JP2010117903A - 透明タッチパネル入力側透明樹脂基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 加飾印刷を施したタッチパネル入力面上に、保護フィルムを貼り合わせても気泡を抱き込むことを抑制する。
【解決手段】 透明タッチパネル入力側透明樹脂基板の製造方法は、(a)周辺部に加飾印刷を施した入力面を有する、透明タッチパネルの入力側透明樹脂基材を準備する工程と、(b)前記入力側透明樹脂基材の入力面とボールタック7〜24の接着層を塗布した透明保護膜の前記接着層とを対向させ、ローラー間に通し、加熱、加圧下で貼り合わせると共に気泡を追い出す工程とを含む。
【選択図】 図1
【解決手段】 透明タッチパネル入力側透明樹脂基板の製造方法は、(a)周辺部に加飾印刷を施した入力面を有する、透明タッチパネルの入力側透明樹脂基材を準備する工程と、(b)前記入力側透明樹脂基材の入力面とボールタック7〜24の接着層を塗布した透明保護膜の前記接着層とを対向させ、ローラー間に通し、加熱、加圧下で貼り合わせると共に気泡を追い出す工程とを含む。
【選択図】 図1
Description
本発明は、透明タッチパネル入力側透明樹脂基板の製造方法に関する。
表示装置の表示面上に透明タッチパネルを配置した構成が知られている。近年、表示装置の表面に配置していた縁部材(額縁)を省略し、表示領域を広く取る構成が開発されている。また、タッチパネル入力面の保護のために、入力面上に保護膜を貼り合わせる構成が提案されている(例えば、特許文献1〜5参照)。
額縁領域のない表示装置においても、表示領域の周囲には機械的構造部を含む不表示領域がある。タッチパネルには不表示領域に対応した非入力領域がある。表示装置上に積層配置したタッチパネル周辺部に加飾印刷を施し、不表示領域、非入力領域の外観を調整することが行なわれている。
加飾印刷は、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷等によって行なわれ、印刷層数などの差により、その厚さは3〜15μmになる。なお、加飾印刷とは、タッチパネルの画面の周囲に施される窓枠印刷や抜き文字等である。
加飾印刷を保護するために、一面あるいは両面にハードコート皮膜が設けられた透明可撓性フィルムの一面に粘着材を設けた粘着保護フィルムを貼り合わせる。
加飾印刷を施したタッチパネル入力面上に接着層を介して保護膜を張り合わせようとすると、加飾印刷部の凹凸に起因して気泡が抱き込まれる現象が生じる。表示装置の表示領域内に目視できる気泡が抱き込まれると、表示装置としての品質を大きく低下させてしまう。
加飾印刷部分を含む加飾印刷面に保護フィルムを密着させるには、一般に経時安定性の良い粘着剤を使用する。粘着剤としての接着層としては気泡抱き込みを低減しうる凝集力の低いアクリル樹脂系粘着剤が使用される。この凝集力の数値としては、J.Dow法のボールタック値が7〜24であることが実験的に確かめられている。このような接着剤によって接着された積層品は、後に、トムソン抜きなどの打ち抜き加工により所定の形状の構造部材に仕上げられるが、接着層の凝集力が低いために打ち抜き加工時に接着剤が部材端部からはみ出し、はみ出した接着剤が型刃に付着して切れ味を低下させ、型抜き加工の精度および製品の外観を低下させることがある。
加飾印刷部分を含む加飾印刷面に保護フィルムを密着させるには、一般に経時安定性の良い粘着剤を使用する。粘着剤としての接着層としては気泡抱き込みを低減しうる凝集力の低いアクリル樹脂系粘着剤が使用される。この凝集力の数値としては、J.Dow法のボールタック値が7〜24であることが実験的に確かめられている。このような接着剤によって接着された積層品は、後に、トムソン抜きなどの打ち抜き加工により所定の形状の構造部材に仕上げられるが、接着層の凝集力が低いために打ち抜き加工時に接着剤が部材端部からはみ出し、はみ出した接着剤が型刃に付着して切れ味を低下させ、型抜き加工の精度および製品の外観を低下させることがある。
型刃に付着した接着剤は洗浄することにより除去可能であるが、洗浄のために型刃を着脱させることは作業性を著しく低下させる。また、レーザーカットによる加工方法では粘着剤はみ出しの問題を解決可能であるがコストが上昇する。
また、保護フィルムの表面は、通常、ハードコート処理がなされている。このハードコートは、シリコーン系、或いは、アクリル系の透明樹脂膜で、紫外線硬化、或いは加熱硬化により、鉛筆硬度(JIS K 5600)3H以上の硬度を有しているが、当該保護フィルムの粘着剤の凝集力が低く、加圧による応力に対して、容易に粘着剤が変形する場合には、元来保持している鉛筆硬度(粘着剤を設けないフィルム単体の硬度)より1.0〜1.5ほど鉛筆硬度が低くなることが確かめられている。
この原因として考えられる事は、保護フィルムの粘着剤の凝集力が低いと、加圧面積の小さい、言い換えれば鋭い鉛筆芯により擦過される時、保護フィルムの押点が容易に凹形に変形し、硬度を損なうと見られる。根拠とされる事象として、同じ粘着剤で、保護フィルムがPETフィルム、125μm(t)であると硬度低下が見られ、188μm(t)の厚いものであると硬度低下が無いことがあげられる。
さらに、このような製造過程を経た良品の構造部材もリード電極線コネクタ装着のための加熱加圧に際して接着層から、目視で感知されない潜在的に内包する微少な気泡が加熱・加圧で増長し、感知し得る大きな気泡が生じるという問題あり製品歩留りを著しく低下させている。
本発明の1つの目的は、加飾印刷を施したタッチパネル入力面上に、保護フィルムを貼り合わせても気泡を抱き込むことを抑制できる透明タッチパネル入力側透明樹脂基板の製造方法を提供することである。
本発明の他の目的は、加飾印刷を施したタッチパネル入力面上に、保護フィルムを貼り合わせても気泡を抱き込むことを抑制でき、かつその後の加工工程を容易にする透明タッチパネル入力側透明樹脂基板の製造方法を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、加飾印刷を施したタッチパネル入力面上に、保護フィルムを貼り合わせても、保護フィルム表面のハードコート硬度を低下させることの無い透明タッチパネル入力側透明樹脂基板の製造方法を提供することである。
本発明の一観点によれば、透明タッチパネル入力側透明樹脂基板の製造方法は、(a)周辺部に加飾印刷を施した入力面を有する、透明タッチパネルの入力側透明樹脂基材を準備する工程と、(b)前記入力側透明樹脂基材の入力面とボールタック7〜24の接着層を塗布した透明保護膜の前記接着層とを対向させ、ローラー間に通し、加熱、加圧下で貼り合わせると共に気泡を追い出す工程とを含む。
本発明によれば、加飾印刷を施したタッチパネル入力面上に、保護フィルムを貼り合わせても気泡を抱き込むことを抑制できる。
また、本発明によれば、加飾印刷を施したタッチパネル入力面上に、保護フィルムを貼り合わせても気泡を抱き込むことを抑制でき、かつその後の加工工程を容易にすることができる。
さらに、本発明によれば、加飾印刷を施したタッチパネル入力面上に、保護フィルムを貼り合わせても、保護フィルム表面のハードコート硬度を低下させないことができる。
図1は、本発明の実施例による紫外線硬化型接着剤からなる接着層1を有する紫外線硬化型保護シート50の積層構造を表す概略断面図である。
紫外線硬化型保護シート50は、PET(ポリエチレンテレフタレート)保護フィルム2の両側の主面にシリコーンアクリレート系ハードコート3を施し、一方の主面に施されたシリコーンアクリレート系ハードコート3上に、乾燥後10μm〜80μm(好ましくは、15〜60μm)の厚さになるように、紫外線硬化型接着剤からなる接着層1を塗工して形成する。また、図に示すように、接着層1表面に剥離フィルム4を貼り合わせる。
接着層1のシリコーンアクリレート系ハードコート3が施された保護フィルム2上への塗工方法は、例えば、市販のシリコーンセパレーター(PET38μm)にコンマコーターにて均一な塗膜を設け、120℃×2分間で乾燥し、シリコーンアクリレート系ハードコート3が施された保護フィルム2と貼り合わせることにより行う。なお、接着層1の塗工は、コンマコーターに限らず、リバースコーターを用いてもよい。また、シルクスクリーン印刷法により、ハードコート3上もしくは加飾印刷面7Aに直接設けるようにしてもよい。
紫外線硬化型接着剤(接着層)1の厚さは10〜80μmとする。厚さが10μm以下であると、ITO加飾面(図2に示す加飾印刷面7A)と接着層1間に空気泡が入り易く、又、80μm以上であると、透明タッチパネル入力側透明樹脂基板9A全体の硬さが増し、入力に必要な圧力(ペン入力、或いは指先入力)が高くなり、入力し難くなる。したがって、接着層1の厚さは、望ましくは、15〜60μm(t)である。
紫外線硬化型接着剤は、接着剤に紫外線硬化型オリゴマーを乾燥時重量部20以上、及び紫外線硬化型オリゴマーを重合させるために必要な光重合開始剤を適当量含有させることにより用意する。
紫外線硬化型オリゴマーとは、分子骨格中に複数の(メタ)アクリレート不飽和基を有する紫外線硬化型オリゴマーであればよい。例えば、市販品として豊富な種類のポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ポリウレタンアクリレート系などの紫外線硬化型オリゴマーの中から選択する。
なお、一般的な加飾印刷面は、表面自由エネルギー35〜45erg/cm2の極性表面となっているため、紫外線照射を施すことにより当該接着剤を効果的に接着させると同時に接着剤自身の凝集力を増加させるために、1種類又は複数種類の紫外線硬化型オリゴマーを組み合わせて使用する事ができる。
本明細書において「凝集力」とは、濡れ性(タック)と柔軟性を併せ持つ特性を示し、説明の便宜上、ボールタック(JIS Z 0237)の値で表すこととする。これを前提として、本明細書では、ボールタックの値が7〜24の場合を「凝集力が低い」と表現し、ボールタックの値が2以下の場合を「凝集力が高い」と表現する。
また、紫外線硬化型オリゴマーは乾燥時重量部20未満では、紫外線照射による接着剤の凝集力増加が不十分であり、光重合開始剤適当量を含有させる必要があるため、望ましい乾燥時重量部は50〜90である。
光重合開始剤としては、カルボニル化合物に代表される波長450nm程度よりも短波長側の紫外線を吸収することにより自身が励起され、ついで開裂反応、電子移動、あるいは周辺の分子からの水素引き抜き反応を引き起こしてラジカルを生成するものであればよい。例えば、市販品としてベンゾフェノン系、アセトフェノン系、ベンゾイン系、ベンゾインエーテル系あるいはベンジルジメチルケタール系などの豊富な製品の中から選択する。後述する図3に示す材料1〜4では、可視光域にて無色であり光重合開始剤としての反応効率がよいという観点から、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製のイルガキュア651(ベンジルジメチルケタール)を主に使用した。接着剤中の適当な光重合開始剤の含有量は、乾燥時重量部にして10以下が望ましく、紫外線硬化型オリゴマーの光重合(硬化)反応効率の観点から1〜5重量部とすることが好ましい。
また、接着剤の初期凝集力及び初期接着力を調整するために、アクリル系粘着剤あるいはウレタン系粘着剤の中から当該紫外線硬化型オリゴマーと相溶性のよい粘着剤を乾燥時重量部0〜75、ベースレジンとして使用する事ができる。アクリル系粘着剤の乾燥時重量部が75を超えると、紫外線硬化型オリゴマーが乾燥時重量部20未満となるため、紫外線照射後の凝集力不足が生じる。よって、さらに好ましいアクリル系粘着剤の乾燥時重量部は0〜45である。
以上の配合材料にてなる紫外線硬化型接着剤は、紫外線硬化型オリゴマーを含まないアクリル系粘着剤と比較すると、保管時及び初期貼り合わせ時には、紫外線光源及び太陽光などの紫外線を含む光線から遮蔽する必要性が新たに生ずるが、後述する顕著な効果を有する。
この紫外線硬化型接着剤の配合材料は、液体又は固体の単体として、あるいはハンドリング性などを加味して、MEK(メチルエチルケトン)、トルエン、酢酸エチルなどの有機溶媒に溶解された溶液の形で入手可能である。これらの配合材料の混合溶液を粘度2000〜4000Pa・sの液体となるように、上記MEK、トルエン、酢酸エチルなどの有機溶媒のうちの1つあるいは複数の組み合わせで調整する。なお、有機溶媒は、接着層1の塗工時の乾燥工程により蒸発させる。
なお、紫外線硬化型保護シート50は、PET(ポリエチレンテレフタレート)保護フィルム2の片側の主面にシリコーンアクリレート系ハードコート3を施し、他方の主面に接着層1のみを設けるようにしてもよい。また、接着層1は、後述するITO付きフィルム100の加飾印刷面7Aに直接塗工してもよい。
図2は、本発明の実施例による紫外線硬化型保護シート50を貼り合わせた透明タッチパネル入力側透明樹脂基板9Aの構成を表す概略断面図である。
以下、図2を参照して抵抗膜方式タッチパネルの入力側透明樹脂基板9Aの製造工程を説明する。
まず、上部電極付き可撓性透明絶縁フィルム5Aを用意し、当該可撓性透明絶縁フィルム5Aの一方の主面に、ITOなどの透明導電膜8Aを周知の方法により形成する。その後、周知の方法で、透明導電膜8Aの表面端部にバスバー及び引き回し回路11Aを形成し、当該形成したバスバー及び引き回し回路11Aを覆うように絶縁レジスト層12Aを透明導電膜8Aの一部に形成し、絶縁レジスト層12Aの表面に接着層13Aを形成する。接着層13Aの表面には、剥離フィルムを貼り合わせ、後述する下部基板10Aとの貼り合わせ時に当該剥離フィルムを剥離する。
なお、バスバーは、抵抗膜方式タッチパネル上のポイントした位置の上下左右の位置情報を検出するための電極であり、本実施例では、銀ペーストの印刷により、上下一対及び左右一対を形成する。
なお、バスバーは、抵抗膜方式タッチパネル上のポイントした位置の上下左右の位置情報を検出するための電極であり、本実施例では、銀ペーストの印刷により、上下一対及び左右一対を形成する。
次に、抵抗膜方式タッチパネルの可撓性透明絶縁フィルム5Aの表面(加飾印刷面7A)に加飾印刷6Aを施す。加飾印刷6Aは、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷等によって行なわれ、印刷層数などの差により、その厚さは3〜15μmになる。なお、加飾印刷6Aは、タッチパネルの画面の周囲に施される窓枠印刷や抜き文字等である。
以上により、表面に加飾印6Aが施されたITO付きフィルム100が形成される。
次に、ITO付きフィルム100に紫外線硬化型保護シート50を貼り合わせて、紫外線硬化型接着によるITO付きフィルム・保護フィルム貼合積層フィルム(透明タッチパネル入力側透明樹脂基板)9Aを作成する。
紫外線硬化型保護シート50とITO付きフィルム100の加飾面7Aとの貼り合わせは、剥離フィルム4を紫外線硬化型保護シート50から剥離した後に、通常、硬度70〜80度の2本のシリコーンゴム間を通す貼合ローラーを用い、圧力4〜5MPa、温度40〜50℃で行われる。この条件により、加飾印刷6A部界面の凹凸部、及び、加飾印刷6Aに囲まれた非印刷凹部の気泡を消滅させ、加飾印刷6A部分を含む加飾印刷面7Aと紫外線硬化型保護シート50を空気泡がほぼ無い状態に密着させることができる。紫外線硬化型保護シート50の接着層1の凝集力が高い(ボールタックが5以下)と貼合時に内包された気泡は加熱・加圧処理しても消えない。
加飾印刷6Aが施されたITO付きフィルム100と紫外線硬化型保護シート50を空気泡が無い状態で貼合後、紫外線硬化型保護シート50側から300〜1000mJ/cm2の紫外線照射を行うことにより、接着層1は紫外線硬化反応により硬化され、紫外線硬化型保護シート50をITO付きフィルム100に強固に接着させることができる。紫外線光源には高圧水銀ランプやメタルハライドランプなど通常使用されている光源を用いることができる。
なお、入力側透明樹脂基板9Aは基材上に可能な範囲で多面付けされるので、紫外線硬化処理後、トムソン刃を巻き付けたダイカットロールを用いて、個別の入力側透明樹脂基板9Aに型抜きされる。
このようにして作られた入力側透明樹脂基板9Aは、保護フィルム表面ハードコートの鉛筆硬度の減少を抑えることができる。
また、型抜き作業においては接着剤の切断面からのはみだしおよび型刃への接着剤付着が抑制され、リード電極線のコネクタ装着時の加熱加圧にも耐え得ると考えられる。
最後に、作製した入力側透明樹脂基板9Aと予め用意した抵抗膜方式タッチパネルの下部基板10Aとを接着層13Aを介して貼り合わせることにより、抵抗膜方式タッチパネルを完成する。下部基板10Aは、ガラス又はプラスチックからなる下部電極基板16Aの一主面上に、ITOなどの透明導電膜15Aを、例えば、スパッタ法等を用いて形成し、当該透明導電膜15A上に誤動作防止用のドット状のスペーサ14Aをスクリーン印刷等により形成するとともに、透明導電膜15Aの表面端部にバスバー及び引き回し回路11Aを形成したものである。
図3は、本発明の実施例による紫外線硬化型接着剤の配合及び比較例による配合を示す表である。
本発明者は、図1に示す構造の紫外線硬化型保護シート50を図3に示す配合1〜4及び比較例による配合の接着剤を用いて実際に作製し、粘着力、接着力、ボールタック、鉛筆硬度等の測定及び気泡抱き込みの有無の観察を行った。図3に示す測定値において、粘着力測定値及び接着力測定値は、被着体に対するものであり、東洋精機製ストログラフVES50Dを用いて、90°ピール法により行った。また、ボールタックの測定は、JIS Z 0237に基づき、テスター産業製ボールタックテスターにより行った。鉛筆硬度の測定は、JIS K 5600−5−4に基づく。
両面にシリコーンアクリレート系ハードコート3が施されたPET(ポリエチレンフタレート)保護フィルム2の片面に、乾燥後、15μm及び30μmの厚さになるように、図3の表に示す材料1〜4からなる本発明の実施例からなる紫外線硬化型接着剤(接着層1)及び比較材料からなる接着剤を塗工して、4種の紫外線硬化型保護シート50及び紫外線硬化型オリゴマーを含まない接着剤を用いた保護シートを作製した。
保護フィルム2としては、株式会社キモト製のKBフィルム#188G1DSBを使用した。塗工方法は、上述の説明とは異なり、市販の剥離フィルム(シリコーン剥離剤が塗布されたPET38μm)4に、コンマコーターにて均一な接着剤の塗膜を設け、120℃で2分間乾燥し、保護フィルム2と貼り合わせる転写法にて行った。
4種の紫外線硬化型保護シート50及び紫外線硬化型オリゴマーを含まない接着剤を用いた保護シートと加飾印刷6Aが施された抵抗膜方式タッチパネル入力側透明樹脂基板の可撓性透明絶縁フィルム5Aの加飾印刷面7Aとを、50℃、5MPaの加熱加圧条件で貼合ローラーにて貼り合わせた。いずれの材料を用いたものにおいても、加飾印刷6Aの凹凸面及びその近傍には、気泡の抱きこみがみられず、加飾印刷6A部を含む加飾印刷面7Aと保護フィルム2との良好な密着状態が得られた。
続いて、高圧水銀ランプを用いて保護フィルム2側から350mJ/cm2の紫外線照射を施した。紫外線照射により硬化した材料1〜4を用いた接着層1は保護フィルム2又は可撓性透明絶縁フィルム5Aに対して15N/25mm以上の強力な接着力を発揮し、型抜き作業においては、接着剤の切断面からのはみ出し及び型刃への接着剤付着がほとんどない程度に改善され、リード電極線コネクタ装着時の加熱加圧にも耐えうる耐熱性を発揮した。
型抜きされた、材料1〜4からなる接着層1を用いた入力側透明樹脂基板9Aは、温度60℃、湿度95%の環境試験下において240時間曝されても、曇るなどの外観劣化、端部劣化および接着力低下がみられなかった。
材料1及び材料2は、いずれも、ウレタンアクリレート系紫外線硬化型オリゴマーを93重量部、ベンジルジメチルケタール光重合開始剤を3重量部、イソシアネート系硬化剤を4重量部配合したものであるが、接着剤の塗布厚さが異なり、材料1は乾燥時の接着層1の厚さが15μm、材料2は30μmとなるようにした。透明性は、いずれも良好であった。
材料1及び材料2では、複数の組み合わせで使用したウレタンアクリレート系紫外線硬化型オリゴマーのうちの1つが分子鎖中に水酸基(−OH)を持つため、イソシアネート系硬化剤により接着層1の初期凝集力を調整することができる。初期凝集力が過度に低い(例えば、ボールタック15程度以上)場合でも、加飾印刷6Aによる凹凸面あるいはその近傍での気泡抱き込みの解消に関しては、むしろ有効であるが、剥離フィルム4を使用した紫外線硬化型保護シート50の形態を経て使用する場合を想定すると、凝集力が過度に低いために剥離フィルム4を剥離しにくくなる可能性がある。そこで、初期凝集力をボールタックの値にして7〜15の間で調整することが好ましい。材料1及び材料2では、ボールタックの値にして8〜10の値に調整した。なお、紫外線硬化型接着剤による接着層1を保護フィルム2に直接塗布し、乾燥後、加飾印刷面7Aに貼り合わせる場合は、材料1及び材料2においては、イソシアネート系硬化剤が不要である。
材料3は、ウレタンアクリレート系紫外線硬化型オリゴマーを81重量部、ベンジルジメチルケタール光重合開始剤を3重量部、イソシアネート系硬化剤を1重量部、2液架橋型アクリル系粘着剤を15重両部配合したものであり、乾燥時の接着層1の厚さが30μmとなるようにした。透明性は、良好であった。
材料4は、ウレタンアクリレート系紫外線硬化型オリゴマーを54重量部、ベンジルジメチルケタール光重合開始剤を1重量部、イソシアネート系硬化剤を3重量部、2液架橋型アクリル系粘着剤を41重両部配合したものであり、乾燥時の接着層1の厚さが30μmとなるようにした。透明性は、やや濁りがみられた。
材料3及び材料4では、初期粘着力及び初期凝集力の調整を2液架橋型アクリル系粘着剤及びイソシアネート系硬化剤で行った。
比較材料は、加飾印刷6Aが施された加飾印刷面7Aと保護フィルム2との気泡抱き込みを回避すべく貼り合わせるために、低凝集力の感圧型アクリル樹脂系粘着剤を接着層として使用したものであり、2液架橋型アクリル系粘着剤を99重両部、イソシアネート系硬化剤を1重量部配合し、乾燥時の厚さが35μmとなるようにした。透明性は、良好であった。
貼り合わせ時は比較材料のボールタック値で12に対して材料1〜4はボールタック値で8〜10と同等程度の低い凝集力であるため、同等に気泡の抱きこみがみられず良好な密着が得られた。
また、本発明の実施例(材料1〜4)では、紫外線照射という追加工程を含むが、紫外線照射を施すことにより、接着層の接着力増加及び凝集力の著しい増加が起こった結果、型抜き作業においては接着剤の切断面からのはみ出し及び型刃への接着剤付着がほとんど見られない程度に改善され、リード電極線コネクタ装着時の加熱加圧にも耐えうる耐熱性を発揮した。なお、材料4は選択したアクリル系粘着剤とウレタンアクリレート系紫外線硬化型オリゴマーとの相溶性に改善すべき点が残されており、そのために接着層1は材料1〜3の場合と比較して透明性に問題があったが、型抜きなどの被加工性に関しては、比較材料に対して顕著な効果が見られた。
紫外線照射後のボールタック測定値は、材料1〜4ではいずれも2以下となった。ボールタックの値が5以下であると、型抜き作業あるいはリード電極線コネクタ装着時の被加工性が改善されることを考慮すると著しい効果があることがわかった。これは、紫外線硬化により紫外線硬化型オリゴマーが鎖状に高分子化することにより、硬化前の接着層1の流動性が失われた結果、凝集力が増加し、被加工性が向上したものと考えられる。
また、保護フィルム2の表面のハードコート3の硬度(以下、単に「ハードコート硬度」とする)は、単体では鉛筆硬度3H以上を持つが、比較材料を用いた場合、接着層のボールタック値12の低凝集力のため、加圧による応力に対して変形を起こし、ハードコート硬度が鉛筆硬度1H〜2Hに低減するという影響が現れた。一方、材料1〜4を用いた場合は、貼り合わせ時にボールタック値8〜10の低凝集力であった接着層1が、紫外線硬化によりボールタック値にして、2以下と凝集力が増加したため、ハードコート硬度は3Hを維持した。
さらに、材料1〜4では、程度の差はあるが紫外線照射により接着力が顕著に向上した。これは紫外線硬化型オリゴマーの光硬化反応が、基本的にラジカル重合反応によるものであり、反応部位周辺の構成分子の分子極性に大いに左右されるためと考えられる。すなわち、接着層1と加飾印刷面7Aの界面においては、一般的な加飾印刷面7Aが表面自由エネルギー35〜45の極性表面である点から、紫外線硬化反応を経て両者の親和性が増加したと推察される。
なお、材料1〜4の考察から、これらの材料には含まれていない、ポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系の紫外線硬化型オリゴマーも、ポリウレタンアクリレート系紫外線硬化型オリゴマーと同様なラジカル重合の連鎖反応であり、分子骨格に少なくない極性基を有するため、同様な効果を得られることが推察される。
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
例えば、上述の実施例では、紫外線硬化型接着剤からなる接着層1を有する紫外線硬化型保護シート50を抵抗膜方式タッチパネルの入力側透明樹脂基板に貼り付けることにより用いたが、図4に示すようなインナー型表面静電容量方式タッチパネルに用いることもできる。
この場合、予め用意したインナー型表面静電容量方式タッチパネルの基材5B表面に加飾印刷6Bを施し、その後、上述の実施例と同様に、紫外線硬化型接着剤からなる接着層1を有する紫外線硬化型保護シート50を同様の加熱加圧条件で貼合ローラーにて加飾印刷面7Bに貼り合わせ、紫外線照射を行い、型抜き加工を経て、予め用意したインナー型表面静電容量方式タッチパネルの下部構造9Bに貼り合わせる。
1…接着層、2…保護フィルム、3…ハードコート、4…剥離フィルム、5A…可撓性透明絶縁フィルム、5B…インナー型表面静電容量方式タッチパネルの上部基材、6A、6B…加飾印刷、7A、7B…加飾印刷面、8A…透明導電膜、9A…透明タッチパネル入力側透明樹脂基板、9B…インナー型表面静電容量方式タッチパネルの下部構造、10A…下部電極、11A…バスバー及び引き回し回路、12A…絶縁レジスト層、13A…接着層、14A…スペーサ、15A…透明導電膜、16A…下部電極基板、50…紫外線硬化型保護シート、100…ITO付きフィルム
Claims (7)
- (a)周辺部に加飾印刷を施した入力面を有する、透明タッチパネルの入力側透明樹脂基材を準備する工程と、
(b)前記入力側透明樹脂基材の入力面とボールタック7〜24の接着層を塗布した透明保護膜の前記接着層とを対向させ、ローラー間に通し、加熱、加圧下で貼り合わせると共に気泡を追い出す工程と
を含む透明タッチパネル入力側透明樹脂基板の製造方法。 - 前記工程(b)は、温度40〜50℃で、4〜5MPaの圧力を印加して行なう請求項1記載の透明タッチパネル入力側透明樹脂基板の製造方法。
- 前記接着層が紫外線硬化樹脂を含み、さらに、
(c)前記工程(b)の後、前記透明保護膜側から前記接着層に紫外線を照射する工程、
を含む請求項1又は2記載の透明タッチパネル入力側透明樹脂基板の製造方法。 - (d)前記工程(c)の後、前記保護膜貼付透明タッチパネルに、トムソン抜き加工を行なう工程、
をさらに含む請求項3記載の透明タッチパネル入力側透明樹脂基板の製造方法。 - 前記工程(c)は、前記接着層のボールタックを2以下に変化させる請求項3又は4記載の透明タッチパネル入力側透明樹脂基板の製造方法。
- 前記紫外線硬化樹脂は、分子骨格中に複数のアクリレート不飽和基を有する紫外線硬化型オリゴマーである請求項3〜5の何れか1項記載の透明タッチパネル入力側透明樹脂基板の製造方法。
- 請求項1〜6の何れか1項記載の透明タッチパネル入力側透明樹脂基板の製造方法により製造される透明タッチパネル入力側透明樹脂基板。
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