JP2019188822A - 保護フィルム付きガラス積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】ガラス積層体に保護フィルムを貼り付けても、ガラス積層体の防汚層を剥離せず、保護フィルムの粘着剤のガラス積層体主面上の残留を抑制する保護フィルム付きディスプレイ前面板ガラスの提供。【解決手段】第1の主面と第2の主面とを有する透明基体と、第1の主面上に防汚層と、第2の主面の周縁部に遮光層とを少なくとも備えたガラス積層体と、粘着層付き保護フィルムとを備えた保護フィルム付きガラス積層体。粘着層付き保護フィルムは、ガラス積層体に貼り合わされ、粘着層付き保護フィルムは、ガラス積層体の正面視において、粘着層付き保護フィルムの外周端が、遮光層の内周側より外周側、かつ、遮光層の外周側より内周側の位置に貼り合わされており、防汚層と粘着層の間の粘着力が0.01〜0.05N/10mmである保護フィルム付きガラス積層体。【選択図】なし

Description

本発明は、保護フィルム付きガラス積層体に関する。
近年、質感が高く、強度も高く、かつ耐熱性にも優れたガラス板を、表示装置を保護するためのディスプレイ前面板として使用されることが増えている。
カーナビゲーション装置やインストルメントパネル等の車載機器に用いるディスプレイ前面板や、携帯電話等のモバイル機器に用いるディスプレイ前面板では、映り込み防止、防汚の観点から、反射防止層や防汚層が形成されたディスプレイ前面板が求められている。
さらに、ディスプレイ前面板を表示装置に組付ける際の製品保護の観点から、前面板の表示最表面側に、最終的に保護フィルムを剥離して使用される保護フィルムを貼付けることが求められている。(特許文献1、特許文献2参照)
WO2011/148990 WO2011/118367
表示装置に用いる前面板として用いられるガラス積層体において、ガラス積層体には粘着剤を介して保護フィルムをガラス積層体に貼り付ける。
しかし、保護フィルムを剥離する際に、ガラス積層体に貼付ける保護フィルムに付加される粘着層を構成する粘着剤の粘着力によっては、透明基体主面に形成される反射防止層や防汚層などを形成する材料が保護フィルムに付加される粘着層の粘着剤によって少なくとも一部が剥れたり、粘着層を構成する粘着剤がガラス積層体表面の少なくとも一部に残留したりすることがある。
これにより、保護フィルムを貼った箇所と貼らなかった箇所を境に色味が変わり境界が目立ち視感が悪くなるといった課題があった。これは、低反射層を付与していることで表面の反射率が下がり、微妙な色の変化が視認しやすい状況となっていることや、低反射層が光学干渉を利用しているため、表面の膜厚屈折率の変化に影響されて色味や反射率を変えることが主な原因である。
さらに、前面板を表示装置に組付ける際、前面板として用いるガラス積層体よりも保護フィルムが大きいと、組み付ける際、保護フィルムが表示装置筐体の隙間に挟まる等の製造上の不具合を生じる問題があった。
本発明の保護フィルム付きガラス積層体は、第1の主面と第2の主面とを有する透明基体と、第1の主面上に反射防止層と、第2の主面の周縁部に遮光層とを少なくとも備えたガラス積層体と、粘着層付き保護フィルムとを備えた保護フィルム付きガラス積層体であって、粘着層付き保護フィルムは、ガラス積層体に貼り合わされ、粘着層付き保護フィルムは、ガラス積層体の正面視において、粘着層付き保護フィルムの外周端が、遮光層の内周側より外周側、かつ、遮光層の外周側より内周側の位置に貼り合わされており、ガラス積層体と粘着層の間の粘着力が0.01〜0.3N/10mmであることを特徴とする。
本発明の保護フィルム付きガラス積層体は、反射防止層の上にさらに防汚層を備えたガラス積層体と、粘着層の間の粘着力が0.01〜0.05N/10mmであることを特徴とする。
本発明の保護フィルム付きガラス積層体は、ガラス積層体の最表面の外周端の任意の点と、任意の点を通り前記ガラス積層体主面の外周端から垂直な直線を前記保護フィルムの外周端に対して延長して、保護フィルムの外周端と交差する点とを結ぶ線分の長さtが、0mmを超え10mm未満であることを特徴とする。
このように本発明によれば、粘着層付き保護フィルムの粘着層を構成する粘着剤の粘着力を所定の範囲にすることにより、粘着剤がガラス積層体最表面の少なくとも一部に残留することや、反射防止層や防汚層などの材料の少なくとも一部が剥がれることを抑制でき、表示面の色味の境界が視認できない良好な外観を確保できた。
また、本発明によれば、保護フィルム付きガラス積層体は、粘着層付き付き保護フィルムの外周端が、遮光層の内周側より外周側、かつ、遮光層の外周側より内周側の位置に貼り合わされることにより、保護フィルム付きガラス積層体を表示装置の前面板として装置に組み付ける際のハンドリング性が向上した。
図面中の記載において、同一又は対応する部材又は部品には、同一又は対応する符号を付すことにより、重複する説明を省略する。また、図面は、特に指定しない限り、部材又は部品間の相対比を示すことを目的としない。よって、具体的な寸法は、以下の限定的でない実施形態に照らし、適宜選択可能である。
透明基体の第1の主面上に反射防止層、第2の主面上に遮光層を有し、反射防止層表面に粘着層付き保護フィルムを貼り合わせた、保護フィルム付きガラス積層体の一例を示す断面図である。 透明基体の第1の主面上に、反射防止層と防汚層をこの順に備え、透明基体の第2の主面上に遮光層を有し、粘着層表面に粘着層付き保護フィルムを貼り合わせた、保護フィルム付きガラス積層体の一例を示す断面図である。 透明基体の第1の主面上に、防眩層、反射防止層、防汚層をこの順に備え、透明基体の第2の主面上に遮光層を有し、防汚層表面に粘着層付き保護フィルムを貼り合わせた、保護フィルム付きガラス積層体の一例を示す断面図である。 粘着層付き保護フィルムを貼り付けたガラス積層体の正面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の保護フィルム付きガラス積層体について詳細に説明する。本発明について、以下に特定の実施形態を示して説明するが、本発明は以下の実施形態の記載内容に何ら限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、種々な構成の付加、省略、変形、置換、及びその他の変更が適宜可能であることはいうまでもない。図1〜図3は、本発明の保護フィルム付きガラス積層体の実施形態の一例を示す断面図である。
なお、実施形態1〜3に示される保護フィルム付きガラス積層体1は、表示パネルの画像表示側(観察者側)に設けられることにより、表示パネルを保護する前面板としての役割を果たす。
(第1の実施形態)
本発明の保護フィルム付きガラス積層体の第1の実施形態は、図1に示されるとおりである。
保護フィルム付きガラス積層体1は、第1の主面と第2の主面とを有する透明基体10と、透明基体10の第1の主面上に形成された反射防止層20と、透明基体10の第2の主面の周縁部に遮光層70とを備えたガラス積層体90と、粘着層付き保護フィルム80とを備える。
粘着層付き保護フィルム80は、ガラス積層体90に貼り合わされ、粘着層付き保護フィルム80は、ガラス積層体90の正面視において、粘着層付き保護フィルム80の外周端が、遮光層70の内周側より外周側、かつ、遮光層70の外周側より内周側の位置に貼り合わされており、ガラス積層体90の最表面に形成される反射防止層20と粘着層40の間の粘着力が0.01〜0.3N/10mmである。
ガラス積層体90の主面に形成される反射防止層20と粘着層40の間の粘着力を0.01〜0.3N/10mmに調整することによって、粘着層を形成する粘着剤が、ガラス積層体90の最表面の少なくとも一部に残留しないようにできる。
ガラス積層体90の主面に形成される反射防止層20と粘着層40の間の粘着力を0.01〜0.3N/10mmに調整することによって、粘着層を形成する粘着剤によって、ガラス積層体90の最表面の反射防止層20を形成する材料の少なくとも一部が剥れないようにできる。
さらに、本発明の保護フィルム付きガラス積層体の第1の実施形態によれば、ガラス積層体90の最表面の外周端の任意の点と、任意の点を通りガラス積層体主面の外周端から垂直な直線を保護フィルムの外周端に対して延長して、保護フィルムの外周端と交差する点とを結ぶ線分の長さtが、0mmを超え10mm未満であるように、粘着層付き保護フィルム80がガラス積層体90に貼り合わされる。(図4参照)
ここで、透明基体10の第2の主面の周縁部に形成された遮光層70は、透明基体10の第2の主面の外周端から、第2の主面の中央部に向かって、所定の幅を有する帯状の領域に形成される。
(第2の実施形態)
本発明の保護フィルム付きガラス積層体の第2の実施形態は、図2に示されるとおりである。
保護フィルム付きガラス積層体1は、第1の主面と第2の主面とを有する透明基体10と、透明基体10の第1の主面上に形成された反射防止層20と、透明基体10の第2の主面の周縁部に遮光層70とを備えたガラス積層体90と、粘着層付き保護フィルム80とを備える。
本発明の保護フィルム付きガラス積層体の第2の実施形態におけるガラス積層体90は、反射防止層の主面上にさらに防汚層30を備えている。
粘着層付き保護フィルム80は、ガラス積層体90に貼り合わされ、粘着層付き保護フィルム80は、ガラス積層体90の正面視において、粘着層付き保護フィルム80の外周端が、遮光層70の内周側より外周側、かつ、遮光層70の外周側より内周側の位置に貼り合わされており、ガラス積層体90の最表面に形成される防汚層30と粘着層40の間の粘着力が0.01〜0.05N/10mmである。
ガラス積層体90の主面に形成される防汚層30と粘着層40の間の粘着力を0.01〜0.05N/10mmに調整することによって、粘着層を形成する粘着剤が、ガラス積層体90の最表面の少なくとも一部に残留しないようにできる。
ガラス積層体90の主面に形成される防汚層30と粘着層40の間の粘着力を0.01〜0.05N/10mmに調整することによって、粘着層を形成する粘着剤によって、ガラス積層体90の最表面の防汚層30を形成する材料の少なくとも一部が剥がれないようにできる。
さらに、本発明の保護フィルム付きガラス積層体の第2の実施形態によれば、ガラス積層体90の最表面の外周端の任意の点と、任意の点を通り防汚層を備えたガラス積層体主面の外周端から垂直な直線を保護フィルムの外周端に対して延長して、保護フィルムの外周端と交差する点とを結ぶ線分の長さtが、0mmを超え10mm未満であるように、粘着層付き保護フィルム80がガラス積層体90に貼り合わされる。(図4参照)
(第3の実施形態)
本発明の保護フィルム付きガラス積層体の第3の実施形態は、図3に示されるとおりである。
本発明の第3の実施形態は、第1の実施形態で示される、反射防止層20を備えるガラス積層体90、第2の実施形態で示される、反射防止層20と防汚層60をこの順で備えるガラス積層体において、透明基体10の第1の主面と反射防止層20の間に防眩層60が形成された実施形態である。
図3では、防汚層60を備えるガラス積層体(実施形態2)において、透明基体10の第1の主面と反射防止層20の間に防眩層60を形成した実施形態を示すものであるが、防汚層60を備えないガラス積層体(実施例1)に対しても防眩層60を形成できることは言うまでもない。
<ガラス積層体>
ガラス積層体は、第1の主面と第2の主面とを有する透明基体と、透明基体の第1の主面上に形成された反射防止層と、透明基体の第2の主面の端面に隣接する端縁部に形成された遮光層とを少なくとも備えている。
ガラス積層体は、反射防止層の主面上にさらに防汚層を備えていてもよい。
ガラス積層体は、透明基体の第1の主面と反射防止層の間に防眩層が形成されていてもよい。
<粘着層付き保護フィルム>
保護フィルムの片面に粘着層を備えることで、粘着層付き保護フィルムが形成される。
製造過程や製品搬送において、表示装置に組み付けられた表示パネルを保護するために、粘着層付き保護フィルムをガラス積層体の最表面に貼り付けておき、ガラス積層体を保護する。
表示装置の使用時において、粘着層付き保護フィルムをガラス積層体から剥離して利用する。
粘着層付き保護フィルムに備える粘着層を形成する粘着剤の粘着力を調整することにより、粘着層を形成する粘着剤が、ガラス積層体の最表面の少なくとも一部に残留することを抑えることができる。
粘着層付き保護フィルムに備える粘着層を形成する粘着剤の粘着力を調整することにより、粘着層を形成する粘着剤によって、ガラス積層体の最表面の反射防止層や防汚層を形成する材料の少なくとも一部を剥すことを抑制できる。
粘着層付き保護フィルムは、ガラス積層体の最表面に貼り合わされる。粘着層付き保護フィルムの外周端が、ガラス積層体の正面視において、遮光層の内周側より外周側、かつ、遮光層の外周側より内周側の位置に貼り合わされることにより、ガラス積層体を、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)などの表示装置の前面板として装置に組み付ける際、粘着層付き保護フィルムが、装置筐体に挟み込まれる等の不具合を抑えることが可能となり、保護フィルム付きガラス積層体を装置に組み付ける際のハンドリング性を向上させることができる。
粘着層付き保護フィルムの外周端とは、粘着層付き保護フィルムの中央から離れた端部である。通常、粘着層付き保護フィルムは矩形状であるが、矩形状の場合は、外周端の少なくとも一部は直線で形成される。粘着層付き保護フィルムは、ガラス積層体の形状に応じて適宜変更されるため、外周端の少なくとも一部が曲線で形成されていてもよい。
また、粘着層付き保護フィルムは、ガラス積層体の最表面の外周端の任意の点と、任意の点を通りガラス積層体主面の外周端から垂直な直線を保護フィルムの外周端に対して延長して、粘着層付き保護フィルムの最寄りの外周端と交差する点とを結ぶ線分の長さtが、0mmを超え10mm未満の位置に貼り合わされることによって、保護フィルム付きガラス積層体を装置に組み付ける際のハンドリング性を向上できる。
ガラス積層体の外周端からガラス積層体の中央部へ向かって10mmを未満の位置に保護フィルムの外周端があると、衝撃などからガラス積層体を保護する目的を達成しやすく好ましい。
さらに、粘着層付き保護フィルムの剥離容易性を高めるために、保護フィルムの端部を掴みやすくするためのタブ部を設けること、または、粘着層付き保護フィルムの外周縁の少なくとも一部に粘着層を形成しない部分を設けることによっても、粘着層付き保護フィルムをガラス積層体から容易に剥離できる。なお、上記した剥離性を容易にするための目的のため作成されたタブ部分は、ハンドリング性を損なわない範囲で外周部にはみ出していてもよい。
反射防止層や防汚層を備えるガラス積層体と粘着層付き保護フィルムを貼り合せる際は、手作業で行ってもよいが、ロール状の巻物として供給される粘着層付き保護フィルムを、ゴムロール等を用いて貼合させることや、粘着層付き保護フィルムをガラス積層体の寸法に合わせて事前に裁断し枚葉保護フィルムとしておき、ラベル貼り機やシール貼り機により貼合する方法が製造効率の観点から好ましい。
<粘着層>
粘着層は保護フィルムの片面に設けられ、粘着層付き保護フィルムを形成する。
粘着層の粘着剤は、粘着層付き保護フィルムがガラス積層体から剥離される際に、ガラス積層体の最表面の少なくとも一部に粘着剤が残留しにくい粘着度を有するものが好ましい。
粘着層の粘着剤は、粘着層付き保護フィルムがガラス積層体から剥離される際に、ガラス積層体の反射防止層や防汚層を形成する材料の少なくとも一部を剥すことを抑える粘着度を有するものが好ましい。
このような粘着層の粘着剤として、アクリル系、ポリウレタン系の粘着剤等が、接着性や、剥離性の観点から好ましく用いられる。
粘着層の粘着力が0.01N/10mm以上であれば、粘着剤が、ガラス積層体の最表面に均一に付着し、粘着層付き保護フィルムを剥離する際に、ガラス積層体の最表面に形成される反射防止層や防汚層の表面処理材の表面に粘着層を均一に付着させることができる。また、搬送中に保護フィルムがガラス積層体から剥がれるなど、保護フィルムとしての機能を損なうおそれがない。
粘着層の粘着力が0.3N/10mm以下であれば、粘着層の粘着力が適度であり、粘着層付き保護フィルムを剥離する際に、ガラス積層体の最表面に形成される反射防止層の表面処理材が粘着剤によって少なくとも一部が必要以上に剥がれたり、粘着層付き保護フィルムの粘着層を形成する粘着剤がガラス積層体の最表面の少なくとも一部に残留することに起因する視認性の低下や汚れなどの不良を生じるおそれがない。
ガラス積層体の最表面に反射防止層が形成されたガラス積層体に、粘着層付き保護フィルムを貼り付ける場合、粘着層と反射防止層の間の粘着力が0.03〜0.3N/10mmであることが好ましく、0.05〜0.15N/10mmであるとより好ましい。
粘着力が好ましい数値に調整されることにより、粘着剤の残留や、反射防止層を形成する材料が粘着剤によって剥離されることを抑制できる。
また、ガラス積層体の最表面に防汚層が形成されたガラス積層体に、粘着層付き保護フィルムを貼り付ける場合、粘着層と防汚層の間の粘着力が0.01〜0.05N/10mmであることが好ましく、0.02〜0.04N/10mmであるとより好ましい。
粘着力が好ましい数値に調整されることにより、粘着剤の残留や、防汚層を形成する材料が粘着剤によって剥離されることを抑制できる。
特に、防汚層表面には粘着剤が残留し易い、または、粘着剤により防汚層を形成する材料が剥離され易いため、粘着層の粘着力は、反射防止層との間の粘着力よりも低い数値とすることが好ましい。
粘着層の厚みは、反射防止層や防汚層と、粘着層付き保護フィルムに形成される粘着層との粘着性、剥離性の観点から、3μm〜50μmであることが好ましく、5μm〜25μmであることがより好ましい。
<保護フィルム>
保護フィルムとしては、樹脂製のフィルム状のものであれば特に制限されない。また、保護フィルムは単層構造であってもよく、帯電防止層、ハードコート層、易接着層等、複数の層が積層された多層構造であってもよい。また、ガラス積層体から粘着層付き保護フィルムを剥し忘れることを防止するために、保護フィルムに色を付けてもよい。
保護フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系フィルムやポリエチレン系フィルム、ポリプロピレン等のポリオレフィン系フィルム、ポリ塩化ビニルフィルム等を用いることができる。これらの中でも、粘着層との付着性の点、耐久性や光学特性の点から、ポリエステル系フィルムが好ましい。
保護フィルムの厚みについても特に限定されない。例えば、5μm〜100μmであることが好ましく、15μm〜75μmであると剥離する際に保護フィルムが撓みやすく剥離させることは容易であり、より好ましい。5μm未満であると、ガラス積層体を十分に保護できないことがあり、100μmを超えると、コストの増大を招くことがある。
<透明基体>
透明基体としては、例えば、ソーダライムガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸ガラス、無アルカリガラス等の一般的なガラス板や、種々の組成の無機材料からなる無機ガラス、または透明樹脂板が挙げられる。
最適なガラス板の材料としては、ソーダライムガラス、石英ガラス、水晶ガラス、サファイアガラス等のガラス材料が挙げられ、鉄分がより低く、青味の少ない高透過ガラスがより好ましい。
透明樹脂板の材料としては、透明性の高い樹脂材料が好ましく、透明樹脂板としては、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、アクリル系樹脂、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、トリアセチルセルロース、ポリメタクリル酸メチル等が挙げられる。
透明基体としては、透明性が高いこと、耐光性、耐熱性、低屈折率性、高い平面精度、耐表面擦傷性、および、高い機械的強度を有する点からも、ガラス板が最も好ましい。
ガラス板の安全性を高めるために、機械的強度を高めてもよい。ガラス板の機械的強度を高めるには、ガラス板に予め強化処理を施す。
強化処理としては、ガラス板を高温化に晒した後に風冷する物理強化、または、ガラス板を、アルカリ金属を含む溶融塩中に浸漬させ、ガラス板の最表面に存在する原子径の小さなアルカリ金属(イオン)を、溶融塩中に存在する原子系の大きなアルカリ金属(イオン)と置換する化学強化が挙げられる。
特に薄いガラス板を用いる場合には、化学強化を施したガラス板(以下「化学強化ガラス」ともいう。)を用いることが好ましい。
透明基体としての化学強化ガラスは、以下の条件を満たすことが好ましい。すなわち、ガラス基板の表面圧縮応力(以下、CSという)が、400MPa以上1200MPa以下であることが好ましく、700MPa以上900MPa以下であることがより好ましい。CSが400MPa以上であれば、実用上の強度として十分である。
またCSが1200MPa以下であれば、自身の圧縮応力に耐えることができ、自然に破壊してしまう懸念が無い。本発明の保護フィルム付きガラス積層体1をディスプレイ装置等の前面板(カバーガラス)として使用する場合、ガラス基板のCSは700MPa以上850MPa以下であることが好ましい。
さらに、ガラス基板の応力値の深さ(以下、DOLという)は、15〜50μmが好ましく、20〜40μmがより好ましい。DOLが15μm以上であれば、容易に傷がついて破壊される懸念が無い。
またDOLが40μm以下でれば、基板自身の圧縮応力に耐えることができ、自然に破壊してしまう懸念が無い。本発明の保護フィルム付きガラス積層体1をディスプレイ装置等の前面板(カバーガラス)として使用する場合、ガラス基板のDOLは25μm以上35μm以下であることが好ましい。
また、機械的強度の点から、サファイアガラスも好ましい。
透明基体の形状は、通常、平滑かつ矩形な形状である。透明基体の形状は、表示装置の表示パネルの形状や、表示装置の意匠、表示装置の取り付け位置等に応じて必要とされる形状は適宜変更される。
すなわち、透明基体の形状は平滑形状や矩形形状に限定されるものではない。例えば、表面に凹凸を有する型板ガラスであってもよく、多角形状や円形状、楕円形状であってもよい。また、平坦なガラスのみではなく曲面形状を有するガラスでもよい。
透明基体の外周端とは、透明基体の中央から離れた端辺である、通常、透明基体は矩形状であるが、矩形状の場合は、外周端の少なくとも一部は直線で形成される。表示パネルの形状などによって、透明基体の形状は適宜変更されるため、外周端の少なくとも一部が曲線で形成されていてもよい。
透明基体の大きさは、表示パネルの大きさや表示装置の用途によって適宜決定される。例えば、モバイル機器のカバーガラスとして使用する場合は、30mm×50mm〜300mm×400mmで、厚さが0.1〜2.5mmであり、ディスプレイ装置、カーナビゲーション、コンソールパネル、計器盤などの表示装置の場合、50mm×100mm〜2000mm×1500mmで、厚さが0.5〜4mmであることが好ましい。
透明基体の厚さは、特に限定されるものではなく、厚さ10mm以下のガラスを使用することができる。機械的強度や透明性等の点から、ガラス板の場合は通常0.1〜6mm程度である。特に、車載用表示装置で使用する場合は、透明基体には安全性が求められるため機械的強度の点から、0.2〜2mmが好ましい。
化学強化ガラスを用いる場合は、化学強化処理を効果的に行うために、ガラス基板の厚さは通常5mm以下が好ましく、3mm以下がより好ましい。透明樹脂板の場合は、2〜10mmが好ましい。
厚さが薄いほど光の吸収を低く抑えられるため、視認性向上や透明性向上の点からもガラス板を用いることが好ましい。なお、透明基体は、必ずしも単一の層から構成される単層構造に限られず、合わせガラスといった複数の層から構成される多層構造であってもよい。
<反射防止層>
反射防止層は、外光による反射を抑え表示画像の表示品質を高めるために形成される層であり、通常、透明基体の第1の主面に形成される。
透明基体の第1の主面に防眩処理を施した場合は、防眩処理した防眩層60の上に反射防止層20を形成することが好ましい。
反射防止層の構成としては、光の反射を所定範囲に抑制できる構成であれば特に限定されず、例えば、高屈折率層と低屈折率層とを積層した構成とすることができる。ここで、高屈折率層は、例えば、波長550nmの光の屈折率が1.9以上の層をいい、低屈折率層は、波長550nmの光の屈折率が1.6以下の層をいう。
反射防止層における高屈折率層と低屈折率層との層数は、それぞれを1層ずつ含む形態であってもよいが、それぞれを2層以上含む構成であってもよい。高屈折率層と低屈折率層をそれぞれ1層含む構成の場合は、透明基体の主面に、高屈折率層、低屈折率層の順に積層したものが好ましい。また、高屈折率層と低屈折率層をそれぞれ2層以上含む構成の場合は、高屈折率層、低屈折率層の順に交互に積層した形態であることが好ましい。
反射防止性能を高めるためには、反射防止層は複数の層が積層された積層体であることが好ましく、該積層体は、例えば、全体で2層以上8層以下の層が積層されたものが好ましく、2層以上6層以下の層が積層されたものがより好ましく、2層以上4層以下の層が積層されたものがさらに好ましい。ここでの積層体は、上記のように、高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層したものが好ましく、高屈折率層と低屈折率層の層数を合計したものが上記範囲にあることが好ましい。また、光学特性を損なわない範囲での層の追加を行ってもよい。例えば、ガラス基体からのNa拡散を防ぐために、ガラスと第1層との間にSiO膜を挿入しても良い。
高屈折率層、低屈折率層を構成する材料は、特に制限されるものではなく、要求される反射防止性の程度や生産性を考慮して選択できる。高屈折率層を構成する材料としては、例えば、酸化ニオブ(Nb)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化タンタル(Ta)、酸化アルミニウム(Al)、窒化ケイ素(SiN)等が挙げられる。これらの材料から選択される1種以上を好ましく使用できる。低屈折率層を構成する材料としては、酸化ケイ素(特に、二酸化ケイ素SiO)、SiとSnとの混合酸化物を含む材料、SiとZrとの混合酸化物を含む材料、SiとAlとの混合酸化物を含む材料等が挙げられる。これら材料から選択される1種以上を好ましく使用できる。
生産性や屈折率の観点から、高屈折率層が、酸化ニオブ、酸化タンタル、窒化ケイ素から選択される1種からなり、低屈折率層が、酸化ケイ素からなる層であることが好ましい。
反射防止層は、表面に無機薄膜を直接形成する方法、エッチング等の手法により表面処理する方法や、乾式法、例えば、化学蒸着(CVD)法や物理蒸着(PVD)法、特に物理蒸着法の一種である真空蒸着法やスパッタ法により好適に形成できる。
透明基体の第1の主表面上に、反射防止層と防汚層とをこの順に形成する形態も取りうる。この場合、反射防止層に防汚層を付与しやすくするために、反射防止層は、湿式法により形成されてもよい。湿式法によるものとしては、低屈折率微粒子を含有するもの、具体的には、バインダーとなるマトリックス成分中に低屈折率微粒子を含有させたものが挙げられる。
または、反射防止機能を有する透明樹脂フィルムを透明基体に貼合する方法によって反射防止層を設けることもできる。
反射防止層の厚さは、100〜500nmが好ましい。反射防止層の厚さを100nm以上とすることで、効果的に外光の反射を抑制できるため好ましい。
<防汚層>
防汚層は、撥油性や親油性の少なくとも一つの特性を持つ。指紋跡のみならず汗や埃など様々な汚れの付着を抑えたり、汚れを拭き取りやすしたり、汚れを目立ちにくくするといった機能を有し、表示面をきれいに保つ。また、タッチパネル操作の際にひっかかりのないスムーズな指滑り性を得ることが可能となる。
防汚層は、反射防止層の上に防汚層を形成することで、ガラス積層体の最表面に形成されることが、防汚層の特性の観点から好ましい。
防汚層の形成方法としては、フッ素含有有機化合物等を真空槽内で蒸発させて、反射防止層の表面に付着させる真空蒸着法(乾式法)や、フッ素含有有機化合物等を有機溶剤に溶解させ、所定の濃度になるように調整し、反射防止層の表面に塗布する方法(湿式法)等を利用できる。
乾式法としては、イオンビームアシスト蒸着法、イオンプレート法、スパッタ法、プラズマCVD法等、湿式法としては、スピンコート法、ディップコート法、キャスト法、スリットコート法、スプレー法等から適宜選択できる。
乾式法、湿式法のどちらも使用できる。耐擦傷性の観点からは、乾式の成膜方法を用いることが好ましい。
防汚層の構成材料は、防汚性、撥水性、撥油性を付与できるフッ素含有有機化合物等から適宜選択できる。具体的には、含フッ素有機ケイ素化合物や、含フッ素加水分解性が挙げられる。フッ素含有有機化合物は、防汚性、撥水性および撥油性を付与するものであれば、特に制限されず使用できる。
(含フッ素有機ケイ素化合物被膜)
防汚層を形成する含フッ素有機ケイ素化合物被膜は、透明基体の主面または防眩層の処理面に反射防止層が形成される場合には、当該反射防止層の表面に形成されることが好ましい。また、透明基体として防眩処理、化学強化処理等の表面処理が施され、反射防止層が形成されないガラス基板を用いる場合には、含フッ素有機ケイ素化合物被膜は、これら表面処理の施された面に直接形成されることが好ましい。
含フッ素有機ケイ素化合物被膜を形成する方法としては、パーフルオロアルキル基;パーフルオロ(ポリオキシアルキレン)鎖を含むフルオロアルキル基等のフルオロアルキル基を有するシランカップリング剤の組成物を、スピンコート法、ディップコート法、キャスト法、スリットコート法、スプレーコート法等により塗布した後加熱処理する方法、または含フッ素有機ケイ素化合物を気相蒸着させた後加熱処理する真空蒸着法等が挙げられる。密着性の高い含フッ素有機ケイ素化合物被膜を得るには、真空蒸着法により形成することが好ましい。真空蒸着法による含フッ素有機ケイ素化合物被膜の形成は、含フッ素加水分解性ケイ素化合物を含有する被膜形成用組成物を用いて行うことが好ましい。
(含フッ素加水分解性ケイ素化合物)
防汚層において、含フッ素有機ケイ素化合物被膜の形成に用いる含フッ素加水分解性ケイ素化合物は、得られる含フッ素有機ケイ素化合物被膜が、撥水性、撥油性等の防汚性を有するものであれば特に制限されない。
具体的には、パーフルオロポリエーテル基、パーフルオロアルキレン基およびパーフルオロアルキル基からなる群から選ばれる1つ以上の基を有する含フッ素加水分解性ケイ素化合物が挙げられる。
防汚層は、防汚機能を有する透明樹脂フィルムを貼合する方法によって防汚層を設けることもできる。
通常、反射防止層の上に形成される防汚層の層厚は、特に制限されないが、2〜20nmであることが好ましく、2〜15nmであることがより好ましく、3〜10nmであることがさらに好ましい。
層厚が2nm以上であれば、防汚層によって反射防止層の表面が均一に覆われた状態となり、耐擦り性の簡単で実用に耐えるものとなる。また、層厚が20nm以下であれば、防汚層が積層された状態での視感反射率やヘイズ値等の光学特性が良好である。
<防眩層>
ガラス積層体に防眩性を付与するために、透明基体の第1の主面上に防眩層を設けてもよい。
防眩性を付与するためには、透明基体の主面に凹凸形状を形成する。凹凸形状を有する主面は、透明基体の少なくとも一方の主面であり、透明基体の第1の主面上に凹凸形状を設けることが好ましい。
凹凸形状を形成する方法として、公知の方法を適用可能である。例えば、透明基体としてガラス基板を用いる場合、ガラス基板の主面に化学的または物理的に表面処理を施し、所望の表面粗さの凹凸形状を形成する方法や、ウエットコート等を利用できる。
化学的に防眩処理を行う方法としては、具体的には、フロスト処理を施す方法が挙げられる。フロスト処理は、例えば、フッ化水素とフッ化アンモニウムの混合溶液に、被処理体であるガラス基板を浸漬することで実現可能である。
また、物理的に防眩処理を行う方法としては、例えば、結晶質二酸化ケイ素粉、炭化ケイ素粉等を加圧空気でガラス基板の主面に吹き付けるサンドブラスト処理や、結晶質二酸化ケイ素粉、炭化ケイ素粉等を付着させたブラシを水で湿らせたものを用いて擦る方法等を利用できる。
これらのなかでも、フロスト処理は、被処理体表面におけるマイクロクラックが生じ難く、機械的強度の低下が生じにくいため、ガラス基板に防眩処理を行う方法として好ましい。
このようにして化学的または物理的に防眩処理を施したガラス基板の主面は、表面形状を整えるため、エッチング処理を行うことが好ましい。エッチング処理としては、例えば、ガラス基板を、フッ化水素の水溶液であるエッチング溶液に浸漬して、化学的にエッチングする方法を利用できる。
このようにして、防眩処理およびエッチング処理が行われた後のガラス基板の主面は、表面粗さ(二乗平均粗さ、RMS)が0.01〜0.5μmであることが好ましい。表面粗さ(RMS)は、0.01〜0.3μmがより好ましく、0.02〜0.2μmがさらに好ましい。表面粗さ(RMS)を上記範囲とすることで、防眩処理後のガラス基板のヘイズ値を1〜30%に調整することができ、その結果、得られる反射防止層付き透明基体10に優れた防眩性を付与できる。なお、ヘイズ値は、JIS K 7136で規定される値である。
防眩層を形成する方法としては、防眩機能を有する透明樹脂フィルムを透明基体に貼合する方法によって設けてもよい。
<遮光層>
透明基体の第2の主面の周縁部の少なくとも一部に遮光層を形成する。遮光層は、表示パネルの周縁部に配置される配線部材などを隠蔽し、表示パネルの画像表示領域以外が、観察者側から視認できないようにすることや、表示装置の意匠性を向上させるために形成され、表示の視認性と美観を高める。
透明基体の周縁部とは、透明基体の中央から離れた端部から透明基体の中央部に向かって、所定の幅を有する帯状領域を意味する。遮光層は、この周縁部の全周、または、周縁部の少なくとも一部に形成される。
遮光層の外周側とは、通常、遮光層は透明基体の外周端に接し、所定の幅を有する帯状領域であり、遮光層が形成される透明基体の第2の主面の外周端と略同一である。
遮光層の内周側とは、所定の幅を有する遮光層領域において、透明基体の中央に近い端辺を意味する。通常、遮光層の形成領域は、透明基体の形状に応じて形成される。透明基体が矩形状である場合は、遮光層の外周側の少なくとも一部は直線で形成される。遮光層の内周側は、直線で形成されていても曲線で形成されていても良い。
また、遮光層の形成領域の一部に、ディスプレイの動作状態を表示する動作状態表示部や、リモコンからの赤外線などの操作光を受光するための、光透過領域が形成されていても良い。
遮光層は、透明基体の第2の主面の周縁部に形成される。遮光層は、透明基体の第2の主面の外周側から、0mmを超え30mm未満の領域に設けられることが好ましい。
遮光層は、黒色インクを印刷する方法で形成される。印刷法としては、バーコード法、リバースコート法、グラビアコート法、ダイコート法、ロールコート法、スクリーン法等があるが、簡便に印刷できるうえ、種々の基材に印刷することができ、また基材のサイズに合わせて印刷可能であることから、スクリーン印刷法が好ましい。
黒色インクは、特に限定されず利用できる。黒色インクとしては、セラミックス焼成体等を含む無機系インクと、染料または顔料のような色料と有機樹脂を含む有機系インクが使用できる。着色顔料を含むセラミック印刷を用い遮光層を形成すると遮光性が高く好ましい。
遮光層は、通常、黒色で形成さるが、遮光性が高ければ黒色に制限されない。
また、遮光機能を有する透明フィルムを透明基体に貼合することでも遮光層を形成することができる。
黒色の無機系インクに含有されるセラミックスとしては、酸化クロム、酸化鉄などの酸化物、炭化クロム、炭化タングステン等の炭化物、カーボンブラック、雲母等がある。黒色印刷部6は、前記セラミックスとシリカからなるインクを溶融し、所望のパターンで印刷した後、焼成して得られる。この無機系インクは、溶融、焼成工程を必要とし、一般にガラス専用インクとして用いられている。
有機系インクは、黒色の染料または顔料と有機系樹脂を含む組成物である。有機系樹脂としては、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、ポリカーボネート、透明ABS樹脂、フェノール樹脂、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン樹脂、ポリウレタン、ポリメタクリル酸メチル、ポリビニル、ポリビニルブチラール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリイミド等のホモポリマー、およびこれらの樹脂のモノマーと共重合可能なモノマーとのコポリマーからなる樹脂が挙げられる。また、染料あるいは顔料は、黒色のものであれば特に限定なく利用できる。
無機系インクと有機系インクとでは、焼成温度が低いことから、有機系インクの使用が好ましい。また、耐薬品性の観点から、顔料を含む有機系インクが好ましい。
<視感反射率>
本発明のガラス積層体は、透明基体と、透明基体の第1の主面に形成された反射防止層と、透明基体の第2の主面の周縁部の少なくとも一部に形成された遮光層と、を備えている。そして、本発明のガラス積層体は、遮光層を有する領域における、反射防止層側からの入射光に対して、透明基体と遮光層との界面における裏面反射を除去して測定された視感反射率が2%以下である。
裏面反射を除去する方法として、鏡面反射のみを測定する場合には、第2の主面をサンドペーパー等であらして、さらに黒マジック等で反射率を下げて、第2の主面からの鏡面反射を消去する方法が一般的に行われている。しかしこれは、拡散反射光も含んだSCIモードで測定する場合には不十分である。第2の主面からの拡散光は上記の処理をした後でも存在するからである。この場合は以下のようにして裏面反射を計算で除去することができる。
低反射層を備えた、求めたい第1の主面の反射率をR1、透明基体の反射率をR0とすると、第1の主面から入射し、第2の主面と空気との界面で反射し、第1の主面を通って透過していく光を考慮すると、第2の主面に遮光層が備えられていない領域を第1の主面の側から測定したSCIモードの反射率(Rgとする)は
Rg=R1+(1−R1)×R0×(1−R1)
となる。R0はたとえばエリプソメーターなどで透明基体の屈折率を測定すれば算出できるため、測定値のRgとR0が既知となるためR1が算出できる。
なお、実際には上式の第2項以下、さらに透明基体内で往復を繰り返す光も存在するが、R0は通常の透明基体では4%程度と低いため、無視できるほどに小さい。
本発明のガラス積層体は、視感反射率が2%以下であり、さらに、粘着層の粘着力が適切に調整されているため、映り込みが少なく、遮光層形成領域において、粘着剤の残留や粘着剤による反射防止層の剥離による色ムラが十分に抑制され、粘着層保護フィルムを貼った箇所と貼らなかった箇所を境に色味が変わることもなく、視認性が良好となる。
視感反射率は好ましくは1.5%以下、さらに好ましくは1%以下である場合、さらに顕著な効果を奏する。
本発明のガラス積層体は、視感反射率を2%以下であって、粘着剤の粘着力を適切に調整されることにより、粘着剤の残留や粘着剤による反射防止層の剥離による色ムラが十分に抑制され、ガラス積層体を表示装置に組み付けた際、表示面への映り込みが少ない良好な表示視認性とともに優れた意匠性と美観を得ることができる。
また、ガラス積層体の最表面に防汚層が形成されている場合においても、防汚層の層厚が20nm以下であれば、防汚層が積層された状態においても視感反射率に大きな影響を及ぼさない。反射防止層と前記防汚層の裏面反射を除去した視感反射率が2%以下であり、さらに、粘着層の粘着力が適切に調整されることにより、粘着剤の残留や粘着剤による防汚層の剥離による色ムラが十分に抑制され、ガラス積層体を表示装置に組み付けた際、表示面への映り込みが少ない良好な表示視認性とともに優れた意匠性と美観を得ることができる。
以下の実施例および比較例では、具体的に用いた材料や手順の組合せを主体に説明する。
以下の手順により、防汚膜付きガラス基板を製造した。
まず、透明基体として化学強化用ガラス、ドラゴントレイル(登録商標、AGC社製、以下「DT」ともいう。)を用いた。
(1)防眩処理
ガラス基板の第1の主面に以下の手順により、フロスト処理による防眩処理を施した。まず、耐酸性の保護フィルムを、ガラス基板の防眩処理を施さない側の面に貼合した。ついで、このガラス基板を、3重量%のフッ化水素溶液に3分間浸漬し、ガラス基板表面に付着した汚れを除去した。次いで、ガラス基板を15重量%フッ化水素と15重量%フッ化カリウムとの混合溶液に3分間浸漬し、ガラス基板の第2の主面に対してフロスト処理を行った。
前記防眩処理後のガラス基板を、10%フッ化水素溶液に浸漬することで、ヘイズ値を調整した。
(2)化学強化処理
前記防眩処理が施されたガラス基板において、以下の手順により化学強化処理を行った。まず450℃に加熱・溶解させた硝酸カリウム塩に前記防眩処理が施されたガラス基板を2時間浸漬した後、基板を溶融塩より引き上げ、室温まで1時間で徐冷することで化学強化基板を得た。こうして、表面圧縮応力(CS)が730MPa、応力層の深さ(DOL)が30μmの化学強化されたガラス基板を得た。
次いで、この基板を、アルカリ溶液(サンウォッシュTL‐75、ライオン株式会社製)に4時間浸漬した。
(3)遮光層の形成
次に、前記防眩処理と化学強化処理が施されたガラス基板において、以下の手順により、前記ガラス基板の第2の主面に対してスクリーン印刷を行った。
前記ガラス基板の第2の主面の外側周辺部の四辺に、2cm幅の黒枠状に印刷を施し、遮光層を形成した。まず、スクリーン印刷機により、黒色インク(GLSHF(商品名、帝国インキ社製))を5μmの厚さに塗布した後、150℃で10分間保持して乾燥させ、第1の印刷層を形成した。次いで、第1の印刷層の上に、上と同じ手順で、黒色インクを5μmの厚さに塗布した後、150℃で40分間保持して乾燥させ、第2の印刷層を形成した。こうして、第1の印刷層と第2の印刷層とが積層された遮光層を形成し、一方の主面の外側周辺部に遮光層を備えたガラス基板を得た。
(4)高屈折率層の形成
以下の方法で防眩処理が施されたガラス基板の第1の主面側に反射防止層を形成した。まず薄膜形成装置内部に、アルゴンガスに10体積%の酸素ガスを混合した混合ガスを導入しながら、酸化ニオブターゲット(AGCセラミックス(株)製、商品名 NBOターゲット)を用いて、圧力0.3Pa、周波数20kHz、電力密度3.8W/cm、反転パルス幅5μsecの条件でパルススパッタリングを行い、光学部材上に、厚さ12nm、屈折率(n)2.3のニオブ酸化物(Nb2O5)からなる高屈折率層(第1層)を形成した。
また、高屈折率層をガラス基板の第1の主面側に形成するにおいて、ニオブ酸化物(Nb)に代えて、窒化ケイ素(SiN)を用いて高屈折率層をガラス基板の第1の主面側に形成した。
窒化ケイ素からなる高屈折率層は、以下の方法で形成した。真空チャンバ内で、アルゴンガスに窒素ガスを50体積%となるように混合した混合ガスを導入しながら、圧力0.3Pa、周波数20kHz、電力密度3.8W/cm、反転パルス幅5μsecの条件で、シリコンターゲットを用いてパルススパッタリングを行い、ガラス基板の高屈折率層を形成すべき面の全面に、窒化ケイ素からなる高屈折率層を形成した。
(5)低屈折率層の形成
装置内部に、アルゴンガスに40体積%の酸素ガスを混合した混合ガスを導入しながら、シリコンターゲットを用いて、圧力0.3Pa、周波数20kHz、電力密度3.8W/cm、反転パルス幅5μsecの条件でパルス幅5μsecの条件でパルススパッタリングを行い、屈折率(n)1.45の酸化ケイ素(SiO)からなる低屈折率層を形成した。
(6)反射防止層の形成
高屈折率層の形成と低屈折率層の形成とを交互におこなうことで反射防止層を形成した。
(7)防汚層の形成
以下の方法で防汚層を成膜した。まず、防汚層の材料として、フッ素含有有機ケイ素化合物膜の形成材料を、加熱容器内に導入した。その後、加熱容器内を真空ポンプで10時間以上脱気して溶液中の溶媒除去を行い、フッ素含有有機ケイ素化合物膜の形成用組成物(以下、防汚層形成用組成物という。)とした。
次いで、前記防汚層形成用組成物が入った加熱容器を、270℃まで加熱し、270℃に到達後は、温度が安定するまで10分間その状態を保持した。次に、前記反射防止層20が形成されたガラス基板を真空チャンバ内に設置した後、前記防汚層形成用組成物が入った加熱容器と接続されたノズルから、前記ガラス基板の反射防止層に向けて防汚層形成用組成物を供給し、成膜を行った。
成膜は、真空チャンバ内に設置した水晶振動子モニタにより膜厚を測定しながら行い、低反射膜上のフッ素含有有機ケイ素化合物膜の膜厚が4nmになるまで行った。次いで、真空チャンバから取り出されたガラス基板を、フッ素含有有機ケイ素化合物膜面を上向きにしてホットプレートに設置し、大気中150℃で60分間加熱処理を行った。
このようにして、反射防止層の上に防汚層が形成されたガラス積層体を得た。
(8)粘着層付き保護フィルムの貼り合せ
次に、上記で得られた防汚膜付きガラス基板の主面に、粘着層付き保護フィルムを設置した。その際、ガラス積層体の外周端から2mm内側になるように貼り合わせた。これは、たとえばあらかじめフィルムを基板形状より2mm小さい形に加工しておいてから貼り合わせるなどを行えば実施できる。
このようにして、ガラス積層体の主面側に貼り合わされた粘着層付き保護フィルムが端部から2mm内側に貼られた反射防止層、防汚層、および防眩層を備えた保護フィルム付きガラス積層体を得た。
実施例および比較例において使用した反射防止層、防汚層、および、防眩層を形成したガラス積層体、および、ガラス積層体に貼り合わされる粘着層付き保護フィルムについては、各実施例の説明及び表1に記載する。
Figure 2019188822
(実施例1)
厚さが1.3mmであるDTに対して、(1)防眩処理を施し、エッチング時間を調整することでヘイズを2%に調整し(2)化学強化処理を施した。次いで、(3)遮光層の形成を行った。次いで、積層数が4層となるように、(A)酸化ニオブからなる高屈折率層の形成と、(B)酸化ケイ素からなる低屈折率層の形成と、反射防止層の形成を交互に行い、反射防止層の形成を行った。各層の厚さは、1層目の酸化ニオブ層が13nm、2層目の酸化ケイ素層が35nm、3層目の酸化ニオブ層が115nm、4層目の酸化ケイ素層が90nmであった。
その後、蒸着材料としてKY‐185(信越化学社製)を用いて防汚層の形成を行い、アクリル系の粘着剤による粘着層を有するEC‐9005ASL(スミロン社製)のPET保護フィルムを貼合した。保護フィルム基材の厚みは25μmである。
(実施例2)
厚さが2.0mmであるDTに対して、実施例1と同様に、(1)防眩処理を施し、エッチング時間を調整することでヘイズを25%に調整し(2)化学強化処理を施した。次いで、(3)遮光層の形成を行った。次いで、積層数が4層となるように、(A)酸化ニオブからなる高屈折率層の形成と、(B)酸化ケイ素からなる低屈折率層の形成と、反射防止層の形成を交互に行い、反射防止層の形成を行った。各層の厚さは、1層目の酸化ニオブ層が13nm、2層目の酸化ケイ素層が35nm、3層目の酸化ニオブ層が115nm、4層目の酸化ケイ素層が90nmであった。
その後、蒸着材料としてKY‐185(信越化学社製)を用いて防汚層の形成を行い、ポリウレタン系の粘着剤による粘着層を有するUA‐3004ASL(スミロン社製)のPET保護フィルムを貼合した。
(実施例3)
厚さが1.3mmであるDTに対して、防眩処理を施すことなく、(1)化学強化処理を施した。次いで、(2)遮光層の形成を行った。次いで、(A)酸化ニオブからなる高屈折率層の形成と、(B)酸化ケイ素からなる低屈折率層の形成とを順に行い、積層数が2層となる反射防止層の形成を行った。各層の厚さは、1層目の酸化ニオブ層が13nm、2層目の酸化ケイ素層が120nmであった。
その後、オプツールDSX(ダイキン社製)にて防汚層の形成を行い、アクリル系の粘着剤による粘着層を有するY16FAS(サンエー化研社製)のポリエチレン系保護フィルムを貼合した。
(実施例4)
厚さが1.3mmであるDTに対して、(1)防眩処理を施し、エッチング時間を調整することでヘイズを2%に調整し(2)化学強化処理を施した。次いで、(3)遮光層の形成を行った。次いで、積層数が8層となるように、(A)窒化ケイ素からなる高屈折率層の形成と、(B)酸化ケイ素からなる低屈折率層の形成と、反射防止層の形成を交互に行い、反射防止層の形成を行った。各層の厚さは、1層目の窒化ケイ素層が15nm、2層目の酸化ケイ素層が70nm、3層目の窒化ケイ素層が17nm、4層目の酸化ケイ素層が105nm、5層目の窒化ケイ素層が15nm、6層目の酸化ケイ素層50nm、7層目の窒化ケイ素層が120nm、8層目の酸化ケイ素層が80nmであった。
その後、KY‐185(信越化学社製)にて防汚層の形成を行い、アクリル系の粘着剤による粘着層を有するEC‐610B2L(スミロン社製)のポリエチレン系保護フィルムを貼合した。
(実施例5)
厚さが1.3mmであるDTに対して、(1)防眩処理を施し、エッチング時間を調整することでヘイズを2%に調整し(2)化学強化処理を施した。次いで、(3)遮光層の形成を行った。次いで、(A)酸化ニオブからなる高屈折率層の形成と、(B)酸化ケイ素からなる低屈折率層の形成とを順に行い、積層数が2層となる反射防止層20の形成を行った。各層の厚さは、1層目の酸化ニオブ層が13nm、2層目の酸化ケイ素層が120nmであった。
その後、防汚層の形成は行わず、アクリル系の粘着剤による粘着層を有するEC‐9005ASL(スミロン社製)のPET保護フィルムを貼合した。
(実施例6)
厚さが1.3mmであるDTに対して、(1)防眩処理を施し、エッチング時間を調整することでヘイズを2%に調整し(2)化学強化処理を施した。次いで、(3)遮光層の形成を行った。次いで、積層数が4層となるように、(A)酸化ニオブからなる高屈折率層の形成と、(B)酸化ケイ素からなる低屈折率層の形成と、反射防止層の形成を交互に行い、反射防止層の形成を行った。各層の厚さは、1層目の酸化ニオブ層が13nm、2層目の酸化ケイ素層が35nm、3層目の酸化ニオブ層が115nm、4層目の酸化ケイ素層が90nmであった。
その後、防汚層の形成は行わず、ポリウレタン系の粘着剤による粘着層を有するY16‐FAS(サンエー化研社製)のPET保護フィルムを貼合した。
(比較例1)
厚さが1.3mmであるDTに対して、(1)防眩処理を施し、エッチング時間を調整することでヘイズを2%に調整し(2)化学強化処理を施した。次いで、(3)遮光層の形成を行った。次いで、積層数が4層となるように、(A)酸化ニオブからなる高屈折率層の形成と、(B)酸化ケイ素からなる低屈折率層の形成と、反射防止層の形成を交互に行い、反射防止層の形成を行った。各層の厚さは、1層目の酸化ニオブ層が13nm、2層目の酸化ケイ素層が35nm、3層目の酸化ニオブ層が115nm、4層目の酸化ケイ素
層が90nmであった。
その後、KY‐185(信越化学社製)にて防汚層の形成を行い、粘着剤による粘着層を有するフタムラ化学社製のポリプロピレン系保護フィルムを貼合した。
(比較例2)
厚さが1.3mmであるDTに対して、(1)防眩処理を施し、エッチング時間を調整することでヘイズを2%に調整し(2)化学強化処理を施した。次いで、(3)遮光層の形成を行った。次いで、積層数が4層となるように、(A)酸化ニオブからなる高屈折率層の形成と、(B)酸化ケイ素からなる低屈折率層の形成と、反射防止層の形成を交互に行い、反射防止層の形成を行った。各層の厚さは、1層目の酸化ニオブ層が13nm、2層目の酸化ケイ素層が35nm、3層目の酸化ニオブ層が115nm、4層目の酸化ケイ素層が90nmであった。
その後、KY‐185(信越化学社製)にて防汚層の形成を行い、アクリル系の粘着剤による粘着層を有するTTG‐3370(スミロン社製)のPET保護フィルムを貼合した。
<評価方法>
実施例1〜6、および、比較例1〜2で得られた粘着層付き保護フィルム付きガラス積層体について、以下の評価を実施した。それらの結果をそれぞれ表1に示す。
(ヘイズ)
ヘイズはヘイズメーターHZ‐V3(スガ試験機社製)を使用し、JIS‐K‐7136に従って測定した。
(視感反射率)
視感反射率とは、JIS Z8701に規定されている反射の刺激値Yである。本発明では、分光測色計(コニカミノルタ製、形式:CM‐2600d)を用い、D65の光源下において、正反射光と拡散反射光を合わせて測定するSCI方式により反射光を測定し、測定された反射率を用いて、視感反射率を算出した。
(色ムラ評価)
色ムラ評価は以下のように実施した。まず、たとえば黒ブース内など外光が入らない部屋で、蛍光灯下2000ルクスの照度の位置に基板を保持した。その状態でいろいろな角度から色ムラがないか目視で確認した。
(密着性)
密着性は以下のように測定した。まず。包装されたラミネートフィルムを、基材上で10mm幅の短冊状に裁断する。次にそのうちの1枚を使用して90度ひきはがし試験を行った。剥離力測定装置FA PLUS(IMADA社製)を使用して、ひきはがし速度は0.84mm/secとした。これを3回、別の短冊で行い、平均値を採用した。
<測定結果>
表1に、本発明による保護フィルム付きガラス積層体の実施例(実施例1〜6)と比較例(比較例1〜2)を示す。
防眩層、反射防止層、防汚層を有するガラス積層体(実施例1〜4)、および、防眩層、反射防止層を有するガラス積層体(実施例5〜6)において、粘着層付き保護フィルムの粘着層の粘着力を所定の数値に調整することにより、ガラス積層体から粘着層付き保護フィルムを剥離した際、ガラス積層体の正面視において、遮光層形成領域におけるムラが認められず、保護フィルムを貼った箇所と貼らなかった箇所を境に色味が変わることも、境界が目立つこともなく、顕著に視感が向上した。
防眩層と反射防止層とを有するガラス積層体(実施例5〜6)では、粘着層の粘着力が0.01〜0.3N/10mmに調整されることにより、ガラス積層体から粘着層付き保護フィルムを剥離した際、ガラス積層体の正面視において、遮光層形成領域におけるムラが認められず、保護フィルムを貼った箇所と貼らなかった箇所を境に色味が変わることも、境界が目立つこともなく、顕著に視感が向上した。
防眩層と反射防止層と防汚層とを有するガラス積層体(実施例1〜4)では、粘着層の粘着力が0.01〜0.05N/10mmに調整されることにより、ガラス積層体から粘着層付き保護フィルムを剥離した際、ガラス積層体の正面視において、遮光層形成領域におけるムラが認められず、保護フィルムを貼った箇所と貼らなかった箇所を境に色味が変わることも、境界が目立つこともなく、顕著に視感が向上した。
比較例1は、防眩層、反射防止層、防汚層を有するガラス積層体である。粘着層の粘着力が0.008N/10mmであった場合、ガラス積層体から粘着層付き保護フィルムを剥離した際、ガラス積層体の正面視において、遮光層形成領域にムラが視認され、視認性が悪化した。
比較例2は、防眩層、反射防止層、防汚層を有するガラス積層体である。粘着層の粘着力が0.1N/10mmであった場合、ガラス積層体から粘着層付き保護フィルムを剥離した際、ガラス積層体の正面視において、遮光層形成領域にムラが発生し、保護フィルムを貼った箇所と貼らなかった箇所を境に色味が変わり、境界が目立ち、視認性が悪化した。
本発明の保護フィルム付きガラス積層体は、粘着層付き保護フィルムを剥離した後も、保護フィルムを貼った箇所と貼らなかった箇所の視感が変化せず、表示装置の前面基板として好適し、良好な表示視認性とともに優れた意匠性と美観を得ることができる。
本発明の保護フィルム付きガラス積層体は、ディスプレイ前面板(カバーガラス)として好適に用いられ、ディスプレイ前面板の製品保護だけでなく、表示装置に組付ける際の製造容易性向上に有用である。
1…保護フィルム付きガラス積層体、10…透明基体、20…反射防止層、30…防汚層、40…粘着層、50…保護フィルム、60…防眩層、70…遮光層、80…粘着層付き保護フィルム、90…ガラス積層体

Claims (7)

  1. 第1の主面と第2の主面とを有する透明基体と、
    前記第1の主面上に防汚層と、
    前記第2の主面の周縁部に遮光層とを少なくとも備えたガラス積層体と、
    粘着層付き保護フィルムとを備えた
    保護フィルム付きガラス積層体であって、
    前記粘着層付き保護フィルムは、前記ガラス積層体に貼り合わされ、
    前記粘着層付き保護フィルムは、前記ガラス積層体の正面視において、前記粘着層付き保護フィルムの外周端が、前記遮光層の内周側より外周側、かつ、前記遮光層の外周側より内周側の位置に貼り合わされており、
    前記防汚層と前記粘着層の間の粘着力が0.01〜0.05N/10mmであることを特徴とする保護フィルム付きガラス積層体。
  2. 前記透明基体の第1の主面は、凹凸形状を有することを特徴とする請求項1に記載の保護フィルム付きガラス積層体。
  3. 前記ガラス積層体の最表面の外周端の任意の点と、任意の点を通り前記ガラス積層体主面の外周端から垂直な直線を前記保護フィルムの外周端に対して延長して、前記保護フィルムの最寄りの外周端と交差する点と、を結ぶ線分の長さtが、0mmを超え10mm未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の保護フィルム付きガラス積層体。
  4. 前記透明基体の第2の主面の周縁部の前記遮光層は、前記透明基体の第2の主面の外周端から、0mmを超え30mm未満の領域に設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の保護フィルム付きガラス積層体。
  5. 前記粘着層は、アクリル系樹脂またはポリウレタン系樹脂を主成分とした粘着剤からなることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の保護フィルム付きガラス積層体。
  6. 前記防汚層はフッ素を含有する防汚剤からなることを特徴とする請求項1に記載の保護フィルム付きガラス積層体。
  7. 前記透明基体が化学強化ガラスであることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の保護フィルム付きガラス積層体。
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