JP2015063002A - 感熱型平版印刷版 - Google Patents
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Abstract
【課題】良好な耐刷性を有し、インキ脱離性に優れた感熱型平版印刷版を提供する。
【解決手段】支持体上に熱可塑性樹脂および親水性バインダーを含有する画像形成層を有し、支持体と画像形成層との間に下引き層を有する感熱型平版印刷版であって、該画像形成層は印刷の際に加熱部分を親油性の画像部、および非加熱部分を親水性の非画像部として利用する層であり、該下引き層が親水性高分子化合物とメタンスルホン酸またはその塩を含有することを特徴とする感熱型平版印刷版。
【選択図】なし
【解決手段】支持体上に熱可塑性樹脂および親水性バインダーを含有する画像形成層を有し、支持体と画像形成層との間に下引き層を有する感熱型平版印刷版であって、該画像形成層は印刷の際に加熱部分を親油性の画像部、および非加熱部分を親水性の非画像部として利用する層であり、該下引き層が親水性高分子化合物とメタンスルホン酸またはその塩を含有することを特徴とする感熱型平版印刷版。
【選択図】なし
Description
本発明は感熱型平版印刷版に関し、従来のアブレーション方式や機上現像方式等による層除去処理等、所謂デブリ処理を必要としない感熱型平版印刷版に関する。
近年、コンピューターおよびその周辺機器の発展により各種デジタルプリンタを用いた平版印刷版の製版方法が各種提案されている。例えば、特開平6−138719号公報、特開平6−250424号公報には、乾式電子写真法レーザープリンタにより製版するもの、特開平9−58144号公報には、熱溶融型インクを用いたオンデマンドインクジェットプリンタにより製版するもの、更に、特開昭63−166590号公報には熱転写インクリボンを用いるサーマルプリンタにより製版するもの等が知られている。
上記のようなプリンタを用いた製版方法は、従来の可視光レーザー等を用いた光モードタイプとは大別され、取り扱い上において安全光の制約を受けないことから、この点で大きな利点を有する。また従来の光モードタイプにおいて通常用いられる露光後の現像処理を全く必要としない点から、これらの製版方式で製版された印刷版はプロセスレス印刷版と総称されている。
しかし上記プロセスレス印刷版は、何れも保水性付与層が設けられた支持体表面に、感脂性(即ち、平版印刷インク着肉性)の記録画像を転写付与することにより印刷版を形成する方式であったため、次のような問題点があった。
1)画像を形成する層が親水性であるためトナーやインク等の付着が十分ではなく、例えば転写トナー画像濃度が不足したり、転写画像に白抜けが発生するような問題。
2)転写画像の定着が十分ではなく、耐刷性が低下し、特に小ポイント文字の一部やハイライト部の網点画像に欠落が生じるような問題。
3)非画像部に少量のトナーが不規則に転写されたり、熱転写インクリボンが擦れること等によって、全体的に薄い地汚れが発生する等の問題。
2)転写画像の定着が十分ではなく、耐刷性が低下し、特に小ポイント文字の一部やハイライト部の網点画像に欠落が生じるような問題。
3)非画像部に少量のトナーが不規則に転写されたり、熱転写インクリボンが擦れること等によって、全体的に薄い地汚れが発生する等の問題。
一方、支持体上に熱可塑性樹脂あるいは熱溶融性粒子を含有する画像形成層を設けて、サーマルヘッドや赤外線レーザー等により加熱印字することで親油性の画像部が得られる感熱型平版印刷版等も提案されている。
例えば、特開昭58−199153号公報あるいは特開昭59−174395号公報には、画像形成層に熱転写リボン等を介さずサーマルヘッド等で直接加熱描画することにより親油性の画像部が得られる感熱型平版印刷版が記載されている。特開2000−190649号公報、特開2000−301846号公報には、赤外線レーザー等で直接加熱描画することにより親油性の画像部が得られる感熱型平版印刷版も記載されている。これらは何れも相変換型印刷版であり、元々親水性であった部分が相変換を起こし、疎水性(親油性)に変化するものである。通常の平版印刷では、上記のようにして得られた親油性の画像部に、水とインキの両方が同時に供給され、該画像部が着色性のインキを受理、他の非画像部は親水性のために水を選択的に受け入れ、インキを受理しない。そして該画像部上に受理したインキを、例えば、紙等の被印刷体に転写させることによって印刷がなされるようになる。
上記した感熱型平版印刷版は、熱転写リボン等の消耗品を必要とせず、サーマルヘッドまたは赤外線レーザー等の熱エネルギーを与える装置のみでの描画が可能となることから、システムを簡略化することができ、操作の煩雑性を減少させる点でメリットがある。また、画像部と非画像部の形成が相変換によってなされるために、従来のアブレーション方式や機上現像方式等の所謂デブリ処理により画像部と非画像部を形成する印刷版(例えば、水や給湿液等で現像処理することで非加熱の画像形成層を除去し、画像形成層と支持体の間に設けられた親水性層を露出させる感熱型平版印刷版)のように、除去されたデブリがインキや給湿液等に混入する問題が生じずに、プロセスの簡略化が可能となる。
しかしながら、上記した相変換を利用した感熱型平版印刷版は、画像形成層の加熱部分を親油性の画像部、および画像形成層の非加熱部分を親水性の非画像部として利用するため、画像形成層自身が画像部と非画像部の両方を兼ねている。このため同じ感熱型平版印刷版であっても、従来のアブレーション方式や機上現像方式等の所謂デブリ処理により画像部と非画像部を形成する印刷版とは異なり、非画像部であっても熱可塑性樹脂や熱溶融性物質を含有する。即ち、加熱部分であっても、非加熱部分であっても、塗設された塗膜はそのまま印刷に利用されることになるため、加熱部分の親油性を上げると、一方で親水性が犠牲になるという、相反する傾向を持ち合わせており、耐刷性と耐汚れ性をバランスよく向上させることは極めて困難であった。
オフセット印刷における汚れの問題としては、刷り出し時に発生する汚れの問題、印刷中にブランケットに堆積したインキが紙に転写することにより発生する汚れの問題、印刷機停機後、印刷再開時の刷り出し時(停機後再スタート時)に発生する際の汚れの問題、その他突発的な汚れの問題などが挙げられる。中でも、停機後再スタート時に発生する汚れの問題は、印刷損紙の増加につながるため、非常に重要な問題である。停機後再スタート時に発生する汚れを低減させるために、はじめに給湿液のみを版面に十分供給(オーバーダンプ)した後に、インキを供給し印刷を開始する操作がなされる場合がある。しかし、オーバーダンプをすることによる作業は煩雑である。また、印刷条件によっては、オーバーダンプによっても、非画像部のインキが脱離せずに、高品質の印刷が難しい場合がある。
上記のような停機後再スタート時の問題を改善するために、特開2011−167949号公報(特許文献1)では、耐水性支持体上に熱可塑性樹脂、熱溶融性物質、および水溶性高分子化合物を含有する画像形成層を少なくとも2層設け、耐水性支持体から最も離れた画像形成層にゼラチンおよび多糖類を含有させる方法が提案されている。この方法を用いることにより、インキ脱離性は明確に向上するものの、更なる性能の向上が求められた。
一方、特開2001−260554号公報(特許文献2)には、熱により画像を形成し良好な機上現像性を有する平版印刷版用原版として、親水性支持体上に熱により合体する微粒子状のポリマーを含有する感熱層を有する平版印刷版用原版が記載され、特開2009−107349号公報(特許文献3)には経時した際でも良好な機上現像性を示す平版印刷版用原版として、親水性支持体上に熱により反応する官能基を有する化合物を含有しているマイクロカプセルからなる平版印刷版用原版が記載される。そして、これら平版印刷版原版が有する親水性支持体が陽極酸化処理されたアルミニウム基材である場合、陽極酸化処理を施した後に、有機ホスフィン酸、有機リン酸およびアミノ酸等の化合物や、塩酸、メタンスルホン酸等の塩を含有する下塗り層を設けても良いことが記載されている。
本発明の目的は、良好な耐刷性を有し、インキ脱離性に優れた感熱型平版印刷版を提供することである。
本発明の上記目的は、支持体上に熱可塑性樹脂および親水性バインダーを含有する画像形成層を有し、且つ支持体と画像形成層との間に下引き層を有する感熱型平版印刷版であって、該画像形成層は印刷の際に加熱部分を親油性の画像部、および非加熱部分を親水性の非画像部として利用する層であり、該下引き層が親水性高分子化合物とメタンスルホン酸またはその塩を含有することを特徴とする感熱型平版印刷版によって達成された。
本発明により、良好な耐刷性を有し、インキ脱離性に優れた感熱型平版印刷版を提供することができる。
以下に本発明の詳細を説明する。本発明の感熱型平版印刷版は、支持体上に熱可塑性樹脂および親水性バインダーを含有する画像形成層を有する。また、支持体と画像形成層との間に下引き層を有する。
はじめに下引き層について説明する。本発明の感熱型平版印刷版は、前記した耐刷性とインキ脱離性の改善を目的に親水性高分子化合物と、メタンスルホン酸またはその塩を含有する下引き層を有する。
本発明の下引き層は、画像形成層とは異なり、加熱時に積極的には相変換しない層である。該下引き層は、熱可塑性樹脂を含有しても良いが、該下引き層に含有される熱可塑性樹脂は下引き層の全固形分塗布量に対して4質量%以下であることが好ましい。より好ましくは2質量%以下である。
本発明の下引き層は親水性高分子化合物を含有する。本発明の下引き層に含有される親水性高分子化合物としては、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、澱粉およびその誘導体、グリコーゲン、アガロース、ペクチン、デキストラン、プルラン等の多糖類、ゼラチン、カゼイン、アルギン酸ソーダ、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。これらの親水性高分子化合物は単独使用でも2種類以上を併用することもできるが、耐刷性の観点から、特にゼラチンを好ましく使用することができる。下引き層が含有する親水性高分子化合物は、下引き層の全固形分塗布量に対し、5〜55質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜20質量%である。
本発明の下引き層は、二酸化ケイ素、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウムなどの無機顔料を含有することが好ましい。これにより、耐刷性とインキ脱離性にとりわけ優れた感熱型平版印刷版が得られるため好ましい。下引き層が含有する無機顔料は、下引き層が含有する親水性高分子化合物の固形分量に対し、200〜1000質量%であることが好ましい。より好ましくは400〜600質量%である。
本発明の下引き層は、前記した親水性高分子化合物とともにメタンスルホン酸またはその塩を含有することを特徴とし、製造時の薬品の取り扱い(安全性)の観点からメタンスルホン酸塩が好ましく用いられる。下引き層がメタンスルホン酸またはその塩を含有することで、耐水性の高い下引き層が形成される。これにより、印刷停機後の再スタート時に、給湿液の下引き層への浸み込みが少なくなり、非画像部表面に存在する給湿液が多くなることによって、高いインキ脱離性が達成されるものと推測される。メタンスルホン酸塩として、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩などが挙げられ、カリウム塩およびナトリウム塩が特に好ましく挙げられる。下引き層に含有されるメタンスルホン酸またはその塩の含有量は、メタンスルホン酸イオンが親水性高分子化合物1gに対し0.3mmol以上とすることが好ましい。より好ましくは、1.6mmol以上である。
下引き層は、膜強度や接着強度等を向上させるために、架橋剤を含有させることが好ましい。架橋剤の例としては、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイソシアネート化合物、アルデヒド化合物、シラン化合物、クロム明礬、ジビニルスルホン等が好適に用いることができる。特に好ましい架橋剤はジビニルスルホンである。また必要な耐水性および機械的強度が得られ、更に保存した際の経時での特性変動を避ける意味から、架橋剤の含有量は画像形成層が含有する親水性高分子化合物の固形分量に対して1〜30質量%が好ましく、より好ましい含有量としては2〜20質量%の範囲である。
本発明の感熱型平版印刷版が有する下引き層の塗工量は、乾燥固形分として1〜10g/m2の範囲にあることが好ましい。
次に、画像形成層について説明する。本発明の感熱型平版印刷版は、熱可塑性樹脂および親水性バインダーを含有する画像形成層を有する。該画像形成層はサーマルヘッドや赤外線レーザーで加熱描画すると、熱の加わった部位では、親水性バインダーに埋もれた熱可塑性樹脂が溶融を起こし、層の極表面に一部滲み出る形で溶出することで親油性の画像部が形成される。一方、熱が加わらなかった部位の熱可塑性樹脂は親水性バインダーに埋もれたままで疎水性を発現せず、画像形成層が元々有する親水性(保水性)が維持される。
本発明において画像形成層が含有する熱可塑性樹脂は鎖状ポリマーからなり、加熱によって可塑性を示す固体状の非水溶性有機高分子化合物であって、画像形成層の塗工液として水系塗工液を使用する場合には水分散体(エマルジョン、ラテックス)であることが好ましい。代表例はスチレンブタジエン共重合体、アクリロニトリルブタジエン共重合体、メチルメタクリレートブタジエン共重合体、スチレンアクリロニトリルブタジエン共重合体、スチレンメチルメタクリレートブタジエン共重合体等の、その変性物を含めた合成ゴムラテックスであるが、スチレン無水マレイン酸共重合体、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体、ポリアクリル酸共重合体、ポリスチレン、スチレン/アクリル酸エステル共重合体、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル/メタアクリル酸エステル共重合体、および低融点ポリアミド樹脂等の水分散体も使用可能である。これら熱可塑性樹脂は単独もしくは2種以上併用して用いることができる。印刷インクのビヒクル(バインダー成分)との親和性から、かかる熱可塑性樹脂としては合成ゴムラテックスが好ましく用いられる。かかる合成ゴムラテックスは耐刷性の観点から、熱により自己架橋するタイプが好ましい。自己架橋タイプとは、架橋剤の存在なしでも熱により三次元網状化することが可能であることを意味し、かかる合成ゴムラテックスを作製する際に、共重合成分として、カルボキシル基、水酸基、メチロールアミド基、エポキシ基、カルボニル基、アミノ基などの反応性官能基を存在させることにより得ることができる。また反応性官能基としては、カルボキシル基、水酸基、およびアミノ基が好ましく、特にカルボキシル基を反応性官能基として有する合成ゴムラテックスが好ましい。これにより画像部は自己架橋することで良好な耐刷性が得られると同時に、加熱されない非画像部は優れた保水性が得られるため好ましい。特に好ましい合成ゴムラテックスはカルボキシ変性スチレンブタジエン共重合体である。熱可塑性樹脂の好ましい配合量としては画像形成層の全固形分量に対して5〜50質量%が好ましく、更に20〜40質量%が好ましい。
また熱による溶融、融着効果を発現しやすくするためには、熱可塑性樹脂のガラス転移温度は50〜150℃、更に好ましくは55〜120℃のものを使用するのが良い。ガラス転移温度が50℃未満では製造工程中に液状に相変化を起こし、非画像部にも親油性が発現するため印刷地汚れの原因となる場合がある。また150℃を超える場合はポリマーの熱溶融が起こりにくく、比較的小出力のレーザーや小型サーマルプリンタでは強固な画像を形成するのが困難となる場合がある。
本発明の画像形成層は、熱溶融性物質を含有することができる。該画像形成層が含有する熱溶融性物質としては、例えば、カルナバワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等のワックス類、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、モンタン酸等の高級脂肪酸の金属塩類、エステル類、アミド類の他、2−ベンジルオキシナフタレン等のナフトール誘導体、p−ベンジルビフェニル、4−アリルオキシビフェニル、m−ターフェニル等のビフェニル誘導体、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、2,2′−ビス(4−メトキシフェノキシ)ジエチルエーテル、ビス(4−メトキシフェニル)エーテル等のポリエーテル化合物、炭酸ジフェニル、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ジ(p−クロロベンジル)エステル等の炭酸またはシュウ酸ジエステル誘導体等が挙げられる。これらは単独もしくは2種以上混合して使用することができ、融点が50〜150℃の熱溶融性物質が好ましく用いられる。融点が50℃未満では製造工程中に溶融してしまい、印刷物の地汚れの原因となる場合がある。一方、150℃を超えるとサーマルヘッド等の熱印加で溶融しにくく、親油性の発現が乏しくなる場合がある。画像形成層における熱溶融性物質の好ましい使用量としては、画像形成層の全固形分量に対して1〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜30質量%である。
また、上記熱溶融性物質のうち、ワックス類、脂肪酸およびそのエステル類、アミド類以外の化合物については、熱による反応性を高めるために、微分散処理を行って使用されることが好ましい。微分散処理の方法は、一般に塗料製造時に用いられる湿式分散法であるロールミル、コロイドミル、ボールミル、アトライター、サンドミル等のビーズミル等を使用することができる。ビーズミルでは、ジルコニア、チタニア、アルミナ等のセラミックビーズや、クロム、スチール等の金属ビーズ、ガラスビーズ等が使用できる。分散粒径はメジアン径で0.1〜1.2μmが望ましく、特に好ましくは0.3〜0.8μmである。なお、メジアン径とは、粒子体の一つの集団の全体積を100%として累積曲線を求めた時、累積曲線が50%となる点の粒子径(累積平均径)であり、粒度分布を評価するパラメータの一つとしてレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA920((株)堀場製作所製)等を用いて測定することができる。
本発明の画像形成層は親水性バインダーを含有する。親水性バインダーとしては、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、澱粉およびその誘導体、グリコーゲン、アガロース、ペクチン、デキストラン、プルラン等の多糖類、ゼラチン、カゼイン、アルギン酸ソーダ、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、スチレン・マレイン酸共重合体塩、スチレン・アクリル酸共重合体塩等が挙げられる。これらの親水性バインダーは単独使用でも2種類以上を併用することもできるが、耐汚れ性・耐刷性等の観点から特にゼラチンを好ましく使用することができる。本発明の画像形成層に用いる親水性バインダーの好ましい使用量としては、画像形成層の全固形分量に対して5〜55質量%とすることが好ましい。
本発明の感熱型平版印刷版が有する画像形成層には、画像形成層の膜強度や接着強度等を向上させるために、架橋剤を含有させることが好ましい。架橋剤の例としては、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイソシアネート化合物、アルデヒド化合物、シラン化合物、クロム明礬、ジビニルスルホン等が好適に用いることができる。特に好ましい架橋剤はジビニルスルホンである。また必要な耐水性および機械的強度が得られ、更に保存した際の経時での特性変動を避ける意味から、架橋剤の配合量は画像形成層が含有する親水性バインダーの固形分量に対して1〜30質量%が好ましく、より好ましい使用量としては2〜20質量%の範囲である。
本発明の感熱型平版印刷版では、視認性確保のため一般的な感熱記録紙、感圧記録紙に使用されるフェノール誘導体や芳香族カルボン酸誘導体等の顕色剤や発色剤(電子供与性染料前駆体)を含有させることができる。
顕色剤の具体的な例としては、4−クミルフェノール、ヒドロキノンモノベンジルエーテル、4,4′−イソプロピリデンジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4′−ジヒドロキシジフェニル−2,2−ブタン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、ビス(4−ヒドロキシフェニルチオエトキシ)メタン、1,5−ジ(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3−オキサペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,4−ビス〔α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、ジ(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィン、4−ヒドロキシ−4′−メチルジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホン、2,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ヒドロキシフェニル−4′−ベンジルオキシフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−3′,4′−テトラメチレンビフェニルスルホン、3,4−ジヒドロキシフェニル−p−トリルスルホン、4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、N,N′−ジ−m−クロロフェニルチオ尿素、N−(フェノキシエチル)−4−ヒドロキシフェニルスルホンアミド等のフェノール性化合物、4−〔3−(p−トリルスルホニル)プロピルオキシ〕サリチル酸亜鉛、4−〔2−(p−メトキシフェノキシ)エチルオキシ〕サリチル酸亜鉛、5−〔p−(2−p−メトキシフェノキシエトキシ)クミル〕サリチル酸亜鉛、p−クロロ安息香酸亜鉛等の芳香族カルボン酸の亜鉛塩、更にはチオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体等の有機酸性物質等が例示される。
また、発色剤(電子供与性染料前駆体)の具体的な例としては、(1)トリアリールメタン系化合物として3,3′−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(クリスタル・バイオレット・ラクトン)、3,3′−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(9−エチルカルバゾール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(2−フェニルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3−p−ジメチルアミノフェニル−3−(1−メチルピロール−2−イル)−6−ジメチル−アミノフタリド等:(2)ジフェニルメタン系化合物として、4,4′−ビス−ジメチルアミノベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等:(3)キサンテン系化合物として、ローダミンB−アニリノラクタム、ローダミンB−p−ニトロアニリノラクタム、ローダミンB−p−クロロアニリノラクタム、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェニルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3,4−ジクロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−エチル−トリルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−エチル−トリルアミノ−6−メチル−7−フェニチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(4−ニトロアニリノ)フルオラン等:(4)チアジン系化合物として、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー等:(5)スピロ系化合物として、3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン、3,3′−ジクロロ−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジル−スピロ−ジナフトピラン、3−メチルナフト−(3−メトキシ−ベンゾ)−スピロピラン、3−プロピル−スピロ−ジベンゾピラン等が挙げられる。また、これらは単独でも2種以上を併用して用いても良い。
更に、本発明の感熱型平版印刷版には、光熱変換物質を配合することもできる。光熱変換物質を用いることによって、サーマルヘッドだけでなく赤外線レーザー等の活性光による描き込みも可能となる。光熱変換物質の例としては、効率よく光を吸収し熱に変換する材料が好ましく、使用する光源によって異なるが、例えば、近赤外光を放出する半導体レーザーを光源として使用する場合には、近赤外に吸収帯を有する近赤外光吸収剤が好ましく、例えば、カーボンブラック、シアニン系色素、ポリメチン系色素、アズレニウム系色素、スクワリウム系色素、チオピリリウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素等の有機化合物や、フタロシアニン系、アゾ系、チオアミド系の有機金属錯体、鉄粉、黒鉛粉末、酸化鉄粉、酸化鉛、酸化銀、酸化クロム、硫化鉄、硫化クロム等の金属化合物類等が挙げられる。
本発明の感熱型平版印刷版が有する画像形成層は、二酸化ケイ素、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウムなどの無機顔料を含有することができ、これらは併用しても良い。特に、酸化亜鉛、硫酸バリウムを用いることによってより優れた印刷適性が得られる場合があり、用いる無機顔料の総量は、画像形成層の全固形分に対して0.1〜5質量%とすることが好ましい。
また、本発明の画像形成層は単層のみならず、分割して多層構成にすることもできる。その場合、耐刷性と保水性の印刷性能のバランスの観点から、熱可塑性樹脂の含有量については、支持体に近い画像形成層の親水性バインダーの質量に対する熱可塑性樹脂の質量の比が、最表層の画像形成層の比よりも高くすることが好ましい。
本発明の感熱型平版印刷版が有する画像形成層は、画像部の耐刷性、非画像部の耐水性および機械的強度の観点から、全体の乾燥固形分が2〜12g/m2の範囲にあることが好ましい。画像形成層を複層とする場合の塗設方法については、順次塗布して重ねていく方法や、スライドホッパー方式等で同時多層塗布する方法などがあるが、どちらの方法でも良い。
本発明の感熱型平版印刷版が有する下引き層と画像形成層は、順次塗布して重ねていく方法で形成しても良いし、スライドホッパー方式等で多層塗布しても良い。
本発明の感熱型平版印刷版が有する下引き層と画像形成層には、製品保存性や製造工程の効率化等の観点から、防腐剤、界面活性剤、消泡剤、レベリング剤、pH調整剤等を必要に応じて添加することもできる。
本発明の感熱型平版印刷版に用いる支持体としては、プラスチックフィルム、樹脂被覆紙、耐水紙等の耐水性支持体が好ましく使用できる。具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエーテルサルフォン、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレート、ポリカーボネート、ポリアミドおよびポリ塩化ビニル等のプラスチックフィルムとこれらプラスチックを表面にラミネートやコーティングした樹脂被覆紙、メラミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、エポキシ化ポリアミド樹脂等の湿潤紙力剤によって耐水化された紙を好適に用いることができる。
次に、上述した本発明の感熱型平版印刷版を用いた製版方法について説明する。本発明の感熱型平版印刷版は、感熱型の画像形成層を有するため、画像形成層中に光熱変換物質を配合することにより例えば760nmから1200nmの赤外光を含む光を照射することで画像部を形成することが可能であり、更に赤外線を放射する固体レーザーおよび半導体レーザーにより画像部を形成することが好ましい。特にレーザー露光によれば、コンピューターのデジタル情報から直接所望の画像様の記録が可能となる。またサーマルヘッドやヒートブロック等により画像形成層を直接熱により描画し画像部を形成することも可能であるが、サーマルヘッドによればコンピューターのデジタル情報から直接所望の画像様の記録が可能となる。
サーマルヘッドを使用する場合は、厚膜または薄膜のラインヘッドを用いたラインプリンタや薄膜のシリアルヘッドを用いたシリアルプリンタ等が使用できる。記録エネルギー密度は、10〜100mJ/mm2であることが好ましく、また比較的高品質な出力画像を得るためにはヘッドの画像記録密度が300dpi以上であることが好ましい。
以下、実施例を用いて本発明を説明するが、無論この記述により本発明が限定されるものではない。なお、以下の記述の中における%や部は、特に記載がない限りは全て質量比を示すものである。
(実施例1)
両面にラミネート加工が施された厚さ約180μmのポリエチレン被覆紙の片面に、下記下塗り層と画像形成層Aの塗工液をスライドホッパーコーティング法により、湿分塗布量で下塗り層を16g/m2、画像形成層Aを40g/m2になるように、支持体側から順に下塗り層、画像形成層A(最上層)となるように2層同時塗布を行った。
両面にラミネート加工が施された厚さ約180μmのポリエチレン被覆紙の片面に、下記下塗り層と画像形成層Aの塗工液をスライドホッパーコーティング法により、湿分塗布量で下塗り層を16g/m2、画像形成層Aを40g/m2になるように、支持体側から順に下塗り層、画像形成層A(最上層)となるように2層同時塗布を行った。
<下塗り層塗工液>
ゼラチン(固形) 0.8部
二酸化チタン(堺化学工業(株)製TISR1、固形) 4.0部
アクリル酸共重合金属塩(10%溶液) 0.2部
界面活性剤(0.5%溶液) 0.05部
ジビニルスルホン硬膜剤(5%溶液) 2.0部
メタンスルホン酸カリウム(1mmol/g溶液) 0.5部
水で全量を16部とした。
ゼラチン(固形) 0.8部
二酸化チタン(堺化学工業(株)製TISR1、固形) 4.0部
アクリル酸共重合金属塩(10%溶液) 0.2部
界面活性剤(0.5%溶液) 0.05部
ジビニルスルホン硬膜剤(5%溶液) 2.0部
メタンスルホン酸カリウム(1mmol/g溶液) 0.5部
水で全量を16部とした。
<画像形成層A塗工液>
ゼラチン(固形) 1.1部
ポリビニルアルコール((株)クラレ製PVA−505、5%溶液) 2.1部
熱可塑性樹脂(DIC(株)製ラックスター7132C、カルボキシル化SBRラテックス、Tg60℃、固形分45%水分散体) 3.2部
発色剤(3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、31%スラリー) 1.0部
顕色剤混合スラリー 5.6部
界面活性剤(0.5%溶液) 0.6部
ジビニルスルホン硬膜剤(5%溶液) 2.6部
水で全量を40部とした。
ゼラチン(固形) 1.1部
ポリビニルアルコール((株)クラレ製PVA−505、5%溶液) 2.1部
熱可塑性樹脂(DIC(株)製ラックスター7132C、カルボキシル化SBRラテックス、Tg60℃、固形分45%水分散体) 3.2部
発色剤(3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、31%スラリー) 1.0部
顕色剤混合スラリー 5.6部
界面活性剤(0.5%溶液) 0.6部
ジビニルスルホン硬膜剤(5%溶液) 2.6部
水で全量を40部とした。
上記下塗り層塗工液は、分散剤であるアクリル酸共重合金属塩が添加された水中に二酸化チタンを加えてホモミキサーを用いて30分間の高速微分散処理を施し、その後、ゼラチン、界面活性剤、ジビニルスルホン硬膜剤、メタンスルホン酸カリウムを順次混ぜ合わせることで調製した。
上記画像形成層A塗工液に用いる顕色剤混合スラリーは、下記調製方法で予め製造したものを使用した。
<顕色剤混合スラリーの調製>
材料a(熱溶融性物質):1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン
(三光(株)製KS−232)
材料b:4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホン
(日本曹達(株)製D−8)
材料c:ポリマロン1318
(荒川化学工業(株)製アニオン性スチレン系樹脂15%水溶液)
<顕色剤混合スラリーの調製>
材料a(熱溶融性物質):1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン
(三光(株)製KS−232)
材料b:4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホン
(日本曹達(株)製D−8)
材料c:ポリマロン1318
(荒川化学工業(株)製アニオン性スチレン系樹脂15%水溶液)
顕色剤混合スラリーの調整方法としては、上記材料cを0.7部添加した水中に、一定撹拌のもと、材料aおよび材料bを各々1部ずつ混ぜ合わせた後、小型ダイノーミル(ビーズミル)でジルコニアビーズを用いてメジアン径0.6μmになるように微分散処理を施し、顕色剤混合スラリーを得た。なお材料a、材料b、材料cの合計での固形分濃度が約35%になるように調整した。
上記湿分塗布量にて2層重層塗布を行った後、直ちに3℃の冷風にて塗膜をゲル化させ、その後30℃の温風にて乾燥を行った。乾燥後、温度40℃/湿度40%に調整された恒温恒湿器を用いて7日間の加温を行うことにより、実施例1の感熱型平版印刷版を得た。
(実施例2)
実施例1の下塗り層塗工液のメタンスルホン酸カリウム(1mmol/g溶液)の添加量を2.0部に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2の感熱型平版印刷版を得た。
実施例1の下塗り層塗工液のメタンスルホン酸カリウム(1mmol/g溶液)の添加量を2.0部に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2の感熱型平版印刷版を得た。
(実施例3)
実施例1の下塗り層塗工液のメタンスルホン酸カリウム(1mmol/g溶液)をメタンスルホン酸ナトリウム(1mmol/g溶液)に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例3の感熱型平版印刷版を得た。
実施例1の下塗り層塗工液のメタンスルホン酸カリウム(1mmol/g溶液)をメタンスルホン酸ナトリウム(1mmol/g溶液)に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例3の感熱型平版印刷版を得た。
(実施例4)
実施例3の下塗り層塗工液のメタンスルホン酸ナトリウム(1mmol/g溶液)の添加量を2.0部に変更した以外は実施例3と同様にして、実施例4の感熱型平版印刷版を得た。
実施例3の下塗り層塗工液のメタンスルホン酸ナトリウム(1mmol/g溶液)の添加量を2.0部に変更した以外は実施例3と同様にして、実施例4の感熱型平版印刷版を得た。
(実施例5)
実施例1の下塗り層塗工液のメタンスルホン酸カリウム(1mmol/g溶液)をメタンスルホン酸カルシウム(0.5mmol/g溶液)に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例5の感熱型平版印刷版を得た。
実施例1の下塗り層塗工液のメタンスルホン酸カリウム(1mmol/g溶液)をメタンスルホン酸カルシウム(0.5mmol/g溶液)に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例5の感熱型平版印刷版を得た。
(実施例6)
実施例5の下塗り層塗工液のメタンスルホン酸カルシウム(0.5mmol/g溶液)の添加量を2.0部に変更した以外は実施例5と同様にして、実施例6の感熱型平版印刷版を得た。
実施例5の下塗り層塗工液のメタンスルホン酸カルシウム(0.5mmol/g溶液)の添加量を2.0部に変更した以外は実施例5と同様にして、実施例6の感熱型平版印刷版を得た。
(実施例7)
両面にラミネート加工が施された厚さ約180μmのポリエチレン被覆紙の片面に、実施例1の下塗り層、下記画像形成層B、下記画像形成層Cの塗工液をスライドホッパーコーティング法により、湿分塗布量で下塗り層を16g/m2、画像形成層Bを33g/m2、画像形成層Cを12g/m2になるように、支持体側から順に下塗り層、画像形成層B、画像形成層C(最上層)となるように3層重層塗布を行った。なお、画像形成層B塗工液に含まれる顕色剤混合スラリーは、画像形成層A塗工液に含まれるものと同様である。
両面にラミネート加工が施された厚さ約180μmのポリエチレン被覆紙の片面に、実施例1の下塗り層、下記画像形成層B、下記画像形成層Cの塗工液をスライドホッパーコーティング法により、湿分塗布量で下塗り層を16g/m2、画像形成層Bを33g/m2、画像形成層Cを12g/m2になるように、支持体側から順に下塗り層、画像形成層B、画像形成層C(最上層)となるように3層重層塗布を行った。なお、画像形成層B塗工液に含まれる顕色剤混合スラリーは、画像形成層A塗工液に含まれるものと同様である。
<画像形成層B塗工液>
ゼラチン(固形) 0.8部
ポリビニルアルコール((株)クラレ製PVA−505、5%溶液) 1.5部
熱可塑性樹脂(DIC(株)製ラックスター7132C、カルボキシル化SBRラテックス、Tg60℃、固形分45%水分散体) 2.8部
発色剤(3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、31%スラリー) 0.7部
顕色剤混合スラリー 8.4部
界面活性剤(0.5%溶液) 0.4部
ジビニルスルホン硬膜剤(5%溶液) 2.0部
水で全量を33部とした。
ゼラチン(固形) 0.8部
ポリビニルアルコール((株)クラレ製PVA−505、5%溶液) 1.5部
熱可塑性樹脂(DIC(株)製ラックスター7132C、カルボキシル化SBRラテックス、Tg60℃、固形分45%水分散体) 2.8部
発色剤(3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、31%スラリー) 0.7部
顕色剤混合スラリー 8.4部
界面活性剤(0.5%溶液) 0.4部
ジビニルスルホン硬膜剤(5%溶液) 2.0部
水で全量を33部とした。
<画像形成層C塗工液>
ゼラチン(固形) 0.3部
熱可塑性樹脂(DIC(株)製ラックスター7132C、カルボキシル化SBRラテックス、Tg60℃、固形分45%水分散体) 0.6部
硫酸バリウム(堺化学工業(株)製バリエースB−35) 0.2部
アクリル酸共重合金属塩(10%溶液) 0.4部
発色剤(3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、31%スラリー) 0.3部
界面活性剤(0.5%溶液) 0.2部
熱溶融性物質(モンタン酸エステルワックス、固形分30%水分散体) 0.3部
プルラン(10%溶液) 0.2部
ジビニルスルホン硬膜剤(5%溶液) 0.7部
水で全量を12部とした。
ゼラチン(固形) 0.3部
熱可塑性樹脂(DIC(株)製ラックスター7132C、カルボキシル化SBRラテックス、Tg60℃、固形分45%水分散体) 0.6部
硫酸バリウム(堺化学工業(株)製バリエースB−35) 0.2部
アクリル酸共重合金属塩(10%溶液) 0.4部
発色剤(3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、31%スラリー) 0.3部
界面活性剤(0.5%溶液) 0.2部
熱溶融性物質(モンタン酸エステルワックス、固形分30%水分散体) 0.3部
プルラン(10%溶液) 0.2部
ジビニルスルホン硬膜剤(5%溶液) 0.7部
水で全量を12部とした。
上記湿分塗布量にて3層重層塗布を行った後、直ちに3℃の冷風にて塗膜をゲル化させ、その後30℃の温風にて乾燥を行った。乾燥後、温度40℃/湿度40%に調整された恒温恒湿器を用いて7日間の加温を行うことにより、実施例7の感熱型平版印刷版を得た。
(実施例8)
実施例7の下塗り層塗工液のメタンスルホン酸カリウム(1mmol/g溶液)の添加量を2.0部に変更した以外は実施例7と同様にして、実施例8の感熱型平版印刷版を得た。
実施例7の下塗り層塗工液のメタンスルホン酸カリウム(1mmol/g溶液)の添加量を2.0部に変更した以外は実施例7と同様にして、実施例8の感熱型平版印刷版を得た。
(比較例1)
実施例1の下塗り層塗工液のメタンスルホン酸カリウム(1mmol/g溶液)を除いた以外は、実施例1と同様にして、比較例1の感熱型平版印刷版を得た。
実施例1の下塗り層塗工液のメタンスルホン酸カリウム(1mmol/g溶液)を除いた以外は、実施例1と同様にして、比較例1の感熱型平版印刷版を得た。
(比較例2)
実施例1の下塗り層塗工液のメタンスルホン酸カリウム(1mmol/g溶液)を安息香酸カリウム(1mmol/g溶液)に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例2の感熱型平版印刷版を得た。
実施例1の下塗り層塗工液のメタンスルホン酸カリウム(1mmol/g溶液)を安息香酸カリウム(1mmol/g溶液)に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例2の感熱型平版印刷版を得た。
(比較例3)
比較例2の下塗り層塗工液の安息香酸カリウム(1mmol/g溶液)の添加量を2.0部に変更した以外は、比較例2と同様にして、比較例3の感熱型平版印刷版を得た。
比較例2の下塗り層塗工液の安息香酸カリウム(1mmol/g溶液)の添加量を2.0部に変更した以外は、比較例2と同様にして、比較例3の感熱型平版印刷版を得た。
(比較例4)
実施例1の下塗り層塗工液のメタンスルホン酸カリウム(1mmol/g溶液)をマレイン酸二ナトリウム(1mmol/g溶液)に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例4の感熱型平版印刷版を得た。
実施例1の下塗り層塗工液のメタンスルホン酸カリウム(1mmol/g溶液)をマレイン酸二ナトリウム(1mmol/g溶液)に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例4の感熱型平版印刷版を得た。
(比較例5)
比較例4の下塗り層塗工液のマレイン酸二ナトリウム(1mmol/g溶液)の添加量を2.0部に変更した以外は、比較例4と同様にして、比較例5の感熱型平版印刷版を得た。
比較例4の下塗り層塗工液のマレイン酸二ナトリウム(1mmol/g溶液)の添加量を2.0部に変更した以外は、比較例4と同様にして、比較例5の感熱型平版印刷版を得た。
(比較例6)
実施例1の下塗り層塗工液のメタンスルホン酸カリウム(1mmol/g溶液)をサリチル酸ナトリウム(1mmol/g溶液)に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例6の感熱型平版印刷版を得た。
実施例1の下塗り層塗工液のメタンスルホン酸カリウム(1mmol/g溶液)をサリチル酸ナトリウム(1mmol/g溶液)に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例6の感熱型平版印刷版を得た。
(比較例7)
比較例6の下塗り層塗工液のサリチル酸ナトリウム(1mmol/g溶液)の添加量を2.0部に変更した以外は、比較例6と同様にして、比較例7の感熱型平版印刷版を得た。
比較例6の下塗り層塗工液のサリチル酸ナトリウム(1mmol/g溶液)の添加量を2.0部に変更した以外は、比較例6と同様にして、比較例7の感熱型平版印刷版を得た。
上記のように作製した感熱型平版印刷版それぞれについて、CTP用サーマルデジタルプリンター(三菱製紙(株)製Thermal Digiplater TDP−459:1200dpi/120lpi)を用いて画像出力(記録エネルギー密度70〜100mJ/mm2、電気容量330W)を行い、印刷刷版を作製した。この印刷刷版を用いて以下の方法にて印刷適性の評価を行った。
<耐刷性の評価>
耐刷性の評価として、印刷機にはオフセット枚葉印刷機HAMADA H234C、インキにはDIC(株)製ニューチャンピオン Fグロス墨H、給湿液には三菱製紙(株)製TDP−DL1の10%希釈液、エッチング処理には三菱製紙(株)製TDP−HLの25%希釈液をそれぞれ用い、150μm厚みの樹脂製フィルムをプレートと版シリンダーの間に挟み込んだ状態でプレートを装着し印刷を行った。耐刷性評価は、3000枚印刷後の印刷物の画像の様子を観察し、以下の評価基準を用いて判定した。結果を表1に示す。
<耐刷性の評価基準>
○:画像の欠落が一切見られず、インキの付着具合が良好
△:画像の欠落がわずかに見られる
×:画像の欠落が見られる
耐刷性の評価として、印刷機にはオフセット枚葉印刷機HAMADA H234C、インキにはDIC(株)製ニューチャンピオン Fグロス墨H、給湿液には三菱製紙(株)製TDP−DL1の10%希釈液、エッチング処理には三菱製紙(株)製TDP−HLの25%希釈液をそれぞれ用い、150μm厚みの樹脂製フィルムをプレートと版シリンダーの間に挟み込んだ状態でプレートを装着し印刷を行った。耐刷性評価は、3000枚印刷後の印刷物の画像の様子を観察し、以下の評価基準を用いて判定した。結果を表1に示す。
<耐刷性の評価基準>
○:画像の欠落が一切見られず、インキの付着具合が良好
△:画像の欠落がわずかに見られる
×:画像の欠落が見られる
<インキ脱離性の評価>
上記耐刷性の評価の条件で、1000枚の印刷を行った後、4分間の停機を行った。その後、オーバーダンプを行わずに印刷を開始した。インキ脱離性の評価として、地汚れまたは網がらみの発生による損紙の発生枚数を以下の評価基準を用いて判定した。結果を表1に示す。
<インキ脱離性の評価基準>
◎:2枚以下
○:3〜5枚
○△:6〜10枚
△:11〜50枚
×:51枚以上
上記耐刷性の評価の条件で、1000枚の印刷を行った後、4分間の停機を行った。その後、オーバーダンプを行わずに印刷を開始した。インキ脱離性の評価として、地汚れまたは網がらみの発生による損紙の発生枚数を以下の評価基準を用いて判定した。結果を表1に示す。
<インキ脱離性の評価基準>
◎:2枚以下
○:3〜5枚
○△:6〜10枚
△:11〜50枚
×:51枚以上
表1に示す結果から判るように、本発明によって、良好な耐刷性を有し、インキ脱離性に優れた感熱型平版印刷版が得られることが判る。
Claims (1)
- 支持体上に熱可塑性樹脂および親水性バインダーを含有する画像形成層を有し、支持体と画像形成層との間に下引き層を有する感熱型平版印刷版であって、該画像形成層は印刷の際に加熱部分を親油性の画像部、および非加熱部分を親水性の非画像部として利用する層であり、該下引き層が親水性高分子化合物とメタンスルホン酸またはその塩を含有することを特徴とする感熱型平版印刷版。
Priority Applications (1)
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