JP2009173971A - 成形時のリジングマーク性に優れたアルミニウム合金板 - Google Patents

成形時のリジングマーク性に優れたアルミニウム合金板 Download PDF

Info

Publication number
JP2009173971A
JP2009173971A JP2008011766A JP2008011766A JP2009173971A JP 2009173971 A JP2009173971 A JP 2009173971A JP 2008011766 A JP2008011766 A JP 2008011766A JP 2008011766 A JP2008011766 A JP 2008011766A JP 2009173971 A JP2009173971 A JP 2009173971A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
plate
orientation
aluminum alloy
less
width direction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2008011766A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4312819B2 (ja
Inventor
Yasuhiro Ariga
康博 有賀
Katsushi Matsumoto
克史 松本
Mamoru Nagao
護 長尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP2008011766A priority Critical patent/JP4312819B2/ja
Priority to CN2009801026133A priority patent/CN101918602B/zh
Priority to PCT/JP2009/050722 priority patent/WO2009093559A1/ja
Priority to KR1020107016324A priority patent/KR101180226B1/ko
Publication of JP2009173971A publication Critical patent/JP2009173971A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4312819B2 publication Critical patent/JP4312819B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C21/00Alloys based on aluminium
    • C22C21/02Alloys based on aluminium with silicon as the next major constituent
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C21/00Alloys based on aluminium
    • C22C21/06Alloys based on aluminium with magnesium as the next major constituent
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22FCHANGING THE PHYSICAL STRUCTURE OF NON-FERROUS METALS AND NON-FERROUS ALLOYS
    • C22F1/00Changing the physical structure of non-ferrous metals or alloys by heat treatment or by hot or cold working
    • C22F1/04Changing the physical structure of non-ferrous metals or alloys by heat treatment or by hot or cold working of aluminium or alloys based thereon
    • C22F1/05Changing the physical structure of non-ferrous metals or alloys by heat treatment or by hot or cold working of aluminium or alloys based thereon of alloys of the Al-Si-Mg type, i.e. containing silicon and magnesium in approximately equal proportions

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Thermal Sciences (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Metal Rolling (AREA)

Abstract

【課題】成形条件がより厳しくなった場合にでも、再現性良くプレス成形時のリジングマークを防止できるAl−Mg−Si系アルミニウム合金板を提供することを目的とする。
【解決手段】特定組成のAl−Mg−Si系アルミニウム合金板において、図1の横軸にて示す比較的広範囲な板幅方向の集合組織における、特にGoss方位とCube方位とを前記板幅方向に亙る平均面積率にて抑制するとともに、この集合組織におけるGoss方位とCube方位との各々の偏差も前記板幅方向に亙る面積率の最大値と最小値との差にて抑制し、前記板幅方向に亙って比較的大きな板表面の凹凸の周期を有するリジングマークを抑制する。
【選択図】図1

Description

本発明は、リジングマーク性に優れたアルミニウム合金板(以下、アルミニウムを単にAlとも言う)に関し、パネルへのプレス成形加工時に発生する表面凸凹(リジングマーク、ローピングとも言う)を抑制できるAl−Mg−Si系アルミニウム合金板に関する。本発明で言うアルミニウム合金板とは、圧延後に溶体化および焼入れ処理などの調質が施された板であって、プレス成形などによってパネルに成形加工される前の板のことを言う。
近年、排気ガス等による地球環境問題に対して、自動車などの輸送機の車体の軽量化による燃費の向上が追求されている。このため、特に、自動車の車体に対し、従来から使用されている鋼材に代わって、成形性や焼付硬化性に優れた、より軽量なアルミニウム合金材の適用が増加しつつある。
この内、自動車のフード、フェンダー、ドア、ルーフ、トランクリッドなどのパネル構造体の、アウタパネル (外板) やインナパネル( 内板) 等のパネルには、薄肉でかつ高強度アルミニウム合金板として、Al−Mg−Si系のAA乃至JIS 6000系 (以下、単に6000系とも言う) のアルミニウム合金板の使用が検討されている。
6000系アルミニウム合金板は、基本的には、Si、Mgを必須として含み、優れた時効硬化能を有しているため、プレス成形や曲げ加工時には低耐力化により成形性を確保するとともに、成形後のパネルの塗装焼付処理などの、比較的低温の人工時効( 硬化) 処理時の加熱により時効硬化して耐力が向上し、必要な強度を確保できるBH性 (ベークハード性、人工時効硬化能、塗装焼付硬化性) がある。
また、6000系アルミニウム合金板は、Mg量などの合金量が多い他の5000系アルミニウム合金などに比して、合金元素量が比較的少ない。このため、これら6000系アルミニウム合金板のスクラップを、アルミニウム合金溶解材 (溶解原料) として再利用する際に、元の6000系アルミニウム合金鋳塊が得やすく、リサイクル性にも優れている。
一方、自動車のアウタパネルは、周知の通り、アルミニウム合金板に対し、プレス成形における張出成形時や曲げ成形などの成形加工が複合して行われて製作される。例えば、フードやドアなどの大型のアウタパネルでは、張出などのプレス成形によって、アウタパネルとしての成形品形状となされ、次いで、このアウタパネル周縁部のフラットヘムなどのヘム (ヘミング) 加工によって、インナパネルとの接合が行われ、パネル構造体とされる。
この際、6000系アルミニウム合金板を素材とした、プレス成形後のパネルには、リジングマークなどの表面の肌荒れ不良が生じ易いという課題がある。リジングマークは、板のスジ状に並んだ集合組織に起因し、プレス成形などの変形時に、板表面の凹凸となる現象である。このため、素材であるアルミニウム合金板の結晶粒が肌荒れを生じない程度に微細であっても、プレス成形によって生じる点がやっかいである。
このリジングマークは、パネル構造体の大型化や形状の複雑化、あるいは薄肉化などによりプレス成形条件が厳しくなった場合に特に生じ易い。また、プレス成形直後には比較的目立たず、そのままパネル構造体として塗装工程に進んだ後に目立ちやすくなるという問題もある。
このリジングマークが生じた場合、特に表面が美麗であることが要求される、外板 (アウタ) 用などのパネル構造体では、外観不良となって使用できない問題となる。
このようなリジングマークの問題に対し、従来から、鋳塊を500℃以上の温度で均質化熱処理後に冷却して、あるいは室温に冷却後再加熱して、350〜450℃の比較的低温で熱延を開始する、あるいは化合物を制御する、ことにより、過剰Si型6000系アルミニウム合金板のリジングマークを防止することが公知である (特許文献1、2 、3、10参照) 。
6000系アルミニウム合金板の集合組織(結晶方位)を制御してリジングマークを改善する方法も種々提案されている。例えば、{100}面の結晶方位成分に着目し、板表層部でのCube方位の集積度を2〜5、板表面部の結晶粒径を45μm以下に微細化することが提案されている (特許文献4参照) 。また、6000系アルミニウム合金板における、例えば、Cube方位、Goss方位、Brass方位、CR方位、RW方位、S方位、PP方位など、種々の方位の分布密度を同時に規定することも提案されている (特許文献5、9参照) 。
更に、隣接する結晶方位差を15°以下である結晶粒界の占める割合を20%以上とすることも提案されている (特許文献6参照) 。また、6000系アルミニウム合金板における耳率を4%以上、結晶粒径を45μm以下とすることも提案されている (特許文献7参照) 。また、Mgを含有するアルミニウム合金であって、合金表面における結晶粒の板面方位が(100)面から10゜以内の結晶粒が占める面積率と、(100)面から20゜以内の結晶粒が占める面積率とを特定の関係とすることも提案されている (特許文献8参照) 。
特許第2823797 号公報 特開平8 ー232052号公報 特開平7 ー228956号公報 特開平11ー189836号公報 特開平11ー236639号公報 特開2003ー171726号公報 特開2000ー96175 号公報 特開2005ー146310号公報 特開2004ー292899号公報 特開2005ー240113号公報
前記従来技術は、前記特許文献4〜9のような板の集合組織乃至特性を制御することも含めて、リジングマーク抑制に一定の効果はある。しかし、より深いあるいはより複雑な3次元形状のパネルに成形されるなど、成形条件がより厳しくなった場合には、その効果が未だ不十分である。
本発明はこの様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、成形条件がより厳しくなった場合にその発生が顕著になる、プレス成形時のリジングマークを再現性良く防止できるAl−Mg−Si系アルミニウム合金板を提供しようとするものである。
この目的を達成するために、本発明の成形時のリジングマーク性に優れたアルミニウム合金板の要旨は、質量%で、Mg:0.1〜3.0%、Si:0.1〜2.5%、Mn:0.01〜1.0%、Cu:0.001〜1.0%を含み、残部がAlおよび不可避的不純物からなるAl−Mg−Si系アルミニウム合金板において、この板の任意の20mmの長さに亙る板幅間の集合組織であって、この板幅間を250μm毎に各々区切った際の、これら区切られた箇所の各板断面におけるGoss方位の各面積率の平均値が3%以下であるとともに、これらGoss方位の各面積率の内の最大値と最小値との差が2%以下であり、前記区切られた箇所の各板断面におけるCube方位の各面積率の平均値が10%以下であるとともに、これらCube方位の各面積率の内の最大値と最小値との差が5%以下であることとする。
ここで、前記アルミニウム合金板が、Fe:1.0%以下、Cr:0.3%以下、Zr:0.3%以下、V:0.3%以下、Ti:0.1%以下、Ag:0.2%以下、Zn:1.0%以下の1種または2種以上を含むことを許容する。
本発明者等は、今まで目視評価であったアルミニウム合金板のリジングマークにつき、定量化して評価できないか検討した。この検討の際に、より深いあるいはより複雑な3次元形状のパネルに実際に成形され、表面にリジングマークが発生した板(パネル)と、発生しなかった板(パネル)とを比較対照して、これらの板(パネル)表面の凹凸をコントレーサー(3次元形状測定器)で形状測定した。そして、得られた板(パネル)表面の凹凸の3次元形状データを、解析ソフトにより、周波数解析した。
この結果、成形条件がより厳しくなった場合にその発生が顕著になる、板(パネル)に発生したリジングマーク(表面凹凸)は、板幅方向の長さが約2〜3mmに亙る比較的大きな周期を有していることを知見した。言い換えると、本発明では、その発生が顕著になるリジングマークが、板幅方向に亙る長さが約2〜3mmの比較的大きな周期を有していることを、定量的に明らかにすることに初めて成功した。
これに対して、前記した従来の特許文献における板の集合組織制御技術では、リジングマークを分析、評価する際には、最大でも板幅が3mm程度の狭い領域(長さ)でしか評価できていない。例えば、特許文献9では、実施例において、板幅方向3mmの領域において、この板幅間を500μm毎に各々区切った際の各板断面における集合組織を計測している。しかし、これは、前記した大きな周期を有するリジングマークのせいぜい1周期分しか評価できていないことを意味する。即ち、前記した従来の特許文献における板の集合組織制御技術では、プレス成形条件がより厳しくなった場合に、その発生が顕著になる、板幅方向に亙る長さが約2〜3mmの比較的大きな周期を有しているリジングマークを、その表面凹凸のばらつきを含めて考慮できていない。
そして、このことが、リジングマークの評価が目視での定性的な評価に留まっていたことと相まって、従来の板の集合組織制御によっても、リジングマーク抑制の効果が未だ不十分であった一因であると推考される。
なお、本発明でも、板の結晶方位の違いにより、隣接する結晶粒の導入歪み量(結晶性の変形量)が異なり、表面凹凸のばらつきであるリジングマークが生じやすくなる、リジングマーク発生のメカニズムや、このメカニズムに対する認識自体は、結晶方位を規定した前記特許文献と同じである。
しかし、本発明では、前記したリジングマークの周期やばらつきの大きさを考慮して、Al−Mg−Si系アルミニウム合金板における、リジングマークの周期以上の、比較的広域な領域である20mmの長さに亙る板幅間における集合組織の状態を規定して、成形性を向上させる点が、先ず大きく相違する。本発明では、このような比較的広域な板幅方向の領域における、特に、Goss方位とCube方位とを制御対象として選択する。即ち、この板幅方向の比較的広域な領域における、これらの各方位を各平均面積率によって規制して極力少なくするだけでなく、この板幅方向の比較的広域な領域に存在するGoss方位とCube方位との各々の偏差を、各々の面積率の内の最大値と最小値との差で規定して、極力少なくする。
これによって、より深いあるいはより複雑な3次元形状のパネルに成形されるなど、成形条件がより厳しくなった場合に、その発生が顕著になる、前記比較的大きな周期を有するリジングマークの発生を防止できるAl−Mg−Si系アルミニウム合金板を提供できる。
以下に、本発明アルミニウム合金板の実施態様につき具体的に説明する。
(集合組織)
Goss方位とCube方位とは、他の方位に比べてr値(ランクフォード値)の面内異方性が非常に大きく、Goss方位では、板をその幅方向に引っ張った場合に、板厚減少がほとんど生じない。このような特性を有するGoss方位が組織内に実質量存在すると、板をプレス成形した場合に、板の部位、特に板の幅方向の部位による伸び変形能力が異なり、かつ板の幅方向に亙る伸び変形能力が低下する。一方、Cube方位は、一般的にも知られている様に、アルミの再結晶集合組織の主方位であり、Al−Mg−Si系合金においても主要な結晶方位の1つである。このCube方位では、Goss方位の前記挙動と相違し、圧延方向に対して45°方向に板を引っ張った場合に著しく板厚減少が生じる。
このように板厚減少挙動が全く(大きく)異なるGoss方位とCube方位とが同時にあるいは両方、組織内に実質量存在すると、板をプレス成形した場合には、当然、板の部位、特に板の幅方向に亙って、板表面の凹凸発生状況が大きく異なってくる。
本発明者らの認識によれば、前記した板幅方向の比較的広域な領域における、これらGoss方位とCube方位の方位の分布状態が、成形条件がより厳しくなった場合の、リジングマーク(板表面の大きな凹凸)発生の主要因である。このため、本発明では、このリジングマークを抑制するために、前記した板の比較的広域な領域における、これらGoss方位とCube方位との各方位を規制するだけでなく、前記比較的広域な領域に存在する、これら各方位の各々の偏差をも極力少なくする。
即ち、具体的には、Al−Mg−Si系アルミニウム合金板において、この板の任意の20mmの長さに亙る板幅間における集合組織の状態であって、この板幅間を250μm毎に各々区切った際の、これら区切られた箇所の各板断面におけるGoss方位の各面積率の平均値が3%以下であるとともに、これらGoss方位の各面積率の内の最大値と最小値との差が2%以下であり、前記区切られた箇所の各板断面における、Cube方位の各面積率の平均値が10%以下であるとともに、これらCube方位の各面積率の内の最大値と最小値との差が5%以下であることとする。
前記した通り、Al−Mg−Si系アルミニウム合金板に発生したリジングマーク(表面凹凸)は、板幅方向の長さが約2〜3mmに亙る比較的大きな周期を有している。このため、そのばらつきも考慮すると、最低でも板幅20mm以上の長さに亙る比較的大きな(広い)測定範囲で、板幅方向の各板断面におけるGoss方位とCube方位の各面積率の平均値を、3%以下および10%以下に抑制することが必要である。
加えて、この板幅20mm間を250μm毎に各々区切った際の、これら区切られた箇所(80箇所)の各板断面における、Goss方位の各面積率の内の最大値と最小値との差が2%以下であり、Cube方位の各面積率の内の最大値と最小値との差が5%以下であることとすることが必要である。
これによって、Al−Mg−Si系アルミニウム合金板の板幅方向に亙って、リジングマークの要因となる集合組織におけるGoss方位とCube方位とが少なくなり、かつ、リジングマークの要因となる集合組織の変動も十分に小さくなる。この結果、リジングマークの主要因が排除されて、フードやドアなどの大型の自動車パネルの張出成形など、より深いあるいはより複雑な3次元形状のパネルへの成形条件がより厳しくなった場合でも、板の表面品質が極めて向上する。
次に、図1を用いて、リジングマークと集合組織におけるGoss方位とCube方位との相関を裏付ける。図1は、板表面のリジングマーク(成形時にリジングマークが発生した板表面)を板幅方向にコントレーサー(3次元形状測定器)で形状測定した結果と、EBSPにより測定した板幅方向の組織(板断面)、Goss方位とCube方位の各面積率の変化(板断面)とを併せて示す。
この図1において、図の上下方向が板厚方向であり、図の上側が板の表面側(測定表面側)、図の左右方向が板幅方向である。そして、これら板幅方向の測定長さは6mmとしている。この図1の測定板は、後述する実施例(表3)における比較例9である。
なお、前記コントレーサーによる板表面凹凸プロファイルの測定と解析によって、リジングマーク自体の把握やリジングマーク性評価を、併せて定量的に行ったのは本発明が初めてである。そして、このリジングマーク自体の定量的な把握が本発明の母体となっている点でも、この定量的な把握の意義は大きい。また、この定量的把握は、後述する実施例の通り、板表面凹凸プロファイルにおける凹凸曲線の山と谷との振幅(μm)の大小による、リジングマーク性評価の定量的尺度へとつながる。このリジングマーク自体の定量的把握のためのコントレーサー測定条件や解析手法は、後述する実施例で詳述する。
図1において、一番上側の図がEBSPにより測定した組織を示す。また、図1において、上から二番目の図がGoss方位とCube方位の各面積率の板幅方向の変化(板断面)を示す。この図において、上から二番目の折れ線(太線)がCube方位、上から三番目(一番下)の折れ線(太線)がGoss方位である。なお、この図では、Brass方位、S方位、Cu方位の合計の面積率の板幅方向の変化も、参考までに、一番上の折れ線(細線)にて示している。更に、図1において、下側の1〜3が、前記コントレーサーで形状測定した、板に発生したリジングマーク(板表面の凹凸)の板幅方向の変化を示している。
図2は、図1の測定対象となった板の、前記各項目の各測定位置を斜視図で示すものである。図2における板の左右方向が圧延方向(RD方向、板長手方向)、斜め上下方向が板幅方向であり、測定対象となった板はプレス成形を模擬して、予め板幅方向(圧延方向とは直角方向)に20%ストレッチしている。前記図1のコントレーサーで形状測定した板表面箇所1〜3は、図2の板幅方向に向くとともに、圧延方向に互いに1mmづつ間隔を開けた3箇所1〜3に各々対応している。また、図2では、矢印にて、板右側の板断面(板幅方向に亙る断面)のEBSP測定面を示している。
図1のGoss方位とCube方位との面積率の変化を示す折れ線において、縦軸の面積率(折れ線のレベル)が最も低くなっている凹な箇所が、各面積率の最小値である。一方、縦軸の面積率(折れ線のレベル)が最も高くなっている凸な箇所が、各面積率の最大値である。
これに対して、図1の下側の1〜3のリジングマーク(板表面の凹凸)の板幅方向の変化を示す曲線(折れ線)では、縦軸の凹凸の高さ(曲線のレベル)が最も低くなっている凹な箇所が、板表面が凹な、板厚が元の板厚(ストレッチ前の板厚)に対して小さくなっている箇所である。また、縦軸の凹凸の高さ(曲線のレベル)が最も高くなっている凸な箇所が、板表面が凸な、板厚が元の板厚(ストレッチ前の板厚)に近い箇所である。
以上を踏まえて、板にリジングマークが発生している図1(実施例表3における比較例9)の集合組織を解析すると、先ず、Goss方位とCube方位とが発達しすぎており、平均面積率が本発明上限規定を超えて各々大きすぎる。図1におけるGoss方位の平均面積率は6.0%、Cube方位の平均面積率は12.4%である。しかも、図1の集合組織では、Goss方位とCube方位との各面積率の板幅方向の変化も比較的大きい。Goss方位では板幅方向の面積率の最大値と最小値との差が3.5%あり、Cube方位では板幅方向の面積率の最大値と最小値との差が6.0%あり、本発明上限規定を超えて各々大きすぎる。
一方、図1のリジングマークを解析すると、先ず、前記1〜3に示す各箇所における板表面の凹凸の板幅方向の変化が比較的大きく、また、このリジングマークの板幅方向の凹凸の長さ(変化)は、約2〜3mmに亙る比較的大きな周期を有していることが分かる。そして、このリジングマークの板幅方向の凹凸の長さ(変化)に対応して、前記したGoss方位とCube方位の各面積率も板幅方向に変化していることが分かる。
これは、図1に併せて示す、Brass方位、S方位、Cu方位の合計の面積率の板幅方向の変化が比較的小さいことに比べて対照的である。言い換えると、これらBrass方位、S方位、Cu方位などの、Goss方位とCube方位以外の他の結晶方位は、前記した約2〜3mmに亙る比較的大きな周期を有するリジングマークの発生にあまり影響しないことが分かる。したがって、Goss方位とCube方位以外の結晶方位は規制する必要がなく、前記Goss方位とCube方位との板幅方向の測定領域においても、実質量存在して良い。
即ち、この図1から、板の比較的広域な領域における、これらGoss方位とCube方位の方位の分布状態が、前記した通り、板表面の凹凸(リジングマーク)発生の主要因であることが裏付けられる。更に、リジングマークを抑制するためには、前記した通り、板の比較的広域な領域における、これらGoss方位とCube方位の各方位を規制するだけでなく、この比較的広域な領域に存在するGoss方位とCube方位との各々の偏差(板幅方向の面積率の最大値と最小値との差)をも極力少なくする必要が裏付けられる。
なお、本発明における、集合組織の測定範囲である板幅の長さ20mmの値や、この板幅間を区切る間隔250μmの値は、リジングマークの板幅方向の凹凸の長さ(変化)の約2〜3mmに亙る比較的大きな周期に対応させ、リジングマークを確実に抑制できるための、最小必要な測定条件として規定している。言い換えると、測定する前記板幅を増しても、この板幅間を区切る間隔を狭くしても、結果的に測定値は大差ない範囲、あるいは測定値に再現性がある範囲を選択している。
(アルミニウム合金板の集合組織測定)
集合組織のでき方は結晶系が同じでも加工法によって異なり、圧延材の場合は圧延面と圧延方向で表わされる。即ち、下記に示す様に、圧延面は{○○○}で表現され、圧延方向は<△△△>で表現される。なお、○や△は整数を示している。
かかる表現方法に基づき、各方位は下記のように表される。なお、これら各方位の表現については、長島晋一編著「集合組織」(丸善株式会社刊)や軽金属学会「軽金属」解説Vol.43(1993)P.285〜293などに記載されている。
Cube方位:{001}<100>
Goss方位:{011}<100>
CR方位:{001}<520>
RW方位:{001}<110>[Cube方位が(100)面で板面回転した方位]
Brass方位:{011}<211>
S方位:{123}<634>
Cu方位:{112}<111>
(若しくは、D方位:{4411}<11118>)
SB方位:{681}<112>
(結晶方位成分存在率の測定)
これら結晶粒の各結晶方位成分の面積率(存在率)は、前記した板断面を、走査型電子顕微鏡SEM(Scanning Electron Microscope)による、後方散乱電子回折像EBSP(Electron Backscatter Diffraction Pattern)を用いた結晶方位解析方法(SEM/EBSP法)により測定する。
上記EBSPを用いた結晶方位解析方法は、SEMの鏡筒内にセットした試料表面に電子線を照射してスクリーン上にEBSPを投影する。これを高感度カメラで撮影して、コンピュータに画像として取り込む。コンピュータでは、この画像を解析して、既知の結晶系を用いたシミュレーションによるパターンとの比較によって、結晶の方位が決定される。
上記EBSPを用いた結晶方位解析方法は、結晶粒毎の測定ではなく、指定した試料領域を任意の一定間隔で走査して測定し、かつ、上記プロセスが全測定点に対して自動的に行なわれるので、測定終了時には数万〜数十万点の結晶方位データが得られる。このため、観察視野が広く、多数の結晶粒に対する、平均結晶粒径、平均結晶粒径の標準偏差、あるいは方位解析の情報を、数時間以内で得られる利点がある。したがって、本発明のような板幅方向の前記した広域の集合組織を規定あるいは測定する場合には最適である。
これに対して、集合組織の測定のために汎用されるX線回折(X線回折強度など)では、上記EBSPを用いた結晶方位解析方法に比して、結晶粒毎の比較的ミクロな領域の組織(集合組織)を測定していることとなる。このため、リジングマークに影響する、板幅方向の前記した広域の組織(集合組織)を、上記EBSPを用いた結晶方位解析方法ほどには正確に、かつ効率的には測定することができない。
上記EBSPを用いた結晶方位解析方法は、組織観察用の試験片を、前記した各板断面から採取して、機械研磨およびバフ研磨を行った後、電解研磨して表面を調整する。このように得られた試験片について、SEM装置として、例えば日本電子社製SEM(JEOLJSM5410)、例えばTSL社製のEBSP測定・解析システム:OIM(Orientation Imaging Macrograph、解析ソフト名「OIMAnalysis」)を用いて、各結晶粒が、対象とする方位(理想方位から10°以内)か否かを判定し、測定視野における方位密度を求める。試験片の測定領域は1000μm×1000μmとし、測定ステップ間隔は例えば3μm以下とする。
この際、測定される材料の測定領域を通常、六角形等の領域に区切り、区切られた各領域について、試料表面に入射させた電子線の反射電子から、菊地パターンを得る。この際、電子線を試料表面に2次元で走査させ、所定ピッチ毎に結晶方位を測定すれば、試料表面の方位分布を測定できる。次に、得られた上記菊池パターンを解析して、電子線入射位置の結晶方位を知る。即ち、得られた菊地パターンを既知の結晶構造のデータと比較し、その測定点での結晶方位を求める。同様にして、その測定点に隣接する測定点の結晶方位を求め、これら互いに隣接する結晶の方位差が±15°以内(結晶面から±15°以内のずれ)のものは同一の結晶面に属するものとする(見なす)。また、両方の結晶の方位差が±15°を超える場合には、その間(両方の六角形が接している辺など)を粒界とする。このようにして、試料表面の結晶粒界の分布を求める。測定視野範囲は、例えば500μm×500μm程度の領域とし、これを試験片の適当箇所数か所で測定を行い平均化する。
(平均結晶粒径)
リジングマークを抑制するためには平均結晶粒径も微細化する、言い換えると、結晶粒径を粗大化させないことが好ましい。即ち、前記した板断面での各平均結晶粒径も各々50μm以下とすることが好ましい。また、結晶粒径をこの範囲に細かく乃至小さくすることによって、曲げ加工性やプレス成形性が確保乃至向上される。結晶粒径が50μmを越えて粗大化した場合、前記した結晶方位を制御しても、曲げ加工性や張出などのプレス成形性が著しく低下し、成形時の割れや肌荒れなどの不良が生じ易い。
ここで平均結晶粒径は、上記SEM−EBSPと、その測定条件を用い、所定の測定領域内に観察される各結晶粒の板の圧延方向の最大直径を各々測定し、得られた結果の平均値を算出する。
(化学成分組成)
本発明が対象とする6000系アルミニウム合金板の化学成分組成について説明する。本発明が対象とする6000系アルミニウム合金板は、前記した自動車の外板用の板などとして、優れた成形性やBH性、強度、溶接性、耐食性などの諸特性が要求される。
このような要求を満足するために、アルミニウム合金板の組成は、質量%で、Mg:0.1〜3.0%、Si:0.1〜2.5%、Mn:0.01〜1.0%、Cu:0.001〜1.0%を含み、残部がAlおよび不可避的不純物からなるものとする。なお、各元素の含有量の%表示は全て質量%の意味である。
本発明が対象とする6000系アルミニウム合金板は、リジングマークが生じやすいが、BH性がより優れた、SiとMgとの質量比Si/ Mgが1 以上であるような過剰Si型の6000系アルミニウム合金板に適用されて好ましい。6000系アルミニウム合金板は、プレス成形や曲げ加工時には低耐力化により成形性を確保するとともに、成形後のパネルの塗装焼付処理などの、比較的低温の人工時効処理時の加熱により時効硬化して耐力が向上し、必要な強度を確保できる優れた時効硬化能(BH性)を有している。この中でも、過剰Si型の6000系アルミニウム合金板は、質量比Si/ Mgが1未満の6000系アルミニウム合金板に比して、このBH性がより優れている。
Mg、Si、Mn、Cu以外のその他の元素は、基本的には不純物であり、AA乃至JIS 規格などに沿った各不純物レベルの含有量 (許容量) とする。しかし、リサイクルの観点から、溶解材として、高純度Al地金だけではなく、6000系合金やその他のアルミニウム合金スクラップ材、低純度Al地金などを溶解原料として多量に使用した場合には、下記その他の元素が不純物として混入される可能性がある。そして、これらの不純物元素を例えば検出限界以下に低減すること自体コストアップとなり、ある程度の含有の許容が必要となる。また、実質量含有しても本発明目的や効果を阻害しない含有範囲があり、この範囲では各々の元素の含有効果もある。
したがって、これらの不純物元素を各々以下に規定する量以下の範囲での含有を許容する。具体的には、Fe:1.0%以下、Cr:0.3%以下、Zr:0.3%以下、V:0.3%以下、Ti:0.1%以下、Ag:0.2%以下、Zn:1.0%以下の1種または2種以上を、この範囲で、上記した基本組成に加えて、更に含んでも良い。ここで、これらの各元素の各上限規定は、全て0%は含まないこととする。
上記6000系アルミニウム合金における、各元素の好ましい含有範囲と意義、あるいは許容量について以下に説明する。
Si:0.1〜2.5%
SiはMgとともに、固溶強化と、塗装焼き付け処理などの前記低温での人工時効処理時に、強度向上に寄与する時効析出物を形成して、時効硬化能を発揮し、自動車のアウタパネルとして必要な、例えば180MPa以上の必要強度(耐力)を得るための必須の元素である。したがって、本発明過剰Si型6000系アルミニウム合金板にあって、プレス成形性、ヘム加工などの曲げ加工性の諸特性を兼備させるための最重要元素である。
また、パネルへの成形後の低温塗装焼き付け処理後(2% ストレッチ付与後170 ℃×20分の低温時効処理時) の耐力を180MPa以上という、優れた低温時効硬化能を発揮させるためにも、Si/ Mgを質量比で1.0以上とし、SiをMgに対し過剰に含有させた過剰Si型6000系アルミニウム合金組成とすることが好ましい。
Si量が0.1%未満では、前記時効硬化能、更には、各用途に要求される、プレス成形性、曲げ加工性などの諸特性を兼備することができない。さらに、均熱処理や熱延で再結晶が促進されて、Goss方位やCube方位が発達しやすくなり、本発明の範囲にGoss方位とCube方位とを抑制、制御することができなくなる。一方、Siが2.5%を越えて含有されると、曲げ加工性やリジングマーク性を含めたプレス成形性が著しく阻害される。更に、溶接性も著しく阻害される。したがって、Siは0.1〜2.5%の範囲、好ましくは0.6〜1.2%の範囲とする。
Mg:0.1〜3.0%
Mgは、固溶強化と、塗装焼き付け処理などの前記人工時効処理時に、Siとともに強度向上に寄与する時効析出物を形成して、時効硬化能を発揮し、パネルとして、例えば180MPa以上の必要耐力を得るための必須の元素である。
Mgの0.1%未満の含有では、絶対量が不足するため、人工時効処理時に前記化合物相を形成できず、時効硬化能を発揮できない。このためパネルとして必要な180MPa以上の必要耐力が得られない。さらに、均熱処理や熱延で再結晶が促進されて、Goss方位やCube方位が発達しやすくなり、本発明の範囲にGoss方位とCube方位とを抑制、制御することができなくなる。
一方、Mgが3.0%を越えて含有されると、却って、リジングマーク性を含めたプレス成形性や曲げ加工性等の成形性が著しく阻害される。したがって、Mgの含有量は0.1〜3.0%%の範囲で、好ましくは、Si/ Mgが質量比で1.0以上となるような量とする。また、Si含有量を前記0.6〜1.2%の範囲とする場合には、これに対応して、Mg含有量も0.2〜0.7%の範囲とすることが好ましい。
Cu:0.001〜1.0%
Cuは、本発明の比較的低温短時間の人工時効処理の条件で、アルミニウム合金材組織の結晶粒内への強度向上に寄与する時効析出物の形成を促進させる効果がある。また、固溶したCuは成形性を向上させる効果もある。Cu含有量が0.001%未満、特に0.01%未満ではこの効果がない。一方、1.0%を越えると、耐応力腐食割れ性や、塗装後の耐蝕性の内の耐糸さび性、また溶接性を著しく劣化させる。このため、Cu含有量は0.001〜1.0%、好ましくは0.01〜1.0%とする。
Mn:0.01〜1.0%、
Mnには、均質化熱処理時に分散粒子 (分散相) を生成し、これらの分散粒子には再結晶後の粒界移動を妨げる効果があるため、微細な結晶粒を得ることができる効果がある。前記した通り、本発明アルミニウム合金板のプレス成形性やヘム加工性はアルミニウム合金組織の結晶粒が微細なほど向上する。この点、Mn含有量が0.01%未満ではこれらの効果が無い。
一方、Mn含有量が多くなった場合、溶解、鋳造時に粗大なAl−Fe−Si−(Mn、Cr、Zr) 系の金属間化合物や晶析出物を生成しやすく、アルミニウム合金板の機械的性質を低下させる原因となる。また、Mn含有量が1.0%を越えた場合、曲げ加工性が低下する。このため、Mnは0.01〜1.0%の範囲とし、好ましくは0.01〜0.15%の範囲とする。
(製造方法)
次ぎに、本発明アルミニウム合金板の製造方法について以下に説明する。本発明アルミニウム合金板は、製造工程自体は常法あるいは公知の方法であり、上記6000系成分組成のアルミニウム合金鋳塊を鋳造後に均質化熱処理し、熱間圧延、冷間圧延が施されて所定の板厚とされ、更に溶体化焼入れなどの調質処理が施されて製造される。但し、この中で、リジングマーク性向上のために、本発明の範囲に、Goss方位とCube方位との集合組織を制御するためには、下記鋳造時の冷却速度条件や均熱処理条件を制御する必要がある。
(溶解、鋳造)
先ず、溶解、鋳造工程では、上記6000系成分組成範囲内に溶解調整されたアルミニウム合金溶湯を、連続鋳造法、半連続鋳造法(DC鋳造法)等の通常の溶解鋳造法を適宜選択して鋳造する。
(鋳造冷却速度)
但し、鋳造時の冷却速度は、溶解温度(約700℃)から液相線温度までを150℃/分以上、液相線温度から固相線温度までを100℃/分以上と大きく(速く)することが好ましい。ただ、これまで、連続鋳造にしても、DC鋳造法にしても、このような、溶解温度(約700℃)から液相線温度までの、高温領域での温度(冷却速度)制御は、従来はほとんど行われていない。このような場合、この高温領域での冷却速度は必然的に遅くなる。
このように高温領域での冷却速度が遅くなった場合、この高温領域での温度範囲で粗大に生成する晶出物の量が多くなって、鋳塊の板幅方向での晶出物のサイズや量のばらつきも大きくなる。このような傾向は、溶解温度(約700℃)から液相線温度までの冷却速度が150℃/分未満、また、液相線温度から固相線温度までの冷却速度が100℃/分未満の場合に、特に著しくなる。
これが、鋳塊における結晶方位の大きなばらつきの起因となって、Goss方位やCube方位が発達しやすくなり、リジングマーク性向上のために、本発明の範囲にGoss方位とCube方位とを抑制、制御することができなくなる。また、これらそれぞれの高温領域での冷却速度が小さいと、鋳塊でのMgやSiの固溶量が減少するため、その後の均熱処理や熱延での再結晶が促進されて、Goss方位やCube方位が発達しやすくなり、本発明の範囲にGoss方位とCube方位とを抑制、制御することができなくなる。
(均質化熱処理)
次いで、前記鋳造されたアルミニウム合金鋳塊に均質化熱処理を施す。均質化熱処理の温度自体は、常法通り、500℃以上で融点未満の均質化温度が適宜選択される。この均質化熱処理(均熱処理)は、組織の均質化、すなわち、鋳塊組織中の結晶粒内の偏析をなくすことを目的とする。この均質化温度が低いと結晶粒内の偏析を十分に無くすことができず、これが破壊の起点として作用するために、伸びフランジ性や曲げ加工性が低下する。
但し、均熱処理の際の加熱昇温条件は、200℃以下で、かつ100℃以上の低温で2〜10時間(h)保持した後、300℃/時間(h)以上の速度で500℃以上の均質化温度に加熱する。均熱の初期に、このように、200℃以下、100℃以上の低温で保持することにより、微細な析出物を均一に分散させることができる。そして、この微細析出物が、Goss方位やCube方位の成長を著しく抑制する。この謂わば1段目の低温での均熱処理の、保持温度が200℃を超えたり、保持時間が10時間を超えると、析出物が粗大化して、このような効果が無くなり、Goss方位やCube方位が発達しやすくなる。また、この保持温度が2時間未満では保持時間が足らない。
続いて500℃以上の温度で均熱処理して、合金元素や粗大な化合物を十分に固溶させるが、上記の保持温度から500℃以上までの加熱速度が300℃/時間よりも小さい(遅い)と、その間にMg−Si化合物や単体Siが粗大に析出して均熱処理後まで残存する。これにより、合金元素や粗大な化合物の固溶量も減少し、熱延工程以降での再結晶が促進されて、Goss方位やCube方位が発達しやすくなる。したがって、上記の保持温度から均熱処理温度までの加熱、昇温速度は300℃/時間よりも大きい(速い)ことが好ましい。
また、均熱処理後の冷却速度は大きい(速い)方が好ましい。鋳塊 (スラブ) が大きくなったり、鋳塊をバッチ均熱炉内に置いての冷却では、均質化熱処理後の冷却速度は20℃/hr未満程度となる。また、鋳塊 (スラブ) が大きい場合には、バッチ均熱炉外に放置しても、冷却速度は30〜40℃/hr程度となる。このような通常の冷却手段で冷却すると、冷却速度が不足して、Mg−Si化合物などの析出物が粗大化し、Goss方位やCube方位が発達しやすくなる。したがって、均質化熱処理後の鋳塊を、ファンなどの強制冷却手段を用いて冷却して、冷却速度を40℃/hr以上とすることが好ましい。
(熱間圧延)
熱間圧延は、圧延する板厚に応じて、鋳塊 (スラブ) の粗圧延工程と、粗圧延後の板厚が約40mm以下の板を約4mm以下の板厚まで圧延する仕上げ圧延工程とから構成される。これら粗圧延工程や仕上げ圧延工程では、リバース式あるいはタンデム式などの圧延機が適宜用いられ、各々複数のパスからなる圧延が施される。
ここで、板の集合組織において、Goss方位やCube方位を発達させないためには、以下の特定熱延条件とすることが好ましい。即ち、前記粗圧延における開始温度が400〜550℃の温度範囲とされ、前記仕上げ圧延における総加工率が90%以上とされるとともに、仕上げ圧延終了温度が400℃以下とされることが好ましい。
例えば、熱間圧延(粗圧延)開始温度が400℃未満では、熱間圧延終了後に再結晶が進まず、加工組織が残存して、リジングマークが発生しやすくなる。一方、熱間粗圧延開始温度が550℃を超えた場合、再結晶が生じて熱間圧延時に粗大な再結晶粒が生成し、Goss方位やCube方位が発達しやすくなり、リジングマークの原因となる。
更に、熱間圧延(仕上げ圧延)終了温度が400℃を超えた場合、粗大な再結晶粒が生成し、Goss方位やCube方位が発達しやすくなり、リジングマークの原因となる。一方、熱間圧延終了温度が300℃未満でも、熱間圧延終了後に再結晶が進まず、加工組織が残存して、リジングマークが発生しやすくなる。したがって、熱間圧延終了温度は、好ましくは300℃以上、400℃以下とする。
(熱延板の焼鈍)
この熱延板の冷間圧延前の焼鈍 (荒鈍) は、基本的に行なわないことが好ましい。この焼鈍 (荒鈍) を省略することによって、板製造の効率化や製造コストの低減が図れる。
(冷間圧延)
冷間圧延では、上記熱延板を圧延して、所望の最終板厚の冷延板 (コイルも含む) に製作する。
(溶体化および焼入れ処理)
上記鋳塊の均熱によって本発明範囲内のサイズ分布と量とに制御した分散粒子を活用し、最終の溶体化および焼入れ処理において、リジングマークを抑制するために、Goss方位やCube方位を抑制するためには、最終の溶体化処理の昇温速度を100℃/分以上とすることが好ましい。
なお、溶体化処理の条件は、板のプレス成形後の塗装焼き付け硬化処理などの人工時効処理により強度向上に寄与する時効析出物を十分粒内に析出させるために、好ましくは500℃以上、融点以下までの温度範囲で行う。
溶体化処理温度からの焼入れ処理では、冷却速度が遅いと、粒界上にSi、Mg2 Siなどが析出しやすくなり、プレス成形や曲げ加工時の割れの起点となり易く、これら成形性が低下する。この冷却速度を確保するために、焼入れ処理は、ファンなどの空冷、ミスト、スプレー、浸漬等の水冷手段や条件を各々選択して用い、冷却速度を10℃/秒以上の急冷とすることが好ましい。
本発明では、成形パネルの塗装焼き付け工程などの人工時効硬化処理での時効硬化性をより高めるため、焼入れ処理後に、強度向上に寄与する時効析出物の析出を促進するために、予備時効処理をしても良い。この予備時効処理は、60〜150℃、好ましくは70〜120℃の温度範囲に、1〜24時間の必要時間保持することが好ましい。この予備時効処理として、上記焼入れ処理の冷却終了温度を60〜150℃と高くした後に、直ちに再加熱乃至そのまま保持して行う。あるいは、溶体化処理後常温までの焼入れ処理の後に、5分以内に、直ちに60〜150℃に再加熱して行う。
更に、室温時効抑制のために、前記予備時効処理後に、時間的な遅滞無く、比較的低温での熱処理 (人工時効処理) を行っても良い。前記時間的な遅滞があった場合、予備時効処理後でも、時間の経過とともに室温時効 (自然時効) が生じ、この室温時効が生じた後では、前記比較的低温での熱処理による効果が発揮しにくくなる。
また、連続溶体化焼入れ処理の場合には、前記予備時効の温度範囲で焼入れ処理を終了し、そのままの高温でコイルに巻き取るなどして行う。なお、コイルに巻き取る前に再加熱しても、巻き取り後に保温しても良い。また、常温までの焼入れ処理の後に、前記温度範囲に再加熱して高温で巻き取るなどしてもよい。
この他、用途や必要特性に応じて、更に高温の時効処理や安定化処理を行い、より高強度化などを図ることなども勿論可能である。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。
次に、本発明の実施例を説明する。表1に示すA〜Kの組成の6000系アルミニウム合金板を、表2に示す条件で、均質化熱処理 (均熱処理と略記) および熱間圧延 (熱延と略記) し、更に、冷間圧延を行い、溶体化および焼入れ処理して、製造した。なお、表1中の各元素の含有量の表示において、「−」の表示は、検出限界以下であることを示す。
アルミニウム合金板のより具体的な製造条件は以下の通りである。表1に示す各組成の500mm厚さ、2000mm幅、7m長さの鋳塊を、DC鋳造法により共通して溶製した。この際、表2に示すように、鋳造時の冷却速度(℃/分)を、各例とも共通させた溶解温度(約700℃)から、液相線温度(各例ともほぼ同じ約650℃)までの間と、この液相線温度から固相線温度(各例ともほぼ同じ約590℃)までの間の2段階で変化させた。
続く、鋳塊の均熱処理の際には、表2に示すように、加熱昇温時に低温での保持(前記1段目の低温での均熱処理:℃×h )を施す条件と、均熱処理温度までの加熱昇温速度(℃/h)とを変化させた。なお、この均熱処理後の冷却は、各例とも共通して、前記した好ましい冷却条件である、60℃/hrの特定冷却速度範囲となるように、均熱炉内でファンにより鋳塊を、200℃以下の温度まで強制空冷した。
この均熱処理後、各例とも共通して、表2に示す熱延開始温度に再加熱し、この温度で熱延(粗圧延)を開始し、厚さ2.5mmまで熱延(仕上げ圧延)した。この際の各例の熱延(仕上げ圧延)の終了温度も表2に示す。これらの熱延条件は、各例とも共通して、前記した好ましい温度条件で行った。これらの熱延板を、各例とも共通して、荒鈍を省略した上で、冷延率60%で直接冷間圧延を行い、厚さ1.0mmの冷延板を得た。
そして、この冷延板を、連続式の熱処理設備で、各例とも共通して、昇温速度およそ300℃/分で加熱し、550℃の溶体化処理温度に到達した時点で5秒保持する溶体化処理を行い、直ちに室温まで、冷却速度100℃/秒以上の急冷にて焼入れた。また、この焼入れ後5分以内に(直ちに)、100℃の温度で2時間保持する予備時効(再加熱)処理を行った。この予備時効処理後は0.6℃/hrで徐冷し、T4調質材を得た。
これら調質処理後の各最終製品板から供試板 (ブランク) を切り出し、前記調質処理後15日の室温時効(室温放置)後の、各供試板の組織や特性を測定、評価した。
(供試板組織)
前記調質処理後15日間の室温時効後の供試板の集合組織を、前記SEM−EBSPを用いて、測定・解析した。この供試板を厳しいプレス成形を模擬して、板幅方向に(圧延と直角方向に)20%ストレッチして予ひずみを付与した後の板幅方向の板断面をEBSP測定面とした。そして、このEBSP測定面は、板幅中央部の20mmに亙る板幅間を、板幅方向に250μm毎に各々区切った際の(但し、前記図2の1〜3の間隔は1mm)、これら区切られた箇所の各板断面とした。即ち、これら区切られた箇所の各板断面における、Goss方位、Cube方位の各面積率の平均値、これらGoss方位、Cube方位の各面積率の内の最大値と最小値との差を測定、解析した。また、このEBSP測定の際、同時に供試板の平均結晶粒径も測定した。これらの結果を表3 に示す。
(供試板特性)
更に、前記供試板の特性として、リジングマーク性、0.2%耐力(As耐力: MPa)、伸び(%)を各々測定した。これらの結果も表3 に示す。
(リジングマーク)
前記20%ストレッチした後の供試板の集合組織測定・解析部分(板の板幅中央部)の幅方向表面を、コントレーサー(3次元形状測定器)で形状測定するとともに、得られた3次元形状データを、解析ソフトにより、周波数解析した。この3次元形状データを周波数解析した結果を図5に例示する。この図5(スキャン例1〜4)は後述する比較例9:図1のデータであり、図5の縦軸は板の表面凹凸高さ、横軸は板幅方向の長さである。なお、このコントレーサーで形状測定した板表面の箇所は、前記供試板のEBSP測定面近傍の板表面(前記図2の1〜3までの箇所の内の1)とした。
コントレーサーの形状測定条件は、測定プローブ先端R25μm、測定ピッチ25μm、測定距離(板幅方向)6000μm(6mm)とした。そして、このコントレーサーの表面凹凸測定データを、解析ソフトVIVIANを用いて、空間周波数(換算するとμm単位の空間周期)で解析し、縦軸が頻度、横軸が空間周波数との関係で、表面凹凸プロファイル化した。そして、このプロファイルを解析した結果、リジングマークが発生している各比較例では、空間周波数が約3〜5×10-4μm、空間周期に換算すると2〜3μmのところに、顕著な(特徴的な)ピークがあることが認められた。この表面凹凸プロファイル化データを図6(スキャン例1〜4)に例示する。図6の点線の円で囲む部分が空間周期に換算して2〜3μmのところの特徴的なピークである。これが、前記した、板に発生したリジングマーク(表面凹凸)は、板幅方向の長さが約2〜3mmに亙る比較的大きな周期を有しているとした根拠である。
更に、この表面凹凸プロファイルを、フィルター処理して、リジングマークに対応すると考えられる空間周波数以外の空間周波数をノイズとして除去し、補正プロファイルを作成した。この補正プロファイルを図7(スキャン例1〜4)に例示する。この結果、リジングマークが無い発明例では、プロファイルにおける凹凸曲線の山と谷とは圧延方向に対応しないが、リジングマークがある比較例では、図7に示すように、プロファイルにおける凹凸曲線の山と谷とが圧延方向に対応していた。そして、リジングマークがある比較例のプロファイルでは、図7に示すように、凹凸曲線の山と谷との振幅も、リジングマークが無い発明例に比して、著しく大きくなっていた。
本発明では、前記表面凹凸プロファイルにおける、リジングマーク発生の有無を示す、前記各特徴点の内から、数値的に(定量的に)把握できる凹凸曲線の山と谷との振幅(μm)を、リジングマーク発生の尺度とした。即ち、凹凸曲線の山と谷との振幅が0.3μm以下では、実際にリジングマークが発生しておらず、プレス成形性が優れるとして、◎と評価した。また、振幅が0.3μmを超えるが、0.5μm以下である場合には、リジングマークが発生しているものの、比較的軽度であり、成形条件によってはプレス成形可能として、○と評価した。更に、振幅が0.5μmを超える場合は、前記図1のように大きなリジングマークが発生しており、成形条件を変えてもプレス成形性(リジングマーク性)が悪いとして、×と評価した。
前記ストレッチを付与するための引張試験は、前記調質処理後15日間の室温時効後のアルミニウム合金板からJISZ2201の5号試験片(25mm×50mmGL×板厚)を採取し、室温引張りを行った。このときの試験片の引張り方向を圧延方向の直角方向とした。引張り速度は、0.2%耐力までは5mm/分、耐力以降は20mm/分とした。この方法によって、0.2%耐力と伸びを測定した結果を表3に示す(N数=5の平均値)。
表1〜2に示す通り、各発明例は、本発明成分組成範囲内で、かつ、好ましい条件範囲で鋳造(鋳造時の冷却速度)、均質化熱処理(低温保持、昇温・冷却速度)および熱間圧延を行なっている。このため、表3 に示す通り、本発明で規定する集合組織を有する。即ち、リジングマークを抑制するために、前記した板の比較的広域な領域における、Goss方位とCube方位との各方位を規制するだけでなく、この比較的広域な領域に存在するGoss方位とCube方位との各々の偏差をも極力少なくしている。また、各発明例は、平均結晶粒径も各々50μm以下である。
この結果、各発明例は、前記調質処理後に室温時効して、成形性が低下した過剰Si型の組成の6000系アルミニウム合金板の例でも、板表面の凹凸における前記平均振幅が小さく、リジングマーク性が優れている。また、強度、伸びなど機械的特性にも優れている。
これに対して、比較例8〜12は、上記発明例2と同じ合金例を用いている。しかし、これら各比較例は、表2に示す通り、鋳造(鋳造時の冷却速度)、均質化熱処理(昇温時)の製造条件が好ましい範囲を外れている。この結果、これら比較例は、板表面の凹凸における前記平均振幅が上記発明例よりも大きく、リジングマーク性が劣っている。
比較例8は鋳造時の冷却速度の内、溶解温度(約700℃)から液相線温度までと、液相線温度から固相線温度までの冷却速度がともに小さすぎる(遅すぎる)。比較例9は均熱処理の際の加熱昇温条件の内、200℃以下で、かつ100℃以上の低温保持を行っていない。比較例10は、この低温保持温度が低すぎる。比較例11は、この低温保持後の加熱昇温速度が小さすぎる(遅すぎる)。比較例12は、この低温保持温度が高すぎる。
ここで、図3に発明例1、図4に比較例11の、前記図1と同様の、EBSPにより測定した板幅方向の組織(板断面)およびGoss方位とCube方位の各面積率の板幅方向の変化(板断面)とを併せて示す。この図3、4との比較において、図3の発明例1の方が、図4の比較例11よりも、前記した板の比較的広域な幅方向の領域におけるGoss方位(一番下の太線)とCube方位(黒丸印の一番上の太線)との各面積率が少なく、この比較的広域な幅方向の領域に存在するGoss方位とCube方位との各々の偏差も少なくなっていることが分かる。なお、この図3、4において、薄い丸印の細線がBrass方位、三角印の細線がS方位、米印の細線がCu方位である。また、この図3、4においては、前記図1と同様に、図の上下方向が板厚方向であり、図の上側が板の表面側(測定表面側)、図の左右方向が板幅方向である。
比較例13〜16は、好ましい範囲で、鋳造(鋳造時の冷却速度)、均質化熱処理(昇温時)しているものの、成分組成が本発明範囲を外れる。したがって、成分組成の点からもリジングマーク性が発明例に比して著しく劣るか、リジングマーク性が良くても強度や伸びが発明例に比して著しく劣る。
したがって、以上の実施例の結果から、本発明における成分や組織の各要件、あるいは好ましい製造条件の、リジングマーク性や機械的性質などを兼備するための臨界的な意義乃至効果が裏付けられる。
Figure 2009173971
Figure 2009173971
Figure 2009173971
本発明によれば、成形条件がより厳しくなった場合に、その発生が顕著になるプレス成形時のリジングマークを再現性良く防止でき、機械的特性にも優れたAl−Mg−Si系アルミニウム合金板を提供できる。この結果、自動車、船舶あるいは車両などの輸送機、家電製品、建築、構造物の部材や部品用として、また、特に、自動車などの輸送機の部材に、6000系アルミニウム合金板の適用を拡大できる。
アルミニウム合金板の組織や表面の凹凸を示す説明図である。 図1のアルミニウム合金板におけるデータ採取位置を示す斜視図である。 発明例の板幅方向の組織およびGoss方位とCube方位の各面積率の板幅方向の変化(板断面)とを併せて示す説明図である。 比較例の板幅方向の組織およびGoss方位とCube方位の各面積率の板幅方向の変化(板断面)とを併せて示す説明図である。 アルミニウム合金板(比較例)表面の3次元形状データを解析ソフトにより周波数解析した説明図である。 図5のデータを表面凹凸プロファイル化した説明図である。 図6の表面凹凸プロファイルをフィルター処理した補正プロファイルを示す説明図である。

Claims (2)

  1. 質量%で、Mg:0.1〜3.0%、Si:0.1〜2.5%、Mn:0.01〜1.0%、Cu:0.001〜1.0%を含み、残部がAlおよび不可避的不純物からなるAl−Mg−Si系アルミニウム合金板において、この板の任意の20mmの長さに亙る板幅間の集合組織であって、この板幅間を250μm毎に各々区切った際の、これら区切られた箇所の各板断面におけるGoss方位の各面積率の平均値が3%以下であるとともに、これらGoss方位の各面積率の内の最大値と最小値との差が2%以下であり、前記区切られた箇所の各板断面におけるCube方位の各面積率の平均値が10%以下であるとともに、これらCube方位の各面積率の内の最大値と最小値との差が5%以下であることを特徴とする成形時のリジングマーク性に優れたアルミニウム合金板。
  2. 前記アルミニウム合金板が、更に、Fe:1.0%以下、Cr:0.3%以下、Zr:0.3%以下、V:0.3%以下、Ti:0.1%以下、Ag:0.2%以下、Zn:1.0%以下(但し、これらの上限規定は全て0%を含まず)の1種または2種以上を含む請求項1に記載の成形時のリジングマーク性に優れたアルミニウム合金板。
JP2008011766A 2008-01-22 2008-01-22 成形時のリジングマーク性に優れたアルミニウム合金板 Expired - Fee Related JP4312819B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008011766A JP4312819B2 (ja) 2008-01-22 2008-01-22 成形時のリジングマーク性に優れたアルミニウム合金板
CN2009801026133A CN101918602B (zh) 2008-01-22 2009-01-20 铝合金板
PCT/JP2009/050722 WO2009093559A1 (ja) 2008-01-22 2009-01-20 アルミニウム合金板
KR1020107016324A KR101180226B1 (ko) 2008-01-22 2009-01-20 알루미늄 합금판

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008011766A JP4312819B2 (ja) 2008-01-22 2008-01-22 成形時のリジングマーク性に優れたアルミニウム合金板

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009173971A true JP2009173971A (ja) 2009-08-06
JP4312819B2 JP4312819B2 (ja) 2009-08-12

Family

ID=40901067

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008011766A Expired - Fee Related JP4312819B2 (ja) 2008-01-22 2008-01-22 成形時のリジングマーク性に優れたアルミニウム合金板

Country Status (4)

Country Link
JP (1) JP4312819B2 (ja)
KR (1) KR101180226B1 (ja)
CN (1) CN101918602B (ja)
WO (1) WO2009093559A1 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010126804A (ja) * 2008-12-01 2010-06-10 Sumitomo Light Metal Ind Ltd 角型容器用アルミニウム合金板
JP2010242215A (ja) * 2009-03-19 2010-10-28 Kobe Steel Ltd 成形時のリジングマーク性に優れたアルミニウム合金板
CN102418014A (zh) * 2011-11-17 2012-04-18 张洁 一种电动自行车车架管用铝合金
CN103849797A (zh) * 2014-01-16 2014-06-11 滁州东润电子科技有限公司 一种led灯具散热器铸造铝合金材料及其制备工艺
JP2014234542A (ja) * 2013-06-04 2014-12-15 株式会社Uacj 耐リジング性に優れたアルミニウム合金板
JP2015224377A (ja) * 2014-05-29 2015-12-14 株式会社Uacj 耐リジング性に優れたアルミニウム合金板

Families Citing this family (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102492878A (zh) * 2011-11-15 2012-06-13 徐艳 一种电动自行车用铝合金车架管的生产方法
CN102489936A (zh) * 2011-11-15 2012-06-13 徐艳 一种电动自行车用铝合金车架的生产方法
CN102392157B (zh) * 2011-11-17 2017-02-01 江苏亘德科技有限公司 一种电动自行车车架管用铝合金棒的制备方法
CN102816957A (zh) * 2012-08-18 2012-12-12 佛山金兰铝厂有限公司 铝合金灯饰材料及利用该材料生产铝合金圆管的方法
PT2924135T (pt) * 2014-03-28 2018-02-09 Hydro Aluminium Rolled Prod Processo para a produção de uma banda de uma liga de alumínio de média tenacidade e de grande deformabilidade para produtos semiacabados ou para componentes de veículos automóveis
CN105401016B (zh) * 2014-09-10 2018-01-30 株式会社神户制钢所 铝合金板
JP2016222958A (ja) * 2015-05-28 2016-12-28 株式会社神戸製鋼所 高強度アルミニウム合金板
JP2017002388A (ja) * 2015-06-16 2017-01-05 株式会社神戸製鋼所 高強度アルミニウム合金熱間鍛造材
WO2017106665A1 (en) 2015-12-18 2017-06-22 Novelis Inc. High strength 6xxx aluminum alloys and methods of making the same
KR102086983B1 (ko) 2015-12-18 2020-03-09 노벨리스 인크. 고-강도 6xxx 알루미늄 합금 및 이것의 제조 방법
GB2552399A (en) * 2016-02-26 2018-01-24 Uacj Corp Hot forming aluminium alloy plate and production method therefor
US11932928B2 (en) 2018-05-15 2024-03-19 Novelis Inc. High strength 6xxx and 7xxx aluminum alloys and methods of making the same
CN110760723A (zh) * 2019-07-19 2020-02-07 北京工业大学 一种铝镁硅铒锆合金及提高高温力学性能的制备工艺
KR102393019B1 (ko) * 2020-07-21 2022-05-02 현대제철 주식회사 알루미늄 합금판재 및 그 제조방법
KR102393020B1 (ko) * 2020-09-25 2022-05-02 현대제철 주식회사 알루미늄 합금판재 및 그 제조방법
KR102674147B1 (ko) * 2021-09-28 2024-06-12 현대제철 주식회사 알루미늄 합금재 및 그 제조방법
CN116676501B (zh) * 2023-06-02 2023-10-17 南京工程学院 一种高性能铝合金及其制造方法和应用

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5514228A (en) * 1992-06-23 1996-05-07 Kaiser Aluminum & Chemical Corporation Method of manufacturing aluminum alloy sheet
EP1165851A1 (en) * 1999-03-01 2002-01-02 Alcan International Limited Aa6000 aluminium sheet method
JP2003519192A (ja) 1999-12-30 2003-06-17 プロテオテック・インコーポレーテッド アルツハイマー病におけるアミロイド症および他のアミロイド症の治療のためのカテキンおよび緑茶抽出物
CN100415917C (zh) * 2001-03-28 2008-09-03 住友轻金属工业株式会社 成型性及涂敷烧结硬化性优良的铝合金板及其制造方法
JP3947052B2 (ja) 2002-06-27 2007-07-18 不双産業株式会社 ドリップバッグと、ドリップバッグの製造方法
JP4001007B2 (ja) * 2002-12-19 2007-10-31 日本軽金属株式会社 矩形断面電池容器用アルミニウム合金板
JP4939088B2 (ja) * 2006-03-16 2012-05-23 株式会社神戸製鋼所 成形時のリジングマーク性に優れたアルミニウム合金板の製造方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010126804A (ja) * 2008-12-01 2010-06-10 Sumitomo Light Metal Ind Ltd 角型容器用アルミニウム合金板
JP2010242215A (ja) * 2009-03-19 2010-10-28 Kobe Steel Ltd 成形時のリジングマーク性に優れたアルミニウム合金板
CN102418014A (zh) * 2011-11-17 2012-04-18 张洁 一种电动自行车车架管用铝合金
JP2014234542A (ja) * 2013-06-04 2014-12-15 株式会社Uacj 耐リジング性に優れたアルミニウム合金板
CN103849797A (zh) * 2014-01-16 2014-06-11 滁州东润电子科技有限公司 一种led灯具散热器铸造铝合金材料及其制备工艺
JP2015224377A (ja) * 2014-05-29 2015-12-14 株式会社Uacj 耐リジング性に優れたアルミニウム合金板

Also Published As

Publication number Publication date
WO2009093559A1 (ja) 2009-07-30
JP4312819B2 (ja) 2009-08-12
KR20100093616A (ko) 2010-08-25
KR101180226B1 (ko) 2012-09-05
CN101918602B (zh) 2012-07-04
CN101918602A (zh) 2010-12-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4312819B2 (ja) 成形時のリジングマーク性に優れたアルミニウム合金板
JP5203772B2 (ja) 塗装焼付け硬化性に優れ、室温時効を抑制したアルミニウム合金板およびその製造方法
JP5336240B2 (ja) 成形加工後の表面性状に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法
JP5406745B2 (ja) 成形時のリジングマーク性に優れたアルミニウム合金板
US9453273B2 (en) Aluminum alloy sheet with excellent paint-bake hardenability
JP5852534B2 (ja) 焼付け塗装硬化性に優れたアルミニウム合金板
WO2016140335A1 (ja) アルミニウム合金板
JP4939088B2 (ja) 成形時のリジングマーク性に優れたアルミニウム合金板の製造方法
JP2007169740A (ja) 成形性に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法
US20170283913A1 (en) Aluminum alloy sheet having high formability
JP2008045192A (ja) 成形時のリジングマーク性に優れたアルミニウム合金板
JP4939091B2 (ja) 曲げ加工性に優れたアルミニウム合金板の製造方法
WO2015034024A1 (ja) 焼付け塗装硬化性に優れたアルミニウム合金板
JP5643479B2 (ja) 曲げ性に優れたAl−Mg−Si系アルミニウム合金板
JP2009173973A (ja) 成形時のリジングマーク性に優れたアルミニウム合金板
JP2009173972A (ja) 成形時のリジングマーク性に優れたアルミニウム合金板
JP2019026897A (ja) 構造部材用アルミニウム合金板およびアルミニウム合金構造部材の製造方法
KR101159410B1 (ko) 도장 베이킹 경화성이 우수하고, 실온 시효를 억제한 알루미늄 합금판 및 그 제조 방법
JP4328242B2 (ja) リジングマーク特性に優れたアルミニウム合金板
JP2018204116A (ja) アルミニウム合金板
JP2004010982A (ja) 曲げ加工性とプレス成形性に優れたアルミニウム合金板
JP2017210673A (ja) r値の異方性が小さいプレス成形用アルミニウム合金板およびその製造方法
JP3838504B2 (ja) パネル成形用アルミニウム合金板およびその製造方法
JP6768568B2 (ja) プレス成形性、リジングマーク性、bh性に優れたアルミニウム合金板
JP4202894B2 (ja) Mg含有Al合金

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090513

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120522

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4312819

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120522

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130522

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140522

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees