JP2009286894A - ゴムと繊維の接着剤用共重合体ラテックスの製造方法、接着剤用共重合体ラテックスおよび接着剤用組成物 - Google Patents

ゴムと繊維の接着剤用共重合体ラテックスの製造方法、接着剤用共重合体ラテックスおよび接着剤用組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】重合反応中に発生する粗大凝集物の発生が極めて少なく、かつ、重合反応系外からの過大な加熱を必要とせず、省エネルギー性に優れた効率のよいゴムと繊維の接着剤用重合体ラテックスの提供。
【解決手段】脂肪族共役ジエン30〜80重量部、ビニルピリジン5〜30重量部、およびそれらと共重合可能な他の単量体0〜65重量部からなる重合性単量体合計100重量部を乳化重合して得られる共重合体ラテックスであって、単量体の一部または全量を仕込み完了後、重合系内の温度T1が0〜40℃の範囲で重合を開始した後、重合系内の温度T2を45〜80℃の範囲に到達させるに際し、その温度上昇(T2−T1)に必要な熱量の15%以上を重合による重合熱を利用して昇温させてなるゴムと繊維の接着剤用共重合体ラテックスの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明はゴムと繊維の接着剤用共重合体ラテックスの製造方法に関するものである。詳しくは、重合反応中に発生する粗大凝集物の発生が極めて少なく、かつ、製造初期において重合反応系外からの過大な加熱を必要とせず、省エネルギー性及び生産性に優れたゴムと繊維の接着剤用共重合体ラテックスの製造方法であり、さらに詳しくは、タイヤ、ベルト、ホース等のゴム製品に含まれる繊維とゴムの接着に優れた接着剤用共重合体ラテックスの製造方法を提供するものである。
従来、ナイロン、ポリエステル、アラミド等の繊維は、ゴム補強用繊維としてタイヤ、ベルト、ホース等のゴム製品に広く用いられている。
ゴム補強用に用いられるこれらの繊維は、それ自身ではゴムに対する接着性に乏しく、ブタジエン−ビニルピリジン系共重合体ラテックス単独またはそれと他のゴムラテックスとの混合物およびレゾルシン−ホルマリン系樹脂(以下、RFレジンと称する。)からなる接着剤組成物(以下、RFLと称する。)を用いて接着処理され、実用に供されているのが一般的である。
ブタジエン−ビニルピリジン系共重合体ラテックスの製造に際しては、重合の省エネルギー性および生産性に優れ、共重合体ラテックスの重合安定性が良好で粗大凝集物の発生を抑制しうる重合方法が安定生産体制構築の観点から切望されている。
共重合体ラテックスの品質設計や製造方法に関してはさまざまな検討がされ、例えば特許文献1(特開平6−179772号公報)、特許文献2(特開平10−1504号公報)、特許文献3(特開2003−238635号公報)、特許文献4(特開2003−335807号公報)に示される技術改良が紹介されている。
しかしながら、共重合体ラテックスの重合方法を工夫して、前記の目標を達成しようとする場合、重合途中の反応温度などを一定に保つ、あるいは2段階にして一定に保つことが提案されているが、その操作には、重合が開始される時点で重合系の外部から加熱することが必要である。特に比較的高温域での重合では、所定温度に到達させるのに必要とされる外部からの加熱エネルギーも大きく、近年の地球温暖化や省エネルギーの観点からは、そのエネルギーの低減化についても社会的要請が高まるばかりである。
特開平6−179772号公報 特開平10−1504号公報 特開2003−238635号公報 特開2003−335807号公報
本発明は、従来から要求のあった製品の性能に加えて、近年急激に要求が高まった省エネルギーに関する上記課題の両者を解決するために成されたもので、重合反応中に発生する粗大凝集物の発生が極めて少なく、かつ、重合反応系外からの過大な加熱を必要とせず、省エネルギー性及び生産性に優れたゴムと繊維の接着剤用共重合体ラテックスの製造方法であり、さらにはゴム製品に含まれる繊維とゴムの接着に優れた接着剤用共重合体ラテックスの製造方法を提供するものである。
すなわち本発明は、脂肪族共役ジエン系単量体30〜80重量部、ビニルピリジン系単量体5〜30重量部、およびそれらと共重合可能な他の単量体0〜65重量部からなる重合性単量体合計100重量部を乳化重合して得られる共重合体ラテックスであって、単量体の一部または全量を仕込み完了後、重合系内の温度T1が0〜40℃の範囲で重合を開始した後、重合系内の温度T2を45℃〜80℃の範囲に到達させるに際し、その温度上昇(T2−T1)に必要な熱量の15%以上を重合による重合熱を利用して昇温させることを特徴とするゴムと繊維の接着剤用共重合体ラテックスの製造方法を提供するものである。
本発明によれば、重合初期における外部からの加熱エネルギーを大幅に低減できるとともに、重合反応における粗大凝集物の発生を低く抑えることができる。また、本発明における製造方法によって製造されるブタジエン−ビニルピリジン系共重合体ラテックスは、ゴム製品に含まれる繊維とゴムの接着に優れた接着剤用共重合体ラテックスとして広範囲に使用することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、重合で発生する重合熱は特定範囲の昇温コントロールに積極的に利用される。よって、単量体の一部または全量を仕込み(以下、初期仕込みと記す場合あり)完了後、温度T1(0〜40℃)の任意の温度で重合を開始すればよい。その後、反応系が45℃を超える温度まで、外部からの多大な熱源によって加熱する必要は無い。温度T1が40℃を超えると省エネルギー性に劣る。更に加熱も冷却も最小限にとどめるためには、初期仕込み完了後の温度T1は10〜35℃であることが好ましい。
本発明において、初期仕込み完了後、重合を開始して重合系内の温度T2を45℃〜80℃の範囲に到達させるに際して、その温度上昇(T2−T1)に必要な熱量の15%以上を重合熱によって賄うことが必要である。15%未満では、外部から85%を超える熱量を与えねばならず、省エネルギー性に劣る。好ましくは、重合熱が温度上昇(T2−T1)に必要な熱量の20%以上を、更に好ましくは40%以上を賄うことが好ましい。また、重合開始前に仕込む単量体は、単量体の一部又は全量の何れでもよく、単量体の一部を仕込む場合には、その後、重合を終了させる任意の間に残部の単量体を添加すればよい。
本発明において、温度T2は45〜80℃に設定することが必要である。温度T2が45℃未満では粗大凝集物の発生量が増えて、反応安定性が劣り、また、80℃を超える場合には重合制御の観点から好ましくない。また、本発明においては、T2−T1=10℃以上、好ましくは20℃以上であることが好ましい。
重合系内の温度T2が45℃〜80℃に到達した後は、重合温度を45℃〜80℃の範囲内で一定に保っても、必要に応じて変化させても本発明の効果を妨げないが、温度T2に到達した後は実質的に重合温度は一定に保って重合を継続するか、もしくは一定時間重合温度を一定に保って重合した後、重合温度を上昇させて(上限は80℃)重合を行なうことが好ましい。また、重合系内の温度T2を45℃〜80℃の範囲を保って重合を継続する間、適宜、残部の単量体が添加され、さらには必要に応じて重合速度調節剤などを用いて重合反応による単位時間当たりの発熱量を制御できる。また、通常、反応槽を取り巻くジャケットなどに20〜35℃の常温冷却水を流して熱交換させることが省エネルギーの観点で最適であるが、必要に応じて20℃未満のチルド冷却水を用いたり、スチームや電熱ヒーターで加温した加温水を用いたりすることもできる。更には反応槽の任意の場所に空冷できるフィンを設置したり、従来公知の加熱冷却装置を重合槽に付帯させて補助的に活用したりすることも、本発明の効果を妨げない範囲で使用することができる。
本発明において、使用する重合水の量は特に限定されないが、重合性単量体合計100重量部に対して65〜300重量部使用されることが好ましい。また、本発明においては、重合開始前に仕込む単量体と共に重合体シードを添加して、公知のシード重合法を適応することも可能である。また、単量体を連続的または間欠的に添加する場合、均一な組成の単量体混合物を仕込む均一フィード法、途中で1回または数回にわたって単量体混合物の組成を変える二段重合法、または多段重合法、連続的に単量体組成を変化させて仕込むパワーフィード法など、いずれの添加方法も採用することができる。
また、本発明における単量体以外の各種成分の添加方法についても特に制限はなく、分割添加方法、連続添加方法などの何れであっても本発明の効果を妨げない範囲で採用することができる。
本発明の共重合体ラテックスは、脂肪族共役ジエン系単量体30〜80重量部、ビニルピリジン系単量体5〜30重量部およびそれらと共重合可能な他の単量体0〜65重量部からなる重合性単量体(合計100重量部)を乳化重合して製造される。
本発明における脂肪族共役ジエン系単量体としては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン、置換直鎖共役ペンタジエン類、置換および側鎖共役ヘキサジエン類などが挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。特に1,3−ブタジエンの使用が好ましい。脂肪族共役ジエン系単量体は使用する単量体合計100重量部に対して30〜80重量部の範囲で使用することができる。脂肪族共役ジエン系単量体の使用量が30重量部未満では初期接着力が低下し、使用量が80重量部を超えると耐熱接着力が低下する。好ましくは、ナイロン繊維の場合には55〜70重量部、ポリエステルおよびアラミド繊維の場合には40〜65重量部である。
本発明におけるビニルピリジン系単量体としては、2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジンなどが挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。特に2−ビニルピリジンが好ましい。ビニルピリジン系単量体は使用する単量体合計100重量部に対して5〜30重量部の範囲で使用することができる。ビニルピリジン系単量体の使用量が5重量部未満では、初期接着力および耐熱接着力が共に低下し、使用量が30重量部を超えると初期接着力が低下する。好ましくは10〜25重量部である。
本発明における共重合可能な他の単量体としては、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、エチレン系不飽和カルボン酸系単量体、エチレン系不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体、ヒドロキシアルキル基を含有する不飽和単量体、不飽和カルボン酸アミド系単量体などが挙げられる。
芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、メチルα−メチルスチレン、モノクロロスチレンなどが挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。特にスチレンの使用が好ましい。
シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリルなどが挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。特にアクリロニトリルの使用が好ましい。
エチレン系不飽和カルボン酸系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸などが挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。特にアクリル酸、メタクリル酸、フマール酸、イタコン酸の使用が好ましい。
エチレン系不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ジメチルフマレート、ジエチルフマエート、ジメチルマレート、ジエチルマレート、ジメチルイタコネ−ト、モノメチルフマレート、モノエチルフマレート、2−エチルヘキシルアクリレートなどが挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。特にメチルメタクリレートの使用が好ましい。
ヒドロキシアルキル基を含有する不飽和単量体としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジ−(エチレングリコール)マレエート、ジ−(エチレングリコール)イタコネート、2−ヒドロキシエチルマレエート、ビス(2−ヒドロキシエチル)マレエート、2−ヒドロキシエチルメチルフマレートなどが挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。特に2−ヒドロキシエチルアクリレートの使用が好ましい。
不飽和カルボン酸アミド系単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メチロールジメチルアクリルアミドなどが挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。特にアクリルアミドの使用が好ましい。
これらの中で芳香族ビニル系単量体単独またはそれと他の単量体から選ばれた1種以上の単量体との組み合わせが望ましく、さらには、スチレン単独またはスチレンとα−メチルスチレン、アクリロニトリル、アクリル酸、イタコン酸、メチルメタクリレート、アクリルアミドから選ばれた単量体との組み合わせが特に好ましい。
これら共重合可能な他の単量体は、使用する単量体合計100重量部に対して0〜65重量部の範囲で使用することができる。共重合可能な他の単量体の使用量が65重量部を超えると初期接着力、耐熱接着力が共に低下する。
本発明には、公知の乳化剤や界面活性剤を使用することができる。例えば、ロジン酸石鹸、脂肪酸石鹸、高級アルコールの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、非イオン性界面活性剤の硫酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤あるいはポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルフェニルエーテル型、アルキルエーテル型等のノニオン性界面活性剤が挙げられ、これらを1種又は2種以上使用することができる。
本発明においては、公知の連鎖移動剤を制限されることなく使用することができる。例えば、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ステアリルメルカプタン等のアルキルメルカプタン、ジメチルキサントゲンジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルファイド等のキサントゲン化合物、ターピノレンや、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のチウラム系化合物、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール等のフェノール系化合物、アリルアルコール等のアリル化合物、ジクロルメタン、ジブロモメタン、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素化合物、α−ベンジルオキシスチレン、α−ベンジルオキシアクリロニトリル、α−ベンジルオキシアクリルアミド等のビニルエーテル、トリフェニルエタン、ペンタフェニルエタン、アクロレイン、メタアクロレイン、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、2−エチルヘキシルチオグリコレート等が挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。これらの連鎖移動剤の量は特に限定されないが、通常、単量体100重量部に対して0〜5重量部にて使用される。
本発明においては、公知の重合開始剤として、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の水溶性重合開始剤、クメンハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、t−ブチルハイドロパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等の油溶性重合開始剤を適宜用いることができる。特に過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイドの使用が好ましい。単量体100重量部に対する重合開始剤の量は特に制限されないが、単量体組成、重合反応系のpH、他の添加剤などの組み合わせを考慮して、重合熱や温度上昇が本発明の範囲になるよう適宜調整される。
重合反応系内に前記重合開始剤とともにごく微量の鉄イオンと還元剤を組み合わせて存在させることも可能であり、それらの量は使用する単量体組成、重合開始剤の種類と量、重合反応系のpH、他の添加剤などの組み合わせを考慮して適宜調整される。
還元剤の具体例としては、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、ピロ亜硫酸塩、亜ニチオン酸塩、ニチオン酸塩、チオ硫酸塩、また、ホルムアルデヒドスルホン酸塩、ベンズアルデヒドスルホン酸塩などの還元性スルホン酸塩、更にはL−アスコルビン酸、酒石酸、クエン酸などのカルボン酸類、更にはデキストロース、サッカロース、乳糖などの還元糖類、更にはジメチルアニリン、トリエタノールアミンなどのアミン類が上げられる。特に亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸、乳糖、デキストロースが好ましい。
本発明においては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の飽和炭化水素、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、4−メチルシクロヘキセン、1−メチルシクロヘキセン等の不飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素などの炭化水素化合物を使用しても良い。特に、沸点が適度に低く、重合終了後に水蒸気蒸留などによって回収、再利用しやすいシクロヘキセンやトルエンが、本発明の目的とは異なるものの、環境問題の観点から好適である。
本発明における共重合体ラテックスの数平均粒子径は、80〜200nmの範囲にあることが好ましい。数平均粒子径が80nm未満では、ラテックス粘度が上がり、ラテックスの輸送やRFL作製時の作業に支障をきたす可能性がある。また200nmを越えると共重合体ラテックスの重合中に凝集物が発生させやすく、安定な重合が困難になる。好ましくは90〜180nmである。これらの数値は、共重合体ラテックスの乳化重合において使用する各種乳化剤、重合開始剤の種類およびその使用量や添加方法、重合水の使用割合等を適宜調整することにより所望の範囲に調整することが可能である。
なお、これらの測定方法については後述する。
本発明においては、必要に応じて酸素補足剤、キレート剤、分散剤、pH調整剤等の公知の添加剤を用いることも差し支えなく、これらは種類、使用量ともに特に限定されず、適宜適量使用することが出来る。更には消泡剤、老化防止剤、防腐剤、抗菌剤、難燃剤、紫外線吸収剤などの公知の添加剤を用いることも差し支えなく、これらも種類、使用量ともに特に限定されず、適宜適量使用することが出来る。また、本発明の製造方法で製造された共重合体ラテックスは、その使用目的に応じて他のラテックスと適宜適量ブレンドすることもできる。
本発明の共重合体ラテックスは、適宜、RFレジンと混合することによりRFLとして使用される。該接着剤組成物における共重合体ラテックスとRFレジンの使用比率は、特に限定されないが、通常、共重合体ラテックス100重量部(固形物)に対してRFレジンを5〜100重量部(固形分)使用することが好ましい。
また、この接着剤組成物には、イソシアネート、ブロックドイソシアネート、エチレン尿素、2,6−ビス(2,4−ジヒドロキシフェニルメチル)−4−クロロフェノール、一塩化イオウとレゾルシンの縮合物及びレゾルシン−ホルマリン縮合物との混合物などの変性レゾルシン−ホルマリン樹脂、ポリエポキシド、変性ポリ塩化ビニル、カーボンブラックといった接着助剤、充填剤、架橋剤、加硫剤、加硫促進剤等を必要に応じて配合しても差し支えない。
本発明の接着剤組成物に使用される繊維としては、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維等が挙げられるが、特にこれらに限定されず、また、これらの繊維はコード、ケーブル、織物、帆布、短繊維等いずれの形態であっても良い。
また、この接着剤組成物で処理された繊維と接着に供されるゴムとしては、天然ゴム、SBRゴム、NBRゴム、EPDMゴム、クロロプレンゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、更にはそれらの各種変性ゴム等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
また、本発明の共重合体ラテックスを含む接着剤組成物を製造するに際して、本発明の共重合体ラテックスの一部を必要に応じて、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、カルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、アクリルニトリル−ブタジエン共重合体ラテックス、カルボキシ変性アクリルニトリル−ブタジエン共重合体ラテックス、クロロプレンラテックス、イソプレンラテックス等に代替しても良いが、それらは本発明の共重合体ラテックス100重量部中50重量部未満であることが好ましく、さらに好ましくは30重量部未満である。
〔実施例〕
以下に実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。また、特段の断りが無い限り、部は重量を基準とする。
重合転化率の評価方法:重合中にサンプリングした共重合体ラテックス約2gを秤量し、この値を「乾燥前重量」とする。これを150℃で30分乾燥して秤量し、この値を「乾燥後重量」とする。重合槽へ仕込む単量体以外の固形分部数をSとし、Sと「重合水部数」と「単量体合計部数」との合計を「仕込み総部数」とすれば、下記の式(1)と式(2)を経て、式(3)によって、重合転化率が計算される。
式(1) 重合転化部数 = 仕込み総部数×乾燥後重量/乾燥前重量−S
式(2) 単量体合計部数 = 仕込み総部数−(重合水部数+S)
式(3) 重合転化率 = 重合転化部数/単量体合計部数
重合熱利用効率E(%)の計算:初期仕込みを完了後、重合槽内をT1℃からT2℃まで(T2−T1)℃だけ昇温させるのに必要な熱量Hr(kcal)は、T2℃に到達するまでに重合槽内に仕込まれた物質の全熱容量Ha(kcal/℃)を用いて、下記の式(4)で計算される。
式(4) Hr = Ha×(T2−T1)
ただし、Haの算出に際して便宜的に単量体および油溶性物質の比熱を全て0.5、単量体以外の水溶性物質と重合に使用した純水の比熱を全て1.0とした。
また、槽内がT2℃に到達した時点までの重合熱Hpは、T2℃に到達するまでに槽内に仕込まれた単量体の部数M(部)、単量体1部当たりの単位重合熱Hu(kcal/部)、T2℃に到達した時点での重合転化率CT2を用いて下記の式(5)で計算される。
式(5) Hp = M×Hu×CT2
最終的に重合熱利用効率E(%)は、式(4)のHrと式(5)のHpを用いて下記の式(6)で計算される。
式(6) E = Hp/Hr×100
ただし、単量体1部当たりの単位重合熱Huについては単量体の種類や共重合する際の共重合組成により変化するので、本発明では、株式会社培風館出版から昭和50年6月20日に初版が発行された高分子学会編「共重合1反応解析」の295頁から307頁にわたる記載を参考にして、全ての単量体について16.5kcal/molの値を用いた。
具体的には、同書296頁の表30に記載されている中で工業的に大量消費されている代表的な単量体の重合熱、ブタジエン17.6kcal/mol、スチレン16.68kcal/mol、アクリロニトリル18.3kcal/mol、メタクリル酸メチル13.0〜13.9kcal/molの重合熱を算術平均して、16.5kcal/molを全ての重合体組成について一律に使用することにした。例えば、分子量が54.1であるブタジエンの場合、重量(g)/部数換算係数を1(g/部)として単量体部数当たりの重合熱は16.5÷54.1=0.305kcal/部となり、同様にスチレンで0.158kcal/部、2−ビニルピリジンで0.157kcal/部となる。
省エネルギー性:前記の重合熱利用効率E(%)を下記の様に相対区分して評価した。値が高いほど外部からの加熱熱量が少なく省エネルギー性が良い。
◎(優秀):40%以上
○(良好):40%未満〜15%以上
△(微劣):15%未満〜5%以上
×(不良): 5%未満
粗大凝集物の発生量:得られた共重合体ラテックス1リットルを重量既知の200メッシュのステンレス製金網でろ過した。その際、金網上に捕捉された粗大凝集物を120℃で60分間乾燥して水分を除去し、その乾燥重量を測定した。測定された粗大凝集物の乾燥後の重量をろ過前の試料中の固形分重量で除して、粗大凝集物の発生量(重量%)を求めた。得られた測定結果に基づいて下記の様に相対区分して評価した。
◎(優秀):0.01未満
○(良好):0.01以上〜0.1未満
△(微劣):0.1以上〜0.5未満
×(不良):0.5以上
数平均粒子径の測定方法:共重合体ラテックスを透過型電子顕微鏡で撮影し、2000個の粒子の直径を測定して単純数平均値(nm)を算出した。
(共重合体ラテックスのムーニー粘度の測定)
共重合体ラテックスから凝固、乾燥して回収した共重合体を用いてJIS K−6300に従って、ムーニー粘度(ML1+4 100℃)を測定した。
前述の方法で測定した共重合体ラテックスのムーニー粘度を表1に示す。
(本発明例1)
共重合体ラテックス1の作製
攪拌機付きオートクレーブに、水130部、水酸化ナトリウム0.3部、ロジン酸カリウム5部、オレイン酸カリウム1部、ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物1部を加え溶解させる。
これに、さらに1,3−ブタジエン70.0部、2−ビニルピリジン15.0部、スチレン15.0部とt−ドデシルメルカプタン0.7部を仕込み、乳化させる。次いで硫酸第一鉄0.002部、ブドウ糖0.10部、エチレンジアミン四酢酸0.01部、過硫酸カリウム0.3部を仕込み25℃で重合を開始した。重合開始から180分かけて、重合熱を利用しながら重合温度を52℃に上昇させた。この時点で重合転化率は0.17であり、重合熱利用効率は87%であった。重合開始180分後から540分後までの360分間は重合温度を52℃に保ち、重合開始540分後から630分後までの90分間で重合温度を60℃に上昇させ重合を継続した。重合転化率が0.93に達したならばハイドロキノン0.1部を加え、重合を停止させる。得られた共重合体ラテックスは減圧蒸留により未反応単量体を除去し、共重合体ラテックス1を得た。
(本発明例2)
共重合体ラテックス2の作製。
攪拌機付きオートクレーブに、水120部、水酸化ナトリウム0.2部、ロジン酸カリウム2部、ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物1部を加え溶解させる。
これに、さらに1,3−ブタジエン55.0部、2−ビニルピリジン18.0部、スチレン25.0部、アクリロニトリル2.0部とt−ドデシルメルカプタン0.3部を仕込み、乳化させる。次いで硫酸第一鉄0.003部、ホルムアルデヒドスルホン酸ナトリウム0.05部、エチレンジアミン四酢酸0.005部、クメンハイドロパーオキサイド0.2部を仕込み30℃で重合を開始した。重合開始から120分かけて、重合熱を利用しながら重合温度を65℃に上昇させた。この時点で重合転化率は0.14であり、重合熱利用効率は56%であった。その後、重合温度を65℃に保って重合を継続し、重合転化率が0.93に達したならばハイドロキノン0.1部、ロジン酸カリウム3部を加え、重合を停止させる。得られた共重合体ラテックスは減圧蒸留により未反応単量体を除去し、共重合体ラテックス2を得た。
(本発明例3)
共重合体ラテックス3の作製。
攪拌機付きオートクレーブに、水120部、水酸化ナトリウム0.25部、ロジン酸ナトリウム3部、オレイン酸ナトリウム2部、ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物1部を加え溶解させる。
これに、さらに1,3−ブタジエン73.0部、2−ビニルピリジン9.0部、スチレン18.0部とt−ドデシルメルカプタン0.6部を仕込み、乳化させる。次いでブドウ糖0.2部、過硫酸カリウム0.2部を仕込み28℃で重合を開始した。重合開始から150分かけて、重合熱を利用しながら重合温度を57℃に上昇させた。この時点で重合転化率は0.25であり、重合熱利用効率は129%であった。重合開始150分後から200分後までの50分間は重合温度を57℃に保ち、重合開始200分後から720分までの520分間で重合温度を65℃に徐々に上げながら重合を継続した。重合転化率が0.93に達したならばハイドロキノン0.1部を加え、重合を停止させる。得られた共重合体ラテックスは減圧蒸留により未反応単量体を除去し、共重合体ラテックス3を得た。
(本発明例4)
共重合体ラテックス4の作製
攪拌機付きオートクレーブに、水150部、水酸化ナトリウム0.3部、ロジン酸カリウム2部、オレイン酸カリウム3部、ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物1部を加え溶解させる。
これに、さらに1,3−ブタジエン37.0部、2−ビニルピリジン13.0部とt−ドデシルメルカプタン0.3部を仕込み、乳化させる。次いで硫酸第一鉄0.003部、ブドウ糖0.2部、エチレンジアミン四酢酸0.003部、クメンハイドロパーオキサイド0.3部を仕込み35℃で重合を開始した。重合開始から90分かけて、重合熱を利用しながら重合温度を70℃に上昇させた。この時点で重合転化率は0.32であり、重合熱利用効率は67%であった。その後、重合温度を70℃に保ち、重合開始180分後から480分後までは、ブタジエン38.0部、2−ビニルピリジン12.0部、t−ドデシルメルカプタン0.2部の混合物、およびブドウ糖0.1部、純水5部を300分間連続添加しながら、重合温度を70℃に保って重合を継続した。重合転化率が0.93に達したならばハイドロキノン0.1部を加え、重合を停止させる。得られた共重合体ラテックスは減圧蒸留により未反応単量体を除去し、共重合体ラテックス4を得た。
(本発明例5)
共重合体ラテックス5の作製
攪拌機付きオートクレーブに、水100部、水酸化ナトリウム0.2部、オレイン酸カリウム1.5部、ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物1部を加え溶解させる。
これに、さらに1,3−ブタジエン15.0部、2−ビニルピリジン12.0部、スチレン30.0部、アクリロニトリル3.0部とt−ドデシルメルカプタン0.25部を仕込み、乳化させる。次いで硫酸第一鉄0.001部、ホルムアルデヒドスルホン酸ナトリウム0.1部、エチレンジアミン四酢酸0.01部、過硫酸カリウム0.25部を仕込み35℃で重合を開始した。重合開始から100分かけて、重合熱を利用しながら重合温度を75℃に上昇させた。この時点で重合転化率は0.23であり、重合熱利用効率は53%であった。その後、重合温度を75℃に保ち、重合開始180分後から420分後までは、ブタジエン25.0部、2−ビニルピリジン6.0部、スチレン9.0部、t−ドデシルメルカプタン0.3部の混合物、およびホルムアルデヒドスルホン酸ナトリウム0.1部、純水5部を240分間連続添加しながら、重合温度を75℃に保って重合を継続した。重合転化率が0.93に達したならばハイドロキノン0.1部を加え、重合を停止させる。得られた共重合体ラテックスは減圧蒸留により未反応単量体を除去し、共重合体ラテックス5を得た。
共重合体ラテックス1〜5の数平均粒子径、粗大凝集物の発生量、ムーニー粘度は、表1に示したとおりである。
(比較例6)
共重合体ラテックス6の作製
攪拌機付きオートクレーブに、水140部、水酸化ナトリウム0.25部、ロジン酸カリウム7部、ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物1部を加え溶解させる。
これに、さらに1,3−ブタジエン30.0部、2−ビニルピリジン4.0部、スチレン63.0部、アクリロニトリル3.0部とt−ドデシルメルカプタン0.5部を仕込み、乳化させる。次いで硫酸第一鉄0.003部、ブドウ糖0.3部、エチレンジアミン四酢酸0.015部、クメンハイドロパーオキサイド0.3部を仕込み32℃で重合を開始した。重合開始から120分かけて、重合熱を利用しながら重合温度を70℃に上昇させた。この時点で重合転化率は0.28であり、重合熱利用効率は77%であった。その後、重合温度を70℃に保って重合を継続し、重合転化率が0.93に達したならばハイドロキノン0.1部を加え、重合を停止させる。得られた共重合体ラテックスは減圧蒸留により未反応単量体を除去し、共重合体ラテックス6を得た。
(比較例7)
共重合体ラテックス7の作製
攪拌機付きオートクレーブに、水130部、水酸化ナトリウム0.3部、ロジン酸カリウム3部、オレイン酸カリウム3部、ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物1部を加え溶解させる。
これに、さらに1,3−ブタジエン25.0部、2−ビニルピリジン24.0部、スチレン51.0部とt−ドデシルメルカプタン0.45部を仕込み、乳化させる。次いで硫酸第一鉄0.003部、ブドウ糖0.15部、エチレンジアミン四酢酸0.008部、過硫酸カリウム0.35部を仕込み35℃で重合を開始した。重合開始から180分かけて、重合熱を利用しながら重合温度を80℃に上昇させた。この時点で重合転化率は0.38であり、重合熱利用効率は87%であった。その後、重合温度を80℃に保って重合を継続し、重合転化率が0.93に達したならばハイドロキノン0.1部を加え、重合を停止させる。得られた共重合体ラテックスは減圧蒸留により未反応単量体を除去し、共重合体ラテックス7を得た。
(比較例8)
共重合体ラテックス8の作製
攪拌機付きオートクレーブに、水170部、水酸化ナトリウム0.2部、ロジン酸カリウム1部、オレイン酸カリウム4.0部、ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物1部を加え溶解させる。
これに、さらに1,3−ブタジエン85.0部、2−ビニルピリジン12.0部、アクリロニトリル3.0部とt−ドデシルメルカプタン0.6部を仕込み、乳化させる。次いでホルムアルデヒドスルホン酸ナトリウム0.15部、クメンハイドロパーオキサイド0.25部を仕込み25℃で重合を開始した。重合開始から150分かけて、重合熱を利用しながら重合温度を55℃に上昇させた。この時点で重合転化率は0.27であり、重合熱利用効率は114%であった。その後、重合温度を55℃に保って重合を継続し、重合転化率が0.93に達したならばハイドロキノン0.1部を加え、重合を停止させる。得られた共重合体ラテックスは減圧蒸留により未反応単量体を除去し、共重合体ラテックス8を得た。
(比較例9)
共重合体ラテックス9の作製
攪拌機付きオートクレーブに、水110部、水酸化ナトリウム0.2部、ロジン酸カリウム1部、オレイン酸カリウム2部、ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物1部を加え溶解させる。
これに、さらに1,3−ブタジエン60.0部、2−ビニルピリジン33.0部、スチレン7.0部とt−ドデシルメルカプタン0.7部を仕込み、乳化させる。次いで硫酸第一鉄0.005部、ブドウ糖0.20部、エチレンジアミン四酢酸0.02部、過硫酸カリウム0.25部を仕込み30℃で重合を開始した。重合開始から110分かけて、重合熱を利用しながら重合温度を65℃に上昇させた。この時点で重合転化率は0.11であり、重合熱利用効率は47%であった。その後、重合温度を65℃に保って重合を継続し、重合転化率が0.93に達したならばハイドロキノン0.1部、ロジン酸カリウム2部を加え、重合を停止させる。得られた共重合体ラテックスは減圧蒸留により未反応単量体を除去し、共重合体ラテックス9を得た。
(比較例10)
共重合体ラテックス10の作製
攪拌機付きオートクレーブに、水130部、水酸化ナトリウム0.3部、ロジン酸カリウム5部、ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物1部を加え溶解させる。
これに、さらに1,3−ブタジエン67.0部、2−ビニルピリジン17.0部、スチレン16.0部とt−ドデシルメルカプタン0.65部を仕込み、乳化させる。次いで硫酸第一鉄0.002部、ブドウ糖0.15部、エチレンジアミン四酢酸0.01部を仕込み内部温度が30℃であった。外部ジャケットに温水を流しながら140分かけて内部温度を60℃に引き上げた。この時点で重合転化率は0.00であり、重合熱利用効率は0%であった。内部温度が60℃に到達後に過硫酸カリウム0.2部と純水5部を添加して反応を開始した。その後、重合温度を60℃に保って重合を継続し、重合転化率が0.93に達したならばハイドロキノン0.1部を加え、重合を停止させる。得られた共重合体ラテックスは減圧蒸留により未反応単量体を除去し、共重合体ラテックス10を得た。
(比較例11)
共重合体ラテックス11の作製
攪拌機付きオートクレーブに、水120部、水酸化ナトリウム0.2部、ロジン酸カリウム3部、オレイン酸カリウム1部、ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物1部を加え溶解させる。
これに、さらに1,3−ブタジエン25.0部、2−ビニルピリジン6.0部、スチレン19.0部とt−ドデシルメルカプタン0.2部を仕込み、乳化させる。次いで硫酸第一鉄0.001部、ホルムアルデヒドスルホン酸ナトリウム0.1部、エチレンジアミン四酢酸0.01部、クメンハイドロパーオキサイド0.25部を仕込み25℃で重合を開始した。重合開始から90分かけて、重合熱を利用しながら重合温度を43℃に上昇させた。この時点で重合転化率は0.05であり、重合熱利用効率は21%であった。重合開始180分後から480分後までは、ブタジエン32.0部、2−ビニルピリジン10.0部、スチレン3.0部、アクリロニトリル5.0部、t−ドデシルメルカプタン0.4部の混合物、およびブドウ糖0.1部、純水5部を300分間連続添加した。重合開始90分後から510分後までの420分間は重合温度を43℃に保ち、重合開始510分後から560分後までの50分間で重合温度を60℃に上昇させ重合を継続した。重合転化率が0.93に達したならばハイドロキノン0.1部を加え、重合を停止させる。得られた共重合体ラテックスは減圧蒸留により未反応単量体を除去し、共重合体ラテックス11を得た。
(比較例12)
共重合体ラテックス12の作製
攪拌機付きオートクレーブに、水130部、水酸化ナトリウム0.2部、ロジン酸ナトリウム2.0部、オレイン酸カリウム3.0部、ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物1部を加え溶解させる。
これに、さらに1,3−ブタジエン18.0部、2−ビニルピリジン8.0部、スチレン34.0部とt−ドデシルメルカプタン0.15部を仕込み、乳化させる。次いで過硫酸カリウム0.2部を仕込み30℃で重合を開始した。重合開始から120分かけて、重合熱を利用しながら重合温度を72℃に上昇させた。この時点で重合転化率は0.07であり、重合熱利用効率は12%であった。その後、重合温度を72℃に保ち、重合開始240分後から450分後までは、ブタジエン28.0部、2−ビニルピリジン7.0部、スチレン5.0部、t−ドデシルメルカプタン0.3部の混合物を210分間連続添加しながら、重合温度を72℃に保って重合を継続した。重合転化率が0.93に達したならばハイドロキノン0.1部を加え、重合を停止させる。得られた共重合体ラテックスは減圧蒸留により未反応単量体を除去し、共重合体ラテックス12を得た。
共重合体ラテックス6〜12の数平均粒子径、粗大凝集物の発生量、ムーニー粘度は、表2に示したとおりである。
応用例−1
(RFL液の調整)
水239部に、水酸化ナトリウム0.3部、レゾルシン11部および37%ホルマリン16.2部を加え、25℃にて6時間熟成を行い、RFレジンを作成する。
次いで、表1および表2に示す共重合体ラテックス1〜12をそれぞれ75部(固形分)およびスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(日本エイアンドエル(株)社製 J−9049)25部(固形分)の中に、得られたRFレジンを全量添加し、水にて固形分濃度を20%に調整し、25℃にて18時間熟成させ、RFL液1〜12を得た。
(タイヤコード浸漬処理、コード強力および接着力測定)
試験用シングルコードディッピングマシンを用いて、得られたRFL液にて各々、6−6ナイロンタイヤコード(1890D/2)を浸漬処理し、120℃で60秒間乾燥したのち、220℃で120秒間、焼き付けを行った。
上記にて処理された各々のタイヤコードを配合ゴム処方1に基づくゴム配合物ではさみ、140℃で45分間加硫プレスした後、ASTM D2138−67(H Pull Test)に従い接着力を測定した。また、処理された各々のコードにつき、JIS−L1070に従いコード強力を測定した。結果を表3および表4に示す。
応用例−2
(RFL液の調整)
水229部に水酸化ナトリウム0.41部を加え攪拌後、濃度65%のレゾルシン−ホルマリン樹脂(住友化学工業(株)社製:スミカノール700S)24.2部を加え攪拌する。さらに37%ホルマリン6.3部を加え攪拌混合し25℃にて4時間熟成することにより、RFレジンを作成する。
次いで、表1及び表2に示す共重合体ラテックス1〜12をそれぞれ100部(固形分)中に、得られたRFレジンを18.5部添加し、25%アンモニア水14部を加え、水にて固形分濃度を20%に調整後、25℃にて40時間熟成させる。
その後、P−クロロフェノール、ホルムアルデヒド、レゾルシノールの縮合物のアンモニア溶液(ナガセ化成工業社製:デナボンド)を37部添加し、RFL液1〜12を得た。
(タイヤコード浸漬処理、コード強力および接着力測定)
試験用シングルコードディッピングマシンを用いて、得られたRFL液にて各々ポリエステル・タイヤコード(1500D/2)を浸漬処理し、120℃で60秒間乾燥したのち、230℃で120秒間、焼き付けを行った。浸漬処理された各々のタイヤコードを配合ゴム処方2に基づくゴム配合物ではさみ、140℃で45分、および170℃で45分の各々の条件にて加硫プレスした後、ASTM D2138−67(H Pull Test)に従い接着力および高温覆歴による接着力の低下を測定した。また、処理された各々のコードにつき、JIS−L1070に従いコード強力を測定した。結果を表3および表4に示す。
Figure 2009286894
Figure 2009286894
Figure 2009286894
Figure 2009286894
<配合ゴム処方1>
天然ゴム RSS#1 70 部
SBRゴム #1502 30 部
FEFカーボン 40 部
プロセスオイル 4 部
アンチゲンRD(*1) 2 部
ステアリン酸 1.5部
亜鉛華 5 部
加硫促進剤DM(*2) 0.9部
硫黄 2.7部
*1:2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合物(住友化学工業(株)社製)
*2:ジベンゾチアジルジスルフィド
<配合ゴム処方2>
天然ゴム RSS#1 100 部
SRFカーボン 15 部
FEFカーボン 20 部
プロセスオイル 5 部
アンチゲンRD(*1) 1 部
ステアリン酸 2.5部
亜鉛華 5 部
加硫促進剤DM(*2) 0.7部
硫黄 3 部
*1:2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合物(住友化学工業(株)社製)
*2:ジベンゾチアジルジスルフィド
以上のとおり、本発明は重合反応中に発生する粗大凝集物の発生が極めて少なく、かつ、製造初期において重合反応系外からの過大な加熱を必要とせず、省エネルギー性に優れた効率のよい共重合体ラテックスが得られるものであり、また得られた共重合体ラテックスをゴムと繊維の接着剤として使用することにより、初期接着剤、耐熱接着剤などに優れた物性を有するものであり、ゴムと繊維の接着剤として好適に使用することができる。

Claims (7)

  1. 脂肪族共役ジエン系単量体30〜80重量部、ビニルピリジン系単量体5〜30重量部、およびそれらと共重合可能な他の単量体0〜65重量部からなる重合性単量体合計100重量部を乳化重合して得られる共重合体ラテックスであって、単量体の一部または全量を仕込み完了後、重合系内の温度T1が0〜40℃の範囲で重合を開始した後、重合系内の温度T2を45〜80℃の範囲に到達させるに際し、その温度上昇(T2−T1)に必要な熱量の15%以上を重合による重合熱を利用して昇温させることを特徴とするゴムと繊維の接着剤用共重合体ラテックスの製造方法。
  2. 重合性単量体合計100重量部に対して65〜300重量部の重合水を使用してなる請求項1に記載のゴムと繊維の接着剤用共重合体ラテックスの製造方法。
  3. T2−T1=10℃以上である請求項1〜2何れかに記載のゴムと繊維の接着剤用共重合体ラテックスの製造方法。
  4. 共重合体ラテックスの数平均粒子径が80〜200nmである請求項1〜3何れかに記載のゴムと繊維の接着剤用共重合体ラテックスの製造方法。
  5. 温度上昇(T2−T1)に必要な熱量の40%以上を重合による重合熱によって昇温させることを特徴とする請求項1〜4何れかに記載のゴムと繊維の接着剤用共重合体ラテックスの製造方法。
  6. 請求項1〜5何れかに記載の製造方法で得られたゴムと繊維の接着剤用共重合体ラテックス。
  7. 請求項6に記載のゴムと繊維の接着剤用共重合体ラテックス及びレゾルシン−ホルマリン系樹脂を含んでなる接着剤用組成物。
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