JP4061591B2 - 平版印刷用濃縮湿し水組成物 - Google Patents

平版印刷用濃縮湿し水組成物 Download PDF

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Description

本発明は平版印刷用濃縮湿し水組成物に関し、更に詳しくは従来より汎用されているイソプロピルアルコールを含有することなく、印刷物の汚れや各種印刷トラブルを生じない連続給水タイプの湿し水装置に好ましく用いられる濃縮湿し水組成物に関する。
平版印刷は、画線部に対応する箇所を感脂性面とし非画線部に対応する箇所を親水性面とした刷版を用いて印刷を行う印刷方式である。
即ち、インキを感脂性の画線部に付着させ、湿し水を親水性の非画線部に付着させ、インキと水との互いに反撥しあう性質を利用して印刷を行う。
印刷版上のインキは通常湿し水を含んだエマルジョン状態になっているが、エマルジョンは含水率などが適切な状態にあり、安定している場合にのみ良好な印刷品質が得られる。
一般には、印刷版上の湿し水が不足する場合は非画線部にインキが付着し地汚れの原因となる。又、湿し水を過剰に与え過ぎると、インキの過度の乳化を招きいわゆる水負けの原因となり、画線部が薄くなったり、乾燥を遅らせていわゆる裏うつりが発生するようになる。
従来の平板印刷用湿し水では、イソプロピルアルコール(以下IPAと略記する)特有の動的表面張力の低減作用及び増粘作用を利用したIPAを添加した湿し水が使用され、優れた印刷適正と印刷品質を確保してきた。
当初においては、IPAは25%程度使用されていたが、印刷適正や環境問題の点から徐々に減少して5〜15%で使用されるようになった。
しかし、IPAを湿し水に添加使用する場合、次のような問題点がある。
IPAの取り扱いについては、労働安全衛生法、消防法、下水道法等により制約を受ける。
まず、労働安全衛生法(有機溶剤中毒予防規則)の改正により、水溶液中の濃度は5重量%以下で管理するように規定されている。又、湿し水に5重量%以上添加する場合には局所排気装置を取り付けるように規制されている。
しかしながら、IPA濃度を5重量%以下にした場合には、湿し水としての性能が不十分であり、良好な印刷物が得られないと言う問題がある。
又、IPAは第4石油類アルコール類に指定されており、取り扱いや貯蔵に際して消防法の規制を受ける。
一方、下水道法では、排水中の水素イオン濃度がpH5以下又はpH9以上の場合や生物化学的酸素要求量(BOD)が600mg/L以上の場合は除外設備設置が義務づけられている。IPAの使用は後者に関連しており、BODについても管理することが必要となる。
IPAの使用のもう一つの問題はコストである。連続給水装置を装備した4色のオフセット輪転機などでは、IPAの使用量が膨大となり経費がかさむ問題がある。
このような状況下、上記の法規則に全く規制を受けない即ちIPAを使用しないアルコールレス代替湿し水が種々開発され、例えば次のような特許公報に開示されている。
第2588776号公報、第2673575号公報、第2673586号公報、第2673585号公報、第2761596号公報、第2736942号公報、第2662828号公報、第2736944号公報、第3061713号公報、
第2781697号公報、第2781696号公報、第2811301号公報、
これらの特許では、IPA代替溶剤としてブチルセロソルブに代表されるグリコールエーテル類を使用することが提案されている。
又、特許文献1や特許文献2には、IPAを使用しない代替湿し水の好適な物理的物性、即ち動的表面張力、粘度及び乳化インキの含水率が提案されており、これらの物理的物性を制御すればIPA添加湿し水と同じ性能を有し良好な印刷適正が得られることが示されている。
例えば、特許文献1では、動的表面張力としては温度15℃で10-1秒後に5〜50Dyne/cm、粘度としては温度15℃で1.05〜5.0センチストークスが好適範囲であると述べている。又、乳化インキの含水率としては、純水を使用した場合よりも2〜30%高い範囲が好適とされる。
しかしながら、現在IPAを使用しないアルコールレス濃縮湿し水が各種市販され普及してきたが、必ずしもIPAを完全に代替できる性能は得られていないのが現状であり、印刷適正の問題が依然として残っている。
なかでも、印刷を長く続けるロングラン運転において印刷品質は良好に確保できるものの、いわゆる(1)水棒絡み、(2)ローラー剥げ、(3)ストップ汚れ、が発生しやすいという
印刷作業上の問題が依然として未解決のまま残されている。
即ち、印刷作業の途中でローラーや版面の洗浄作業がしばしば必要となり,種々のロスが発生する。
上記(1)の水棒絡みとは水元ローラーの表面にインキが付着してそれが水棒に絡み、水
供給のバランスがくずれてしまうという現象である。
この原因としては、過剰乳化によるインキの流動性低下によるものと考えられている。
上記(2)のローラー剥げとはインキローラーのインキが剥がれ、インキの転移が適性に
行われなくなる現象である。
これはインキの水吸収能力(乳化能力)が不足するため、水がインキローラー上で余り、ローラー上のインキが剥がれるものと考えられている。
上記(3)のストップ汚れとは、印刷作業を中断した後、印刷再開後に版面上の画像部の
網点の部分にインキが絡み、網点画像部の形状が正常でなくなってしまうという現象である。
第2761596号公報 第2691403号公報
湿し水は通常商業ベースでは、濃縮化して商品化することが一般的であり,本発明はこの濃縮湿し水組成物に関するものである。
通常、印刷作業時にこの濃縮湿し水組成物は水道水などで所望の濃度に希釈されて使用されている。
本発明の主たる目的は、特に従来から解決困難とされてきたストップ汚れの問題を根本的に解決するためのもので、IPAを全く含有しない新規IPA代替濃縮湿し水を提供することにある。
更に、本発明の他の目的は、オフセット輪転機の排ガス燃焼装置に充填されている触媒の被毒作用を有するリン化合物を全く含有しない、所謂無リンタイプの湿し水を提供することである。
本発明の更に他の目的は、人体に対して安全性の高いIPA代替湿し水を提供することである。
本発明者は、特に上記のストップ汚れを抑制する働きを有する湿し水組成物に関し鋭意研究を重ねた結果、特定の化合物を組み合わせ共存させることにより、上記の問題は解消でき、且つ濃縮化しても安定性に優れた安全な平版印刷用濃縮湿し水組成物が得られることを見出だし、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は下記一般式(I)で示されるグリコールエーテル溶剤の少なくとも1種を10〜80重量%、下記一般式(II)で示される水溶性セルロースエーテルの少なくとも1種を0.5〜10重量%、及び下記一般式(III)で示される化合物の少なくとも1
種を0.5〜5重量%含有することを特徴とする平版印刷用濃縮湿し水組成物を提供することである。
一般式(I)
Figure 0004061591
(式中、R1はメチル基又はエチル基を表す。)
一般式(II)
Figure 0004061591
(式中、Rは互いに独立して、水素原子、メチル基又は−CH2CH(OH)CH3基を表す。)
一般式(III);
Figure 0004061591
(式中、xは1〜80の整数、yは1〜20の整数を表す。)
このように特定の化合物を特定の濃度範囲に制御することにより、版面の不感脂化の相乗効果が顕著に現れ、インキの網点絡みが解消される。即ち、上記のそれぞれの化合物を含有する組成物の使用によって、特に従来から問題となっていた網点絡みを発生させる所謂ストップ汚れをほぼ完全に抑制でき、長期間に亘り安定した印刷が継続可能となる。
即ち、上記化合物を共存させると、版面の不感脂化効果が特異的に向上することによって、印刷を長時間中断した後でも、印刷立ち上げ時に網点絡みが発生しない効果を示す。言い換えれば、乾燥した版面の網点上に残った半乾燥状態のインキが印刷再開後に新たに版面上に供給された湿し水によって容易に溶出除去される。又、本発明の濃縮湿し水は版面の画像部を浸食することはなく、版面の劣化を起こさない。
更に、印刷適性を調節するための動的表面張力降下剤として、下記一般式(IV)で示されるプロピレングリコールモノメチルエーテル、下記一般式(V)で示されるアセチレン
グリコール酸化エチレン付加物、及び下記一般式(VI)で示される長鎖アルキルアルコール酸化エチレン・酸化プロピレン共付加物からなる群から選ばれる化合物を少なくとも1種以上含有せしめることを特徴とする平版印刷用濃縮湿し水組成物を提供することにある。
一般式(IV);
Figure 0004061591
(式中、fは3〜12の整数を表す。)
一般式(V):
Figure 0004061591
(式中、m及びnは整数で、その総数m+nは3〜30を表す。)
一般式(VI):
Figure 0004061591
(式中、R2は炭素数8〜16のアルキル基を表し、p及びqはそれぞれ4〜80の整
数を表す。)
更には、無リンタイプのpH緩衝剤として、マレイン酸及びクエン酸金属塩を含有せしめることを特徴とする平版印刷用濃縮湿し水組成物を提供することである。
本発明において使用する一般式(I)で示される溶剤としては、好ましくは、低沸点性のプロピレングリコールモノメチルエーテル及びプロピレングリコールモノエチルエーテルが例示される。
これらの溶剤は単独で或いは2種以上使用してもよく、その含有量は濃縮湿し水組成物の全重量に基づいて10〜80重量%の範囲が適当である。より好ましくは、20〜70重量%の範囲である。
又、本発明において上記溶剤と併用する一般式(II)で示される水溶性セルロースエー
テルの具体例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース誘導体が挙げられる。
上記誘導体としては、一般式(II)で示される構造のうちメトキシル基の導入率が15〜30%、ヒドロキシプロポキシル基の導入率が3〜15%のものがより好ましく用いられる。
これらのセルロースエーテル類は水溶性であるとともに有機溶媒にも可溶であるため、安定した濃縮湿し水組成物が調製できる利点がある。
その含有量は濃縮湿し水組成物全重量に基づいて0.5〜10重量%の範囲であり、より好ましくは1〜5重量%の範囲である。
上記セルロース誘導体の具体例としては、信越化学工業(株)から市販されている「メトローズ」のうち銘柄60SH,65SH,90SHが挙げられる。
これらの銘柄のメトキシシル基及びヒドロキシプロポキシル基は下記の通りである。
Figure 0004061591
本発明で使用する一般式(III)で示される化合物は、エチレンジアミンをベースにポ
リプロピレングリコールを疎水基としてエチレンオキシドを付加させて親水性を付与した水溶性高分子である。
具体的には、次のような高分子体が使用できる。
・ポリプロピレングリコール部(疎水基)の分子量:1,500〜5,000
・総分子中のエチレンオキサイド付加重量%:10〜40%
・分子量:2,000〜8,500
本発明においては、ポリプロピレングリコール部の分子量が2,000から4,000、総分子中のエチレンオキシド付加重量%が10〜20重量%の範囲が好適に使用される。
更に具体的には、これらの水溶性高分子は旭電化工業(株)からアデカプルロニックTRシリーズとして各種グレードが市販されている。
これらのなかで、上記の好適なグレードとしてアデカプルロニックTR−701やTR702などが挙げられる。
これらの水溶性高分子の濃縮湿し水組成物における含有量は、濃縮湿し水組成物の全重量に基づいて0.5〜5重量%の範囲が適切である。より好ましくは0.5〜3重量%の範囲である。
更に本発明の濃縮湿し水組成物には、一般式(IV)で示されるプロピレングリコールモノメチルエーテル酸化プロピレン付加物、一般式(V)で示されるアセチレングリコール酸化エチレン付加物、及び一般式(VI)で示される長鎖アルキルアルコール酸化エチレン・酸化プロピレン共付加物が使用される。これらの化合物は、単独でも2種以上の化合物を併用しても良く、その含有量は濃縮湿し水組成物全重量に対して0.1〜10重量%の範囲である。より好ましくは、0.1〜5重量%の範囲である。
上記プロピレングリコールモノメチルエーテル酸化プロピレン付加物は平均分子量が200〜500の範囲のものが好ましく用いられる。
又、上記アセチレングリコール酸化エチレン付加物の具体例としては、エア・プロダクト・エンド・ケミカルズ社から販売されている商品名“サーフィノール”が挙げられる。
本発明においては、サーフィノール440(酸化エチレン付加モル数 N=3.5)やサーフィノール465(酸化エチレン付加モル数 N=10) が好適に使用できる。
更に、長鎖アルキルアルコール酸化エチレン・酸化プロピレン共付加物の具体例としては、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ドデシルアルコール、イソステアリルアルコールなどの酸化エチレン・酸化プロピレン共付加物が挙げられる。両者の総付加モル数の好適な範囲は5〜70である。これらの化合物はポリオキシエチレンアルキルエーテル型の非イオン界面活性剤として、各社から種々の銘柄が市販されている。
湿し水は一般的には酸性領域即ちpH3〜6の範囲で使用するのが望ましく、pH値をこの範囲に安定的に維持するためには鉱酸、有機酸又は無機塩からなるpH緩衝剤を添加するとよい。
pH緩衝剤としては、従来から使用されている有機酸及び/又は無機酸又はそれらの塩類の使用を制限するものではない。この場合、有機酸としては、例えばクエン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、グルコン酸、酢酸、ヒドロキシ酢酸、シュウ酸、マロン酸、レブリン酸、スルファニル酸、p−トルエンスルホン酸、フィチン酸、有機スルホン酸等が挙げられる。無機酸としては、例えばリン酸、硝酸、硫酸、ポリリン酸等が挙げられる。更にこれら有機酸及び/又は無機酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、或いはアンモニウム塩、有機アミン塩が用いられる。
一方、本発明においては、従来から使用されているpH緩衝剤の使用を制限するものではないが、排水規制を受けないpH緩衝剤並びに印刷機の排ガス処理装置に設置されている充填触媒を被毒しないpH緩衝剤いわゆるリン化合物を含まない無リンタイプのpH緩衝剤の使用が好ましい。
pH緩衝剤として、マレイン酸及びクエン酸金属塩の混合物を使用することが特に好ましい。
本発明において、この混合物の含有量は濃縮湿し水組成物全重量に対して0.1〜10重量
%の範囲が好ましい。より好ましくは0.5〜5重量%である。
本発明の濃縮湿し水組成物には、以上の成分の他に更に(a)界面活性剤、(b)キレート化合物、(c)防腐剤、(d)防錆剤、(e)着色剤、(f)消泡剤、(g)整面剤等を必要に応じて添加することができる。
本発明に使用できる(a)界面活性剤は、インキ乳化率の調節や濡れ性向上の補助剤として添加してもよい。
好ましく使用できる界面活性剤の種類は非イオン型界面活性剤であり、中でもポリオキシアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー類等が好ましく使用できる。
これらの界面活性剤は単独でも2種以上併用することができ、湿し水使用時の発泡を抑制する観点からはその含有量は濃縮湿し水組成物全重量に基づいて1.0%以下が適当である。
本発明には、(b)キレート化合物を添加することができる。通常濃縮湿し水組成物は水道水、井戸水等を加えて50〜200倍に希釈されて使用される。この際、希釈する水道水や井戸水に含まれる炭酸カルシウムが印刷に悪影響を与え、印刷適性や印刷物品質を悪化させる原因となる場合もある。
このような場合には、キレート化合物を添加すれば上記問題は解消できる。
本発明において好ましく使用できるものとしては、例えば、エチレンジアミンテトラ酢
酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸及びこれらのカリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩;ニトリロトリ酢酸、そのナトリウム塩;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、そのナトリウム塩、そのカリウム塩などが挙げられる。
これらの添加量は使用する水道水や井戸水の硬度にも依存するが、濃縮湿し水組成物全重量に基づいて0.0001〜1.0重量%が適当である。
本発明には、(c)防腐剤を必要に応じて添加することができる。湿し水中にカビが増殖すると、印刷に悪影響を与え、印刷物を汚す原因となることもある。
本発明で好ましく使用できる防腐剤としては、イミダゾール誘導体、デヒドロ酢酸ナトリウム、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、四級アンモニウム塩、トリアゾール誘導体、オキサゾール又はオキサジンの誘導体、ブロモニトロプロパノール、1,1−ジブロモ−1−ニトロエタノール、3−ブロモ−3−ニトロペンタン等が挙げられる。これらの防腐剤の種々の調剤液が市販されており、これらの調剤液を使用することもできる。
具体例として、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体と1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−エタノールを含有せしめたケイ・アイ化成(株)製のバイオホープやタイショウテクノス(株)製のビオサイド600wなどが挙げられる。
好ましい添加量は細菌、酵母、カビに対して安定に効力を発揮する量であって、カビの種類によっても異なるが、濃縮湿し水組成物全重量に対して0.001〜1.0重量%の範囲が好ましい。又、種々のカビ、細菌、酵母に対して薬効のある2種以上の防腐剤を併用することもできる。
本発明では、印刷機械装置の腐蝕を防止するために防錆剤を添加することができる。本発明に使用できる(d)防錆剤としては、例えばベンゾトリアゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、チオサリチル酸、ベンゾイミダゾール及びその誘導体等が挙げられる。
本発明に使用できる(f)着色剤としては、食品用色素が好ましく使用できる。例えば、黄色色素としてはCINo. 19140、15985、赤色色素としてはCINo. 16185、45430、16255、45380、45100、紫色色素としてはCINo.42640、青色色素としてはCINo.42090、73015、緑色色素としてはCINo.42095等が挙げられる。
本発明では、循環ラインを備えた湿し水調製槽内及び水舟内での発泡を抑制するため、(f)消泡剤を添加することが好ましい。本発明で使用する消泡剤としては、消泡速度の速さからシリコン系消泡剤が好ましく、その中で乳化分散型及び可溶化型のいずれも使用できる。
本発明の濃縮湿し水組成物には必要に応じて更に印刷版のアルミニウムの腐蝕防止剤として、水溶性硝酸塩を添加してもよい。
具体例として、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸ベリリウム、硝酸アルミニウム、硝酸亜鉛、硝酸ジルコニウム、硝酸ニッケル、硝酸マンガン、硝酸クロム等が挙げられる。これらの塩は1種もしくは2
種以上併用してもよい。これらの塩は濃縮湿し水の0.1〜20重量%の範囲で使用される。
(g)整面剤は、この種の分野で使用されるものが使用できる。
次に本発明を実施例及び比較例を挙げて更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
尚、%は特に指定のない限り重量%を示す。
実施例1〜8
表1に組成に従って、各種濃縮湿し水組成物を調製した。単位はグラム(g)であり、純水を加えて全量を1000mlとした。
Figure 0004061591
<試験方法1>
印刷実機テストの前に、まず表1に記載のように調製した各濃縮湿し水組成物の2%希釈液を用いて、網点絡み汚れの程度を測定するため、下記の手順に従ってそのテーブルテストを実施した。
(1)PS版にグレタグ画像を焼きだした。
(2)上記焼きだし画像板を2%希釈湿し水に10秒間浸漬した。
(3)上記の処理板を50℃に保持した恒温槽に2.5分間入れた。
(4)上記の乾燥板の非画線部にインキがしっかりつくまでインキングした。
インキは大日本インキ(株)のGEO・G紅を用いた。
(5)次に室温下で60分間乾燥した。
(6)上記の処理版を湿し水を4mlを含ませた脱脂綿を用いて、網点部を4往復拭いた

(7)その後、網点部のインキ絡みの状態を顕微鏡を用いて観察した。
網点90〜98%の網点部の非画線部にインキが残っているかどうかを評価した。
評価基準は次のとおりとした。
○:網点の非画線部に対してインキが殆ど残らない。
△:網点の非画線部全体に対してインキが50%付着している。
×:網点の非画線部全体に対してインキが50%以上付着している。
評価結果を表2に示した。
Figure 0004061591
<試験方法2>
上記の如く調製した実施例1〜8の濃縮湿し水組成物について、下記(a)のように液の濃縮化適性を評価した。更に実施例1〜8で調製した濃縮湿し水組成物を水道水を用いて1〜2%の濃度に希釈して、pHを4.8〜5.8範囲に調整した。
これらの希釈液で三菱ダイヤマチック印刷機(枚葉4色機)のダイヤ連続給水装置を用いて富士写真フィルム(株)製のVPSを標準条件で製版したものを使用して下記の印刷テスト(b)〜(e)を実施した。これらの結果を表2に示した。
(a)液の濃縮化適性
上記のように調合した濃縮湿し水組成物を10mlバイアル瓶に入れ、液の均一混合性を調べた。
・1ヶ月間放置しても変化無し A
・成分の沈降物、浮遊物が少量発生する B
・完全に相分離する C
(b)耐ローラ剥げ性
印刷部数5,000、10,000、20,000…枚で印刷機を一時止め、インキ供給ローラ表面上の
インキ膜の剥げ状態を目視観察した。
・印刷部数50,000枚以上でもローラ剥げなし A
・印刷部数10,000〜50,000枚の間でローラ剥げ発生 B
・印刷部数10,000以下でローラ剥げ発生 C
(C)耐水棒絡み性
上記のように印刷機を一時止め、湿し水を汲み上げる水棒(水元ローラ)の表面上のインキの付着状態を目視観察した。
・印刷部数50,000枚以上でもインキ絡みなし A
・印刷部数10,000〜50,000枚の間でインキ絡みなし B
・印刷部数10,000以下でインキ絡み発生 C
(d)耐網点絡み性(耐ストップ汚れ性)
印刷機を1時間、2時間、4時間…それぞれ停止した後、印刷版の網点のインキ絡みを拡大鏡で目視観察すると共に印刷を再開した後の印刷物の網点再現性(網点95%)を調べた。
・4時間以上停止しても網点汚れ無し A
・2〜4時間停止すると網点汚れ発生 B
・1時間停止すると網点汚れ発生 C
(e)印刷物品質
印刷物の汚れ、濃度ムラ、色ムラなどを調べた。
・印刷品質が良好 A
・印刷品質に問題がある B
比較例1〜4
下記のように濃縮湿し水組成物をそれぞれ調製した。
Figure 0004061591
上記の如く調製した比較例1〜4の濃縮湿し水組成物を用いて、実施例1〜8と同じ方法で印刷テストを実施した。それらの結果を前出の表2に示した。
実施例9と比較例5
上記実施例1及び比較例1の濃縮湿し水組成物を水道水で100倍に希釈し、4色オフセット輪転機を用いて印刷試験を行った。
印刷条件は下記の通りである。
印刷機;三菱重工製 4色オフセット輪転機
刷版;富士写真フィルム製 FPQ−111
湿し水;100倍希釈液(いずれもpH5.4)
湿し水装置;連続給水型ダールグレン湿し水供給装置
結果は次の通りであった。
比較例1の湿し水を用いた場合には、水棒絡みやローラ剥げが発生しやすく、高品質の印刷物は得られなかった。特に休憩時間(1時間)後の立ち上げ時にはインキの網点絡み汚れが認められ、刷版をプレートクリナーで洗浄しなければ回復できなかった。
実施例1の湿し水を使用した場合には、上述したような不具合の発生はなく、高品質の印刷物が得られた。また、休憩後の立ち上げ時の損紙数は100枚程度であった。
本発明の平版印刷用濃縮湿し水組成物は、環境汚染や労働安全衛生上問題を生じることがなく、かつ、印刷物の汚れや各種印刷トラブルを生じさせることがなく連続給水タイプの湿し水装置に好ましく用いることができる。

Claims (4)

  1. 下記一般式(I)で示されるグリコールエーテル溶剤を10〜80重量%、下記一般式(II)で示される水溶性セルロースエーテルを0.5〜10重量%、及び下記一般式(III
    )で示される化合物を0.5〜5重量%含有することを特徴とする平版印刷用濃縮湿し水組成物。
    一般式(I)
    Figure 0004061591
    (式中、R1はメチル基又はエチル基を表す。)
    一般式(II)
    Figure 0004061591
    (式中、Rは互いに独立して、水素原子、メチル基又は−CH2CH(OH)CH3基を表す。)
    一般式(III);
    Figure 0004061591
    (式中、xは1〜80の整数、yは1〜20の整数を表す。)
  2. pH緩衝剤及び動的表面張力降下剤を含有することを特徴とする請求項1記載の平版印刷用濃縮湿し水組成物。
  3. pH緩衝剤として、マレイン酸及びクエン酸金属塩を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の平版印刷用濃縮湿し水組成物。
  4. 動的表面張力降下剤として、下記一般式(IV)で示されるプロピレングリコールモノメチルエーテル酸化プロピレン付加物、下記一般式(V)で示されるアセチレングリコール酸化エチレン付加物、及び下記一般式(VI)で示される長鎖アルキルアルコール酸化エチレン・酸化プロピレン共付加物からなる群から選ばれる化合物を少なくとも一種以上を含有せしめることを特徴とする請求項1又は2に記載の平版印刷用濃縮湿し水組成物。
    一般式(IV);
    Figure 0004061591
    (式中、fは3〜12の整数を表す。)
    一般式(V):
    Figure 0004061591
    (式中、m及びnは整数で、その総数m+nは3〜30を表す。)
    一般式(VI):
    Figure 0004061591
    (式中、R2は炭素数8〜16のアルキル基を表し、p及びqはそれぞれ4〜80の整
    数を表す。)


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