JP5379431B2 - 印刷用湿し水組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、オフセット印刷等に利用することができる印刷用湿し水組成物に関する。
オフセット印刷に用いられる印刷版は、画線部と非画線部とが同一平面状に形成される。そして、画線部は親油性(疎水性)であり、油性インキに対して受理性が高く、水に対して受容性がないように処理されている。一方、非画線部は親水性(疎油性)であり、水に対して受理性が高く、油性インキに対して受容性がないように処理されている。このような処理が施されたオフセット印刷版を用いたオフセット印刷においては、まず印刷版上に湿し水を供給し、親水性の非画線部に均一で薄い水の膜を形成させることが必要である。この水膜で覆われている部分は、油性インキの転移を阻害するため、結果として油性インキを親油性の画線部のみに転移させ、この印刷版上に形成されたインキ画像は、ブランケット、次いで被印刷体に転移して印刷物が得られる。
ここで、使用される湿し水は、最も簡単には水であってもよい。しかし、水のみでは、以下の2つの理由により湿し水としての機能を十分満足するものとはならない。第一には、水は表面張力が大きいため、前記のようにローラや印刷版上に均一な水の膜を作成しようとすればかなりの厚さの膜となってしまい、インキが過乳化するなどのトラブルを引き起こすことが挙げられる。また、第二には、湿し水がインキ中に取り込まれて乳化されると、インキのローラ間を転移する能力は一般に低下するが、湿し水が水である場合には、この転移能力の低下が顕著なものとなり、印刷紙面の濃度低下や、水着けローラにインキが溜まることによる印刷紙面の汚れなどのトラブルが引き起こされることが挙げられる。そこで、通常、このような印刷不良を改善するために、湿し水の表面張力、粘度、pH値や印刷インキに対する乳化特性を最適にし、かつ、印刷版の全面に供給される湿し水において、局部的に異なる水量の差(非画線部上に形成される水膜の厚さの差)を少なくすることが必要であり、そのために粘度調整剤、親水性化剤、緩衝剤、溶解助剤、湿潤剤、消泡剤等が添加配合されている。
ここで、湿し水の表面張力の観点からは、イソプロピルアルコールを湿し水に添加することが有効である。イソプロピルアルコールは湿し水の表面張力を効果的に低下させることができるので、水着けローラの水膜を薄く、均一なものとすることができる。このため、少ない量の湿し水で印刷することができ、インキの乳化に伴うトラブルを効果的に防止することができる。このような知見を活用して、湿し水中にイソプロピルアルコールを1〜20質量%含有する印刷用湿し水組成物も提案されている(たとえば、特許文献1を参照)。
しかしながら、このイソプロピルアルコールは、消防法における危険物に該当し、また、労働安全衛生法の有機溶剤中毒予防規則でも規制されており、消防や作業環境といった面で好ましくない。そこで、イソプロピルアルコールを有機溶剤中毒予防規則の規制以下(印刷用湿し水組成物中5質量%未満)に、更には、イソプロピルアルコールを全く含有しない印刷用湿し水組成物が望まれており、種々の印刷用湿し水組成物の提案がなされている(たとえば、特許文献2,3参照)。しかしながら、イソプロピルアルコールを添加した湿し水組成物に匹敵するような性能の湿し水組成物は未だ得られていないのが現状であり、印刷時の湿し水量の調整が困難な状況が続いている。すなわち、湿し水量が多い状態で印刷すれば、印刷紙面の汚れは防止することができても過乳化等の問題が生じ、湿し水量が少ない状態で印刷すれば、乳化のトラブルは防止できても印刷紙面に汚れを生じるといった問題が発生するので、湿し水量の調整の幅が狭く、熟練した技術が必要とされるような状態が続いているのである。
次に、インキが乳化することによって転移能力が低下するという観点からは、従来、界面活性剤などの助剤を湿し水組成物に添加することによって、インキの乳化性能を調整する方法が知られている(たとえば、特許文献4を参照)。これは、湿し水組成物に含まれている界面活性剤がインキ中に取り込まれると、インキ中での乳化破壊(いわゆるエマルジョンブレーク)が促進されて、インキの乳化が抑制されることに基づくものである。しかしながら、湿し水組成物中の界面活性剤の適正な添加量の範囲は大変狭く、添加量が適正な範囲から少しでも外れると、水の表面にインキが拡散してしまう、いわゆる「インキの散り」と呼ばれる現象を生じて、印刷紙面に汚れを生じる場合がある。このため、湿し水組成物に界面活性剤を添加する場合には、その濃度の管理に細心の注意を払わねばならず、やはり熟練を要するものであった。
また、特許文献5によれば、湿し水組成物にポリオキシプロピレンメチルグルコシドを添加することにより、湿し水供給量の調整が容易となり、かつ印刷物に汚れが発生することを防止できることが示されている。確かに、ポリオキシプロピレンメチルグルコシドを添加することにより、インキが乳化することに伴うローラ間の転移能力の低下が抑制されるため、印刷紙面の濃度低下や、水着けローラにインキが溜まることによる印刷紙面の汚れなどのトラブルを防止することができる。しかしながら、この成分には湿し水の表面張力を低下させる効果はないので、湿し水の供給量が少ない場合には、水着けローラ上の水膜を薄い均一な膜とすることができない。このため、湿し水の供給量が少ない印刷条件においては、水着けローラ上の所々で水膜の破れを生じてしまい、印刷物の汚れを生じてしまう場合があった。
特開昭54−114302号公報 特開平03−155991号公報 特開平06−206391号公報 特公昭58−5797号公報 特開2006−103241号公報
したがって本発明の目的は、従来のイソプロピルアルコールの使用量を抑制することにより消防上および安全衛生面での問題を解決し、印刷作業において湿し水供給量の調整を容易にし、印刷物の汚れの発生を防止することができる印刷用湿し水組成物を提供することである。
本発明は、下記化学式(1);
Figure 0005379431
[但し、a,b,c,dはそれぞれ0〜50の整数、1≦a+b+c+d≦50]
で表されるポリオキシプロピレンメチルグルコシド、およびアルキレングリコールモノアルキルエーテルを含有し、
前記ポリオキシプロピレンメチルグルコシドの含有量が0.001〜0.2質量%であり、
前記アルキレングリコールモノアルキルエーテルが、エチレングリコールモノイソブチルエーテルと、トリエチレングリコールモノノルマルブチルエーテルと、エチレングリコールモノノルマルブチルエーテルとからなる群から選択される少なくとも1種の化合物であることを特徴とする印刷用湿し水組成物である。
また本発明は、前記アルキレングリコールモノアルキルエーテルの含有量が0.05〜3質量%であることを特徴とする。
本発明者らは、研究を重ねた結果、所定量のポリオキシプロピレンメチルグルコシド化合物と、所定の群から選択されるアルキレングリコールモノアルキルエーテル化合物とを含有する印刷用湿し水組成物を使用することによって、上記課題を全て解決することができるばかりでなく、これらの化合物を単独で使用した場合に比べて、印刷物の汚れを防止する効果が著しく改善されるという顕著な効果を見出した。本発明はこのような知見に基づくものである。
すなわち、本発明によれば、所定量のポリオキシプロピレンメチルグルコシド化合物と、所定の群から選択されるアルキレングリコールモノアルキルエーテル化合物とを含有する印刷用湿し水組成物を使用することによって、湿し水組成物におけるイソプロピルアルコールの使用量を5質量%未満にし、更には全く無くしても、印刷物の汚れを防止することができるので、イソプロピルアルコールを使用することに伴う消防上および安全衛生面での問題を解決し、印刷作業において湿し水供給量の調整を容易にすることができる。さらに上記構成の湿し水組成物は、印刷物の汚れを防止する効果が特に高く、少ない湿し水量であっても汚れを防止することができる。したがって、従来の湿し水組成物よりも湿し水量の調整が容易なだけでなく、湿し水量を意図的に少なくすることによって、インキの発色を向上させ、かつドットゲインの少ないシャープな印刷紙面が得られるという新たな効果を生じる。このような効果は、湿し水組成物の表面張力を下げて印刷版面で均一な水膜を形成しようとする改良効果と、インキ中への湿し水の乳化量を抑えることによりインキのローラ間を転移する転移能力を高い状態で維持して、ローラ上にインキが滞留しないようにしようとする改良効果とが、互いに高度に結びついた特別な効果ということができる。
以下、本発明の印刷用湿し水組成物について詳細に説明する。本発明の印刷用湿し水組成物は、オフセット印刷に用いられる印刷版の画線部にインキを付着させてインキ画像を形成させるときに、印刷版の非画線部に水膜を形成させる、いわゆる湿し水の組成物である。本発明の印刷用湿し水組成物は、下記化学式(1)で表わされるポリオキシプロピレンメチルグルコシド、およびアルキレングリコールモノアルキルエーテルを含有する。
Figure 0005379431
[但し、a,b,c,dはそれぞれ0〜50の整数、1≦a+b+c+d≦50]
化学式(1)で表されるポリオキシプロピレンメチルグルコシドは、インキの乳化特性を改善し、インキが乳化したときにローラ間の転移性を損なうことを防止するために添加されるものである。印刷用湿し水組成物中にポリオキシプロピレンメチルグルコシドが含有されることによって、インキが水着けローラ等に絡むことが防止されて、良好な水上がりが維持され、印刷紙面の汚れを防ぐことができる。本発明の印刷用湿し水組成物において、化学式(1)で表されるポリオキシプロピレンメチルグルコシドの含有量は、本発明の効果を十分に得ることができる観点から、印刷用湿し水組成物の全質量に基づいて、好ましい下限は0.001質量%であり、好ましい上限は0.2質量%である。ポリオキシプロピレンメチルグルコシドの含有量が0.001質量%未満では、インキの乳化特性を改善する十分な効果が得られず、また、0.2質量%を超えるとインキの過乳化を発生しやすくなる。
本発明の印刷用湿し水組成物に含有されるアルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリエチレングリコールモノノルマルブチルエーテル、エチレングリコールモノノルマルブチルエーテルが挙げられる。これらの化合物は、印刷用湿し水組成物の表面張力を下げることにより、湿し水組成物の水着けローラに対する濡れ性を向上させることを目的として添加される。これにより、水着けローラ上に均一な薄い水の膜を形成することができるので、水上がりが安定して印刷紙面の汚れが防止される。これらのアルキレングリコールモノアルキルエーテル化合物は、単独でも2種以上の化合物を併用してもよく、好ましく使用できる範囲は印刷用湿し水組成物中0.05質量%〜3質量%であり、より好ましい範囲は0.1質量%〜1.5質量%である。アルキレングリコールモノアルキルエーテルの含有量が0.05質量%未満では、印刷用湿し水組成物の表面張力を下げる十分な効果が得られず、また、3質量%を超えると湿し水の濃縮化が困難となる。
本発明の印刷用湿し水組成物において、化学式(1)で表されるポリオキシプロピレンメチルグルコシド、およびアルキレングリコールモノアルキルエーテル(以下、前記2つの化合物をまとめて、「当該化合物」と呼ぶ場合がある。)を所定の質量%で含有させる方法としては、当該化合物を印刷用湿し水組成物の全質量に基づいて所定の質量%の範囲となるように含有させることができる方法であれば、どんな方法でも好適に用いることができる。たとえば、(a)予め調整した印刷用濃縮湿し水組成物中に当該化合物を含有させ、水などの希釈液で希釈して印刷用湿し水組成物としたときに当該化合物が所定の質量%となるようにする方法、(b)予め調製した印刷用濃縮湿し水組成物中に当該化合物を含有させ、当該化合物が含有された希釈液で希釈して印刷用湿し水組成物としたときに当該化合物が所定の質量%となるようにする方法、(c)予め調整した印刷用濃縮湿し水組成物中に当該化合物を含有させ、水などの希釈液で希釈した後、当該化合物を後添加して印刷用湿し水組成物としたときに当該化合物が所定の質量%となるようにする方法、(d)当該化合物を含有していない印刷用湿し水組成物に当該化合物を後添加して、当該化合物が所定の質量%となるようにする方法、などが挙げられる。
上記(a)の方法を具体的に説明すると、まず、水に対して、化学式(1)で表されるポリオキシプロピレンメチルグルコシド、およびアルキレングリコールモノアルキルエーテルを溶解可能な範囲で添加し、さらに必要に応じてその他の添加剤を適宜添加して、通常の撹拌機で撹拌混合して印刷用濃縮湿し水組成物を調製する。そして、調製された印刷用濃縮湿し水組成物を、水などの希釈液で適度な希釈範囲(約30〜200倍)で希釈し、当該化合物が所定の質量%で含有された印刷用湿し水組成物を得る。
上記(b)の方法では、まず、水に対して、化学式(1)で表されるポリオキシプロピレンメチルグルコシド、およびアルキレングリコールモノアルキルエーテルを溶解可能な範囲で添加し、さらに必要に応じてその他の添加剤を適宜添加して、通常の撹拌機で撹拌混合して印刷用濃縮湿し水組成物を調製する。そして、調製された印刷用濃縮湿し水組成物を、当該化合物が含有された希釈液で適度な希釈範囲(約30〜200倍)で希釈し、当該化合物が所定の質量%で含有された印刷用湿し水組成物を得る。
上記(c)の方法では、まず、水に対して、化学式(1)で表されるポリオキシプロピレンメチルグルコシド、およびアルキレングリコールモノアルキルエーテルを溶解可能な範囲で添加し、さらに必要に応じてその他の添加剤を適宜添加して、通常の撹拌機で撹拌混合して印刷用濃縮湿し水組成物を調製する。そして、調製された印刷用濃縮湿し水組成物を、水などの希釈液で適度な希釈範囲(約30〜200倍)で希釈した後、当該化合物を後添加し、当該化合物が所定の質量%で含有された印刷用湿し水組成物を得る。
上記(d)の方法では、当該化合物を含有していない印刷用湿し水組成物に、当該化合物を所定量添加し、さらに必要に応じてその他の添加剤を適宜添加して、通常の撹拌機で撹拌混合して、当該化合物が所定の質量%で含有された印刷用湿し水組成物を得る。
本発明の印刷用湿し水組成物に配合されるその他の添加剤として、可溶化剤、pH調整剤、製面剤、製面助剤、保湿湿潤剤、湿潤剤、界面活性剤、防錆剤、消泡剤、防腐剤、キレート化剤、親水化主剤化合物などを挙げることができる。
可溶化剤は、化学式(1)で表されるポリオキシプロピレンメチルグルコシド、およびアルキレングリコールモノアルキルエーテルの水に対する溶解性を向上させるためのものであり、プロピレングリコールやエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテルなどが挙げられる。
pH調整剤は、印刷用湿し水組成物としてのpHを調整するために添加するものである。印刷用湿し水組成物は、中性の印刷用湿し水組成物として、また、pH調整剤として塩基性あるいは酸性の化合物を単独または2種以上使用することにより、アルカリ性あるいは酸性の印刷用湿し水組成物として使用できる。上記塩基性のpH調整剤としては、ケイ酸塩、苛性ソーダ、炭酸ソーダなどの無機塩基が利用でき、また、酸性のpH調整剤としては、クエン酸、リン酸などの酸性化合物が利用できる。
整面剤や整面助剤としては、リン酸1ナトリウム、リン酸2ナトリウム、リン酸3ナトリウム、リン酸1カリウム、リン酸2カリウム、リン酸3カリウム、リン酸1アンモニウム、リン酸2アンモニウム、リン酸3アンモニウム、リン酸アンモニウムナトリウム、ポリリン酸のナトリウム、カリウムまたはアンモニウムなどのリン酸塩、更に、ほう酸金属塩、クエン酸金属塩、酒石酸金属塩、硫酸金属塩、硝酸金属塩、重炭酸金属塩、アルミニウムミョウバンなどの塩基、蟻酸、酢酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、フタル酸、シトコラン酸、イタコン酸、フマル酸、トリカルバリル酸、グルコール酸、酪酸、吉草酸、乳酸、酒石酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、チオグリコール酸、リンゴ酸、クエン酸、グルコン酸、ピルビン酸、グリコール酸、サリチル酸、アジピン酸、ヒドロアクリル酸、グリセリン酸、p−トルエンスルホン酸およびこれらの金属塩、有機アミン塩などが挙げられ、用途に応じて適宜使用できる。
保湿湿潤剤としては、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロール、ヒドロキシプロピルセルロース、ペクチン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、メチルビニルエーテル、無水マレイン酸共重合体、アルギン酸など、湿潤剤としては、アルコール類、グリコール類、グリコール類のモノまたはジエーテル類、グリセリン類などを使用することができる。界面活性剤としては、グリセリン脂肪酸エステル系、ポリグリセリン脂肪酸エステル系、プロピレングリコール脂肪酸エステル系、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル系、ポリオキシエチレン系の化合物などを使用することができる。
また、防錆剤としては、トリエタノールアミン、トリエチルアミンなどのアミン類、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸ジシクロヘキシルアンモニウムなどを使用することができる。また、消泡剤としては、シリコン系消泡剤などを使用することができる。また、防腐剤としては、解離性フッ素化合物、フェノールおよびその誘導体、イミダゾール誘導体、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体などを使用することができる。また、キレート化剤としては、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)−2Naなどを使用することができる。また、親水化主剤化合物として、リン酸塩、フイチン酸塩、ヘキサアミンコバルト塩などを使用することができる。
また、オフセット印刷時に、本発明の印刷用湿し水組成物と併用できるインキとしては、特に制限されず、この分野で常用される印刷用インキを挙げることができる。
また、本発明における印刷用湿し水組成物は、前述のように、所定量のポリオキシプロピレンメチルグルコシドと、所定の群から選択されるアルキレングリコールモノアルキルエーテルとを含有しているので、少ない湿し水量であっても印刷物に汚れが発生することを防止することができる。
このように、湿し水供給量を少なくすることができるので、インキの発色を向上させ、かつドットゲインの少ないシャープな印刷画像を有する印刷物を得ることができる。
(実施例)
以下、実施例および比較例により、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1〜16、比較例1〜4)
各材料を撹拌混合し、下記表1の組成となるように実施例1〜16、比較例1〜4の各種印刷用湿し水組成物を調整した。なお、表1中の添加量の単位は質量%である。また、表1中のポリオキシプロピレンメチルグルコシドは、化学式(1)で表される化合物であり、具体的には、下記化学式(2)で表される化合物(商品名:グリコポリオール、日本油脂株式会社製)である。
Figure 0005379431
<印刷試験>
実施例1〜16、比較例1〜4の印刷用湿し水組成物を用いて、オフセット印刷機で印刷し、下記項目について評価し、評価結果を表1に示した。
<印刷試験条件>
印刷機:湿し水機構が連続給水機構である、三菱ダイヤ菊半4色機(三菱重工業株式会社製)
印刷インキ:枚葉印刷用オフセットインキ(商品名:DT エコピュア SOY−HP−J、サカタインクス株式会社製)
印刷速度:8000枚/時
温度/湿度:25℃/60%
印刷用紙:OKトップコートN 73K(王子製紙株式会社製)
印刷部数:5000枚
<評価基準>
[汚れ]
汚れについては、印刷試験を行った際に、汚れが発生した時点の印刷部数で評価した。つまり、数値が大きいほど汚れの発生が遅く、良好な結果であるということができる。なお、汚れが「未発生」であることが最も優れた結果であることはいうまでもない。印刷物に汚れが発生した場合には、印刷版の非画線部で均一な水膜が形成されていないか、または、インキが水着けローラに絡んで良好な水上がりが維持されていないことを示す。
[濃度変化]
濃度変化については、印刷試験を行い、印刷物のベタ部における濃度の変化を目視にて観察し、濃度変化があるか否かで評価した。濃度変化が「未発生」であることが優れた結果であることはいうまでもない。なお、印刷物のベタ部における濃度変化の目視観察は、100枚印刷されるごとに印刷物を抜き取って評価した。
[ローラストリップ]
ローラストリップについては、印刷試験を行い、ローラストリップが発生したか否かで評価した。ローラストリップが「未発生」であることが優れた結果であることはいうまでもない。なお、ローラストリップとは、インキの抱え込める水の量には限界があるため、それ以上の量の水分はインキの表面に押し出され、この押し出された水分が今度は印刷機をさかのぼって極端な場合はすべてのローラに付着し、親水性の吸着層を形成してインキを受け付けなくなってしまう状態を示す。つまり、ローラストリップが発生した場合には、インキのローラ間を転移する転移能力が低下したことを示す。
[水着けインキがらみ]
水着けインキがらみについては、印刷試験終了後の水着けローラの表面を観察することにより評価を行った。すなわち、印刷試験終了後に、水着けローラ表面に乳化インキが溜まっている状態であれば水着けインキがらみが「発生」したとし、水着けローラ表面に乳化インキが溜まっていなければ水着けインキがらみが「未発生」とした。
[ドットゲイン]
ドットゲインについては、印刷試験を行い、印刷物の50%網点部における反射濃度を測定することにより評価を行った。具体的には、ドットゲインは、100枚印刷されるごとに印刷物を抜き取って評価した。そして、各印刷物の50%網点部における反射濃度をSpectro Eye(グレタグマクベス株式会社製)を用いて測定し、各印刷物の反射濃度の平均値を使用して、下記式(3)によりドットゲイン(%)を算出した。
ドットゲイン(%)=(1−10−(Dt))×100
/(1−10−(Ds)) …(3)
[式中、Dtは(網点濃度−用紙濃度)を示し、Dsは(ベタ濃度−用紙濃度)を示す。]
なお、ドットゲインとは、印刷版上の網点に付着したインキが被印刷体(ブランケットなど)に転写される際、網点がどの程度潰れて大きく拡がるかを示す指標である。すなわち、ドットゲインが小さい印刷物は、画像再現性の良い良好な印刷物であるということができる。
Figure 0005379431
表1から明らかに、実施例1〜16の本発明の印刷用湿し水組成物を用いて印刷を行うことによって、湿し水中にイソプロピルアルコールが含有されていないにもかかわらず、印刷物に汚れが発生することを防止することができる。これは、実施例1〜16の印刷用湿し水組成物は、表面張力が低く印刷版面の非画線部で均一な水膜を形成することができるためである。
また、実施例1〜16の本発明の印刷用湿し水組成物を用いて印刷を行うことによって、印刷物の濃度変化がなく、ローラストリップの発生がなく、水着けインキがらみの発生がなかった。これは、実施例1〜16の印刷用湿し水組成物は、インキ中への湿し水の乳化量を抑えることができるためであり、そのため、インキのローラ間を転移する転移能力を高い状態で維持してローラ上にインキが滞留するのを防止可能とするからである。
したがって、実施例1〜16の印刷用湿し水組成物は、イソプロピルアルコールを使用することに伴う消防上および安全衛生面での問題を解決した上で、少ない湿し水量であっても印刷物に汚れが発生することを防止することができ、湿し水量を意図的に少なくすることによって、インキの発色を向上させ、かつドットゲインの少ないシャープな印刷画像を有する印刷物を得ることができる。

Claims (2)

  1. 下記化学式(1);
    Figure 0005379431
    [但し、a,b,c,dはそれぞれ0〜50の整数、1≦a+b+c+d≦50]
    で表されるポリオキシプロピレンメチルグルコシド、およびアルキレングリコールモノアルキルエーテルを含有し、
    前記ポリオキシプロピレンメチルグルコシドの含有量が0.001〜0.2質量%であり、
    前記アルキレングリコールモノアルキルエーテルが、エチレングリコールモノイソブチルエーテルと、トリエチレングリコールモノノルマルブチルエーテルと、エチレングリコールモノノルマルブチルエーテルとからなる群から選択される少なくとも1種の化合物であることを特徴とする印刷用湿し水組成物。
  2. 前記アルキレングリコールモノアルキルエーテルの含有量が0.05〜3質量%であることを特徴とする請求項1に記載の印刷用湿し水組成物。
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