JPWO2014069507A1 - 光学反射フィルム、赤外遮蔽フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

光学反射フィルム、赤外遮蔽フィルムおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】重層塗布、特に生産効率の高い同時重層塗布で製造した場合においても、層間混合レベルを制御し、界面の乱れを抑制することにより、所望の波長の光反射性に優れ、ヘイズが少ない光学反射フィルムを提供すること。【解決手段】基材上に、高屈折率層と低屈折率層とを積層したユニットを少なくとも1つ含む光学反射フィルムにおいて、前記低屈折率層が、シラノール変性ポリビニルアルコールを吸着したシリカ粒子を含有することを特徴とする光学反射フィルム。

Description

本発明は、光学反射フィルム、赤外遮蔽フィルムおよびその製造方法に関する。
近年、建築用ガラスや車両用ガラスにおいて、室内あるいは車内に入る太陽輻射エネルギーを遮蔽し、温度上昇、冷房負荷を低減する目的で、赤外線の遮蔽性を有する断熱ガラスが採用されている。一方、屈折率の異なる層を積層して形成した赤外遮蔽フィルムは従来より知られており、この赤外遮蔽フィルムをガラスに貼付することにより、太陽光の中、熱線の透過を遮断する方法が、より簡便な方法として注目されている。
赤外遮蔽フィルムとしては、高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層させた積層膜を蒸着法、スパッタ、などの気相成膜法で作製する方法がある。しかしながら、気相成膜法は製造コストが高く、大面積化が困難であり、耐熱性素材に限定される等の課題がある。
したがって、赤外遮蔽フィルムの製造の際には、製造コストが安く、大面積化が可能であり、基材の選択幅が広いといった観点から液相成膜法(ウェット)を用いるほうが有利である(例えば、特開2009−86659号公報参照)。
液相成膜法のうち、塗布法を用いる場合、基材上に2層以上の積層膜を塗布で作製する方法としては、1層ずつ塗布・乾燥して積層する逐次塗布と、同時に複数の層を塗布する同時重層塗布がある。逐次塗布としては、スピンコート法、バーコート法、ブレード塗布、グラビア塗布などがあるが、赤外反射フィルムのような多層膜を作成する場合には塗布・乾燥回数が多くなるため生産性が低い。一方、同時重層塗布としてはカーテン塗布やスライドビード塗布などを用いた方法があり、同時に複数の層が形成できるため生産性が高い。
しかしながら、重層塗布で得られる塗膜は、隣接する層間での混合や界面の乱れ(凹凸)がより発生しがちである。特に、同時重層塗布で得られる塗膜は、未乾燥の液状態で重ねられるために、隣接する層間での混合や界面の乱れ(凹凸)がより発生しやすい。赤外遮蔽フィルムのような多層膜では適度な層間混合は膜の密着性や光学特性に良好な効果を及ぼすが、界面の乱れが大きくなるとヘイズの原因となり好ましくない。また、従来の組成の塗布液を用いて重層塗布を行うと、塗布時に筋が生じたり、点状故障が生じたりする場合があり、塗布性の点で問題があった。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、重層塗布、特に生産効率の高い同時重層塗布で製造した場合においても、層間混合レベルを制御し、界面の乱れを抑制することにより、所望の波長の光反射性に優れ、ヘイズが少ない光学反射フィルム、および赤外遮蔽フィルムを提供することである。
また、本発明の他の目的は、塗布液の安定性および塗布性が良好であり、同時重層塗布を行った場合でも、塗布時の塗布筋や点状故障が低減する、光学反射フィルム、および赤外遮蔽フィルムの製造方法を提供することである。
下記構成を採ることにより本発明の一目的が達成される。
すなわち、本発明は、基材上に、高屈折率層と低屈折率層とを積層したユニットを少なくとも1つ含む光学反射フィルムにおいて、前記低屈折率層が、シラノール変性ポリビニルアルコールを吸着したシリカ微粒子を含有することを特徴とする光学反射フィルム。
また、下記構成を採ることにより本発明の一目的が達成される。
シラノール変性ポリビニルアルコールを吸着したシリカ粒子を含有する低屈折率層用塗布液を作製する工程と、金属酸化物粒子を含有する高屈折率層用塗布液を作製する工程と、基材上に、前記低屈折率層用塗布液と、前記高屈折率層用塗布液とを、同時重層塗布により交互に積層させる工程と、を含むことを特徴とする、光学反射フィルムの製造方法。
本発明の一実施形態は、基材上に、高屈折率層と低屈折率層とを積層したユニットを少なくとも1つ含む赤外遮蔽フィルムにおいて、低屈折率層が、シラノール変性ポリビニルアルコールを吸着したシリカ微粒子を含有することを特徴とする光学反射フィルムである。また、本発明の好適な一実施形態は、基材上に、高屈折率層と低屈折率層とを積層したユニットを少なくとも1つ含む赤外遮蔽フィルムにおいて、低屈折率層が、シラノール変性ポリビニルアルコールを吸着したシリカ微粒子を含有する、赤外遮蔽フィルムである。
本発明の構成により、塗布液の安定性および下層への塗布液の塗布性も向上し、さらに、得られた積層体の隣接する層間での層間混合が抑制されるため、光学反射率が高く、透明性が高い、光学反射フィルムが得られる。
重層塗布で得られる塗膜は、隣接する層間での混合や界面の乱れ(凹凸)が発生しがちである。逐次重層塗布の場合は、上層の塗布液を塗布した際に、形成された下層が再溶解し、上層および下層の液同士が混合し、隣接する層間での混合や界面の乱れ(凹凸)が発生する場合がある。また、同時重層塗布で得られる塗膜は、未乾燥の液状態で重ねられるために、隣接する層間での混合や界面の乱れ(凹凸)がより発生してしまう。層間混合が大きすぎるとヘイズの低下の原因となり好ましくないため、界面の乱れを小さくする必要がある。
シリカ微粒子にシラノール変性ポリビニルアルコールを吸着させたものを低屈折率層に使用することにより、重層塗布、特に同時重層塗布で得られたフィルムのヘイズ値が小さく、透明性の高いフィルムが得られることが判明した。これは、上層と下層との層間混合が抑制されたためであると考えられる。
上述した本発明の構成による作用効果の発揮のメカニズムは以下のように推測される。
シラノール変性ポリビニルアルコールがシリカ粒子に吸着することにより、粒子全体の粒径が大きくなり、層内の粒子の移動が抑制される。このため、隣接する層間での界面混合が抑制されると考えられる。また、シラノール変性ポリビニルアルコールにおけるシラノール基と、シリカ粒子との水素結合ネットワークが強く形成されることにより、シリカ粒子の層内の移動が抑制され、界面混合が小さくなるものと推察される。そして、高屈折率層と低屈折率層との層間混合が抑制されて、好ましい光学遮蔽特性(特に赤外遮蔽特性)が達成され、ヘイズも良くなるものと考えられる。さらに、低屈折率層がバインダー樹脂として水溶性高分子を含む場合、シラノール変性ポリビニルアルコール中のポリビニルアルコールと水溶性高分子との強固なネットワーク形成により、シリカ粒子の移動がさらに抑制され、層間の界面混合がより小さくなるものと推察される。
また、シリカ微粒子にシラノール変性ポリビニルアルコールを吸着させたものを低屈折率層に使用することにより、低屈折率層の製造の際に用いられる塗布液の安定性が向上し、大面積のフィルムを作製する場合にあっても均一に、少ない塗布故障(塗布筋や点状故障)で塗布液を塗布することが可能であることが判明した。これは、塗布の際に用いる塗布液の安定性が向上し、これに伴い、塗布時の故障発生も改善されるという効果が得られたものと推察される。塗布故障が少ないことで、隣接する層間の界面が一層均一となり、ヘイズが一層低下するものと考えられる。
ただし、上記メカニズムは推定であり、本発明の範囲を何ら制限するものではない。
以下、光学反射フィルムの構成について詳細に説明する。
本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味し、「重量」と「質量」、「重量%」と「質量%」及び「重量部」と「質量部」は同義語として扱う。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%の条件で測定する。
なお、本明細書において、「赤外遮蔽フィルム」とは、赤外線、好適には波長が約700nm〜2500nmの近赤外線を反射または吸収することにより、赤外線の全部または一部を遮ることができるフィルムである。
また、他方に対して屈折率の高い屈折率層を高屈折率層と、他方に対して屈折率の低い屈折率層を低屈折率層と称する。したがって、「高屈折率層」および「低屈折率層」なる用語は、光学反射フィルムを構成する各屈折率層において、隣接する2つの屈折率層に着目した場合に、各屈折率層が同じ屈折率を有する形態以外のあらゆる形態を含むものである。
<低屈折率層>
[シラノール変性ポリビニルアルコールを吸着したシリカ粒子(以下、吸着シリカ粒子とも称する)]
吸着シリカ粒子を構成するシリカ粒子は、平均粒径が、3〜50nmであることが好ましく、3〜40nmであるのがさらに好ましく、3〜20nmであるのが特に好ましく、4〜10nmであるのがもっとも好ましい。かような範囲のシリカ粒子を用いることによって、ヘイズが少なく可視光透過性に優れる光学反射フィルムが得られる点で好ましい。シリカ粒子の平均粒径は、シラノール変性ポリビニルアルコールが吸着していないシリカ粒子を動的光散乱法(測定装置:ゼータサイザーNano−S(マルバーン社))により測定した体積平均粒径である。下記水性シリカゾル中のシリカ粒子は該ゾル中の分散状態で体積平均粒径を測定することができる。なお、動的光散乱法による測定方法では、一次、二次粒子の区別なく測定されるため、ここでいう平均粒径は、一次、二次、および凝集体等の粒子の平均粒径となる。
吸着シリカ粒子を構成するシラノール変性ポリビニルアルコールとしては、特に制限はなく、公知の方法で合成したものであっても、市販品であってもよい。シラノール変性ポリビニルアルコールの重合度としては、通常300〜2,500であり、好ましくは500〜1,700である。重合度が300以上であると塗工層の強度が高く、2,500以下であると塗布液の粘度が高くなりすぎず工程適性があるため好ましい。シラノール変性ポリビニルアルコールの変性率としては、通常0.01〜5mol%であり、好ましくは0.1〜1mol%である。変性率が0.01mol%未満であると、耐水性が劣化することがあり、5mol%を越えると、水との溶解性が悪くなることがある。上記の中でも、耐傷性、光沢跡の観点から、ケン化度が好ましくは95モル%以上、より好ましくは95.0〜99.5モル%のシラノール変性ポリビニルアルコールが好ましい。吸着に用いられるシラノール変性ポリビニルアルコールは1種であっても2種以上併用して用いてもよい。
シリカ粒子にシラノール変性ポリビニルアルコールが吸着しているか否かは、平均粒径を測定することによって容易に判別することができる。具体的には、シラノール変性ポリビニルアルコールを吸着したシリカ粒子と、シラノール変性ポリビニルアルコールが吸着していないシリカ粒子との平均粒径を比較し、平均粒径が増大している場合には、シリカ粒子にシラノール変性ポリビニルアルコールが吸着していることを確認することができる。
なお、ここでいう吸着とはシリカ粒子の表面の少なくとも一部に、シラノール変性ポリビニルアルコールが付着している状態を意味する。すなわち、シリカ粒子の表面が、完全にシラノール変性ポリビニルアルコールで被覆されていてもよく、シリカ粒子の表面の一部がシラノール変性ポリビニルアルコールに被覆されていてもよい。
シラノール変性ポリビニルアルコールを吸着したシリカ粒子の平均粒径は、シラノール変性ポリビニルアルコールを吸着していないシリカ粒子の平均粒径の2〜30倍であることが好ましく、3〜16倍であることが好ましい。
上述したように、シリカ粒子は3〜50nm程度のナノ粒子を用いることが可視光線透過率やヘイズの観点から好ましいため、シラノール変性ポリビニルアルコールを吸着したシリカ粒子の平均粒径は、20〜80nmであることが好ましい。吸着シリカ粒子の平均粒径が20nm以上であると、シラノール変性ポリビニルアルコールの吸着が適切に行われ、ヘイズ値が小さくなるためフィルム特性が向上するとともに、塗布筋や点状故障といった塗布故障がより低減される。また、吸着シリカ粒子の平均粒径が80nm以下であると、可視光線透過率が向上し、また、塗布液がゲル化することが少ない。平均粒径は、シラノール変性ポリビニルアルコールが吸着したシリカ粒子の分散液を動的光散乱法(測定装置:ゼータサイザーNano−S(マルバーン社))により測定した体積平均粒径である。粒径測定の際の分散液における分散媒は水性分散媒、好ましくは水であり、試料濃度は2〜10重量%(固形分)とする。また、上記平均粒径を測定する際の分散液は、25℃で測定する。
シラノール変性ポリビニルアルコールを吸着したシリカ粒子は、好適には、水性シリカゾルとシラノール変性ポリビニルアルコール溶液とを混合して加温処理することにより形成されてなる。かようにして得られるシリカ粒子は、安定的にシラノール変性ポリビニルアルコールが吸着した状態となるため好ましい。
水性シリカゾルとしては、特に制限はなく、公知の方法で合成したものであってもよく、市販品であってもよい。なお、水性のシリカゾルとは、シリカ粒子を水性分散媒中に分散させたコロイダルシリカ(コロイドシリカ、コロイドケイ酸とも呼ばれる。)を指す。ここで、水性分散媒とは、分散媒のうち、水を80重量%以上含むものを指し、好ましくは95重量%以上、より好ましくは100重量%が水であるものを指す。水性分散媒のうち、水以外に含まれうる成分としては、炭素数1〜3の低級アルコール、2−プロパノール、1−ブタノールなどのアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのエステル類、ジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類、アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノンなどのケトン類などが挙げられ、好適には低級アルコールである。
代表的な水性シリカゾルの調製方法としては、原料としてケイ酸カリウム、ケイ酸ナトリウム等のケイ酸アルカリ金属塩等を使用する方法、およびテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等のアルコキシシランを加水分解する方法などが挙げられる。例えば、特開昭57−14091号公報、特開昭60−219083号公報、特開昭60−219084号公報、特開昭61−20792号公報、特開昭61−188183号公報、特開昭63−17807号公報、特開平4−93284号公報、特開平5−278324号公報、特開平6−92011号公報、特開平6−183134号公報、特開平6−297830号公報、特開平7−81214号公報、特開平7−101142号公報、特開平7−179029号公報、特開平7−137431号公報、および国際公開第94/26530号などに記載されているものである。
水性シリカゾルを調製するための原料として、ケイ酸ナトリウム等のケイ酸アルカリ金属塩を用いる場合には、塩酸、硫酸等の酸等による複分解や、対イオンが水素イオン(H+)とされている陽イオン交換樹脂を用いて、ケイ酸アルカリ金属塩中のアルカリ金属原子を水素原子で置換する方法などが挙げられる。上記の酸等の複分解によってシリカゾルを調製する方法としては、酸の水溶液に対して、該水溶液を撹拌しながらケイ酸アルカリ金属塩の水溶液を添加する方法や、酸の水溶液とケイ酸アルカリ金属塩の水溶液とを配管内で衝突混合させる方法が挙げられる(例えば特公平4−54619号公報参照)。また、酸型陽イオン交換樹脂を用いてシリカゾルを調製する方法も公知の方法により行うことができる。例えば、酸型陽イオン交換樹脂を充填した充填層に適切な濃度のケイ酸アルカリ金属塩の水溶液を通過させる手法、あるいは、ケイ酸アルカリ金属塩の水溶液に、酸型陽イオン交換樹脂を添加及び混合し、アルカリ金属イオンを陽イオン交換樹脂に化学吸着させて溶液中から除去した後に濾別するなどして酸型陽イオン交換樹脂を分離する手法等が挙げられる。その際に、用いる酸型陽イオン交換樹脂の量は、溶液に含まれるアルカリ金属を交換可能な量以上とする必要がある。上記の酸型陽イオン交換樹脂としては、公知のものを特に制限なく使用することができる。例えば、スチレン系、アクリル系、メタクリル系等のイオン交換樹脂であって、イオン交換基としてスルフォン酸基やカルボキシル基を有するものを用いることができる。このうち、スルフォン酸基を有する、いわゆる強酸型の陽イオン交換樹脂を好適に用いることができる。
水性シリカゾルは、市販品を用いてもよく、市販品としては、日産化学工業(株)から販売されているスノーテックスシリーズ(スノーテックス20、スノーテックス30、スノーテックス40、スノーテックスO、スノーテックスOS、スノーテックスOXS、スノーテックスXS、スノーテックスO−40、スノーテックスC、スノーテックスN、スノーテックスS、スノーテックス20L、スノーテックスOL)が挙げられる。
シラノール変性ポリビニルアルコール溶液を調製するための溶媒は、特に制限されないが、水、有機溶媒、またはその混合溶媒が好ましい。また、有機溶媒の飛散による環境面を考慮すると、水、または水と少量の有機溶媒との混合溶媒がより好ましく、水が特に好ましい。
前記有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノールなどのアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのエステル類、ジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類、アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノンなどのケトン類などが挙げられる。これら有機溶媒は、単独でもまたは2種以上混合して用いてもよい。環境面、操作の簡便性などから、塗布液の溶媒としては、特に水、または水とメタノール、エタノール、もしくは酢酸エチルとの混合溶媒が好ましく、水がより好ましい。
水と少量の有機溶媒との混合溶媒を用いる際、当該混合溶媒中の水の含有量は、混合溶媒全体を100重量%として、80〜99.9重量%であることが好ましく、90〜99.5重量%であることがより好ましい。ここで、80重量%以上にすることで、溶媒の揮発による体積変動が低減でき、ハンドリングが向上し、また、99.9重量%以下にすることで、液添加時の均質性が増し、安定した液物性を得ることができるからである。
シラノール変性ポリビニルアルコール溶液は、1種のシラノール変性ポリビニルアルコールのみを含んでいてもよいし、2種以上のシラノール変性ポリビニルアルコールを含んでいてもよい。
シラノール変性ポリビニルアルコール溶液におけるシラノール変性ポリビニルアルコールの濃度は、作業性、溶解性および溶液の安定性の観点から、溶液全量に対して2〜10重量%であることが好ましい。
水性シリカゾルとシラノール変性ポリビニルアルコール溶液とを混合する際の混合比は、シリカとシラノール変性ポリビニルアルコールとの固形分重量比率で、シリカ:シラノール変性ポリビニルアルコール=2〜20:1であることが好ましく、10〜15:1であることがより好ましい。かような範囲で混合することで、シリカ粒子へのシラノール変性ポリビニルアルコールの吸着が良好な程度に進行しやすい。
水性シリカゾルとシラノール変性ポリビニルアルコール溶液とを混合した後、加温処理を行う。かような加温操作により、シラノール変性ポリビニルアルコール分子がシリカ粒子に吸着する。この際の加温条件は、吸着が適切に行われるように適宜設定されるため、特に限定されない。好適な一実施形態を挙げると、加温温度としては、30〜70℃であることが好ましく、40〜60℃であることがより好ましい。かような温度条件であれば、吸着が適宜行われ、また、粒子同士の凝集が抑制されるため好ましい。また、加温時間としては、30〜300分であることが好ましく、60〜180分であることがより好ましい。
低屈折率層におけるシラノール変性ポリビニルアルコール吸着シリカ粒子の含有量としては、低屈折率層の全固形分100重量%に対して、15〜85重量%であることが好ましく、20〜80重量%であることがより好ましく、30〜75重量%であることがさらに好ましい。上記範囲とすることで、光学反射特性(特に赤外遮蔽性)の良好なものとできる。
低屈折率層は、必要により、上記吸着シリカ粒子以外の金属酸化物粒子(例えば、シリカ粒子)、バインダー樹脂、硬化剤、界面活性剤、および各種添加剤等を含んでもよい。バインダー樹脂、硬化剤、界面活性剤、および各種添加剤については後述する。
<高屈折率層>
高屈折率層としては、上記低屈折率層よりも屈折率が高い層であれば特に限定されないが、屈折率の制御が容易であることから、高屈折率層が金属酸化物粒子を含むことが好ましい。ここで、高屈折率層に含まれる金属酸化物粒子は、屈折率差を生じさせるために低屈折率層とは異なる金属酸化物粒子であることが好ましい。
高屈折率層に用いられる金属酸化物粒子としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、アルミナ、コロイダルアルミナ、酸化ニオブ、酸化ユーロピウム、ジルコン、を挙げることができる。屈折率を調整するために、金属酸化物は1種であっても2種以上を併用してもよい。
透明でより屈折率の高い高屈折率層を形成するために、高屈折率層は、高屈折率を有する酸化チタンまたは酸化ジルコニウムを含むことが好ましい。すなわち、本発明の好適な一実施形態は、高屈折率層が酸化チタンおよび酸化ジルコニウムの少なくとも一方を含む。赤外反射率を一層向上させることができることから、高屈折率層が少なくとも酸化チタンを含むことがより好ましい。また、体積平均粒径が100nm以下のルチル型(正方晶形)酸化チタン粒子を含有することがさらに好ましい。また、複数種の酸化チタン粒子を混合してもよい。
また、低屈折率層に含まれる金属酸化物粒子と高屈折率層に含まれる金属酸化物粒子とは、イオン性をそろえた状態(すなわち、電荷が同符号)にしてもよい。例えば、同時重層塗布する場合にはイオン性が異なると、界面で反応し凝集物ができヘイズが悪くなるためである。イオン性をそろえる手段としては、例えば、後述するように、酸化チタンを含ケイ素の水和酸化物で処理してアニオン化したりすることが可能である。
高屈折率層に含まれる金属酸化物粒子は、その平均粒径(個数平均)が3〜100nmであることが好ましく、3〜50nmであることがより好ましい。ここで、平均粒径(個数平均)は、粒子そのものあるいは屈折率層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1,000個の任意の粒子の粒径を測定し、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定したときの直径で表したものである。
高屈折率層における金属酸化物粒子の含有量としては、高屈折率層の全固形分100重量%に対して、15〜85重量%であることが好ましく、20〜80重量%であることがより好ましく、30〜75重量%であることがさらに好ましい。上記範囲とすることで、光学反射特性(特に赤外遮蔽性)の良好なものとできる。
酸化チタン粒子としては、水系の酸化チタンゾルの表面を変性して有機溶剤等に分散可能な状態にしたものを用いることが好ましい。
水系の酸化チタンゾルの調製方法としては、例えば、特開昭63−17221号公報、特開平7−819号公報、特開平9−165218号公報、特開平11−43327号公報、特開昭63−17221号公報等に記載された事項を参照にすることができる。
金属酸化物粒子として酸化チタン粒子を用いる場合、酸化チタン粒子のその他の製造方法については、例えば、「酸化チタン−物性と応用技術」清野学 p255〜258(2000年)技報堂出版株式会社、またはWO2007/039953号明細書の段落番号0011〜0023に記載の工程(2)の方法を参考にすることができる。
上記工程(2)による製造方法とは、二酸化チタン水和物をアルカリ金属の水酸物またはアルカリ土類金属の水酸化物からなる群から選択される、少なくとも1種の塩基性化合物で処理する工程(1)の後に、得られた二酸化チタン分散物を、カルボン酸基含有化合物および無機酸で処理する工程(2)からなる。
また、高屈折率層に含まれる金属酸化物粒子は、酸化チタン粒子が含ケイ素の水和酸化物で被覆されたコアシェル粒子の形態が好ましい。コアシェル粒子としては、コアの部分である酸化チタン粒子の体積平均粒径が、好ましくは1nm超40nm未満、より好ましくは4nm以上40nm未満であり、当該酸化チタン粒子の表面を、コアとなる酸化チタン100重量%に対して、含ケイ素の水和酸化物の被覆量がSiO2として3〜30重量%となるように含ケイ素の水和酸化物からなるシェルが被覆してなる構造である。コアシェル粒子を含有させることで、シェル層の含ケイ素の水和酸化物とバインダー樹脂との相互作用により、高屈折率層と低屈折率層との層間混合が抑制される効果を奏する。なお、上記酸化チタン粒子の体積平均粒径とは、粒子そのものをレーザー回折散乱法、動的光散乱法、あるいは電子顕微鏡を用いて観察する方法や、屈折率層の断面や表面に現れた粒子像を電子顕微鏡で観察する方法により、1,000個の任意の粒子の粒径を測定し、それぞれd1、d2・・・di・・・dkの粒径を持つ粒子がそれぞれn1、n2・・・ni・・・nk個存在する粒子状の金属酸化物の集団において、粒子1個当りの体積をviとした場合に、体積平均粒径mv={Σ(vi・di)}/{Σ(vi)}で表される体積で重み付けされた平均粒径である。また、酸化チタン粒子は、単分散であることが好ましい。なお、本明細書において、「単分散」とは、下記式で求められる単分散度が40%以下であることをいい、より好ましくは30%以下であり、特に好ましくは0.1〜20%である。
Figure 2014069507
本明細書における含ケイ素の水和酸化物とは、無機ケイ素化合物の水和物、有機ケイ素化合物の加水分解物および/または縮合物のいずれでもよく本願の発明効果を得るためにはシラノール基を有することがより好ましい。よって、本発明において、高屈折率層に含まれる金属酸化物粒子としては、酸化チタン粒子がシリカ変性されたシリカ変性(シラノール変性)酸化チタン粒子であることが好ましい。
酸化チタンの含ケイ素の水和化合物の被覆量は、酸化チタン100重量%に対して、3〜30重量%、好ましくは3〜10重量%、より好ましくは3〜8重量%である。被覆量が30重量%以下であると、高屈折率層の所望の屈折率化が得られ、被覆量が3%以上であると粒子を安定に形成することができるからである。
また、高屈折率層に含まれる金属酸化物粒子としては、公知の方法で製造されたコアシェル粒子を用いることもできる。例えば、以下の(i)〜(iv);(i)酸化チタン粒子を含有する水溶液を加熱加水分解し、または酸化チタン粒子を含有する水溶液にアルカリを添加し中和して、平均粒径が1〜30nmの酸化チタンを得た後、モル比で表して酸化チタン粒子/鉱酸が1/0.5〜1/2の範囲になるように、前記酸化チタン粒子と鉱酸とを混合したスラリーを、50℃以上該スラリーの沸点以下の温度で加熱処理し、その後得られた酸化チタン粒子を含むスラリーに、ケイ素の化合物(例えば、ケイ酸ナトリウム水溶液)を添加し、酸化チタン粒子の表面にケイ素の含水酸化物を析出させて表面処理し、次いで、得られた表面処理された酸化チタン粒子のスラリーから不純物を除去する方法(特開平10−158015号);(ii)含水酸化チタンなどの酸化チタンを一塩基酸またはその塩で解膠処理して得られる酸性域のpHで安定した酸化チタンゾルと、分散安定化剤としてのアルキルシリケートを常法により混合し、中性化する方法(特開2000−053421号);(iii)過酸化水素および金属スズを、2〜3のH2O2/Snモル比に保持しつつ同時にまたは交互にチタン塩(例えば、四塩化チタン)等の混合物水溶液に添加し、チタンを含む塩基性塩水溶液を生成し、該塩基性塩水溶液を0.1〜100時間かけて50〜100℃の温度で保持して酸化チタンを含む複合体コロイドの凝集体を生成させ、次いで、該凝集体スラリー中の電解質を除去し、酸化チタンを含む複合体コロイド粒子の安定な水性ゾルを製造する;ケイ酸塩(例えば、ケイ酸ナトリウム水溶液)等を含有する水溶液を調製し、水溶液中に存在する陽イオンを除去することで、二酸化ケイ素を含む複合体コロイド粒子の安定な水性ゾルが製造する;得られた酸化チタンを含む複合体水性ゾルを金属酸化物TiO2に換算して100重量部と、得られた二酸化ケイ素を含む複合体水性ゾルを金属酸化物SiO2に換算して2〜100重量部とを混合し、陰イオンを除去後、80℃で1時間加熱熟成する方法(特開2000−063119号);(iv)含水チタン酸のゲルまたはゾルに過酸化水素を加えて含水チタン酸を溶解し、得られたペルオキソチタン酸水溶液に、ケイ素化合物等を添加し加熱し、ルチル型構造をとる複合固溶体酸化物からなるコア粒子の分散液が得られ、次いで、該コア粒子の分散液にケイ素化合物等を添加した後、加熱しコア粒子表面に被覆層を形成し、複合酸化物粒子が分散されたゾルを得て、さらに、加熱する方法(特開2000−204301号);(v)含水酸化チタンを解膠して得られた酸化チタンのヒドロゾルに、安定剤としてのオルガノアルコキシシラン(R1nSiX4-n)または過酸化水素および脂肪族もしくは芳香族ヒドロキシカルボン酸から選ばれた化合物を添加し、溶液のpHを3以上9未満へ調節し熟成させた後に脱塩処理を行う方法(特開4550753号);で製造されたコアシェル粒子が挙げられる。
上記コアシェル粒子は、コアである酸化チタン粒子の表面全体を含ケイ素の水和酸化物で被覆したものでもよく、また、コアである酸化チタン粒子の表面の一部を含ケイ素の水和酸化物で被覆したものでもよい。
高屈折率層は、必要により、バインダー樹脂、硬化剤、界面活性剤、および各種添加剤等を含んでもよい。
以下、低屈折率層および高屈折率層に場合により含まれるバインダー樹脂、硬化剤、界面活性剤、および各種添加剤について説明する。
[バインダー樹脂]
本明細書中、バインダー樹脂とは、金属酸化物粒子等の被分散物の分散媒体であって、重量平均分子量が1,000〜200,000(好ましくは3,000〜60,000)の高分子化合物を意味する。ここで重量平均分子量は、公知の方法によって測定することができ、例えば、静的光散乱法、ゲルパーミエーションクロマトグラフ法(GPC)、TOFMASSなどによって測定することができる。バインダー樹脂を含有することでウェット塗布が可能となり、生産性を向上させることができる。
バインダー樹脂は、屈折率層の固形分100重量%に対し、5重量%以上、かつ75重量%以下の範囲で含有させることが好ましく、10重量%以上、かつ70重量%以下の範囲で含有させることがより好ましい。但し、例えば、エマルジョン樹脂を併用する場合には、3重量%以上含有すればよい。バインダー樹脂が少ないと、屈折率層を塗工した後の乾燥時に、膜面が乱れて透明性が劣化する傾向が大きくなる。一方、含有量が75重量%以下であれば、相対的な金属酸化物の含有量が適切となり、高屈折率層と低屈折率層の屈折率差を大きくすることが容易になる。
バインダー樹脂としては、水溶性高分子を含むことが好ましい。中でも少なくとも低屈折率層はバインダー樹脂として水溶性高分子を含むことが好ましい。すなわち、本発明の好適な一実施形態は、低屈折率層が水溶性高分子を含む、光学反射フィルムである。水溶性高分子は、シリカ粒子に吸着しているシラノール変性ポリビニルアルコールとの相溶性がよいため、水溶性高分子をバインダー樹脂として用いた場合、安定した塗布液が作成でき、重層塗布、特に同時重層塗布を容易に行うことができるからである。
なお、水溶性高分子とは、該水溶性高分子が最も溶解する温度で、0.5重量%の濃度に水に溶解させた際、G2グラスフィルタ(最大細孔40〜50μm)で濾過した場合に濾別される不溶物の重量が、加えた該水溶性高分子の50重量%以内であるものを言う。
水溶性高分子としては、例えば、反応性官能基を有するポリマー、ゼラチン、または増粘多糖類などが挙げられる。これらの水溶性高分子は、単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。また、水溶性高分子は合成品を用いてもよいし、市販品を用いてもよい。
(反応性官能基を有するポリマー)
反応性官能基を有するポリマーとしては、例えば、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、もしくはアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、もしくはスチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのスチレンアクリル酸樹脂、スチレン−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート−スチレンスルホン酸カリウム共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体及びそれらの塩が挙げられる。
これらの中でも、吸着シリカ粒子中のシラノール変性ポリビニルアルコールと組み合わせて用いられる際に塗布液が安定し、点状故障が低減されること、また、光学反射特性(特に赤外反射特性)が向上することから、バインダー樹脂としてポリビニルアルコールが特に好ましく用いられる。以下では、ポリビニルアルコールについて説明する。
本発明で好ましく用いられるポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、各種の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、平均重合度が1,000以上のものが好ましく用いられ、特に平均重合度が1,500〜5,000のものが好ましく用いられる。また、ケン化度は、70〜100モル%のものが好ましく、80〜99.5モル%のものが特に好ましい。
変性ポリビニルアルコールとしては、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、ノニオン変性ポリビニルアルコール、ビニルアルコール系ポリマーが挙げられる。
アニオン変性ポリビニルアルコールは、例えば、特開平1−206088号公報に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号公報および同63−307979号公報に記載されているような、ビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体及び特開平7−285265号公報に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号公報に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号公報に記載されている疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体、シラノール基を有するシラノール変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基やカルボニル基、カルボキシル基などの反応性基を有する反応性基変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号公報に記載されているような、第一〜三級アミノ基や第四級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(2−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
ビニルアルコール系ポリマーとしては、エクセバール(商品名:(株)クラレ製)やニチゴーGポリマー(商品名:日本合成化学工業(株)製)などが挙げられる。
ポリビニルアルコールは、重合度や変性の種類違いなど二種類以上を併用することもできる。
(ゼラチン)
ゼラチンとしては、従来、ハロゲン化銀写真感光材料分野で広く用いられてきた各種ゼラチンを適用することができ、例えば、酸処理ゼラチン、アルカリ処理ゼラチンの他に、ゼラチンの製造過程で酵素処理をする酵素処理ゼラチンおよびゼラチン誘導体、すなわち分子中に官能基としてのアミノ基、イミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基を有し、それと反応して得る基を持った試薬で処理し改質したものでもよい。ゼラチンの一般的製造法に関してはよく知られており、例えば、T.H.James:The Theory of Photographic Process 4th. ed. 1977(Macmillan)55項、科学写真便覧(上)72〜75項(丸善)、写真工学の基礎−銀塩写真編119〜124頁(コロナ社)等の記載を参考にすることができる。また、リサーチ・ディスクロージャー誌第176巻、No.17643(1978年12月)のIX項に記載されているゼラチンを挙げることができる。
ゼラチンの硬膜剤
ゼラチンを用いる場合、必要に応じてゼラチンの硬膜剤を添加することもできる。
使用できる硬膜剤としては、通常の写真乳剤層の硬膜剤として使用されている公知の化合物を使用でき、例えば、ビニルスルホン化合物、尿素−ホルマリン縮合物、メラニン−ホルマリン縮合物、エポキシ系化合物、アジリジン系化合物、活性オレフィン類、イソシアネート系化合物などの有機硬膜剤、クロム、アルミニウム、ジルコニウムなどの無機多価金属塩類などを挙げることができる。
(セルロース類)
セルロース類としては、水溶性のセルロース誘導体が好ましく用いることができ、例えば、カルボキシメチルセルロース(セルロースカルボキシメチルエーテル)、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の水溶性セルロース誘導体や、カルボン酸基含有セルロース類であるカルボキシメチルセルロース(セルロースカルボキシメチルエーテル)、カルボキシエチルセルロース等を挙げることができる。その他には、ニトロセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、酢酸セルロース、セルロース硫酸エステル等のセルロース誘導体を挙げることができる。
(増粘多糖類)
増粘多糖類としては、特に制限はなく、例えば、一般に知られている天然単純多糖類、天然複合多糖類、合成単純多糖類及び合成複合多糖類に挙げることができ、これら多糖類の詳細については、「生化学事典(第2版),東京化学同人出版」、「食品工業」第31巻(1988)21頁等を参照することができる。
増粘多糖類とは、糖類の重合体であり分子内に水素結合基を多数有するもので、温度により分子間の水素結合力の違いにより、低温時の粘度と高温時の粘度差が大きな特性を備えた多糖類であり、さらに金属酸化物微粒子を添加すると、低温時にその金属酸化物微粒子との水素結合によると思われる粘度上昇を起こすものであり、その粘度上昇幅は、添加することにより15℃における粘度が1.0mPa・s以上の上昇を生じる多糖類であり、好ましくは5.0mPa・s以上であり、更に好ましくは10.0mPa・s以上の粘度上昇能を備えた多糖類である。
増粘多糖類としては、例えば、ガラクタン(例えば、アガロース、アガロペクチン等)、ガラクトマンノグリカン(例えば、ローカストビーンガム、グアラン等)、キシログルカン(例えば、タマリンドガム等)、グルコマンノグリカン(例えば、蒟蒻マンナン、木材由来グルコマンナン、キサンタンガム等)、ガラクトグルコマンノグリカン(例えば、針葉樹材由来グリカン)、アラビノガラクトグリカン(例えば、大豆由来グリカン、微生物由来グリカン等)、グルコラムノグリカン(例えば、ジェランガム等)、グリコサミノグリカン(例えば、ヒアルロン酸、ケラタン硫酸等)、アルギン酸及びアルギン酸塩、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン、ファーセレランなどの紅藻類に由来する天然高分子多糖類などが挙げられる。塗布液中に共存する金属酸化物粒子の分散安定性を低下させない観点から、好ましくは、その構成単位がカルボン酸基やスルホン酸基を有しないものが好ましい。その様な増粘多糖類としては、例えば、L−アラビトース、D−リボース、2−デオキシリボース、D−キシロースなどのペントース、D−グルコース、D−フルクトース、D−マンノース、D−ガラクトースなどのヘキソースのみからなる多糖類であることが好ましい。具体的には、主鎖がグルコースであり、側鎖もグルコースであるキシログルカンとして知られるタマリンドシードガムや、主鎖がマンノースで側鎖がグルコースであるガラクトマンナンとして知られるグアーガム、カチオン化グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、ローカストビーンガム、タラガムや、主鎖がガラクトースで側鎖がアラビノースであるアラビノガラクタンを好ましく使用することができる。本発明においては、特には、タマリンド、グアーガム、カチオン化グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガムが好ましい。
[硬化剤]
水溶性高分子を硬化させるため、硬化剤を使用することもできる。硬化剤としては、当該水溶性高分子と硬化反応を起こすものであれば特に制限はない。例えば、ポリビニルアルコールを用いる場合では、硬化剤として、ホウ酸及びその塩が好ましい。ホウ酸及びその塩以外にも公知のものが使用でき、一般的には、ポリビニルアルコールと反応し得る基を有する化合物あるいはポリビニルアルコールが有する異なる基同士の反応を促進するような化合物であり、適宜選択して用いられる。硬化剤の具体例としては、例えば、エポキシ系硬化剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬化剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬化剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5,−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、アルミニウム明礬、ホウ砂等が挙げられる。
ホウ酸またはその塩とは、硼素原子を中心原子とする酸素酸およびその塩のことをいい、具体的には、オルトホウ酸、二ホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸および八ホウ酸およびそれらの塩が挙げられる。
硬化剤としてのホウ素原子を有するホウ酸およびその塩は、単独の水溶液でも、また、2種以上を混合して使用しても良い。特に好ましいのはホウ酸とホウ砂の混合水溶液である。
ホウ酸とホウ砂との水溶液は、それぞれ比較的希薄水溶液でしか添加することが出来ないが両者を混合することで濃厚な水溶液にすることが出来、塗布液を濃縮化する事が出来る。また、添加する水溶液のpHを比較的自由にコントロールすることが出来る利点がある。
硬化剤としては、ホウ酸およびその塩並びにホウ砂の少なくとも一方を用いることが好ましい。ホウ酸およびその塩並びにホウ砂の少なくとも一方を用いた場合には、金属酸化物粒子と水溶性高分子であるポリビニルアルコールのOH基と水素結合ネットワークがより形成しやすく、その結果として高屈折率層と低屈折率層との層間混合が抑制され、好ましい光学反射特性が達成されると考えられる。特に、高屈折率層と低屈折率層の多層重層をコーターで塗布後、一旦塗膜の膜面温度を15℃程度に冷やした後、膜面を乾燥させるセット系塗布プロセスを用いた場合には、より好ましく効果を発現することができる。
屈折率層における硬化剤の含有量は、屈折率層の固形分100重量%に対して、1〜10重量%であることが好ましく、2〜6重量%であることがより好ましい。
特に、水溶性高分子としてポリビニルアルコールを使用する場合の上記硬化剤の総使用量は、ポリビニルアルコール1g当たり1〜600mgが好ましく、ポリビニルアルコール1g当たり100〜600mgがより好ましい。
[界面活性剤]
各屈折率層には、塗布性の観点から界面活性剤を含有することが好ましい。
塗布時の表面張力調整のため用いられる界面活性剤としてアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤などを用いることができるが、アニオン系界面活性剤がより好ましい。好ましい化合物としては、1分子中に炭素数8〜30の疎水性基とスルホン酸基又はその塩を含有するものが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルカンまたはオレフィンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル又はアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩、アルキルリン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、エーテルカルボキシレート、アルキルスルホコハク酸エステル塩、α−スルホ脂肪酸エステル及び脂肪酸塩よりなる群から選ばれる界面活性剤や、高級脂肪酸とアミノ酸との縮合物、ナフテン酸塩等を用いることができる。好ましく用いられるアニオン系界面活性剤は、アルキルベンゼンスルホン酸塩(とりわけ直鎖アルキルのもの)、アルカン又はオレフィンスルホン酸塩(とりわけ第2級アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩)、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル又はアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩(とりわけポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩)、アルキル燐酸塩(とりわけモノアルキルタイプ)、エーテルカルボキシレート、アルキルスルホコハク酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル及び脂肪酸塩よりなる群から選ばれる界面活性剤であり、特に好ましくは、アルキルスルホコハク酸塩である。
各屈折率層における界面活性剤の含有量は、屈折率層の塗布液の全重量を100重量%として、0.001〜0.03重量%であることが好ましく、0.005〜0.015重量%であることがより好ましい。
[添加剤]
各屈折率層には、必要に応じて各種の添加剤を用いることができる。各屈折率層における添加剤の含有量は、屈折率層の固形分100重量%に対して、0〜20重量%であることが好ましい。当該添加剤の例を以下に記載する。
(等電点が6.5以下のアミノ酸)
等電点が6.5以下のアミノ酸を含むことにより、高屈折率層または低屈折率層中の金属酸化物粒子の分散性が向上しうる。
ここでアミノ酸とは、同一分子内にアミノ基とカルボキシル基とを有する化合物であり、α−、β−、γ−などいずれのタイプのアミノ酸でもよい。アミノ酸には光学異性体が存在するものもあるが、本発明においては光学異性体による効果の差はなく、いずれの異性体も単独であるいはラセミ体でも使用することができる。
アミノ酸の詳しい解説は、化学大辞典1縮刷版(共立出版;昭和35年発行)268頁〜270頁の記載を参照することができる。
具体的に好ましいアミノ酸として、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、セリン、等を挙げることができ、特にグリシン、セリンが好ましい。
アミノ酸の等電点とは、アミノ酸は特定のpHにおいて分子内の正・負電荷が釣り合い、全体としての電荷が0となるので、このpH値をいう。各アミノ酸の等電点については、低イオン強度での等電点電気泳動で求めることが出来る。
[エマルジョン樹脂]
各屈折率層は、エマルジョン樹脂をさらに含有していてもよい。エマルジョン樹脂を含むことにより、膜の柔軟性が高くなりガラスへの貼りつけ等の加工性がよくなる。
エマルジョン樹脂とは、水系媒体中に微細な、例えば、平均粒径が0.01〜2.0μm程度の樹脂粒子がエマルジョン状態で分散されている樹脂で、油溶性のモノマーを、水酸基を有する高分子分散剤を用いてエマルジョン重合して得られる。用いる分散剤の種類によって、得られるエマルジョン樹脂のポリマー成分に基本的な違いは見られない。エマルジョンの重合時に使用される分散剤としては、例えば、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジエチルアミン、エチレンジアミン、4級アンモニウム塩のような低分子の分散剤の他に、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエキシエチレンラウリル酸エーテル、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドンのような高分子分散剤が挙げられる。水酸基を有する高分子分散剤を用いてエマルジョン重合すると、微細な微粒子の少なくとも表面に水酸基の存在が推定され、他の分散剤を用いて重合したエマルジョン樹脂とはエマルジョンの化学的、物理的性質が異なる。
水酸基を含む高分子分散剤とは、重量平均分子量が10000以上の高分子の分散剤で、側鎖または末端に水酸基が置換されたものであり、例えばポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミドのようなアクリル系の高分子で2−エチルヘキシルアクリレートが共重合されたもの、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールのようなポリエーテル、ポリビニルアルコールなどが挙げられ、特にポリビニルアルコールが好ましい。
高分子分散剤として使用されるポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、カチオン変性したポリビニルアルコールやカルボキシル基のようなアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール、シリル基を有するシリル変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。ポリビニルアルコールは、平均重合度は高い方がインク吸収層を形成する際のクラックの発生を抑制する効果が大きいが、平均重合度が5000以内であると、エマルジョン樹脂の粘度が高くなく、製造時に取り扱いやすい。したがって、平均重合度は300〜5000のものが好ましく、1500〜5000のものがより好ましく、3000〜4500のものが特に好ましい。ポリビニルアルコールのケン化度は70〜100モル%のものが好ましく、80〜99.5モル%のものがより好ましい。
上記の高分子分散剤で乳化重合される樹脂としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニル系化合物、スチレン系化合物といったエチレン系単量体、ブタジエン、イソプレンといったジエン系化合物の単独重合体または共重合体が挙げられ、例えばアクリル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂等が挙げられる。
[その他の添加剤]
その他にも、各屈折率層には、例えば、特開昭57−74193号公報、同57−87988号公報及び同62−261476号公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号公報、同57−87989号公報、同60−72785号公報、同61−146591号公報、特開平1−95091号公報および同3−13376号公報等に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号公報、同59−52689号公報、同62−280069号公報、同61−242871号公報および特開平4−219266号公報等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有していてもよい。
<基材>
光学反射フィルムの支持体である基材の厚みは、5〜200μmであることが好ましく、より好ましくは15〜150μmである。また、本発明に係る基材は、2枚を重ねたものであっても良く、この場合、その種類が同じでも異なってもよい。
光学反射フィルムに適用する基材としては、透明であれば特に制限されることはなく、種々の樹脂フィルムを用いることができ、ポリオレフィンフィルム(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリ塩化ビニル、3酢酸セルロース等を用いることができ、好ましくはポリエステルフィルムである。ポリエステルフィルム(以降ポリエステルと称す)としては、特に限定されるものではないが、ジカルボン酸成分とジオール成分を主要な構成成分とするフィルム形成性を有するポリエステルであることが好ましい。主要な構成成分のジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸などを挙げることができる。また、ジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビスフェノールフルオレンジヒドロキシエチルエーテル、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ハイドロキノン、シクロヘキサンジオールなどを挙げることができる。これらを主要な構成成分とするポリエステルの中でも透明性、機械的強度、寸法安定性などの点から、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸や2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジオール成分として、エチレングリコールや1,4−シクロヘキサンジメタノールを主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。中でも、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートを主要な構成成分とするポリエステルや、テレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールからなる共重合ポリエステル、およびこれらのポリエステルの二種以上の混合物を主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。
また、基材は、JIS R3106−1998で示される可視光領域の透過率が85%以上であることが好ましく、特に90%以上であることが好ましい。基材が上記透過率以上であることにより、光学反射フィルムとしたときのJIS R3106−1998で示される可視光領域の透過率が50%以上となるという点で有利であり、好ましい。
また、上記樹脂等を用いた基材は、未延伸フィルムでもよく、延伸フィルムでもよい。強度向上、熱膨張抑制の点から延伸フィルムが好ましい。
基材は、従来公知の一般的な方法により製造することが可能である。例えば、材料となる樹脂を押し出し機により溶融し、環状ダイやTダイにより押し出して急冷することにより、実質的に無定形で配向していない未延伸の基材を製造することができる。また、未延伸の基材を一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸などの公知の方法により、基材の流れ(縦軸)方向、または基材の流れ方向と直角(横軸)方向に延伸することにより延伸基材を製造することができる。この場合の延伸倍率は、基材の原料となる樹脂に合わせて適宜選択することできるが、縦軸方向及び横軸方向にそれぞれ2〜10倍が好ましい。
また、基材は、寸法安定性の点で弛緩処理、オフライン熱処理を行ってもよい。弛緩処理は前記ポリエステルフィルムの延伸製膜工程中の熱固定した後、横延伸のテンター内、またはテンターを出た後の巻き取りまでの工程で行われるのが好ましい。弛緩処理は処理温度が80〜200℃で行われることが好ましく、より好ましくは処理温度が100〜180℃である。また長手方向、幅手方向ともに、弛緩率が0.1〜10%の範囲で行われることが好ましく、より好ましくは弛緩率が2〜6%で処理されることである。弛緩処理された基材は、下記のオフライン熱処理を施すことにより耐熱性が向上し、さらに、寸法安定性が良好になる。
基材は、製膜過程で片面または両面にインラインで下引層塗布液を塗布することが好ましい。本発明においては、製膜工程中での下引塗布をインライン下引という。下引層塗布液に使用する樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリエチレンイミンビニリデン樹脂、ポリエチレンイミン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、変性ポリビニルアルコール樹脂及びゼラチン等が挙げられ、いずれも好ましく用いることができる。これらの下引層には、従来公知の添加剤を加えることもできる。そして、上記の下引層は、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプレーコート等の公知の方法によりコーティングすることができる。上記の下引層の塗布量としては、0.01〜2g/m2(乾燥状態)程度が好ましい。
<機能層>
光学反射フィルムは、基材の下または基材と反対側の最表面層の上に、さらなる機能の付加を目的として、導電性層、帯電防止層、ガスバリア層、易接着層(接着層)、防汚層、消臭層、流滴層、易滑層、ハードコート層、耐摩耗性層、反射防止層、電磁波シールド層、紫外線吸収層、赤外線吸収層、印刷層、蛍光発光層、ホログラム層、剥離層、粘着層、接着層、本発明の高屈折率層および低屈折率層以外の赤外線カット層(金属層、液晶層)、着色層(可視光線吸収層)、合わせガラスに利用される中間膜層などの機能層の1つ以上を有していてもよい。
光学反射フィルムにおける上述の各種の機能層を有する際の積層順としては、特に制限されない。
例えば、窓ガラスの室内側に本発明の光学反射フィルムを貼る(内貼り)仕様では、基材表面に、光学干渉膜、粘着層の順に積層し、さらにこれらの層が積層されている側とは逆の側の基材表面にハードコート層を塗設する形態が好ましい一例として挙げられる。また、粘着層、基材、光学干渉膜、ハードコート層の順であってもよく、さらに他の機能層、基材、または赤外吸収剤などを有していてもよい。また、窓ガラスの室外側に本発明の光学反射フィルムを貼る(外貼り)仕様でも好ましい一例を挙げると、基材表面に光学干渉膜、粘着層の順に積層し、さらにこれらの層が積層されている側とは逆の側の基材表面にハードコート層が塗設する構成である。内貼りの場合と同様に、粘着層、基材、光学干渉膜、ハードコート層の順であってもよく、さらに他の機能層基材、または赤外吸収剤などを有していてもよい。
<膜設計>
本発明の光学反射フィルムは、基材の片面上または両面上に、高屈折率層および低屈折率層のユニットを少なくとも1つ含み、好適には高屈折率層と低屈折率層が交互に積層して形成された多層の光学干渉膜を有する。生産性の観点から、基材の片面あたりの好ましい高屈折率層および低屈折率層の総層数の範囲は、100層以下12層以上、より好ましくは45層以下15層以上である。なお、前記の好ましい高屈折率層および低屈折率層の総層数の範囲は、基材の片面にのみ積層される場合においても適応可能であり、基材の両面に同時に積層される場合においても適応可能である。基材の両面に積層される場合において、基材一の面と他の面との高屈折率層および低屈折率層の総層数は、同じであってもよく、異なっていてもよい。また、光学反射フィルムにおいて、最下層(基材と接触する層)および最表層は、高屈折率層および低屈折率層のいずれであってもよい。しかしながら、低屈折率層が最下層および最表層に位置する層構成とすることにより、最下層の基材への密着性、最上層の吹かれ耐性、さらには最表層へのハードコート層等の塗布性や密着性に優れるという観点から、光学反射フィルムとしては、最下層および最表層が低屈折率層である層構成が好ましい。
一般に、光学反射フィルムにおいては、高屈折率層と低屈折率層との屈折率の差を大きく設計することが、少ない層数で赤外線反射率を高くすることができるという観点から好ましい。本発明では、隣接する高屈折率層と低屈折率層との屈折率差は0.1以上が好ましく、より好ましくは0.25以上であり、さらに好ましくは0.3以上であり、よりさらに好ましくは0.35以上であり、もっとも好ましくは0.4以上である。また、上限には特に制限はないが通常1.4以下である。
この屈折率差と、必要な層数とについては、市販の光学設計ソフトを用いて計算することができる。例えば、赤外線反射率90%以上を得るためには、屈折率差が0.1より小さいと200層以上の積層が必要になり、生産性が低下するだけでなく、積層界面での散乱が大きくなり、透明性が低下し、故障なく製造することも非常に困難になる場合がある。
光学反射フィルムが高屈折率層および低屈折率層を交互に積層する場合には、高屈折率層と低屈折率層との屈折率差が、上記好適な屈折率差の範囲内にあることが好ましい。ただし、例えば、最表層はフィルムを保護するための層として形成される場合または最下層が基板との接着性改良層として形成される場合などにおいて、最表層や最下層に関しては、上記好適な屈折率差の範囲外の構成であってもよい。
隣接した層界面での反射は、層間の屈折率比に依存するのでこの屈折率比が大きいほど、反射率が高まる。また、単層膜でみたとき層表面における反射光と、層底部における反射光の光路差を、n・d=波長/4、で表される関係にすると位相差により反射光を強めあうよう制御出来、反射率を上げることができる。ここで、nは屈折率、またdは層の物理膜厚、n・dは光学膜厚(=光路差)である。この光路差を利用することで、反射を制御出来る。この関係を利用して、各層の屈折率と膜厚を制御して、可視光や、近赤外光の反射を制御する。即ち、各層の屈折率、各層の膜厚、各層の積層のさせ方で、特定波長領域の反射率を上昇させることができる。
本発明の光学反射フィルムは反射率を上昇させる特定波長領域を変えることにより、可視光反射フィルムや近赤外線反射フィルムとすることができる。即ち、反射率を上昇させる特定波長領域を可視光領域に設定すれば可視光線反射フィルムとなり、近赤外領域に設定すれば近赤外線反射フィルムとなる。また、反射率を上昇させる特定波長領域を紫外光領域に設定すれば、紫外線反射フィルムとなる。本発明の光学反射フィルムを遮熱フィルムに用いる場合は、(近)赤外反射(遮蔽)フィルムとすればよい。赤外反射フィルムの場合、高分子フィルムに互いに屈折率が異なる膜を積層させた多層膜を形成し、JIS R3106−1998で示される可視光領域の550nmでの透過率が50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、75%以上であることがさらに好ましい。また、1200nmでの透過率が35%以下であることが好ましく、25%以下であることがより好ましく、20%以下であることがさらに好ましい。かような好適な範囲となるように光学膜厚とユニットを設計することが好ましい。また、波長900nm〜1400nmの領域に反射率50%を超える領域を有することが好ましい。
さらには、光学反射フィルムの光学特性として、JIS R3106−1998で示される可視光領域の透過率が50%以上であることが好ましく、より好ましくは75%以上であり、さらに好ましくは85%以上である。また、波長900nm〜1400nmの領域に反射率50%を超える領域を有することが好ましい。
低屈折率層の屈折率は、好ましくは1.10〜1.60であり、より好ましくは1.30〜1.50である。
高屈折率層の屈折率は、好ましくは1.80〜2.50であり、より好ましくは1.90〜2.20である。
各屈折率層の1層あたりの厚みは、20〜800nmであることが好ましく、50〜350nmであることがより好ましい。
ここで、1層あたりの厚みを測定する場合、高屈折率層と低屈折率層とは、これらの間に明確な界面をもっていても、徐々に変化していてもよい。界面が徐々に変化している場合には、それぞれの層が混合し屈折率が連続的に変化する領域中で、最大屈折率−最小屈折率=Δnとした場合、2層間の最小屈折率+Δn/2の地点を層界面とみなす。
高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層して形成された光学干渉膜である積層膜の場合、金属酸化物濃度プロファイルは、スパッタ法を用いて表面から深さ方向へエッチングを行い、XPS表面分析装置を用いて、最表面を0nmとして、0.5nm/minの速度でスパッタし、原子組成比を測定することで見ることが出来る。また、積層膜を切断して切断面をXPS表面分析装置で原子組成比を測定することで見ることも可能である。混合領域において金属酸化物の濃度が不連続に変化している場合には電子顕微鏡(TEM)による断層写真により境界はわかる。
XPS表面分析装置としては、特に限定なく、いかなる機種も使用することができるが、VGサイエンティフィックス社製ESCALAB−200Rを用いた。X線アノードにはMgを用い、出力600W(加速電圧15kV、エミッション電流40mA)で測定する。
光学反射フィルムの全体の厚みは、好ましくは12μm〜315μm、より好ましくは15μm〜200μm、さらに好ましくは20μm〜100μmである。
<光学反射フィルムの製造方法>
光学反射フィルムの製造方法について特に制限はなく、基材上に、高屈折率層と低屈折率層とから構成されるユニットを少なくとも1つ形成することができるのであれば、いかなる方法でも用いられうる。
光学反射フィルムの製造方法では、基材上に、高屈折率層と低屈折率層とから構成されるユニットを積層して形成されるが、具体的には高屈折率層と低屈折率層とを同時重層塗布を行い、乾燥して積層体を形成することが好ましい。すなわち、本発明の好適な一実施形態は、シラノール変性ポリビニルアルコールを吸着したシリカ粒子を含有する低屈折率層用塗布液を作製する工程と、金属酸化物粒子を含有する高屈折率層用塗布液を作製する工程と、基材上に、前記低屈折率層用塗布液と、前記高屈折率層用塗布液とを、同時重層塗布により交互に積層させる工程と、を含む光学反射フィルムである。
さらに本発明の好適な他の一実施形態は、シラノール変性ポリビニルアルコールを吸着したシリカ粒子を含有する低屈折率層用塗布液を作製する工程と、金属酸化物粒子を含有する高屈折率層用塗布液を作製する工程と、基材上に、前記低屈折率層用塗布液と、前記高屈折率層用塗布液とを、同時重層塗布により交互に積層させる工程と、を含む赤外反射フィルムである。
(シラノール変性ポリビニルアルコールを吸着したシリカ粒子を含有する低屈折率層用塗布液を作製する工程)
シラノール変性ポリビニルアルコールを吸着したシリカ粒子は、好適には、上述したように水性シリカゾルとシラノール変性ポリビニルアルコール溶液とを混合して加温処理して得られる。この際の処理条件、水性シリカゾルおよびシラノール変性ポリビニルアルコール溶液の作製方法は上述したとおりである。
低屈折率層用塗布液の作製においては、シラノール変性ポリビニルアルコールを吸着したシリカ粒子を上記加温処理により得た後に、好適なバインダー樹脂である水溶性高分子を添加することが好ましい。すなわち、本発明の好適な一実施形態は、低屈折率層用塗布液を作製する工程が、水性シリカゾルとシラノール変性ポリビニルアルコール溶液とを混合して加温処理してシラノール変性ポリビニルアルコールを吸着したシリカ粒子を得る工程(A)と、前記工程(A)の後に水溶性高分子を添加する工程(B)と、を含む。シラノール変性ポリビニルアルコールを吸着したシリカ粒子を作製した後に水溶性高分子を添加することで、シリカ粒子に対するシラノール変性ポリビニルアルコール以外の水溶性高分子の吸着を抑制し、シラノール変性ポリビニルアルコールが適切にシリカ粒子に吸着した状態で存在することができる。
水溶性高分子は適当な溶媒に溶解して溶液として用いることが好ましい。この際の溶媒としては、特に制限されないが、水、有機溶媒、またはその混合溶媒が好ましい。また、有機溶媒の飛散による環境面を考慮すると、水、または水と少量の有機溶媒との混合溶媒がより好ましく、水が特に好ましい。ここで用いられる有機溶媒および混合溶媒中の水の含有量等は、上述のシラノール変性ポリビニルアルコールを調製するための溶媒の欄で記載したとおりである。
(金属酸化物粒子を含有する高屈折率層用塗布液を作製する工程)
高屈折率用塗布液を調製するための溶媒としては、特に制限されないが、水、有機溶媒、またはその混合溶媒が好ましい。また、有機溶媒の飛散による環境面を考慮すると、水、または水と少量の有機溶媒との混合溶媒がより好ましく、水が特に好ましい。ここで用いられる有機溶媒および混合溶媒中の水の含有量等は、上述のシラノール変性ポリビニルアルコールを調製するための溶媒の欄で記載したとおりである。
各屈折率層塗布液中のバインダー樹脂の濃度は、1〜10重量%であることが好ましい。また、各屈折率層塗布液中の金属酸化物粒子の濃度は、1〜50重量%であることが好ましい。
高屈折率層塗布液および低屈折率層塗布液の調製方法は、上記好適な低屈折率層塗布液の調製方法以外は特に制限されず、例えば、金属酸化物粒子、水溶性高分子、および必要に応じて添加されるその他の添加剤を添加し、攪拌混合する方法が挙げられる。この際、各成分の添加順も特に制限されず、攪拌しながら各成分を順次添加し混合してもよいし、攪拌しながら一度に添加し混合してもよい。必要に応じて、さらに溶媒を用いて、適当な粘度に調製される。
(基材上に、低屈折率層用塗布液と、高屈折率層用塗布液とを、同時重層塗布により交互に積層させる工程)
塗布方式としては、例えば、カーテン塗布方法、米国特許第2,761,419号、同第2,761,791号公報に記載のホッパーを使用するスライドビード塗布方法、エクストルージョンコート法等が好ましく用いられる。
同時重層塗布を行う際の高屈折率層塗布液および低屈折率層塗布液の温度は、スライドビード塗布方式を用いる場合は、25〜60℃の温度範囲が好ましく、30〜45℃の温度範囲がより好ましい。また、カーテン塗布方式を用いる場合は、25〜60℃の温度範囲が好ましく、30〜45℃の温度範囲がより好ましい。
同時重層塗布を行う際の高屈折率層塗布液および低屈折率層塗布液の粘度は、特に制限されない。しかしながら、スライドビード塗布方式を用いる場合には、上記の塗布液の好ましい温度の範囲において、5〜100mPa・sの範囲であることが好ましく、10〜50mPa・sの範囲であることがより好ましい。また、カーテン塗布方式を用いる場合には、上記の塗布液の好ましい温度の範囲において、5〜1200mPa・sの範囲であることが好ましく、25〜500mPa・sの範囲であることがより好ましい。このような粘度の範囲であれば、効率よく同時重層塗布を行うことができる。
また、塗布液の15℃における粘度としては、100mPa・s以上が好ましく、100〜30,000mPa・sがより好ましく、さらに好ましくは3,000〜30,000mPa・sであり、最も好ましいのは10,000〜30,000mPa・sである。
(塗布および乾燥方法)
塗布および乾燥方法の条件は、特に制限されないが、例えば、逐次塗布法の場合は、まず、30〜60℃に加温した高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液のいずれか一方を基材上に塗布、乾燥して層を形成した後、もう一方の塗布液をこの層上に塗布、乾燥して積層膜前駆体(ユニット)を形成する。次に、所望の光学反射性能を発現するために必要なユニット数を、前記方法にて逐次塗布、乾燥して積層させて積層膜前駆体を得る。乾燥する際は、形成した塗膜を、30℃以上で乾燥することが好ましい。例えば、湿球温度5〜50℃、膜面温度5〜100℃(好ましくは10〜50℃)の範囲で乾燥するのが好ましく、例えば、40〜60℃の温風を1〜5秒吹き付けて乾燥する。乾燥方法としては、温風乾燥、赤外乾燥、マイクロ波乾燥が用いられる。また単一プロセスでの乾燥よりも多段プロセスの乾燥が好ましく、恒率乾燥部の温度<減率乾燥部の温度にするのがより好ましい。この場合の恒率乾燥部の温度範囲は30〜60℃、減率乾燥部の温度範囲は50〜100℃にするのが好ましい。
また、同時重層塗布を行う場合の塗布および乾燥方法の条件は、高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液を30〜60℃に加温して、基材上に高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液の同時重層塗布を行った後、形成した塗膜の温度を好ましくは1〜15℃にいったん冷却し(セット)、その後10℃以上で乾燥することが好ましい。より好ましい乾燥条件は、湿球温度5〜50℃、膜面温度10〜50℃の範囲の条件である。例えば、80℃の温風を1〜5秒吹き付けて乾燥する。また、塗布直後の冷却方式としては、形成された塗膜の均一性向上の観点から、水平セット方式で行うことが好ましい。
ここで、前記セットとは、冷風等を塗膜に当てて温度を下げるなどの手段により、塗膜組成物の粘度を高め、各層間および各層内の物質の流動性を低下させたり、またゲル化する工程のことを意味する。冷風を塗布膜に表面から当てて、塗布膜の表面に指を押し付けたときに指に何もつかなくなった状態を、セット完了の状態と定義する。
塗布した時点から、冷風を当ててセットが完了するまでの時間(セット時間)は、5分以内であることが好ましく、2分以内であることがより好ましい。また、下限の時間は特に制限されないが、45秒以上の時間をとることが好ましい。セット時間が短すぎると、層中の成分の混合が不十分となる虞がある。一方、セット時間が長すぎると、金属酸化物粒子の層間拡散が進み、高屈折率層と低屈折率層との屈折率差が不十分となるおそれがある。なお、高屈折率層と低屈折率層との間の中間層の高弾性化が素早く起こるのであれば、セットさせる工程は設けなくてもよい。
セット時間の調整は、水溶性樹脂の濃度や金属酸化物粒子の濃度を調整したり、ゼラチン、ペクチン、寒天、カラギ−ナン、ゲランガム等の各種公知のゲル化剤など、他の成分を添加することにより調整することができる。
冷風の温度は、0〜25℃であることが好ましく、5〜10℃であることがより好ましい。また、塗膜が冷風に晒される時間は、塗膜の搬送速度にもよるが、好ましくは10〜360秒、より好ましくは10〜300秒、さらに好ましくは10〜120秒である。
高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液の塗布厚は、上記で示したような好ましい乾燥時の厚みとなるように塗布すればよい。
<光学反射体>
上記光学反射フィルムは、幅広い分野に応用することができる。例えば、建物の屋外の窓や自動車窓等長期間太陽光に晒らされる設備(基体)に貼り合せ、赤外遮蔽効果を付与する赤外遮蔽フィルム等の窓貼用フィルム、農業用ビニールハウス用フィルム等として、主として耐候性を高める目的で用いられる。特に、本発明に係る光学反射フィルムが直接または接着剤を介してガラスまたはガラス代替の樹脂などの基体に貼合されている部材に好適である。
基体の具体的な例としては、例えば、ガラス、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスルフィド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、金属板、セラミック等が挙げられる。樹脂の種類は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂のいずれでも良く、これらを2種以上組み合わせて用いても良い。基体は、押出成形、カレンダー成形、射出成形、中空成形、圧縮成形等、公知の方法で製造することができる。基体の厚みは特に制限されないが、通常0.1mm〜5cmである。
光学反射フィルムと基体とを貼り合わせる接着層または粘着層は、光学反射フィルムを日光(熱線)入射面側に設置することが好ましい。また、光学反射フィルムを、窓ガラスと基体との間に挟持すると、水分等の周囲のガスから封止でき耐久性に優れるため好ましい。光学反射フィルムを屋外や車の外側(外貼り用)に設置しても環境耐久性があって好ましい。
光学反射フィルムと基体とを貼り合わせる接着剤としては、光硬化性もしくは熱硬化性の樹脂を主成分とする接着剤を用いることができる。
接着剤は紫外線に対して耐久性を有するものが好ましく、アクリル系粘着剤またはシリコーン系粘着剤が好ましい。更に粘着特性やコストの観点から、アクリル系粘着剤が好ましい。特に剥離強さの制御が容易なことから、アクリル系粘着剤において、溶剤系が好ましい。アクリル溶剤系粘着剤として溶液重合ポリマーを使用する場合、そのモノマーとしては公知のものを使用できる。
また、合わせガラスの中間層として用いられるポリビニルブチラール系樹脂、あるいはエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂を用いてもよい。具体的には可塑性ポリビニルブチラール(積水化学工業社製、三菱モンサント社製等)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(デュポン社製、武田薬品工業社製、デュラミン)、変性エチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー社製、メルセンG)等である。なお、接着層には紫外線吸収剤、抗酸化剤、帯電防止剤、熱安定剤、滑剤、充填剤、着色、接着調整剤等を適宜添加配合してもよい。
光学反射フィルムまたは光学反射体の断熱性能、日射熱遮へい性能は、一般的にJIS R3209−1998(複層ガラス)、JIS R 3106−1998(板ガラス類の透過率・反射率・放射率・日射熱取得率の試験方法)、JIS R3107−1998(板ガラス類の熱抵抗および建築における熱貫流率の算定方法)に準拠した方法により求めることができる。
日射透過率、日射反射率、放射率、可視光透過率の測定は、(1)波長(300〜2500nm)の分光測光器を用い、各種単板ガラスの分光透過率、分光反射率を測定する。また、波長5.5〜50μmの分光測定器を用いて放射率を測定する。なお、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、熱線吸収板ガラスの放射率は既定値を用いる。(2)日射透過率、日射反射率、日射吸収率、修正放射率の算出は、JIS R3106−1998に従い、日射透過率、日射反射率、日射吸収率、垂直放射率を算出する。修正放射率に関しては、JIS R3107−1998に示されている係数を、垂直放射率に乗ずることにより求める。断熱性、日射熱遮へい性の算出は、(1)厚さの測定値、修正放射率を用いJIS R3209−1998に従って複層ガラスの熱抵抗を算出する。ただし中空層が2mmを超える場合はJIS R3107−1998に従って中空層の気体熱コンダクタンスを求める。(2)断熱性は、複層ガラスの熱抵抗に熱伝達抵抗を加えて熱貫流抵抗で求める。(3)日射熱遮蔽性はJIS R3106−1998により日射熱取得率を求め、1から差し引いて算出する。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」または「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「重量部」または「重量%」を表す。
なお、物性等の測定に関しては特に断りがない場合は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%で測定する。
(シラノール変性ポリビニルアルコールを吸着したシリカ微粒子Aの作製)
コロイダルシリカの10質量%水溶液(粒径(体積平均)4〜6nm、スノーテックスOXS 日産化学工業(株)社製)80質量部を撹拌しながら30℃に加温した後、シラノール変性ポリビニルアルコール(PVA−R1130、クラレ社製)の4.0質量%水溶液15質量部と、純水5質量部を添加した。その後、液温を30℃に維持しながら3時間撹拌した後25℃に冷却し、得られたものをシリカ微粒子A液とした。
この液中のシリカ微粒子Aの粒径を、ゼータサイザーNano−S(マルバーン社)を用いて測定したところ、体積平均粒径15nmであった。
(シラノール変性ポリビニルアルコールを吸着したシリカ微粒子Bの作製)
上記シリカ微粒子Aの作製において、加温温度30℃を40℃に変更し、その他は同様の方法で行い、シリカ微粒子B液を作製した。
この液中のシリカ微粒子Bの粒径を、ゼータサイザーNano−S(マルバーン社)を用いて測定したところ、体積平均粒径50nmであった。
(シラノール変性ポリビニルアルコールを吸着したシリカ微粒子Cの作製)
上記シリカ微粒子Aの作製において、加温温度30℃を50℃に変更し、液温50℃に維持しながら2時間撹拌した後に25℃に冷却した。その他は同様の方法で行い、シリカ微粒子C液を作製した。
この液中のシリカ微粒子Cの粒径を、ゼータサイザーNano−S(マルバーン社)を用いて測定したところ、体積平均粒径80nmであった。
(シラノール変性ポリビニルアルコールを吸着したシリカ微粒子Dの作製)
上記シリカ微粒子Aの作製において、加温温度30℃を50℃に変更し、その他は同様の方法で行い、シリカ微粒子D液を作製した。
この液中のシリカ微粒子Dの粒径を、ゼータサイザーNano−S(マルバーン社)を用いて測定したところ、体積平均粒径100nmであった。
(未変性ポリビニルアルコールを吸着したシリカ微粒子Eの作製)
上記シリカ微粒子Dの作製において、PVA−R1130に替えてポリビニルアルコール(PVA103、クラレ社製)を用いた以外は同様の方法で行い、シリカ微粒子E液を作製した。
この液中のシリカ微粒子Eの粒径を、ゼータサイザーNano−S(マルバーン社)を用いて測定したところ、体積平均粒径10nmであった。
(低屈折率層塗布液L1の調製)
40℃に加温した68質量部のシリカ微粒子A液に、3質量%ホウ酸水溶液20質量部を撹拌しながら加えた後、ポリビニルアルコール(PVA235、重量平均分子量15万、クラレ社製)の5質量%水溶液280質量部と純水240質量部とを添加して10分間攪拌した後、5質量%界面活性剤水溶液(ソフタゾリンLSB−R、川研ファインケミカル社製)0.64質量部を添加して低屈折率層塗布液L1を調製した。
(低屈折率層塗布液L2の調製)
40℃に加温した68質量部のシリカ微粒子B液に、3%ホウ酸水溶液20質量部を撹拌しながら加えた後、ポリビニルアルコール(PVA235、重量平均分子量15万、クラレ社製)の5質量%水溶液280質量部と純水240質量部とを添加して10分間攪拌した後、5質量%界面活性剤水溶液(ソフタゾリンLSB−R、川研ファインケミカル社製)0.64質量部を添加して低屈折率層塗布液L2を調製した。
(低屈折率層塗布液L3の調製)
40℃に加温した68質量部のシリカ微粒子C液に、3%ホウ酸水溶液20質量部を撹拌しながら加えた後、ポリビニルアルコール(PVA235、重量平均分子量15万、クラレ社製)の5質量%水溶液280質量部と純水240質量部とを添加して10分間攪拌した後、5質量%界面活性剤水溶液(ソフタゾリンLSB−R、川研ファインケミカル社製)0.64質量部を添加して低屈折率層塗布液L3を調製した。
(低屈折率層塗布液L4の調製)
40℃に加温した68質量部のシリカ微粒子D液に、3%ホウ酸水溶液20質量部を撹拌しながら加えた後、ポリビニルアルコール(PVA235、重量平均分子量15万、クラレ社製)の5質量%水溶液280質量部と純水240質量部とを添加して10分間攪拌した後、5質量%界面活性剤水溶液(ソフタゾリンLSB−R、川研ファインケミカル社製)0.64質量部を添加して低屈折率層塗布液L4を調製した。
(低屈折率層塗布液L5の調製)
40℃に加温した68質量部のシリカ微粒子E液に、3%ホウ酸水溶液20質量部を撹拌しながら加えた後、ポリビニルアルコール(PVA235、重量平均分子量15万、クラレ社製)の5質量%水溶液280質量部と純水240質量部とを添加して10分間攪拌した後、5質量%界面活性剤水溶液(ソフタゾリンLSB−R、川研ファインケミカル社製)0.64質量部を添加して低屈折率層塗布液L5を調製した。
(低屈折率層塗布液L6の調製)
40℃に加温した60質量部のコロイダルシリカ(スノーテックスOXS、日産化学工業社製)に、3%ホウ酸水溶液20質量部を撹拌しながら加えた後、ポリビニルアルコール(PVA235、重量平均分子量15万、クラレ社製)の5質量%水溶液280質量部と純水240質量部とを添加して10分間攪拌した後、5質量%界面活性剤水溶液(ソフタゾリンLSB−R、川研ファインケミカル社製)0.64質量部を添加して低屈折率層塗布液L6を調製した。
(高屈折率層用塗布液H1の調製)
二酸化チタン水和物を水に懸濁させた水性懸濁液(TiO2濃度100g/L)10L(リットル)に、水酸化ナトリウム水溶液(濃度10モル/L)30Lを撹拌下で添加し、90℃に昇温し、5時間熟成した後、塩酸で中和、濾過、水洗した。なお、上記反応(処理)において、二酸化チタン水和物は公知の手法に従い、硫酸チタン水溶液を熱加水分解して得られたものを用いた。
塩基処理チタン化合物をTiO2濃度20g/Lになるよう純水に懸濁させ、撹拌下クエン酸をTiO2量に対し0.4モル%加え昇温した。液温が95℃になったところで、濃塩酸を塩酸濃度30g/Lになるように加え、液温を維持しつつ3時間撹拌した。
得られた酸化チタンゾル水系分散液のpHおよびゼータ電位を測定したところ、pHは1.4、ゼータ電位は+40mVであった。さらに、マルバーン社製ゼータサイザーナノにより粒径測定を行ったところ、体積平均粒径は35nm、単分散度は16%であった。
体積平均粒径35nmのルチル型酸化チタン粒子を含む20.0質量%酸化チタンゾル水系分散液1kgに純水1kgを添加した。
・ケイ酸水溶液の調製
SiO2濃度が2.0質量%のケイ酸水溶液を調製した。
・シリカ変性酸化チタン粒子の調製
上記の10.0質量%酸化チタンゾル水系分散液0.5kgに、純水2kgを加えた後、90℃に加熱した。その後、2.0質量%のケイ酸水溶液1.3kgを徐々に添加し、次いで、得られた分散液をオートクレーブ中、175℃で18時間加熱処理を行い、さらに濃縮して、ルチル型構造を有する酸化チタンで、被覆層がSiO2である、20質量%のシリカ変性酸化チタン粒子のゾル水分散液を得た。
以下に挙げる材料を45℃で上から順に添加して塗布液を調整した。
シリカ変性酸化チタン粒子のゾル水分散液(20.0質量%) 320部
クエン酸水溶液(1.92質量%) 120部
ポリビニルアルコール(10質量%) 20部(PVA103、重合度300、鹸化度99mol%、クラレ社製)
ほう酸水溶液(3質量%) 100部
ポリビニルアルコール(4質量%) 350部(クラレ社製、PVA−124、重合度2400、鹸化度88mol%)
界面活性剤(5質量%) 1部(ソフタゾリンLSB−R、川研ファインケミカル社製)
純水で1000部に仕上げ、高屈折率層用塗布液H1を調製した。
(高屈折率層塗布液H2の調製)シリカ変性酸化チタン粒子に替えてジルコニアゾル(ナノユースZR30−AR 日産化学工業(株)社製)を用いた以外は、高屈折率層用塗布液H1の調製と同様にして、高屈折率層塗布液H2を調製した。
(高屈折率層塗布液H3の調製)
ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製、PVA−124、重合度2400、鹸化度88mol%)の代わりに、メチルセルロース(メトローズSM25、信越化学工業(株)社製)の4質量%水溶液を使用したほかは高屈折率層用塗布液H1と同様にして高屈折率層用塗布液H3を調製した。
(試料1の作製)
9層重層塗布可能なスライドホッパー塗布装置を用い、上記で得られた低屈折率層用塗布液L1および高屈折率層用塗布液H1を45℃に保温しながら、45℃に加温した厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡製A4300:両面易接着層)上に、最下層と最上層は低屈折率層とし、それ以外はそれぞれ交互に、乾燥時の膜厚が低屈折率層は各層150nm、高屈折率層は各層130nmになるように計9層の同時重層塗布を行った。
塗布直後、5℃の冷風を吹き付けてセットさせた。
セット完了後、80℃の温風を吹き付けて乾燥させて、重層塗布品を作製した。
上記9層重層塗布品の裏面(9層重層塗布された基材面とは反対側の基材面(裏面))に、さらに9層重層塗布を行った。
さらに、上記で得られた反射層上(片側)に10.0質量%のポリビニルアセタール樹脂のエタノール液(BX−L、アセタール化度61mol%、積水化学社製)をドライ膜厚が1μmの厚さとなるように塗布し、赤外遮蔽フィルム試料1を作製した。
(試料2〜9の作製)
低屈折率層用塗布液および高屈折率層用塗布液を表1に記載のものにそれぞれ変更した以外は、試料1の作製と同様にして試料2〜9を作製した。
(評価)
<可視光透過率及び近赤外透過率の測定>
上記分光光度計(積分球使用、日立製作所社製、U−4000型)を用い、各近赤外反射フィルムの300nm〜2000nmの領域における透過率を測定した。可視光透過率は550nmにおける透過率の値を、近赤外透過率は1200nmにおける透過率の値を用いた。
<ヘイズ値>
ヘイズ値は、試料1〜9をヘイズメーター(日本電色工業社製、NDH2000)により測定し、下記のように評価した。
1%以下 ◎
1%超〜1.5%以下 ○
1.5%超〜2%以下 △
2%超 ×
<塗布筋>
作製した試料1〜9について、塗布巾1.8mの塗布長1mの部分で目視により塗布試料表面の塗布筋故障を下記の様に評価した。
5.塗布筋の発生なし。
4.サイドに弱い塗布筋が数本あり。
3.塗布膜の中央付近にも弱い塗布筋が数本あり。
2.部分的に強い塗布筋あり。
1.塗布膜の全面に強い塗布筋あり。
<点状故障>
作製した試料1〜9について、塗布巾1.8mの塗布長1mの部分で目視により塗布試料表面の点状故障を下記の様に評価した。
5.点状故障の発生なし。
4.サイドに弱い点状故障が数個あり。
3.塗布膜の全面に弱い点状故障が数個あり。
2.肉眼ではっきり分かる点状故障が数個あり。
1.塗布膜の全面に肉眼ではっきり分かる点状故障が無数にあり。
結果を下記に示す。
Figure 2014069507
上記結果からわかるように、試料1〜7は赤外透過率が低く、ヘイズ値が低いため、フィルム特性が良好であった。また、試料1〜7は塗布筋や点状故障が少なく、塗布性が良好なものであった。
本出願は、2012年11月2日に出願された日本特許出願番号2012−242593号に基づいており、その開示内容は、参照され、全体として、組み入れられている。

Claims (9)

  1. 基材上に、高屈折率層と低屈折率層とを積層したユニットを少なくとも1つ含む光学反射フィルムにおいて、
    前記低屈折率層が、シラノール変性ポリビニルアルコールを吸着したシリカ粒子を含有することを特徴とする光学反射フィルム。
  2. 前記シラノール変性ポリビニルアルコールを吸着したシリカ粒子が、水性シリカゾルとシラノール変性ポリビニルアルコール溶液とを混合して加温処理することにより形成されてなる、請求項1記載の光学反射フィルム。
  3. 前記シラノール変性ポリビニルアルコールを吸着したシリカ粒子の平均粒径が、20nm以上80nm以下である、請求項1または2記載の光学反射フィルム。
  4. 前記低屈折率層が水溶性高分子を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学反射フィルム。
  5. 前記高屈折率層が金属酸化物粒子を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学反射フィルム。
  6. 前記金属酸化物粒子が酸化チタンおよび酸化ジルコニウムの少なくとも一方を含む、請求項5に記載の光学反射フィルム。
  7. 赤外遮蔽フィルムである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学反射フィルム。
  8. シラノール変性ポリビニルアルコールを吸着したシリカ粒子を含有する低屈折率層用塗布液を作製する工程と、
    金属酸化物粒子を含有する高屈折率層用塗布液を作製する工程と、
    基材上に、前記低屈折率層用塗布液と、前記高屈折率層用塗布液とを、同時重層塗布により交互に積層させる工程と、
    を含むことを特徴とする、光学反射フィルムの製造方法。
  9. 前記低屈折率層用塗布液を作製する工程が、
    水性シリカゾルとシラノール変性ポリビニルアルコール溶液とを混合して加温処理してシラノール変性ポリビニルアルコールを吸着したシリカ粒子を得る工程(A)と、
    前記工程(A)の後に水溶性高分子を添加する工程(B)と、
    を含む、請求項8に記載の光学反射フィルムの製造方法。
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