JP6581525B2 - 感熱型平版印刷版 - Google Patents

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Description

本発明は、熱により相変換する画像形成層を用いた感熱型平版印刷版に関する。詳しくは従来のアブレーション方式や機上現像方式などにおける層除去処理など、所謂デブリ処理を必要としない感熱型平版印刷版に関する。
近年、コンピューターおよびその周辺機器の発展により各種デジタルプリンタを用いた平版印刷版の製版方法が各種提案されている。例えば、特開平6−138719号公報、特開平6−250424号公報には、乾式電子写真法レーザープリンタにより製版するもの、特開平9−58144号公報には、熱溶融型インクを用いたオンデマンドインクジェットプリンタにより製版するもの、さらに、特開昭63−166590号公報には熱転写インクリボンを用いるサーマルプリンタにより製版するものなどが知られている。
上記のようなプリンタを用いた製版方法は、従来の可視光レーザーなどを用いた光モードタイプとは大別され、取り扱い上において安全光の制約を受けないことから、この点で大きな利点を持つ。また従来の光モードタイプにおいて必要とされていた露光後の現像処理を全く必要としない点から、これらの製版方式で製版された印刷版はプロセスレス印刷版と総称されている。
しかし上記プロセスレス印刷版は、いずれも保水性付与層が設けられた支持体表面に、感脂性(即ち、平版印刷インク着肉性)の記録画像を転写付与することにより印刷版を形成する方式であったため、次のような問題点があった。
1)画像を形成する層が親水性であるためトナーやインクなどの付着が十分ではなく、例えば転写トナー画像濃度が不足したり、転写画像に白抜けが発生するような問題。
2)転写画像の定着が十分ではなく、耐刷性が低下し、特に小ポイント文字の一部や低網点画像に欠落が生じるような問題。
3)非画像部に少量のトナーが不規則に転写されたり、熱転写インクリボンが擦れることなどによって、全体的に薄い地汚れが発生するなどの問題。
一方、支持体上に熱可塑性樹脂あるいは熱溶融性粒子を含有する画像形成層を設けて、サーマルヘッドや赤外線レーザーなどにより加熱印字することで親油性の画像部が得られる感熱型平版印刷版なども提案されている。
例えば、特開昭58−199153号公報(特許文献1)、あるいは特開昭59−174395号公報(特許文献2)には、画像形成層に熱転写リボンなどを介さずサーマルヘッドなどで直接加熱描画することにより親油性の画像部が得られる感熱型平版印刷版が記載されている。特開2000−190649号公報(特許文献3)、特開2000−301846号公報(特許文献4)には、赤外線レーザーなどで直接加熱描画することにより親油性の画像部が得られる感熱型平版印刷版も記載されている。これらはいずれも相変換型印刷版であり、元々親水性であった部分が相変換を起こし、疎水性(親油性)に変化するものである。
しかしながら、上述した相変換を利用した感熱型平版印刷版は、画像形成層の加熱部分を画像部、および画像形成層の非加熱部分を非画像部として利用するため、画像形成層自身が画像部と非画像部を兼ね備えている。このため同じ感熱型平版印刷版であっても、従来のアブレーション方式や機上現像方式等の所謂デブリ処理により画像部と非画像部を形成する印刷版(例えば、水や湿し水等で現像処理することで非加熱の画像形成層を除去し、画像形成層と支持体の間に設けられた親水性層を露出させる感熱型平版印刷版)とは異なり、非画像部であっても熱可塑性樹脂や熱溶融性物質を含有する。即ち、上記デブリ処理が一切行われないことから、加熱部であっても、非加熱部分であっても、塗設された塗膜がそのまま印刷に利用されることになる。このため、加熱部の感脂性(親油性)を上げると、一方で親水性が犠牲になるという相反する傾向を持ち合わせており、耐刷性と耐汚れ性をバランスよく向上させることは極めて困難であった。
このような問題を解決した感熱型平版印刷版としては、例えば国際公開第2009/078346号パンフレット(特許文献5)には、支持体上に熱可塑性樹脂、水溶性高分子化合物、および特定の構造を有する熱溶融性物質を含有する画像形成層を有する感熱型平版印刷版が記載され、特開2011−115970号公報(特許文献6)では、画像形成層を2層構成とし、支持体に近い側に位置する画像形成層に前記した特定の構造を有する熱溶融性物質をより多く含有せしめた感熱型平版印刷版が記載されている。かかる感熱型平版印刷版によって、機上現像も水現像も必要としない感熱型平版印刷版であって、鮮明な印刷画像が得られ、十分な耐刷性を有し、且つ地汚れが改善された感熱型平版印刷版を得ることが可能となる。
またこれら先行技術においては、熱溶融性物質として、前記した特定の構造を有する熱溶融性物質とは別に、熱溶融性物質として融点が50〜150℃の有機化合物が好適に利用できることが記載されている。融点が50〜150℃の有機化合物としては、カルナバワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等のワックス類、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、モンタン酸等の高級脂肪酸、及びそのエステル、アミド類等が記載され、中でも高級脂肪酸エステルを使用した場合、耐刷性と耐汚れ性およびサーマルヘッドを用いた際の製版適性等において、とりわけ優れた感熱型平版印刷版が得られる。
通常、感熱型平版印刷版の製造は、ロール状に巻き取られた長尺の支持体上に、熱可塑性樹脂、熱溶融性物質、および水溶性高分子化合物等を含有する塗工液を連続して塗工、乾燥することで行われる。しかしながら高級脂肪酸エステルを含有した塗工液を用いて画像形成層を設けた場合、塗液調製後から時間が経過するに従って塗布故障が増加する場合が見られ、改善が求められていた。
特開昭58−199153号公報 特開昭59−174395号公報 特開2000−190649号公報 特開2000−301846号公報 国際公開第2009/078346号パンフレット 特開2011−115970号公報
本発明の目的は、アブレーション方式や機上現像方式などにおける所謂デブリ処理を一切必要とせず、印刷適性に優れ、高い生産性にて製造することが可能な感熱型平版印刷版を提供することにある。
上記課題は下記の手段によって解決された。
(1)耐水性支持体上に、少なくとも熱可塑性樹脂および水溶性高分子化合物を含有する画像形成層を有する感熱型平版印刷版であって、該画像形成層が酸価度が17mg(KOH)/以下の高級脂肪酸エステルを含有することを特徴とする感熱型平版印刷版。
本発明により、印刷適性に優れ、高い生産性にて製造することが可能な感熱型平版印刷版を提供することができる。
本発明の感熱型平版印刷版は、熱可塑性樹脂および水溶性高分子化合物を含有する画像形成層を有する。画像形成層はサーマルヘッドや赤外線レーザーで加熱描画することで、熱の加わった部位では水溶性高分子化合物に埋もれている熱可塑性樹脂が溶融し、画像形成層の極表面に一部滲み出る形で溶出変換を起こし疎水性を発現する。該疎水部位が印刷時にインキを受理することが可能となり、熱が与えられなかった部位の熱可塑性樹脂は水溶性高分子化合物に埋もれたままで、画像形成層が元々有する親水性を維持する。
<熱可塑性樹脂>
本発明の画像形成層に含有する熱可塑性樹脂としては、鎖状ポリマーからなり加熱によって可塑性を示す固体状の有機高分子化合物であって、有機高分子化合物の水分散体を指す。代表例はスチレンブタジエン共重合体、アクリロニトリルブタジエン共重合体、メチルメタクリレートブタジエン共重合体、スチレンアクリロニトリルブタジエン共重合体、スチレンメチルメタクリレートブタジエン共重合体などの、その変性物を含めた合成ゴムラテックスが好ましく用いられるが、スチレン無水マレイン酸共重合体、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体、ポリアクリル酸共重合体、ポリスチレン、スチレン/アクリル酸エステル共重合体、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル/アクリル酸エステル共重合体、および低融点ポリアミド樹脂などの水分散体も使用可能である。これら熱可塑性樹脂は単独もしくは2種以上を併用して用いることもできる。印刷インクのビヒクル(バインダー成分)との親和性から、かかる熱可塑性樹脂としては合成ゴムラテックスが好ましく、特にスチレンブタジエン共重合体とその変性物が望ましい。また、熱可塑性樹脂の好ましい配合量としては、画像形成層の全固形分量に対して10〜50質量%であり、より好ましくは15〜35質量%である。
熱による溶融、融着効果をより発現し易くするためには、熱可塑性樹脂のガラス転移温度は50〜150℃であることが好ましく、さらに好ましくは55〜120℃である。ガラス転移温度が50℃未満では製造工程中に液状に相変化を起こし、非画像部にも疎水性が発現するため印刷地汚れの原因となる場合がある。また150℃を超える場合はポリマーの熱溶融が起こりにくく、比較的小出力のレーザーや小型サーマルプリンタでは強固な画像を形成することが困難となる場合がある。
<水溶性高分子化合物>
本発明の画像形成層が含有する水溶性高分子化合物としては、例えばゼラチンやゼラチン誘導体などの蛋白質、またはセルロース誘導体、澱粉、アラビアゴム、デキストラン、プルランなどの多糖類のような天然化合物とポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、スチレン・マレイン酸共重合体塩、スチレン・アクリル酸共重合体塩、アクリルアミド重合体などの合成高分子化合物などが挙げられる。これらの水溶性高分子化合物は単独使用でも2種類以上を併用してもよい。
画像形成層に用いる水溶性高分子化合物の好ましい配合量としては、画像形成層の全固形分量に対して5.0〜40質量%であり、より好ましくは10〜30質量%である。また画像形成層が含有する水溶性高分子化合物と熱可塑性樹脂の配合率(熱可塑性樹脂の質量/水溶性高分子化合物の合計の質量)に好ましい比率が存在する。好ましい配合比率は0.5〜2.5であり、より好ましくは1.0〜1.5である。これにより耐刷性と耐汚れ性のバランスを良好に保つことができる。
<高級脂肪酸エステル>
本発明において画像形成層は、酸価度が17mg(KOH)/以下の高級脂肪酸エステルを含有する。該高級脂肪酸エステルは、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、モンタン酸などの高級脂肪酸と、エチレングリコール、ブチレングリコール等の2価のアルコール、あるいは3価のアルコール等とを脱水縮合反応させることで得られる。高級脂肪酸エステルの融点は50〜150℃であることが好ましい。融点が50℃未満では製造工程中に溶融してしまい、印刷物の地汚れの原因となる場合がある。一方、150℃を超えるとサーマルヘッドなどの熱印加で溶融しにくく、画像トビの発生、親油性などの発現が乏しくなる場合がある。また画像形成層に用いる高級脂肪酸エステルの好ましい含有量としては、画像形成層の全固形分量に対して0.5〜5.0質量%であり、より好ましくは1.0〜2.0質量%である。
上術したような高級脂肪酸エステルの中でも、モンタン酸エステルが特に好ましい。本発明の感熱型平版印刷版は、画像形成層を加熱することで親油性の画像部が形成されるが、画像形成層表面の摩擦抵抗が加熱前後で変化することから、記録される画像によっては感熱型平版印刷版の搬送負荷が変動し、記録画像の位置精度が低下する場合がある。本発明においてモンタン酸エステルは、このような問題に対して極めて有効に作用し、かつ印刷時の保水性(耐汚れ性)に対する影響も比較的軽微であるため好ましい。また本発明において画像形成層は単層構成であっても2層から構成されていてもよいが、酸価度が17mg(KOH)/以下の高級脂肪酸エステルは、最表層の画像形成層に含有させることが好ましい。
酸価度が17mg(KOH)/以下の高級脂肪酸エステルは、例えば上記した公知のエステル合成法の各種条件を適宜調整して得ることができる一方、市販品を入手し、これを利用することも可能である。例えば、本発明において好ましく用いられるモンタン酸エステルとしては、中京油脂(株)からハイドリンJ−537として、クラリアント・ジャパン(株)からリコワックスE、リコルブWE−40として、BASF(株)からLuwax E等として市販されている。
本発明における酸価度とは、高級脂肪酸エステルの主成分である油脂の一部が加水分解して発生する遊離脂肪酸量の指標であり、遊離脂肪酸を中和するのに要した水酸化カリウム量〔mg〕で表す。本発明において酸価度が17mg(KOH)/より高いと塗布故障が増加し、該感熱型平版印刷版の生産性が低下する。これは酸度が高いことで画像形成層の塗工液中におけるイオンバランスが時間の経過に伴い崩れ、他の物質との相溶性が損なわれたり、二次凝集を招いたりするためと推測される。なお、本発明における高級脂肪酸エステルの酸度は、JIS−K1557−5:2007に準じて測定される値である。
本発明において画像形成層は、上記した高級脂肪酸エステル以外にも公知のワックスを含有することも可能である。かかるワックスとしては、カルナバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、ヒマシ油などの植物系ワックス、酸化型パラフィンワックス、酸価型マイクロクリスタリンワックスなどの合成ワックスなどを例示することができる。高級脂肪酸エステル以外のワックスの含有量は、高級脂肪酸エステルの50質量%以下であることが好ましく、より好ましくは20質量%以下である。
<架橋剤>
本発明の画像形成層は、上記水溶性高分子化合物の種類に応じて硬膜剤(耐水化剤)を含有することが好ましい。硬膜剤としては、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイソシアネート化合物、アルデヒド化合物、シラン化合物、クロム明礬、ジビニルスルホンなど、水溶性高分子化合物の架橋を促すことによって耐水性を付与するものを用いることができるが、特に好ましくは、ジビニルスルホンを用いる。硬膜剤の配合量は全画像形成層が含有する水溶性高分子化合物の固形分量に対して、5.0〜25質量%で用いることが好ましく、より好ましい使用量としては、7.5〜15質量%の範囲である。
本発明の感熱型平版印刷版では、視認性確保のため一般的な感熱記録紙、感圧記録紙に使用されるフェノール誘導体や芳香族カルボン酸誘導体などの顕色剤や発色剤(電子供与性染料前駆体)を含有させることができる。
<顕色剤>
顕色剤の具体的な例としては、4−クミルフェノール、ヒドロキノンモノベンジルエーテル、4,4′−イソプロピリデンジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4′−ジヒドロキシジフェニル−2,2−ブタン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、ビス(4−ヒドロキシフェニルチオエトキシ)メタン、1,5−ジ(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3−オキサペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,4−ビス[α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、1,3−ビス[α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、ジ(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィン、4−ヒドロキシ−4′−メチルジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホン、2,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ヒドロキシフェニル−4′−ベンジルオキシフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−3′,4′−テトラメチレンビフェニルスルホン、3,4−ジヒドロキシフェニル−p−トリルスルホン、4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、N,N′−ジ−m−クロロフェニルチオ尿素、N−(フェノキシエチル)−4−ヒドロキシフェニルスルホンアミドなどのフェノール性化合物、4−[3−(p−トリルスルホニル)プロピルオキシ]サリチル酸亜鉛、4−[2−(p−メトキシフェノキシ)エチルオキシ]サリチル酸亜鉛、5−[p−(2−p−メトキシフェノキシエトキシ)クミル]サリチル酸亜鉛、p−クロロ安息香酸亜鉛などの芳香族カルボン酸の亜鉛塩、さらにはチオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体などの有機酸性物質などが例示される。
<発色剤>
発色剤(電子供与性染料前駆体)の具体的な例としては、(1)トリアリールメタン系化合物として3,3′−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(クリスタル・バイオレット・ラクトン)、3,3′−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(9−エチルカルバゾール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(2−フェニルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3−p−ジメチルアミノフェニル−3−(1−メチルピロール−2−イル)−6−ジメチル−アミノフタリドなど:(2)ジフェニルメタン系化合物として、4,4′−ビス−ジメチルアミノベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミンなど:(3)キサンテン系化合物として、ローダミンB−アニリノラクタム、ローダミンB−p−ニトロアニリノラクタム、ローダミンB−p−クロロアニリノラクタム、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェニルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3,4−ジクロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−エチル−トリルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−エチル−トリルアミノ−6−メチル−7−フェニチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(4−ニトロアニリノ)フルオランなど:(4)チアジン系化合物として、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルーなど:(5)スピロ系化合物として、3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン、3,3′−ジクロロ−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジル−スピロ−ジナフトピラン、3−メチルナフト−(3−メトキシ−ベンゾ)−スピロピラン、3−プロピル−スピロ−ジベンゾピランなどが挙げられる。また、これらは単独でも2種以上を併用して用いてもよい。
<光熱変換物質>
さらに、本発明では画像形成層に光熱変換物質を配合することもできる。光熱変換剤を用いることで、サーマルヘッドだけでなく赤外線レーザーなどの活性光による書き込みも可能となる。光熱変換物質の例としては、効率よく光を吸収し熱に変換する材料が好ましく、使用する光源によって異なるが、例えば、近赤外光を放出する半導体レーザーを光源として使用する場合には、近赤外に吸収帯を有する近赤外光吸収剤が好ましく、例えば、カーボンブラック、シアニン系色素、ポリメチン系色素、アズレニウム系色素、スクワリウム系色素、チオピリリウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素などの有機化合物や、フタロシアニン系、アゾ系、チオアミド系の有機金属錯体、鉄粉、黒鉛粉末、酸化鉄粉、酸化鉛、酸化銀、酸化クロム、硫化鉄、硫化クロムなどの金属化合物類などが挙げられる。
<その他の成分>
本発明における画像形成層は、下記一般式(1)〜(4)で示される化合物の中から選ばれた少なくとも1種の化合物を含有することが好ましい。これにより耐刷性にとりわけ優れた感熱型平版印刷版を得ることができる。
本発明に用いる一般式(1)〜(4)で示される化合物の融点は、50〜150℃の範囲であることが好ましく、画像形成層中における該化合物の配合量は画像形成層の全固形分量に対して5.0〜40質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜30質量%であることが好ましい。
以下に一般式(1)で示される化合物について説明する。
Figure 0006581525
上記式中の、Xは−O−、または−CO−O−を示し、R〜Rはそれぞれ水素原子、アルキル基、アリール基を示す。nは1から10までの整数を示し、置換基R〜R、およびR〜Rは互いに結合して芳香環を形成していてもよい。
一般式(1)で示される化合物のうちでも、Xが−O−である化合物が好ましく、特にRおよびRが水素原子または炭素数1〜4のアルキル基で、R〜Rが水素原子であり、nが1〜4の整数である化合物が特に好ましく用いられる。
一般式(1)で示される化合物としては、例えば下記の化合物が例示されるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)1−(1−ナフトキシ)−2−フェノキシエタン
(2)1−(2−ナフトキシ)−4−フェノキシブタン
(3)1−(2−イソプロピルフェノキシ)−2−(2−ナフトキシ)エタン
(4)1−(4−メチルフェノキシ)−3−(2−ナフトキシ)プロパン
(5)1−(2−メチルフェノキシ)−2−(2−ナフトキシ)エタン
(6)1−(3−メチルフェノキシ)−2−(2−ナフトキシ)エタン
(7)1−(2−ナフトキシ)−2−フェノキシエタン
(8)1−(2−ナフトキシ)−6−フェノキシヘキサン
(9)1−フェノキシ−2−(2−フェニルフェノキシ)エタン
(10)1−(2−メチルフェノキシ)−2−(4−フェニルフェノキシ)エタン
(11)1,4−ジフェノキシブタン
(12)1,4−ビス(4−メチルフェノキシ)ブタン
(13)1,2−ジ(3,4−ジメチルフェノキシ)エタン
(14)1−フェノキシ−3−(4−フェニルフェノキシ)プロパン
(15)1−(4−tert−ブチルフェノキシ)−2−フェノキシエタン
(16)1,2−ジフェノキシエタン
(17)1−(4−メチルフェノキシ)−2−フェノキシエタン
(18)1−(2,3−ジメチルフェノキシ)−2−フェノキシエタン
(19)1−(3,4−ジメチルフェノキシ)−2−フェノキシエタン
(20)1−(4−エチルフェノキシ)−2−フェノキシエタン
(21)1−(4−イソプロピルフェノキシ)−2−フェノキシエタン
(22)1,2−ビス(2−メチルフェノキシ)エタン
(23)1−(2−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン
(24)1−(4−tert−ブチルフェノキシ)−2−(2−メチルフェノキシ)エタン
(25)1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン
(26)1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン
(27)1−(4−エチルフェノキシ)−2−(3−メチルフェノキシ)エタン
(28)1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン
(29)1−(2,3−ジメチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン
(30)1−(2,5−ジメチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン
(31)フェノキシ酢酸−2−ナフチル
(32)2−ナフトキシ酢酸−4−メチルフェニル
(33)2−ナフトキシ酢酸−3−メチルフェニル
次に一般式(2)で示される化合物について説明する。
Figure 0006581525
上記式中、Rはアルキル基、アリール基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基を示す。また、式中のナフタレン環はさらに置換基を有していてもよく、好ましい置換基の例としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基などが挙げられる。
上記の一般式(2)においてRで表わされる置換基のうち炭素数4〜20のアルキル基、炭素数4〜24のアリール基、炭素数2〜20のアルキルカルボニル基、炭素数7〜20のアリールカルボニル基がより好ましい。上記一般式(2)において、ナフタレン環がさらに有してもよい置換基としてハロゲン基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜20のアルキルオキシカルボニル基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基、炭素数2〜25のカルバモイル基がより好ましい。
一般式(2)で示される化合物としては例えば下記の化合物が例示されるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)1−ベンジルオキシナフタレン
(2)2−ベンジルオキシナフタレン
(3)2−p−クロロベンジルオキシナフタレン
(4)2−p−イソプロピルベンジルオキシナフタレン
(5)2−ドデシルオキシナフタレン
(6)2−デカノイルオキシナフタレン
(7)2−ミリストイルオキシナフタレン
(8)2−p−tert−ブチルベンゾイルオキシナフタレン
(9)2−ベンゾイルオキシナフタレン
(10)2−ベンジルオキシ−3−N−(3−ドデシルオキシプロピル)カルバモイルナフタレン
(11)2−ベンジルオキシ−3−N−オクチルカルバモイルナフタレン
(12)2−ベンジルオキシ−3−ドデシルオキシカルボニルナフタレン
(13)2−ベンジルオキシ−3−p−tert−ブチルフェノキシカルボニルナフタレン
次に一般式(3)で示される化合物について説明する。
Figure 0006581525
上記式中、R、Rは水素原子、ハロゲン基、炭素数4以下のアルキル基、アルコキシ基を示す。Xは単なる結合手または−O−を示し、nは1〜4の整数を示す。
一般式(3)で示される化合物としては例えば下記の化合物が例示されるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)シュウ酸ビスベンジル
(2)シュウ酸ビス(p−メチルベンジル)
(3)シュウ酸ビス(p−クロロベンジル)
(4)シュウ酸ビス(m−メチルベンジル)
(5)シュウ酸ビス(p−エチルベンジル)
(6)シュウ酸ビス(p−メトキシベンジル)
(7)シュウ酸ビス(2−フェノキシエチル)
(8)シュウ酸ビス(2−o−クロロフェノキシエチル)
(9)シュウ酸ビス(2−p−クロロフェノキシエチル)
(10)シュウ酸ビス(2−p−エチルフェノキシエチル)
(11)シュウ酸ビス(2−m−メトキシフェノキシエチル)
(12)シュウ酸ビス(2−p−メトキシフェノキシエチル)
(13)シュウ酸ビス(4−フェノキシブチル)
これらの例示化合物の中で好ましい具体例としては、シュウ酸ビスベンジル、シュウ酸ビス(p−メチルベンジル)、シュウ酸ビス(p−クロロベンジル)、シュウ酸ビス(m−メチルベンジル)、シュウ酸ビス(p−エチルベンジル)、シュウ酸ビス(p−メトキシベンジル)が挙げられる。
以下に一般式(4)で示される化合物について説明する。
Figure 0006581525
上記式中、R10、R10′、R11およびR11′は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシ基を示す。
一般式(4)で示される化合物としては例えば下記の化合物が例示されるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)1,2−ビスフェノキシメチルベンゼン
(2)1,3−ビスフェノキシメチルベンゼン
(3)1,4−ビス(2−メチルフェノキシメチル)ベンゼン
(4)1,4−ビス(3−メチルフェノキシメチル)ベンゼン
(5)1,3−ビス(4−メチルフェノキシメチル)ベンゼン
(6)1,3−ビス(2,4−ジメチルフェノキシメチル)ベンゼン
(7)1,3−ビス(2,6−ジメチルフェノキシメチル)ベンゼン
(8)1,4−ビス(2−クロロフェノキシメチル)ベンゼン
(9)1,2−ビス(4−クロロフェノキシメチル)ベンゼン
(10)1,3−ビス(4−クロロフェノキシメチル)ベンゼン
(11)1,2−ビス(4−オクチルフェノキシメチル)ベンゼン
(12)1,3−ビス(4−オクチルフェノキシメチル)ベンゼン
(13)1,3−ビス(4−イソプロピルフェニルフェノキシメチル)ベンゼン
(14)1,4−ビス(4−イソプロピルフェニルフェノキシメチル)ベンゼン
これらの例示化合物の中で好ましい具体例としては、1,2−ビスフェノキシメチルベンゼン、1,4−ビス(2−メチルフェノキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(3−メチルフェノキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(2−クロロフェノキシメチル)ベンゼンが挙げられる。
一般式(1)〜(4)で示される化合物の中でも優れた耐刷性が得られる点において、一般式(1)、(2)および(4)で示される化合物が好ましく、さらには一般式(1)および(2)で示される化合物がより好ましく、最も好ましい化合物は一般式(1)で示される化合物である。それぞれを単独で使用してもよいし、組み合わせて用いることもできる。
上記一般式(1)〜(4)で示される化合物は常温で固体の物質であるが、熱による反応性を高めるために、微分散処理を行って使用することが好ましい。微分散処理の方法は、一般に塗料製造時に用いられる湿式分散法であるロールミル、コロイドミル、ボールミル、アトライター、サンドミルなどのビーズミルなどを使用することができる。ビーズミルでは、ジルコニア、チタニア、アルミナなどのセラミックビーズや、クロム、スチールなどの金属ビーズ、ガラスビーズなどが使用できる。分散粒径はメジアン径で0.1〜1.2μmが望ましく、特に好ましくは0.3〜0.8μmである。なお、メジアン径とは、粒子体の一つの集団の全体積を100%として累積曲線を求めた時、累積曲線が50%となる点の粒子径(累積平均径)であり、粒度分布を評価するパラメータの一つとしてレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA920((株)堀場製作所製)などを用いて測定することができる。
その他、本発明の画像形成層には、防腐剤や界面活性剤、消泡剤、レベリング剤、PH調整剤、その他の塗布助剤なども必要に応じて添加することができる。ただし、添加量は必要最小限にとどめ、画像形成層の全固形分量に対して1.0質量%を超えない範囲で用いる。
本発明の感熱型平版印刷版が有する画像形成層は、画像部の耐刷性、非画像部の耐水性および機械的強度の観点から、乾燥固形分として2.0〜20g/mであることが好ましく、より好ましくは4.0〜12g/mの範囲である。
本発明の感熱型平版印刷版は、上記画像形成以外に支持体と該画像形成層の間に二酸化チタンとバインダー樹脂、および架橋剤からなる下塗り層を設けることが好ましい。これにより、画質や耐刷性を低下させることなく、印刷時における版圧変化に伴う汚れ、具体的には、印刷機のブランケットローラー上にできた僅かな起伏がもとで部分的な版圧変化が生じ、印刷紙面の極先端および尻端部に発現する印刷汚れを改善することが可能となる。一方で、上記画像形成層の表層には新たな層を設けないことが好ましい。そうすることで、耐刷性と耐汚れ性をより高いレベルで両立させることが可能となる。
<二酸化チタン>
下塗り層が含有する二酸化チタンは、ルチル型、アナタース型のいずれでもよく、その製法についても硫酸法、塩素法いずれかに限定されるものではない。それらを単独または混合して用いてもよい。さらに、分散安定性や他の機能性の観点から、各種表面処理を施したものを選択的に用いることも可能である。表面処理組成としては、アルミナやシリカ、酸化亜鉛、ジルコニアなどが一般的である。市販されている二酸化チタンとしては、例えば堺化学工業(株)からSR−1、R−650、R−5N、R−7E、R−3L、A−110、A−190など、石原産業(株)から、タイペークR−580、同R−930、同A−100、同A−220、同CR−58、チタン工業(株)から、クロノスKR−310、同KR−380、同KA−10、同KA−20など、テイカ(株)から、チタニックスJR−301、同JR−600A、同JR−800、同JR−701など、デュポン(株)から、タイピュアR−900、同R−931などが挙げられる。
下塗り層に用いる二酸化チタンの平均粒子径は下塗り層の平均乾燥膜厚よりも小さくすることが好ましい。二酸化チタンは一般に一次粒子が幾つか凝集して二次粒子、三次粒子などの形で存在する。該二酸化チタンの平均粒子径は、例えば、ポリカルボン酸系や脂肪酸アミン系、スルホン酸アミド系、ε−カプロラクトン系、ハイドロステアリン酸系、ポリエステルアミンなどの分散剤を加えた分散媒中に二酸化チタンを添加し、これをボールミル、ビーズミル、サンドグラインダーなどのメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザーなどの圧力式分散機、超音波分散機、および薄膜旋回型分散機などを使用して分散することで、適宜調整することが好ましい。二酸化チタンの層中に用いる好ましい平均粒子径としては0.1〜1.5μmであることが好ましく、特に0.2〜1.0μmであることが好ましい。なお、本発明における平均粒子径は、レーザー散乱式の粒度分布計(例えば(株)堀場製作所製LA920)を用いて、個数メジアン径として測定することができる。一方、下塗り層の乾燥固形分量は0.5〜20g/mの範囲とすることが好ましい。
下塗り層に用いられる二酸化チタンの配合量としては、広い範囲で設定することができるが、下塗り層が含有するバインダー樹脂の固形分100質量部に対して200〜1000質量%で用いることが好ましく、より好ましくは400〜600質量%である。二酸化チタンの配合量が少ない場合には、隠蔽性が低下する場合があり、過剰に用いた場合においては、例えば塗液の安定性が低下したり、不規則な凝集などにより嵩密度が増大して表面粗さが大きくなり画質が低下する場合がある。
<バインダー樹脂>
下塗り層が含有するバインダー樹脂としては、例えば、石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、酵素処理ゼラチンなどのゼラチン、多糖類、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性ポリマーを用いることができるが、特にゼラチンを用いることが好ましい。
<架橋剤>
下塗り層が含有する架橋剤としては、例えば、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイソシアネート化合物、アルデヒド化合物、シラン化合物、クロム明礬、ジビニルスルホンなどが好適に用いることができるが、ジビニルスルホンが好ましい。架橋剤の配合量は前記バインダーの固形分量に対して5.0〜30質量%が好ましく、さらには10〜20質量%とすることが好ましい。
<支持体>
本発明の感熱型平版印刷版は耐水性支持体を有する。該耐水性支持体としては、プラスチックフィルム、樹脂被覆紙、耐水紙などが好ましく使用できる。具体的にはポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエーテルサルフォン、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレート、ポリカーボネート、ポリアミドおよびポリ塩化ビニルなどのプラスチックフィルムとこれらプラスチックの表面にラミネートやコーティングを施した樹脂被覆紙、メラミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、エポキシ化ポリアミド樹脂などの湿潤紙力剤によって耐水化が施された紙を好適に使用することができる。
次に、上記した本発明の感熱型平版印刷版を用いた製版方法について説明する。本発明の感熱型平版印刷版は、感熱型の画像形成層を有するため、該画像形成層中に光熱変換物質を配合することにより例えば760nmから1200nmの赤外光を含む光を照射することで画像部を形成することが可能であり、さらに赤外線を放射する固体レーザーおよび半導体レーザーにより画像部を形成することが好ましい。特にレーザー露光によれば、コンピューターのデジタル情報から直接所望の画像様の記録が可能となる。またサーマルヘッドやヒートブロックなどにより画像形成層を直接熱により描画し画像部を形成することも可能であるが、サーマルヘッドによればコンピューターのデジタル情報から直接所望の画像様の記録が可能となる。
サーマルヘッドを使用して製版する場合は、厚膜または薄膜のラインヘッドを用いたラインプリンタや薄膜のシリアルヘッドを用いたシリアルプリンタなどを用いることができる。記録エネルギー密度は、10〜100mJ/mmであることが好ましく、また比較的高品質な出力画像を得るためにはヘッドの画像記録密度が300dpi以上であることが好ましい。
通常の平版印刷では、上記のように得られた親油性の画像部に、水とインキの両方が同時に供給され、該画像部が着色性のインキを受理、他の非画像部は親水性のために水を選択的に受け入れ、インキを受理しない。該画像部上に受理したインキを、例えば、紙などの被印刷体に転写させることによって印刷が行われる。
以下、実施例を用いて本発明を説明するが、無論この記述により本発明が限定されるものではない。なお、以下の記述の中における単位として%や部は、特に記載がない限り質量基準である。また、高級脂肪酸エステルの単位はmg(KOH)/である。
(実施例1)
両面にラミネート加工が施された厚さ約180μmのポリエチレン樹脂被覆紙の片面に、下記組成の下塗り層塗工液と、画像形成層a−1塗工液及び画像形成層b−1塗工液をスライドホッパーコーティング法により、支持体側から下塗り層、画像形成層a−1、画像形成層b−1(最上層)の順になるように3重層同時塗布を行った。その際の湿分塗布量は、下塗り層塗工液が15g/m、画像形成層a−1塗工液が30g/m、画像形成層b−1塗工液が10g/mとした。
<下塗り層塗工液>
ゼラチン(牛骨、アルカリ処理、脱カル処理) 0.8部
二酸化チタンスラリー:TISR1固形量換算 4.0部
(堺化学(株)製、ルチル型、一次粒子径=0.3μm、アルミナ処理)
顔料分散剤(アクリル酸共重合金属塩、10%溶液) 0.2部
界面活性剤(エチルヘキシルスルホコハク酸塩、0.5%溶液) 0.05部
硬膜剤(ジビニルスルホン、5%溶液) 2.0部
水で全量を15部とした。
<画像形成層a−1塗工液>
ゼラチン(牛骨、アルカリ処理、脱カル処理) 0.8部
ポリビニルアルコール:PVA505 0.07部
(クラレ(株)製、鹸化度=73.5モル%、重合度500)
カルボキシル化SBR:ラックスター7132C 3.0部
(DIC(株)製、固形分=約45%、アニオン性、Tg=約60℃)
顕色剤混合スラリー 8.0部
発色剤 0.7部
(3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、30%スラリー)
界面活性剤(エチルヘキシルスルホコハク酸塩、0.5%溶液) 0.4部
硬膜剤(ジビニルスルホン、5%溶液) 2.0部
水で全量を30部とした。
<画像形成層b−1塗工液>
ゼラチン(牛骨、アルカリ処理、脱カル処理) 0.4部
水溶性多糖類:プルラン(林原商事(株)製、食品添加物) 0.01部
カルボキシル化SBR:ラックスター7132C 0.6部
(DIC(株)製、固形分=約45%、アニオン性、Tg=約60℃)
発色剤 0.3部
(3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、30%スラリー)
モンタン酸エステルワックス1 0.3部
(固形分30%、融点=83℃、酸価度=16)
硫酸バリウムスラリー:バリエースB−35固形量換算 0.2部
(堺化学工業(株)製、平均粒径=0.3μm)
顔料分散剤(アクリル酸共重合金属塩、10%溶液) 0.002部
界面活性剤(エチルヘキシルスルホコハク酸塩、0.5%溶液) 0.2部
硬膜剤(ジビニルスルホン、5%溶液) 1.0部
水で全量を10部とした。
上記した下塗り層塗工液に用いる二酸化チタンスラリー、及び画像形成層b−1塗工液に用いる硫酸バリウムスラリーの作製は、共に顔料分散剤としてアクリル酸共重合金属塩を用いた。その作製にあたっては、顔料分散剤が添加された水中に、一定撹拌のもと、二酸化チタン、または硫酸バリウムを徐々に加えていき、その後、30分間ホモミキサーを用いて高速微分散処理を施した。またこれらスラリーは塗工液調整の直前に作製した。
また、上記画像形成層a−1塗工液に用いる顕色剤混合スラリーは、下記の構成で予め調製され製造したものを使用した。
<顕色剤混合スラリー>
材料イ:KS−232
(三光(株)製、増感剤、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン)
材料ロ:D−8
(日本曹達(株)製、顕色剤、4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホン)
材料ハ:ポリマロン1318
(荒川化学(株)製、分散剤、アニオン性スチレン系樹脂15%水溶液)
上記の材料ハを0.7部添加した水中に、一定撹拌のもと、材料イ及び材料ロを各々1部ずつを混ぜ合わせた後、小型ダイノーミル(ビーズミル)でジルコニアビーズを用いて0.3〜0.8μmの平均粒子径が得られるまで微分散処理を施し、顕色剤混合スラリーを得た。なお、材料イ、材料ロ及び材料ハの合計での固形分濃度が約35%になるように調製した。
上記湿分塗布量において3重層同時塗布を行った後、直ちに1〜3℃の冷風にて塗膜をゲル化させ、その後30℃に設定された温風にて乾燥を行った。乾燥後、温度40℃/湿度40%に調整された恒温恒湿器を用いて7日間の加温を行うことにより、実施例1の感熱型平版印刷版を得た。
<塗布安定性>
上記した感熱型平版印刷版の作製において、塗液調製後からちょうど10時間経過した塗布液を用いて塗布を行った以外は同様にして感熱型平版印刷版を作製し、30×30cm角で無作為の位置から10箇所塗布品を採取し、画像形成層表面における塗布欠陥数を数えて、下記5段階の基準に従って判定を行った。この結果を表1に示す。なお表1には塗液調整直後の塗布液により塗布した際の塗布欠陥数も併せて記載した。また、塗布欠陥の種類としては、ほぼ全てが凝集物によるハジキ故障であった。
◎ : 10箇所全てで塗布欠陥なし
○ : 10箇所の塗布欠陥総数が3個以内
△ : 10箇所の塗布欠陥総数が3個を超え10個未満
× : 1箇所平均で塗布欠陥数が1個以上2個未満
×× : 1箇所平均で塗布欠陥数2個以上
次に得られた実施例1の感熱型平版印刷版を、CTP用サーマルデジタルプリンター(三菱製紙(株)製Thermal Digiplater TDP−459:1200dpi/120lpi)を用いて画像出力(記録エネルギー密度70〜100mJ/mm、電気容量330W)を行い印刷刷版を作製した。この印刷刷版を用いて以下の方法にて印刷適性の評価を行った。印刷適性については耐刷性と地汚れ性で評価を行った。
<耐刷性>
印刷機は、オフセット枚葉印刷機ハイデルベルグQM46を使用、印刷インキには大日本インキ化学工業(株)製のFusionG墨N、給湿液には三菱製紙(株)製SLM−ODを10%希釈液で用い、エッチング液にも同給湿液をそのまま用いて印刷を行った。耐刷性評価としては、スタート時の印刷紙面と、5,000枚印刷時の印刷紙面とを比較して、20%網点及び50%網点の減衰割合を25倍ルーペで観察し、以下の評価基準を用いて判定した。この結果も表1に合わして示す。
◎ :20%、50%網点部共に、殆ど変化なし
○ :50%網点部では殆ど変化ないが、20%網点部で減衰が確認できる
△ :20%、50%網点部共に、減衰が確認できる
× :20%網点部で5割以上の減衰が見られる
×× :20%網点部で9割以上の減衰が見られる
<地汚れ性>
印刷機は、同じくオフセット枚葉印刷機ハイデルベルグQM46を使用、印刷インキには大日本インキ化学工業(株)製のFusionG墨S、給湿液には日研化学(株)製アストロマークIIIを0.5%希釈液で用い、エッチング処理を施さず印刷をスタートした。地汚れ性評価としては、印刷スタートから2,000枚目の印刷紙面において、以下の評価基準を用いて判定した。この結果を表1に示す。
◎ : 1〜2,000枚目まで地汚れの発生なし
○ : 1〜1,500枚目までは地汚れの発生なし
△ : 1〜1,000枚目までは地汚れの発生なし
× : 刷り出し汚れが発生(5枚以内)、または1,000枚未満で地汚れ発生
×× : 刷り出し汚れが発生(6枚以上)
(実施例2)
実施例1の画像形成層b−1塗工液の作製で用いたモンタン酸エステルワックス1に代わり、モンタン酸エステルワックス2(固形分30%、融点=82℃、酸価度=17)に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2の感熱型平版印刷版を得た。得られた感熱型平版印刷版を用いて実施例1と同様に塗布安定性の評価、及び印刷適性評価(耐刷性、地汚れ性)を行った。この結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1の画像形成層b−1塗工液の作製で用いたモンタン酸エステルワックス1に代わり、モンタン酸エステルワックス3(固形分30%、融点=82℃、酸価度=18)に変更した以外は実施例1と同様にして、比較例1の感熱型平版印刷版を得た。得られた感熱型平版印刷版を用いて実施例1と同様に塗布安定性の評価、及び印刷適性評価(耐刷性、地汚れ性)を行った。この結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1の画像形成層b−1塗工液の作製で用いたモンタン酸エステルワックス1に代わり、モンタン酸エステルワックス4(固形分30%、融点=82℃、酸価度=19)に変更した以外は実施例1と同様にして、比較例2の感熱型平版印刷版を得た。得られた感熱型平版印刷版を用いて実施例1と同様に塗布安定性の評価、及び印刷適性評価(耐刷性、地汚れ性)を行った。この結果を表1に示す。
Figure 0006581525
表1に示す結果から判るように、本発明は塗布安定性に優れ、印刷適性(耐刷性、耐汚れ性)においてもバランスよく向上した感熱型平版印刷版が得られていることが判る。

Claims (1)

  1. 耐水性支持体上に、少なくとも熱可塑性樹脂および水溶性高分子化合物を含有する画像形成層を有する感熱型平版印刷版であって、該画像形成層が酸価度が17mg(KOH)/以下の高級脂肪酸エステルを含有することを特徴とする感熱型平版印刷版。
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