JP2009508501A - 低減されたクリーミング性を有する気泡含有製品 - Google Patents
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Abstract
Description
Ice Cream, 4th Edition, Arbuckle (1986), Van Nostrand Reinhold Company, New York, NY
ハイドロフォビンは、疎水性/親水性界面で自己アセンブリーでき、以下の保存配列:
Xn−C−X5−9−C−C−X11−39−C−X8−23−C−X5−9−C−C−X6−18−C−Xm(配列番号1)
[式中、Xはいずれかのアミノ酸を表し、n及びmは独立に整数を表す]
を 有する周知の種類のタンパク質である(Wessels, 1997, Adv. Microb. Physio. 38: 1‐45; Wosten, 2001, Annu Rev. Microbiol. 55: 625‐646)。典型的にハイドロフォビンは、125アミノ酸までの長さを有する。保存配列中のシステイン残基(C)は、ジスルフィド架橋の一部を形成する。本発明の内容では、用語「ハイドロフォビン」は、以下の配列:
Xn−C−X1−50−C−X0−5−C−X1−100−C−X1−100−C−X1−50−C−X0−5−C−X1−50−C−Xm(配列番号2)
を含むタンパク質のようなタンパク質フィルムを生ずる疎水性/親水性界面で自己アセンブリーの特徴を未だ示す、機能的に同等なタンパク質、またはタンパク質フィルムを生ずる疎水性/親水性界面で自己アセンブリーの特徴を未だ示すその一部を含むように、より広い意味を有する。本発明の定義によれば、自己アセンブリーは、テフロン(登録商標)にタンパク質を吸着させ、二次構造(一般的にα−ヘリックス)の存在を確立するための円2色性を使用することによって検出できる(De Vocht等, 1998, Biophys. J. 74: 2059‐68)。
本明細書において互換的に使用される用語「流動性組成物」又は「流動性製品」によって、固体又は凝固した組成物とは対照的に、比較的少ない攪拌(例えば、振盪、かきまぜること、又は吸引)の後に流動する組成物を意味する。流動性組成物は、注ぐことが可能な組成物及び半固体の組成物を含む。組成物又は製品の流動性を考慮する温度は、製品が通常提供される温度である。例えば、冷蔵製品の流動性は、典型的に5℃で測定されるが、環境温度の製品の流動性は室温(20℃)で典型的に測定される。氷を含有する製品の流動性は、典型的には−10℃で測定される。一般的には、測定は1atmの気圧で実施する。
((最終的な気泡含有製品の容量−混合物の容量)/混合物の容量)×100
として容量について規定される。
dr=dt/d0
[式中、d0は調製直後、つまりt=0の平均径であり、dtはtの時点における平均の泡の直径である]
によって実施例において測定されるようなものである。
BS=1/(λ*)1/2
という関係によって泡沫を通過する平均自由光程(photon transport mean free path)λ*に関連しており、
λ*は、
λ*=2d/(3φ(1−g)Q)
[Q及びgの双方は、Mie理論に由来する光学パラメータであり、Qは散乱効率因子であり、gは非対称因子である]
によってガスの容量画分であるφ及び泡の平均径dに依存する。空気の既知の容量の泡沫については、平均の泡の直径における変化が経時的に観察され得る。これは、Turbiscanソフトウェアによって自動的に計算される。
必要とされる降伏応力、粘度、及び粘弾性は、クリーミングを防止する必要に依存するのみではなく、関心のある気泡含有製品のタイプにも依存する。1つの実施態様では、降伏応力及び剪断による比較的低い粘度(すなわち、剪断薄化(shear thinning))を有する注ぐことが可能な泡沫である。例えば、10から100s−1の剪断型において1Pa s未満の粘度である。
− 熱可塑ゲル化バイオポリマー、例えば、ゼラチン、ι−及びκ−カラギーナン、及び寒天;
− ポリサッカリドと適当なイオン、例えば、Ca2+との間の相互作用に由来するゲル構造を有する、化学的に凝固したゲル化バイオポリマー、例えば、アルギン酸ナトリウム及びペクチン;
− 剪断によって破壊される弱いゲル様の動態を形成し得るバクテリアのポリサッカリド、例えば、キサンタン又はゲラン(好ましくは、その様なポリサッカリドは事前に気泡含有させた混合物に少なくとも0.4重量%の最終量を与えるように添加される);
− 真菌のポリサッカリド、例えばスキゾフィラン
− 個々がゲル化していなくても良いが、混合するとゲル又はより高い弾性率を有するゲルを形成する2つ以上のバイオポリマーを含む相乗的なゲル、例えば、ペクチンとアルギン酸ナトリウム、ロカストビーンガムとキサンタン、ロカストビーンガムと寒天、並びにロカストビーンガムとκカラギーナン。
− リポゲル:飽和脂肪酸のポリグリセロールエステル、並びに飽和脂肪酸のクエン酸エステル、飽和脂肪酸の乳酸エステル、又は飽和脂肪酸のジアセチル酒石酸エステルと脂肪酸のモノグリセリドとの混合物を含むが、それらに限らない。典型的には、リポゲル成分は、事前に気泡を含有させた混合物に約2〜5重量%未満であろう。リポゲルの製造方法の例は、Heertje et al., Food Science and Technology, 1998, 31, 387‐396において確認できる;
− ゲル化タンパク質(熱的又は化学的)、例えば、ホエータンパク質;
− 分散した油粒子が互いに相互作用して、ゲル化された性質を有する連続相を提供する、水中油型エマルション;
− 繊維、例えば、果実又は植物起源の繊維、変性セルロースなど
を含む。
上述の降伏応力剤に加えて、増粘剤も添加して、事前に気泡含有させた混合物の粘度を増大させ、かくして使用時における気泡含有させた製品の流動特性を調節することを可能にする。これらは、個々に使用される際には降伏応力を生じさせないが、製品の全体的な濃厚さ及び流動的な動態に寄与する。しかしながら、それらは降伏応力剤と組み合わせて使用することを必要とする。その様な増粘剤は、例えば、消費時における気泡含有ミルクセーキの「ボディ」を増大するために使用されるであろう。
− アニオン性、カチオン性、及び非イオン性の界面活性剤;
− 脂肪酸、例えば、ステアリン酸及びパルミチン酸、並びに脂肪酸のモノ、ジ、又はトリグリセリド;
− 酸又は塩基、例えば、塩酸及び水酸化ナトリウム;
− 保存剤、例えば、安息香酸;
− 糖アルコール、例えば、グリセロール及びソルビトール;
− ポリマー、例えば、PEG及びカルボマー
を含むが、それらに限らない。
本発明に含まれる製品の泡沫特性及び溶液流動性を測定するために使用する実験方法の基礎を開示する。測定のために選択される正確な実験パラメータは、実施例に記載している。
泡沫試料における泡のサイズ及びクリーミングの程度における変化を測定する主な方法は、光散乱技術を使用することによるものであった。本実施例では、興味のある気泡含有試料からの後方散乱光及び透過光の双方を分析するTurbiscan Tlab測定システム(Formulaction, France)を使用した。これについては上により詳細に記載した。
気泡を含有させていない混合物の連続相粘度及び見かけの降伏応力の測定は、流動学の使用によって測定した。正確な実験の詳細は実施例にまとめている。剪断応力の対数に対する粘度の対数のデータから、混合物の見かけの降伏応力及びゼロ剪断粘度を測定するために、曲線の剪断薄化型をHershel‐Bulkleyモデルに合わせた。見かけの降伏応力は、剪断薄化の発生を引き起こす最小の剪断応力であるものと見なした。この動態を記載する有用な参照例は、Stokes and Telford (Journal of Non-Newtonian Fluid Mechanics, 2004, 124, 137−146)及びBarnes, Hutton, and Walters (An introduction to Rheology, Rheology Series 3, Elsevier Science, 1989)において認められ得る。
低減されたクリーミング性を有する流動性の安定な泡沫
原料及び配合
実施例としての冷蔵気泡含有製品を、3つのタイプの表面活性剤(AからC)及びリポゲル形成乳化剤(D):
A:カゼイン酸ナトリウム(Na Cas)
B:スキムミルクパウダー(SMP)
C:Trichoderma reesei由来のハイドロフォビン(HFB II)
D:飽和脂肪酸のポリグリセロールエステル(PGE)
を使用して調製した。
混合物の調製
全ての混合物は、100gバッチで調製した。混合物A、B、及びC(各々、カゼイン酸ナトリウム及びスキムミルクパウダーを含有する)について、タンパク質とキサンタンガムとを混合して、攪拌している水中に室温でゆっくりと添加した。その後溶液を加熱して(Na Casは55℃、SMPは40℃)、タンパク質が適当に加水分解されたことを確実にした。その混合物を冷却して、更に使用するまで5℃で保存した。
100%の超過量が得られるのに相当する期間に亘って1200rpmの速度において、剪断ポット器具(5℃に冷却)中で80mLの混合物を剪断した。100%の超過量に相当する気泡を含有させる時間は、表3にまとめている。攪拌ポット装置は、105mmの高さ及び72mmの直径の内部の比率を有するシリンダー状の垂直に取り付けられたジャケット付きのステンレス製容器からなる。
AR−G2レオメーターを使用して、流動性の測定を実施した(TA Instruments Ltd,Crawley,UK)。気泡を含有させていない混合物に対して、段階的流動実験を実施し、剪断応力に対する粘度並びに剪断速度に対する粘度の曲線を決定した。全ての測定は、(ペルチェ制御冷却を用いて)5℃で実施した。錐及び平面の形状を使用した。錐はステンレス鋼からなり、2°の角度で6mmの直径であった。これらのデータから、剪断応力に応じた粘度のプロット並びに剪断速度に応じた粘度のプロットが決定されるであろう。Hershel Bulkleyモデル(データの末尾の高剪断応力におけるデータに適する)を使用して、見かけの剪断応力を決定し得る。
泡沫及び泡の安定性を、Turbiscan TLab(詳細な操作は上述した)を使用して測定した。これは、時間に応じて(1)泡沫の容量(すなわち、全体の空気相損失の測定)、(2)平均の泡のサイズ、及び(3)泡沫のクリーミングの程度を測定することが可能である。
混合物の粘度及び降伏応力
混合物の粘度及び降伏応力は、泡のクリーミング速度の調節又は防止において重要である。したがって、クリーミングが停止された気泡含有製品の配合においては、流動性の幾つかの分析を実施して、予測能力を補助することが適当である。本実施例では、0.1重量%のHFB II並びに0.5,0.4、及び0.3重量%のキサンタンの各々を溶液に含有する、混合物D、E、及びFの主な流動学的特性の幾つかを開示する。
0.1%ハイドロフォビンを有する0.3重量%キサンタン溶液−見かけの降伏応力=2.8Pa
0.1%ハイドロフォビンを有する0.4重量%キサンタン溶液−見かけの降伏応力=4.5Pa
0.1%ハイドロフォビンを有する0.5重量%キサンタン溶液−見かけの降伏応力=5.5Pa
を算出した。
時間に応じた泡沫における相対的な平均の泡のサイズ(dr)における変化を図3に示す。HFB IIの場合には、泡は非常に安定であり、冷蔵して数週間保存した後においても、平均のサイズにおける変化は認められない。0.5%PGEも良好な安定性を示すが、平均の泡のサイズは次第に大きくなっている。さらに、使用したPGEのレベル(0.5重量%)は、食品で通常認められるものを超えている。非HFBタンパク質の各々は乏しい安定性を示す。急速な泡の成長は、気泡含有混合物の各々について数時間に亘って生じている。これらの泡沫の粗化は、短い寿命の間に亘って促進され、最終的には完全に泡沫が破壊される。
図4は、試料容器において0から10mmの高さ範囲における時間に応じた後方散乱における変化を示す。PGE及びHFB IIの場合には、泡のサイズは長期間に亘ってほぼ一定のままである事が示されたが(特にHFB IIについて)、後方散乱も顕著には変化しないことが明らかである。少量のみのクリーミングが長期間(1000時間、これは一ヶ月以上に相当する)に亘っても観察される。
図5及び6に挙げたデータは、0.1%HFB IIを使用して製造した安定な泡からなる泡沫におけるクリーミングの程度に対するキサンタン濃度の効果及び降伏応力を示す。
気泡含有チョコレートミルクセーキ
気泡を含有させたチョコレート味のミルクセーキを以下のように調製した。市販のミルクセーキ(Dairy Crest Ltd,Shropshire,UK製のFrijj(商標) Thick Fresh Milkshake)を購入した。これは気泡を含有していない製品であり、成分表によれば、スキムミルク、ホールミルク、糖、変性トウモロコシデンプン、低脂肪ココアパウダー、バターミルクパウダー、及び安定剤(カラギーナン及びグァーガム)を含有している。攪拌しながら、キサンタンガムをゆっくりとミルクセーキに0.5重量%まで添加した。次いで、20分間混合し、キサンタンガムを十分に加水分解させた。手持ちのaerolatte(商標)装置を使用して、既知の容量の0.5重量%ハイドロフォビン溶液を400%の超過量まで気泡を含有させた。これをミルクセーキに添加して、全体として0.1重量%のハイドロフォビン濃度及び約0.41重量%のキサンタン濃度を有する、100%の超過量の気泡含有ミルクセーキ製品を得た。次いで、気泡含有ミルクセーキ製品を5℃で保存し、3週間に亘って安定性を観察した。図9は、3週間後における、気泡含有ミルクセーキ製品が、クリーミング及び破壊されていない安定な空気相を保持し、顕著には泡の成長を示さなかったことを示す。
気泡含有フルーツスムージー
果物のピューレベースとしてUnilever UKによって製造されたVie Shots(商標)drinkを使用して、気泡含有フルーツスムージーを調製した。Vie Shot(商標)は、バナナピューレ(28%)、オレンジジュース濃縮物(26%)、キャロットジュース濃縮物(23%)、カボチャジュース濃縮物(14%)、オレンジパルプ(4%)、レモンジュース濃縮物、アセロラチェリー濃縮物(1.5%)、及びリンゴペクチンを含有する。pHを(室温で)測定すると、4.17であった。攪拌しながら、キサンタンガムをゆっくりと果物のピューレに0.5重量%まで添加した。次いで、これを20分間に亘って混合し、キサンタンガムを十分に加水分解させた。手持ちのaerolatte(商標)装置を使用して、既知の容量の0.5重量%ハイドロフォビン溶液を400%の超過量まで気泡を含有させた。これを果物のピューレに添加して、全体として0.1重量%のハイドロフォビン濃度及び0.41重量%のキサンタン濃度を有する、約100%の超過量の気泡含有フルーツスムージーを得た。次いで、気泡含有フルーツスムージー製品を5℃で保存して、3週間に亘って安定性を観察した。図10は、3週間後において、気泡含有フルーツスムージーが安定な空気相を保持し、顕著には泡の成長又はクリーミングが発生しなかったことを示す。
Claims (11)
- 10s−1の剪断速度で測定すると0.01から2000Pa sの連続相の粘度を有し、且つ、少なくとも4Paの連続相の見かけの降伏応力を有する、ハイドロフォビン及び降伏応力剤を含む流動性気泡含有組成物。
- 少なくとも0.001重量%のハイドロフォビンを含む、請求項1に記載の気泡含有組成物。
- 前記ハイドロフォビンが単離された形態である、請求項1又は2に記載の気泡含有組成物。
- 前記ハイドロフォビンがクラスIIハイドロフォビンである、請求項1から3のいずれか一項に記載の気泡含有組成物。
- 前記降伏応力剤がポリサッカリドである、請求項1から4のいずれか一項に記載の気泡含有組成物。
- 前記ポリサッカリドがキサンタン及び/又はゲランである、請求項5に記載の気泡含有組成物。
- 増粘剤を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の気泡含有組成物。
- 注ぐことが可能な、請求項1から7のいずれか一項に記載の気泡含有組成物。
- 気泡含有食品である、請求項1から8のいずれか一項に記載の気泡含有組成物、
- 冷蔵食品である、請求項9に記載の気泡含有食品。
- 注ぐことが可能な気泡含有組成物におけるクリーミングを阻害するための、ハイドロフォビン及び降伏応力剤の使用。
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