JP3116571B2 - 平版印刷用湿し水 - Google Patents

平版印刷用湿し水

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は従来使用されてきたイソ
プロピルアルコール(以下IPAとする)を主成分とす
る平版印刷用湿し水を代替しうる平版印刷用湿し水に関
し、さらにはモルトン、スリーブを用いる従来のコンベ
ンショナルな間欠給水方式、ダールグレン方式をはじめ
とする連続給水方式の何れの方式にも適合する平版印刷
用湿し水に関する。
【0002】
【従来の技術】平版印刷は、画線部に対応する部分を感
脂性面とし、非画線部に対応する部分を親水性面とした
刷版を用いて印刷を行う印刷方式である。即ちインキを
感脂性面に付着させ、湿し水を親水性面に付着させ、イ
ンキと湿し水との相互反発作用を利用して印刷する。こ
のときインキと湿し水とを適度なバランスのもとに版面
に供給することが大切であり、湿し水を与え過ぎるとイ
ンキの乳化が激しくなり、転移不良が発生する。一方湿
し水が少なすぎると、非画線部にインキが付着し汚れの
原因となる。
【0003】このインキと湿し水とのバランスを保つた
め、従来から湿し水中へ表面張力を下げるためIPAを
用い、さらに各種親水性物質、例えばアラビアゴム、カ
ルボキシメチルセルロース(CMC)、クエン酸、各種
界面活性剤等、版表面酸化物を除去する整面剤としてリ
ン酸等の酸、版の腐食防止剤として重クロム酸アンモニ
ウム、硝酸塩等が添加されている。IPAは湿し水の表
面張力を下げるので親水性非画線部への濡れがよく、ま
た湿し水の粘度を上げて版面への湿し水の供給を滑らか
にし、インキと湿し水の界面張力を低下させる効果が高
く、湿し水のインキへの乳化が早期に安定すると共にI
PA自体の揮発性がインキ中への過剰乳化を防止し、イ
ンキと湿し水のバランスを適度に保つという利点がある
ため広く用いられてきた。
【0004】しかしIPAは危険物第4類アルコール類
に該当し、火気には細心の注意を払う必要がある。また
有機溶剤中毒予防規則(有機則)第2種有機溶剤であ
り、また湿し水としては通常5〜20重量%程度の濃度
で用いられるものであるから、作業環境浄化用措置を講
ずる必要がある。
【0005】このため、IPAに代えて例えば特公昭第
55−19757号公報はプロピレンオキサイドまたは
エチレンオキサイドのアルキルエーテル系界面活性剤を
添加した平版印刷用湿し水を、特開昭第63−2509
3号公報はポリエチレンオキサイド系界面活性剤を添加
した平版印刷用湿し水を提案している。
【0006】上記界面活性剤は、有機則には該当せず、
かつ通常添加される0.1〜0.5重量%程度で湿し水
の表面張力を低下させることはできるが、IPA使用の
湿し水と比較すると湿し水の水上がりが悪く、かつ版の
親水性非画線部への均一な濡れが不十分であった。
【0007】IPAの代替用有機溶剤としてはエチレン
グリコールモノブチルエーテルが一般的であり、これを
含有させた平版印刷湿し水用添加剤が市販されている。
エチレングリコールモノブチルエーテルは有機則第2種
有機溶剤ではあるが、通常湿し水中0.1〜3重量%程
度で用いられるため、有機則の適用を受けることはな
い。しかし、湿し水用添加剤製造の際あるいは湿し水の
調整の際等に5重量%を超える濃度でエチレングリコー
ルモノブチルエーテルを取り扱うときには、有機則に基
づいた措置をとる必要がある。グリコールエーテル類と
してエチレングリコールモノメチルエーテルを用いた場
合でも同様である。このため湿し水用添加剤の製造業者
および使用者は作業環境浄化用措置を講ずる必要があっ
た。
【0008】近年の社会環境を反映し、種々の法規則に
全く規制を受けないIPA代替湿し水の要望が高く、特
開平3−63188号公報では2−エチル1,3−ヘキ
サンジオールの酸化エチレン及び/又は酸化プロピレン
付加物、アセチレンアルコール又はアセチレングリコー
ルの酸化エチレン及び/又は酸化プロピレン付加物(ア
ルコールの誘導体であるエーテルグリコール)を添加し
た湿し水が提案されているが、特に2エチル1,3−ヘ
キサンジオール自身水への溶解性がとぼしく、更に親油
性(疎水性)の酸化プロピレン付加物は水への溶解性が
ほとんどなく、従って表面張力が低下しない。
【0009】また、これらの化合物の酸化エチレン付加
物を0.5〜50重量%添加により確かに表面張力は低
下するが、IPA添加湿し水と比較すると、湿し水の水
上がりが悪く、かつ版の親水性非画線部への均一な濡れ
が不十分の為印刷物に汚れが発生するなどIPAを完全
に代替できるものはないのが現状である。
【0010】このIPAの物性を科学的に把握し、特公
昭61−55480,特開昭64−40393,特開平
1−40393,特開平3−92392号公報にIPA
代替を目的とした湿し水組成物の提案がなされ、粘度、
動的表面張力、乳化量のそれぞれ、ないし、全てをある
範囲に制御することによって所望の効果が得られると記
述されている。しかしながら、近年の高速化された印刷
条件下では、10-1秒後の動的表面張力で湿し水の性状
を把握するのは不十分であり、連続給水方式では、濡れ
が不十分であり、IPA含有湿し水に比べ水幅が狭くな
り、汚れ易く、またローラーはげ等の問題も発生する。
これ等の湿し水には、ぬれ促進、表面張力低下を目的に
各種界面活性剤が添加されているが、逆にインキと湿し
水の過乳化となってローラーはげとなる。殊に、モルト
ン、スリーブといった従来のコンベンショナルな間欠方
式では、機構上湿し水のコントロールが難しく、一般に
インキと湿し水の乳化が連続給水に比べ過剰となり、ロ
ーラーはげの問題が多い。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、有機則の適
用を受けることなく、IPAを代替できる平版印刷湿し
水用添加剤および湿し水の提供を目的とする。即ち本発
明は、有機則の適用をうけない適量の有機溶剤の使用に
より、連続給水方式や間欠給水方式といった給水方式に
とらわれることなく印刷適性に優れた平版印刷用湿し水
を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、一般式(A)
で示される化合物および炭素原子数1〜6個のアルコキ
シ基を有する1級または3級のアルコキシアルコールか
ら選ばれる少なくとも1種と、メチルセルロース、ヒド
ロキシプロピルメチルセルロースおよびヒドロキシエチ
ルメチルセルロースから選ばれる少なくとも1種の水溶
性高分子化合物とを含有してなる平版印刷用湿し水であ
って、該平版印刷用湿し水の表面形成後10-2秒の動的
表面張力が55dyne/cm(15℃)以下、粘度が1.2
〜2.0センチポイズ(15℃)であり、かつ該平版印
刷用湿し水の平版印刷インキへの最大乳化率が真水の平
版印刷インキへの最大乳化率よりも低いことを特徴とす
る平版印刷用湿し水を提供するものである。
【0013】式(A) (式中、Rはメチル基、エチル基、n−プロピル基また
はイソプロピル基を表し、n=1〜4の整数を表す。)
【0014】本発明において湿し水添加剤とは、湿し水
に添加される上記式(A)の化合物からなり、希釈され
て湿し水となった時の10-2秒の動的表面張力が55dy
ne/cm以下(15℃)であり、かつ、粘度が1.2cp以
上であり、インキへの乳化率が真水の最大乳化率よりも
低くなるものであり、これらと水とからなる濃厚液であ
ってもよい。湿し水とは実際の印刷時に使用される濃度
まで水で希釈されたものを意味する。湿し水には他の助
剤を含有させてもよく、これは湿し水添加剤に加えてお
いてもよい。
【0015】印刷における湿し水に課せられる性能は数
多く一般に汚れ防止を始め種々の要求項目がある。印刷
機械上の湿し水の挙動を科学的に解析した結果、湿し水
物性の動的表面張力、粘度、インキへの乳化率が前述性
能に対する大きな要因となっていることが解り、本発明
に到った。すなわち、今日の高速化された印刷機械上で
は湿し水が水舟から給水ロール群を経てPS版表面ある
いはインキロールへ運ばれる際絶えず新しい表面が形成
される。この新しい表面が形成された瞬間(ミリセカン
ドのオーダー)に湿し水の動的表面張力がどれ位低くな
っているかがポイントとなる。つまり動的表面張力が低
い程湿し水が薄膜で均一にPS版へ供給されることにな
る。
【0016】動的表面張力における表面が形成されてか
らの時間(以下 Surface age(サーフェイスエイジ)と
いう)は、特開平3−92392号記載の10-1秒で把
握するのでは、近年の高速化されたオフセット印刷機で
は不十分であり、少なくとも10-2秒の動的表面張力が
十分低下していないと種々の印刷トラブルにつながる。
動的表面張力の値は一般的な湿し水の使用温度の15℃
において少なくとも55dyne/cm以下でないと水上がり
の効果が悪く、汚れ等の問題となり好ましくは50dyne
/cm以下である。
【0017】また、近年の主流の連続給水装置では、給
水ロールがゴムと金属の組合せとなっておりそれらのロ
ール間を湿し水が通過する際、ロール間圧が一定である
ならば湿し水通過量は、ロール硬度と湿し水の粘度に依
存する。つまり湿し水の粘度が高いとロール間を押し拡
げる力が働き、水上がりがよくなる。この湿し水の粘度
は1.2cp以上でないと、ロールニップ追加性の向上が
なく、好ましくは1.3〜2.0cpである。
【0018】以上の動的表面張力並びに粘度が版面への
湿し水の供給を担っているのだが、その後の印刷工程を
みると、版面に湿し水が供給され次いでインキが供給さ
れ、ブランケットを経て、被印刷体(紙 etc)に展移さ
れ、最終印刷物が得られる。ここで、画像を形成する上
で湿し水とインキの乳化が重要なもう一つのポイントと
なる。このインキ/湿し水の乳化のバランスが適切でな
いと、汚れ、画像再現性、ローラーはげ、乾燥不良をは
じめとする種々のトラブルにつながる。これまでのIP
A代替湿し水は表面張力を低下させるために、種々の界
面活性剤を添加している。この界面活性剤はインキとの
乳化促進剤の一面も有し、一般に、界面活性剤を添加し
ていない湿し水あるいは真水に較べ乳化率が高くなり、
IPA等の様に蒸発する事もないことから過剰乳化によ
るローラーはげのトラブルが問題となる。また、モルト
ンを用いた間欠給水方式では、連続給水方式に較べ水上
がりコントロールが難しく、水が多く上がってしまう傾
向があり、前述の界面活性剤の作用とあいまって、殊に
印刷障害となる。つまり、過剰乳化を抑制し、インキへ
の最大乳化率を減少させる事が湿し水に要求される。
【0019】最大乳化率としては、本発明の添加剤を含
まない水(標準水とする)の最大乳化率より低くなけれ
ばトラブルにつながるが、下記式 (真水の最大乳化率−湿し水の最大乳化率)/真水の最大乳化率×100(%) で表される真水の平版印刷インキへの最大乳化率に対す
る湿し水の平版印刷インキへの最大乳化率の減少率は2
0%以下が好ましい。最大乳化率の減少率が20%を越
えると ローラーはげに対しては有利であるが、水上がり
不良による汚れ等が発生する恐れがある。
【0020】以上湿し水の動的表面張力、粘度、インキ
への最大乳化率の3点を、所望の範囲内に制御する事が
可能な化合物として式(A)で表示されるポリプロピレ
ングリコールモノアルキルエーテルを見い出し、本発明
に至った。湿し水の動的表面張力、粘度、インキへの最
大乳化率のそれぞれまたは2つを制御できる化合物は数
多く存在するが、単一物質で3項目を全て満たす物質は
法規制対象となっているIPA等の有機溶剤を除き、報
告がない。本発明において湿し水への化合物(A)の含
有量は0.1〜10重量%、好ましくは1〜7重量%の
範囲が良い。含有量が0.1%よりも少ない場合には表
面張力が十分に低下せず、また湿し水の粘度も十分上が
らず、湿し水表面へのインキの拡散現象による浮き汚れ
および地汚れが出る。また、含有量が10重量%を超え
た場合には、湿し水の粘度を増加させるという点では水
上がりの面では効果的であるものの、コスト面で不利と
なる。
【0021】また、化合物(A)のRがブチル基以上お
よび、nが5以上となると水への溶解性が劣り所望の目
的を達成することが困難となるばかりでなく、沸点が高
くなるため印刷面の乾燥不良および裏移りの原因となる
ため好ましくない。
【0022】本発明に併用される炭素原子数1〜6個の
アルコキシ基を有する1級または3級のアルコキシアル
コールとしては、3−メチル−3−メトキシブタノール
やエチレングリコールのモノメチル、モノエチル、モノ
n−プロピル、モノsec−ブチル、モノtert−ブ
チル、モノイソブチル等が例示でき安全衛生面を考慮す
ると、3−メチル−3−メトキシブタノール、エチレン
グリコールモノtert−ブチルエーテルが好ましい。
【0023】上記例示アルコール中、特に3−メチル−
3−メトキシブタノールはエチレングリコールモノブチ
ルエーテルの異性体であるが、毒性が極めて低く有機則
に該当しない。また、沸点174℃、引火点71℃、発
火点395℃であり、消防法の危険物第4類第3石油類
に該当し、エチレングリコールモノブチルエーテルより
も安全性が高い点で好ましく用いられる。
【0024】本発明者らは、式(A)の化合物および炭
素原子数1〜6個のアルコキシ基を有する1級または3
級のアルコキシアルコールは、これらの単独でもIPA
に代替できる性能を有しているが、これ等を併用するこ
とにより、極めて優れた性能が発揮されることを見い出
し本発明を完成させた。即ちこれら両成分を併用するこ
とにより、インキと水のバランス調整が容易であり、調
子合わせが早く、印刷物の網点の再現性および色調の安
定性が良く、更には問題となり易い地汚れ現象も発生し
ない等の多くの利点が見い出された。
【0025】更に、本発明の湿し水添加剤にメチルセル
ロース、ヒドロキシエチルセルロースもしくはヒドロキ
シプロピルメチルセルロースから選ばれる水溶性高分子
化合物を併用することにより湿し水の粘度と表面張力の
点で効果がある。本発明において用いられるメチルセル
ロースとしては、メトキシル基置換度が1.641〜
1.919のもの、ヒドロキシプロピルメチルセルロー
スとしては、メトキシル基置換度が1.086〜1.8
13であり、ヒドロキシプロポキシル基置換度が0.0
89〜0.286のもの、またヒドロキシエチルメチル
セルロースとしては、メトキシル基置換度が1.149
〜1.539でありヒドロキシエトキシル基置換度が
0.109〜0.447のものから選択するとよい。各
々の置換度が前記の範囲以下の場合は、グリコールエー
テル類への膨潤もしくは溶解が不十分となり、一方範囲
以上であると水への溶解が不十分となる傾向にあり、均
一な湿し水組成物を得ることが困難となる。
【0026】また、湿し水組成物へのメチルセルロー
ス、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびヒドロ
キシエチルメチルセルロース0.1〜4重量%の範囲が
好ましい。含有量が0.1重量%より少ない場合にはそ
の湿し水組成物を通常の添加量(0.1〜1.0重量
%)として水で希釈した湿し水として用いた場合に、湿
し水の表面張力が十分に低下せず、また平版印刷用刷版
の非画線部を保護する力が不十分となり好ましくない。
また含有量が4重量%を超えた場合には、その湿し水組
成物の粘度が10ポイズを超えるものが多く、湿し水組
成物の製造工程上における発泡などの問題や、使用上に
おける発泡や計量などに問題が多くなり好ましくない。
また、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセ
ルロースおよびヒドロキシエチルメチルセルロースの重
量平均分子量は、1×105 以下がよく、好ましくは1
×104 〜1×105 の範囲が良い。重量平均分子量が
1×105 を超えるようになると徐々にグリコールエー
テル類への膨潤もしくは溶解が不十分となってくるので
適当ではない。なお、非画線部を保護する力とは、版非
画線部は砂目立てした親水性のアルミニウム板からなっ
ており不感脂性のものであるが、印刷中にはしばしば汚
染物質が付着することにより感脂化してしまうことがあ
り、これを予防する力のことをいう。
【0027】本発明において使用するメチルセルロー
ス、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびヒドロ
キシエチルメチルセルロースは、水溶液とした場合に界
面活性を示すので保護・コロイド剤としての機能を持っ
ており、版非画線部を保護することになる。また、メチ
ルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースお
よびヒドロキシエチルメチルセルロースは、前述のよう
に水の表面張力を低下させる作用を示すのもそれらが界
面活性を示すことが原因であり、グリコールエーテル類
との併用により、効果的にその作用を発揮するものであ
る。
【0028】本発明の湿し水用添加剤または湿し水中に
は、さらに版面保護のための不感脂化剤としてアラビア
ゴム、デキストリン、アルギン酸ソーダ、カルボキシメ
チルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビ
ニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル
酸、ポリアクリルアミド等を添加してもよい。さらに、
pH調整剤、緩衝剤、防腐剤として、硝酸、硫酸、リン
酸、クエン酸、酢酸、酒石酸、およびこれらのナトリウ
ム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、重クロム酸アンモ
ニウム等、一般的に使用される添加剤を使用できる。ま
た、消泡剤、増粘剤やアニオン系、カチオン系、ノニオ
ン系等の中で乳化量に影響を与えない界面活性剤等を添
加してもよい。またトリデカノール等の各種長鎖アルコ
ール等の湿潤剤も添加できる。
【0029】本発明の湿し水用添加剤は、水、式(A)
の化合物および所定のアルコキシアルコールを所定の割
合で混合し、その後、酸、塩類、水溶性高分子化合物等
を加えて混合撹拌して均一な水溶液とすればよい。ま
た、酸、塩類等を含む水に式(A)の化合物および所定
にアルコキシアルコールを加えて混合撹拌してもよく、
混合撹拌の方法は特に制限を受けるものではない。本発
明の湿し水は、湿し水に本発明の湿し水用添加剤を所定
の割合で混合することで得られる。
【0030】
【実施例】以下本発明を実施例に基づいてより詳細に説
明する。表1による配合比により、本発明の湿し水用添
加剤をA〜Gとして作成し、比較例の湿し水用添加剤を
H〜Mとして作成した。これらの湿し水用添加剤に基づ
いて表2に示す配合比で湿し水を作成した。
【0031】実施例1〜4は、式(A)で表わされる化
合物の内の一種と炭素原子数1〜6個のアルコキシ基を
有する1級又は3級のアルコキシアルコールから選ばれ
た3−メチル−3−メトキシブタノールを含有する湿し
水であり、実施例5は式(A)で表わされる化合物の内
一種を含有する湿し水であり、実施例6は3−メチル−
3−メトキシブタノールを含有する湿し水であり、実施
例7はHPCを増量した粘度がより高い湿し水である。
比較例1,2は本発明外の主剤を含有する湿し水であ
る。比較例6は特開平3−92392号記載の化合物を
含有する湿し水であり、比較例7はIPAを5重量%含
有する湿し水である。
【0032】表3にこれ等の実施例および比較例の湿し
水のpH、動的表面張力(振動ジェット法)、粘度(毛
細管粘度計による)、最大乳化率(TKハイプラス紅
M、東洋インキ製造(株)製[商品名]に対する乳化量
を自製乳化テスターにて測定)及び印刷テスト結果を示
す。なお、上記印刷インキに対する真水の最大乳化率は
40%であった。 印刷テスト条件 印刷機 三菱ダイヤI−4(三菱重工(株)製、商品名) 給水方式 ダールグレン方式、及びブラシモルトン方式 印刷速度 10,000枚/時 用紙 SKコート 4/6 90K(山陽国策(株)製、商品名) インキ TKハイプラス紅M(東洋インキ製造(株)製、商品名) 温湿度 20〜22℃ 40〜50%RH 湿し水温度 14〜16℃ 印刷部数 10,000部
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】表3から明らかなように本発明の湿し水用
添加剤は汚れ、ローラーはげが発生することなく、IP
A系の湿し水と同等に効果的に印刷できた。比較例3の
湿し水は動的表面張力、粘度の点では、本発明の条件に
合致しているものの、最大水分率が高いために、汚れは
発生しなかったが、ローラーはげがブラシモルトン方式
で特に発生し、印刷物に濃度ムラとなって、使用に耐え
なかった。また比較例5の湿し水は動的表面張力が十分
に低下しておらず、汚れが発生し、使用に耐えなかっ
た。比較例4の湿し水については、動的表面張力が十分
に低下しない事に加え、粘度も低く、いっそう汚れが発
生し易く、これも使用に耐えなかった。比較例6の湿し
水は粘度のみが本発明の条件を満たしているだけで、特
に乳化率が高いためにローラーはげが発生し、使用に耐
えなかった。
【0037】
【発明の効果】本発明の所定の動的表面張力、粘度、最
大水分率を有する湿し水は、動的表面張力についてはI
PA系の湿し水と同等に低下し、また、粘度も高く、給
水ロールを通しての水上がりがよく、版非画線部を均一
に濡らすことができるので、印刷時に地汚れが発生する
とはなく、少なくともIPA系の湿し水と同等の印刷適
性を有している。また、本発明の湿し水は、本発明の添
加物を含有しない水のインキへの最大乳化率よりも低く
なっていることから、インキロールへの水上がりが抑え
られローラーはげも発生しなく、湿し水コントロールの
面で連続給水方式やコンベンショナルな間欠給水方式の
何れにも適合するものである。従って本発明の湿し水添
加剤は、IPA系の湿し水用添加剤に代替できるもので
あり、湿し水に添加されるIPAの量を大幅に減少もし
くは零とすることができる。従って、印刷作業環境の向
上、湿し水トータルコストの低減が達成される。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(A)で示される化合物および炭
    素原子数1〜6個のアルコキシ基を有する1級または3
    級のアルコキシアルコールから選ばれる少なくとも1種
    と、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセル
    ロースおよびヒドロキシエチルメチルセルロースから選
    ばれる少なくとも1種の水溶性高分子化合物とを含有し
    てなる平版印刷用湿し水であって、該平版印刷用湿し水
    の表面形成後10-2秒の動的表面張力が55dyne/cm
    (15℃)以下、粘度が1.2〜2.0センチポイズ
    (15℃)であり、かつ該平版印刷用湿し水の平版印刷
    インキへの最大乳化率が真水の平版印刷インキへの最大
    乳化率よりも低いことを特徴とする平版印刷用湿し水。 式(A) (式中、Rはメチル基、エチル基、n−プロピル基また
    はイソプロピル基を表し、nは1〜4の整数を表す。)
  2. 【請求項2】 真水の平版印刷インキへの最大乳化率に
    対する湿し水の平版印刷インキへの最大乳化率の減少率
    が20%以下である請求項1記載の平版印刷用湿し水。
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