JP2010036401A - 印刷用濃縮湿し水組成物及び印刷用湿し水組成物 - Google Patents

印刷用濃縮湿し水組成物及び印刷用湿し水組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】金属ローラー及びその周辺部材においても防腐効果が長期に渡って持続できる印刷用濃縮湿し水組成物及び印刷用湿し水組成物を提供する。
【解決手段】下記一般式(I)で示されるテトラゾール化合物及び/又はその水溶性塩を0.5〜5質量%、ベンゾトリアゾール系化合物を0.005〜3質量%、並びに、チアゾリン系化合物を0.01〜5質量%含有することを特徴とする印刷用濃縮湿し水組成物。
Figure 2010036401

【選択図】なし

Description

本発明は印刷用濃縮湿し水組成物及び印刷用湿し水組成物に関し、更に詳しくは、印刷機に装備されている銅系及び鉄系の金属ロールや周辺部に付着しても腐食や錆を発生させず、且つ中性の湿し水組成物としても防腐性に非常に優れた印刷用濃縮湿し水組成物に関する。
オフセット印刷は、油性インキが水と反発する性質を利用して、凹凸のない印刷版で印刷することを特徴とした印刷方式である。上記印刷版は、版面に凹凸の代わりに親油性の画像部と、親水性の非画像部とが形成され、画像部には油性インキが、非画像部には湿し水と呼ばれる水性成分がそれぞれ付着する。
印刷に際しては、先ず、版面に、湿し水と呼ばれる水性成分が噴霧装置等の湿し水供給装置によって供給されて非画像部が湿し水で湿潤された状態となり、次いで、油性インキがインキ供給装置のインキ付けローラーにより供給される。
従って、版面に油性インキを供給するインキ付けローラーは、印刷版と常に接触しながら回転しているため、非画像部を覆っている湿し水は、かすり取られるようにしてインキ付けローラー表面に付着する。そして更に、湿し水は隣接するローラーに次々に伝播して、最終的にはインキ練りローラー群やインキ元ローラーを湿し水が水滴若しくは水膜の状態で覆うようになる。この状態では、油性インキは、ローラーに充分付着しなくなるため、油性インキの移送性を考慮して、インキ練りローラーとしては、親油性の高い銅系(銅又はその合金)の素材からなるもの、インキ元ローラーとしては、強度やコスト等も考慮して、最近では鉄系(鉄又はその合金)の素材からなるものが用いられるようになっている。
このようなローラーを装備している印刷機を用いて印刷する場合は、上述の通り、各種の金属ローラーも印刷作業中においては、常に湿し水に曝されることになる。また、湿し水を噴霧装置により供給しているため、その周辺部、印刷機本体(素材:鋳鉄等)、ローラー軸(素材:鉄の合金等)等が湿し水に曝されることになる。その結果、時間と共にローラー表面及びその周辺部材が腐食や錆びが進行するといった問題がある。
印刷機の腐食や錆びを防止する技術は、これまでにも研究されており、オフセット湿し水組成物中にベンゾトリアゾール類を0.01質量%以上含有させる方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。これは、ベンゾトリアゾール類が銅成分と化学的に反応し、キレート化合物として銅表面を覆うことによって防錆効果を発揮することに基づくものである(例えば、特許文献2の段落[0005]参照)。このため、当該方法では、銅系のローラーに対しては有効な防錆効果が得られるが、最近、増加している鉄系のインキ元ローラー及びその周辺部材の腐食や錆びに対しては必ずしも十分な効果を得ることが出来ないものであった。
また、使用する湿し水(例えば、新聞印刷で使用する湿し水)は、緩衝剤、湿潤剤、界面活性剤等が配合されたアルカリ性ものが通常であるが、近年、環境問題から下水道の排水基準を満たす中性の湿し水が使用されるようになってきている。しかし、とりわけ、中性の湿し水は腐敗しやすく、製造から使用までの保存期間が短くなるうえ、印刷機の湿し水循環装置のパイプ詰まり等を起こし易い。そこで、この問題を解決するために、湿し水中に防腐剤を含有させ腐敗を防止する方法が研究されている。
しかし、防腐剤と先のような防錆剤とを併用して使用する場合は、組み合わせによっては、経時安定性が低下し有効期間が短くなるという問題を有するものであった。
特開平02−076793号公報 特開平7−113184号公報
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、湿し水を用いたオフセット印刷の間において、銅系だけでなく、より酸化されやすい鉄系の素材からなる印刷機の金属ローラー及びその周辺部材においても腐食や錆びを防止することができ、且つ防腐効果が長期に渡って持続できる印刷用濃縮湿し水組成物及び印刷用湿し水組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上述の課題を解決するために鋭意検討した結果、印刷用濃縮湿し水組成物中に、防錆剤として、テトラゾール化合物及び/又はその水溶性塩とベンゾトリアゾール系化合物をとを特定量添加することにより、印刷機の金属ローラー及びその周辺部材の腐食や錆びを防止でき、更に防腐剤として特定量のチアゾリン系化合物を上述の防錆剤と併用することにより、経時安定性が低下することなく湿し水の防腐効果が長期に渡って発揮できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、(1)下記一般式(I)で示されるテトラゾール化合物及び/又はその水溶性塩を0.5〜5質量%、ベンゾトリアゾール系化合物を0.005〜3質量%、並びに、チアゾリン系化合物を0.01〜5質量%含有することを特徴とする印刷用濃縮湿し水組成物に関する。
Figure 2010036401
(式中、R、R’は、同一若しくは異なって、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基、炭素数1〜20のアルキルフェニル基、アミノ基、アミノフェニル基、メルカプト基、炭素数1〜20のアルキルメルカプト基又は炭素数1〜20のカルボキシアルキル基を表す。)
また、本発明は、(2)上記一般式(I)で表されるテトラゾール化合物及び/又はその水溶性塩0.005〜0.05質量%、ベンゾトリアゾール系化合物を0.0001〜0.03質量%、並びに、チアゾリン系化合物を0.001〜0.05質量%含有することを特徴とする印刷用湿し水組成物に関する。
以下、本発明の印刷用濃縮湿し水組成物及び印刷用湿し水組成物について詳細に説明する。
本発明の印刷用濃縮湿し水組成物には、防錆剤として上記一般式(I)で示されるテトラゾール化合物及び/又はその水溶性塩とベンゾトリアゾール系化合物とを併用して使用する。これらの防錆剤を併用することにより、本発明の印刷用濃縮湿し水組成物を希釈して得られる湿し水をオフセット印刷に使用した場合に、印刷機に装備されている銅系及び鉄系の金属ロールや周辺部の腐食や錆びを防止することができる。
まず、上記テトラゾール化合物及び/又はその水溶性塩について具体的に説明する。
本発明で使用することができるテトラゾール化合物及び/又はその水溶性塩としては、上記一般式(I)で示されるテトラゾール化合物及び/又はその水溶性塩が挙げられる
ここで、上記一般式(I)中、R、R’は、同一若しくは異なって、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基、炭素数1〜20のアルキルフェニル基、アミノ基、アミノフェニル基、メルカプト基、炭素数1〜20のアルキルメルカプト基又は炭素数1〜20のカルボキシアルキル基を表す。このような成分を使用することによって、オフセット印刷時において、印刷適性を損なうことなく、印刷機の鉄系ローラー及びその周辺鉄系部材における腐食や錆びの発生を良好に防止することが可能となる。
上記アルキル基、シクロアルキル基、アルキルフェニル基、アルキルメルカプト基、カルボキシアルキル基は、上記記載の炭素数であれば特に限定されず、また、アルキル鎖は直鎖状、分岐状のいずれであってもよい。なかでも、上記R、R’としては、水素、炭素数が1〜12のアルキル基、フェニル基、ナフチル基、アミノ基又はメルカプト基が好ましい。
上記テトラゾール化合物としては、上記一般式(I)で示される化合物であれば特に限定されず、例えば、5置換−1H−テトラゾール、1置換−1H−テトラゾール、1置換−5置換−1H−テトラゾール等が挙げられる。
具体的には、1H−テトラゾール、1−メチルテトラゾール、1−エチルテトラゾール、1−プロピルテトラゾール、1−ブチルテトラゾール、1−ペンチルテトラゾール、1−ヘキシルテトラゾール、1−ドデシルテトラゾール、1−フェニルテトラゾール、5−メチル−1H−テトラゾール、5−エチル−1H−テトラゾール、5−プロピル−1H−テトラゾール、5−ブチル−1H−テトラゾール、5−ペンチル−1H−テトラゾール、5−ヘキシル−1H−テトラゾール、5−ドデシル−1H−テトラゾール、5−フェニル−1H−テトラゾール、1−メチル−5−メチルテトラゾール、1−エチル−5−メチルテトラゾール、1−プロピル−5−メチルテトラゾール、1−ブチル−5−メチルテトラゾール、1−ペンチル−5−メチルテトラゾール、1−ヘキシル−5−メチルテトラゾール、1−ドデシル−5−メチルテトラゾール、1−フェニル−5−メチルテトラゾール、1−ナフチル−5−メチルテトラゾール、1−メチル−5−エチルテトラゾール、1−メチル−5−フェニルテトラゾール、1−エチル−5−フェニルテトラゾール、1−プロピル−5−フェニルテトラゾール、1−ブチル−5−フェニルテトラゾール、1−ペンチル−5−フェニルテトラゾール、1−ヘキシル−5−フェニルテトラゾール、1−ドデシル−5−フェニルテトラゾール、1−フェニル−5−フェニルテトラゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、5−(2−アミノフェニル)−1H−テトラゾール、1−メチル−5−アミノテトラゾール、1−エチル−5−アミノテトラゾール、1−プロピル−5−アミノテトラゾール、1−ブチル−5−アミノテトラゾール、1−ペンチル−5−アミノテトラゾール、1−ヘキシル−5−アミノテトラゾール、1−ドデシル−5−アミノテトラゾール、1−フェニル−5−アミノテトラゾール、5−メルカプト−1H−テトラゾール、1−メチル−5−メルカプトテトラゾール、1−エチル−5−メルカプトテトラゾール、1−プロピル−5−メルカプトテトラゾール、1−ブチル−5−メルカプトテトラゾール、1−ペンチル−5−メルカプトテトラゾール、1−ヘキシル−5−メルカプトテトラゾール、1−ドデシル−5−メルカプトテトラゾール、1−シクロヘキシル−5−メルカプトテトラゾール、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、1−カルボキシメチル−5−メルカプトテトラゾール等を挙げることができる。
上記式(I)で示されるテトラゾール化合物の水溶性塩は、有機窒素含有化合物、アンモニア、無機塩類を用いて公知の方法により製造できる。このような水溶性塩を製造するための無機塩類としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属、バリウム、カルシウム等のアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物又は炭酸塩等が挙げられる。
また、上記有機窒素含有化合物としては、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、モノシクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のモノアミン類、1〜4個のアルキル基で置換されたジアミン類、アルキル基の少なくとも1個が水酸基やポリオキシエチレン基等の親水性基を有するアルキルモノアミン、アルキルジアミン等を挙げることができる。これらのうち、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モノメチルエタノールアミン、モノエチルエタノールアミン、モノブチルエタノールアミン等を用いるのが特に有利である。
上記一般式(I)で示されるテトラゾール化合物、その水溶性塩としては、1H−テトラゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、それらの水溶性塩(特に有機窒素含有化合物の塩)を使用することが好ましい。これにより、本発明の効果を良好に得ることができる。上記テトラゾール化合物、その水溶性塩は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、本発明の印刷用濃縮湿し水組成物における上記テトラゾール化合物及び/又はその水溶性塩(以下、「テトラゾール系化合物」ともいう。)の含有量は、印刷用濃縮湿し水組成物の全重量に基づいて0.5〜5質量%である。
上記テトラゾール系化合物の含有量が0.5質量%より少なくなると、本発明の印刷用濃縮湿し水組成物を希釈して得られる湿し水をオフセット印刷に使用した場合に、鉄系の金属ローラー及びその周辺鉄系部材での腐食、錆びを充分に防止することができない。一方、5質量%を超えると、印刷適性が低下する。上記含有量は、好ましくは1〜4質量%である。
なお、上記含有量は、テトラゾール化合物、その水溶性塩を2種以上併用する場合は、これらの合計含有量である。
次に、ベンゾトリアゾール系化合物について具体的に説明する。
本発明で使用できるベンゾトリアゾール系化合物としては、ベンゾトリアゾール、並びにそのベンゼン環にメチル基やエチル基等のアルキル基、塩素、臭素等のハロゲン原子等が置換した誘導体を挙げることができる。なかでも、入手が容易で好適な防錆効果が得られることから、ベンゾトリアゾールが好ましい。
なお、本発明の印刷用濃縮湿し水組成物におけるベンゾトリアゾール系化合物の含有量は、印刷用濃縮湿し水組成物の全重量に基づいて0.005〜3質量%である。
上記ベンゾトリアゾール系化合物の含有量が0.005質量%より少なくなると、本発明の印刷用濃縮湿し水組成物を希釈して得られる湿し水をオフセット印刷に使用した場合に、銅系の金属ローラー及びその周辺銅系部材での腐食、錆びを充分に防止することができない。一方、3質量%を超えると、ベンゾトリアゾール系化合物の溶解性が低下するので、均一な印刷用湿し水組成物が得ることできなくなる。上記含有量は、好ましくは0.01〜0.3質量%である。
なお、上記含有量は、ベンゾトリアゾール系化合物を2種以上併用する場合は、これらの合計含有量である。
また、本発明の印刷用濃縮湿し水組成物には、防腐剤としてチアゾリン系化合物を更に使用する。上記チアゾリン系化合物を上記防錆剤と併用した場合、経時安定性の低下もなく、湿し水の防腐効果が長期に渡って得ることができる。
上記チアゾリン系化合物の具体例としては、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、n−オクチル−イソチアゾリン−3−オン等のチアゾリン系化合物が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、入手が容易で好適な防腐効果が得られることから、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンが好ましい。
なお、本発明の印刷用濃縮湿し水組成物における上記チアゾリン系化合物の含有量は、印刷用濃縮湿し水組成物の全重量に基づいて0.01〜5質量%である。上記含有量が0.01質量%未満であると、湿し水の防腐効果が充分に得られない。5質量%を超えても、防腐効果が向上しない。上記含有量は、好ましくは0.1〜2質量%である。
なお、上記含有量は、上記チアゾリン系化合物を2種以上併用する場合は、これらの合計含有量である。
本発明の印刷用濃縮湿し水組成物には、湿し水の版面上の液膜特性を最適化する見地から、必要に応じて、整面剤や整面助剤、湿潤剤、界面活性剤、消泡剤、又はpH調整剤を適宜添加してもよい。
本発明の印刷用濃縮湿し水組成物は、排水処理の面から中性とすることが好ましいが、必要に応じて、pH調整剤として塩基性化合物を利用することにより、アルカリ性の印刷用湿し水組成物としても使用できる。
ここで、上記塩基性化合物としては、ケイ酸塩、苛性ソーダ等の無機塩基が利用できる。
また、本発明の印刷用濃縮湿し水組成物に適宜添加する整面剤や整面助剤としては、従来から湿し水組成物に使用されているものが使用でき、具体的には、リン酸1及至3ナトリウム、リン酸1及至3カリウム、リン酸1及至3アンモニウム、リン酸アンモニウムナトリウム、ポリリン酸のナトリウム、カリウム又はアンモニウム等のリン酸塩、さらに、ほう酸金属塩、クエン酸金属塩、酒石酸金属塩、硫酸金属塩、硝酸金属塩、重炭酸金属塩、アルミニウムミョウバン等の塩基を単独又は混合して使用することができる。
また、本発明の印刷用濃縮湿し水組成物に適宜添加する湿潤剤としては、従来から湿し水組成物に使用されているものが使用でき、具体的には、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、メツルグルコシド、ペクチン、ポリビニルピドリドン、ポリビニルアルコール、メチルビニルエーテル、無水マレイン酸共重合体、アルギン酸、アルコール類又はグリセリン類等を単独又は混合して使用することができる。
また、本発明の印刷用濃縮湿し水組成物に適宜添加する界面活性剤としては、従来から湿し水組成物に使用されているものが使用でき、具体的には、グリセリン脂肪酸エステル系、ポリグリセリン脂肪酸エステル系、プロピレングリコール脂肪酸エステル系、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル系、ポリオキシエチレン系等が、防錆剤としてトリエタノールアミン又はトリエチルアミンのアミン類、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸ジシクロヘキシルアンモニウム等を単独又は混合して使用することができる。
また、本発明の印刷用濃縮湿し水組成物に適宜添加する消泡剤としては、従来から湿し水組成物に使用されているものが使用でき、具体的には、シリコン系消泡剤等を単独又は混合して使用することができる。
本発明の印刷用濃縮湿し水組成物を調製するには、水に上記の防錆剤及び防腐剤を所定の含有量となるように添加し、さらに必要に応じてその他の材料を適宜添加して、通常の攪拌機で攪拌混合する方法が利用できる。
上記水としては、水に含まれるイオンにより防錆剤及び防腐剤の経時安定性が低下するのでイオン交換水、脱塩水を使用することが好ましい。
以上の材料と調製方法から得られる印刷用濃縮湿し水組成物は、水道水、井戸水、イオン交換水、脱塩水等の水で希釈して利用すると、湿し水を用いたオフセット印刷において、銅系だけでなく、より酸化されやすい鉄系の素材からなる印刷機に装備されている金属ロールや周辺部部材においても腐食又は錆びを防止することができ、且つ湿し水の防腐効果も長期に渡って得ることができる。
本発明の印刷用濃縮湿し水組成物は、このようなオフセット印刷に使用する印刷用湿し水組成物と使用する場合は、上述の一般式(I)で表されるテトラゾール化合物及び/又はその水溶性塩を0.005〜0.05質量%、上述のベンゾトリアゾール系化合物を0.0001〜0.03質量%、並びに、上述のチアゾリン系化合物を0.001〜0.05質量%含有するように適宜(約70〜200倍)希釈して使用することができる。このような印刷用湿し水組成物もまた、本発明の一つである。本発明の印刷用湿し水組成物もまた、経時安定性、防錆性、防腐性、印刷品質に優れるものである。
上記印刷用湿し水組成物は、上述したように、本発明の印刷用濃縮湿し水組成物を、所定の濃度になるように適宜希釈して製造してもよいし、各成分を所定の濃度になるように、配合して混合分散して製造してもよい。
本発明は、上述した構成からなるものであるため、経時安定性、防錆性、防腐性及び印刷品質に優れ、オフセット印刷において好適に使用できる湿し水を得ることができる印刷用濃縮湿し水組成物、並びに、印刷用湿し水組成物である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味するものとする。
〔印刷用濃縮湿し水組成物の製造方法〕
表1に示すように各成分を配合し、ディスパーで攪拌混合し、実施例1〜11、比較例1〜6の印刷用濃縮湿し水組成物を得た。なお。表1に示す単位はいずれも質量部である。
〔評価〕
上記で得られた実施例、比較例の印刷用湿し水組成物について、以下の経時安定性、錆び試験、防腐試験及び印刷試験を行った。結果を表1に示した。
[経時安定性]
ガラス瓶に、実施例1〜11、比較例1〜6の印刷用濃縮湿し水組成物をそれぞれ100g採取し、密栓して40℃の雰囲気下で7日間保存した後、変色と沈降物の発生の有無から経時保存安定性を下記の基準にて評価した。
A:変色及び沈降物の発生が全く見られないもの。
B:変色又は沈降物の発生が僅かに見られるもの。
C:変色又は沈降物の発生が激しいもの。
[銅板の錆び試験]
ガラス容器に、実施例1〜11と比較例1〜6の印刷用濃縮湿し水組成物を水道水で100倍希釈した湿し水を注ぎ、銅板を上記ガラス容器中に半浸漬状態で、常温で1週間放置して、液層部の発錆状態を観察し、下記の基準にて評価した。
(評価基準)
A:錆びの発生なし又は極僅かに錆びが発生するもの
B:錆が少し発生するもの
C:錆が全面で発生している
[鉄板の錆び試験]
ガラス容器に、実施例1〜11と比較例1〜6の印刷用濃縮湿し水を水道水で100倍希釈した湿し水を注ぎ、鉄板を上記ガラス容器中に半浸漬状態で、常温で1週間放置して、液層部の発錆状態を観察し、下記の基準にて評価した。
A:錆びの発生なし又は極僅かに錆びが発生するもの
B:錆が少し発生するもの
C:錆が全面で発生しているもの
[印刷試験]
実施例1〜11及び比較例1〜6の印刷用濃縮湿し水組成物を水道水で100倍希釈した湿し水を使用して、下記にて、湿し水供給ダイヤルを一定にした状態で、以下の条件の下で印刷を行い、本来、インキの付着しない非画線部全体に占める汚れの部分の面積の度合いから印刷適性を評価した。
印刷機 :東浜5N−600型(東浜精機社製)
湿し水装置:スプレー方式(SSD−12ダンプナー、サカタインクス社製)
印刷インキ:新聞用オフ輪藍インキ(サカタインクス社製)
印刷速度 :500rpm
温度/湿度:25℃/60%
印刷用紙 :SL紙(超軽量紙、王子製紙社製、連量19k)
印刷部数 :20000枚
(評価基準)
<評価方法>
20000部の印刷部数中で印刷汚れが発生しない比較例1の印刷適性を良好として、20000部の印刷部数中で印刷汚れの発生状況から実施例1〜11、比較例1〜6の印刷適性を評価した。
良好:印刷汚れが発生せず、比較例1と同等の印刷適性を有する。
不良:印刷汚れが発生し、比較例1より印刷適性が劣る。
[防腐・防黴性]
実施例1〜11、比較例1〜6のオフセット印刷用濃縮湿し水組成物を水道水で100倍希釈した湿し水、及び、標準品として市販塩基性湿し水組成物(商品名:SAH−3、サカタインクス社製)を25℃、60%で1ヶ月放置した。その後、上記湿し水組成物96質量部に、印刷現場の排水ピットから採取した細菌類とカビ類を含む排水2質量部と澱粉溶液2質量部とを加えて25℃で保存し、スライムの発生の有無を2日ごとに確認して、何回目の確認の時からスライムが発生したかで防腐・防カビ性を下記の基準にて評価した。
A:3回目の確認においてもスライムの発生が認められない。
B:3回目の確認の時からスライムの発生が認められる。
C:2回目の確認の時からスライムの発生が認められる。
D:1回目の確認の時からスライムの発生が認められる。
なお、標準品は3回目の確認の時からスライムの発生が認められ、B評価であることから、Bと同等以上の防腐・防カビ性を良好と判断した。
Figure 2010036401
表1より、実施例の印刷用濃縮湿し水組成物は、経時安定性、銅板及び鉄板に対する防錆性、防腐防黴性、印刷適性の全ての項目において良好であった。一方、比較例の印刷用濃縮湿し水組成物では、上記全ての項目において良好であるものはなかった。
本発明の印刷用濃縮湿し水組成物及び印刷用湿し水組成物は、経時安定性、銅板及び鉄板に対する防錆性、防腐性及び印刷品質に優れるものであるため、オフセット印刷において好適に使用することができる。

Claims (2)

  1. 下記一般式(I)で示されるテトラゾール化合物及び/又はその水溶性塩を0.5〜5質量%、
    ベンゾトリアゾール系化合物を0.005〜3質量%、並びに、
    チアゾリン系化合物を0.01〜5質量%含有する
    ことを特徴とする印刷用濃縮湿し水組成物。
    Figure 2010036401
    (式中、R、R’は、同一若しくは異なって、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基、炭素数1〜20のアルキルフェニル基、アミノ基、アミノフェニル基、メルカプト基、炭素数1〜20のアルキルメルカプト基又は炭素数1〜20のカルボキシアルキル基を表す。)
  2. 下記一般式(I)で表されるテトラゾール化合物及び/又はその水溶性塩を0.005〜0.05質量%、
    ベンゾトリアゾール系化合物を0.0001〜0.03質量%、並びに、
    チアゾリン系化合物を0.001〜0.05質量%含有する
    ことを特徴とする印刷用湿し水組成物。
    Figure 2010036401
    (式中、R、R’は、同一若しくは異なって、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基、炭素数1〜20のアルキルフェニル基、アミノ基、アミノフェニル基、メルカプト基、炭素数1〜20のアルキルメルカプト基又は炭素数1〜20のカルボキシアルキル基を表す。)
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