JP2012168357A - 水性コロイド溶液、水性コロイド溶液の製造方法、赤外線反射フィルムの製造方法、赤外線反射フィルムおよび赤外線反射体 - Google Patents

水性コロイド溶液、水性コロイド溶液の製造方法、赤外線反射フィルムの製造方法、赤外線反射フィルムおよび赤外線反射体 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、製造コストが安く、フィルムの大面積化が可能であり、赤外線反射性に優れ、可視光透過率が高く、かつ光学特性の均一性に優れる赤外線反射フィルム、その製造方法、その製造方法に用いられる水性コロイド溶液およびその水性コロイド溶液の製造方法を提供することにある。
【解決手段】金属酸化物の粒子を分散含有する水性コロイド溶液であって、該金属酸化物の粒子が、コラーゲンペプチドまたは、平均分子量が7万以下のゼラチンであり、分子量10万以上のゼラチンを含まないか分子量10万以上のゼラチンを1.0質量%以下含有する低分子量ゼラチンの存在下に形成された金属酸化物の粒子であることを特徴とする水性コロイド溶液。
【選択図】なし

Description

本発明は、太陽光の赤外線などの透過率を減少させる部材に用いられる赤外線反射フィルムの製造方法に関するものである。
近年、省エネルギー対策への関心の高まりから、冷房設備にかかる負荷を減らす目的で、建物や車両の窓ガラスに装着して太陽光の熱線の透過を遮断するための赤外線反射フィルムの要望が高まってきている。
赤外線反射フィルムの形成方法としては、主には、高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層させた構成からなる積層膜を、蒸着法、スパッタ法などのドライ製膜法による方法が提案されている。しかし、ドライ製膜法は、形成に用いる真空装置等が大型になり、製造コストが高く、大面積化が困難であり、しかも、基材が耐熱性素材に限定される等の課題を抱えている。
上記のような課題を有しているドライ製膜法に代えて、湿式塗布法を用いて赤外線反射フィルムを形成する方法が知られている。
例えば、金属酸化物や金属化合物微粒子を含む熱硬化型シリコーン樹脂や紫外線硬化型アクリル樹脂を有機溶媒中に分散させた高屈折率層塗布液を、バーコーターを用いた湿式塗布方式により基材上に塗布して透明積層体を形成する方法(例えば、特許文献1参照。)が知られている。
また、ルチル型の二酸化チタン、複素環系窒素化合物(例えば、ピリジン)、紫外線硬化型バインダー及び有機溶剤から構成される高屈折率塗膜形成用組成物を、バーコーターを用いた湿式塗布方式により基材上に塗布して透明積層体を形成する方法(例えば、特許文献2参照。)が開示されている。
他方、二酸化チタンの粒子を含有する層を得る方法として、例えば球状ルチル型二酸化チタン粒子のメタノール分散スラリーと、メタノールシリカゾルを用いて交互積層する方法(例えば、特許文献3参照。)が知られている。
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示されている方法、特許文献3の方法を適用して湿式塗布を行い金属酸化物の粒子を含有する層を形成して赤外線反射フィルムを作製する方法では、ヘイズが高く赤外線線反射性、可視光透過率が充分でなく、さらに光学特性のムラが見られ、視認性の均一性が不十分であるなどの問題があった。
特開平8−110401号公報 特開2004−123766号公報 特開2003−266577号公報
本発明の目的は、製造コストが安く、フィルムの大面積化が可能であり、赤外線の反射性に優れ、可視光透過率が高く、かつ光学特性の均一性に優れる赤外線反射フィルム、その製造方法、その製造方法に用いられる水性コロイド溶液およびその水性コロイド溶液の製造方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.金属酸化物の粒子を分散含有する水性コロイド溶液であって、該金属酸化物の粒子が、コラーゲンペプチドまたは、平均分子量が7万以下のゼラチンであり、分子量10万以上のゼラチンを含まないか分子量10万以上のゼラチンを1.0質量%以下含有する低分子量ゼラチンの存在下に形成された金属酸化物の粒子であることを特徴とする水性コロイド溶液。
2.前記水性コロイド溶液が、コラーゲンペプチドまたは、平均分子量が7万以下のゼラチンであり、分子量10万以上のゼラチンを含まないか分子量10万以上のゼラチンを1.0質量%以下含有する低分子量ゼラチンを含有することを特徴とする前記1に記載の水性コロイド溶液。
3.前記金属酸化物が、ルチル型二酸化チタンであることを特徴とする前記1または2に記載の水性コロイド溶液。
4.前記1または2に記載の水性コロイド溶液を製造する、水性コロイド溶液の製造方法であって、前記金属酸化物を、コラーゲンペプチドまたは、平均分子量が7万以下のゼラチンであり、分子量10万以上のゼラチンを含まないか分子量10万以上のゼラチンを1.0質量%以下含有する低分子量ゼラチンの存在下に形成する工程を有することを特徴とする水性コロイド溶液の製造方法。
5.基材上に、低屈折率層と、該低屈折率層に隣接し該低屈折率層より屈折率が0.1以上高い高屈折率層とを有するユニットを有する赤外線反射フィルムを製造する赤外線反射フィルムの製造方法であって、前記1から3のいずれか1項に記載の水性コロイド溶液を用い、高屈折率層用の塗布液Bを調製する塗布液調製工程、該塗布液Bを塗布して高屈折率層を基材上に形成する高屈折率層形成工程を有することを特徴とする赤外線反射フィルムの製造方法。
6.前記塗布液Bが、水溶性高分子化合物を含有する塗布液であり、該水溶性高分子化合物が、ゼラチン、セルロース類、増粘多糖類または反応性官能基を有するポリマーであることを特徴とする前記5に記載の赤外線反射フィルムの製造方法。
7.前記塗布液調製工程が、前記水性コロイド溶液と、前記水溶性高分子化合物を含有する水溶液とを混合する工程であることを特徴とする前記6に記載の赤外線反射フィルムの製造方法。
8.前記5から7のいずれか1項に記載の赤外線反射フィルムの製造方法により製造されたことを特徴とする赤外線反射フィルム。
9.前記高屈折率層に含有される金属酸化物の粒子の体積平均粒径が、50nm以下であることを特徴とする前記8に記載の赤外線反射フィルム。
10.前記8または9に記載の赤外線反射フィルムを具備することを特徴とする赤外線反射体。
本発明の上記手段により、製造コストが安く、フィルムの大面積化が可能であり、赤外線の反射性に優れ、可視光透過率が高く、かつ光学特性の均一性に優れる赤外線反射フィルム、それを具備した反射体、赤外線反射フィルムの製造方法、その製造方法に用いられる水性コロイド溶液およびその水性コロイド溶液の製造方法が提供できる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
本発明は、金属酸化物の粒子を分散含有する水性コロイド溶液であって、金属酸化物の粒子が、コラーゲンペプチドまたは、平均分子量が7万以下のゼラチンであり、分子量10万以上のゼラチンを含まないか分子量10万以上のゼラチン成分を1.0質量%以下含有する低分子量ゼラチンの存在下に形成された金属酸化物の粒子であることを特徴とする。
本発明では特に、金属酸化物の粒子を含有する層を形成するための塗布液を調整するために、上記特定の分子量を有するゼラチン、またはコラーゲンペプチドの存在下で形成した金属酸化物の粒子を含有する水性コロイド溶液を用いて調製した塗布液Bを用いることで、赤外線反射性に優れ、可視光透過率が高く、かつ光学特性の均一性に優れる赤外線反射フィルムを得ることができる。
以下、本発明の赤外線反射フィルムの構成要素、及び本発明を実施するための形態等について詳細な説明をする。
(塗布液調製工程)
塗布液調製工程では、1)コラーゲンペプチドまたは、平均分子量が7万以下のゼラチンであり、分子量10万以上のゼラチンを含まないか分子量10万以上のゼラチンを1.0質量%以下含有する低分子量ゼラチンの存在下に形成された金属酸化物の粒子を含有する水性コロイド溶液を用い、高屈折率層用の塗布液Bを調製する。
(低分子量ゼラチン、コラーゲンペプチド)
本発明に係る低分子量ゼラチンは、平均分子量が7万以下のゼラチンであり、分子量10万以上のゼラチンを含まないか分子量10万以上のゼラチンを1.0質量%以下含有するゼラチンである。
本発明において平均分子量とは、重量平均分子量であり、パギイ法第10版(2006)に準拠して求めた値である。
リテンションタイム(Retention Time)による230nmの吸収の変化をみると、先ず排除限界のピークが現れ、次にゼラチンのγ成分、β成分、α成分によるピークが順次現れ、更にリテンションタイムが長くなるにつれて、徐々に減衰するような形となる。標準サンプルにて校正した流出曲線のリテンションタイム(Retention Time)から分子量を求めることができる。
α成分は、分子量約10万のポリペプチド鎖で構成され、α鎖の二量体(β成分)、三量体(γ成分)等ゼラチンは種々の分子量を持つゼラチン分子の集合体となっており、またゼラチンメーカーから所定の平均分子量を有するゼラチンを入手することもできる。
本発明に係る低分子量ゼラチンあるいはコラーゲンペプチドは、通常用いられる平均分子量10万程度の高分子ゼラチンの水溶液にゼラチン分解酵素を加えて酵素分解したり、酸またはアルカリを加えて加熱し加水分解したり、大気圧下または加圧下での加熱により熱分解したり、超音波照射して分解したり、それらの方法を併用したりして得ることができる。
コラーゲンペプチドは、魚や牛、豚の皮に大量に含まれるゼラチンやコラーゲンを酵素処理により加水分解して、低分子化した高純度のタンパク質であって、その分子量は7,000以下である。本発明に適用可能なコラーゲンペプチドとしては、粉末の他、水溶液として市販されている種々のコラーゲンペプチドを適用することが出来る。
より具体的には、本発明に係る低分子量ゼラチンやコラーゲンペプチドは、次のようにして調製することができる。
通常用いられる平均分子量が10万以上の高分子ゼラチンを水に溶かし、ゼラチン分解酵素を加えて、ゼラチン分子を酵素分解する。
この方法については、R.J.Cox.Photographic Gelatin II,Academic Press,London,1976年、P233〜251、P335〜P346の記載を参考にすることができる。この場合、酵素が分解する結合位置は決まっているため、比較的分子量分布の狭い低分子量ゼラチンが得られ、好ましい。この場合、酵素分解時間を長くする程、より低分子量化する。その他、低pH(pH1〜3)もしくは高pH(pH10〜12)雰囲気下で加熱し、加水分解する方法もある。
本発明においては、ゼラチン、コラーゲンペプチドは、複数の種類のものを混合して用いてもよい。
本発明に係る低分子ゼラチンやコラーゲンペプチドにおいては、上記低分子ゼラチンやコラーゲンペプチドの調製工程において、原料として用いる平均分子量が10万以上の高分子ゼラチンの分解を十分に行い、その含有量を1.0質量%以下となる様に、高分子ゼラチン分子の酵素分解を最適に行う様に、ゼラチン分解酵素の種類、添加量や、酵素分解時の温度や時間等の条件を適宜設定することが好ましい。
本発明に係る低分子量ゼラチン、コラーゲンペプチドは、平均分子量が7万以下のものであるが、特に3万以下であることが好ましく、より好ましくは、2千〜3万、特に好ましくは、5千〜2万5千である。
(水性コロイド溶液)
本発明の水性コロイド溶液は、金属酸化物の粒子を分散含有する水性コロイド溶液であって、該金属酸化物の粒子が、コラーゲンペプチドまたは、平均分子量が7万以下のゼラチンであり、分子量10万以上のゼラチンを含まないか分子量10万以上のゼラチンを1.0質量%以下含有する低分子量ゼラチンの存在下に形成された金属酸化物の粒子である。
(金属酸化物の粒子)
金属酸化物の粒子としては、屈折率が2.0以上で、体積平均粒径が100nm以下の金属酸化物の粒子を好適に用いることができる。金属酸化物としては、例えば、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化チタン等を挙げることができるが、特に、ルチル型酸化チタンの粒子を用いることが好ましい。
本発明においては、特に金属酸化物の粒子が、可視光透過率の面から、体積平均粒径が100nm以下、特に50nm以下のルチル型(正方晶形)の二酸化チタンの粒子であることが好ましく、さらに4nm以上、50nm以下であることがより好ましく、特に好ましくは4nm以上、30nm以下である。
ここでいう体積平均粒径とは、媒体中に分散された一次粒子または二次粒子の体積平均粒径であり、レーザー回折/散乱法、動的光散乱法等により測定できる。
体積平均粒径とは、粒子そのものあるいは屈折率層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1,000個の任意の粒子の粒径を測定し、それぞれd、d・・・d・・・dの粒径を持つ粒子がそれぞれn、n・・・n・・・n個存在する金属酸化物粒子の集団において、粒子1個当りの表面積をa、体積をvとした場合に、体積平均粒径m={Σ(v・d)}/{Σ(v)}で表される体積で重み付けされた平均粒径である。
これらの粒子の体積平均粒径は公知の方法で測定することが出来るが、具体的には、マルバーン社製パーテクルサイザーやゼータサイザーナノを用い、測定用ガラスセルに二酸化チタン微粒子の分散液を入れて、溶媒の各種パラメーターを水と同値に設定し、25℃にて動的散乱法により測定することが出来る。
さらに、金属酸化物の粒子の粒度の分布としては、単分散であることが好ましい。ここでいう単分散とは、下記式で求められる単分散度が40%以下をいう。更に好ましくは30%以下であり、特に好ましくは0.1〜20%となる粒子である。
単分散度=(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100
(ルチル型二酸化チタン)
一般的に、二酸化チタン微粒子は、粒子表面の光触媒活性の抑制や、溶媒等への分散性を向上する目的で、表面処理が施された状態で使用されることが多く、例えば、二酸化チタン粒子表面をシリカからなる被覆層で覆い、粒子表面が負電荷を帯びたものや、アルミニウム酸化物からなる被覆層が形成されたpH8〜10で表面が正電荷を帯びたものなどが知られているが、本発明においては、このような表面処理を施さないことが好ましい。
《金属酸化物の粒子、水性コロイド溶液の調製》
本発明に係る金属酸化物の粒子は、本発明に係る低分子量ゼラチン、又はコラーゲンペプチドのいずれか一つの物質の存在下で形成されたものであり、水性コロイド溶液は、低分子量ゼラチン、又はコラーゲンペプチドを含有している態様が典型的な態様である。
尚、水性コロイド溶液とは、溶媒に占める水の割合が99質量%以上のものをいう。
具体的な調製方法としては、金属の硫酸塩、金属塩化物等の水溶性金属化合物の水溶液を所定の温度で加熱加水分解したり、アルカリ金属の水酸化物及びアルカリ土類金属の水酸化物からなる群から選択される塩基性化合物の水溶液を添加しで加水分解する工程(1)のいずれかの段階で、好ましくは工程時間中の25%〜75%の段階で、本発明に係る低分子量ゼラチン、又はコラーゲンペプチドからなる群から選ばれる一つ以上の物質を加え、その後、工程(1)によって得られた化合物をカルボン酸基含有化合物及び/又は無機酸で処理する工程(2)を含む。
上記工程(1)で、加水分解の方法は特に限定されず、公知の方法を適用することができる。なかでも、金属酸化物として150〜200g/lの金属塩化物水溶液を85℃〜沸点の温度で2〜10時間加熱して加水分解することによって得られたものであることが好ましい。
また上記工程(1)は、例えば、上記水溶性金属化合物の水溶液に、水酸化ナトリウム等のアルカリ溶液で中和加水分解してコロイド状の非晶質水酸化チタンを析出させ、これを60〜80度の温度で1〜10時間程度熟成する方法も好ましい。
金属酸化物の粒子を分散して含有する水性コロイド溶液とする方法は特に限定されず、水中に金属酸化物の水和物を添加して攪拌することによって行うことができる。
本発明に係る低分子量ゼラチン、又はコラーゲンペプチドのいずれか一つを追加して添加することもできる。
水性コロイド溶液中での濃度は特に限定されないが、例えば、金属酸化物が水性コロイド溶液中に30〜150g/lとなる濃度であることが好ましい。
上記工程(1)において使用するアルカリ金属の水酸化物及びアルカリ土類金属の水酸化物からなる群から選択される少なくとも1種の塩基性化合物としては特に限定されず、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等を挙げることができる。
上記工程(1)における上記塩基性化合物の添加量は、反応(処理)コロイド溶液中の塩基性化合物濃度で30〜300g/lであることが好ましい。
本発明では本発明に係る低分子量ゼラチン、コラーゲンペプチド、のいずれか一つの濃度を4〜20質量%の水溶液として、この反応(処理)時間中に添加し、その後、第2の工程(工程(2))として、必要に応じて反応(処理)混合物を冷却し、工程(1)によって得られた化合物をカルボン酸基含有化合物及び/又は無機酸で中和した後、濾過、水洗することによって金属酸化物の粒子を得ることができる。無機酸に加えてカルボン酸基含有化合物を使用して、粒子径を調整することができる。この時の添加の方法は、一度に全量を加える方法であっても徐々に加える方法であっても良く、また数度に分けて添加する方法であっても良い。
上記カルボン酸基含有化合物は、−COOH基を有する有機化合物である。上記カルボン酸基含有化合物としては、2以上、より好ましくは2以上4以下のカルボン酸基を有するポリカルボン酸であることが好ましい。上記ポリカルボン酸は、金属原子への配位能を有することから、配位によって微粒子間の凝集を抑制し、これによって好ましい形状の微粒子金属酸化物を得ることができるものと推測される。
上記カルボン酸基含有化合物としては特に限定されず、例えば、蓚酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、プロピルマロン酸、マレイン酸等のジカルボン酸;リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等のヒドロキシ多価カルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、ヘミメリト酸、トリメリト酸等の芳香族ポリカルボン酸;エチレンジアミン四酢酸等を挙げることができる。これらの中から、2種以上の化合物を同時に併用するものであってもよい。
なお、上記カルボン酸基含有化合物の全部又は一部は、−COOH基を有する有機化合物の中和物(例えば、−COONa基等を有する有機化合物)であってもよい。
上記無機酸としては特に限定されず、例えば、塩酸、硫酸、硝酸等を挙げることができる。上記無機酸は、反応(処理)用液中の濃度が0.5〜2.5モル/L、より好ましくは0.8〜1.4モル/Lになるように加えるとよい。
上記工程(2)は、上記工程(1)によって得られた化合物を懸濁させ、攪拌下、必要に応じて加熱して行うことが好ましい。カルボン酸基含有化合物及び無機酸を添加する場合は同時であっても順次添加するものであってもよいが、順次添加することが好ましい。その時の添加の順序は、カルボン酸基含有化合物添加後に無機酸を添加するものであっても、無機酸添加後にカルボン酸基含有化合物を添加するものであってもよい。
例えば、上記工程(1)によって得られた化合物の懸濁液中にカルボキシル基含有化合物を添加し、加熱を開始し、液温が60℃以上、好ましくは90℃以上になったところで無機酸を添加し、液温を維持しつつ、好ましくは15分〜5時間、より好ましくは2〜3時間攪拌する方法(方法1);上記工程(1)によって得られた化合物の懸濁液中を加熱し、液温が60℃以上、好ましくは90℃以上になったところで無機酸を添加し、無機酸添加から10〜15分後にカルボン酸基含有化合物を添加し、液温を維持しつつ、好ましくは15分〜5時間、より好ましくは2〜3時間攪拌する方法(方法2)等を挙げることができる。これらの方法によって行うことにより、好適な微粒子形状の金属酸化物を得ることができる。
上記工程(2)を上記方法1によって行う場合、上記カルボン酸基含有化合物は、金属酸化物100モル%に対し0.25〜1.5モル%使用するものであることが、目的とする粒子サイズを得る観点から、好ましく、0.4〜0.8モル%の割合で使用することがより好ましい。
上記工程(2)を上記方法2によって行う場合、上記カルボン酸基含有化合物は、TiO100モル%に対し1.6〜4.0モル%使用することが、目的とする粒子サイズを得る、粒子をルチル化する、という観点から好ましく、2.0〜2.4モル%の割合で使用することがより好ましい。
本発明では、工程(2)によりpHを1.0〜3.0に調整された金属酸化物の水系ゾルを用いることができる。
本発明において、金属酸化物の粒子を形成する際に用いる低分子量ゼラチンまたはコラーゲンペプチドからなる群から選ばれる一つ以上の物質の添加量としては、金属酸化物の粒子の質量に対し、1〜100質量%、好ましくは2〜50質量%、より好ましくは5〜20質量%である。そして、本発明に係る水性コロイド溶液においても、同様の割合で、低分子量ゼラチンまたはコラーゲンペプチドを含有することが好ましい。
粒子形成後に脱塩のためなどの理由で洗浄を行う場合などは、洗浄で除かれた分を補填して、水性コロイド溶液の経時保存中も、同様の濃度としておくことが好ましい。
塗布液調製工程では、本発明の水性コロイド溶液を用い、塗布液Bを調製する。
(塗布液B)
本発明に係る塗布液Bは、高屈折率層用の塗布液であり、本発明の水性コロイド溶液および水溶性高分子化合物を含有する水溶性塗布液である。
塗布液調製工程では、水溶性高分子化合物または水溶性高分子化合物を含有する水溶液と、水性コロイド溶液とを混合することにより調製できる。
混合する方法は、特に制限はないが、水性コロイド溶液を加温しつつ攪拌し、これに水溶性化合物または水溶性高分子化合物を含有する水溶液を加え攪拌する方法が好ましく用いられる。
塗布液Bに対する、高分子化合物の含有量、金属酸化物の含有量は、塗布方法、高屈折率層の膜厚にもよるが、概ね高分子化合物の含有量は、は0.2質量%〜20質量%が好ましく、特に1質量%〜10質量%が好ましく、金属酸化物の含有量は、4質量%〜40質量%が好ましく、特に5質量%〜25質量%が好ましい。
本発明において、塗布液Bを調製する際に、水性コロイド溶液を用いることで、赤外線の反射性に優れ、可視光透過率が高く、かつ光学特性の均一性に優れる赤外線反射フィルムが得られる、理由は明確ではないが、以下のように推測される。
光学特性の均一性、赤外線反射率、可視光透過率は、金属酸化物の粒子の分散状態に影響され、この粒子の分散状態が、3次元方向に均一であると、赤外線反射率、可視光透過率、光学特性の均一性が向上すると考えられる。
水性コロイド溶液に含有される金属酸化物の粒子の表面には、前記コラーゲンペプチドまたは低分子量ゼラチンが吸着しており、水性コロイド溶液で、安定に分散状態を維持しているとことに加えて、塗布液Bを調製する際に、塗布液中の水溶性高分子化合物との相互作用により、金属酸化物の粒子が安定に存在する状態となり、また乾燥する際にも水溶性高分子化合物と相溶して塗膜を形成する際にも安定な分散状態を保つためと推測される。
(水溶性高分子化合物)
水溶性高分子化合物は、25℃の水に5質量%以上溶解する高分子化合物であり、ゼラチン、セルロース類、増粘多糖類及び反応性官能基を有するポリマー類が挙げられ、これらが好ましく用いられる。
(ゼラチン)
本発明に適用可能なゼラチンとしては、従来、ハロゲン化銀写真感光材料分野で広く用いられてきた各種ゼラチンを適用することができ、例えば、酸処理ゼラチン、アルカリ処理ゼラチンの他に、ゼラチンの製造過程で酵素処理をする酵素処理ゼラチン及びゼラチン誘導体、すなわち分子中に官能基としてのアミノ基、イミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基を持ち、それと反応して得る基を持った試薬で処理し改質したものでもよい。ゼラチンの一般的製造法に関しては良く知られており、例えばT.H.James:The Theory of Photographic Process 4th.ed.1977(Macmillan)55項、科学写真便覧(上)72〜75項(丸善)、写真工学の基礎−銀塩写真編119〜124(コロナ社)等の記載を参考にすることができる。また、リサーチ・ディスクロージャー誌第176巻、No.17643(1978年12月)のIX項に記載されているゼラチンを挙げることができる。
(セルロース類)
本発明で用いることのできるセルロース類としては、水溶性のセルロース誘導体が好ましく用いることができ、例えば、カルボキシメチルセルロース(セルロースカルボキシメチルエーテル)、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の水溶性セルロース誘導体や、カルボン酸基含有セルロース類であるカルボキシメチルセルロース(セルロースカルボキシメチルエーテル)、カルボキシエチルセルロース等を挙げることができる。その他には、ニトロセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、酢酸セルロース、セルロース硫酸エステル等のセルロース誘導体を挙げることができる。
(増粘多糖類)
本発明で用いることのできる増粘多糖類としては、特に制限はなく、例えば、一般に知られている天然単純多糖類、天然複合多糖類、合成単純多糖類及び合成複合多糖類に挙げることができ、これら多糖類の詳細については、「生化学事典(第2版),東京化学同人出版」、「食品工業」第31巻(1988)21頁等を参照することができる。
本発明でいう増粘多糖類とは、糖類の重合体であり分子内に水素結合基を多数有するもので、温度により分子間の水素結合力の違いにより、低温時の粘度と高温時の粘度差が大きな特性を備えた多糖類であり、さらに金属酸化物微粒子を添加すると、低温時にその金属酸化物微粒子との水素結合によると思われる粘度上昇を起こすものであり、その粘度上昇幅は、添加することにより15℃における粘度が1.0mPa・s以上の上昇を生じる多糖類であり、好ましくは5.0mPa・s以上であり、更に好ましくは10.0mPa・s以上の粘度上昇能を備えた多糖類である。
本発明に適用可能な増粘多糖類としては、例えば、ガラクタン(例えば、アガロース、アガロペクチン等)、ガラクトマンノグリカン(例えば、ローカストビーンガム、グアラン等)、キシログルカン(例えば、タマリンドガム等)、グルコマンノグリカン(例えば、蒟蒻マンナン、木材由来グルコマンナン、キサンタンガム等)、ガラクトグルコマンノグリカン(例えば、針葉樹材由来グリカン)、アラビノガラクトグリカン(例えば、大豆由来グリカン、微生物由来グリカン等)、グルコラムノグリカン(例えば、ジェランガム等)、グリコサミノグリカン(例えば、ヒアルロン酸、ケラタン硫酸等)、アルギン酸及びアルギン酸塩、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン、ファーセレラン等の紅藻類に由来する天然高分子多糖類等が挙げられ、塗布液中に共存する金属酸化微粒子の分散安定性を低下させない観点から、好ましくは、その構成単位がカルボン酸基やスルホン酸基を有しないものが好ましい。その様な多糖類としては、例えば、L−アラビトース、D−リボース、2−デオキシリボース、D−キシロースなどのペントース、D−グルコース、D−フルクトース、D−マンノース、D−ガラクトースなどのヘキソースのみからなる多糖類であることが好ましい。具体的には、主鎖がグルコースであり、側鎖もグルコースであるキシログルカンとして知られるタマリンドシードガムや、主鎖がマンノースで側鎖がグルコースであるガラクトマンナンとして知られるグアーガム、カチオン化グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、ローカストビーンガム、タラガムや、主鎖がガラクトースで側鎖がアラビノースであるアラビノガラクタンを好ましく使用することができる。本発明においては、特には、タマリンド、グアーガム、カチオン化グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガムが好ましい。
本発明においては、二種類以上の増粘多糖類を併用することも好ましい。
(反応性官能基を有するポリマー類)
本発明に適用可能なゼラチン、コラーゲンペプチド以外の水溶性高分子としては、反応性官能基を有するポリマー類が挙げられ、例えば、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、若しくはアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、若しくはスチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのスチレンアクリル酸樹脂、スチレン−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート−スチレンスルホン酸カリウム共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体及びそれらの塩が挙げられる。これらの中で、特に好ましい例としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン類及びそれを含有する共重合体が挙げられる。
水溶性高分子の重量平均分子量は、1,000以上200,000以下が好ましい。更には、3,000以上40,000以下がより好ましい。
本発明で好ましく用いられるポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、平均重合度が1,000以上のものが好ましく用いられ、特に平均重合度が1,500〜5,000のものが好ましく用いられる。また、ケン化度は、70〜100%のものが好ましく、80〜99.5%のものが特に好ましい。
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号に記載されているような、第一〜三級アミノ基や第四級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(2−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
アニオン変性ポリビニルアルコールは、例えば、特開平1−206088号に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号および同63−307979号に記載されているような、ビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体及び特開平7−285265号に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号に記載されている疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。ポリビニルアルコールは、重合度や変性の種類違いなど二種類以上を併用することもできる。
本発明においては、反応性官能基を有するポリマーを使用する場合には、硬化剤を使用してもよい。反応性官能基を有するポリマーがポリビニルアルコールの場合には、ホウ酸及びその塩やエポキシ系硬化剤が好ましい。
本発明においては、上記各水溶性高分子は、高屈折率層の全質量に対し、5.0質量%以上、50質量%以下の範囲で含有させることが好ましく、10質量%以上、40質量%以下がより好ましい。但し、水溶性高分子と共に、例えば、エマルジョン樹脂を併用する場合には、3.0質量%以上含有すればよい。水溶性高分子が少ないと、高屈折率層を塗工した後の乾燥時に、膜面が乱れて透明性が劣化する傾向が大きくなる。一方、含有量が50質量%以下であれば、相対的な金属酸化物の含有量が適切となり、高屈折率層と低屈折率層の屈折率差を大きくすることが容易になる。
(赤外線反射フィルム)
本発明に係る赤外線反射フィルムは、基材上に、高屈折率層と低屈折率層から構成されるユニットを少なくとも1つ積層し、隣接する高屈折率層と低屈折率層との屈折率差が0.1以上である。
一般に、赤外線反射フィルムにおいては、高屈折率層と低屈折率層の屈折率の差を大きく設計することが、少ない層数で赤外線反射率を高くすることができる観点で好ましいが、本発明では、高屈折率層と低屈折率層から構成されるユニットの少なくとも1つにおいて、隣接する該高屈折率層と低屈折率層との屈折率差が0.1以上であり、好ましくは0.3以上であり、更に好ましくは0.4以上である。
特定波長領域の反射率は、隣接する2層の屈折率差と積層数で決まり、屈折率の差が大きいほど、少ない層数で同じ反射率を得られる。この屈折率差と必要な層数については、市販の光学設計ソフトを用いて計算することができる。例えば、赤外線反射率90%以上を得るためには、屈折率差が0.1より小さいと、20層以上の積層が必要になり、生産性が低下するだけでなく、積層界面での散乱が大きくなり、透明性が低下し、また故障なく製造することも非常に困難になる。反射率の向上と層数を少なくする観点からは、屈折率差に上限はないが、実質的には1.40程度が限界である。
次いで、本発明の赤外反射フィルムにおける高屈折率層と低屈折率層の基本的な構成概要について説明する。
本発明の赤外反射フィルムにおいては、基材上に、高屈折率層と低屈折率層から構成されるユニットを少なくとも1つ積層した構成であればよいが、好ましい高屈折率層と低屈折率層の層数としては、上記の観点から、総層数の範囲としては、100層以下、すなわち50ユニット以下であり、より好ましくは40層(20ユニット)以下であり、さらに好ましくは20層(10ユニット)以下である。
また、本発明の赤外線反射フィルムにおいては、隣接する該高屈折率層と低屈折率層との屈折率差が0.1以上であるが、高屈折率層と低屈折率層を上記のようにそれぞれ複数層有する場合には、全ての屈折率層が本発明で規定する要件を満たすことが好ましい。ただし、最表層や最下層に関しては、本発明で規定する要件外の構成であっても良い。
また、本発明の赤外反射フィルムにおいては、高屈折率層の好ましい屈折率としては1.80〜2.50であり、より好ましくは1.90〜2.20である。また、低屈折率層の好ましい屈折率としては1.10〜1.60であり、より好ましくは1.30〜1.50である。
(高屈折率層、低屈折率層)
高屈折率層は、上記塗布液を塗布して形成することができ、また低屈折率層は、下記のようにして形成することができる。
本発明において、高屈折率層、低屈折率層の屈折率は、下記の方法に従って求めることができる。
基材上に屈折率を測定する各屈折率層を単層で塗設したサンプルを作製し、このサンプルを10cm×10cmに断裁した後、下記の方法に従って屈折率を求める。分光光度計として、U−4000型(日立製作所社製)を用いて、各サンプルの測定面とは反対側の面(裏面)を粗面化処理した後、黒色のスプレーで光吸収処理を行って裏面での光の反射を防止して、5度正反射の条件にて可視光領域(400nm〜700nm)の反射率を25点測定して平均値を求め、その測定結果より平均屈折率を求める。
(低屈折率層)
本発明では、前述の高屈折率層よりも屈折率が少なくとも0.1以上低い低屈折率層を有する。低屈折率層は、屈折率が1.6以下であることが好ましい。さらには、1.30〜1.50である。
本発明に係る低屈折率層においては、水溶性高分子中に、金属酸化物粒子を分散したものを用いる。なお、低屈折率層で用いる水溶性高分子化合物は、上記高屈折率層で記載の水溶性高分子と同様のもの、すなわち、セルロース類、増粘多糖類、反応性官能基を有するポリマー類や各種ゼラチン類を使用できる。なお、高屈折率層と低屈折率層で用いられる水溶性高分子等は、同一であっても異なっていても良いが、同一であることが同時重層塗布を実施する上で好ましい。
本発明に係る低屈折率層においては、金属酸化物粒子として二酸化ケイ素を用いることが好ましく、酸性のコロイダルシリカゾルを用いることが特に好ましい。
本発明において、二酸化ケイ素は、その平均粒径が100nm以下であることが好ましい。一次粒子の状態で分散された二酸化ケイ素の一次粒子の平均粒径(塗設前の分散液状態での粒径)は、20nm以下のものが好ましく、より好ましくは10nm以下である。また二次粒子の平均粒径としては、30nm以下であることが、ヘイズが少なく可視光透過性に優れる観点で好ましい。
本発明に係る金属酸化物の平均粒径は、粒子そのものあるいは屈折率層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1,000個の任意の粒子の粒径を測定し、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定したときの直径で表したものである。
〔その他の添加剤〕
本発明に係る高屈折率層、低屈折率層には、必要に応じて各種添加剤を用いることができる。
〈エマルジョン樹脂〉
本発明においては、本発明に係る高屈折率層または前記低屈折率層が、更にエマルジョン樹脂を含有することが好ましい。
本発明でいうエマルジョン樹脂とは、油溶性のモノマーを、分散剤を含む水溶液中でエマルジョン状態に保ち、重合開始剤を用いて乳化重合させた樹脂微粒子である。
エマルジョンの重合時に使用される分散剤としては、一般的には、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジエチルアミン、エチレンジアミン、4級アンモニウム塩のような低分子の分散剤の他に、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエキシエチレンラウリル酸エーテル、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドンのような高分子分散剤が挙げられる。
本発明に係るエマルジョン樹脂とは、水系媒体中に微細な、例えば、平均粒径が0.01〜2.0μm程度の樹脂粒子がエマルジョン状態で分散されている樹脂で、油溶性のモノマーを、水酸基を有する高分子分散剤を用いてエマルジョン重合して得られる。用いる分散剤の種類によって、得られるエマルジョン樹脂のポリマー成分に基本的な違いは見られないが、水酸基を有する高分子分散剤を用いてエマルジョン重合すると、微細な微粒子の少なくとも表面に水酸基の存在が推定され、他の分散剤を用いて重合したエマルジョン樹脂とはエマルジョンの化学的、物理的性質が異なる。
水酸基を含む高分子分散剤とは、重量平均分子量が10000以上の高分子の分散剤で、側鎖または末端に水酸基が置換されたものであり、例えばポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミドのようなアクリル系の高分子で2−エチルヘキシルアクリレートが共重合されたもの、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールのようなポリエーテル、ポリビニルアルコールなどが挙げられ、特にポリビニルアルコールが好ましい。
高分子分散剤として使用されるポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、カチオン変性したポリビニルアルコールやカルボキシル基のようなアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール、シリル基を有するシリル変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。ポリビニルアルコールは、平均重合度は高い方がインク吸収層を形成する際のクラックの発生を抑制する効果が大きいが、平均重合度が5000以内であると、エマルジョン樹脂の粘度が高くなく、製造時に取り扱いやすい。したがって、平均重合度は300〜5000のものが好ましく、1500〜5000のものがより好ましく、3000〜4500のものが特に好ましい。ポリビニルアルコールのケン化度は70〜100モル%のものが好ましく、80〜99.5モル%のものがより好ましい。
上記の高分子分散剤で乳化重合される樹脂としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニル系化合物、スチレン系化合物といったエチレン系単量体、ブタジエン、イソプレンといったジエン系化合物の単独重合体または共重合体が挙げられ、例えばアクリル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂等が挙げられる。
〈各屈折率層のその他の添加剤〉
本発明に係る高屈折率層と低屈折率層に適用可能な各種の添加剤を以下に列挙する。例えば、特開昭57−74193号公報、同57−87988号公報及び同62−261476号公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号公報、同60−72785号公報、同61−146591号公報、特開平1−95091号公報及び同3−13376号公報等に記載されている退色防止剤、アニオン、カチオンまたはノニオンの各種界面活性剤、特開昭59−42993号公報、同59−52689号公報、同62−280069号公報、同61−242871号公報および特開平4−219266号公報等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることもできる。
〔基材〕
本発明の赤外線反射フィルムに適用する基材としては、フィルム支持体であることが好ましく、フィルム支持体は、透明であっても不透明であってもよく、種々の樹脂フィルムを用いることができ、ポリオレフィンフィルム(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリ塩化ビニル、3酢酸セルロース等を用いることができ、好ましくはポリエステルフィルムである。ポリエステルフィルム(以降ポリエステルと称す)としては、特に限定されるものではないが、ジカルボン酸成分とジオール成分を主要な構成成分とするフィルム形成性を有するポリエステルであることが好ましい。主要な構成成分のジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸などを挙げることができる。また、ジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビスフェノールフルオレンジヒドロキシエチルエーテル、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ハイドロキノン、シクロヘキサンジオールなどを挙げることができる。これらを主要な構成成分とするポリエステルの中でも透明性、機械的強度、寸法安定性などの点から、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸や2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジオール成分として、エチレングリコールや1,4−シクロヘキサンジメタノールを主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。中でも、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートを主要な構成成分とするポリエステルや、テレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールからなる共重合ポリエステル、およびこれらのポリエステルの二種以上の混合物を主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。
本発明に係るフィルム支持体の厚みは、10〜300μmであることが好ましく、より好ましくは20〜150μmである。また、本発明のフィルム支持体は、2枚を重ねたものであっても良く、この場合、その種類が同じでも異なってもよい。
〔赤外線反射フィルムの製造方法〕
本発明の赤外線反射フィルムの製造方法では、基材上に高屈折率層と低屈折率層から構成されユニットを積層して形成されるが、具体的には高屈折率層と低屈折率層とを交互に塗布して積層体を形成することが好ましい。
塗布方式としては、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法、あるいは米国特許第2,761,419号、同第2,761,791号公報に記載のホッパーを使用するスライドビード塗布方法、エクストルージョンコート法等が好ましく用いられる。
同時重層塗布を行う際の高屈折率層塗布液と低屈折率層塗布液の粘度としては、スライドビード塗布方式を用いる場合には、5〜100mPa・sの範囲が好ましく、さらに好ましくは10〜50mPa・sの範囲である。また、カーテン塗布方式を用いる場合には、5〜1200mPa・sの範囲が好ましく、さらに好ましくは25〜500mPa・sの範囲である。
また、塗布液の15℃における粘度としては、100mPa・s以上が好ましく、100〜30,000mPa・sがより好ましく、さらに好ましくは3,000〜30,000mPa・sであり、最も好ましいのは10,000〜30,000mPa・sである。
塗布方法としては、高屈折率層塗布液と低屈折率層塗布液を30℃以上に加温して、塗布を行った後、形成した塗膜の温度を1〜15℃に一旦冷却し、10℃以上で乾燥することが好ましく、より好ましくは、乾燥条件として、湿球温度5〜50℃、膜面温度10〜50℃の範囲の条件で行うことである。また、塗布直後の冷却方式としては、形成された塗膜均一性の観点から、水平セット方式で行うことが好ましい。
同時重層塗布は、製造コスト、大面積化の面から好ましい方法である。
〔赤外線反射フィルムの応用〕
本発明の赤外線反射フィルムは、幅広い分野に応用することができる。例えば、建物の屋外の窓や自動車窓等長期間太陽光に晒らされる設備に貼り合せ、赤外線反射体として用いられる。例えば、熱線反射効果を付与する熱線反射フィルム等の窓貼用フィルムを貼合した反射体、農業用ビニールハウス用フィルム等として、主として耐候性を高める目的で用いられる赤外線反射体などがある。
特に、赤外線反射フィルムを直接もしくは接着剤を介してガラスもしくはガラス代替樹脂基材に貼合せた部材(赤外線反射体)には好適である。
接着剤は、窓ガラスなどに貼り合わせたとき、赤外線反射フィルムが日光(熱線)入射面側にあるように設置したり(内貼り)、外側と内側のガラスもしくは基材の間に挟持すると(合せガラス)、水分等周囲ガスから封止でき耐久性の点で好ましい。
本発明に適用可能な接着剤としては、光硬化性もしくは熱硬化性の樹脂を主成分とする接着剤を用いることができる。
接着剤は紫外線に対して耐久性を有するものが好ましく、アクリル系粘着剤またはシリコーン系粘着剤が好ましい。更に粘着特性やコストの観点から、アクリル系粘着剤が好ましい。特に剥離強さの制御が容易なことから、アクリル系粘着剤において、溶剤系及びエマルジョン系の中で溶剤系が好ましい。アクリル溶剤系粘着剤として溶液重合ポリマーを使用する場合、そのモノマーとしては公知のものを使用できる。
また、合わせガラスの中間層として用いられるポリビニルブチラール系樹脂、あるいはエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂を用いてもよい。具体的には可塑性ポリビニルブチラール(積水化学工業社製、三菱モンサント社製等)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(デュポン社製、武田薬品工業社製、デュラミン)、変性エチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー社製、メルセンG)等である。なお、接着層には紫外線吸収剤、抗酸化剤、帯電防止剤、熱安定剤、滑剤、充填剤、着色、接着調整剤等を適宜添加配合してもよい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「%」、「部」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量%」、「質量部」を表す。
水性コロイド溶液Aの調製
(二酸化チタン粒子ゾル1(水性コロイド溶液1)(比較例)の作製)
二酸化チタンとしての濃度が200g/Lの四塩化チタン水溶液10Lを室温に保持しながら、濃度が200g/Lの水酸化ナトリウム水溶液を徐々に添加し、ついでpHを7.0に調整してコロイド状の非晶質水酸化チタンを析出させた。
これを温度65℃として4時間熟成して微粒子二酸化チタンゾルとした。ここに純水を加えて懸濁させた後、ろ過・洗浄し、塩酸でpH=1.4とし二酸化チタン濃度が200g/Lとなるような二酸化チタンゾル1(水性コロイド溶液1)とした。
マルバーン社製ゼータサイザーナノにより粒径測性を行ったところ、体積平均粒径は36nm、単分散度は16%であった。また、この二酸化チタンゾル液(水性コロイド溶液)を105℃で3時間乾燥させて粒子粉体を得て、日本電子データム社製JDX−3530型を用いてX線回折の測定を行ったところ、酸化チタン粒子の晶癖はルチル型であることを確認した。
(二酸化チタン粒子ゾル2(水性コロイド溶液2)(比較例)の作製)
二酸化チタンとしての濃度が100g/Lの、硫酸チタン水溶液を熱加水分解して得た二酸化チタン水和物を水に懸濁させた水性懸濁液10Lに濃度10モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液30Lを撹拌下で徐々に添加した、その後温度を90℃として5時間熟成した後、塩酸で中和し、ろ過、水洗した。得られた塩基処理二酸化チタンを40℃の純水に懸濁させた後、撹拌下でクエン酸を酸化チタンに対し0.4モル%加え昇温した。液温が95℃になったところで、濃塩酸を塩酸濃度が30g/Lになるよう加え、液温を維持しつつ3時間撹拌した。得られた二酸化チタンゾル液は二酸化チタン粒子が20質量%でpHは1.4であった。
マルバーン社製ゼータサイザーナノにより粒径測性を行ったところ、体積平均粒径は35nm、単分散度は16%であった。また、この二酸化チタンゾル液(水性コロイド溶液)を105℃で3時間乾燥させて粒子粉体を得て、日本電子データム社製JDX−3530型を用いてX線回折の測定を行ったところ、酸化チタン粒子の晶癖はルチル型であることを確認した。
(二酸化チタン粒子ゾル3(水性コロイド溶液3)(比較例)の作製)
前記二酸化チタン粒子ゾル2の作製において、クエン酸を二酸化チタンに対し0.4モル%加え昇温し3時間撹拌した後に、アルカリ処理により加水分解を施した平均分子量が2万であり、分子量10万以上のものを少なくとも0.5%以上含有しないゼラチンの10%水溶液を、ゼラチン量が二酸化チタンの10質量%となるように添加した以外は二酸化チタン粒子ゾル2と同様にして微粒子二酸化チタンゾル3(水性コロイド溶液3)を作製した。得られた二酸化チタンゾル液(水性コロイド溶液)は二酸化チタン粒子が20質量%でpHは1.4であった。
マルバーン社製ゼータサイザーナノにより粒径測性を行ったところ、体積平均粒径は21nm、単分散度は15%であった。また、この二酸化チタンゾル液を105℃で3時間乾燥させて粒子粉体を得て、日本電子データム社製JDX−3530型を用いてX線回折の測定を行ったところ、酸化チタン粒子の晶癖はルチル型であることを確認した。
(二酸化チタン粒子ゾル4(水性コロイド溶液4)(本発明)の作製)
前記二酸化チタン粒子ゾル1(水性コロイド溶液1)の作製において、pHを7.0に調整してコロイド状の非晶質水酸化チタンを析出させた後、40℃としてから、アルカリ処理により加水分解を施した平均分子量が2万であり、分子量10万以上の成分を少なくとも0.5%以上含有しないゼラチンの10%水溶液を、ゼラチン量が二酸化チタンに対し10質量%となるように添加してから温度を65℃として4時間熟成し、ろ過・洗浄後に再びアルカリ処理により加水分解を施した平均分子量が2万のゼラチンの10%水溶液を、ゼラチン量が二酸化チタンに対し10質量%となるように添加した以外は、二酸化チタン粒子ゾル1(水性コロイド溶液1)と同様にして二酸化チタンゾル4(水性コロイド溶液4)を作製した。
マルバーン社製ゼータサイザーナノにより粒径測性を行ったところ、体積平均粒径は25nm、単分散度は14%であった。また、この二酸化チタンゾル液(水性コロイド溶液)を105℃で3時間乾燥させて粒子粉体を得て、日本電子データム社製JDX−3530型を用いてX線回折の測定を行ったところ、酸化チタン粒子の晶癖はルチル型であることを確認した。
(二酸化チタン粒子ゾル5(水性コロイド溶液5)(本発明)の作製)
前記二酸化チタン粒子ゾル2(水性コロイド溶液2)の作製において、得られた塩基処理二酸化チタンを40℃の純水に懸濁させた後、アルカリ処理により加水分解を施した平均分子量が2万であり、分子量10万以上の成分を少なくとも0.5%以上含有しないゼラチンの10%水溶液を、ゼラチン量が二酸化チタンの10質量%となるように添加してからクエン酸を二酸化チタンに対し0.4モル%加え昇温した以外は、二酸化チタン粒子ゾル2と同様にして微粒子二酸化チタンゾル5(水性コロイド溶液5)を作製した。得られた二酸化チタンゾル液は二酸化チタン粒子が20質量%でpHは1.4であった。
マルバーン社製ゼータサイザーナノにより粒径測性を行ったところ、体積平均粒径は21nm、単分散度は14%であった。また、この二酸化チタンゾル液を105℃で3時間乾燥させて粒子粉体を得て、日本電子データム社製JDX−3530型を用いてX線回折の測定を行ったところ、酸化チタン粒子の晶癖はルチル型であることを確認した。
(二酸化チタン粒子ゾル6(水性コロイド溶液6)(本発明)の作製)
前記二酸化チタン粒子ゾル5(水性コロイド溶液5)の作製において、ゼラチン量が二酸化チタンの10質量%となることに代えてゼラチン量が二酸化チタンの20質量%となるように添加した以外は、二酸化チタン粒子ゾル5(水性コロイド溶液5)と同様にして微粒子二酸化チタンゾル6(水性コロイド溶液6)を作製した。
マルバーン社製ゼータサイザーナノにより粒径測性を行ったところ、体積平均粒径は20nm、単分散度は14%であった。また、この二酸化チタンゾル液を105℃で3時間乾燥させて粒子粉体を得て、日本電子データム社製JDX−3530型を用いてX線回折の測定を行ったところ、酸化チタン粒子の晶癖はルチル型であることを確認した。
(二酸化チタン粒子ゾル7(水性コロイド溶液7)(本発明)の作製)
前記二酸化チタン粒子ゾル5(水性コロイド溶液5)の作製において、アルカリ処理により加水分解を施した平均分子量が2万であり、分子量10万以上の成分を少なくとも0.5%以上含有しないゼラチンの10%水溶液を、ゼラチン量が二酸化チタンの10質量%となるように添加することに代えて、酸処理により加水分解を施した平均分子量が1万6000であり、分子量10万以上のものを少なくとも0.1%以上含有しないゼラチンの10%水溶液を、ゼラチン量が二酸化チタンの10質量%となるように添加した以外は、二酸化チタン粒子ゾル6(水性コロイド溶液6)と同様にして微粒子二酸化チタンゾル7(水性コロイド溶液7)を作製した。
マルバーン社製ゼータサイザーナノにより粒径測性を行ったところ、体積平均粒径は21nm、単分散度は15%であった。また、この二酸化チタンゾル液(水性コロイド溶液)を105℃で3時間乾燥させて粒子粉体を得て、日本電子データム社製JDX−3530型を用いてX線回折の測定を行ったところ、酸化チタン粒子の晶癖はルチル型であることを確認した。
(二酸化チタン粒子ゾル8(水性コロイド溶液8)(本発明)の作製)
前記二酸化チタン粒子ゾル6(水性コロイド溶液6)の作製において、アルカリ処理により加水分解を施した平均分子量が2万であり、分子量10万以上の成分を少なくとも0.5%以上含有しないゼラチンの10%水溶液を、ゼラチン量が二酸化チタンの20質量%となるように添加することに代えて、分子量6000コラーゲン(富沢商店製)の10%水溶液を、コラーゲンの量が二酸化チタンの20質量%となるように添加した以外は、二酸化チタン粒子ゾル6(水性コロイド溶液6)と同様にして微粒子二酸化チタンゾル8(水性コロイド溶液8)を作製した。
マルバーン社製ゼータサイザーナノにより粒径測性を行ったところ、体積平均粒径は21nm、単分散度は15%であった。また、この二酸化チタンゾル液(水性コロイド溶液)を105℃で3時間乾燥させて粒子粉体を得て、日本電子データム社製JDX−3530型を用いてX線回折の測定を行ったところ、酸化チタン粒子の晶癖はルチル型であることを確認した。
(二酸化チタン粒子ゾル9(水性コロイド溶液9)(本発明)の作製)
前記二酸化チタン粒子ゾル5(水性コロイド溶液5)の作製において、アルカリ処理により加水分解を施した平均分子量が2万のゼラチンに代えて、平均分子量が4万であり、分子量10万以上の成分を少なくとも0.5%以上含有しない酸処理ゼラチンの10%水溶液を、ゼラチン量が二酸化チタンの10質量%となるように添加した以外は、二酸化チタン粒子ゾル5(水性コロイド溶液5)と同様にして微粒子二酸化チタンゾル9を作製した。
マルバーン社製ゼータサイザーナノにより粒径測性を行ったところ、体積平均粒径は20nm、単分散度は15%であった。また、この二酸化チタンゾル液(水性コロイド溶液)を105℃で3時間乾燥させて粒子粉体を得て、日本電子データム社製JDX−3530型を用いてX線回折の測定を行ったところ、酸化チタン粒子の晶癖はルチル型であることを確認した。
(二酸化チタン粒子ゾル10(水性コロイド溶液10)(本発明)の作製)
前記二酸化チタン粒子ゾル9の作製において、平均分子量が4万の酸処理ゼラチンに代えて平均分子量が7万であり、分子量10万以上のものを少なくとも0.5%以上含有しない酸処理ゼラチンをゼラチン量が二酸化チタンの10質量%となるように添加した以外は、二酸化チタン粒子ゾル9(水性コロイド溶液9)と同様にして微粒子二酸化チタンゾル10(水性コロイド溶液10)を作製した。
マルバーン社製ゼータサイザーナノにより粒径測性を行ったところ、体積平均粒径は20nm、単分散度は15%であった。また、この二酸化チタンゾル液(水性コロイド溶液)を105℃で3時間乾燥させて粒子粉体を得て、日本電子データム社製JDX−3530型を用いてX線回折の測定を行ったところ、酸化チタン粒子の晶癖はルチル型であることを確認した。
(二酸化チタン粒子ゾル11(水性コロイド溶液11)(比較例)の作製)
前記二酸化チタン粒子ゾル10(水性コロイド溶液10)の作製において、平均分子量が7万の酸処理ゼラチンに代えて平均分子量が8万で分子量10万以上の成分を少なくとも0.5%以上含有しない酸処理ゼラチンをゼラチン量が二酸化チタンの10質量%となるように添加した以外は、二酸化チタン粒子ゾル10(水性コロイド溶液10)と同様にして微粒子二酸化チタンゾル11(水性コロイド溶液11)を作製した。
マルバーン社製ゼータサイザーナノにより粒径測性を行ったところ、体積平均粒径は24nm、単分散度は17%であった。また、この二酸化チタンゾル液(水性コロイド溶液)を105℃で3時間乾燥させて粒子粉体を得て、日本電子データム社製JDX−3530型を用いてX線回折の測定を行ったところ、酸化チタン粒子の晶癖はルチル型であることを確認した。
(二酸化チタン粒子ゾル12(水性コロイド溶液12)(本発明)の作製)
前記二酸化チタン粒子ゾル6(水性コロイド溶液6)の作製において、クエン酸を二酸化チタンに対し0.2モル%加え昇温した以外は、二酸化チタン粒子ゾル6(水性コロイド溶液6)と同様にして微粒子二酸化チタンゾル12(水性コロイド溶液12)を作製した。得られた二酸化チタンゾル液(水性コロイド溶液)は二酸化チタン粒子が20質量%でpHは1.4であった。
マルバーン社製ゼータサイザーナノにより粒径測性を行ったところ、体積平均粒径は35nm、単分散度は19%であった。また、この二酸化チタンゾル液(水性コロイド溶液)を105℃で3時間乾燥させて粒子粉体を得て、日本電子データム社製JDX−3530型を用いてX線回折の測定を行ったところ、酸化チタン粒子の晶癖はルチル型であることを確認した。
《水性コロイド溶液(二酸化チタン粒子ゾル)試料の評価》
上記作製した各水性コロイド溶液(二酸化チタン粒子ゾル)について、下記に示す分散性の目安となる透明性(ヘイズ)と経時安定性(保存性)を次の方法によって評価した。
透明性:ゾル(コロイド溶液)を固形分濃度0.5%に希釈し、光路長10cmの石英製セルに入れ、ヘーズメーター(日本電色工業株式会社製NHD−2000)でヘーズ値を測定した。値が小さいほど透明性が高く、分散性が良いと言える。
保存性:ゾル(コロイド溶液)を1ヶ月間25℃の恒温層に保管した時の状態の変化を目視で評価した。
○:変化なし
△:増粘
×:ゲル化または相分離
結果を表1に示す。
Figure 2012168357
表1から、本発明に係る特定の分子量を有するゼラチンを含有する二酸化チタンの水性コロイド溶液は、分散性、保存性に優れることが分かる。
(塗布液の調製)
(高屈折率層塗布液1の調製)
下記の添加物1)〜5)を、まず1)実施例1で作製した二酸化チタン粒子ゾル1(水性コロイド溶液1)を攪拌しながら50℃まで昇温した後、2)低分子ゼラチンを添加して30分間攪拌した。次いで、3)高分子ゼラチンと4)純水を添加し、90分間攪拌した後、5)界面活性剤を添加、混合し、高屈折率層塗布液1を調製した。
1)20質量%二酸化チタン粒子ゾル1(水性コロイド溶液1)(ルチル型酸化チタン粒子) 60g
2)5.0質量%低分子量ゼラチン(GelL1)水溶液 125g
3)5.0質量%高分子量ゼラチン(GelH1)水溶液 100g
4)純水 150g
5)5.0質量%界面活性剤水溶液(コータミン24P、4級アンモニウム塩系カチオン性界面活性剤、花王社製) 0.45g
ここで、GelL1はアルカリ処理により加水分解を施した平均分子量が2万の低分子量ゼラチンであり、GelH1は平均分子量が13万の酸処理ゼラチン(高分子量ゼラチン)を表す。
(高屈折率層塗布液2の調製)
上記高屈折率層塗布1の調製において、二酸化チタン粒子ゾル1(水性コロイド溶液1)の代わりに二酸化チタン粒子ゾル2(水性コロイド溶液2)を用いた以外は同様にして高屈折率層塗布液2を調製した。
(高屈折率層塗布液3の調製)
上記高屈折率層塗布2の調製において、二酸化チタン粒子ゾル1(水性コロイド溶液1)の代わりに二酸化チタン粒子ゾル3(水性コロイド溶液3)を用い、5.0質量%低分子量ゼラチン(GelL1)水溶液の添加量を101gとした以外は同様にして高屈折率層塗布液3を調製した。
(高屈折率層層塗布液4の調製)
上記高屈折率層塗布3の調製において、二酸化チタン粒子ゾル3(水性コロイド溶液3)の代わりに二酸化チタン粒子ゾル4(水性コロイド溶液4)を用いた以外は同様にして高屈折率層塗布液4を調製した。
(高屈折率層塗布液5の調製)
上記高屈折率層塗布4の調製において、二酸化チタン粒子ゾル4(水性コロイド溶液4)の代わりに二酸化チタン粒子ゾル5(水性コロイド溶液5)を用いた以外は同様にして高屈折率層塗布液5を調製した。
(高屈折率層塗布液6の調製)
上記高屈折率層塗布5の調製において、二酸化チタン粒子ゾル5(水性コロイド溶液5)の代わりに二酸化チタン粒子ゾル6を用い、5.0質量%低分子量ゼラチン(GelL1)水溶液の添加量を77gとした以外は同様にして高屈折率層塗布液6を調製した。
(高屈折率層塗布液7の調製)
上記高屈折率層塗布液5の調製において、ヒドロキシエチルセルロースを1.2g添加した以外は同様にして高屈折率層塗布液7を調製した。
(高屈折率層塗布液8の調製)
上記高屈折率層塗布液7の調製において、ヒドロキシエチルセルロースに代えて、同量のローカストビーンガムを用いた以外は同様にして高屈折率層塗布液8を調製した。
(高屈折率層塗布液9の調製)
上記高屈折率層塗布液8の調製において、ローカストビーンガムに代えて、同量のポリビニルアルコール(PVA248、クラレ社製)を用いた以外は同様にして高屈折率層塗布液9を調製した。
(高屈折率層塗布液10の調製)
上記高屈折率層塗布液2の調製において、低分子量ゼラチン(GelL1)に代えて、酸処理により加水分解を施した平均分子量が1.6万の低分子量ゼラチン(GelL2)に変更した以外は同様にして高屈折率層塗布液10を調製した。
(高屈折率層塗布液11の調製)
上記高屈折率層用の塗布10の調製において、二酸化チタン粒子ゾル2(水性コロイド溶液2)の代わりに二酸化チタン粒子ゾル7(水性コロイド溶液7)を用いた以外は同様にして高屈折率層塗布液11を調製した。
(高屈折率層塗布液12の調製)
上記高屈折率層塗布液10の調製において、低分子量ゼラチン(GelL1)に代えて、平均分子量が6千のコラーゲンペプチド(GelL3)に変更した以外は同様にして高屈折率層塗布液12を調製した。
(高屈折率層塗布液13の調製)
上記高屈折率層塗布12の調製において、二酸化チタン粒子ゾル2(水性コロイド溶液2)の代わりに二酸化チタン粒子ゾル8(水性コロイド溶液8)を用いた以外は同様にして高屈折率層塗布液12を調製した。
(高屈折率層塗布液14の調製)
上記高屈折率層塗布液13の調製において、タマリンドシードガムを1.2g添加した以外は同様にして高屈折率層塗布液14を調製した。
(高屈折率層塗布液15の調製)
上記高屈折率層塗布5の調製において、二酸化チタン粒子ゾル5(水性コロイド溶液5)の代わりに二酸化チタン粒子ゾル9(水性コロイド溶液9)を用いた以外は同様にして高屈折率層塗布液14を調製した。
(高屈折率層塗布液16の調製)
上記高屈折率層塗布15の調製において、二酸化チタン粒子ゾル9(水性コロイド溶液9)の代わりに二酸化チタン粒子ゾル10(水性コロイド溶液10)を用いた以外は同様にして高屈折率層塗布液16を調製した。
(高屈折率層塗布液17の調製)
上記高屈折率層塗布液16の調製において、ヒドロキシエチルセルロースを1.2g添加した以外は同様にして高屈折率層塗布液17を調製した。
(高屈折率層塗布液18の調製)
上記高屈折率層塗布15の調製において、二酸化チタン粒子ゾル9(水性コロイド溶液9)の代わりに二酸化チタン粒子ゾル11(水性コロイド溶液11)を用いた以外は同様にして高屈折率層塗布液18を調製した。
(高屈折率層用の塗布液19の調製)
上記高屈折率層塗布液18の調製において、二酸化チタン粒子ゾル11(水性コロイド溶液11)の代わりに二酸化チタン粒子ゾル12(水性コロイド溶液12)を用いた以外は同様にして高屈折率層塗布液19を調製した。
(低屈折率層用の塗布液1の調製)
下記の添加物1)〜5)を、はじめに1)コロイダルシリカを攪拌しながら40℃まで昇温した後、2)低分子ゼラチンを添加して10分間攪拌した。次いで、3)高分子ゼラチンと4)純水を添加し、10分間攪拌した後、さらに5)ヒドロキシエチルセルロースを添加し5分間撹拌した後、6)界面活性剤を添加、混合し、低屈折率層塗布液1を調製した。
1)20質量%コロイダルシリカ 68g
2)5.0質量%低分子量ゼラチン(GelL1)水溶液 180g
3)5.0質量%高分子量ゼラチン(GelH1)水溶液 100g
4)純水 240g
5)ヒドロキシエチルセルロース 1.55g
6)5.0質量%界面活性剤水溶液(コータミン24P、4級アンモニウム塩系カチオン性界面活性剤、花王社製) 0.64g
ここで、GelL1はアルカリ処理により加水分解を施した平均分子量が2万の低分子量ゼラチンであり、GelH1は平均分子量が13万の酸処理ゼラチン(高分子量ゼラチン)を表す。
《赤外線反射フィルムの作製》
(赤外線反射フィルム1の作製)
16層重層塗布可能なスライドホッパー塗布装置を用い、前記の低屈折率層塗布液1及び高屈折率層用塗布液1を45℃に保温しながら、45℃に加温した厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡製A4300:両面易接着層)上に、それぞれ交互に8層ずつ、乾燥時の膜厚が低屈折率層は各層175nm、高屈折率層は各層130nmになるように計16層を毎秒100mの速度で同時重層塗布を行った。塗布直後、5℃の冷風を吹き付けてセットさせた。このとき、表面を指でふれても指に何もつかなくなるまでの時間(セット時間)は5分だった。セット完了後、80℃の温風を吹き付けて乾燥させて、赤外線反射フィルム1を作製した。
(赤外線反射フィルム2〜19の作製)
試料2〜19は各々高屈折率層塗布液1を高屈折率層塗布液2〜19に変更した以外は、低屈折率層塗布液1はそのままで、赤外線フィルム1と同様にして作製した。
以上の試料作製の内容をまとめて表2、表3に示す。なお、略称で記載した水溶性高分子の詳細は、以下の通りである。
HEC:ヒドロキシエチルセルロース
多糖類1:ローカストビーンガム
多糖類2:タマリンドシードガム
PVA245:ポリビニルアルコール(ケン化度88%、平均重合度4500)
Figure 2012168357
Figure 2012168357
《赤外線反射フィルムの評価》
上記作製した各赤外線反射フィルムについて、下記の特性値の測定と性能評価を行った。
(各層の屈折率の測定)
基材上に屈折率を測定する対象層(高屈折率層、低屈折率層)をそれぞれ単層で塗設したサンプルを作製し、下記の方法に従って各高屈折率層及び低屈折率層の屈折率を求めた。
分光光度計として、U−4000型(日立製作所社製)を用いて、各サンプルの測定側の裏面を粗面化処理した後、黒色のスプレーで光吸収処理を行って裏面での光の反射を防止して、5度正反射の条件にて可視光領域(400nm〜700nm)の反射率の測定結果より、屈折率を求めた。
(可視光透過率及び赤外線透過率の測定)
上記分光光度計(積分球使用、日立製作所社製、U−4000型)を用い、各赤外線反射フィルムの300nm〜2000nmの領域における透過率を測定した。可視光透過率は550nmにおける透過率の値を用い、これを可視光透過性の指標とした。
赤外線透過率は1200nmにおける透過率の値を測定し、この値を赤外線反射性の指標として評価した。透過率が低いほど反射性が高い。
(光学特性ばらつきの測定)
上記分光光度計(積分球使用、日立製作所製、U−4000型)による測定を、各点が1mm離れた20の点について行い、得られた値の変動係数(標準偏差/平均値)を算出した。変動係数が大きいほど位置による性能のばらつきが大きいことを示しており、5.0%を超える場合は製品品質として問題がある領域とした。
以上により得られた測定結果、評価結果を、表4に示す。
Figure 2012168357
表4に記載の結果より、本発明の水性コロイド溶液を用いた本発明の製造方法は、生産性に優れる塗布による方法が可能であり、本発明の製造方法により作製された赤外線反射フィルムは、可視光透過率を低下させることなく、赤外線透過率を低下させることが可能であり、かつ光学特性のばらつきも少なくその均一性に優れることが分かる。

Claims (10)

  1. 金属酸化物の粒子を分散含有する水性コロイド溶液であって、該金属酸化物の粒子が、コラーゲンペプチドまたは、平均分子量が7万以下のゼラチンであり、分子量10万以上のゼラチンを含まないか分子量10万以上のゼラチンを1.0質量%以下含有する低分子量ゼラチンの存在下に形成された金属酸化物の粒子であることを特徴とする水性コロイド溶液。
  2. 前記水性コロイド溶液が、コラーゲンペプチドまたは、平均分子量が7万以下のゼラチンであり、分子量10万以上のゼラチンを含まないか分子量10万以上のゼラチンを1.0質量%以下含有する低分子量ゼラチンを含有することを特徴とする請求項1に記載の水性コロイド溶液。
  3. 前記金属酸化物が、ルチル型二酸化チタンであることを特徴とする請求項1または2に記載の水性コロイド溶液。
  4. 請求項1または2に記載の水性コロイド溶液を製造する、水性コロイド溶液の製造方法であって、前記金属酸化物を、コラーゲンペプチドまたは、平均分子量が7万以下のゼラチンであり、分子量10万以上のゼラチンを含まないか分子量10万以上のゼラチンを1.0質量%以下含有する低分子量ゼラチンの存在下に形成する工程を有することを特徴とする水性コロイド溶液の製造方法。
  5. 基材上に、低屈折率層と、該低屈折率層に隣接し該低屈折率層より屈折率が0.1以上高い高屈折率層とを有するユニットを有する赤外線反射フィルムを製造する赤外線反射フィルムの製造方法であって、請求項1から3のいずれか1項に記載の水性コロイド溶液を用い、高屈折率層用の塗布液Bを調製する塗布液調製工程、該塗布液Bを塗布して高屈折率層を基材上に形成する高屈折率層形成工程を有することを特徴とする赤外線反射フィルムの製造方法。
  6. 前記塗布液Bが、水溶性高分子化合物を含有する塗布液であり、該水溶性高分子化合物が、ゼラチン、セルロース類、増粘多糖類または反応性官能基を有するポリマーであることを特徴とする請求項5に記載の赤外線反射フィルムの製造方法。
  7. 前記塗布液調製工程が、前記水性コロイド溶液と、前記水溶性高分子化合物を含有する水溶液とを混合する工程であることを特徴とする請求項6に記載の赤外線反射フィルムの製造方法。
  8. 請求項5から7のいずれか1項に記載の赤外線反射フィルムの製造方法により製造されたことを特徴とする赤外線反射フィルム。
  9. 前記高屈折率層に含有される金属酸化物の粒子の体積平均粒径が、50nm以下であることを特徴とする請求項8に記載の赤外線反射フィルム。
  10. 請求項8または9に記載の赤外線反射フィルムを具備することを特徴とする赤外線反射体。
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