JP5571009B2 - 感熱型平版印刷版の印刷方法 - Google Patents

感熱型平版印刷版の印刷方法 Download PDF

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Description

感熱型平版印刷版の印刷方法に関する。
コンピューター情報からのデジタル信号に基づき、平版印刷版を製版するCTP(コンピューター・ツゥ・プレート)印刷版は、レーザーを用いて直接感光材料を露光し、現像液を用いて現像処理を行うことが一般的に行われている。しかし、現像処理に伴い発生する廃液の処理が環境負荷となる。最近では地球環境保護を重視する市場要望が強く、印刷版製版システムに対しても改善を強く望まれている。
そこで、現像処理を必要とせずに平版印刷版を製版する方法が多数提案されている。これらは、液体を用いた現像処理を行わないことでプロセスレス印刷版と呼ばれており、このタイプの印刷版としては、レーザー光を用いたアブレーションにより画像部あるいは非画像部を除去するタイプや、インクジェット方式にて画像部を形成するタイプ、熱溶融性や熱可塑性の微粒子を用いて画像部を形成するタイプ等が提案されている。しかし、アブレーションを利用したタイプでは、アブレーションされた表層の飛散物による露光装置内部の汚染が問題となっている。インクジェット方式によるタイプでは、インキ受理層を最表面に有する印刷版表面に画像形成物質である疎水性物質を液状として吐出し、インキ受理層にインキ着弾後、固化もしくは硬化させる。従って、吐出ノズル出口での固化もしくは硬化が発生し易くノズル詰まりによる製版不安定性の問題がある。
また、熱溶融性の微粒子を用いて画像部を形成するタイプであっても熱により画像形成された後に印刷機上で非画像部を剥離するタイプでは、印刷機上で非画像部が剥離されるため、インキローラー等への剥離物の堆積が問題となる。
非画像部を除去せずそのまま印刷可能なタイプも幾つか提案されており、例えば特許文献1、2に記載の感熱型平版印刷版等が知られている。このような平版印刷版は、現像に起因する廃液もなく簡便な印刷版システムとして有効である。しかし、該平版印刷版は画像部と非画像部が同一な層で、親水性である層を加熱し、その加熱部分がインキ受理性を有する画像部として利用する一方、未加熱部を親水性の非画像部として利用するため、非画像部にもインキ受理性となる物質がそのまま残存している。このため印刷条件によっては印刷汚れが発生し易いという問題があった。特に印刷汚れについては、感熱型平版印刷版をサーマルヘッドで直接感熱する方式を使用する場合、非印字部(非画像部)もサーマルヘッドと接触するため、微弱ながら熱が加わりカブリが発生し易いため、他のタイプの平版印刷版に比べ印刷汚れが発生し易い傾向にあり、改善が求められていた。
このような問題を感熱型平版印刷版用給湿液組成物によって解消する方法として、例えば、一般に汚れ性が改善されるとされる給湿液(特許文献3)を適用しても、版面に供給する給湿液を過剰に供給しないと汚れ性の改善が得られず、また同時に画像部のインキ乗りが悪化する傾向が強くなり、適正な印刷物を得られるまでに多量の損紙が発生するという問題があった。その他、刷り出し時の汚れを改善することを目的に、感熱型平版印刷版用給湿液組成物にタンパク質分解酵素を含有する技術(特許文献4)が開示されているが、タンパク質分解酵素の効果が不安定で、安定した印刷性が得られない場合があった。また、保水力の低い印刷版に好適な給湿液として、使用液に対して0.5質量%以下のグリセリンを添加しコロイダルシリカを併用した印刷版用給湿液(特許文献5)や、イソプロピルアルコール系に代替する給湿液として、グリセリンを使用液中に0.01質量%以上0.2質量%未満含有し、更にプロピレングリコールモノn−ブチルエーテルもしくはジプロピレングリコールモノn−ブチルエーテルを使用液中に0.2質量%以上0.8質量%未満含有する平版印刷版用湿し水(特許文献6)が開示されているが、紙面全体がうっすらと汚れる汚れ(地汚れ)や網点シャドウ部の汚れ(網カラミ汚れ)に対しては一定の効果を示すものの、印刷版の先頭からインキが徐々に堆積し、印刷紙面にインキが転移する汚れ(以下単に頭汚れとも記載する)が発生し良好な印刷物を得られない等の問題があった。
一方、特開2003−312161号公報(特許文献7)及び特開2004−082593号公報(特許文献8)等には、イソプロピレングリコール系給湿液に代えて使用できる給湿液が記載され、グリセリン等の有機溶剤を1〜30質量%含有されてもよいことが記載されている。
特開2001−180144号公報 特開2001−322226号公報 特開平5−301481号公報 特開2010−194761号公報 特開2000−141940号公報 特開2006−231764号公報 特開2003−312161号公報 特開2004−082593号公報
上記問題を鑑み本発明の課題は、明室下での作業性に優れる感熱型平版印刷版の印刷性、特に印刷版の先頭からインキが徐々に堆積し、印刷紙面にインキが転移する頭汚れを解消し、更にインキ乗りや耐刷性に支障を与えない感熱型平版印刷版の印刷方法を提供することにある。
本発明の上記目的は以下に記載の感熱型平版印刷版の印刷方法によって達成できることを見出した。
1.支持体上に画像形成層を有し、画像形成層の加熱部分を画像部、非加熱部分を非画像部として利用する感熱型平版印刷版と、給湿液としての使用液におけるポリオール類の含有量が1.5〜25質量%である給湿液組成物を用いて、印刷を行うことを特徴とする感熱型平版印刷版の印刷方法。
2.前記ポリオール類がグリセリンである上記1記載の感熱型平版印刷版の印刷方法
3.前記ポリオール類として2種以上を併用し、そのうちの少なくとも1種が、sp値が35以下のポリオール類であることを特徴とする上記1または2に記載の感熱型平版印刷版の印刷方法
本発明によれば、頭汚れを解消し、更にインキ乗りや耐刷性に支障を与えない感熱型平版印刷版の印刷方法を提供することが可能となる。
本発明の給湿液組成物を用いて印刷される感熱型平版印刷版は、熱により画像部、非画像部を生じるもので、加熱部分を画像部、非加熱部分を非画像部として利用する感熱型平版印刷版である。このような感熱型平版印刷版は、熱が与えられた部分は層全体として疎水性へと変換し、印刷時にインキを受理することが可能となるのだが、熱が与えられていない非画像部でも疎水性の物質が存在しており、層全体としての親水性はそれ程高くない。このため感熱型平版印刷版の非画像部は疎水化され易く、他の印刷版、例えばPS版や電子写真式印刷版(いわゆるピンクマスター)よりも汚れが発生し易い印刷版となっている。
印刷版の先頭からインキが徐々に堆積し、印刷紙面にインキが転移する頭汚れの発生メカニズムは定かではないが、印刷時に版の先頭部に必要な給湿液量と、先頭部以外の部分に必要な給湿液量が異なることにより発生すると考えられる。なぜなら先頭部に合わせた給湿液量を機械的に版面に供給すると頭汚れが改善できるからである(ただし、インキ着肉性は劣る結果となる)。そこで本発明者は鋭意検討した結果、本発明の感熱型平版印刷版用給湿液組成物を版面に付与することで前述した課題を解決できることを見出した。
本発明の感熱型平版印刷版用給湿液組成物が含有するポリオール類としては、ポリオール、ポリオールのエーテル、ポリオールのエステル及びこれらの塩素化誘導体等が挙げられ、例えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル等が挙げられ、中でもグリセリンが好ましい。これらは、それぞれ単独で使用しても良いし、組み合わせて使用することもできる。ポリオール類の使用量は、感熱型平版印刷版用給湿液組成物の使用液にして1.5〜25質量%とすることが必要であり、より好ましくは2〜10質量%である。なお、使用液とは印刷時に用いられる際に使用される状態の濃度に調整された液を指す。
本発明においては、上記ポリオール類として2種以上を併用し、そのうちの少なくとも1種として、sp値(溶解パラメーター)が35以下のポリオール類を含有することが好ましい。前記sp値としては、例えば、WILEY−INTERSCIENCE出版のPOLYMER HANDBOOK第4版のVII/685頁のTABLE3.に記載される値より、下記(式a)を用いて計算することができる。
sp値=(ΣE/ΣV)1/2 (式a)
(式中、Eは凝集エネルギーを表し、ΣEは凝集エネルギーの和を示す。また式中、Vはモル体積を示し、ΣVはモル体積の和を示す。)
sp値が35以下のポリオール類としては、具体的には、トリプロピレングリコール(sp値:25.3)、プロピレングリコール(sp値:32.6)、ブチルトリグリコール(sp値:22.9)、テトラエチレングリコール(sp値:26.1)、トリエチレングリコール(sp値:27.8)、ジエチレングリコール(sp値:30.6)等が挙げられる。更に好ましくは、sp値が27以下のポリオール類である。なお、sp値の下限値は20以上であることが好ましい。また、sp値が35以下のポリオール類の使用量はそれ以外に用いるポリオール類の使用量を超えない範囲で用いることが好ましい。
本発明の感熱型平版印刷版用給湿液組成物は、上述のポリオール類を含有するが、それ以外に、平均粒径が0.1μm以下の無機微粒子を含有することは好ましい形態の一つである。かかる無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア等の微粒子が挙げられ、無機微粒子表面を他の元素や有機化合物で表面処理した無機微粒子であっても良い。前記無機微粒子の中では、シリカ微粒子、アルミナ微粒子が好ましく使用できる。特に好ましく起用できる微粒子としてはコロイダルシリカが挙げられる。シリカ微粒子としては、例えば、日産化学工業(株)製のスノーテックスC、スノーテックスCXS9、スノーテックスXS、スノーテックスXL、スノーテックスYL、スノーテックスZL、スノーテックスMP−2040等があり、アルミナ微粒子としては、例えば、日産化学工業(株)製のアルミナゾル100、アルミナゾル520等の商品名で分散液として市販されている。これら平均粒径が0.1μm以下の無機微粒子の感熱型平版印刷版用給湿液組成物中における使用量は、使用液において0.005〜1質量%であることが好ましく、更に0.01〜0.5質量%であることがより好ましい。
その他、感熱型平版印刷版用給湿液組成物に含まれても良い成分(含有物)としては、不感脂化促進剤、緩衝剤、防錆剤、キレート化剤、消泡剤、着色剤、pH調整剤のような従来から知られている物質を添加することができる。具体的な例としては、不感脂化促進剤としてカルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルメチルエーテルと無水マレイン酸共重合体、カルボキシメチルスターチ等が挙げられる。緩衝剤としては、酢酸及びその塩、硫酸及びその塩、リン酸及びその塩、硝酸及びその塩、亜硝酸及びその塩、クエン酸及びその塩、プロピオン酸及びその塩、マロン酸及びその塩、フマル酸及びその塩、マレイン酸及びその塩、洒石酸及びその塩、アスコルビン酸及びその塩、アジピン酸及びその塩、リンゴ酸及びその塩、コハク酸及びその塩、タンニン酸及びその塩等が挙げられる。防錆剤としては、ベンゾトリアゾール、チオサリチル酸等、キレート化剤としては、エチレンジアミンテトラ酢酸とそのカリウム塩、ナトリウム塩、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸とそのカリウム塩、ナトリウム塩等、消泡剤としては、シリコン系消泡剤等、着色剤としては、フタロシアニン染料、マラカイトグリーン、ウルトラマリン等が挙げられる。pH調整剤としては、様々な酸、アルカリが使用でき、例えば、酸としては、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、グルコン酸、乳酸、酢酸、グリコール酸等が挙げられる。また、それらの塩類としてアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩及び有機アミン塩が挙げられる。アルカリ剤としては、苛性ソーダや苛性カリ、アンモニア、有機アミン類等のアルカリ剤を添加するか、有機酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩あるいはアンモニウム塩、有機アミン塩等と併用することによりpH値を所望の範囲に調整して使用される。本発明の給湿液組成物の好ましいpHの範囲は、4〜7である。
本発明にかかわる感熱型平版印刷版は、熱により画像部、非画像部を生じるものであれば任意の感熱型平版印刷版が使用でき、例えば、前述した特許文献1や特許文献2に記載される感熱型平版印刷版が挙げられる。また、熱によって画像部を疎水化する方法としては、ポリマーの重合であっても熱可塑性樹脂や熱溶融性物質の溶融によってでもよい。好ましい感熱型平版印刷版としては、感熱型平版印刷版の画像形成層に、熱可塑性樹脂及び水溶性高分子化合物を含有するもので、更に好ましい形態として、熱可塑性樹脂と水溶性高分子化合物を含有する画像形成層を少なくとも2層有し、支持体に近い画像形成層(A)の水溶性高分子化合物に対する下記一般式(1)〜(4)で示される化合物の比率が、支持体から最も離れた画像形成層(B)の水溶性高分子化合物に対する下記一般式(1)〜(4)で示される化合物の比率よりも高い感熱型平版印刷版である。
Figure 0005571009
(式中、Xは−O−または−CO−O−を示し、R〜Rはそれぞれ水素原子、アルキル基、アリール基を示す。nは1から10までの整数を示す。)
Figure 0005571009
(式中、Rはアルキル基、アリール基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基を示す。)
Figure 0005571009
(式中、R、Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数4以下のアルキル基、アルコキシ基を示す。Xは単なる結合手または−O−を示し、nは1〜4の整数を示す。)
Figure 0005571009
(式中、R10、R10′、R11及びR11′は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシ基を示す。)
本発明にかかわる感熱型平版印刷版の好ましい形態について更に詳しく説明する。本発明の感熱型平版印刷版が有する画像形成層に好ましく含有される熱可塑性樹脂としては、鎖状ポリマーからなり加熱によって可塑性を示す固体状の有機高分子化合物であって、有機高分子化合物の水分散体を指す。代表例はスチレンブタジエン共重合体、アクリロニトリルブタジエン共重合体、メチルメタクリレートブタジエン共重合体、スチレンアクリロニトリルブタジエン共重合体、スチレンメチルメタクリレートブタジエン共重合体等の、その変性物を含めた合成ゴムラテックスであるが、スチレン無水マレイン酸共重合体、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体、ポリアクリル酸共重合体、ポリスチレン、スチレン/アクリル酸エステル共重合体、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル/アクリル酸エステル共重合体、及び低融点ポリアミド樹脂等の水分散体も使用可能である。これら熱可塑性樹脂は単独もしくは2種以上併用して用いることができる。印刷インクのビヒクル(バインダー成分)との親和性から、かかる熱可塑性樹脂としては合成ゴムラテックスが好ましく、特にスチレンブタジエン共重合体とその変性物が望ましい。好ましい配合量としては画像形成層の全固形分量に対して5〜50質量%が好ましく、更に10〜40質量%が好ましい。また熱による溶融、融着効果を発現しやすくするためには、熱可塑性樹脂のガラス転移温度は50〜150℃、更に好ましくは55〜120℃のものを使用するのが良い。ガラス転移温度が50℃未満では製造工程中に液状に相変化を起こし、非画像部にも親油性が発現するため印刷地汚れの原因となる場合がある。また150℃を超える場合はポリマーの熱溶融が起こりにくく、比較的小出力のレーザーや小型サーマルプリンタでは強固な画像を形成するのが困難となる場合がある。
本発明の感熱型平版印刷版が有する画像形成層に好ましく含有される水溶性高分子化合物としては、例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、澱粉及びその誘導体、ゼラチン、カゼイン、アルギン酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、スチレン・マレイン酸共重合体塩、スチレン・アクリル酸共重合体塩等が例示される。これらの水溶性高分子化合物は単独使用でも2種類以上の併用でも良く、特に皮膜形成に富むゼラチンやポリビニルアルコールとその変性物が非画像部の親水性保持に好ましく選択される。かかる配合量は画像形成層の全固形分量に対して0.5〜30質量%が好ましく、更に3〜25質量%とすることがより好ましい。
また非画像部の耐水性及び機械的強度を向上させるため、画像形成層は前記水溶性高分子化合物の種類に応じて硬化剤(耐水化剤)を含有することが好ましい。硬化剤としては、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイソシアネート化合物、アルデヒド化合物、シラン化合物、クロム明礬、ジビニルスルフォン等、樹脂の架橋を促すことによって耐水性を付与するものを用いることができるが、特に好ましい硬化剤はゼラチンの場合ジビニルスルフォンが、ポリビニルアルコールの場合グリオキザールが好ましく用いられる。また必要な耐水性及び機械的強度を得、更に保存した際の経時での特性変動を避ける意味から、硬化剤の配合量は前記水溶性高分子化合物の固形分量に対して、1〜30質量%が好ましく、更には2〜15質量%とすることが好ましい。
本発明にかかわる感熱型平版印刷版が有する画像形成層は、耐刷性の観点から一般式(1)〜(4)で示される化合物を含有することが好ましい。更に好ましい形態として、熱可塑性樹脂と水溶性高分子化合物を含有する画像形成層を少なくとも2層有し、支持体に近い画像形成層(A)の水溶性高分子化合物に対する一般式(1)〜(4)で示される化合物の比率が、支持体から最も離れた画像形成層(B)の比率よりも高い感熱型平版印刷版が挙げられる。このように画像形成層を複数設ける方法に制限はないが、例えば、画像形成層(A)を塗布し、次に画像形成層(B)を順次塗布して重ねていく方法や、スライドホッパー方式で多層を同時に塗布する方法等がある。以下に一般式(1)で示される化合物について説明する。
Figure 0005571009
上記式中、Xは−O−または−CO−O−を示し、R〜Rはそれぞれ水素原子、アルキル基、アリール基を示す。nは1から10までの整数を示す。なお置換基R〜R及びR〜Rは互いに結合して芳香環を形成しても良い。
一般式(1)で示される化合物のうちでも、Xが−O−である化合物が好ましく、特にR及びRが水素原子または炭素数1〜4のアルキル基で、R〜Rが水素原子であり、nが1〜4の整数である化合物が特に好ましく用いられる。
かかる一般式(1)で示される化合物としては例えば下記の化合物が例示されるが、これらに限定されるものではない。
(1)1−(1−ナフトキシ)−2−フェノキシエタン
(2)1−(2−ナフトキシ)−4−フェノキシブタン
(3)1−(2−イソプロピルフェノキシ)−2−(2−ナフトキシ)エタン
(4)1−(4−メチルフェノキシ)−3−(2−ナフトキシ)プロパン
(5)1−(2−メチルフェノキシ)−2−(2−ナフトキシ)エタン
(6)1−(3−メチルフェノキシ)−2−(2−ナフトキシ)エタン
(7)1−(2−ナフトキシ)−2−フェノキシエタン
(8)1−(2−ナフトキシ)−6−フェノキシヘキサン
(9)1−フェノキシ−2−(2−フェニルフェノキシ)エタン
(10)1−(2−メチルフェノキシ)−2−(4−フェニルフェノキシ)エタン
(11)1,4−ジフェノキシブタン
(12)1,4−ビス(4−メチルフェノキシ)ブタン
(13)1,2−ジ(3,4−ジメチルフェノキシ)エタン
(14)1−フェノキシ−3−(4−フェニルフェノキシ)プロパン
(15)1−(4−tert−ブチルフェノキシ)−2−フェノキシエタン
(16)1,2−ジフェノキシエタン
(17)1−(4−メチルフェノキシ)−2−フェノキシエタン
(18)1−(2,3−ジメチルフェノキシ)−2−フェノキシエタン
(19)1−(3,4−ジメチルフェノキシ)−2−フェノキシエタン
(20)1−(4−エチルフェノキシ)−2−フェノキシエタン
(21)1−(4−イソプロピルフェノキシ)−2−フェノキシエタン
(22)1,2−ビス(2−メチルフェノキシ)エタン
(23)1−(2−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン
(24)1−(4−tert−ブチルフェノキシ)−2−(2−メチルフェノキシ)エタン
(25)1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン
(26)1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン
(27)1−(4−エチルフェノキシ)−2−(3−メチルフェノキシ)エタン
(28)1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン
(29)1−(2,3−ジメチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン
(30)1−(2,5−ジメチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン
(31)フェノキシ酢酸−2−ナフチル
(32)2−ナフトキシ酢酸−4−メチルフェニル
(33)2−ナフトキシ酢酸−3−メチルフェニル
次に一般式(2)で示される化合物について説明する。
Figure 0005571009
上記式中、Rはアルキル基、アリール基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基を示す。また、式中のナフタレン環は更に置換基を有していても良く、好ましい置換基の例としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基等が挙げられる。
上記一般式(2)においてRで表される置換基のうち炭素数4〜20のアルキル基、炭素数4〜24のアリール基、炭素数2〜20のアルキルカルボニル基、炭素数7〜20のアリールカルボニル基がより好ましい。上記一般式(2)において、ナフタレン環が更に有しても良い置換基のうちハロゲン基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜20のアルキルオキシカルボニル基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基、炭素数2〜25のカルバモイル基がより好ましい。
かかる一般式(2)で示される化合物としては例えば下記の化合物が例示されるが、これらに限定されるものではない。
(1)1−ベンジルオキシナフタレン
(2)2−ベンジルオキシナフタレン
(3)2−p−クロロベンジルオキシナフタレン
(4)2−p−イソプロピルベンジルオキシナフタレン
(5)2−ドデシルオキシナフタレン
(6)2−デカノイルオキシナフタレン
(7)2−ミリストイルオキシナフタレン
(8)2−p−tert−ブチルベンゾイルオキシナフタレン
(9)2−ベンゾイルオキシナフタレン
(10)2−ベンジルオキシ−3−N−(3−ドデシルオキシプロピル)カルバモイルナフタレン
(11)2−ベンジルオキシ−3−N−オクチルカルバモイルナフタレン
(12)2−ベンジルオキシ−3−ドデシルオキシカルボニルナフタレン
(13)2−ベンジルオキシ−3−p−tert−ブチルフェノキシカルボニルナフタレン
次に一般式(3)で示される化合物について説明する。
Figure 0005571009
上記式中、R、Rは水素原子、ハロゲン基、炭素数4以下のアルキル基、アルコキシ基を示す。Xは単なる結合手または−O−を示し、nは1〜4の整数を示す。
かかる一般式(3)で示される化合物としては例えば下記の化合物が例示されるが、これらに限定されるものではない。
(1)シュウ酸ビスベンジル
(2)シュウ酸ビス(p−メチルベンジル)
(3)シュウ酸ビス(p−クロロベンジル)
(4)シュウ酸ビス(m−メチルベンジル)
(5)シュウ酸ビス(p−エチルベンジル)
(6)シュウ酸ビス(p−メトキシベンジル)
(7)シュウ酸ビス(2−フェノキシエチル)
(8)シュウ酸ビス(2−o−クロロフェノキシエチル)
(9)シュウ酸ビス(2−p−クロロフェノキシエチル)
(10)シュウ酸ビス(2−p−エチルフェノキシエチル)
(11)シュウ酸ビス(2−m−メトキシフェノキシエチル)
(12)シュウ酸ビス(2−p−メトキシフェノキシエチル)
(13)シュウ酸ビス(4−フェノキシブチル)
これらの例示化合物の中で好ましい具体例としては、シュウ酸ビスベンジル、シュウ酸ビス(p−メチルベンジル)、シュウ酸ビス(p−クロロベンジル)、シュウ酸ビス(m−メチルベンジル)、シュウ酸ビス(p−エチルベンジル)、シュウ酸ビス(p−メトキシベンジル)が挙げられる。
以下に一般式(4)で示される化合物について説明する。
Figure 0005571009
上記式中、R10、R10′、R11及びR11′は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシ基を示す。
かかる一般式(4)で示される化合物としては例えば下記の化合物が例示されるが、これらに限定されるものではない。
(1)1,2−ビスフェノキシメチルベンゼン
(2)1,3−ビスフェノキシメチルベンゼン
(3)1,4−ビス(2−メチルフェノキシメチル)ベンゼン
(4)1,4−ビス(3−メチルフェノキシメチル)ベンゼン
(5)1,3−ビス(4−メチルフェノキシメチル)ベンゼン
(6)1,3−ビス(2,4−ジメチルフェノキシメチル)ベンゼン
(7)1,3−ビス(2,6−ジメチルフェノキシメチル)ベンゼン
(8)1,4−ビス(2−クロロフェノキシメチル)ベンゼン
(9)1,2−ビス(4−クロロフェノキシメチル)ベンゼン
(10)1,3−ビス(4−クロロフェノキシメチル)ベンゼン
(11)1,2−ビス(4−オクチルフェノキシメチル)ベンゼン
(12)1,3−ビス(4−オクチルフェノキシメチル)ベンゼン
(13)1,3−ビス(4−イソプロピルフェニルフェノキシメチル)ベンゼン
(14)1,4−ビス(4−イソプロピルフェニルフェノキシメチル)ベンゼン
これらの例示化合物の中で好ましい具体例としては、1,2−ビスフェノキシメチルベンゼン、1,4−ビス(2−メチルフェノキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(3−メチルフェノキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(2−クロロフェノキシメチル)ベンゼンが挙げられる。
上記した一般式(1)〜(4)で示される化合物の中でも、一般式(1)で示される化合物が特に好ましい。また、上記一般式(1)〜(4)で示される化合物は常温で固体の物質であるが、熱による反応性を高めるために、微分散処理を行って使用されることが好ましい。微分散処理の方法は、一般に塗料製造時に用いられる湿式分散法であるロールミル、コロイドミル、ボールミル、アトライター、サンドミル等のビーズミル等を使用することができる。ビーズミルでは、ジルコニア、チタニア、アルミナ等のセラミックビーズや、クロム、スチール等の金属ビーズ、ガラスビーズ等が使用できる。分散粒径はメジアン径で0.1〜1.2μmが望ましく、特に好ましくは0.3〜0.8μmである。なお、メジアン径とは、粒子体の一つの集団の全体積を100%として累積曲線を求めた時、累積曲線が50%となる点の粒子径(累積平均径)であり、粒度分布を評価するパラメータの一つとしてレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA920((株)堀場製作所製)等を用いて測定することができる。
支持体から最も離れた画像形成層(B)の水溶性高分子化合物に対する一般式(1)〜(4)で示される化合物の比率(一般式(1)〜(4)で示される化合物の質量/水溶性高分子化合物の質量)には好ましい範囲があり、0〜0.5であることが好ましい。また、支持体に近い画像形成層(A)の水溶性高分子化合物に対する一般式(1)〜(4)で示される化合物の比率(一般式(1)〜(4)で示される化合物の質量/水溶性高分子化合物の質量)においても好ましい範囲があり、1.0以上であることが好ましい。
本発明にかかわる感熱型平版印刷版において支持体に近い画像形成層(A)の水溶性高分子化合物に対する一般式(1)〜(4)で示される化合物の比率が、支持体から最も離れた画像形成層(B)の比率よりも高くなるように構成すればどのような比率でも良いが、画像形成層(A)と画像形成層(B)の水溶性高分子化合物に対する一般式(1)〜(4)で示される化合物の比率の差は、1.0以上であることが好ましい。
本発明にかかわる感熱型平版印刷版において画像形成層を3層設ける場合、画像形成層(A)と画像形成層(B)の間に位置する画像形成層(C)の水溶性高分子化合物に対する一般式(1)〜(4)で示される化合物の比率が、支持体から最も離れた画像形成層(B)よりも高くても低くても良いが、支持体に近い画像形成層(A)の比率よりも低く、画像形成層(B)の比率よりも高いことが好ましい。
本発明にかかわる感熱型平版印刷版の画像形成層は、熱溶融性物質を含有することができる。熱溶融性物質としては、融点が50〜150℃の有機化合物が好ましく、例えばカルナバワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等のワックス類、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、モンタン酸等の脂肪酸、及びそのエステル、アミド類等が使用できる。かかる熱溶融性物質の配合量は画像形成層の全固形分量に対して0.5〜50質量%が好ましい。
本発明にかかわる感熱型平版印刷版の画像形成層は、光熱変換物質を配合することで、サーマルヘッドだけでなく赤外線レーザー等の活性光による書き込みが可能となる。使用しうる光熱変換物質としては、効率よく光を吸収し熱に変換する材料が好ましく、使用する光源によって異なるが、例えば近赤外光を放出する半導体レーザーを光源として使用する場合には、近赤外に吸収帯を有する近赤外光吸収剤が好ましく、例えば、カーボンブラック、シアニン系色素、ポリメチン系色素、アズレニウム系色素、スクワリウム系色素、チオピリリウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素等の有機化合物や、フタロシアニン系、アゾ系、チオアミド系の有機金属錯体、鉄粉、黒鉛粉末、酸化鉄粉、酸化鉛、酸化銀、酸化クロム、硫化鉄、硫化クロム等の金属化合物類等が挙げられる。
本発明にかかわる感熱型平版印刷版の画像形成層は、視認性確保のため一般的な感熱記録紙や感圧記録紙に使用されるフェノール誘導体や芳香族カルボン酸誘導体等の顕色剤や発色剤(電子供与性染料前駆体)を含有させることができる。
本発明にかかわる感熱型平版印刷物の画像形成層に使用できる顕色剤として具体的には、4−クミルフェノール、ヒドロキノンモノベンジルエーテル、4,4′−イソプロピリデンジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4′−ジヒドロキシジフェニル−2,2−ブタン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、ビス(4−ヒドロキシフェニルチオエトキシ)メタン、1,5−ジ(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3−オキサペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,4−ビス〔α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、ジ(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィン、4−ヒドロキシ−4′−メチルジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホン、2,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ヒドロキシフェニル−4′−ベンジルオキシフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−3′,4′−テトラメチレンビフェニルスルホン、3,4−ジヒドロキシフェニル−p−トリルスルホン、4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、N,N′−ジ−m−クロロフェニルチオ尿素、N−(フェノキシエチル)−4−ヒドロキシフェニルスルホンアミド等のフェノール性化合物、4−〔3−(p−トリルスルホニル)プロピルオキシ〕サリチル酸亜鉛、4−〔2−(p−メトキシフェノキシ)エチルオキシ〕サリチル酸亜鉛、5−〔p−(2−p−メトキシフェノキシエトキシ)クミル〕サリチル酸亜鉛、p−クロロ安息香酸亜鉛等の芳香族カルボン酸の亜鉛塩、更にはチオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体等の有機酸性物質等が例示される。
本発明にかかわる感熱型平版印刷版に使用できる発色剤(電子供与性染料前駆体)の具体的な例は、(1)トリアリールメタン系化合物として3,3′−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(クリスタル・バイオレット・ラクトン)、3,3′−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(9−エチルカルバゾール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(2−フェニルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3−p−ジメチルアミノフェニル−3−(1−メチルヒロール−2−イル)−6−ジメチル−アミノフタリド等:(2)ジフェニルメタン系化合物として、4,4′−ビス−ジメチルアミノベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等:(3)キサンテン系化合物として、ローダミンB−アニリノラクタム、ローダミンB−p−ニトロアニリノラクタム、ローダミンB−p−クロロアニリノラクタム、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェニルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3,4−ジクロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−エチル−トリルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−エチル−トリルアミノ−6−メチル−7−フェニチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(4−ニトロアニリノ)フルオラン等:(4)チアジン系化合物として、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー等:(5)スピロ系化合物として、3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン、3,3′−ジクロロ−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジル−スピロ−ジナフトピラン、3−メチルナフト−(3−メトキシ−ベンゾ)−スピロピラン、3−プロピル−スピロ−ジベンゾピラン等が挙げられる。またこれらを2種以上併用することもできる。
本発明にかかわる感熱型平版印刷版が有する画像形成層は、画像部の耐刷性、非画像部の耐水性及び機械的強度の観点から、乾燥膜厚として0.5〜20μmであることが好ましく、更に1〜10μmであることがより好ましい。
本発明にかかわる感熱型平版印刷版の支持体としては、耐水性を有する支持体が印刷版として用いる特性として好ましく、例えば、プラスチックフィルム、樹脂被覆紙、耐水紙等が使用できる。具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエーテルサルフォン、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレート、ポリカーボネート、ポリアミド及びポリ塩化ビニル等のプラスチックフィルムとこれらプラスチックを表面にラミネートやコーティングした樹脂被覆紙、メラミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、エポキシ化ポリアミド樹脂等の湿潤紙力剤によって耐水化された紙を使用することができる。
また、上記の他にプラスチックフィルム、金属板(例えば、鉄、ステンレス、アルミニウム等)、ポリエチレンで被覆した紙等の材料(複合基材ともいう)を各々適宜貼り合わせた複合支持体を用いることもできる。これらの複合基材は、本発明の感熱層を形成する前に貼り合わせても良く、また感熱層を形成した後に貼り合わせても良く、印刷機に取り付ける直前に貼り合わせても良い。
支持体の厚さは、感熱プリンタの記録適性及び平版印刷機適性等の観点から100〜300μm程度が好適である。
上述の耐水性を有する支持体の表面は、感熱層や必要に応じて適宜設置しても良い中間層との接着性を高めるために、プラズマ処理、コロナ放電処理、遠紫外線照射処理等の易接着処理や下引き層を設ける等の処理を施しても良い。
本発明にかかわる感熱型平版印刷版は、画像形成層の各素材を混合し適当な溶剤に溶解または分散した塗工液を、支持体上に公知のコーティング方法で塗工、乾燥することにより製造することができる。好ましい溶剤は水である。ただし、乾燥時の熱で画像形成層(及び中間層)が熱変性しないようにするため、乾燥処理は50℃以下の雰囲気で30秒〜10分程度とすることが好ましい。
次に上述した本発明にかかわる感熱型平版印刷版を用いた製版方法について説明する。本発明にかかわる感熱型平版印刷版は、感熱型の画像形成層を有するため、画像形成層中に光熱変換物質を配合することにより例えば760nmから1200nmの赤外光を含む光を照射することで画像部を形成することが可能であり、更に赤外線を放射する固体レーザー及び半導体レーザーにより画像部を形成することが好ましい。特にレーザー露光によれば、コンピューターのデジタル情報から直接所望の画像様の記録が可能となる。またサーマルヘッドやヒートブロック等により画像形成層を直接熱により描画し画像部を形成することも可能であるが、サーマルヘッドによればコンピューターのデジタル情報から直接所望の画像様の記録が可能となる。
サーマルヘッドを使用する場合は、厚膜または薄膜のラインヘッドを用いたラインプリンタや薄膜のシリアルヘッドを用いたシリアルプリンタ等が使用できる。記録エネルギー密度は、10〜100mJ/mmであることが好ましく、また比較的高品質な出力画像を得るためにはヘッドの画像記録密度が300dpi以上であることが好ましい。
本発明にかかわる感熱型平版印刷版を用いた印刷方法については、従来の平版印刷版で好適に用いられてきた任意公知の版面処理剤を製版後、印刷を行う前に付与し、画像部のインキ受容性を高めたり非画像部の不感脂化を促進したりすることが好ましい。
以下、実施例を用いて本発明を説明するが、無論この記述により本発明が限定されるものではない。なお、以下の記述中、部及び%は特に示さない限り、質量比を示すものである。
(実施例1)
両面にラミネート加工が施された厚さ約180μmのポリエチレン被覆紙の片面に、下記画像形成層塗工液a処方で1層目(画像形成層(A))、画像形成層塗工液b処方2層目(画像形成層(B))の塗工液を作製し、スライドホッパーコーティング法により湿分塗布量1層目30g/m、2層目10g/mとなるように同時塗布した後、乾燥し画像形成層を作製した。なお、一般式(1)〜(4)の化合物、顕色剤、発色剤については、事前に個々に小型ダイノミル(ビーズミル)でジルコニアビーズを用いて固形分濃度30%で微分散処理しそれぞれ分散液の状態で使用した。
<画像形成層塗工液a>
水溶性高分子化合物
ゼラチン:IK3000 固形分 1.05kg
(ニッピ(株)製)
熱可塑性物質
カルボキシル化SBR樹脂:ラックスター7132C 固形分 1.70kg
(DIC(株)製)
界面活性剤
NIKKOL OTP−75 固形分 0.02kg
(日光ケミカルズ(株)製)
硬膜剤
1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノール 固形分 0.15kg
一般式(1)〜(4)の化合物
1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン 固形分 1.95kg
顕色剤
4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホン 固形分 1.95kg
(日本曹達(株)製)
発色剤
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン 固形分 0.30kg
(山本化成(株)製)
熱溶融性物質
モンタン酸エステルワックス:ハイドリンJ−537 固形分 0.40kg
(中京油脂(株)製)
水で全量を40kgに調製した。
<画像形成層塗工液b>
水溶性高分子化合物
ゼラチン:IK3000 固形分 1.70kg
(ニッピ(株)製)
熱可塑性物質
カルボキシル化SBR樹脂:ラックスター7132C 固形分 1.15kg
(DIC(株)製)
界面活性剤
NIKKOL OTP−75 固形分 0.02kg
(日光ケミカルズ(株)製)
硬膜剤
1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノール 固形分 0.15kg
一般式(1)〜(4)の化合物
1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン 固形分 0.00kg
顕色剤
4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホン 固形分 0.00kg
(日本曹達(株)製)
発色剤
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン 固形分 0.30kg
(山本化成(株)製)
熱溶融性物質
モンタン酸エステルワックス:ハイドリンJ−537 固形分 0.40kg
(中京油脂(株)製)
水で全量を40kgに調製した。
このように作製した感熱型平版印刷版に、ダイレクトサーマルプリンタ(東芝テック(株)製バーコードプリンタB−433:ライン型サーマルヘッド300dpi)のテスト印字モード(印刷速度2インチ/sec、印加エネルギー18.6mJ/mm)で画像を記録し、印刷版を作製した。
<印刷評価1>
頭汚れについては、前記製版条件で印刷評価用画像を製版し、それを印刷用サンプルとして印刷試験を行った。印刷機はHAMADA DU34IIC(ハマダ印刷機械(株)製オフセット印刷機)を使用し、インキはSOプロセスPG墨N(女神インキ工業(株)製)、給湿液は下記給湿液処方で表1の如く作製し、そのまま使用液として使用した。印刷開始前にTDP−HL(三菱製紙(株)製エッチ液)の25%水溶液を、脱脂綿を使用して版面にくまなく拭き与えた後、印刷を開始し、4,000枚/hrの速度で各3000枚の印刷を行った。頭汚れの評価として、印刷版の先頭からインキが徐々に堆積し、印刷紙面にインキが転移し印刷物が汚れるか汚れないか、及び印刷終了後、版の先頭にインキが堆積しているか、堆積していないかを目視にて判断し、下記評価基準で評価した。
<頭汚れ>
○:印刷物の先頭部に汚れが発生していない。
及び、刷了後刷版の先頭部にもインキは堆積していない。
○△:印刷物の先頭部に汚れが発生していないが、
刷了後刷版の先頭部にはインキが堆積している。
×:印刷物の先頭部に汚れが発生している。
結果を表2に示す。
<給湿液処方>
表1記載の添加剤
第一リン酸ソーダ 0.45g
コロイダルシリカ(スノーテックスC) 固形分 0.50g
バイオエース 0.05g
硝酸ソーダ 0.10g
苛性ソーダでpHを6に調整した。
水で1kgに調製した。
Figure 0005571009
<印刷評価2>
印刷開始時のインキの乗り性及び耐刷性については、印刷機はHAMADAH234C(ハマダ印刷機(株)製オフセット印刷機)を使用し、インキはニューチャンピオンFG墨N(DIC(株)製)、給湿液は、前記給湿液処方で表1の如く作製しそのまま使用した。印刷開始前にSLM−OD30(三菱製紙(株)製給湿液)の25%水溶液を、脱脂綿を使用して版面にくまなく拭き与えた後、強制条件で評価をするために、版胴と版の間に0.1mmのゲージフィルムを挟み、印圧を上げた状態で8000枚/hrの速度で印刷を開始した。インキ乗り性については、印刷開始から均一にインキが乗るまでの枚数を下記評価基準で評価し、耐刷性については、印刷物の画像に欠落を生じ印刷できなくなった枚数を下記評価基準で評価した。
<インキ乗り性>
○:10枚未満
○△:10〜20枚未満
△:20〜50枚未満
×:50枚以上
結果を表2に示す。
<耐刷性>
◎:5,000枚以上
○:4,000〜5,000枚未満
○△:2,000〜4,000枚未満
×:2,000枚未満
結果を表2に示す。
<印刷評価3>
地汚れ性についての印刷評価は、印刷機はRyobi3200CD(リョービイマジクス(株)製)を使用し、インキはニューチャンピオンFG紫68S(DIC(株)製)、給湿液は、前記給湿液処方で表1の如く作製しそのまま使用した。印刷開始前にSLM−OD30(三菱製紙(株)製給湿液)の20%水溶液を、脱脂綿を使用して版面にくまなく拭き与えた後、強制条件で評価をするために、版胴と版の間に0.1mmのゲージフィルムを挟み、印圧を上げた状態で、7000枚/hrの印刷速度で各2,000枚の印刷を行い、印刷物の非画像部に汚れ(地汚れ)が発生した枚数を下記評価基準で評価した。
<地汚れ性>
○:2,000枚以上
○△:1,500〜2,000枚未満
△:1,000〜1,500枚未満
×:1,000枚未満
結果を表2に示す。
Figure 0005571009
以上の表2の結果から明らかなように、本発明の感熱型平版印刷版用給湿液組成物は、比較例と比べて、その他の印刷性を悪化させることなく、頭汚れが格段に改善することが判る。

Claims (3)

  1. 支持体上に画像形成層を有し、画像形成層の加熱部分を画像部、非加熱部分を非画像部として利用する感熱型平版印刷版と、給湿液としての使用液におけるポリオール類の含有量が1.5〜25質量%である給湿液組成物を用いて、印刷を行うことを特徴とする感熱型平版印刷版の印刷方法。
  2. 前記ポリオール類がグリセリンである請求項1記載の感熱型平版印刷版の印刷方法
  3. 前記ポリオール類として2種以上を併用し、そのうちの少なくとも1種が、sp値が35以下のポリオール類であることを特徴とする請求項1または2に記載の感熱型平版印刷版の印刷方法
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