JP6406248B2 - 赤外遮蔽フィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、赤外遮蔽フィルムの製造方法に関する。
従来、反射防止フィルム、赤外反射フィルム、カラー感光材料などの多層積層膜は、乾式成膜または湿式成膜で製造されている。生産性の面では、化学蒸着(CVD)や物理蒸着(PVD)などの乾式成膜よりも、塗布液の塗布および乾燥が行われる湿式成膜が優れている。
スライドホッパー型塗布装置は、複数の塗布液を同時重層塗布できる湿式成膜装置として、上記のような多層積層膜の製造に好適に用いられるが、塗布ムラを低減させる製造方法が求められている。
特開平03−219237号公報(米国特許第5656417号明細書)には、最下層の形成に粘度が15cP〜100cPである塗布液を用い、該最下層の上に塗布される7層以上の塗布液の粘度を30cP以上とし、かつ7層以上の塗布液の粘度の算術平均が60〜300cPであるように調整して塗布することを特徴とするカラー感光材料の製造方法が開示されている。この製造方法によれば、高速で安定して色ムラを生じない均一な塗布面状を得ることができるとしている。
しかしながら、上記特開平03−219237号公報(米国特許第5656417号明細書)に記載の技術では、塗布液が高粘度であるため、凝集物が発生しやすく、また、塗布液の脱泡が困難であるため、この塗布液を塗布した場合に、泡故障や凝集物起因の異物故障が発生し、得られる製品の外観の改善には未だ不十分であるという問題があった。また、赤外遮蔽フィルムの製造に用いる塗布液は、低粘度液と高粘度液とを共に使用するため、多層塗布を行う際にスライド面上で波立ちが発生し、塗布済みの製品に木目状の塗布ムラを発生させてしまうという問題があった。
そこで、本発明は、塗布面に木目状のムラ、スジ故障、泡・異物故障がほとんど発生しないかまったく発生せず、良好な外観を有する赤外遮蔽フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討を行った。その結果、驚くべきことに、スライドホッパー型塗布装置のスライド面の水平面に対する角度と、スライドホッパー型塗布装置のブロック一つ当たりの厚みを特定の範囲とすることにより上記課題が解決することを見出した。これにより、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、連続的に走行する基材フィルム上に、高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液を、スライドホッパー型塗布装置を用いて10層以上40層以下の層を同時重層塗布する工程を含む赤外遮蔽フィルムの製造方法であって、前記高屈折率層用塗布液および前記低屈折率層用塗布液の40℃における粘度が5〜200mPa・sであり、前記スライドホッパー型塗布装置のスライド面の水平面に対する角度が2〜15°であり、前記スライドホッパー型塗布装置のブロック一つ当たりの厚みが15〜40mmである、赤外遮蔽フィルムの製造方法である。
スライドホッパー型塗布装置の一例を示す概略図である。図1の1は基材フィルムであり、2はバックロールであり、3はコーターダイスであり、4は塗布液であり、5は減圧チャンバーであり、6は接液部であり、7はバックロール中心と接液部とがなす角度(γ)であり、8はスライド面の水平面に対する角度(β)であり、9は基材フィルムの走行面とスライド面とがなす角度(α)であり、10は減圧部であり、11はブロックであり、tはブロックの厚みである。 スライド面上での塗布液の波立ちを抑制するメカニズムを示す模式図である。図2のAは上層液であり、Bは下層液である。
以下、本発明の赤外遮蔽フィルムの製造方法を詳細に説明する。
図1は、本発明に用いられるスライドホッパー型塗布装置の一例を示す概略図である。
連続的に搬送される基材フィルム1は、コーターダイス3に対面した位置にある基材フィルム1の搬送速度に合わせて同方向に回転しているバックロール2に保持されて、接液部6で塗布がなされる。コーターダイス3は、複数のブロック11(図1では、4層同時重層塗布の形態を示している)より構成されており、その上を塗布液4が流下する。また、コーターダイス3は、一定のスライド面の水平面に対する角度8(β)を設けて、コーターダイス保持台(図示していない)に固定されている。バックロール2とコーターダイス3との間の下部には、減圧チャンバー5が設けられている。減圧チャンバー5は、接液部6で形成されるビードの安定化のため、ビードの上下に圧力差、具体的には下方部を減圧するため、減圧部10より排気して、減圧チャンバー5内を負圧とする。
本発明は、図1に示すスライド面の水平面に対する角度8(β)を2〜15°とし、さらにブロック一つ当たりの厚み(図1のt)を15〜40mmとする。これにより、スライド面上での塗布液の波立ちを抑制することができ、塗布面に木目状のムラが発生せず、スジ故障、泡・異物故障の発生がなく、良好な外観を有する赤外遮蔽フィルムを得ることができる。
図2は、スライド面上での塗布液の波立ちを抑制するメカニズムを示す模式図であり、(a)は、スライド面の水平面に対する角度が大きい場合、すなわち角度が15°を超える場合の塗布液の様子を示している。(b)は、本発明の製造方法を示しており、スライド面の水平面に対する角度が2〜15°である場合の塗布液の様子を示す。図2の(a)に示すように、スライド面の水平面に対する角度が15°を超える場合、スライド面の上から流れてくる上層液Aの膜厚が薄いため、下層液Bがスライド面から流出した時の衝撃で塗布液の波立ちが発生する。このような塗布液を塗布すると、塗布面に木目状の乱れが発生する。
一方、図2の(b)のように、スライド面の水平面に対する角度が15°より小さい場合、スライド面の上から流れてくる上層液Aの膜厚が厚いため、下層液Bがスライド面から流出した時の衝撃による塗布液の波立ちはほとんど発生しないかまったく発生しない。したがって、このような塗布液を塗布しても、塗布面に木目状のムラが発生せず、外観に優れた赤外遮蔽フィルムを得ることができる。
但し、図2の(b)の形態としても、ブロック一つ当たりの厚みが厚い場合、塗布液のスライド面を流下する距離が長くなり、スライド面下流部で塗布液の波立ちが発生してしまう。これに対し、本発明では、ブロック一つ当たりの厚みを15〜40mmとすることにより、例えば40層というような多層の同時重層塗布を行っても、波立ちをほとんど発生しないかまったく発生しない塗布液の流れとすることができ、塗布面に木目状のムラがほとんど発生せず、外観に優れた赤外遮蔽フィルムを得ることができる。
なお、上記のメカニズムは推測によるものであり、本発明は上記メカニズムに何ら制限されるものではない。
以下、本発明の赤外遮蔽フィルムの製造方法について、詳細に説明する。
[赤外遮蔽フィルム]
本発明に係る赤外遮蔽フィルムの構成は、特に制限されないが、基材フィルムと、高屈折率層および低屈折率層から構成されるユニットの少なくとも1つと、を含むことが好ましく、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層された交互積層体の形態を有することがより好ましい。なお、本明細書中、他方に対して屈折率の高い屈折率層を高屈折率層と称し、他方に対して屈折率の低い屈折率層を低屈折率層と称する。
本発明において、赤外遮蔽フィルムは、屈折率の異なる2つの層、すなわち、高屈折率層と低屈折率層とから構成されるユニットを少なくとも1つ含むことが好ましい。例えば、高屈折率層と低屈折率層とがそれぞれ金属酸化物粒子を含む場合、低屈折率層に含まれる金属酸化物粒子(以下、「第1の金属酸化物粒子」と称する)と、高屈折率層に含まれる金属酸化物粒子(以下、「第2の金属酸化物粒子」と称する)と、が2つの層の界面で混合され、第1の金属酸化物粒子と第2の金属酸化物粒子とを含む層が形成される場合がある。その場合、第1の金属酸化物粒子と第2の金属酸化物粒子との存在比により低屈折率層または高屈折率層とみなす。具体的には、低屈折率層とは、第1の金属酸化物粒子と第2の金属酸化物粒子との合計質量に対して、第1の金属酸化物粒子が、50〜100質量%で含まれる層を意味する。高屈折率層とは、第1の金属酸化物粒子と第2の金属酸化物粒子との合計質量に対して、第2の金属酸化物粒子が、50質量%を超えて100質量%以下で含まれる層を意味する。なお、屈折率層に含まれる金属酸化物粒子の種類および量は,エネルギー分散型X線分光法(EDX)により分析できる。
本発明に用いる金属酸化物粒子としては、特に制限されないが、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化ニオブ(Nb)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ケイ素(SiO)、フッ化カルシウム(CaF)、フッ化マグネシウム(MgF)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化アンチモンスズ(ATO)等が挙げられる。これらのうち、高屈折率層用塗布液に含まれる第2の金属酸化物粒子として酸化チタン(TiO)を、低屈折率層用塗布液に含まれる第1の金属酸化物粒子として酸化ケイ素(SiO)を、それぞれ用いることが好ましい。
さらに、酸化チタン粒子を含ケイ素の水和酸化物で被覆してもよい。含ケイ素の水和化合物の被覆量は、好ましくは3〜30質量%、より好ましくは3〜10質量%、さらに好ましくは3〜8質量%である。被覆量が30質量%以下であると、高屈折率層の所望の屈折率が得られ、被覆量が3%以上であると粒子を安定に形成することができるからである。
酸化チタン粒子を含ケイ素の水和酸化物で被覆する方法としては、従来公知の方法により製造することができ、例えば、特開平10−158015号公報(ルチル型酸化チタンへのSi/Al水和酸化物処理;チタン酸ケーキのアルカリ領域での解膠後酸化チタンの表面にケイ素および/またはアルミニウムの含水酸化物を析出させて表面処理する酸化チタンゾルの製造方法)、特開2000−204301号公報(ルチル型酸化チタンにSiとZrおよび/またはAlの酸化物との複合酸化物を被覆したゾル。水熱処理。)、特開2007−246351号公報(含水酸化チタンを解膠して得られる酸化チタンのヒドロゾルへ、安定剤として式R SiX4−n(式中R1はC1−C8アルキル基、グリシジルオキシ置換C1−C8アルキル基またはC2−C8アルケニル基、Xはアルコキシ基、nは1または2である。)のオルガノアルコキシシランまたは酸化チタンに対して錯化作用を有する化合物を添加、アルカリ領域でケイ酸ナトリウムまたはシリカゾルの溶液へ添加・pH調整・熟成することにより、ケイ素の含水酸化物で被覆された酸化チタンヒドロゾルを製造する方法)等に記載された事項を参照することができる。
一般に、赤外遮蔽フィルムにおいては、低屈折率層と高屈折率層との屈折率の差を大きく設計することが、少ない層数で赤外反射率を高くすることができるという観点から好ましい。本発明に係る赤外遮蔽フィルムでは、低屈折率層および高屈折率層から構成されるユニットの少なくとも1つにおいて、隣接する低屈折率層と高屈折率層との屈折率差が0.1以上であることが好ましく、より好ましくは0.3以上であり、さらに好ましくは0.35以上であり、特に好ましくは0.4以上である。赤外遮蔽フィルムが高屈折率層および低屈折率層のユニットを複数有する場合には、全てのユニットにおける高屈折率層と低屈折率層との屈折率差が上記好適な範囲内にあることが好ましい。ただし、最表層や最下層に関しては、上記好適な範囲外の構成であってもよい。また、本実施形態の赤外遮蔽フィルムにおいては、低屈折率層の好ましい屈折率は、1.10〜1.60であり、より好ましくは1.30〜1.50である。また、高屈折率層の好ましい屈折率は1.80〜2.50であり、より好ましくは1.90〜2.20である。
本発明において、高屈折率層および低屈折率層の屈折率は、下記の方法に従って求めることができる。
基材フィルム上に屈折率を測定する各屈折率層を単層で塗設したサンプルを作製し、このサンプルを10cm×10cmに断裁した後、下記の方法に従って屈折率を求める。分光光度計として、U−4000型(株式会社日立製作所製)を用いて、各サンプルの測定側の裏面を粗面化処理した後、黒色のスプレーで光吸収処理を行って裏面での光の反射を防止して、5度正反射の条件にて可視光領域(400nm〜700nm)の反射率を25点測定して平均値を求め、その測定結果より平均屈折率を求める。
特定波長領域の反射率は、隣接する2層の屈折率差と積層数で決まり、屈折率の差が大きいほど、少ない層数で同じ反射率を得られる。この屈折率差と必要な層数については、市販の光学設計ソフトを用いて計算することができる。例えば、赤外反射率90%以上を得るためには、屈折率差が0.1より小さいと、200層以上の積層が必要になり、生産性が低下するだけでなく、積層界面での散乱が大きくなり、透明性が低下し、また故障なく製造することも非常に困難になる。反射率の向上と層数を少なくするという観点からは、屈折率差に上限はないが、実質的には1.4程度が限界である。
本発明に係る赤外遮蔽フィルムの層数としては10層以上40層以下、好ましくは10層以上34層以下、より好ましくは10層以上25層以下、さらに好ましくは15層以上25層以下である。また、本発明の赤外遮蔽フィルムは、例えば、積層膜の最表層や最下層のどちらも高屈折率層または低屈折率層となる積層膜であってもよい。本発明に係る赤外遮蔽フィルムとしては、基材フィルムに隣接する最下層が低屈折率層で、最表層も低屈折率層である層構成が好ましい。
本発明に係る赤外遮蔽フィルムの全体の厚みは、好ましくは12μm〜315μm、より好ましくは15μm〜200μm、さらに好ましくは20μm〜150μmである。また、最下層を除く低屈折率層の1層あたりの厚みは、20〜500nmであることが好ましく、50〜300nmであることがより好ましい。一方、最下層を除く高屈折率層の1層あたりの厚みは、20〜500nmであることが好ましく、50〜300nmであることがより好ましい。最下層の厚みは、最下層が低屈折率層であるか高屈折率層であるかに関わらず、300〜1500nmであることが好ましく、400〜1200nmであることがより好ましい。
さらには、本発明に係る赤外遮蔽フィルムの光学特性として、JIS R3106:1998で示される可視光領域の透過率は好ましくは50%以上、より好ましくは75%以上、さらに好ましくは85%以上であり、また、波長900nm〜1400nmの領域に反射率50%を超える領域を有することが好ましい。
本発明に係る赤外遮蔽フィルムは、基材フィルムの下または基材フィルムと反対側の最表面層の上に、さらなる機能の付加を目的として、導電性層、帯電防止層、ガスバリア層、易接着層(接着層)、防汚層、消臭層、流滴層、易滑層、ハードコート層、耐摩耗性層、反射防止層、電磁波シールド層、紫外線吸収層、赤外吸収層、印刷層、蛍光発光層、ホログラム層、剥離層、粘着層、接着層、本発明の高屈折率層および低屈折率層以外の赤外線カット層(金属層、液晶層)、着色層(可視光線吸収層)、合わせガラスに利用される中間膜層などの機能層の1つ以上を有していてもよい。
[赤外遮蔽フィルムの製造方法]
本発明で用いられる塗布液は、スライドホッパー型塗布装置を用いた同時重層塗布によって塗布されるが、スライド面上において高屈折率用塗布液と低屈折率用塗布液とを積層し、基材フィルムへ塗布することにより高屈折率層と低屈折率層とが形成される。
(塗布液の調製方法)
ここでは、高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液の調製方法について述べる。
高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液の調製方法は、特に制限されず、例えば、金属酸化物粒子、水溶性高分子、および必要に応じて添加されるその他の添加剤を添加し、攪拌混合する方法が挙げられる。この際、各成分の添加順も特に制限されず、攪拌しながら各成分を順次添加し混合してもよいし、攪拌しながら一度に添加し混合してもよい。
高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液を調製するための溶媒は、特に制限されないが、水、有機溶媒、またはその混合溶媒が好ましい。
前記有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノールなどのアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのエステル類、ジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類、アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノンなどのケトン類などが挙げられる。これら有機溶媒は、単独でもまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。
環境面、操作の簡便性などから、塗布液の溶媒としては、特に水、または水とメタノール、エタノール、もしくは酢酸エチルとの混合溶媒が好ましい。
なお、高屈折率層用塗布液に用いられる第2の金属酸化物粒子は、塗布液を調製する前に、別途、分散液の状態に調製したものを用いることが好ましい。すなわち、体積平均粒径が100nm以下のルチル型の酸化チタンを添加、分散して調製した水系の高屈折率層用塗布液を用いて、高屈折率層を形成することが好ましい。さらに、含ケイ素の水和酸化物で被覆された酸化チタン粒子を添加、分散して調製した水系の高屈折率層用塗布液を用いて、高屈折率層を形成することがより好ましい。分散液を用いる場合は、各層において任意の濃度となるように分散液を適宜添加すればよい。
本発明においては、低屈折率層用塗布液および高屈折率層用塗布液としては、塗布後に塗膜をセットさせて層間の混合を抑制できるという点から、ポリビニルアルコール類などの水溶性樹脂と、水または水と水溶性有機溶剤とを含む水系溶媒とを含む水系塗布液を用いることが好ましい。
前記高屈折率層用塗布液および前記低屈折率層用塗布液の40℃における粘度は、5〜200mPa・sであり、好ましくは20〜180mPa・sである。粘度が5mPa・s未満の場合、スライド面の水平面に対する角度が2〜15°であってもスライド面で波立ちが発生し、木目状のムラが発生してしまう。一方、200mPa・sを超える場合、木目状のムラの発生はほとんどないが、脱泡が困難となるため泡故障、および凝集物起因の異物故障の発生が見られる。なお、粘度は、ブルックフィールド粘度計により測定した値を採用する。
塗布液の固形分の濃度は0.1〜10質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%であることがより好ましい。この範囲であると、固形分が低く塗布液の均一性が高いため、より膜厚均一性が向上すると考えられるからである。
低屈折率層用塗布液中の水溶性高分子の濃度は、0.1〜10質量%であることが好ましい。また、低屈折率層用塗布液中の第1の金属酸化物粒子の濃度は、1〜60質量%であることが好ましい。
高屈折率層用塗布液中の水溶性高分子の濃度は、0.5〜10質量%であることが好ましい。また、高屈折率層用塗布液中の第2の金属酸化物粒子の濃度は、1〜60質量%であることが好ましい。
本発明の製造方法において、塗布速度は40〜250m/minであることが好ましくり、60〜200m/minであることがより好ましく、80〜150m/minであることがさらに好ましい。本発明の製造方法によれば、このような速い速度であっても、外観に優れた赤外遮蔽フィルムを得ることができる。
また、最下層を除く、前記高屈折率層用塗布液および前記低屈折率層用塗布液の塗布量は、特に制限されないが、1〜10g/mであることが好ましく、2〜5g/mであることがより好ましい。この範囲であれば、本発明の効果がより効率的に得られる。最下層の塗布量は5〜45g/mが好ましく、10〜40g/mがより好ましい。
さらに、上記のように、本発明の製造方法において、スライドホッパー型塗布装置のスライド面の水平面に対する角度は2〜15°である。該角度が2°未満であると、スライド面上の流速が遅くなり、スライド面の動圧の低下により、スジ故障の原因となる。一方、該角度が15°を超えると、スライド面上で波立ちが発生し、木目状の塗布ムラが発生する。該角度は、好ましくは5〜10°である。
また、スライドホッパー型塗布装置のブロック一つ当たりの厚みは、15〜40mmである。該厚みが15mm未満であると、ブロックが変形し、基材フィルムの幅方向の流量均一性が悪くなる、一方、40mmを超えると、塗布液のスライド面を流下する距離が長くなり、スライド面上で塗布液の波立ちが発生し、木目状の塗布ムラが発生する。該厚みは、好ましくは15〜30mmである。なお、同時重層塗布を行う場合、スライドホッパー型塗布装置は複数のブロックを有するが、この複数のブロックの厚みは、それぞれ同じでもよいし異なっていてもよい。しかしながら、本発明の効果をより効率的に得るという観点、および装置の簡便化という観点等から、複数のブロックの厚みは、同じであることが好ましい。
乾燥方法は、高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液を30〜60℃に加温して、基材フィルム上に高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液の同時重層塗布を行った後、形成した塗膜の温度を好ましくは1〜15℃にいったん冷却し(セット)、その後10℃以上で乾燥する方法であることが好ましい。より好ましい乾燥条件は、湿球温度−10〜50℃、膜面温度10〜50℃の範囲の条件である。例えば、50℃の温風を1〜5分吹き付けて乾燥する。また、塗布直後の冷却方式としては、形成された塗膜の均一性向上の観点から、水平セット方式で行うことが好ましい。
高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液の塗布厚は、上記で示したような好ましい乾燥時の厚みとなるように塗布すればよい。
乾燥方法としては、温風乾燥、赤外乾燥、マイクロ波乾燥が用いられる。また単一プロセスでの乾燥よりも多段プロセスの乾燥が好ましく、恒率乾燥部の温度<減率乾燥部の温度にすることがより好ましい。この場合の恒率乾燥部の温度範囲は20〜60℃にすることが好ましく、減率乾燥部の温度範囲は45〜80℃にすることが好ましい。
ここで、前記セットとは、冷風等を塗膜に当てて温度を下げるなどの手段により、塗膜組成物の粘度を高め、各層間および各層内の物質の流動性を低下させたり、またゲル化させたりする工程のことを意味する。冷風を塗布膜に表面から当てて、塗布膜の表面に指を押し付けたときに指に何もつかなくなった状態を、セット完了の状態と定義する。
塗布した時点から、冷風を当ててセットが完了するまでの時間(セット時間)は、5分以内であることが好ましく、2分以内であることがより好ましい。また、下限の時間は特に制限されないが、30秒以上の時間をとることが好ましい。セット時間が短すぎると、層中の成分の混合が不十分となる虞がある。一方、セット時間が長すぎると、金属酸化物粒子の層間拡散が進み、高屈折率層と低屈折率層との屈折率差が不十分となる虞がある。
[水溶性高分子]
本発明で用いられる水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、もしくはアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、もしくはスチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのスチレンアクリル酸樹脂、スチレン−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート−スチレンスルホン酸カリウム共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体およびそれらの塩などの合成水溶性高分子;ゼラチン、増粘多糖類などの天然水溶性高分子などが挙げられる。これらの中で、特に好ましい例としては、製造時のハンドリングと膜の柔軟性の点から、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、およびそれらを含有する共重合体、ポリビニルブチラール、ゼラチン、増粘多糖類(特にセルロース類)が挙げられる。これらの水溶性高分子は、単独で用いてもよいし2種以上併用して用いてもよい。
本発明で好ましく用いられるポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、変性ポリビニルアルコールも含まれる。変性ポリビニルアルコールとしては、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、ノニオン変性ポリビニルアルコール、ビニルアルコール系ポリマーが挙げられる。
ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、平均重合度が1,000以上のものが好ましく用いられ、特に平均重合度が1,500〜5,000のものが好ましく、2,000〜5,000のものがより好ましく用いられる。ポリビニルアルコールの重合度が1,000以上であると塗布膜のひび割れがなく、5,000以下であると塗布液が安定するからである。なお、塗布液が安定するとは塗布液が経時的に安定することを意味する。以下、同様である。
また、ケン化度は、70〜100%のものが好ましく、80〜99.5%のものが水への溶解性の点でより好ましい。
本発明では、前記平均重合度が1,000以上のポリビニルアルコールに加えて、重合度が100〜500でケン化度が95mol%以上である低重合度高ケン化ポリビニルアルコールを高屈折率層および低屈折率層の少なくとも一方が含むことが好ましい。このような低重合度高ケン化ポリビニルアルコールを含有させることにより、塗布液の安定性が向上する。
さらに本発明の効果を損なわない限りにおいて、高屈折率層および低屈折率層の少なくとも一方は、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、一部が変性された変性ポリビニルアルコールを含んでもよい。このような変性ポリビニルアルコールとしては、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、ノニオン変性ポリビニルアルコール、ビニルアルコール系ポリマー等が挙げられる。
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号公報に記載されているような、第一〜三級アミノ基や第四級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(2−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
アニオン変性ポリビニルアルコールは、例えば、特開平1−206088号公報に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号公報および同63−307979号公報に記載されているような、ビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体および特開平7−285265号公報に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号公報に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号公報に記載されている疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体、シラノール基を有するシラノール変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基やカルボニル基、カルボキシル基などの反応性基を有する反応性基変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。
これらポリビニルアルコール類は、単独でも、または重合度や変性の種類違いなどの2種以上を併用してもよい。また、ポリビニルアルコール類は、市販品を用いてもよいし合成品を用いてもよい。市販品の例としては、例えば、PVA−102、PVA−103、PVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−120、PVA−124、PVA−135、PVA−203、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−235、PVA−617等のポバール(株式会社クラレ製)、エクセバール(登録商標、株式会社クラレ製)、ニチゴーGポリマー(登録商標、日本合成化学工業株式会社製)等が挙げられる。
[添加剤]
本発明に係る低屈折率層用塗布液および高屈折率層用塗布液には、必要に応じて各種添加剤を添加することができる。以下、添加剤について説明する。
<硬化剤>
本発明に係る低屈折率層および高屈折率層においては、硬化剤を添加することが好ましい。硬化剤の例としては、例えば、上記の水溶性高分子として好適なポリビニルアルコールと硬化反応を起こす硬化剤が挙げられる。具体的には、ホウ酸およびその塩が好ましい。ホウ酸およびその塩以外にも公知のものが使用でき、一般的にはポリビニルアルコール類と反応し得る基を有する化合物あるいはポリビニルアルコール類が有する異なる基同士の反応を促進するような化合物であり、適宜選択して用いられる。さらに他の硬化剤の具体例としては、例えば、エポキシ系硬化剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬化剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬化剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、アルミニウム明礬等が挙げられる。
ホウ酸またはその塩とは、硼素原子を中心原子とする酸素酸およびその塩のことをいい、具体的には、オルトホウ酸、二ホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸および八ホウ酸およびそれらの塩が挙げられる。
硬化剤としてのホウ素原子を有するホウ酸およびその塩は、単独の水溶液でも、また、2種以上を混合して使用してもよい。特に好ましいのはホウ酸とホウ砂との混合水溶液である。
ホウ酸とホウ砂との水溶液は、それぞれ比較的希薄水溶液でしか添加することが出来ないが両者を混合することで濃厚な水溶液にすることが出来、塗布液を濃縮化することが出来る。また、添加する水溶液のpHを比較的自由にコントロールすることが出来る利点がある。
本発明では、ホウ酸およびその塩並びに/またはホウ砂を用いることが層間混合をより抑制するという観点から好ましい。ホウ酸およりその塩並びに/またはホウ砂を用いた場合には、金属酸化物粒子と水溶性バインダー樹脂であるポリビニルアルコール類のOH基とが水素結合ネットワークを形成し、その結果として高屈折率層と低屈折率層との層間混合が抑制され、好ましい近赤外遮蔽特性が達成されると考えられる。特に、高屈折率層と低屈折率層との多層重層をコーターで塗布後、一旦塗膜の膜面温度を15℃程度に冷やした後、膜面を乾燥させるセット系塗布プロセスを用いた場合には、より好ましく効果を発現することができる。
上記硬化剤の総使用量は、ポリビニルアルコール類1g当たり1〜600mgが好ましく、ポリビニルアルコール類1g当たり100〜600mgがより好ましい。
<その他の添加剤>
本発明に係る高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液に添加可能な各種の添加剤を、以下に列挙する。例えば、特開昭57−74193号公報、特開昭57−87988号公報、および特開昭62−261476号公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、特開昭57−87989号公報、特開昭60−72785号公報、特開昭61−146591号公報、特開平1−95091号公報、および特開平3−13376号公報等に記載されている退色防止剤、アニオン、カチオンまたはノニオンの各種界面活性剤、特開昭59−42993号公報、特開昭59−52689号公報、特開昭62−280069号公報、特開昭61−242871号公報、および特開平4−219266号公報等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム等のpH調整剤、消泡剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、防黴剤、帯電防止剤、マット剤、熱安定剤、酸化防止剤、難燃剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、滑剤、赤外線吸収剤、色素、顔料等の公知の各種添加剤などが挙げられる。
[基材フィルム]
赤外遮蔽フィルムの基材フィルムとしては、種々の樹脂フィルムを用いることができ、例えば、ポリオレフィンフィルム(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリ塩化ビニル、3酢酸セルロース等が挙げられる。好ましくはポリエステルフィルムである。ポリエステルフィルムとしては、特に限定されるものではないが、ジカルボン酸成分とジオール成分とを主要な構成成分とするフィルム形成性を有するポリエステルフィルムであることが好ましい。
主要な構成成分のジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸などを挙げることができる。また、ジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビスフェノールフルオレンジヒドロキシエチルエーテル、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ハイドロキノン、シクロヘキサンジオールなどを挙げることができる。これらを主要な構成成分とするポリエステルの中でも透明性、機械的強度、寸法安定性などの点から、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸や2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジオール成分として、エチレングリコールや1,4−シクロヘキサンジメタノールを主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。中でも、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートを主要な構成成分とするポリエステルや、テレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールからなる共重合ポリエステル、およびこれらのポリエステルの2種以上の混合物を主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。
本発明に用いられる基材フィルムの厚みは、10〜300μmであることが好ましく、20〜150μmであることがより好ましい。また、基材フィルムは、2枚重ねたものであってもよく、この場合、その種類は同じでもよいし異なっていてもよい。
また、本発明に係る基材フィルムは、JIS R3106:1998で示される可視光領域の透過率が85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。このような透過率の範囲であれば、赤外遮蔽フィルムとしたときのJIS R3106:1998で示される可視光領域の透過率が40%以上とすることに有利となり、好ましい。
本発明に係る基材フィルムは、従来公知の一般的な方法により製造することが可能である。例えば、材料となる樹脂を押し出し機により溶融し、環状ダイやTダイにより押し出して急冷することにより、実質的に無定形で配向していない未延伸の基材フィルムを製造することができる。また、未延伸の基材フィルムを一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸などの公知の方法により、基材フィルムの流れ(縦軸)方向、または基材フィルムの流れ方向と直角(横軸)方向に延伸することにより延伸した基材フィルムを製造することができる。この場合の延伸倍率は、基材フィルムの原料となる樹脂に合わせて適宜選択することができるが、縦軸方向および横軸方向にそれぞれ2〜10倍が好ましい。
上記のように基材フィルムは、未延伸フィルムでも延伸フィルムでもよいが、強度向上、熱膨張抑制等の観点から延伸フィルムが好ましい。
また、本発明に係る基材フィルムは、寸法安定性の点で弛緩処理やオフライン熱処理を行ってもよい。弛緩処理は前記ポリエステルフィルムの延伸製膜工程中の熱固定した後、横延伸のテンター内、またはテンターを出た後の巻き取りまでの工程で行われるのが好ましい。弛緩処理は処理温度が80〜200℃で行われることが好ましく、100〜180℃がより好ましい。また、長手方向、幅手方向ともに、弛緩率が0.1〜10%の範囲で行われることが好ましく、より好ましくは弛緩率が2〜6%で処理されることである。弛緩処理された基材フィルムは、上記のオフライン熱処理を施すことにより耐熱性が向上し、さらに寸法安定性が良好になる。
本発明に係る基材フィルムは、製膜過程で片面または両面にインラインで下引層塗布液を塗布することが好ましい。本発明において、製膜工程中での下引塗布をインライン下引という。本発明に有用な下引層塗布液に使用する樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリエチレンイミンビニリデン樹脂、ポリエチレンイミン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、変性ポリビニルアルコール樹脂、またはゼラチン等を挙げることができ、これらは単独でもまたは2種以上混合しても用いることができる。これらの下引層には、従来公知の添加剤を加えることもできる。上記下引層は、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプレーコート等の公知の方法によりコーティングすることができる。上記下引層の塗布量としては、0.01〜2g/m(乾燥状態)程度が好ましい。
[赤外遮蔽体]
本発明に係る赤外遮蔽フィルムは、幅広い分野に応用することができる。例えば、建物の屋外の窓や自動車窓等長期間太陽光に晒らされる設備に貼り合せ、熱線反射効果を付与する熱線反射フィルム等の窓貼用フィルムや、農業用ビニールハウス用フィルム等として、主として耐候性を高める目的で用いられる。また、自動車用の合わせガラスなどのガラスとガラスとの間に挟む、自動車用赤外遮蔽フィルムとしても好適に用いられる。この場合、外気ガスから赤外遮蔽フィルムを封止できるため、耐久性の観点から好ましい。
特に、本発明に係る赤外遮蔽フィルムは、直接あるいは粘着剤または接着剤を介して、ガラスまたはガラス代替の樹脂などの基体に貼合される部材に好適に用いられる。前記赤外遮蔽フィルムと前記基体とを貼り合わせたものは、赤外遮蔽体とも呼ばれる。
前記基体の具体的な例としては、例えば、ガラス、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスルフィド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、金属板、セラミック等が挙げられる。樹脂の種類は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂のいずれでもよく、これらは単独でもまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。本発明で使用されうる基体は、押出成形、カレンダー成形、射出成形、中空成形、圧縮成形等、公知の方法で製造することができる。
基体の厚みは特に制限されないが、通常0.1mm〜5cmである。
本発明に係る赤外遮蔽フィルムと基体とを貼り合わせる粘着剤(粘着層)は、赤外遮蔽フィルムが日光(熱線)入射面側にあるように設置することが好ましい。また、本発明に係る赤外遮蔽フィルムを、窓ガラスと基体との間に挟持すると、水分等の周囲のガスから封止でき耐久性に優れるため好ましい。本発明に係る赤外遮蔽フィルムを、屋外や車の外側(外貼り用)に設置しても環境耐久性があって好ましい。
本発明に係る赤外遮蔽フィルムと基体とを貼り合わせるために、接着剤(接着層)を使用してもよい。この接着剤としては、光硬化性もしくは熱硬化性の樹脂を主成分とする接着剤を用いることができる。
接着剤は紫外線に対して耐久性を有するものが好ましく、アクリル系接着剤またはシリコーン系接着剤が好ましい。さらに接着特性やコストの観点から、アクリル系接着剤が好ましい。特に剥離強さの制御が容易なことから、アクリル系接着剤において、溶剤系が好ましい。アクリル溶剤系接着剤として溶液重合ポリマーを使用する場合、そのモノマーとしては公知のものを使用できる。
また、合わせガラスの中間層として用いられるポリビニルブチラール系樹脂、あるいはエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂を上記の粘着層または接着層として用いてもよい。その具体例としては、例えば、可塑性ポリビニルブチラール(積水化学工業株式会社製、三菱モンサント化成株式会社製等)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(デュポン社製、武田薬品工業株式会社製、デュラミン)、変性エチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー株式会社製、メルセン(登録商標)G)等である。なお、接着層または粘着層には、紫外線吸収剤、抗酸化剤、帯電防止剤、熱安定剤、滑剤、充填剤、着色、接着(粘着)調整剤等を適宜添加配合してもよい。
基体として好ましいものは、プラスチック基体、金属基体、セラミック基体、布状基体等であり、フィルム状、板状、球状、立方体状、直方体状等様々な形態の基体に本発明の赤外遮蔽フィルムを設けることができる。これらの中でも、板状のセラミック基体が好ましく、ガラス板に本発明の赤外遮蔽フィルムを設けた赤外遮蔽体がより好ましい。ガラス板の例としては、例えば、JIS R3202:1996に記載されたフロート板ガラス、および磨き板ガラスが挙げられ、ガラス厚みとしては0.01mm〜20mmが好ましい。
基体に本発明の赤外遮蔽フィルムを設ける方法としては、上述のように赤外遮蔽フィルムに粘着層を塗設し、粘着層または接着層を介して基体に貼り付ける方法が好適に用いられる。貼合方法としては、そのまま基体にフィルムを貼る乾式貼合、上述のように水貼り貼合する方法等が適応できるが、基体と赤外遮蔽フィルムとの間に空気が入らないようにするため、また基体上での赤外遮蔽フィルムの位置決め等、施工のしやすさの観点で水貼り法により貼合することがより好ましい。
また、本発明に係る赤外遮蔽体は、例えば、ガラスの両面に赤外遮蔽フィルムを設けた形態でもよいし、赤外遮蔽フィルムの両面に粘着層または接着層を塗設し、赤外遮蔽フィルムの両面にガラスを貼り合わせた合わせガラス状の形態でもよい。
赤外遮蔽フィルムまたは赤外遮蔽体の断熱性能および日射熱遮へい性能は、一般的にJIS R3209:1998(複層ガラス)、JIS R3106:1998(板ガラス類の透過率・反射率・放射率・日射熱取得率の試験方法)、JIS R3107:1998(板ガラス類の熱抵抗および建築における熱貫流率の算定方法)に準拠した方法により求めることができる。
日射透過率、日射反射率、放射率、および可視光透過率の測定は、(1)波長(300〜2500nm)の分光測光器を用い、各種単板ガラスの分光透過率、分光反射率を測定する。また、波長5.5〜50μmの分光測定器を用いて放射率を測定する。なお、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、熱線吸収板ガラスの放射率は既定値を用いる。(2)日射透過率、日射反射率、日射吸収率、および修正放射率の算出は、JIS R3106:1998に従い、日射透過率、日射反射率、日射吸収率、垂直放射率を算出する。修正放射率に関しては、JIS R3107:1998に示されている係数を、垂直放射率に乗ずることにより求める。断熱性、日射熱遮へい性の算出は、(1)厚さの測定値、修正放射率を用いJIS R3209:1998に従って複層ガラスの熱抵抗を算出する。ただし、中空層が2mmを超える場合はJIS R3107:1998に従って中空層の気体熱コンダクタンスを求める。(2)断熱性は、複層ガラスの熱抵抗に熱伝達抵抗を加えて熱貫流抵抗で求める。(3)日射熱遮蔽性はJIS R3106:1998により日射熱取得率を求め、1から差し引いて算出する。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」または「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」または「質量%」を表す。
(実施例1〜18、比較例1〜14)
《赤外遮蔽フィルムの作製》
[塗布液の調製]
(低屈折率層用塗布液L1の調製)
コロイダルシリカ(スノーテックス(登録商標)OXS、日産化学工業株式会社製、固形分10質量%)12質量部に、ポリビニルアルコール(PVA−103、重合度300、ケン化度98.5mol%、株式会社クラレ製)の5質量%水溶液2質量部、および3質量%ホウ酸水溶液10質量部をそれぞれ添加した後、40℃に加熱し、攪拌しながら、ポリビニルアルコール(PVA−117、重合度1700、ケン化度98.5mol%、株式会社クラレ製)の5質量%水溶液20質量部、および界面活性剤(ラピゾール(登録商標)A30、日油株式会社製)の1質量%水溶液1質量部を添加し、純水55質量部を加えて低屈折率層用塗布液L1を調製した。但し、純水は、下記表1に記載の粘度になるように量の調整を行った。
(シリカ付着酸化チタンゾルの調製)
15.0質量%酸化チタンゾル(SRD−W、体積平均粒径5nm、ルチル型酸化チタン粒子、堺化学工業株式会社製)0.5質量部に純水2質量部を加えた後、90℃に加熱した。次いで、ケイ酸水溶液(ケイ酸ソーダ4号(日本化学工業株式会社製)をSiO濃度が2.0質量%となるように純水で希釈したもの)1.3質量部を徐々に添加した。次いで、オートクレーブ中、175℃で18時間加熱処理を行い、冷却後、限外濾過膜にて濃縮することにより、固形分濃度が、20質量%のSiOを表面に付着(被覆)させた酸化チタンゾル(以下、単に「シリカ付着酸化チタンゾル」とも称する)を得た。
(高屈折率層用塗布液H1の調製)
上記で得られたシリカ付着酸化チタンゾル(固形分20.0質量%)30質量部に、ポリビニルアルコール(PVA−103、重合度300、ケン化度98.5mol%、株式会社クラレ製)の5質量%水溶液2質量部、3質量%ホウ酸水溶液10質量部、2質量%クエン酸水溶液10質量部をそれぞれ添加した後、40℃に加熱し、攪拌しながら、ポリビニルアルコール(PVA−617、重合度1700、ケン化度95.0mol%、株式会社クラレ製)の5質量%水溶液20質量部、界面活性剤(ラピゾールA30、日油株式会社製)の1質量%水溶液1質量部を添加し、純水27質量部を加えて高屈折率層用塗布液H1を調製した。但し、純水は、下記表1に記載の粘度になるように量の調整を行った。
[赤外遮蔽フィルムの作製]
46層重層塗布可能なスライドホッパー型塗布装置を用い、低屈折率層用塗布液L1および高屈折率層用塗布液H1を40℃に保温しながら、厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡株式会社製、コスモシャイン(登録商標)A4300、両面易接着層)上に、それぞれ交互に、計8〜46層の同時重層塗布を行なった。このとき、基材フィルム側から第1層(最下層)および第2層に低屈折率層、第3層以降は交互に、最上層が低屈折率層となるように、送液タンクを加圧して塗布液をスライドホッパー型塗布装置に送液した。送液タンクとスライドホッパー型塗布装置との間に設けた流量計(FD−SS2A、株式会社キーエンス製)により、流量を確認したところ、第1層〜最上層への送液流路では流量変動はほとんどない(平均流量に対して±1%未満)ことを確認した。このようにして、低屈折率層および高屈折率層が計8〜46層からなる赤外遮蔽フィルムを作製した。
各実施例および比較例における、最下層を除く、低屈折率層用塗布液L1の粘度および塗布量、高屈折率層用塗布液H1の粘度および塗布量、最下層塗布液の塗布量、スライド面の水平面に対する角度、ブロック一つ当たりの厚み、同時重層の塗布層数、ならびに塗布速度を、下記表1に示す。なお、塗布液の粘度は、落下式粘度計により測定した。さらに、各実施例および比較例においては、複数のブロックはすべて表1に示す同じ厚みのものを使用した。例えば、実施例1においては、厚み20mmのブロックのみを使用したということを示す。
[赤外遮蔽フィルムの評価]
実施例1〜18および比較例1〜14で製造した赤外遮蔽フィルムについて、目視による木目状ムラ、スジ故障、泡・異物故障、および下記の性能評価を行った。評価結果を下記表2に示す。
(木目状ムラ、スジ故障、泡・異物故障の目視評価)
○:発生無
△:僅かに発生
×:強く発生。
なお、本発明の製造方法によって製造された赤外遮蔽フィルムは、スジ故障、木目状のムラ、および泡・異物故障の目視評価結果としては、いずれも強く発生(「×」)しないことが必要であり、わずかに発生(「△」)してもよいが、全てが発生無(「○」)であることが特に好ましい。
(膜厚変動率の測定)
上記で作製した各赤外遮蔽フィルムの断面を、電子顕微鏡(FE−SEM、S−5000H型、株式会社日立製作所製)を用いて、加速電圧2.0kVの条件で1cm長さが観察できるように視野数を選び観察した。画像は、デジタル化し接続されたファイリング装置(VIDEOBANK)に転送しMOディスク中に保存した。続いて、画像処理装置にてコントラストを調整し、各層の膜厚を1000点測定して膜厚の平均値(μ)と膜厚の標準偏差(σ)を算出した。膜厚の標準偏差(σ)を膜厚変動幅として、膜厚の平均値に対する膜厚変動率(V)を下記の式1により求めた。
下記基準に従い、得られた値から赤外遮蔽フィルムの膜厚変動率を評価した:
○:3%未満
△:3%以上5%未満
×:5%以上。
なお、本発明の製造方法によって製造された赤外遮蔽フィルムは、膜厚変動率の結果としては、5%以上(「×」)にならないことが必要であり、3%以上5%未満(「△」)であってもよいが、3%未満(「○」)であることが特に好ましい。
(色差の測定)
分光光度計(積分球使用、株式会社日立製作所製、U−4000型)を用い、製造した赤外遮蔽フィルムの測定側の裏面を粗面化処理した後、黒色のスプレーで光吸収処理を行って、裏面での光の反射を防止した。次いで、5度正反射の条件と45度正反射の条件とで可視光領域(360nm〜740nm)の反射率を測定した。得られた結果から、L値を算出し、5度正反射の条件と45度正反射の条件との色差ΔEを下記の式2により求めた。
下記基準に従い、得られた値から赤外遮蔽フィルムの色差を評価した:
○:10未満
△:10以上20未満
×:20以上。
なお、本発明の製造方法によって製造された赤外遮蔽フィルムは、色差の結果としては、20以上(「×」)にならないことが必要であり、10以上20未満(「△」)であってもよいが、10未満(「○」)であることが特に好ましい。
膜厚変動率および色差の評価結果を下記表2に示す。
表2の結果から明らかなように、実施例1〜18の赤外遮蔽フィルムは、木目状ムラ、スジ故障、泡・異物故障、膜厚変動率および色差について良好な結果が得られた。すなわち、40℃における粘度が5〜200mPa・sの範囲にある塗布液を、スライド面の水平面に対する角度が2〜15°であり、ブロック一つ当たりの厚みが15〜40mmであるスライドホッパー型塗布装置により同時重層塗布することにより、波立ち起因のムラが抑制され、膜厚変動率が良好であり、色差のない、外観が良好な赤外遮蔽フィルムを得ることができる。
なお、本出願は、2013年5月16日に出願された日本特許出願第2013−104052号に基づいており、その開示内容は、参照により全体として引用されている。

Claims (5)

  1. 連続的に走行する基材フィルム上に、高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液を、スライドホッパー塗布装置を用いて10層以上40層以下の層を同時重層塗布する工程を含む赤外遮蔽フィルムの製造方法であって、
    前記高屈折率層用塗布液および前記低屈折率層用塗布液の40℃における粘度が5〜200mPa・sであり、
    前記スライドホッパー型塗布装置のスライド面の水平面に対する角度が2〜15°であり、
    前記スライドホッパー型塗布装置のブロック一つ当たりの厚みが15〜40mmであり、
    前記赤外遮蔽フィルムの最下層を除く低屈折率層の1層あたりの厚みは、50〜300nmであり、前記赤外遮蔽フィルムの最下層を除く高屈折率層の1層あたりの厚みは、50〜300nmである、赤外遮蔽フィルムの製造方法。
  2. 同時重層塗布する層数が10層以上34層以下である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 最下層を除く、前記高屈折率層用塗布液および前記低屈折率層用塗布液の塗布量が2〜5g/mである、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 最下層における前記高屈折率層用塗布液または前記低屈折率層用塗布液の塗布量が10〜40g/mである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 塗布速度が60〜200m/minである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
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