JP2008213269A - 平版印刷用濃縮湿し水組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】一般的な平版インキ全てを用いた印刷並びにCTP版を用いた印刷に好ましく使用できる湿し水組成物を提供する。
【解決手段】芳香族スルホン酸塩樹脂を必須成分としてなることを特徴とする平版印刷用濃縮湿し水組成物及び該濃縮組成物を稀釈してなる平版印刷用湿し水組成物。
【効果】一般的な平版インキ全てを用いた印刷並びにCTP版を用いた印刷に好ましく使用でき印刷物の仕上がりが良好で、かつ作業環境及び安全衛生面での問題等に対処できる。
【選択図】なし
【解決手段】芳香族スルホン酸塩樹脂を必須成分としてなることを特徴とする平版印刷用濃縮湿し水組成物及び該濃縮組成物を稀釈してなる平版印刷用湿し水組成物。
【効果】一般的な平版インキ全てを用いた印刷並びにCTP版を用いた印刷に好ましく使用でき印刷物の仕上がりが良好で、かつ作業環境及び安全衛生面での問題等に対処できる。
【選択図】なし
Description
本発明は、平版印刷用濃縮湿し水組成物に関し、更に詳しくは、印刷物の汚れや各種印刷トラブルを生じない一般的な平版インキ全てを用いた印刷、並びにCTP版を用いた印刷に好ましく使用できる平版印刷用湿し水組成物に関する。
平版印刷は、画線部に対応する箇所を感脂性面とし非画線部に対応する箇所を親水性面とした刷版を用いて印刷を行う印刷方式である。
即ち、インキを感脂性の画線部に付着させ、湿し水を親水性の非画線部に付着させ、インキと水との互いに反撥しあう性質を利用して印刷を行う。
印刷版上のインキは通常湿し水を含んだエマルジョン状態になっているが、エマルジョンは含水率などが適切な状態にあり、安定している場合のみ良好な印刷品質が得られる。
一般には、印刷版上の湿し水が不足する場合は非画線部にインキが付着し地汚れの原因となる。又、湿し水を過剰に与え過ぎると、インキの過度の乳化を招きいわゆる水負けの原因となり、画線部が薄くなったり、乾燥を遅らせていわゆる裏移りが発生するようになる。特に、紫外線硬化印刷インキはその組成上、乳化しやすく上記傾向が強い。
即ち、インキを感脂性の画線部に付着させ、湿し水を親水性の非画線部に付着させ、インキと水との互いに反撥しあう性質を利用して印刷を行う。
印刷版上のインキは通常湿し水を含んだエマルジョン状態になっているが、エマルジョンは含水率などが適切な状態にあり、安定している場合のみ良好な印刷品質が得られる。
一般には、印刷版上の湿し水が不足する場合は非画線部にインキが付着し地汚れの原因となる。又、湿し水を過剰に与え過ぎると、インキの過度の乳化を招きいわゆる水負けの原因となり、画線部が薄くなったり、乾燥を遅らせていわゆる裏移りが発生するようになる。特に、紫外線硬化印刷インキはその組成上、乳化しやすく上記傾向が強い。
高品位印刷のFMスクリーン印刷では網点再現性を、また紫外線硬化印刷及び減感インキを用いたビジネスフォーム印刷では適正乳化をロングラン運転においても良好に確保できるもの、いわゆる(1)水棒絡み、(2)ローラー剥げ、(3)網点絡み、(4)紙むけ、(5)地汚れ、を解決することが不可欠である。
上記(1)の水棒絡みとは、水元ローラーの表面にインキが付着してそれが水棒に絡み、水供給のバランスがくずれてしまうという現象である。この原因としては、過剰乳化によるインキの流動性低下によるものと考えられている。
上記(2)のローラー剥げとは、インキローラーのインキが剥がれ、インキの転移が適性に行われなくなる現象である。これはインキの水吸収能力(乳化能力)が不足するため、水がインキローラー上で余り、ローラー上のインキが剥がれるものと考えられている。
上記(3)の網点絡みとは、印刷作業を中断した後、印刷再開後に版面上の画像部の網点の部分にインキが絡み、網点画像部の形状が正常でなくなってしまうという現象である。
上記(4)の紙むけ(ピッキング)とは、印刷中に紙表面が変形・剥離する現象である。基本的に紙むけは、紙のセルロースの絡み合い、長さ、塗被剤に関する製紙技術の問題であるが、水またはインキの浸透により脆弱化することが原因であると考えられている。
上記(5)の地汚れとは、印刷時に版面で起こる現象で版面非画線部への水の供給が不充分等の原因が挙げられる。
上記(2)のローラー剥げとは、インキローラーのインキが剥がれ、インキの転移が適性に行われなくなる現象である。これはインキの水吸収能力(乳化能力)が不足するため、水がインキローラー上で余り、ローラー上のインキが剥がれるものと考えられている。
上記(3)の網点絡みとは、印刷作業を中断した後、印刷再開後に版面上の画像部の網点の部分にインキが絡み、網点画像部の形状が正常でなくなってしまうという現象である。
上記(4)の紙むけ(ピッキング)とは、印刷中に紙表面が変形・剥離する現象である。基本的に紙むけは、紙のセルロースの絡み合い、長さ、塗被剤に関する製紙技術の問題であるが、水またはインキの浸透により脆弱化することが原因であると考えられている。
上記(5)の地汚れとは、印刷時に版面で起こる現象で版面非画線部への水の供給が不充分等の原因が挙げられる。
上記印刷物の仕上がり上の問題点のほかに、湿し水にはイソプロピルアルコールの使用による作業環境及び安全衛生面での問題や排水規制物質であるリン化合物の問題などがあり、これらに対応するための種々の提案がなされている(特許文献1〜3)。
特開2004−82593号公報
特開2005−53189号公報
特開2006−62181号公報
湿し水は通常商業ベースでは、濃縮化したものを商品化することが一般的であり、本発明はこの濃縮湿し水組成物に関するものである。
通常、印刷作業時にこの濃縮湿し水組成物を水道水などで所望の濃度に希釈して使用している。
本発明の目的は、特に上記のインキの水棒への絡み、インキ供給ローラーの剥げ、網点絡み、紙むけ、及び地汚れの問題を改善した高精細印刷のFMスクリーン印刷、紫外線硬化印刷並びにCTP版を用いた印刷に好ましく使用できる平版印刷用濃縮湿し水を提供することにある。
従来、湿し水には印刷性能を向上させるため、10%前後の濃度でイソプロピルアルコールを添加して印刷を行っていた。本発明の他の目的は、作業環境及び安全衛生面上イソプロピルアルコールを全く使用しないか大幅に添加濃度を下げることができる湿し水を提供することにある。更に別の目的は、オフセット輪転機の排ガス燃焼装置に充填されている触媒の被毒作用を有するリン化合物を全く含有しない無リンタイプの湿し水を提供することにある。
又、排水規制物質であるリン化合物を全く含有しない所謂無リンタイプの湿し水を提供することにある。
通常、印刷作業時にこの濃縮湿し水組成物を水道水などで所望の濃度に希釈して使用している。
本発明の目的は、特に上記のインキの水棒への絡み、インキ供給ローラーの剥げ、網点絡み、紙むけ、及び地汚れの問題を改善した高精細印刷のFMスクリーン印刷、紫外線硬化印刷並びにCTP版を用いた印刷に好ましく使用できる平版印刷用濃縮湿し水を提供することにある。
従来、湿し水には印刷性能を向上させるため、10%前後の濃度でイソプロピルアルコールを添加して印刷を行っていた。本発明の他の目的は、作業環境及び安全衛生面上イソプロピルアルコールを全く使用しないか大幅に添加濃度を下げることができる湿し水を提供することにある。更に別の目的は、オフセット輪転機の排ガス燃焼装置に充填されている触媒の被毒作用を有するリン化合物を全く含有しない無リンタイプの湿し水を提供することにある。
又、排水規制物質であるリン化合物を全く含有しない所謂無リンタイプの湿し水を提供することにある。
本発明者らは、上記水棒絡み、ローラー剥げ、網点絡み、紙むけ、及び地汚れを抑制する働きを有する湿し水組成物に関し鋭意研究を重ねた結果、特定の化合物を組み合わせることにより、上記の問題は解消でき、且つ濃縮化しても安定性に優れた安全な平版印刷用濃縮湿し水組成物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
更には、本発明の濃縮湿し水組成物は、有機溶剤としてジオール類、及びアルコキシアルコール類を含有することが好ましい。
本発明は、また、上記の濃縮湿し水組成物を30〜200倍に希釈した組成の平版印刷用湿し水組成物を提供することである。
本発明は、また、上記の濃縮湿し水組成物を30〜200倍に希釈した組成の平版印刷用湿し水組成物を提供することである。
上記式(I)で示される芳香族スルホン酸塩樹脂を必須成分とする本発明組成物の使用は、水棒絡みやローラー剥げ紙むけ及び地汚れが解消できると共に、特に従来から問題となっていた網点絡み(ストップ汚れ)の防止効果が顕著に現れ、長期間に亘り印刷が継続可能であること又、水棒からの水上がりや湿し水の版面上での拡散を良好ならしめるなどの効果を奏する。
本発明の濃縮湿し水組成物に使用する芳香族スルホン酸塩樹脂は水溶性高分子で、従来の湿し水の分野で使用される添加剤、助剤等とともに必須成分として使用される。好適に
使用できる範囲は、濃縮湿し水全重量に対して該水溶性高分子は1〜50重量%、より好ましくは5〜40重量%の範囲である。
使用できる範囲は、濃縮湿し水全重量に対して該水溶性高分子は1〜50重量%、より好ましくは5〜40重量%の範囲である。
該芳香族スルホン酸塩樹脂、即ちポリスチレンスルホン酸塩樹脂の具体例としては、ライオン株式会社から販売されている商品名"ポリティー”や東ソー株式会社から販売されている商品名"ポリNaSS”等が挙げられる。本発明には、ポリティーPM2100、ポリティーPM1900、ポリNaSS PS−100、ポリNaSS PS−50が好適に使用できる。
湿し水は一般的には酸性領域、すなわちpH3〜6の範囲で使用するのが望ましく、pH値をこの範囲に安定的に維持するためには有機酸又は無機塩からなるpH緩衝剤を添加すればよい。
pH緩衝剤としては、従来から使用されている有機酸及び/又は無機酸又はそれらの塩類の使用を制限するものではない。有機酸としては、例えばクエン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、グルコン酸、酢酸、ヒドロキシ酢酸、シュウ酸、マロン酸、レブリン酸、スルファニル酸、p−トルエンスルホン酸、フィチン酸、有機スルホン酸等が挙げられる。無機酸としては、例えばリン酸、硝酸、硫酸、ポリリン酸等が挙げられる。更にこれら有機酸及び/又は無機酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、或いはアンモニウム塩、有機アミン塩などが用いられる。
pH緩衝剤としては、従来から使用されている有機酸及び/又は無機酸又はそれらの塩類の使用を制限するものではない。有機酸としては、例えばクエン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、グルコン酸、酢酸、ヒドロキシ酢酸、シュウ酸、マロン酸、レブリン酸、スルファニル酸、p−トルエンスルホン酸、フィチン酸、有機スルホン酸等が挙げられる。無機酸としては、例えばリン酸、硝酸、硫酸、ポリリン酸等が挙げられる。更にこれら有機酸及び/又は無機酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、或いはアンモニウム塩、有機アミン塩などが用いられる。
一方、本発明においては、従来から使用されているpH緩衝剤の使用を制限するものではないが、排水規制を受けないpH緩衝剤並びに印刷機の排ガス処理装置に設置されている充填触媒を被毒しないpH緩衝剤いわゆるリン化合物を含まない無リンタイプのpH緩衝剤の使用が好ましい。
より具体的には、pH緩衝剤として、コハク酸及びクエン酸金属塩の混合物の使用が好ましい。本発明において、この混合物の含有量は濃縮湿し水組成物全重量に対して0.1〜10重量%の範囲が好ましい。より好ましくは0.5〜5重量%である。
より具体的には、pH緩衝剤として、コハク酸及びクエン酸金属塩の混合物の使用が好ましい。本発明において、この混合物の含有量は濃縮湿し水組成物全重量に対して0.1〜10重量%の範囲が好ましい。より好ましくは0.5〜5重量%である。
更に本発明においては、上記化合物の他に動的表面張力の降下、不感脂化剤の可溶化、界面活性剤の曇点向上、或いはインキ乳化率を適正な範囲に調節するために、下記一般式(II)及び/又は(III)及び/又は(IV)の有機溶剤を添加することができる。
一般式(II);
SHAPE \* MERGEFORMAT (式中、R1は炭素数1〜2のアルキル基を表す。)
一般式(II);
上記一般式(II)で示される有機溶剤は、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールである。
又、上記の一般式(III)で示される有機溶剤は、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル酸化プロピレン付加物である。
更に、上記の一般式(IV)で示される有機溶剤としては、t−ブトキシエタノール、3−メチル−3−メトキシブタノールが好ましく使用される。
又、上記の一般式(III)で示される有機溶剤は、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル酸化プロピレン付加物である。
更に、上記の一般式(IV)で示される有機溶剤としては、t−ブトキシエタノール、3−メチル−3−メトキシブタノールが好ましく使用される。
これらの化合物は、水溶性樹脂の溶解性の向上及び高温保存時に発生する界面活性剤の曇点現象を抑制する効果を発揮する。
上記の有機溶剤はそれぞれ単独でも、あるいは2種以上併用して濃縮湿し水組成物に添加することができる。これらの有機溶剤の濃縮湿し水組成物における含有量は、該組成物全重量に基づいて5〜70重量%が適当である。より好ましくは5〜45重量%である。
上記の有機溶剤はそれぞれ単独でも、あるいは2種以上併用して濃縮湿し水組成物に添加することができる。これらの有機溶剤の濃縮湿し水組成物における含有量は、該組成物全重量に基づいて5〜70重量%が適当である。より好ましくは5〜45重量%である。
本発明の濃縮湿し水組成物には、以上の成分の他に更に(a)界面活性剤、(b)キレート化合物、(c)防腐剤、(d)防錆剤、(e)着色剤、(f)消泡剤、(g)印刷版の腐蝕防止剤等を必要に応じて添加することができる。
本発明に使用できる(a)界面活性剤は、インキ乳化率の調節や濡れ性向上の補助剤として添加してもよい。
好ましく使用できる界面活性剤の種類は非イオン型界面活性剤であり、中でもポリオキシアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー類等が好ましく使用できる。
これらの界面活性剤は単独でも、又2種以上併用することもでき、湿し水使用時の発泡(起泡)を抑制する観点からはその含有量は濃縮湿し水組成物全重量に基づいて1.0%以下が適当である。
好ましく使用できる界面活性剤の種類は非イオン型界面活性剤であり、中でもポリオキシアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー類等が好ましく使用できる。
これらの界面活性剤は単独でも、又2種以上併用することもでき、湿し水使用時の発泡(起泡)を抑制する観点からはその含有量は濃縮湿し水組成物全重量に基づいて1.0%以下が適当である。
本発明には、(b)キレート化合物を添加することができる。通常濃縮湿し水組成物は水道水、井戸水等を加えて30から200倍に希釈して使用される。この際、希釈する水道水や井戸水に含まれる炭酸カルシウムが印刷に悪影響を与え、印刷適性や印刷物品質を悪化させる原因となる場合もある。このような場合には、キレート化合物を添加すれば上記問題は解消できる。
本発明において好ましく使用できるものとしては、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸及びこれらのカリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩;ニトリロトリ酢酸、そのナトリウム塩;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、そのナトリウム塩、そのカリウム塩などが挙げられる。
これらの添加量は使用する水道水や井戸水の硬度によって異なるが濃縮湿し水組成物全重量に基づいて0.0001〜1.0重量%が適当である。
本発明において好ましく使用できるものとしては、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸及びこれらのカリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩;ニトリロトリ酢酸、そのナトリウム塩;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、そのナトリウム塩、そのカリウム塩などが挙げられる。
これらの添加量は使用する水道水や井戸水の硬度によって異なるが濃縮湿し水組成物全重量に基づいて0.0001〜1.0重量%が適当である。
本発明には、防腐剤を必要に応じて添加することができる。湿し水中にカビが増殖すると、印刷に悪影響を与え、印刷物を汚す原因となることもある。
本発明で好ましく使用できる防腐剤としては、イミダゾール誘導体、デヒドロ酢酸ナトリウム、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、四級アンモニウム塩、トリアゾール誘導体、オキサゾール又はオキサジンの誘導体、ブロモニトロプロパノール、1,1−ジブロモ−1−ニトロエタノール、3−ブロモ−3−ニトロペンタン等が挙げられる。これらの防腐剤の種々の調剤液が市販されており、これらの調剤液を使用することもできる。
具体例として、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体と1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−エタノールを含有せしめた三愛石油(株)製のサンバック、東京ファイン(株)製のファインサイド、ケイ・アイ化成(株)製のバイオホープやタイショウテクノス(株)製のビオサイド6000wなどが挙げられる。
好ましい添加量は細菌、酵母、カビに対して安定に効力を発揮する量であって、カビの種類によっても異なるが、濃縮湿し水組成物全重量に対して0.001〜1.0重量%の範囲が好ましい。又、種々のカビ、細菌、酵母に対して薬効のある2種以上の防腐剤を併用することもできる。
本発明で好ましく使用できる防腐剤としては、イミダゾール誘導体、デヒドロ酢酸ナトリウム、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、四級アンモニウム塩、トリアゾール誘導体、オキサゾール又はオキサジンの誘導体、ブロモニトロプロパノール、1,1−ジブロモ−1−ニトロエタノール、3−ブロモ−3−ニトロペンタン等が挙げられる。これらの防腐剤の種々の調剤液が市販されており、これらの調剤液を使用することもできる。
具体例として、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体と1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−エタノールを含有せしめた三愛石油(株)製のサンバック、東京ファイン(株)製のファインサイド、ケイ・アイ化成(株)製のバイオホープやタイショウテクノス(株)製のビオサイド6000wなどが挙げられる。
好ましい添加量は細菌、酵母、カビに対して安定に効力を発揮する量であって、カビの種類によっても異なるが、濃縮湿し水組成物全重量に対して0.001〜1.0重量%の範囲が好ましい。又、種々のカビ、細菌、酵母に対して薬効のある2種以上の防腐剤を併用することもできる。
本発明では、印刷機械装置の腐蝕を防止するために防錆剤を添加することができる。本発明に使用できる(d)防錆剤としては、例えばベンゾトリアゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、チオサリチル酸、ベンゾイミダゾール及びその誘導体等が挙げられる。
本発明に使用できる(e)着色剤としては、食品用色素が好ましく使用できる。例えば、黄色色素としてはCI No.19140,15985、赤色色素としてはCI No.16185,45430,16255,45380,45100、紫色色素としてはCINo.42640、青色色素としてはCINo.42090,73015、緑色色素としてはCINo.42095等が挙げられる。
本発明では、循環ラインを備えた湿し水調製槽内及び水舟内での発泡を抑制するため、(f)消泡剤を添加することが好ましい。本発明で使用する消泡剤としては、消泡速度の速さからシリコーン系消泡剤が好ましく、乳化分散型及び可溶化型のいずれのものも使用できる。
本発明に使用できる(e)着色剤としては、食品用色素が好ましく使用できる。例えば、黄色色素としてはCI No.19140,15985、赤色色素としてはCI No.16185,45430,16255,45380,45100、紫色色素としてはCINo.42640、青色色素としてはCINo.42090,73015、緑色色素としてはCINo.42095等が挙げられる。
本発明では、循環ラインを備えた湿し水調製槽内及び水舟内での発泡を抑制するため、(f)消泡剤を添加することが好ましい。本発明で使用する消泡剤としては、消泡速度の速さからシリコーン系消泡剤が好ましく、乳化分散型及び可溶化型のいずれのものも使用できる。
本発明の濃縮湿し水組成物には必要に応じて更に印刷版のアルミニウムの腐蝕防止剤として、水溶性硝酸塩を添加してもよい。
具体例として、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸ベリリウム、硝酸アルミニウム、硝酸亜鉛、硝酸ジルコニウム、硝酸ニッケル、硝酸マンガン、硝酸クロム等が挙げられる。これらの塩は1種もしくは2種以上併用してもよい。これらの塩は濃縮湿し水組成物の0.1〜20重量%の範囲で使用される。
具体例として、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸ベリリウム、硝酸アルミニウム、硝酸亜鉛、硝酸ジルコニウム、硝酸ニッケル、硝酸マンガン、硝酸クロム等が挙げられる。これらの塩は1種もしくは2種以上併用してもよい。これらの塩は濃縮湿し水組成物の0.1〜20重量%の範囲で使用される。
次に本発明を実施例及び比較例を挙げて更に具体的に説明するが,本発明はこれらの例に限られるものではない。
なお、以下の記載において%は特に指定のない限り重量%を示す。
I.濃縮湿し水組成物の調製 (実施例1〜3及び比較例4〜6)
表1に記載の組成に従って、各種濃縮湿し水組成物を調製した。単位はグラムであり、純水を加えて全量を1000mlとした。
なお、以下の記載において%は特に指定のない限り重量%を示す。
I.濃縮湿し水組成物の調製 (実施例1〜3及び比較例4〜6)
表1に記載の組成に従って、各種濃縮湿し水組成物を調製した。単位はグラムであり、純水を加えて全量を1000mlとした。
II.評価
上記の如く調製した実施例1〜3、比較例4〜6の濃縮湿し水組成物について、下記(a)のように液の濃縮化適性を評価した。更に実施例1〜3、比較例4〜6で調製した濃縮湿し水組成物を水道水を用いて0.001〜5%の濃度に希釈し、pHを4.0〜5.0に調製した。
これらの希釈液で三菱ダイヤマチック印刷機(枚葉4色機)のダイヤ連続給水装置を用いて富士写真フィルム(株)製の版材VPSを標準条件で製版したものを使用して下記の印刷テスト(b)〜(e)を実施した。それらの結果を表2に示した。
上記の如く調製した実施例1〜3、比較例4〜6の濃縮湿し水組成物について、下記(a)のように液の濃縮化適性を評価した。更に実施例1〜3、比較例4〜6で調製した濃縮湿し水組成物を水道水を用いて0.001〜5%の濃度に希釈し、pHを4.0〜5.0に調製した。
これらの希釈液で三菱ダイヤマチック印刷機(枚葉4色機)のダイヤ連続給水装置を用いて富士写真フィルム(株)製の版材VPSを標準条件で製版したものを使用して下記の印刷テスト(b)〜(e)を実施した。それらの結果を表2に示した。
(a)液の濃縮化適性
上記のように調合した濃縮湿し水組成物を10mlバイアル瓶に入れ、液の均一混合性を調べた。
・1ヶ月間放置しても変化無し A
・成分の沈降物、浮遊物が少量発生する B
・完全に相分離する C
上記のように調合した濃縮湿し水組成物を10mlバイアル瓶に入れ、液の均一混合性を調べた。
・1ヶ月間放置しても変化無し A
・成分の沈降物、浮遊物が少量発生する B
・完全に相分離する C
(b)耐ローラ剥げ性
印刷部数5,000,10,000,20,000…枚で印刷機を一時止め、インキ供給ローラ表面上のインキ膜の剥げ状態を目視観察した。
・印刷部数50,000枚以上でもローラ剥げなし A
・印刷部数10,000〜50,000枚の間でローラ剥げ発生 B
・印刷部数10,000以下でローラ剥げ発生 C
(c)耐水棒絡み性
上記のように印刷機を一時止め、湿し水を汲み上げる水棒(水元ローラ)の表面上のインキの付着状態を目視観察した。
・印刷部数50,000枚以上でもインキ絡みなし A
・印刷部数10,000〜50,000枚の間でインキ絡みなし B
・印刷部数10,000以下でインキ絡み発生 C
印刷部数5,000,10,000,20,000…枚で印刷機を一時止め、インキ供給ローラ表面上のインキ膜の剥げ状態を目視観察した。
・印刷部数50,000枚以上でもローラ剥げなし A
・印刷部数10,000〜50,000枚の間でローラ剥げ発生 B
・印刷部数10,000以下でローラ剥げ発生 C
(c)耐水棒絡み性
上記のように印刷機を一時止め、湿し水を汲み上げる水棒(水元ローラ)の表面上のインキの付着状態を目視観察した。
・印刷部数50,000枚以上でもインキ絡みなし A
・印刷部数10,000〜50,000枚の間でインキ絡みなし B
・印刷部数10,000以下でインキ絡み発生 C
(d)耐網点絡み性(耐ストップ汚れ性)
印刷機を1時間、2時間、4時間…それぞれ停止した後、印刷版の網点のインキ絡みを拡大鏡で目視観察すると共に印刷を再開した後の印刷物の網点再現性(網点95%)を調べた。
・4時間以上停止しても網点汚れ無し A
・2〜4時間停止すると網点汚れ発生 B
・1時間停止すると網点汚れ発生 C
(e)印刷物品質
印刷物の汚れ、濃度ムラ、色ムラなどを調べた。
・印刷品質が良好 A
・印刷品質に問題がある B
印刷機を1時間、2時間、4時間…それぞれ停止した後、印刷版の網点のインキ絡みを拡大鏡で目視観察すると共に印刷を再開した後の印刷物の網点再現性(網点95%)を調べた。
・4時間以上停止しても網点汚れ無し A
・2〜4時間停止すると網点汚れ発生 B
・1時間停止すると網点汚れ発生 C
(e)印刷物品質
印刷物の汚れ、濃度ムラ、色ムラなどを調べた。
・印刷品質が良好 A
・印刷品質に問題がある B
III.実機試験(印刷機による印刷試験)
上記実施例・比較例 表1の濃縮湿し水組成物を水道水で希釈し3.0%溶液とし、印刷試験を行った。
印刷条件は下記の通りである。
印 刷 機 : 4色機 (太陽機械)
湿 し 水 : 3.0%希釈液(いずれもpH4.5)
イ ン キ : ホワイト、紅、特練金赤 (T & K Toka)
減感インキ 801A (帝国インキ製)
用 紙 : NCR紙 SUPER (三菱製紙)
KS COPY BRIGHT BLACK (王子製紙)
印刷速度 : 150m/min
湿し水温度: 12℃
上記実施例・比較例 表1の濃縮湿し水組成物を水道水で希釈し3.0%溶液とし、印刷試験を行った。
印刷条件は下記の通りである。
印 刷 機 : 4色機 (太陽機械)
湿 し 水 : 3.0%希釈液(いずれもpH4.5)
イ ン キ : ホワイト、紅、特練金赤 (T & K Toka)
減感インキ 801A (帝国インキ製)
用 紙 : NCR紙 SUPER (三菱製紙)
KS COPY BRIGHT BLACK (王子製紙)
印刷速度 : 150m/min
湿し水温度: 12℃
結果は次の通りであった。
比較例4の湿し水を用いた場合には、水棒絡みやローラ剥げが発生しやすく、高品質の印刷物は得られなかった。特に休憩時間(1時間)後の立ち上げ時にはインキの絡み汚れが認められ、刷版をプレートクリナーで洗浄しなければ回復できなかった。
実施例1の湿し水を使用した場合には、上述したような不具合の発生はなく、高品質の印刷物が得られた。
実施例2、3及び比較例5、6についても同様な結果を得た。
比較例4の湿し水を用いた場合には、水棒絡みやローラ剥げが発生しやすく、高品質の印刷物は得られなかった。特に休憩時間(1時間)後の立ち上げ時にはインキの絡み汚れが認められ、刷版をプレートクリナーで洗浄しなければ回復できなかった。
実施例1の湿し水を使用した場合には、上述したような不具合の発生はなく、高品質の印刷物が得られた。
実施例2、3及び比較例5、6についても同様な結果を得た。
Claims (5)
- 式(I)で示される芳香族スルホン酸塩樹脂の配合量が、濃縮湿し水全重量に対して1〜50重量%である請求項1記載の平版印刷用濃縮湿し水組成物。
- 1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、t−ブトキシエタノール、及び3−メチル−3−メトキシブタノールの1又は2以上を含むことからなる請求項1記載の平版印刷用濃縮湿し水組成物。
- pH緩衝剤として、コハク酸及びクエン酸金属塩の混合物を含むことからなる請求項1又は2に記載の平版印刷用濃縮湿し水組成物。
- 請求項1の濃縮湿し水組成物を30〜200倍に希釈した組成の平版印刷用湿し水組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007052939A JP2008213269A (ja) | 2007-03-02 | 2007-03-02 | 平版印刷用濃縮湿し水組成物 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007052939A JP2008213269A (ja) | 2007-03-02 | 2007-03-02 | 平版印刷用濃縮湿し水組成物 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011073217A (ja) * | 2009-09-29 | 2011-04-14 | Parute Gotou:Kk | 天然素材模様や天然素材加工品模様を有する製品の製造方法 |
JP2014037135A (ja) * | 2012-07-17 | 2014-02-27 | Tokyo Printing Ink Mfg Co Ltd | 平版印刷方法および湿し水濃縮組成物 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2007
- 2007-03-02 JP JP2007052939A patent/JP2008213269A/ja active Pending
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