JP2013044916A - 光学反射フィルム、光学反射フィルムの製造方法、およびそれを用いた光学反射体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材上に、高屈折率層と低屈折率層を積層したユニットを少なくとも1つ含む光学反射フィルムにおいて、該高屈折率層に金属酸化物粒子と多糖類のアルキルエーテル化合物を含有することを特徴とする光学反射フィルム。
【選択図】なし
Description
基材上に、高屈折率層と低屈折率層を積層したユニットを少なくとも1つ含む光学反射フィルムにおいて、該高屈折率層に金属酸化物粒子と多糖類のアルキルエーテル化合物を含有することを特徴とする光学反射フィルム。
該多糖類のアルキルエーテル化合物が、セルロースのアルキルエーテル化合物であることを特徴とする前記(1)に記載の光学反射フィルム。
該金属酸化物粒子が、ルチル型酸化チタン粒子であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の光学反射フィルム。
前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の光学反射フィルムを、高屈折率層と低屈折率層を、水系同時重層塗布により形成することを特徴とする光学反射フィルムの製造方法。
各層を形成する塗布液の粘度が、40℃で50〜500mPa・sであることを特徴とする前記(4)に記載の光学反射フィルムの製造方法。
前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の光学反射フィルムが、基体の少なくとも一方の面に設けられていることを特徴とする光学反射体。
本発明の光学反射フィルムは、基材上に、高屈折率層と低屈折率層から構成されるユニットを少なくとも1つ積層した構成を有し、特定波長の光を反射する光学反射フィルムであることを一つの特徴とする。
本発明に係る高屈折率層においては、多糖類のアルキルエーテル化合物と、金属酸化物粒子を含有することを特徴とする。
本発明でいう多糖類のアルキルエーテル化合物とは、多糖類の持つ水酸基の水素原子の一部をアルキル基に置換した化合物であり、その置換率は10〜50%であることが好ましい。多糖類のアルキルエーテルは、例えば文献RD95378007(1995年10月)に記載の方法により、後述する種々の多糖類を用いて調製することができる。
多糖類としては、特に制限はなく、例えば、一般に知られている天然単純多糖類、天然複合多糖類、合成単純多糖類及び合成複合多糖類に挙げることができ、これら多糖類の詳細については、「生化学事典(第2版),東京化学同人出版」、「食品工業」第31巻(1988)21頁等を参照することができる。
本発明に係る高屈折率層に用いられる金属酸化物粒子としては、屈折率が2.0以上で、体積平均粒径が100nm以下の金属酸化物粒子を用いることが好ましく、例えば、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化チタン等を挙げることができるが、特に、ルチル型酸化チタン粒子を用いることが好ましい。
一般的に、酸化チタン粒子は、粒子表面の光触媒活性の抑制や、溶媒等への分散性を向上する目的で、表面処理が施された状態で使用されることが多く、例えば、酸化チタン粒子表面をシリカからなる被覆層で覆われ、粒子表面が負電荷を帯びたものや、アルミニウム酸化物からなる被覆層が形成されたpH8〜10で表面が正電荷を帯びたものが知られている。
〈ルチル型酸化チタンゾルの製造方法〉
本発明においては、近赤外反射フィルムを製造する方法として、水系高屈折率層塗布液を調製する際に、ルチル型酸化チタンとして、pHが1.0以上、3.0以下で、かつチタン粒子のゼータ電位が正である水系の酸化チタンゾルを用いることが好ましい。
本発明の光学反射フィルムにおいては、高屈折率層が、多糖類のアルキルエーテル化合物とともに他の水溶性高分子を併用して使用することができる。
本発明に適用可能な水溶性高分子としては、反応性官能基を有するポリマー類が挙げられ、例えば、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、若しくはアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、若しくはスチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのスチレンアクリル酸樹脂、スチレン−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート−スチレンスルホン酸カリウム共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体及びそれらの塩が挙げられる。これらの中で、特に好ましい例としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン類及びそれを含有する共重合体が挙げられる。
本発明では、前述の高屈折率層よりも低い低屈折率層を有する。低屈折率層は、屈折率が1.6以下であることが好ましい。さらには、1.30〜1.50であることが好ましい。
本発明に係る高屈折率層、低屈折率層には、必要に応じて各種添加剤を用いることができる。
本発明においては、本発明に係る高屈折率層または前記低屈折率層が、更にエマルジョン樹脂を含有することが好ましい。
本発明に係る高屈折率層と低屈折率層に適用可能な各種の添加剤を以下に列挙する。例えば、特開昭57−74193号公報、同57−87988号公報及び同62−261476号公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号公報、同60−72785号公報、同61−146591号公報、特開平1−95091号公報及び同3−13376号公報等に記載されている退色防止剤、アニオン、カチオンまたはノニオンの各種界面活性剤、特開昭59−42993号公報、同59−52689号公報、同62−280069号公報、同61−242871号公報および特開平4−219266号公報等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることもできる。
本発明の近赤外反射フィルムに適用する基材としては樹脂基材が望ましく、いわゆるフィルム支持体であることが好ましい。フィルム支持体は、透明であっても不透明であってもよく、種々の樹脂フィルムを用いることができ、ポリオレフィンフィルム(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリ塩化ビニル、3酢酸セルロース等を用いることができ、好ましくはポリエステルフィルムである。ポリエステルフィルム(以降ポリエステルと称す)としては、特に限定されるものではないが、ジカルボン酸成分とジオール成分を主要な構成成分とするフィルム形成性を有するポリエステルであることが好ましい。主要な構成成分のジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸などを挙げることができる。
本発明の光学反射フィルムの製造方法においては、樹脂基材上に、高屈折率層と低屈折率層とから構成されるユニットを少なくとも1つ形成し、該高屈折率層が、多糖類のアルキルエーテル化合物と、金属酸化物粒子とを含有する高屈折率層形成用の塗布液を用いて形成することを特徴とし、更には、該高屈折率層と低屈折率層を、水系同時重層塗布により形成することが好ましい。
本発明においては、少なくとも隣接した2層(高屈折率層及び低屈折率層)の屈折率差が0.2以上であることが好ましく、より好ましくは0.3以上である。また、上限には特に制限はないが通常1.4以下である。
本発明の光学反射フィルムは、幅広い分野に応用することができる。例えば、建物の屋外の窓や自動車窓等長期間太陽光に晒らされる設備に貼り合せ、熱線反射効果を付与する熱線反射フィルム等の窓貼用フィルム、農業用ビニールハウス用フィルム等として、主として耐候性を高める目的で用いられる。
ジルコニアゾル(ナノユースZR30−AR 日産化学工業(株)社製)60質量部を撹拌しながら50℃まで昇温した後、置換率=20%のエチル化グアガム(分子量8万)の5質量%水溶液100質量部と純水150質量部を添加して90分撹拌した後、5質量%界面活性剤水溶液(コータミン24P 花王(株)社製)0.45質量部を添加して高屈折率層塗布液1を調製した。
エチル化グアガム水溶液の代わりに、メチルセルロース(メトローズSM25 信越化学工業(株)社製)の5質量%水溶液を使用したほかは高屈折率層用塗布液1と同様にして高屈折率層用塗布液2を調製した。
エチル化グアガム水溶液の代わりに、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトローズ60SH15 信越化学工業(株)社製)の5質量%水溶液を使用したほかは高屈折率層用塗布液1と同様にして高屈折率層用塗布液3を調製した。
ジルコニアゾルの代わりに20質量%二酸化チタンゾル(体積平均粒径35nm、ルチル型二酸化チタン)を使用したほかは高屈折率層用塗布液1と同様にして高屈折率層用塗布液4を調製した。
エチル化グアガム水溶液の代わりに、メチルセルロース(メトローズSM25 信越化学工業(株)社製)の5質量%水溶液を使用したほかは高屈折率層用塗布液4と同様にして高屈折率層用塗布液5を調製した。
エチル化グアガム水溶液の代わりに、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトローズ60SH15 信越化学工業(株)社製)の5質量%水溶液を使用したほかは高屈折率層用塗布液4と同様にして高屈折率層用塗布液6を調製した。
エチル化グアガム水溶液の代わりに、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトローズ60SH50 信越化学工業(株)社製)の5質量%水溶液を使用したほかは高屈折率層用塗布液4と同様にして高屈折率層用塗布液7を調製した。
エチル化グアガム水溶液の代わりに、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトローズ60SH100 信越化学工業(株)社製)の5質量%水溶液を使用したほかは高屈折率層用塗布液4と同様にして高屈折率層用塗布液8を調製した。
下記組成物をボールミルにて4時間分散させ、分散粒子径がD50で20nmの酸化チタンの分散液を作製した。
ピリジン 3質量部
エチルシリケート(コルコート製、有効成分30質量%) 5質量部
ルチル型酸化チタン粒子(体積平均粒子径15nm) 10質量部
得られた分散液に、紫外線硬化バインダー(信越化学工業製 X−12−2400、有効成分30質量%)1.5質量部、触媒(信越化学工業製DX−2400)0.15質量部配合し、ボールミルにて1時間分散させ、分散粒子径がD50で16nmの酸化チタン含有高屈折率層塗布液9を調製した。
エチル化グアガム水溶液の代わりに、グアガムの5質量%水溶液を使用したほかは高屈折率層用塗布液4と同様にして高屈折率層用塗布液10を調製した。
エチル化グアガム水溶液の代わりに、セルロースの5質量%水懸濁液を使用したほかは高屈折率層用塗布液4と同様にして高屈折率層用塗布液11を調製した。この液は、セルロースの未溶解凝集物が多く存在するため、塗布液として用いることが出来なかった。
エチル化グアガム水溶液の代わりに、カルボキシメチルセルロースの5質量%水溶液を使用したほかは高屈折率層用塗布液4と同様にして高屈折率層用塗布液12を調製した。この液は白濁してしまったため、塗布液として用いることが出来なかった。
コロイダルシリカ(スノーテックスAK 日産化学工業(株)社製)68質量部と3%ホウ酸水溶液20質量部を撹拌しながら40℃まで昇温した後、ポリビニルアルコール(PVA235 重量平均分子量15万 (株)クラレ社製)の5質量%水溶液280質量部と純水240質量部を添加して10分間攪拌した後、5質量%界面活性剤水溶液(コータミン24P 花王(株)社製)0.64質量部を添加して低屈折率層塗布液1を調製した。
メチルセルロース(メトローズSM25 信越化学工業(株)社製)の5質量%水溶液300質量部に、純水150質量部と5質量%界面活性剤水溶液(コータミン24P 花王(株)社製)0.48質量部を添加して低屈折率層塗布液2を調製した。
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトローズ60SH15 信越化学工業(株)社製)の5質量%水溶液400質量部に、純水100質量部と5質量%界面活性剤水溶液(コータミン24P 花王(株)社製)0.48質量部を添加して低屈折率層塗布液3を調製した。
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトローズ60SH50 信越化学工業(株)社製)の5質量%水溶液400質量部に、純水100質量部と5質量%界面活性剤水溶液(コータミン24P 花王(株)社製)0.48質量部を添加して低屈折率層塗布液4を調製した。
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトローズ60SH100 信越化学工業(株)社製)の5質量%水溶液300質量部に、純水200質量部と5質量%界面活性剤水溶液(コータミン24P 花王(株)社製)0.48質量部を添加して低屈折率層塗布液5を調製した。
高屈折率層塗布液9の調製において、ルチル型酸化チタン粒子をシリカのオルガノゾル(平均一次粒子径10〜20nm、日産化学株式会社製、XBA−ST)に変えた以外は同様にして、低屈折率層塗布液6を作製した。
9層重層塗布可能なスライドホッパー塗布装置を用い、前記の低屈折率層用塗布液1及び高屈折率層用塗布液1を45℃に保温しながら、45℃に加温した厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡製A4300:両面易接着層)上に、最下層を低屈折率層として、それぞれ交互に乾燥時の膜厚が低屈折率層は各層150nm、高屈折率層は各層150nmになるように計9層の同時重層塗布を行った。
上記作製した各近赤外反射フィルムについて、下記の特性値の測定及び性能評価を行った。
基材上に屈折率を測定する対象層(高屈折率層、低屈折率層)をそれぞれ単層で塗設したサンプルを作製し、下記の方法に従って、各高屈折率層及び低屈折率層の屈折率を求めた。
上記分光光度計(積分球使用、日立製作所社製、U−4000型)を用い、各近赤外反射フィルムの300nm〜2000nmの領域における透過率を測定した。可視光透過率は550nmにおける透過率の値を、近赤外透過率は1200nmにおける透過率の値を用いた。
塗布乾燥後、23℃、相対湿度20%の部屋で、24時間調湿後の塗膜の状態を以下の基準で評価した。
1:目視で塗膜に大きな割れが多数観察される
2:目視で塗膜に大きなひび割れが数個観察される
3:目視で塗膜にかすかに割れが数個観察される
4:目視で塗膜の割れが観察されないが、100倍ルーペで見ると複数のひび割れがされる
5:目視で塗膜の割れが観察されないが、100倍のルーペで数個のひび割れが観察される
6:目視、100倍のルーペともに、ひび割れが観察されない
《ヒートサイクル試験での割れ》
塗布されたフィルムを23℃、相対湿度55%で1日調湿したのち、85℃の恒温槽で2時間、さらに23℃、相対湿度55%で2時間、のサイクルを3回繰り返したのち2.5cm×2.5cmの範囲内の塗膜の割れを、目視と100倍のルーペで確認、塗布乾燥後と同じ評価基準で塗膜のわれを評価した。
〔光学反射体1〜11の作製〕
実施例1で作製した試料1〜11の光学反射フィルムを用いて光学反射体1〜11を作製した。厚さ5mm、20cm×20cmの透明アクリル樹脂板上に、試料1〜11の光学反射フィルムをそれぞれアクリル接着剤で接着して、光学反射体1〜11を作製した。
上記作製した本発明の光学反射体1〜11は、光学反射体のサイズが大きいにもかかわらず、容易に利用可能であり、また、本発明の光学反射フィルムを利用することで、優れた近赤外反射性を確認することができた。
Claims (6)
- 基材上に、高屈折率層と低屈折率層を積層したユニットを少なくとも1つ含む光学反射フィルムにおいて、該高屈折率層に金属酸化物粒子と多糖類のアルキルエーテル化合物を含有することを特徴とする光学反射フィルム。
- 該多糖類のアルキルエーテル化合物が、セルロースのアルキルエーテル化合物であることを特徴とする請求項1に記載の光学反射フィルム。
- 該金属酸化物粒子が、ルチル型酸化チタン粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載の光学反射フィルム。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学反射フィルムを、高屈折率層と低屈折率層を、水系同時重層塗布により形成することを特徴とする光学反射フィルムの製造方法。
- 各層を形成する塗布液の粘度が、40℃で50〜500mPa・sであることを特徴とする請求項4に記載の光学反射フィルムの製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学反射フィルムが、基体の少なくとも一方の面に設けられていることを特徴とする光学反射体。
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