JP5336240B2 - 成形加工後の表面性状に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法 - Google Patents

成形加工後の表面性状に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5336240B2
JP5336240B2 JP2009079481A JP2009079481A JP5336240B2 JP 5336240 B2 JP5336240 B2 JP 5336240B2 JP 2009079481 A JP2009079481 A JP 2009079481A JP 2009079481 A JP2009079481 A JP 2009079481A JP 5336240 B2 JP5336240 B2 JP 5336240B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
average area
area ratio
aluminum alloy
orientation
plate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2009079481A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009263781A (ja
Inventor
康夫 高木
健夫 櫻井
光鎭 李
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP2009079481A priority Critical patent/JP5336240B2/ja
Publication of JP2009263781A publication Critical patent/JP2009263781A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5336240B2 publication Critical patent/JP5336240B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C21/00Alloys based on aluminium
    • C22C21/06Alloys based on aluminium with magnesium as the next major constituent
    • C22C21/08Alloys based on aluminium with magnesium as the next major constituent with silicon
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22FCHANGING THE PHYSICAL STRUCTURE OF NON-FERROUS METALS AND NON-FERROUS ALLOYS
    • C22F1/00Changing the physical structure of non-ferrous metals or alloys by heat treatment or by hot or cold working
    • C22F1/04Changing the physical structure of non-ferrous metals or alloys by heat treatment or by hot or cold working of aluminium or alloys based thereon
    • C22F1/043Changing the physical structure of non-ferrous metals or alloys by heat treatment or by hot or cold working of aluminium or alloys based thereon of alloys with silicon as the next major constituent
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22FCHANGING THE PHYSICAL STRUCTURE OF NON-FERROUS METALS AND NON-FERROUS ALLOYS
    • C22F1/00Changing the physical structure of non-ferrous metals or alloys by heat treatment or by hot or cold working
    • C22F1/04Changing the physical structure of non-ferrous metals or alloys by heat treatment or by hot or cold working of aluminium or alloys based thereon
    • C22F1/05Changing the physical structure of non-ferrous metals or alloys by heat treatment or by hot or cold working of aluminium or alloys based thereon of alloys of the Al-Si-Mg type, i.e. containing silicon and magnesium in approximately equal proportions

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Thermal Sciences (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Metal Rolling (AREA)

Description

本発明は、プレスなどの成形加工後の表面性状に優れたアルミニウム合金板(以下、アルミニウムを単にAlとも言う)およびその製造方法に関し、パネルへのプレス成形加工時に発生する表面凸凹(リジングマーク、ローピングとも言う)を抑制できるAl−Mg−Si系アルミニウム合金板およびその製造方法に関する。本発明で言うアルミニウム合金板とは、圧延後に溶体化および焼入れ処理などの調質が施された板であって、プレス成形などによってパネルに成形加工される前の、成形用の素材板のことを言う。
近年、排気ガス等による地球環境問題に対して、自動車などの輸送機の車体の軽量化による燃費の向上が追求されている。このため、特に、自動車の車体に対し、従来から使用されている鋼材に代わって、成形性や焼付硬化性に優れた、より軽量なアルミニウム合金材の適用が増加しつつある。
この内、自動車のフード、フェンダー、ドア、ルーフ、トランクリッドなどのパネル構造体の、アウタパネル (外板) やインナパネル( 内板) 等のパネルには、薄肉でかつ高強度アルミニウム合金板として、過剰Si型などのAl−Mg−Si系のAA乃至JIS 6000系 (以下、単に6000系と言う) のアルミニウム合金板の使用が検討されている。
6000系アルミニウム合金板は、基本的には、Si、Mgを必須として含み、優れた時効硬化能を有している。また、過剰Si型の6000系アルミニウム合金は、これらSi/Mgが質量比で1以上である組成を有する。このため、プレス成形や曲げ加工時には低耐力化により成形性を確保するとともに、成形後のパネルの塗装焼付処理などの、比較的低温の人工時効( 硬化) 処理時の加熱により時効硬化して耐力が向上し、パネルとしての必要な強度を確保できるBH性 (ベークハード性、人工時効硬化能、塗装焼付硬化性) がある。
また、6000系アルミニウム合金板は、Mg量などの合金量が多い他の5000系アルミニウム合金などに比して、合金元素量が比較的少ない。このため、これら6000系アルミニウム合金板のスクラップを、アルミニウム合金溶解材 (溶解原料) として再利用する際に、元の6000系アルミニウム合金鋳塊が得やすく、リサイクル性にも優れている。
一方、自動車のアウタパネルは、周知の通り、アルミニウム合金板に対し、プレス成形における張出成形時や曲げ成形などの成形加工が複合して行われて製作される。例えば、フードやドアなどの大型のアウタパネルでは、張出などのプレス成形によって、アウタパネルとしての成形品形状となされ、次いで、このアウタパネル周縁部のフラットヘムなどのヘム (ヘミング) 加工によって、インナパネルとの接合が行われ、パネル構造体とされる。
この際、6000系アルミニウム合金板を素材とした、プレス成形後のパネルには、リジングマークなどの表面の肌荒れ不良が生じ易いという課題がある。リジングマークは、板のスジ状に並んだ集合組織に起因し、プレス成形などの変形時に、板表面の凹凸を生じる現象である。このため、素材であるアルミニウム合金板の結晶粒が肌荒れを生じない程度に微細であっても、プレス成形によって生じる点がやっかいである。また、プレス成形直後には比較的目立たず、そのままパネル構造体として塗装工程に進んだ後に目立ちやすくなるという問題もある。
このリジングマークは、パネル構造体の大型化や形状の複雑化、あるいは薄肉化などによりプレス成形条件が厳しくなった場合に特に生じ易い。また、プレス成形直後には比較的目立たず、そのままパネル構造体として塗装工程に進んだ後に目立ちやすくなるという問題もある。
このリジングマークが生じた場合、特に表面が美麗であることが要求される、外板 (アウタ) 用などのパネル構造体では、外観不良となって使用できない問題となる。このようなリジングマークの問題に対し、従来から、鋳塊を500℃以上の温度で均質化熱処理後に冷却して、あるいは室温に冷却後再加熱して、350〜450℃の比較的低温で熱延を開始する、あるいは化合物を制御する、ことにより、過剰Si型6000系アルミニウム合金板のリジングマークを防止することが公知である (特許文献1、2 、3、10参照) 。
6000系アルミニウム合金板の集合組織(結晶方位)を制御してリジングマークを改善する方法も種々提案されている。例えば、{100}面の結晶方位成分に着目し、板表層部でのCube方位の集積度を2〜5、板表面部の結晶粒径を45μm以下に微細化することが提案されている (特許文献4参照) 。また、6000系アルミニウム合金板における、例えば、Cube方位、Goss方位、Brass方位、CR方位、RW方位、S方位、PP方位など、種々の方位の分布密度を同時に規定することも提案されている (特許文献5、9参照) 。
更に、隣接する結晶方位差を15°以下である結晶粒界の占める割合を20%以上とすることも提案されている (特許文献6参照) 。また、6000系アルミニウム合金板における耳率を4%以上、結晶粒径を45μm以下とすることも提案されている (特許文献7参照) 。また、Mgを含有するアルミニウム合金であって、合金表面における結晶粒の板面方位が(100)面から10゜以内の結晶粒が占める面積率と、(100)面から20゜以内の結晶粒が占める面積率とを特定の関係とすることも提案されている (特許文献8参照) 。
特許第2823797 号公報 特開平8 ー232052号公報 特開平7 ー228956号公報 特開平11ー189836号公報 特開平11ー236639号公報 特開2003ー171726号公報 特開2000ー96175 号公報 特開2005ー146310号公報 特開2004ー292899号公報 特開2005ー240113号公報
前記従来技術は、前記特許文献4〜9のような板の集合組織乃至特性を制御することも含めて、リジングマーク抑制に一定の効果はある。しかし、より深いあるいはより複雑な3次元形状のパネルに成形されるなど、成形による板厚減少量が10%を超えるような成形条件がより厳しくなった場合には、その効果が未だ不十分である。また、その製造方法の規定も緩慢で、かく広範囲であって、確実に規定する集合組織やリジングマークを抑制できる特性が得られるとは限らなかった。
また、前記特許文献1、2などでは、均質化熱処理後に低温の熱延開始温度まで冷却する場合、この冷却速度が遅いと、Mg−Si系化合物が析出、粗大化するため、溶体化および焼入れ処理を高温、長時間化する必要が生じ、生産性を著しく低下させる問題がある。近年、生産効率の点から、鋳塊は例えば500mmt以上に大型化している。この大型化した鋳塊ほど、均質化熱処理後に熱延開始温度まで急冷するに際し、その冷却速度および熱延開始温度を安定して制御することは、実際の製造設備上あるいは製造工程上の制約もあって、非常に困難なものとなる。したがって、実際の製造工程では、均質化熱処理後に低温の熱延開始温度まで冷却する場合、その冷却速度は必然的に遅いものとならざるを得ない。このため、現実には、前記比較的低温での熱延開始だけでは、最終製品の材料特性が不安定となったり、溶体化および焼入れ処理時の生産性の低下を招き、リジングマーク防止に効果的な方法とは言い難い。
本発明はこの様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、成形条件がより厳しくなった場合にその発生が顕著になる、プレス成形時のリジングマークを再現性良く防止できる、成形加工後の表面性状に優れたAl−Mg−Si系アルミニウム合金板およびその製造方法を提供しようとするものである。
この目的を達成するために、本発明の成形加工後の表面性状に優れたアルミニウム合金板の第一の要旨は、質量%で、Mg:0.4〜1.0%、Si:0.4〜1.5%、Mn:0.01〜0.5%、Cu:0.001〜1.0%を含み、残部がAlおよび不可避的不純物からなるAl−Mg−Si系アルミニウム合金板において、この合金板の表面における集合組織であって、任意の圧延幅方向500μm×圧延長手方向2000μmに亙る矩形領域のCube方位平均面積率をWとし、この矩形領域に圧延幅方向に亙って順次互いに隣接する同一面積の矩形領域10個のCube方位平均面積率を各々W1〜W10とするとともに、これらW1〜W10の内の、最小となるCube方位平均面積率をWmin 、最大となるCube方位平均面積率をWmax とした際に、前記Wmin を2%以上とするとともに、前記Wmax と前記Wmin との差Wmax −Wmin を10%以下としたことである。
この目的を達成するために、本発明の成形加工後の表面性状に優れたアルミニウム合金板の第二の要旨は、質量%で、Mg:0.4〜1.0%、Si:0.4〜1.5%、Mn:0.01〜0.5%、Cu:0.001〜1.0%を含み、残部がAlおよび不可避的不純物からなるAl−Mg−Si系アルミニウム合金板において、この合金板の表面における集合組織であって、任意の圧延幅方向500μm×圧延長手方向2000μmに亙る矩形領域の、Cube方位平均面積率をW、S方位平均面積率をS、Cu方位平均面積率をCとし、これらの方位相互の平均面積率の差AをW−S−Cの式により求める際に、この矩形領域に圧延幅方向に亙って順次互いに隣接する同一面積の矩形領域10個の、Cube方位平均面積率を各々W1〜W10、S方位平均面積率を各々S1〜S10、Cu方位平均面積率を各々C1〜C10とし、前記式により各々求められる、これらの方位相互の平均面積率差を各々A1〜A10とした際に、前記Cube方位平均面積率W1〜W10の内の最小となるCube方位平均面積率Wmin を2%以上とし、かつ、前記方位相互の平均面積率差A1〜A10の内の最大となる平均面積率差Amax と、最小となる平均面積率差Amin との差Amax −Amin を10%以下としたことである。
この目的を達成するために、本発明の成形加工後の表面性状に優れたアルミニウム合金板の第三の要旨は、質量%で、Mg:0.4〜1.0%、Si:0.4〜1.5%、Mn:0.01〜0.5%、Cu:0.001〜1.0%を含み、残部がAlおよび不可避的不純物からなるAl−Mg−Si系アルミニウム合金板において、この合金板の表面から板厚の1/4だけの深さ部分における集合組織であって、任意の圧延幅方向500μm×圧延長手方向2000μmに亙る矩形領域の、Cube方位平均面積率をW、S方位平均面積率をS、Cu方位平均面積率をCとし、これらの方位相互の平均面積率の差AをW−S−Cの式により求める際に、この矩形領域に圧延幅方向に亙って順次互いに隣接する同一面積の矩形領域10個の、Cube方位平均面積率を各々W1〜W10、S方位平均面積率を各々S1〜S10、Cu方位平均面積率を各々C1〜C10とし、前記式により各々求められる、これらの方位相互の平均面積率差を各々A1〜A10とした際に、前記Cube方位平均面積率W1〜W10の内の最小となるCube方位平均面積率Wmin を2%以上とし、かつ、前記方位相互の平均面積率差A1〜A10の内の最大となる平均面積率差Amax と、最小となる平均面積率差Amin との差Amax −Amin を10%以下としたことである。
この目的を達成するために、本発明の成形加工後の表面性状に優れたアルミニウム合金板の第四の要旨は、質量%で、Mg:0.4〜1.0%、Si:0.4〜1.5%、Mn:0.01〜0.5%、Cu:0.001〜1.0%を含み、残部がAlおよび不可避的不純物からなるAl−Mg−Si系アルミニウム合金板において、この合金板の表面から板厚の1/2だけの深さ部分における集合組織であって、任意の圧延幅方向500μm×圧延長手方向2000μmに亙る矩形領域の、Cube方位平均面積率をW、Goss方位平均面積率をGとし、相互の平均面積率差BをW−Gの式により求める際の、この矩形領域に圧延幅方向に亙って順次互いに隣接する同一面積の矩形領域10個の、Cube方位平均面積率を各々W1〜W10、Goss方位平均面積率を各々G1〜G10とし、前記式により各々求められる、これらの方位相互の平均面積率差を各々B1〜B10とした際に、前記Cube方位平均面積率W1〜W10の内の最小となるCube方位平均面積率Wmin を2%以上とし、かつ、これらの方位相互の平均面積率差B1〜B10の内の最大となる平均面積率差Bmax と、最小となる平均面積率差Bmin との差Bmax −Bmin を10%以下としたことである。
ここで、前記アルミニウム合金板の表面から板厚の1/2だけの深さ部分における、前記Goss方位平均面積率G1〜G10の内の最大となるGoss方位平均面積率Gmax を10%以下とすることが好ましい。また、前記アルミニウム合金板の表面か、この合金板の表面から板厚の1/4だけの深さ部分、あるいはこの合金板の表面から板厚の1/2だけの深さ部分における、前記Cube方位平均面積率W1〜W10の内の最大となるCube方位平均面積率Wmax を20%以下とすることが好ましい。
また、前記アルミニウム合金板が、更に、Fe:1.0%以下、Cr:0.3%以下、Zr:0.3%以下、V:0.3%以下、Ti:0.1%以下、Ag:0.2%以下、Zn:1.0%以下(但し、これらの上限規定は全て0%を含まず)の1種または2種以上を含むことを許容する。
更に、本発明の成形加工後の表面性状に優れたアルミニウム合金板の製造方法の要旨は、前記したいずれかのアルミニウム合金板組成を有するAl−Mg−Si系アルミニウム合金鋳塊を、均質化熱処理後、熱間圧延を行うに際して、熱間圧延開始温度Tsを340〜580℃の範囲とする一方、熱間圧延終了温度Tf℃が前記Tsに対して、0.08×Ts+320≧Tf≧0.25Ts+190の関係式を満足するように行い、更に、この熱延板の冷間圧延を行った後、この冷延板を溶体化および焼入れ処理することによって、前記したいずれかの集合組織を選択的に得ることである。
6000系アルミニウム合金板が、より深いあるいはより複雑な3次元形状のパネルに成形されるなど、プレス成形による板厚減少量が10%を超えるようなプレス成形条件がより厳しくなった場合、その発生が顕著になるような、リジングマークは、圧延幅方向(板幅方向)に亙る長さが比較的大きな周期を有するようになる。即ち、リジングマークが、成形加工後の表面に圧延方向に沿ったスジ状の凹凸となって現れる現象であることは同じだが、圧延幅方向(板幅方向)に亙るスジ状凹凸の幅が約2〜3mmの比較的大きな周期を有している。
このようなリジングマークに対しては、前記した従来の6000系アルミニウム合金板の集合組織制御のような、個々の特定の結晶方位の量的割合の制御では、その規定する結晶方位の数が少なくても、また例え多くても、その抑制効果が未だ不十分である。
本発明者は、このような比較的大きな周期を有するリジングマークが、同じ集合組織であっても、板厚方向の各深さ部位(板の各深さ方向の部位)における、板幅方向(圧延幅方向)に亙る特定の結晶方位の分布状態に依存することを知見した。即ち、このようなリジングマークは、アルミニウム合金板の圧延幅方向や板厚方向に存在する特定の結晶方位の偏差や、特定の結晶方位同士相互の偏差など、板の比較的広範囲の領域における特定の結晶方位の分布状態が大きく影響する。
前記した従来の特許文献における板の集合組織制御技術では、集合組織を分析、評価する際には、ごく狭い板の領域でしか評価できていない。例えば、特許文献9では、実施例において、板幅方向3mmの領域において、この板幅間を500μm毎に各々区切った際の各板断面における集合組織を計測している。しかし、これは、前記した大きな周期を有するリジングマークのせいぜい1周期分しか評価できていないことを意味する。また、全板厚に亙る圧延直角断面での集合組織であるため、板厚部位による偏差やバラツキの影響についても評価できていない。即ち、前記した従来の特許文献における板の集合組織制御技術では、プレス成形条件がより厳しくなった場合に、その発生が顕著になる、板幅方向に亙る長さが約2〜3mmの比較的大きな周期を有しているリジングマークを、その表面凹凸のばらつきを含めて考慮できていない。
そして、このことが、従来の6000系アルミニウム合金板の集合組織制御によっても、リジングマーク抑制の効果が未だ不十分であった一因であると推考される。ただ、本発明でも、板の結晶方位の違いにより、隣接する結晶粒の導入歪み量(結晶性の変形量)が異なり、表面凹凸のばらつきであるリジングマークが生じやすくなるという、リジングマーク発生のメカニズムや、このメカニズムに対する認識自体は、結晶方位を規定した前記特許文献と同じである。
しかし、本発明では、前記したリジングマークの周期やばらつきの大きさを考慮して、Al−Mg−Si系アルミニウム合金板における、リジングマークの周期に対応した、比較的広域な板の領域における集合組織の状態を規定して、プレス成形による板厚減少量が10%を超えるような従来よりも厳しい成形形状に対応できる点が、先ず大きく相違する。
本発明では、このような板幅方向に亙る広域なAl−Mg−Si系アルミニウム合金板の領域における集合組織として、板の表面、表面から板厚の1/4、1/2の深さ部分においては、特にCube方位を、その分布状態の制御対象として選択する。また、板の表面、表面から板厚の1/4の深さ部分においては、Cube方位に加えて、S方位、Cu方位を、その分布状態の制御対象として選択する。更に、表面から板厚の1/2の深さ部分においては、Cube方位に加えて、Goss方位を、その分布状態の制御対象として選択する。
即ち、板表面層から板厚1/4深さ近傍においては、Cube方位単独の分布状態、またはCube方位とS方位、Cu方位の分布状態によってによってリジングマークの発生有無が決定する。また、板厚1/2近傍においては、Cube方位とGoss方位の分布状態によってリジングマークの発生有無が決定される。
このように、本発明では、Al−Mg−Si系アルミニウム合金板における、前記各板厚領域における、これら代表的な結晶方位の各分布状態、あるいはこれら代表的な結晶方位同士の各分布状態を、板幅方向にできるだけ均一な集合組織とする。これによって、より深いあるいはより複雑な3次元形状のパネルに成形されるなど、成形条件がより厳しくなった場合に、その発生が顕著になる、前記比較的大きな周期を有するリジングマークの発生を防止できるAl−Mg−Si系アルミニウム合金板を提供できる。
以下に、本発明アルミニウム合金板の実施態様につき具体的に説明する。
(集合組織)
Cube方位は、一般的にも知られている様に、アルミの再結晶集合組織の主方位であり、Al−Mg−Si系合金板においても主要な結晶方位の1つである。この他、再結晶集合組織の主な方位成分として、S方位,Cu方位,Goss方位などが形成される。これら結晶方位によって、等しく引っ張り加工が加わった場合でも、それぞれ変形状態が異なる。
Cube方位は、圧延方向に対して45°方向に板を引っ張った場合に著しく板厚方向に縮み変形が生じ、引っ張り軸方向に直角で板面に平行な方向(板幅方向とも言う)の縮み変形はほとんど生じないのに対して、S方位、Cu方位,Goss方位は板厚方向の縮み変形が小さい。一方、Goss方位は、圧延幅方向に引っ張った場合に、板幅方向の縮み変形が主となり、板厚方向の縮み変形がほとんど生じないため、他の方位と比較して板厚方向の縮み変形が著しく小さい。
したがって、特に他の方位と特性が著しく異なるCube方位やGoss方位が多く存在し、且つ群れを成していると、圧延方向に対して45°方向や圧延直角方向に板を引っ張る成形加工が加わった場合に、Cube方位やGoss方位の量と引っ張り方向によって板厚方向の縮み変形量が異なることで、板表面の凹凸を生じ易くなる。この板表面の凹凸、すなわちリジングマークの発生を抑制する為に、従来の技術では、その集積度を規制したり、群れをなした組織を生じない為の製造条件を規制する方法が提案されている。
しかし、Cube方位やGoss方位の量が比較的少なく、顕著な群れをなしていなくとも、その分布状態が板の圧延幅方向の部位によって異なると、その部位によって、板全体を等しく引っ張った場合の板厚方向の縮み変形挙動が異なる。更に、Cube方位やGoss方位それぞれ単独の分布状態のみではなく、Cube方位とS方位,Cu方位およびGoss方位を組み合わせた分布状態についても同様に、圧延幅方向の部位によって異なると、その部位によって、板全体を等しく引っ張った場合の板厚方向の縮み変形挙動が異なる。
この板厚方向の縮み変形は、全板厚に亙って積算された値が板厚減少となる。このため、仮に板表面から1/2深さ部分であっても、部位によって板厚方向の縮み変形が異なる場合には、板厚減少の差異として板表面に凹凸を生じる。
また、板表面および/または板表面から1/4深さと、板表面から1/2深さでのCube方位やGoss方位の局部的な存在量が著しく多く存在すると、板全体を等しく引っ張った場合に、各板厚部位での板幅方向の縮み量が大きく異なるために、局所的な板の反りや曲がりが生じる。この場合にも板表面には凹凸を生じることとなる。
このようにCube方位の分布状態および/またはCube方位とS方位,Cu方位,Goss方位を組み合わせた分布状態が異なる場合では、板をプレス成形した際に、当然、板の部位によって、板表面に凹凸を生じ、リジングマークや肌荒れが発生することになる。特にこの方位分布が板幅方向に亙って広域な周期を持つような場合では、従来の比較的歪み量の小さい形状にプレス成形した場合には目立たなくとも、前記した板の成形条件がより厳しく、歪み量が10%を越えるような場合には顕著なリジングマークとなり、表面不良となる。
したがって、本発明では、前記した板幅方向に亙る広域な領域における、これらCube方位の分布状態および/またはCube方位とS方位,Cu方位,Goss方位を組み合わせた分布状態をできるだけ均一にする。言い換えると、前記板の比較的広域な領域に存在する、これら各方位と特性が違う各結晶方位同士の各々の偏差を極力少なくする。
(板の比較的広域な領域の規定)
ここで、本発明は、前記した通り、より厳しくなったプレス成形条件で発生する、比較的大きな周期を有しているリジングマークを防止乃至抑制するために、板幅方向に亙る広域な領域における結晶方位の分布状態をできるだけ均一にする。このためには、集合組織を測定乃至規定する領域も、これに応じて、板幅方向に亙る比較的広域な領域とする必要がある。
後述する通り、集合組織の測定のために汎用されるX線回折では、測定領域全体の平均的な各結晶方位の存在割合を測定している為、例えば板幅方向などの分布状態を、正確に反映できない。これに対して、EBSPを用いた結晶方位解析方法は、測定範囲がマクロな領域に亙り、この中での板幅方向に亙る広域な領域における結晶方位の分布状態を、正確に反映させることができる。
本発明は、このように、EBSPを用いた結晶方位解析方法により、集合組織を測定、規定するが、板幅方向に亙る広域な領域における結晶方位の分布状態を、正確に反映あるいは代表させるために、その測定領域も広げる。即ち、板厚方向の各深さ部位における、板幅方向(圧延幅方向)に亙る比較的広域な矩形領域を、集合組織規定のために規定する。具体的には、板表面、板表面から板厚の1/4、1/2の深さ部分における、特定結晶方位に応じた板厚方向の深さ部位に応じて矩形領域を規定するが、互いの矩形領域の規定面積(大きさ)は等しくする。そして、1個当たりの矩形領域を、任意の圧延幅方向500μm×圧延長手方向1000μmに亙る大きさと規定する。本発明では、この同じ面積の矩形領域を、板の圧延幅方向(板幅方向)に亙って10個、順次互いに隣接させて並べ、これら合計10個の矩形領域における集合組織として、各矩形領域における各特定結晶方位の平均面積を規定している。
(板表面の集合組織:Cube方位面積率)
圧延、溶体化焼入れ処理によって製造されたAl−Mg−Si系合金板においては、製造条件によっては特にその板表面にCube方位が強く集積する場合がある。このような場合には、他の結晶方位成分によらず、Cube方位のみの分布によってリジングマークが発生する可能性がある。したがって、前記技術思想に基づき、本発明では、先ず、板表面では、前記矩形領域により規定された板幅方向に亙るCube方位の分布状態をできるだけ均一にする。即ち、Cube方位が最も多く存在するAl−Mg−Si系アルミニウム合金板の表面における集合組織において、前記矩形領域により規定された板幅方向に亙るCube方位の分布状態をできるだけ均一になるように規定する。
具体的には、前提として、前記板表面の矩形領域における、最小となるCube方位平均面積率Wmin を2%以上とする。最小となるCube方位の平均面積率Wmin が2%未満となる場合は、本発明で規定あるいは望ましい条件とする圧延,溶対化焼入れなどの製造条件を大きく外れているか、またはEBSP測定試料の前処理などが不適切で試料の集合組織が正確に反映されていない可能性が高い。このような場合では、本発明で規定する結晶方位分布が全く得られないか、または必要十分正確な測定ができない。
Cube方位の面積率の上限は、好ましくは、前記板表面の矩形領域における、最大となるCube方位平均面積率Wmax として20%以下とする。この最大となるCube方位平均面積率Wmax が20%を超えた場合には、Cube方位または他の結晶方位の分布状態が本発明の規定を満足したとしても、Wmax を有する部位が単独で顕著な凹凸を生じる場合があり、リジングマークが発生し易くなる。
(板表面のCube方位の分布状態規定)
これらを前提に、先ず、本発明では、板表面層のCube方位単独の分布状態を規定する。このようなCube方位単独の分布状態を規定するのは、前記の通り、特に板表面にCube方位が強く集積した場合である。具体的には、前記板表面の矩形領域における最大となるCube方位面積率Wmax が15%を超える場合である。
板表面層のCube方位の分布状態規定として、具体的には、前記板表面の10個の矩形領域における、Cube方位平均面積率をW1〜W10とした際の、最小となるCube方位平均面積率をWmin 、最大となるCube方位平均面積率をWmax とした際に、結晶方位の分布偏差である、このWmax とWmin との差Wmax −Wmin を10%以下と小さくする。
これによって、Al−Mg−Si系アルミニウム合金板表面の板幅方向に亙るCube方位の分布状態をできるだけ均一にして、プレス成形における変形状態の偏差を小さくする。この結果、より深いあるいはより複雑な3次元形状のパネルに成形されるなど、成形条件がより厳しくなった場合に、その発生が顕著になる、前記比較的大きな周期を有するリジングマークの発生を防止乃至抑制できる。一方、結晶方位の分布偏差であるWmax とWmin との差Wmax −Wmin が10%を超えた場合には、結晶方位の分布偏差が大きすぎて、プレス成形における変形状態の偏差が大きくなり、前記比較的大きな周期を有するリジングマークの発生を防止乃至抑制できなくなる。
(板表面か、あるいは板表面から板厚の1/4の深さ部分の、Cube方位とS方位、Cu方位との分布状態の規定)
これに対して、製造条件によっては、圧延、溶対化焼入れ処理によって製造されたAl−Mg−Si系合金板における板表面や板表面から板厚1/4深さ部分では、Cube方位の集積が比較的低く、相対的にS方位、Cu方位の存在も多くなる。このように、板表面や板表面から板厚1/4深さ部分で、Cube方位の集積が比較的低いとは、前記矩形領域における最大となるCube方位面積率Wmax が2〜15%となる場合である。
このような場合には、リジングマーク発生を防止乃至抑制するために、Cube方位だけでなく、板表面か、あるいは板表面から板厚の1/4の深さ部分の、前記矩形領域にて規定された板幅方向に亙る、Cube方位とS方位、Cu方位との分布状態をできるだけ均一にする必要がある。このために、これら各部位での、Cube方位とS方位、Cu方位との分布状態の関係を規定する必要がある。
具体的には、板表面か、あるいは板表面から板厚の1/4の深さ部分の、前記矩形領域における、Cube方位平均面積率をW、S方位平均面積率をS、Cu方位平均面積率をCとした際に、これらの方位相互の平均面積率の差AをW−S−Cの式により求める。そして、前記10個の矩形領域における、Cube方位平均面積率W1〜W10、S方位平均面積率S1〜S10、Cu方位平均面積率C1〜C10における、前記式により前記A1と同様に各々求められる、これらの方位相互の平均面積率差A1〜A10を求める。そして、これら方位相互の平均面積率差A1〜A10の内の最大となる平均面積率差Amax と、最小となる平均面積率差Amin との差、Amax −Amin を10%以下と小さくする。
これによって、Al−Mg−Si系アルミニウム合金板表面か、あるいは板表面から板厚の1/4の深さ部分に、Cube方位、S方位、Cu方位が同時に実質量存在する場合の、板幅方向の結晶方位分布状態をできるだけ均一にして、プレス成形における変形状態の偏差を小さくする。この結果、前記成形条件がより厳しくなった場合に、その発生が顕著になる、前記比較的大きな周期を有するリジングマークの発生を防止乃至抑制できる。
なお、上記結晶方位の分布偏差Amax −Amin の規定を満たすのは、最低、板表面か、板表面から板厚の1/4の深さ部分の、いずれかで良い。但し、前記成形条件がより厳しくなる場合には、板表面と、板表面から板厚の1/4の深さ部分の両方が上記結晶方位の分布偏差Amax −Amin の規定を満たすようにすることが好ましい。
一方、板表面か、板表面から板厚の1/4の深さ部分の両方において、この結晶方位の分布偏差Amax −Amin が10%を超えた場合には、板表面および板表面から板厚の1/4の深さ部分の、特性が違う結晶方位の分布状態が、板幅方向に不均一となる。言い換えると、前記板の比較的広域な領域に存在する、これら各方位と特性が違う各結晶方位同士の各々の偏差が大きくなる。この結果、前記成形条件がより厳しくなった場合には、比較的大きな周期を有するリジングマークの発生を防止乃至抑制できなくなる。
(板の表面から板厚の1/2だけの深さ部分のCube方位とGoss方位との分布状態規定)
更に、圧延、溶対化焼入れ処理によって製造されたAl−Mg−Si系合金板における板表面から板厚1/2深さ部分では、製造条件によっては、Cube方位の他に、Goss方位の存在も多くなる場合がある。したがって、板表面から板厚1/2深さ部分での、前記矩形領域におけるGoss方位の面積率が、例えば、0.5%以上の実質量存在するようであれば、リジングマーク発生を防止乃至抑制するために、Cube方位だけでなく、板表面から板厚の1/2の深さ部分における、Cube方位とGoss方位との分布状態の関係を規定する必要がある。
具体的には、板の表面から板厚の1/2だけの深さ部分の前記矩形領域における、Cube方位平均面積率をW、Goss方位平均面積率をGとした際に、相互の平均面積率差B%をW−Gの式により求める。そして、前記10個の矩形領域における、Cube方位平均面積率を各々W1〜W10、Goss方位平均面積率を各々G1〜G10とした際の、これらの方位相互の平均面積率差B1〜B10を各々前記式により各々求める。そして、この内の最大となる平均面積率差Bmax と、最小となる平均面積率差Bmin との差Bmax −Bmin を10%以下と小さくする。
これによって、Al−Mg−Si系アルミニウム合金板の表面から板厚の1/2だけの深さ部分に、Cube方位、Goss方位が同時に実質量存在する場合の、前記矩形領域により規定された板幅方向に亙る結晶方位分布状態をできるだけ均一にして、プレス成形における変形状態の偏差を小さくする。この結果、前記成形条件がより厳しくなった場合に、その発生が顕著になる、前記比較的大きな周期を有するリジングマークの発生を防止乃至抑制できる。
一方、この結晶方位の分布偏差Bmax −Bmin が10%を超えた場合には、板表面から板厚の1/2の深さ部分の、特性が違う結晶方位の分布状態が、板幅方向に不均一となる。言い換えると、前記矩形領域により規定された板幅方向に亙って存在する、これら各方位と特性が違う各結晶方位同士の各々の偏差が大きくなる。この結果、前記成形条件がより厳しくなった場合には、比較的大きな周期を有するリジングマークの発生を防止乃至抑制できなくなる。
ここで、前記アルミニウム合金板の表面から板厚の1/2だけの深さ部分における、前記Goss方位平均面積率G1〜G10の内の最大となるGoss方位平均面積率Gmax は10%以下とすることが好ましい。Gmax が10%を超えた場合には、Goss方位とCube方位の分布状態が本発明の規定を満足したとしても、Gmax を有する部位が単独で顕著な凹凸を生じる場合があり、リジングマークが発生し易くなる。
(結晶方位分布状態制御の組み合わせ方)
本発明では、以上説明した、(1)板表面のCube方位の分布状態規定、(2)板表面のCube方位とS方位、Cu方位との分布状態の規定、(3)板表面から板厚の1/4の深さ部分のCube方位とS方位、Cu方位との分布状態の規定、(4)板の表面から板厚の1/2だけの深さ部分のCube方位とGoss方位との分布状態規定を各々単独、あるいは組み合わせて満足するように制御する。これらをどう組み合わせるかは、前記した通り、成分組成と製造条件とによる、前記板の板厚方向の各部位における各結晶方位の存在状態と、改善すべきリジングマークの発生状態や、前記成形条件により適宜選択される。
(アルミニウム合金板の集合組織測定)
結晶方位の表現方法は結晶系が同じでも加工法によって異なり、圧延板材の場合は圧延面と圧延方向で表わされる。即ち、下記に示す様に、結晶方位の圧延面に平行な面を{○○○}で表現し、圧延方向に平行な方向を<△△△>で表現する。なお、○や△は整数を示している。
かかる表現方法に基づき、各方位は下記のように表される。なお、これら各方位の表現については、長島晋一編著「集合組織」(丸善株式会社刊)や軽金属学会「軽金属」解説Vol.43(1993)P.285〜293などに記載されている。
Cube方位:{001}<100>
Goss方位:{011}<100>
CR方位:{001}<520>
RW方位:{001}<110>[Cube方位が(100)面で板面回転した方位]
Brass方位:{011}<211>
S方位:{123}<634>
Cu方位:{112}<111>
SB方位:{681}<112>
(各結晶方位面積率の測定)
これら結晶粒のCube方位、S方位、Cu方位、Goss方位などの、各結晶方位の面積率(存在率)は、前記した板の各断面を、走査型電子顕微鏡SEM(Scanning Electron Microscope)による、後方散乱電子回折像EBSP(Electron Backscatter Diffraction Pattern)を用いた結晶方位解析方法(SEM/EBSP法)により測定する。即ち、前記した板の、表面、板表面から板厚の1/4だけの深さ部分、板表面から板厚の1/2だけの深さ部分の各断面の前記した矩形領域をSEM/EBSP法により測定する。
上記EBSPを用いた結晶方位解析方法は、指定した試料領域を任意の一定間隔で走査して測定し、かつ、上記プロセスが全測定点に対して自動的に行なわれるので、測定終了時には、前記矩形領域により規定された圧延方向,圧延幅方向に亙る、数万〜数十万点の結晶方位データが得られる。このため、観察視野が広く、多数の結晶粒に対する、分布状態,平均結晶粒径、平均結晶粒径の標準偏差、あるいは方位解析の情報を、数時間以内で得られる利点がある。したがって、本発明のような板幅方向の前記した広域の矩形領域における集合組織を規定あるいは測定し、前記矩形領域により規定された板幅方向に亙る集合組織を正確に、規定乃至代表させる場合には最適である。
これに対して、集合組織の測定のために汎用されるX線回折(X線回折強度など)では、測定領域全体の平均的な各結晶方位の存在割合を測定しており、観察面における各結晶粒の分布状態についての情報は得られない。このため、リジングマークに影響する、前記矩形領域により規定された板幅方向に亙る広域の結晶方位分布を、上記EBSPを用いた結晶方位解析方法ほどには正確に、かつ効率的には測定することができない。
上記EBSPを用いた結晶方位解析方法は、組織観察用の試験片を、前記した各板の厚み位置の面から採取して、機械研磨およびバフ研磨を行った後、電解研磨して表面を調整する。このように得られた試験片について、SEM装置として、例えば日本電子社製SEM(JEOLJSM5410)、例えばTSL社製のEBSP測定・解析システム:OIM(Orientation Imaging Macrograph、解析ソフト名「OIM Analysis」)を用いて、各結晶粒が、対象とする方位(理想方位から10°以内)か否かを判定し、測定視野における方位密度(各結晶方位の面積)を求める。
試験片の各特定結晶方位の平均面積率測定領域は、前記した、特定結晶方位に応じた板厚方向の各深さ部位に応じた矩形領域とする。即ち、各深さ部位とも、1個当たりの矩形領域を、任意の圧延幅方向500μm×圧延長手方向2000μmに亙る大きさとし、この同じ面積の矩形領域を、板の圧延幅方向(板幅方向)に亙って10個、順次互いに隣接させて並べた、これら合計10個の矩形領域とする。得られた測定データを基に、これら所定の測定領域における各結晶方位の面積和を、測定総面積で除した、平均面積率(%)で測定、評価する。
上記EBSPを用いた結晶方位解析方法は、SEMにセットした試料表面に電子線を照射した時に発生する後方散乱回折パターン(EBSP,擬菊池パターンとも呼ばれる)を測定・解析システムに取り込み、既知の結晶系を用いたパターンとの比較によって、この電子腺照射ポイント(測定点)の結晶方位が決定される。
測定される試料の前記した各10箇所の矩形領域について、例えば5μmのステップ間隔で電子腺を走査して、各測定点の結晶方位を測定し、測定点位置データと組み合わせて解析することにより、測定領域内の個々の結晶粒の結晶方位や結晶粒の分布状態を測定することができる。本発明では、前記したとおり、各10箇所の矩形領域について、各結晶方位の平均面積率を測定、評価するが、更に広範囲の領域や、逆により微小な領域での結晶方位分布を測定、評価することも可能である。
(化学成分組成)
本発明が対象とする6000系アルミニウム合金板の化学成分組成について、以下に説明する。本発明が対象とする6000系アルミニウム合金板は、前記した自動車の外板用の板などとして、優れた成形性やBH性、強度、溶接性、耐食性などの諸特性が要求される。
このような要求を満足するために、アルミニウム合金板の組成は、質量%で、Mg:0.4〜1.0%、Si:0.4〜1.5%、Mn:0.01〜0.5%(好ましくは0.01〜0.15%)、Cu:0.001〜1.0%(好ましくは0.01〜1.0%)を含み、残部がAlおよび不可避的不純物からなるものとする。なお、各元素の含有量の%表示は全て質量%の意味である。
本発明が対象とする6000系アルミニウム合金板は、リジングマークが生じやすいが、BH性がより優れた、SiとMgとの質量比Si/ Mgが1 以上であるような過剰Si型の6000系アルミニウム合金板に適用されて好ましい。6000系アルミニウム合金板は、プレス成形や曲げ加工時には低耐力化により成形性を確保するとともに、成形後のパネルの塗装焼付処理などの、比較的低温の人工時効処理時の加熱により時効硬化して耐力が向上し、必要な強度を確保できる優れた時効硬化能(BH性)を有している。この中でも、過剰Si型の6000系アルミニウム合金板は、質量比Si/ Mgが1未満の6000系アルミニウム合金板に比して、このBH性がより優れている。
Mg、Si、Mn、Cu以外のその他の元素は、基本的には不純物であり、AA乃至JIS 規格などに沿った各不純物レベルの含有量 (許容量) とする。リサイクルの観点から、溶解材として、高純度Al地金だけではなく、6000系合金やその他のアルミニウム合金スクラップ材、低純度Al地金などを溶解原料として多量に使用した場合には、下記その他の元素が不純物として混入される可能性がある。そして、これらの不純物元素を例えば検出限界以下に低減すること自体コストアップとなり、ある程度の含有の許容が必要となる。また、実質量含有しても本発明目的や効果を阻害しない含有範囲があり、この範囲での含有効果がある元素もある。
したがって、このような下記元素を各々以下に規定する量以下の範囲での含有を許容する。具体的には、Fe:1.0%以下、Cr:0.3%以下、Ti:0.1%以下、Zn:1.0%以下の1種または2種以上を、この範囲で、上記した基本組成に加えて、更に含んでも良い。ここで、これらの各元素の各上限規定は、全て0%は含まないこととする。
上記6000系アルミニウム合金における、各元素の好ましい含有範囲と意義、あるいは許容量について以下に説明する。
Si:0.4〜1.5%
SiはMgとともに、固溶強化と、塗装焼き付け処理などの前記低温での人工時効処理時に、強度向上に寄与する時効析出物を形成して、時効硬化能を発揮し、自動車のアウタパネルとして必要な強度(耐力)を得るための必須の元素である。
また、パネルへの成形後の、より低温、短時間での塗装焼き付け処理での優れた低温時効硬化能を発揮させるためには、Si/ Mgを質量比で1.0以上とし、一般に言われる過剰Si型よりも更にSiをMgに対し過剰に含有させた6000系アルミニウム合金組成とすることが好ましい。
Si含有量が少なすぎると、前記時効硬化能、更には、各用途に要求される、プレス成形性などの諸特性を兼備することができない。さらに、熱延中または熱延終了後で再結晶が促進されて、粗大再結晶を生じたり、Cube方位が発達しやすくなり、本発明の規定範囲内に結晶方位分布状態を均一に制御することができなくなる。一方、Si含有量が多すぎると、粗大な晶出物および析出物が形成されて、曲げ加工性を含めたプレス成形性が著しく阻害される。更に、溶接性も著しく阻害される。したがって、Siは0.4〜1.5%の範囲とする。
Mg:0.4〜1.0%
Mgは、固溶強化と、塗装焼き付け処理などの前記人工時効処理時に、Siとともに強度向上に寄与する時効析出物を形成して、時効硬化能を発揮し、パネルとしての必要耐力を得るための必須の元素である。
Mg含有量が少なすぎると、絶対量が不足するため、人工時効処理時に前記化合物相を形成できず、時効硬化能を発揮できない。このためパネルとして必要な耐力が得られない。さらに、熱延で再結晶が促進されて、粗大再結晶を生じたり、Cube方位が発達しやすくなり、本発明の規定範囲内に結晶方位分布状態を均一に制御することができなくなる。
一方、Mg含有量が多すぎると、却って、プレス成形加工時にSSマーク(ストレッチャストレインマーク)が発生し易くなる。したがって、Mgの含有量は0.4〜1.0%の範囲で、Si/ Mgが質量比で1.0以上となるような量とする。
Cu:0.001〜1.0%
Cuは、本発明の比較的低温短時間の人工時効処理の条件で、アルミニウム合金材組織の結晶粒内への強度向上に寄与する時効析出物の形成を促進させる効果がある。また、固溶したCuは成形性を向上させる効果もある。Cu含有量が0.001%未満、特に0.01%未満ではこの効果がない。一方、1.0%を越えると、耐応力腐食割れ性や、塗装後の耐蝕性の内の耐糸さび性、また溶接性を著しく劣化させる。このため、Cu含有量は0.001〜1.0%、好ましくは0.01〜1.0%とする。
Mn:0.01〜0.5%、
Mnには、均質化熱処理時に分散粒子 (分散相) を生成し、これらの分散粒子には再結晶後の粒界移動を妨げる効果があるため、微細な結晶粒を得ることができる効果がある。前記した通り、本発明アルミニウム合金板のプレス成形性やヘム加工性はアルミニウム合金組織の結晶粒が微細なほど向上する。この点、Mn含有量が0.01%未満ではこれらの効果が無い。
一方、Mn含有量が多くなった場合、溶解、鋳造時に粗大なAl−Fe−Si−Mn系の晶出物を生成しやすく、アルミニウム合金板の機械的性質を低下させる原因となる。このため、Mn含有量が0.5%を越えた場合、却ってプレス成形性や曲げ加工性が低下する。このため、Mnは0.01〜0.5%の範囲とし、好ましくは0.01〜0.15%の範囲とする。
(製造方法)
次ぎに、本発明アルミニウム合金板の製造方法について以下に説明する。本発明アルミニウム合金板は、製造工程自体は常法あるいは公知の方法であり、上記6000系成分組成のアルミニウム合金鋳塊を鋳造後に均質化熱処理し、熱間圧延、冷間圧延が施されて所定の板厚とされ、更に溶体化焼入れなどの調質処理が施されて製造される。
但し、これらの製造工程中で、リジングマーク性向上のために、本発明の範囲に集合組織を制御するためには、後述する通り、熱間圧延条件を制御する必要がある。また、他の工程においても、本発明の規定範囲内に結晶方位分布状態を均一に制御するための好ましい条件がある。
(溶解、鋳造冷却速度)
先ず、溶解、鋳造工程では、上記6000系成分組成範囲内に溶解調整されたアルミニウム合金溶湯を、連続鋳造法、半連続鋳造法(DC鋳造法)等の通常の溶解鋳造法を適宜選択して鋳造する。ここで、本発明の規定範囲内に結晶方位分布状態を均一に制御するために、鋳造時の冷却速度について、溶解温度(約700℃)から固相線温度までを30℃/分以上と、できるだけ大きく(速く)することが好ましい。
このような、鋳造時の高温領域での温度(冷却速度)制御を行わない場合、この高温領域での冷却速度は必然的に遅くなる。このように高温領域での冷却速度が遅くなった場合、この高温領域での温度範囲で粗大に生成する晶出物の量が多くなって、鋳塊の板幅方向での晶出物のサイズや量のばらつきも大きくなる。これが、熱延,冷延時に導入される圧延歪みの過剰な不均一を生じ、溶体化焼入れ処理後の結晶方位の大きなばらつきの起因となって、リジングマーク性向上のために、本発明の規定範囲内に、前記矩形領域により規定された板幅方向に亙る結晶方位分布状態を均一に制御することができなくなる可能性が高くなる。
(均質化熱処理)
次いで、前記鋳造されたアルミニウム合金鋳塊に、熱間圧延に先立って、均質化熱処理を施す。この均質化熱処理(均熱処理)は、組織の均質化、すなわち、鋳塊組織中の結晶粒内の偏析をなくすことを目的とする。このため、均質化熱処理温度は、常法通り、500℃以上で融点未満、均質化時間は4時間以上の範囲から適宜選択される。この均質化温度が低いと結晶粒内の偏析を十分に無くすことができず、これが破壊の起点として作用するために、伸びフランジ性や曲げ加工性が低下する。
均質化熱処理後、直ちに熱間圧延を行ってもよいが、後述する望ましい熱間圧延の開始温度とする場合には、均質化熱処理温度から冷却して熱間圧延の開始温度として、熱間圧延を開始する。この場合、熱間圧延の開始時に、鋳塊の組織状態をより均一にする為に、熱間圧延開始温度で2時間以上の保持を行うことが望ましい。更に望ましくは、均質化熱処理後に、一旦室温まで冷却し、熱間圧延開始温度まで再加熱し、この再加熱温度で2時間以上の保持を行い、熱間圧延を開始する。
(熱間圧延)
熱間圧延は、圧延する板厚に応じて、鋳塊 (スラブ) の粗圧延工程と、粗圧延後の板厚が約40mm以下の板を約4mm以下の板厚まで圧延する仕上げ圧延工程とから構成される。これら粗圧延工程や仕上げ圧延工程では、リバース式あるいはタンデム式などの圧延機が適宜用いられる。
ここで、特に、前記した板厚条件での、鋳塊を粗圧延する工程と、粗圧延後の板を仕上げ圧延する工程からなる熱間圧延においては、これら粗圧延開始温度(熱間圧延開始温度)Tsと、仕上げ圧延終了温度(熱間圧延終了温度)Tfとの関係が、本発明の規定範囲内に結晶方位分布状態を均一に制御するために、特に重要となる。
即ち、前記した、均一な結晶方位分布を有する6000系アルミニウム合金板を製造するためには、特に熱間圧延の条件を制御して行い、リジングマークを発生させる元となる熱間圧延後の圧延板組織を制御することが重要である。熱間圧延中または熱間圧延終了後での板表面から板厚1/4近傍において、粗大な再結晶粒が生成した場合には、その後の冷間圧延、溶体化処理後において、前記粗大な再結晶粒が生成した板表面から板厚1/4近傍の部位に、Cube方位の過剰な集積を生じる。このため、Cube方位、S方位、Cu方位の分布状態を偏り易くする。また、熱間圧延終了後での板厚1/2近傍において加工組織が残留するか、または部分再結晶した組織が生成した場合には、その後の冷間圧延、溶体化処理後において、板表面から板厚1/2近傍の部位に、Goss方位の過剰な集積を生じ、Cube方位およびGoss方位の分布状態を偏り易くする。このため、本発明の規定範囲内に結晶方位分布状態を均一に制御することが困難となる。
したがって、本発明の規定範囲内に結晶方位分布状態を均一に制御するための、熱間圧延後の望ましい組織を得る為には、これら粗圧延開始温度(熱間圧延開始温度)Tsと、仕上げ圧延終了温度(熱間圧延終了温度)Tfとが次式の関係式を満足するようにする。
関係式:0.08×Ts+320≧Tf≧0.25Ts+190
ここで、仕上げ圧延終了温度Tf(℃)が、粗圧延開始温度Ts(℃)に対して、前記0.08×Ts+320を超えた場合には、熱間圧延終了後での板表面から板厚1/4近傍において、粗大な再結晶粒が生成し易くなる。この場合には、その後の冷間圧延、溶体化処理後において、前記粗大な再結晶粒が生成した板表面から板厚1/4近傍の部位に、Cube方位の過剰な集積を生じる。このため、Cube方位、S方位、Cu方位の分布状態を偏り易くする。また、仕上げ圧延終了温度Tf(℃)が、粗圧延開始温度Ts(℃)に対して、0.25Ts+190未満では、熱間圧延終了後での板厚1/2近傍において加工組織が残留するか、または部分再結晶した組織が生成し易くなる。この場合には、その後の冷間圧延、溶体化処理後において、板表面から板厚1/2近傍の部位に、Goss方位の過剰な集積を生じ、Cube方位およびGoss方位の分布状態を偏り易くする。このため、これらいずれの場合も、本発明の規定範囲内に結晶方位分布状態を均一に制御することが困難となる。
粗圧延開始温度Ts(℃)は、成分組成や鋳塊厚との関係で選択され、必ずしも特定されないが、580℃を超えると鋳塊の局部融解を生じ易く、340℃未満では、圧延荷重が過大となって圧延が困難となる。また、Tsが450℃よりも高い場合には、熱間圧延中に蓄積される圧延歪み量によっては、板表面から板厚1/4近傍において、粗大な再結晶粒が生成する可能性がある。したがって、粗圧延開始温度(熱間圧延開始温度)Tsは340〜580℃、更に好ましくは340〜450℃の範囲とする。
(最終パス圧延率)
ここで、熱間圧延後の組織には、上述の開始温度,終了温度の制御と共に、特に仕上げ圧延における、圧延率および圧延速度も影響する。これらは、熱間圧延を行う圧延機の仕様に依存する為、一概には定められないが、本発明者らが試験、確認したところによれば、仕上げ圧延の最終パスが最も影響が大きい。この点、熱間圧延後の望ましい組織を得て、本発明の規定範囲内に結晶方位分布状態を均一に制御するためには、前記した粗圧延開始温度Ts条件や、このTsと仕上げ圧延終了温度Tfとの関係を満足した上で、仕上げ圧延の最終パスは、圧延率を35%以上とすることが望ましい。
(熱延板の焼鈍)
この熱延板の冷間圧延前の焼鈍 (荒鈍) は必ずしも必要ではないが、前記Tsと熱間圧延中の歪みによっては生成する可能性のある熱間圧延中の粗大な再結晶粒の影響を解消することにより、リジングマークの抑制程度のバラツキを小さくするために、実施しても良い。
(冷間圧延)
冷間圧延では、上記熱延板を圧延して、所望の最終板厚の冷延板 (コイルも含む) に製作する。但し、結晶粒を微細化させるために、冷間圧延率は60%以上であることが望ましく、同様の目的で、冷間圧延パス間で中間焼鈍を行っても良い。
(溶体化および焼入れ処理)
冷間圧延後、溶体化焼入れ処理を行う。溶体化処理は500℃〜570で0〜10秒保持する条件で行い、その後10℃/秒以上の冷却速度で焼入れ処理を行うことが望ましい。溶体化処理後の焼入れ処理では、冷却速度が遅いと、粒界上にSi、Mg2 Siなどが析出しやすくなり、プレス成形や曲げ加工時の割れの起点となり易く、これら成形性が低下する。この冷却速度を確保するために、焼入れ処理は、ファンなどの空冷、ミスト、スプレー、浸漬等の水冷手段や条件を各々選択して用い、冷却速度を10℃/秒以上の急冷とすることが好ましい。
成形パネルの塗装焼き付け工程などの人工時効硬化処理での時効硬化性をより高めるため、この溶体化焼入れ処理の後に、直ちに予備時効処理を行ってもよい。この予備時効処理は70〜140℃の温度範囲に、1〜24時間の範囲で必要時間保持することが望ましい。この予備時効処理として、上記焼入れ処理の冷却終了温度を70〜140℃と高くした後に、直ちに再加熱乃至そのまま保持して行う。あるいは、溶体化処理後常温までの焼入れ処理の後に、10分以内に、直ちに70〜140℃に再加熱して行う。
更に、室温時効抑制のために、前記予備時効処理後に、時間的な遅滞無く、比較的低温での熱処理 (人工時効処理) を行っても良い。
また、連続溶体化焼入れ処理の場合には、前記予備時効の温度範囲で焼入れ処理を終了し、そのままの高温でコイルに巻き取るなどして行う。なお、コイルに巻き取る前に再加熱しても、巻き取り後に保温しても良い。また、常温までの焼入れ処理の後に、前記温度範囲に再加熱して高温で巻き取るなどしてもよい。
この他、用途や必要特性に応じて、更に高温の時効処理や安定化処理を行い、より高強度化などを図ることなども勿論可能である。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。
次に、本発明の実施例を説明する。表1に示す6000系アルミニウム合金板を、表2に示す条件で、均質化熱処理 (均熱処理と略記) および熱間圧延 (熱延と略記) し、更に、冷間圧延を行い、溶体化および焼入れ処理して、製造した。なお、表1中の各元素の含有量の表示において、「−」の表示は、検出限界以下であることを示す。
アルミニウム合金板のより具体的な製造条件は以下の通りである。表1に示す各組成の鋳塊を、DC鋳造法により共通して溶製した。この際、各例とも共通して、本発明の規定範囲内に結晶方位分布状態を均一に制御するために、鋳造時の冷却速度について、溶解温度(約700℃)から固相線温度までを50℃/分とした。
続く、鋳塊の均熱処理は、表2に示す温度で、各例とも共通して、5時間の均熱時間とした。この際、表2の略号4、5、13、14は、均質化熱処理後、冷却せずに、均質化熱処理の温度のままの温度Ts(℃)で熱延(粗圧延)を開始した。その他の例は、全て各均質化熱処理温度から室温まで鋳塊を一旦冷却して、この冷却後、熱間圧延開始温度Ts(℃)まで再加熱し、この温度で2時間保持した後に、熱延(粗圧延)を開始した。そして、仕上げ圧延にて、表2に示す各仕上げ圧延終了温度Tf(℃)で熱間圧延を終了し、各例とも共通して、厚さ3.5mmまで熱延し、熱間圧延板(コイル)とした。この際の各例のTsとTfとの前記した関係式を満たすか否かも、表2に示す。なお、仕上げ圧延の最終パスの圧延率も表2に示す。
熱間圧延後のアルミニウム合金板を、表2の略号2、8においては400℃×3時間の中間焼鈍(荒焼鈍)を行い冷間圧延し、その他の例では、この荒焼鈍無しで、冷間圧延し、各例とも共通して、冷間圧延パス間での中間焼鈍無しで、厚さ1.0mmの冷延板(コイル)とした。更にこの各冷延板を、各例とも共通して、連続式の熱処理設備で、550℃まで加熱して、直ちに、平均50℃/秒の冷却速度で、室温まで冷却する溶体化焼入れ処理を行った。また、各例とも共通して、この室温までの冷却後、直ちに100℃まで再加熱して、この温度で2時間保持する予備時効処理を行った。
これら調質処理後の各最終製品板から供試板 (ブランク) を切り出し、前記調質処理後15日の室温時効(室温放置)後の、各供試板の組織や特性を測定、評価した。
(供試板集合組織)
前記供試板の集合組織につき、前記SEM−EBSPを用いて、前記所定の深さ部位および前記所定の測定矩形領域における、各結晶方位の面積率を測定・解析した。これらの結果を表3 に示す。
(供試板特性)
更に、前記供試板の特性として、リジングマーク性、0.2%耐力(As耐力: MPa)、伸び(%)を各々測定した。これらの結果も表3 に示す。
(リジングマーク)
前記供試板から切り出した各試験片に、前記した厳しい条件でのプレス成形を模擬して、圧延方向に90°方向および45°方向に15%の塑性歪みを加えた後、ED塗装を行ってリジングマークの有無を目視評価した。リジングマークの評価は発生していない物を○、軽微なリジングマークの発生が認められるものを△、顕著なリジングマークの発生が見られるものを×とした。
(機械的特性)
機械的特性を測定するための引張試験は、前記供試板からJISZ2201の5号試験片(25mm×50mmGL×板厚)を採取し、室温引張り試験を行った。このときの試験片の引張り方向を圧延方向の直角方向とした。引張り速度は、0.2%耐力までは5mm/分、耐力以降は20mm/分とした。機械的特性測定のN数は5とし、各々平均値で算出した。
表1〜3に示す通り、各発明例は、本発明成分組成範囲内で、かつ、仕上げ圧延終了温度Tf(℃)と粗圧延開始温度Ts(℃)との関係が、好ましい条件範囲で熱間圧延を行なっている。このため、表3 に示す通り、本発明で規定する集合組織を有する。即ち、リジングマークを抑制するために、板の比較的広域な領域における結晶方位分布状態を、本発明の規定範囲内に均一に制御することができている。この結果、本発明による結晶方位分布状態であるアルミニウム合金板は、リジングマーク発生を抑制できている。
ただ、仕上げ圧延の最終パスの圧延率を30%と低くして熱延を行った発明例6、7は、この圧延率が望ましい35%以上の他の発明例に比較して、熱間圧延終了後での板表面から板厚1/4近傍において、比較的粗大な再結晶組織が発達しやすくなっており、製品板表面から板厚1/4近傍の部位に、Cube方位の集積を生じ、Cube方位、S方位、Cu方位の分布状態が比較的偏っている。この結果、発明例6、7は、圧延方向に90°方向および45°方向ともリジングマーク発生を抑制できている他の発明例に比して、特に45°方向のリジングマーク発生を完全には抑制できていない。
これに対して、比較例13〜16は、上記発明例1と同じ合金例を用いている。しかし、これら各比較例は、表2に示す通り、熱間圧延条件が好ましい範囲を外れている。比較例13、15は、仕上げ圧延終了温度Tf(℃)が、粗圧延開始温度Ts(℃)に対して、前記0.25Ts+190未満となっている。このため、比較例13、15は、特に、熱間圧延終了後での板厚1/2近傍において加工組織が残留し、製品板表面から板厚1/2近傍の部位に、Goss方位の過剰な集積を生じ、Cube方位およびGoss方位の分布状態が偏っている。この結果、表3に示す通り、本発明の規定範囲内に結晶方位分布状態を均一に制御することができず、発明例1に比して、リジングマーク性が劣っている。
また、比較例14、16は、仕上げ圧延終了温度Tf(℃)が、粗圧延開始温度Ts(℃)に対して、前記0.08×Ts+320を超えている。このため、比較例14、16は、特に、熱間圧延終了後での板表面から板厚1/4近傍において、粗大な再結晶組織が発達し、製品板表面から板厚1/4近傍の部位に、Cube方位の過剰な集積を生じ、Cube方位、S方位、Cu方位の分布状態が偏っている。この結果、表3に示す通り、本発明の規定範囲内に結晶方位分布状態を均一に制御することができず、発明例1に比して、リジングマーク性が劣っている。
比較例10〜12は、好ましい範囲で熱間圧延しているものの、成分組成が本発明範囲を外れる。したがって、成分組成の点からもリジングマーク性が発明例に比して著しく劣るか、リジングマーク性が良くても強度や伸びが発明例に比して著しく劣る。
したがって、以上の実施例の結果から、本発明における成分や組織の各要件、あるいは好ましい製造条件の、リジングマーク性や機械的性質などを兼備するための臨界的な意義乃至効果が裏付けられる。
Figure 0005336240
Figure 0005336240
Figure 0005336240
本発明によれば、成形条件がより厳しくなった場合に、その発生が顕著になるプレス成形時のリジングマークを再現性良く防止でき、機械的特性にも優れたAl−Mg−Si系アルミニウム合金板を提供できる。この結果、自動車、船舶あるいは車両などの輸送機、家電製品、建築、構造物の部材や部品用として、また、特に、自動車などの輸送機の部材に、6000系アルミニウム合金板の適用を拡大できる。

Claims (8)

  1. 質量%で、Mg:0.4〜1.0%、Si:0.4〜1.5%、Mn:0.01〜0.5%、Cu:0.001〜1.0%を含み、残部がAlおよび不可避的不純物からなるAl−Mg−Si系アルミニウム合金板において、この合金板の表面における集合組織であって、任意の圧延幅方向500μm×圧延長手方向2000μmに亙る矩形領域のCube方位平均面積率をWとし、この矩形領域に圧延幅方向に亙って順次互いに隣接する同一面積の矩形領域10個のCube方位平均面積率を各々W1〜W10とするとともに、これらW1〜W10の内の、最小となるCube方位平均面積率をWmin 、最大となるCube方位平均面積率をWmax とした際に、前記Wmin を2%以上とするとともに、前記Wmax と前記Wmin との差Wmax −Wmin を10%以下としたことを特徴とする、成形加工後の表面性状に優れたアルミニウム合金板。
  2. 質量%で、Mg:0.4〜1.0%、Si:0.4〜1.5%、Mn:0.01〜0.5%、Cu:0.001〜1.0%を含み、残部がAlおよび不可避的不純物からなるAl−Mg−Si系アルミニウム合金板において、この合金板の表面における集合組織であって、任意の圧延幅方向500μm×圧延長手方向2000μmに亙る矩形領域の、Cube方位平均面積率をW、S方位平均面積率をS、Cu方位平均面積率をCとし、これらの方位相互の平均面積率の差AをW−S−Cの式により求める際に、この矩形領域に圧延幅方向に亙って順次互いに隣接する同一面積の矩形領域10個の、Cube方位平均面積率を各々W1〜W10、S方位平均面積率を各々S1〜S10、Cu方位平均面積率を各々C1〜C10とし、前記式により各々求められる、これらの方位相互の平均面積率差を各々A1〜A10とした際に、前記Cube方位平均面積率W1〜W10の内の最小となるCube方位平均面積率Wmin を2%以上とし、かつ、前記方位相互の平均面積率差A1〜A10の内の最大となる平均面積率差Amax と、最小となる平均面積率差Amin との差Amax −Amin を10%以下としたことを特徴とする、成形加工後の表面性状に優れたアルミニウム合金板。
  3. 質量%で、Mg:0.4〜1.0%、Si:0.4〜1.5%、Mn:0.01〜0.5%、Cu:0.001〜1.0%を含み、残部がAlおよび不可避的不純物からなるAl−Mg−Si系アルミニウム合金板において、この合金板の表面から板厚の1/4だけの深さ部分における集合組織であって、任意の圧延幅方向500μm×圧延長手方向2000μmに亙る矩形領域の、Cube方位平均面積率をW、S方位平均面積率をS、Cu方位平均面積率をCとし、これらの方位相互の平均面積率の差AをW−S−Cの式により求める際に、この矩形領域に圧延幅方向に亙って順次互いに隣接する同一面積の矩形領域10個の、Cube方位平均面積率を各々W1〜W10、S方位平均面積率を各々S1〜S10、Cu方位平均面積率を各々C1〜C10とし、前記式により各々求められる、これらの方位相互の平均面積率差を各々A1〜A10とした際に、前記Cube方位平均面積率W1〜W10の内の最小となるCube方位平均面積率Wmin を2%以上とし、かつ、前記方位相互の平均面積率差A1〜A10の内の最大となる平均面積率差Amax と、最小となる平均面積率差Amin との差Amax −Amin を10%以下としたことを特徴とする、成形加工後の表面性状に優れたアルミニウム合金板。
  4. 質量%で、Mg:0.4〜1.0%、Si:0.4〜1.5%、Mn:0.01〜0.5%、Cu:0.001〜1.0%を含み、残部がAlおよび不可避的不純物からなるAl−Mg−Si系アルミニウム合金板において、この合金板の表面から板厚の1/2だけの深さ部分における集合組織であって、任意の圧延幅方向500μm×圧延長手方向2000μmに亙る矩形領域の、Cube方位平均面積率をW、Goss方位平均面積率をGとし、相互の平均面積率差BをW−Gの式により求める際の、この矩形領域に圧延幅方向に亙って順次互いに隣接する同一面積の矩形領域10個の、Cube方位平均面積率を各々W1〜W10、Goss方位平均面積率を各々G1〜G10とし、前記式により各々求められる、これらの方位相互の平均面積率差を各々B1〜B10とした際に、前記Cube方位平均面積率W1〜W10の内の最小となるCube方位平均面積率Wmin を2%以上とし、かつ、これらの方位相互の平均面積率差B1〜B10の内の最大となる平均面積率差Bmax と、最小となる平均面積率差Bmin との差Bmax −Bmin を10%以下としたことを特徴とする、成形加工後の表面性状に優れたアルミニウム合金板。
  5. 前記アルミニウム合金板の表面から板厚の1/2だけの深さ部分における、前記Goss方位平均面積率G1〜G10の内の最大となるGoss方位平均面積率Gmax を10%以下とした請求項4に記載の成形加工後の表面性状に優れたアルミニウム合金板。
  6. 前記アルミニウム合金板の表面か、この合金板の表面から板厚の1/4だけの深さ部分、あるいはこの合金板の表面から板厚の1/2だけの深さ部分における、前記Cube方位平均面積率W1〜W10の内の最大となるCube方位平均面積率Wmax を20%以下とした請求項1乃至5のいずれか1項に記載の成形加工後の表面性状に優れたアルミニウム合金板。
  7. 前記アルミニウム合金板が、更に、Fe:1.0%以下、Cr:0.3%以下、Ti:0.1%以下、Zn:1.0%以下(但し、これらの上限規定は全て0%を含まず)の1種または2種以上を含む請求項1乃至6のいずれか1項に記載の成形加工後の表面性状に優れたアルミニウム合金板。
  8. 請求項1乃至7のいずれかのアルミニウム合金板の製造方法であって、請求項1か請求項7のいずれかのアルミニウム合金板組成を有するAl−Mg−Si系アルミニウム合金鋳塊を、均質化熱処理後、熱間圧延を行うに際して、熱間圧延開始温度Tsを340〜580℃の範囲とする一方、熱間圧延終了温度Tf℃が前記Tsに対して、0.08×Ts+320≧Tf≧0.25Ts+190の関係式を満足するように行い、更に、この熱延板の冷間圧延を行った後、この冷延板を溶体化および焼入れ処理することによって、請求項1乃至6に規定するいずれかの集合組織を選択的に得ることを特徴とする成形加工後の表面性状に優れたアルミニウム合金板の製造方法。
JP2009079481A 2008-03-31 2009-03-27 成形加工後の表面性状に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法 Expired - Fee Related JP5336240B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009079481A JP5336240B2 (ja) 2008-03-31 2009-03-27 成形加工後の表面性状に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008092890 2008-03-31
JP2008092890 2008-03-31
JP2009079481A JP5336240B2 (ja) 2008-03-31 2009-03-27 成形加工後の表面性状に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009263781A JP2009263781A (ja) 2009-11-12
JP5336240B2 true JP5336240B2 (ja) 2013-11-06

Family

ID=41135390

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009079481A Expired - Fee Related JP5336240B2 (ja) 2008-03-31 2009-03-27 成形加工後の表面性状に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法

Country Status (5)

Country Link
US (1) US8366846B2 (ja)
JP (1) JP5336240B2 (ja)
KR (1) KR101251237B1 (ja)
CN (1) CN101960031B (ja)
WO (1) WO2009123011A1 (ja)

Families Citing this family (24)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5406745B2 (ja) * 2009-03-19 2014-02-05 株式会社神戸製鋼所 成形時のリジングマーク性に優れたアルミニウム合金板
JP5758676B2 (ja) * 2011-03-31 2015-08-05 株式会社神戸製鋼所 成形加工用アルミニウム合金板およびその製造方法
EP2570509B1 (de) * 2011-09-15 2014-02-19 Hydro Aluminium Rolled Products GmbH Herstellverfahren für AlMgSi-Aluminiumband
JP6054658B2 (ja) * 2012-07-06 2016-12-27 株式会社Uacj 缶ボディ用アルミニウム合金板及びその製造方法
JP5882380B2 (ja) * 2013-04-09 2016-03-09 株式会社神戸製鋼所 プレス成形用アルミニウム合金板の製造方法
JP6340170B2 (ja) * 2013-06-28 2018-06-06 国立大学法人横浜国立大学 アルミニウム合金板及びアルミニウム合金部材
JP6383179B2 (ja) * 2014-05-29 2018-08-29 株式会社Uacj 耐リジング性に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法
BR112017006271B1 (pt) * 2014-10-28 2021-09-21 Novelis Inc. Chapa de liga de alumínio, parte de corpo automotivo e método para produzir uma chapa de liga de alumínio
EP3183373B1 (en) * 2015-07-20 2018-12-26 Novelis, Inc. Aa6xxx aluminum alloy sheet with high anodized quality and method for making same
JP6506678B2 (ja) * 2015-11-02 2019-04-24 株式会社神戸製鋼所 自動車構造部材用アルミニウム合金板およびその製造方法
RU2691081C1 (ru) * 2015-12-18 2019-06-10 Новелис Инк. Высокопрочные алюминиевые сплавы 6xxx и способы их получения
CN115584403A (zh) 2015-12-18 2023-01-10 诺维尔里斯公司 高强度6xxx铝合金和其制备方法
EP3480326A4 (en) * 2016-06-29 2019-11-20 UACJ Corporation ALUMINUM ALLOYING PLATE WITH EXCELLENT GROOVE RESISTANCE AND FOLDING AVAILABILITY AND METHOD OF MANUFACTURING THEREOF
JP6208389B1 (ja) * 2016-07-14 2017-10-04 株式会社Uacj 曲げ加工性及び耐リジング性に優れたアルミニウム合金からなる成形加工用アルミニウム合金圧延材の製造方法
JP6768568B2 (ja) * 2017-03-16 2020-10-14 株式会社神戸製鋼所 プレス成形性、リジングマーク性、bh性に優れたアルミニウム合金板
US10030295B1 (en) 2017-06-29 2018-07-24 Arconic Inc. 6xxx aluminum alloy sheet products and methods for making the same
EP3704279A4 (en) 2017-10-31 2021-03-10 Howmet Aerospace Inc. IMPROVED ALUMINUM ALLOYS AND THEIR PRODUCTION PROCESSES
FR3076837B1 (fr) 2018-01-16 2020-01-03 Constellium Neuf-Brisach Procede de fabrication de toles minces en alliage d'aluminium 6xxx a haute qualite de surface
CA3099800C (en) 2018-05-15 2024-01-09 Novelis Inc. High strength 6xxx and 7xxx aluminum alloys and methods of making the same
CN112639145B (zh) * 2018-08-31 2022-04-05 株式会社Uacj 铝合金板
EP3666915A1 (en) 2018-12-11 2020-06-17 Constellium Neuf Brisach Method of making 6xxx aluminium sheets with high surface quality
CN115927934B (zh) * 2022-07-01 2024-01-26 湖北汽车工业学院 一种具有{001}<x10>织构的Al-Cu铸造合金及其制备方法和应用
CN115491549A (zh) * 2022-09-19 2022-12-20 浙江乐祥铝业有限公司 一种高强高韧的铝合金材料及其制备方法和用途
CN116732374B (zh) * 2023-06-15 2023-12-01 湘潭大学 一种掺杂钪和锆制备6061铝合金的方法及6061铝合金

Family Cites Families (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2823797B2 (ja) 1994-02-16 1998-11-11 住友軽金属工業株式会社 成形加工用アルミニウム合金板の製造方法
JP3590685B2 (ja) 1994-12-27 2004-11-17 本田技研工業株式会社 自動車外板用アルミニウム合金板の製造方法
JP3919315B2 (ja) 1997-12-25 2007-05-23 株式会社神戸製鋼所 表面性状に優れる成形加工用Al−Mg−Si系アルミニウム合金板材
JP4063388B2 (ja) 1998-02-20 2008-03-19 株式会社神戸製鋼所 表面性状に優れた成形加工用Al−Mg−Si系アルミニウム合金板及びその製造方法
US6231809B1 (en) 1998-02-20 2001-05-15 Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho (Kobe Steel, Ltd.) Al-Mg-Si aluminum alloy sheet for forming having good surface properties with controlled texture
JP3498942B2 (ja) 1998-09-24 2004-02-23 株式会社神戸製鋼所 耐リジングマーク性に優れたアルミニウム合金板及びリジングマーク発生の有無の評価方法
JP4248796B2 (ja) 2001-09-27 2009-04-02 住友軽金属工業株式会社 曲げ加工性および耐食性に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法
JP2004238657A (ja) * 2003-02-04 2004-08-26 Kobe Steel Ltd アウタパネル用アルミニウム合金板の製造方法
JP4499369B2 (ja) 2003-03-27 2010-07-07 株式会社神戸製鋼所 リジングマークの発生が抑制されており表面性状に優れたAl−Mg−Si系合金板
JP4202894B2 (ja) 2003-11-12 2008-12-24 株式会社神戸製鋼所 Mg含有Al合金
JP4328242B2 (ja) 2004-02-26 2009-09-09 株式会社神戸製鋼所 リジングマーク特性に優れたアルミニウム合金板
JP4939088B2 (ja) * 2006-03-16 2012-05-23 株式会社神戸製鋼所 成形時のリジングマーク性に優れたアルミニウム合金板の製造方法
JP2008045192A (ja) 2006-08-21 2008-02-28 Kobe Steel Ltd 成形時のリジングマーク性に優れたアルミニウム合金板
JP5059423B2 (ja) * 2007-01-18 2012-10-24 株式会社神戸製鋼所 アルミニウム合金板
JP5203772B2 (ja) 2008-03-31 2013-06-05 株式会社神戸製鋼所 塗装焼付け硬化性に優れ、室温時効を抑制したアルミニウム合金板およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
CN101960031B (zh) 2012-11-14
JP2009263781A (ja) 2009-11-12
US20110017370A1 (en) 2011-01-27
WO2009123011A1 (ja) 2009-10-08
CN101960031A (zh) 2011-01-26
KR101251237B1 (ko) 2013-04-08
US8366846B2 (en) 2013-02-05
KR20110031898A (ko) 2011-03-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5336240B2 (ja) 成形加工後の表面性状に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法
JP5406745B2 (ja) 成形時のリジングマーク性に優れたアルミニウム合金板
JP4312819B2 (ja) 成形時のリジングマーク性に優れたアルミニウム合金板
JP5059423B2 (ja) アルミニウム合金板
JP5203772B2 (ja) 塗装焼付け硬化性に優れ、室温時効を抑制したアルミニウム合金板およびその製造方法
US9453273B2 (en) Aluminum alloy sheet with excellent paint-bake hardenability
JP5918158B2 (ja) 室温時効後の特性に優れたアルミニウム合金板
KR20150013925A (ko) 성형 가공용 알루미늄 합금판 및 그의 제조방법
JP2008045192A (ja) 成形時のリジングマーク性に優れたアルミニウム合金板
JP2007169740A (ja) 成形性に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法
JP2017179468A (ja) 高成形性アルミニウム合金板
WO2016190408A1 (ja) 高強度アルミニウム合金板
JP6190307B2 (ja) 成形性と焼付け塗装硬化性とに優れたアルミニウム合金板
WO2015034024A1 (ja) 焼付け塗装硬化性に優れたアルミニウム合金板
JP2016141842A (ja) 高強度アルミニウム合金板
JP2009173973A (ja) 成形時のリジングマーク性に優れたアルミニウム合金板
JP2010116594A (ja) 曲げ性に優れたAl−Mg−Si系アルミニウム合金板
JP2009173972A (ja) 成形時のリジングマーク性に優れたアルミニウム合金板
WO2016031938A1 (ja) アルミニウム合金板
WO2018003709A1 (ja) 耐リジング性及びヘム曲げ性に優れたアルミニウム合金板及びその製造方法
JP4328242B2 (ja) リジングマーク特性に優れたアルミニウム合金板
JP2004010982A (ja) 曲げ加工性とプレス成形性に優れたアルミニウム合金板
JP2008231475A (ja) 成形加工用アルミニウム合金板およびその製造方法
JP6768568B2 (ja) プレス成形性、リジングマーク性、bh性に優れたアルミニウム合金板
JP2017210673A (ja) r値の異方性が小さいプレス成形用アルミニウム合金板およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20110414

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20110414

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110901

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130709

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130801

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5336240

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees