を好ましくは1〜15℃に一旦冷却し(セット)、その後10℃以上で乾燥することが好ましい。より好ましい乾燥条件は、湿球温度5〜50℃、膜面温度10〜50℃の範囲の条件である。また、塗布直後の冷却方式としては、形成された塗膜の均一性向上の観点から、水平セット方式で行うことが好ましい。
塗布および乾燥方法は、特に制限されないが、高屈折率層(H1、H2)用塗布液および低屈折率層(L1、L2)用塗布液を30℃以上に加温して、基材(第1の基材、第2の基材)上に高屈折率層(H1、H2)用塗布液および低屈折率層(L1、L2)用塗布液の同時重層塗布を行った後、形成した塗膜の温度を好ましくは1〜15℃に一旦冷却し(セット)、その後10℃以上で乾燥することが好ましい。より好ましい乾燥条件は、湿球温度5〜50℃、膜面温度10〜50℃の範囲の条件である。また、塗布直後の冷却方式としては、形成された塗膜の均一性向上の観点から、水平セット方式で行うことが好ましい。
高屈折率層H1用塗布液および低屈折率層L1用塗布液の塗布厚は、上記紫外線遮蔽層の項で示したような好ましい乾燥時の膜厚となるように塗布すればよい。同様に、高屈折率層H2用塗布液および低屈折率層L2用塗布液の塗布厚は、上記赤外線遮蔽層の項で示したような好ましい乾燥時の膜厚となるように塗布すればよい。
ここで、前記セットとは、冷風等を塗膜に当てて温度を下げるなどの手段により、塗膜組成物の粘度を高め各層間および各層内の物質の流動性を低下させる工程のことを意味する。冷風を塗布膜に表面から当てて、塗布膜の表面に指を押し付けたときに指に何もつかなくなった状態を、セット完了の状態と定義する。
塗布した後、冷風を当ててからセットが完了するまでの時間(セット時間)は、5分以内であることが好ましい。また、下限の時間は特に制限されないが、45秒以上の時間をとることが好ましい。セット時間が上記の範囲であれば、層中の成分の混合が十分となり、高屈折率層と低屈折率層との屈折率差が十分となる。
セット時間の調整は、水溶性バインダー樹脂の濃度や金属酸化物粒子の濃度を調整したり、ゼラチン、ペクチン、寒天、カラギーナン、ゲランガム等の各種公知のゲル化剤など、他の成分を添加したりすることにより調整することができる。
冷風の温度は、0〜25℃であることが好ましく、5〜10℃であることがより好ましい。また、塗膜が冷風に晒される時間は、塗膜の搬送速度にもよるが、10〜120秒であることが好ましい。
上記により得られた紫外線遮蔽積層部および赤外線遮蔽積層部を、粘着層により貼り合わせることにより、本発明の光学フィルムが得られる。粘着層の形成方法は、上記粘着層の項で説明した通りであるため、ここでは説明を省略する。
[光学フィルムの用途]
本発明の光学フィルムは、機械的強度に優れることから、特にセキュリティフィルムや合わせガラス用フィルムとして好適に用いられる。以下では、合わせガラスの構成について、簡単に説明する。
本発明の光学フィルムは、機械的強度に優れることから、特にセキュリティフィルムや合わせガラス用フィルムとして好適に用いられる。以下では、合わせガラスの構成について、簡単に説明する。
本発明の合わせガラスは、中間層と少なくとも2枚のガラスとを含む。本発明に係る中間層は、2枚の熱可塑性樹脂を含む中間膜が、本発明の光学フィルムを挟持してなる。
本発明の合わせガラスは、例えば、入射光側から、ガラス、中間膜、光学フィルム、中間膜、ガラスの順で配置される。なお、2枚のガラスは、同一の種類のガラスであってもよく、異なった種類のガラスであってもよい。また、2枚の中間膜は、同一の構成を有していてもよく、異なった構成を有していてもよい。
本発明に係る合わせガラスは、平板状の合わせガラスであってもよく、また車のフロントガラスに使用されるような曲面状の合わせガラスであってもよい。
合わせガラスに用いられる2枚の中間膜は、熱可塑性樹脂を含む。2枚の中間膜の構成材料は、同一であっても異なっていてもよい。また、本発明に係る中間膜は、あらかじめ光学フィルムに粘着層として付与しておくこともできる。
本発明に係る中間膜には、熱可塑性樹脂が含まれるが、その具体例としては、エチレン−ビニルアセテート共重合体(EVA)やポリビニルブチラール(PVB)が好ましく挙げられる。また、各中間膜において、可視光透過率を阻害しない範囲で、各種の赤外線を吸収する微粒子または紫外線吸収剤などを含ませたり、色素を混入して着色したりして、日射透過率を75%以下とすることがより好ましい。
赤外線を吸収する微粒子としては、例えば、Ag、Al、Tiなどの金属微粒子、金属窒化物、金属酸化物の微粒子、また、ITO、ATO、アルミニウム亜鉛複合酸化物(AZO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)、インジウム亜鉛複合酸化物(IZO)などの導電性透明金属酸化物微粒子があり、これらの中から1種以上を選択して、中間膜に含有させ、断熱性能を向上させることができる。特に、ITO、ATO、AZO、GZO、IZOなどの導電性透明金属酸化物微粒子が好ましい。
合わせガラスに用いられるガラスは、市販のガラスが用いられる。
ガラスの種類は特に限定されないが、通常、ソーダライムシリカガラスが好適に用いられる。この場合、無色透明ガラスであってよく、有色透明ガラスであってもよい。
また、2枚のガラスのうち、入射光に近い室外側のガラスは、無色透明ガラスであることが好ましい。また、入射光側から遠い室内側のガラスは、グリーン系有色透明ガラスまたは濃色透明ガラスであることが好ましい。グリーン系有色透明ガラスは、紫外線吸収性能および赤外線吸収性能を有することが好ましい。これらを用いることにより、室外側でできるだけ日射エネルギーを反射することができ、さらに合わせガラスの日射透過率を小さくすることができるからである。
グリーン系有色透明ガラスは特に限定されないが、例えば、鉄を含有するソーダライムシリカガラスが好適に挙げられる。また、濃色透明ガラスは、特に限定されないが、例えば、鉄を高濃度で含有するソーダライムシリカガラスが好適に挙げられる。
本発明に係る合わせガラスの製造方法は、特に制限されないが、例えば、ガラス、中間膜、光学フィルム、中間膜、ガラスの順に積層し、必要に応じてガラスのエッジ部からはみ出た余剰部分を除去した後、100〜150℃で、10〜60分間加熱し、加圧脱気処理して合わせ処理を行う方法が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
[比較例1]
<光学フィルム1の作製>
〔低屈折率層L1用塗布液の調製〕
10質量%の金属酸化物粒子としてのコロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製、スノーテックス(登録商標)OXS)水溶液680質量部と、4.0質量%のポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA−124:重合度300、ケン化度98.5mol%)水溶液30質量部と、3.0質量%のホウ酸水溶液150質量部とを混合し、分散した。純水を加え、全体として1000質量部のコロイダルシリカ分散液L1を調製した。
<光学フィルム1の作製>
〔低屈折率層L1用塗布液の調製〕
10質量%の金属酸化物粒子としてのコロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製、スノーテックス(登録商標)OXS)水溶液680質量部と、4.0質量%のポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA−124:重合度300、ケン化度98.5mol%)水溶液30質量部と、3.0質量%のホウ酸水溶液150質量部とを混合し、分散した。純水を加え、全体として1000質量部のコロイダルシリカ分散液L1を調製した。
〔高屈折率層H1用塗布液の調製〕
(コアシェル粒子のコアとするルチル型酸化チタンの調製)
水中に、酸化チタン水和物を懸濁させ、TiO2に換算した時の濃度が100g/Lになるように、酸化チタンの水性懸濁液を調製した。10L(リットル)の該懸濁液に、30Lの水酸化ナトリウム水溶液(濃度10モル/L)を攪拌しながら加えた後、90℃に加熱し、5時間熟成させた。次いで、塩酸を用いて中和し、濾過後水を用いて洗浄した。
(コアシェル粒子のコアとするルチル型酸化チタンの調製)
水中に、酸化チタン水和物を懸濁させ、TiO2に換算した時の濃度が100g/Lになるように、酸化チタンの水性懸濁液を調製した。10L(リットル)の該懸濁液に、30Lの水酸化ナトリウム水溶液(濃度10モル/L)を攪拌しながら加えた後、90℃に加熱し、5時間熟成させた。次いで、塩酸を用いて中和し、濾過後水を用いて洗浄した。
なお、上記反応(処理)において、原料である酸化チタン水和物は、公知の手法に従い、硫酸チタン水溶液を熱加水分解処理によって得られたものである。
純水中に、上記塩基処理したチタン化合物をTiO2に換算した時の濃度が20g/Lになるように、懸濁させた。その中に、TiO2量に対し0.4モル%のクエン酸を攪拌しながら加えた。その後、加熱し、混合ゾル液の温度が95℃になるところで、塩酸濃度が30g/Lになるように濃塩酸を加えた、液温を95℃に維持しながら、3時間攪拌させ、酸化チタンゾル液を調製した。
上記のように、得られた酸化チタンゾル液のpHおよびゼータ電位を測定したところ、pHは1.4であり、ゼータ電位は+40mVであった。また、マルバーン社製ゼータサイザーナノにより粒径測定を行ったところ、単分散度は16%であった。
さらに、酸化チタンゾル液を105℃で3時間乾燥させ、酸化チタンの粉体微粒子を得た。日本電子データム株式会社製、JDX−3530型を用いて、該粉体微粒子をX線回折測定し、ルチル型の酸化チタン微粒子であることが確認された。また、該微粒子の体積平均粒径は10nmであった。
そして、純水4kgに、得られた体積平均粒径10nmのルチル型の酸化チタン微粒子を含む20.0質量%の酸化チタンゾル水系分散液を添加して、コア粒子となるゾル液を得た。
(シェル被覆によるコアシェル粒子の調製)
2kgの純水に、10.0質量%の酸化チタンゾル水系分散液0.5kgを加え、90℃に加熱した。次いで、SiO2に換算した時の濃度が2.0質量%であるように調製したケイ酸水溶液1.3kgを徐々に添加し、オートクレーブ中、175℃で18時間加熱処理を行い、さらに濃縮して、コア粒子がルチル型構造を有する酸化チタンであり、被覆層がSiO2であるコアシェル粒子(平均粒径:10nm)のゾル液(固形分濃度20質量%)を得た。
2kgの純水に、10.0質量%の酸化チタンゾル水系分散液0.5kgを加え、90℃に加熱した。次いで、SiO2に換算した時の濃度が2.0質量%であるように調製したケイ酸水溶液1.3kgを徐々に添加し、オートクレーブ中、175℃で18時間加熱処理を行い、さらに濃縮して、コア粒子がルチル型構造を有する酸化チタンであり、被覆層がSiO2であるコアシェル粒子(平均粒径:10nm)のゾル液(固形分濃度20質量%)を得た。
(高屈折率層H1用塗布液の調製)
上記で得られた固形分濃度20.0質量%の金属酸化物粒子としての上記コアシェル粒子を含むゾル液28.9質量部と、1.92質量%のクエン酸水溶液10.5質量部と、10質量%のポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA−124:重合度300、ケン化度98.5mol%)水溶液2.0質量部と、3質量%のホウ酸水溶液9.0質量部とを混合して、コアシェル粒子分散液H1を調製した。
上記で得られた固形分濃度20.0質量%の金属酸化物粒子としての上記コアシェル粒子を含むゾル液28.9質量部と、1.92質量%のクエン酸水溶液10.5質量部と、10質量%のポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA−124:重合度300、ケン化度98.5mol%)水溶液2.0質量部と、3質量%のホウ酸水溶液9.0質量部とを混合して、コアシェル粒子分散液H1を調製した。
〔光学フィルム1の作製〕
重層塗布可能なスライドホッパー塗布装置(スライドコーター)を用い、上記の低屈折率層L1用塗布液および高屈折率層H1用塗布液を45℃に保温しながら、45℃に加温した膜厚50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(第2の基材、PETフィルム、三菱樹脂株式会社製、ダイアホイル(登録商標)T900E50)上に、高屈折率層および低屈折率層の乾燥時の膜厚がそれぞれ150nmおよび200nmになるように、低屈折率層6層および高屈折率層5層を交互に計11層の同時重層塗布を行った。
重層塗布可能なスライドホッパー塗布装置(スライドコーター)を用い、上記の低屈折率層L1用塗布液および高屈折率層H1用塗布液を45℃に保温しながら、45℃に加温した膜厚50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(第2の基材、PETフィルム、三菱樹脂株式会社製、ダイアホイル(登録商標)T900E50)上に、高屈折率層および低屈折率層の乾燥時の膜厚がそれぞれ150nmおよび200nmになるように、低屈折率層6層および高屈折率層5層を交互に計11層の同時重層塗布を行った。
塗布直後、5℃の冷風を吹き付けてセットさせた。このとき、表面を指でふれても指に何もつかなくなるまでの時間(セット時間)は5分であった。
セット完了後、80℃の温風を吹き付けて乾燥させて、11層からなる赤外線遮蔽層(11層合計の膜厚:2μm)を有する重層塗布品を作製した。
上記で得られた11層からなる赤外線遮蔽層が形成されている面とは反対側のPETフィルム上に、上記と同様の方法で、低屈折率層L1用塗布液および高屈折率層H1用塗布液を塗布し、低屈折率層6層および高屈折率層5層を交互に計11層の同時重層塗布と、セットおよび乾燥とを行った。
このようにして、片面あたり11層、合計22層からなる赤外線遮蔽層(22層合計の膜厚:4μm)および第2の基材を有する光学フィルム1を作製した。
[比較例2]
重層塗布可能なスライドホッパー塗布装置(スライドコーター)を用い、上記で調製した低屈折率層L1用塗布液および高屈折率層H1用塗布液を45℃に保温しながら、45℃に加温した膜厚50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(第1の基材、PETフィルム、三菱樹脂株式会社製、ダイアホイル(登録商標)T900E50)上に、高屈折率層および低屈折率層の乾燥時の膜厚がそれぞれ90nmおよび100nmになるように、低屈折率層6層および高屈折率層5層を交互に計11層の同時重層塗布を行った。
重層塗布可能なスライドホッパー塗布装置(スライドコーター)を用い、上記で調製した低屈折率層L1用塗布液および高屈折率層H1用塗布液を45℃に保温しながら、45℃に加温した膜厚50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(第1の基材、PETフィルム、三菱樹脂株式会社製、ダイアホイル(登録商標)T900E50)上に、高屈折率層および低屈折率層の乾燥時の膜厚がそれぞれ90nmおよび100nmになるように、低屈折率層6層および高屈折率層5層を交互に計11層の同時重層塗布を行った。
塗布直後、5℃の冷風を吹き付けてセットさせた。このとき、表面を指でふれても指に何もつかなくなるまでの時間(セット時間)は5分であった。
セット完了後、80℃の温風を吹き付けて乾燥させて、11層からなる紫外線遮蔽層(11層合計の膜厚:0.5μm)を有する重層塗布品を作製した。
上記で得られた11層からなる紫外線遮蔽層が形成されている面とは反対側のPETフィルム上に、上記と同様の方法で、低屈折率層L1用塗布液および高屈折率層H1用塗布液を塗布し、低屈折率層6層、高屈折率層5層を交互に計11層の同時重層塗布、セット、および乾燥を行った。
このようにして、片面あたり11層、合計22層からなる紫外線遮蔽層(22層合計の膜厚:1μm)および第1の基材を有する光学フィルム2を作製した。
[実施例1]
片面あたりの低屈折率層の層数を3層とし、片面あたりの高屈折率層の層数を2層としたこと以外は、比較例2と同様の方法で、片面あたり5層、合計10層からなる紫外線遮蔽層と第1の基材とを有する紫外線遮蔽積層部を作製した。
片面あたりの低屈折率層の層数を3層とし、片面あたりの高屈折率層の層数を2層としたこと以外は、比較例2と同様の方法で、片面あたり5層、合計10層からなる紫外線遮蔽層と第1の基材とを有する紫外線遮蔽積層部を作製した。
比較例1と同様の方法で、片面あたり11層、合計22層からなる赤外線遮蔽層と第2の基材とを有する赤外線遮蔽積層部を作製した。
<粘着層の形成>
下記の処方で粘着層塗布液を作製した:
粘着剤:日本合成化学工業株式会社製 N−2147(固形分35質量%)
100質量部
BASF社製 UV吸収剤 Tinuvin(登録商標)477(固形分80質量%)
2.1質量部
イソシアネート系硬化剤 日本ポリウレタン工業製 コロネート(登録商標)L55E(固形分55質量%)
5質量部
上記粘着層塗布液を、セパレーターSP−PET(銘柄:PET−O2−BU)(三井化学東セロ株式会社製)のシリコン面に対して、コンマコーターにて乾燥膜厚が10μmになるように塗工し、80℃、1分間乾燥し、第2給紙から赤外線遮蔽層の最表層上にフィルムを給紙し、赤外線遮蔽層とラミネートして、赤外線遮蔽層の最表層上に粘着層を形成した。
下記の処方で粘着層塗布液を作製した:
粘着剤:日本合成化学工業株式会社製 N−2147(固形分35質量%)
100質量部
BASF社製 UV吸収剤 Tinuvin(登録商標)477(固形分80質量%)
2.1質量部
イソシアネート系硬化剤 日本ポリウレタン工業製 コロネート(登録商標)L55E(固形分55質量%)
5質量部
上記粘着層塗布液を、セパレーターSP−PET(銘柄:PET−O2−BU)(三井化学東セロ株式会社製)のシリコン面に対して、コンマコーターにて乾燥膜厚が10μmになるように塗工し、80℃、1分間乾燥し、第2給紙から赤外線遮蔽層の最表層上にフィルムを給紙し、赤外線遮蔽層とラミネートして、赤外線遮蔽層の最表層上に粘着層を形成した。
この粘着層と、上記の紫外線遮蔽積層部の最表層とを貼り合わせ、光入射側から順に紫外線遮蔽層、第1の基材、赤外線遮蔽層、および第2の基材を有する光学フィルム3を作製した。
[実施例2〜12]
第1の基材および第2の基材(三菱樹脂株式会社製、ダイアホイル(登録商標)T900E50)の膜厚、基材の片面あたりの積層数(表1中の片面あたりの積層数の欄)、基材の片面のみに遮蔽層を形成したかまたは両面に遮蔽層を形成したか(表1中の片面or両面の欄)、および遮蔽層の合計膜厚を下記表1のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、光学フィルム4〜14を作製した。
第1の基材および第2の基材(三菱樹脂株式会社製、ダイアホイル(登録商標)T900E50)の膜厚、基材の片面あたりの積層数(表1中の片面あたりの積層数の欄)、基材の片面のみに遮蔽層を形成したかまたは両面に遮蔽層を形成したか(表1中の片面or両面の欄)、および遮蔽層の合計膜厚を下記表1のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、光学フィルム4〜14を作製した。
[比較例3]
膜厚50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(第1の基材、PETフィルム、コスモシャイン(登録商標)A4300)の片面上に、スパッタリング法により、TiO2からなる高屈折率層(膜厚:1nm)とSiO2からなる低屈折率層(膜厚:1nm)とを交互に合計16層積層し、第1の基材と紫外線遮蔽層とを有する紫外線遮蔽積層部を形成した。
膜厚50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(第1の基材、PETフィルム、コスモシャイン(登録商標)A4300)の片面上に、スパッタリング法により、TiO2からなる高屈折率層(膜厚:1nm)とSiO2からなる低屈折率層(膜厚:1nm)とを交互に合計16層積層し、第1の基材と紫外線遮蔽層とを有する紫外線遮蔽積層部を形成した。
別途、膜厚50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(第2の基材、PETフィルム、コスモシャイン(登録商標)A4300)の片面上に、スパッタリング法により、TiO2からなる高屈折率層(膜厚:2nm)とSiO2からなる低屈折率層(膜厚:2nm)とを交互に合計16層積層し、第2の基材と赤外線遮蔽層とを有する赤外線遮蔽積層部を形成した。
上記赤外線遮蔽層の最表層上に、実施例1の<粘着層の形成>と同様にして、膜厚10μmの粘着層を形成した。
この粘着層と、上記の紫外線遮蔽積層部の最表層とを貼り合わせ、光入射側から順に紫外線遮蔽層、第1の基材、赤外線遮蔽層、および第2の基材を有する光学フィルム15を作製した。
[比較例4]
膜厚50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(第1の基材、PETフィルム、コスモシャイン(登録商標)A4300)の両面上に、スパッタリング法により、TiO2からなる高屈折率層(膜厚:1nm)とSiO2からなる低屈折率層(膜厚:1nm)とを交互に、片面あたり16層合計32層積層し、第1の基材と紫外線遮蔽層とを有する紫外線遮蔽積層部を形成した。
膜厚50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(第1の基材、PETフィルム、コスモシャイン(登録商標)A4300)の両面上に、スパッタリング法により、TiO2からなる高屈折率層(膜厚:1nm)とSiO2からなる低屈折率層(膜厚:1nm)とを交互に、片面あたり16層合計32層積層し、第1の基材と紫外線遮蔽層とを有する紫外線遮蔽積層部を形成した。
別途、膜厚50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(第2の基材、PETフィルム、コスモシャイン(登録商標)A4300)の両面上に、スパッタリング法により、TiO2からなる高屈折率層(膜厚:2nm)とSiO2からなる低屈折率層(膜厚:2nm)とを交互に、片面あたり16層合計32層積層し、第2の基材と赤外線遮蔽層とを有する赤外線遮蔽積層部を形成した。
上記赤外線遮蔽層の最表層上に、実施例1の<粘着層の形成>と同様にして、膜厚10μmの粘着層を形成した。
この粘着層と、上記の紫外線遮蔽積層部の最表層とを貼り合わせ、光入射側から順に紫外線遮蔽層、第1の基材、赤外線遮蔽層、および第2の基材を有する光学フィルム16を作製した。
[比較例5]
特開2012−6798号公報の実施例1に記載の方法と同様の方法で、PETフィルムの両面にスパッタリング法でTiO2膜とSiO2膜とを交互に片面あたり9層、合計18層積層し、赤外線反射フィルム(光学フィルム17)を作製した。
特開2012−6798号公報の実施例1に記載の方法と同様の方法で、PETフィルムの両面にスパッタリング法でTiO2膜とSiO2膜とを交互に片面あたり9層、合計18層積層し、赤外線反射フィルム(光学フィルム17)を作製した。
[比較例6]
特開2012−215825号公報の実施例1に記載の方法と同様の方法で、紫外線吸収剤を含有する紫外線吸収層を有する熱線遮蔽材(光学フィルム18)を作製した。
特開2012−215825号公報の実施例1に記載の方法と同様の方法で、紫外線吸収剤を含有する紫外線吸収層を有する熱線遮蔽材(光学フィルム18)を作製した。
上記で作製した各光学フィルムの構成を、下記表1に示す。なお、「Total 膜厚」の欄は、粘着層の膜厚を除いた光学フィルムの膜厚を示している。
[光学フィルムの評価]
上記で作製した光学フィルムについて、下記の性能評価を行った。
上記で作製した光学フィルムについて、下記の性能評価を行った。
<カール>
10cm四方に切り取った光学フィルムを、アクリル樹脂製の平板の上に置き、以下の基準でカールの様子を目視で評価した。評価が○以上であれば、実用上問題ない。
10cm四方に切り取った光学フィルムを、アクリル樹脂製の平板の上に置き、以下の基準でカールの様子を目視で評価した。評価が○以上であれば、実用上問題ない。
◎:まったくカールしない
○:やや凹カールするが、実用上問題なし
△:凹カールがあり実用上問題あり
×:凹カールが激しく丸まってしまう。
○:やや凹カールするが、実用上問題なし
△:凹カールがあり実用上問題あり
×:凹カールが激しく丸まってしまう。
<ヘイズ(透明性の評価)>
JIS K7136:2000に従い、日本電色工業株式会社製、NDH7000を用い、光学フィルムのヘイズを測定した。
JIS K7136:2000に従い、日本電色工業株式会社製、NDH7000を用い、光学フィルムのヘイズを測定した。
<紫外線透過率>
分光光度計(積分球使用、株式会社日立製作所製、U−4000型)を用い、光学フィルムの250〜400nmの領域における透過率を測定し、その平均値を求め、これを紫外線透過率(%)とした。この値が低いほど、紫外線遮蔽性が高いことになる。
分光光度計(積分球使用、株式会社日立製作所製、U−4000型)を用い、光学フィルムの250〜400nmの領域における透過率を測定し、その平均値を求め、これを紫外線透過率(%)とした。この値が低いほど、紫外線遮蔽性が高いことになる。
<日射熱取得率の測定>
分光光度計(積分球使用、株式会社日立製作所製、U−4000型)を用い、光学フィルムの300nm〜2500nmの領域における5nmおきの透過率・反射率を測定した。次に、JIS R3106:1998に記載の方法に従い、該測定値と日射反射重価係数との演算処理を行って日射熱取得率(TTS)を求めた。この値が低いほど、赤外線遮蔽性が高いことになる。
分光光度計(積分球使用、株式会社日立製作所製、U−4000型)を用い、光学フィルムの300nm〜2500nmの領域における5nmおきの透過率・反射率を測定した。次に、JIS R3106:1998に記載の方法に従い、該測定値と日射反射重価係数との演算処理を行って日射熱取得率(TTS)を求めた。この値が低いほど、赤外線遮蔽性が高いことになる。
<曇り試験>
光学フィルムを車両のフロントガラスの車内側に貼り付け、以下の基準で曇りの発生具合を目視で評価した。評価が○以上であれば、実用上問題ない。
光学フィルムを車両のフロントガラスの車内側に貼り付け、以下の基準で曇りの発生具合を目視で評価した。評価が○以上であれば、実用上問題ない。
◎:まったく曇らない
○:曇るが実用上問題ない
△:曇る
×:水滴が付く
<鉄球落下試験(機械的強度の評価)>
A4サイズ(210mm×297mm)のガラス板に光学フィルムを貼り付け、1mの高さから3kgの鉄球を落とし、以下の基準でガラスおよび光学フィルムの状態を目視で評価した。評価が○△以上であれば、実用上問題ない。
○:曇るが実用上問題ない
△:曇る
×:水滴が付く
<鉄球落下試験(機械的強度の評価)>
A4サイズ(210mm×297mm)のガラス板に光学フィルムを貼り付け、1mの高さから3kgの鉄球を落とし、以下の基準でガラスおよび光学フィルムの状態を目視で評価した。評価が○△以上であれば、実用上問題ない。
◎:ガラスは割れるが、光学フィルムは変形しない
○:ガラスが割れ、光学フィルムも変形する
○△:ガラスが割れ、光学フィルムも少し破断するが破られることはない
△:ガラスが割れ、光学フィルムも破れる。鉄球は貫通しない
×:ガラスが割れ、光学フィルムも破れる。鉄球も貫通する。
○:ガラスが割れ、光学フィルムも変形する
○△:ガラスが割れ、光学フィルムも少し破断するが破られることはない
△:ガラスが割れ、光学フィルムも破れる。鉄球は貫通しない
×:ガラスが割れ、光学フィルムも破れる。鉄球も貫通する。
<キセノン照射試験>
上記で作製した光学フィルムの光入射面側に対し、キセノンランプ照射(スガ試験機株式会社製、スーパーキセノンウェザーメーターSX75、ブラックパネル温度50℃、相対湿度55%RHの環境下、放射強度180W/m2、24時間照射)を行った。次いで、キセノンランプ照射後に、鉄球落下試験以外の評価を上記と同様の方法で行い、光学フィルムを評価した。
上記で作製した光学フィルムの光入射面側に対し、キセノンランプ照射(スガ試験機株式会社製、スーパーキセノンウェザーメーターSX75、ブラックパネル温度50℃、相対湿度55%RHの環境下、放射強度180W/m2、24時間照射)を行った。次いで、キセノンランプ照射後に、鉄球落下試験以外の評価を上記と同様の方法で行い、光学フィルムを評価した。
評価結果を下記表2に示す。なお、下記表2中、「即」とは光学フィルム作製直後の評価結果を表す。
表2に示す結果から明らかなように、本発明の光学フィルムは、高い紫外線遮蔽性および赤外線遮蔽性を有し、機械的強度が高く、長期使用においても、透明性に優れカールしにくいことが分かる。
10 光学フィルム、
11 紫外線遮蔽層、
12 第1の基材、
13 粘着層、
14 赤外線遮蔽層、
15 第2の基材。
11 紫外線遮蔽層、
12 第1の基材、
13 粘着層、
14 赤外線遮蔽層、
15 第2の基材。
Claims (6)
- 第1の水溶性バインダー樹脂と第1の金属酸化物粒子とを含む高屈折率層(H1)および第2の水溶性バインダー樹脂と第2の金属酸化物粒子とを含む低屈折率層(L1)を交互に積層してなる紫外線遮蔽層、
第1の基材、
第3の水溶性バインダー樹脂と第3の金属酸化物粒子とを含む高屈折率層(H2)および第4の水溶性バインダー樹脂と第4の金属酸化物粒子とを含む低屈折率層(L2)を交互に積層してなる赤外線遮蔽層、ならびに
第2の基材、
を、光入射側からこの順に含む、光学フィルム。 - 前記赤外線遮蔽層の膜厚に対する前記紫外線遮蔽層の膜厚の比(紫外線遮蔽層の膜厚/赤外線遮蔽層の膜厚)が、1/10〜1/2である、請求項1に記載の光学フィルム。
- 膜厚が100〜175μmである、請求項1または2に記載の光学フィルム。
- 前記第1の基材の膜厚が前記第2の基材の膜厚よりも厚い、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルム。
- セキュリティフィルムである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルム。
- 少なくとも2枚のガラスが中間層を介して積層され、
前記中間層は、2枚の熱可塑性樹脂を含む中間膜が請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学フィルムを挟持してなる、合わせガラス。
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