JP2001180146A - 平版印刷版用湿し水 - Google Patents

平版印刷版用湿し水

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JP2001180146A
JP2001180146A JP36932599A JP36932599A JP2001180146A JP 2001180146 A JP2001180146 A JP 2001180146A JP 36932599 A JP36932599 A JP 36932599A JP 36932599 A JP36932599 A JP 36932599A JP 2001180146 A JP2001180146 A JP 2001180146A
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acid
water
fountain solution
ether
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JP36932599A
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Hiroshi Matsumoto
博 松本
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 イソプロピルアルコール系に代替しうる作業
環境上快適且つ安全で、また、動的表面張力が低く、高
速度で回転する部材の条件下でも良好で安定した印刷適
性を発揮し、且つ各種のインキに対して安定した印刷適
性を発揮し、優れた印刷物を得ることができる平版印刷
版用湿し水を提供する。 【解決手段】 下記一般式(I)で示される少なくとも
1種の化合物を含有することを特徴とする平版印刷版用
湿し水。 【化1】 (式(I)中、R1は炭素原子数1〜8の直鎖又は分岐
鎖のアルキル基を表し、R2は炭素原子数1〜12の直
鎖アルキル基を表し、nは1〜10の整数を表し、oは
1〜10の整数を表す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、平版印刷版用湿し
水に関し、より具体的には平版印刷版のオフセット印刷
法に有用な湿し水に関する。
【0002】
【従来の技術】平版印刷は水と油が本質的に混じり合わ
ない性質を巧みに利用した印刷方式であり、印刷版面は
水を受容し油性インキを反撥する領域と、水を反撥し油
性インキを受容する領域から成り、前者が非画像領域で
あり、後者が画像領域である。湿し水によって、非画像
領域を湿潤させて画像領域と非画像領域との界面化学的
な差を拡大して、非画像領域のインキ反撥性と画像領域
のインキ受容性とを増大させることがなされる。従来か
ら一般的に知られている湿し水としては、重クロム酸の
アルカリ金属塩又はアンモニウム塩、リン酸又はその
塩、例えばアンモニウム塩、アラビアガム、カルボキシ
メチルセルロース(CMC)等のコロイド物質等を添加
した水溶液がある。しかしながら、これらの化合物だけ
を含む湿し水は、版の非画像部に均一に濡れ難い欠点が
あり、このため印刷物が時々汚れたり、また湿し水の供
給量を調節するのに相当の熟練を要するなど問題となっ
ていた。
【0003】この欠点を改良するため、イソプロピルア
ルコールを約20〜25%加えた水溶液を湿し水として
用いるダールグレン方式が提案されている。この方式に
よると、非画像部への濡れが良くなり、湿し水の量が少
なくて済み、印刷インキと水との供給量のバランスの調
整が容易であり、印刷インキ中への湿し水の乳化量が少
なくなり、更にブランケットへの印刷インキの転移性が
良くなる等、作業性の面及び得られた印刷物の精度の面
において数々の利点がある。しかしながら、このイソプ
ロピルアルコールは蒸発し易いために、湿し水のイソプ
ロピルアルコール濃度を一定に保つための特殊な装置が
必要であり、価格の点において高価なものとなる。ま
た、イソプロピルアルコールは特有の不快臭があること
と共に、毒性の面でも問題があって作業環境上好ましく
ない。また、このイソプロピルアルコールを添加した湿
し水を、通常の水棒を用いるオフセット印刷に適用して
も、ローラー上及び版面上でイソプロピルアルコールが
蒸発するため、その効果を発揮することができないなど
問題となっていた。
【0004】更に、近年産業公害に対する社会的関心が
非常に高まり、廃水中のクロムイオンの排出規制が厳し
くなり、またイソプロピルアルコールのような有機溶剤
の使用が安全衛生面から規制される傾向にある。従っ
て、環境衛生面において安全で、印刷作業にあたって専
門的熟練を必要とすることなく、供給量の調節を容易に
行うことができ、しかも印刷版の汚れを防止するだけで
なく、高速印刷に適合できる等の湿し水特性に優れた高
品質の印刷物を得ることができる平版印刷版用の湿し水
が求められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、イソ
プロピルアルコール系に代替しうる作業環境上快適且つ
安全で、また、動的表面張力が低く、高速度で回転する
部材の条件下でも良好で安定した印刷適性を発揮し、且
つ各種のインキに対して安定した印刷適性を発揮し、優
れた印刷物を得ることができる平版印刷版用湿し水を提
供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは,上記課題
を達成するため平版印刷版用湿し水について研究を重ね
た結果、下記一般式(I)で示される化合物を使用する
ことで、各種のインキに対して印刷適性が大幅に向上
し、特に従来より印刷が難しいと言われている金属顔料
を含むインキ、UVインキ等においても特異的に印刷安
定性を良化する等、優れた湿し水が得られることを見出
し、本発明を完成するに至った。従って、本発明は、下
記一般式(I)で示される少なくとも1種の化合物を含
有することを特徴とする平版印刷版用湿し水に関する。
【0007】
【化3】
【0008】(式(I)中、R1は炭素原子数1〜8の
直鎖又は分岐鎖のアルキル基を表し、R2は炭素原子数
1〜12の直鎖アルキル基を表し、nは1〜10の整数
を表し、oは1〜10の整数を表す。) 本発明の湿し水の好ましい実施態様としては、さらに下
記一般式(II)で示される少なくとも1種の化合物を含有
する平版印刷版用湿し水がある。
【0009】
【化4】
【0010】(式(II)中、R3は炭素原子数3〜8のア
ルキル基を表し、mは1〜3の整数を表す。)
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の平版印刷版用湿し
水を詳しく説明する。なお、湿し水は通常商業ベースと
するときは濃縮化し商品化するのが一般的であり、使用
時に、そのような濃縮湿し水組成物を適宜希釈して使用
することになる。本明細書中で以下に触れる各種成分の
含有量や添加量は、特に記載しない限り、使用時の湿し
水の全質量に基づいたものである。
【0012】本発明の湿し水に使用する一般式(I)の
化合物において、R1は炭素原子数1〜8の直鎖又は分
岐鎖のアルキル基を表し、好ましくは炭素原子数2から
6の直鎖アルキル基である。R2は炭素原子数1から1
2の直鎖アルキル基を表し、好ましくは炭素原子数3か
ら8の直鎖アルキル基である。nは1〜10の整数を表
し、oは1〜10の整数を表す。n+oの値が12以下
のものが好ましく、さらにn+oの値が6以下のものが
好ましく、n+o=2〜6の範囲である。n+oの値が
20を超えると発泡性が高くなり不適当である。
【0013】本発明の湿し水の好ましい実施態様では、
後述する一般式(II)で示される化合物を併用する。一
般式(I)の化合物の選択にあたっては、使用する一般
式(II)の化合物の水に対する溶解性を考慮して選択す
ることができる。すなわち、一般式(II)の化合物が水
に難溶性のときは、式(I)においてn+o値が比較的
大きいものを使用し、一方一般式(II)の化合物が水に
易溶性のときは、一般式(I)においてn+o値が比較
的小さいものを使用することができる。本発明の湿し水
においては、一般式(I)で示される化合物を1種単独
で、あるいは2種以上を使用してもよい。一般式(I)
で示される化合物の湿し水における含有量は、湿し水の
全質量に基づいて0.001〜5質量%が適当であり、よ
り好ましくは0.05〜3質量%である。0.001質量%
よりも少ないとインキとの乳化性が劣り版が汚れ易くな
る。一方5質量%を超えると、インキ濃度の不安定とロ
ーラストリップ等の原因となりやすい。
【0014】本発明の平版印刷版用湿し水に使用する一
般式(II)の化合物において、R3は炭素原子数3〜8
の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を表し、mは1〜3の整
数を表す。これらの化合物は従来より濡れ性向上剤とし
て知られている。一般式(II)の化合物は具体的に、プ
ロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレン
グリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリ
コールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモ
ノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチ
ルエーテル、プロピレングリコールモノイソブチルエー
テル、ジプロピレングリコールモノイソブチルエーテ
ル、トリプロピレングリコールモノイソブチルエーテ
ル、プロピレングリコールモノターシャリブチルエーテ
ル、ジプロピレングリコールモノターシャリブチルエー
テル及びトリプロピレングリコールモノターシャリブチ
ルエーテル、プロピレングリコールモノn-ペンチルエー
テル、プロピレングリコールモノイソペンチルエーテ
ル、プロピレングリコールモノヘキサンエーテルなどで
ある。これらの化合物を1種単独で、あるいは2種以上
を併用して使用することができる。
【0015】中でも、プロピレングリコールモノイソプ
ロピルエーテル、プロピレングリコールのn−ブチル又
はt−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノイソ
ペンチルエーテルなどが好ましく使用できる。一般式
(II)で示される化合物の湿し水における含有量は、湿
し水の全質量に基づいて0.2〜8質量%が適当であり、
より好ましくは0.5〜5質量%である。0.2質量%より
も少ないと湿し水の版に対する濡れ性が劣り、一方8質
量%を超えるとローラストリップ又は印刷版の耐刷不良
等の原因となりやすい。
【0016】本発明の湿し水のその他の成分としては、
以下のものを含ませることができる。 (a)濡れ性向上のための助剤 (b)水溶性高分子化合物 (c)pH調整剤 (d)臭気マスキング剤 (e)その他(キレート化剤、防腐剤、着色剤、防錆剤、
消泡剤など)
【0017】(a)濡れ性向上のための助剤として、界面
活性剤や他の溶剤を使用することができる。界面活性剤
のうち、例えばアニオン型界面活性剤としては、脂肪酸
塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン
酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホ琥
珀酸塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐
鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレ
ンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチ
レンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアル
キルスルフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレ
イルタウリンナトリウム塩類、N−アルキルスルホ琥珀
酸モノアミド二ナトリウム塩類、石油スルホン酸塩類、
硫酸化ひまし油、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステ
ルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポ
リオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、
脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエ
チレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポ
リオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステ
ル塩類、アルキル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレ
ンアルキルエーテル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチ
レンアルキルフェニルエーテル燐酸エステル塩類、スチ
レン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、オレ
フィン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、ナ
フタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類等が挙げられ
る。これらの中でもジアルキルスルホ琥珀酸塩類、アル
キル硫酸エステル塩類及びアルキルナフタレンスルホン
酸塩類が特に好ましく用いられる。
【0018】非イオン型界面活性剤としては、ポリオキ
シエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンア
ルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリス
チリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオ
キシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸
部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペ
ンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレン
グリコールモノ脂肪酸エステル類、蔗糖脂肪酸部分エス
テル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エス
テル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エ
ステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、
ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチ
レン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪
酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,
N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキ
シエチレンアルキルアミン類、トリエタノールアミン脂
肪酸エステル類、トリアルキルアミンオキシド類などが
挙げられる。その他、弗素系界面活性剤、シリコン系界
面活性剤も使用することができる。その中でもポリオキ
シエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエ
チレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー類等が
好ましく用いられる。更に、シリコン誘導体又はフッ素
誘導体等の界面活性剤も挙げられる。界面活性剤を使用
する場合、その含有量は発泡の点を考慮すると、湿し水
の全質量に対して1.0質量%以下、好ましくは0.001
〜0.5質量%が適当である。また、2種以上併用するこ
ともできる。
【0019】また、その他の助剤あるいは湿潤溶剤とし
て、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロ
ピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレン
グリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール
モノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチ
ルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエー
テル、テトラプロピレングリコールモノエチルエーテ
ル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプ
ロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピ
レングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリ
コールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコ
ールモノイソプロピルエーテル、トリプロピレングリコ
ールモノイソプロピルエーテル、
【0020】エチレングリコールモノメチルエーテル、
ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレ
ングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコ
ールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチ
ルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテ
ル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチ
レングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレング
リコールモノイソブチルエーテル、トリエチレングリコ
ールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノ
プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピル
エーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテ
ル、
【0021】エチレングリコールモノブチルエーテル、
エチレングリコールモノターシャリブチルエーテル、ジ
エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレング
リコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール
モノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノター
シャリブチルエーテル、3-メトキシ-3-メチルブタノー
ル、3-メトキシブタノール、エチレングリコール、ジエ
チレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレ
ングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレ
ングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコ
ール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ト
リメチロールプロパン等を用いることができる。これら
の溶剤は単独でもよいが、2種以上併用してもよい。一
般にこれらの溶剤は、湿し水の全質量に基づいて0.1〜
3質量%の範囲で使用するのが適当で、好ましくは0.3
〜2質量%である。
【0022】本発明の湿し水に使用する(b)水溶性高分
子化合物としては、例えばアラビアガム、澱粉誘導体
(例えば、デキストリン、酵素分解デキストリン、ヒド
ロキシプロピル化酵素分解デキストリン、カルボキシメ
チル化澱粉、リン酸澱粉、オクテニルコハク化澱粉)、
アルギン酸塩、繊維素誘導体(例えば、カルボキシメチ
ルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセ
ルロース)等の天然物及びその変性体、ポリエチレング
リコール及びその共重合体、ポリビニルアルコール及び
その誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミ
ド及びその共重合体、ポリアクリル酸及びその共重合
体、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、
酢酸ビニル/無水マレイン酸共重合体、ポリスチレンス
ルホン酸及びその共重合体の合成物が挙げられる。水溶
性高分子化合物の含有量は、湿し水の全質量に対して0.
0001〜0.1質量%が適しており、より好ましくは、
0.0005〜0.05質量%である。
【0023】本発明の湿し水に用いられる(c) pH調整
剤としては、水溶性の有機酸及び/又は無機酸又はそれ
らの塩が使用でき、これらの化合物は湿し水のpH調整
あるいはpH緩衝、平版印刷版支持体の適度なエッチン
グ又は防腐食に効果がある。好ましい有機酸としては、
例えばクエン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、
乳酸、酢酸、グルコン酸、酢酸、ヒドロキシ酢酸、蓚
酸、マロン酸、レブリン酸、スルファニル酸、p−トル
エンスルホン酸、フィチン酸、有機ホスホン酸等が挙げ
られる。無機酸としては例えばリン酸、硝酸、硫酸、ポ
リリン酸が挙げられる。更にこれら有機酸及び/又は無
機酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩あるいはア
ンモニウム塩、有機アミン塩も好適に用いられ、これら
の有機酸、無機酸及び/又はこれらの塩は単独で使用し
ても、あるいは2種以上の混合物として使用してもよ
い。これらpH調整剤の本発明の湿し水への添加量は、
0.001〜0.3質量%の範囲が好ましく、湿し水のpH
値が3〜7の範囲の酸性領域で用いることが好ましい
が、アルカリ金属水酸化物、リン酸、アルカリ金属塩、
炭酸アルカリ金属塩、ケイ酸塩などを含有したpH7〜
11のアルカリ性領域で用いることもできる。
【0024】(d)臭気マスキング剤としては、従来香料
としての用途が知られているエステルを含む。例えば下
記一般式(III)で示されるものがある。 R3−COOR4 (III) 一般式(III)の化合物において、式中R3は炭素原子数1
〜15のアルキル基、アルケニル基又はアラルキル基、
あるいはフェニル基である。アルキル基又はアルケニル
基の場合、その炭素原子数は好ましくは4〜8である。
3がアルキル基、アルケニル基又はアラルキル基を表
す場合、それらは直鎖でも分岐鎖でもよい。アルケニル
基は特に二重結合を1個有するものが適当である。アラ
ルキル基としては、ベンジル基やフェニルエチル基が挙
げられる。なお、R3で示されるアルキル基、アルケニ
ル基又はアラルキル基、あるいはフェニル基の1以上の
水素原子が、水酸基又はアセチル基で置換されていても
よい。R4は炭素原子数3〜10のアルキル基、アラル
キル基又はフェニル基であって、それらは直鎖でも分岐
鎖でもよい。アルキル基の場合、その炭素原子数は好ま
しくは3個から9個である。アラルキル基としては、ベ
ンジル基やフェニルエチル基が挙げられる。
【0025】使用できる(d)臭気マスキング剤として具
体的に、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、
2−エチル酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、2−メチル吉草
酸、ヘキサン酸(カプロン酸)、4−メチルペンタン酸
(イソヘキサン酸)、2−ヘキセン酸、4−ペンテン
酸、ヘプタン酸、2−メチルヘプタン酸、オクタン酸
(カプリル酸)、ノナン酸、デカン酸(カプリン酸)、
2−デセン酸、ラウリン酸又はミリスチン酸のエステル
が挙げられる。その他、フェニル酢酸ベンジル、アセト
酢酸エチルやアセト酢酸2−ヘキシルといったアセト酢
酸エステル等もある。中でも好ましいものとして、酢酸
n−ペンチル、酢酸イソペンチル、酪酸n−ブチル、酪
酸n−ペンチル及び酪酸イソペンチルが挙げられ、特に
酪酸n−ブチル、酪酸n−ペンチル及び酪酸イソペンチ
ルが好適である。これらの酸エステル類の湿し水におけ
る含有量は、湿し水の全質量に基づいて0.0001〜1
0質量%が適当で、より好ましくは0.001〜1質量%
である。これらを使用することにより、作業環境をより
改善することができる。また。バニリン、エチルバニリ
ン等とを併用してもよい。
【0026】本発明の湿し水にはさらに、キレート化剤
を添加することができる。湿し水は、使用時に通常濃縮
湿し水組成物に水道水、井戸水などを加えて希釈して調
製されるが、この際、使用する水道水や井戸水に含まれ
ているカルシウムイオン等が印刷に悪影響を与え、印刷
物を汚れ易くする原因となることもある。このような場
合、キレート化剤を添加することにより、上記欠点を解
消することができる。好ましいキレート化剤としては例
えば、エチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、
そのナトリウム塩;ジエチレントリアミンペンタ酢酸、
そのカリウム塩、ナトリウム塩;トリエチレンテトラミ
ンヘキサ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、ヒ
ドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、そのカリウ
ム塩、そのナトリウム塩;ニトリロトリ酢酸、そのナト
リウム塩;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン
酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;アミノトリ
(メチレンホスホン酸)、そのカリウム塩、そのナトリ
ウム塩などのような有機ホスホン酸類あるいはホスホノ
アルカントリカルボン酸類を挙げることができる。上記
のキレート化剤のナトリウム塩あるいはカリウム塩の代
わりに、有機アミンの塩も有効である。これらのキレー
ト化剤は使用時の湿し水中に安定に存在し、印刷性を阻
害しないものが選ばれる。使用時の湿し水中のキレート
化合物の含有量としては、0.001〜0.5質量%が適当
で、好ましくは0.002〜0.25質量%である。
【0027】本発明の湿し水に使用する防腐剤として
は、フェノール又はその誘導体、ホルマリン、イミダゾ
ール誘導体、デヒドロ酢酸ナトリウム、4−イソチアゾ
リン−3−オン誘導体、ベンズトリアゾール誘導体、ア
ミジン又はグアニジンの誘導体、四級アンモニウム塩
類、ピリジン、キノリン又はグアニジンの誘導体、ダイ
アジン又はトリアゾールの誘導体、オキサゾール又はオ
キサジンの誘導体、ブロモニトロアルコール系のブロモ
ニトロプロパノール、1,1−ジブロモ−1−ニトロ−
2−エタノール、3−ブロモ−3−ニトロペンタン、
2,4−ジオール等が挙げられる。好ましい添加量は細
菌、カビ、酵母等に対して、安定に効力を発揮する量で
あって、細菌、カビ、酵母の種類によっても異なるが、
湿し水に対し、0.001〜1.0質量%の範囲が好まし
く、また種々のカビ、細菌、酵母に対して効力のあるよ
うな2種以上の防腐剤を併用することが好ましい。
【0028】本発明の湿し水に使用する着色剤として
は、食品用色素等が好ましく使用できる。例えば、黄色
色素としてはCINo. 19140、15985、赤色色
素としてはCINo. 16185、45430、1625
5、45380、45100、紫色色素としてはCIN
o. 42640、青色色素としてはCINo. 4209
0、73015、緑色色素としてはCINo. 4209
5、等が挙げられる。本発明に使用できる防錆剤として
は、例えばベンゾトリアゾール、5−メチルベンゾトリ
アゾール、チオサリチル酸、ベンゾイミダゾール及びそ
の誘導体等が挙げられる。本発明の湿し水に使用できる
消泡剤としてはシリコン消泡剤が好ましく、その中で乳
化分散型及び可溶化型等いずれも使用することができ
る。
【0029】本発明の湿し水の成分として残余は、水で
ある。湿し水は、通常商業ベースとするときは濃縮化し
て商品化するのが一般的である。従って、水、好ましく
は脱塩水、即ち、純水を使用して、上記の各種成分を溶
解した水溶液として濃縮湿し水組成物を得ることができ
る。また、上述の溶剤成分と防腐剤を含有した水溶液で
ある添加液組成物を調製することができる。このような
濃縮湿し水組成物あるいは添加液組成物を用時に、通
常、水道水や井戸水等で10〜200倍程度に希釈し、
添加液組成物のときはさらにエッチ液を添加して、湿し
水として使用することができる。
【0030】
【発明の効果】本発明の平版印刷版用湿し水は、連続給
水方式の湿し水の供給装置に使用されているクロムロー
ラ及びゴムローラー等に付着する二価金属イオンの堆積
を防止し、安定に湿し水の均一な水膜を平版印刷版の版
面に供給することができる。また、作業環境上、快適で
安全性が高い。動的表面張力が低く、高速度で回転する
部材の条件下でも、良好で安定した印刷適性を発揮し、
安定に優れた印刷物を得ることができる。特に、従来湿
し水で印刷がしにくいと言われていた金属顔料インキを
使用した場合の印刷性を向上させることができる。長期
間安定使用できることから、生産性の向上にもつなが
る。
【0031】
【実施例】次に本発明を実施例により更に具体的に説明
する。なお、%は特に指定のない限り質量%を示す。
【実施例1〜12及び比較例1〜6】表1〜4の組成に
従って、各種組成物を調製した。実施例1〜6は濃縮湿
し水組成物で、実施例7〜12は添加液組成物で、比較
例1〜3は濃縮湿し水組成物で、比較例4〜6は添加液
組成物である。単位はグラムであり、水を加えて最終的
に1000mlとした。比較例では、式(I)の化合物に
代えて、トリメチロールプロパン、トリメチロールプロ
パントリスポリオキシエチレン付加物(n=1〜4)、
又はトリメチロールプロパントリスポリオキシプロピレ
ン付加物(n=1〜3)を使用した。いずれも用時に希
釈する。
【0032】
【表1】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】
【0035】上記のように調液した実施例1〜6及び比
較例1〜3の組成物を、硬度400ppm の疑似硬水を用
いて40倍に希釈し、pHが4.8〜5.3付近となるように
NaOH/リン酸(85%)にて調整して、実際に使用す
る湿し水として印刷テストに供した。また、実施例7〜
12及び比較例4〜6の組成物は50倍に希釈し、富士
写真フイルム(株)の湿し水(エッチ液)1F−202
を0.5%添加し実際に使用する湿し水として印刷テスト
に供した。三菱印刷機のダイヤ給水装置を用いて、東洋
インキ(株)の名称ハイエコーのシアンインキと使用プ
レートとして富士写真フイルム(株)製のVPSを標準
条件で製版したものを用いて、下記の印刷テストを実施
した。それらの結果を下記表5及び6に示す。
【0036】(a) 連続印刷適性及び給水ローラ安定性 1日 10,000枚印刷を7日間連続で実施した。 連続印刷適性‥‥スタート時の印刷機の給水量の目盛
り(目盛り1〜100、給水ローラの回転数のメジャー
でもある)を基準とした変化量を観察した。 ○‥‥5目盛り以内の変化量 △‥‥5〜10目盛りの変化量 ×‥‥10以上の目盛りの変化量 給水ローラ安定性‥‥1日目(1万枚印刷後)、3日
目(3万枚印刷後)、及び7日目(7万枚印刷後)の給
水ローラ上の汚れ(ローラ上に水膜が均一にきれいにで
きるかどうか)を観察した。 ○‥‥ほどんど汚れなし △‥‥やや汚れが見られる ×‥‥汚れる
【0037】(b) ブリード性 5,000枚及び10,000枚印刷したところで印刷機の
運転を休止し、画像部のインキが非画像部に滲みでてい
る程度を調べた。 ○‥‥滲みがほとんどない △‥‥滲みがややある ×‥‥滲みが多い (c)金属顔料インキ、UVインキ印刷安定性 使用したインキ;女神インキ(株)金インキ(青口)、
ベストキュアー紅(UVインキ)東華色素(株) ○‥‥5000枚印刷でも良好 △‥‥ブランケット上でインキ汚れ(途中1回版面洗
浄) ×‥‥1000枚付近でインキ汚れ(途中、版面及びブ
ランケット2回洗浄)
【0038】(d)発泡性 ローランド印刷機の湿し水循環装置に湿し水15リット
ルを60分循環させ、冷却タンクの泡の高さを測定す
る。 ○‥‥1〜2cm以内 △‥‥3〜4cm以内(許容範囲ぎりぎりの状態) ×‥‥タンクより溢れる状態
【0039】
【表5】
【0040】
【表6】
【0041】本発明による湿し水は、いずれのテスト項
目についても優れており、良好な印刷物が得られ、ま
た、湿し水適性も優れていることが判った。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で示される少なくとも
    1種の化合物を含有することを特徴とする平版印刷版用
    湿し水。 【化1】 (式(I)中、R1は炭素原子数1〜8の直鎖又は分岐
    鎖のアルキル基を表し、R2は炭素原子数1〜12の直
    鎖アルキル基を表し、nは1〜10の整数を表し、oは
    1〜10の整数を表す。)
  2. 【請求項2】 さらに下記一般式(II)で示される少なく
    とも1種の化合物を含有することを特徴とする請求項1
    記載の平版印刷版用湿し水。 【化2】 (式(II)中、R3は炭素原子数3〜8のアルキル基を表
    し、mは1〜3の整数を表す。)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013046877A1 (ja) 2011-09-30 2013-04-04 富士フイルム株式会社 機上現像型の平版印刷版原版を用いる印刷方法

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