JP2009203339A - スタンパー形成用組成物、スタンパーおよび光情報記録媒体の製造方法 - Google Patents

スタンパー形成用組成物、スタンパーおよび光情報記録媒体の製造方法 Download PDF

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善久 水野
Kazuhiro Nakamura
和洋 中村
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健介 宮尾
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Abstract

【課題】スタンパーを剥離する際に中間層の付着が抑制できるとともに、記録ピットおよび/またはグルーブを高い精度で形成できるスタンパーを提供すること。
【解決手段】本発明に係るスタンパー形成用組成物は、下記式(I)で表される化合物から導かれる単位を有する環状オレフィン系重合体(A)100重量部と、下記式(II)で表されるシロキサン化合物(B)0.01〜10重量部とを含有することを特徴とする。
Figure 2009203339

【選択図】なし

Description

本発明は、スタンパー形成用組成物、スタンパーおよび光情報記録媒体の製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、特定の熱可塑性樹脂からなるスタンパー形成用組成物、当該組成物を成形して得られるスタンパー、および当該スタンパーを用いた光情報記録媒体の製造方法に関する。
ブルーレイディスクを製造する工程の一つとして、透明樹脂基板などの上に、放射線硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を硬化させて中間層を製造する工程がある。この工程では、樹脂層を硬化させる前に、記録ピットおよび/またはグルーブに対応する凹凸を表面に有する樹脂製のスタンパーにより、樹脂層の表面に該凹凸が転写されているため、最終的に得られた中間層の表面には記録ピットおよび/またはグルーブが形成されている。
しかしながら、樹脂層を硬化した後にスタンパーを剥離する際、中間層の一部が剥がれてスタンパーに付着するため、中間層に記録ピットおよび/またはグルーブを高い精度で形成することは困難であった。また、スタンパーに中間層が付着して汚染されるため、スタンパーは使い捨てされていた。
これに対して、特許文献1では、中間層を製造する際に、樹脂層上に、ポリシロキサンと水素化ポリシロキサンとの縮合反応生成物を含む剥離シートが貼付された光硬化性転写シートが用いられている。具体的には、まず、基板上に光硬化性転写シートの樹脂層を積層する(基板/樹脂層/剥離シートの順で積層する)。次いで、剥離シートを剥離し、剥離シートが剥離された樹脂層表面にスタンパーを接触させて凹凸を転写し、この樹脂層を硬化させる。この場合、予め樹脂層表面に特定の剥離シートを積層しておくことにより、剥離シートから樹脂層表面に低分子成分が移行し、この低分子成分の寄与により、スタンパーの汚染が抑えられたと考えられている。
特開2007−317270号公報
しかしながら、従来のブルーレイディスクの中間層を製造する方法では、スタンパーを剥離する際の汚染をさらに改善する余地があり、形成された記録ピットおよび/またはグルーブの形状の精度をさらに改善する余地がある。
なお、上記の点は、他の光情報記録媒体たとえばDVDの基板層を作製するときにも問題となっている。
したがって、本発明の目的は、スタンパーを剥離する際に中間層や基板層の付着が抑制できるとともに、記録ピットおよび/またはグルーブを高い精度で形成できるスタンパー形成用組成物を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究した結果、特定の熱可塑性樹脂およびシロキサン化合物を用いることにより、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明に係るスタンパー形成用組成物は、下記式(I)で表される化合物から導かれる単位を有する環状オレフィン系重合体(A)100重量部に対して、下記式(II)で表されるシロキサン化合物(B)を0.01〜10重量部含有することを特徴とする。
Figure 2009203339
(式中、R1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、1価の炭化水素基または極性基を示し、R1およびR2、またはR3およびR4は、一体化して2価の有機基を形成してもよく、R1またはR2と、R3またはR4とで互いに結合して単環構造または多環構造を形成してもよい。ただし、R1〜R4のうち少なくとも一つは極性基を示す。mは0または正の整数を示し、pは0または正の整数を示す。)
Figure 2009203339
(式中、R5〜R8は、それぞれ独立に、1価の有機基を示し、少なくとも一つが酸素原子または窒素原子を有する有機基である。rは0または正の整数を示し、sは0または正の整数を示す。)
また、本発明に係るスタンパーは、上記スタンパー形成用組成物を成形して得られることを特徴とする。
また、本発明に係る光情報記録媒体の製造方法は、透明樹脂基材上に放射線硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を設け、該樹脂層に上記スタンパーの凹凸面を接触させ、該スタンパーを押圧し、次いで、放射線を照射し、該樹脂層を硬化させて硬化層を形成した後に該スタンパーを剥離する工程[1]を含むことを特徴とする。
本発明のスタンパー形成用組成物およびスタンパーによれば、光情報記録媒体の中間層を製造する工程において、最終的にスタンパーを剥離する際にスタンパーへの中間層や基板層の付着が抑制できるとともに、記録ピットおよび/またはグルーブを高い精度で形成できる。さらに、スタンパーへの中間層の付着が抑制できるため、スタンパーを繰り返し使用することができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
<スタンパー形成用組成物>
本発明のスタンパー形成用組成物は、環状オレフィン系重合体(A)およびシロキサン化合物(B)を含有する。
〔環状オレフィン系重合体(A)〕
本発明に用いられる環状オレフィン系重合体(A)は、下記式(I)で表される化合物
(本明細書において環状オレフィン化合物(I)ともいう。)から導かれる単位を有する。この環状オレフィン系重合体(A)は、環状オレフィン化合物(I)を重合して得られる。
Figure 2009203339
式中、R1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、1価の炭化水素基または極性基を示す。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子が挙げられる。
上記炭化水素基としては、炭素数1〜10の炭化水素基が好ましく、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基などが挙げられる。
上記極性基としては、例えば、水酸基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素原子数1〜10のアルコキシル基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のカルボニルオキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;フェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基、フルオレニルオキシカルボニル基、ビフェニリルオキシカルボニル基等のアリーロキシカルボニル基;シアノ基;アミド基;イミド基;トリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基等のトリオルガノシロキシ基;トリメチルシリル基、トリエチルシリル基等のトリオルガノシリル基;トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等のアルコキシシリル基;アミノ基;アシル基;スルホニル基;カルボキシル基など挙げられる。
また、R1およびR2、またはR3およびR4は、一体化して2価の有機基を形成してもよく、R1またはR2と、R3またはR4とで互いに結合して単環構造または多環構造を形成してもよい。
mは0または正の整数を示し、好ましくは0〜3の整数を示す。pは0または正の整数を示し、好ましくは0〜3の整数を示す。また、より好ましくはm+pが0〜4の整数、特に好ましくはm+pが0〜2の整数である。最も好ましくはm=1、p=0である。m=1、p=0である環状オレフィン化合物(I)を用いると、ガラス転移温度が高く、かつ機械的強度にも優れた重合体が得られるため好ましい。
本発明に用いられる環状オレフィン化合物(I)において、R1〜R4のうち少なくとも一つは極性基を示す化合物である。
上記極性基は、下記式(III)で表される極性基であることが好ましい。
−(CH2nCOOR (III)
式中、Rは炭素数1〜12の炭化水素基を示し、nは0〜5の整数を示す。
上記式(III)において、Rは好ましくは炭素数1〜4、さらに好ましくは1または2
の炭化水素基である。ここで、炭化水素基としては、アルキル基が好ましい。また、nは通常0〜5であり、nの値が小さい極性基を有する環状オレフィン化合物(I)ほど、ガ
ラス転移温度が高い重合体が得られるため好ましく、nが0である環状オレフィン(−COOR)は合成も容易であるため特に好ましい。
好ましい環状オレフィン化合物(I)としては、上記式(I)において、R1およびR3がそれぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜10、より好ましくは1〜4、特に好ましくは1もしくは2の炭化水素基であり;R2およびR4のうちの一方が水素原子であり、他方が極性基である化合物が挙げられる。この場合、R1またはR3で表される炭化水素基としては、アルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。さらに、R2およびR4のうちの一方が、上記式(III)で表される極性基であることが好ましい。
また、極性基を有する重合体のうち、吸湿性の低い重合体が得られる観点から、R1
アルキル基であり、R2が上記式(III)で表される極性基であり、R3およびR4が水素原子である化合物がより好ましい。
上記環状オレフィン化合物(I)は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
環状オレフィン化合物(I)としては、具体的には、
5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデ
セン、
8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデ
セン、
8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセ
ン、
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3
−ドデセン、
8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3
−ドデセン、
8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
]−3−ドデセン、
8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
−3−ドデセン、
8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
などを挙げることができる。なお、これらの化合物に限定されるものではない。
また、本発明で用いられる環状オレフィン系重合体(A)は、環状オレフィン化合物(I)から導かれる単位とともに、極性基を有さない環状オレフィン化合物(II)から導かれる単位を有していてもよい。この場合は、環状オレフィン化合物(I)と、極性基を有さない環状オレフィン化合物(II)とを共重合して得られる。
極性基を有さない環状オレフィン化合物(II)としては、上記式(I)において、R1
〜R4が、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、1価の炭化水素基である化合物が
挙げられる。
上記環状オレフィン化合物(II)は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
環状オレフィン化合物(II)としては、具体的には、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
トリシクロ[4.3.0.12,5]−8−デセン、
トリシクロ[4.4.0.12,5]−3−ウンデセン、
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ペンタフルオロエチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリス(フルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロ−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロ−5−ペンタフルオロエチル−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5−ヘプタフルオロ−iso−プロピル−6−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−クロロ−5,6,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジクロロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−ヘプタフルオロプロポキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−ジフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−ペンタフルオロエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン

8,8−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3
−ドデセン、
8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3
−ドデセン、
8−メチル−8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3
−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン

8,8,9−トリス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ド
デセン、
8,8,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5
.17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロ−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5
.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメトキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−ペンタフルオロプロポキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロ−8−ペンタフルオロエチル−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8−ヘプタフルオロiso−プロピル−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−クロロ−8,9,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−
3−ドデセン、
8,9−ジクロロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
などを挙げることができる。
環状オレフィン系重合体(A)が環状オレフィン化合物(II)から導かれる単位を有するときは、通常環状オレフィン化合物(I)100重量部に対して、環状オレフィン化合物(II)を5〜40重量部用いて、両者を共重合することが好ましい。
本発明で用いられる環状オレフィン系重合体(A)としては、具体的には、
(1)環状オレフィン化合物の開環重合体
(2)環状オレフィン化合物と共重合性単量体との開環共重合体
(3)上記(1)または(2)の開環(共)重合体の水素添加(共)重合体
(4)上記(1)または(2)の開環(共)重合体をフリーデルクラフト反応により環化したのち、水素添加した(共)重合体
(5)環状オレフィン化合物と不飽和二重結合含有化合物との飽和共重合体
(6)環状オレフィン化合物と、ビニル系環状炭化水素系単量体およびシクロペンタジエン系単量体から選ばれる1種以上の単量体との付加型(共)重合体およびその水素添加(共)重合体
(7)環状オレフィン化合物とアクリレートとの交互共重合体
が挙げられる。これらの中でも、(3)開環(共)重合体の水素添加(共)重合体が特に好ましく用いられる。以下に上記重合体の製造方法について詳述する。
(1)開環重合体および(2)開環共重合体
開環重合体(1)および開環共重合体(2)は、メタセシス触媒の存在下で、環状オレフィン化合物(環状オレフィン化合物(I)または環状オレフィン化合物(I)および(II))を開環重合させるか、または環状オレフィン化合物と共重合性単量体とを開環共重合させて得られる。
(共重合性単量体)
上記共重合性単量体としては、シクロオレフィンが挙げられ、炭素数が好ましくは4〜20、より好ましくは5〜12のシクロオレフィンが望ましい。より具体的には、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、ジシクロペンタジエンなどを挙げることができる。これらのシクロオレフィンは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
環状オレフィン化合物と上記共重合性単量体との使用割合は、重量比(環状オレフィン化合物/共重合性単量体)で100/0〜50/50が好ましく、100/0〜60/40がより好ましい。なお、「環状オレフィン化合物/共重合性単量体=100/0」は、環状オレフィン化合物を単独重合する場合を意味する。
(開環重合用触媒)
開環(共)重合反応において用いられるメタセシス触媒は、公知のものを用いることができ、好ましくは、下記の化合物(a)と化合物(b)との組合せからなる触媒である。(a)W、MoおよびReの化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物。
(b)デミングの周期律表IA族元素(例えば、Li、Na、Kなど)、IIA族元素(例えば、Mg、Caなど)、IIB族元素(例えば、Zn、Cd、Hgなど)、IIIA族元素(例えば、B、Alなど)、IVA族元素(例えば、Si、Sn、Pbなど)およびIVB族元素(例えば、Ti、Zrなど)から選ばれる少なくとも1つの元素を含む化合物であって、上記元素と炭素との結合、または上記元素と水素との結合を少なくとも1つ有する化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物。
また、上記メタセシス触媒は、その活性を高めるために、後述の添加剤(c)を含んでいてもよい。
上記化合物(a)の具体例としては、WCl6、MoCl6、ReOCl3など、特開平
1−132626号公報の第8頁左下欄第6行〜第8頁右上欄第17行に記載の化合物を挙げることができる。
上記化合物(b)の具体例としては、n−C49Li、(C253Al、(C252AlCl、(C251.5AlCl1.5、(C25)AlCl2、メチルアルモキサン、L
iHなど、特開平1−132626号公報の第8頁右上欄第18行〜第8頁右下欄第3行に記載の化合物を挙げることができる。
上記添加剤(c)としては、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類などを好適に用いることができ、さらに特開平1−132626号公報の第8頁右下欄第16行〜第9頁左上欄第17行に記載の化合物を使用することもできる。
(重合反応用溶媒)
開環(共)重合反応において、溶媒は、後述する分子量調節剤溶液を構成する溶媒や、環状オレフィンおよび/またはメタセシス触媒の溶媒として使用される。このような溶媒としては、たとえば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどのアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナンなどのシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメンなどの芳香族炭化水素;クロロブタン、ブロモヘキサン、塩化メチレン、ジクロロエタン、ヘキサメチレンジブロミド、クロロホルム、テトラクロロエチレンなどのハロゲン化アルカン;クロロベンゼンなどのハロゲン化アリール;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、プロピオン酸メチル、ジメトキシエタンなどの飽和カルボン酸エステル類;ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタンなどのエーテル類などを挙げることができる。これらの溶媒は単独であるいは混合して用いることができる。これらのうち、芳香族炭化水素が好ましい。
溶媒の使用量は、溶媒と環状オレフィン化合物との重量比(溶媒:環状オレフィン化合物)が、通常1:1〜10:1、好ましくは1:1〜5:1となる量が望ましい。
(分子量調節剤)
得られる開環(共)重合体の分子量は、重合温度、触媒の種類、溶媒の種類によって調節することも可能であるが、分子量調節剤を共存させることによっても調節できる。
好適な分子量調節剤としては、たとえば、エチレン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィン類およびスチレンを挙げることができ、これらのうち、1−ブテン、1−ヘキセンが特に好ましい。また、これらの分子量調節剤は、単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。
分子量調節剤の使用量は、開環重合反応に供される環状オレフィン化合物1モルに対して、通常0.005〜0.6モル、好ましくは0.01〜0.5モルである。
上記開環共重合体は、環状オレフィン化合物と共重合性単量体とを開環共重合させて得ることができるが、さらに、ポリブタジエン、ポリイソプレンなどの共役ジエン化合物、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−非共役ジエン共重合体、ポリノルボルネンなどの主鎖に炭素−炭素間二重結合を2つ以上含む不飽和炭化水素系ポリマーなどの存在下で環状オレフィン化合物を開環共重合させてもよい。
(3)水素添加(共)重合体
上記開環(共)重合体は、そのままでも用いることができるが、さらにこれに水素添加して得られる水素添加(共)重合体(3)は、耐衝撃性に優れた樹脂として有用である。
水素添加反応は、通常の方法、すなわち開環(共)重合体を含む溶液に水素添加触媒を添加し、これに常圧〜300気圧、好ましくは3〜200気圧の水素ガスを0〜200℃、好ましくは20〜180℃で作用させて行うことができる。
(水素添加触媒)
上記水素添加触媒としては、通常のオレフィン性化合物の水素添加反応に用いられる触媒を使用することができる。この水素添加触媒としては、不均一系触媒および均一系触媒
が挙げられる。
不均一系触媒としては、パラジウム、白金、ニッケル、ロジウム、ルテニウムなどの貴金属触媒物質を、カーボン、シリカ、アルミナ、チタニアなどの担体に担持させた固体触媒を挙げることができる。均一系触媒としては、ナフテン酸ニッケル/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリエチルアルミニウム、オクテン酸コバルト/n−ブチルリチウム、チタノセンジクロリド/ジエチルアルミニウムモノクロリド、酢酸ロジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロヒドロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムなどを挙げることができる。これらの触媒の形態は、粉末でも粒状でもよい。
これらの水素添加触媒は、開環(共)重合体と水素添加触媒との重量比(開環(共)重合体:水素添加触媒)が、1:1×10-6〜1:2となる割合で使用することが好ましい。
上記水素添加(共)重合体(3)は、優れた熱安定性を有し、成形加工時や製品として使用する際の加熱によっても、その特性が劣化することはない。
水素添加(共)重合体(3)の水素添加率は、1H−NMRにより500MHzの条件
で測定した値が、通常50%以上、好ましく70%以上、より好ましくは90%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上である。水素添加率が高いほど、熱や光に対する安定性が優れ、長期にわたって安定した特性を有する導光体などの成形体を得ることができる。
また、上記水素添加(共)重合体(3)は、ゲル含有量が5重量%以下であることが好ましく、特に1重量%以下であることが好ましい。
(4)水素添加(共)重合体
水素添加(共)重合体(4)は、上記(1)または(2)の開環(共)重合体をフリーデルクラフト反応により環化したのち、水素添加することにより得られる。
上記開環(共)重合体をフリーデルクラフト反応により環化する方法は、特に限定されず、たとえば、特開昭50−154399号公報に記載の酸性化合物を用いた公知の方法が採用できる。
上記酸性化合物として具体的には、AlCl3、BF3、FeCl3、Al23、HCl
、CH3ClCOOH、ゼオライト、活性白土などのルイス酸、ブレンステッド酸が挙げ
られる。
環化された開環(共)重合体は、上記(3)の水素添加反応と同様にして、水素添加することができる。
(5)飽和共重合体
飽和共重合体(5)は、付加重合触媒の存在下で、環状オレフィン化合物(I)を含む環状オレフィン化合物に不飽和二重結合含有化合物を付加重合させることにより得られる。付加重合法は従来公知の方法を適用できる。
(不飽和二重結合含有化合物)
不飽和二重結合含有化合物としては、たとえば、エチレン、プロピレン、ブテンなどのオレフィン系化合物を挙げることができ、これらのうち、炭素数が好ましくは2〜12、さらに好ましくは2〜8のオレフィン系化合物が望ましい。
不飽和二重結合含有化合物の使用量は、環状オレフィン化合物と不飽和二重結合含有化合物との重量比(環状オレフィン化合物/不飽和二重結合含有化合物)で、90/10〜40/60が好ましく、85/15〜50/50がより好ましい。ただし、環状オレフィン化合物と不飽和二重結合含有化合物との合計重量を100とする。
(付加重合触媒)
付加重合触媒としては、公知のものを用いることができ、チタン化合物、ジルコニウム化合物およびバナジウム化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物と、助触媒として有機アルミニウム化合物との組合せが挙げられる。
上記付加重合反応において用いられる溶媒としては、上記開環(共)重合反応において例示した溶媒を挙げることができる。
また、飽和共重合体(5)の分子量の調節は、通常、水素を用いて行うことができる。
(6)付加型(共)重合体およびその水素添加(共)重合体
付加型(共)重合体(6)は、上記環状オレフィン化合物に、ビニル系環状炭化水素系単量体およびシクロペンタジエン系単量体から選ばれる1種以上の単量体を付加重合させることにより得られる。
(ビニル系環状炭化水素系単量体)
上記ビニル系環状炭化水素系単量体としては、たとえば、4−ビニルシクロペンテン、2−メチル−4−イソプロペニルシクロペンテンなどのビニルシクロペンテン系単量体;4−ビニルシクロペンタン、4−イソプロペニルシクロペンタン等のビニルシクロペンタン系単量体などのビニル化5員環炭化水素系単量体;4−ビニルシクロヘキセン、4−イソプロペニルシクロヘキセン、1−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキセン、2−メチル−4−ビニルシクロヘキセン、2−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキセンなどのビニルシクロヘキセン系単量体;4−ビニルシクロヘキサン、2−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキサンなどのビニルシクロヘキサン系単量体;スチレン、α―メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、4−フェニルスチレン、p−メトキシスチレンなどのスチレン系単量体;d−テルペン、1−テルペン、ジテルペン、d−リモネン、1−リモネン、ジペンテンなどのテルペン系単量体;4−ビニルシクロヘプテン、4−イソプロペニルシクロヘプテンなどのビニルシクロヘプテン系単量体;4−ビニルシクロヘプタン、4−イソプロペニルシクロヘプタン等のビニルシクロヘプタン系単量体などが挙げられる。これらの単量体のうち、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。また、これらの単量体は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
(シクロペンタジエン系単量体)
上記シクロペンタジエン系単量体としては、たとえば、シクロペンタジエン、1−メチルシクロペンタジエン、2−メチルシクロペンタジエン、2−エチルシクロペンタジエン、5−メチルシクロペンタジエン、5,5−メチルシクロペンタジエンなどが挙げられる。これらの単量体のうち、シクロペンタジエンが好ましい。また、これらの単量体は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
上記付加重合反応は、上記(5)における付加重合反応と同様にして実施することができる。
上記付加型(共)重合体(6)の水素添加(共)重合体は、上記付加型(共)重合体(6)を、上記(3)と同様の方法により水素添加することにより得ることができる。
(7)交互共重合体
交互共重合体(7)は、ルイス酸等の存在下で環状オレフィン化合物とアクリレートとをラジカル重合させることにより得られる。
(アクリレート)
上記アクリレートとしては、たとえば、メチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレートなどの炭素数1〜20の直鎖状、分岐状または環状アルキルアクリレート;グリシジルアクリレート、2−テトラヒドロフルフリルアクリレートなどの炭素原子数2〜20の複素環基含有アクリレート;ベンジルアクリレートなどの炭素原子数6〜20の芳香族環基含有アクリレート;イソボロニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレートなどの炭素数7〜30の多環構造を有するアクリレートが挙げられる。
上記環状オレフィン化合物とアクリレートとの割合は、これらの合計を100モルとして、通常、環状オレフィン化合物が30〜70モル、アクリレートが70〜30モルであり、好ましくは、環状オレフィン化合物が40〜60モル、アクリレートが60〜40モルであり、特に好ましくは、環状オレフィン化合物が45〜55モル、アクリレートが55〜45モルである。
上記ルイス酸の使用量は、アクリレート100モルに対して0.001〜1モルが好ましい。
また、フリーラジカルを発生する公知の有機過酸化物またはアゾビス系のラジカル重合開始剤を用いることもできる。
重合反応温度は、通常−20℃〜80℃、好ましくは5℃〜60℃である。また、重合反応用溶媒としては、上記開環(共)重合反応において例示した溶媒を挙げることができる。
なお、本発明における「交互共重合体」とは、環状オレフィン化合物に由来する構造単位同士が隣接しない共重合体、すなわち、環状オレフィン化合物に由来する構造単位の隣には必ずアクリレートに由来する構造単位が結合している共重合体を意味する。ただし、アクリレート由来の構造単位同士は隣接して存在していてもよい。
本発明に用いられる環状オレフィン系重合体(A)の固有粘度〔ηinh〕は、0.2〜
5dl/gが好ましく、0.3〜3dl/gがさらに好ましく、0.4〜1.5dl/gが特に好ましい。また、テトラヒドロフランを溶媒として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、カラム:東ソー(株)製TSKgel G7000HXL×1、TSKgel GMHXL×2およびTSKgel G2000HXL×1の4本を直列に接続した。)で測定されるポリスチレン換算の分子量は、数平均分子量(Mn)が好ましくは8,000〜100,000、さらに好ましくは10,000〜80,000、特に好ましくは12,000〜50,000であり、重量平均分子量(Mw)が好ましくは20,000〜300,000、さらに好ましくは30,000〜250,000、特に好ましくは40,000〜200,000である。
固有粘度〔ηinh〕、数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)が上記範囲
にある環状オレフィン系重合体(A)は、成形加工性に優れ、この樹脂によれば、耐熱性、耐水性、耐薬品性および機械的特性に優れたスタンパーが得られる。
また、環状オレフィン系重合体(A)のガラス転移温度(Tg)は、通常120℃以上、好ましくは120〜350℃、さらに好ましくは120〜250℃、特に好ましくは130〜200℃である。Tgが上記範囲にある環状オレフィン系重合体は、高温条件下で
の使用や、コーティングおよび印刷などの加熱を伴う二次加工においても変形しにくく、また、成形加工性に優れ、成形加工時の熱による劣化も起こりにくい。
〔シロキサン化合物(B)〕
本発明に用いられるシロキサン化合物(B)は、下記式(II)で表される。
Figure 2009203339
式(II)中、R5〜R8は、それぞれ独立に、1価の有機基を示し、少なくとも一つが酸素原子または窒素原子を有する有機基(本明細書において、特定有機基ともいう。)である。上記式(II)において、R5およびR8は末端基、R6およびR7は側鎖基であるため、上記をいいかえると、シロキサン化合物(B)は末端基および側鎖基のうち少なくとも一つに特定有機基を有する化合物である。
特定有機基ではない有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜10のアルキル基が挙げられる。
また、特定有機基としては、アミノ基、グリシジル基等のエポキシ構造含有基、カルボキシル基、カルビノール基、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、ヒドロキシフェニル基、アルコキシル基、ポリエーテル構造含有基、高級脂肪酸エステル基、グリセリン基が挙げられる。この中で、環状オレフィン系重合体(A)との混和性が高いため、下記式(IV−1)〜(IV−3)で表される基(エポキシ構造含有基(IV−1)、ポリエーテル構造含有基(IV−2)、アミノ基(IV−3))が好ましい。また、スタンパーと中間層との剥離性がさらに向上できるため、下記式(IV−1)および(IV−2)で表される基がより好ましい。
Figure 2009203339
式(IV−1)〜(IV−3)中、R9およびR11は、炭素数1〜10の炭化水素基(2価
の基)を示し、R10、R12およびR13は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基(1価の基)を示し、aは0〜2の整数を示し、bは0または1の整数を示し、cは0〜10の整数を示す。
式(II)中、rは1分子中での構造単位のトータルの個数を表し、sも同様である。rは0または正の整数、好ましくは0〜100の整数を示し、sは0または正の整数、好ましくは0〜100の整数を示す。また、rおよびsの合計は、通常30〜120、好ましくは30〜60の整数である。
なお、R6は、複数あるときは互いに同一であっても異なっていてもよい。R7についても同様である。
また、シロキサン化合物(B)において、上記式(II)中の下記構造単位(II−1)および(II−2)の並びは任意である。いいかえると、シロキサン化合物(B)は、構造単位(II−1)がr個つながったブロックと構造単位(II−2)がs個つながったブロックとからなる化合物に限られない。
Figure 2009203339
シロキサン化合物(B)としては、より具体的には以下の態様が好適である。
(1)R5、R8が特定有機基であり、R6が特定有機基ではない有機基であり、rが3
0〜60の整数であり、sが0である化合物。この場合は、環状オレフィン系重合体(A)との混和性が向上できる。
(2)R5、R6、R8が特定有機基ではない有機基であり、R7が特定有機基であり、rが30〜60の整数であり、sが30〜60の整数である化合物。
上記特定有機基の結合量は、環状オレフィン系重合体との相溶性と剥離性の観点から、通常300〜4000g/molであり、好ましくは500〜3000g/molであることが望ましい。また、粘度は、環状オレフィン系重合体との相溶性と剥離性の観点から、通常20〜4000mm2/s、好ましくは30〜3000mm2/sであることが望ましい。
〔スタンパー形成用組成物〕
本発明のスタンパー形成用組成物は、環状オレフィン系重合体(A)100重量部に対して、シロキサン化合物(B)を0.01〜10重量部、好ましくは0.02〜1重量部、より好ましくは0.04〜0.5重量部含有する。シロキサン化合物(B)の量が0.01重量部未満であると、スタンパーと中間層との剥離性が低下する場合があり、10重量部を超えると、得られたスタンパーの光線透過率が低下する、スタンパーの表面にシロキサン化合物が滲み出してスタンパーに曇りを生ずる、スタンパーの表面剥離を生じたりするなどの不具合が見られる場合がある。
スタンパー形成用組成物の製造方法としては、
[a]環状オレフィン系重合体(A)の製造工程中でシロキサン化合物(B)を添加する方法、
[b]環状オレフィン系重合体(A)の製造後にシロキサン化合物(B)を添加し、混合する方法
などが挙げられる。
具体的には、[a]の方法においては、環状オレフィン化合物にシロキサン化合物(B)をあらかじめ添加し、次いで環状オレフィン系重合体(A)を重合してもよく、開環重
合後にシロキサン化合物(B)を添加した後に水素添加してもよく、水素添加重合体製造後にシロキサン化合物(B)を添加し、次いで触媒を分離してもよく、また、触媒分離後にシロキサン化合物(B)を添加し、次いで濃縮してもよい。また、[b]の方法においては、重合体溶液にシロキサン化合物(B)を添加してもよく、重合体の溶融状態でシロキサン化合物(B)を添加し、次いでペレット化してもよく、また、ペレットにシロキサン化合物(B)を添加し、次いで成形してもよい。
環状オレフィン系重合体(A)およびシロキサン化合物(B)は、たとえば、熱可塑性樹脂の加工に用いる公知の装置、たとえば、二軸押出機、単軸押出機、連続ニーダー、ロール混練機、加圧ニーダー、バンバリーミキサーで混合される。また、開環重合で使用可能な溶媒(単独で用いても混合物であってもよい。)にペレットを再溶解し、前述の方法で溶媒を分離し再ペレット化して、環状オレフィン系重合体(A)およびシロキサン化合物(B)を混合してもよい。
あらかじめ環状オレフィン系重合体(A)に、組成物中に混合する濃度以上の割合でシロキサン化合物(B)を混合したマスターバッチを作製しておいて、該マスターバッチをたとえば環状オレフィン系重合体(A)に添加して組成物を製造してもよい。マスターバッチの母剤としては本発明で用いる環状オレフィン系重合体(A)が用いられ、マスターバッチ中のシロキサン化合物(B)の濃度は、組成物中の濃度の通常1.5倍〜10倍、好ましくは2倍〜5倍である。マスターバッチを添加するタイミングは特に規定されないが、通常、環状オレフィン系重合体(A)とペレットの状態でブレンドし、スタンパー形成用組成物が製造され、次いで成形加工に用いられる。
本発明のスタンパー形成用組成物には、組成物の透明性・耐熱性を損なわない範囲で公知の熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、非晶質重合体、ゴム質重合体、有機微粒子、無機微粒子などを配合してもよい。本発明の熱可塑性樹脂組成物(スタンパー形成用組成物)には、公知の酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤あるいは滑剤などの添加剤を添加することもできる。
<スタンパー>
本発明に係るスタンパーは、本発明のスタンパー形成用組成物を公知の方法により射出成形して得られる。
射出成形に用いられる射出成形機としては、たとえば、シリンダーの方式としてはインライン方式、プリプラ方式;駆動方式としては油圧式、電動式、ハイブリッド式;型締め方式としては直圧式、トグル式;射出方向としては横型、縦型などが挙げられる。また、型締め方式は射出圧縮できるものでもよい。シリンダー径および型締め力は目的の成形体(スタンパー)の形状により決まるが、一般に成形体の投影面積が大きい場合は型締め力を大きくすることが好ましく、成形体の容量が大きい場合はシリンダー径の大きくすることが好ましい。
シリンダーがインライン式の場合、圧縮比、長さ/直径の比、サブフライトの有無など
のスクリュー形状は適宜選択でき、スクリュー表面には、クロム系、チタン系、窒化物系、炭素系など、公知のコーティングを施してもよい。また、計量や射出動作の安定性を向上するためにスクリューの回転や圧力を制御する機構などを設けてもよい。また、シリンダー内や樹脂組成物を貯蔵するホッパー内を減圧にしたり、シリンダーおよびホッパーを窒素などの不活性ガスでシールしたりすることは、成形体が安定に得られるという観点から好ましい。
射出成形の際、成形体のソリの低減や安定した連続成形のために、金型装置のキャビテ
ィー内を減圧する方法または射出圧縮方法が好適に用いられる。
金型装置のキャビティー内を減圧して射出成形する場合、減圧度は、ゲージ圧で、好ましくは−0.08MPa以下、さらに好ましくは−0.09MPa以下、特に好ましくは−0.1MPa以下である。上記範囲を超えると、減圧度が不足し、光透過性および光拡散性に優れた成形体を得られないことがある。
上記範囲の減圧度は、公知の方法、たとえば真空ポンプを使用して達成される。キャビティー周囲やエジェクター機構部などに、Oリングなどの公知のシール材を使用することが好ましく、成形体に不純物が混入しないなどの範囲で真空用のグリスなどを使用してもよい。また、真空ポンプ等の減圧装置と接続するための吸引口は、金型装置内の任意の場所に設ければよいが、通常、エジェクター機構部、スプルーおよびランナーの端部、入れ子構造部などに設けられる。また、真空吸引シーケンスは、金型装置の開閉に併せて電磁バルブなどで制御してもよく、常時運転してもよく、溶融樹脂の充填時に金型装置のキャビティー内を所望の減圧度にできる方法であれば特に制限されない。
金型装置のキャビティー内を減圧して射出成形する場合、キャビティーを閉じ減圧になった状態で溶融樹脂を射出するため、通常、射出遅延時間を設定する。射出遅延時間は、使用する真空ポンプの能力およびキャビティーサイズに依存するが、通常0.5〜3秒程度である。
一方、射出圧縮成形方法では、キャビティー間隔を成形体の厚みの1.5〜20倍に設定し、その隙間に溶融樹脂を射出し、シリンダー側で測定される樹脂の圧力を200〜2,000kgf/cm2の範囲に保持しながら、金型装置内の成形体面を圧縮し、キャビ
ティーの間隔を狭くすればよい。
また、金型装置のコアを成形体の厚みの1.1倍〜10倍に設定して可動状態とし、そこに溶融樹脂を射出して、射出開始あるいは射出終了後から、可動側コアを平均速度0.01mm/sec〜1mm/secで圧縮してもよい。
これらの射出圧縮成形方法には、公知の成形機が用いられる。
射出成形のその他の条件は、特に限定されるものではないが、通常、シリンダー温度が260〜350℃、金型装置温度は、環状オレフィン系重合体(A)のガラス転移温度Tgに基づいて、通常Tg−1〜Tg−40℃、好ましくはTg−5〜Tg−25℃の範囲である。また、射出速度は、本発明の成形体の大きさや成形機のシリンダーサイズにより異なるが、たとえば、シリンダー径が28mmの場合、通常80mm/sec以上、好ましくは90〜250mm/secである。保圧では、成形体の形状が保持できる程度の最小圧・時間に適宜調整することが好ましい。
上述のようにして得られたスタンパーは通常、直径120mmの円形であり、中心部に直径39mmの穴を有するもの等があるが、この形状に限定されるものではない。また、上記スタンパーの表面には、記録ピットおよび/またはグルーブに対応する凹凸が形成されている。凹凸のサイズは、通常、長さ0.3〜3.3μm、幅0.5〜1μm、深さ0.1〜0.2μm程度である。
<光情報記録媒体の製造>
透明樹脂基材上に放射線硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を設け、該樹脂層に上記スタンパーの凹凸面を接触させ、該スタンパーを押圧し、次いで、放射線を照射し、該樹脂層を硬化させて硬化層を形成した後に該スタンパーを剥離する工程[1]を含む。
以下に、例として、記録層が二層設けられたブルーレイディスクの公知の製造方法にお
いて、本発明に係るスタンパーを用いる場合について説明する。
まず、透明樹脂基材2上に放射線硬化性樹脂組成物からなる樹脂層4を設ける(図1)。上記透明樹脂基材2の材料としては、ポリカーボネート樹脂が好適に用いられ、該基板2上には記録ピットおよび/またはグルーブ上に一層目の記録層6が形成されている。
放射線硬化性樹脂組成物は、通常、多官能性アクリレートや多官能性メタクリレートを含む。この樹脂組成物を透明樹脂基材2上にアプリケーターにより、またはスピンコートにより塗布して、放射線硬化性樹脂組成物からなる樹脂層4を設ける。
なお、ここで、基材上に樹脂層を有するシートを用いて、該樹脂層を透明樹脂基材2上に転写して樹脂層4を設けてもよい。
次に、放射線硬化性樹脂組成物からなる樹脂層4に、本発明に係るスタンパー8の凹凸面を接触させ、該スタンパーを押圧する(図2)。スタンパー8の凹凸面は、記録ピットおよび/またはグルーブに対応しているため、樹脂層4上に記録ピットおよび/またはグルーブが転写され形成される。
次に、放射線10を照射し、樹脂層4を硬化させて中間層12(硬化層)を形成した後にスタンパー8を剥離する(図2、図3)。なお、図2においては、透明樹脂基材2側から放射線を照射したが、スタンパー8側から放射線を照射してもよい。本発明によれば、中間層12の一部が剥離してスタンパー8に付着することが抑制される。したがって、記録ピットおよび/またはグルーブを高い精度で形成することができる。また、上記スタンパー8は中間層12によって汚染されず、繰り返し使えるため生産効率が向上する。
なお、本発明によれば、液体状の放射線硬化性樹脂組成物によって形成された樹脂層4であっても、シート状の樹脂層を転写して形成された樹脂層4であっても、上述のような効果が得られる。さらに、従来のように予め樹脂層表面に特定の剥離シートを積層しておく処理などは必要がなく、効率的にブルーレイディスクが製造できる。
また、工程[1]の後に、中間層の記録ピットおよび/またはグルーブ上に二層目の記録層を形成する工程[2]、カバー層を形成する工程[3]を行うことによりブルーレイディスクが製造される。
また、工程[1]に続く工程[2]の後、さらに工程[1]および工程[2]を繰り返して、記録層が三層以上設けられたブルーレイディスクを製造してもよい。
さらに、本発明に係るスタンパーは、DVDの基板層を形成する場合にも好適に用いられる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例]
<環状オレフィン系重合体の物性の測定方法>
(固有粘度:ηinh
クロロホルムを溶媒として、重合体濃度0.5g/dlの試料を調製し、30℃の条件下でウベローデ粘度計にて測定した。
(分子量)
東ソー株式会社製HLC−8020ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、カラム:東ソー(株)製TSKgel G7000HXL×1、TSKgel GMHXL×2およびTSKgel G2000HXL×1の4本を直列に接続した。)を用い、テトラヒドロフラン(THF)溶媒で測定し、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)を求めた。なお、Mnはポリスチレン換算の数平均
分子量を表す。
(ガラス転移温度:Tg)
セイコーインスツルメンツ社製DSC6200を用いて、昇温速度20℃/分、窒素気流下で測定した。
[製造例1]ノルボルネン系重合体の製造
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−
3−ドデセン88重量部、5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン11重量部、分子量調節剤として1−へキセン14重量部、およびトルエン150重量部を窒素置換した反応容器に仕込み、80℃に加熱した。これにトリエチルアルミウム0.030重量部、メタノール変性WCl6(無水メタノール:PhPOCl2:WCl6=1
03:630:427(重量比))0.0510重量部を加え反応を開始した。80℃で1時間反応させることにより開環重合体を得た。次いで、得られた開環重合体を含む溶液をトルエン110重量部で希釈し、水素添加反応触媒であるRuHCl(CO)[P(C6533を0.0521g添加し、90℃に昇温した後、水素ガス圧を9〜10MPaとし、更に160〜165℃まで昇温して3時間反応させた。反応終了後、得られた生成物を多量のメタノール中で沈殿させることにより水素添加物を得た。1H-NMR測定により求め
たこの水素添加物の水素添加率は99.0%以上であった。
反応終了後、トルエン100重量部を加え希釈して、蒸留水3重量部、乳酸0.72重量部、過酸化水素0.00214重量部を加え60℃、30分加熱した。その後メタノール234重量部を加え60℃、30分加熱した。25℃まで冷却すると2層に分離した。上澄み液333重量部を除去し、トルエン202重量部、水3重量部を加え60℃、30分
加熱した。その後メタノール132重量部を加え60℃、30分加熱した。25℃まで冷却
すると2層に分離した。再度、上澄み液333重量部を除去し、トルエン202重量部、水3重量部を加え60℃、30分加熱した。その後メタノール132重量部を加え60℃、30分
加熱した。25℃まで冷却すると2層に分離した。次いで、上澄み液333重量部を除去後
、下層部のポリマー溶液を固形分濃度20%に希釈した。得られた水素添加物において、ガラス転移温度(Tg)=130℃、重量平均分子量(Mw)=5.3×104、分子量
分布(Mw/Mn)=3.5、固有粘度0.46dL/gであり、収量は13kg(収率93%)であった。
[製造例2]
ポリカーボネート樹脂(帝人株式会社、AD5503、Tg=144℃)を原料として、射出成形機により、280℃の温度にて1mm厚、縦80mm、横60mmの基板を作製した。
[実施例1]
製造例1で合成した水素添加物100重量部(固形分として)に対して、信越シリコーン
社製変性シリコン(X-22-4741、側鎖型エポキシ・ポリエーテルシリコン、R5=R6=R8=メチル基、R7=エポキシ構造含有基および/またはポリエーテル構造含有基、官能基
当量2500g/mol、粘度(25℃)350mm2/s)0.05重量部、テトラキス[
メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
メタン0.3重量部、理研ビタミン製ケマールVT(グリセリン-ステアリン酸のフルエス
テル化合物)0.2重量部を加え均一に溶解した。その後、2.0μm、1.0μm、0.2μmの3段の濾過を行い、次いで、260℃、1.0torの条件で脱容器にて溶融溶媒除去
を行い、5μmフィルターを通過させて本発明のスタンパー形成用組成物からなる樹脂ペ
レットを得た。
この樹脂ペレットを原料として、射出成形機により、280℃の温度にて1mm厚、縦80mm、横60mmの成形品1を作製した。
製造例2で作製したポリカーボネート樹脂基板上に、
トリメチロールプロパントリアクリレート13.7重量部
N−ビニル−2−ピロリドン7.8重量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物4.9重量部
ポリオキシアルキレンビスフェノールA、トルエンジイソシアネート、2−ヒドロキシエチルアクリレートの反応物9.8重量部
ポリオキシアルキレンビスフェノールAジアクリレート32.3重量部
トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸アクリル酸エステル29.4重量部
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン1.5重量部
チオジエチレンビス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト)0.3重量部
ジエチルアミン0.1重量部および
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル0.3重量部
からなる混合液をアプリケーターにより膜厚が200μmとなるように塗布した。その上に
成形品1を泡がかまないようにゆっくりと重ねた。
この成形品1の上からメタルハライドランプにて1mJ/cm2の露光を行い光硬化させた。
これにより上記混合液から作製した層を硬化層とした。その後、手動にて成形品1をはがし、成形品1からの光硬化樹脂の硬化層の剥離性を目視で評価した。評価基準は下記に示す。
×:水素添加物側に光硬化樹脂が殆ど残る
○:水素添加物側に光硬化樹脂が一部残る
◎:水素添加物側に光硬化樹脂が残らない
評価は◎であり、成形品1側に光硬化樹脂の硬化層は残らず、良好な剥離性を示した。なお、この評価結果より、ポリカーボネート樹脂基板上に記録ピットおよび/またはグルーブを有する中間層(光硬化樹脂の硬化層)を形成するときも、スタンパー(水素添加物の成形品)に中間層は付着しないため、記録ピットおよび/またはグルーブを高い精度で形成できると考えられる。
[実施例2]
実施例1において、信越シリコーン社製変性シリコン(X-22-4741、側鎖型エポキシ・
ポリエーテルシリコン)の変わりに信越シリコーン社製変性シリコン(X-22-163A、両末
端エポキシリコン、R5=R8=エポキシ構造含有基、R6=R7=メチル基、官能基当量1000g/mol、粘度(25℃)30mm2/s)を用いた以外は実施例1と同様にし
て、スタンパー形成用組成物からなる樹脂ペレットを得、成形品2を作製した。実施例1において、成形品1の変わりに成形品2を用いた以外は実施例1と同様にして、硬化層を製造し、剥離性を評価した。剥離性は◎であった。
[実施例3]
実施例1において、信越シリコーン社製変性シリコン(X-22-4741、側鎖型エポキシ・
ポリエーテルシリコン)の変わりに信越シリコーン社製変性シリコン(X-22-3939A、側鎖型アミノ・ポリエーテルシリコン、R5=R6=R8=メチル基、R7=アミノ基含有有機基および/またはポリエーテル構造含有基、官能基当量1500g/mol、粘度(25℃)3300mm2/s)を用いた以外は実施例1と同様にして、スタンパー形成用組成物
からなる樹脂ペレットを得、成形品3を作製した。実施例1において、成形品1の変わりに成形品3を用いた以外は実施例1と同様にして、硬化層を製造し、剥離性を評価した。剥離性は○であった。
[実施例4]
実施例1において、信越シリコーン社製変性シリコン(X-22-4741、側鎖型エポキシ・
ポリエーテルシリコン)の変わりに信越シリコーン社製変性シリコン(X-22-164B、両末
端メタクリルシリコン、R5=R8=メタクリル構造含有基、R6=R7=メチル基、官能基当量1630g/mol、粘度(25℃)55mm2/s)を用いた以外は実施例1と同
様にして、スタンパー形成用組成物からなる樹脂ペレットを得、成形品4を作製した。実施例1において、成形品1の変わりに成形品4を用いた以外は実施例1と同様にして、硬化層を製造し、剥離性を評価した。剥離性は○であった。
[比較例1]
実施例1において、信越シリコーン社製変性シリコン(X-22-4741、片末端エポキシポ
リエーテルシリコン)を使用しない以外は実施例1と同様にして、成形品5を作製した。実施例1において、成形品1の変わりに成形品5を用いた以外は実施例1と同様にして、硬化層を製造し、剥離性を評価した。剥離性は×であった。
図1は、本発明を説明するための図である。 図2は、本発明を説明するための図である。 図3は、本発明を説明するための図である。
符号の説明
2: 透明樹脂基板
4: 樹脂層
6: 一層目の記録層
8: スタンパー
10: 放射線
12: 中間層

Claims (3)

  1. 下記式(I)で表される化合物から導かれる単位を有する環状オレフィン系重合体(A)100重量部に対して、下記式(II)で表されるシロキサン化合物(B)を0.01〜10重量部含有することを特徴とするスタンパー形成用組成物。
    Figure 2009203339
    (式中、R1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、1価の炭化水素基または極性基を示し、R1およびR2、またはR3およびR4は、一体化して2価の有機基を形成してもよく、R1またはR2と、R3またはR4とで互いに結合して単環構造または多環構造を形成してもよい。ただし、R1〜R4のうち少なくとも一つは極性基を示す。mは0または正の整数を示し、pは0または正の整数を示す。)
    Figure 2009203339
    (式中、R5〜R8は、それぞれ独立に、1価の有機基を示し、少なくとも一つが酸素原子または窒素原子を有する有機基である。rは0または正の整数を示し、sは0または正の整数を示す。)
  2. 請求項1記載のスタンパー形成用組成物を成形して得られることを特徴とするスタンパー。
  3. 透明樹脂基材上に放射線硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を設け、該樹脂層に請求項2記載のスタンパーの凹凸面を接触させ、該スタンパーを押圧し、次いで、放射線を照射し、該樹脂層を硬化させて硬化層を形成した後に該スタンパーを剥離する工程[1]を含むことを特徴とする光情報記録媒体の製造方法。
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