JP2009255498A - 感熱型平版印刷版 - Google Patents

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Abstract

【課題】機上現像も水現像も必要としない感熱型平版印刷版であって、鮮明な印刷画像が得られ、十分な耐刷性を有し、且つ地汚れが改善された感熱型平版印刷版を提供すること。更にはスティッキング現象の発生が低減された直接感熱型平版印刷版を提供すること。
【解決手段】耐水性支持体上に熱可塑性樹脂及び水溶性高分子化合物を含有する画像形成層を有する感熱型平版印刷版において、該画像形成層が一般式(1)〜(4)で示される化合物の中から選ばれた少なくとも1種を含有する。
【選択図】なし

Description

本発明はプロセスレス印刷版に関し、機上現像処理や洗浄による簡易現像が不要で、アブレーションタイプのような廃棄物の発生もない、感熱記録により製版可能な感熱型平版印刷版に関する。
近年のコンピューター及び周辺機器の発達により各種デジタルプリンタを使用した平版印刷版の製版方法が提案されている。このような平版印刷版の製版方法としては、例えば特開平6−138719号公報、特開平6−250424号公報に記載されるような乾式電子写真法レーザープリンタにより製版するもの、特開平9−58144号公報に記載されるような熱溶融型インクを用いたオンデマンドインクジェットプリンタを用いて製版するもの、あるいは特開昭63−166590号公報に記載される熱転写インクリボンを用いたサーマルプリンタで製版するものなどが知られている。
上記各種デジタルプリンタによる製版方法は、従来から知られるハロゲン化銀乳剤層を有する平版印刷版の製版方法、あるいは感光性樹脂が保水性付与表面に塗布された平版印刷版の製版方法と異なり、取り扱い上安全光の制約がなく、また画像記録後に現像液による現像処理を必要としない点で簡便容易に平版印刷版を製版できる利点がある。それら製版方式に使用される印刷版はプロセスレス印刷版と総称されている。
しかし上記プロセスレス印刷版は、いずれも保水性付与層が設けられた支持体表面に感脂性(即ち、平版印刷インク着肉性)の記録画像を転写することにより印刷版を形成しているため、次のような問題がある。
1)画像を形成する層が親水性であるためトナーやインク等の付着が十分ではなく、例えば転写トナー画像濃度の不足、転写画像の白抜けのような問題がある。
2)転写画像の定着性が十分でなく、耐刷性が不十分で、特に小ポイント文字の一部、網点画像の小点の脱落などの問題がある。
3)非画像部に少量のトナーが不規則に転写されたり、熱転写インクリボンがこすれることにより、全体的に薄い地汚れの発生などの問題がある。
支持体上に保水性付与層を設けることなく、支持体上に熱可塑性樹脂を含有する画像形成層を設け、これを加熱印字することで親油性の画像部を得る方法としては、画像形成層に熱転写リボン等を介さずサーマルヘッド等で直接加熱描画することで親油性の画像部を得る方法、あるいは赤外線レーザー等で加熱描画することで親油性の画像部を得る方法が知られている。
熱転写リボン等を介さずサーマルヘッド等で直接加熱描画を行う製版方法に用いる直接感熱型平版印刷版としては、例えば特開昭58−199153号公報(特許文献1)、あるいは特開昭59−174395号公報(特許文献2)等に記載される水溶性高分子化合物と熱溶融性物質を含有する画像形成層を有する直接感熱型平版印刷版が知られている。一方、赤外線レーザー等で加熱描画することで親油性の画像部を得る方法に用いる感熱型平版印刷版としては、例えば特開2000−190649号公報(特許文献3)、特開2000−301846号公報(特許文献4)等に記載される、熱溶融性粒子あるいは熱可塑性ポリマーを含有する画像形成層を有する感熱型平版印刷版が知られている。
しかしこのような感熱型平版印刷版及び直接感熱型平版印刷版は一般に、非画像部と画像部との親水性/親油性の差が十分でなかったため、鮮明な印刷画像が得にくく、耐刷性が不十分であったり、地汚れしやすいという問題を有していた。また前記特許文献1、特許文献2等に記載される直接感熱型平版印刷版はサーマルヘッド等で直接加熱描画されるため、上記課題に加えて更に、加熱描画の際に熱溶融物が冷却されサーマルヘッドに固着する、いわゆるスティッキング現象を起こしやすいという問題があった。
高い画像濃度が得られる感熱型平版印刷版としては、例えば特開昭63−64747号公報(特許文献5)に記載されるような無機顔料、熱可塑性樹脂及び熱溶融性物質を有する画像形成層を有する感熱型平版印刷版が知られている。また前述の特許文献3、特許文献4に記載される感熱型平版印刷版は、画像部の親油性と非画像部の親水性のバランス改善のため、親油性を発現する熱溶融性微粒子を特定の熱伝導率を有する物質でコーティングする方法や、熱によるキレート反応を利用して親水性ポリマーの親水基を疎水化する考案が開示されている。しかしながらいずれも反応の制御が難しく、非画像部と画像部との親水性/親油性の差が十分でないため、鮮明な印刷画像が得にくく、耐刷性が不十分であったり、地汚れしやすいという問題があった。
一方、特開平6−270572号公報(特許文献6)、特開平7−25175号公報(特許文献7)では、熱分解でヒドロキシル基を生成する熱可塑性物質を導入することで、スティッキング現象の発生が低減された直接感熱型平版印刷版が記載される。しかしながらいずれも画像部の親油性と非画像部の親水性の差が十分でなかった。
特開昭58−199153号公報 特開昭59−174395号公報 特開2000−190649号公報 特開2000−301846号公報 特開昭63−64747号公報 特開平6−270572号公報 特開平7−25175号公報
本発明の目的は、機上現像も水現像も必要としない感熱型平版印刷版であって、鮮明な印刷画像が得られ、十分な耐刷性を有し、且つ地汚れが改善された感熱型平版印刷版を提供することにある。更にはスティッキング現象の発生が低減された直接感熱型平版印刷版を提供することにある。
上記課題は下記の手段によって解決された。
(1)耐水性支持体上に熱可塑性樹脂及び水溶性高分子化合物を含有する画像形成層を有する感熱型平版印刷版において、該画像形成層が下記一般式(1)〜(4)で示される化合物の中から選ばれた少なくとも1種を含有することを特徴とする感熱型平版印刷版。
Figure 2009255498
上記一般式(1)式中、Xは−O−又は−CO−O−を示し、R〜Rはそれぞれ水素原子、アルキル基、アリール基を示す。nは1から10までの整数を示す。
Figure 2009255498
上記一般式(2)式中、Rはアルキル基、アリール基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基を示す。
Figure 2009255498
上記一般式(3)式中、R、Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数4以下のアルキル基、アルコキシ基を示す。Xは単なる結合手または−O−を示し、nは1〜4の整数を示す。
Figure 2009255498
上記一般式(4)式中、R10、R10′、R11及びR11′は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシ基を示す。
(2)前記画像形成層が実質的に無機顔料を含まないことを特徴とする、上記(1)記載の感熱型平版印刷版。
(3)前記熱可塑性樹脂が自己架橋タイプの合成ゴムラテックスである上記(1)または(2)記載の感熱型平版印刷版。
(4)前記感熱型平版印刷版が直接感熱型平版印刷版であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の感熱型平版印刷版。
本発明により、機上現像も水現像も必要としない感熱型平版印刷版であって、鮮明な印刷画像が得られ、十分な耐刷性を有し、且つ地汚れが改善された感熱型平版印刷版を提供することができる。更にはスティッキング現象の発生が低減された直接感熱型平版印刷版を提供することができる。
本発明の平版印刷版は、画像形成層として熱可塑性樹脂及び水溶性高分子化合物を含有し、該画像形成層が上記一般式(1)〜(4)で示される化合物の中から選ばれた少なくとも1種を含有することで、画像形成層面を熱印加すると熱可塑性樹脂の溶融開始温度が下がり、より小さなエネルギーで版面に優れた親油性を有する画像部を与え、鮮明な印刷画像が得られ、十分な耐刷性を有する感熱型平版印刷版が得られる。そして本発明の上記一般式(1)〜(4)で示される化合物は十分な耐刷性の付与に極めて効果が認められる一方、非画像部の親水性を低下させないという極めて特異的な効果が得られる化合物である。これにより鮮明な印刷画像が得られ、十分な耐刷性を有し、且つ地汚れが改善された感熱型平版印刷版を提供することができる。またサーマルヘッド等で直接加熱描画を行う製版方法に用いる直接感熱型平版印刷版においては上記効果に加えて更にスティッキング現象も改善するという極めて優れた効果が得られる。
以下に一般式(1)で示される化合物について説明する。
Figure 2009255498
上記式中、Xは−O−又は−CO−O−を示し、R〜Rはそれぞれ水素原子、アルキル基、アリール基を示す。nは1から10までの整数を示す。なお置換基R〜R及びR〜Rは互いに結合して芳香環を形成しても良い。
一般式(1)で示される化合物のうちでも、Xが−O−である化合物が好ましく、特にR及びRが水素原子または炭素数1〜4のアルキル基で、R〜Rが水素原子であり、nが1〜4の整数である化合物が特に好ましく用いられる。好ましい配合量は熱可塑性樹脂に対し30〜130質量%であり、更に好ましくは50〜100質量%である。この化合物は単独使用でも良いし他の熱溶融性物質と併用することもできる。
かかる一般式(1)で示される化合物としては例えば下記の化合物が例示されるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)1−(1−ナフトキシ)−2−フェノキシエタン
(2)1−(2−ナフトキシ)−4−フェノキシブタン
(3)1−(2−イソプロピルフェノキシ)−2−(2−ナフトキシ)エタン
(4)1−(4−メチルフェノキシ)−3−(2−ナフトキシ)プロパン
(5)1−(2−メチルフェノキシ)−2−(2−ナフトキシ)エタン
(6)1−(3−メチルフェノキシ)−2−(2−ナフトキシ)エタン
(7)1−(2−ナフトキシ)−2−フェノキシエタン
(8)1−(2−ナフトキシ)−6−フェノキシヘキサン
(9)1−フェノキシ−2−(2−フェニルフェノキシ)エタン
(10)1−(2−メチルフェノキシ)−2−(4−フェニルフェノキシ)エタン
(11)1,4−ジフェノキシブタン
(12)1,4−ビス(4−メチルフェノキシ)ブタン
(13)1,2−ジ(3,4−ジメチルフェノキシ)エタン
(14)1−フェノキシ−3−(4−フェニルフェノキシ)プロパン
(15)1−(4−tert−ブチルフェノキシ)−2−フェノキシエタン
(16)1,2−ジフェノキシエタン
(17)1−(4−メチルフェノキシ)−2−フェノキシエタン
(18)1−(2,3−ジメチルフェノキシ)−2−フェノキシエタン
(19)1−(3,4−ジメチルフェノキシ)−2−フェノキシエタン
(20)1−(4−エチルフェノキシ)−2−フェノキシエタン
(21)1−(4−イソプロピルフェノキシ)−2−フェノキシエタン
(22)1,2−ビス(2−メチルフェノキシ)エタン
(23)1−(2−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン
(24)1−(4−tert−ブチルフェノキシ)−2−(2−メチルフェノキシ)エタン
(25)1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン
(26)1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン
(27)1−(4−エチルフェノキシ)−2−(3−メチルフェノキシ)エタン
(28)1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン
(29)1−(2,3−ジメチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン
(30)1−(2,5−ジメチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン
(31)フェノキシ酢酸−2−ナフチル
(32)2−ナフトキシ酢酸−4−メチルフェニル
(33)2−ナフトキシ酢酸−3−メチルフェニル
次に一般式(2)で示される化合物について説明する。
Figure 2009255498
上記式中、Rはアルキル基、アリール基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基を示す。また、式中のナフタレン環は更に置換基を有していても良く、好ましい置換基の例としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基などが挙げられる。
上記一般式(2)においてRで表わされる置換基のうち炭素数4〜20のアルキル基、炭素数4〜24のアリール基、炭素数2〜20のアルキルカルボニル基、炭素数7〜20のアリールカルボニル基がより好ましい。上記一般式(2)において、ナフタレン環が更に有しても良い置換基のうちハロゲン基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜20のアルキルオキシカルボニル基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基、炭素数2〜25のカルバモイル基がより好ましい。好ましい配合量は熱可塑性樹脂に対し30〜130質量%であり、更に好ましくは50〜100質量%である。この化合物は単独使用でも良いし他の熱溶融性物質と併用することもできる。
かかる一般式(2)で示される化合物としては例えば下記の化合物が例示されるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)1−ベンジルオキシナフタレン
(2)2−ベンジルオキシナフタレン
(3)2−p−クロロベンジルオキシナフタレン
(4)2−p−イソプロピルベンジルオキシナフタレン
(5)2−ドデシルオキシナフタレン
(6)2−デカノイルオキシナフタレン
(7)2−ミリストイルオキシナフタレン
(8)2−p−tert−ブチルベンゾイルオキシナフタレン
(9)2−ベンゾイルオキシナフタレン
(10)2−ベンジルオキシ−3−N−(3−ドデシルオキシプロピル)カルバモイルナフタレン
(11)2−ベンジルオキシ−3−N−オクチルカルバモイルナフタレン
(12)2−ベンジルオキシ−3−ドデシルオキシカルボニルナフタレン
(13)2−ベンジルオキシ−3−p−tert−ブチルフェノキシカルボニルナフタレン
次に一般式(3)で示される化合物について説明する。
Figure 2009255498
上記式中、R、Rは水素原子、ハロゲン基、炭素数4以下のアルキル基、アルコキシ基を示す。Xは単なる結合手または−O−を示し、nは1〜4の整数を示す。
かかる一般式(3)で示される化合物としては例えば下記の化合物が例示されるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)シュウ酸ジベンジル
(2)シュウ酸ジ(p−メチルベンジル)
(3)シュウ酸ジ(p−クロロベンジル)
(4)シュウ酸ジ(m−メチルベンジル)
(5)シュウ酸ジ(p−エチルベンジル)
(6)シュウ酸ジ(p−メトキシベンジル)
(7)シュウ酸ビス(2−フェノキシエチル)
(8)シュウ酸ビス(2−o−クロロフェノキシエチル)
(9)シュウ酸ビス(2−p−クロロフェノキシエチル)
(10)シュウ酸ビス(2−p−エチルフェノキシエチル)
(11)シュウ酸ビス(2−m−メトキシフェノキシエチル)
(12)シュウ酸ビス(2−p−メトキシフェノキシエチル)
(13)シュウ酸ビス(4−フェノキシブチル)
これらの例示化合物の中で好ましい具体例としては、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ジ(p−メチルベンジル)、シュウ酸ジ(p−クロロベンジル)、シュウ酸ジ(m−メチルベンジル)、シュウ酸ジ(p−エチルベンジル)、シュウ酸ジ(p−メトキシベンジル)が挙げられる。好ましい配合量は熱可塑性樹脂に対し30〜130質量%であり、更に好ましくは50〜100質量%である。この化合物は単独使用でも良いし他の熱溶融性物質と併用することもできる。
以下に一般式(4)で示される化合物について説明する。
Figure 2009255498
上記式中、R10、R10′、R11及びR11′は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシ基を示す。
かかる一般式(4)で示される化合物としては例えば下記の化合物が例示されるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)1,2−ジフェノキシメチルベンゼン
(2)1,3−ジフェノキシメチルベンゼン
(3)1,4−ジ(2−メチルフェノキシメチル)ベンゼン
(4)1,4−ジ(3−メチルフェノキシメチル)ベンゼン
(5)1,3−ジ(4−メチルフェノキシメチル)ベンゼン
(6)1,3−ジ(2,4−ジメチルフェノキシメチル)ベンゼン
(7)1,3−ジ(2,6−ジメチルフェノキシメチル)ベンゼン
(8)1,4−ジ(2−クロロフェノキシメチル)ベンゼン
(9)1,2−ジ(4−クロロフェノキシメチル)ベンゼン
(10)1,3−ジ(4−クロロフェノキシメチル)ベンゼン
(11)1,2−ジ(4−オクチルフェノキシメチル)ベンゼン
(12)1,3−ジ(4−オクチルフェノキシメチル)ベンゼン
(13)1,3−ジ(4−イソプロピルフェニルフェノキシメチル)ベンゼン
(14)1,4−ジ(4−イソプロピルフェニルフェノキシメチル)ベンゼン
これらの例示化合物の中で好ましい具体例としては、1,2−ジフェノキシメチルベンゼン、1,4−ジ(2−メチルフェノキシメチル)ベンゼン、1,4−ジ(3−メチルフェノキシメチル)ベンゼン、1,4−ジ(2−クロロフェノキシメチル)ベンゼンが挙げられる。好ましい配合量は熱可塑性樹脂に対し30〜130質量%であり、更に好ましくは50〜100質量%である。この化合物は単独使用でも良いし他の熱溶融性物質と併用することもできる。
一般式(1)〜(4)で示される化合物の中でも優れた耐刷性が得られる点で、一般式(1)、(2)及び(4)で示される化合物が好ましく、更には一般式(1)及び(2)で示される化合物が好ましく、最も好ましい化合物は一般式(1)で示される化合物である。またこれらはそれぞれ単独で使用しても良いし、組み合わせて使用することもできる。
上記一般式(1)〜(4)で示される化合物は常温で固体の物質であるが、熱による反応性を高めるために、微分散処理を行って使用されることが好ましい。微分散処理の方法は、一般に塗料製造時に用いられる湿式分散法であるロールミル、コロイドミル、ボールミル、アトライター、サンドミルなどのビーズミル等を使用することができる。ビーズミルでは、ジルコニア、チタニア、アルミナなどのセラミックビーズや、クロム、スチールなどの金属ビーズ、ガラスビーズなどが使用できる。分散粒径はメジアン径で0.1〜1.2μmが望ましく、特に好ましくは0.3〜0.8μmである。なお、メジアン径とは、粒子体の一つの集団の全体積を100%として累積曲線を求めた時、累積曲線が50%となる点の粒子径(累積平均径)であり、粒度分布を評価するパラメータの一つとしてレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA920((株)堀場製作所製)等を用いて測定することができる。
上記一般式(1)〜(4)で示される化合物と併用することのできる熱溶融性物質としては、融点が50〜150℃の有機化合物が好ましく、例えばカルナバワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスなどのワックス類、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、モンタン酸などの脂肪酸、及びそのエステル、アミド類などが使用できる。融点が50℃未満では製造工程中に溶融してしまい印刷物の地汚れの原因となる場合がある。一方150℃を超えるとサーマルヘッド等の熱印加で溶融しにくく、親油性の発現が乏しい場合がある。またこれらの熱溶融性物質と上記一般式(1)〜(4)で示される化合物を併用する場合、熱溶融性物質の添加量は上記一般式(1)〜(4)で示される化合物の30質量%以下、更に好ましくは15質量%以下であることが好ましい。
本発明の感熱型平版印刷版が有する画像形成層は、熱可塑性樹脂を含有する。かかる熱可塑性樹脂としては、鎖状ポリマーからなり加熱によって可塑性を示す固体状の有機高分子化合物であって、有機高分子化合物の水分散体を指す。代表例はスチレンブタジエン共重合体、アクリロニトリルブタジエン共重合体、メチルメタクリレートブタジエン共重合体、スチレンアクリロニトリルブタジエン共重合体、スチレンメチルメタクリレートブタジエン共重合体等の、その変性物を含めた合成ゴムラテックスであるが、スチレン無水マレイン酸共重合体、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体、ポリアクリル酸共重合体、ポリスチレン、スチレン/アクリル酸エステル共重合体、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル/アクリル酸エステル共重合体、及び低融点ポリアミド樹脂等の水分散体も使用可能である。これら熱可塑性樹脂は単独もしくは2種以上併用して用いることができる。印刷インクのビヒクル(バインダー成分)との親和性から、かかる熱可塑性樹脂としては合成ゴムラテックスが好ましく用いられる。かかる合成ゴムラテックスは耐刷性の観点から、熱が掛かった際に自己架橋するタイプが好ましい。自己架橋タイプとは、架橋剤の存在なしでも熱により三次元網状化することが可能であり、かかる合成ゴムラテックスを作製する際に、共重合成分として、カルボキシル基、水酸基、メチロールアミド基、エポキシ基、カルボニル基、アミノ基などの反応性官能基を存在させることにより得ることができる。また本発明の感熱型平版印刷版が直接感熱型平版印刷版である場合、前記画像形成層は最外層であることが望ましく、印刷の際には親油性の画像部を有する層であるのと同時に親水性の非画像部を有する層として作用する。従って上記自己架橋タイプの合成ゴムラテックスが有する反応性官能基としては、カルボキシル基、水酸基、及びアミノ基が好ましく、特にカルボキシル基を反応性官能基として有する合成ゴムラテックスが好ましい。これにより画像部は自己架橋することで良好な耐刷性が得られると同時に、熱が掛からなかった非画像部は優れた保水性が得られるため好ましい。特に好ましい合成ゴムラテックスはカルボキシ変性スチレンブタジエン共重合体である。熱可塑性樹脂の好ましい配合量としては画像形成層の全固形分量に対して5〜50質量%が好ましく、更に10〜40質量%が好ましい。また熱による溶融、融着効果を発現しやすくするためには、熱可塑性樹脂のガラス転移温度は50〜150℃、更に好ましくは55〜120℃のものを使用するのが良い。ガラス転移温度が50℃未満では製造工程中に液状に相変化を起こし、非画像部にも親油性が発現するため印刷地汚れの原因となる場合がある。また150℃を超える場合はポリマーの熱溶融が起こりにくく、比較的小出力のレーザーや小型サーマルプリンタでは強固な画像を形成するのが困難となる場合がある。
本発明の感熱型平版印刷版が有する画像形成層は水溶性高分子化合物を含有する。かかる水溶性高分子化合物としては、例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、澱粉及びその誘導体、ゼラチン、カゼイン、アルギン酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、スチレン・マレイン酸共重合体塩、スチレン・アクリル酸共重合体塩、等が例示される。これらの水溶性高分子化合物は単独使用でも2種類以上の併用でも良く、特に皮膜形成に富むゼラチンやポリビニルアルコールとその変性物が非画像部の親水性保持に好ましく選択される。かかる配合量は画像形成層の全固形分量に対して0.5〜30質量%が好ましく、更に3〜25質量%とすることがより好ましい。
また非画像部の耐水性及び機械的強度を向上させるため、画像形成層は前記水溶性高分子化合物の種類に応じて硬化剤(耐水化剤)を含有することが好ましい。硬化剤としては、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイソシアネート化合物、アルデヒド化合物、シラン化合物、クロム明礬、ジビニルスルフォン等、樹脂の架橋を促すことによって耐水性を付与するものを用いることができるが、特に好ましい硬化剤はゼラチンの場合ジビニルスルホンが、ポリビニルアルコールの場合グリオキザールが好ましく用いられる。また必要な耐水性及び機械的強度を得、更に保存した際の経時での特性変動を避ける意味から、硬化剤の配合量は前記水溶性高分子化合物の固形分量に対して、1〜30質量%が好ましく、更には2〜15質量%とすることが好ましい。
本発明の感熱型平版印刷版の画像形成層は前記一般式(1)〜(4)で示される化合物、熱可塑性樹脂、及び水溶性高分子化合物に加えて更に光熱変換物質を配合することで、サーマルヘッドだけでなく赤外線レーザーなどの活性光による書き込みが可能となる。この観点から本発明の感熱型平版印刷版の画像形成層は、光熱変換物質を含有することが好ましい。本発明に使用しうる光熱変換物質としては、効率よく光を吸収し熱に変換する材料が好ましく、使用する光源によって異なるが、例えば近赤外光を放出する半導体レーザーを光源として使用する場合には、近赤外に吸収帯を有する近赤外光吸収剤が好ましく、例えば、カーボンブラック、シアニン系色素、ポリメチン系色素、アズレニウム系色素、スクワリウム系色素、チオピリリウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素等の有機化合物や、フタロシアニン系、アゾ系、チオアミド系の有機金属錯体、鉄粉、黒鉛粉末、酸化鉄粉、酸化鉛、酸化銀、酸化クロム、硫化鉄、硫化クロム等の金属化合物類等が挙げられる。
本発明の感熱型平版印刷版は、視認性確保のため一般的な感熱記録紙や感圧記録紙に使用されるフェノール誘導体や芳香族カルボン酸誘導体などの顕色剤や発色剤(電子供与性染料前駆体)を含有させることができる。
本発明で使用できる顕色剤として具体的には、4−クミルフェノール、ヒドロキノンモノベンジルエーテル、4,4′−イソプロピリデンジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4′−ジヒドロキシジフェニル−2,2−ブタン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、ビス(4−ヒドロキシフェニルチオエトキシ)メタン、1,5−ジ(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3−オキサペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,4−ビス〔α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、ジ(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィン、4−ヒドロキシ−4′−メチルジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホン、2,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ヒドロキシフェニル−4′−ベンジルオキシフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−3′,4′−テトラメチレンビフェニルスルホン、3,4−ジヒドロキシフェニル−p−トリルスルホン、4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、N,N′−ジ−m−クロロフェニルチオ尿素、N−(フェノキシエチル)−4−ヒドロキシフェニルスルホンアミドなどのフェノール性化合物、4−〔3−(p−トリルスルホニル)プロピルオキシ〕サリチル酸亜鉛、4−〔2−(p−メトキシフェノキシ)エチルオキシ〕サリチル酸亜鉛、5−〔p−(2−p−メトキシフェノキシエトキシ)クミル〕サリチル酸亜鉛、p−クロロ安息香酸亜鉛などの芳香族カルボン酸の亜鉛塩、更にはチオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体などの有機酸性物質などが例示される。
本発明の感熱型平版印刷版に使用できる発色剤(電子供与性染料前駆体)の具体的な例は、(1)トリアリールメタン系化合物として3,3′−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(クリスタル・バイオレット・ラクトン)、3,3′−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(9−エチルカルバゾール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(2−フェニルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3−p−ジメチルアミノフェニル−3−(1−メチルピロール−2−イル)−6−ジメチル−アミノフタリド等:(2)ジフェニルメタン系化合物として、4,4′−ビス−ジメチルアミノベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等:(3)キサンテン系化合物として、ローダミンB−アニリノラクタム、ローダミンB−p−ニトロアニリノラクタム、ローダミンB−p−クロロアニリノラクタム、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェニルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3,4−ジクロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−エチル−トリルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−エチル−トリルアミノ−6−メチル−7−フェニチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(4−ニトロアニリノ)フルオラン等:(4)チアジン系化合物として、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー等:(5)スピロ系化合物として、3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン、3,3′−ジクロロ−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジル−スピロ−ジナフトピラン、3−メチルナフト−(3−メトキシ−ベンゾ)−スピロピラン、3−プロピル−スピロ−ジベンゾピラン等が挙げられる。またこれらを2種以上併用することもできる。
本発明の感熱型平版印刷版が直接感熱型平版印刷版である場合、前記画像形成層は最外層であることが望ましく、印刷の際には画像形成層となる層である。一般にサーマルヘッドなどから加熱描画を行うと、画像形成層中に含まれる熱溶融性物質や熱可塑性粒子はある温度以上で溶融する。この溶融物がサーマルヘッドに固着したものがヘッドカスであり、これが印刷版との間で固着してスティッキングを起こし画像に白筋を発生させたり、印字音が大きくなったりする。しかしながら本発明においては、前述のように直接感熱型平版印刷版の画像形成層が前記一般式(1)〜(4)に示される化合物を含有することで、鮮明な印刷画像が得られ、十分な耐刷性を有し、地汚れが低減されるといった効果に加え、更にスティッキング現象も改善するという極めて優れた効果が得られる。
従来、感熱記録紙等では一般的に二酸化ケイ素、酸化亜鉛、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウムなどの吸油性の高い無機顔料によってこれら熱溶融物を吸着させることで、サーマルヘッドとの結着を防止してスティッキング現象を改善し、画像描画上支障ないように処方される。しかしながら感熱型平版印刷版の画像形成層が上記無機顔料を含有した場合、耐刷性が低下する傾向にある。従って本発明において画像形成層は無機顔料を実質的に含有しないことが好ましい。ここで実質的にとは画像形成層の全固形分量に対して上記無機顔料の配合量を10質量%未満とすることを意味し、更に5質量%未満とすることがより好ましい。
本発明の感熱型平版印刷版が有する画像形成層は、画像部の耐刷性、非画像部の耐水性及び機械的強度の観点から、乾燥膜厚として0.5〜20μmであることが好ましく、更に1〜10μmであることがより好ましい。
本発明の感熱型平版印刷版が有する耐水性支持体としては、プラスチックフィルム、樹脂被覆紙、耐水紙などが使用できる。具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエーテルサルフォン、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレート、ポリカーボネート、ポリアミド及びポリ塩化ビニル等のプラスチックフィルムとこれらプラスチックを表面にラミネートやコーティングした樹脂被覆紙、メラミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、エポキシ化ポリアミド樹脂などの湿潤紙力剤によって耐水化された紙を使用することができる。
支持体の厚さは、感熱製版装置の記録適性及び平版印刷機適性等の観点から100〜300μm程度が好適である。
このような耐水性支持体の表面は、画像形成層との接着性を高めるために、プラズマ処理、コロナ放電処理、遠紫外線照射処理、下引き処理などの処理を施しても良い。下引き処理により耐水性支持体上に設けられる下引層は、ポリビニルブチラール等のアセタール樹脂、分子鎖末端にヒドロキシル基を有するポリエステル樹脂、(メタ)アクリル酸(メタ)アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニリデン・塩化ビニル共重合体等から選択される樹脂を含有することができる。下引層の厚さは、通常乾燥膜厚0.1〜10μm程度である。
本発明の感熱型平版印刷版は、画像形成層の各素材を混合し適当な溶剤に溶解又は分散した塗工液を、支持体上に公知のコーティング方法で塗工、乾燥することにより製造することができる。好ましい溶剤は水である。但し、乾燥時の熱で画像形成層(及び中間層)が熱変性しないようにするため、乾燥処理は50℃以下の雰囲気で30秒〜10分程度とすることが好ましい。
なお、本発明の感熱型平版印刷版は、前述のように画像形成層と支持体との接着性を改善するために下引層を設けても良く、また必要に応じて導電性、帯電防止性改善の機能を付加したり、印刷版としてのカールを防止するカール防止層、所望のカールを付与するカール促進層等を複数で設けることができる。
次に上述した本発明の感熱型平版印刷版を用いた製版方法について説明する。本発明の感熱型平版印刷版は、感熱型の画像形成層を有するため、画像形成層中に光熱変換物質を配合することにより例えば760nmから1200nmの赤外光を含む光を照射することで画像部を形成することが可能であり、更に赤外線を放射する固体レーザー及び半導体レーザーにより画像部を形成することが好ましい。特にレーザー露光によれば、コンピューターのデジタル情報から直接所望の画像様の記録が可能となる。またサーマルヘッドやヒートブロック等により画像形成層を直接熱により描画し画像部を形成することも可能であるが、サーマルヘッドによればコンピューターのデジタル情報から直接所望の画像様の記録が可能となる。
サーマルヘッドを使用する場合は、厚膜または薄膜のラインヘッドを用いたラインプリンタや薄膜のシリアルヘッドを用いたシリアルプリンタ等が使用できる。記録エネルギー密度は、10〜100mJ/mmであることが好ましく、また比較的高品質な出力画像を得るためにはヘッドの画像記録密度が300dpi以上であることが好ましい。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこの実施例によって限定されるものではない。以下の実施例において「部」、「%」は特に示さない限り、質量基準である。
一般式(1)の化合物として1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン(三光(株)製KS−232)と顕色剤;4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホン(日本曹達(株)製D−8)、発色剤;3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(山本化成(株)製ODB2)は、事前に個々に小型ダイノミル(ビーズミル)でジルコニアビーズを用いて固形分濃度30%で微分散処理しそれぞれ分散液1,分散液2,分散液3を作製した。分散液1の分散粒径(メジアン径)は(株)堀場製作所製LA920を用いて測定したところ0.52μmであった。次いで下記処方にて、画像形成層塗工液を調製した。
[画像形成層塗工液]
・水溶性高分子化合物;ゼラチン(12%水溶液) 80部
((株)ニッピ IK3000)
・熱可塑性樹脂;カルボキシ変性スチレンブタジエン共重合体(固形分45%)30部
(大日本インキ化学工業(株) ラックスター7132−C Tg60℃)
・一般式(1)の化合物;分散液1(30%分散液) 30部
・顕色剤;分散液2(30%分散液) 30部
・発色剤;分散液3(30%分散液) 9部
・硬化剤;ジビニルスルホン 1.2部
厚さ180μmの両面ポリエチレン被覆紙をコロナ放電加工した後、上記処方からなる画像形成層塗工液を塗工し、乾燥膜厚5μmの画像形成層を設け本発明の直接感熱型平版印刷版を得た。このように作製した直接感熱型平版印刷版に、ダイレクトサーマルプリンタ(東芝テック(株)バーコードプリンタB−433ライン型サーマルヘッド300dpi)のテスト印字モード(印刷速度2インチ/秒、印加エネルギー18.6mJ/mm)で画像を記録した。次いでこの印刷版をオフセット印刷機(HAMADA H234C:ハマダ印刷機械)、インク;ニューチャンピオンF−グロス墨N:大日本インキ化学工業(株)、給湿液;SLM−OD30:三菱製紙(株)3%希釈液を用いて印刷を行い、スティッキングの有無、印刷性能を評価した。
スティッキングは印刷物の黒ベタ部に、印刷方向とは直角方向に発生する白筋の有無で判定した。印刷性能の評価は、(1)画像の鮮明さ、(2)印刷地汚れ、(3)耐刷性の三つの項目を下記のように評価した。
(1)画像の鮮明さ
印刷開始後20枚目での印刷画像(10ポイント文字)の濃さと輪郭の鮮明さで判定。
○・・・・文字濃度が高く輪郭も鮮明
△・・・・文字濃度は高いが輪郭が不鮮明
×・・・・文字濃度が低く輪郭も不鮮明
(2)印刷地汚れ
印刷開始後100枚目でのバックグランドの汚れ具合により判定。
○・・・・全く汚れなし
△・・・・微小な斑点汚れが僅か発生する(商業印刷可レベル)
×・・・・全面に汚れ発生(商業印刷不可レベル)
(3)耐刷枚数
印刷物の画像部にインク着肉不良が現れるまでの概略枚数を100枚単位で判定。
上記評価結果を表1に示す。
実施例1の1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタンを1,2−ジフェノキシエタン(三光(株)製KS−235)に変更し、更に水溶性高分子化合物をゼラチンからシラノール変性ポリビニルアルコール((株)クラレ製R1130)に変更し、合わせて耐水化剤をグリオキザールに変更して、下記処方からなる画像形成層塗工液を調製した。1,2−ジフェノキシエタンは事前に小型ダイノミル(ビーズミル)でジルコニアビーズを用いて固形分濃度30%で微分散処理し分散液4を作製した。分散液4の分散粒径(メジアン径)は(株)堀場製作所製LA920を用いて測定したところ0.68μmであった。
[画像形成層塗工液]
・水溶性高分子化合物;シラノール基変性PVA(10%水溶液) 100部
((株)クラレ Rポリマー R1130)
・熱可塑性樹脂;カルボキシ変性スチレンブタジエン共重合体(固形分45%)30部
(大日本インキ化学工業(株) ラックスター7132−C Tg60℃)
・一般式(1)の化合物;分散液4(30%分散液) 30部
・顕色剤;分散液2(30%分散液) 30部
・発色剤;分散液3(30%分散液) 9部
・硬化剤;グリオキザール 0.8部
上記処方による画像形成層塗工液を実施例1と同様に、厚さ180μmの両面ポリエチレン被覆紙に塗工し、乾燥膜厚5μmの画像形成層を設け本発明の直接感熱型平版印刷版を得た。このように作製した直接感熱型平版印刷版に実施例1と同様に、ダイレクトサーマルプリンタにて画像を記録後オフセット印刷機にて印刷を行い、スティッキングの有無と印刷性能を評価した。その結果を表1に示す。
実施例2の画像形成層塗工液に光熱変換剤としてカーボンブラックを添加し、下記の様に画像形成層塗工液を調製した。
[画像形成層塗工液]
・水溶性高分子化合物;シラノール基変性PVA(10%水溶液) 100部
((株)クラレ Rポリマー R1130)
・熱可塑性樹脂;カルボキシ変性スチレンブタジエン共重合体(固形分45%)30部
(大日本インキ化学工業(株) ラックスター7132−C Tg60℃)
・一般式(1)の化合物;分散液4(30%分散液) 30部
・顕色剤;分散液2(30%分散液) 30部
・発色剤;分散液3(30%分散液) 9部
・光熱変換剤;カーボンブラック 固形分として 5部
(大日本インキ化学工業(株) SD9020)
・硬化剤;グリオキザール 0.8部
(日本合成化学(株))
厚さ100μmのポリエステルフィルムをコロナ放電加工した後、上記処方からなる塗工液を塗工し、乾燥膜厚5μmの画像形成層を設け、本発明の感熱型平版印刷版を得た。このように作製した感熱型平版印刷版に、半導体レーザー(波長830nm、出力500mw)で画像露光を行った。また解像度は走査方向、副走査方向共に2400dpiとした。画像露光後、実施例1と同様にオフセット印刷機にて印刷を行い、印刷性能を評価した。その結果を表1に示す。
実施例1に二酸化ケイ素を総固形分量の5.3%添加した以外は実施例1と同様に下記画像形成層塗工液を調製した。
[画像形成層塗工液]
・無機顔料;二酸化ケイ素 2.5部
(東ソー・シリカ(株) AY−601)
・水溶性高分子化合物;ゼラチン(12%水溶液) 80部
((株)ニッピ IK3000)
・熱可塑性樹脂;カルボキシ変性スチレンブタジエン共重合体(固形分45%)30部
(大日本インキ化学工業(株) ラックスター7132−C Tg60℃)
・一般式(1)の化合物;分散液1(30%分散液) 30部
・顕色剤;分散液2(30%分散液) 30部
・発色剤;分散液3(30%分散液) 9部
・硬化剤;ジビニルスルホン 1.2部
上記処方による画像形成層塗工液を実施例1と同様に、厚さ180μmの両面ポリエチレン被覆紙に塗工し、乾燥膜厚5μmの画像形成層を設け本発明の直接感熱型平版印刷版を得た。このように作製した直接感熱型平版印刷版に実施例1と同様に、ダイレクトサーマルプリンタにて画像を記録後、オフセット印刷機にて印刷を行い、スティッキングの有無と印刷性能を評価した。その結果を表1に示す。
実施例1に二酸化ケイ素を総固形分量の10.2%添加した以外は実施例1と同様に下記画像形成層を調製した。
[画像形成層塗工液]
・無機顔料;二酸化ケイ素 5.1部
(東ソー・シリカ(株) AY−601)
・水溶性高分子化合物;ゼラチン(12%水溶液) 80部
((株)ニッピ IK3000)
・熱可塑性樹脂;カルボキシ変性スチレンブタジエン共重合体(固形分45%)30部
(大日本インキ化学工業(株) ラックスター7132−C Tg60℃)
・一般式(1)の化合物;分散液1(30%分散液) 30部
・顕色剤;分散液2(30%分散液) 30部
・発色剤;分散液3(30%分散液) 9部
・硬化剤;ジビニルスルホン 1.2部
上記処方による画像形成層塗工液を実施例1と同様に、厚さ180μmの両面ポリエチレン被覆紙に塗工し、乾燥膜厚5μmの画像形成層を設け本発明の直接感熱型平版印刷版を得た。このように作製した直接感熱型平版印刷版に実施例1と同様に、ダイレクトサーマルプリンタにて画像を記録後、オフセット印刷機にてスティッキングの有無と印刷性能を評価した。その結果を表1に示す。
一般式(2)の化合物として、2−ベンジルオキシナフタレン(山田化学工業(株)製BON)を実施例1と同様に事前に小型ダイノミルで微分散処理し、分散液5を作製した。(分散粒径0.82μm)実施例1の分散液1に替えて分散液5を使用した以外は実施例1と同様にして画像形成層塗工液を調製し、両面ポリエチレン被覆紙に塗工、本発明の直接感熱型平版印刷版を得た。次に実施例1と同様にダイレクトサーマルプリンタにて画像を記録後、オフセット印刷機にて印刷を行い、印刷性能及びスティッキングの有無を評価した。その結果を表1に示す。
一般式(2)の化合物として、2−p−クロロベンジルオキシナフタレン(試薬)を実施例2と同様に事前に小型ダイノミルで微分散処理し、分散液6を作製した(分散粒径1.25μm)。実施例2の分散液4に替えて分散液6を使用した以外は実施例2と同様にして画像形成層塗工液を調製し、両面ポリエチレン被覆紙に塗工、本発明の直接感熱型平版印刷版を得た。次に実施例1と同様にダイレクトサーマルプリンタにて画像を記録後、オフセット印刷機にて印刷を行い、印刷性能及びスティッキングの有無を評価した。その結果を表1に示す。
実施例3の分散液4に替えて分散液6を使用した以外は実施例3と同様にして画像形成層塗工液を調製した。実施例3と同様にしてポリエステルフィルムに塗工し、本発明の感熱型平版印刷版を得た。実施例3と同様にして半導体レーザーで画像露光を行い、オフセット印刷機にて印刷を行い、印刷性能を評価した。評価結果を表1に示す。
実施例4の分散液1に替えて分散液5を使用した以外は、実施例4と同様にして画像形成層塗工液を調製した。実施例4と同様にして両面ポリエチレン被覆紙に塗工し本発明の直接感熱型平版印刷版を得た。次に実施例1と同様にダイレクトサーマルプリンタにて画像を記録後、オフセット印刷機にて印刷を行い、印刷性能及びスティッキングの有無を評価した。その結果を表1に示す。
実施例5の分散液1に替えて分散液5を使用した以外は、実施例5と同様にして画像形成層塗工液を調製した。実施例5と同様にして両面ポリエチレン被覆紙に塗工し本発明の直接感熱型平版印刷版を得た。次に実施例1と同様にダイレクトサーマルプリンタにて画像を記録後、オフセット印刷機にて印刷を行い、印刷性能及びスティッキングの有無を評価した。その結果を表1に示す。
一般式(3)の化合物として、シュウ酸ジ(p−メチルベンジル)(大日本インキ化学工業(株)製HS3520)を実施例1と同様に事前に小型ダイノミルで微分散処理し、分散液7を作製した(分散粒径0.68μm)。実施例1の分散液1に替えて分散液7を使用した以外は実施例1と同様にして画像形成層塗工液を調製し、両面ポリエチレン被覆紙に塗工、本発明の直接感熱型平版印刷版を得た。次に実施例1と同様にダイレクトサーマルプリンタにて画像を記録後、オフセット印刷機にて印刷を行い、印刷性能及びスティッキングの有無を評価した。その結果を表1に示す。
一般式(3)の化合物として、シュウ酸ジベンジル(大日本インキ化学工業(株)製HS2046)を実施例2と同様に事前に小型ダイノミルで微分散処理し、分散液8を作製した。(分散粒径0.52μm)実施例2の分散液4に替えて分散液8を使用した以外は実施例2と同様にして画像形成層塗工液を調製し、両面ポリエチレン被覆紙に塗工、本発明の直接感熱型平版印刷版を得た。次に実施例1と同様にダイレクトサーマルプリンタにて画像を記録後、オフセット印刷機にて印刷を行い、印刷性能及びスティッキングの有無を評価した。その結果を表1に示す。
実施例3の分散液4に替えて分散液8を使用した以外は実施例3と同様にして画像形成層塗工液を調製した。実施例3と同様にポリエステルフィルムに塗工し、本発明の感熱型平版印刷版を得た。実施例3と同様にして半導体レーザーで画像露光を行い、オフセット印刷機にて印刷を行い、印刷性能を評価した。評価結果を表1に示す。
実施例4の分散液1に替えて分散液7を使用した以外は、実施例4と同様にして画像形成層塗工液を調製した。実施例4と同様にして両面ポリエチレン被覆紙に塗工し本発明の直接感熱型平版印刷版を得た。次に実施例1と同様にダイレクトサーマルプリンタにて画像を記録後、オフセット印刷機にて印刷を行い、印刷性能及びスティッキングの有無を評価した。その結果を表1に示す。
実施例5の分散液1に替えて分散液7を使用した以外は、実施例5と同様にして画像形成層塗工液を調製した。実施例5と同様にして両面ポリエチレン被覆紙に塗工し本発明の直接感熱型平版印刷版を得た。次に実施例1と同様にダイレクトサーマルプリンタにて画像を記録後、オフセット印刷機にて印刷を行い、印刷性能及びスティッキングの有無を評価した。その結果を表1に示す。
一般式(4)の化合物として、1,2−ジフェノキシメチルベンゼン(日華化学(株)製PMB−2)を実施例1と同様に事前に小型ダイノミルで微分散処理し、分散液9を作製した(分散粒径0.75μm)。実施例1の分散液1に替えて分散液9を使用した以外は実施例1と同様にして画像形成層塗工液を調製し、両面ポリエチレン被覆紙に塗工、本発明の直接感熱型平版印刷版を得た。次に実施例1と同様にダイレクトサーマルプリンタにて画像を記録後、オフセット印刷機にて印刷を行い、印刷性能及びスティッキングの有無を評価した。その結果を表1に示す。
一般式(4)の化合物として、1,4−ジ(2−メチルフェノキシメチル)ベンゼン(試薬)を実施例2と同様に事前に小型ダイノミルで微分散処理し、分散液10を作製した(分散粒径0.97μm)。実施例2の分散液4に替えて分散液10を使用した以外は実施例2と同様にして画像形成層塗工液を調製し、両面ポリエチレン被覆紙に塗工、本発明の直接感熱型平版印刷版を得た。次に実施例1と同様にダイレクトサーマルプリンタにて画像を記録後、オフセット印刷機にて印刷を行い、印刷性能及びスティッキングの有無を評価した。その結果を表1に示す。
実施例3の分散液4に替えて分散液10を使用した以外は、実施例3と同様にして画像形成層塗工液を調製した。実施例3と同様にポリエステルフィルムに塗工し、本発明の感熱型平版印刷版を得た。実施例3と同様にして半導体レーザーで画像露光を行い、オフセット印刷機にて印刷を行い、印刷性能を評価した。評価結果を表1に示す。
実施例4の分散液1に替えて分散液9を使用した以外は、実施例4と同様にして画像形成層塗工液を調製した。実施例4と同様にして両面ポリエチレン被覆紙に塗工し本発明の直接感熱型平版印刷版を得た。次に実施例1と同様にダイレクトサーマルプリンタにて画像を記録後、オフセット印刷機にて印刷を行い、印刷性能及びスティッキングの有無を評価した。その結果を表1に示す。
実施例5の分散液1に替えて分散液9を使用した以外は、実施例5と同様にして画像形成層塗工液を調製した。実施例5と同様にして両面ポリエチレン被覆紙に塗工し本発明の直接感熱型平版印刷版を得た。次に実施例1と同様にダイレクトサーマルプリンタにて画像を記録後、オフセット印刷機にて印刷を行い、印刷性能及びスティッキングの有無を評価した。その結果を表1に示す。
実施例1にステアリン酸アミドを分散液1の1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタンの固形分比20%添加した以外は実施例1と同様に下記画像形成層塗工液を調製した。
[画像形成層塗工液]
・水溶性高分子化合物;ゼラチン(12%水溶液) 80部
((株)ニッピ IK3000)
・熱可塑性樹脂;カルボキシ変性スチレンブタジエン共重合体(固形分45%)30部
(大日本インキ化学工業(株) ラックスター7132−C Tg60℃)
・一般式(1)の化合物;分散液1(30%分散液) 30部
・ステアリン酸アミド分散液(不揮発分25%) 7.2部
(中京油脂(株) ハイミクロンL271)
・顕色剤;分散液2(30%分散液) 30部
・発色剤;分散液3(30%分散液) 9部
・硬化剤;ジビニルスルホン 1.2部
上記処方による画像形成層塗工液を実施例1と同様に、厚さ180μmの両面ポリエチレン被覆紙に塗工し、乾燥膜厚5μmの画像形成層を設け本発明の直接感熱型平版印刷版を得た。このように作製した直接感熱型平版印刷版に実施例1と同様に、ダイレクトサーマルプリンタにて画像を記録後、オフセット印刷機にて印刷を行い、スティッキングの有無と印刷性能を評価した。その結果を表1に示す。
実施例1のカルボキシ変性スチレンブタジエン共重合体(ラックスター7132−C)をスチレンブタジエン共重合体(大日本インキ化学工業(株)製ラックスターDS−206)に変更した以外は、実施例1と同様に下記画像形成層塗工液を調製した。
[画像形成層塗工液]
・水溶性高分子化合物;ゼラチン(12%水溶液) 80部
((株)ニッピ IK3000)
・熱可塑性樹脂;スチレンブタジエン共重合体(固形分49%) 30部
(大日本インキ化学工業(株) ラックスターDS−206 Tg25℃)
・一般式(1)の化合物;分散液1(30%分散液) 30部
・顕色剤;分散液2(30%分散液) 30部
・発色剤;分散液3(30%分散液) 9部
・硬化剤;ジビニルスルホン 1.2部
上記処方による画像形成層塗工液を実施例1と同様に、厚さ180μmの両面ポリエチレン被覆紙に塗工し、乾燥膜厚5μmの画像形成層を設け本発明の直接感熱型平版印刷版を得た。このように作製した直接感熱型平版印刷版に実施例1と同様に、ダイレクトサーマルプリンタにて画像を記録後、オフセット印刷機にて印刷を行い、スティッキングの有無と印刷性能を評価した。その結果を表1に示す。
実施例1のカルボキシ変性スチレンブタジエン共重合体(ラックスター7132−C)をカルボニル変性スチレンブタジエン共重合体(日本ゼオン(株)製 NipolLX407BP)に変更した以外は、実施例1と同様に下記画像形成層塗工液を調製した。
[画像形成層塗工液]
・水溶性高分子化合物;ゼラチン(12%水溶液) 80部
((株)ニッピ IK3000)
・熱可塑性樹脂;スチレンブタジエン共重合体(固形分50%) 30部
(日本ゼオン(株) NipolLX407BP Tg80℃)
・一般式(1)の化合物;分散液1(30%分散液) 30部
・顕色剤;分散液2(30%分散液) 30部
・発色剤;分散液3(30%分散液) 9部
・硬化剤;ジビニルスルホン 1.2部
上記処方による画像形成層塗工液を実施例1と同様に、厚さ180μmの両面ポリエチレン被覆紙に塗工し、乾燥膜厚5μmの画像形成層を設け本発明の直接感熱型平版印刷版を得た。このように作製した直接感熱型平版印刷版に実施例1と同様に、ダイレクトサーマルプリンタにて画像を記録後、オフセット印刷機にて印刷を行い、スティッキングの有無と印刷性能を評価した。その結果を表1に示す。
〈比較例1〉
実施例1で用いた画像形成層塗工液から一般式(1)の化合物である1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタンを含有する分散液1を抜いた以外は実施例1と同様に下記画像形成層塗工液を調製した。
[画像形成層塗工液]
・水溶性高分子化合物;ゼラチン(12%水溶液) 80部
((株)ニッピ IK3000)
・熱可塑性樹脂;カルボキシ変性スチレンブタジエン共重合体(固形分45%)30部
(大日本インキ化学工業(株) ラックスター7132−C Tg60℃)
・顕色剤;分散液2(30%分散液) 30部
・発色剤;分散液3(30%分散液) 9部
・硬化剤;ジビニルスルホン 1.2部
厚さ180μmの両面ポリエチレン被覆紙をコロナ放電加工した後、上記処方からなる画像形成層塗工液を塗工し、乾燥膜厚5μmの画像形成層を得、比較例1の直接感熱型平版印刷版を得た。このように作製した直接感熱型平版印刷版に実施例1と同様に、ダイレクトサーマルプリンタにて画像を記録後、オフセット印刷機にて印刷を行い、スティッキングの有無及び印刷性能を評価した。その結果を表1に示す。
〈比較例2〉
実施例1で用いた画像形成層塗工液から一般式(1)の化合物である1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタンを含有する分散液1を抜いた上で二酸化ケイ素を総固形分比28.0%となるように添加した以外は実施例1と同様にして下記画像形成層塗工液を調製した。
[画像形成層塗工液]
・無機顔料;二酸化ケイ素 14部
(東ソー・シリカ(株) AY−601)
・水溶性高分子化合物;ゼラチン(12%水溶液) 80部
((株)ニッピ IK3000)
・熱可塑性樹脂;カルボキシ変性スチレンブタジエン共重合体(固形分45%)30部
(大日本インキ化学工業(株) ラックスター7132−C Tg60℃)
・顕色剤;分散液2(30%分散液) 30部
・発色剤;分散液3(30%分散液) 9部
・硬化剤;ジビニルスルホン 1.2部
厚さ180μmの両面ポリエチレン被覆紙をコロナ放電加工した後、上記処方からなる画像形成層塗工液を塗工し、乾燥膜厚5μmの画像形成層を得、比較例2の直接感熱型平版印刷版を得た。このように作製した直接感熱型平版印刷版に実施例1と同様に、ダイレクトサーマルプリンタにて画像を記録後、オフセット印刷機にて印刷を行い、スティッキングの有無及び印刷性能を評価した。その結果を表1に示す。
〈比較例3〉
実施例1で用いた一般式(1)の化合物である1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタンを含有する分散液1に替えてパラフィンワックス分散液(中京油脂(株)ハイドリンL703、融点75℃)を等量用いた以外は実施例1と同様に下記画像形成層塗工液を調製した。
[画像形成層塗工液]
・水溶性高分子化合物;ゼラチン(12%水溶液) 80部
((株)ニッピ IK3000)
・熱可塑性樹脂;カルボキシ変性スチレンブタジエン共重合体(固形分45%)30部
(大日本インキ化学工業(株) ラックスター7132−C Tg60℃)
・パラフィンワックス分散液(不揮発分35%) 26部
(中京油脂(株) ハイドリンL703)
・顕色剤;分散液2(30%分散液) 30部
・発色剤;分散液3(30%分散液) 9部
・硬化剤;ジビニルスルホン 1.2部
厚さ180μmの両面ポリエチレン被覆紙をコロナ放電加工した後、上記処方からなる画像形成層塗工液を塗工し、乾燥膜厚5μmの画像形成層を得、比較例3の直接感熱型平版印刷版を得た。このように作製した直接感熱型平版印刷版に実施例1と同様に、ダイレクトサーマルプリンタにて画像を記録後、オフセット印刷機にて印刷を行い、スティッキングの有無及び印刷性能を評価した。その結果を表1に示す。
〈比較例4〉
実施例1で用いた一般式(1)の化合物である1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタンを含有する分散液1に替えてカルナバワックス分散液(中京油脂(株)セロゾール524、融点83℃)を等量用いた以外は実施例1と同様に下記画像形成層塗工液を調製した。
[画像形成層塗工液]
・水溶性高分子化合物;ゼラチン(12%水溶液) 80部
((株)ニッピ IK3000)
・熱可塑性樹脂;カルボキシ変性スチレンブタジエン共重合体(固形分45%)30部
(大日本インキ化学工業(株) ラックスター7132−C Tg60℃)
・カルナバワックス分散液(不揮発分30%) 30部
(中京油脂(株)セロゾール524)
・顕色剤;分散液2(30%分散液) 30部
・発色剤;分散液3(30%分散液) 9部
・硬化剤;ジビニルスルホン 1.2部
厚さ180μmの両面ポリエチレン被覆紙をコロナ放電加工した後、上記処方からなる画像形成層塗工液を塗工し、乾燥膜厚5μmの画像形成層を得、比較例4の直接感熱型平版印刷版を得た。このように作製した直接感熱型平版印刷版に実施例1と同様に、ダイレクトサーマルプリンタにて画像を記録後、オフセット印刷機にて印刷を行い、スティッキングの有無及び印刷性能を評価した。その結果を表1に示す。
〈比較例5〉
実施例1で用いた一般式(1)の化合物である1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタンを含有する分散液1に替えてモンタン酸エステルワックス分散液(中京油脂(株)ハイドリンJ537、融点83℃)を等量用いた以外は実施例1と同様に下記画像形成層塗工液を調製した。
[画像形成層塗工液]
・水溶性高分子化合物;ゼラチン(12%水溶液) 80部
((株)ニッピ IK3000)
・熱可塑性樹脂;カルボキシ変性スチレンブタジエン共重合体(固形分45%)30部
(大日本インキ化学工業(株) ラックスター7132−C Tg60℃)
・モンタン酸エステルワックス分散液(不揮発分30%) 30部
(中京油脂(株)ハイドリンJ537)
・顕色剤;分散液2(30%分散液) 30部
・発色剤;分散液3(30%分散液) 9部
・硬化剤;ジビニルスルホン 1.2部
厚さ180μmの両面ポリエチレン被覆紙をコロナ放電加工した後、上記処方からなる画像形成層塗工液を塗工し、乾燥膜厚5μmの画像形成層を得、比較例5の直接感熱型平版印刷版を得た。このように作製した直接感熱型平版印刷版に実施例1と同様に、ダイレクトサーマルプリンタにて画像を記録後、オフセット印刷機にて印刷を行い、スティッキングの有無及び印刷性能を評価した。その結果を表1に示す。
〈比較例6〉
実施例1で用いた一般式(1)の化合物である1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタンを含有する分散液1に替えてステアリン酸アミドの分散液(中京油脂(株)ハイミクロンL271、融点100℃)を等量用いた以外は実施例1と同様に下記画像形成層塗工液を調製した。
[画像形成層塗工液]
・水溶性高分子化合物;ゼラチン(12%水溶液) 80部
((株)ニッピ IK3000)
・熱可塑性樹脂;カルボキシ変性スチレンブタジエン共重合体(固形分45%)30部
(大日本インキ化学工業(株) ラックスター7132−C Tg60℃)
・ステアリン酸アミド分散液(不揮発分25%) 36部
(中京油脂(株) ハイミクロンL271)
・顕色剤;分散液2(30%分散液) 30部
・発色剤;分散液3(30%分散液) 9部
・硬化剤;ジビニルスルホン 1.2部
厚さ180μmの両面ポリエチレン被覆紙をコロナ放電加工した後、上記処方からなる画像形成層塗工液を塗工し、乾燥膜厚5μmの画像形成層を得、比較例6の直接感熱型平版印刷版を得た。このように作製した直接感熱型平版印刷版に実施例1と同様に、ダイレクトサーマルプリンタにて画像を記録後、オフセット印刷機にて印刷を行い、スティッキングの有無及び印刷性能を評価した。その結果を表1に示す。
〈比較例7〉
実施例1で用いた一般式(1)の化合物である1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタンを含有する分散液1に替えてステアリン酸亜鉛分散液(中京油脂(株)ハイドリンZ7、融点120℃)を等量用いた以外は実施例1と同様に下記画像形成層塗工液を調製した。
[画像形成層塗工液]
・水溶性高分子化合物;ゼラチン(12%水溶液) 80部
((株)ニッピ IK3000)
・熱可塑性樹脂;カルボキシ変性スチレンブタジエン共重合体(固形分45%)30部
(大日本インキ化学工業(株) ラックスター7132−C Tg60℃)
・ステアリン酸亜鉛分散液 (不揮発分31%) 29部
(中京油脂(株) ハイドリンZ7)
・顕色剤;分散液2(30%分散液) 30部
・発色剤;分散液3(30%分散液) 9部
・硬化剤;ジビニルスルホン 1.2部
厚さ180μmの両面ポリエチレン被覆紙をコロナ放電加工した後、上記処方からなる画像形成層塗工液を塗工し、乾燥膜厚5μmの画像形成層を得、比較例7の直接感熱型平版印刷版を得た。このように作製した直接感熱型平版印刷版に実施例1と同様に、ダイレクトサーマルプリンタにて画像を記録後、オフセット印刷機にて印刷を行い、スティッキングの有無及び印刷性能を評価した。その結果を表1に示す。
Figure 2009255498
表1に示す結果からわかるように、画像形成層が一般式(1)〜(4)に示される化合物を含有することで印刷画像が鮮明で、地汚れも少なく耐刷性にも優れた感熱型平版印刷版を得ることができる。また直接感熱型平版印刷版で問題であったスティッキングを低減した、画像部の親油性と非画像部の親水性のバランスの取れた直接感熱型平版印刷版を得ることができる。更に上記実施例の記載からも明らかなように、本発明の感熱型平版印刷版は、サーマルヘッドや赤外線レーザーを用いて描画し、その後現像処理することなく製版が可能である。

Claims (4)

  1. 耐水性支持体上に熱可塑性樹脂及び水溶性高分子化合物を含有する画像形成層を有する感熱型平版印刷版において、該画像形成層が下記一般式(1)〜(4)で示される化合物の中から選ばれた少なくとも1種を含有することを特徴とする感熱型平版印刷版。
    Figure 2009255498
    (式中、Xは−O−又は−CO−O−を示し、R〜Rはそれぞれ水素原子、アルキル基、アリール基を示す。nは1から10までの整数を示す。)
    Figure 2009255498
    (式中、Rはアルキル基、アリール基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基を示す。)
    Figure 2009255498
    (式中、R、Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数4以下のアルキル基、アルコキシ基を示す。Xは単なる結合手または−O−を示し、nは1〜4の整数を示す。)
    Figure 2009255498
    (式中、R10、R10′、R11及びR11′は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシ基を示す。)
  2. 前記画像形成層が実質的に無機顔料を含まないことを特徴とする請求項1記載の感熱型平版印刷版。
  3. 前記熱可塑性樹脂が自己架橋タイプの合成ゴムラテックスである請求項1または請求項2記載の感熱型平版印刷版。
  4. 前記感熱型平版印刷版が直接感熱型平版印刷版であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の感熱型平版印刷版。
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