JP2015174288A - 平版印刷用湿し水組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 平版印刷において、減斤紙を使用する場合においても紙粉残りや断紙等のトラブルが発生しにくく、アンモニア、アンモニウム化合物、亜硝酸化合物または硝酸化合物を含有しない、環境負荷を低減させた湿し水組成物を提供する。
【解決手段】 リンゴ酸金属塩を含有し、且つ4つの要素から成る下記の群(A)に属する物質を含有しない平版印刷用湿し水組成物。
群(A):アンモニア、アンモニウム化合物、亜硝酸化合物、硝酸化合物。
さらにリン化合物を含有し、前記のリンゴ酸金属塩の濃度が0.0025〜0.025質量%であり、リンゴ酸金属塩がリンゴ酸ナトリウム塩であって、pHが5.0〜9.0であり、リン含有率(リン純分として)が25mg/L以下である前記の平版印刷用湿し水組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】 リンゴ酸金属塩を含有し、且つ4つの要素から成る下記の群(A)に属する物質を含有しない平版印刷用湿し水組成物。
群(A):アンモニア、アンモニウム化合物、亜硝酸化合物、硝酸化合物。
さらにリン化合物を含有し、前記のリンゴ酸金属塩の濃度が0.0025〜0.025質量%であり、リンゴ酸金属塩がリンゴ酸ナトリウム塩であって、pHが5.0〜9.0であり、リン含有率(リン純分として)が25mg/L以下である前記の平版印刷用湿し水組成物。
【選択図】 なし
Description
本発明は平版印刷に用いられる湿し水組成物であって、特に新聞印刷において優れた印刷適性を示す湿し水組成物に関する。
平版印刷版を用いた印刷法は、水と油が混じり合わない性質を利用した印刷方式であり、印刷版面は水を受容してインキを反発する部分と、水を反発しインキを受容する部分からなり、前者が非画線で、後者が画線部である。この方式では、印刷版面に湿し水を与え過ぎるとインキの乳化が過剰になり、インキを供給するローラー上にインキが堆積して転移不良になるいわゆる過乳化が発生する。一方、湿し水が少なすぎると非画線部にインキが付着し、汚れの原因となる。
一般的に商業平版印刷分野では酸性タイプの湿し水組成物が使用され、新聞平版印刷分野では中性〜アルカリ性の湿し水組成物が使用されている。
通常、湿し水組成物は、濃縮された状態で製品として販売される。印刷機に供給する際は水または軟水(イオン交換樹脂でカルシウムイオンやマグネシウムイオンをナトリウムイオンにイオン交換した水)で希釈して用いられる。希釈倍率は0.1〜5.0%の範囲(即ち濃縮された状態のものを水で20〜1000倍に希釈する)が一般的である。
通常、湿し水組成物は、濃縮された状態で製品として販売される。印刷機に供給する際は水または軟水(イオン交換樹脂でカルシウムイオンやマグネシウムイオンをナトリウムイオンにイオン交換した水)で希釈して用いられる。希釈倍率は0.1〜5.0%の範囲(即ち濃縮された状態のものを水で20〜1000倍に希釈する)が一般的である。
印刷機における湿し水の版面への供給方式は、商業平版印刷では各種ローラーを介して印刷版面に供給する連続給水方式が主流であり、新聞平版印刷ではスプレーを使用して印刷版面に湿し水を供給するスプレー方式が主流である。従って商業平版印刷と新聞平版印刷の湿し水組成物に求められる要求特性も異なっている。
近年、新聞平版印刷では環境負荷低減を目的として、パルプ量を少なくした減斤紙(斤量:約40〜44g/m2)の紙が使用されるようになっている。
これらの用紙は厚さが薄いため、紙面強度が弱く、ブランケットローラーやインキローラー上に紙粉が堆積するいわゆる紙粉残りが発生しやすいことが問題となっている。また、ロール紙で印刷している新聞印刷では断紙による機械停止のトラブルに繋がるケースも発生している。紙粉残りは印刷物の汚れやインキの供給不良による印刷ムラ等を発生させやすい。
これらの用紙は厚さが薄いため、紙面強度が弱く、ブランケットローラーやインキローラー上に紙粉が堆積するいわゆる紙粉残りが発生しやすいことが問題となっている。また、ロール紙で印刷している新聞印刷では断紙による機械停止のトラブルに繋がるケースも発生している。紙粉残りは印刷物の汚れやインキの供給不良による印刷ムラ等を発生させやすい。
新聞平版印刷では一般的に湿し水量が多い場合、上記紙粉残りの発生や断紙に繋がる事が多い。そのため、減斤紙等の印刷においては湿し水量が少なく、且つ印刷物に汚れ等が出ることがない印刷適性の良好な湿し水組成物が望まれるようになっている。
特許文献1にはリン酸類を含有せず、強電解質中性塩を含有する湿し水組成物が記載されている。出願人が同一である特許文献2によれば、この湿し水組成物は強電解質の塩を含むため、印刷機やその付帯設備の金属部を腐食する場合があることが記載されている。
特許文献2にはリン酸塩を含有し、リン含有量が1〜16ppmである湿し水組成物が記載されており、段落15にはその成分として硝酸アンモニウム等の無機酸塩が好ましく用いられるとの記載がある。
特許文献3には、印刷用紙や水道水等に含まれるカルシウムが塩となって湿し水のスプレーノズルの詰まりや配管中のスケール堆積を起こすことを抑制するために、特定のポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体等の界面活性剤及びスケール形成を防止する成分を含有する湿し水濃縮組成物が記載されている。また段落23には有機酸や硝酸等の無機酸の塩が添加されるとの記載があり、そのアンモニウム塩等が例示されている。
特許文献4、5及び6にはリンゴ酸塩及び硝酸塩を含む湿し水組成物が記載され、その実施例の湿し水組成物はすべて硝酸塩を含有している。
新聞平版印刷では印刷開始から終了までに印刷版の差し替えが数多くあり、印刷停止と再立ち上げが頻繁に行われるため、停止中に版面が乾燥してアルミニウム基板である非画線部の一部が酸化して、酸化した部分にインキが付着する、いわゆる酸化汚れが発生しやすい。アンモニウム化合物や硝酸化合物は酸化汚れを防止する効果があるが、これらを含む化合物は人への健康被害や土壌汚染、水質汚染の原因となることが懸念されている。
新聞平版印刷では印刷開始から終了までに印刷版の差し替えが数多くあり、印刷停止と再立ち上げが頻繁に行われるため、停止中に版面が乾燥してアルミニウム基板である非画線部の一部が酸化して、酸化した部分にインキが付着する、いわゆる酸化汚れが発生しやすい。アンモニウム化合物や硝酸化合物は酸化汚れを防止する効果があるが、これらを含む化合物は人への健康被害や土壌汚染、水質汚染の原因となることが懸念されている。
本発明の課題は、平版印刷において、減斤紙を使用する場合においても紙粉残りや断紙等のトラブルが発生しにくく、アンモニア、及びアンモニウム化合物、亜硝酸化合物や硝酸化合物を含有しない、環境負荷を低減させた湿し水組成物を提供することである。
発明者らは、減斤紙を使用して印刷する場合においても紙粉残りや酸化汚れが発生しにくい湿し水組成物ついて研究を重ねた結果、次の(1)〜(7)に示す平版印刷用湿し水組成物によって本課題が解決されることを見出して本発明を完成した。
(1)リンゴ酸金属塩を含有し、且つ4つの要素から成る下記の群(A)に属する物質を含有しない平版印刷用湿し水組成物。
群(A):アンモニア、アンモニウム化合物、亜硝酸化合物、硝酸化合物。
(2)さらにリン含有化合物を含有する前記(1)に記載の平版印刷用湿し水組成物。
(3)pHが5.0〜9.0であり、且つリン含有率(リン純分として)が25mg/L以下である前記(2)に記載の平版印刷用湿し水組成物。
(4)前記のリンゴ酸金属塩の濃度が0.0025〜0.025質量%である前記(1)に記載の平版印刷用湿し水組成物。
(5)前記のリンゴ酸金属塩がリンゴ酸ナトリウム塩である前記(1)に記載の平版印刷用湿し水組成物。
(6)防腐剤を含有する前記(1)〜(5)のいずれかに記載の平版印刷用湿し水組成物。
(7)防錆剤を含有する前記(1)〜(6)のいずれかに記載の平版印刷用湿し水組成物。
さらに本発明は、水で1.1〜1000倍に希釈することにより、前記(1)〜(7)のいずれかに記載の平版印刷用湿し水組成物の組成となる平版印刷用湿し水濃縮組成物である。
(1)リンゴ酸金属塩を含有し、且つ4つの要素から成る下記の群(A)に属する物質を含有しない平版印刷用湿し水組成物。
群(A):アンモニア、アンモニウム化合物、亜硝酸化合物、硝酸化合物。
(2)さらにリン含有化合物を含有する前記(1)に記載の平版印刷用湿し水組成物。
(3)pHが5.0〜9.0であり、且つリン含有率(リン純分として)が25mg/L以下である前記(2)に記載の平版印刷用湿し水組成物。
(4)前記のリンゴ酸金属塩の濃度が0.0025〜0.025質量%である前記(1)に記載の平版印刷用湿し水組成物。
(5)前記のリンゴ酸金属塩がリンゴ酸ナトリウム塩である前記(1)に記載の平版印刷用湿し水組成物。
(6)防腐剤を含有する前記(1)〜(5)のいずれかに記載の平版印刷用湿し水組成物。
(7)防錆剤を含有する前記(1)〜(6)のいずれかに記載の平版印刷用湿し水組成物。
さらに本発明は、水で1.1〜1000倍に希釈することにより、前記(1)〜(7)のいずれかに記載の平版印刷用湿し水組成物の組成となる平版印刷用湿し水濃縮組成物である。
本発明は、減斤紙に印刷する場合でもブランケットローラーやインキローラー上での紙粉残りや、断紙等のトラブルが少なく、一時停止後の再印刷時の酸化汚れが発生しにくく、且つ安全衛生や環境に配慮した平版印刷用湿し水組成物を提供する。
本発明の湿し水組成物はリンゴ酸金属塩を含有し、且つ4つの要素から成る下記の群(A)に属する物質を含有しない平版印刷用湿し水組成物である。
群(A):アンモニア、アンモニウム化合物、亜硝酸化合物、硝酸化合物。
群(A):アンモニア、アンモニウム化合物、亜硝酸化合物、硝酸化合物。
群(A)に属する化合物として、アンモニア、1〜3級アンモニウム化合物、及び4級アンモニウム化合物等が挙げられる。亜硝酸化合物として、亜硝酸エステルや亜硝酸金属塩として、亜硝酸カリウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸リチウム、亜硝酸バリウム、亜硝酸銀等が挙げられる。硝酸化合物としては硝酸、硝酸金属塩として、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸マグネシウム、硝酸アンモニウム、硝酸ウラニル、硝酸リチウム、硝酸カルシウム、硝酸銀、硝酸鉄、硝酸銅、硝酸バリウム、硝酸セルロース等が挙げられる。
これらの化合物は、印刷停止後、再度印刷を開始した時にアルミニウム基板である印刷版が酸化され、印刷物に点状の汚れ(いわゆる酸化汚れ)が発生することを防止する効果があるが、本発明の平版印刷用湿し水組成物は、前記の群(A)に属する物質を含有しなくても酸化汚れが発生させないことを発明者らは見出した。
湿し水組成物中のリンゴ酸金属塩の濃度が0.0025質量%以下であった場合、酸化汚れが発生しやすくなり、0.025質量%以上であった場合、湿し水の親水性が高くなりインキローラーや水着けローラー上でのインキの乳化状態が過剰乳化状態になる。
リンゴ酸金属塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等を用いることができる。中でもリンゴ酸ナトリウムが紙粉残りや酸化汚れに対して有効であり好ましい。
リン含有物質として好ましく使用される物質としてはリン酸、またはリン酸塩が例示される。具体例としてはリン酸2水素ナトリウム、リン酸1水素2ナトリウム、リン酸3ナトリウム、ピロリン酸4ナトリウム、ピロリン酸2水素2ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸二水素カリウム、メタリン酸カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム等が挙げられる。
リン含有率(リン純分として)は次の式で計算できる。
リン含有率(mg/L)=P(C)×P(M)
ここでP(C)は湿し水組成物中のリン含有化合物の濃度(単位mg/L)を表す。Lはリットルを表す。
P(M)は(リン含有化合物1分子中のリン原子量)/(リン含有化合物の1分子量)を表す。
リン含有率(mg/L)=P(C)×P(M)
ここでP(C)は湿し水組成物中のリン含有化合物の濃度(単位mg/L)を表す。Lはリットルを表す。
P(M)は(リン含有化合物1分子中のリン原子量)/(リン含有化合物の1分子量)を表す。
リン含有率が25mg/Lを越えると、印刷機械の版を装着する版胴やブランケットを装着する胴の素材である鉄、湿し水を印刷機へ移送するホースのソケットの素材である真鍮、印刷機ローラーの素材である銅、及び湿し水供給スプレーのカバーの素材であるアルミニウムを錆びさせる可能性がある。
本発明に使用する防腐剤としては、フェノール又はその誘導体、ホルマリン、イミダゾール誘導体、デヒドロ酢酸ナトリウム、イソチアゾリン誘導体、ブロモニトロプロパノール、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール、3−ブロモ−3−ニトロペンタン−2,4−ジオール等が挙げられる。湿し水組成物中の防腐剤の濃度は0.0001〜0.005質量%が好ましい。
本発明に使用する防錆剤としては、トリアゾール類が好ましく使用される。ベンゾトリアゾール類として、1,2,3−ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、カルボキシ5−メトキシベンゾトリアゾール、4−クロロベンゾトリアゾール、4−ブロモベンゾトリアゾール、4−ブロモ−6−メチルベンゾトリアゾール、4−ブロモ−6−トリフロロメチルベンゾトリアゾール、2,2‘−[[(メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル]イミノ]ビスエタノール、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]メチルベンゾトリアゾール、1−アミノベンゾトリアゾールなどを使用する。湿し水組成物中の防錆剤の濃度は0.0005〜0.015質量%が好ましい。
更に、本発明の平版印刷用湿し水組成物にはpHの変動を防止することを目的として、有機酸や無機酸の塩類を添加することができる。
具体的には有機酸として、例えばコハク酸、クエン酸、アスコルビン酸、酒石酸、乳酸、グルコン酸、ヒドロキシ酢酸、シュウ酸、マロン酸、レブリン酸、フイチン酸、有機ホスホン酸等であり、無機酸としては硫酸などが挙げられる。これら有機酸及びまたは無機酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などを使用する。これら化合物の平版印刷用湿し水組成物中での含有量は0.005〜0.025質量%が好ましく用いられる。
具体的には有機酸として、例えばコハク酸、クエン酸、アスコルビン酸、酒石酸、乳酸、グルコン酸、ヒドロキシ酢酸、シュウ酸、マロン酸、レブリン酸、フイチン酸、有機ホスホン酸等であり、無機酸としては硫酸などが挙げられる。これら有機酸及びまたは無機酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などを使用する。これら化合物の平版印刷用湿し水組成物中での含有量は0.005〜0.025質量%が好ましく用いられる。
本発明の平版印刷用湿し水組成物のpHは5.0〜9.0が好ましい。pH5.0以下であると印刷機に使用している金属類の腐食が進行し、また、pH9.0以上であると印刷版の画線が溶解してしまう可能性がある。
本発明の平版印刷用湿し水組成物には、印刷版に湿し水を供給するローラー上に均一な水膜を形成するために、アニオン型界面活性剤、カチオン型界面活性剤及び非イオン型界面活性剤から選ばれる一つ以上を添加することができる。
前記のアニオン型界面活性剤の具体例としては、例えば脂肪酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホ琥珀酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム塩類、N−アルキルスルホ琥珀酸モノアミド二ナトリウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、アルキル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステル塩類などが挙げられる。
前記のカチオン型界面活性剤の具体例としては、アルキルアミン塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体などが挙げられる。
前記の非イオン型界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー類、グリセリン脂肪酸部分エステル化物類、ソルビタン脂肪酸部分エステル化物類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル化物類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸部分エステル化物類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル化物類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル化物類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル化物類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル化物類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N、N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン類、トリエタノールアミン脂肪酸エステル類、トリアルキルアミンオキシド類などが挙げられる。
さらに版面非画線部の濡れ性向上のため、アセチレングリコール類及び又はアセチレンアルコール類を添加しても良い。具体的な例として、3−メチル−1−ブチン−3−オール、2−ブチン−1,4−ジオール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、2,5,8,11−テトラメチル−6−ドデシン−5,8−ジオール、及びこれらの酸化エチレン付加物及び酸化プロピレン付加物等が挙げられる。これらの化合物は単独でも、2種類以上併用しても良い
本発明の湿し水組成物には、印刷機の湿し水循環装置において湿し水が泡立つことを防止するため、シリコン系消泡剤及びまたはフッ素系消泡剤を添加することができる。これらの消泡剤として、乳化分散型または可溶化型などいずれも使用できる。
本発明を実施例にて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚本明細書において、%は特に指定のない限り質量%を示す。
湿し水組成物(実施例1〜8及び比較例1〜9)の配合を表1及び表2に示す。この湿し水組成物をそれぞれ下記(a)〜(g)に示すように測定、計算及び試験を実施した。それらの結果を表3及び表4に示す。表1及び2の配合の数値の単位はグラム(g)である。
(a)湿し水のpH
東亜ディーケーケー株式会社製pHメータHM−25Rで湿し水を100mlのガラスサンプル瓶に入れ、pHを測定した。
東亜ディーケーケー株式会社製pHメータHM−25Rで湿し水を100mlのガラスサンプル瓶に入れ、pHを測定した。
(b)リン含有率(リン純分として)算出
実施例1〜8、比較例1〜9の湿し水組成物のリン含有率を下記式でそれぞれ算出した。
リン含有率(mg/L)=P(C)×P(M)
ここでP(C)は湿し水組成物中のリン含有化合物の濃度(単位mg/L)を表す。Lはリットルを表す。
P(M)は(リン含有化合物1分子中のリン原子量)/(リン含有化合物の1分子量)を表す。
実施例1〜8、比較例1〜9の湿し水組成物のリン含有率を下記式でそれぞれ算出した。
リン含有率(mg/L)=P(C)×P(M)
ここでP(C)は湿し水組成物中のリン含有化合物の濃度(単位mg/L)を表す。Lはリットルを表す。
P(M)は(リン含有化合物1分子中のリン原子量)/(リン含有化合物の1分子量)を表す。
(c)金属腐食試験
実施例1〜8、比較例1〜9の湿し水組成物100gに、銅、アルミニウム、真鍮及び鉄の試験片をそれぞれ25℃で30日間浸漬させて、試験片の重量変化と表面状態を観察した。
○:重量変化がなく、試験片の表面に変色や曇りもない状態
△:重量変化はないが表面に変色や曇りが若干見られる。
×:重量変化があり、変色や曇りがある。
実施例1〜8、比較例1〜9の湿し水組成物100gに、銅、アルミニウム、真鍮及び鉄の試験片をそれぞれ25℃で30日間浸漬させて、試験片の重量変化と表面状態を観察した。
○:重量変化がなく、試験片の表面に変色や曇りもない状態
△:重量変化はないが表面に変色や曇りが若干見られる。
×:重量変化があり、変色や曇りがある。
(d)防腐試験
腐敗した湿し水組成液を印刷現場で採取し、菌数が1.0×107個/mlまで培養する。その溶液99.5gに実施例1〜8、及び比較例1〜9の湿し水組成物0.5gを添加し、30℃で放置した後、1週間後の総菌数を確認した。
○:菌の繁殖がほとんど認められない(総菌数:0〜103)
△:菌の繁殖がわずかに認められる(総菌数:104〜105)
×:菌の繁殖が認められる(総菌数:106以上)
腐敗した湿し水組成液を印刷現場で採取し、菌数が1.0×107個/mlまで培養する。その溶液99.5gに実施例1〜8、及び比較例1〜9の湿し水組成物0.5gを添加し、30℃で放置した後、1週間後の総菌数を確認した。
○:菌の繁殖がほとんど認められない(総菌数:0〜103)
△:菌の繁殖がわずかに認められる(総菌数:104〜105)
×:菌の繁殖が認められる(総菌数:106以上)
更に実施例1〜8及び比較例1〜9の湿し水組成物を用いて印刷テストを実施した。
印刷条件は以下の通りである。
印刷機:3N−600型(東浜精機株式会社製)。
印刷速度:10万枚/1時間。
印刷用紙:超軽量新聞巻取り紙(中越パルプ工業株式会社製)。
湿し水機構:スプレー方式。
温湿度:23〜24℃、50〜60%RH。
インキ:N−サーパス プラウド 紅(DICグラフィックス株式会社製)。
印刷版:TN−NEWS(コダックグラフィックコミュニケーションズ株式会社製)。
以上の条件で下記の試験(e)〜(g)を実施した。それらの結果を下記表3及び表4に示す。
印刷条件は以下の通りである。
印刷機:3N−600型(東浜精機株式会社製)。
印刷速度:10万枚/1時間。
印刷用紙:超軽量新聞巻取り紙(中越パルプ工業株式会社製)。
湿し水機構:スプレー方式。
温湿度:23〜24℃、50〜60%RH。
インキ:N−サーパス プラウド 紅(DICグラフィックス株式会社製)。
印刷版:TN−NEWS(コダックグラフィックコミュニケーションズ株式会社製)。
以上の条件で下記の試験(e)〜(g)を実施した。それらの結果を下記表3及び表4に示す。
(e)水幅適性
印刷機の給水量の目盛り(目盛り−95〜+195%)で網点の絡みが発生する水目盛りを下限値、紙面上で水むらが発生する水目盛りを上限値とする下限値と上限値の幅を調べた。この幅の値が大きいほど水幅が優れている。
○・・・35目盛り以上の水幅。
△・・・30〜25目盛り以内の水幅。
×・・・25目盛り以下の水幅。
印刷機の給水量の目盛り(目盛り−95〜+195%)で網点の絡みが発生する水目盛りを下限値、紙面上で水むらが発生する水目盛りを上限値とする下限値と上限値の幅を調べた。この幅の値が大きいほど水幅が優れている。
○・・・35目盛り以上の水幅。
△・・・30〜25目盛り以内の水幅。
×・・・25目盛り以下の水幅。
(f)酸化汚れ評価
通常印刷で約5,000枚印刷、1時間放置した後の再刷り出し時の版と印刷物で斑点状の汚れ(酸化汚れ)の発生の有無を調査した。
○・・・酸化汚れなし。
△・・・酸化汚れが若干発生する。
×・・・酸化汚れが多く発生する。
通常印刷で約5,000枚印刷、1時間放置した後の再刷り出し時の版と印刷物で斑点状の汚れ(酸化汚れ)の発生の有無を調査した。
○・・・酸化汚れなし。
△・・・酸化汚れが若干発生する。
×・・・酸化汚れが多く発生する。
(g)乳化適性
印刷テストにおいて、インキ練ローラー、及び水着けローラー上のインキの乳化状態を目視で確認した。
○・・・適正な乳化状態。
△・・・やや過乳化の状態。
×・・・過剰に乳化した状態。
印刷テストにおいて、インキ練ローラー、及び水着けローラー上のインキの乳化状態を目視で確認した。
○・・・適正な乳化状態。
△・・・やや過乳化の状態。
×・・・過剰に乳化した状態。
表3及び表4の結果より以下のことがわかる。実施例1〜8はいずれの評価でも良好な結果が得られた。また、実施例1〜8においては、比較例1、2に含有しているアンモニウム化合物または硝酸化合物を含有していなくても、(f)酸化汚れ評価で酸化汚れの発生が見られなかった。
比較例3、4では(f)酸化汚れが発生し、(e)水幅試験で水幅が狭くなり、(g)乳化適性でインキが過剰乳化状態であった。比較例5、8及び9では(g)乳化適性でインキが過剰乳化状態であった。比較例7〜9では(c)金属腐食試験で各種金属の腐食が多く見られた。
比較例3、4では(f)酸化汚れが発生し、(e)水幅試験で水幅が狭くなり、(g)乳化適性でインキが過剰乳化状態であった。比較例5、8及び9では(g)乳化適性でインキが過剰乳化状態であった。比較例7〜9では(c)金属腐食試験で各種金属の腐食が多く見られた。
本発明の平版印刷用湿し水組成物を用いることにより、紙粉残りや断紙、酸化汚れ、乳化等印刷適性上のトラブルを減らし、安全衛生上の問題や環境負荷を低減することが出来る。特に新聞印刷において好適に用いることができる。
Claims (8)
- リンゴ酸金属塩を含有し、且つ4つの要素から成る下記の群(A)に属する物質を含有しない平版印刷用湿し水組成物。
群(A):アンモニア、アンモニウム化合物、亜硝酸化合物、硝酸化合物。 - さらにリン含有化合物を含有する請求項1に記載の平版印刷用湿し水組成物。
- pHが5.0〜9.0であり、且つリン含有率(リン純分として)が25mg/L以下である請求項2に記載の平版印刷用湿し水組成物。
- 前記のリンゴ酸金属塩の濃度が0.0025〜0.025質量%である請求項1に記載の平版印刷用湿し水組成物。
- 前記のリンゴ酸金属塩がリンゴ酸ナトリウム塩である請求項1に記載の平版印刷用湿し水組成物。
- 防腐剤を含有する請求項1〜請求項5のいずれかに記載の平版印刷用湿し水組成物。
- 防錆剤を含有する請求項1〜請求項6のいずれかに記載の平版印刷用湿し水組成物。
- 水で1.1〜1000倍に希釈することにより、請求項1〜請求項7のいずれかに記載の平版印刷用湿し水組成物の組成となる平版印刷用湿し水濃縮組成物。
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