JP6690544B2 - 光学反射フィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光学反射フィルムの製造方法に関する。
従来、反射防止フィルム、赤外反射フィルム、カラー感光材料などの多層積層膜は、乾式成膜または湿式成膜で製造されている。生産性の面では、化学蒸着(CVD)や物理蒸着(PVD)などの乾式成膜よりも、塗布液の塗布および乾燥が行われる湿式成膜が優れている。
スライドホッパー型塗布装置は、複数の塗布液を同時重層塗布できる湿式成膜装置として、上記のような多層積層膜の製造に好適に用いられるが、塗布ムラを低減させる製造方法が求められている。
特開平03−219237号公報(特許文献1)には、最下層の粘度が15cP〜100cPである塗布液を用い、該最下層の上に塗布される7層以上の塗布液の粘度を30cP以上とし、かつ7層以上の塗布液の粘度の算術平均が60〜300cPであるように調整して塗布することを特徴とするカラー感光材料の製造方法が開示されている。この製造方法によれば、高速で安定して色ムラを生じない均一な塗布状態を得ることができるとしている。
しかしながら、特許文献1に開示される塗布液では、光学反射フィルムの製造に用いる場合、多層塗布を行う際にスライド面上で波立ちが発生し、塗布済みの製品に木目状の塗布ムラ(以下木目状ムラとも称する)を発生させてしまうという問題があった。また、光学反射フィルムの幅方向の均一性が得られず、幅方向の色ムラを生じる問題があった。かかる問題点について、上記の従来技術はいまだ改善の余地があった。
そこで、本発明は、木目状の塗布ムラおよび幅方向の不均一性に起因する幅方向の色ムラを改善した光学反射フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討を行った。その結果、驚くべきことに、以下の特徴を有する本発明により課題が解決されることを見出した。すなわち、連続的に走行する基材フィルム上に、高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液を、スライドホッパー型塗布装置を用いて10〜40層の層を同時重層塗布する工程を含む光学反射フィルムの製造方法であって、前記高屈折率層用塗布液および前記低屈折率層用塗布液の40℃における粘度が5〜200mPa・sであり、前記スライドホッパー型塗布装置のスライド面の水平面に対する角度が2〜15°であり、前記スライドホッパー型塗布装置のブロック一つ当たりの厚みが15〜40mmであり、前記同時重層塗布により形成された、最下層を除く隣接する高屈折率層および低屈折率層の前記高屈折率層用塗布液および前記低屈折率層用塗布液の塗布量和が、5〜10g/mである、光学反射フィルムの製造方法である。
スライドホッパー型塗布装置の一例を示す概略図である。 スライド面上での塗布液の波立ちを抑制するメカニズムを示す模式図である。 分散装置の一例のマイルダーの模式図である。
以下、本発明を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。また、本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%RHの条件で測定する。
本発明の一形態によれば、以下のような光学反射フィルムの製造方法が提供される。本発明の製造方法は、連続的に走行する基材フィルム上に、高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液を、スライドホッパー塗布装置を用いて10〜40層の層を同時重層塗布する工程を含む。かかる製造方法において、前記高屈折率層用塗布液および前記低屈折率層用塗布液の40℃における粘度が5〜200mPa・sであり、前記スライドホッパー型塗布装置のスライド面の水平面に対する角度が2〜15°であり、前記スライドホッパー型塗布装置のブロック一つ当たりの厚みが15〜40mmである。さらに、かかる製造方法において、同時重層塗布により形成された、最下層を除く隣接する高屈折率層および低屈折率層の前記高屈折率層用塗布液および前記低屈折率層用塗布液の塗布量和(本明細書中、単に「塗布量和」とも称する。)が、5〜10g/mである。
かかる構成によって、塗布面に木目状ムラおよび幅方向の色ムラがほとんど発生しないかまったく発生せず、良好な外観を有する光学反射フィルムの製造方法が提供される。
本明細書において、例えば5〜200mPa・sとは、5mPa・s以上200mPa・s以下の範囲を示すものとする。
なお、本明細書中、単に「塗布液」と称する場合、基本的に、高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液の双方を意味する。
[光学反射フィルム]
上記製造方法により製造される光学反射フィルムは、少なくとも基材上に、高屈折率層および低屈折率層を含む積層体が配置された構成を有する。このような構成とし、高屈折率層および低屈折率層の光学膜厚(膜厚×屈折率)を適宜制御することで、特定波長の光線を反射することができる。これにより、光学反射フィルムは、例えば、波長200〜400nmの光線(紫外線)を反射する場合には紫外遮蔽フィルムとなり、波長400〜700nmの光線(可視光)を反射する場合には可視光着色フィルムとなり、波長700〜1200nmの光線(赤外線)を反射する場合には赤外遮蔽フィルムとなりうる。その他、積層体の光学膜厚等を適宜設計することで、反射する光線の波長および反射率を制御し、金属光沢調フィルムとすることもできる。これらのうち、光学反射フィルムが遮蔽しうる光線は、波長200nm〜1000μmの紫外線〜遠赤外線領域の光線であることが好ましく、250〜2500nmの波長を有する光線であることがより好ましく、波長700〜1200nmの近赤外線領域の光線であることがより好ましい。
以下の説明では、光学反射フィルムの代表的な例として、赤外遮蔽フィルムの製造方法について説明するが、本発明を限定するものではない。
[赤外遮蔽フィルム]
本発明の一実施形態に係る赤外遮蔽フィルムの構成は、特に制限されないが、基材フィルムと、高屈折率層および低屈折率層から構成されるユニットの少なくとも1つとを含み、高屈折率層と低屈折率層との合計が10〜40層となるようにし、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層された交互積層体の形態を有することが好ましい。なお、本明細書中、他方に対して屈折率の高い屈折率層を高屈折率層と称し、他方に対して屈折率の低い屈折率層を低屈折率層と称する。
本形態において、赤外遮蔽フィルムは、屈折率の異なる2つの層、すなわち、高屈折率層と低屈折率層とから構成されるユニットを少なくとも1つ含み、高屈折率層と低屈折率層の合計が10〜40層となるようにする。
また、例えば、高屈折率層と低屈折率層とがそれぞれ金属酸化物粒子を含む場合、低屈折率層に含まれる金属酸化物粒子(以下、「第1の金属酸化物粒子」と称する)と、高屈折率層に含まれる金属酸化物粒子(以下、「第2の金属酸化物粒子」と称する)と、が2つの層の界面で混合され、第1の金属酸化物粒子と第2の金属酸化物粒子とを含む層が形成される場合がある。その場合、第1の金属酸化物粒子と第2の金属酸化物粒子との存在比により、低屈折率層または高屈折率層とみなす。具体的には、低屈折率層とは、第1の金属酸化物粒子と第2の金属酸化物粒子との合計質量に対して、第1の金属酸化物粒子が、50〜100質量%未満で含まれる層を意味する。高屈折率層とは、第1の金属酸化物粒子と第2の金属酸化物粒子との合計質量に対して、第2の金属酸化物粒子が、50質量%を超えて100質量%未満で含まれる層を意味する。なお、屈折率層に含まれる金属酸化物粒子の種類および量は、エネルギー分散型X線分光法(EDX)により分析できる。
本発明に用いる金属酸化物粒子としては、特に制限されないが、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化ニオブ(Nb)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ケイ素(SiO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化アンチモンスズ(ATO)等が挙げられる。これらのうち、高屈折率層用塗布液に含まれる第2の金属酸化物粒子として酸化チタン(TiO)、又は酸化ジルコニウムを、低屈折率層用塗布液に含まれる第1の金属酸化物粒子として酸化ケイ素(SiO)を、それぞれ用いることが好ましい。酸化チタンとしては後述のシリカ付着酸化チタンゾルが特に好ましく、酸化ケイ素としてはコロイダルシリカが特に好ましい。なお、本発明では、金属酸化物粒子の代わりに、フッ化カルシウム(CaF)、フッ化マグネシウム(MgF)を用いてもよい。
さらに、酸化チタン粒子を含ケイ素の水和酸化物で被覆してもよい。含ケイ素の水和化合物の被覆量は、好ましくは3〜30質量%、より好ましくは3〜10質量%、さらに好ましくは3〜8質量%である。被覆量が30質量%以下であると、高屈折率層の所望の屈折率が得られ、被覆量が3質量%以上であると粒子を安定に形成することができるからである。
酸化チタン粒子を含ケイ素の水和酸化物で被覆する方法としては、従来公知の方法により製造することができ、例えば、特開平10−158015号公報(ルチル型酸化チタンへのSi/Al水和酸化物処理;チタン酸ケーキのアルカリ領域での解膠後酸化チタンの表面にケイ素および/またはアルミニウムの含水酸化物を析出させて表面処理する酸化チタンゾルの製造方法)、特開2000−204301号公報(ルチル型酸化チタンにSiとZrおよび/またはAlの酸化物との複合酸化物を被覆したゾル。水熱処理。)、特開2007−246351号公報(含水酸化チタンを解膠して得られる酸化チタンのヒドロゾルへ、安定剤として式R SiX4−n(式中RはC1−C8アルキル基、グリシジルオキシ置換C1−C8アルキル基またはC2−C8アルケニル基、Xはアルコキシ基、nは1または2である。)のオルガノアルコキシシランまたは酸化チタンに対して錯化作用を有する化合物を添加、アルカリ領域でケイ酸ナトリウムまたはシリカゾルの溶液へ添加・pH調整・熟成することにより、ケイ素の含水酸化物で被覆された酸化チタンヒドロゾルを製造する方法)等に記載された事項を参照することができる。また、本実施例に記載の方法を適宜参照してもよい。
一般に、赤外遮蔽フィルムにおいては、低屈折率層と高屈折率層との屈折率の差を大きく設計することが、少ない層数で赤外反射率を高くすることができるという観点から好ましい。本形態に係る赤外遮蔽フィルムでは、低屈折率層および高屈折率層から構成されるユニットの少なくとも1つにおいて、隣接する低屈折率層と高屈折率層との屈折率差が0.1以上であることが好ましく、より好ましくは0.3以上であり、さらに好ましくは0.35以上であり、特に好ましくは0.4以上である。赤外遮蔽フィルムが高屈折率層および低屈折率層のユニットを複数有する場合には、全てのユニットにおける高屈折率層と低屈折率層との屈折率差が上記好適な範囲内にあることが好ましい。ただし、最表層や最下層に関しては、上記好適な範囲外の構成であってもよい。
また、本実施形態の赤外遮蔽フィルムにおいては、低屈折率層の好ましい屈折率は、1.10〜1.60であり、より好ましくは1.30〜1.50である。また、高屈折率層の好ましい屈折率は1.80〜2.50であり、より好ましくは1.90〜2.20である。
本発明において、高屈折率層および低屈折率層の屈折率は、下記の方法に従って求めることができる。
基材フィルム上に屈折率を測定する各屈折率層を単層で塗設したサンプルを作製し、このサンプルを10cm×10cmに断裁した後、下記の方法に従って屈折率を求める。分光光度計として、U−4000型(株式会社日立製作所製)を用いて、各サンプルの測定側の裏面を粗面化処理した後、黒色のスプレーで光吸収処理を行って裏面での光の反射を防止して、5度正反射の条件にて可視光領域(400nm〜700nm)の反射率を25点測定して平均値を求め、その平均値を平均屈折率とする。
特定波長領域の反射率は、隣接する2層の屈折率差と積層数で決まり、屈折率の差が大きいほど、少ない層数で同じ反射率を得られる。この屈折率差と必要な層数については、市販の光学設計ソフトを用いて計算することができる。例えば、赤外反射率90%以上を得るためには、屈折率差が0.1より小さいと、200層以上の積層が必要になり、生産性が低下するだけでなく、積層界面での散乱が大きくなり、透明性が低下し、また故障なく製造することも非常に困難になる。反射率の向上と層数を少なくするという観点からは、屈折率差に上限はないが、実質的には1.4程度が限界である。
本形態に係る赤外遮蔽フィルムの層数としては10〜40層、好ましくは10〜34層、より好ましくは10〜26層であり、13層以上、12層以上であってもよい。
また、本発明の好ましい形態によれば、12〜33層であることが好ましく、13〜29層であることが好ましく、14〜28層であることが好ましい。
また、本形態の赤外遮蔽フィルムは、例えば、積層膜の最表層や最下層のどちらも高屈折率層または低屈折率層となる積層膜であってもよい。本形態に係る赤外遮蔽フィルムとしては、基材フィルムに隣接する最下層が低屈折率層で、最表層も低屈折率層である層構成が好ましい。また、積層膜は、最下層と最下層に隣接する層(最下層に対し、基材の反対側に積層される層)とが共に高屈折率層または低屈折率層からなる構成であってもよい。層数が10未満であると、光学反射率の観点から好ましくなく、また、層数が40超であると、塗布欠陥の観点から好ましくない。
本形態に係る赤外遮蔽フィルムの全体の厚みは、好ましくは12〜315μm、より好ましくは15〜200μm、さらに好ましくは20〜150μmである。なお、赤外遮蔽フィルムの全体の厚みとは、基材を含めた全層合計の厚みである。
また、最下層を除く低屈折率層の1層あたりの乾燥後の膜厚は、30〜500nmであることが好ましく、30〜300nmであることがより好ましい。
一方、最下層を除く高屈折率層の1層あたりの乾燥後の膜厚は、30〜500nmであることが好ましく、30〜300nmであることがより好ましい。
最下層の乾燥後の膜厚は、最下層が低屈折率層であるか高屈折率層であるかに関わらず、300〜1500nmであることが好ましく、400〜1200nmであることがより好ましい。
さらには、本形態に係る赤外遮蔽フィルムの光学特性として、JIS R3106:1998で示される可視光領域の透過率は好ましくは50%以上、より好ましくは75%以上、さらに好ましくは85%以上であり、また、波長900〜1400nmの領域に反射率50%を超える領域を有することが好ましい。
本形態に係る赤外遮蔽フィルムは、基材フィルムの少なくとも一方の表面(好ましくは両面)、基材フィルムの下または基材フィルムと反対側の最表面層の上に、さらなる機能の付加を目的として、導電性層、帯電防止層、ガスバリア層、易接着層(接着層)、防汚層、消臭層、流滴層、易滑層、ハードコート層、耐摩耗性層、反射防止層、電磁波シールド層、紫外線吸収層、赤外吸収層、印刷層、蛍光発光層、ホログラム層、剥離層、粘着層、接着層、本発明の高屈折率層および低屈折率層以外の赤外線カット層(金属層、液晶層)、着色層(可視光線吸収層)、合わせガラスに利用される中間膜層などの機能層の1つ以上を有していてもよい。
[赤外遮蔽フィルムの製造方法]
本発明で用いられる塗布液は、スライドホッパー型塗布装置を用いた同時重層塗布によって塗布される。その際、スライド面上において高屈折率用塗布液と低屈折率用塗布液とを積層し、基材フィルムへ塗布することにより高屈折率層と低屈折率層とが形成される。一実施形態としては、以下の調製工程、循環工程、供給工程を経て、同時重層塗布工程が実施される。
<調製工程>
調製工程においては、赤外遮蔽フィルムの高屈折率層および低屈折率層を形成する塗布液をそれぞれ調製する。一実施形態の調製工程は、調製釜、送液装置および濾過装置を用いて実施される。
調製釜は、高分子含有塗布液(塗布液)を調製するための容器である。塗布液の調製方法は、特に制限されず、例えば、金属酸化物粒子、水溶性高分子、および必要に応じて添加されるその他の添加剤を溶媒に添加し、撹拌混合する方法である。この際、各成分の添加順も特に制限されず、撹拌しながら各成分を順次添加し混合してもよいし、撹拌しながら一度に添加し混合してもよい。これらの塗布液の調製方法は、塗布液ごとに適宜決められる。調製釜は、循環工程に含まれる貯蔵釜に塗布液を供給するために、貯蔵釜に接続されている。
送液装置は、調製釜から塗布液を流出する経路に設けられている。送液装置は、例えば、ポンプであり、調製された塗布液の流出、流出の停止を制御可能である。送液装置は、塗布液を流出させる際には、塗布液の流量や速度を適宜設定可能である。
濾過装置は、調製釜から塗布液を流出する経路に設けられている。濾過装置は、塗布液に混ざった異物や、塗布液中に発生した気泡や凝集による異物を除去する。異物が除去された塗布液は、循環工程に送られる。
(塗布液)
本発明においては、低屈折率層用塗布液および高屈折率層用塗布液としては、塗布後に塗膜をセットさせて層間の混合を抑制できるという点から、ポリビニルアルコール類などの水溶性樹脂(水溶性高分子)と、水または水と下記の有機溶媒(特には、水溶性有機溶剤)とを含む水系溶媒とを含む水系塗布液を用いることが好ましい。
前記低屈折率層用塗布液の40℃における粘度は、5〜200mPa・sであり、より好ましくは10〜190mPa・sであり、より好ましくは10〜180mPa・sであり、20〜180mPa・sであってもよい。
前記高屈折率層用塗布液の40℃における粘度は、5〜200mPa・sであり、より好ましくは10〜190mPa・sであり、より好ましくは10〜180mPa・sであり、20〜180mPa・sであってもよい。
粘度が5mPa・s未満の場合、スライド面の水平面に対する角度、ブロック一つ当たりの厚みおよび塗布量和が本発明に規定の範囲であっても、スライド面で波立ちが発生し、木目状のムラが発生してしまう。一方、200mPa・sを超える場合、本発明の所期の目的を達成できない。なお、粘度は、落下式粘度計により測定した値を採用する。低屈折率層用塗布液および高屈折率層用塗布液の粘度は、同じでも異なるものであってもよい。
塗布液の固形分の濃度は0.1〜10質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%であることがより好ましい。この範囲であると、固形分の濃度が低く塗布液の均一性が高いため、より膜厚均一性が向上すると考えられるからである。なお、本実施例において、固形分は、「金属酸化物粒子」、「水溶性高分子」および「界面活性剤」である。
低屈折率層用塗布液中の水溶性高分子の濃度は、全固形分に対して、0.1〜10質量%であることが好ましい。また、低屈折率層用塗布液中の第1の金属酸化物粒子の濃度は、全固形分に対して、1〜60質量%であることが好ましい。
高屈折率層用塗布液中の水溶性高分子の濃度は、全固形分に対して、0.5〜10質量%であることが好ましい。また、高屈折率層用塗布液中の第2の金属酸化物粒子の濃度は、全固形分に対して、1〜60質量%であることが好ましい。
なお、高屈折率層用塗布液に用いられる第2の金属酸化物粒子は、塗布液を調製する前に、別途、分散液の状態に調製したものを用いることが好ましい。すなわち、体積平均粒径が100nm以下のルチル型の酸化チタンを添加、分散して調製した水系の高屈折率層用塗布液を用いて、高屈折率層を形成することが好ましい。
さらに、含ケイ素の水和酸化物で被覆された酸化チタン粒子を添加、分散して調製した水系の高屈折率層用塗布液を用いて、高屈折率層を形成することがより好ましい。分散液を用いる場合は、各層において任意の濃度となるように分散液を適宜添加すればよい。
(溶媒)
高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液を調製するための溶媒は、特に制限されないが、水、有機溶媒、またはその混合溶媒が好ましい。前記水としては、夾雑物をできるだけ含まない、純水などが好ましい。
前記有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノールなどのアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのエステル類、ジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類、アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノンなどのケトン類などが挙げられる。これら有機溶媒は、単独でもまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。
環境面、操作の簡便性などから、塗布液の溶媒としては、特に水、または水とメタノール、エタノール、もしくは酢酸エチルとの混合溶媒が好ましい。
(水溶性高分子)
高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液に用いられる水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、もしくはアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、もしくはスチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのスチレンアクリル酸樹脂、スチレン−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート−スチレンスルホン酸カリウム共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体およびそれらの塩などの合成水溶性高分子;ゼラチン、増粘多糖類などの天然水溶性高分子などが挙げられる。これらの中で、特に好ましい例としては、製造時のハンドリングと膜の柔軟性の点から、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、およびそれらを含有する共重合体、ポリビニルブチラール、ゼラチン、増粘多糖類(特にセルロース類)が挙げられる。これらの水溶性高分子は、単独で用いてもよいし2種以上併用して用いてもよい。
本発明で好ましく用いられるポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、変性ポリビニルアルコールも含まれる。変性ポリビニルアルコールとしては、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、ノニオン変性ポリビニルアルコール、ビニルアルコール系ポリマーが挙げられる。
ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、平均重合度が、1,000以上のものが好ましく用いられ、特に平均重合度が1,500〜5,000のものが好ましく、1,600〜2,000のものがより好ましく用いられ、ただし、2,000〜5,000であってもよい。
ポリビニルアルコールの重合度が1,000以上であると塗布膜のひび割れがなく、5,000以下であると塗布液が安定するからである。なお、塗布液が安定するとは塗布液が経時的に安定することを意味する。以下、同様である。
また、ケン化度は、70〜100mol%のものが好ましく、80〜99.5mol%のものが水への溶解性の点でより好ましい。
本発明では、前記平均重合度が1,000以上のポリビニルアルコールに加えて、重合度が100〜500でケン化度が95mol%以上である低重合度高ケン化ポリビニルアルコールを高屈折率層および低屈折率層の少なくとも一方が含むことが好ましい。このような低重合度高ケン化ポリビニルアルコールを含有させることにより、塗布液の安定性が向上する。また、このような構成で、本発明の所期の効果を効率的に奏することができる。
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号公報に記載されているような、第一〜三級アミノ基や第四級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(2−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
アニオン変性ポリビニルアルコールは、例えば、特開平1−206088号公報に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号公報および同63−307979号公報に記載されているような、ビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体および特開平7−285265号公報に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号公報に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号公報に記載されている疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体、シラノール基を有するシラノール変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基やカルボニル基、カルボキシル基などの反応性基を有する反応性基変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。
これらポリビニルアルコール類は、単独でも、または重合度や変性の種類違いなどの2種以上を併用してもよい。また、ポリビニルアルコール類は、市販品を用いてもよいし合成品を用いてもよい。市販品の例としては、例えば、PVA−102、PVA−103、PVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−120、PVA−124、PVA−135、PVA−203、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−235、PVA−617等のポバール(株式会社クラレ製)、エクセバール(登録商標、株式会社クラレ製)、ニチゴーGポリマー(登録商標、日本合成化学工業株式会社製)等が挙げられる。
(添加剤)
本発明に係る低屈折率層用塗布液および高屈折率層用塗布液には、必要に応じて各種添加剤を添加することができる。以下、添加剤について説明する。
(硬化剤)
本発明に係る低屈折率層用塗布液および高屈折率層用塗布液においては、硬化剤を添加することが好ましい。硬化剤の例としては、例えば、上記の水溶性高分子として好適なポリビニルアルコールと硬化反応を起こす硬化剤が挙げられる。具体的には、ホウ酸および/またはその塩が好ましい。ホウ酸および/またはその塩以外にも公知のものが使用でき、一般的にはポリビニルアルコール類と反応し得る基を有する化合物あるいはポリビニルアルコール類が有する異なる基同士の反応を促進するような化合物であり、適宜選択して用いられる。さらに他の硬化剤の具体例としては、例えば、エポキシ系硬化剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬化剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬化剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、アルミニウム明礬等が挙げられる。
ホウ酸および/またはその塩とは、ホウ素原子を中心原子とする酸素酸およびその塩のことをいい、具体的には、オルトホウ酸、二ホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸および八ホウ酸およびそれらの塩が挙げられる。
硬化剤としてのホウ素原子を有するホウ酸および/またはその塩は、単独の水溶液でも、また、2種以上を混合して使用してもよい。ホウ酸とホウ砂との混合水溶液であってもよい。
ホウ酸とホウ砂との水溶液は、それぞれ比較的希薄水溶液でしか添加することができないが両者を混合することで濃厚な水溶液にすることができ、塗布液を濃縮化することができる。また、添加する水溶液のpHを比較的自由にコントロールすることができる利点がある。
本発明では、ホウ酸および/またはその塩並びに/またはホウ砂を用いることが層間混合をより抑制するという観点から好ましい。ホウ酸および/またはその塩並びに/またはホウ砂を用いた場合には、金属酸化物粒子と水溶性バインダー樹脂であるポリビニルアルコール類のOH基とが水素結合ネットワークを形成し、その結果として高屈折率層と低屈折率層との層間混合が抑制され、好ましい近赤外遮蔽特性が達成されると考えられる。特に、高屈折率層と低屈折率層との多層重層をコーターで塗布後、一旦塗膜の膜面温度を15℃程度に冷やした後、膜面を乾燥させるセット系塗布プロセスを用いた場合には、より好ましく効果を発現することができる。
上記硬化剤の総使用量は、ポリビニルアルコール類1g当たり1〜600mgが好ましく、ポリビニルアルコール類1g当たり100〜600mgがより好ましい。
(その他の添加剤)
本発明に係る高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液に添加可能な各種の添加剤を、以下に列挙する。例えば、特開昭57−74193号公報、特開昭57−87988号公報、および特開昭62−261476号公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、特開昭57−87989号公報、特開昭60−72785号公報、特開昭61−146591号公報、特開平1−95091号公報、および特開平3−13376号公報等に記載されている退色防止剤、アニオン、カチオンまたはノニオンの各種界面活性剤、特開昭59−42993号公報、特開昭59−52689号公報、特開昭62−280069号公報、特開昭61−242871号公報、および特開平4−219266号公報等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム等のpH調整剤、消泡剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、防黴剤、帯電防止剤、マット剤、熱安定剤、酸化防止剤、難燃剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、滑剤、赤外線吸収剤、色素、顔料等の公知の各種添加剤などが挙げられる。
<循環工程>
循環工程(塗布液循環システム)においては、調製された塗布液を、適正な物性に保ちつつ循環させる。一実施形態の循環工程は、貯蔵釜、送液装置、分散装置、脱泡装置、濾過装置および循環経路を用いて実施される。
貯蔵釜は、連続的に塗布液を供給できるように、塗布液を貯蔵する。貯蔵釜は、貯蔵釜の内部においても塗布液を循環させるための攪拌装置を備えていることが好ましい。これにより、貯蔵釜内の塗布液の物性を均一にできる。貯蔵釜には、塗布液を貯蔵釜から流出させ、流出させた塗布液を再び貯蔵釜に戻すための循環経路が接続されている。また、貯蔵釜には、塗布液を供給工程および塗布工程に送るための供給経路も接続されている。
送液装置は、循環経路上に設けられている。送液装置は、例えば、ポンプであり、貯蔵釜に貯蔵されている塗布液の流出、流出の停止を制御可能である。送液装置は、塗布液を流出させる際には、塗布液の流量や速度を適宜設定可能である。
分散装置は、循環経路上に設けられている。分散装置は、塗布液に分散処理、あるいは、せん断処理を施す。これにより、塗布液は、高分子(特には、水溶性高分子)の分子間および分子内の末端基による結合(ファンデルワールス結合等)が切断され、分子どうしの絡み合いが解消され、結果として、粘度が低減される。
分散装置は、塗布液を、分散、せん断できれば、構成は特に制限されず、市販のマイルダー、圧力式ホモジナイザー、高速回転せん断型ホモジナイザー等であってもよい。マイルダーの場合、分散装置は、例えば、固定歯と可動歯との間に塗布液を流し、固定歯と可動歯との速度勾配により生じるせん断力により、塗布液を分散処理あるいはせん断処理する。
図3は、循環工程に用いうる分散装置の一例であるマイルダーの模式図である。図3のマイルダーは、固定歯であるステーター歯31と、回転歯であるローター歯32とを有する。ステーター歯31とローター歯32との間隙(せん断間隙)Laを移動するせん断対象液(塗布液)34は、ローター歯32の半径方向に速度勾配(ずり速度)が生じる。当該速度勾配によって、ステーター歯31およびローター歯32間に内部摩擦力(せん断力)が発生する。せん断間隙Laへのせん断対象液(塗布液)35の導入は、ローター歯32のスリット間隙から半径方向に行っているため、せん断間隙Laに流れるせん断対象液(塗布液)34と、導入したせん断対象液(塗布液)35とは、連続的に衝突を繰り返していることとなる。すなわち、図3のマイルダーによれば、せん断対象液(塗布液)に対してせん断および混合が連続的に行われていることとなる。
循環工程に用いうる分散装置であるマイルダーの回転速度としては、1000〜9000rpmが好ましく、より好ましくは2000〜8000rpmである。また、分散処理に塗布液を供給するため、循環経路を送液する際の塗布液の流量は、3〜10L/minが好ましく、より好ましくは5〜10L/minである。マイルダーの回転速度および塗布液の流量がかかる範囲であると、塗布液の凝集防止の効果がある。
せん断間隙におけるステーター歯とローター歯との最小間隙は0.05〜0.5mmであることが好ましく、0.1〜0.4mmであることがより好ましい。せん断間隙におけるステーター歯とローター歯との最小間隙やローター歯の回転速度等を適宜設定することで、せん断速度を調節することができる。
上記のようなマイルダーとしては、例えば、エバラマイルダー(株式会社荏原製作所製)、マイルダー(大平洋機工株式会社製MDN306)等を用いることができる。
脱泡装置は、塗布液中に含まれる気泡や塗布液内に溶け込んでいる溶存空気を除去する。脱泡の原理は例えば、遠心力により気泡と液体を分離して、気泡を真空引きにより排出するものや、超音波を利用するものが考えられる。ただし、脱泡できれば、脱泡装置は、他のいかなる原理を利用する装置であってもよい。
濾過装置は、塗布液に混ざった異物や、塗布液中に発生した気泡や凝集による異物を除去する。異物が除去された塗布液は、循環経路を通じて貯蔵釜に戻る。
以上のように、循環工程において、塗布液は、貯蔵釜から循環経路に流出し、分散装置、脱泡装置および濾過装置による処理を施された後、貯蔵釜に戻る。貯蔵釜に戻った塗布液は、貯蔵釜内で撹拌されつつ移動した後、再び循環経路に流出し、上記の処理が繰り返し行われる。
循環工程における分散装置、脱泡装置および濾過装置の処理強度は、光学反射(赤外遮蔽)フィルムの用途や使用する塗布液の性質等の条件に応じて、塗布液の物性が適正な範囲内に保たれるように適宜設定できる。
循環工程においては、調製された塗布液を循環させつつ、適切な強度において分散処理、脱泡処理、濾過処理等を連続的に施すことにより、塗布液の粘度等の物性を本発明に係る塗布に適した範囲内に保つことができる。
なお、循環工程においては、塗布液を循環させる回数が予め定められているものではなく、送液装置の設定等に応じて、一定時間あたり所定の流量の塗布液が、貯蔵釜から循環経路に順次送られて循環する。循環された塗布液は貯蔵釜に戻り攪拌されるので、貯蔵釜に収容される塗布液全体の物性を、常に塗布に適した状態に保つことができる。
貯蔵釜に収容されている塗布液のうちの一部は、貯蔵釜に接続された供給経路を通じて、供給工程に送られる。
なお、循環経路上の、分散装置、脱泡装置および濾過装置の順序は、適宜変更可能である。また、複数の上記装置の機能を統合した1つの装置が循環工程に提供されてもよい。例えば、分散装置および脱泡装置の機能が統合した分散脱泡装置が循環工程に提供されてもよい。また、循環工程には、上記以外の装置が設けられていてもよく、また上記装置のいずれかが設けられていなくてもよい。
また、本発明の一実施形態によれば、循環工程において、少なくとも分散装置が使用されることも好ましい。
<供給工程>
供給工程においては、調製および循環された塗布液を、同時重層塗布工程へ供給する。一実施形態によれば、供給工程は、送液装置、流量計、脱泡装置、濾過装置および供給経路を用いて実施される。供給経路は、循環工程の貯蔵釜から、塗布工程に、塗布液を供給するための経路である。送液装置、流量計、脱泡装置および濾過装置は、供給経路に設けられている。
送液装置は、循環工程の貯蔵釜から流出させた塗布液を、供給経路に設けられる各装置に送る。送液装置は、例えば、ポンプであり、調製された塗布液の流出、流出の停止を制御可能である。送液装置は、塗布液を流出させる際には、塗布液の流量や速度を適宜設定可能である。
流量計は、供給経路を通過する塗布液の流量を計測する装置である。流量計によって計測された塗布液の流量に応じて、送液装置の流量が適切に制御されてもよい。流量計としては、例えば、コリオリ式、電磁式、フラップ式、熱線式、カルマン渦式、または負圧感知方式等の流量計が使用される。流量計に加えて、または流量計の代わりに、供給経路内における塗布液の圧力を計測する圧力計が設けられてもよい。
脱泡装置は、塗布液中に含まれる気泡や塗布液内に溶け込んでいる溶存空気を除去する。脱泡の原理は例えば、遠心力により気泡と液体を分離して、気泡を真空引きにより排出するものや、超音波を利用するものが考えられる。ただし、脱泡できれば、脱泡装置は、他のいかなる原理を利用する装置であってもよい。
濾過装置は、塗布液に混ざった異物や、塗布液中に発生した気泡や凝集による異物を除去する。異物が除去された塗布液は、供給経路を通じて同時重層塗布工程に送られる。
なお、供給経路上の、流量計、脱泡装置、濾過装置の順序は、適宜変更可能である。また、複数の上記装置の機能を統合した1つの装置が供給工程に提供されてもよい。また、供給工程には、上記以外の装置が設けられていてもよく、また上記装置のいずれかが設けられていなくてもよい。ただし、塗布液が過度に分散されることを避けるため、供給工程においては、分散処理を行わないことが好ましい。なお、本発明の一実施形態によれば、供給工程としては、調製された塗布液に対し、必要に応じ、分散装置のみによる循環工程を行って、供給工程として、それを送液装置によって同時重層塗布工程へ供給するだけでもよい。
<同時重層塗布工程>
上記の供給工程により、高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液が同時重層塗布工程に供給される。同時重層塗布工程では、スライド面上において高屈折率用塗布液と低屈折率用塗布液とを積層し、基材フィルムへ塗布することにより高屈折率層と低屈折率層とが形成される。同時重層塗布には、スライドホッパー型塗布装置を用いる。
図1は、本発明に用いられるスライドホッパー型塗布装置の一例を示す概略図である。連続的に搬送される基材フィルム1は、コーターダイス3に対面した位置にある基材フィルム1の搬送速度に合わせて同方向に回転しているバックロール2に保持されて、接液部6で塗布がなされる。コーターダイス3は、複数のブロック11(図1では、4層同時重層塗布の形態を示している)より構成されており、その上を塗布液4が流下する。また、コーターダイス3は、一定のスライド面の水平面に対する角度8を設けて、コーターダイス保持台(図示していない)に固定されている。バックロール2とコーターダイス3との間の下部には、減圧チャンバー5が設けられている。減圧チャンバー5は、接液部6で形成されるビードの安定化のため、ビードの上下に圧力差、具体的には下方部を減圧するため、減圧部10より排気して、減圧チャンバー5内を負圧とする。図1中の7はバックロール2の中心と接液部6とがなす角度であり、図1中の9は基材フィルム1の走行面とスライド面とがなす角度である。
本発明は、図1に示すスライド面の水平面に対する角度8を2〜15°とし、さらにブロック一つ当たりの厚み(図1のt)を15〜40mmとする。これにより、スライド面上での塗布液の波立ちを抑制することができ、塗布面に木目状のムラが発生せず、かつ、幅方向の色ムラの発生が抑制された、良好な外観を有する光学反射フィルムを得ることができる。
図2は、スライド面上での塗布液の波立ちを抑制するメカニズムを示す模式図であり、(A)は、スライド面の水平面に対する角度が大きい場合、すなわち角度が15°を超える場合の塗布液の様子を示している。(B)は、本発明の製造方法を示しており、スライド面の水平面に対する角度8が2〜15°である場合の塗布液の様子を示す。図2の(A)に示すように、スライド面の水平面に対する角度8が15°を超える場合、スライド面の上から流れてくる上層液Aの膜厚が薄いため、下層液Bがスライド面から流出した時の衝撃で塗布液の波立ちが発生する。このような塗布液を塗布すると、塗布面に木目状の乱れが発生する。
一方、図2の(B)のように、スライド面の水平面に対する角度が15°以下の場合、スライド面の上から流れてくる上層液Aの膜厚が厚いため、下層液Bがスライド面から流出した時の衝撃による塗布液の波立ちはほとんど発生しないかまったく発生しない。したがって、このような塗布液を塗布しても、塗布面に木目状のムラが発生せず、外観に優れた光学反射フィルムを得ることができる。
また、スライドホッパー型塗布装置のスライド面の水平面に対する角度が2°未満であると、スライド面上の流速が遅くなり、生産効率が低下するため好ましくない。かかる角度は、より好ましくは3〜15°であって、5〜10°であってもよい。
ただし、図2の(B)の形態としても、ブロック一つ当たりの厚みが厚い場合、塗布液のスライド面を流下する距離が長くなり、スライド面下流部で塗布液の波立ちが発生してしまう。これに対し、本発明では、ブロック一つ当たりの厚みを15〜40mmとすることにより、例えば40層というような多層の同時重層塗布を行っても、波立ちをほとんど発生しないかまったく発生しない塗布液の流れとすることができる。したがって、塗布面に木目状のムラがほとんど発生せず、外観に優れた光学反射フィルムを得ることができる。
さらに、スライドホッパー型塗布装置のブロック一つ当たりの厚みが15mm未満であると、ブロックが変形し、基材フィルムの幅方向の流量均一性が悪くなり、幅方向の色ムラが生じる。一方、40mmを超えると、塗布液のスライド面を流下する距離が長くなり、スライド面上で塗布液の波立ちが発生し、木目状の塗布ムラが発生する。また、幅方向の色ムラが生じる恐れがある。該厚みは、15〜30mmであってもよい。
なお、同時重層塗布を行う場合、スライドホッパー型塗布装置は複数のブロックを有するが、この複数のブロックの厚みは、それぞれ同じでもよいし異なっていてもよい。しかしながら、本発明の効果をより効率的に得るという観点、および装置の簡便化という観点等から、複数のブロックの厚みは、同じであることが好ましく、より好ましくはすべて同じである。
また、スライドホッパー型塗布装置では、中央部に供給された塗布液を、チャンバーと呼ぶ部分で基材フィルム幅方向に流れを広げ、スリットと呼ぶ部分からスライド面に流出させる。通常は、この時、スリット部の流体抵抗を十分大きくとる必要があり、結果としてスリットの長さを長くとることにより、幅方向の流れを均一化させている。
本発明の製造方法においては、高粘度液と低粘度液とを併用することが好ましいが、層の形成で隣り合う両者をほぼ同じ流量で流すため、スライドホッパー型塗布装置内部の液圧において、隣り合う高粘度液を流す部分と低粘度液を流す部分とが大きく異なる。したがって、各ブロックのスリットの長さを長くとっていても、スリットの変形が起こり、基材フィルム上の塗布液の幅方向の均一性が損なわれる場合があった。しかしながら、スライド面の水平面に対する角度および隣接する高屈折率層および低屈折率層の塗布量和を上記の範囲に制御すると共に、ブロック一つ当たりの厚みを15〜40mmとすることにより、基材フィルム上の塗布液の幅方向の均一性を高くできる。これにより、木目状ムラと共に幅方向の色ムラも低減された光学反射フィルムを製造し得る。
なお、本発明の好ましい実施形態によれば、スライドホッパー型塗布装置内部の液圧は、第1層〜最表層への送液流路で、平均流量に対して±3%未満であることが好ましく、平均流量に対して±2%未満であることが好ましく、平均流量に対して±1%未満であることが好ましい。よって、本発明の好ましい実施形態によれば、スライドホッパー型塗布装置内部に、送液流路を設け、第1層〜最表層への送液流路で、平均流量に対して±3%未満であることが好ましい。かかる形態によって多層塗布を行う場合、スライドホッパー型塗布装置内部の液圧をより均一化でき、ブロックの変形を抑制し、求める光学反射フィルムの幅方向の均一性を維持し、幅方向の色ムラの発生を抑制することができる。
また、スライド面の水平面に対する角度およびブロックの一つ当たりの厚みを所定の範囲としても、同時重層塗布により形成される、最下層を除く隣接する高屈折率層および低屈折率層の高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液の塗布量和が、5g/m未満の場合、スライド面上を流下する膜厚が薄くなるため、スライド面上で塗布液の波立ちが発生する。逆に、高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液の塗布量和が10g/mを超えると、合計の塗布膜厚が大きくなる。したがって、乾燥ゾーンへの滞留時間を長くする必要があり、塗布速度を下げる必要が生じるため、著しく生産効率が損なわれる。本発明では塗布量和を5〜10g/mとすることにより、波立ちの発生を防止または抑制することができ、木目状ムラおよび幅方向の色ムラのない外観に優れた光学反射フィルムを効率よく得ることができる。より好ましい形態によれば、塗布量和は5〜9g/mであることが好ましく、5〜8g/mであることがより好ましく、5.5〜8g/mであってもよい。
ここで、塗布量和とは、最下層を除く高屈折率層の高屈折率層用塗布液の塗布面での塗布量と、かかる高屈折率層に隣接する、最下層を除く低屈折率層の低屈折率層用塗布液の塗布膜上での塗布量の和である。最下層とは、基材フィルムに最も近接する層をいう。赤外遮蔽フィルムは、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層された積層体である。上記の塗布量和は、かかる積層体のうち、基材フィルムの側から二層以上の任意の隣り合う高屈折率層および低屈折率層の組み合わせにおいて、上記の範囲が満たされればよい。しかしながら、赤外遮蔽フィルムの積層体のうち、上記の塗布量和の範囲を満たす高屈折率層および低屈折率層の組み合わせは多い程好ましい。
なお、上記のメカニズムは推測によるものであり、本発明は上記メカニズムに何ら制限されるものではない。
本発明の製造方法において、同時重層塗布の際の塗布速度は40〜250m/minであることが好ましく、60〜200m/minであることがより好ましく、70〜200m/minであることがさらに好ましく、80〜150m/minであってもよい。
本発明の製造方法によれば、このような速い速度であっても、木目状ムラおよび幅方向の色ムラのない、外観に優れた赤外遮蔽フィルムを得ることができる。
さらに、塗布時において、隣接して流下される高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液の塗布量比(高屈折率層用塗布液の塗布量/低屈折率層用塗布液の塗布量)は、0.75超であることが好ましく、0.8〜1.3であってもよく、1.23未満であることが好ましく、1.2以下であることがより好ましく、0.8〜1.2であってもよい。中でも、0.75超1.23未満であることが好ましく、0.76〜1.22であることが好ましく、0.77〜1.19であることがより好ましい。塗布量比がかかる範囲であると、木目状ムラおよび幅方向の色ムラの低減により効果がある。
また、最下層を除く、低屈折率層の低屈折率層用塗布液の1層当たりの塗布面での塗布量は、塗布量和が5〜10g/mである限り特に制限されないが、2〜5g/mであることが好ましい。この範囲であれば、本発明の効果がより効率的に得られる。
最下層を除く、高屈折率層の高屈折率層用塗布液の1層当たりの塗布面での塗布量は、塗布量和が5〜10g/mである限り特に制限されないが、2〜5g/mであることが好ましい。この範囲であれば、本発明の効果がより効率的に得られる。
最下層における高屈折率層用塗布液または低屈折率層用塗布液の塗布量は、10〜40g/mが好ましく、15g/m超以上であることがより好ましく、18g/m超であることがさらに好ましく、20g/m以上であることがよりさらに好ましい。また、45g/m未満であってもよく、18g/m超45g/m未満であることが好ましく、19〜42g/mであることがより好ましく、10〜30g/mであってもよい。最下層の塗布量がかかる範囲であると、木目状ムラおよび幅方向の色ムラのさらなる低減に加えて、スジ状の欠陥を防止する効果もある。
なお、本発明の一実施形態においては、前記同時重層塗布する層数が10〜34層であり、かつ最下層を除く隣接する前記高屈折率層および前記低屈折率層の前記高屈折率層用塗布液および前記低屈折率層用塗布液の塗布量比(高屈折率層/低屈折率層)が、0.8〜1.3であり、前記塗布量和が、5.5〜8g/mである。
なお、(1)同時重層塗布する層数、(2)前記高屈折率層用塗布液の40℃における粘度、(3)前記低屈折率層用塗布液の40℃における粘度、(4)スライド面の水平面に対する角度、(5)前記スライドホッパー型塗布装置のブロック一つ当たりの厚み、(6)塗布量和、(7)塗布量比、(8)前記高屈折率層の前記高屈折率層用塗布液の1層当たりの塗布量、(9)前記低屈折率層の前記低屈折率層用塗布液の1層当たりの塗布量および(10)最下層における前記高屈折率層用塗布液または前記低屈折率層用塗布液の塗布量からなる群から選択される少なくとも2種の、上記に開示する範囲(上限、下限を含む)の記載の組み合わせは、すべてを書き出すと煩雑になるので、上記の記載を以てすべての組み合わせが開示されているものとする。
乾燥方法は、高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液を30〜60℃に加温して、基材フィルム上に高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液の同時重層塗布を行った後、形成した塗膜の温度を好ましくは1〜15℃にいったん冷却し(セット)、その後10℃以上で乾燥する方法であることが好ましい。
より好ましい乾燥条件は、湿球温度−10〜50℃、膜面温度10〜50℃の範囲の条件である。例えば、50℃の温風を1〜5分吹き付けて乾燥する。また、塗布直後の冷却方式としては、形成された塗膜の均一性向上の観点から、水平セット方式で行うことが好ましい。
乾燥方法としては、温風乾燥、赤外乾燥、マイクロ波乾燥が用いられる。また単一プロセスでの乾燥よりも多段プロセスの乾燥が好ましく、恒率乾燥部の温度<減率乾燥部の温度にすることがより好ましい。この場合の恒率乾燥部の温度範囲は20〜60℃にすることが好ましく、減率乾燥部の温度範囲は45〜80℃にすることが好ましい。
ここで、前記セットとは、冷風等を塗膜に当てて温度を下げるなどの手段により、塗膜組成物の粘度を高め、各層間および各層内の物質の流動性を低下させたり、またゲル化させたりする工程のことを意味する。冷風を塗布膜に表面から当てて、塗布膜の表面に指を押し付けたときに指に何もつかなくなった状態を、セット完了の状態と定義する。
塗布した時点から、冷風を当ててセットが完了するまでの時間(セット時間)は、5分以内であることが好ましく、2分以内であることがより好ましい。また、下限の時間は特に制限されないが、30秒以上の時間をとることが好ましい。セット時間が短すぎると、層中の成分の冷却が不十分となる虞がある。一方、セット時間が長すぎると、金属酸化物粒子の層間拡散が進み、高屈折率層と低屈折率層との屈折率差が不十分となる虞がある。
上記のようにして、光学反射(赤外遮蔽)フィルムが製造される。
(基材フィルム)
光学反射(赤外遮蔽)フィルムの基材フィルムとしては、種々の樹脂フィルムを用いることができ、例えば、ポリオレフィンフィルム(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリ塩化ビニル、3酢酸セルロース等が挙げられる。好ましくはポリエステルフィルムである。
ポリエステルフィルムとしては、特に限定されるものではないが、ジカルボン酸成分とジオール成分とを主要な構成成分とするフィルム形成性を有するポリエステルフィルムであることが好ましい。
主要な構成成分のジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸などを挙げることができる。また、ジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビスフェノールフルオレンジヒドロキシエチルエーテル、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ハイドロキノン、シクロヘキサンジオールなどを挙げることができる。これらを主要な構成成分とするポリエステルの中でも透明性、機械的強度、寸法安定性などの点から、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸や2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジオール成分として、エチレングリコールや1,4−シクロヘキサンジメタノールを主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。中でも、ポリエチレンテレフタレートおよび/またはポリエチレンナフタレートを主要な構成成分とするポリエステルや、テレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールからなる共重合ポリエステル、およびこれらのポリエステルの2種以上の混合物を主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。
本発明に用いられる基材フィルムの厚みは、10〜300μmであることが好ましく、20〜150μmであることがより好ましい。また、基材フィルムは、2枚重ねたものであっても良く、この場合、その種類は同じでもよいし異なっていてもよい。
また、本発明に係る基材フィルムは、JIS R3106:1998で示される可視光領域の透過率が85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。このような透過率の範囲であれば、赤外遮蔽フィルムとしたときのJIS R3106:1998で示される可視光領域の透過率が40%以上とすることに有利となり、好ましい。
本発明に係る基材フィルムは、従来公知の一般的な方法により製造することが可能である。例えば、材料となる樹脂を押し出し機により溶融し、環状ダイやTダイにより押し出して急冷することにより、実質的に無定形で配向していない未延伸の基材フィルムを製造することができる。また、未延伸の基材フィルムを一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸などの公知の方法により、基材フィルムの流れ(縦軸)方向、または基材フィルムの流れ方向と直角(横軸)方向に延伸することにより延伸した基材フィルムを製造することができる。この場合の延伸倍率は、基材フィルムの原料となる樹脂に合わせて適宜選択することができるが、縦軸方向および横軸方向にそれぞれ2〜10倍が好ましい。
上記のように基材フィルムは、未延伸フィルムでも延伸フィルムでもよいが、強度向上、熱膨張抑制等の観点から延伸フィルムが好ましい。
また、本発明に係る基材フィルムは、寸法安定性の点で弛緩処理やオフライン熱処理を行ってもよい。弛緩処理は前記ポリエステルフィルムの延伸製膜工程中の熱固定した後、横延伸のテンター内、またはテンターを出た後の巻き取りまでの工程で行われるのが好ましい。弛緩処理は処理温度が80〜200℃で行われることが好ましく、100〜180℃がより好ましい。また、長手方向、幅手方向ともに、弛緩率が0.1〜10%の範囲で行われることが好ましく、より好ましくは弛緩率が2〜6%で処理されることである。弛緩処理された基材フィルムは、上記のオフライン熱処理を施すことにより耐熱性が向上し、さらに寸法安定性が良好になる。
本発明に係る基材フィルムは、製膜過程で片面または両面にインラインで下引層塗布液を塗布することが好ましい。本発明において、製膜工程中での下引塗布をインライン下引という。本発明に有用な下引層塗布液に使用する樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリエチレンイミンビニリデン樹脂、ポリエチレンイミン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、変性ポリビニルアルコール樹脂、またはゼラチン等を挙げることができ、これらは単独でもまたは2種以上混合しても用いることができる。これらの下引層には、従来公知の添加剤を加えることもできる。上記下引層は、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプレーコート等の公知の方法によりコーティングすることができる。上記下引層の塗布量としては、0.01〜2g/m(乾燥状態)程度が好ましい。
[光学反射体]
本発明により提供される光学反射フィルムは、積層体の光学膜厚等を制御することで、所定の波長を有する光を遮蔽することができるため、遮蔽する光に応じて光学反射体として種々の用途に適用することができる。例えば、紫外線を反射する紫外遮蔽フィルムを用いた紫外遮蔽体、可視光を反射する光着色フィルムを用いた加飾体、赤外線を反射する赤外遮蔽フィルムを用いた赤外遮蔽体、所定の波長の光を反射する金属光沢調フィルムを用いた加飾体が挙げられる。
以下の説明においても、光学反射フィルムとして代表的な例である赤外遮蔽フィルムを用いた赤外遮蔽体について説明するが、本発明を限定するものではない。
[赤外遮蔽体]
本形態に係る赤外遮蔽フィルムは、幅広い分野に応用することができる。例えば、建物の屋外の窓や自動車窓等長期間太陽光に晒らされる設備に貼り合せ、熱線反射効果を付与する熱線反射フィルム等の窓貼用フィルムや、農業用ビニールハウス用フィルム等として、主として耐候性を高める目的で用いられる。また、自動車用の合わせガラスなどのガラスとガラスとの間に挟む、自動車用赤外遮蔽フィルムとしても好適に用いられる。この場合、外気ガスから赤外遮蔽フィルムを封止できるため、耐久性の観点から好ましい。
特に、本形態に係る赤外遮蔽フィルムは、直接あるいは粘着剤または接着剤を介して、ガラスまたはガラス代替の樹脂などの基体に貼合される部材に好適に用いられる。前記赤外遮蔽フィルムと前記基体とを貼り合わせたものは、赤外遮蔽体とも呼ばれる。
前記基体の具体的な例としては、例えば、ガラス、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスルフィド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、金属板、セラミック等が挙げられる。樹脂の種類は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂のいずれでも良く、これらは単独でもまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。本発明で使用されうる基体は、押出成形、カレンダー成形、射出成形、中空成形、圧縮成形等、公知の方法で製造することができる。
基体の厚みは特に制限されないが、通常0.1mm〜5cmである。
本形態に係る赤外遮蔽フィルムと基体とを貼り合わせる粘着剤(粘着層)は、赤外遮蔽フィルムが日光(熱線)入射面側にあるように設置することが好ましい。また、本形態に係る赤外遮蔽フィルムを、窓ガラスと基体との間に挟持すると、水分等の周囲のガスから封止でき耐久性に優れるため好ましい。本形態に係る赤外遮蔽フィルムを、屋外や車の外側(外貼り用)に設置しても環境耐久性があって好ましい。
本形態に係る赤外遮蔽フィルムと基体とを貼り合わせるために、接着剤(接着層)を使用してもよい。この接着剤としては、光硬化性もしくは熱硬化性の樹脂を主成分とする接着剤を用いることができる。
接着剤は紫外線に対して耐久性を有するものが好ましく、アクリル系接着剤またはシリコーン系接着剤が好ましい。さらに接着特性やコストの観点から、アクリル系接着剤が好ましい。特に剥離強さの制御が容易なことから、アクリル系接着剤において、溶剤系が好ましい。アクリル溶剤系接着剤として溶液重合ポリマーを使用する場合、そのモノマーとしては公知のものを使用できる。
また、ポリビニルブチラール系樹脂、あるいはエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂を上記の粘着層または接着層として用いてもよい。その具体例としては、例えば、可塑性ポリビニルブチラール(積水化学工業社製、三菱モンサント社製等)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(デュポン社製、武田薬品工業社製、デュラミン)、変性エチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー社製、メルセンG)等である。なお、接着層または粘着層には、紫外線吸収剤、抗酸化剤、帯電防止剤、熱安定剤、滑剤、充填剤、着色、接着(粘着)調整剤等を適宜添加配合してもよい。
基体として好ましいものは、プラスチック基体、金属基体、セラミック基体、布状基体等であり、フィルム状、板状、球状、立方体状、直方体状等様々な形態の基体に本発明の赤外遮蔽フィルムを設けることができる。これらの中でも、板状のセラミック基体が好ましく、ガラス板に本形態の赤外遮蔽フィルムを設けた赤外遮蔽体がより好ましい。ガラス板の例としては、例えば、JIS R3202:1996に記載されたフロート板ガラス、および磨き板ガラスが挙げられ、ガラス厚みとしては0.01mm〜20mmが好ましい。
基体に本形態の赤外遮蔽フィルムを設ける方法としては、上述のように赤外遮蔽フィルムに粘着層または接着層を塗設し、粘着層または接着層を介して基体に貼り付ける方法が好適に用いられる。貼合方法としては、そのまま基体にフィルムを貼る乾式貼合、上述のように水貼り貼合する方法等が適応できるが、基体と赤外遮蔽フィルムとの間に空気が入らないようにするため、また基体上での赤外遮蔽フィルムの位置決め等、施工のしやすさの観点で水貼り法により貼合することがより好ましい。
また、本形態に係る赤外遮蔽体は、例えば、ガラスの両面に赤外遮蔽フィルムを設けた形態でもよいし、赤外遮蔽フィルムの両面に粘着層または接着層を塗設し、赤外遮蔽フィルムの両面にガラスを貼り合わせた合わせガラス状の形態でもよい。
赤外遮蔽フィルムまたは赤外遮蔽体の断熱性能および日射熱遮へい性能は、一般的にJIS R3209:1998(複層ガラス)、JIS R3106:1998(板ガラス類の透過率・反射率・放射率・日射熱取得率の試験方法)、JIS R3107:1998(板ガラス類の熱抵抗および建築における熱貫流率の算定方法)に準拠した方法により求めることができる。
日射透過率、日射反射率、放射率、および可視光透過率の測定は、(1)波長(300〜2500nm)の分光測光器を用い、各種単板ガラスの分光透過率、分光反射率を測定する。また、波長5.5〜50μmの分光測定器を用いて放射率を測定する。なお、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、熱線吸収板ガラスの放射率は既定値を用いる。(2)日射透過率、日射反射率、日射吸収率、および修正放射率の算出は、JIS R3106:1998に従い、日射透過率、日射反射率、日射吸収率、垂直放射率を算出する。修正放射率に関しては、JIS R3107:1998に示されている係数を、垂直放射率に乗ずることにより求める。断熱性、日射熱遮へい性の算出は、(1)厚さの測定値、修正放射率を用いJIS R3209:1998に従って複層ガラスの熱抵抗を算出する。ただし、中空層が2mmを超える場合はJIS R3107:1998に従って中空層の気体熱コンダクタンスを求める。(2)断熱性は、複層ガラスの熱抵抗に熱伝達抵抗を加えて熱貫流抵抗で求める。(3)日射熱遮蔽性はJIS R3106:1998により日射熱取得率を求め、1から差し引いて算出する。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1>
《赤外遮蔽フィルムの作製》
[塗布液の調製(調製工程)]
(低屈折率層用塗布液L1の調製)
コロイダルシリカ(スノーテックス(登録商標)OXS、日産化学工業株式会社製、固形分10質量%)12質量部に、ポリビニルアルコール(PVA−103、重合度300、ケン化度98.5mol%、株式会社クラレ製)の5質量%水溶液2質量部と、3質量%ホウ酸水溶液10質量部とをそれぞれ添加した後、40℃に加熱し、撹拌しながら、ポリビニルアルコール(PVA−117、重合度1700、ケン化度98.5mol%、株式会社クラレ製)の5質量%水溶液20質量部と、界面活性剤(ラピゾール(登録商標)A30、日油株式会社製)の1質量%水溶液1質量部とを添加し、純水55質量部を加えて低屈折率層用塗布液L1を調製した。ただし、純水については、各実施例、各比較例において、低屈折率層用塗布液の粘度が下記表1−1、表1−2に記載の値になるように量の調整を行った(以下同様)。
(シリカ付着酸化チタンゾルの調製)
15.0質量%酸化チタンゾル(SRD−W、体積平均粒径5nm、ルチル型酸化チタン粒子、堺化学工業株式会社製)0.5質量部に純水2質量部を加えた後、90℃に加熱した。次いで、ケイ酸水溶液(ケイ酸ソーダ4号(日本化学工業株式会社製)をSiO濃度が2.0質量%となるように純水で希釈したもの)1.3質量部を徐々に添加した。次いで、オートクレーブ中、175℃で18時間加熱処理を行い、冷却後、限外濾過膜にて濃縮することにより、固形分濃度が、20質量%のSiOを表面に付着(被覆)させた酸化チタンゾル(単に「シリカ付着酸化チタンゾル」とも称する)を得た。
(高屈折率層用塗布液H1の調製)
上記で得られたシリカ付着酸化チタンゾル(固形分20.0質量%)30質量部に、ポリビニルアルコール(PVA−103、重合度300、ケン化度98.5mo1%、株式会社クラレ製)の5質量%水溶液2質量部と、3質量%ホウ酸水溶液10質量部と、2質量%クエン酸水溶液10質量部とをそれぞれ添加した後、40℃に加熱し、撹枠しながら、ポリビニルアルコール(PVA−617、重合度1700、ケン化度95.0mol%、株式会社クラレ製)の5質量%水溶液20質量部と、界面活性剤(ラピゾールA30、日油株式会社製)の1質量%水溶液1質量部とを添加し、純水27質量部を加えて高屈折率層用塗布液H1を調製した。ただし、純水については、各実施例、各比較例において、高屈折率層用塗布液の粘度が下記表1−1、表1−2に記載の値になるように量の調整を行った(以下同様)。
[分散処理(循環工程)]
上記のようにして得られた高屈折率層用塗布液H1および低屈折率層用塗布液L1について、循環工程において表1−1、表1−2に記載の粘度となるように分散処理を行った。分散装置としては大平洋機工製マイルダー分散機MDN306を、3000rpmの回転速度で用いた。循環工程において分散装置に送液する塗布液の流量は、8L/minであった。
[赤外遮蔽フィルムの作製(同時重層塗布工程)]
42層重層塗布可能なスライドホッパー型塗布装置を用い、低屈折率層用塗布液L1および高屈折率層用塗布液H1を40℃に保温し、分散後の粘度を維持しながら、基材フィルムとして厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡株式会社製、コスモシャイン(登録商標)A4300、両面易接着層)上に、それぞれ交互に、計8〜42層の同時重層塗布を行なった。このとき、基材フィルム側から第1層(最下層)および第2層に低屈折率層、第3層以降は交互に、最表層が低屈折率層となるように、送液タンクを加圧して塗布液をスライドホッパー型塗布装置に送液した。送液タンクとスライドホッパー型塗布装置との間に設けた流量計(FD−SS2A、株式会社キーエンス製)により、流量を確認したところ、第1層〜最表層への送液流路では流量変動はほとんどない(平均流量に対して±1%未満)ことを確認した。このようにして、低屈折率層および高屈折率層が計8〜42層からなる赤外遮蔽フィルムを作製した。
各実施例および比較例における、同時重層の塗布層数、最下層を除く、低屈折率層用塗布液L1の粘度および塗布量、高屈折率層用塗布液H1の粘度および塗布量、最下層を除く隣接する低屈折率層および高屈折率層の塗布量和および塗布量比、最下層塗布液の塗布量、スライド面の水平面に対する角度、ブロック一つ当たりの厚み、ならびに塗布速度(つまり、基材フィルムの走行速度)を、下記表1−1、表1−2に示す。
なお、塗布液(40℃)の粘度は、落下式粘度計により測定した。また、実施例、比較例共に、最下層の液(40℃)の粘度は10mPa・sとした。さらに、各実施例および比較例においては、複数のブロックはすべて表1−1、表1−2に示す同じ厚みのものを使用した。例えば、実施例1においては、厚み15mmのブロックのみを使用したということを示す。
<実施例2〜16>
実施例2〜16においては、下記表1−1に記載の製造条件としたほかは、実施例1と同様にして赤外遮蔽フィルムを製造した。
<比較例1〜14>
比較例1〜14においては、下記表1−2に記載の製造条件としたほかは、実施例1と同様にして赤外遮蔽フィルムを製造した。
[赤外遮蔽フィルムの評価]
実施例1〜16および比較例1〜14で製造した赤外遮蔽フィルムについて、目視による木目状ムラおよび幅方向色ムラの下記の性能評価を行った。幅方向色ムラについては、赤外遮蔽フィルムを黒紙の上に敷き、反射光で目視評価した。評価結果を下記表2−1および表2−2に示す。
(木目状ムラおよび幅方向色ムラの目視評価)
◎:全く発生無。
○:僅かに発生。
△:弱く発生。
×:強く発生。
なお、本発明の製造方法によって製造された赤外遮蔽フィルムは、木目状ムラおよび幅方向色ムラの目視評価結果としては、いずれも強く発生(「×」)しないことが必要である。木目状ムラおよび幅方向色ムラは弱く発生(「△」)してもよいが、全てが僅かに発生(「○」)以上であることが好ましく、全く発生無(「◎」)が、特に好ましい。
表2−1および表2−2の結果から明らかなように、塗布液の粘度、水平面に対するスライド面角度、ブロック一つ当たりの厚み、および高屈折率層と低屈折率層との塗布量和が所定の範囲内である実施例1〜16は、比較例1〜14に比べて、木目状ムラおよび幅方向色ムラが改善された。
なお、本出願は、2014年11月11日に出願された日本国特許出願第2014−229145号に基づいており、その開示内容は、参照により全体として引用されている。
1 基材フィルム、
2 バックロール、
3 コーターダイス、
4 塗布液、
5 減圧チャンバー、
6 接液部、
7 バックロール中心と接液部とがなす角度、
8 スライド面の水平面に対する角度、
9 基材フィルムの走行面とスライド面とがなす角度、
10 減圧部、
11 ブロック
31 ステーター歯、
32 ローター歯、
34、35 せん断対象液(塗布液)、
A 上層液、
B 下層液、
t ブロックの厚み、
La せん断間隙。

Claims (5)

  1. 連続的に走行する基材フィルム上に、高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液を、スライドホッパー型塗布装置を用いて12〜40層の層を同時重層塗布する工程を含む光学反射フィルムの製造方法であって、
    前記高屈折率層用塗布液および前記低屈折率層用塗布液の40℃における粘度が5〜200mPa・sであり、
    前記スライドホッパー型塗布装置のスライド面の水平面に対する角度が2〜15°であり、前記スライドホッパー型塗布装置のブロック一つ当たりの厚みが15〜40mmであり、
    前記同時重層塗布により形成された、最下層を除く隣接する高屈折率層および低屈折率層の前記高屈折率層用塗布液および前記低屈折率層用塗布液の塗布量和、および塗布量比(高屈折率層/低屈折率層)が、それぞれ、5.0〜8g/m 、および0.75超1.23未満であり、
    最下層を除く、前記高屈折率層および前記低屈折率層の前記高屈折率層用塗布液および前記低屈折率層用塗布液の1層当たりの塗布量が2〜5g/m である、光学反射フィルムの製造方法。
  2. 前記同時重層塗布する層数が1〜26層である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記同時重層塗布を行った後、形成した塗膜の温度を1〜15℃に冷却するセット工程を含み、
    前記セット工程が完了するまでの時間が、30秒以上である、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 最下層における前記高屈折率層用塗布液または前記低屈折率層用塗布液の塗布量が、10〜40g/mである、請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記同時重層塗布における塗布速度が60〜200m/minである、請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
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